JP2016030881A - オリゴエステル化竹繊維の製造方法、オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

オリゴエステル化竹繊維の製造方法、オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】竹繊維の吸水性と微細化の問題点を解決し、該竹繊維と熱可塑性樹脂との混練物からフィルムにした際、表面平滑性を有し、更に優れた耐水性および抗菌性を有するフィルムにすることを実現する技術の提供。
【解決手段】平均繊維径30〜300μmの範囲内の竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを、密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入して、混練しながらオリゴエステル化反応を行うオリゴエステル化竹繊維の製造方法において、混練時の混合槽内の温度が70〜200℃、回転数が10min−1以上、加圧蓋の圧力が0.10MPa以上の圧力で竹繊維に圧力を加えながら2〜120分間混練して、混練中にオリゴエステル化反応を行うと同時に竹繊維の平均繊維径を30μm以下に微細化するオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面平滑性を有し、さらに優れた耐水性、高剛性、音響特性、ならびに抗菌性を兼備する竹繊維含有成形加工品の開発に有用なオリゴエステル化竹繊維の製造方法、オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する。
近年、竹繊維のもつしなやかさとか抗菌性といったイメージに加えて、僅か2〜3年で再生するという資源・環境面からの利点を有する竹繊維の用途開発が活発になってきている。特に、竹繊維を薄いフィルムに介在させて、フィルム強度の向上と抗菌性を付与した新しい竹繊維含有フィルムの商品化が求められている。一般に、竹稈は、竹繊維と竹繊維束に強固に結びついている柔細胞組織からなっている。竹稈を粉砕すると、竹繊維と柔細胞組織が微粉化された竹粉が得られる。本発明では、竹繊維、または竹繊維に竹粉が混入されたものを含めて竹繊維と称すことにする。
従来、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂の強化材としてセルロース繊維を含有した高強度複合材料が知られている(例えば特許文献1、2参照)。しかしながら、セルロース繊維は抗菌性の効果はなく、またセルロース繊維含有フィルムを得るためには、セルロース繊維を微細化する必要があり、特殊な解繊機械を用いてセルロース繊維を解繊しながら微細化しなければならない。このようにして得られた微細化セルロース繊維は高価なものであった。
一方、リグノセルロース繊維である竹繊維と熱硬化性樹脂からなる組成物を成形加工して得られる成形品が知られている(例えば特許文献3参照)。特許文献3では、平均繊維長2mm以下の短繊維と平均繊維長10mm以上の長繊維とを複合して形成される成形品である。しかしながら、竹繊維の微細化方法については何ら記載がない。
特許文献4では、オレフィン系樹脂のような疎水性の高い樹脂を用いたミクロフィブリル化植物繊維を含む樹脂組成物において、樹脂組成物内でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性が良好で、得られる成形材料においては機械的強度を向上させることが可能であると記載されている。しかしながら、ミクロフィブリル化植物繊維を得るためには、植物繊維をボールミル、ビーズミル、グラインダー、リファイナー、高圧衝突分散機、高圧ホモジナイザーなどで機械的解繊する必要があった。得られたミクロフィブリル化植物繊維は大変高価なものであった。
特許文献5では、マニラ麻、ポリエチレンオキシドおよびセルロース溶剤をセルロース溶液と混合し、その混合物を押出しして、フィルムを作成することが知られている。ポリエチレンオキシドをセルロース溶液に導入することで、架橋剤の反応を阻害することがないという効果が示されているが、この方法では麻繊維をセルロース溶液に均一に分散した水性スラリーを生成する必要があった。この文献においても竹繊維の微細化方法に関しては何ら記載がない。
特願2012−259374号公報 特開2007−84713号公報 特開2012−240326号公報 特開2012−214563号公報 特開平10−80942号公報
これまで、竹稈を粉砕機で粉砕すると平均繊維径30〜300μmの範囲内の竹繊維が得られるが、平均繊維径30μm以下の微細化された竹繊維を得るには大変難しいという問題点があった。竹繊維の微細化方法として、特殊な解繊機械を用いて、機械的解繊する方法はあるが、得られた微細化竹繊維は高価になるという欠点があった。
さらに、竹繊維を熱可塑性樹脂に含有した組成物を成形加工して得られた成形品は、樹脂表面に露出した竹繊維から浸透した水分によって繊維の膨潤が生じ、繊維と樹脂との接着面に剥離を生じる欠点があった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みなされたものであって、竹繊維の微細化と竹繊維の水分による問題点を同時に解決することによって、本発明で得られた竹繊維と熱可塑性樹脂との混練物から成形体にした場合、表面平滑性を有し、さらに優れた耐水性、高剛性、音響特性、ならびに抗菌性を兼備する竹繊維含有成形加工品、特に竹繊維含有フィルムにすることを実現する技術に関する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを、混練しながらオリゴエステル化反応するオリゴエステル化竹繊維の製造方法において、竹繊維に圧力を加えながら混練することにより、混練中にオリゴエステル化反応すると同時に竹繊維が微細化されることを特徴とするものである。これにより、得られた全く新しいオリゴエステル化竹繊維は、熱可塑性樹脂と容易に混練することができる。得られた混練物から成形体にした場合、表面平滑性を有し、さらに優れた耐水性および抗菌性を有することを実現できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)平均繊維径30〜300μmの範囲内の竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを、密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入して、混練しながらオリゴエステル化反応するオリゴエステル化竹繊維の製造方法において、混練時の混合槽内の温度が70〜200℃、回転数が10min−1以上、加圧蓋の圧力が0.10MPa以上の圧力で竹繊維に圧力を加えながら2〜120分間混練して、混練中にオリゴエステル化反応すると同時に竹繊維の平均繊維径を30μm以下に微細化することを特徴とするオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
(2)前記加圧蓋の圧力が0.26MPa以上である請求項1記載のオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
(3)前記多塩基酸無水物が無水マレイン酸である請求項1または2記載のオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
(4)前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物がアリルグリシジルエーテルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
(5)オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、
(A)請求項1〜4のいずれか1項に記載のオリゴエステル化竹繊維と、
(B)熱可塑性樹脂と
を含有してなり、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕が5/95〜95/5であるオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
(6)請求項5記載のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用いるオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
(7)請求項5または6記載のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形させてなるオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
(8)前記成形体がフィルムである請求項7記載のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
本発明により得られた成形体は、表面平滑性を有し、さらに優れた耐水性、高剛性、音響特性、ならびに抗菌性を兼備する竹繊維含有成形加工品の開発に有用なオリゴエステル化竹繊維が提供できる。また、オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供することができる。本発明の成形体として、本発明のオリゴエステル化竹繊維を厚さ30μm以下の薄いフィルム内に介在させて、フィルム強度の向上と抗菌性を付与した竹繊維含有フィルムを提供することができるものである。
一般に、非木材繊維の中でも竹は我が国において極めて豊富であり数年で成長するため木材と比べても生産性が高く、さらに竹繊維は比強度が高いなど優れた機械的特性を有している。また、スピーカ用抄紙振動板の音響特性を改善するために竹繊維が用いられており、竹繊維のミクロフィブリル化(微細化)と化学処理をすることが音響特性により好ましい結果が発表されている。また、竹の表皮には雑菌の繁殖を防ぐ天然の抗菌力があり、(財)日本食品分析センターでMRSA(院内感染菌)、大腸菌、白癬菌(水虫)等の菌を用いた抗菌テストにより、竹繊維の抗菌作用があることが確認されている。
以下、本発明のオリゴエステル化竹繊維の製造方法、オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物およびその成形体の実施の形態について、本発明の成形体の好適な製造手順に従って詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
本発明のオリゴエステル化竹繊維の製造方法は、平均繊維径30〜300μmの範囲内の竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを、密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入して、混練しながらオリゴエステル化反応するオリゴエステル化竹繊維の製造方法において、混練時の混合槽内の温度が70〜200℃、回転数が10min−1以上、加圧蓋の圧力が0.10MPa以上の圧力で竹繊維に圧力を加えながら2〜120分間混練して、混練中にオリゴエステル化反応すると同時に竹繊維の平均繊維径を30μm以下に微細化することを特徴とするオリゴエステル化竹繊維の製造方法である。
竹は、広義には、イネ目イネ科タケ亜科のうち、木本のように茎が木質化する種の総称である。日本に生育する竹は600種あるといわれており、そのうちの代表的なものとして、マダケ、モウソウチク(孟宗竹)、ハチク等が挙げられる。本発明の実施の形態において用いる竹の種類を限定するものではない。また、本発明の実施の形態において、竹とは幹、枝、葉、および根からなる総体的なものを意味するが、とりわけ、セルロース繊維成分が豊富な幹部が好適である。竹は、その主要な構成成分として、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンからなる。ヘミセルロースはセルロースとリグニン、あるいはセルロース同士を結合させる接着剤の役割を担っている。しかしながら、竹繊維をスピーカ用振動板に用いる場合には、脱リグニン、脱ヘミセルロース処理をすることが良好で、さらに竹繊維を微細化することと組合せすると、音速向上につながり、優れた音質特性を有するものが得られる。
本実施の形態に係る竹繊維は、平均繊維径が30〜300μmの範囲内の竹繊維を用いる。一般に、竹稈を特殊な回転切削歯を持った粗粉砕装置や、微粉砕装置を使って竹を粉砕し、篩分けすると、平均繊維径30〜300μmの範囲内の竹繊維が得られる。平均繊維径300μm以上の大きい竹繊維は、微粉砕装置に再送して、300μm以下に粉砕して用いる。一方、竹繊維の平均繊維長は5.0mm以下である。竹繊維の平均繊維長は特に制限はないが、平均繊維長は0.05〜3.0mmが好ましく、0.1〜2.0mmがより好ましい。なお、竹繊維の寸法においては、成形体の強度を維持するために、特にアスペクト比(長さ/直径)が重要となる。本発明における竹繊維のアスペクト比は5〜1000が好ましく、10〜100がより好ましい。なお、本実施の形態に係る竹繊維は、少なくとも50質量%以上のセルロース成分を主成分とする竹繊維であり、セルロース成分以外に、リグニン成分やヘミセルロース成分等の竹由来成分が含まれていてもよい。
本発明で用いる竹繊維は、水分含有率が10質量%以下に乾燥された竹繊維を用いることが好ましい。竹繊維の水分含有率が10質量%以下にあると、竹繊維と酸無水物とのエステル化反応が速やかに進行し、高付加率のエステル化竹繊維が得られる。水分含有率10質量%以上になると、竹繊維に付加された酸無水物のエステル化による付加率(エステル含量)は低下の方向を示す。付加率が低下するのは、水分子が酸無水物の開環に使われ、酸無水物の反応性が低下するためと考えられる。水分含有率は7質量%以下がより好まし
い。なお、本発明における水分含有率とは、乾燥温度を120±2℃として、JIS P8203に則った操作方法で求めた絶乾率を100質量%から除した数値をいう。
本発明で用いる多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水イタコン酸、無水ヘット酸、無水安息香酸等が挙げられる。これらの多塩基酸無水物のなかでは、工業生産に優れ、かつ得られる成形体の機械的性質がより優れることから、無水マレイン酸がより好ましい。
本発明で用いる不飽和結合を有するモノエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジル、グリシジルアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド等が挙げられる。これらの不飽和結合を有するモノエポキシ化合物のなかでは、成形体の機械的性質をより向上させることができることから、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。
本発明では、竹繊維と多塩基酸無水物とのエステル化反応により、高付加率のエステル化竹繊維が得られる。つまり、竹繊維中の活性な水酸基と多塩基酸無水物中の無水酸基とは、無溶媒下においても容易に付加エステル化反応を起こして、カルボキシル基が導入されたエステル化竹繊維が得られる。さらに、エステル化竹繊維中のカルボキシル基に、不飽和結合を有するモノエポキシ化合物中のエポキシ基が付加する。得られたエポキシ化合物―付加エステル化竹繊維のIRスペクトルでは1715〜1735cm−1にエステル結合の吸収が明確に見られる。さらに、3400cm−1に水酸基の強い吸収が認められる。これは、エポキシ基とカルボキシル基との開環エステル化反応によって生じた水酸基と竹繊維骨格中の未反応水酸基によるものと考えられる。
上記のエポキシ化合物―付加エステル化竹繊維に、さらに、酸無水物とエポキシ化合物を高温下で反応させると、酸無水物とエポキシ化合物が交互に付加する、いわゆる、交互付加エステル化反応がおこる。そして、竹繊維を骨格としたオリゴエステル化竹繊維が得られる。この場合、アリルグリシジルエーテルのような不飽和結合を有するモノエポキシ化合物を使用すると重合性二重結合を有するオリゴエステル鎖が生成する。このような重合性のオリゴエステル鎖を有するオリゴエステル化竹繊維は高温、高圧下ではセルロース成分の可塑化を伴って橋かけ反応が起こると考えられるので興味がある。そこで、竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを、一段で中間体を単離せずにオリゴエステル化反応を行った。生成物はアセトン可溶部と不溶部から成っている。不溶部はオリゴエステル化竹繊維であり、これらはIRスペクトルにおいて、1720cm−1にエステル結合の強い吸収を示す。一方、可溶部は粘ちゅう状態の液体であるが、これは竹繊維骨格に結合していない自由なオリゴエステルである(オリゴマー)。
本発明のオリゴエステル化竹繊維の製造方法を説明する。先ず、用意した竹繊維を熱風乾燥器で乾燥して、水分含有率10質量%以下に調製する。次に、所定量の半分の竹繊維を密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入する。一度、密閉式加圧型ニーダーを稼動して、混合槽内の竹繊維を圧縮して、竹繊維の密度を高める。次に、残りの半分の竹繊維と所定量の多塩基酸無水物を密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入する。その後、竹繊維と多塩基酸無水物の好適なエステル化反応条件(反応温度、反応時間、混練回転数)で、その上、加圧蓋で竹繊維に圧力を加えながら混練と同時にエステル化反応を行う。エステル化反応後、加圧蓋を徐々に開け、所定量の不飽和結合を有するモノエポキシ化合物を密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入する。その後、エステル化竹繊維とモノエポキシ化合物の好適なオリゴエステル化反応条件(反応温度、反応時間、混練回転数)で、その上、加圧蓋でエステル化竹繊維に圧力を加えながら混練と同時にオリゴエステル化反応を行う。オリゴエステル化反応後、加圧蓋を徐々に開き、オリゴエステル化竹繊維を取り出す。なお、上記エステル化反応条件とオリゴエステル化反応条件が同じであれば、一工程で反応を行ってもかまわない。すなわち、竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを同時に密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入してオリゴエステル化反応を行い、オリゴエステル化竹繊維を得ることができる。
本発明のオリゴエステル化竹繊維の竹繊維中に付加される酸無水物とモノエポキシ化合物の付加量は、酸無水物とモノエポキシ化合物の仕込み量によっても異なるが、一般に竹繊維に対して、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%以下ではオリゴエステル化竹繊維と熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなり、成形体が得られない。また、30質量%以上になると、酸無水物とモノエポキシ化合物とのオリゴエステル化反応で得られるオリゴマーの量が多くなり経済的でない。多塩基酸無水物に対して不飽和結合を有するモノエポキシ化合物の仕込み量は、酸無水物1モルに対してモノエポキシ化合物1〜2モルが適当である。さらには、酸無水物1モルに対してモノエポキシ化合物1.1〜1.4モルの範囲に入ることが好ましい。
ついで、密閉式加圧型ニーダーの混合槽内の反応温度は、多塩基酸無水物、または不飽和結合を有するモノエポキシ化合物の選択する薬剤の種類によって異なる。総体的には70〜200℃の範囲である。70℃以下ではエステル化反応およびオリゴエステル化反応が進みにくく、200℃以上では竹繊維が熱分解を起こし、熱分解ガスを発生して好ましくない。また、竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを反応させる際の加熱時間は、用いられる反応系における残存酸価および残存エポキシ価が無視できる程度になる時間であればよい。総体的には、加熱時間は2〜120分間が好ましい。一方、密閉式加圧型ニーダーの混練回転数は10min−1以上で良好である。10min−1以下の場合は微細化された竹繊維を得ることが困難となる。
上記のような最適条件のもとで、その上、加圧蓋の圧力が大気圧(0.10MPa)下で、竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを混練しながら、同時にオリゴエステル化反応を行うことによって、竹繊維を骨格としたオリゴエステル化竹繊維を得る。得られたオリゴエステル化竹繊維の嵩密度は0.29g/cmであった。この値は、反応する前の無処理竹繊維(水分含有率1.5質量%)の嵩密度0.28g/cmに比べてほぼ同じ値であった。また、得られたオリゴエステル化竹繊維の平均繊維径は48μmであった。この値は、反応する前の無処理竹繊維(水分含有率1.5質量%)の平均繊維径50μmに比べてほぼ同じ値であった。次に、得られたオリゴエステル化竹繊維とポリエチレン(熱可塑性樹脂)とを混練することによって混練ペレットが得られる。このようにして得られた混練ペレットを用いてインフレーシヨン成形を行ったが、厚さ30μm以下の薄いフィルムを成形することは困難であった。
一方、密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に竹繊維を混合槽内いっぱいに(所定量の半分程度)投入して、一度、密閉式加圧型ニーダーを稼動して、混合槽内の竹繊維を圧縮し、竹繊維の嵩密度を高める。次に、さらに密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に竹繊維の所定量の残り部分を投入し、さらに所定量の多塩基酸無水物、所定量の不飽和結合を有するモノエポキシ化合物を投入して、加圧蓋で竹繊維に圧力を加えながらオリゴエステル化反応を行うと思いがけない現象が見られた。加圧蓋の圧力が0.10MPa以上の圧力で竹繊維に圧力を加えながら混練して、オリゴエステル化反応を行うと、嵩密度が0.35g/cm以上のオリゴエステル化竹繊維が得られた。また、オリゴエステル化竹繊維の平均繊維径は20〜30μmの範囲のものであった。加圧蓋の圧力が0.26MPa以上の圧力で竹繊維に圧力を加えながら混練して、オリゴエステル化反応を行うと、嵩密度が0.50g/cm以上のオリゴエステル化竹繊維が得られた。また、オリゴエステル化竹繊維の平均繊維径は5〜30μmの範囲のものであった。得られたオリゴエステル化竹繊維はポリエチレン(熱可塑性樹脂)に対して非常に相溶性が良いものであった。次に、得られたオリゴエステル化竹繊維とポリエチレン(熱可塑性樹脂)とを混練することによって混練ペレットが得られる。このようにして得られた混練ペレットを用いてインフレーシヨン成形を行ったところ、厚さ30μm以下の薄いフィルムを成形することが可能であることが分かった。
加圧蓋の圧力が0.10MPa(大気圧)条件で調製したオリゴエステル化竹繊維は、平均繊維径が30〜100μmの範囲にあり、竹繊維の微細化が認められないものであった。これは、上記条件で調製したオリゴエステル化竹繊維は、竹繊維内部に介在するセルロース成分の表層部だけがオリゴエステル化処理されていて、セルロース成分の内層部は無処理の状態であるためと考えられる。無処理のセルロース成分は、その分子構造中に複数の水酸基を有しているため、極性が強く、水素結合によりセルロース成分の可塑化が起こりにくいことが考えられる。竹繊維内部に介在するヘミセルロース成分およびリグニン成分は熱可塑性物質であり、竹繊維の微細化には問題はないが、セルロース成分は熱可塑性物質でないため、これを如何に可塑化させて、解繊させるかが重要であると考えられる。
一方、加圧蓋の圧力が0.10MPa以上の条件で調製したオリゴエステル化竹繊維は、平均繊維径が30μm以下であり、竹繊維が微細化されていることが認められる。加圧蓋の圧力が0.26MPa以上の条件で調整したオリゴエステル化竹繊維は、平均繊維径が25μm以下であり、竹繊維がさらに微細化されることが認められる。これは、上記条件で調製したオリゴエステル化竹繊維は、セルロース繊維の表層部、および内層部までオリゴエステル化処理されているため、加圧下のもとでは、竹繊維内部に介在するセルロース成分が可塑化され、解繊されて微細化が進むものと考えられる。
本発明のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂の製造に用いられる組成物であって、
(A)本発明で得られるオリゴエステル化竹繊維と、
(B)熱可塑性樹脂と
を含有してなり、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕が5/95〜95/5であることを特徴とする。すなわち、オリゴエステル化竹繊維と熱可塑性樹脂との質量比が5/95〜95/5であることが好ましく、優れた機械的性質を有する成形体が得られる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、融点230℃以下の結晶性樹脂および非晶性樹脂から選ばれるものを用いることができる。しかし、竹繊維の熱分解ガスの発生を考慮すると、200℃以下の融点を有する熱可塑性樹脂が好ましい。
融点230℃以下の結晶性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド6,11、12、ポリビニルアルコール、生分解性樹脂(PBS系、PLA系、セルロースアセテート系、PCL系)等が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンがより好ましい。
非晶性樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、PVC、ABS、メタクリル樹脂等が好ましい。
特に、本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが安価でかつ機械特性に優れるためにより好ましい。ポリオレフィンは単純なオレフィン類やアルケンをモノマーとして合成されるポリマーの総称である。例えば、ポリエチレンはエチレンを重合させて得られるポリオレフィンであり、ポリプロピレンはプロピレンを重合させて得られるポリオレフィンである。なかでも、本発明の重要な目的の一つである竹繊維含有フィルムを作成するためには、強靭で、しかも可撓性に富んだ樹脂であるポリエチレンが最も好ましい。
ポリエチレンは、インフレーション成形用樹脂として好適であり、化学安定性・耐候性・耐水性・成形性などの広範囲にわたる優れた特性を備えている。さらに、プラスチックの中でも最軽量に属している。また、燃焼時に一切の有毒ガスを発生さないことから、環境に優しいプラスチックである。ポリエチレンは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンがある。求めるフィルムの物性によって使い分ける。
また、上記熱可塑性樹脂に加え、相溶化剤として上記の熱可塑性樹脂に無水マレイン酸等を付加し極性基を導入した樹脂、例えば無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、市販の各種相溶化剤を併用して用いることができる。
本発明のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂成形体は、前述したオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形することによって得られる成形体である。本発明のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂成形体は、前述したオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂が用いられているので、表面平滑性を有し、さらに耐水性、高剛性、音響特性、ならびに抗菌性を兼備するものである。
本発明のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物を用いて、各種成形方法により成形体を製造することができる。成形方法としては、一般的な成形方法を用いることができ、特に制限されない。例えば、熱圧成形法、射出成形法、押出成形法、真空成形法などが挙げられる。その他、塗料・化粧板関係の成形方法としては、フローコーター法、シート法、光硬化法を挙げることができる。さらに、本発明の目的とする竹繊維含有フィルムを製造するインフレーション成形法が好適に用いられる。
本発明で得られたオリゴエステル化竹繊維とポリエチレンとを混練して得られたペレットを原料にして、インフレーション成形を行うことができる。原料のペレットは、インフレーション押出成形機のホッパーから、暖められたシリンダー内のスクリューによって、練られながら押出される。この時、オリゴエステル化竹繊維強化ポリエチレン組成物は、完全に溶融された状態でダイスを通り、エアリングで冷却され、ピンチロールで引っ張り上げられて、筒状のチューブの中に空気を挿入してフィルム化される。本発明のオリゴエステル化竹繊維強化ポリエチレン組成物は、厚さ30μm以下の薄いフィルムを製造することができるものである。しかしながら、これらの成形法に制限されることはない。また、成形体の形状も特に制限されない。



(A)は、加圧蓋の圧力0.26MPaの条件における走査電子顕微鏡による拡大図(500倍)である。(B)は、加圧蓋の圧力0.50MPaの条件における走査電子顕微鏡による拡大図(500倍)である。 (C)は、大気圧(0.10MPa)の条件における走査電子顕微鏡による拡大図(500倍)である。(D)は、無処理竹繊維の走査電子顕微鏡による拡大図(500倍)である。
つぎに、実施例などに基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例などに制限されるものではない。なお、実施例に用いた混練および反応装置は、密閉式加圧型ニーダー[1バッチ容量500cc、(株)モリヤマ、MS式加圧型ニーダー(登録商標)D0.5−5、(加圧蓋に圧力計を取り付けた)]である。
(製造例1)
竹林から伐採してきた竹を竹割り装置で裁断し、その後、粗粉砕装置を用いて破砕した後、微粉砕装置を用いて粉砕を行った。粉砕した竹繊維の寸法測定は、走査電子顕微鏡観察による実測定の方法により行った。その結果、竹繊維の平均繊維径は30〜300μmの範囲内の竹繊維であった。平均繊維径が300μm以上の大きい竹繊維は、さらに微粉砕装置に再送して、300μm以下に粉砕して用いた。得られた竹繊維から一部を取り出して、熱風加熱乾燥機により、105℃で、120分間加熱して、竹繊維の水分含有率1.5質量%にして実験に供した。本実験で得られた無処理竹繊維の嵩密度は0.28g/cm、平均繊維径は50μm、平均繊維長は0.2mmであった。
(実施例1)
密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に、製造例1で得られた竹繊維の所定量の半分(175g)を投入する。その後、密閉式加圧型ニーダーを稼動して、混合槽内の竹繊維を圧縮して、竹繊維の密度を高めた。次に、加圧蓋を徐々に開けて、残りの半分(175g)の竹繊維と無水マレイン酸7.70gおよびアリルグリシジルエーテル10.72gを密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入する。その後、反応温度120℃、反応時間20分間、混練回転数80rpm−1の条件で、その上、加圧蓋で竹繊維に0.26MPaの圧力を加えながら混練を行い、同時にオリゴエステル化反応を行ってオリゴエステル化竹繊維を得た。
(実施例2)
密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に、製造例1で得られた竹繊維の所定量の半分(175g)を投入する。その後、密閉式加圧型ニーダーを稼動して、混合槽内の竹繊維を圧縮して、竹繊維の密度を高めた。次に、加圧蓋を徐々に開けて、残りの半分(175g)の竹繊維と無水マレイン酸7.70gおよびアリルグリシジルエーテル10.72gを密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入する。その後、反応温度120℃、反応時間20分間、混練回転数80rpm−1の条件で、その上、加圧蓋で竹繊維に0.50MPaの圧力を加えながら混練を行い、同時にオリゴエステル化反応を行ってオリゴエステル化竹繊維を得た。
(比較例1)
密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に、製造例1で得られた竹繊維180gと無水マレイン酸3.96gおよびアリルグリシジルエーテル5.51gを密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入する。その後、反応温度120℃、反応時間20分間、混練回転数80rpm−1の条件で、大気圧(0.10MPa)下で混練を行い、同時にオリゴエステル化反応を行ってオリゴエステル化竹繊維を得た。
(比較例2)
製造例1で得られた無処理竹繊維を比較例2として用いた。
実施例1、2および比較例1で得られたオリゴエステル化竹繊維と比較例2で得られた無処理竹繊維の嵩密度と平均繊維径の結果を表1に示した。
(表1)
Figure 2016030881
表1に示された結果から、実施例1および2で得られたオリゴエステル化竹繊維は、比較例1で得られたオリゴエステル化竹繊維と比べ、嵩密度および平均繊維径において大きな差があることが認められた。加圧蓋の圧力0.26MPaの条件で得られた実施例1のオリゴエステル化竹繊維および加圧蓋の圧力0.50MPaの条件で得られた実施例2のオリゴエステル化竹繊維は、大気圧(0.10MPa)下で得られた比較例1のオリゴエステル化竹繊維に比べて、嵩密度においては大きな数値を示し、平均繊維径においては小さな数値を示した。したがって、実施例1および2の加圧蓋の圧力が、0.10MPa以上の圧力下で得られたオリゴエステル化竹繊維は、オリゴエステル化反応中に、竹繊維の微細化が促進されていることが分かる。
一方、比較例1の大気圧(0.10MPa)下で得られたオリゴエステル化竹繊維の平均繊維径は48μmであり、比較例2の無処理竹繊維の平均繊維径は50μmであることから、ほとんど竹繊維の微細化が進んでいないことが分かる。
実施例1および実施例2で得られたオリゴエステル化竹繊維を走査型電子顕微鏡で観察した結果の拡大図(500倍)を図1(A)および図1(B)に示す。図1において、スケールバーは50μmである。
比較例1で得られたオリゴエステル化竹繊維および比較例2で得られた無処理竹繊維を走査型電子顕微鏡で観察した結果の拡大図(500倍)を図2(C)および図2(D)に示す。図2において、スケールバーは50μmである。
図2(C)および図2(D)に示された結果から、比較例1の大気圧(0.10MPa)下で得られたオリゴエステル化竹繊維の平均繊維径は、比較例2の無処理竹繊維の平均繊維径と比べてほぼ同じ大きさを示して、竹繊維の微細化はされていないことが分かる。一方、図1(A)および図1(B)に示された結果から、実施例1および2の加圧蓋の圧力が、0.10MPa以上の圧力下で得られたオリゴエステル化竹繊維の平均繊維径は小さく、竹繊維の微細化が促進されていることが明らかである。
(実施例3)
強化繊維として、実施例2で得られたオリゴエステル化竹繊維を用い、熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン樹脂「日本ポリエチレン(株)製、メタロセンプラストマー(エチレン/α-オレフィン共重合):カーネルKF370(MFR:3.5g/10分・密度(D):0.905g/cm)」を用いた。オリゴエステル化竹繊維(A)と低密度ポリエチレン樹脂(B)との質量比[(A)/(B)]が20/80となるように混合し、二軸混練機により均一な組成になるまで混練して、混練物(ペレット)を得た。この混練物は、優れた熱流動性を有するオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であった。この混練物(ペレット)を熱圧成形機内に設置された2枚のステンレス板の間に挿入して、熱圧成形を行い、厚さ200μmのシートを作製した。
(比較例3)
実施例3において、実施例2で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いる代わりに比較例1で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行い、混練物(ペレット)を得た。この混練物は、熱流動性が劣るオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であった。この混練物(ペレット)を熱圧成形機内に設置された2枚のステンレス板の間に挿入して、熱圧成形を行い、厚さ200μmのシートを作製した。
(比較例4)
実施例3において、実施例2で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いる代わりに比較例2で得られた無処理竹繊維を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行い、混練物(ペレット)を得た。この混練物は、熱流動性が劣る無処理竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であった。この混練物(ペレット)を熱圧成形機内に設置された2枚のステンレス板の間に挿入して、熱圧成形を行い、厚さ200μmのシートを作製した。
実施例3および比較例3,4で得られた厚さ200μmのシートの引張試験と耐水性試験を行い、その結果を表2に示した。引張試験はJIS K7127の試験方法に従って行った。耐水性試験はJIS K7209、およびJIS K7130に準じて行った。なお、吸水時間は100時間とした。
(表2)
Figure 2016030881
表2に示された結果から、実施例3で得られたシートは、比較例3,4で得られたシートと比べ、引張試験においては、最大点応力、破断点応力が大きく、また耐水性試験においては、シート厚さ膨潤率が非常に小さいことが認められた。すなわち、本発明によって得られた実施例3のシートは、優れた耐水性および高剛性を有することが分かる。
(実施例4)
強化繊維として実施例1で得られたオリゴエステル化竹繊維を用い、熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン樹脂「日本ポリエチレン(株)製、メタロセンプラストマー(エチレン/α-オレフィン共重合):カーネルKF370(MFR:3.5g/10分・密度(D):0.905g/cm)」を用いた。オリゴエステル化竹繊維(A)と低密度ポリエチレン樹脂(B)との質量比[(A)/(B)]が20/80となるように混合し、二軸混練機により均一な組成になるまで混練して、混練物(ペレット)を得た。この混練物は、優れた熱流動性を有するオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であった。この混練物(ペレット)をインフレーション押出成形機のホッパー内に挿入し、暖められたシリンダー内のスクリューによって溶融され、ダイスから筒状のフィルムをピンチロールで引っ張り上げて、厚さ30μmのフィルムを作製した。
(実施例5)
実施例4において、実施例1で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いる代わりに実施例2で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いたことを除き、実施例4と同様の操作を行い、混練物(ペレット)を得た。この混練物は、優れた熱流動性を有するオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であった。この混練物(ペレット)をインフレーション押出成形機のホッパー内に挿入し、暖められたシリンダー内のスクリューによって溶融され、ダイスから筒状のフィルムをピンチロールで引っ張り上げて、厚さ30μmのフィルムを作製した。
(比較例5)
実施例4において、実施例1で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いる代わりに比較例1で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いたことを除き、実施例4と同様の操作を行い、混練物(ペレット)を得た。この混練物は、熱流動性が劣るオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であった。この混練物(ペレット)をインフレーション押出成形機のホッパー内に挿入し、暖められたシリンダー内のスクリューによって溶融され、ダイスから筒状のフィルムをピンチロールで引っ張り上げて、厚さ30μmのフィルムを作製した。しかしながら、約半分ばかりはフィルム表面に穴あきが見られて、フィルムを得ることが困難であった。
(比較例6)
実施例4において、実施例1で得られたオリゴエステル化竹繊維を用いる代わりに比較例2で得られた無処理竹繊維を用いたことを除き、実施例4と同様の操作を行い、混練物(ペレット)を得た。この混練物は、熱流動性が劣る無処理竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であった。この混練物(ペレット)をインフレーション押出成形機のホッパー内に挿入し、暖められたシリンダー内のスクリューによって溶融され、ダイスから筒状のフィルムをピンチロールで引っ張り上げて、厚さ30μmのフィルムの調製を試みた。しかしながら、フィルム表面に穴あきが見られて、フィルム状にはならなかった。
実施例4,5および比較例5で得られた厚さ30μmのフィルムの外観物性結果を表3に示した。フィルムの膨比は、実施例5のフィルムの熱膨張率を1.00とした場合の比較係数で表した。
(表3)
Figure 2016030881
表3に示された結果から、本発明の実施例4および5で得られた厚さ30μmのフィルムに関して、フィルム表面は平滑性を有し、またフィルムの引裂強度は強いものであった。一方、比較例5で得られたフィルムは、厚さ30μmの薄いフィルムを得ることが難しく、また得られたフィルムの表面はザラザラしたものであった。
竹繊維の抗菌性に関して、竹繊維のオリゴエステル化処理による影響について確認した。試料1は、オリゴエステル化処理前の竹繊維(製造例1で得られた無処理竹繊維)である。試料2は、オリゴエステル化処理後の竹繊維(実施例2で得られたオリゴエステル化竹繊維)である。抗菌性試験は、JIS L1902:2008 定量試験(菌液吸収法)に準用する。生菌数の測定方法は、混釈平板培養法で行った。試験菌株は、大腸菌で行った。
試料1および試料2の抗菌性試験の結果を表4に示した。
(表4)
Figure 2016030881


(試験成立条件:増殖値≧1.0であること)
Figure 2016030881
(注1)試料を0.4g採取し、菌液を0.2ml接種した。
表4に示された結果から、試料1と試料2の殺菌活性値および静菌活性値は全く同じである。すなわち、竹繊維の抗菌性に関して、竹繊維のオリゴエステル化処理による影響はないものと考えられる。
つぎに、オリゴエステル化竹繊維含有フィルムの抗菌性に関して確認した。試料3は、実施例5で得られたフィルムである。抗菌性試験は、JISZ2801(フィルム密着法)による。試験菌株は、黄色ぶどう球菌で行った。
試料3の抗菌性試験の結果を表5に示した。
(表5)
Figure 2016030881

(対照区には、ポリエチレンフィルムを使用)
Figure 2016030881

(注1) 試験菌液摂種量:0.4ml
(注2) 抗菌活性値は、log(B/C)で計算した。
(注3) 抗菌性能評価基準は抗菌活性値で2.0以上あること。
表5に示された結果から、試料3の抗菌活性値は2.6で、抗菌性能評価基準の抗菌活性値2.0以上である。したがって、試料3のオリゴエステル化竹繊維含有フィルムは、抗菌性試験(黄色ぶどう球菌)に合格し、抗菌性を有することが分かる。

Claims (8)

  1. 平均繊維径30〜300μmの範囲内の竹繊維と多塩基酸無水物と不飽和結合を有するモノエポキシ化合物とを、密閉式加圧型ニーダーの混合槽内に投入して、混練しながらオリゴエステル化反応するオリゴエステル化竹繊維の製造方法において、混練時の混合槽内の温度が70〜200℃、回転数が10min−1以上、加圧蓋の圧力が0.10MPa以上の圧力で竹繊維に圧力を加えながら2〜120分間混練して、混練中にオリゴエステル化反応すると同時に竹繊維の平均繊維径を30μm以下に微細化することを特徴とするオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
  2. 前記加圧蓋の圧力が0.26MPa以上である請求項1記載のオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
  3. 前記多塩基酸無水物が無水マレイン酸である請求項1または2記載のオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
  4. 前記不飽和結合を有するモノエポキシ化合物がアリルグリシジルエーテルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のオリゴエステル化竹繊維の製造方法。
  5. オリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、
    (A)請求項1〜4のいずれか1項に記載のオリゴエステル化竹繊維と、
    (B)熱可塑性樹脂と
    を含有してなり、前記(A)と(B)との質量比〔(A)/(B)〕が5/95〜95/5であるオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項5記載のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用いるオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項5または6記載のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形させてなるオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
  8. 前記成形体がフィルムである請求項7記載のオリゴエステル化竹繊維強化熱可塑性樹脂成形体。









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