JP2018047426A - 被処理水液の脱酸素処理方法及び脱酸素処理システム、並びに硬度成分を含有する脱酸素炭酸水液の製造方法 - Google Patents

被処理水液の脱酸素処理方法及び脱酸素処理システム、並びに硬度成分を含有する脱酸素炭酸水液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬度成分を含有する水性液中に炭酸ガスを溶解して炭酸水液を得、この炭酸水液を気体透過膜を用いた気液ガス交換により脱酸素処理するに当たり、気体透過膜表面への炭酸塩の析出を効果的に防ぐことができる、硬度成分を含有する水性液の脱酸素処理方法を提供する。【解決手段】溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水BT液中に炭酸ガスを溶解することにより、被処理水液BTを、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とし、この炭酸水液を、気体透過膜2を介した気液ガス交換により脱酸素処理することを含む、被処理水液BTの脱酸素処理方法。【選択図】図4

Description

本発明は、溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液の脱酸素処理方法及び脱酸素処理システム、並びに硬度成分を含有する脱酸素炭酸水液の製造方法に関する。
清酒,ワイン,焼酎等の酒類や、清涼飲料、果汁飲料等に含まれる溶存酸素は、飲料中の有機成分等に作用して酸化物を生じ、この酸化物が飲料の経時的な風味劣化、変色等の原因となることが知られている。したがって、飲料中の溶存酸素を除去すること(脱酸素処理)は、飲料製品等の品質管理において重要である。
飲料の脱酸素処理法として、曝気法(ガス置換法)、加熱脱気法、真空脱気法等の物理的な脱気法が知られている。曝気法は、窒素ガス等の不活性な高純度ガスを被処理液に吹き込み、被処理液中の酸素分圧を下げることにより溶存酸素を除去する方法である。加熱脱気法は、被処理液を開放系で加熱し、溶存ガスを放出除去する方法である。真空脱気法は、被処理液と接触する雰囲気を真空にすることにより、被処理液中の溶存ガスを取り除く方法である。この真空脱気法として、気体透過膜を用いて被処理液中の溶存ガスを減圧下の気相へと取り出す膜式真空脱気法も知られている(例えば特許文献1)。これらの物理的脱気法に加え、化学的処理による脱気法(化学的脱気法)も知られている。この化学的脱気法として、例えば、脱酸素剤等の薬品を被処理液中に添加する方法が知られている。
これらの脱酸素処理法のうち、加熱脱気法は開放系の処理故に、取り除いた酸素の一部が再び被処理液中に溶け込んでしまう懸念がある。また、熱によって変質する飲料には適用できず、汎用性にも劣る。また、化学的脱気法では脱酸素剤等の薬品を使用するため、飲料の風味を損なうおそれがあり、また安全面においても懸念がある。したがって、信頼性、安全性の観点から、曝気法又は真空脱気法が工業的に広く用いられている。さらに、気体透過膜を介した気液ガス交換により液中の溶存酸素を除去することも提案されている(例えば特許文献2)。
特開平8−318138号公報 特開平7−80205号公報
ビール、発泡酒、炭酸清涼飲料等(以下、これらをまとめて「炭酸飲料」という。)の製造においては一般に、原料として脱酸素処理水が用いられる。この脱酸素処理を二酸化炭素とのガス交換により行えば、脱酸素処理水を炭酸水として得ることが可能となり、炭酸飲料の製造効率の向上に繋がることが期待される。しかし、炭酸飲料に用いる水として、天然水等の硬度成分を含む原水を用いる場合には、炭酸ガスの溶解により炭酸塩(炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム)が析出するおそれがある。特に、炭酸ガスを用いたガス交換による脱酸素処理を、気体透過膜を介して実施する場合には、濃度分極現象により硬度成分等が気体透過膜表面(液相側の表面)に濃縮されるために、膜表面に炭酸塩が格段に析出しやすくなる。結果、膜表面にスケール層(難溶性無機物の層)が形成されて脱酸素効率が大きく低下してしまう。
本発明は、溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解して炭酸水液を得、この炭酸水液を気体透過膜を用いた気液ガス交換により脱酸素処理するに当たり、気体透過膜表面への炭酸塩の析出を効果的に防ぐことができる、被処理水液の脱酸素処理方法を提供することを課題とする。
また本発明は、溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解して炭酸水液を得、この炭酸水液を気体透過膜を用いた気液ガス交換により脱酸素処理して、硬度成分を含有する脱酸素炭酸水液を得るに当たり、気体透過膜表面への炭酸塩の析出を効果的に防ぐことができる、脱酸素炭酸水液の製造方法を提供することを課題とする。
また本発明は、上記脱酸素処理方法又は上記脱酸素炭酸液の製造方法を実施するのに好適な被処理水液の脱酸素処理システムを提供することを課題とする。
本発明者らは、天然水等の硬度成分を含む被処理水液を、気体透過膜を用いた気液ガス交換に付して脱酸素処理するに際し、気相として炭酸ガスを用いると、従来の知見の通り、気体透過膜の液接触面に炭酸塩が析出してスケール層を生じ、長期間の安定的な連続運転が困難であることを確認した。この問題を解決すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、上記の気液ガス交換により水性液中に溶解させる炭酸ガスの量を、通常の脱酸素処理に必要な量よりも大幅に高めてみると、得られる炭酸水液のランゲリア指数を大きく低減できること、結果、気体透過膜表面への炭酸塩の析出を効果的に抑えることができ、脱酸素処理の効率を大きく改善できることを見い出した。本発明は、これらの知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねて完成させるに至ったものである。
本発明の上記課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解することにより、該被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とし、該炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理することを含む、被処理水液の脱酸素処理方法。
〔2〕
炭酸ガスを含む不活性ガスを気相とし、前記被処理水液を液相とする二酸化炭素溶解膜を介した気液ガス交換により、前記のランゲリア指数−1.0以下の炭酸水液を調製する、〔1〕記載の脱酸素処理方法。
〔3〕
前記の炭酸水液の脱酸素処理において、気液ガス交換の気相として窒素ガス及び/又は炭酸ガスを用いる、〔1〕又は〔2〕記載の脱酸素処理方法。
〔4〕
前記の炭酸水液の脱酸素処理を、気液ガス交換の気相を真空引きしながら行う、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の脱酸素処理方法。
〔5〕
前記被処理水液中、硬度成分の含有量が10〜2000mgCaCO/Lである、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の脱酸素処理方法。
〔6〕
溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解することにより、該被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とし、この炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理することを含む、硬度成分を含有する脱酸素炭酸水液の製造方法。
〔7〕
炭酸ガスを含む不活性ガスを気相とし、前記被処理水液を液相とする二酸化炭素溶解膜を介した気液ガス交換により、前記のランゲリア指数−1.0以下の炭酸水液を調製する、〔6〕記載の製造方法。
〔8〕
前記の炭酸水液の脱酸素処理において、気液ガス交換の気相として窒素ガス及び/又は炭酸ガスを用いる、〔6〕又は〔7〕記載の製造方法。
〔9〕
前記の炭酸水液の脱酸素処理を、気液ガス交換の気相を真空引きしながら行う、〔6〕〜〔8〕のいずれか記載の製造方法。
〔10〕
前記被処理水液中、硬度成分の含有量が10〜2000mgCaCO/Lである、〔6〕〜〔9〕のいずれか記載の製造方法。
〔11〕
溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解し、該被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とする手段Xと、該炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理する手段Yとを有する、被処理水液の脱酸素処理システム。
〔12〕
前記手段Xが、前記被処理水液を流通させた流通管内に炭酸ガスを含む不活性ガスを合流して該被処理水液中に炭酸ガスを溶解させることを含み、
前記手段Yが、前記気体透過膜の一方の膜面Kに前記炭酸水液を導入して該炭酸水液を膜面Kに接触させ、かつ前記気体透過膜の他方の膜面Lには不活性ガスを導入して該不活性ガスを膜面Lに接触させることを含む、〔11〕記載の脱酸素処理システム。
〔13〕
前記脱酸素処理システムが、気体透過膜を有する気液ガス交換ユニットを2つ以上直列に配した多段ユニット構成を有し、
前記多段ユニットを構成する各気液ガス交換ユニットの気相に炭酸ガスを含む不活性ガスを導入し、
前記多段ユニットの一方の末端に位置する気液ガス交換ユニットの液相には前記被処理水液を導入し、導入された被処理水液は多段ユニットを構成する各気液ガス交換ユニットの液相内を順次、一方向に流通しながら、気体透過膜を介した気液ガス交換により炭酸ガスの溶解と脱酸素を生じ、
導入された被処理水液の、ランゲリア指数−1.0超の状態における気液ガス交換を前記手段Xとし、導入された被処理水液中への炭酸ガスの溶解により、該液のランゲリア指数が−1.0以下に低下した状態における気液ガス交換を前記手段Yとする、〔11〕記載の脱酸素処理システム。
本発明の被処理水液の脱酸素処理方法及び本発明の脱酸素炭酸水液の製造方法によれば、溶存酸素と硬度成分とを含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解してなる炭酸水液を、気体透過膜を用いた気液ガス交換により脱酸素処理するにも係らず、気体透過膜の液接触面への炭酸塩の析出を効果的に抑えることができる。
本発明の脱酸素処理システムは、本発明の被処理水液の脱酸素処理方法ないし本発明の脱酸素炭酸水液の製造方法に好適に用いることができる。
図1は、本発明の被処理水液の脱酸素処理方法に用いる脱酸素処理システムの一実施態様を模式的に示す説明図である。 図2は、本発明の被処理水液の脱酸素処理方法に用いる脱酸素処理システムの別の実施態様を模式的に示す説明図である。 図3は、本発明の被処理水液の脱酸素処理方法に用いる脱酸素処理システムのさらに別の実施態様を模式的に示す説明図である。 図4は、本発明の被処理水液の脱酸素処理方法に用いる脱酸素処理システムのさらにまた別の実施態様を模式的に示す説明図である。
本発明の被処理水液の脱酸素処理方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう。)は、硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解することにより、この被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とし、この炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理することを含む。本発明の方法について、好ましい実施形態を以下に説明する。
本発明の方法では、脱酸素する炭酸水液の原料として、溶存酸素を含有し、且つ硬度成分を含有する被処理水液(以下、単に「被処理水液」ともいう。)を用いる。本発明において硬度成分とは、マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)を意味し、「硬度成分を含有する」とは、MgとCaのいずれか、又は両方を含有することを意味する。
本発明において「被処理水液」とは、水を主成分とする液であって、溶存酸素及び硬度成分を含有すれば特に制限はない。ここで、「水を主成分とする液」とは、この液から固形分を除いた液成分中に占める水の割合が50質量%以上である液を意味する。つまり、「水を主成分とする液」とは、この液から固形分を除いた液成分のすべてが水である液、又は、この液から固形分を除いた液成分中に占める水の割合が50質量%以上100質量%未満である液を意味する。上記「水を主成分とする液」において、固形分を除いた液成分中に占める水の割合は70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上である。本発明に用いる被処理水液において、固形分を除いた液成分中に存在しうる、水以外の液成分としては、アルコール、油分等を挙げることができる。
本発明に用いる被処理水液は、通常は飲料又は飲料の原料液である。被処理水液の好ましい具体例として、天然水、水にミネラル成分を配合した液(本明細書において、「天然水」と「水にミネラル成分を配合した液」とを総称して「ミネラル水」という。)、あるいはミネラル水に糖類、甘味料、果汁、香料、ビタミン類、アミノ酸、着色料、酸味料等を配合した液を挙げることができる。なかでも、上記被処理水液はミネラル水であることが好ましい。
本発明に用いる被処理水液において、硬度成分の含有量(硬度)は特に制限されない。例えば、硬度成分を10〜2000mgCaCO/Lの濃度で含有する被処理水液を用いることができる。被処理水液中の硬度成分の含有量は、好ましくは10〜1000mgCaCO/Lであり、より好ましくは10〜800mgCaCO/Lである。
上記被処理水液は、固形分濃度が15質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、通常は0.002〜0.2質量%である。
また、上記被処理水液がミネラル水である場合、このミネラル水の溶解性残留物は12〜5000mgCaCO/Lであり、より好ましくは50〜1000mgCaCO/Lである。
上記被処理水液は炭酸ガス(CO)を含有してもよく、被処理水液中の全炭酸(「全炭酸」は、炭酸、炭酸水素イオン及び炭酸イオンの合計量であり、二酸化炭素量に換算して表す。)の濃度は50〜1000mgCO/Lが好ましく、100〜200mgCO/Lがより好ましい。
上記被処理水液中の酸素(O)濃度に特に制限はなく、通常は7〜10mg/Lの範囲内にある。
本発明の方法において、被処理水液は、脱酸素処理に付される前に、被処理水液中に炭酸ガスが溶解される。この炭酸ガスの溶解により、被処理水液を炭酸水液(炭酸ガスを溶解させた水液)とし、そのランゲリア指数を−1.0以下にまで低下させる。(以下、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液を、単に「炭酸水液」ともいう。)
炭酸塩の析出をより確実に抑える観点から、被処理水液中への炭酸ガスの溶解により、得られる炭酸水液のランゲリア指数を−1.5以下とすることがより好ましく、−2.0以下とすることがさらに好ましく、−2.2以下とすることがさらに好ましく、−2.5以下とすることが特に好ましい。また、上記炭酸水液のランゲリア指数の下限に特に制限はなく、−5.0以上とするのが実際的であり、通常は−3.0以上とする。
被処理水液中への炭酸ガスの溶解により、得られる炭酸水液のpHを、20℃において6.5以下とすることが好ましく、2.5〜4.5とすることがより好ましい。また、被処理水液中への炭酸ガスの溶解により、得られる炭酸水液の全炭酸(CO濃度)は100mgCO/L以上とすることが好ましく、150mgCO/L以上とすることがより好ましく、200mgCO/L以上とすることがさらに好ましい。炭酸水液中の炭酸ガス濃度の上限に特に制限はなく、3000mgCO/L以下とするのが実際的であり、通常は1000mgCO/L以下とする。
本発明の方法において、上記炭酸水液は、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理に付される。本発明において「脱酸素処理」という場合、次の(1)又は(2)を意味する。
(1)気体透過膜(二酸化炭素溶解膜)を介した気液ガス交換とは異なる方法により被処理水液中に炭酸ガスを溶解し、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液を得た後において、このランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素する処理。
(2)気体透過膜(二酸化炭素溶解膜)を介した気液ガス交換により、被処理水液中への炭酸ガスの溶解と脱酸素とを同時に生じさせる形態において、この気液ガス交換中にランゲリア指数が−1.0の状態に到達した炭酸水液が、引き続きこの気液ガス交換に付されている状態。つまり(2)においては、ランゲリア指数が−1.0に到達していない液(気液ガス交換による被処理水液中への炭酸ガスの溶解量がまだ少ない状態にあり、ランゲリア指数が−1.0超の状態にある液)が、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素されている状態は、本発明で規定する「脱酸素処理」には含まれないものとする。
この脱酸素処理の好ましい形態としては、気体透過膜の一方の面側には液相として炭酸水液を流通させ、他方の面側には気相として不活性ガスを流通させ、クロスフロー方式により気液ガス交換をする形態が挙げられる。
以下に、本発明の方法の好ましい実施形態について、図面を参照してより具体的に説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。また、下記説明においては適宜に各実施形態の変形例についても説明しており、かかる変形例も本発明の実施形態として好ましい。
図1は、本発明の方法を実施する脱酸素処理システムの一実施形態を模式的に示す説明図である。図1に示す脱酸素処理システム10は、気液ガス交換ユニット(脱酸素処理ユニット)1を用いて、被処理水液BT中への炭酸ガスの溶解と、得られた炭酸水液の脱酸素処理とを行うものである。より詳細には、気体透過膜2の下側(液相q)に被処理水液BTを矢印の方向に流通させるとともに、気体透過膜2の上側(気相p)には炭酸ガスを、被処理水液BTの流通方向とは逆方向に流通させる。こうして気体透過膜2の一方の膜面に被処理水液BTを接触させ、他方の膜面には炭酸ガスを接触させた状態として、気体透過膜2を介した気液ガス交換により被処理液BT中に炭酸ガスを溶解させる。気相の圧力を調節することにより、炭酸ガスの液相中への溶解量を所望のレベルに調整することができ、この液相中の被処理水液BTをランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とすることができる。この炭酸水液は引き続き液相内を流通しながら、炭酸ガスをスイープガスとする気液ガス交換により脱酸素され、脱酸素炭酸水液ATとして排出される。また、図1に示す実施形態の変形例として、気液ガス交換ユニット1から排出された脱酸素炭酸水液ATを再度気液ガス交換ユニット1の液相に導入し、繰り返し脱酸素処理に付してもよい。また、複数の気液ガス交換ユニット1を直列に配した多段構成とすることも好ましい。また、図示していないが、スイープガスとして炭酸ガスに加えて、窒素ガスを併用することも好ましい。
図2に示す脱酸素処理システム20は、図1に示す実施形態において、気液ガス交換ユニット1の、炭酸ガスが流通する気相を真空引きする構成としたものである。気相を真空引きすることにより、脱酸素処理の効率をより高めることができる。なお、図2の実施形態では、気相の圧力が低下するために、炭酸ガスの液相中への溶解効率が低下する場合があるが、複数の気液ガス交換ユニット1を直列に配した多段構成とするなどすれば、被処理水液BT中に炭酸ガスを十分量溶解させることができ、好ましい。気相の圧力は絶対圧力として3.5〜7.0kPaとすることが好ましく、4.3〜6.7kPaとすることがより好ましい。また、図示していないが、スイープガスとして炭酸ガスに加えて、窒素ガスを併用することも好ましい。
図3に示す脱酸素処理システム30は、被処理水液BTを気液ガス交換ユニット1に導入する前に、被処理水液BTが流通する流通管内(配管)に炭酸ガスを含む不活性ガス(好ましくは炭酸ガス)を合流し、これにより被処理水液BT中に炭酸ガスを溶解してランゲリア指数−1.0以下の炭酸水液とし、この炭酸水液を気液ガス交換ユニット1の液相に流通させて脱酸素処理するものである。被処理水液BTが流通する流通管内への炭酸ガスを含む不活性ガスの合流は、例えば、被処理水液BTが流通する流通管と、炭酸ガスを含む不活性ガスが流通する流通管とを合流することにより行うことができる。また、図3の実施形態における上記合流形態の変形例として、タンク内に被処理水液BTを入れ、これに炭酸ガスを含む不活性ガスを吹き付けるなどして被処理水液BT中に炭酸ガスを溶解してもよい。図3の実施形態では、気液ガス交換ユニット1に導入される液が、既にランゲリア指数−1.0以下の炭酸水液の状態であるため、脱酸素処理ユニット1の気相に流通させる不活性ガスは炭酸ガスに限られず、窒素ガスを使用したり、炭酸ガスと窒素ガスとの混合ガスを使用したりすることも好ましい。なお、脱酸素処理ユニット1の気相に流通させる不活性ガスとして窒素ガスのみを用いた場合、ガス交換により炭酸水液中の炭酸ガスと気相中の窒素ガスとをガス交換することもでき、この場合、気液ガス交換ユニット1から排出される液を脱酸素された非炭酸水液(炭酸ガスが除去された水液)とすることもできる。
図4に示す脱酸素処理システム40は、図2の実施形態において、気液ガス交換ユニット1の前段に、被処理水液BTに炭酸ガスを溶解させるための炭酸ガス溶解ユニット3が設けられている。この炭酸ガス溶解ユニット3は、二酸化炭素溶解膜4の下側(液相)に被処理水液BTを矢印の方向に流通させるとともに、二酸化炭素溶解膜4の上側(気相)には炭酸ガスを含む不活性ガス(好ましくは炭酸ガス)を、被処理水液BTの流通方向とは逆方向に流通させる。こうして二酸化炭素溶解膜4の一方の膜面に被処理水液BTを接触させ、他方の膜面には炭酸ガスを接触させた状態として、二酸化炭素溶解膜4を介した気液ガス交換により被処理液BT中に炭酸ガスを溶解させる。気相の圧力を調節することにより、炭酸ガスの液相中への溶解量を所望のレベルに調整することができ、この液相中の被処理水液BTをランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とすることができる。ここで、図4に示される炭酸ガス溶解ユニット3の構成は、図1に示す脱酸素処理ユニット1の構成と実質的な差異はないのであるが、炭酸ガス溶解ユニット3は炭酸ガスの液相中への溶解に特化した条件で運転させることができるために、被処理水液BTの、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液への変換を、より効率的に行うことが可能となる。
炭酸ガス溶解ユニット3から排出された炭酸水液は、気液ガス交換ユニット1の液相中へと導入され、脱酸素処理される。図4の実施形態では、気液ガス交換ユニット1に導入される液が、既にランゲリア指数−1.0以下の炭酸水液の状態であるため、気液ガス交換ユニット1の気相に流通させる不活性ガスは炭酸ガスに限られず、窒素ガスを使用したり、炭酸ガスと窒素ガスとの混合ガスを使用したりすることも好ましい。なお、気液ガス交換ユニット1の気相に流通させる不活性ガスとして窒素ガスのみを用いた場合、ガス交換により炭酸水液中の炭酸ガスと気相中の窒素ガスとをガス交換することもでき、この場合、気液ガス交換ユニット1から排出される液を脱酸素された炭酸水液とすることもできる。
なお、図4に示す脱酸素処理システム40において、炭酸ガス溶解ユニット3に流通する被処理水液BTは、炭酸ガス溶解ユニット3を流通している途中でランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液となるため、炭酸ガス溶解ユニット3の少なくとも液の排出口付近において、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液が気液ガス交換に付される(脱酸素される)ことになる。この場合、炭酸ガス溶解ユニット3内において、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液がガス交換されている状態は、本発明で規定する「脱酸素処理」として位置付けられるものとする。
他方、図4に示す脱酸素処理システム40の変形例においては、炭酸ガス溶解ユニット3内では被処理水液のランゲリア指数を低下させるものの、ランゲリア指数を−1.0以下にまでは低下させず、被処理水液を気液ガス交換ユニット1に導入した後に、気液ガス交換ユニット1内における気液ガス交換により、被処理水液のランゲリア指数を−1.0以下に低下させることもできる。この場合には、気液ガス交換ユニット1内の、少なくとも液の導入口付近においては、ランゲリア指数が−1.0超の状態の液が流通しながら気液ガス交換が行われている状態にあるが、このランゲリア指数が−1.0超の液の気液ガス交換は、本発明で規定する「脱酸素処理」ではなく、炭酸水液の調製工程として位置付けられるものとする。
図1〜4の実施形態において、被処理水液BTは、予めろ過処理しておくことも好ましい。このろ過処理には、砂ろ過、活性炭、精密ろ過膜、限外ろ過膜等を用いることができる。また、上記図3及び図4の形態において、気液ガス交換における気相を真空引きした状態とすることも好ましい。
被処理水液を上記の脱酸素処理に付して得られる処理水液において、酸素(O)濃度は2mg/L以下であることが好ましく、1mg/L未満とすることがより好ましい。また上述した通り、処理水液は炭酸水液の状態でもよいし、非炭酸水液の状態とすることもできる。
本発明に用いる気体透過膜2は、気体を透過し、被処理水液を透過しない膜であれば特に制限はない。図1〜4に示した気体透過膜2は平膜の形態を示しているが、本発明において気体透過膜は平膜に限られず、中空糸膜の形態でもよく、スパイラル膜の形態でもよい。なかでも、気液ガス交換の効率をより高める観点から、単位体積当たりの膜面積が大きい中空糸膜が好ましい。この場合、中空糸膜の内側を気相としてもよいし、外側を気相としてもよいが、通常は内側を気相とする。また、脱酸素処理ユニットは、複数の中空糸膜が配された形態であることも好ましい。 気体透過膜2の材質に特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリビニルフェノール−ポリジメチルシロキサン−ポリスルホンブロック共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子膜を挙げることができる。 上記二酸化炭素溶解膜4も、上記気体透過膜2と同様に、気体を透過し、被処理水液を透過しない膜であれば特に制限はない。図4に示した二酸化炭素溶解膜4は平膜の形態を示しているが、二酸化炭素溶解膜4は平膜に限られず、中空糸膜でもよいし、スパイラス膜でもよい。なかでも、気液ガス交換の効率をより高める観点から、単位体積当たりの膜面積が大きい中空糸膜が好ましい。二酸化炭素溶解膜4の材質に特に制限はなく、例えば、気体透過膜2の材質として挙げた上記高分子膜を挙げることができる。つまり、二酸化炭素溶解膜4と気体透過膜2は実質的に区別されるものではなく、本明細書においては使用する目的に応じて便宜上、称呼を変えて示している。
上記の気液ガス交換ユニット1は、商業的に入手することもできる。本発明に適用しうる気液ガス交換ユニット1として、例えば、外圧型分離膜コンタクター(スリーエム社製)、三層複合膜モジュール(商品名:ステラポアー、三菱レーヨン社製)、中空糸膜脱気・給気モジュール(商品名:SEPAREL、DIC社製)を挙げることができる。また、これらの気液ガス交換ユニット1は、図4の実施形態における炭酸ガス溶解ユニット3としても用いることができる。
本発明の方法は、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理した炭酸水液を、炭酸ガスが溶解された状態で取り出すことにより、硬度成分を含有する脱酸素炭酸水液の製造方法として使用することができる。
本発明の被処理水液の脱酸素処理システムは、本発明の被処理水液の脱酸素処理方法、ないしは本発明の脱酸素炭酸水液の製造方法を実施するためのシステムである。すなわち、被処理水液中に炭酸ガスを溶解し、この被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とする手段(以下、「手段X」ともいう。)と、前記炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理する手段(以下、「手段Y」ともいう。)とを有する。
手段Xは、被処理水液中に炭酸ガスを溶解してランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とすることができれば特に制限はない。手段Xの好ましい形態としては図1〜4の実施形態において説明した形態を挙げることができる。例えば、被処理水液中に炭酸ガスを吹き込んでランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液を得る構成が挙げられる。より詳細には、被処理水液が流通する流通管に炭酸ガスが流通する流通管を合流させるなどして被処理水液と炭酸ガスとを合流し、これにより被処理水液と炭酸ガスとを混合して被処理水液中に炭酸ガスを溶解し、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液を得る構成としたり、上述した気体透過膜ないしは二酸化炭素溶解膜を用いた気液ガス交換により被処理水液中に炭酸ガスを溶解し、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液を得る構成としたりすることができる。
手段Xが、被処理水液を、気体透過膜ないしは二酸化炭素溶解膜を用いた気液ガス交換に付して、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液を得る構成である場合、手段Xはより詳細には、気体透過膜ないしは二酸化炭素溶解膜の一方の膜面Mに被処理水液を導入することにより、この被処理水液を膜面Mに接触させ、かつ他方の膜面Nには炭酸ガスを含む不活性ガスを導入することにより、この炭酸ガスを膜面Nに接触させることを含む構成とすることができ、かかる構成により、膜を介した気液ガス交換により被処理水液中に炭酸ガスを溶解することができる。この気液ガス交換において、炭酸ガスを含む不活性ガスを導入する膜面N側(気相)は真空引きした状態とすることも好ましい。
手段Yは、手段Xにより得られた炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理することができれば特に制限はない。手段Yはより詳細には、気体透過膜の一方の膜面Kに炭酸水液を導入して該炭酸水液を膜面Kに接触させ、かつ前記気体透過膜の他方の膜面Lには不活性ガス(好ましくは炭酸ガス及び/又は窒素ガス)を導入して該不活性ガスを膜面Lに接触させることを含む構成とすることができ、かかる構成により、膜を介した気液ガス交換により炭酸水液を脱酸素処理することができる。この構成において、不活性ガスを導入する膜面L側(気相)は真空引きした状態とすることも好ましい。
また、本発明の脱酸素処理システムは、図1ないし図2に示す気液ガス交換ユニット1を複数個、直列に配した多段構成であることも好ましい。すなわち、本発明の脱酸素処理システムの別の好ましい形態では、気体透過膜を有する気液ガス交換ユニットが2つ以上、直列に配された多段ユニットの構成を有し、多段ユニットを構成する各ユニットの気相には炭酸ガスを含む不活性ガス(好ましくは炭酸ガス、又は、炭酸ガスと窒素ガスの混合ガス)が導入され、各気相内に流通させる。その際、気相を真空引きした状態とすることも好ましい。上記多段ユニットの一方の末端に位置する気液ガス交換ユニットには、その液相中に、溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液が導入され、この液は直列に配された多段ユニットの液相内を順次、一方向に流通しながら炭酸ガスの溶解と脱酸素を生じ、上記多段ユニットの他方の末端から排出される。かかる脱酸素処理システムにおいては、導入された被処理水液は多段ユニットを構成する各ユニットの液相を流通している間のどこかで、炭酸ガスの溶解量が所定量を超えて、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液となる。そして、導入された被処理水液が、ランゲリア指数−1.0超の状態で気液ガス交換されている状態が上記手段Xに相当し、導入された被処理水液への炭酸ガスの溶解により、この液がランゲリア指数−1.0以下の状態で気液ガス交換されている状態が上記手段Yに相当する。この気液ガス交換ユニットを多段に直列に配した脱酸素処理システムにおいて、気液ガス交換ユニットの段数(配置数)は2〜5とすることが好ましく、2〜3とすることがより好ましい。
本発明の方法ないしシステムを用いることにより、被処理水液の脱酸素処理において、スイープガスとして炭酸ガスを用いて、長期間の連続的且つ安定的な脱酸素処理が可能となる。
硬度成分を含有する天然水等を、気体透過膜を用いた気液ガス交換により脱酸素処理する際に、スイープガスとして炭酸ガスを用いた場合(あるいは炭酸ガスを用いずに真空脱気とした場合であっても)、比較的短期間の連続運転で、気体透過膜の気相側表面には硬度成分と炭酸(炭酸イオン、炭酸水素イオン、二酸化炭素ガスを含む)とが反応して生じた炭酸塩が付着し、スケール層が形成される。スケール層の形成は有効膜面積を低下させ、気液ガス交換の効率を大きく低下させる。それ故、天然水等を気液ガス交換により脱酸素処理する際には、スイープガスとして炭酸ガス以外の不活性ガス(代表的には窒素ガス)を用いることが技術常識とされてきた。
ところが近年、炭酸飲料の原料として天然水を用い、飲料の付加価値を高めた製品開発が行われるようになってきた。例えば、天然水を用いた炭酸水、炭酸清涼飲料、ビール等が製品化されている。したがって、脱酸素処理のスイープガスとして炭酸ガスを用いることができれば、天然水の脱酸素と同時に炭酸水を調製することが可能となり、天然水を用いた炭酸飲料の製造効率を高めることが可能となる。
本発明者らはこの点に着眼して検討を重ねた結果、天然水等の被処理水液を気体透過膜を用いた気液ガス交換により脱酸素処理するに際し、スイープガスとして炭酸ガスを用いた場合でも、炭酸ガスを被処理水液中に過剰に溶解させることにより、ランゲリア指数を十分に低下させることができること、その結果、脱酸素処理において膜面に炭酸塩が析出しにくく、スケール層の形成を効果的に抑えられることを見い出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、従来の技術常識を覆す新たな発想に基づくものである。
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
硬度成分を80mgCaCO/Lの濃度で含有し、酸素を7mg/Lの濃度で含有する被処理水(ミネラル水)を試料とし、気体透過膜を用いた気液ガス交換(気相:炭酸ガス)により、ミネラル水中の全炭酸濃度が145mgCO2/Lとなるようにして脱酸素処理した。この脱酸素処理には外圧型分離膜コンタクター(商品名、サイズ:10×28inch、スリーエム社製)を用いた。この外圧型分離膜コンタクターはクロスフロー方式で気液ガス交換を行う装置であり、図2に示す形態において気体透過膜として中空糸タイプの気体透過膜を適用したものに相当する。
実施例1における外圧型分離膜コンタクターの運転条件を以下に示す。
<運転条件>
液相へのミネラル水供給速度:80m/hour
気相への炭酸ガス供給速度:15m/hour
気相の真空引き:有
気相の圧力: 6.7kPa
ミネラル水の温度:20℃
ミネラル水中の全炭酸濃度が:145mgCO/Lであることは、外圧型分離膜コンタクターから排出された液の全炭酸濃度を測定して確認した。排出された液(炭酸水)の成分組成ないし物性について下記表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、気相の圧力を13.4kPaとすることにより、ミネラル水中の全炭酸濃度が:245mgCO/Lとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして脱酸素処理を行った。排出された液(炭酸水)の成分組成ないし物性について下記表1にまとめて示す。
[実施例3]
実施例1において、気相の圧力を20.0kPaとすることにより、ミネラル水中の全炭酸濃度が:345mgCO2/Lとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして脱酸素処理を行った。排出された液(炭酸水)の成分組成ないし物性について下記表1に示す。
[比較例]
実施例1において、気相に炭酸ガスを供給しなかったこと以外は、実施例1と同様にして脱酸素処理を行った。この脱酸素処理は気相に交換ガスを供給しておらず、いわゆる真空脱気である。排出された液の成分組成ないし物性について下記表1に示す。
Figure 2018047426
上記表中の各成分濃度の測定方法を以下に説明する。
硬度成分濃度: JIS K0101(フレーム原子吸光法)により測定した。
酸素濃度: JIS K0101(隔膜電極法)により測定した。
全炭酸濃度: JIS K0101全炭酸(赤外線分析法)により測定した。
溶解性蒸発残留物濃度:JIS K0101により測定した。
上記比較例の脱酸素方法では、2か月程度の連続運転によりスケール層が生じ、処理液の溶存酸素濃度を1mg/L未満に低減できなくなり、膜洗浄の必要が生じた。この比較例は、単に真空脱気により脱酸素処理を行っており、ミネラル水中の炭酸ガス濃度も酸素と同時に低減しているものである。それにもかかわらず、濃度分極により溶質の濃度が高まる膜面においてはスケールが生じてしまう。
これに対し、交換ガスとして炭酸ガスを用いた脱酸素処理において、ミネラル水中の炭酸ガス濃度を高度に高めた実施例1〜3の脱酸素処理方法では、ミネラル水のランゲリア指数を十分に低下させることができ、6か月間の連続運転を行っても洗浄を要する程度のスケール層を生じなかった。
10、20、30、40 脱酸素処理システム
1 気液ガス交換ユニット(脱酸素処理ユニット)
2 気体透過膜
3 炭酸ガス溶解ユニット
4 二酸化炭素溶解膜(気体透過膜)
BT 被処理水液(溶存酸素及び硬度成分を含む)
AT 脱酸素炭酸水液
p 気相
q 液相
VP 真空ポンプ

Claims (13)

  1. 溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解することにより、該被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とし、該炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理することを含む、被処理水液の脱酸素処理方法。
  2. 炭酸ガスを含む不活性ガスを気相とし、前記被処理水液を液相とする二酸化炭素溶解膜を介した気液ガス交換により、前記のランゲリア指数−1.0以下の炭酸水液を調製する、請求項1記載の脱酸素処理方法。
  3. 前記の炭酸水液の脱酸素処理において、気液ガス交換の気相として窒素ガス及び/又は炭酸ガスを用いる、請求項1又は2記載の脱酸素処理方法。
  4. 前記の炭酸水液の脱酸素処理を、気液ガス交換の気相を真空引きしながら行う、請求項1〜3のいずれか1項記載の脱酸素処理方法。
  5. 前記被処理水液中、硬度成分の含有量が10〜2000mgCaCO/Lである、請求項1〜4のいずれか1項記載の脱酸素処理方法。
  6. 溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解することにより、該被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とし、この炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理することを含む、硬度成分を含有する脱酸素炭酸水液の製造方法。
  7. 炭酸ガスを含む不活性ガスを気相とし、前記被処理水液を液相とする二酸化炭素溶解膜を介した気液ガス交換により、前記のランゲリア指数−1.0以下の炭酸水液を調製する、請求項6記載の製造方法。
  8. 前記の炭酸水液の脱酸素処理において、気液ガス交換の気相として窒素ガス及び/又は炭酸ガスを用いる、請求項6又は7記載の製造方法。
  9. 前記の炭酸水液の脱酸素処理を、気液ガス交換の気相を真空引きしながら行う、請求項6〜8のいずれか1項記載の製造方法。
  10. 前記被処理水液中、硬度成分の含有量が10〜2000mgCaCO/Lである、請求項6〜9のいずれか1項記載の製造方法。
  11. 溶存酸素及び硬度成分を含有する被処理水液中に炭酸ガスを溶解し、該被処理水液を、ランゲリア指数が−1.0以下の炭酸水液とする手段Xと、該炭酸水液を、気体透過膜を介した気液ガス交換により脱酸素処理する手段Yとを有する、被処理水液の脱酸素処理システム。
  12. 前記手段Xが、前記被処理水液を流通させた流通管内に炭酸ガスを含む不活性ガスを合流して該被処理水液中に炭酸ガスを溶解させることを含み、
    前記手段Yが、前記気体透過膜の一方の膜面Kに前記炭酸水液を導入して該炭酸水液を膜面Kに接触させ、かつ前記気体透過膜の他方の膜面Lには不活性ガスを導入して該不活性ガスを膜面Lに接触させることを含む、請求項11記載の脱酸素処理システム。
  13. 前記脱酸素処理システムが、気体透過膜を有する気液ガス交換ユニットを2つ以上直列に配した多段ユニット構成を有し、
    前記多段ユニットを構成する各気液ガス交換ユニットの気相に炭酸ガスを含む不活性ガスを導入し、
    前記多段ユニットの一方の末端に位置する気液ガス交換ユニットの液相には前記被処理水液を導入し、導入された被処理水液は多段ユニットを構成する各気液ガス交換ユニットの液相内を順次、一方向に流通しながら、気体透過膜を介した気液ガス交換により炭酸ガスの溶解と脱酸素を生じ、
    導入された被処理水液の、ランゲリア指数−1.0超の状態における気液ガス交換を前記手段Xとし、導入された被処理水液中への炭酸ガスの溶解により、該液のランゲリア指数が−1.0以下に低下した状態における気液ガス交換を前記手段Yとする、請求項11記載の脱酸素処理システム。
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