JP2020097679A - セルロース複合粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた剛性を有する複合樹脂組成物の製造方法及び該組成物に用いられるセルロース複合粉末の効率的な製造方法を提供することに関する。【解決手段】体積中位粒径が10μm以上500μm以下のセルロース粉末100質量部と、熱可塑性ポリマー粒子0.1質量部以上100質量部以下とを含む原料組成物を、気流中衝撃法にて複合化する工程を含む、セルロース複合粉末の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、セルロース複合粉末の製造方法及び該製造方法で得られたセルロース複合粉末を使用した複合樹脂組成物の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂は、加熱により溶融し冷却することで再度固化するため、成形・加工性に優れる。一方、これら樹脂はそれ自体の機械的強度が低いため、産業用部材としての適用範囲が限定されている。そのため多くの場合、樹脂中に様々な強化材(フィラー)を添加することで剛性の向上が図られている。汎用的なフィラーには、ガラス繊維や炭素繊維などが挙げられ、これらフィラーを用いた強化樹脂は産業界で広く実装されている。しかし、汎用フィラーの多くは難燃性であることや、リサイクル性に優れないことが課題とされている。これに対して、植物繊維から得られるセルロースナノファイバー(CNF)は、軽量かつ鋼鉄の5倍以上の強度、ガラスの1/50ほどの低線熱膨張性を有しており、環境調和型フィラーとして近年活発に研究されている。
その一方、セルロースは多数の水酸基を有しており、ポリエチレンやポリプロピレンなど多くの汎用熱可塑性樹脂との親和性が低く、界面剥離や凝集が生じ、靱性や耐衝撃性が大きく低下することが問題とされている。そのため、樹脂との親和性向上を目的として、セルロース表面を化学修飾したり、セルロース親和性部位を有する熱可塑性ポリマー(通称、相溶化剤)を併用したりする試みが行われている。
例えば、特許文献1には、靱性と剛性を両立する樹脂組成物を得ることを課題として、熱可塑性樹脂に、該熱可塑性樹脂100質量部に対して、相対結晶化度が50%未満である非晶化セルロースを5質量部以上70質量部以下、及び相溶化剤を4質量部以上20質量部以下含有してなる、樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、樹脂に配合した時に剛性と靱性を両立する樹脂組成物を提供しうる低結晶性セルロースを提供することを課題として、セルロースI型結晶化指数が10%以上100%未満であるセルロース含有原料100質量部に対して、特定の添加剤を0.1質量部以上100質量部以下添加し、乾式で粉砕処理する工程を含む、セルロースI型結晶化指数が−20%以上50%未満であるセルロース含有粉末の製造方法が開示されている。
特開2017−137470号公報 特開2018−104701号公報
しかし、近年の産業界では、より優れた剛性を有する熱可塑性樹脂が要求されている。
特許文献1では、相対結晶化度が50%未満の非晶化セルロースと相溶化剤を熱可塑性樹脂に対して特定量添加すると、相溶化剤が、セルロース間の強固な相互作用を抑制するため、セルロースのマトリックス樹脂中での分散状態が向上し、樹脂の靱性が低下せずに剛性が向上することを報告しており、また、特許文献2では、ボールミルや振動ミルなどの媒体式粉砕機を用いた粉砕の機械的エネルギーによって、セルロースと親和性がよい添加剤が、セルロースの結晶内部まで浸透しやすくなって、セルロースの結晶内部から構造を壊していくため、剛性と靱性とを付与できることが記載されているが、更なる剛性が求められている。
本発明は、優れた剛性を有する複合樹脂組成物の製造方法及び該組成物に用いられるセルロース複合粉末の効率的な製造方法を提供することに関する。
本発明者らは、特定の体積中位粒径を有するセルロース粉末と、熱可塑性ポリマー粒子とを特定の方法により複合化してセルロース複合粉末を製造することにより、上記の課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕 体積中位粒径が10μm以上500μm以下のセルロース粉末100質量部と、熱可塑性ポリマー粒子0.1質量部以上100質量部以下とを含む原料組成物を、気流中衝撃法にて複合化する工程を含む、セルロース複合粉末の製造方法。
〔2〕 熱可塑性樹脂と、〔1〕に記載の製造方法により得られたセルロース複合粉末とを混合する工程を有する、複合樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、優れた剛性を有する複合樹脂組成物の製造方法及び該組成物に用いられるセルロース複合粉末の効率的な製造方法が提供される。
本発明で好適に使用される複合化装置の一例を示す縦断面図である。 本発明で好適に使用される複合化装置の一例を示す側断面図である。 原料粉末、実施例及び比較例で得られた複合粒子の水への分散性を示す図である。
[セルロース複合粉末の製造方法]
本発明のセルロース複合粉末(以下、単に「複合粉末」ともいう。)の製造方法は、体積中位粒径が10μm以上500μm以下のセルロース粉末100質量部と、熱可塑性ポリマー粒子0.1質量部以上100質量部以下とを含む原料組成物を、気流中衝撃法にて複合化する工程を含むことを特徴とする。
上記の方法により得られた複合粉末を、熱可塑性樹脂と混合することにより、優れた剛性を有する樹脂組成物が得られる。
上記の効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推定される。すなわち、気流中衝撃法にて、特定の粒径を有するセルロース粉末と熱可塑性ポリマー粒子とを複合化することにより、短時間の処理であっても、セルロースが微細化した状態で、その表面が熱可塑性ポリマー粒子で被覆されたような状態となり、その結果、熱可塑性樹脂中での分散性に優れ、熱可塑性樹脂に複合粉末を添加した樹脂組成物では、剛性に優れる成形体が得られたものと考えられる。
<セルロース粉末>
本発明では、セルロース粉末を使用する。
本発明で用いられるセルロース粉末は、複合粉末を添加した複合樹脂組成物の弾性率(剛性)に加え、破断の伸び(靱性)を向上させる観点から、結晶化指数が50%未満である非晶性セルロース粉末であることが好ましい。セルロース粉末の結晶化指数は、より好ましくは30%以下である。
セルロースの結晶化指数(%)は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出できるものであり、具体的には、回折角2θ=22.6°に発現する002面に対応するピーク強度(I22.6)、アモルファス部分を反映した回折角2θ=18.5°に対応するピーク強度(I18.5)をそれぞれ用いて、以下の式(A)で求められる。
セルロースの結晶化指数(%)
=(I22.6−I18.5)/I22.6×100 (A)
セルロース粉末は、安価に入手可能であるという観点から、該結晶化指数が、例えば50%以上のものを用いてもよい。具体的には、木本系(針葉樹・広葉樹)、草本系(イネ科、アオイ科、マメ科の植物原料、ヤシ科の植物の非木質原料)、パルプ類(綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等)、紙類(新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等)由来のものが例示される。
本発明においては、セルロース粉末は市販品に限らず、繊維状、チップ状、フレーク状のセルロース含有原料を粉砕処理することで調製してもよい。この場合の粉砕機としては、従来よく利用される衝撃式粉砕機や媒体式粉砕機等を用いることができ、好ましくは媒体式粉砕機、より好ましくは容器駆動式粉砕機であり、例えば、転動ミル、振動ミル、遊星ミル等が挙げられる。
特に、非晶性セルロース粉末を得る方法としては、乾式粉砕機で得る方法が好ましく、例えば、セルロース含有原料を必要に応じて裁断処理及び乾燥処理した後、乾式粉砕機による粉砕処理する方法が例示される。特に、後述するように粉砕処理を多段階に分けて行う方法、すなわち、セルロース含有原料を粗粉砕処理し、次いで、小粒径化処理を行う方法を採用することが好ましい。
当該粉砕処理では、セルロース含有原料を粉末化するとともに結晶化指数を低減することができる。以下、セルロース含有原料、裁断処理、乾燥処理、及び粉砕処理について説明する。
(セルロース含有原料)
本発明において用いられるセルロース含有原料としては、化学的に純粋なセルロースの他、各種木材チップ、各種樹木の剪定枝材、間伐材、枝木材、建築廃材、工場廃材等の木材類;木材から製造される木材パルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類;新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等の紙類;稲わら、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等、種々のセルロース含有原料を用いることができる。これらの中でも、パルプ類が好ましい。
(裁断処理)
セルロース含有原料の種類や形状によっては、前処理として裁断処理を行うことが好ましい。セルロース含有原料を裁断する方法は、パルプの種類や形状により適宜選択することができるが、例えば、シュレッダー、スリッターカッター及びロータリーカッターから選ばれる1種以上の裁断機を使用する方法が挙げられる。
シート状のセルロース含有原料を用いる場合、裁断機としてシュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性を向上させる観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。
スリッターカッターは、シートの長手方向に沿った縦方向にロールカッターで縦切りして、細長い短冊状とし、次に、固定刃と回転刃でシートの幅方向に短く横切りする裁断機であって、スリッターカッターを用いることにより、セルロース含有原料の形状をさいの目形状にすることができる。スリッターカッターとしては、株式会社荻野精機製作所製の裁断機(スーパーカッター)、株式会社ホーライ製のシートペレタイザ等を好ましく使用できる。
裁断処理後に得られるセルロース含有原料の大きさとしては、生産性を向上させる観点から、好ましくは1mm角以上、より好ましくは1.5mm角以上であり、後の粉砕処理における粉砕に要する負荷を軽減する観点、及び後述する乾燥処理を効率よく容易に行う観点から、好ましくは70mm角以下、より好ましくは50mm角以下である。
(乾燥処理)
一般に、市販のパルプ類、バイオマス資源として利用される紙類、木材類、植物茎・葉類、植物殻類等のセルロース含有原料は、通常5〜30質量%程度の水分を含有している。従って、通常、セルロース含有原料、好ましくは裁断処理後に得られるセルロース含有原料の乾燥処理を行うことによって、セルロース含有原料の水分量を調整することが好ましい。
乾燥方法としては、公知の乾燥手段を適宜選択すればよく、例えば、「粉体工学概論」(社団法人日本粉体工業技術会編集 粉体工学情報センター1995年発行)176頁に記載の方法が挙げられる。該乾燥手段としては、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。
これらの乾燥方法は1種でも又は2種以上を組み合わせて使用してもよく、効率よく乾燥を行う観点から、伝導受熱乾燥法が好ましい。乾燥処理はバッチ処理、連続処理のいずれでも可能であるが、生産性を向上させる観点から連続処理が好ましい。
乾燥処理を経て粉砕処理に供されるセルロース含有原料の水分量の下限は、セルロース含有原料に対して0質量%であるが、生産性を向上させる観点から、該水分量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。また、粉砕処理においてセルロース含有原料を効率よく粉砕及び低結晶化する観点から、当該水分量は好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、より更に好ましくは1.8質量%以下である。
当該水分量は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
(粉砕処理)
水分量の低い粉末状セルロースを得る観点から、粉砕処理は、セルロース含有原料中の水分量が2.5質量%以下の条件下で行うことが好ましい。
セルロース含有原料を効率よく粉末化及び低結晶化する観点から、粉砕処理は多段階に分けて行うことが好ましい。粉砕処理を多段階に分けて行う場合、裁断処理及び乾燥処理を行ったセルロース含有原料を粗粉砕処理し、次いで、小粒径化処理を行う方法が好ましい。
粉砕処理で用いられる乾式粉砕機に特に制限はなく、セルロース含有原料を粉末化し、結晶化指数を所定の値以下に低減できる装置であればよいが、後述する振動ロッドミルを用いることが好ましく、振動ロッドミル及び高速回転式微粉砕機を用いることがより好ましい。より詳細には、粗粉砕処理において振動ロッドミルを用い、小粒径化処理において高速回転式微粉砕機を用いることがより好ましい。
〔粗粉砕処理〕
粗粉砕処理では、必要に応じ裁断処理及び乾燥処理を行ったセルロース含有原料を粗粉砕し、粉末化及び低結晶化する。粗粉砕処理においては短時間で大量の処理を行うことが可能であるため、低結晶化された粉末状セルロースを効率よく得ることができる。以下、粗粉砕処理後に得られるセルロースを「粗粉砕セルロース」ともいう。
粗粉砕処理に用いられる粉砕機の具体例としては、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミル等のロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミル等の竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミル等の容器駆動式媒体ミル、高速遠心ローラーミルやオングミル等の圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、カッターミル等が挙げられる。これらの粉砕機は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、セルロース含有原料の粉砕効率及び低結晶化効率を向上させる観点から、媒体式粉砕機が好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。粉砕方法としては、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
粉砕処理に用いる粉砕機の材質、媒体の材質としては、セルロース含有原料の粉砕効率の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的な利用の観点から、鉄又はステンレスがより好ましい。
上記の処理方法により、パルプから、粗粉砕セルロースを効率よく得ることができる。粗粉砕処理では、粗粉砕セルロースの再凝集を抑制し、また、粉砕機の内部に粉砕物を固着させずに、乾式にて処理することができる。
また、セルロースの低結晶化は主に粗粉砕処理において行われるため、粗粉砕処理で得られる粗粉砕セルロースの結晶化指数は、50%未満であることが好ましい。
粗粉砕後の粗粉砕セルロースの体積中位粒径(D50)は、好ましくは80μm以上、そして、好ましくは300μm以下である。
〔小粒径化処理〕
小粒径化処理では、粗粉砕処理で得られた粗粉砕セルロースを更に粉砕し、小粒径化する。粗粉砕処理に続いて小粒径化処理を行うことで、体積中位粒径(D50)がより低減された粉末状セルロースを効率よく得ることができる。
小粒径化処理に用いられる粉砕機としては、高速回転式微粉砕機が好ましい。高速回転式微粉砕機とは、ハンマー、ブレード、ピン等を高速回転させ、衝撃、せん断により粉砕筒内に装填された粗粉砕セルロースの粉砕を行う装置である。
セルロース粉末の粒子径については、後述する複合化処理におけるハンドリング性の観点から、体積中位粒径が10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上である。また、生産効率の観点から、500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下である。
<熱可塑性ポリマー粒子>
本発明で用いられる熱可塑性ポリマー粒子は、相溶化剤として機能するものと考えられる。熱可塑性樹脂とセルロースとの親和性を高め、複合樹脂組成物の剛性を高める観点から、熱可塑性ポリマー粒子は、セルロース親和性基を有することが好ましく、酸無水物基を有するポリマー化合物の粒子であることが好ましい。
該ポリマー化合物における酸無水物基としては、特に限定はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水コハク酸基、無水グルタル酸基等を挙げることができる。
該ポリマー化合物におけるポリマーとしては、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の樹脂を挙げることができ、配合する樹脂により適宜選択すればよいが、配合する樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、配合する樹脂との親和性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン重合体やプロピレン重合体、エチレンプロピレン重合体等が例示されるが、配合する樹脂がポリプロピレン樹脂である場合には、好ましくはプロピレン重合体である。
該ポリマー化合物は、好ましくは酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂、より好ましくは無水マレイン酸変性ポリオレフィン、更に好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリエチレンから選ばれる少なくとも1つ、より更に好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレンである。
該ポリマー化合物の好適な市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社製「ユーメックス」(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)、アルケマ社製「OREVAC G」(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)等が例示される。
熱可塑性ポリマー粒子の使用量は、最終的に樹脂に配合した際に剛性と靱性を両立する観点から、セルロース粉末100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上、より更に好ましくは5質量部以上である。また、セルロース粉末100質量部に対して、100質量部以下、好ましくは75質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは25質量部以下、より更に好ましくは20質量部以下である。
本発明に用いる熱可塑性ポリマー粒子の大きさや形状としては、例えば、粉体状、ペレット状、球状、フレーク状が挙げられ、好ましくは粉体状である。
熱可塑性ポリマー粒子の体積中位粒径(D50)は、セルロース粉末と効率的に複合化する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは80μm以上であり、そして、好ましくは1,000μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは300μm以下である。
<複合化する工程>
本発明のセルロース複合粉末の製造方法は、セルロース粉末と、熱可塑性ポリマー粒子とを含む原料組成物を、気流中衝撃法にて複合化する工程(以下、「複合化工程」ともいう。)を含む。
一般に、フィラー(セルロース)、相溶化剤(熱可塑性ポリマー)、及び熱可塑性樹脂からなる複合樹脂組成物を調製する場合、これら原料の混合物をバッチ式又は連続式の混練機を用いて、せん断力を付与しながら溶融混練する。しかしながら、セルロースをフィラーに用いる場合では、単に溶融混練を行うだけでは、セルロース分子間の強い凝集作用により、樹脂中での分散性が悪く、実用的な機械物性が発現しないことがある。
本発明では、気流中衝撃法にて、予めセルロース粒子と相溶化剤(熱可塑性ポリマー)とを複合化することにより、樹脂中での分散性が良好な複合粉末が得られる。
ここで、気流中衝撃法とは、気流中、好ましくは高速気流中において粒子同士を衝突させることにより、粒子を複合化する乾式処理方法である。気流中衝撃法を用いることにより、セルロースの凝集を緩和しながら、セルロースと熱可塑性ポリマー(相溶化剤)とを複合化させることができる。
気流中衝撃法によれば、気流中での機械的外力により、セルロース同士の強い凝集を抑制し、セルロースと熱可塑性ポリマー(相溶化剤)とを効率的かつ簡便に複合化したセルロース複合粉末を製造することができる。。また、乾式処理のみにて複合粉末が得られるため、その後の熱可塑性樹脂への配合においても、ハンドリング性に優れる。
なお、気流中衝撃法自体は、公知の技術であり、例えば、特開平10−113874号公報、特開2005−239531号公報、特開2006−143532号公報、特開2012−224498号公報等に記載されている。
本発明において、気流中衝撃法にて複合化する工程は、ケーシング及びブレードを有する回転盤を備え、ケーシング内に前記原料組成物を供給し、回転する該ブレードにより生じる気流中に前記原料組成物を同伴させ、前記原料組成物と該ブレード又はケーシング内壁との衝突、及び前記原料組成物同士の衝突により前記原料組成物を複合化する複合化装置を使用することが好ましい。
また、上記回転盤の回転速度は、原料組成物の処理量や、種類により一概に決定できないが、高速気流を発生させ、効率的かつ簡便に複合粉末を調製する観点から、先端周速が、好ましくは50m/s以上、より好ましくは70m/s以上、更に好ましくは100m/s以上であり、そして、生産効率の観点から、好ましくは300m/s以下、より好ましくは200m/s以下である。
また、本発明において、気流中衝撃法により複合化する工程における処理時間は、原料の処理量や種類により一概に決定できないが、高効率かつ簡便に複合粉末を調製する観点から、好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下であり、そして、生産性の観点から、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上である。
また、処理温度は、特に限定されないが、製造効率及び熱劣化を防ぐ観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは125℃以下、更に好ましくは100℃以下であり、必要に応じて装置の冷却を実施してもよい。
気流中衝撃法に好適に使用される複合化装置を、図1及び図2に示す。図1は、本発明で好適に使用される複合化装置の縦断面図であり、図2は、前記複合化装置の側断面図である。
図1及び2に示すように、複合化装置1は、円筒形のケーシング7と、円筒形のケーシング7の両端面を塞ぐ後カバー2及び前カバー3とに囲まれた衝撃室13が形成されている。前記衝撃室13内には、ケーシング7の中心軸上に回転軸6を有する円盤状の回転盤4が配設されている。
回転盤4上には、ブレード5と呼ばれる板状の突起物が、回転軸6を中心とする放射状に配設されている。本実施形態では、例えば、ブレード5が描く最外周軌道面と、ケーシング7の内壁面とのギャップは、0.5〜20mm程度に設定されている。なお、このギャップは、任意の数値に設定されていてよい。
なお、ケーシング7の内部には、ジャケット20が設けられていてもよく、ジャケット20内に冷却水を通水することで、装置を冷却してもよい。
本発明において、複合化装置は、原料組成物をケーシング内から循環回路を通じて、再度ケーシング内に戻して、繰り返し分散処理を行うことが好ましい。これにより、原料組成物の分散と、衝撃力を与えるという動作が繰り返し行われ、原料組成物がより均一に微細な状態で複合化されるものと考えられる。
図1及び図2において、複合化装置1の一端9aは、ケーシング7の一部に向けて開口するとともに、他端9bが前カバー3の中心部から衝撃室13内を臨むように開口する循環回路管9と、ケーシング7の一部に設けられた排出弁8によって開閉される排出管14とを備えている。
循環回路管9が設けられていることにより、衝撃室13からケーシング7上の開口13a、循環回路管9、前カバー3の中心部の開口13bを経て、衝撃室13へ戻る循環気流が形成されている。
そして、循環回路管9には、原料組成物(セルロース粉末及び熱可塑性ポリマー粒子)を投入するための原料ホッパー10が、原料供給弁12と、原料供給シュート11を介して連結されている。原料供給シュート11から循環回路管9に供給された原料組成物は、衝撃室13へ投入されるように構成されている。
排出管14は、衝撃室13内の処理物(複合粉末)を外部へ排出するための管で、排出弁8を開くことで衝撃室13と連通するように構成されている。そして、排出弁8が開かれることで、複合粉末が外部へ排出されるように構成されている。
本発明に好適に使用される複合化装置としては、例えば、株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム、株式会社アーステクニカ製のクリプトロン、株式会社ダルトン製のアトマイザー等が挙げられる。これらの中でも、株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
上記図1及び図2に示す複合化装置を使用した複合化工程について説明する。
原料ホッパー10には、原料組成物を投入する側の開口部10bが設けられている。原料ホッパー10内に所定量の原料組成物を投入する。このとき、排出弁8及び原料供給弁12は閉状態とする。
続いて、原料供給弁12を開状態として、原料ホッパー10内の原料組成物を衝撃室13へ投入するとともに、図示していない駆動手段により回転軸6を介して回転盤4を回転させる。また、原料組成物が衝撃室13へ投入された後に、原料供給弁12を閉状態とする。
なお、回転盤4が回転している衝撃室13内に原料組成物を投入してもよいし、原料組成物を衝撃室13に投入した後に、回転盤4を回転させてもよい。
このとき、回転盤4を回転させることで、衝撃室13から循環回路管9を通って、再び衝撃室13へ戻る循環気流が形成され、この気流中における原料組成物の粒子同士の衝突や、原料組成物とケーシングの内壁や、ブレードとの衝突を誘発することにより、粒子表面に強い機械的エネルギーが付与され、セルロース粉末と熱可塑性ポリマー粒子との複合化が進行する。
十分に複合化が行われたところで、排出弁8を開状態とすることにより、形成された複合粉末が衝撃室13から排出される。
なお、前記装置内は、例えば、不活性ガスや特定の気体で充満させることも可能である。
本発明の製造方法により、セルロースが複合化されたかどうかは、実施例記載の試験例1により確認することができる。
本発明により得られたセルロース複合粉末は、従来用いられてきたセルロースの代替品として用いることが可能であり、各種樹脂やゴム、アスファルト等に配合して、工作機械部品、家電製品、自動車部品、タイヤ等の各種の用途に好適に用いることができる。
[複合樹脂組成物]
本発明の複合樹脂組成物は、前記セルロース複合粉末と熱可塑性樹脂を含む。また、本発明の複合樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂と、本発明の製造方法により得られたセルロース複合粉末とを混合する工程を有する。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン(PS樹脂)、ポリ酢酸ビニル(PVAc樹脂)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC樹脂)、ポリアクリル酸(PA樹脂)、ポリアクリル酸エステル(PAE樹脂)、ポリブタジエン(PB樹脂)、ポリイソプレン(PIP樹脂)、ポリクロロプレン(PCP樹脂)等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリプロピレン(PP樹脂)がより好ましい。
複合樹脂組成物におけるセルロース複合粉末と熱可塑性樹脂との質量比(セルロース複合粉末/熱可塑性樹脂)は、剛性を高める観点から、好ましくは1/100以上、より好ましくは10/100以上であり、ハンドリング性の観点から、好ましくは60/100以下、より好ましくは40/100以下である。
樹脂組成物の調製方法としては特に限定されないが、溶融混練法により混合することが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、結晶性指数(%)を除き、特に断りのない限り、質量基準である。
[セルロース粉末及び熱可塑性ポリマー粒子の粒度分布及び体積中位粒径(D50)]
セルロース粉末及びセルロース複合粉末の粒度はレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「LS−13320」)により乾式で測定した。なお、粒度分布の代表径は体積基準の体積中位粒径(D50)を測定した。
[セルロースの結晶化指数]
セルロースの結晶構造は、株式会社リガク製の「MiniFlex 600」を用いて、以下の条件で測定することにより確認した。測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:30kv、管電流:15mA、測定範囲:回折角2θ=5〜35°、X線のスキャンスピード:40°/minとした。測定用サンプルは面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮し、作製した。また、セルロースI型結晶構造の結晶化指数は得られたX線回折強度を、以下の式(A)に基づいて算出した。
セルロース結晶化指数(%)
=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
(式中、I22.6はX線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5はアモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。)
[水分量の測定]
セルロースの水分量を、以下の方法で求めた。平底皿(内径60mm、高さ40mm)を用い、試料を2g精秤した。その後、105℃の乾燥機に2時間入れて乾燥させた。乾燥後はデシケータ内で30分間、室温まで放冷させて、乾燥後の質量を精密に測定した。乾燥減量を以下の計算式(1)より求めた。乾燥減量と水分量は同一とした。
乾燥減量(%)=
〔(乾燥前の質量(g)−乾燥後の質量(g))/乾燥前の質量(g)〕×100
(1)
(セルロース粉末原料の調製)
[裁断処理]
セルロース含有原料であるシート状木材パルプ(Tembec社製「Biofloc HV+」、800mm×600mm×1.0mm、結晶化指数81%、水分量8.0質量%)を、スリッターカッターであるシートペレタイザ(株式会社ホーライ製「SG(E)−220」)にかけ、約3mm×1.5mm×1.0mmの大きさの直方体に裁断した。
[乾燥処理]
裁断処理により得られたチップ状のセルロース含有原料を、2軸横型撹拌乾燥機(株式会社奈良機械製作所製、2軸パドルドライヤー「NPD−1.6W(1/2)」)を用いて乾燥した。乾燥温度は140℃とし、原料の供給速度は18kg/hとした。連続処理で得られた乾燥処理品の水分含量は1質量%であった。得られた乾燥処理品は、保管中の吸湿を防ぐため、粉砕処理の直前までアルミニウム製の袋で保管した。
[粉砕処理]
連続式振動ミル(ユーラステクノ株式会社製「YAMT−200」、第1及び第2粉砕室の容量:112L)の各粉砕室内部に、直径30mm、長さ1,300mmのステンレス製の円柱状媒体をそれぞれ80本ずつ収容した。連続式振動ミルを振動数16.7Hz、振幅13.4mmの条件下、乾燥処理により得られたチップ状のセルロース含有原料を20kg/hで供給しながら連続的に粉砕処理した。続いて、振動ミルで処理した粗粉砕セルロースを高速回転式微粉砕機(株式会社ダルトン製「アトマイザーAIIW−7.5型」)を用いて解砕処理した。スクリーン目開きは1.0mm、ローター周速度は91m/s、原料供給部からの粗粉砕セルロースの供給速度は20kg/hとした。得られた非晶性セルロースは、結晶化指数−9.0%、体積中位粒径(D50)53.0μmであった。
(セルロース粉末と熱可塑性ポリマーの前処理)
実施例1〜3
[複合化処理]
上記のように調製した非晶性セルロース粉末及び熱可塑性ポリマー粒子(三洋化成工業株式会社製「ユーメックス110TS」、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、体積中位粒径(D50)161μm、軟化点140℃)を、(非晶性セルロース:熱可塑性ポリマー)が100:16.7(部)の比率で計200gになるように秤量し、ポリエチレン製の袋に入れ、上下に振りながら30秒間混合した。続いて、粉体混合物をハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製「NHS−1」)の原料供給部より投入した後、ローター周速度100m/sで処理した。前記ハイブリダイゼーションシステムには、冷却機構を有しており、ジャケット中に15℃の冷却水を循環させながら反応を行った。反応装置内の内温の最高温度は、97.8℃であり、以下の実施例4についても同様であった。処理時間は表1に示す通りである。
(樹脂組成物)
表1に示す組成物原料、すなわち複合化したセルロース複合粉末、熱可塑性樹脂を表1に示すように組み合わせて、バッチ式混練機(株式会社東洋精機製作所製「ラボプラストミル」)を用いて、回転数90rpm、200℃で8分間溶融混練して、樹脂組成物を得た。
(成形体)
得られた樹脂組成物を、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J110AD−180H、シリンダー温度設定6箇所)を用いて射出成形した。シリンダー温度をノズル先端側から5ユニット目までを270℃、残りの1ユニットを230℃、ホッパー下を45℃に設定した。金型温度は80℃に設定し、平板試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を成形し、樹脂組成物の成形体を得た。
実施例4
セルロース粉末として、非晶性セルロースに替えて、市販の結晶性セルロース(日本製紙株式会社製「KCフロック W−50GK」、体積中位粒径(D50)32.0μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合化処理を行い、表1に示す組成物原料を用いて、実施例1と同様にして樹脂組成物及びその成形体を得た。
比較例1
セルロース粉末及び熱可塑性ポリマーを使用せず、熱可塑性樹脂のみ、すなわち、表1に示す組成物原料を用いて、実施例1と同様にして樹脂組成物及びその成形体を得た。
比較例2
実施例1〜3のセルロース粉末及び熱可塑性ポリマーの複合化処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、表1に示す組成物原料を用いて、実施例1と同様にして樹脂組成物及びその成形体を得た。
比較例3
複合化処理の装置として、磨砕式ミル系の粒子複合化装置(ホソカワミクロン株式会社製「メカノフュージョンAMS−mini」)を用い、ローター周速度27.5m/s、処理時間10minとした以外は実施例1と同様にして複合化処理を行った。
得られたセルロース複合粉末の複合化状態を、下記の試験例1の方法に従って評価した。結果の一部を図3に示す。
試験例1
試験瓶にイオン交換水10g、得られたセルロース複合粉末1gをそれぞれ添加し、軽く振り混ぜ、10分間静置させた後の外観を観察した。
得られた成形体の特性を、下記の試験例2の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
試験例2
25℃の恒温室において、得られた成形体を5個用いて、引っ張り試験を行い、引張弾性率(GPa)、引張破断伸び(%)、及び降伏点応力(破断強度)(MPa)を調べた。なお、引っ張り試験には、株式会社島津製作所製 オートグラフ精密万能試験機(AGS−10kNX)を用い、JIS K7127に従って、1サンプルにつき5点試験を行って平均値を測定値とし、サンプル5個の測定値を平均化したものを算出した。
図3より、未処理の非晶化セルロースは親水性が高いことから水に沈む一方、熱可塑性ポリマーは疎水性であり水に浮くことが分かる。実施例1、3のハイブリダイゼーション処理を行って得られた複合粉末は水に浮いたことから、セルロース粒子が熱可塑性ポリマーにより被覆・複合化されたことが示唆される。一方、比較例2のドライブレンド処理及び比較例3のメカノフュージョン処理では一部のセルロース粒子が水に沈んだことから、複合化が十分に進行していないことが示唆される。なお、比較例3については、比較例2と同様に複合化が十分に進行しておらず、比較例2と同様の結果となると想定されるため、試験例2の評価を行わなかった。
表1より、実施例1〜3と比較例1、2の対比より、樹脂組成物の組成が同じであっても、セルロース粉末と熱可塑性ポリマーの前処理として、気流中衝撃法による複合化処理を行った方が、樹脂組成物の成形体の剛性が高いことが分かる。
また、実施例1〜3と実施例4の対比から、セルロースI型結晶化指数が50%未満である非晶性セルロースを用いた実施例1〜3が剛性だけでなく靱性にも優れることが分かる。
本発明の製造方法により得られるセルロース複合粉末は、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。
1 複合装置
2 後カバー
3 前カバー
4 回転盤
5 ブレード
6 回転軸
7 ケーシング
8 排出弁
9 循環回路管
10 原料ホッパー
11 原料供給シュート
12 原料供給弁
13 衝撃室
14 排出管
20 ジャケット

Claims (9)

  1. 体積中位粒径が10μm以上500μm以下のセルロース粉末100質量部と、熱可塑性ポリマー粒子0.1質量部以上100質量部以下とを含む原料組成物を、気流中衝撃法にて複合化する工程を含む、セルロース複合粉末の製造方法。
  2. 前記気流中衝撃法にて複合化する工程が、ケーシング及びブレードを有する回転盤を備え、該ケーシング内に前記原料組成物を供給し、回転する該ブレードにより生じる気流中に前記原料組成物を同伴させ、前記原料組成物と該ブレード又はケーシング内壁との衝突、及び前記原料組成物同士の衝突により前記原料組成物を複合化する複合化装置を使用する、請求項1に記載のセルロース複合粉末の製造方法。
  3. 前記装置が、原料組成物をケーシング内から循環回路を通じて、再度ケーシング内に戻して、繰り返し分散処理を行う、請求項2に記載のセルロース複合粉末の製造方法。
  4. 前記熱可塑性ポリマーが、セルロース親和性基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のセルロース複合粉末の製造方法。
  5. 前記熱可塑性ポリマーが、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース複合粉末の製造方法。
  6. 前記熱可塑性ポリマーが、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリエチレンから選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれかに記載のセルロース複合粉末の製造方法。
  7. 前記セルロース粉末が、結晶化指数が50%未満である非晶性セルロース粉末である、請求項1〜6のいずれかに記載のセルロース複合粉末の製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂と、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られたセルロース複合粉末とを混合する工程を有する、複合樹脂組成物の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂である、請求項8に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
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