JP2018042497A - 加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料の製造方法の提供。【解決手段】五炭糖、HMF及び/又は含硫化合物の存在下で本醸造醤油(火入醤油又は生醤油)を加熱する工程を含む、醤油様調味料の製造方法。五炭糖がリボース及び/又はキシロースであり、含硫化合物がシステイン、シスチン又は硫化水素から選択される1種以上の含硫化合物であり、また、加熱工程において本醸造火入醤油又は本醸造生醤油が50〜150℃で3〜60分間加熱され、pH3から7の範囲内で実施される醤油様調味料の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、醤油様調味料、特に、加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料の新規製造方法に関する。
醤油は、伝統的に調味料として広く根付いている調味料である。一般的に醤油は、食品の風味を増強することが知られており、様々な食品の調味に使用されている。醤油には約300種類以上の香り成分が含まれており、醤油特有の醸造香を持っている。具体的には、醤油の特徴香として、甘いカラメル香を有する4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−3(2H)フラノン(HEMF)や、日本酒の香りを有するイソアミルアルコール、燻煙の香りを有する4−エチルグアヤコール(4EG)などの成分が挙げられる。これらを含めた種々の香気成分のバランスにより醤油の特徴的な香りが生み出されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
しかしながら、醤油調味料中の一部の風味については増強の必要性が存在している。
本発明は、加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、五炭糖、4−ヒドロキシ−5‐メチル−3(2H)‐フラノン(HMF)及び/又は含硫化合物の存在下で本醸造醤油(火入醤油又は生醤油)を加熱することで加熱肉様の香りが増強されることを見出し、本発明を完成させるに至った
即ち、本願は以下の発明を包含する。
[1]五炭糖、HMF及び/又は含硫化合物の存在下で本醸造火入醤油又は本醸造生醤油を加熱する工程を含む、醤油様調味料の製造方法。
[2]五炭糖がリボース及び/又はキシロースである、[1]に記載の製造方法。
[3]含硫化合物がシステイン、シスチン又は硫化水素から選択される1種以上の含硫化合物である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記加熱工程において本醸造火入醤油又は本醸造生醤油が50〜150℃で3〜60分間加熱される、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]加熱工程が発酵段階で実施される、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]加熱工程がpH3から7の範囲内未満の酸性域で実施される、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料が製造される、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[1]五炭糖、HMF及び/又は含硫化合物の存在下で本醸造火入醤油又は本醸造生醤油を加熱する工程を含む、醤油様調味料の製造方法。
[2]五炭糖がリボース及び/又はキシロースである、[1]に記載の製造方法。
[3]含硫化合物がシステイン、シスチン又は硫化水素から選択される1種以上の含硫化合物である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記加熱工程において本醸造火入醤油又は本醸造生醤油が50〜150℃で3〜60分間加熱される、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]加熱工程が発酵段階で実施される、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]加熱工程がpH3から7の範囲内未満の酸性域で実施される、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料が製造される、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、外部から香料を添加することなく、加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料を提供することが可能になる。
本発明に係る醤油様調味料の製造方法は、五炭糖、HMF及び/又は含硫化合物の存在下で本醸造醤油(火入醤油又は生醤油)を加熱する工程を含む。これにより、加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料が製造される。同じ加熱条件でも、五炭糖の代わりにグルコースなどの六炭糖を使用した場合には醤油様調味料中の加熱肉様の香りは増強されず、むしろ減少する。五炭糖及び含硫化合物はいずれも食品の原材料として使用可能なものであれば特に限定されないが、五炭糖の例としてはリボースやキシロース等が挙げられ、含硫化合物の例としてはシステイン、シスチン、硫化水素等が挙げられる。これらの化合物の中でもシステインが好ましい。五炭糖、HMF及び/又は含硫化合物を本醸造醤油(火入醤油又は生醤油)に添加するタイミングは加熱前でも加熱時でもよい。
本明細書における「加熱肉様の香り」とは、バーベキューなどで「肉を焼いた際に出てくる甘く香ばしい食欲をそそるような香り」を意味する。
本明細書における「醤油様調味料」とは、日本農林規格に定める「しょうゆ」と同様の用途で用いられる液体調味料のうち、上記加熱工程を経た本醸造醤油(火入醤油又は生醤油)から製造されるあらゆる調味料を意味する。なお、本明細書で記載する「醤油」は、日本農林規格の「しょうゆ」と同一の概念である。
本明細書における「本醸造醤油」とは、しょうゆの日本農林規格における本醸造方式による醤油をいう。すなわち、本醸造方式による醤油とは、大豆、又は大豆及び麦、米等の穀類を蒸煮その他の方法で処理し、麹菌を接種培養して得られる醤油麹、若しくは、米を蒸煮、膨化又は麹菌により糖化して該醤油麹に加えたものに、食塩水又は生揚げを加えて発酵熟成させて得られる清澄な液体調味料である。また、本醸造方式による醤油を火入(加熱殺菌)して、本発明における本醸造火入醤油として使用してもよい。
本発明における「本醸造生醤油」とは、日本農林規格の生揚げに準じ、醤油の熟成諸味を圧搾して得られる本醸造方式で製造された醤油であり、火入処理を行っていないものを言う。また、清澄化するために、圧搾後に静置してオリや固形物を分離除去するか、珪藻土濾過やMF膜処理などにより、残存するオリや微生物を除去したものも生醤油と言う。
好ましい態様において、本醸造醤油(火入醤油又は生醤油)は五炭糖、HMF及び/又は含硫化合物が0.1mM〜50mMの存在下、50〜150℃で3〜60分間、好ましくは80〜120℃で5〜20分間加熱される。しかしながら、加熱時間をより長時間とするか、そして/あるいは加熱温度をより高温とすることで、加熱肉様の香りは更に増強可能である。そのため、当業者は所望とする加熱肉様の香りのレベルに応じて加熱時間や加熱温度を適宜変更することができる。
加熱時の本醸造醤油(火入醤油又は生醤油)のpHは3〜7の酸性領域であることが好ましい。
本発明により製造される醤油様調味料はその他の風味・呈味成分を含んでもよい。風味・呈味成分としては、酵母エキス、魚介エキス、畜肉エキス、アミノ酸、核酸、有機酸、タンパク質加水分解物などが挙げられる。これらの中でも、醤油様調味料又は醤油に風味を持たせる目的では、特にアミノ酸であるグルタミン酸塩や核酸、酵母エキスなどが好ましい。これらの風味・呈味成分は、単独又は複数組み合わせて添加することができる。
本発明により製造される醤油様調味料は、醤油様調味料の添加が必要とされる各種飲食品に特に制限なく使用することができる。例えば、各種食品又は飲料、肉類、魚介類、野菜類、藻類、キノコ類、果実類、ナッツ類等あるいはそれらを利用した調理品、ご飯類、麺類、パン類、野菜、漬け物、天ぷら、ゆで卵、スナック、炒め物、肉製品、スープ類(カップスープ、即席めんのスープ等)、ルー等の加工食品、蒲鉾、ちくわ、さつま揚げ、水産・畜肉加工製品等、濃口醤油等の各種醤油、各種減塩醤油、各種つゆ、各種たれ、酵母エキス、畜肉エキス、魚介エキス、蛋白加水分解物等の調味料や、核酸(イノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウムなど)を含有する調味料に本発明の醤油様調味料を添加することにより、それらの飲食品に固有の風味をより増強させるか、風味が不十分な飲食品の風味を補うことが可能である。
以下、具体例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これにより限定されるものではない。
市販の本醸造火入醤油(キッコーマン社製)、本醸造生醤油(キッコーマン社製)、市販の化学分解醤油(ラチョイ社製、アジノモト社製、ヒノモト社製)及びpH5のリン酸緩衝液を準備し、各サンプルにグルコース(関東化学社製)又はリボース(ナカライテスク社製)とシスチン(シグマアルドリッチジャパン社製)を添加した。グルコース又はリボースは0.83mM、システインは0.47mMとなるように添加し、各サンプルを120℃で5分間加熱した後、常温になるまで放置した。なお、コントロールにはリボースもシステインも添加していない上記本醸造醤油を用いた。
(官能試験)
得られたサンプル中の香りについて官能試験を行ったところ、本醸造醤油から調製したサンプルは加熱肉様の香りが増強されていた。一方、化学分解醤油及びリン酸緩衝液からは加熱肉様の香りは確認されなかった。このことから、加熱肉様の香りを構成する香気成分の前駆体は本醸造醤油中に含まれていることが明らかになった。また、グルコースを添加した場合、加熱肉様の香りがむしろ減少した。このことは加熱肉様の香りの増強に五炭糖が有効であることを示している。なお、リボースもシステインも含まない本醸造醤油においては香ばしさが確認されたものの、同時に焦げ臭も強くなり、また、スモーク様のにおいも増強された。なお、五炭糖の代わりにHMFを1mMとなるよう添加した場合も同様に加熱肉様の香りが増強された。また、本醸造火入醤油に代えて本醸造生醤油を使用した場合にはより加熱肉様の香りが増強される結果となった。
得られたサンプル中の香りについて官能試験を行ったところ、本醸造醤油から調製したサンプルは加熱肉様の香りが増強されていた。一方、化学分解醤油及びリン酸緩衝液からは加熱肉様の香りは確認されなかった。このことから、加熱肉様の香りを構成する香気成分の前駆体は本醸造醤油中に含まれていることが明らかになった。また、グルコースを添加した場合、加熱肉様の香りがむしろ減少した。このことは加熱肉様の香りの増強に五炭糖が有効であることを示している。なお、リボースもシステインも含まない本醸造醤油においては香ばしさが確認されたものの、同時に焦げ臭も強くなり、また、スモーク様のにおいも増強された。なお、五炭糖の代わりにHMFを1mMとなるよう添加した場合も同様に加熱肉様の香りが増強された。また、本醸造火入醤油に代えて本醸造生醤油を使用した場合にはより加熱肉様の香りが増強される結果となった。
[実験例1]
(加熱条件の検討)
以下の加熱条件で加熱した本醸造醤油中の加熱肉様の香りを官能評価した。
加熱温度:80℃、95℃、120℃、130℃
加熱時間:5分
その結果、加熱温度と加熱時間が増大するほど加熱肉様の香りが増強されるという結果が確認された。
(加熱条件の検討)
以下の加熱条件で加熱した本醸造醤油中の加熱肉様の香りを官能評価した。
加熱温度:80℃、95℃、120℃、130℃
加熱時間:5分
その結果、加熱温度と加熱時間が増大するほど加熱肉様の香りが増強されるという結果が確認された。
本発明に係る製造方法は加熱肉様の香りの増強が必要とされる醤油様調味料を製造するのに好適である。
Claims (6)
- 五炭糖、HMF及び/又は含硫化合物の存在下で本醸造火入醤油又は本醸造生醤油を加熱する工程を含む、醤油様調味料の製造方法。
- 五炭糖がリボース及び/又はキシロースである、請求項1に記載の製造方法。
- 含硫化合物がシステイン、シスチン又は硫化水素から選択される1種以上の含硫化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記加熱工程において本醸造火入醤油又は本醸造生醤油が50〜150℃で3〜60分間加熱される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 加熱工程がpH3から7の範囲内で実施される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料が製造される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
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JP2016179599A JP2018042497A (ja) | 2016-09-14 | 2016-09-14 | 加熱肉様の香りが増強された醤油様調味料の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112772896A (zh) * | 2021-03-09 | 2021-05-11 | 仇俊鹏 | 一种源于大豆和小麦的天然肉香味酱油及其制备方法 |
-
2016
- 2016-09-14 JP JP2016179599A patent/JP2018042497A/ja active Pending
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