JP6857468B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物に関する。更に詳しくは、熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物及びその製造方法、ならびに、該樹脂組成物を含有する成形体及びその製造方法に関する。
一般的に、樹脂に剛性を付与するためには強化フィラーを添加する手法が取られ、実際にガラス繊維や炭素繊維による強化樹脂が実用化されている。しかし、ガラス繊維(GF)は不燃材料であるため、GF強化材料はサーマルリサイクルが困難であるだけでなく、密度が高いため軽量高強度が要求される用途には適さない。一方、炭素繊維は、GFと比較して低密度であり、炭素繊維強化材料は高い剛性を示すが、炭素繊維は難燃材料であり、価格に加えGF同様リサイクルに関する課題も残されている。これに対して、植物繊維をパルプ化し、さらにナノ解繊したセルロースナノファイバー(CNF)は、軽量で、鋼鉄の5 倍以上の強度、ガラスの1/50の低い線熱膨張性を有していることから、補強用繊維として極めて有望であり、近年活発に研究されている。
しかし、CNFは多数の水酸基を有しており、ポリエチレンやポリプロピレンなど多くの汎用熱可塑性樹脂との親和性が低く、界面剥離や凝集が生じ、靱性や耐衝撃性が大きく低下してしまう。そのため、CNF表面を化学修飾してCNFの耐熱性を向上させたり、目的の樹脂との親和性を向上させる試みや、相溶化剤などの添加剤の開発などが盛んに行われている。
例えば、特許文献1では、ポリオレフィン樹脂及び/又はスチレン系樹脂に結晶化度が50%未満のセルロースを配合させることで、得られる成形体が強度及び可撓性を両立し、さらに耐衝撃性に優れるという優れた効果を奏する事を報告している。また、特許文献2では、マトリックス樹脂に非晶化セルロースとエラストマーを添加する事で、靱性が向上する事を報告している。
特開2011−137094号公報 特開2015−155535号公報
しかしながら、特許文献1の方法により得られる樹脂組成物よりも、更に靱性及び剛性に優れた樹脂組成物が望まれている。また、特許文献2の方法では、十分な剛性が確保できないことが分かった。
本発明は、靱性と剛性を両立する樹脂組成物及びその製造方法、ならびに、該樹脂組成物を含有する成形体及びその製造方法に関する。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に、非晶化セルロースと相溶化剤をそれぞれ特定量添加することで、得られる成形体の靱性を下げず、かつ剛性を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記〔1〕〜〔4〕に関する。
〔1〕 熱可塑性樹脂に、該熱可塑性樹脂100質量部に対して、相対結晶化度が50%未満である非晶化セルロースを5質量部以上70質量部以下、及び相溶化剤を4質量部以上20質量部以下含有してなる、樹脂組成物。
〔2〕 熱可塑性樹脂に、該熱可塑性樹脂100質量部に対して、相対結晶化度が50%未満である非晶化セルロースを5質量部以上70質量部以下と相溶化剤を4質量部以上20質量部以下とを配合する、樹脂組成物の製造方法。
〔3〕 前記〔1〕記載の樹脂組成物を含有する成形体。
〔4〕 前記〔1〕記載の樹脂組成物を加工して成形体とする、成形体の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、靱性及び剛性を両立するという優れた効果を奏するものである。
図1は、実施例3の樹脂組成物のシート断面のSEM画像を示す図である。図中の矢印は非晶化セルロースが分散している状態を示す。 図2は、比較例3の樹脂組成物のシート断面のSEM画像を示す図である。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に対して、特定の相対結晶化度を有するセルロースと相溶化剤を、それぞれ特定量含有することを特徴とする。
一般に、結晶性セルロースよりも非晶性セルロースの方が反応性が高いと言われている。相溶化剤はセルロースと反応もしくは相互作用できる官能基を持っており、結晶性セルロースに対して相溶化剤が作用した場合はセルロース表面のみと相互作用し、マトリックス樹脂とセルロース界面を安定化させ、弾性率が向上する。一方で、非晶性セルロースに対して相溶化剤が作用した場合、相溶化剤がセルロースの内部まで浸透する事で、セルロース間の強固な相互作用を抑制するため、マトリックス樹脂とセルロース界面の安定化による弾性率の向上だけではなく、通常の混練のような弱い機械力でもセルロースの樹脂中での分散状態が向上し、破断歪が向上すると考えられる。ただし、これらの推測は、本発明を限定するものではない。
[熱可塑性樹脂]
本発明における熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、靱性を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリアミド樹脂から選ばれる1種又は2種以上を構成樹脂として含有するものが好ましく、ポリオレフィン樹脂及びポリアミド樹脂から選ばれる1種又は2種を構成樹脂として含有するものがより好ましく、少なくともポリオレフィン樹脂を含有するものが更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)、ポリスチレン(PS樹脂)、ポリ酢酸ビニル(PVAc樹脂)、ポリ塩化ビニル(PVC樹脂)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC樹脂)、ポリアクリル酸(PA樹脂)、ポリアクリル酸エステル(PAE樹脂)、ポリブタジエン(PB樹脂)、ポリイソプレン(PIP樹脂)、ポリクロロプレン(PCP樹脂)等が例示される。これらのなかでも、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれる1種又は両者を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。上限は特に限定されず、ポリオレフィン樹脂からなるもの、即ち、100質量%であってもよい。
本発明の樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量は、得られる成形体の靱性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。また、得られる成形体の剛性を向上させる観点から、好ましくは93質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは87質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、更に好ましくは83質量%以下である。
[セルロース]
セルロース繊維は、軽量化、サーマルリサイクル性が期待できる繊維状補強材であるが、その含有量が多くなると、樹脂組成物の粘度が増加することによる成形性の低下や、繊維の凝集やポリマーマトリックスとの界面不安定化による靭性の低下などが起こる。よって、本発明で用いられるセルロースは、相対結晶化度が50%未満である非晶化セルロースである。以降、単に「非晶化セルロース」と記載することもある。
なお、本明細書において、セルロースの相対結晶化度とは、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度のことであり、下記計算式(A)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
本発明における非晶化セルロースは、相対結晶化度が50%未満であるが、得られる成形体の靱性の観点から、好ましくは49%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。また、得られる成形体の剛性を向上させる観点から、好ましくは−70%以上、より好ましくは−60%以上、更に好ましくは−50%以上である。なお、相対結晶化度の値が小さい程、結晶性部分に対する非晶性部分の占める割合が多いことを意味する。
かかる非晶化セルロースは、木材類、パルプ類、紙類、植物茎・葉類、植物殻類等から選ばれる1種又は2種以上のセルロース含有原料を粉砕機で処理して、セルロースの結晶化度を低減することで得ることができる。例えば、特開2011−1547号に記載の方法を参照にすることができる。なお、市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常60%以上である。
具体的には、セルロース含有原料を、必要により、シュレッダー等の裁断機を利用して予め大きさを好ましくは0.1〜70mm角に整えてから、媒体式の粉砕機や押出機による処理を行ったり、乾燥処理を行ったり、あるいは、いずれの処理も行うことで、嵩密度を50〜600kg/mあるいは比表面積を0.2〜750m/kgの範囲に調整して得られた粗粉砕セルロースを、衝撃式の粉砕機を用いて0.5分〜24時間攪拌することで、結晶化度を低減させた非晶化セルロースを得ることができる。得られる非晶化セルロースの相対結晶化度は、ローターの周速度やサンプル供給スピード、攪拌時間等を調整することで制御することができる。なお、粉砕処理を効率よく行う観点から、原料の水分含量が1.8質量%以下となることが好ましい。
かくして得られた非晶化セルロースは、平均繊維径は下限は特に設定されないが、樹脂中での分散性の観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上である。また、上限は靱性の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。なお、本発明の樹脂組成物に分散後の非晶化セルロースは、後述する原料混合時の分散によって微細化されて、前記した平均繊維径よりも微小な、例えば100〜500nm程度の平均繊維径を有するものである。本明細書において、セルロース繊維の平均繊維径は体積基準のメジアン径のことであり、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物における非晶化セルロースの含有量としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下であるが、得られる成形体の剛性の観点から、好ましくは7質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは13質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、得られる成形体の靱性の観点から、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。
また、樹脂組成物中の非晶化セルロース含有量としては、得られる成形体の剛性を向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上である。また、得られる成形体の靱性の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
[相溶化剤]
本発明で用いることができる相溶化剤としては、公知のものを用いることができるが、非晶化セルロースの分散性向上、非晶化セルロースと熱可塑性樹脂との界面安定化を図る観点から、以下の相溶化剤から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。
相溶化剤(1):エチレン/酢酸ビニル共重合体
相溶化剤(2):エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
相溶化剤(3):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するポリオレフィン系樹脂
相溶化剤(4):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂
相溶化剤(5):ポリエステル系樹脂
相溶化剤(6):アイオノマー樹脂
これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができるが、なかでも、得られる成形体の剛性と靱性を両立させる観点から、相溶化剤(3)及び相溶化剤(4)から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、相溶化剤(3)から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
相溶化剤(3)におけるポリオレフィン系樹脂としては、好ましくはエチレン系重合体[高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他の1種以上のビニル化合物(例えばα−オレフィン、酢酸ビニル、メタアクリル酸、アクリル酸等)との共重合体等]、プロピレン系重合体[ポリプロピレン、プロピレンと他の1種以上のビニル化合物との共重合体等]、エチレンプロピレン共重合体、ポリブテン及びポリ−4−メチルペンテン−1等であり、より好ましくはエチレン系重合体、プロピレン系重合体である。
また、ポリオレフィン系樹脂における官能基は、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種であるが、好ましくは酸無水物基、エポキシ基であり、より好ましくは酸無水物基である。具体的には、無水マレイン酸、マレイン酸、無水コハク酸、コハク酸、グリシジルメタクリレートが例示される。
かかる化合物の好適例としては、住友化学工業社製「ボンドファースト 7M」(エポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)クリル酸との共重合体)、日本ポリエチレン社製「レクスパール」(エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂)、日本油脂社製「モディパー」(エポキシ基を有するポリオレフィン系樹脂)、三洋化成工業社製「ユーメックス」(無水マレイン酸を有するポリプロピレン)、アルケマ社製「オレヴァック」(無水マレイン酸を有するポリエチレン)、オルケム社製「ロタダー」(酸無水物を有するポリオレフィン系樹脂)、住友化学工業社製「ボンダイン」(酸無水物を有するポリオレフィン系樹脂)、三井・デュポン・ポリケミカル社製「ニュクレル」(カルボキシル基を有するポリオレフィン系樹脂)、ダウケミカル社製「プリマコール」(カルボキシル基を有するポリオレフィン系樹脂)等が挙げられる。
相溶化剤の重量平均分子量(Mw)は、得られる成形体の剛性の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは10000以上、更に好ましくは20000以上である。また、得られる成形体の靱性の観点から、好ましくは100000以下、より好ましくは90000以下、更に好ましくは80000以下、更に好ましくは70000以下、更に好ましくは60000以下である。本明細書において重量平均分子量は後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物において、相溶化剤の含有量としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、4質量部以上20質量部以下であるが、得られる成形体の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくは5質量部以上である。また、同様の観点から、好ましくは17質量部以下、より好ましくは14質量部以下、更に好ましくは11質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。
また、樹脂組成物中の相溶化剤含有量としては、得られる成形体の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上である。また、同様の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
相溶化剤の非晶化セルロースに対する含有質量比(相溶化剤/非晶化セルロース)としては、得られる成形体の剛性と靱性を両立させる観点から、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.3以下である。また、同様の観点から、好ましくは0.06以上、より好ましくは0.08以上、更に好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上である。
[結晶核剤]
また、本発明の樹脂組成物は、得られる成形体の剛性の観点から、前記成分以外に、更に、結晶核剤を用いることができる。
結晶核剤としては、無機系結晶核剤、有機系結晶核剤が挙げられる。無機系結晶核剤としては、天然又は合成珪酸塩化合物、酸化チタン、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ソーダ、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト、バーミュライト、マイカ等が挙げられる。有機系結晶核剤としては、アミド、有機酸金属塩、ソルビトール誘導体、ノニトール誘導体、などが挙げられ、剛性向上の観点から、有機酸金属塩及びソルビトール誘導体が好ましい。有機酸金属塩としては、安息香酸ナトリウム、アルミニウムジベンゾエート、カリウムベンゾエート、リチウムベンゾエート、ソジウムβ・ナフタレートソジウムシクロヘキシサンカルボキシレート、フェニルホスホン酸亜鉛などが例示され、ソルビトール誘導体としては、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトールなどが例示され、剛性と靱性の両立の観点からソルビトール誘導体が好ましい。
結晶核剤の含有量は、剛性及び結晶化度を向上させる観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下である。
本発明の樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、可塑剤;充填剤(無機充填剤、有機充填剤);加水分解抑制剤;難燃剤;酸化防止剤;炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;防曇剤;光安定剤;顔料;防カビ剤;抗菌剤;発泡剤;界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;香料;流動調整剤;レべリング剤;導電剤;紫外線分散剤;消臭剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。任意の添加剤の含有割合としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜含有されても良いが、例えば、樹脂組成物中20質量%以下が好ましく、10質量%程度以下がより好ましく、5質量%程度以下がより更に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂に対して、特定量の非晶化セルロース及び特定量の相溶化剤を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、前記した3成分の他、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、ヘンシェルミキサー等で攪拌、あるいは密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練又は溶媒キャスト法により調製することができる。原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能であり、本発明の樹脂組成物は、相溶化剤によって非晶化セルロースの分散性が向上することもあって、原料は予め別々に混合するのではなく、一度に混合して溶融混練することができる。なお、樹脂組成物を調製する際に熱可塑性樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。溶融混練後は、公知の方法に従って、溶融混練物を乾燥させてもよい。
溶融混練温度は、樹脂組成物の成形性及び劣化防止を向上する観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、更に好ましくは200℃以上、更に好ましくは220℃以上、更に好ましくは225℃以上、更に好ましくは230℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、更に好ましくは280℃以下である。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15秒間以上900秒間以下が好ましい。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本発明はまた、本発明の樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、前記した熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下の非晶化セルロース、及び4質量部以上20質量部以下の相溶化剤を混合する工程を含むものであれば特に限定はない。例えば、熱可塑性樹脂、非晶化セルロース、及び相溶化剤の他、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、更に好ましくは280℃以下の温度で混合する態様が例示される。なお、混合に際しては、生産性の観点から、原料を一度に混合することが好ましい。混合時間は、原料の組成や混合温度に応じて一該には設定されず、例えば、15秒間以上900秒間以下である。なお、非晶化セルロースの調製方法は、本願発明の樹脂組成物の項を参照することができる。
かくして得られた本発明の樹脂組成物は、靱性及び剛性に優れ、例えば、JIS K7127に基づいて2号試験片を作製して、その引張弾性率(GPa)と引張破断歪(%)を測定した際に、成形体の外観を向上させる観点から、下記(I)より算出した破断歪向上率が、好ましくは120%以上、更に好ましくは150%以上、更に好ましくは200%以上である。また、剛性を向上する観点から、下記(II)より算出した弾性率向上率が、好ましくは120%以上、更に好ましくは150%以上、更に好ましくは200%以上である。
破断歪向上率(%)=(ES/EB)×100 (I)
ES:サンプル試験片5個の引張破断歪の平均値
EB:コントロール試験片5個の引張破断歪の平均値
コントロール試験片とは、サンプル樹脂組成物から相溶化剤のみを除いた組成の樹脂組成物の試験片のことである。
弾性率向上率(%)=(MS/MB)×100 (II)
MS:サンプル試験片5個の引張弾性率の平均値
MB:ブランク試験片5個の引張弾性率の平均値
ブランク試験片とは、後述の比較例1又は比較例13の熱可塑性樹脂組成が同一の樹脂組成物の試験片のことである。
本発明の樹脂組成物は、剛性及び靱性を両立することから、射出成形、押出成形、熱成形等の様々な成形加工方法を用いることにより、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等に好適に用いることができる。
〔成形体及び成形体の製造方法〕
本発明はまた、本発明の樹脂組成物を含有する成形体を提供する。
成形体は、本発明の樹脂組成物の成形体であれば特に限定はなく、例えば、前記樹脂組成物を押出成形、射出成形、プレス成形、注型成形又は溶媒キャスト法等の公知の成形方法を適宜用いることによって調製することができる。例えば、パッケージ型や成形型などに注入あるいは塗布した後、乾燥し硬化させることで用途に応じた成形体を得ることができる。
シート状の成形体を調製する場合、加工性の観点から、その厚さは0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が更に好ましい。また、1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。
かくして得られた本発明の樹脂組成物の成形体は、靱性及び剛性に優れることから、各種用途、例えば、日用品、化粧品、家電製品などの包装材として、ブリスターパックやトレイ、お弁当の蓋等の食品容器、工業部品の輸送や保護に用いる工業用トレイ等に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。
〔セルロース繊維の平均繊維径〕
平均繊維径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いて測定する。測定条件は、測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体として水を用い、体積基準のメジアン径を温度25℃にて測定する。
〔セルロース繊維の結晶構造の確認〕
セルロース繊維の結晶構造は、リガク社製の「RigakuRINT 2500VC X−RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定することにより確認する。測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/minとする。測定用サンプルは面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製する。また、セルロースI型結晶構造の結晶化度は得られたX線回折強度を、以下の式(A)に基づいて算出する。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
〔相溶化剤の重量平均分子量〕
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記の測定条件で測定する。
<測定条件>
カラム:昭和電工社製 Shodex HT−806M×1本+Shodex HT−803×2本
カラム温度:130℃
検出器:RI
溶離液:o−ジクロロベンゼン
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:1mg/mL
注入量:0.1mL
換算標準:ポリスチレン
製造例1:非晶化セルロース1
(1)裁断処理
セルロース含有原料として、シート状パルプ〔Tembec社製、BioflocHV+、相対結晶化度:82%、水分含有量:8.5質量%〕を、裁断機〔荻野精機製作所製、スーパーカッター RK6―800〕を用いて、約3mm×1.5mm×1mmのチップ状に裁断した。
(2)乾燥処理
前記(1)より得られたチップ状のパルプを、2軸横型攪拌乾燥機〔奈良機械製作所製、2軸パドルドライヤー NPD−3W(1/2)〕を用いて、連続処理にて乾燥した。このとき乾燥機の加熱媒体は150℃のスチームを用い、パルプの供給速度は45kg/hとした。連続処理で得られた乾燥パルプの水分含有量は0.5質量%であった。
(3)セルロース粗粉砕処理
前記(2)より得られた乾燥パルプを、連続式振動ミル〔ユーラステクノ社製、バイブロミル YAMT−200、第1及び第2粉砕室の容量:112L〕を用いて粗粉砕した。第1及び第2粉砕室には、直径30mm、長さ1300mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体を80本ずつ収容した。連続式振動ミルを振動数16.7Hz、振幅13.4mmの条件下、乾燥パルプを20kg/hで投入し、パルプを粗粉砕した。得られた粗粉砕セルロースの嵩密度は223kg/mであった。
(4)セルロース非晶化処理
前記(3)より得られた粗粉砕セルロースを、高速回転式微粉砕機〔ダルトン社製、アトマイザー AIIW−7.5型〕を用いて処理した。目開き1.0mmのスクリーンを装着し、ローター周速度を91m/sで駆動すると共に、原料供給部から粗粉砕セルロースを20kg/hの供給速度で供給した。得られたセルロースは、相対結晶化度−9.4%、メジアン径62.5μmであった。
製造例2:非晶化セルロース2
(1)裁断処理
セルロース含有原料として、シート状パルプ〔Tembec社製、BioflocHV+、相対結晶化度:82%、水分含有量:8.5質量%〕を、裁断機〔ホーライ社製、シートペレタイザ SG(E)−220〕を用いて、約3mm×1.5mm×1mmのチップ状に裁断した。
(2)乾燥処理
前記(1)より得られたチップ状のパルプを、2軸横型攪拌乾燥機〔奈良機械製作所製、2軸パドルドライヤー NPD−1.6W(1/2)〕を用いて、連続処理にて乾燥した。このとき乾燥機の加熱媒体は150℃のスチームを用い、パルプの供給速度は20kg/hとした。連続処理で得られた乾燥パルプの水分含有量は0.5質量%であった。
(3)セルロース粗粉砕処理
前記(2)より得られた乾燥パルプを、バッチ式振動ミル〔中央化工機社製 FV−10、粉砕室の容量:33L〕を用いて粗粉砕した。粉砕室には、直径30mm、長さ510mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体を63本収容した。振動数20Hz、振幅8mmの条件下、乾燥パルプを920g仕込み、パルプを粗粉砕した。得られた粗粉砕セルロースの嵩密度は235kg/mであった。
(4)セルロース非晶化処理
前記(3)より得られた粗粉砕セルロースを、高速回転式微粉砕機〔ダルトン社製、サンプルミル KIIW−1型〕を用いて処理した。目開き1.0mmのスクリーンを装着し、ローター周速度を80m/sで駆動すると共に、原料供給部から粗粉砕セルロースを18kg/hの供給速度で供給した。得られたセルロースは、相対結晶化度−43.2%、メジアン径27.8μmであった。
製造例3:非晶化セルロース3
(1)裁断処理
セルロース含有原料として、シート状パルプ〔APRIL(Asia Pacific Resources International)社製、RIAU ACACIA PULP、相対結晶化度:80%、水分含有量:9.8質量%〕を、裁断機〔ホーライ社製、シートペレタイザ SG(E)−220〕を用いて、約3mm×1.5mm×1mmのチップ状に裁断した。
(2)乾燥処理
前記(1)より得られたチップ状のパルプを、2軸横型攪拌乾燥機〔奈良機械製作所製、2軸パドルドライヤー NPD−1.6W(1/2)〕を用いて、連続処理にて乾燥した。このとき乾燥機の加熱媒体は150℃のスチームを用い、パルプの供給速度は20kg/hとした。連続処理で得られた乾燥パルプの水分含有量は0.5質量%であった。
(3)セルロース粗粉砕処理
前記(2)より得られた乾燥パルプを、バッチ式振動ミル〔中央化工機社製 FV−10、粉砕室の容量:33L〕を用いて粗粉砕した。粉砕室には、直径30mm、長さ510mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体を63本収容した。振動数20Hz、振幅8mmの条件下、乾燥パルプを920g仕込み、パルプを粗粉砕した。得られた粗粉砕セルロースの嵩密度は230kg/mであった。
(4)セルロース非晶化処理
前記(3)より得られた粗粉砕セルロースを、高速回転式微粉砕機〔アーステクニカ社製、クリプトロンエディ KTE0型〕を用いて処理した。ローター周速度を145m/sで駆動すると共に、原料供給部から粗粉砕セルロースを7kg/hの供給速度で供給した。得られたセルロースは、相対結晶化度4.1%、メジアン径10.1μmであった。
製造例4:非晶化セルロース4
(1)裁断処理
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ(Borregard社製「Blue Bear Ultra Ether」、800mm×600mm×1.5mm、セルロース含有量96重量%(セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中の含有量、セルロースI型結晶化度81%、水分含量7.0重量%、嵩密度200kg/m)を、シートペレタイザ(ホーライ社製、「SG(E)−220」)にかけ、約4mm×4mm×1.5mmの大きさに粗粉砕した。
(2)乾燥処理
前記(1)により得られたパルプを、棚乾燥機〔アドバンテック(ADVANTEC)社製 真空定温乾燥機「DRV320DA」〕を用いて、乾燥後のパルプの水分含量が、0.8質量%になるように乾燥した。
(3)粗粉砕・非晶化処理
前記(2)により得られたパルプ50gを、粉砕機として振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で、40分間処理を行った。操作の際の温度は、30℃であった。
処理終了後、粉砕機内の壁面や底部にパルプの固着物等は見られなかった。得られた粉砕処理物を粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、メジアン径30μm、相対結晶化度−34.3%の非晶化セルロースを得た。
(4)混合粉砕処理
前記(3)によって得られた非晶化セルロース50gと、粉砕助剤としてMA−PP(マレイン酸変性ポリプロピレン、三洋化成工業社製、ユーメックス1010)5gとを混合し、その混合物の全量を、粉砕機として振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、外径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で15分間粉砕処理を行って、メジアン径12.0μm、相対結晶化度−40.8%の非晶化セルロース4を得た。)
実施例1〜8及び比較例1〜14
表1及び2に示す組成物原料を、混練機(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて、回転数90rpm、表1及び2に示す温度で8分間溶融混練して、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、ヒートプレス機(東洋精機製作所製、ラボプレス)を用いて、240℃において0.4MPaにて1分、20MPaにて1分それぞれプレスし、次いで20℃まで冷却する事で、厚さ0.4mmのシートを成形した。
尚、表1及び2における原料は以下の通りである。
<熱可塑性樹脂>
ポリエチレン樹脂:ノバテックLL UF641
ポリプロピレン樹脂:ノバテックPP EA9
<セルロース繊維>
KCフロック:日本製紙ケミカル社製、相対結晶化度78.5%、メジアン系28.0μm
<相溶化剤>
ユーメックス1001:三洋化成工業社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、重量平均分子量40000
ユーメックス1010:三洋化成工業社製、マレイン酸変性ポリプロピレン、重量平均分子量30000
<エラストマー>
ハイブラー7311:クラレプラスチックス社製、ポリスチレン−ポリビニルイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体、重量平均分子量140000
<結晶核剤>
ゲルオールMD:新日本理化社製、メチルジベンジリデンソルビトール
得られた成形体の特性を、下記試験例1の方法に従って評価した。結果を表1及び2に示す。
試験例1(破断歪向上率、弾性率向上率)
25℃の恒温室において、得られたシートをJIS K7127に基づき2号試験片を5個作製して、引っ張り試験を行い、引張弾性率(GPa)と引張破断歪(%)を調べ、破断歪向上率と弾性率向上率を以下の式(I)及び(II)から求めた。引っ張り試験には、SHIMADZU社製 オートグラフ精密万能試験機(AGS−10kNX)を用い、JIS K7127に従って、1サンプルにつき5点試験を行った。破断歪向上率は数値が大きいほど靱性に優れる事を示し、弾性率向上率は数値が大きいほど剛性に優れていることを示す。また、引張弾性率は0.9GPa以上であれば、優れた強度を示すものである。なお、破断歪向上率を算出する際のコントロール試験片としては、実施例1、2に対しては比較例2、実施例3に対しては比較例3、実施例4、5に対しては比較例12、実施例6に対しては比較例11、実施例7、8に対しては比較例14の樹脂組成物の試験片をそれぞれ用いた。
破断歪向上率(%)=(ES/EB)×100 (I)
ES:サンプル試験片5個の引張破断歪の平均値
EB:コントロール試験片5個の引張破断歪の平均値
コントロール試験片とは、サンプル樹脂組成物から相溶化剤のみを除いた組成の樹脂組成物の試験片のことである。
弾性率向上率(%)=(MS/MB)×100 (II)
MS:サンプル試験片5個の引張弾性率の平均値
MB:ブランク試験片5個の引張弾性率の平均値
ブランク試験片とは、後述の比較例1又は比較例13の樹脂組成物の試験片のことである。
Figure 0006857468
Figure 0006857468
表1及び2より、実施例の樹脂組成物は、引張弾性率が高く、またその向上率も高いものでありながら、破断歪の向上率も高く、良好な靱性を示し、剛性と靱性を両立するものであることが分かる。また、図1に実施例3のシート断面を、図2に比較例3のシート断面を示すが、この対比から、相溶化剤を添加することにより、非晶化セルロースがより微細になって分散性も向上し、かつ、熱可塑性樹脂とセルロース繊維の界面が安定化していることが分かる。
本発明の樹脂組成物は、剛性及び靱性を両立するものであることから、日用雑貨品、家電部品、家電部品用梱包資材、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン樹脂を含有する熱可塑性樹脂に、該熱可塑性樹脂100質量部に対して、相対結晶化度が50%未満である非晶化セルロースを5質量部以上70質量部以下、及び相溶化剤を4質量部以上8質量部以下含有してなる樹脂組成物であって、該相溶化剤が無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含む、樹脂組成物。
  2. 相溶化剤の重量平均分子量が1000以上100000以下である、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 相溶化剤の非晶化セルロースに対する含有質量比(相溶化剤/非晶化セルロース)が0.8以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. ポリオレフィンがポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれる1種又は2種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. ポリオレフィン樹脂を含有する熱可塑性樹脂に、該熱可塑性樹脂100質量部に対して、相対結晶化度が50%未満である非晶化セルロースを5質量部以上70質量部以下と相溶化剤を4質量部以上20質量部以下とを配合する樹脂組成物の製造方法であって、該相溶化剤が無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含む、製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する成形体。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を加工して成形体とする、成形体の製造方法。
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