JP6395659B2 - 飲料用水素含有水の製造方法、及びその製造装置 - Google Patents

飲料用水素含有水の製造方法、及びその製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、飲料用水素含有水の製造方法、及びその製造装置に関する。
近年、水に水素ガスを溶解させた水素含有水(単に水素水ともいう)は、高い還元性を有することから、金属の酸化や食品類の腐敗を抑制する効果があるとされ、また飲用へ転用した場合には様々な健康障害の改善を期待できるとして注目されている。
飲料用の水素含有水を製造する方法としては、例えばガスボンベから供給される水素ガス、或いは水の電気分解により発生した水素ガスを原水に溶解させる方法がある。
ただし、単に水素ガスを原水中に供給するだけでは、室温・大気圧下では原水中に溶存している窒素ガス、酸素ガスなどが水素ガスの溶解を妨げるため、その溶存水素濃度は水素の飽和濃度に遠く及ばない。
このため、例えば空気を除去した圧力容器内に水素ガスを充填し、該圧力容器内における水素ガスの圧力を2〜10気圧に保ったまま、その圧力容器内に原水をシャワー状に散水して水素ガスと接触させることにより、水素ガスを効率よく溶解させる方法が提案されている(特許文献1)。
特許第3606466号公報
しかし、特許文献1に開示された製造方法はバッチ式であるため生産性が低く、水素水を大量生産するためには製造装置を大型化する必要があるという問題があった。また、原料水に水素ガスを効率よく溶解できないばかりか、ロット毎に水素濃度にばらつきが生ずるという問題も生じていた。
また、室温・大気圧下で水素水を保存容器に充填して密閉する場合、保存容器を密閉するまでの間に溶存水素が気化して外気に抜けてしまい、保存容器に充填した水素水の溶存水素濃度が製造直後の水素水の溶存水素濃度に比べて大きく低下することがあり、ひいては水素含有水の品質が劣るものとなりやすいという問題も生じていた。
本発明者は上記の課題を解決する為に鋭意検討を進めた結果、脱気装置に供給される浄化水から包装容器に注入される水素含有水までの水流路に従来に比して相当に高い圧力を負荷するとともに、水素含有水をスパウト付包装容器に充填する工程において、まず包装容器内の気体を吸引して除去する段階と、続いて所定の高い圧力が負荷された水素含有水を包装容器内に注入する段階と、その後包装容器内に残る気泡を外に排出する段階を備えるものとすることにより、得られる水素含有水の溶存水素濃度を著しく高めることができるとともに溶存酸素濃度を低下させることができ、特に充填の際水素含有水の溶存水素濃度が低い水準に至るのを抑えて包装容器内に水素含有水を充填することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、連続して飲料用水素含有水を製造する方法であって、
(a)脱気装置において供給された原料の浄化水を中空糸膜を通じて脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程と、
(b)前記水素溶解装置において供給された脱気水に加圧水素ガスを中空糸膜を通じて溶解し、得られた水素含有水を充填装置に送る水素溶解工程と、
(c)前記充填装置において供給された水素含有水をスパウト付包装容器にその注入口より充填する充填工程と、
(d)水素含有水が充填されたスパウト付包装容器の注入口を密封する密封工程とを含み、
前記工程(a)において脱気装置に供給される浄化水から前記工程(c)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路には圧力ポンプの運転により所定の従来に比して相当に高い圧力、好ましくは0.2MPa乃至0.5MPaが負荷されているとともに、
前記工程(c)は、包装容器の注入口を充填装置の充填ノズルと接続する状態を保持するとともに、包装容器内の気体を吸引し充填装置内を通して除去する段階と、続いて所定圧力が負荷された水素含有水を包装容器内に注入する段階と、その後充填装置内に残る剰余の水素含有水を包装容器内に加圧供給し、包装容器内に残る気泡を外に排出する段階を備え、そして、前記注入口と前記充填ノズルとの接続を解き、直ちに前記工程(d)に移行する工程からなることを特徴とする、方法に関する。
また、本発明は、連続して飲料用水素含有水を製造する装置であって、
(a)供給された原料の浄化水を中空糸膜を通じて脱気する脱気装置と、
(b)前記脱気装置より供給された脱気水に加圧水素ガスを中空糸膜を通じて溶解する水素溶解装置と、
(c)前記水素溶解装置より供給された水素含有水をスパウト付包装容器にその注入口より充填する充填装置と、
(d)前記水素含有水の充填が完了したスパウト付包装容器の注入口を密封する密封装置と、
前記装置(a)に供給される浄化水から前記装置(c)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路に所定の圧力、好ましくは0.2MPa乃至0.5MPaを負荷することができる圧力ポンプとを備え、
前記装置(c)は、包装容器の注入口を充填装置の充填ノズルと接続する状態を保持し、またその接続を解放する機構と、包装容器内の気体を吸引し充填装置内を通して除去する手段と、続いて所定圧力が負荷された水素含有水を包装容器内に注入する手段と、その後充填装置内に残る剰余の水素含有水を包装容器内に加圧供給し、包装容器内に残る気泡を外に排出する手段とを備えることを特徴とする、装置に関する。
而して、本発明の製造方法によれば、得られる水素含有水の溶存水素濃度を高めるとともに溶存酸素濃度を低下させることができ、特に水素含有水の溶存水素濃度が低い水準に至るのを抑えて包装容器内に水素含有水を充填することができる。すなわち、包装容器内に充填した水素含有水の溶存水素濃度が水素ガス溶解直後の水素含有水の溶存水素濃度と同程度である水素含有水を製造することができる。
本発明の製造装置は、包装容器内に充填した水素含有水の溶存水素濃度が水素ガス溶解直後の水素含有水の溶存水素濃度と同程度である水素含有水を効率よく製造することができる。すなわち、本発明の製造装置は、本発明の製造方法の高効率使用に適しており、本発明の製造方法の上記効果を十分に発揮させることができる。
図1は、本発明の飲料用水素含有水の製造方法に用いることができる、飲料用水素含有水製造装置の一形態を表す図である。 図2は、図1における脱気塔に用いられる中空糸膜モジュールの一形態を表す図である。 図3は、図1における水素溶解塔に用いられる中空糸膜モジュールの一形態を表す図である。 図4は、充填装置の動作を示す図であって、スパウト付包装容器内の気体を吸引する動作[図4(a)]、水素含有水をスパウト付包装容器に注入する動作[図4(b)]、包装容器の注入口より水素含有水を溢れ出させる動作[図4(c)]を示す図である。
本発明の連続して飲料用水素含有水を製造する方法は、少なくとも、(a)脱気工程、(b)水素溶解工程、(c)充填工程、(d)密封工程を備えてなる。
前記工程(a)において脱気装置に供給される浄化水から前記工程(c)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路には圧力ポンプの運転により所定の圧力が負荷されている。
そして前記工程(c)は、包装容器の注入口を充填装置の充填ノズルと接続する状態を保持するとともに、包装容器内の気体を吸引し充填装置内を通して除去する段階と、続いて所定圧力が負荷された水素含有水を包装容器内に注入する段階と、その後充填装置内に残る剰余の水素含有水を包装容器内に加圧供給し、包装容器内に残る気泡を外に排出する段階を備え、そして、前記注入口と前記充填ノズルとの接続を解き、直ちに前記工程(d)に移行する工程からなる。
また本発明の連続して飲料用水素含有水を製造する装置は、少なくとも、(a)脱気装置、(b)水素溶解装置、(c)充填装置、(d)密封装置を備えてなる。
また本発明の製造装置は、前記装置(a)に供給される浄化水から前記装置(c)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路に所定の圧力を負荷することができる圧力ポンプをも備えてなる。
そして前記装置(c)は、包装容器の注入口を充填装置の充填ノズルと接続する状態を保持し、またその接続を解放する機構と、包装容器内の気体を吸引し充填装置内を通して除去する手段と、続いて所定圧力が負荷された水素含有水を包装容器内に注入する手段と、その後充填装置内に残る剰余の水素含有水を包装容器内に加圧供給し、包装容器内に残る気泡を外に排出する手段とを備えてなることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
(a)脱気装置
本装置は、供給された原料の浄化水を中空糸膜を通じて脱気する装置である。
前記脱気装置は、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス等の溶存気体の脱気を行うことができれば特に制限されず、例えば真空脱気装置や、中空糸膜モジュールを備えた脱気装置を用いることができるが、微量に溶存する気体を効率よく脱気することができるため、中空糸膜モジュールを備えた脱気装置を用いることが好ましい。
該中空糸膜モジュールは、通常数多くの中空糸膜を束状にそして膜間に適当なスペースを設けて配置されてなり、そして中空糸膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記浄化水を通過させ、気体室を減圧することにより、水室に流れる溶存気体を脱気する。
また、中空糸膜モジュールは、2つ以上並列使用してもよく、特に2つ以上の中空糸膜モジュールを直列して使用することにより、微量に溶存する気体をより効率よく脱気することができる。
また本発明では、浄化水を脱気装置に供給する水流路に圧力が負荷されているため、本装置で用いる中空糸膜には高い耐圧性能が求められるが、中空糸膜はそのような耐圧性能
があれば、その種類は特に制限は無く、例えば、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリビニルフェノール−ポリジメチルシロキサン−ポリスルホンブロック共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1−)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子膜を用いることができる。
なお、本発明では、浄化水を脱気装置に供給する水流路に高い圧力が負荷されているため、本装置で用いる中空糸膜は、水流路に低い圧力が負荷されている従来技術に比べて、中空糸膜の消耗が早くなるおそれがあるので、より耐圧性に優れたグレードのものを採用するのが望ましい。
なお、脱気効率を高めるために浄化水の脱気を加温下で実施してもよく、その場合には、その後の水素溶解の効率を上げるために、より低温に、少なくとも室温(25℃前後)にまで冷却することが求められる。
なお、前記装置(a)で使用する浄化水は、例えば浄化装置において原料となる水をろ過して得ることができる。
原料となる水は、飲用に適した水源から供給されたものであれば特に制限は無く、水道水(水道事業の用に供する水道、専用水道若しくは簡易専用水道により供給される水)や地下水等を挙げることができる。
前記浄化装置は、通常、活性炭ろ過装置と膜ろ過装置を備えてなる。
前記活性炭ろ過装置により原料となる水のカビ臭、トリハロメタンの除去や、脱塩素処理などを行う。また安全フィルタろ過装置によって、浮遊物(活性炭などを含む)や、大腸菌などの細菌、クリプトスポリジウムなどの病原性原虫などを除去することも可能である。
膜ろ過装置に使用可能な膜としては、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノフィルター膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)が挙げられるが、操作性や、飲用とした場合に味の決め手となるミネラル成分の残存性を考慮すると、MF膜を用いることがもっとも望ましい。NF膜やRO膜を用いたとき、ナトリウムイオンやカリウムイオン等の原水に溶存するミネラル成分が除去されやすくなるため、飲用に適した水とするにはこれらミネラル成分の残存率を調整するとか、あるいは新たに添加するなどの必要が後工程で生じる場合がある。しかも、その場合、操作が煩雑になり好ましくない。
(b)水素溶解装置
本装置は、前記脱気装置より供給された脱気水に加圧水素ガスを中空糸膜を通じて溶解する装置である。
前記水素溶解装置としては、単位時間、単位スペース当りの水素ガス溶解量が大きく、水素ガスの溶解効率を高めることが容易であることから、中空糸膜モジュールを備えた水素溶解装置を用いる。
前記中空糸膜モジュールは、通常数多くの中空糸膜を束状にそして膜間に適当なスペースを設けて配置されてなり、そして中空糸膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記脱気水を通過させ、気体室に水素ガスを供給することにより、水室に流れる脱気水に水素ガスを溶解させる。
また、中空糸膜モジュールは、2つ以上並列使用してもよく、特に2つ以上の中空糸膜モジュールを直列して使用することにより、水素ガスの溶解効率をより高めることができる。
また本発明では、脱気水を水素溶解装置に供給する水流路に圧力が負荷されているため、本装置で用いる中空糸膜には高い耐圧性能が求められるが、中空糸膜はそのような高い
耐圧性能があれば、その種類は特に制限は無く、本装置で使用する中空糸膜としては、前述の中空糸膜として挙げた高分子膜を用いることができる。
水素ガスの供給方法には特に制限は無く、例えば市販の高純度水素ガスボンベや水の電気分解などで得られる水素ガスに圧力をかけて中空糸膜モジュールの気体室に供給する。水素ガスに負荷させる圧力としては、例えば2気圧乃至5気圧である。水素ガスに圧力を負荷させることにより、溶存水素濃度をより高めることができる。
なお、本発明では、脱気水を水素溶解装置に供給する水流路に高い圧力が負荷されているため、本装置で用いる中空糸膜は、水流路に低い圧力が負荷されている従来技術に比べて、中空糸膜の消耗が早くなるおそれがあるので、より耐圧性に優れたグレードのものを採用するのが望ましい。
本発明の製造装置は、前記装置(a)に供給される浄化水から前記装置(c)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路に圧力ポンプを備えていることを特徴とする。これにより、従来に比して相当に高い圧力が負荷された溶存水素濃度が高い水素含有水を水流路を通じて充填装置まで給送することができる。
前記ポンプは、水流路(配管)に圧力を負荷することができるものであれば特に制限されず、公知の圧力ポンプを使用することができる。また、前記圧力としては、前記中空糸膜の消耗や各装置の耐圧性能などの観点から、例えば0.2MPa乃至0.5MPaが適用され、好ましくは、例えば0.2MPa乃至0.4MPaであり、例えば0.2MPa乃至0.3MPaである。
(c)充填装置
本装置は、前記水素溶解装置により供給された水素含有水をスパウト付包装容器にその注入口より充填する装置である。
前記スパウト付包装容器としては、特にアルミラミネートフィルム製のスパウト付袋状容器が気密性は高く水素の流出を防ぐことができるため好ましい。
また、本発明の製造装置は、前記装置(c)において、包装容器の注入口を充填装置の充填ノズルと接続する状態を保持する機構と、包装容器内の気体を吸引し充填装置内を通して除去する手段と、続いて所定圧力が負荷された水素含有水を包装容器内に注入する手段と、その後充填装置内に残る剰余の水素含有水を包装容器内に加圧供給し、包装容器内に残る気泡を外に排出する手段とを備えることを特徴とする。包装容器内の気体を吸引した後、圧力が負荷された水素含有水を包装容器に注入し、さらに包装容器内に残る気泡を外に排出することにより、水素含有水の溶存水素濃度が低い水準に至るのを抑えて包装容器内に水素含有水を充填することができる。
(d)密封装置
本装置は、水素含有水の充填が完了したスパウト付包装容器の注入口を密封する装置である。
本装置は、充填装置から送られたスパウト付包装容器の注入口を直ちに密封することができるものであれば特に制限されず、公知の密封装置を使用することができる。
そして、密封工程が終了した後、スパウト付包装容器は適宜加熱殺菌装置に送られて加熱殺菌され、最終製品として完成する。
加熱殺菌装置としては、例えば、加熱蒸気殺菌装置を使用することができ、殺菌時の加熱温度及び加熱時間は、F値(一定温度で一定数の特定細菌胞子、または細菌を死滅させるのに要する加熱温度(分))や製品品質を勘案して適宜決定することが望ましい。例えば、加熱温度及び加熱時間は85〜90℃、20分〜1時間であり、例えば、85℃で3
0分間という加熱温度及び加熱時間が採用される。
本発明の望ましい実施形態を、図によってさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
本発明の飲料用水素含有水の製造方法に用いることができる飲料用水素含有水製造装置の一形態を図1に示す。
本製造装置1は、主に原料水供給装置2、ろ過塔3、安全フィルタ塔4、圧力ポンプ5、脱気塔6、電解装置7、及び水素溶解塔8並びに充填装置9とから構成される。脱気塔6は前述した脱気装置(a)に相当し、水素溶解塔8は水素溶解装置(b)に相当する。
まず原料水供給装置2から供給された原料となる水は、配管L1を経て活性炭素層が充填されたろ過塔3に供給され、ここで活性炭処理されることにより脱塩素処理される。
次に、ろ過塔3から吐出された水は配管L2を経て、MF膜が設置された安全フィルタ塔4に送り込まれる。
そして安全フィルタ塔4から吐出された浄化水は配管L3を経て、圧力ポンプ5に送り込まれる。
圧力ポンプ5は安全フィルタ塔4から吐出された浄化水(脱気塔6に供給される浄化水)から、後述するスパウト付包装容器に注入される水素含有水までの水流路(L4乃至L6)に圧力を負荷する役割を果たし、浄化水から水素含有水までに所定の圧力(例えば、0.2乃至0.5MPa)を負荷することにより、従来に比して相当に高い圧力が負荷された溶存水素濃度が高い水素含有水を水流路を通じて充填装置まで給送することができる。
続いて圧力ポンプ5から吐出された浄化水は配管L4を経て脱気塔6に送り込まれる。
脱気塔6には中空糸膜モジュール61が設置され、該中空糸膜モジュール61は図2に示すように、中空糸膜611によって水室612と気体室613に区画されている。そして気体室613が真空ポンプ12により減圧に保たれることにより、水室612を流れる浄化水に溶存していた気体(酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス等)が、中空糸膜611を透過して気体室613に移行することにより、水室612を流れる浄化水が脱気される。
溶存気体が脱気された脱気水は、続いて配管L5を経て、中空糸膜モジュール81が設置された水素溶解塔8に送り込まれる。
該中空糸膜モジュール81は図3に示すように、中空糸膜811によって水室812と気体室813に区画されている。そして気体室813には、電解装置7によって製造された水素ガスが配管L10を通して供給されている。電解装置7に供給される水は、前記原水供給装置2から配管L9を経て供給される。
そして中空糸膜モジュール81において、電解装置7から供給された水素ガスを加圧して気体室813に送りこむことにより、分圧差によって中空糸膜811を水素ガスが透過し、水室812を流れる脱気水に供給され、水素含有水が製造される。
こうして得られた水素含有水は配管L6を通って充填装置9に供給される。
充填装置9は図4に示すような充填ノズル91とこれを動作させる電磁弁921や制御装置(図示せず)を付設してなる。充填ノズル91はその内部に、長尺のピストン911を備え、このピストン911はその上部に付設されたバネ機構912により上下動可能に備えられている。ピストン911の上方には、空気室913が設けられ、これは摺動自在な仕切り板914により上下二部屋に分けられている。これら二部室(913a、913b)はそれぞれ加圧空気の供給口915a、915b(供給口915a、915bは電磁
弁921に接続されている)と連通している。また、ピストン911の下側には、弁916が設けられ、その下方には包装容器13の注入口13aとの接続部917が設けられている。また、ピストン911の側方には、ノズルの弁916近くの内部空間918と連通する水素含有水供給管919が接続されている。
而して、ピストン911を下げた状態で(つまり弁916は閉じられている)、空のスパウト付包装容器13の注入口13aを注入口920と接続する。次に吸引ポンプ(図示せず)の運転により充填ノズル91の内部を減圧し、スパウト付包装容器13内の気体を吸引する[図4(a)]。続いて、電磁弁のON/OFFを切り替え、供給口915bを通じて加圧空気を空気室913bに供給することにより、ピストン911を上げた状態にする。すると、弁916は開放され、加圧された水素含有水が供給管919を通して包装容器内に充填される[図4(b)]。その後、電磁弁のON/OFFを切り替え、供給口915aを通じて加圧空気を空気室913aに供給することによりピストン911を下げ弁916が閉じた状態にし、そして加圧ポンプにより充填ノズル内部を加圧して、充填ノズル91内に残った剰余の水素含有水を包装容器13に充填し、包装容器13の注入口13aより水素含有水を溢れ出させる[図4(c)]。これにより、包装容器13内に残る気泡はすべて外気に放出される。その後、直ちに、スパウト付包装容器13の注入口13aと充填ノズル91の注入口920との接続を解き、この水素含有水の充填が完了した包装容器13を密封装置によって、スパウト付包装容器13の注入口13aを直ちに密封する。
続いてスパウト付包装容器に密封された水製品を、加熱殺菌装置10において加熱殺菌し、最後に包装装置11にて箱詰め処理される。
実際に図1に示すような製造装置を用い、浄化水の原料として水道水を用いて得られた、本発明の飲料用水素含有水の製造方法による飲料用水素含有水において、その溶存水素濃度は、室温・大気圧下で、例えば2.6ppm前後(2.4〜2.8ppm)であった。一方、従来技術通り、室温・大気圧下で水素含有水を包装容器に充填した場合の溶存水素濃度は1.5ppm前後であった。
なお、上記溶存水素濃度は包装容器に充填後、包装容器を加熱殺菌する前の水素含有水の溶存水素濃度である。
以上のように、上記の構成をとることにより、本発明の製造方法は、得られる水素含有水の溶存水素濃度を高めるとともに溶存酸素濃度を低下させることができ、特に水素含有水の溶存水素濃度が低い水準に至るのを抑えて包装容器内に水素含有水を充填することができる。
また本発明の製造装置は、本発明の製造方法の高効率使用に適しており、本発明の製造方法の上記効果を十分に発揮させることができる。
1・・・飲料用水素含有水製造装置
2・・・原料水供給装置
3・・・ろ過塔
4・・・安全フィルタ塔
5・・・圧力ポンプ
6・・・脱気塔
61・・・中空糸膜モジュール
611・・・中空糸膜
612・・・水室
613・・・気体室
7・・・電解装置
8・・・水素溶解塔
81・・・中空糸膜モジュール
811・・・中空糸膜
812・・・水室
813・・・気体室
9・・・充填装置
91・・・充填ノズル
911・・・ピストン
912・・・バネ機構
913・・・空気室
913a・・・空気室
913b・・・空気室
914・・・仕切り板
915・・・供給口
915a・・・供給口
915b・・・供給口
916・・・弁
917・・・接続部
918・・・内部空間
919・・・水素含有水供給管
920・・・注入口
921・・・電磁弁
10・・・加熱殺菌装置
11・・・包装装置
12・・・真空ポンプ
13・・・スパウト付包装容器
13a・・・注入口
L1〜L6・・・配管

Claims (2)

  1. 連続して飲料用水素含有水を製造する方法であって、
    (a)脱気装置において供給された原料の浄化水を中空糸膜を通じて脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程と、
    (b)前記水素溶解装置において供給された脱気水に加圧水素ガスを中空糸膜を通じて溶解し、得られた水素含有水を充填装置に送る水素溶解工程と、
    (c)前記充填装置において充填ノズルをスパウト付包装容器と接続し、供給された水素含有水を付包装容器注入口より充填する充填工程と、
    (d)水素含有水が充填されたスパウト付包装容器の注入口を密封する密封工程とを含み、
    前記工程(a)において脱気装置に供給される浄化水から前記工程(c)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路には圧力ポンプの運転により所定の圧力が負荷されているとともに、
    前記工程(c)は、
    前記充填ノズルに接続された水素含有水供給管と前記包装容器の注入口との連通を閉じ、充填装置の充填ノズルを包装容器の注入口と接続する状態を保持するとともに、包装容器内の気体を吸引し充填装置内を通して除去する段階と、
    前記水素含有水供給管と前記包装容器の注入口との連通を開き、続いて所定圧力が負荷された水素含有水を包装容器内に注入する段階と、
    その後、前記水素含有水供給管と前記包装容器の注入口との連通を閉じ、加圧ポンプにより充填ノズル内部を加圧して充填装置内に残る剰余の水素含有水を包装容器内に供給する段階を備え、
    そして前記方法は、これらの段階の後、包装容器内に残る気泡を外に排出するとともに、前記充填ノズルと前記注入口との接続を解き、直ちに前記工程(d)に移行することを特徴とする、方法。
  2. 連続して飲料用水素含有水を製造する装置であって、
    (a)供給された原料の浄化水を中空糸膜を通じて脱気する脱気装置と、
    (b)前記脱気装置より供給された脱気水に加圧水素ガスを中空糸膜を通じて溶解する水素溶解装置と、
    (c)前記水素溶解装置より供給された水素含有水をスパウト付包装容器にその注入口より充填する充填装置と、
    (d)前記水素含有水の充填が完了したスパウト付包装容器の注入口を密封する密封装置と、
    前記装置(a)に供給される浄化水から前記装置(c)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路に所定の圧力を負荷することができる圧力ポンプとを備え、
    前記充填装置(c)は、充填装置の充填ノズル前記包装容器の注入口接続する状態を保持し、またその接続を解放する機構と、
    前記充填ノズルに接続された水素含有水供給管と前記スパウト付包装容器の注入口との連通を開閉可能にする弁と、
    包装容器内の気体を吸引し充填装置内を通して除去する手段と
    所定圧力が負荷された水素含有水を前記水素含有水供給管から充填装置内部を通して包装容器内に注入する手段と
    充填装置内に残る剰余の水素含有水を包装容器内供給する充填ノズル内部を加圧する手段とを備え、かつ、
    前記密封装置(d)は、前記包装容器の注入口を密封する直前に、該包装容器内に残る気泡を外に排出するとともに前記充填ノズルと前記注入口との接続を解く機構を備えてなることを特徴とする装置。
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