JP2018043275A - アルミニウム樹脂複合積層板からなり、コーナーrを有する三次元成形品の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は三次元成形品の製造方法と製造装置の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、発泡樹脂からなる芯材の両面にアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる面材を積層したアルミニウム樹脂複合積層板を絞り加工して三次元成形品を形成する方法において、ダイと絞りパンチを用いてアルミニウム樹脂複合積層板を絞り成形して天面壁または底面壁と側面壁と角部と陵線部を有する三次元成形品を成形した後、押込治具を前記三次元成形品のコーナー部の内側から押し付けて該コーナー部のアルミニウム樹脂複合積層板を外側向きに押圧することにより前記コーナー部のコーナーRを前記アルミニウム樹脂複合積層板の板厚未満まで小さくすることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム樹脂複合積層板からなり、コーナーRを有する三次元成形品の製造方法と製造装置に関する。
従来から、金属板の絞り加工装置として、図24に示すように加工対象の金属板100が水平に設置されるダイプレート101と、ダイプレート101の中央孔102に上下移動自在に収容されたパッド103と、ダイプレート101の上方に設けられたしわ押さえプレート105および絞りパンチ106を備えた絞り加工装置が知られている。
この絞り加工装置は、図25に示すように絞りパンチ106を中央孔102の内側まで下降させ、金属板100に絞り加工を施し、箱型の成形品107を製造する。図24、図25に示す絞り加工装置において絞りパンチ106は平面視略矩形状に形成され、成形品107は矩形箱型の三次元成形品として作製される。
この絞り加工装置は、図25に示すように絞りパンチ106を中央孔102の内側まで下降させ、金属板100に絞り加工を施し、箱型の成形品107を製造する。図24、図25に示す絞り加工装置において絞りパンチ106は平面視略矩形状に形成され、成形品107は矩形箱型の三次元成形品として作製される。
図24、図25に示す絞り加工装置によって金属板100に絞り加工を施す場合、欠陥を生じ易いのは、絞りパンチ106の周縁部が金属板100を大きく絞り出し変形させた部分である。
例えば、成形品107において単純な折り曲げ加工により形成した側面や底面に欠陥を生じるおそれはない。しかし、2つの側面と底面との交わるコーナー部分や2つの側面が交わる稜線部分は金属板100から成形に必要な材料を絞り出した部分であるので、割れやしわ、あるいは肌荒れなどの欠陥が生じ易い部分となる。
現状の絞り加工技術において、潤滑油の開発や絞り加工技術の改良などによって一般的な加工性の金属板であれば、特に支障なく絞り加工ができる技術開発がなされている。
例えば、成形品107において単純な折り曲げ加工により形成した側面や底面に欠陥を生じるおそれはない。しかし、2つの側面と底面との交わるコーナー部分や2つの側面が交わる稜線部分は金属板100から成形に必要な材料を絞り出した部分であるので、割れやしわ、あるいは肌荒れなどの欠陥が生じ易い部分となる。
現状の絞り加工技術において、潤滑油の開発や絞り加工技術の改良などによって一般的な加工性の金属板であれば、特に支障なく絞り加工ができる技術開発がなされている。
例えば、以下の特許文献1に記載の如く伸びの低い金属材料からなる合金板を角絞り加工する場合、部分的にテーパーのあるダイプレート、絞りパンチ、パッドを用いて角部や稜線部分を第一の絞り加工時に局部的に肉増し加工し、次いで角部や稜線部分の肉増しされた部分を加工して絞り加工を行う技術が提供されている。
また、以下の特許文献2に記載の如く絞り加工で形成する立壁部に生成するしわを防止するために、湾曲コーナー部の中央に対する初期フランジ長と直辺部に対応する初期フランジ長との比を規定し、湾曲コーナー部中央のショックライン長と直辺部におけるショックライン長の比を規定する技術が提供されている。
また、以下の特許文献3に記載の如く金属板を箱状体に絞り成形する場合、絞り可能な大きさのRである金属板の厚さの3倍以上のRで箱状体に絞り成形後、V状ポンチで叩いてRを小さくする技術が提供されている。
前述の如く一般的な金属板は勿論のこと、加工が難しいと想定される金属板であっても欠陥の生じ難い絞り加工技術の提供がなされている。
また、以下の特許文献2に記載の如く絞り加工で形成する立壁部に生成するしわを防止するために、湾曲コーナー部の中央に対する初期フランジ長と直辺部に対応する初期フランジ長との比を規定し、湾曲コーナー部中央のショックライン長と直辺部におけるショックライン長の比を規定する技術が提供されている。
また、以下の特許文献3に記載の如く金属板を箱状体に絞り成形する場合、絞り可能な大きさのRである金属板の厚さの3倍以上のRで箱状体に絞り成形後、V状ポンチで叩いてRを小さくする技術が提供されている。
前述の如く一般的な金属板は勿論のこと、加工が難しいと想定される金属板であっても欠陥の生じ難い絞り加工技術の提供がなされている。
ところで近年、次世代自動車の開発などのテーマにおいて、より軽量な板材の開発が検討され、その中に発泡樹脂板の表裏面をアルミニウム板で挟んだサンドイッチ構造のアルミニウム樹脂複合積層板が研究されている。
このアルミニウム樹脂複合積層板は、軽量である上に表面光沢があり、意匠性にも優れているので、アルミニウム樹脂複合積層板からなる三次元成形品の製造技術開発が期待されている。
ところが、発泡樹脂とアルミニウム板は樹脂材料と金属材料であり、両者は熱膨張率、伸び、縮みが大きく異なるので、従来から知られている種々の絞り加工技術を適用したとしても、コーナー部分にしわや割れ、肌荒れなどを引き起こすことなく三次元成形品を絞り加工することは困難であった。
特に、角絞り加工により箱型の成形品を得た場合、天面壁または底面壁と2つの側面壁が交わるコーナー部分に割れ、しわ、肌荒れなどの欠陥が生じやすく、コーナー部分のRを小さく加工しようとすると欠陥の発生が顕著になる問題がある。
このアルミニウム樹脂複合積層板は、軽量である上に表面光沢があり、意匠性にも優れているので、アルミニウム樹脂複合積層板からなる三次元成形品の製造技術開発が期待されている。
ところが、発泡樹脂とアルミニウム板は樹脂材料と金属材料であり、両者は熱膨張率、伸び、縮みが大きく異なるので、従来から知られている種々の絞り加工技術を適用したとしても、コーナー部分にしわや割れ、肌荒れなどを引き起こすことなく三次元成形品を絞り加工することは困難であった。
特に、角絞り加工により箱型の成形品を得た場合、天面壁または底面壁と2つの側面壁が交わるコーナー部分に割れ、しわ、肌荒れなどの欠陥が生じやすく、コーナー部分のRを小さく加工しようとすると欠陥の発生が顕著になる問題がある。
本願発明は、これらの背景に鑑み、アルミニウム樹脂複合積層板を絞り加工する場合であってもコーナー部分などにしわや割れなどの欠陥を生じることなく三次元成形品の絞り加工ができる技術の提供を目的とする。
本発明の製造方法は前述の背景に基づき、発泡樹脂からなる芯材の両面にアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる面材を積層したアルミニウム樹脂複合積層板を絞り加工してコーナーRを有する三次元成形品を形成する方法において、ダイと絞りパンチを用いてアルミニウム樹脂複合積層板を絞り成形して天面壁または底面壁と側面壁と角部と陵線部を有する三次元成形品を成形した後、押込治具を前記三次元成形品のコーナー部の内側から押し付けて該コーナー部のアルミニウム樹脂複合積層板を外側向きに押圧することにより前記コーナー部のコーナーRを前記アルミニウム樹脂複合積層板の板厚未満まで小さくするに際し、前記天面壁または底面壁と前記側面壁に対し傾斜したくさび斜面を有し、前記天面壁または底面壁に対し接近離間する方向に移動自在に設けられた押圧パンチと、前記押圧パンチのくさび斜面と前記コーナー部の間に設置され、前記くさび斜面に接する受け面と前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部内側に押圧される突起部を備えた押込治具を用い、前記天面壁または底面壁に対し前記押圧パンチを接近させて前記くさび斜面を介し前記押込治具を押圧し、前記押込治具の突起部により前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部をその内側から外側向きに押圧することを特徴とする。
本発明の製造方法において、前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有する前記押圧パンチを用い、前記本体部の先端側4つのコーナー部分に設けた案内孔に沿って斜め方向に突出自在に装着されたロッド状の第1の押込治具を用いて前記三次元成形品の4つのコーナー部内側を押圧することができる。
本発明の製造方法において、前記本体部の先端周辺部分に沿ってプレート状の第2の押込治具を突出自在に設けた前記押出パンチを用い、前記第2の押込治具を用いて前記三次元成形品の前記コーナー部以外の内周縁部を押圧することが好ましい。
本発明の製造方法において、前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有する前記押圧パンチを用い、前記本体部の先端側コーナー部分に突出自在に装着された押込部材を用いて前記三次元成形品の内周縁を押圧するに際し、前記押込部材の先端部に設けられて前記三次元成形品のコーナー部内側を押圧する角部と、前記角部の両側に設けられて前記コーナー部以外の内周縁を押圧する側辺部により、前記三次元成形品の内周縁を押圧することができる。
本発明の製造方法において、前記アルミニウム樹脂複合積層板の厚さが2〜10mmの範囲であり、前記面材の厚さが0.1〜4mmの範囲であり、前記芯材の厚さが1.9〜9.8mmの範囲であることが好ましい。
本発明の製造装置は、発泡樹脂からなる芯材の両面にアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる面材を積層したアルミニウム樹脂複合積層板をダイと絞りパンチを用い、絞り加工して天面壁または底面壁と側面壁と角部と陵線部を有する三次元成形品を成形した後、該三次元成形品の内周縁部を加工してコーナーRを前記アルミニウム樹脂複合積層板の板厚未満まで小さくするコーナーRを有する三次元成形品の製造装置であって、前記天面壁または底面壁と前記側面壁に対し傾斜したくさび斜面を有し、前記天面壁または底面壁に対し接近離間する方向に移動自在に設けられた押圧パンチと、前記押圧パンチのくさび斜面と前記コーナー部の間に設置され、前記くさび斜面に接する受け面と前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部内側に押圧される突起部を備えた押込治具を備え、前記押圧パンチの前記天面壁または底面壁に対する接近により前記くさび斜面を介し前記押込治具の突起部を前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部内側に押圧する機能を有したことを特徴とする。
本発明の製造装置において、前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記押圧パンチが前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有し、前記本体部の先端側のコーナー部分に形成された案内孔に出入自在にロッド状の第1の押込治具が設けられたことを特徴とする。
本発明の製造装置において、前記本体部の先端側のコーナー部分以外の部分に前記本体部の周縁に沿ってプレート型の第2の押込治具が設けられ、前記本体部の先端側周縁に案内孔が形成され、該案内孔に沿って出入自在に案内軸が挿入され、該案内軸の先端に前記第2の押込治具が取り付けられた構成を採用できる。
本発明の製造装置において、前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記押圧パンチが前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有し、前記本体部の先端側コーナー部分に押込部材が設けられ、該押込部材の先端部に前記三次元成形品のコーナー部内側を押圧する角部と前記コーナー部に隣接する内周縁部を押圧する側辺部が形成され、前記押込部材の基端側に前記くさび斜面に合致する受け面が形成された構成を採用できる。
本発明の製造方法と製造装置によれば、アルミニウム樹脂複合積層板を絞り加工してコーナーRを有する三次元成形品を製造する方法において、絞り加工により三次元成形品を成形した後、押圧パンチを接近させてくさび斜面を介し押込治具を押圧し、押込治具の突起部によりアルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部を内側から外側向きに押圧することにより、しわや割れあるいは肌荒れなどの欠陥を生じさせることなくコーナーRをアルミニウム樹脂複合積層板の板厚未満まで小さくできる。押圧パンチのくさび斜面を利用し、押込治具により三次元成形品のコーナー部分を内側から外側向きに押し込むので、押込治具による押込量を正確に微調整することができ、板厚未満のコーナーRを有する三次元成形品を精度良く製造できる。
このため、自動車用途や建築用途など、アルミニウム樹脂複合積層板を用いて底面壁あるいは天面壁と側面壁を有する角絞り成形品であって軽量かつ欠陥の無い三次元成形品を提供することができる。
このため、自動車用途や建築用途など、アルミニウム樹脂複合積層板を用いて底面壁あるいは天面壁と側面壁を有する角絞り成形品であって軽量かつ欠陥の無い三次元成形品を提供することができる。
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の製造装置1によって三次元成形品2のコーナー部分を加工している状態を示す断面図である。
本実施形態で適用する三次元成形品2は、ポリプロピレン発泡樹脂などの発泡樹脂板からなる芯材2aと、この芯材2aの表裏両面側に積層されたアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる面材2b、2bとからなる3層構造のアルミニウム樹脂複合積層板を絞り加工してなる。アルミニウム樹脂複合積層板として望ましくは厚さが2mm以上、10mm以下、望ましくは面材2bの厚さが0.1mm以上、4mm以下、望ましくは芯材2aの厚さが1.9mm以上、9.8mm以下の積層板を用いることができる。
図1は、本発明に係る第1実施形態の製造装置1によって三次元成形品2のコーナー部分を加工している状態を示す断面図である。
本実施形態で適用する三次元成形品2は、ポリプロピレン発泡樹脂などの発泡樹脂板からなる芯材2aと、この芯材2aの表裏両面側に積層されたアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる面材2b、2bとからなる3層構造のアルミニウム樹脂複合積層板を絞り加工してなる。アルミニウム樹脂複合積層板として望ましくは厚さが2mm以上、10mm以下、望ましくは面材2bの厚さが0.1mm以上、4mm以下、望ましくは芯材2aの厚さが1.9mm以上、9.8mm以下の積層板を用いることができる。
なお、一例として芯材2aの厚さ2.5mm、外側の面材2bの厚さ0.3mm、内側の面材2bの厚さ0.2mm、総厚3.0mm程度、芯材2aの表裏両面に面材2bが接着された構造のアルミニウム樹脂複合積層板を適用することができる。前記芯材2aの厚さ、面材2bの厚さは一例であって、前記の厚さに限らないが、アルミニウム樹脂複合積層板全体をできるだけ軽量化するために、芯材2aより面材2bの方を薄くすることが好ましい。また、芯材2aをポリプロピレン樹脂の発泡体から形成すると芯材2aの比重を1.6程度に形成することができ、アルミニウムの比重が約2.7程度であるので、芯材2aを面材2bより厚く形成することでアルミニウム樹脂複合積層板全体として軽量化に有利となる。芯材2aを構成する樹脂としては、ポリプロピレン樹脂に限定されず、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート等の樹脂を用いることができ、発泡倍率は1.5倍から10倍で均一に発泡させたものを適宜選択できる。
面材2b、2bを形成するアルミニウムあるいはアルミニウム合金板は、両方同じ種類のアルミニウムあるいはアルミニウム合金から形成されていても良く、異なるアルミニウム合金から形成されていてもよい。一例として、外側の面材2bをAA5151などの5000系アルミニウム合金から形成し、内側の面材2bをAA1050などの1000系アルミニウム合金から構成することができる。
この実施形態において内外の面材2b、2bで材質、厚さを前記のように異ならせたのは、内側の面材2bに変形による歪を逃がし、成形を容易とするためであるが、上述の記載は一例であって、上述の記載に制限されるものではない。
この実施形態において内外の面材2b、2bで材質、厚さを前記のように異ならせたのは、内側の面材2bに変形による歪を逃がし、成形を容易とするためであるが、上述の記載は一例であって、上述の記載に制限されるものではない。
図1に示す形態においては、平板状のアルミニウム樹脂複合積層板を例えば図24、図25に示す構造の一般的な絞り加工装置を用い、ダイプレート101の中央孔102に絞りパンチ106を下降させて箱型に絞り加工することで図1に示す三次元成形品2の概形を得た後、第1実施形態の製造装置1により加工し三次元成形品2を完成できる。
ここで適用する三次元成形品2は、矩形状の底面壁2Aとこの底面壁2Aの周辺部に立設された4つの側面壁2Bとからなる浅底の箱型に形成されている。また、隣接する2つの側面壁2Bが接続されている部分には稜線部2Cが形成され、稜線部2Cが形成されている部分が三次元成形品2のコーナー部2Dとされている。
ここで適用する三次元成形品2は、矩形状の底面壁2Aとこの底面壁2Aの周辺部に立設された4つの側面壁2Bとからなる浅底の箱型に形成されている。また、隣接する2つの側面壁2Bが接続されている部分には稜線部2Cが形成され、稜線部2Cが形成されている部分が三次元成形品2のコーナー部2Dとされている。
アルミニウム樹脂複合積層板を図24、図25に示す構造の一般的な絞り加工装置を用いて浅底の箱型に絞り成形したのみでは、三次元成形品2のコーナー部2Dに形成されているR部2Eの曲率半径Rを板厚より小さく加工することができない。
例えば、一般的な絞り加工装置の絞りパンチ106の下端周縁部のRは6mm程度に形成されている。この絞りパンチ106を用いて、厚さが2mm以上、10mm以下のアルミニウム樹脂複合積層板を角絞り加工すると、R部2Eの曲率半径Rはアルミニウム樹脂複合積層板の総厚の1.3〜2.7倍程度となる。
例えば、一般的な絞り加工装置の絞りパンチ106の下端周縁部のRは6mm程度に形成されている。この絞りパンチ106を用いて、厚さが2mm以上、10mm以下のアルミニウム樹脂複合積層板を角絞り加工すると、R部2Eの曲率半径Rはアルミニウム樹脂複合積層板の総厚の1.3〜2.7倍程度となる。
芯材2aは面材2bより比重が小さく樹脂の発泡体であるので、ダイプレート101と絞りパンチ106を用いて単純に絞り加工を施した場合、芯材2aがクッション材のように変形し、変形しようとする面材2bの緩衝層となる。例えば、絞り成形のままではコーナーRの寸法はアルミニウム樹脂複合積層板の板厚以上となってしまう。また、絞りパンチ106の先端部のRを仮に0としても絞り加工のままのコーナーRはアルミニウム樹脂複合積層板の板厚未満には加工できず、むしろパンチ先端が角張るので絞り加工時にコーナー部分のアルミニウム樹脂複合積層板に割れ、しわ等の欠陥が生じ易くなる。
また、アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部に相当する部分に加工前にVノッチを形成しておくならば角を曲げやすくなるが、Vノッチを形成するとコーナー部の強度が低下する。また、一般にストライキングと称されるパンチ先端部に形成した突起を用いて材料に食い込むようにコーナーRを形成すると、R部の寸法が安定せず、外面側に食い込み部が浮き出てしまう可能性がある。
また、アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部に相当する部分に加工前にVノッチを形成しておくならば角を曲げやすくなるが、Vノッチを形成するとコーナー部の強度が低下する。また、一般にストライキングと称されるパンチ先端部に形成した突起を用いて材料に食い込むようにコーナーRを形成すると、R部の寸法が安定せず、外面側に食い込み部が浮き出てしまう可能性がある。
これらの理由から、絞りパンチ106とダイプレート101を用いた通常の絞り成形のみではアルミニウム樹脂複合積層板からなる三次元成形品2のコーナー部2DにおけるR部2Eの曲率半径を小さくすることはできない。
このため、本実施形態では通常の絞り成形により三次元成形品の概形を得た後、三次元成形品のコーナー部分の内側から以下に説明する第1の押込治具6を備えた製造装置1を用いて強制的にR部2Eの内側から面材2b、芯材2a、面材2bを押し込み変形させ、R部2Eの曲率半径を小さくする加工を行うことで目的の形状の三次元成形品2を得ることができる。
このため、本実施形態では通常の絞り成形により三次元成形品の概形を得た後、三次元成形品のコーナー部分の内側から以下に説明する第1の押込治具6を備えた製造装置1を用いて強制的にR部2Eの内側から面材2b、芯材2a、面材2bを押し込み変形させ、R部2Eの曲率半径を小さくする加工を行うことで目的の形状の三次元成形品2を得ることができる。
製造装置1は、図1に示すように水平に設置されている底面壁2Aに対し接近離間自在に、即ち、上下に移動自在に設けられた押圧パンチ5とこの押圧パンチ5とコーナー部2Dの間に設置された4つの第1の押込治具6を備えている。押圧パンチ5の下端側には側面壁2Bに囲まれた内側空所7に対し上方から挿入自在に構成された角柱状の下端部5aが形成され、この下端部5aの先端側コーナー部分にコーナー部2Dに対向するくさび斜面5bが形成されている。
図1に示す例において、くさび斜面5bは底面壁2Aの上面(水平面)に対し約45゜程度の傾斜角を有し、側面壁2Bの内面(鉛直面)に対し約45゜程度の傾斜角を有するように押圧パンチ5の下端部5aの各コーナー部に形成されている。そして、くさび斜面5bと三次元成形品のコーナー部2Dとの間に先端側に球頭型の突起部6aを有するロッド部6bを有し、基端側に基板部6cを有し、ロッド部6bと基板部6cとの間の部分に円錐台型の接続部6dを有した駒形の第1の押込治具6が設けられている。この第1の押込治具6の基板部6cにおいて押圧パンチ5側の面がくさび斜面5bからの押圧力を受ける受け面6eとされている。
図1に示す例において、くさび斜面5bは底面壁2Aの上面(水平面)に対し約45゜程度の傾斜角を有し、側面壁2Bの内面(鉛直面)に対し約45゜程度の傾斜角を有するように押圧パンチ5の下端部5aの各コーナー部に形成されている。そして、くさび斜面5bと三次元成形品のコーナー部2Dとの間に先端側に球頭型の突起部6aを有するロッド部6bを有し、基端側に基板部6cを有し、ロッド部6bと基板部6cとの間の部分に円錐台型の接続部6dを有した駒形の第1の押込治具6が設けられている。この第1の押込治具6の基板部6cにおいて押圧パンチ5側の面がくさび斜面5bからの押圧力を受ける受け面6eとされている。
この第1の押込治具6は突起部6aを三次元成形品2のコーナー部2Dの内側に押し付け、基板6cをくさび斜面5bに沿わせた状態で押圧パンチ5と三次元成形品2との間に介在されている。なお、図1には略されているが三次元成形品2の底面壁と周面を覆うように箱型の受け型を設け、三次元成形品2の底面壁と側面壁を受け型の内側面壁と底面壁で支持した状態において以下に説明ように第1の押込治具6を用いて加工する。
第1の押込治具6を図1に示すように設置した状態において、押圧パンチ5を図示略の油圧昇降装置などで下降させると押圧パンチ5の先端側に設けられている第1の押込治具6の突起部6aで三次元成形品のコーナー部内側を外側向きに押圧できる。
突起部6aの先端部の形状を三次元成形品のコーナー部2Dの目的のR形状に合わせた半球状またはそれに準じる先頭形に形成しておくことで三次元成形品2のコーナーRをアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さいRに加工することができる。
また、くさび斜面5bを用いて第1の押込治具6の受け面6eを押圧しつつ押込治具6の突起部6aを押し出す機構であれば、押圧パンチ5の下降量に応じて突起部6aの先端部の突出量を正確に調整できるので、押圧パンチ5の下降量の正確な制御に応じコーナー部の押込量を正確に制御して目的のR値のコーナー部2Dを得ることができる。
押圧パンチ5の下降量の制御や加圧力は押圧パンチ昇降用の油圧機構により正確に制御できるので、押込治具6の押込量を正確に制御することは容易に実施できる。
なお、突起部6aの先端形状は図1ではコーナー部2Dの曲率半径と同程度に描かれているが、同等である必要は無く、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さに応じて適宜変更することができる。例えば、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さは2〜10mmの範囲で選択できるので、厚いほど突起部6aの先端の曲率半径を小さくすることが望ましい。
突起部6aの先端部の形状を三次元成形品のコーナー部2Dの目的のR形状に合わせた半球状またはそれに準じる先頭形に形成しておくことで三次元成形品2のコーナーRをアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さいRに加工することができる。
また、くさび斜面5bを用いて第1の押込治具6の受け面6eを押圧しつつ押込治具6の突起部6aを押し出す機構であれば、押圧パンチ5の下降量に応じて突起部6aの先端部の突出量を正確に調整できるので、押圧パンチ5の下降量の正確な制御に応じコーナー部の押込量を正確に制御して目的のR値のコーナー部2Dを得ることができる。
押圧パンチ5の下降量の制御や加圧力は押圧パンチ昇降用の油圧機構により正確に制御できるので、押込治具6の押込量を正確に制御することは容易に実施できる。
なお、突起部6aの先端形状は図1ではコーナー部2Dの曲率半径と同程度に描かれているが、同等である必要は無く、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さに応じて適宜変更することができる。例えば、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さは2〜10mmの範囲で選択できるので、厚いほど突起部6aの先端の曲率半径を小さくすることが望ましい。
加工後、押圧パンチ5を上昇させて4つの第1の押込治具6を除去することでR部2Eの曲率半径Rをアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さく形成した目的の形状の三次元成形品2を得ることができる。
以上説明の如く製造された三次元成形品2は側面壁2B、2Bが接続されている稜線部2Cの部分にしわや割れ、肌荒れなどの欠陥を生じていない成形品となる。また、三次元成形品2は側面壁2B、2Bと底面壁2Aが接続されるコーナー部2Dの部分にしわや割れ、肌荒れなどの欠陥を生じていない成形品となる。
このため、この実施形態の方法と装置を採用することでアルミニウム樹脂複合積層板を用いて角絞り加工を行い、箱型の絞り加工品を製造しても稜線部分やコーナー部分にしわや割れ、肌荒れなどの欠陥の無い品質の高い角絞り成形品としての三次元成形品2を得ることができる。
即ち、自動車用途や建築用途など、アルミニウム樹脂複合積層板を用いて底面壁あるいは天面壁と側面壁を有する角絞り成形品であって軽量かつ欠陥の無い三次元成形品を提供することができる。
このため、この実施形態の方法と装置を採用することでアルミニウム樹脂複合積層板を用いて角絞り加工を行い、箱型の絞り加工品を製造しても稜線部分やコーナー部分にしわや割れ、肌荒れなどの欠陥の無い品質の高い角絞り成形品としての三次元成形品2を得ることができる。
即ち、自動車用途や建築用途など、アルミニウム樹脂複合積層板を用いて底面壁あるいは天面壁と側面壁を有する角絞り成形品であって軽量かつ欠陥の無い三次元成形品を提供することができる。
前記第1の押込治具6における突起部6aの先端形状は、加工するアルミニウム樹脂複合積層板の板厚と目的とするR部2Eの曲率半径に応じ適宜決定すればよい。加工対象のアルミニウム樹脂複合積層板が厚い場合、アルミニウム樹脂複合積層板自体が変形し難いことと、突起部6aの先端がアルミニウム樹脂複合積層板に作用させる力が分散するため、突起部6aの先端の半球面の曲率を小さくすることが好ましい。
また、図1に示すように突起部6aの先端をアルミニウム樹脂複合積層板に押し付けてコーナー部2Dを加工する場合、突起部6aの先端で外側の面材2bまで充分に押し込んで外側の面材2Dの曲率半径を目的の値になるように加工することが好ましい。
厚さ2〜10mm程度の薄いアルミニウム樹脂複合積層板を加工する場合、内側の面材2bを含めて外側の面材2bまで確実に目的の曲率半径になるように加工するためには、突起部6aの突出量を正確に制御しつつ加工する必要がある。この点において、上述したくさび斜面5bを用いて第1の押込治具6の受け面6eを押圧しつつ押込治具6の突起部6aを押し出す機構であれば、内側の面材2bと外側の面材2bの両方を目的の曲率半径に加工することができる。
なお、図1に示す実施形態の押圧パンチ5と第1の押込治具6は1つの例であって種々の形態を採用できるので、以下に各形態について説明する。
また、図1に示すように突起部6aの先端をアルミニウム樹脂複合積層板に押し付けてコーナー部2Dを加工する場合、突起部6aの先端で外側の面材2bまで充分に押し込んで外側の面材2Dの曲率半径を目的の値になるように加工することが好ましい。
厚さ2〜10mm程度の薄いアルミニウム樹脂複合積層板を加工する場合、内側の面材2bを含めて外側の面材2bまで確実に目的の曲率半径になるように加工するためには、突起部6aの突出量を正確に制御しつつ加工する必要がある。この点において、上述したくさび斜面5bを用いて第1の押込治具6の受け面6eを押圧しつつ押込治具6の突起部6aを押し出す機構であれば、内側の面材2bと外側の面材2bの両方を目的の曲率半径に加工することができる。
なお、図1に示す実施形態の押圧パンチ5と第1の押込治具6は1つの例であって種々の形態を採用できるので、以下に各形態について説明する。
図2〜図7は第2実施形態の製造装置10を示すもので、この第2実施形態の製造装置10は、角柱状の押圧パンチ11とこの押圧パンチ11の下端コーナー部分に斜め下向きに装着された4本の押込治具12を備えている。
第2実施形態の押圧パンチ11の外形は、三次元成形品2を絞り加工する場合の絞りパンチ106と略同等形状をなしているが、下端部のコーナー部分に挿入孔11aが形成されている点が異なり、この挿入孔11aにロッド状の押込治具12が斜め下方に向いてスライド自在に挿入されている点が異なる。
第2実施形態の押圧パンチ11の外形は、三次元成形品2を絞り加工する場合の絞りパンチ106と略同等形状をなしているが、下端部のコーナー部分に挿入孔11aが形成されている点が異なり、この挿入孔11aにロッド状の押込治具12が斜め下方に向いてスライド自在に挿入されている点が異なる。
図7に詳細に示すように押圧パンチ11は、角筒型の外部パンチ11Aと、外部パンチ11Aの中空部に挿入された内部パンチ11Cとからなる。外部パンチ11Aの底壁11bの厚さは外部パンチ11Aの内周壁11dの厚さより薄く形成されている。なお、図7では芯材2aと面材2bからなる3層構造のアルミニウム樹脂複合積層板を単層構造として略記している。
外部パンチ11Aの下端コーナー部分に押込治具12を挿通するための挿入孔11aが形成されている。この挿入孔11aに沿って押込治具12を移動させることで押込治具12が押圧パンチ11の中心軸方向に対し所定の傾斜角度を維持したまま斜め下方に移動自在に支持されている。
内部パンチ11Cは角筒型の外部パンチ11Aの内側に挿入自在な角柱状に形成され、その下端コーナー部分にそれぞれ第1実施形態のくさび斜面と同等機能のくさび斜面11gが形成されている。
内部パンチ11Cは角筒型の外部パンチ11Aの内側に挿入自在な角柱状に形成され、その下端コーナー部分にそれぞれ第1実施形態のくさび斜面と同等機能のくさび斜面11gが形成されている。
押込治具12の先端に本実施形態の構成では背の低い円錐形状の突起部12aが形成されている。この突起部12aは第1実施形態のような球頭型であっても良い。また、押込治具12の後端には押込治具12の中心軸線と直交する受け面12eが形成されている。
内部パンチ11Cによって押圧されていない初期状態において、押込治具12はその後端側を所定長さ外部パンチ11Aの内部空間側に突出させ、押込治具12の先端側を僅かな長さ挿入孔11aの開口から外向きに突出させた状態で挿入孔11aに挿入されている。なお、先端プレート11Bのコーナー部分に形成されている挿入孔11aの開口周縁部には先端プレート11Bのコーナー部分を斜めに切り落とした形状の斜面11iが形成されている。押込治具12の初期状態において、押込治具12はその突起部12aの先端部分を斜面11iから若干突出させて挿入孔11aに挿入されている。
従って、初期状態の押込治具12に対し図7の矢印に示すように内部パンチ11Cを下降させることで内部パンチ11Cのくさび斜面11gによって押込治具12の受け面12eを押圧できるように構成されている。
内部パンチ11Cによって押圧されていない初期状態において、押込治具12はその後端側を所定長さ外部パンチ11Aの内部空間側に突出させ、押込治具12の先端側を僅かな長さ挿入孔11aの開口から外向きに突出させた状態で挿入孔11aに挿入されている。なお、先端プレート11Bのコーナー部分に形成されている挿入孔11aの開口周縁部には先端プレート11Bのコーナー部分を斜めに切り落とした形状の斜面11iが形成されている。押込治具12の初期状態において、押込治具12はその突起部12aの先端部分を斜面11iから若干突出させて挿入孔11aに挿入されている。
従って、初期状態の押込治具12に対し図7の矢印に示すように内部パンチ11Cを下降させることで内部パンチ11Cのくさび斜面11gによって押込治具12の受け面12eを押圧できるように構成されている。
外部パンチ11Aと内部パンチ11Cの上下移動については油圧ユニットを備えた昇降機構、直動式のアクチュエーター機構、スクリューネジ式の移動機構など、公知のいずれの昇降機構を採用しても良い。なお、いずれの昇降機構を適用するとしても、外部パンチ11Aと内部パンチ11Cを個別に上下移動できる機構とすることが望ましい。
図2〜図7に示す製造装置10を用いて三次元成形品2を製造する場合、平板状のアルミニウム樹脂複合積層板を例えば図24、図25に示す構造の一般的な絞り加工装置を用いて箱型に絞り加工することで図1に示す三次元成形品の概形を得た後、第2実施形態の製造装置10により加工する。
図6は図1に示す概形の三次元成形品2を収容可能な凹部13aを有する受け枠13に一般的な絞り加工装置を用いて箱型の概形に絞り加工した三次元成形品を収容し、それに対し製造装置10の外部パンチ11Aを押し込んだ状態を示している。図6では外部パンチ11Aに内蔵している押込治具12の記載を略している。
外部パンチ11Aを受け枠13の凹部13aに挿入する際、押込治具12の先端部が外部パンチ11Aの挿入孔11aから突出する量を少なくしておき、押込治具12の先端部が三次元成形品の側面壁2Bの内面を擦らないようにした状態で凹部13aの底部側まで外部パンチ11Aの底面を到達させる。
図7に示すように外部パンチ11Aの底面を三次元成形品の内底面に押し付けて三次元成形品を受け枠13に押し付けて固定した後、内部パンチ11Cを下降させる。内部パンチ11Cの下降によりくさび斜面11gによって押込治具12の受け面12eを押圧し、押込治具12を挿入孔11aから若干突出させる。例えば、図2、図3に示す状態から図4、図5に示すように4本の押込治具12を突出させる。
図6は図1に示す概形の三次元成形品2を収容可能な凹部13aを有する受け枠13に一般的な絞り加工装置を用いて箱型の概形に絞り加工した三次元成形品を収容し、それに対し製造装置10の外部パンチ11Aを押し込んだ状態を示している。図6では外部パンチ11Aに内蔵している押込治具12の記載を略している。
外部パンチ11Aを受け枠13の凹部13aに挿入する際、押込治具12の先端部が外部パンチ11Aの挿入孔11aから突出する量を少なくしておき、押込治具12の先端部が三次元成形品の側面壁2Bの内面を擦らないようにした状態で凹部13aの底部側まで外部パンチ11Aの底面を到達させる。
図7に示すように外部パンチ11Aの底面を三次元成形品の内底面に押し付けて三次元成形品を受け枠13に押し付けて固定した後、内部パンチ11Cを下降させる。内部パンチ11Cの下降によりくさび斜面11gによって押込治具12の受け面12eを押圧し、押込治具12を挿入孔11aから若干突出させる。例えば、図2、図3に示す状態から図4、図5に示すように4本の押込治具12を突出させる。
この動作により押込治具12の先端部12aで三次元成形品のコーナー部内側を斜め下方向きに、即ち、コーナー部分を外側向きに押圧して三次元成形品のR部2Eの曲率半径を小さくする加工することができる。この加工を行うことで目的のコーナーRを有する三次元成形品2を得ることができる。
また、押込治具12を突出させる機構が図7に示す内部パンチ11Cのくさび斜面11gと押込治具12の受け面12eを用いたパンチ構造であるならば、内部パンチ11Cの下方への移動距離に合わせてくさび斜面11gが押込治具12の突出量を正確に規定するので、アルミニウム樹脂複合積層板を用いた成形であっても目的のコーナーRを有する三次元成形品2を得ることができる。
また、図7に示す構造の外部パンチ11Aと内部パンチ11Cを用いた製造装置10であるならば、外部パンチ11Aの底面で三次元成形品の底壁を受け枠13に押し付けて三次元成形品の底壁を拘束したまま内部パンチ11Cの下降によって正確にせり出させた押込治具12によってアルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部分を加工できる。また、この際に外部パンチ11Aの外周面によって三次元成形品の側壁を受け枠13の内面に押し付けて拘束できる構成としてもよい。この構成とするには、外部パンチ11Aの外周面を三次元成形品の側面壁2Bの内側に隙間無く挿入できる大きさに設定しておけば良い。
以上の加工により、発泡樹脂の芯材2aとアルミニウムの面材2bからなる3層構造の難加工材としてのアルミニウム樹脂複合積層板の角絞り加工であっても、押込治具12を用いて厚さ未満の曲率半径のコーナーRを確実に加工できる効果がある。
また、押込治具12を突出させる機構が図7に示す内部パンチ11Cのくさび斜面11gと押込治具12の受け面12eを用いたパンチ構造であるならば、内部パンチ11Cの下方への移動距離に合わせてくさび斜面11gが押込治具12の突出量を正確に規定するので、アルミニウム樹脂複合積層板を用いた成形であっても目的のコーナーRを有する三次元成形品2を得ることができる。
また、図7に示す構造の外部パンチ11Aと内部パンチ11Cを用いた製造装置10であるならば、外部パンチ11Aの底面で三次元成形品の底壁を受け枠13に押し付けて三次元成形品の底壁を拘束したまま内部パンチ11Cの下降によって正確にせり出させた押込治具12によってアルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部分を加工できる。また、この際に外部パンチ11Aの外周面によって三次元成形品の側壁を受け枠13の内面に押し付けて拘束できる構成としてもよい。この構成とするには、外部パンチ11Aの外周面を三次元成形品の側面壁2Bの内側に隙間無く挿入できる大きさに設定しておけば良い。
以上の加工により、発泡樹脂の芯材2aとアルミニウムの面材2bからなる3層構造の難加工材としてのアルミニウム樹脂複合積層板の角絞り加工であっても、押込治具12を用いて厚さ未満の曲率半径のコーナーRを確実に加工できる効果がある。
ところで、本実施形態において図2〜図7に示す構成の製造装置10を用いる場合、図24、図25に示す構造の一般的な絞り加工装置を用いて箱型に絞り加工することで図1に示す三次元成形品の概形を得た後の加工として先に説明した。
しかし、製造装置10の押圧パンチ11について押込治具12を設けた部分以外の構成、例えば、外部パンチ11Aの周面形状と底面形状を図24、図25に示す絞り加工装置の絞りパンチ106と同等の周面形状と底面形状に形成するならば、押込治具12の先端側を挿入孔11aに収納した状態で外部パンチ11Aとダイプレート101としわ押さえプレート105を用いてアルミニウム樹脂複合積層板を三次元成形品の概形に成形した後、引き続き押込治具12を突出させて三次元成形品2を製造する工程としても良い。
この場合、図23、図24に示す絞り加工装置の絞りパンチ106の代用として第2実施形態の押圧パンチ11を用いることができる。
このようにするならば、アルミニウム樹脂複合積層板を角絞り加工する場合に押圧パンチ11を用いた絞り加工により三次元成形品の概形を形成後、直ちに押込治具12を用いてコーナー部分を内側から押圧し、目的の形状の三次元成形品2を得ることができる。
しかし、製造装置10の押圧パンチ11について押込治具12を設けた部分以外の構成、例えば、外部パンチ11Aの周面形状と底面形状を図24、図25に示す絞り加工装置の絞りパンチ106と同等の周面形状と底面形状に形成するならば、押込治具12の先端側を挿入孔11aに収納した状態で外部パンチ11Aとダイプレート101としわ押さえプレート105を用いてアルミニウム樹脂複合積層板を三次元成形品の概形に成形した後、引き続き押込治具12を突出させて三次元成形品2を製造する工程としても良い。
この場合、図23、図24に示す絞り加工装置の絞りパンチ106の代用として第2実施形態の押圧パンチ11を用いることができる。
このようにするならば、アルミニウム樹脂複合積層板を角絞り加工する場合に押圧パンチ11を用いた絞り加工により三次元成形品の概形を形成後、直ちに押込治具12を用いてコーナー部分を内側から押圧し、目的の形状の三次元成形品2を得ることができる。
図8〜図13は第3実施形態の製造装置30を示すもので、この第3実施形態の製造装置30は、角柱状の押圧パンチ31とこの押圧パンチ31の下端コーナー部分に装着された4本の押込治具12とを備えている。押込治具12が設けられた部分の構造は第2実施形態の構造と同等である。押込治具12の先端にはこの実施形態では背の低い円錐形状の突起部12aが形成されているが、この突起部12aは第1実施形態のような球頭型であっても良い。
本実施形態の押圧パンチ31の外形は、三次元成形品2を絞り加工する場合の絞りパンチ106と同等形状をなしているが、下端のコーナー部分に挿入孔31aが形成されている点が異なり、この挿入孔31aにロッド状の押込治具12が出入自在に挿入されている点が特徴となる。また、押圧パンチ31の下端部のコーナー部分を除く周辺部分中央位置にスリット状の挿入孔31cが形成され、この挿入孔31cにスライド自在に案内板33が挿入され、この案内板33の先端側にプレート型の押込板35が取り付けられている点が異なる。この実施形態において案内板33と押込板35により第2の押込治具36が構成されている。
本実施形態の押圧パンチ31の外形は、三次元成形品2を絞り加工する場合の絞りパンチ106と同等形状をなしているが、下端のコーナー部分に挿入孔31aが形成されている点が異なり、この挿入孔31aにロッド状の押込治具12が出入自在に挿入されている点が特徴となる。また、押圧パンチ31の下端部のコーナー部分を除く周辺部分中央位置にスリット状の挿入孔31cが形成され、この挿入孔31cにスライド自在に案内板33が挿入され、この案内板33の先端側にプレート型の押込板35が取り付けられている点が異なる。この実施形態において案内板33と押込板35により第2の押込治具36が構成されている。
押圧パンチ31は図1に示す浅底の箱型の三次元成形品2を絞り成形する絞りパンチ106と略同等形状の外部パンチ31Aを有し、外部パンチ31Aの下端コーナー部分に前述の斜面11iと同等傾斜角の斜面31bが形成され、この斜面31bに挿入孔31aが開口されている。
挿入孔31cは外部パンチ31Aの底壁と周壁を貫通して外部パンチ31Aの中空部に達するまで形成され、挿入孔31cに挿入されている案内板33は押込治具12に干渉することなく個々にスライドして外部パンチ31Aの外側向きに移動できるように支持されている。
また、外部パンチ31Aの内部側には第2実施形態と類似構造の内部パンチ31Bが設けられ、外部パンチ31Aの挿通孔31aに押込治具12がスライド自在に挿通されているので、この押込治具12の上端側の受け面12eを内部パンチ31Bのくさび斜面31gが押圧する構成については先の第2実施形態の構成と同等である。
挿入孔31cは外部パンチ31Aの底壁と周壁を貫通して外部パンチ31Aの中空部に達するまで形成され、挿入孔31cに挿入されている案内板33は押込治具12に干渉することなく個々にスライドして外部パンチ31Aの外側向きに移動できるように支持されている。
また、外部パンチ31Aの内部側には第2実施形態と類似構造の内部パンチ31Bが設けられ、外部パンチ31Aの挿通孔31aに押込治具12がスライド自在に挿通されているので、この押込治具12の上端側の受け面12eを内部パンチ31Bのくさび斜面31gが押圧する構成については先の第2実施形態の構成と同等である。
挿入孔31cには、挿入孔31cの長さ(深さ)より長い案内板33が挿入されている。案内板33の先端側には図8〜図13に示す実施形態では外部パンチ31Aの先端部周縁に沿って延在する押込板35が一体化されている。この押込板35は三角柱型に形成され、その一面側を外部パンチ31Aの下端部周縁に形成された凹部31dに沿わせて外部パンチ31Aの周縁部に延在するように支持されている。
押込板35は外部パンチ31Aのコーナー部分に設けられている押込治具12と干渉しない位置に設けられているので、外部パンチ31Aの下端周縁部分であって押込部材12、12を設けた位置の間の領域を占めるように設けられている。
なお、図13では芯材2aと面材2bからなる3層構造のアルミニウム樹脂複合積層板を単層構造として略記している。
押込板35は外部パンチ31Aのコーナー部分に設けられている押込治具12と干渉しない位置に設けられているので、外部パンチ31Aの下端周縁部分であって押込部材12、12を設けた位置の間の領域を占めるように設けられている。
なお、図13では芯材2aと面材2bからなる3層構造のアルミニウム樹脂複合積層板を単層構造として略記している。
この第3実施形態の場合、押圧パンチ31の内部に組み込まれている内部パンチ31Cは、その周辺部コーナー部分に押込部材12を押圧するための第2実施形態同様のくさび斜面を有しているが、周辺コーナー部分の間に設けられている案内板33と押込板35を押し出すためのくさび斜面も別途有している。
即ち、内部パンチ31Cの下端コーナー部分を除く下端周縁部分にもくさび斜面31fが形成されていて、このくさび斜面31fが案内板33の上端側の受け面33eを押圧し、押込板35を押し出しできるように構成されている。
即ち、内部パンチ31Cの下端コーナー部分を除く下端周縁部分にもくさび斜面31fが形成されていて、このくさび斜面31fが案内板33の上端側の受け面33eを押圧し、押込板35を押し出しできるように構成されている。
図8〜図13に示す製造装置30を用いて三次元成形品2を製造する場合、平板状のアルミニウム樹脂複合積層板を例えば図24、図25に示す構造の一般的な絞り加工装置を用いて箱型に絞り加工することで図1に示す三次元成形品2の概形を得た後、第3実施形態の製造装置30により加工する。
先に図6を基に説明した形状の三次元成形品2を収容可能な凹部13aを有する受け枠13に一般的な絞り加工装置を用いて箱型の概形に絞り加工した三次元成形品を収容し、それに対し押圧パンチ30の外部パンチ31Aを押し込んでから押込治具12と第2の押込治具36の押込板35を押し出してこれらにより三次元成形品のコーナー部分および内周縁部分を内側から斜め下方向きに押し込んで三次元成形品のコーナー部分と内周縁部分を成形する。
この動作により、三次元成形品のコーナー部分のR部を押込部材12によってアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さく加工できるとともに、三次元成形品のコーナー部分を除く周縁部分のR部も押込板35によってアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さく加工できる。
先に図6を基に説明した形状の三次元成形品2を収容可能な凹部13aを有する受け枠13に一般的な絞り加工装置を用いて箱型の概形に絞り加工した三次元成形品を収容し、それに対し押圧パンチ30の外部パンチ31Aを押し込んでから押込治具12と第2の押込治具36の押込板35を押し出してこれらにより三次元成形品のコーナー部分および内周縁部分を内側から斜め下方向きに押し込んで三次元成形品のコーナー部分と内周縁部分を成形する。
この動作により、三次元成形品のコーナー部分のR部を押込部材12によってアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さく加工できるとともに、三次元成形品のコーナー部分を除く周縁部分のR部も押込板35によってアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さく加工できる。
先の第1実施形態、第2実施形態の製造装置1、10では三次元成形品のコーナー部分のR部のみを加工できたが、本実施形態の製造装置30ではコーナー部分のR部とそれ以外の周縁部分のR部もアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さく加工できる。
この動作により三次元成形品の周縁コーナー部分のR部とコーナー部分に続く周縁部分のR部をいずれも板厚より小さく曲率半径に加工することで目的のコーナーRを有する三次元成形品2を得ることができる。
この動作により三次元成形品の周縁コーナー部分のR部とコーナー部分に続く周縁部分のR部をいずれも板厚より小さく曲率半径に加工することで目的のコーナーRを有する三次元成形品2を得ることができる。
図14〜図23は第4実施形態の製造装置40を示すもので、この第4実施形態の製造装置40は、押圧パンチ41とこの押圧パンチ41の下端コーナー部分に装着された4つの押込部材42とを備えている。
この実施形態の押圧パンチ41は、四角柱状の本体部41Aとその下端部に下窄まり状に形成された先端部41Bとからなる。本体部41Aの周面には4つの側面壁41aが形成されるとともに、先端部41Bの周面には本体部41Aの側面壁41aに対し傾斜するように延設された4つのくさび斜面41bが形成されている。押圧パンチ41において先端部41Bは本体部41Aより短く形成され、先端部41Bの先端側には前記側面壁41aに対し直角向きの平坦面41Cが形成されている。この例では4つのくさび斜面41bが下窄まり状になるように傾斜配置されている。
この実施形態の押圧パンチ41は、四角柱状の本体部41Aとその下端部に下窄まり状に形成された先端部41Bとからなる。本体部41Aの周面には4つの側面壁41aが形成されるとともに、先端部41Bの周面には本体部41Aの側面壁41aに対し傾斜するように延設された4つのくさび斜面41bが形成されている。押圧パンチ41において先端部41Bは本体部41Aより短く形成され、先端部41Bの先端側には前記側面壁41aに対し直角向きの平坦面41Cが形成されている。この例では4つのくさび斜面41bが下窄まり状になるように傾斜配置されている。
押込部材42は、図19に示す受け枠13に挿入された概形の箱型の三次元成形品のコーナー部分を内側から押圧して成形するために設けられる。押込部材42は、三次元成形品のコーナー部分を押圧するための角部42aと、この角部42aの両側を延長するように形成された側辺部42b、42bと、これら側辺部42bどうしを接続する斜辺部42cとからなる平面視略矢印型あるいは平面視略扇形に形成されている。押込部材42において斜辺部42cの幅方向中央部に前記押圧パンチ41のくさび斜面41bを受ける受け面42dを有する突起部42eが形成されている。
押込部材42において側辺部42bの長さは加工対象とする図1、図6に示す箱型概形の三次元成形品の側面壁2Bの長さ(横幅)の1/2程度に形成されている。4つの押込部材42はそれらを押圧パンチ41の周囲に配置することで加工対象とする三次元成形品の底面壁の内周辺とコーナー部分を概ねカバーできる大きさに形成されている。
4つの押込部材42はそれらの側辺部42b、42bどうしを隙間無く隣接させて図15あるいは図16に示すように押圧パンチ41の下方に配置した場合、4つの押込部材42の底面壁外周輪郭が加工対象とする箱型概形の三次元成形品の内底面壁外周輪郭とほぼ同じ外形となるように形成されている。
また、図15、図16に示すように押込部材42の角部底面壁側と側辺部底面壁側には三次元成形品の内周縁部を押圧し成形するための突片状の縁部42fが形成されている。
4つの押込部材42はそれらの側辺部42b、42bどうしを隙間無く隣接させて図15あるいは図16に示すように押圧パンチ41の下方に配置した場合、4つの押込部材42の底面壁外周輪郭が加工対象とする箱型概形の三次元成形品の内底面壁外周輪郭とほぼ同じ外形となるように形成されている。
また、図15、図16に示すように押込部材42の角部底面壁側と側辺部底面壁側には三次元成形品の内周縁部を押圧し成形するための突片状の縁部42fが形成されている。
第4実施形態の製造装置40は、先の実施形態の製造装置と同様、三次元成形品2を製造する場合、平板状のアルミニウム樹脂複合積層板を例えば図24、図25に示す構造の一般的な絞り加工装置を用いて箱型に絞り加工することで図1に示す三次元成形品の概形を得た後の加工に使用される。
先に図6を基に説明した形状の三次元成形品2を収容可能な凹部13aを有する受け枠13に一般的な絞り加工装置を用いて箱型の概形に絞り加工した三次元成形品を収容し、箱型の三次元成形品に対し4つの押込部材42を図15、図16、図20、図22に示す状態で挿入する。その後、4つの押込部材42の間に上から押圧パンチ41を押し込み、押圧パンチ41のくさび斜面41bで4つの押込部材42の受け面42dを押圧する。
先に図6を基に説明した形状の三次元成形品2を収容可能な凹部13aを有する受け枠13に一般的な絞り加工装置を用いて箱型の概形に絞り加工した三次元成形品を収容し、箱型の三次元成形品に対し4つの押込部材42を図15、図16、図20、図22に示す状態で挿入する。その後、4つの押込部材42の間に上から押圧パンチ41を押し込み、押圧パンチ41のくさび斜面41bで4つの押込部材42の受け面42dを押圧する。
この動作により図15、図16、図20、図22に示すように近接していた押込部材42の間隔を図17、図18、図21、図23に示すように押し広げることができ、4つの押込部材42の縁部42fで受け枠内の三次元成形品のコーナー部および内周縁部を内側から外側向きに押圧して成形することができる。また、押圧パンチ41の押し込み力により4つの押込部材42の縁部42fは下方にも押圧力を作用させるので、図6、図7に示す受け枠13に収容されている三次元成形品のコーナー部分を目的の形状となるように押圧成形できる。
また、押圧パンチ41のくさび斜面41bの下降により4つの押込部材42を押し広げることができるが、くさび斜面41bの下降に引き続いて本体部41Aの側面壁41aが下降して受け面42dを押圧し、4つの押込部材42を更に押し広げて三次元成形品のコーナー部分を目的の形状となるように押圧成形する。
これらの動作によって三次元成形品のコーナー部分のR部と周縁部分のR部の両方をアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さい目的のR部に成形することができ、目的の形状の三次元成形品2を得ることができる。
また、押圧パンチ41のくさび斜面41bの下降により4つの押込部材42を押し広げることができるが、くさび斜面41bの下降に引き続いて本体部41Aの側面壁41aが下降して受け面42dを押圧し、4つの押込部材42を更に押し広げて三次元成形品のコーナー部分を目的の形状となるように押圧成形する。
これらの動作によって三次元成形品のコーナー部分のR部と周縁部分のR部の両方をアルミニウム樹脂複合積層板の板厚より小さい目的のR部に成形することができ、目的の形状の三次元成形品2を得ることができる。
厚さ2.5mm、3倍発泡のポリプロピレン製の発泡樹脂板の一面に厚さ0.2mmのAA1050からなるアルミニウム合金板を他面に厚さ0.3mmのAA5151からなるアルミニウム合金板を接着した3層構造の総厚3.0mmのアルミニウム樹脂複合積層板を用意した。
このアルミニウム樹脂複合積層板に対し図23、図24に示す絞り加工装置によって角絞り加工を施し、縦幅200mm、横幅100mm、深さ30mmの浅底箱型概形の三次元成形品を得た。この三次元成形品の2つの側面壁と底面壁が交差するコーナー部分の曲率半径Rは8mmであった。
このアルミニウム樹脂複合積層板に対し図23、図24に示す絞り加工装置によって角絞り加工を施し、縦幅200mm、横幅100mm、深さ30mmの浅底箱型概形の三次元成形品を得た。この三次元成形品の2つの側面壁と底面壁が交差するコーナー部分の曲率半径Rは8mmであった。
前記概形の三次元成形品を図6に示す凹型形状の受け枠内に設置した。受け枠の凹部の寸法は、縦幅207mm、横幅107mm、深さ35mmである。また、受け枠に形成されている凹部の内縁側の曲率半径は凹部内周縁全周において2mmに形成されている。
前記概形の三次元成形品に対し、図13〜図22に示す構成の製造装置を用いてコーナーRを板厚未満とするための成形を行った。
前記概形の三次元成形品に対し、図13〜図22に示す構成の製造装置を用いてコーナーRを板厚未満とするための成形を行った。
押込部材42の側辺部42fの先端側の曲率半径を1.5mmに形成しておき、4つの押込部材42を受け枠の凹部内の三次元成形品の各コーナー部に収容し、4つの押込部材の間に上方から押圧パンチ41を挿入し、押圧パンチ41のくさび斜面41bを押込部材42の受け面42dに押し付けた。押込部材42の側辺部42fを三次元成形品の内周部に押圧させた後、100kg/m2の圧力で徐々に1.5mm押し込み、三次元成形品のコーナー部分を成形した。
この結果、三次元成形品の内周側および角度のコーナー部分の曲率半径を全周で2mm〜4mmの範囲に加工することができた。また、得られた三次元成形品のコーナー部分にしわや割れ、肌荒れなどの欠陥を生じていないことを目視確認できた。
これにより、図13〜図22に示す製造装置によって、アルミニウム樹脂複合積層板の角絞り成形の場合のコーナー部分について、板厚未満の曲率半径に加工することができ、コーナー部分にしわや割れ、肌荒れなどの欠陥の生じていない寸法精度の高い三次元成形品を製造できることが判明した。
これにより、図13〜図22に示す製造装置によって、アルミニウム樹脂複合積層板の角絞り成形の場合のコーナー部分について、板厚未満の曲率半径に加工することができ、コーナー部分にしわや割れ、肌荒れなどの欠陥の生じていない寸法精度の高い三次元成形品を製造できることが判明した。
次に、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さ、および、アルミニウム樹脂複合積層板を構成するアルミニウム面材、芯材樹脂の厚さを変化させた試料を複数用意し、各々の試料について図14〜図23に示す構成の製造装置を用いてコーナーRを板厚未満とするための成形を行なった。
アルミニウム面材は前述と同様に、一面(凹面側)にA1100材、他面(凸面側)にAA5151のアルミニウム板材を用い、芯材発泡樹脂は3倍発泡のポリプロピレン樹脂を用いた。
各試料の構成を以下の表1に示す。コーナーR形成における押込部材42の側辺部42fの曲率半径は、それぞれのアルミニウム樹脂複合積層板の厚さ(総厚)の1/2となるものを、それぞれ対応して用いた。
各々の試料のR形成加工を行なった後、コーナーR部について外観を観察し、R形状不良、R形成不均一の有無、割れ・しわ・肌荒れの有無について確認し、以下の評価を行った。目視観察にてこれらの欠陥を確認できなかった場合に良好(◎)と判断し、目視観察にて各欠陥について発生の前兆が認められた場合(例えば割れではないが割れの前兆と思われるスジなどの前兆部分が認められた場合)を概ね良好(○)と判断し、目視で不良を僅かに確認できた場合を一部不良(△)と判断し、目視で不良を明瞭に確認できた場合を不良発生(×)と判断した。これら評価の結果を以下の表1に記載するとともに、これらの項目がすべて良好(◎または○)であるものを合格と判断した。
アルミニウム面材は前述と同様に、一面(凹面側)にA1100材、他面(凸面側)にAA5151のアルミニウム板材を用い、芯材発泡樹脂は3倍発泡のポリプロピレン樹脂を用いた。
各試料の構成を以下の表1に示す。コーナーR形成における押込部材42の側辺部42fの曲率半径は、それぞれのアルミニウム樹脂複合積層板の厚さ(総厚)の1/2となるものを、それぞれ対応して用いた。
各々の試料のR形成加工を行なった後、コーナーR部について外観を観察し、R形状不良、R形成不均一の有無、割れ・しわ・肌荒れの有無について確認し、以下の評価を行った。目視観察にてこれらの欠陥を確認できなかった場合に良好(◎)と判断し、目視観察にて各欠陥について発生の前兆が認められた場合(例えば割れではないが割れの前兆と思われるスジなどの前兆部分が認められた場合)を概ね良好(○)と判断し、目視で不良を僅かに確認できた場合を一部不良(△)と判断し、目視で不良を明瞭に確認できた場合を不良発生(×)と判断した。これら評価の結果を以下の表1に記載するとともに、これらの項目がすべて良好(◎または○)であるものを合格と判断した。
前述の評価の結果、表1に示すように、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さ(総厚)が2〜10mm、アルミニウム面材の厚さが0.1〜4mm、芯材樹脂の厚さが1.9〜9.8mmの範囲にある試料は、R形成加工の外観が良好であり、いずれも合格と判定された。
一方、いずれかの厚さが前述範囲を外れるものは、R形成加工後の外観にいずれかの不良を生じた。
このため、図14〜図23に示す構成の製造装置を用いてアルミニウム樹脂複合積層板のコーナーRを板厚の1/2とするための成形を行う場合、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さ(総厚)を2〜10mmの範囲内に、アルミニウム面材の厚さを0.1〜4mmの範囲内に、芯材樹脂の厚さを1.9〜9.8mmの範囲内に設定することが望ましいことが明らかになった。
一方、いずれかの厚さが前述範囲を外れるものは、R形成加工後の外観にいずれかの不良を生じた。
このため、図14〜図23に示す構成の製造装置を用いてアルミニウム樹脂複合積層板のコーナーRを板厚の1/2とするための成形を行う場合、アルミニウム樹脂複合積層板の厚さ(総厚)を2〜10mmの範囲内に、アルミニウム面材の厚さを0.1〜4mmの範囲内に、芯材樹脂の厚さを1.9〜9.8mmの範囲内に設定することが望ましいことが明らかになった。
本発明によれば、アルミニウム樹脂複合積層板の角絞り加工により箱型の三次元成形品を得る場合、コーナー部分に割れ、しわ、肌荒れなどの欠陥を生じることなく、コーナー部分のRを小さく加工でき、自動車材などの部材に対し角絞り部分に欠陥の無い軽量化した部材を提供できる。
1…製造装置、2…三次元成形品、2A…底面壁、2a…芯材、2B…側面壁、2b…面材、2C…稜線部、2D…コーナー部、2E…R部、5…押圧パンチ、5a…下端部、5b…くさび斜面、6…第1の押込治具、6a…突起部、6b…ロッド部、6c…基板部、6d…接続部、6e…受け面、7…内側空所、10…製造装置、11…押圧パンチ、11A…外部パンチ、11C…内部パンチ、11a…挿入孔、11b…傾面、11g…くさび斜面、12…押込治具、12a…突起部、12e…受け面、13…受け枠、13a…凹部、30…製造装置、31…押圧パンチ、31a、31c…挿入孔、35…押込板、36…第2の押込治具、40…製造装置、41…押圧パンチ、41A…外部パンチ、41B…先端部、41b…くさび斜面、42…押込部材、42b…側辺部、42a…角部、42d…受け面、42f…縁部。
Claims (9)
- 発泡樹脂からなる芯材の両面にアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる面材を積層したアルミニウム樹脂複合積層板を絞り加工してコーナーRを有する三次元成形品を形成する方法において、
ダイと絞りパンチを用いてアルミニウム樹脂複合積層板を絞り成形して天面壁または底面壁と側面壁と角部と陵線部を有する三次元成形品を成形した後、
押込治具を前記三次元成形品のコーナー部の内側から押し付けて該コーナー部のアルミニウム樹脂複合積層板を外側向きに押圧することにより前記コーナー部のコーナーRを前記アルミニウム樹脂複合積層板の板厚未満まで小さくするに際し、
前記天面壁または底面壁と前記側面壁に対し傾斜したくさび斜面を有し、前記天面壁または底面壁に対し接近離間する方向に移動自在に設けられた押圧パンチと、前記押圧パンチのくさび斜面と前記コーナー部の間に設置され、前記くさび斜面に接する受け面と前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部内側に押圧される突起部を備えた押込治具を用い、
前記天面壁または底面壁に対し前記押圧パンチを接近させて前記くさび斜面を介し前記押込治具を押圧し、前記押込治具の突起部により前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部をその内側から外側向きに押圧することを特徴とするコーナーRを有する三次元成形品の製造方法。 - 前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有する前記押圧パンチを用い、前記本体部の先端側4つのコーナー部分に設けた案内孔に沿って斜め方向に突出自在に装着されたロッド状の第1の押込治具を用いて前記三次元成形品の4つのコーナー部内側を押圧することを特徴とする請求項1に記載のコーナーRを有する三次元成形品の製造方法。
- 前記本体部の先端周辺部分に沿ってプレート状の第2の押込治具を突出自在に設けた前記押出パンチを用い、前記第2の押込治具を用いて前記三次元成形品の前記コーナー部以外の内周縁部を押圧することを特徴とする請求項2に記載のコーナーRを有する三次元成形品の製造方法。
- 前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有する前記押圧パンチを用い、前記本体部の先端側コーナー部分に突出自在に装着された押込部材を用いて前記三次元成形品の内周縁を押圧するに際し、前記押込部材の先端部に設けられて前記三次元成形品のコーナー部内側を押圧する角部と、前記角部の両側に設けられて前記コーナー部以外の内周縁を押圧する側辺部により、前記三次元成形品の内周縁を押圧することを特徴とする請求項1に記載のコーナーRを有する三次元成形品の製造方法。
- 前記アルミニウム樹脂複合積層板の厚さが2〜10mmの範囲であり、前記面材の厚さが0.1〜4mmの範囲であり、前記芯材の厚さが1.9〜9.8mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のコーナーRを有する三次元成形品の製造方法。
- 発泡樹脂からなる芯材の両面にアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる面材を積層したアルミニウム樹脂複合積層板をダイと絞りパンチを用い、絞り加工して天面壁または底面壁と側面壁と角部と陵線部を有する三次元成形品を成形した後、該三次元成形品の内周縁部を加工してコーナーRを前記アルミニウム樹脂複合積層板の板厚未満まで小さくするコーナーRを有する三次元成形品の製造装置であって、
前記天面壁または底面壁と前記側面壁に対し傾斜したくさび斜面を有し、前記天面壁または底面壁に対し接近離間する方向に移動自在に設けられた押圧パンチと、前記押圧パンチのくさび斜面と前記コーナー部の間に設置され、前記くさび斜面に接する受け面と前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部内側に押圧される突起部を備えた押込治具を備え、
前記押圧パンチの前記天面壁または底面壁に対する接近により前記くさび斜面を介し前記押込治具の突起部を前記アルミニウム樹脂複合積層板のコーナー部内側に押圧する機能を有したことを特徴とするコーナーRを有する三次元成形品の製造装置。 - 前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記押圧パンチが前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有し、前記本体部の先端側のコーナー部分に形成された案内孔に出入自在にロッド状の第1の押込治具が設けられたことを特徴とする請求項6に記載のコーナーRを有する三次元成形品の製造装置。
- 前記本体部の先端側のコーナー部分以外の部分に前記本体部の周縁に沿ってプレート型の第2の押込治具が設けられ、前記本体部の先端側周縁に案内孔が形成され、該案内孔に沿って出入自在に案内軸が挿入され、該案内軸の先端に前記第2の押込治具が取り付けられたことを特徴とする請求項7に記載のコーナーRを有する三次元成形品の製造装置。
- 前記三次元成形品が矩形状の天面壁または底面壁とその周辺部に形成された4つの側面壁を有する三次元成形品であり、前記押圧パンチが前記4つの側面壁で形成される三次元成形品の内側空所に挿入自在な本体部を有し、前記本体部の先端側コーナー部分に押込部材が設けられ、該押込部材の先端部に前記三次元成形品のコーナー部内側を押圧する角部と前記コーナー部に隣接する内周縁部を押圧する側辺部が形成され、前記押込部材の基端側に前記くさび斜面に合致する受け面が形成されたことを特徴とする請求項6に記載のコーナーRを有する三次元成形品の製造装置。
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JP2016180352A JP2018043275A (ja) | 2016-09-15 | 2016-09-15 | アルミニウム樹脂複合積層板からなり、コーナーrを有する三次元成形品の製造方法および製造装置 |
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CN109954769A (zh) * | 2019-04-30 | 2019-07-02 | 冯程阳 | 一种冲压件冲压回弹控制方法 |
KR20200065443A (ko) * | 2018-11-30 | 2020-06-09 | 주식회사 포스코 | 씽크볼 및 이의 제조장치 |
-
2016
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