以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、図1に示すように、給油口キャップ80は、自動車、農機具、発電機、芝刈り機、オートバイ、船舶、建設機械、道路工事用機械等(以後、これらを総称して「自動車81」という。)に搭載され、燃料タンク82に燃料としてのガソリンGを注入する際に、前記燃料タンク82の上面に設けられた給油口を開閉するものである。
即ち、前記給油口を介して前記燃料タンク82内部と大気とは連通し、前記給油口キャップ80を開いて前記燃料タンク82内にガソリンGを注入でき、前記給油口キャップ80を閉めると、前記給油口を介する大気との前記連通は遮断される。
尚、前記ガソリンGを貯留する前記燃料タンク82とガソリンエンジン83との間には、キャニスタ85を備えた後述する弁機構体100、大気に連通する気化器86が順次中空状の配管84を介して接続されている。この場合、本実施形態においては、前記弁機構体100と前記キャニスタ85とは一体に構成するが、別々に構成してもよい。
そして、前述した給油口キャップ80と前記弁機構体100とで、前記燃料タンク82の弁体装置を構成し、前記キャニスタ85を備えた前記弁機構体100は前記燃料タンク82と前記気化器86との間に配設されている。87はポンプで、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGを前記配管84を介して前記ガソリンエンジン83に供給する。
図1及び図2に示すように、前記燃料タンク82の上面に開設された開口82Aに連通する中空状の取付筒部82Bが前記燃料タンク82の上面に設けられる。そして、前記取付筒部82Bの内側面には、ネジ溝82Cが開設されている。
以下、前記弁機構体100の第1の実施形態について、図2乃至図5に基づいて説明する。先ず、前記弁機構体100の最上部に位置する前記キャニスタ85は、上面を開口せる有底筒状を呈すると共に熱可塑性の合成樹脂材料で作製された筒状部材10を備え、前記筒状部材10の内部空間S1内に吸着部材である活性炭11を収納している。
12は前記気化器86に連通すると共に前記内部空間S1に連通する連通口13が開設された蓋部材で、熱可塑性の合成樹脂材料で作製され前記筒状部材10の上面開口を閉塞する。そして、前記筒状部材10の上面には超音波によって溶着して固定される平面円形状の凸部10Aが形成され、超音波溶着により前記凸部10Aを介して前記筒状部材10と前記蓋部材12とは固定される。
また、前記筒状部材10はその底面10Bの中央部において、下面に円筒状の溝16が形成されると共に、前記溝16内の空間S3と前記内部空間S1とを連通する空間S2を形成するネジ溝17が形成されている。
19は内部空間S5内にフィルタ20を収納する収納部材で、上面開口が蓋部材22により閉塞される。前記蓋部材22は、前記筒状部材10の前記溝16内にOリング18を収納した状態で前記筒状部材10の前記ネジ溝17に内側から螺合するネジ溝21が外周面に形成される筒状部22Aを備え、前記内部空間S1と前記内部空間S5とを連通する空間S4が形成される。
また、前記収納部材19は、その底面19Aの中央部における下面に円筒状の溝24が形成されると共に、前記溝24内の空間S7と前記内部空間S5とを連通する空間S6を形成するネジ溝25が形成されている。
前記収納部材19の上端部の上面には、超音波によって溶着して固定される平面視円形状の凸部19Bが形成され、前記フィルタ20が収納された前記収納部材19と前記蓋部材22とが固定される。
27は中空の筒状体で、小径筒状部材30と該小径筒状部材30の下部に連続して形成される大径筒状部材31とから構成される。前記小径筒状部材30は、前記収納部材19の前記溝24内にOリング26を収納した状態で外側面に前記ネジ溝25に内側から螺合するネジ溝28が形成されると共に、内部に前記内部空間S5に連通する空間S8が形成される。また大径筒状部材31は、内部に前記空間S8に連通する空間S9が形成される。
そして、前記筒状体27の下端部には中空の筒本体33が固定され、該筒本体33はその下端に下壁33Aが形成された円筒形状の大径筒状部34と、該大径筒状部34の上端部に連続して形成された前記大径筒状部34より外径が小径の中径筒状部35と、該中径筒状部35の上端部に連続して形成され上方に向けて外径が徐々に小径となる肩筒状部36と、この肩筒状部36の上端部に連続して形成された小径の小径筒状部37とから構成される。
そして、図5に示すように、前記大径筒状部34と前記中径筒状部35との段差面33C上に超音波によって溶着して固定される平面視円形状の凸部33Dが形成され、前記段差面33C上に前記凸部33Dを介して上方から前記筒状体27を超音波溶着により取り付け固定した状態では、前記小径筒状部37は前記空間S9内に前記筒状体27とは少し離れた状態で収納され、しかも前記小径筒状部37が前記空間S9内の略中心位置に面するように固定される。なお、前記筒状体27と前記筒本体33とは、熱可塑性の合成樹脂材料で作製される。
従って、図4に示すように、前記大径筒状部34内に円柱状の第1空間S13が、前記中径筒状部35内に前記第1空間S13に連通するこの第1空間S13の外径より小径の円柱状の第2空間S12が、前記肩筒状部36内に前記第2空間S12に連通する概ね円錐台形状の第3空間S11が、前記小径筒状部37内に前記第3空間S11及び前記筒状体27の前記空間S9に連通する円柱状の第4空間S10がそれぞれ形成されることとなる。なお、前記第3空間S11を形成すると共に傾斜した壁面36Aを有する前記肩筒状部36は、前記弁機構体100の弁部を構成する。
なお、前記肩筒状部36内には前記第3空間S11が形成されるが、前記肩筒状部36の内面は、前記第2空間S12を形成する前記中径筒状部35の壁面35Bに接続する外端寄りの底面であって内側に向かうに従って僅か上方に向けて傾斜した前記壁面36Aと、この壁面36Aの内側寄りに連続して更に内側に向かうに従って、例えば45度程度上方へ傾斜した壁面36Bとにより形成される。即ち、傾斜した前記壁面36Aは、一端(下端)が前記壁面35Bに接続し、他端(上端)が前記壁面36Bに接続している。従って、第1の壁面である前記壁面36Aは、第2の壁面である前記壁面35Bと第3の壁面である前記壁面36Bとを接続している。
そして、弁体40をその外周端部が前記中径筒状部35の前記壁面35Bに設けられた後述するリブ41に接しない状態で、その上面の外周における端部である周端部を含む周縁部が前記肩筒状部36の前記壁面36Aとは下方へ僅か離れた、例えば移動するためのストロークを確保するため、例えば0.01〜0.8mm程度離れた位置において、隙間35Sを存して弁体支持部材42の上面上に載置した状態で前記中径筒状部35内の第2空間S12内に収納する。前記弁体40の前記周縁部は、前記周端部を含み、該周端部より内側の所定幅の部分である。
前記弁体40を支持する前記弁体支持部材42は、前記第1空間S13及び第2空間S12内に収納され、外形を概ね円柱状を呈して平面視円形の中心には上下に連通する第1空気通路である空気通路43が開設され、下の大径部42Aと上の小径部42Bとを備えている。前記小径部42Bの上面は、その周端部を含む周縁部が上方に向かって小径となるように、面取りされている。なお、前記弁体40の周縁部の動作を軽減するために、前記燃料タンク82内の圧力の負圧又は昇圧に応じて、前記隙間35Sの寸法を前述した0.01〜0.8mmの範囲内で適宜選択すればよい。
従って、前記弁体40は、前記周端部を含む前記周縁部が前記壁面36Aと少し離れて前記小径部42B上に載置されると共に、この載置されたときにその上面中央部が前記第3空間S11に面することとなる。
なお、例えば0.05〜1.0mm程度の薄い円板状を呈する前記弁体40の外径は前記弁体支持部材42の上面(前記弁体40を支持する面)の外径より大きく、且つ前記壁面35B上に内方に突設した複数条の前記リブ41先端がその円周上に有る円の直径よりも小さい平面視円形状を呈する。即ち、前記弁体40が前記弁体支持部材42の上面に載置された際に、該弁体40の前記外周端部が複数条の前記リブ41のうち、いくつかに接しても、該弁体40は前記外周端部が全ての前記リブ41には接しない外径を有する。
そして、前記弁体40は、変形することができ、また変形しても元の形に復帰できる弾性体材料で構成されたもので、ガソリン、軽油、エタノール、メタノール等の溶剤であるガソリンに対して耐溶剤性、耐熱性(例えば、80℃以上)、弾性、柔軟性、非粘着性などを有し、軽く、また通気性の無い(非通気性の)材料で作製される。
具体的には、前記弁体40は、フッ素樹脂、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン66等や、チタンやアルミニウムなどの錆びにくい金属材料等で作製されるが、この材料に応じて薄板状やフィルム状を呈したり、独立気泡性を有する発泡体や成型品で構成してもよい。また、前記燃料タンク82内の圧力や外気により移動する必要があるので、軽量である。
なお、前記弁体40は、全部を同一の厚さとする必要もなく、前記周縁部よりも中央部を厚くしてもよく、例えば前記弁体40の第2の実施形態の前記弁体40の平面図である図6(IA)及び同じく第2の実施形態の前記弁体40の中心を通る縦断面図である図6(IB)に示すように、平面視円形状を呈するが、前記肩筒状部36の前記壁面36Aの上端(後述する支点36C)を通る円の直径よりも小径の膨出部40Aをその上面中央部に、或いは前記上面中央部と下面中央部に設けてもよい。前記膨出部40Aは、その外形が円形状を呈する。
また、前記弁体40の第3の実施形態の前記弁体40の中心を通る縦断面図である図6(J)に示すように、前記弁体40の上面の外形が円錐状を呈するように、その中心が最も厚くなるように、中心に向かって徐々に厚くなるものでもよい(なお、その下面も同様な形状としてもよい。)。
更には、前記弁体40の第4の実施形態の前記弁体40の中心を通る縦断面図である図6(K)に示すように、前記弁体40の上面の外形が縦断面形状が円弧状を呈するように、その中心が最も厚くなるように、中心に向かって徐々に厚くなるものでもよい(なお、その下面も同様な形状としてもよい。)。以上のようにするのは、反発弾性と曲げ強度を補強するためである。
前記小径部42Bの上面には前記空気通路43の上端とその中央部が連通する第2空気通路を構成する平面視十字形状の溝43Dが形成され、該溝43Dと前記小径部42Bの上に載置される前記弁体40とで前記第2空気通路である空気通路45が形成される。従って、前記第1空気通路である前記空気通路43と前記第2空気通路である前記空気通路45とは連通する。
そして、前記弁体支持部材42の大径部42Aの外径は前記大径筒状部34の内径より僅か小さい。また、前記弁体支持部材42の小径部42Bの外径は前記弁体40の外径よりも小さく、前記弁体40の外径の、例えば40%以上〜70%以下とし、前記弁体40が前記弁体支持部材42上面に載置された状態では、前記弁体40の前記周縁部は前記小径部42B上には載置されずに前記第2空間S12内で浮いた状態である。
従って、前記弁体支持部材42を前記大径筒状部34内に収納すると、前記小径部42Bが前記弁体40を載置した状態で前記中径筒状部35内に入り込むと共に、且つ前記弁体支持部材42の前記大径部42Aと前記小径部42Bとの段差面42Cが前記大径筒状部34の前記第1空間S13を形成する面と前記中径筒状部35の前記第2空間S12を形成する面との段差面35Aに当接した状態となる。
そして、前記中径筒状部35の前記第2空間S12を形成する前記壁面35Bの内側面には内方へ向けて所定間隔を存して上下方向に延びる複数条の前記リブ41が突設される。該リブ41により、前記弁体40と前記壁面35Bとの接触抵抗を減少させ、前記弁体40の上下方向の移動を円滑にしている(図5参照)。また、前記肩筒状部36の円錐台形状の前記第3空間S11を形成する前記壁面36Bの内側面には内方へ向けて所定間隔を存して上下方向に延びる複数条のリブ46が突設される。
48は取付部材で、前記弁体40を載置した前記弁体支持部材42を前記大径筒状部34の前記第1空間S13内に収納した状態で、前記取付部材48は前記筒本体33の前記下壁33Aに固定される。そして、前記取付部材48は上壁48Aと側壁48Bとを備え、前記上壁48Aの略中央部には開口50が開設され、前記上壁48Aの裏面には中央部に前記開口50に連通する連通路51Sが形成されると共に外側面にネジ溝52が形成された取付筒51が形成される。また、前記上壁48Aには、ビス53の取付孔49が開設されると共に前記筒本体33の前記下壁33Aに超音波によって溶着して固定される平面視円弧状の凸部54(円周の半分程度の長さ)が設けられている。前記筒本体33と前記取付部材48とは、熱可塑性の合成樹脂材料で作製されている。
また、前記筒本体33の前記下壁33Aにはビス孔33Bが形成されており、該ビス孔33Bと前記取付部材48の前記上壁48Aに形成された前記取付孔49とを合致させた状態で、前記ビス53を前記取付孔49に挿通して前記ビス孔33Bに螺合させて、また前記筒本体33の前記下壁33Aに前記凸部54を介して超音波溶着して、前記筒本体33内に前記弁体支持部材42を収納させた状態で前記取付部材48と前記筒本体33とを固定する。
なお、このように、前記ビス53及び超音波溶着により、前記取付部材48を前記筒本体33の前記下壁33Aに固定するようにしたが、これに限らず、前記凸部54を円周分形成して超音波溶着のみにて固定したり、複数の前記ビス53と、複数の前記取付孔49及び複数の前記ビス孔33Bとにより固定してもよい。但し、超音波溶着する場合には、前記筒本体33及び前記取付部材48は、熱可塑性合成樹脂材料で作製する必要がある。
そして、以上のように組み立てられた前記弁機構体100を、図2に示すように、前記燃料タンク82に取り付ける。即ち、前記燃料タンク82の上面に設けられた前記取付筒部82Bの内側面に形成された前記ネジ溝82Cと前記取付部材48の前記取付筒51の前記ネジ溝52とを螺合させることにより、前記弁機構体100を前記燃料タンク82に取り付ける。
なお、前記弁機構体100を前記燃料タンク82に取り付ける構造については、前述した構造に限られず、種々の構造がある。即ち、例えば図7に示すように、前記燃料タンク82の上面に設けられた取付筒部82D(ネジ溝が形成されていない。)と前記取付部材48の取付筒51A(ネジ溝が形成されていない。)との間にOリング55を介在させた状態で、前記取付筒部82Dと前記取付筒51Aとを嵌合させて固定してもよい。
なお、本実施形態において、前記キャニスタ85、前記収納部材19、前記筒状体27、前記筒本体33、前記弁体40、前記弁体支持部材42、前記取付部材48は、ガソリン、軽油、エタノール、メタノール等の溶剤であるガソリンに対して耐溶剤性のある合成樹脂材料であるナイロン6又はナイロン66により作製する。
次に、図8から図13に基づいて、前記弁機構体100の作用について説明する。初めに、前述したように組み立てられた前記弁機構体100を前記燃料タンク82に取り付けた状態で、前記給油口キャップ80を前記燃料タンク82から外して、前記燃料タンク82内に前記給油口を介して前記ガソリンGを注入して、前記給油口キャップ80により前記給油口を閉めて、該給油口を介する前記燃料タンク82内部と大気との連通を遮断する。
先ず、前記ガソリンGを前記燃料タンク82内に注入して、前記給油口キャップ80を前記給油口を塞ぐように取り付けた直後では、前記燃料タンク82の内部と外部の圧力が均衡しており、空気の出入りが無い状態で、空気の出入りのための前記弁機構体100の各空気通路が開放されて前記燃料タンク82の内部と外部とが連通している状態である(図5、図8参照)。
即ち、前記弁体支持部材42上には前記弁体40が載置されており、該弁体40が前記中径筒状部35の前記第2空間S12内に前記肩筒状部36の前記壁面36Aと僅か離れた位置に前記隙間35Sを存して収納されており、前記弁機構体100を介して前記燃料タンク82の内部と外部とが連通している。即ち、前記燃料タンク82の前記開口82A、前記取付部材48の前記取付筒51の前記連通路51S及び前記上壁48Aに開設された前記開口50、前記弁体支持部材42内の前記空気通路43、前記弁体支持部材42に形成された前記溝43Dと前記弁体40とで形成された前記空気通路45、前記筒本体33の前記第2空間S12、前記第3空間S11、前記第4空間S10、前記筒状体27の前記空間S9及びS8、前記収納部材19の前記内部空間S5、前記蓋部材22の前記空間S4、前記筒状部材10の前記内部空間S1、前記蓋部材12の前記連通口13、前記気化器86を経て、前記燃料タンク82の内部は大気(前記燃料タンク82の外部)に連通している。
次に、前記ガソリンエンジン83の停止中において、外気温度が上昇して、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが蒸発して気化ガス(Volatile Organic Compounds Gasで、「VOCガス」と略す。)が発生した場合には、前記燃料タンク82内の内圧が高まるので、軽い前記弁体40を上昇させる。従って、図9に示すように、この弁体40の上面の前記周端部が前記第2空間S12を形成する傾斜した前記壁面36Aに当接することとなる。
但し、この場合、前記燃料タンク82内の圧力が上昇して、例えば0.1kPaになると、上昇した前記弁体40の上面の前記周端部が前記壁面36Aに線接触で当接する。この当接により、前記筒本体33内の前記第2空間S12と前記第3空間S11(前記気化器86を介して大気に連通している。)との連通が遮断されることとなる。
従って、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが蒸発して前記VOCガスが発生しても、前記弁機構体100内の前記弁体40により前記自動車81外部へ(大気中へ)放出されることが防止される。このため、前記ガソリンGから蒸発した有害な前記VOCガスを前記自動車81外部に放出させることなく、環境汚染を防止できる。
そして、前記ガソリンエンジン83の停止中において、外気温度の更なる上昇に伴い、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが蒸発することによる前記VOCガスの発生量が増大して、前記燃料タンク82内の内圧が更に高まるにつれ、前記弁体40の中央部が上方へ凹んで前記筒本体33内の前記第3空間S11内に入り込む量も増大して、前記弁体40の上面の前記周端部が前記壁面36Aに線接触している状態から該弁体40の前記周縁部が面接触しはじめ、その接触する面積が徐々に増大することとなる(図10参照)。
なお、前記弁体40と前記肩筒状部36の前記壁面36Aとの前記隙間35Sを設けることなく、前記弁体40の上面の前記周端部が前記壁面36Aと接触して前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を遮断した状態で、この弁体40を前記小径部42B上に載置してもよい。この場合には、前記燃料タンク82内の圧力が、例えば0.1kPa以上になると、前記弁体40を前記隙間35Sを設けて配設した場合と同様に、前記燃料タンク82内の内圧が更に高まるにつれ、前記弁体40の中央部が上方へ凹んで前記第3空間S11内に入り込む量も増大して、前述したように、前記弁体40の上面の前記周端部が前記壁面36Aに線接触している状態から該弁体40の前記周縁部が面接触しはじめ、その接触する面積が徐々に増大することとなる。
そして、前記燃料タンク82内の圧力が、例えば1kPa以上となると、前述したように前記弁体40を前記隙間35Sを設けて配設した場合や、前記隙間35Sを設けないで配設した場合でも、この弁体40の中央部が上方へ相当量凹むこととなり、平面視すると、前記弁体40の中央部が上方へ凹んで外径が短くなるように変形して、前記弁体40の上面の前記周端部が前記壁面36Aに線接触して当接している状態から、該弁体40の設定した変形強度の圧力である、例えば3kPaに至るまでは、この弁体40の所定幅の前記周縁部が傾斜した前記壁面36Aに面接触して密着することとなる。
従って、図9に示す状態よりも、前記ガソリンGが蒸発することによる前記VOCガスの発生量が増大した場合でも、このVOCガスが前記弁体40により前記自動車81外部へ(大気中へ)放出されることが防止される。このため、前記ガソリンGから蒸発した有害な前記VOCガスを前記自動車81外部に放出させることなく、前記自動車81の燃費向上が図れると共に環境汚染の防止ができる。
このように、前記燃料タンク82内の圧力が、前記弁体40の設定した変形強度の圧力である、例えば3.0kPaとなる前であれば、前記ガソリンGが蒸発することにより発生した前記VOCガスが前記弁体40により前記自動車81外部へ(大気中へ)放出されることが防止される。また、前記ガソリンエンジン83の停止中において、前記自動車81が30度程度傾斜した場合でも、前記ガソリンGの前記自動車81外部への放出を防止できる。即ち、前記傾斜したときの前記ガソリンGの液圧により、前記弁体40の所定幅の周縁部が前記壁面36Aに面接触で密着することとなって、前記ガソリンGの前記自動車81外部への放出が防止される。
更には、前記ガソリンエンジン83の停止中において、更に外気温度が上昇して、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが蒸発することによる前記VOCガスの発生量が更に増大し、前記燃料タンク82内の圧力が更に高まって前記弁体40の設定した変形強度以上である3.0kPa以上になると、前述したように前記弁体40を前記隙間35Sを設けて配設した場合や、前記隙間35Sを設けないで配設した場合でも、その圧力に前記弁体40が抗しきれずに変形して、前記弁体40の中央部が更に上方へ凹むこととなる。
即ち、図11及び図12に示すように、前記弁体40の中央部が更に上方へ凹んで、平面視、即ち上方から見ると外径が短くなるように変形する。従って、前記弁体40は弾性体材料で構成されて、柔軟性を有するので、図12に示すように、この弁体40の中央部が上昇して前記第3空間S11内に入り込んで、傘が畳まれたときのように窄まって、外径が短くなるように変形して、この弁体40の前記支点36C(前記壁面36Aと36Bとの境界部分で、前記壁面36Bの下端部分)に接する位置がこの弁体40における外側の位置に移動して、その移動した分だけ折り畳まれて前記弁体40に皺ができて、該弁体40の前記周縁部には前記支点36Cに当接する部分と当接しない凹んだ部分とができるように変形することとなる。
このため、前記燃料タンク82内の圧力が、前記弁体40の設定した変形強度以上の圧力である3kPa以上となって、上述したように、前記弁体40が大きく変形すると、前記支点36Cに当接しない前記凹んだ部分の空間を介して、前記第2空間S12と前記第3空間S11とが連通することとなる。
従って、前記燃料タンク82内の過大な圧力(VOCガスを含む。)は、前記筒状体27の前記空間S9及びS8、前記収納部材19の前記内部空間S5(前記フィルタ20)、前記蓋部材22の前記空間S4、前記筒状部材10の前記内部空間S1(前記活性炭11)、前記蓋部材12の前記連通口13を介して瞬時に、前記燃料タンク82外部に放出されることとなり(図11及び図12参照)、前記燃料タンク82の内の圧力は前記弁体40の設定された変形強度の圧力未満の圧力の状態になる。即ち、前記燃料タンク82外部に放出された前記VOCガスを前記弁機構体100の前記キャニスタ85内に設けた吸着部材(前記活性炭11)に吸着させると共に、前記ガソリンエンジン83の運転中は前記筒状部材10の側壁に開設された通気口10Cより大気を吸入することにより前記吸着部材に吸着した前記VOCガスを離反して大気に連通する前記気化器86へと導びいて前記ガソリンエンジン83にて燃焼させ、また前記ガソリンエンジン83の停止中は前記吸着部材に吸着したままである。これにより、前記VOCガスを前記自動車81外部の大気中に放出することがなくなり、環境汚染を更に防止でき、燃費の向上も図ることができる。
以上のように、前記燃料タンク82内の圧力が所定圧力(3.0kPa以上)まで上昇すると、前記第2空間S12と前記第3空間S11とが連通して、前記燃料タンク82内の前記VOCガスを前記燃料タンク82外部に放出させるようにしたのは、このようにしないと、前記給油口キャップ80を前記自動車81から外した際に、前記燃料タンク82内の圧力によって前記ガソリンGが前記自動車81外部に飛び散ることとなって危険であるからであり、前記弁機構体100は安全弁としての機能を果たすものである。
前述したように、前記肩筒状部36に、この肩筒状部36の内部空間を形成して前記弁体40の上面の前記周端部が当接する前記壁面36Aと、大気に連通する前記小径筒状部37の前記第4空間S10に連通すると共に前記弁体40の中央部が入り込める前記第3空間S11とを形成し、図8に示すように、前記肩筒状部36の上下方向に延びた左右の中心軸線と前記支点36Cとの長さL1と前記支点36Cと前記壁面36Aの外端部との長さL2(前記支点36Cと前記弁体40の外端部との長さとも言える。)との比率を変更することにより、前記支点36Cを支点とする梃子の原理の応用によって、前記弁体40の変形強度が設定できる。
従って、前記弁体40による前記筒本体33内の前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通又は遮断するための圧力、即ち前記燃料タンク82の内部と外部との連通又は遮断するための圧力を設定することができる。以上のように、前記弁体40の材質、厚み、大きさ等による強度と前述した梃子の原理の組み合わせにより、前記支点36Cを基点として前記弁体40が変形する圧力を可変に設定できる。
なお、前記肩筒状部36の前記壁面36Aの上端(前記支点36C)を通る円の直径は、前記弁体40の外径の、例えば45%以上から65%以下とする。これより大きいと、前記弁体40の密着面(前記壁面36Aと密着する面)が無くなり、逆に小さいと前記弁体40が上方へ凹むことが困難となるからである。また、前記弁体支持部材42の前記小径部42Bの上面の外径寸法は、前記弁体40の外径の40%以上から70%以下とする。そして、前記肩筒状部36の前記壁面36Aの上端(前記支点36C)を通る円の直径及び前記小径部42Bの上面の外径寸法は、前記弁体40の強度と梃子の原理により設定する圧力により可変する。
なお、本実施形態では、前記燃料タンク82内の圧力が、例えば3kPa以上になった際に、前記弁体40が図10の状態から図11及び図12の状態になるように、前述した長さL1とL2との比率を設定するものとする。
次に、前述したように、前記燃料タンク82内の圧力が、例えば3kPaになって前記弁体40が大きく変形すると、前記弁体40の前記支点36Cに当接しない凹んだ部分の空間を介して、前記第2空間S12と前記第3空間S11とが連通して、前記燃料タンク82内の過大な圧力(VOCガスを含む。)が瞬時に前記燃料タンク82外部に放出されると、図11及び図12に示す状態から前記燃料タンク82内の圧力を前記弁体40の設定された変形強度の圧力未満の圧力となり、弾性力を有する前記弁体40は図10に示すような状態となる。
即ち、前述したように、前記弁体40の所定幅の前記周縁部が前記壁面36Aに面接触で密着することとなって、前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を遮断して前記VOCガスの前記自動車81外部への放出が防止される。
なお、前記ガソリンの液圧が前記弁体40に作用している状態で、前記ガソリンエンジン83の駆動による前記ガソリンGの消費により前記燃料タンク82内の圧力が負圧になったときについて、以下説明する。前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用している状態とは、前記自動車81が傾斜していない状態で前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが満杯状態のときや、前記自動車81が傾斜して前記燃料タンク82が傾斜しているが前記ガソリンGが前記弁体40に接しているときや、同じく前記燃料タンク82が傾斜しているが前記ガソリンGの液面レベルが前記弁体40より上方の位置にあるときや、前記燃料タンク82が上下180度反転しているとき等が該当する。
これらの前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用している状態では、前記弁体40は前記ガソリンの落差による液圧の大きさにより図9又は図10に示す状態にある。そして、これらの状態において、前記ガソリンエンジン83の駆動による前記ガソリンGの消費により前記燃料タンク82内の圧力が負圧になったときには、前記弁体40は前記液圧が小さいときの図9又は前記液圧が大きいときの図10に示す状態から図13に示す状態となって、前記隙間35Sを拡大してより多くの大気が前記燃料タンク82内に入り込む。
即ち、図13に示すように、前記弁体40の外径は前記弁体支持部材42の上面(前記弁体40を支持する面)の外径より大きいので、前記負圧により前記弁体40の前記周縁部が前記燃料タンク82側へ吸引されて、柔軟性を有する前記弁体40の前記周縁部は前記弁体支持部材42の上面の前記周端部を支点として垂れ下がる状態となる。このため、前記肩筒状部36の傾斜した前記壁面36Aと前記弁体40との前記隙間35S(空間)が拡大することとなるので、瞬時に大気が前記気化器86、前記キャニスタ85の前記蓋部材12の前記連通口13、前記筒状部材10の前記内部空間S1(前記活性炭11)、前記蓋部材22の前記空間S4及び前記収納部材19の前記内部空間S5(前記フィルタ20)、前記筒状体27の前記空間S8及びS9を経て、前記筒本体33の前記第4空間S10、前記第3空間S11及び前記第2空間S12内に前記自動車81外部から入り込むこととなる。
また、図13に示すように、大気が前記燃料タンク82内に入り込んで、この燃料タンク82内が大気圧となると、前記弁体40は前記液圧により押し戻され、この図13に示す状態から図9又は図10に示す状態となる。従って、図9又は図10と図13に示す状態とが繰り返えされることとなり、前記燃料タンク82が傾斜しても、前記弁体40の設定された変形強度の圧力に至るまでの前記液圧であれば、前記燃料タンク82内に大気を取り込んで、前記ガソリンエンジン83の駆動が可能となる。
次に、前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用していない状態で、前記ガソリンエンジン83の駆動による前記ガソリンGの消費により前記燃料タンク82内の圧力が負圧になったときについて、以下説明する。
前記ガソリンの液圧が前記弁体40に作用していない状態とは、前記燃料タンク82内の前記ガソリンが満杯状態でない状態であって、前記自動車81が傾斜していない状態で前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが少なくて前記ガソリンGが前記弁体40に接していないときや、前記自動車81が傾斜して前記燃料タンク82が傾斜していて前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが少なくて前記ガソリンGが前記弁体40に接していないときや、同じく前記燃料タンク82が傾斜していて前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが少なくて前記ガソリンの液面レベルが前記弁体40より下方の位置にあるとき等が該当する。
前記自動車81が傾斜していない状態で、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが少なくて前記ガソリンGが前記弁体40に接していないときには、前記燃料タンク82内が前記負圧になると、前記弁体40が図9又は図10に示す状態から前記弁体支持部材42の前記小径部42B上に落下し、図8に示す状態となって、前記弁体40と前記壁面36Aとの前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込み、該燃料タンク82内は大気圧の状態となる。
また、前記自動車81が傾斜して前記燃料タンク82が、例えば45度程度傾斜していて前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが少なくて前記ガソリンGが前記弁体40に接していないときには、前記燃料タンク82内が前記負圧になると、前記弁体40が図9又は図10に示す状態から前記弁体支持部材42の前記小径部42B上に落下し、前述したように、図8となって、前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込み、この燃料タンク82内は大気圧の状態にされる。
また、同じく前記燃料タンク82が、例えば90度程度傾斜していて前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが少なくて前記ガソリンGの液面レベルが前記弁体40より下方の位置にあるときには、前記燃料タンク82内が前記負圧になると、前記弁体40は図9又は図10に示す状態から前記弁体支持部材42の前記小径部42B上面に接するようになる。このため、前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込み、この燃料タンク82内は大気圧の状態にされる。
以上のように、前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用していない状態で、前記ガソリンエンジン83の駆動による前記ガソリンGの消費により前記燃料タンク82内の圧力が負圧になったときにも、前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込み、前記ガソリンエンジン83の駆動が継続できる。
その後、燃料タンク82内の圧力が上昇すると、前述したように、図9又は図10に示す状態となり、再び前記ガソリンGが消費されて、前記燃料タンク82内の圧力が負圧になると、前述したように、前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込む。
なお、前記弁体40と前記壁面36Aとの前記隙間35Sを小さく設定した場合において、前記燃料タンク82が傾斜しても、前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用していない状態で、前記燃料タンク82内が負圧になったときに、前記燃料タンク82内に大気が入り込む際の空気通路の抵抗が大きくなって、前記燃料タンク82内への前記大気の入り込む量が負圧に対して不足し、図13に示すように、前記弁体40の前記周縁部は垂れ下がり、前記隙間35Sを拡大してより多くの大気を前記燃料タンク82内に入り込ませて、前記負圧を解除することができる。
また、前記隙間35Sを小さく設定すると、空気通路の抵抗が増大し、前記VOCガスが前記燃料タンク82外部に放出する量を少なくして、より小さな前記VOCガスの圧力で、前記弁体40を前記小径部42Bから浮き上がらせることができて、前述したように、前記弁体40が前記筒本体33の前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を遮断することができて、前記VOCガスの前記燃料タンク82外部への放出量を減少させることができる。
なお、前記弁体40と前記肩筒状部36の前記壁面36Aとの前記隙間35Sを設けることなく、前記弁体40の上面の前記周端部が前記壁面36Aと接触して前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を遮断した状態で、この弁体40を前記小径部42B上に載置した場合には、前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用している状態及び作用していない状態でも、前記ガソリンエンジン83の駆動による前記ガソリンGの消費により前記燃料タンク82内の圧力が負圧になると、図9又は図10の状態から図13に示す状態となる。即ち、前記負圧により前記弁体40の前記周縁部が前記燃料タンク82側へ吸引されて、柔軟性を有する前記弁体40の前記周縁部は前記弁体支持部材42の上面の前記周端部を支点として垂れ下がる状態となる。このため、前記肩筒状部36の傾斜した前記壁面36Aと前記弁体40との隙間を形成することとなるので、瞬時に大気が前記キャニスタ85の前記蓋部材12の前記連通口13、前記筒状部材10の前記内部空間S1(前記活性炭11)、前記蓋部材22の前記空間S4及び前記収納部材19の前記内部空間S5(前記フィルタ20)、前記筒状体27の前記空間S8及びS9を経て、前記筒本体33の前記第4空間S10、前記第3空間S11及び前記第2空間S12内に前記自動車81外部から入り込み、前記弁体40は前記負圧が作用していない状態に戻ることとなる。
なお、前記弁体支持部材42の前記小径部42Bと前記壁面35Bに設けられた前記リブ41の先端との隙間は、前記弁体40が垂れ下がるときの移動を妨げない空間を確保している。また、前記弁体支持部材42の前記小径部42Bの外径が長すぎると、前記弁体40の垂れ下がり量が少なくなり、前記弁体40と前記壁面36Aとの前記隙間35Sが確保しにくくなる。
なお、以上の実施形態では、前記肩筒状部36内に概ね円錐台形状の前記第3空間S11を形成したが、図4(DC)に示すように、例えば八角形などの角錐台形状としてもよく、更には半球状としてよい。上面、下面及び複数の側面とで構成される角錐台形状とした場合には、前記燃料タンク82内の圧力が、例えば3kPa以上まで上昇して前記第3空間S11内に前記弁体40の中央部が入り込んで、前記弁体40が大きく変形すると、前記弁体40の前記支点36Cに当接しない凹んだ部分の空間を介して前記第2空間S12と前記第3空間S11とが連通することに加えて、前記側面を形成する斜辺を含む8つの角部CPと前記弁体40との間に形成される隙間を介して前記第2空間S12と前記第3空間S11とが連通することとなって、より瞬時に、前記燃料タンク82内の過大な圧力(VOCガスを含む。)が前記燃料タンク82外部に放出されて、前記燃料タンク82内の圧力を設定された変形強度未満の圧力として、前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を確保し、安全弁として機能する。
また、以上の実施形態で示したように、前記燃料タンク82の外部と内部とを連通する前述した空気通路内に仕切りなどを設けたり、この空気通路の断面積を変更するなどして連通する際の通路抵抗を増大させることによって、前記燃料タンク82内より前記弁機構体100内に流入する前記自動車81の振動による波動や温度上昇による圧力などの変動を最小限にすることができて、前記弁体40に作用する前記燃料タンク82側からの波動や圧力などの変動を最小限に抑えることができて、前記弁体40の変形動作及び復元動作を安定化させることができる。
本発明の前記弁機構体100は、前記燃料タンク82内の圧力が前記弁体40の設定した変形強度以上の圧力になったときに、この燃料タンク82を大気開放し、それ以外のときには、外気温度により蒸発する前記VOCガスの圧力により、前記弁体40が前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を遮断するので、前記有害なVOCガスを前記弁体40の設定された変形強度の圧力に至るまでは前記燃料タンク82外部に放出せず、前記自動車81の燃費向上が図れると共に環境汚染の防止ができる。
また、外気温度が下がり続ければ、前記燃料タンク82の内圧も上昇せずに前記VOCガスの発生が抑制され、前記外気温度の下降が止まると前記ガソリンGの蒸発が始まり、前記燃料タンク82の内圧は上昇することとなる。そして、前記内圧が、例えば0.1kPa以上になると、薄くて軽い前記弁体40は前記空気通路43及び前記空気通路45より上方に噴出する流体圧力により前記弁体支持部材42上面より浮き上がり、前記壁面36Aに当接して前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を遮断する。そして、前記弁体40の設定した変形強度の圧力まで至らない内圧までは前記遮断は継続され、前記VOCガスを前記燃料タンク82外部へ放出しない。そして、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGの消費により負圧になったとき、前記弁体支持部材42の前記小径部42Bの上面の前記周端部を支点として前記弁体40の前記周縁部は前記燃料タンク82方向へ垂れ下がり、傾斜した前記壁面36Aと前記弁体40との前記隙間35S(空気通路の役目を果たす。)を拡大し、前記第2空間S12と前記第3空間S11とを連通させて、前記燃料タンク82内に大気を導入し、前記弁機構体100は前記燃料タンク82内を大気圧の状態にするワンウェイバルブとして機能する。
従って、前記燃料タンク82が負圧のとき、前記第2空間S12と前記第3空間S11とを連通させ、それ以外のときには常に外気温度によって蒸発する前記VOCガスの圧力によって、前記弁体40が前記第2空間S12と前記第3空間S11との連通を遮断して、前記VOCガスを前記燃料タンク82外部に放出しないので、前記弁機構体100は前記自動車81の燃費向上が図れると共に環境汚染の防止ができる。
また、前記弁体40にこの弁体40の設定した変形強度以上の流体圧力が作用すれば、前記弁体40の中央部が更に上昇して前記第3空間S11内に入り込んで外径が短くなるように変形して、前記弁体40の前記支点36Cに接する位置がこの弁体40における外側の位置に移動して、その移動した分だけ折り畳まれて皺ができて、この弁体40の前記周縁部には前記支点36Cに当接する部分と当接しない凹んだ部分とができるように変形して、前記支点36C上で空気通路が形成されて、過大な圧力を前記燃料タンク82外部に放出し、前記弁機構体100は安全弁として機能する。
なお、以上の実施形態では、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが蒸発して前記VOCガスが発生して、前記燃料タンク82内の圧力が高まって、前記弁体40の設定した変形強度以上の圧力になった際に、前記弁体40が変形して前記第2空間S12と前記第3空間S11とが連通して、前記弁機構体100から前記燃料タンク82の外部に過大な圧力と前記VOCガスを放出したが、本発明は以上の実施形態で示す前記弁機構体100に限定されるものではなく、図14、図15及び図16に示すような第2の実施形態の弁機構体100Aとしてもよく、以下説明する。
即ち、この第2の実施形態の弁機構体100Aは、前記フィルタ20を収納する前記収納部材19及び前記筒状体27を省略して、前記筒本体33に代えて、フィルタ20Aを収納すると共に前記筒本体33と同様な機能を有する筒本体60を使用する。
以下、熱可塑性の合成樹脂材料で作製された前記筒本体60について、図14に基づいて、特に図5と異なる構成についてのみ説明する。先ず、前記筒本体60が前記筒本体33と異なるのは、前記下壁33Aの外端に上方に延びる中空円筒状の収納筒61を追加して一体に設けた点にある。
そして、この収納筒61の上端部の内側面にはネジ溝62が形成され、前記蓋部材22の下面に形成された円筒形状の取付部22Cの外側面にネジ溝22Bが形成される。このネジ溝22Bが前記ネジ溝62に螺合して、前記筒本体60の前記収納筒61の内部空間S14内に、前記大径筒状部34と前記中径筒状部35との前記段差面33C上に及び前記肩筒状部36上に中空円筒状の前記フィルタ20Aを載置して収納した状態で前記筒本体60と前記蓋部材22とが固定される。
従って、前記筒本体60の前記第4空間10は、前記収納筒61の前記内部空間S14(前記フィルタ20Aの中空部)、前記蓋部材22の前記空間S4、前記筒状部材10の前記内部空間S1、前記蓋部材12の前記連通口13を介して、前記燃料タンク82の内部と外部とが連通する。このため、前記筒本体60であっても、図5の構成と同様な機能を果たすこととなる。
なお、前述したような第1の実施形態の前記弁機構体100及び第2の実施形態の前記弁機構体100Aにおいて、前記キャニスタ85をその上部に設けたが、このキャニスタを前記弁機構体100及び100Aの外部に設けてもよい。
なお、前述したように、前記取付部材48の前記取付筒51、51Aを前記燃料タンク82に直接取り付け固定したが(図2及び図7参照)、配管用の可撓性の合成樹脂材料で作製されたホース70を介して前記燃料タンク82に取り付けるようにしてもよい。
この場合の第3の実施形態の弁機構体100B(キャニスタを備えていない。)について、図17乃至図20に基づいて、以下説明する。先ず、71は前記自動車81に設けられて車体の一部を構成する支持部材としての前記自動車81の、例えばシャーシであり、該シャーシ71には前記弁機構体100Bを前記燃料タンク82内の前記ガソリンGの最高液面レベルより高い位置に保って吊り下げ支持するためのフック72が設けられる。
74は被支持部材で、有底筒状を呈すると共に水平壁74Aの後部に垂直壁74Bが設けられている。前記垂直壁74B上部には前記フック72が緩やかに遊んだ状態で挿入される支持孔75が開設されると共に平面視円形状を呈する前記水平壁74Aには固定ビス76が挿通する取付孔77が開設されている。
図19及び図20に示すように、前記筒本体60の前記収納筒61の上端部の内側面には前記ネジ溝62が形成され、図18(NA)及び(NB)に示すように、蓋部材79の下面に形成された円筒形状の取付部79Aの外側面にネジ溝79Bが形成される。前記ネジ溝79Bが前記収納筒61の前記ネジ溝62に螺合して、前記筒本体60の前記収納筒61の前記内部空間S14内に、前記大径筒状部34と前記中径筒状部35との前記段差面33C上に及び前記肩筒状部36上に中空円筒状のフィルタ20Aを載置して収納した状態で前記筒本体60と前記蓋部材79とが固定される。
なお、図18(NA)、(NB)に示すように、前記蓋部材79の上壁は中央部のネジ孔79Cが開設された厚肉部79Dと、この厚肉部79Dの周囲の通気孔79Eが開設された薄肉部79Fとから構成される。
そして、図19に示すように、前記収納筒61の前記内部空間S14内に前記フィルタ20Aを収納した状態で前記筒本体60と前記蓋部材79とが固定され、更に前記固定ビス76を前記被支持部材74の前記取り付け孔77に挿通させると共に前記蓋部材79の前記ネジ孔79Cに螺合させ、また超音波溶着用の凸部74Cを介して超音波溶着により前記蓋部材79に前記被支持部材74を取り付けて、前記弁機構体100Bを組み立てる。
このように前記弁機構体100Bが組み立てられると、前記厚肉部79Dと前記薄肉部79Fの厚さの差によって、前記被支持部材74と前記蓋部材79との間には大気に連通する連通路78が形成され、前記筒本体60の前記第4空間S10に連通する前記収納筒61の前記内部空間S14は前記蓋部材79の前記通気孔79E及び前記連通路78を介して大気に連通される。
図20に示すように、前記シャーシ71の前記フック72を前記被支持部材74の前記支持孔75に挿通させて、前述したような前記弁機構体100Bを前記燃料タンク82内の前記ガソリンGの液面レベルより高い位置に回動可能に吊り下げ支持する。
従って、以上のように、前記弁機構体100Bを上述したような構成及び配置とすることにより、前述したような第1及び第2の実施形態の効果に加え、以下のような効果がある。即ち、前記フック72に回動可能に前記弁機構体100Bの上部が吊り下げ支持されているので、余裕を持った十分な長さの前記ホース70を折り返すように曲げた状態で前記燃料タンク82に接続することによって、前記自動車81が傾いても、前記弁機構体100Bが揺動や回動することとなり、吊り下げ支持されている部分より下部の方が重いので、必ず元の位置に戻って、前記取付部材48が下となる。このため、前記弁機構体100Bを介して前記燃料タンク82から前記ガソリンGが漏出することが確実に防止できる。
なお、この弁機構体100Bは、前述したように、前記ホース70を介して前記燃料タンク82に接続するが、具体的には、図21や図22に示す構成により前記接続が可能となる。
即ち、図17に示すように、中空円筒状を呈して内側面にネジ溝101Aが形を成された固定具101内の中空部に前記ホース70を挿通させて、前記ホース70の下端部を接続具102を介して前記燃料タンク82の前記取付筒部82Bに取り付け固定する。そして、前記ホース70の上部に形成された細径部70Aを前記取付筒51の前記連通路51S内に嵌合させると共に鍔部70Bを前記取付筒51の下面に当接させた状態にする。そして、前記固定具101を上昇させて、前記取付筒51の下面に前記固定具101の押さえ部101Bが前記鍔部70Bを押圧するように、前記固定具101を回動させながら前記固定具101の前記ネジ溝101Aを前記取付筒51の前記ネジ溝52に螺合させ、前記燃料タンク82に下端部が接続された前記ホース70を前記弁機構体100Bに接続する(図21参照)。
また、前述したように、配管用の可撓性の合成樹脂材料で作製された前記ホース70の下端部を前記接続具102を介して前記燃料タンク82の前記取付筒部82Bに取り付け固定する。また、図22に示すように、前記取付部材48の取付筒51Bをホースニップルとなるように作製して、前記細径部70A及び前記鍔部70Bが形成されていない状態の前記ホース70の上端部を前記取付筒51Bに外側から嵌合して、固定用の線材等(図示せず)により縛って固定するようにしてもよい。
次に、以上のように構成した前記弁機構体100Bの作用について、説明する。先ず、前記ガソリンGを前記燃料タンク82内に入れて、前記給油口キャップ80を前記給油口を塞ぐように取り付けた直後では、前記燃料タンク82の内部と外部の圧力が均衡しており、空気の出入りが無い状態で、空気の出入りのための前記弁機構体100Bの各空気通路が開放されて前記燃料タンク82の内部と外部(大気)とが連通している状態である(図19及び図20参照)。
即ち、前記弁体支持部材42上には前記弁体40が載置されており、該弁体40が前記中径筒状部35の前記第2空間S12内に前記肩筒状部36の前記壁面36Aと僅か離れた位置に前記隙間35Sを存して収納されており、前記弁機構体100Bを介して前記燃料タンク82の内部と外部(大気)とが連通している。即ち、前記燃料タンク82の前記開口82A、前記取付部材48の前記取付筒51の前記連通路51S及び前記上壁48Aに開設された前記開口50、前記弁体支持部材42内の前記空気通路43、前記弁体支持部材42に形成された前記溝43Dと前記弁体40とで形成された前記空気通路45、前記筒本体60の前記第2空間S12、前記第3空間S11、前記第4空間S10、前記収納筒61の前記内部空間S14、前記フィルタ20Aを介する前記蓋部材79の前記通気孔79E及び前記連通路78を介して、前記燃料タンク82の内部は大気に連通している。即ち、前記燃料タンク82の内部は前記弁機構体100Bを介して大気に連通している。
次に、前記ガソリンエンジン83の停止中において、外気温度が上昇して、前記燃料タンク82内の前記ガソリンGが蒸発して前記VOCガスが発生した場合の動作は、前述した第1及び第2の実施形態の前記弁機構体100及び100Aにおける前記弁体40と同様であり、ここでは省略する。
但し、前記燃料タンク82内の圧力が更に高まって前記弁体40の設定した変形強度以上である、例えば3.0kPa以上になると、前述したように前記弁体40が大きく変形し、前記支点36Cに当接しない前記凹んだ部分の空間を介して、前記第2空間S12と前記第3空間S11とが連通することとなり、前記燃料タンク82内の過大な圧力(VOCガスを含む。)は、前記第4空間S10、前記収納筒61の前記内部空間S14、前記フィルタ20Aを介する前記蓋部材79の前記通気孔79E及び前記連通路78を介して、瞬時に、前記燃料タンク82の外部に(大気中に)放出されることとなり(図11及び図12参照)、この放出後に前記燃料タンク82の内の圧力は前記弁体40に設定された変形強度の圧力未満の圧力の状態になる。
次に、前述したような前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用していない状態で、前記ガソリンエンジン83の駆動による前記ガソリンGの消費により前記燃料タンク82内の圧力が負圧になったときについて、以下説明する。
前記フック72に回動可能に前記弁機構体100Bの上部が吊り下げ支持されているので、余裕を持った十分な長さの前記ホース70を折り返すように曲げた状態で前記燃料タンク82に接続しており、前記自動車81が傾いても、前記弁機構体100Bが揺動や回動することとなり、吊り下げ支持されている部分より下部の方が重いので、必ず元の位置に戻って、前記取付部材48が下となる。従って、前記自動車81が傾斜していない状態でも傾斜した状態でも、前記ガソリンGが前記弁体40に接しないので、前記燃料タンク82内が前記負圧になると、前記弁体40が図9又は図10に示す状態から前記弁体支持部材42の前記小径部42B上に落下し、図8に示す状態となって、前記弁体40と前記壁面36Aとの前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込み、この燃料タンク82内は大気圧の状態にされる。
以上のように、前記ガソリンGの液圧が前記弁体40に作用していない状態で、前記ガソリンエンジン83の駆動による前記ガソリンGの消費により前記燃料タンク82内の圧力が負圧になったときにも、前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込み、前記ガソリンエンジン83の駆動が継続できる。
その後、燃料タンク82内の圧力が上昇すると、前述したように、図9又は図10に示す状態となり、再び前記ガソリンGが消費されて、前記燃料タンク82内の圧力が負圧になると、前述したように、前記隙間35Sが確保されて、前記燃料タンク82内に大気が入り込む。
なお、この第3の実施形態の前記弁機構体100Bは、前記燃料として前記ガソリンGばかりか、軽油Kを使用する場合にも適用できる。
次に、キャニスタを備えていない第4の実施形態の弁機構体100Cについて、図23に基づいて説明する。前述した第3の実施形態100Bと異なる点について、特に説明する。最上部の前記被支持部材74と、前記蓋部材79は、第3の実施形態100Bと同じ構造であり、19Xは内部空間S15内にフィルタ20Bを収納する概ね中空円筒形状の収納部材で、上面開口が前記蓋部材79により閉塞される。
即ち、前記収納部材19Xの上端部の内側面にはネジ溝19Yが形成され、前記蓋部材79の下面に形成された前記取付部79Aの外側面に形成された前記ネジ溝79Bが前記ネジ溝19Yに螺合して、前記内部空間S15内に、前記フィルタ20Bを収納した状態で前記収納部材19Xと前記蓋部材79とが固定される。
また、前記収納部材19Xは、その底面19XAの中央部における下面に円筒状の溝19Sが形成されると共に、該溝19S内の空間と前記内部空間S15とを連通する空間を形成するネジ溝19Zが形成されている。
そして、前記収納部材19Xの前記溝19S内に前記Oリング26を収納した状態で、前記筒状体27の前記ネジ溝28が前記ネジ溝19Zに内側から螺合して、前記筒状体27は前記収納部材19Xの下部に固定される。
なお、図5と同様に、前記筒本体33の前記大径筒状部34の前記第1空間S13内に前記弁体40を載置した前記弁体支持部材42を収納した状態で、前記取付部材48は前記筒本体33の前記下壁33Aに固定されると共に、前記筒本体33に前記筒状体27が固定される。
このように弁機構体100Cが組み立てられると、前記厚肉部79Dと前記薄肉部79Fの厚さの差によって、前記被支持部材74と前記蓋部材79との間には大気に連通する前記連通路78が形成され、前記筒本体60の前記第4空間S10に連通する前記前記筒状体27の前記空間S9、S8は前記内部空間S15、前記蓋部材79の前記通気孔79E及び前記連通路78を介して大気に連通される。
また、図20と同様に、前記シャーシ71の前記フック72を前記被支持部材74の前記支持孔75に挿通させて、前述したような前記弁機構体100Cを前記燃料タンク82内の前記ガソリンGの液面レベルより高い位置に回動可能に吊り下げ支持する。
従って、以上のように、前記弁機構体100Cを上述したような構成及び配置とすることにより、前述したような第1及び第2の実施形態の効果に加え、第3の実施形態の効果がある。なお、この第4の実施形態の前記弁機構体100Cは、前記燃料として前記ガソリンGばかりか、前記軽油Kを使用する場合にも適用できる。
次に、図24に基づいて、前記燃料タンク82内に燃料として前記軽油Kを貯留した場合の実施形態について説明するが、この軽油Kを使用する前記自動車81にあっては、前記キャニスタや前記気化器は使用しないので、前記気化器を備えていない前記弁機構体100Bを使用した実施形態について説明するが、前記弁機構体100Cを使用してもよい。
先ず、前記燃料タンク82とディーゼルエンジン83Aとの間には、前記ポンプ87に加えて、このポンプ87の駆動により前記軽油Kを前記ディーゼルエンジン83Aに供給する際に、前記軽油Kを一定レベルの気圧に上昇させるためのコモンレール88が配設される。
89は三方分岐継手で、該三方分岐継手89は前記弁機構体100Bと、前記燃料タンク82と、前記ディーゼルエンジン83Aと可撓性を有する合成樹脂材料で作製されたホース70C1、70C2、70C3を介してそれぞれ接続される。
そして、前記三方分岐継手89は前記ホース70C1及び70C2を介して前記弁機構体100Bと前記燃料タンク82とを相互に常時連通させると共に、前記ディーゼルエンジン83Aに供給されたが消費されなかった前記軽油Kを前記ホース70C3、70C2を介して前記燃料タンク82に戻れるように連通させる。
以上のように構成することにより、前記ディーゼルエンジン83Aが始動して、前記ポンプ87の駆動により前記燃料タンク82内の前記軽油Kが前記コモンレール88を介して供給されて、前記自動車81の運転が可能となる。
そして、前記ディーゼルエンジン83Aに供給された前記軽油Kは消費されるが、消費されなかった一部の前記軽油Kは前記ホース70C3及び前記三方分岐継手89を介して、更に前記ホース70C2を介して前記燃料タンク82に戻る。
また、前記弁機構体100Bと、前記燃料タンク82とは前記三方分岐継手89を介して常時相互に連通しているものであるから、図24に示す本実施形態の前記弁機構体100Bの作用は、図17に示す実施形態の前記弁機構体100Bの作用と同様であり、ここでは省略する。
なお、以上の実施形態で説明した弁機構体は、前記燃料タンク内の圧力が所定圧力未満の場合には、前記燃料タンクの内部と外部との連通を遮断し、前記燃料タンク内の燃料が蒸発して発生した気化ガスにより、この燃料タンク内の圧力が高まって前記所定圧力以上になったときに、前記燃料タンクの内部と外部とを連通させるものであればよく、その構造は上記の実施形態のものに限られない。
なお、例えば道路工事用のプレートコンパクターに従来の弁体装置を取り付けた場合、上下左右の振動が激しく、エンジンの駆動開始直後より、この弁体装置からガソリンが漏れ出し危険であった。しかし、本発明の前述したような実施形態の弁機構体100、100A、100B、100Cは、燃料タンク内にガソリンを満タンに給油した状態で傾斜角度30度程度で駆動しても、前記燃料タンク外部へ漏れることもなく、エンジンの駆動に支障なく、燃料タンク内も大気圧の状態にされ、順調に駆動を継続することができた。また、エンジンの駆動によりガソリンが消費され、前記燃料タンク内が負圧になっても、瞬時に前記弁体が空気通路を開放し、この燃料タンク内に大気を導入し、大気圧の状態にし、駆動に支障をきたさなかった。また、前記燃料タンク内が大気圧になれば、弾性体材料で構成された前記弁体はその弾性によりに復帰し、負圧が解除されれば、前記ガソリンは蒸発を開始し、前記弁体は前記筒本体の前記第2空間を形成する壁面と前記第3空間を形成する壁面とを接続するための上方に向けて傾斜した壁面に押し付け、更に前記弁体の設定した変形強度以上の圧力がこの弁体に作用すれば、前記弁体の中央部が上昇して前記第3空間内に入り込んで外径が短くなるように変形して、前記弁体の前記第3空間を形成する壁面の下端(支点)に接する位置がこの弁体における外側の位置に移動して、その移動した分だけ折り畳まれて皺ができて、空気通路が形成されて、過大な前記燃料タンクの内圧を前記燃料タンク外部に放出し、前記弁機構体は前記燃料タンク内を常時前記弁体の設定した変形強度の圧力未満の圧力にするワンウェイバルブ又は安全弁として機能し、圧力調整弁としての機能を発揮する。
以上のように、本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。