JP2018048261A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】靱性と剛性を両立する樹脂組成物及び該樹脂組成物の成形体に関すること。【解決手段】下記一般式(1)で表される置換基及び下記一般式(2)で表される置換基から選ばれる1種又は2種以上の置換基がエーテル結合を介してセルロースに結合してなり、相対結晶化度が50%未満である改質セルロースと、相溶化剤と、熱可塑性樹脂とを含有してなる、樹脂組成物。−CH2−CH(OH)−R1(1)−CH2−CH(OH)−CH2−(OA)n−O−R1(2)〔式中、一般式(1)及び一般式(2)におけるR1はそれぞれ独立して炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、一般式(2)におけるnは0以上50以下の数、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示す〕【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。更に詳しくは、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等として好適に使用し得る樹脂組成物及び該樹脂組成物の成形体に関する。
一般的に、樹脂に剛性を付与するためには強化フィラーを添加する手法が取られ、実際にガラス繊維や炭素繊維による強化樹脂が実用化されている。しかし、ガラス繊維は不燃材料であるためサーマルリサイクルが困難であるだけでなく、密度が高いため軽量高強度が要求される用途には適さない。一方、炭素繊維は、ガラス繊維と比較して低密度であり、炭素繊維は高い剛性を示すが、炭素繊維は難燃材料であり、価格に加えガラス繊維同様リサイクルに関する課題も残されている。これに対して、植物繊維をパルプ化し、さらにナノ解繊したセルロースナノファイバー(CNF)は、軽量で、鋼鉄の5倍以上の強度、ガラスの1/50程度の低い線熱膨張性を有していることから、補強用繊維として極めて有望であり、近年活発に研究されている。
しかし、CNFは多数の水酸基を有しており、ポリエチレンやポリプロピレンなど多くの汎用熱可塑性樹脂との親和性が低く、界面剥離や凝集が生じて、靱性や耐衝撃性を大きく低下させてしまう。そのため、CNF表面を化学修飾してCNFの耐熱性を向上させたり、目的の樹脂との親和性を向上させる試みや、相溶化剤などの添加剤の開発などが盛んに行われている。
例えば、特許文献1では、ポリオレフィン樹脂及び/又はスチレン系樹脂と、結晶化度が50%未満であるセルロースを含有してなる樹脂組成物により、強度と可撓性を両立し、さらに耐衝撃性に優れる事を報告している。また、特許文献2では、マトリックス樹脂に非晶化セルロースとエラストマーを添加する事で、靱性が向上する事を報告している。
特開2011−137094号公報 特開2015−155535号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、更に靱性及び剛性に優れた樹脂組成物が望まれている。また、特許文献2の方法では、十分な剛性が確保できないことが分かった。
本発明は、靱性と剛性を両立する樹脂組成物及び該樹脂組成物の成形体に関する。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に、特定の修飾基がエーテル結合を介して導入された非晶化セルロースと相溶化剤を添加することで、得られる樹脂組成物の成形体が靱性を下げず、かつ剛性を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記〔1〕〜〔2〕に関する。
〔1〕 下記一般式(1)で表される置換基及び下記一般式(2)で表される置換基から選ばれる1種又は2種以上の置換基がエーテル結合を介してセルロースに結合してなり、相対結晶化度が50%未満である改質セルロースと、相溶化剤と、熱可塑性樹脂とを含有してなる、樹脂組成物。
−CH−CH(OH)−R (1)
−CH−CH(OH)−CH−(OA)−O−R (2)
〔式中、一般式(1)及び一般式(2)におけるRはそれぞれ独立して炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、一般式(2)におけるnは0以上50以下の数、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示す〕
〔2〕 前記〔1〕記載の樹脂組成物を含有する成形体。
本発明の樹脂組成物は、靱性及び剛性を両立するという優れた効果を奏するものである。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に対して、特定の相対結晶化度を有し、かつ、特定の修飾基がエーテル結合を介して結合した改質セルロースと相溶化剤を含有することを特徴とする。なお、本明細書において、「エーテル結合を介して結合」とは、セルロース繊維表面の水酸基に修飾基が反応して、エーテル結合した状態を意味する。
一般に、結晶性セルロースよりも非晶性セルロースの方が反応性が高いと言われている。相溶化剤はセルロースと反応もしくは相互作用できる官能基を持っており、結晶性セルロースに対して相溶化剤が作用した場合はセルロース表面のみと相互作用し、マトリックス樹脂とセルロース界面を安定化させ、弾性率が向上する。一方で、非晶性セルロースに対して相溶化剤が作用した場合、相溶化剤がセルロースの内部まで浸透する事で、セルロース間の強固な相互作用を抑制するため、マトリックス樹脂とセルロース界面の安定化による弾性率の向上だけではなく、通常の混練のような弱い機械力でもセルロースの樹脂中での分散状態が向上し、破断歪が向上すると考えられる。加えて、セルロースはその表面水酸基による水素結合で凝集しやすいが、表面水酸基に特定の修飾基を導入することで、当該修飾基の構造に基づく立体斥力が得られるため、得られたセルロース繊維の分散性がより向上して、相溶化剤との相互作用による効果がより増強するものと考えられる。ただし、これらの推測は、本発明を限定するものではない。
[熱可塑性樹脂]
本発明における熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、飽和ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上の混合樹脂として用いても良い。なかでも、靱性を向上させる観点から、オレフィン系樹脂が好ましい。
オレフィン系樹脂としては、具体的には、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)、ポリスチレン(PS樹脂)、ポリ酢酸ビニル(PVAc樹脂)、ポリ塩化ビニル(PVC樹脂)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC樹脂)、ポリアクリル酸(PA樹脂)、ポリアクリル酸エステル(PAE樹脂)、ポリブタジエン(PB樹脂)、ポリイソプレン(PIP樹脂)、ポリクロロプレン(PCP樹脂)等が例示される。これらのなかでも、ポリエチレンを含有することが好ましい。熱可塑性樹脂におけるオレフィン系樹脂の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。上限は特に限定されず、オレフィン系樹脂からなるもの、即ち、100質量%であってもよい。
本発明の樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量は、得られる樹脂組成物の靱性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。また、得られる樹脂組成物の剛性を向上させる観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、更に好ましくは88質量%以下である。
[改質セルロース]
本発明で用いられる改質セルロースは、相対結晶化度が50%未満である非晶化セルロースであって、特定の修飾基がエーテル結合を介して導入されたものである。
なお、本明細書において、セルロースの相対結晶化度とは、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度のことであり、下記計算式(A)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
(相対結晶化度)
本発明における改質セルロースは、相対結晶化度が50%未満であるが、得られる樹脂組成物の靱性の観点から、好ましくは49%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。また、得られる樹脂組成物の剛性を向上させる観点から、好ましくは−70%以上、より好ましくは−60%以上、更に好ましくは−50%以上である。なお、相対結晶化度の値が小さい程、結晶性部分に対する非晶性部分の占める割合が多いことを意味する。
(修飾基)
本発明で用いられる改質セルロースにおける修飾基は、以下の一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基であり、これらの置換基群は単独で又は任意の組み合わせで導入される。なお、導入される修飾基が前記置換基群のいずれか一方の置換基群であっても、各置換基群においては同一又は異種の置換基が単独で又は任意の組み合わせで導入されてもよい。
−CH−CH(OH)−R (1)
−CH−CH(OH)−CH−(OA)−O−R (2)
〔式中、一般式(1)及び一般式(2)におけるRはそれぞれ独立して炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、一般式(2)におけるnは0以上50以下の数、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示す〕
一般式(1)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、好ましくは4以上であり、入手性及び反応性向上の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下である。具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、トリアコンチル基等が例示される。
一般式(2)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、好ましくは4以上であり、入手性及び反応性向上の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。具体的には、前記した一般式(1)におけるRと同じものが挙げられる。
一般式(2)におけるAは、炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基であり、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数は1以上6以下であるが、入手性及びコストの観点から、好ましくは2以上であり、同様の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が例示され、なかでも、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(2)におけるnは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nは0以上50以下の数であるが、入手性及びコストの観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、同様の観点ならびに得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。
一般式(2)におけるAとnの組み合わせとしては、反応性及び立体斥力発現による増粘効果の観点から、好ましくはAが炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基で、nが0以上20以下の数の組み合わせであり、より好ましくはAが炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基で、nが5以上15以下の数の組み合わせである。
一般式(1)で表される置換基の具体例としては、例えば、プロピルヒドロキシエチル基、ブチルヒドロキシエチル基、ペンチルヒドロキシエチル基、ヘキシルヒドロキシエチル基、ヘプチルヒドロキシエチル基、オクチルヒドロキシエチル基、ノニルヒドロキシエチル基、デシルヒドロキシエチル基、ウンデシルヒドロキシエチル基、ドデシルヒドロキシエチル基、ヘキサデシルヒドロキシエチル基、オクタデシルヒドロキシエチル基、イコシルヒドロキシエチル基、トリアコンチルヒドロキシエチル基等が挙げられる。
一般式(2)で表される置換基の具体例としては、例えば、3−ヘキトキシエチレンオキシド−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ヘキトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクトキシエチレンオキシド−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−デトキシエチレンオキシド−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−デトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ドデトキシエチレンオキシド−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ドデトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ヘキサデトキシエチレンオキシド−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−ヘキサデトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクタデトキシエチレンオキシド−2−ヒドロキシ−プロピル基、3−オクタデトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル基等が挙げられる。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は0以上50以下であればよく、例えば、前記したエチレンオキシド等のオキシアルキレン基を有する置換基において付加モル数が10、12、13、20モルの置換基が例示される。
なお、本発明で用いられる改質セルロースにおいては、本発明の効果を損なわない範囲内で、前記一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基以外の、その他の置換基が導入されていてもよい。
本発明で用いられる改質セルロースにおける一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基の導入率は、得られる樹脂組成物の剛性の観点から、セルロースの無水グルコースユニット1モルに対して、好ましくは0.001モル以上、より好ましくは0.005モル以上、更に好ましくは0.01モル以上、更に好ましくは0.05モル以上、更に好ましくは0.1モル以上、更に好ましくは0.2モル以上、更に好ましくは0.3モル以上、更に好ましくは0.4モル以上である。また、得られる樹脂組成物の剛性の観点から、好ましくは1.5モル以下、より好ましくは1.3モル以下、更に好ましくは1.0モル以下、更に好ましくは0.8モル以下、更に好ましくは0.6モル以下、更に好ましくは0.5モル以下である。ここで、一般式(1)で表される置換基と一般式(2)で表される置換基のいずれもが導入されている場合は合計した導入モル率のことである。また、前記したその他の置換基の導入率は、特に限定されないが、得られる樹脂組成物の剛性の観点から、1.5モル以下であればよい。なお、本明細書において、導入率は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができ、また、導入モル比又は修飾率と記載することもある。
(平均繊維径)
本発明で用いられる改質セルロースの平均繊維径は、取扱い性、入手性、及びコストの観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上である。また、上限は特に設定されないが、取扱い性の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下である。なお、本明細書において、セルロース繊維の平均繊維径は体積基準のメジアン径のことであり、具体的には、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)にて、測定条件は、測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体として水を用い、体積基準のメジアン径を温度25℃にて測定することができる。
(改質セルロースの調製方法)
かかる改質セルロースは、上記したように相対結晶化度が50%未満であり、かつ、セルロース繊維表面に前記置換基がエーテル結合を介して結合しているのであれば、置換基の導入や結晶化度の低減は公知の方法に従って行うことができる。具体的な調製方法としては、例えば、以下の2態様が挙げられる。
態様1:置換基導入後にセルロースの相対結晶化度が50%未満となるように結晶化度を低減して調製する方法
態様2:相対結晶化度が50%未満であるセルロース、あるいは相対結晶化度が50%未満となるように結晶化度を低減したセルロースに置換基を導入して調製する方法
以下に、態様1の方法を例に挙げて、改質セルロースの調製方法を説明する。
(1) 置換基の導入
態様1においては、先ず、セルロース系原料に、塩基の存在下で、前記置換基を有する化合物を反応させる。具体的には、例えば、セルロース系原料を塩基と混合して得られた混合物に、置換基を有する化合物を反応させればよい。
本発明で用いられるセルロース系原料は、特に制限はなく、木本系(針葉樹・広葉樹)、草本系(イネ科、アオイ科、マメ科の植物原料、ヤシ科の植物の非木質原料)、パルプ類(綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等)、紙類(新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等)が挙げられる。なかでも、入手性及びコストの観点から、木本系、草本系が好ましい。また、これらの形状としては特に制限はなく、繊維状、粉末状、球状、チップ状、フレーク状、又はこれらの混合物など、いずれの形状でも用いることができるが、効率よく置換基を導入する観点から、後述する平均繊維径を有するように、シュレッダー等の裁断機や媒体式の粉砕機、押出機等を利用した粗粉砕処理や乾燥処理等の前処理を必要により行って予め大きさを整えてから用いることが好ましい。
セルロース系原料の平均繊維径は、取扱い性及びコストの観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上である。また、上限は特に設定されないが、取扱い性の観点から、好ましくは10,000μm以下、より好ましくは5,000μm以下、更に好ましくは1,000μm以下、更に好ましくは500μm以下、より更に好ましくは100μm以下である。セルロース系原料の平均繊維径は、前記した改質セルロースと同様にして測定することができる。詳細は、実施例に記載の通りである。
セルロース系原料の組成は、特に限定されないが、セルロース系原料中のセルロース含有量が、セルロースファイバーを得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、入手性の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下であるものが好ましい。ここで、セルロース系原料中のセルロース含有量とは、セルロース系原料中の水分を除いた残余の成分中のセルロース含有量のことである。また、セルロース系原料中の水分含有量は、特に制限はなく、入手性及びコストの観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、取扱い性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
本発明で用いられる塩基としては、特に制限はないが、エーテル化反応を進行させる観点から、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、1〜3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
1〜3級アミンとは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのことであり、具体例としては、エチレンジアミン、ジエチルアミン、プロリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
イミダゾール及びその誘導体としては、1−メチルイミダゾール、3−アミノプロピルイミダゾール、カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。
ピリジン及びその誘導体としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、ピコリン等が挙げられる。
アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられる。
塩基の量は、セルロース系原料の無水グルコースユニットに対して、エーテル化反応を進行させる観点から、好ましくは0.01等量以上、より好ましくは0.05等量以上、更に好ましくは0.1等量以上、更に好ましくは0.2等量以上であり、製造コストの観点から、好ましくは10等量以下、より好ましくは8等量以下、更に好ましくは5等量以下、更に好ましくは3等量以下である。
なお、前記セルロース系原料と塩基の混合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限はなく、例えば、水、イソプロパノール、t−ブタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサン、1,4−ジオキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。また、溶媒の使用量は、当業者の技術常識に従って、適宜設定することができる。
セルロース系原料と塩基の混合は、均一な混合物が得られるのであれば、温度や時間は特に制限はない。
次に、前記で得られたセルロース系原料と塩基の混合物に、置換基を有する化合物として、前記一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基から選ばれる1種又は2種以上の置換基を有する化合物を反応させる。かかる化合物はセルロース系原料と反応する際に、前記置換基を結合させることができるものであれば特に制限はなく、例えば、一般式(1)で表される置換基を有する化合物、一般式(2)で表される置換基を有する化合物、一般式(1)で表される置換基及び一般式(2)で表される置換基を有する化合物が挙げられる。本発明においては、反応性及び非ハロゲン含有化合物の観点から、反応性を有する環状構造基を有する化合物を用いることが好ましく、エポキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。
一般式(1)で表される置換基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(1A)で示されるノニオン性の酸化アルキレン化合物が好ましい。かかる化合物は公知技術に従って調製したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。該化合物の総炭素数としては、得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、5以上であり、好ましくは6以上であり、同様の観点から、32以下であり、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
Figure 2018048261
〔式中、Rは炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す〕
一般式(1A)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、好ましくは4以上であり、同様の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。具体的には、一般式(1)で表される置換基におけるRの項に記載のものを挙げることができる。
一般式(1A)で示される化合物の具体例としては、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシオクタデカンが挙げられる。
一般式(2)で表される置換基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(2A)で示されるノニオン性のグリシジルエーテル化合物が好ましい。かかる化合物は公知技術に従って調製したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。該化合物の総炭素数としては、得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、6以上であり、好ましくは7以上であり、同様の観点から、好ましくは100以下、より好ましくは75以下、更に好ましくは50以下、更に好ましくは25以下である。
Figure 2018048261
〔式中、Rは炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基、nは0以上50以下の数を示す〕
一般式(2A)におけるRは、炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、3以上30以下であるが、得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、好ましくは4以上であり、得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。具体的には、一般式(2)で表される置換基におけるRの項に記載のものを挙げることができる。
一般式(2A)におけるAは、炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基であり、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数は1以上6以下であるが、入手性及びコストの観点から、好ましくは2以上であり、同様の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。具体的には、一般式(2)で表される置換基におけるAの項に記載のものが例示され、なかでも、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(2A)におけるnは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nは0以上50以下の数であるが、入手性及びコストの観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、同様の観点ならびに得られる樹脂組成物の剛性及び靱性の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。
一般式(2A)で示される化合物の具体例としては、ステアリルグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
前記化合物の量は、得られる改質セルロースにおける前記一般式(1)で表される置換基及び/又は一般式(2)で表される置換基の所望の導入率により決めることができるが、反応性の観点から、セルロース系原料の無水グルコースユニットに対して、好ましくは0.01等量以上、より好ましくは0.1等量以上、更に好ましくは0.3等量以上、更に好ましくは0.5等量以上、より更に好ましくは1.0等量以上であり、製造コストの観点から、好ましくは10等量以下、より好ましくは8等量以下、更に好ましくは6.5等量以下、更に好ましくは5等量以下である。
前記化合物とセルロース系原料とのエーテル反応は、溶媒の存在下で、両者を混合することにより行うことができる。溶媒としては、特に制限はなく、前記塩基を存在させる際に使用することができると例示した溶媒を用いることができる。
溶媒の使用量としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物の種類によって一概には決定されないが、セルロース系原料100質量部に対して、反応性の観点から、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは75質量部以上、更に好ましくは100質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、生産性の観点から、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは5,000質量部以下、更に好ましくは2,500質量部以下、更に好ましくは1,000質量部以下、更に好ましくは500質量部以下である。
混合条件としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物が均一に混合され、十分に反応が進行できるのであれば特に制限はなく、連続的な混合処理は行っても行わなくてもよい。1Lを超えるような比較的大きな反応容器を用いる場合には、反応温度を制御する観点から、適宜攪拌を行ってもよい。
反応温度としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物の種類及び目標とする導入率によって一概には決定されないが、反応性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、熱分解を抑制する観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
反応時間としては、セルロース系原料や前記置換基を有する化合物の種類及び目標とする導入率によって一概には決定されないが、反応性の観点から、好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上、更に好ましくは10時間以上であり、生産性の観点から、好ましくは60時間以下、より好ましくは48時間以下、更に好ましくは36時間以下である。
なお、一般式(1)で表される置換基及び/又は一般式(2)で表される置換基以外のその他の置換基を導入する場合には、前記一般式(1)で表される置換基を有する化合物及び/又は一般式(2)で表される置換基を有する化合物と、その他の置換基を有する化合物を同時に反応させてもよい。
反応後は、未反応の化合物や塩基等を除去するために、適宜後処理を行うことができる。該後処理の方法としては、例えば、未反応の塩基を酸(有機酸、無機酸など)で中和し、その後、未反応の化合物や塩基が溶解する溶媒を用いて洗浄することができる。所望により、更に乾燥(真空乾燥など)を行ってもよい。
(2) 結晶化度の低減
かくして置換基が導入されたセルロース(置換基導入セルロース)は、次に、相対結晶化度が50%未満となるように結晶化度を低減させる処理を行う。結晶化度の低減方法としては、特に限定はなく、粉砕機で処理する方法が挙げられる。例えば、特開2011−1547号に記載の非晶化処理の方法を参照にすることができる。なお、市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常60%以上であり、前記のようにして置換基が導入された場合、導入前後での結晶化度の変動は殆ど認められないものである。
具体的には、例えば、置換基導入セルロースを、衝撃式の粉砕機を用いて0.5分〜24時間攪拌することで、結晶化度を低減させることができる。得られる非晶化セルロースの相対結晶化度は、ローターの周速度やサンプル供給スピード、攪拌時間等を調整することで制御することができる。なお、効率良く非晶化処理を行なう観点から、置換基導入セルロースに予め乾燥処理や粗粉砕処理を行なってもよい。乾燥処理の場合は、非晶化処理に供する原料の水分含量が1.8質量%以下となるように、公知の乾燥処理を行なうことができる。また、粗粉砕処理の場合は、非晶化処理の際に粉砕機中に原料を効率的に分散させることができるよう0.01〜1mmの範囲内となるように、公知の粉砕処理を行なうことができる。
本発明の樹脂組成物における改質セルロースの含有量としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、得られる樹脂組成物の剛性の観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上であり、得られる樹脂組成物の靱性の観点から、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、更に好ましく16質量部以下である。
また、樹脂組成物中の改質セルロース含有量としては、得られる樹脂組成物の剛性を向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、得られる樹脂組成物の靱性の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは14質量%以下である。
[相溶化剤]
本発明で用いることができる相溶化剤としては、公知のものを用いることができるが、改質セルロースの分散性向上、改質セルロースと熱可塑性樹脂との界面安定化を図る観点から、以下の相溶化剤を含有することが好ましい。
相溶化剤(1):エチレン/酢酸ビニル共重合体
相溶化剤(2):エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
相溶化剤(3):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するポリオレフィン系樹脂
相溶化剤(4):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂
相溶化剤(5):ポリエステル系樹脂
相溶化剤(6):アイオノマー樹脂
これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができるが、なかでも、得られる樹脂組成物の剛性と靱性を両立させる観点から、相溶化剤(3)及び相溶化剤(4)から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、相溶化剤(3)から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
相溶化剤(3)におけるポリオレフィン系樹脂としては、樹脂組成物の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくはエチレン系重合体[高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他の1種以上のビニル化合物(例えばα−オレフィン、酢酸ビニル、メタアクリル酸、アクリル酸等)との共重合体等]、プロピレン系重合体[ポリプロピレン、プロピレンと他の1種以上のビニル化合物との共重合体等]、エチレンプロピレン共重合体、ポリブテン及びポリ−4−メチルペンテン−1等であり、より好ましくはエチレン系重合体、プロピレン系重合体である。
また、ポリオレフィン系樹脂における官能基は、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種であるが、樹脂組成物の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくは酸無水物基、エポキシ基であり、より好ましくは酸無水物基である。具体的には、無水マレイン酸、マレイン酸、無水コハク酸、コハク酸、グリシジルメタクリレートが例示される。
かかる化合物の好適例としては、住友化学工業社製「ボンドファースト 7M」(エポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)クリル酸との共重合体)、日本ポリエチレン社製「レクスパール」(エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂)、日本油脂社製「モディパー」(エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂)、三洋化成工業社製「ユーメックス」(無水マレイン酸を有するポリプロピレン)、アルケマ社製「オレヴァック」(無水マレイン酸を有するポリエチレン)、オルケム社製「ロタダー」(酸無水物を有するポリオレフィン系樹脂)、住友化学工業社製「ボンダイン」(酸無水物を有するポリオレフィン系樹脂)、三井・デュポン・ポリケミカル社製「ニュクレル」(カルボキシル基を有するポリオレフィン系樹脂)、ダウケミカル社製「プリマコール」(カルボキシル基を有するポリオレフィン系樹脂)等が挙げられる。
相溶化剤の重量平均分子量(Mw)は、得られる樹脂組成物の剛性の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは10000以上、更に好ましくは20000以上である。また、得られる樹脂組成物の靱性の観点から、好ましくは100000以下、より好ましくは90000以下、更に好ましくは80000以下、更に好ましくは70000以下、更に好ましくは60000以下である。本明細書において重量平均分子量は後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物において、相溶化剤の含有量としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、得られる樹脂組成物の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。また、同様の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。
また、樹脂組成物中の相溶化剤含有量としては、得られる樹脂組成物の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
相溶化剤の改質セルロースに対する含有質量比(相溶化剤/改質セルロース)としては、得られる樹脂組成物の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下である。また、同様の観点から、好ましくは0.06以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上である。
本発明の樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、可塑剤;結晶核剤;充填剤(無機充填剤、有機充填剤);加水分解抑制剤;難燃剤;酸化防止剤;炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;防曇剤;光安定剤;顔料;防カビ剤;抗菌剤;発泡剤;界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;香料;流動調整剤;レべリング剤;導電剤;紫外線分散剤;消臭剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。任意の添加剤の含有割合としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜含有されても良いが、例えば、樹脂組成物中20質量%以下が好ましく、10質量%程度以下がより好ましく、5質量%程度以下がより更に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂に対して、前記した改質セルロースと相溶化剤を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、前記した3成分の他、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、ヘンシェルミキサー等で攪拌、あるいは密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練又は溶媒キャスト法により調製することができる。原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能であり、本発明の樹脂組成物は、相溶化剤によって改質セルロースの分散性が向上することもあって、原料は予め別々に混合するのではなく、一度に混合して溶融混練することができる。なお、樹脂組成物を調製する際に熱可塑性樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。溶融混練後は、公知の方法に従って、溶融混練物を乾燥させてもよい。
溶融混練温度は、樹脂組成物の成形性及び劣化防止を向上する観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、更に好ましくは280℃以下である。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15秒間以上900秒間以下が好ましい。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本発明はまた、本発明の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、前記した熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記した改質セルロースと相溶化剤を混合する工程を含むものであれば特に限定はない。例えば、熱可塑性樹脂、改質セルロース、及び相溶化剤の他、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、更に好ましくは280℃以下の温度で混合する態様が例示される。なお、混合に際しては、生産性の観点から、原料を一度に混合することが好ましい。混合時間は、原料の組成や混合温度に応じて一該には設定されず、例えば、15秒間以上900秒間以下である。なお、改質セルロースの調製方法は、本願発明の樹脂組成物の項を参照することができる。
本発明の樹脂組成物は、剛性及び靱性を両立することから、射出成形、押出成形、熱成形等の様々な成形加工方法を用いることにより、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等に好適に用いることができる。
〔成形体及び成形体の製造方法〕
本発明はまた、本発明の樹脂組成物を含有する成形体を提供する。
成形体は、本発明の樹脂組成物の成形体であれば特に限定はなく、例えば、前記樹脂組成物を押出成形、射出成形、プレス成形、注型成形又は溶媒キャスト法等の公知の成形方法を適宜用いることによって調製することができる。例えば、パッケージ型や成形型などに注入あるいは塗布した後、乾燥し硬化させることで用途に応じた成形体を得ることができる。
シート状の成形体を調製する場合、加工性の観点から、その厚さは0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が更に好ましい。また、1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。
かくして得られた本発明の樹脂組成物の成形体は、靱性及び剛性に優れることから、各種用途、例えば、日用品、化粧品、家電製品などの包装材として、ブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイ等に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは25℃を示す。
〔セルロース繊維の平均繊維径〕
平均繊維径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いて測定する。測定条件は、測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体として水を用い、体積基準のメジアン径を温度25℃にて測定する。
〔セルロース繊維の結晶構造の確認〕
セルロース繊維の結晶構造は、リガク社製の「RigakuRINT 2500VC X−RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定することにより確認する。測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/minとする。測定用サンプルは面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製する。また、セルロースI型結晶構造の結晶化度は得られたX線回折強度を、以下の式(A)に基づいて算出する。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
〔セルロース繊維の置換基導入率(置換度)〕
エーテル基の含有量%(質量%)は、Analytical Chemistry,Vol.51,No.13,2172(1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出する。以下に手順を示す。
(i)200mLメスフラスコにn−オクタデカン0.1gを加え、ヘキサンにて標線までメスアップを行い、内標溶液を調製する。
(ii)精製、乾燥を行った改質セルロース繊維100mg、アジピン酸100mgを10mLバイアル瓶に精秤し、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓する。
(iii)上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、160℃のブロックヒーターにて1時間加熱する。
(iv)加熱後、バイアルに内標溶液3mL、ジエチルエーテル3mLを順次注入し、室温で1分間攪拌する。
(v)バイアル瓶中の2相に分離した混合物の上層(ジエチルエーテル層)をガスクロマトグラフィー(SHIMADZU社製、「GC2010Plus」)にて分析する。分析条件は以下のとおりである。
カラム:アジレント・テクノロジー社製DB−5(12m、0.2mm×0.33μm)
カラム温度:100℃→10℃/min→280℃(10min Hold)
インジェクター温度:300℃、検出器温度:300℃、打ち込み量:1μL
使用したエーテル化試薬の検出量から改質セルロース中のエーテル基の含有量(質量%)を算出する。
得られたエーテル基含有量から、下記数式(1)を用いてモル置換度(MS)(無水グルコースユニット1モルに対する置換基モル量)を算出する。
(数式1)
MS=(W1/Mw)/((100−W1)/162.14)
W1:改質セルロース中のエーテル基の含有量(質量%)
Mw:導入したエーテル化試薬の分子量(g/mol)
〔相溶化剤の重量平均分子量〕
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記の測定条件で測定する。
<測定条件>
カラム:昭和電工社製 Shodex HT−806M×1本+Shodex HT−803×2本
カラム温度:130℃
検出器:RI
溶離液:o−ジクロロベンゼン
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:1mg/mL
注入量:0.1mL
換算標準:ポリスチレン
製造例1:非晶化セルロース1
(1)セルロース表面疎水化処理
絶乾した針葉樹の漂白クラフトパルプ(以後NBKPと略称、フレッチャー チャレンジ カナダ社製、「Machenzie」、CSF650ml、繊維状、平均繊維径24μm、セルロース含有量90質量%(セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中の含有量、以下同じ)、相対結晶化度72%、水分含有量5質量%)1.5gに、ジメチルホルムアミド(DMF)6.0g及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン1.8g(和工純薬社製、DMAP、1.6等量/無水グルコースユニット1等量(AGU:セルロース原料がすべて無水グルコースユニットで構成されていると仮定し算出、以下同様))を添加し、均一に混合した後、1,2−エポキシヘキサン4.6g(5等量/AGU)を添加し、密閉した後に90℃、24h静置反応を行った。反応後、酢酸で中和し、DMF及び水/イソプロパノール混合溶媒で十分に洗浄することで不純物を取り除き、さらに50℃で一晩真空乾燥を行うことで、表面疎水化セルロース繊維を得た(置換基導入率:セルロースの無水グルコースユニット1モルに対して0.46モル)。
(2)セルロース粗粉砕処理
前記(1)により得られた乾燥した表面疎水化セルロース繊維を、連続式振動ミル〔ユーラステクノ社製、バイブロミル YAMT−200、第1及び第2粉砕室の容量:112L〕を用いて粗粉砕した。第1及び第2粉砕室には、直径30mm、長さ1300mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体を80本ずつ収容した。連続式振動ミルを振動数16.7Hz、振幅13.4mmの条件下、表面疎水化セルロース繊維を20kg/hで投入して処理を行い、粗粉砕セルロースを得た。
(3)セルロース非晶化処理
前記(2)により得られた粗粉砕セルロースを速回転式微粉砕機〔ダルトン社製、サンプルミル KIIW−1型〕を用いて小粒径化して非晶化した。目開き1.0mmのスクリーンを装着し、ローター周速度を80m/sで駆動すると共に、原料供給部から粗粉砕セルロースを18kg/hの供給速度で供給し、表面疎水化処理と非晶化処理を行った改質セルロース(平均繊維径:47.6μm、相対結晶化度:1.0%)を得た。
製造例2:非晶化セルロース2
製造例1の表面疎水化処理と粗粉砕処理を同様に行って得られた粗粉砕セルロース(置換基導入率:セルロースの無水グルコースユニット1モルに対して0.46モル)を、遊星ボールミル〔FRITSCH社製、Φ5mmジルコニア製ビーズ〕を用いて小粒径化して非晶化を行い、表面疎水化処理と非晶化処理を行った改質セルロース(平均繊維径:58.2μm、相対結晶化度:10.0%)を得た。
製造例3:非晶化セルロース3
(1)裁断処理
セルロース含有原料として、シート状パルプ〔Tembec社製、BioflocHV+、相対結晶化度82%、水分含有量8.5質量%〕を、裁断機〔荻野精機製作所製、スーパーカッター RK6―800〕を用いて、約3mm×1.5mm×1mmのチップ状に裁断した。
(2)乾燥処理
前記(1)より得られたチップ状のパルプを、2軸横型攪拌乾燥機〔奈良機械製作所製、2軸パドルドライヤー NPD−3W(1/2)〕を用いて、連続処理にて乾燥した。このとき乾燥機の加熱媒体は150℃のスチームを用い、パルプの供給速度は45kg/hとした。連続処理で得られた乾燥パルプの水分含有量は0.5質量%であった。
(3)セルロース粗粉砕処理
前記(2)より得られた乾燥パルプを、連続式振動ミル〔ユーラステクノ社製、バイブロミル YAMT−200、第1及び第2粉砕室の容量:112L〕を用いて粗粉砕した。第1及び第2粉砕室には、直径30mm、長さ1300mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体を80本ずつ収容した。連続式振動ミルを振動数16.7Hz、振幅13.4mmの条件下、乾燥パルプを20kg/hで投入し、パルプを粗粉砕した。得られた粗粉砕セルロースの嵩密度は223kg/mであった。
(4)セルロース非晶化処理
前記(3)より得られた粗粉砕セルロースを、高速回転式微粉砕機〔ダルトン社製、アトマイザー AIIW−7.5型〕を用いて処理した。目開き1.0mmのスクリーンを装着し、ローター周速度を91m/sで駆動すると共に、原料供給部から粗粉砕セルロースを20kg/hの供給速度で供給して、非晶化セルロース(平均繊維径:62.5μm、相対結晶化度:−9.5%)を得た。
製造例4:非晶化セルロース4
(1)粗粉砕処理
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ(Borregard社製「Blue Bear Ultra Ether」、800mm×600mm×1.5mm、セルロース含有量96質量%、相対結晶化度81%、水分含有量7.0質量%、嵩密度200kg/m)を、シートペレタイザ(ホーライ社製、「SG(E)−220」)にかけ、約4mm×4mm×1.5mmの大きさに粗粉砕した。
(2)乾燥処理
粗粉砕処理により得られたパルプを、棚乾燥機〔アドバンテック(ADVANTEC)社製 真空定温乾燥機「DRV320DA」〕を用いて、乾燥後のパルプの水分含量が、0.8重量%になるように乾燥した。
(3)2次粉砕
乾燥処理により得られたパルプ50gを、2次粉砕に用いる粉砕機として振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で、40分間処理を行った。操作の際の温度は、30℃であった。処理終了後、粉砕機内の壁面や底部にパルプの固着物等は見られなかった。得られた2次粉砕処理物を粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、42.5g(投入量の85重量%)の非晶化セルロースを得た。
(4)3次粉砕
(3)で得られた非晶化セルロース50gと、粉砕助剤としてMA−PP(無水マレイン酸変成PP、三洋化成工業社製、「ユーメックス1001」)5gとを混合し、その混合物の全量を、粉砕機として振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、外径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で15分間粉砕処理を行って、小粒径化した非晶化セルロース(平均繊維径:30.3μm、相対結晶化度:−40.8%)を得た。
実施例1〜5、比較例1〜5
表1に示す組成物原料を、混練機(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて、回転数90rpm、表1に示す温度で8分間溶融混練して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、ヒートプレス機(東洋精機製作所製、ラボプレス)を用いて、200℃において0.4MPaにて1分、20MPaにて1分それぞれプレスし、次いで20℃まで冷却する事で、厚さ0.4mmのシートを成形した。
尚、表1における原料は以下の通りである。
<熱可塑性樹脂>
ポリエチレン樹脂:ノバテックLL UF641
<セルロース繊維>
非晶化セルロース1:非晶化セルロースの製造例1で調製したセルロース繊維
非晶化セルロース2:非晶化セルロースの製造例2で調製したセルロース繊維
非晶化セルロース3:非晶化セルロースの製造例3で調製したセルロース繊維
非晶化セルロース4:非晶化セルロースの製造例4で調製したセルロース繊維
結晶性セルロース1:KCフロック、日本製紙ケミカル社製、相対結晶化度78.5%、メジアン系28.0μm
<相溶化剤>
ユーメックス1001:三洋化成工業社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、重量平均分子量40000
<エラストマー>
ハイブラー7311:クラレプラスチックス社製、ポリスチレン−ポリビニルイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体、重量平均分子量140000
得られた成形体の特性を、下記試験例1の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
試験例1(靱性と剛性)
25℃の恒温室において、得られたシートをJIS K7127に基づき2号試験片を5個作製して、引っ張り試験を行い、引張弾性率(GPa)と引張破断歪(%)を調べた。なお、引っ張り試験には、SHIMADZU社製 オートグラフ精密万能試験機(AGS−10kNX)を用い、JIS K7127に従って、1サンプルにつき5点試験を行って平均値を測定値とし、サンプル5個の測定値を平均化したものを算出した。なお、引張破断歪は500%以上であれば優れた靱性を示し、引張弾性率は0.9GPa以上であれば優れた剛性を示すものである。
Figure 2018048261
表1より、実施例の樹脂組成物は、引張弾性率が高いものでありながら、破断歪も高く良好な靱性を示し、剛性と靱性を両立するものであることが分かる。
本発明の樹脂組成物は、剛性及び靱性を両立するものであることから、日用雑貨品、家電部品、家電部品用梱包資材、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される置換基及び下記一般式(2)で表される置換基から選ばれる1種又は2種以上の置換基がエーテル結合を介してセルロースに結合してなり、相対結晶化度が50%未満である改質セルロースと、相溶化剤と、熱可塑性樹脂とを含有してなる、樹脂組成物。
    −CH−CH(OH)−R (1)
    −CH−CH(OH)−CH−(OA)−O−R (2)
    〔式中、一般式(1)及び一般式(2)におけるRはそれぞれ独立して炭素数3以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、一般式(2)におけるnは0以上50以下の数、Aは炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示す〕
  2. 相溶化剤の重量平均分子量が1000以上100000以下である、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 相溶化剤が以下に示す群の中から選ばれる1種又は2種以上を含有する、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
    相溶化剤:酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィン系樹脂
  4. 熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である、請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の樹脂組成物を含有する成形体。
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