<第1の実施の形態>
以下、本発明における第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態はあくまでも例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
なお、以下の図において、説明の便宜上、上側(大気側)を矢印a方向、下側(地面側)を矢印b方向とする。また、左側を矢印c方向、右側を矢印d方向とし、正面側を矢印e方向、背面側を矢印f方向とする。
<シート>
図1に示すように、自動車の座席(シート)1は、図示しない座面部、背もたれ部11、および、ヘッドレスト12を備えている。シート1の背もたれ部11およびヘッドレスト12には、図2および図3に示すようなコネクタ接続構造体2が装着される。
背もたれ部11は、ガイド部材13、および、シートバックユニット14を有している。ガイド部材13は、背もたれ部11の上方(矢印a方向)の端部(以下、これを「上方端部」ともいう。)11aに貫通孔13hが露出した状態で当該背もたれ部11の内部に埋め込まれている。シートバックユニット14は、背もたれ部11の内部において、ガイド部材13よりも鉛直下方の所定距離だけ離れた位置に収納されている。
ヘッドレスト12は、当該ヘッドレスト12から下方(矢印b方向)に突出した2本のパイプ状からなる例えば金属製のステー12sを有しており、当該ステー12sの内側空間にオスコネクタ3を収容することが可能である。ステー12sは、ガイド部材13の貫通孔13hの内径よりも小さい外径を有している。また、ステー12sには、オスコネクタ3の後述する弾性突起38(図4参照)が係合するための係合孔12hが形成されている。
ガイド部材13は、貫通孔13hを介してヘッドレスト12のステー12sを上側(矢印a方向)または下側(矢印b方向)にガイドする。なお、ヘッドレスト12は、ガイド部材13の貫通孔13hに沿って上下に移動するだけであり、回転方向の動きは生じないものとする。
シートバックユニット14は、板状部材からなり、当該シートバックユニット14の左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)に固定された2個のホルダ収容部材15を備えている。ホルダ収容部材15は、内部空間を有する円筒形状からなり、その内部空間に後述する略円筒形状のホルダ5を収容した状態で取り付けている。
また、ホルダ5は、ホルダ収容部材15に取り付けられているが、その内部空間において、当該ホルダ5の軸線xを中心に両方向へ所定角度(例えば、それぞれ25度)だけ回転可能な状態で保持されている。
<シートに装着されるコネクタ接続構造体>
図2および図3に示すように、コネクタ接続構造体2は、被挿入コネクタとしてのオスコネクタ3、ホルダ5、および、コネクタとしてのメスコネクタ7を備えている。ここで、コネクタ接続構造体2は、メスコネクタ7がホルダ5と一体化した状態に取り付けられ、当該ホルダ5と一体化されたメスコネクタ7に対してヘッドレスト12のステー12sと一体化されたオスコネクタ3が着脱自在に取り付けられる構造体である。
<ステーと一体化されるオスコネクタ>
図4に示すように、オスコネクタ3は、ヘッドレスト12のステー12sの内側空間に収容された状態、かつ、当該オスコネクタ3の開口部31だけがステー12sから露出した状態で一体に取り付けられている。
ヘッドレスト12のステー12sと一体化されたオスコネクタ3は、当該ステー12sとともにガイド部材13の貫通孔13hから挿入され、当該ガイド部材13に沿って上側(矢印a方向)および下側(矢印b方向)へ移動する。
具体的には、オスコネクタ3は、メスコネクタ7の上側(矢印a方向)の先端部分である挿入端部72(図3参照。)を開口部31から挿入して嵌合するための挿入孔32を有している。
オスコネクタ3は、メスコネクタ7の挿入端部72と正対した位置(以下、これを「正対位置」ともいう。)に配置され、両者間に回転角度ずれが生じていないときに、挿入孔32の内壁に対してメスコネクタ7の挿入端部72が係合する。
オスコネクタ3は、図5乃至図7に示すように、筒状の本体部30と、本体部30に一体に形成された弾性体部37とを備える。
本体部30は、絶縁性の合成樹脂により形成されている。本体部30の上側(矢印a方向)の端部には、特に図5(B)に示すように、複数の端子収容室Rが形成されている。この端子収容室R内に端子金具が設けられている。
本体部30は、図7に示すように、ステー12sの内側空間に収容可能な外径を有する略筒状の断面形状を有し、底壁部30a、当該底壁部30aの左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)の端部から正面側(矢印e方向)に向かって延びる側壁部30b、30b、および、当該側壁部30b、30b間を繋ぐ部分であり、底壁部30aと対向配置された天壁部30kを有している。本体部30の底壁部30a、側壁部30b、30b、および、天壁部30kは一体に形成されており、底壁部30aと側壁部30b、30bとの角部、および、側壁部30b、30bと天壁部30kとの角部がR面状に形成されている。
本体部30は、メスコネクタ7の挿入端部72を挿入する開口部31の他に、当該本体部30の外周面に対して、一対の第1突部33と、第2突部34と、係合突起35と、当接突起36とが一体に形成されている。
一対の第1突部33は、図5(A)、(B)に示すように、本体部30の長手方向(矢印ab方向)に沿って開口部31から上側(矢印a方向)へ向かって延在し、後述する弾性体部37の周方向の左右両側(矢印cd方向)に設けられた突条部分である。
具体的には、一対の第1突部33は、弾性体部37の左右両側であって、かつ、後述する弾性突起38の左右両側において確実に存在する位置まで延在している。ただし、これに限るものではなく、弾性突起38の左右両側にまで延在するのであれば、弾性体部37よりも更に長く上側(矢印a方向)へと延在していてもよい。
また、一対の第1突部33は、図7(A)および(B)に示すように、本体部30の天壁部30kにおいて、弾性体部37を両側から挟む位置から正面側(矢印e方向)へ向かって突出している。
一対の第1突部33における正面側(矢印e方向)の端部は、オスコネクタ3がステー12sの内側空間に収容された状態において、オスコネクタ3とステー12sの内周面12iと当接される部分であり、内周面12iに沿ってR面状に形成されたR部33aを有している。なお、R部33aの曲率は、ステー12sの内周面12iの曲率に対応していることが好ましいが、内周面12iと面接触可能な曲面が形成されていれば、必ずしも対応している必要はない。
一対の第1突部33における弾性体部37の正面側(矢印e方向)の外面37aからの突出量(高さ)は、弾性体部37の外面37aよりも高く、当該弾性体部37の弾性突起38の突出量(高さ)よりも低く形成されている。
第2突部34は、図6に示すように、一対の第1突部33と背向する底壁部30aの外周面における部分において、本体部30の開口部31から上側(矢印a方向)に向かう長手方向に沿って延在した突出部分である。具体的には、第2突部34は、オスコネクタ3がステー12sの内側空間に収容された状態において、ステー12sの内周面12iと当接される部分である。
図6に示すように、ステー12sの内周面12iと接触する第2突部34の断面形状は、R面状に形成されている。また、第2突部34は、上側(矢印a方向)に向かって延在し、背面側(矢印f方向)へ突出した凸部である。
この第2突部34は、開口部31から上側(矢印a方向)にその厚さが一定の突条部分34aと、当該突条部分34aの上側(矢印a方向)の端部からその厚さが次第に減少するように形成された傾斜部分34bとを有する。すなわち、第2突部34の傾斜部分34bは、側面視において、その頂部から本体部30の底壁部30aに向かってテーパ状に傾斜している。
なお、図示の実施の形態においては、第2突部34が1つだけ設けられた場合について述べたが、これに限らず、一対の第1突部33と背向する本体部30の底壁部30aの外周面の位置に一対の第2突部34が設けられてもよく、さらにそれ以上の数の第2突部34が設けられてもよい。
このような構成のオスコネクタ3は、図7に示すように、ステー12sの内側空間に収容された場合、一対の第1突部33および第2突部34の3点により当該ステー12sの内周面12iに支持されることになる。
係合突起35は、後述するメスコネクタ7のロックアーム73と係合し、かつ後述するホルダ5とメスコネクタ7との係合状態を解除する一対の機能部である。
係合突起35は、本体部30の開口部31における左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)の切欠部分において互いに180°離間した状態で径方向外側に向かって突出した部分である。
係合突起35は、径方向外側に最も突出した部分の面を形成する平坦な外周面35a、および、当該外周面35aから下側(矢印b方向)へ向かって次第に突出量が減少するように形成された斜面35bを有している。
当接突起36は、係合突起35よりも上側(矢印a方向)に隣接して設けられ、後述するメスコネクタ7のロックアーム73と当接する一対の機能部である。当接突起36は、本体部30の側壁部30bの外周面から径方向外側に突出した部分である。
当接突起36は、径方向外側に最も突出した部分の面を形成する平坦な外周面36a、当該外周面36aから下側(矢印b方向)へ向かって次第に突出量が減少するように形成された斜面36bを有している。
弾性体部37は、オスコネクタ3がステー12sに収容される際、オスコネクタ3の軸線x方向に向かって撓む板状部分である。
弾性体部37は、図5に示すように、本体部30の天壁部30kから正面側(矢印e方向)へ板状部分が全体的に突出した状態で当該本体部30の長手方向に沿って延在し、かつ、当該本体部30と一体に形成されている。具体的には、弾性体部37の下側(矢印b方向)の一端部は、開口部31の近傍で本体部30の天壁部30kと一体に連結されており、上側(矢印a方向)の他端部は、開口部31から所定の距離だけ離れた位置で本体部30と一体的に連結されている。
また、弾性体部37は、当該弾性体部37の外面37aから正面側(矢印e方向)に向かって所定量だけ突出した突起(以下、これを「弾性突起」ともいう。)38を有する。弾性突起38は、図4に示すように、オスコネクタ3がステー12sに収容された場合、ステー12sの係合孔12hに係合する。
弾性突起38は、径方向外側に最も突出した部分の面を形成する平坦な外面38a、および、当該外面38aから上側(矢印a方向)へ向かって次第に突出量が減少するように形成された斜面38bを有している。なお、弾性突起38の突出量は、本体部30の外径の寸法公差が最大値となり、ステー12sの内径の寸法公差が最小値となる場合であっても、弾性突起38の外面38aがステー12sの係合孔12hから外周方向へ飛び出すことのない高さに予め設定されている(図7(A)、(B)参照。)。
このような構成のオスコネクタ3をステー12sの内側空間へ収容された後に当該ステー12sと一体化した状態で取り付けるまでの動作について説明する。ステー12sの内側空間にオスコネクタ3を挿入する場合、ステー12sの開口端12e(図4参照。)からオスコネクタ3の上側(矢印a方向)の端部を挿入する。
このとき、オスコネクタ3における弾性体部37の弾性突起38の斜面38bがステー12sの開口端12eに当接するので、当該弾性体部37が全体的に軸線x方向に向かって撓み、その後、弾性突起38の外面38aとステー12sの内周面12iとが当接した状態のまま本体部30が更に押し込まれる。
オスコネクタ3の本体部30がステー12sの内側空間へ更に押し込まれ、弾性突起38がステー12sの係合孔12hの位置に到達すると、弾性体部37の復元力により弾性突起38が係合孔12hに係合し、オスコネクタ3はステー12s内に収容された状態で長手方向(矢印ab方向)に移動が規制された取付状態となる。
また、オスコネクタ3がステー12sの開口端12eから内側空間に挿入される場合、本体部30の天壁部30kに一体に設けられた一対の第1突部33のR部33aがステー12sの内周面12iに当接した状態で当該本体部30が押し込まれる。
このとき同時に、当該ステー12sの開口端12eに対して、オスコネクタ3における本体部30の第2突部34の傾斜部分34bが当接しながら、本体部30が更に押し込まれるに連れて、ステー12sの内周面12iによって第2突部34の突条部分34aが次第に押し潰されていく。
ここで、第2突部34の突条部分34aが「押し潰される」とは、オスコネクタ3がステー12sの内側空間に押し込まれるに連れて、ステー12sに収容される前の突条部分34aの形状から変形することを意味する。押し潰された状態の突条部分34aには元の形状に戻ろうとする復元力が生じるため、本体部30の第1突部33がステー12sの内周面12iの正面側(矢印e方向)の部分に押し付けられる。
この結果、オスコネクタ3は、本体部30に形成された一対の第1突部33、および、第2突部34によって、ステー12sの内周面12iに押し付けられた3点支持状態で強固に支持される。
ステー12sにオスコネクタ3が一体に取り付けられた状態において、ステー12sの内周面12iに対するオスコネクタ3の支持は本体部30における一対の第1突部33および第2突部34のみで行われ、ステー12sにより弾性体部37を撓ませる力は作用していない。かくして、弾性体部37が撓んだ状態が継続することによるクリープ変形を未然に防止し、弾性突起38とステー12sの係合孔12hとの係合状態を永続的に保持することができる。
また、一対の第1突部33の先端に形成されたR部33aがステー12sの内周面12iと面接触するので、ステー12sの内周面12iと第1突部33のR部33aとが当接したときの摩擦力が強くなり、ステー12sの内周面12iに対してオスコネクタ3の本体部30が強固に保持される。
また、第2突部34には、突条部分34aの上側(矢印a方向)の端部に傾斜部分34bが設けられていることにより、オスコネクタ3のステー12sの内側空間への挿入時に傾斜部分34bに沿って滑らかに挿入される。また、オスコネクタ3が傾斜部分34bによりステー12sの内側空間へ滑らかに挿入されるので、ステー12sの開口端12eに第2突部34が接触した際に、当該第2突部34が破損することを未然に防止することができる。
さらに、オスコネクタ3は、図7(A)に示すように、ステー12sの内周面12iに対し、一対の第1突部33および第2突部の3点で支持され、その際、弾性体部37が弾性変形することがない。したがって、オスコネクタ3がステー12sの内側空間に収容された状態において、弾性体部37の弾性突起38はステー12sの係合孔12hに対して常に一定の係合代L(例えば、1mm)を持って係合することができる。なお、一定の係合代Lを持って係合孔12hと係合している状態において、弾性突起38は係合孔12hから突出しない。
また、図7(B)に示すように、オスコネクタ3の外径の寸法公差が最大値であり、かつステー12sの内径の寸法公差が最小値であっても、弾性体部37が弾性変形していないので、弾性体部37の弾性突起38はステー12sの係合孔12hに対して一定の余裕代P(例えば、0.01mm)を持って係合することができる。
したがって、オスコネクタ3がステー12sの内側空間に取り付けられた状態において、弾性体部37の弾性突起38がステー12sの係合孔12hから突出することがないため、ホルダ5の内周面に弾性突起38が当接して弾性体部37が弾性変形し、クリープ変形することについても未然に防止することができる。
<ホルダ>
ホルダ5は、例えば、絶縁性の合成樹脂で構成されており、全体として略円筒状の断面形状を有する。なお、ホルダ5の断面形状は、略円筒形状に限られず、例えば角筒状等の他の形状であってもよい。ホルダ5は、後述するメスコネクタ7を収容して一体に取り付けて保持するものである。
ホルダ5は、図8に示すように、ホルダ本体50と、ホルダ本体50の内周面に一体に形成されたホルダ側の弾性ロックアーム60とを備える。なお、図8(A)は、図3のII-II線に沿って切断したときの縦断面図であり、図8(B)は、図3に示すホルダ5を下側(矢印b方向)から上側(矢印a方向)に向かって見たときの平面図である。
ホルダ本体50は、図8(B)に示すように、全体として略筒状の断面形状を有している。ホルダ本体50は、左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)に軸線x方向に沿って延在して設けられた略平坦な板状の部分からなる一対の平坦部50s、および、一対の平坦部50sを正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)でそれぞれ連結する湾曲状の部分からなる一対の湾曲部50cを備えている。
なお、一対の湾曲部50cのうち正面側(矢印e方向)の湾曲部50cは、ホルダ5における軸線x上において、背面側(矢印f方向)の湾曲部50cよりも上側(矢印a方向)に位置している。
ホルダ本体50の湾曲部50cの外周面の両側端部には、4つの弾性アーム51が等角度間隔で当該湾曲部50cと一体に形成されている。弾性アーム51は、湾曲部50cの外周面から径方向外側へ向かって突出した状態で当該ホルダ本体50の長手方向(矢印ab方向)に沿って延在している。4つの弾性アーム51は、腕部51aと、当該腕部51aの先端に設けられた当接端部51bとを備えている。ホルダ5がホルダ収容部材15に収容された場合、弾性アーム51の腕部51aが撓むとともに、当接端部51bがホルダ収容部材15の内周面と弾性的に接触する。
ホルダ本体50の上側(矢印a方向)の開口端縁の内周面には、環状のテーパ部50t(図8(A)参照。)が形成されている。テーパ部50tは、ホルダ5の開口端縁からオスコネクタ3を円滑に挿入する際の案内部として機能する。
ホルダ本体50における平坦部50sには、長手方向(矢印ab方向)に沿って延在する2本のスリット52が形成されている。なお、図8(A)においては、一方の平坦部50sのスリット52だけが示されている。2本のスリット52は互いに平行に延在し、2本のスリット52の間の部分が弾性ロックアーム60となる。
ここで、スリット52は、上側(矢印a方向)の薄いスリット部分(以下、これを「薄スリット部分」という。)52a、および下側(矢印b方向)の薄スリット部分52b、および、薄スリット部分52a、52bの間の厚いスリット部分(以下、これを「厚スリット部分」という。)52cからなる。厚スリット部分52cは、薄スリット部分52a、52bよりもスリットの正面側(矢印e方向)または背面側(矢印f方向)の距離が長く(厚く)形成されている。
平坦部50sにおいて厚スリット部分52cの長手方向の上側(矢印a方向)の側端壁となる内側壁部53は、メスコネクタ7のロックアーム73のメス側当接面75c(図9参照。)と当接される当接部として機能する。ここで、内側壁部53を以下においてホルダ側当接面53として説明する。
この場合、平坦部50sにおいては、弾性ロックアーム60を中心として正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)にそれぞれホルダ側当接面53が互いに対向するように形成されている。ホルダ側当接面53は、ロックアーム73のメス側当接面75c(図9参照。)と面接触するように上側(矢印a方向)から下側(矢印b方向)に向かって傾斜された傾斜面として形成されている。
弾性ロックアーム60は、ホルダ本体50の平坦部50sにおいて2本のスリット52の間に存在する部分であり、当該平坦部50sの上側(矢印a方向)および下側(矢印b方向)の端部において平坦部50sと一体に形成されている。
弾性ロックアーム60は、ホルダ本体50の内側(軸線x)に向かって突出した凸形状のロック突起61を備えている。ロック突起61は、メスコネクタ7のロックアーム73と対向するようにホルダ本体50の内面に設けられている。ロック突起61は、メスコネクタ7のロックアーム73と係合する部分であり、ホルダ本体50の平坦部50sにおける長手方向(矢印ab方向)のほぼ中央に配置されている。ロック突起61は、2つのホルダ側当接面53の近傍であって、かつ、ホルダ側当接面53よりも下側(矢印b方向)に配置されている。
すなわち、ホルダ5は、メスコネクタ7のロックアーム73のメス側当接面75cに当接するホルダ側当接面53と、ロックアーム73の係合面75a(図9(A)参照。)と係合するロック突起61とが互いに近接した位置に設けられている。つまりホルダ側当接面53およびロック突起61は、上側(矢印a方向)および下側(矢印b方向)、ならびに、正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)において非常に近接した位置に配置されている。
ロック突起61は、径方向内側に最も突出した部分の面を形成する平坦な突出面61a、および、当該突出面61aから下側(矢印b方向)へ向かって次第に突出量が減少するように形成された斜面61bを有している。
<ホルダと一体化されるメスコネクタ>
図9(A)および図9(B)に示すように、メスコネクタ7は、本体71、および、本体71の左右両側(矢印c方向および矢印d方向)に一体に形成されたロックアーム73を備えている。なお、本体71の上側(方向a方向)の端部には、複数の端子収容室Rが形成されている。この端子収容室Rの内部には、オスコネクタ3の端子金具と機械的かつ電気的に接続される端子金具が固定保持されている。
本体71は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、オスコネクタ3の挿入孔32に挿入して嵌合され、当該本体71の先端部分である所定の断面形状の挿入端部72を有している。図9(B)に示すように、挿入端部72は、オスコネクタ3の挿入孔32の内壁の凹形状と対応した断面略矩形状の基部72aと、当該基部72aと一体化されて正面側(矢印e方向)に突出した凸部72b、当該基部72aと一体化されて背面側(矢印f方向)に大きな幅で突出した大幅凸部72c、および、当該基部72aと一体化されて背面側(矢印f方向)に小さな幅で突出した小幅凸部72dを有している。この場合、大幅凸部72cおよび小幅凸部72dは、大幅凸部72cに対して小幅凸部72dが一体に重ねられた積層形状となっている。
ロックアーム73は、ホルダ5のロック突起61と係合する部分であり、U字状に形成されている。ロックアーム73は、本体71の基部72aにおける左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)にそれぞれ設けられている。ロックアーム73は、下側(矢印b方向)の下端部において本体71と一体に形成された片持ち支持構造を有している。すなわち、ロックアーム73の上側(矢印a方向)の上端部が、本体71の基部72aの外周面に対して近接または離間することが可能な弾性構造を有している。
ロックアーム73は、下側(矢印b方向)の下端部から上側(矢印a方向)の上端部に向かって本体71に沿って延在した一対の腕部74と、一対の腕部74を上側(矢印a方向)で連結した部分である係合部75とを備えている。係合部75における一対の腕部74は正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)に互いに離間して平行に延在している。一対の腕部74と腕部74との間隔は、ホルダ5の弾性ロックアーム60およびロック突起61の幅w(図8(A)参照。)よりも大きい。
係合部75は、1対のロックアーム73の上側(矢印a方向)の端部に形成された部分であり、係合面75a、斜面75b、上側端面75e、メス側当接面75c、および、斜面75dを有している。係合面75aは、ロックアーム73の上側(矢印a方向)の端部の内側に形成された平坦な面である。係合面75aは、上側(矢印a方向)および下側(矢印b方向)に向かう長手方向(矢印ab方向)とは垂直な方向の面であり、ホルダ本体50のロック突起61と係合される面である。
斜面75bは、係合面75aから連続した面であり、本体71から離れる左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)へ向かうに連れて上側(矢印a方向)に傾斜されたテーパ面である。
上側端面75eは、係合部75において係合面75aとは背向し、かつ、当該係合面75aと平行な平坦面である。上側端面75eは、ロックアーム73の係合部75の上側(矢印a方向)の外側の端部に形成された面である。
メス側当接面75cは、ロックアーム73の係合部75における上側(矢印a方向)の正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)の端部に形成されている。メス側当接面75cは、上側端面75eから連続した面であり、当該上側端面75eから正面側(矢印e方向)または背面側(矢印f方向)へ向かうに連れて下側(矢印b方向)に傾斜されたテーパ面である。
斜面75dは、上側端面75eおよびメス側当接面75cから連続した面であり、上側端面75eおよびメス側当接面75cから本体71へ向かうに連れて下側(矢印b方向)へ傾斜されたテーパ面である。
このようにロックアーム73の係合部75は、ホルダ5のロック突起61と係合する係合面75aと、ホルダ5のホルダ側当接面53と当接するメス側当接面75cとを当該係合部75の下側(矢印b方向)および上側(矢印a方向)の互いに背向した位置に有している。このように係合面75aおよびメス側当接面75cは、1つの係合部75において表裏一体の状態に形成されている。つまり、係合部75の係合面75aおよびメス側当接面75cは、同一の係合部75において互いに近接した位置にある。
このような構成のメスコネクタ7をホルダ5に収容して当該ホルダ5と一体化した状態に取り付けるまでの動作について説明する。図10(A)は、メスコネクタ7がホルダ5に取り付けられた状態を挿入方向である下側(矢印b方向)から見たときの平面図である。図10(B)は、図10(A)におけるB−B線に沿った断面図である。図10(C)は、図10(A)におけるC−C線に沿った断面図である。図10(D)は、図10(C)の破線で囲んだ領域ARの拡大図である。
ホルダ5にメスコネクタ7を収容する場合、ホルダ5の下側(矢印b方向)からメスコネクタ7の挿入端部72を挿入する。このとき、メスコネクタ7のロックアーム73の係合部75が、ホルダ5のロック突起61の斜面61bに乗り上げる。
その後、メスコネクタ7が上側(矢印a方向)に向かって更に押し込まれると、ロックアーム73の係合部75がロック突起61の突出面61aを通過した直後に、係合部75の係合面75aとロック突起61とが係合するとともに当該ロック突起61が2本の腕部74の間に収まり、ホルダ5に一体に保持された状態で取り付けられる。これにより、メスコネクタ7がホルダ5に収容された状態において、係合部75はホルダ5のホルダ側当接面53とロック突起61との間に配置され、ホルダ5とメスコネクタ7とを備えるコネクタ接続構造を実現することができる。
メスコネクタ7がホルダ5に一体に収容されて取り付けられた状態では、図10(B)および図10(C)に示すように、メスコネクタ7のメス側当接面75cは、ホルダ5のホルダ側当接面53に当接される。これにより、メスコネクタ7の長手方向(矢印ab方向)におけるホルダ5の移動が規制される。
このとき、メスコネクタ7のロックアーム73の係合部75とホルダ5の弾性ロックアーム60のロック突起61との係合箇所、および、メスコネクタ7のロックアーム73のメス側当接面75cとホルダ5のホルダ側当接面53との当接箇所が一つの係合部75の近傍に存在するため、ホルダ5にメスコネクタ7が一体に取り付けられた状態において、寸法誤差により生じるホルダ5とメスコネクタ7との間のガタつきを従来に比して大幅に減らすことができる。
また、メスコネクタ7のロックアーム73の係合部75とホルダ5の弾性ロックアーム60のロック突起61との係合箇所、および、メスコネクタ7のロックアーム73のメス側当接面75cとホルダ5のホルダ側当接面53との当接箇所がメスコネクタ7の一つの係合部75の近傍に存在するため、係合箇所から離れた位置に別個に当接箇所を設ける必要がない。
これにより、従来に比して、ホルダ5とメスコネクタ7との間における正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)の収容スペースを従来よりも広く確保し、ホルダ5とメスコネクタ7との間に高い設計自由度を持たせることができる。
なお、ロックアーム73のメス側当接面75cがホルダ5のホルダ側当接面53に当接している状態において、ホルダ5のロック突起61の斜面61bとは反対側の面と、ロックアーム73の係合面75aとの間には、必ず一定以上の隙間gが存在するように設定されている(図10(D)参照。)。このため、メスコネクタ7のロックアーム73およびホルダ5のロック突起61に寸法誤差が生じた場合であっても、隙間gが必ず存在するため、ロックアーム73の係合部75とホルダ5のロック突起61との係合状態を確保することができる。
メスコネクタ7が一体に取り付けられたホルダ5に、ステー12sと一体化されたオスコネクタ3が挿入されると、オスコネクタ3の係合突起35がメスコネクタ7のロックアーム73と本体71との間に進入し、オスコネクタ3とメスコネクタ7とが嵌合されるとともに相互に端子接続される。この状態において、メスコネクタ7の係合部75は、オスコネクタ3の係合突起35と当接突起36との間の凹所に入り込んでいるため、オスコネクタ3およびメスコネクタ7は一体に保持される(図11参照。)。
その後、ステー12sと一体化されたオスコネクタ3が下側(矢印b方向)へ更に押し込まれると、メスコネクタ7とホルダ5との係合が解除される。以下に、ホルダ5とメスコネクタ7との係合を解除する動作について説明する。
ステー12sと一体化されたオスコネクタ3、および、ホルダ5と一体化されたメスコネクタ7が嵌合し相互に端子接続された状態から、オスコネクタ3がヘッドレスト12のステー12sと共に下側(矢印b方向)へ更に押し込まれると、オスコネクタ3の係合突起35の斜面35bがホルダ5のロック突起61の突出面61aに接触して、ロック突起61をホルダ5の径方向の外側に押圧し、弾性ロックアーム60がホルダ5の径方向の外側に向かって弾性変形する。この場合、オスコネクタ3の係合突起35は、メスコネクタ7のロックアーム73とホルダ5のロック突起61との係合を解除しようとする状態にある。
メスコネクタ7と一体に取り付けられた状態のオスコネクタ3が更に押し込まれると、メスコネクタ7のロックアーム73の斜面75bにホルダ5のロック突起61が乗り上げ、ホルダ5とメスコネクタ7との係合状態が解除される。オスコネクタ3とメスコネクタ7とが係合した状態、すなわち、オスコネクタ3およびメスコネクタ7が一体になった状態で、ホルダ5からメスコネクタ7の係合状態が解除されているため、オスコネクタ3およびメスコネクタ7は長手方向(矢印ab方向)にフリーな状態となる。
<オスコネクタの回転誘起構造>
ところで、図1に示したように、ヘッドレスト12がガイド部材13を介してシートバックユニット14に向かって押し下げられる際、図11に示すように、ヘッドレスト12(図示せず)のステー12sと一体に固定されたオスコネクタ3と、シートバックユニット14のホルダ5(図示せず)と一体に取り付けられたメスコネクタ7とが上下左右方向において予め定められた正対する位置(以下、これを「正対位置」ともいう。)に配置されることが理想的である。なお、図11においては、便宜上、ホルダ5を省略している。
しかしながら、ヘッドレスト12がシートバックユニット14に向かって押し下げられる際、オスコネクタ3とメスコネクタ7とが正対位置に配置されず、当該メスコネクタ7が軸線xを中心に正対位置から左側(矢印c方向)または右側(矢印d方向)へ回転角度ずれが生じた非正対位置に配置されてしまうことがある。
そこで、オスコネクタ3は、このような回転角度ずれを当該オスコネクタ3とメスコネクタ7との間で吸収し、両者を正対位置に補正して配置するための回転誘起構造40を挿入孔32に備えている。
ここで、回転誘起構造40とは、オスコネクタ3をメスコネクタ7に向かって押し下げる場合、オスコネクタ3の挿入孔32にメスコネクタ7の挿入端部72が挿入されるが、その際、両者を正対位置に配置するようにメスコネクタ7を回転誘起させる構造のことである。なお、メスコネクタ7は、ホルダ5に一体に取り付けられているが、当該ホルダ5がホルダ収容部材15の中で軸線xを中心に左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)の両方向へ所定角度(例えば、それぞれ20度)だけ回転可能な状態で取り付けられている。
オスコネクタ3の回転誘起構造40は、図12(A)および(B)に示すように、開口縁41および複数の内周面42からなる。開口縁41は、メスコネクタ7の挿入端部72がオスコネクタ3の挿入孔32に挿入する際の間口となる部分である。内周面42は、オスコネクタ3とメスコネクタ7とが互いに正対位置に配置されるようにメスコネクタ7の回転を誘起させる角度に傾斜された傾斜面である。ここで、内周面42は、その形状および大きさが互いに同一または異なる複数の面からなる。
回転誘起構造40の開口縁41は、オスコネクタ3の挿入孔32に対してメスコネクタ7の挿入端部72が正対位置から所定の回転角度ずれが生じていた場合でも、挿入孔32にメスコネクタ7の挿入端部72を挿入可能な形状を有している。
具体的には、開口縁41は、ホルダ5と一体化されたメスコネクタ7の軸線x(オスコネクタ3の軸線xと一致する。)を中心に左側(矢印c方向)および右側(矢印d方向)の両方向へ所定角度(例えば、それぞれ20度)だけ回転した場合に、挿入端部72の基部72a乃至小幅凸部72dの各頂部の回転軌跡に対応した形状を有している。この場合、軸線xを中心に回転したときの各頂部の回転軌跡なので、開口縁41は複数の円弧形状により形成されている。
回転誘起構造40の内周面42は、メスコネクタ7の挿入端部72がオスコネクタ3の挿入孔32に挿入される際、当該挿入端部72が開口縁41から所定距離まで挿入されるまでに、メスコネクタ7の挿入端部72を正対位置へ向かって次第(線形)に回転させるような角度に傾斜された斜面である。
すなわち、回転誘起構造40における内周面42は、オスコネクタ3とメスコネクタ7とが正対位置となるまでに、挿入端部72の挿入深さ方向への挿入に伴うに連れて、左側および右側の両方向へ4度/mmの割合の回転誘起角度で線形にメスコネクタ7が回転する斜面である。ただし、これに限るものではなく、左側および右側の両方向へ5度/mmの割合の回転誘起角度であってもよい。回転誘起角度とは、メスコネクタ7の挿入端部72がオスコネクタ3の挿入孔32に挿入される際、その挿入深さ方向へ1mm挿入したときに当該メスコネクタ7が左側および右側の両方向へ所定角度だけ回転するように誘起する角度である。
ここで、回転誘起構造40の内周面42が開口縁41からどこまで形成されているかを表す所定距離とは、開口縁41から挿入孔32の挿入深さ方向に対する半分以下の長さであり、例えば5mmである。ただし、この距離は必ずしも5mmである必要はなく、5mm以下でも5mm以上であってもよい。
ただし、所定距離が5mmよりも短過ぎると、回転誘起構造40はメスコネクタ7を急激な角度で回転させることになるため、ホルダ5およびメスコネクタ7に多大な負荷をかけてしまう。一方、所定距離が5mmよりも長過ぎると、オスコネクタ3の挿入孔32に対してメスコネクタ7の挿入端部72が正対位置に配置されず、両者間の回転角度ずれが解消しないという事態になる。したがって、所定距離は開口縁41から4mm乃至6mmが好ましく、特に5mmが望ましい。
このように回転誘起構造40は、開口縁41から所定距離5mmの深さまでメスコネクタ7の挿入端部72が挿入されていく際、複数の内周面42によってメスコネクタ7を回転させ、オスコネクタ3の挿入孔32とメスコネクタ7の挿入端部72とを正対位置に補正することが可能な構造を有している。
このようなオスコネクタ3の回転誘起構造40における開口縁41および内周面42の形成工程を次に説明する。図13(A)および(A′)に示すように、オスコネクタ3の挿入孔32に対してメスコネクタ7の挿入端部72を正対位置に配置した状態において、当該挿入端部72の挿入方向と垂直な方向の断面において複数の頂部を有する断面矩形状を基本形とする。ただし、図13における挿入端部72の断面形状は簡易的であり、便宜上、基部72a、凸部72b、大幅凸部72c、および、小幅凸部72dにのみ注目した形状としている。なお、挿入端部72の回転中心を点Oとする。
この場合、挿入端部72の基部72a、凸部72b、大幅凸部72cおよび小幅凸部72dにおいて、凸部72bの頂部A1、A10、基部72aの頂部A2、A3、A8、A9、大幅凸部72cの頂部A4、A7、および、小幅凸部72dの頂部A5、A6を定義する。
このような挿入端部72がオスコネクタ3における回転誘起構造40の開口縁41から挿入深さ方向へ所定距離L(この場合、上述したようにL=5mm。)だけ挿入される場合を考える。この場合、頂部A1〜A10から軸線xに沿って平行に所定距離L(5mm)だけ進んだ当該頂部A1〜A10と対応する仮想頂部A′1〜A′10を定義する。
その後、図13(B)に示すように、メスコネクタ7の挿入端部72を正対位置(図13(A)、(A′))から軸線xを中心として左側へ20度回転させる。このとき頂部A1〜A10は、左側へ20度回転した挿入端部72の軌跡に基づいて頂部B1〜B10へと変化する。
そして、図13(B′)に示すように、頂部B1〜B10と仮想頂部A′1〜A′10とを互いの同一番号にしたがって結ぶ。この場合、頂部B1と仮想頂部A′1とが直線で結ばれ、頂部B2と仮想頂部A′2とが直線で結ばれ、……、頂部B10と仮想頂部A′10とが直線で結ばれる。
同様に、メスコネクタ7の挿入端部72を正対位置(図13(A)、(A′))から軸線xを中心として右側へ20度回転させる。このとき頂部A1〜A10は、右側へ20度回転した挿入端部72の軌跡に基づいて頂部C1〜C10へと変化する。
そして、図13(C′)に示すように、頂部C1〜C10と仮想頂部A′1〜A′10とを互いの同一番号にしたがって結ぶ。この場合、頂部C1と仮想頂部A′1とが直線で結ばれ、頂部C2と仮想頂部A′2とが直線で結ばれ、……、頂部C10と仮想頂部A′10とが直線で結ばれる。
その結果、図14に示すように、頂部B1〜B10と仮想頂部A′1〜A′10とが互いの同一番号にしたがって結ばれ、頂部C1〜C10と仮想頂部A′1〜A′10とが互いの同一番号にしたがって結ばれた仮想モデルVM1が生成される。
この仮想モデルVM1において、図15(A)に示すように、頂部A1〜A10、頂部B1〜B10、頂部C1〜C10を同一番号にしたがって結ぶ。この場合、頂部A1、頂部B1、頂部C1を円弧状の曲線R1で結び、頂部A2、頂部B2、頂部C2を円弧状の曲線R2で結び、……、頂部A10、頂部B10、頂部C10を円弧状の曲線R10で結ぶ。
その後、これらの曲線R1〜R10と仮想頂部A′1〜A′10とを互いの同一番号に従って結び、その結ばれた略三角形状の領域からなる外周面G42を複数形成することにより仮想モデルVM2を生成することができる。ここで、図15(B)に示すように、例えば、頂部A9、頂部B9、頂部C9とを結んだ曲線R9と、仮想頂部A′9とを結ぶ略三角形状の領域が外周面G42となる。なお、この外周面G42は、曲線R9に従って傾斜された曲面に形成されている。
この外周面G42において、頂部A9と、仮想頂部A′9とを結ぶ線分A9−A′9がメスコネクタ7の挿入端部72の真の挿入深さに対応しており、この実施の形態の場合、線分A9−A′9の長さは所定距離L=5mmである。線分A9−A′9のうち、頂部A9から仮想頂部A′9に向かって1mm進んだ位置を点Xと定義する。
外周面G42の外縁である線分B9−A′9上であって、曲線R9(頂部B9、頂部A9、頂部C9を結んだ円弧状部分)から挿入深さ方向へ向かって1mm進んだ位置を点Yと定義する。この点Yは、曲線R9から線分A9−A′9と平行に挿入深さ方向へ向かって1mmだけ平行移動した際に線分B9−A′9と交差する点とも言える。点Yから線分A9−A′9に沿って曲線R9へ向かって延ばしたときに当該曲線R9と交差する位置を点Zと定義する。
外周面G42の外縁である線分C9−A′9上であって、曲線R9から挿入深さ方向へ向かって1mm進んだ位置を点Vと定義する。この点Vは、曲線R9から線分A9−A′9と平行に挿入深さ方向へ向かって1mmだけ平行移動した際に線分C9−A′9と交差する点とも言える。点Vから線分A9−A′9に沿って曲線R9へ向かって延ばしたときに当該曲線R9と交差する位置を点Wと定義する。
この場合、角度∠B9,O,Z、および、角度∠C9,O,W が外周面G42における上述した回転誘起角度(度/mm)となる。すなわち、頂部B9から仮想頂部A′9に至るまでの外周面G42の外縁である線分B9−A′9上を点Yが挿入深さ方向へ進むに連れて、回転誘起角度∠B9,O,Zは4度/mmで最大20度分の回転を誘起する。同様に、頂部C9から仮想頂部A′9に至るまでの外周面G42の外縁である線分C9−A′9上を点Vが挿入深さ方向へ進むに連れて、回転誘起角度∠C9,O,Wは4度/mmで最大20度分の回転を誘起する。
このような複数の外周面G42が形成された仮想モデルVM2がオスコネクタ3の下側(矢印b方向)の端部から刳り抜かれるとすると、曲線R1乃至R10を有する開口縁41、および、複数の外周面G42に対応した複数の内周面42を有する回転誘起構造40がオスコネクタ3の挿入孔32に形成されることになる。実際上、このような回転誘起構造40が設けられたオスコネクタ3は、射出成形によって形成することができる。
このような回転誘起構造40を有するオスコネクタ3は、ヘッドレスト12のステー12sと一体化された状態でホルダ5と一体化されたメスコネクタ7に向かって押し下げられた際、回転誘起構造40の開口縁41からメスコネクタ7の挿入端部72が挿入されていく。
このとき、メスコネクタ7は、オスコネクタ3の回転誘起構造40の開口縁41から挿入端部72が挿入されると共に、複数の内周面42によって当該メスコネクタ7がホルダ5と共にホルダ収容部材15の中で右回りまたは左回りにそれぞれ最大20度の範囲で回転され、正対位置に配置されることになる。
したがって、オスコネクタ3の挿入孔32とメスコネクタ7の挿入端部72とが正対位置に配置されるので、最終的には、オスコネクタ3の内壁に対してメスコネクタ7の挿入端部72を嵌合させたコネクタ接続構造を実現することができる。
かくして、オスコネクタ3と、ホルダ5、当該ホルダ5と一体化されたメスコネクタ7とを嵌合固定する場合も、オスコネクタ3およびメスコネクタ7間の回転角度ずれを補正して相互に嵌合固定することが可能なコネクタ接続構造体2を実現することができる。
<第2の実施の形態>
次に、図16を用いて第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略し、以下では、主に第1の実施の形態と異なる部分、特にメスコネクタ170について説明する。
ホルダ5は、第1の実施の形態において説明したホルダ5と同じ構成を有している。ホルダ5の一対の湾曲部50cのうち、正面側(矢印e方向)の湾曲部50cは、メスコネクタ170の側方突出部172が接触する当接部として機能し、軸線x方向の下側(矢印b方向)に当該メスコネクタ170と当接する当接面50dを有する。
図16乃至図19に示すように、メスコネクタ170の本体171は、その正面側(矢印e方向)でかつ下側(矢印b方向)の左右両側(矢印c方向および矢印d方向)に、本体171から突出して左右両側(矢印c方向および矢印d方向)へそれぞれ延びる側方突出部172が一体に形成されている。
各側方突出部172は、本体171から左右両側(矢印c方向および矢印d方向)および正面側(矢印e方向)に向かって斜めに延在する斜め延在部172aと、延在の途中で左右の各側(矢印c方向および矢印d方向)に向かって(正面側(矢印e方向)の本体171の面に対して平行に)延びる水平先端部172bを有する。水平先端部172bの上側(矢印a方向)の面は、ホルダ5の湾曲部50cの当接面50dと当接する当接端面172cとして形成されている。なお、図18に示すように、メスコネクタ170がホルダ5内に収容された状態において、水平先端部172bは、その先端が湾曲部50cの外周縁から突出していない。
例えば、図19に示すように、本体171の下側(矢印b方向)に右側(矢印d方向)からハーネス(破線で示す)が取り付けられた場合、メスコネクタ170を右側(矢印d方向)に引っ張る外力OFが働く。この外力OFにより、正面側(矢印e方向)から背面側(矢印f方向)へと本体171を貫通し軸線xに対して垂直に延びる仮想軸線Vzを中心とした回動Yaが本体171に生じることがある。
例えば、右側(矢印d方向)への回動Yaが発生した場合、本体171は、その下側(矢印b方向)の下端部が右側(矢印d方向)にふられることになる。しかしながら、ホルダ5にメスコネクタ170が収容された状態において、本体171の右側(矢印d方向)の側方突出部172の端面172cは、ホルダ5における湾曲部50cの当接面50dと当接しているので、回動Yaは抑制されている。
また、ホルダ5にメスコネクタ170が収容された状態において、メスコネクタ170の側方突出部172の端面172cと、湾曲部50cの当接面50dとの間に隙間がある場合、本体171の右側(矢印d方向)の側方突出部172の端面172cが、回動Yaの発生時にホルダ5における湾曲部50cの当接面50dと当接する。したがって、本体171の回動Yaを最小限に抑制することができる。
さらに、メスコネクタ170に正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)における外力が働いた場合、つまり、左右両側(矢印c方向および矢印d方向)に沿って本体171を貫通して軸線xに対して垂直に延びる仮想軸線Vyを中心とした回動Piが生じることがある。この場合であっても、側方突出部172の端面172cが湾曲部50cの当接面50dに当接している、または当接するので、仮想軸線Vyを中心とした本体171の回動Piを最小限に抑制することができる。
つまり、ホルダ5における湾曲部50cの当接面50dと、メスコネクタ170における本体171の側方突出部172とは、ホルダ5内におけるメスコネクタ170の変位(例えば、回動Ya、回動Pi)を抑制する抑制機構を構成している。かくして、ホルダ5内において左右両側(矢印c方向および矢印d方向)、並びに正面側(矢印e方向)および背面側(矢印f方向)に対するメスコネクタ170の傾きを抑制することができるので、メスコネクタ170は、オスコネクタ3との接続に適した位置・姿勢をホルダ5内において安定的に維持することができる。
また、側方突出部172は、斜め延在部172aと、水平先端部172bとを有しているので、水平先端部172bにより正面側(矢印e方向)への突出量を抑えることができる。したがって、ホルダ収容部材15の下側(矢印b方向)からメスコネクタ170をホルダ5内に容易に収容することができる。
また、側方突出部172は、弾性構造を有するロックアーム73とは分離して本体171に形成されているため、ロックアーム73の弾性変形に依存することなくホルダ5における湾曲部50cの当接面50dと安定した状態で当接することができる。
なお、側方突出部172の構成は、上記の実施の形態に限定されるものではない。側方突出部172は、ホルダ5の湾曲部50cの当接面50dと当接すれば、水平先端部172bを備えていなくてもよく、ホルダ5の湾曲部50cの外周縁を超えない程度に斜め延在部172aが真っ直ぐに延在していてもよい。
また、上記の抑制機構が抑制する変位は、上記の所定の変位(例えば、回動Ya、回動Pi)に限られず、ホルダ5の湾曲部50cにメスコネクタ170の側方突出部172が当接することで、メスコネクタ170のその他の変位も抑制することができる。
<第3の実施の形態>
次に、図20および図21を用いて第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略し、以下では、主に第1の実施の形態と異なる部分、特にメスコネクタ270およびホルダ150について説明する。
図20(a)、(b)に示すように、ホルダ150は、背面側(矢印f方向)の湾曲部50cに、背面側(矢印f方向)に突き出た収容部151を有している。収容部151は、左右両側(矢印c方向および矢印d方向)に側壁部151a、151aと、背面側(矢印f方向)に底壁部151bとを備える。収容部151においては、側壁部151a、151aと底壁部151bとによって後述するメスコネクタ270の垂直突出部272を収容する収容空間151spが画成されている。なお、収容空間151spは、上下側(矢印a、b方向)に向かって開口している。
図21に示すように、メスコネクタ270の本体271は、背面側(矢印f方向)の面における下側(矢印b方向)寄りの端部から背面側(矢印f方向)へ垂直に突出した垂直突出部272を有している。メスコネクタ270がホルダ150に収容された状態において、垂直突出部272は、ホルダホルダ150の収容部151に少なくとも部分的に収容されている。
メスコネクタ270がホルダ150に収容された状態において、左右両側(矢印c方向および矢印d方向)を臨む垂直突出部272の外壁面272aは、背面側(矢印f方向)においてホルダ150の側壁部151aの内壁面151asに当接している。
また、メスコネクタ270がホルダ150に収容された状態において、ホルダ150の収容部151における各側壁部151aの内壁面151asと、メスコネクタ270の垂直突出部272における外壁面272aとの間に隙間がある場合であっても、仮想軸線Vzを中心とした回動Yaの発生時に収容部151における側壁部151aの内壁面151asは、垂直突出部272における外壁面272aに当接するので、当該回動Yaは、最小限に抑制することができる。
また、メスコネクタ270の下側(矢印b方向)に背面側(矢印f方向)への外力が働いた場合であっても、背面側(矢印f方向)を臨む垂直突出部272の底面272bが収容部151の底壁部151bの内壁面151bsに当接している、または当接する。かくして、下側(矢印b方向)における背面側(矢印f方向)への外力によるスコネクタ270の変位は、最小限に抑制することができる。
つまり、ホルダホルダ150の収容部151と、メスコネクタ270の垂直突出部272とは、ホルダ150内におけるメスコネクタ270の変位を抑制する抑制機構を構成している。
なお、メスコネクタ270は、背面側(矢印f方向)に垂直突出部272を備える一方で、第2の実施の形態における側方突出部171を正面側(矢印e方向)に備えていてもよい。かくして、ホルダ150におけるメスコネクタ270の変位をより確実に抑制することができる。
また、メスコネクタ270の本体271の正面側(矢印e方向)に、垂直突出部272が設けられていてもよい。この場合、ホルダ150の正面側(矢印e方向)における湾曲部50cには、正面側(矢印e方向)に突き出して形成された収容部151が形成されている。
また、上記の抑制機構が抑制する変位は、上記の所定の変位に限られず、ホルダ150の収容部151にメスコネクタ270の垂直突出部272が当接することで、メスコネクタ270のその他の変位も抑制することができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、メスコネクタ7、170、270と一体化されたホルダ5、150がホルダ収容部材15の中で回転可能に取り付けられているようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ヘッドレスト12のステー12sに取り付けられるオスコネクタ3が当該ステー12sの中で回転可能に取り付けられているようにしてもよい。この場合、ホルダ5、150がホルダ収容部材15の中で回転可能に取り付けられている必要はない。
また、上述した実施の形態においては、メスコネクタ7、170、270の挿入端部72を正対位置から軸線xを中心として左側および右側へ回転させることによる軌跡に沿った開口縁41および外周面G42からなる仮想モデルVM2に基づいて複数の内周面42を有する回転誘起構造40がオスコネクタ3の挿入孔32に形成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、挿入端部72を正対位置から軸線xを中心として左側または右側の何れか一方にのみ回転させることによる軌跡に沿った開口縁41および外周面G42からなる仮想モデルVM2に基づいて回転誘起構造40が形成されるようにしてもよい。
また、上述したような好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係るコネクタ接続構造体2に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。