JP2018039789A - 組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】みずみずしい使用感と浸透感に優れ、使用後のべたつき感がなく、保湿の持続性にも優れ、さらには高温条件下での経時安定性に優れる組成物を提供すること。【解決手段】次の成分(a)〜(c);(a)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(b)トリプロピレングリコール(c)比重0.80〜0.95の油剤を含有する組成物【選択図】なし

Description

本発明は化粧料等に使用可能な組成物に関し、さらに詳細には、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、トリプロピレングリコール、及び比重0.80〜0.95の油剤を含有する組成物であって、該組成物を肌に塗布した際の、みずみずしい使用感と、肌に対して浸透感に優れ、肌に塗布した後のべたつき感が少なく、肌に対しての保湿感の持続性にも優れ、さらには経時安定性に優れる組成物に関する。
化粧料等に使用可能な組成物を検討する場合、様々な成分を組み合わせるなど、付加価値を高めるための技術開発が盛んになされている。一般に化粧料等には、求める機能は多岐に渡るものであるが、スキンケア化粧料等の基礎化粧料においては、特に重要な機能として保湿効果がある。
従来より、保湿効果を高めるために、様々な保湿剤が検討、配合されており、単なる配合から成分を組み合わせるなどにより、その効果をさらに向上させるための検討もなされている。
このような保湿剤としては、大別すると水に溶解しやすい特性を有する水溶性成分(例えば、特許文献1、2参照)と、油に溶解しやすい特性を有する油溶性成分があり、例えばセラミド等が挙げられる。
また、近年においては、一分子内において、水溶性でもあり、油溶性でもある両親媒性の特性を有する保湿剤を用いた技術もある(例えば、特許文献3参照)。
特開2006−312725号公報 特開2015−168649号公報 特開2008−127342号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、水溶性の保湿剤を用いる技術であり、優れた保湿効果は得られるものの、浸透感に優れない場合があり、また特許文献2の技術では浸透感には優れるものの、保湿効果の持続面においては十分でない場合があった。これらに対しては、例えば油溶性の保湿剤等などの配合を検討する方法もあるが、一方で特許文献3の技術においては、水溶性および油溶性の保湿剤であるシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの開示がなされているが、本技術においては、保湿効果だけでなく、水溶液中でのpH安定化にも期待できるものの、浸透感においては十分に満足できない場合や、油性成分を配合するとクリーミングを生じる場合があり、経時安定性においてはいまだ十分でない場合があった。
以上のように上記した課題に対して、本発明においては、両親媒性の特性を有するシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを用いて、肌に塗布した際の、みずみずしい使用感と、肌に対して浸透感に優れ、肌に塗布した後のべたつき感が少なく、肌に対しての保湿感の持続性にも優れ、さらには経時安定性に優れる組成物を開発することを目指した。
上記実情に鑑み、本発明者は、両親媒性の特性を有するシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、水溶性の性質と油溶性の性質を有する特性があり、どちらか一方にのみ溶けるという性質ではないことから、組成物に対して多量に含有することが難しい場合があった。そこで、本発明者は、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールをさらに安定含有し、かつより多くの量を含有するべく水溶性や、油溶性の成分との組み合わせ検討を行った結果、重合したプロピレングリコールと共に用いることが好ましいとの知見を得、さらに重合度を詳細に検討した結果、3量体であるトリプロピレングリコールが特に好ましいとの結果を得た。これはトリプロピレングリコールが、水にも油剤にもなじみやすいことから、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを水や油に溶解させやすくする役割をしているためと考えられる。そしてこれらの成分を組み合わせることにより、油性成分も安定に含有することが可能となり、比重の軽い油性成分も安定に含有することが可能となり、これにより水中油型乳化組成物などに応用可能であり、クリーミングを抑える効果に優れる組成物として、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
次の成分(a)〜(c);
(a)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
(b)トリプロピレングリコール
(c)比重0.80〜0.95の油剤
を含有する組成物に関するものである。
前記成分(a)及び(b)の含有質量比(b)/(a)が、0.5〜25である組成物に関するものである。
前記成分(c)比重0.80〜0.95の油剤が、総炭素数18〜36の、分子内の炭化水素鎖に分岐構造又は不飽和結合を有している油剤である組成物に関するものである。
前記成分(c)が、オクチルドデカノール、オレイン酸エチル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルから選ばれる1種又は2種以上である組成物に関するものである。
さらに成分(d)として、ビタミンEを含有する組成物に関するものである。
さらに成分(e)として、HLBが6以下の脂肪酸ソルビタンエステルを含有する組成物に関するものである。
前記成分(e)の脂肪酸ソルビタンエステルの脂肪酸部の炭素数が、12〜18である組成物に関するものである。
化粧料又は皮膚外用剤である組成物に関するものである。
前記組成物をシート状基剤に含浸してなるシート状化粧料に関するものである。
前記組成物と、さらに噴射剤とを含むエアゾール用化粧料に関するものである。
本発明によれば、肌に塗布した際の、みずみずしい使用感と、肌に対して浸透感に優れ、肌に塗布した後のべたつき感が少なく、肌に対しての保湿感の持続性にも優れ、さらには経時安定性に優れる組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明について特にその好ましい形態を中心に具体的に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明に用いられる成分(a)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、ジカルボン酸とポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとのジエステル体であり、本発明においては、ジカルボン酸が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルがジエチレングリコールモノエチルエーテルのものである。本発明においては、おもに保湿感の持続性に寄与するものである。具体的な商品としては、Neosolue−Aqulio(日本精化株式会社製)等が挙げられる。
本発明における成分(a)の含有量は、特に限定されないが、0.01〜10質量%(以下、「質量%」は、単に「%」と記載する)が好ましく、0.05〜5%であることがより好ましい。この範囲であると、肌に塗布した後のべたつき感の少なさ、肌に対しての保湿感の持続性に優れた組成物が得られるため好ましい。
本発明に用いられる成分(b)トリプロピレングリコールは、プロピレングリコールが3分子重合しているものであれば特に限定されるものではない。このようなトリプロピレングリコールの分子構造としては、直鎖状であっても、分岐構造を含んでいてもいずれでもよく、これらから必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて含有することができる。なお本発明において成分(b)の重合度は、数平均分子量をポリスチレンを標準試料とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)により測定される値を求め、プロピレングリコールの分子量を元に重合度を算出したものであり、重合度の数は平均値を意味するものである。
本発明において、成分(b)は、おもに保湿感の持続性、経時安定性に寄与するものである。トリプロピレングリコールは、グリセリンなどの多価アルコールと異なり、水に対して任意に溶解する一方で親油性も示すことから、浸透感に優れるだけでなく、前記成分(a)のような、水に可溶な油性成分に対する溶解助剤として用いることも可能となり好ましい。
本発明における成分(b)の含有量は、特に限定されないが、0.1〜40%が好ましく、0.2〜30%であることがより好ましく、さらには1〜25%が好ましい。この範囲であると、使用後のべたつきのなさと保湿感の持続性、経時安定性に優れた組成物が得られ好ましい。
本発明においては、上記した成分(a)と成分(b)を適宜含有することで得られる組成物ではあるものの、含有する量比を特定のものとすることにより、より高い効果が期待できるため好ましい。このような含有質量比(b)/(a)としては、0.5〜25の範囲であると好ましく、(b)/(a)が、1〜20であると、より好ましい。この範囲で調整した組成物は、みずみずしい使用感、経時安定性に優れるものとなり好ましい。
本発明に用いられる成分(c)は、比重0.80〜0.95の油剤であり、これらから1種又は2種以上を組み合わせて含有することができる。本発明では、おもに組成物の肌への浸透感において寄与する成分であり、保湿感の持続性にも効果が期待できるものである。成分(c)はさらには特に浸透感の観点からは、比重0.83〜0.93の範囲となるものがより好ましい。なお油剤の比重が0.80未満の場合は、経時安定性が低下する場合もあり、また0.95を超えると浸透感に欠ける場合があり好ましくない。なお本発明における比重は、密度比重計 DA−520(京都電子工業株式会社製)を用いて、20℃にて測定したものである。
このような成分(c)比重0.80〜0.95の油剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、肌に対して浸透感を向上させる観点からは、一分子内の炭素数の総和である総炭素数が、18〜36の油剤が好ましい。そしてさらには、分子内の炭化水素鎖に分岐構造又は不飽和結合を有しているものであればより高い効果が期待できるため好ましい。また成分(c)は、IOB値の観点からさらに選別できうるものであり、上記した比重、炭素数の油に加えて、さらに好ましいものを選定する際にも用いることが可能である。この場合、IOB値0.05〜0.6だとより好ましい。なお、本発明におけるIOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、「IOB値=無機性値/有機性値」として表される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁〜第725頁、1957年参照)。
本発明の成分(c)を具体的に例示するならば、オクチルドデカノール(比重0.838、IOB値0.26)、オレイン酸エチル(比重0.870、IOB値0.16)、オレイン酸オレイル(比重0.870、IOB値0.09)、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(比重0.916、IOB値0.32)、イソノナン酸イソノニル(比重0.856、IOB値0.20)、イソノナン酸イソトリデシル(比重0.862、IOB値0.15)、パルミチン酸2−エチルヘキシル(比重0.858、IOB値0.13)、2−エチルヘキサン酸セチル(比重0.856、IOB値0.13)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(比重0.906、IOB値0.25)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(比重0.950、IOB値0.33)が挙げられ、これらの中でも、オクチルドデカノール、オレイン酸エチル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルが好ましく、オクチルドデカノール、オレイン酸エチル、イソノナン酸イソノニルが特に好ましい。具体的な市販品としては、例えば、EUTANOL G−JP(BASF社製)、CLEARBRIGHT E−81S(日油社製)、SUPER REFINED CRODAMOL OO−LQ−(JP)(クローダジャパン社製)、コスモール 525、サラコス 99、サラコス 913、サラコス P−8、サラコス 816T、エステモール N−01、O.D.O(日清オイリオグループ社製)等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
本発明における成分(c)の含有量は、特に限定されないが、0.005〜2.5%が好ましく、0.01〜1.5%であることがより好ましい。この範囲であると、優れた浸透感を示す組成物が得られるため好ましい。
本発明の組成物には、成分(d)として、ビタミンEが更に含有されていても良い。ビタミンEは、植物および穀物類に多く含まれる複数種のトコフェロールおよびトコトリエノールの総称を指す。トコフェロール、トコトリエノールは、それらの塩及び誘導体を含む概念である。本発明においては、保湿の持続性をより高めることを目的として含有されるものである。
このような成分(d)ビタミンEとしては、通常、化粧料等の組成物に用いられるものであれば、特に限定されないが、具体的なトコフェロール類としては、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、l−α−トコフェロール、l−β−トコフェロール、l−γ−トコフェロール、l−δ−トコフェロール、それらの混合物であるdl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、それらの誘導体である酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、アスパラギン酸トコフェノール、グルタミン酸トコフェノール、パルミチン酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、ポリエトキシル化トコフェノールなどが挙げられる。また、合成したトコフェロールも使用できる。更に、これらのトコフェロール及びトコフェロール誘導体は、食品、医薬品、化粧品等の分野で許容される塩であってもよい。
また、具体的なトコトリエノールとしては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、それらの誘導体である酢酸トコトリエノール、コハク酸トコトリエノール、リン酸トコトリエノール、アスパラギン酸トコトリエノール、グルタミン酸トコトリエノール、パルミチン酸トコトリエノール、ニコチン酸トコトリエノール、ポリエトキシル化トコトリエノールなどが挙げられる。また、合成したトコトリエノールも使用できる。更に、これらのトコトリエノール及びトコトリエノール誘導体は、食品、医薬品、化粧品等の分野で許容される塩であってもよい。
また、混合物の状態で使用してもよく、混合物の状態のものとしては抽出トコフェロール、抽出トコトリエノール、ミックストコフェロール、ミックストコトリエノールなどと呼ばれるものがある。
具体的な市販品としては、例えば、理研Eオイル800、理研Eオイル1000(理研ビタミン社製)、オリザトコトリエノールー90(オリザ油化社製)等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
本発明の組成物における成分(d)の含有量は、特に限定されないが、0.0005〜1%が好ましく、0.0005〜0.5%であることがより好ましい。この範囲であると、より組成物を肌に塗布した際の肌に塗布した後のべたつき感が少なく、肌に対しての保湿感の持続性に優れた組成物が得られるため好ましい。
本発明の組成物には、成分(e)として、HLBが6以下の脂肪酸ソルビタンエステルが更に含有されていても良い。脂肪酸ソルビタンエステルは、無水ソルビトールに対して脂肪酸が少なくとも1種以上エステル体を構成しているものである。本発明においては、均一な延び広がり、経時安定性に寄与するものである。
このような成分(e)HLBが6以下の脂肪酸ソルビタンエステルとしては、通常、化粧料等の組成物に用いられるものであれば、特に限定されず、脂肪酸ソルビタンエステルを構成する脂肪酸は、直鎖、分岐鎖のいずれでも、飽和、不飽和のいずれでも良く、炭素数としても特に制限されるものではないが、概ね脂肪酸部の炭素数が、12〜22のものを用いることができる。エステル化度は、モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでも構わない。また、成分(e)のHLB6以下であるが、さらにはHLB5以下が好ましい。なお、HLBとは、界面活性剤の親水性と親油性のバランスを表す値であり、本発明において、具体的には、下記の川上の式で求めることができる。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
(ここでMwは親水基部の分子量、Moは新油基部の分子量をそれぞれ表す。)
具体的なソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン等が挙げられ、この中でもモノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタンが好ましく、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンが特に好ましく、1種又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
本発明の組成物における成分(e)の含有量は、特に限定されないが、0.005〜1%が好ましく、0.01〜0.5%であることがより好ましい。この範囲であると、より組成物を肌に塗布した際の浸透感に優れ、肌に塗布した後のべたつき感が少なく、経時安定性に優れる組成物を得ることができるため好ましい。
本発明の組成物には、上記成分の他に、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料等に含有される任意成分、すなわち、アルコール類、粉体、水溶性高分子、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤等を含有することができる。
本発明の組成物の製造方法は、公知の方法であれば特に限定されることなく製造可能である。好ましいものを例示するならば、あらかじめ成分(a)を成分(b)と混合溶解させ、これに成分(c)を撹拌しながら添加する方法を用いることで得られる。所望により水を含有して乳化組成物とすることも可能である。
本発明の組成物の剤型としては、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、固形状等、種々の剤型にて実施することができ、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤等の皮膚外用剤として応用可能である。
また本発明の組成物は、化粧料として応用可能である。具体的には、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディミルク、ボディクリーム、整髪料、日焼け止め化粧料等のスキンケア化粧料、シャンプー、リンス、ヘアクリーム等の頭髪化粧料、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔、クレンジング料等の洗浄化粧料、口紅、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、コンシーラー、白粉、化粧用下地、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ等のメイクアップ化粧料を例示することが出来、その使用方法は、手やコットン、パフ等を使用する方法、不織布等に塗布して使用する方法、スプレー容器から噴霧する方法等が挙げられる。
また本発明の組成物は、皮膚外用剤として応用可能である。例えば、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤等が挙げられる。またその使用方法は、前記した化粧料と同様に挙げることができる。
本発明の組成物は、化粧料として使用することが好ましく、中でも特に基礎化粧料で効果を十分に利用することができる。そしてこれらを通常の容器に封入にて使用することができるが、さらに、シートに含浸するシート状化粧料やエアゾール形態で使用するエアゾール化粧料において好ましく用いることができる。
シート状化粧料の場合、使用させるシートとしては、特に限定されるものではないが、例えば、綿、麻、パルプ、絹、羊毛、レーヨン、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、オレフィン系繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維、レーヨン系やコットン系の不織布、ろ紙、和紙などの紙、吸水性ポリマー等の素材、これらの素材を組み合わせ用いた複合材またはこれらの素材や複合材を何層にも重ねたもの等で形成されたものが挙げられ、肌への密着性が高く、保湿効果に優れる観点から、不織布が特に好ましい。
またエアゾール化粧料の場合、ノンガスタイプの仕様であっても、噴射剤であるガスを充填するタイプのものであってもいずれのものでもよいが、噴射剤であるガスを充填するタイプが、噴霧が均一となり、またミスト粒径も小さくなることから肌への浸透感において好ましい。充填する場合の噴射剤であるガスとしては、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭化水素及びジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、炭酸ガス、窒素ガス、酸素等の圧縮ガス類が挙げられ、使用性の観点から、炭酸ガス、窒素ガスが特に好ましい。
本発明の組成物は、特に限定されないが、性状としては、液状であっても、高粘性状のものであってもいずれでもよいが、特に25℃における粘度が1000mPa・s以下であるものが好ましく、800mPa・s以下が好ましく、さらには500mPa・sが好ましい。これは本発明の技術を用いることにより、高温領域での経時安定性に優れるものとなることが可能であり、さらにこの範囲であれば、浸透感に優れ、みずみずしい感触が良好であることから好ましい。
本発明における粘度は、測定試料を外径45mm、内径38mm、高さ82mmのガラス製ビンにエアスペースが生じないように充填し、ふたをして30℃恒温槽にて一昼夜放置した後、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(登録商標)(芝浦システム社製)を用いて測定したものである。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
本発明品1〜12および比較品1〜13:水中油型乳化化粧水
表1〜表3に示す組成物を下記製造方法にて調整した。これらの試料について、化粧料評価専門パネル20名により、各試料を顔に塗布した後、「みずみずしさ」、「浸透感」、「べたつき感のなさ」、「3時間後の保湿の持続性」について評価した。合わせて「50℃ 1か月の経時安定性」についても評価した。評価は下記評価方法1〜4については下記評価基準(a)〜(d)に従って行い、さらに全パネルの評点の各々の平均点を、下記判定基準(e)に従って判定した。評価方法5については下記判定基準(f)に従って判定した。結果を併せて表1〜3に示す。
(製造方法)
(本発明品1〜12、比較品1〜13)
A:成分1〜13を室温で混合し、均一に溶解する。
B:成分14〜26を室温で混合し、均一に溶解する。
C:AにBを加え、ディスパーミキサーで1000rpm、5分間乳化する。
D:Cを容器に充填し、水中油型乳化化粧水を得た。
評価方法1:みずみずしさ
本発明品1〜12及び比較品1〜13の各試料2gを顔全体に手で塗布して馴染ませる際のみずみずしさについて下記(a)4段階評価基準を用いて20人の平均値として評価した。
(a)4段階評価基準
評点:評価
4点:非常にみずみずしさを感じる
3点:みずみずしさを感じる
2点:ほとんどみずみずしさを感じない
1点:全くみずみずしさを感じない
(e)判定基準
評点の平均点 :判 定
3.25以上 : ◎
2.5以上3.25未満 : ○
1.75以上2.5未満 : △
1.75未満 : ×
評価方法2:浸透感
本発明品1〜12及び比較品1〜13の各試料2gを顔全体に手で塗布して馴染ませ、使用中の浸透感について下記(b)4段階評価基準を用いて20人の平均値として評価した。
(b)4段階評価基準
評点:評価
4点:塗布後に手で馴染ませた際に、1分以内に肌上の試料を感じなくなる
3点:塗布後に手で馴染ませた際に、1分を超えて、1分15秒以内に肌上の試料を感じなくなる
2点:塗布後に手で馴染ませた際に、1分15秒を超えて、1分30秒以内に肌上の試料を感じなくなる
1点:塗布後に手で馴染ませた際に、1分30秒を超えても肌上の試料を感じる
(e)<判定基準>
評点の平均点 :判 定
3.25以上 : ◎
2.5以上3.25未満 : ○
1.75以上2.5未満 : △
1.75未満 : ×
評価方法3:べたつき感のなさ
本発明品1〜12及び比較品1〜13の各試料2gを顔全体に手で塗布して馴染ませ、使用後に肌上の試料を感じなくなった際のべたつき感のなさについて下記(c)4段階評価基準を用いて20人の平均値として評価した。
(c)4段階評価基準
評点:評価
4点:使用後の肌に手を当てた際に、全く肌の粘着を感じない
3点:使用後の肌に手を当てた際に、あまり肌の粘着を感じない
2点:使用後の肌に手を当てた際に、わずかに肌の粘着を感じる
1点:使用後の肌に手を当てた際に、非常に肌の粘着を感じる
(e)判定基準
評点の平均点 :判 定
3.25以上 : ◎
2.5以上3.25未満 : ○
1.75以上2.5未満 : △
1.75未満 : ×
評価方法4:保湿感の持続性(塗布3時間後)
本発明品1〜12及び比較品1〜13の各試料2gを顔全体に手で塗布して馴染ませ、塗布3時間後の保湿感の持続性について下記(d)4段階評価基準を用いて20人の平均値として評価した。
(d)4段階評価基準
評点:評価
4点:非常に保湿感がある。
3点:保湿感がある。
2点:あまり保湿感がない。
1点:全く保湿感がない。
(e)判定基準
評点の平均点 :判 定
3.25以上 : ◎
2.5以上3.25未満 : ○
1.75以上2.5未満 : △
1.75未満 : ×
評価方法5:経時安定性(50℃ 1ヶ月)
本発明品1〜12及び比較品1〜13各試料について50℃1ヶ月静置した後に、目視評価でクリーミングを確認し、下記判定基準(f)によりそれぞれ評価した。
(f)判定基準
◎:クリーミング層が確認されなかった。
〇:クリーミング層が0.5mm未満で確認され、再分散すると、クリーミング層が消失した。
△:クリーミング層が0.5mm以上1mm未満で確認され、再分散すると、クリーミング層が消失した。
×:明らかにクリーミング層が確認され、再分散してもクリーミング層が消失しなかった。
表1〜表3の結果から明らかなごとく、本発明品1〜12の水中油型乳化化粧水は比較品1〜13の水中油型乳化化粧水に比べ、肌に塗布した際の、みずみずしい使用感と、肌に対して浸透感に優れ、肌に塗布した後のべたつき感が少なく、肌に対しての保湿感の持続性にも優れ、さらには経時安定性のすべてにおいて優れたものであった。
これに対して成分(b)を含有しない比較品1は、保湿感の持続性について満足のいくものではなく、成分(a)が溶解しにくいことから経時安定性に欠けるものであった。成分(a)を含有しない比較品2は、肌に塗布した後のべたつき感があり、保湿感の持続性について欠けるものであった。成分(c)を含有しない比較品3は、経時安定性には優れるものの、浸透感については劣るものであった。成分(b)の代わりにグリセリンを用いた比較品4では、肌に塗布した後のべたつき感があり、経時安定性に欠けるものであり、プロピレングリコールを用いた比較品5では、保湿感の持続性や経時安定性に欠けるものであり、POE(10)メチルグルコシドを用いた比較品6では、浸透感や経時安定性に欠けるものであった。また、成分(b)の代わりにポリエチレングリコールを用いた比較品7では、浸透感と経時安定性に欠けるものであり、POP(9)ジグリセリルエーテルを用いた比較品8では、保湿の持続性には優れるものの、浸透感と経時安定性に欠けるものであった。トリプロピレングリコールの代わりに他の成分を用いた比較品4〜8では、成分(a)に対して水相への溶解性を向上する機能が十分ではないため、経時安定性に欠けるものであったのだと考えられる。成分(a)の代わりにコハク酸ビスエトキシジグリコールを用いた比較品9では、肌に塗布した後のべたつき感があり、保湿感の持続性と経時安定性に欠けるものであり、エトキシジグリコールを用いた比較品10では、肌に塗布した後のべたつき感があり、保湿感の持続性について満足のいくものではなく、ジラウリン酸スクロースを用いた比較品11では、浸透感と肌に塗布した後のべたつき感があり、使用感に劣るものであった。また、成分(c)の代わりにイソドデカンを用いた比較品12では、浸透感には優れるものの、経時安定性には欠けるものであり、フェニルトリメチコンを用いた比較品13では、シリコーン骨格が肌に馴染みにくいため、浸透感と経時安定性に欠けるものであった。これらの結果から、本発明において成分(a)、成分(b)及び成分(c)は必須の成分であり、このいずれが欠けても発明の効果が得られないことが示された。
上記した本発明品1を用いて、下記の手順でシート状化粧料およびエアゾール化粧料を検討した。
なお、評価方法と評価基準については、前述したものに従い、行った。評価結果については、表4、5に示した。
(本発明品13)
A:発明品1で得られた水中油型乳化化粧水を、不織布(ポリエステル・レーヨン複合)に25ml含浸させ、シート状化粧料を得た。
(本発明品14)
A:発明品1で得られた水中油型乳化化粧水50mlをエアゾール製容器に充填し、窒素ガスを封入してエアゾール化粧料を得た(充填割合:化粧料原液95部+ガス5部)。
表4、5の結果からも明らかなように、発明品13のシート状化粧料は、発明品1よりもさらに、化粧料の肌への密着性がより高まることから、保湿感の持続性に優れるものとなり、発明品14のエアゾール化粧料は、塗布時に微細な液滴となり、肌上での化粧料の均一性が向上するため、表では同じ◎であるが、浸透感の評点の平均点が、発明品1は、3.4であるのに対し、発明品14は、3.8となり優れるものとなった。
実施例2:水中油型乳化化粧料(美容液)
下記に示す組成及び製法で、美容液を調製した。
(成分) (%)
(1)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸
ビスエトキシジグリコール 1.5
(2)トリプロピレングリコール 15.0
(3)グルコシルトレハロース 1.0
(4)L−テアニン 0.05
(5)1,3−ブチレングリコール 3.5
(6)1,2−ペンタンジオール 0.5
(7)精製水 残量
(8)グリセリン 5.0
(9)ポリエチレングリコール 2.0
(10)リン酸水素ナトリウム 0.3
(11)リン酸二水素ナトリウム 0.6
(12)エデト酸2ナトリウム 0.02
(13)メチルパラベン 0.1
(14)イソステアリン酸PEG−50硬化ヒマシ油 0.2
(15)PEG−60硬化ヒマシ油 0.2
(16)エタノール 5.0
(17)L−メントール 0.02
(18)ミリスチン酸イソプロピル
(比重0.850、IOB値0.18) 0.3
(19)トリオレイン酸ソルビタン 0.2
(20)トコトリエノール 0.02
(21)カルボマー 0.02
(22)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))
クロスポリマー(※) 0.02
(23)キサンタンガム 0.01
(24)水酸化ナトリウム 0.01
(25)加水分解ヒアルロン酸 0.01

(※)CARBOPOL1382(LUBRIZOL社製)
(製法)
A.成分(1)〜(13)を室温で均一に混合する。
B.成分(14)〜(20)を均一に溶解する。
C.AにBを加え、ディスパーミキサーで1000rpm、5分間乳化する。
D.Cを攪拌しながら、成分(21)〜(25)を添加する。
E.Dを容器に充填し、美容液を得た。
以上のようにして得られた実施例2の美容液は、肌に塗布した際の、みずみずしい使用感と、肌に対して浸透感に優れ、肌に塗布した後のべたつき感が少なく、肌に対しての保湿感の持続性にも優れ、さらには経時安定性のすべてにおいて優れたものであった。
実施例3:水中油型乳化化粧料(ボディミルク)
(成分) (%)
(1)N−ステアロイル−L−グルタミン酸 0.5
(2)ジプロピレン グリコール 10.0
(3)モノイソステアリン酸ソルビタン 0.1
(4)モノオレイン酸ソルビタン 0.2
(5)セトステアリルアルコール 0.3
(6)デシルテトラデカノール
(比重0.842、IOB値0.21) 1.0
(7)ジカプリン酸PG
(比重0.915、IOB値0.26) 0.5
(8)酢酸トコフェロール 0.02
(9)エチルパラベン 0.1
(10)水素添加大豆リン脂質 0.1
(11)精製水 残量
(12)水酸化ナトリウム 0.001
(13)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸
ビスエトキシジグリコール 1.0
(14)トリプロピレングリコール 5.0
(15)ジェランガム 0.001
(16)エタノール 8.0
(17)フェノキシエタノール 0.05
(18)香料 0.03
(19)シロキクラゲ多糖類 0.002
(20)アセチルヒアルロン酸ナトリウム 0.002
(製造方法)
A:成分1〜10を70℃で均一に混合する。
B:成分11〜14を室温で均一に混合する。
C:AにBを加え、70℃で、ディスパーミキサーで2000rpm、5分間乳化する。
D:Cを40℃まで冷却する。
E:Dに15〜20を順次添加し、均一に混合する。
F:Eを容器に充填し、ボディミルクを得た。
以上のようにして得られた実施例3のボディミルクは、肌に塗布した際の、みずみずしい使用感と、肌に対して浸透感に優れ、肌に塗布した後のべたつき感が少なく、肌に対しての保湿感の持続性にも優れ、さらには経時安定性のすべてにおいて優れたものであった。

Claims (10)

  1. 次の成分(a)〜(c);
    (a)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
    (b)トリプロピレングリコール
    (c)比重0.80〜0.95の油剤
    を含有する組成物。
  2. 前記成分(a)及び(b)の含有質量比(b)/(a)が、0.5〜25である請求項1記載の組成物。
  3. 前記成分(c)比重0.80〜0.95の油剤が、総炭素数18〜36の、分子内の炭化水素鎖に分岐構造又は不飽和結合を有している油剤である請求項1又は2記載の組成物。
  4. 前記成分(c)が、オクチルドデカノール、オレイン酸エチル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3の何れかの項記載の組成物。
  5. さらに成分(d)として、ビタミンEを含有する請求項1〜4のいずれかの項記載の組成物。
  6. さらに成分(e)として、HLBが6以下の脂肪酸ソルビタンエステルを含有する請求項1〜5のいずれかの項記載の組成物。
  7. 前記成分(e)の脂肪酸ソルビタンエステルの脂肪酸部の炭素数が、12〜18である請求項6記載の組成物。
  8. 化粧料又は皮膚外用剤である請求項1〜7の何れかの項記載の組成物。
  9. 請求項1〜8記載の組成物をシート状基剤に含浸してなるシート状化粧料。
  10. 請求項1〜8記載の組成物と、さらに噴射剤とを含むエアゾール用化粧料。

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