JP2018039499A - 自動車用ウェザーストリップ - Google Patents

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Abstract

【課題】中空シール部の耐摩耗性を向上させる。【解決手段】自動車ボディのドア開口周縁部100に取付けられる断面略U字形状の取付基部21と、取付基部21の車外側側壁部21aのフランジ先端101a側とフランジ付根101b側に第一付根部22aと第二付根部22bが取付けられ、ドアに弾接する中空シール部22を備え、中空シール部22の断面形状は、第一付根部22aからフランジ先端101a側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第一折り返し点Pとしてフランジ先端101b側かつ車外側に向けて膨出湾曲し第二付根部22bに連結され、第一付根部22a側をソリッド材で形成するとともに第一,第二付根部22a,22bの間をスポンジ材で形成し、第一付け根部22a側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分の第一材質境界線Hを第一折り返し点Pよりも車外側に設定した。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車ボディのドア開口周縁部に設けられたフランジに取付けられ、ドア閉時にそのドアに弾接して車内外をシールする自動車用ウェザーストリップに関するものである。
従来、図6,図7に示すように、自動車ボディのサイドドア200の開口周縁部100には、ドア200閉時にそのドア200に弾接する自動車用ウェザーストリップ10が取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
この自動用ウェザーストリップ10は、図8に示すように、取付基部11と中空シール部12が一体成形されたものである。取付基部11は、断面略U字形状であり、その略U字形の開口部側から、ドア200の開口周縁部100に沿って設けられたフランジ101へ挿入され、取付基部11の車外側に設けられた中空シール部12はドア200に弾接して車内外をシールするようになっている。なお、取付基部11には芯材13が埋設されている。
このように構成された自動車用ウェザーストリップ10において、車外側に向けて突出した中空シール部12はスポンジ材で形成されているので、図7に示したZ領域(フロントドア200の後側下部の領域)などでは、人が車両を乗り降りする際に人体の一部や荷物などが中空シール12と擦れてしまう場合がある。より具体的には人の腰や尻との摩擦で衣服(ズボンなど)の表面で擦られることが多い。この接触時の摩擦が大きいと中空シール部12が摩耗し、最終的には傷が付いたり、穴が空いてしまうなどの破損が生じてしまう。特に、車両に人が乗り込もうとする際に人体や荷物などが当接する中空シール部12の部分の擦れや摩耗条件は厳しいのでこの部分を強化する必要がある。
これに対して、中空シール部12の表面全体をソリッドゴム材で形成された皮膜で覆うことが考えられるが、中空シール部12の表面に折れ皺が生じ易くなったり、ドア閉じ性が悪化するといった問題がある。
そこで、特許文献1に記載された発明では、中空シール部12を比重0.9・0.1のスポンジゴムで形成することによって耐摩耗性を向上させるとともに折れ皺も生じ難くしたものである。
特開平7−137583号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、中空シール部12の比重を従来のものと比較して高くしたものの、スポンジゴムで形成されていることには変わりないので、人体Tの一部や荷物などが強い衝撃で接触した場合には強度的に不十分で、中空シール部12に損傷を与える恐れがある。
また、中空シール部12に保護テープを貼り付けることで対策をとることも考えられるが、そのようなテープは非常に高価であり、しかも貼付加工時間が多大なため量産性が極めて低いといった問題がある。
また、車内側から車外側に延びる内装材の端部が、取付基部11と中空シール部12の間に差込まれるタイプのウェザーストリップでは、人体Tの一部や荷物などが中空シール12に接すると、変形した中空シール部12が内装材の端部に強く当たりその部位に圧力が集中するので中空シール部12が損傷する可能性が大きい。
そこで、本発明の目的とするところは、中空シール部の耐摩耗性を向上させることのできる自動車用ウェザーストリップを提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の自動車用ウェザーストリップは、自動車ボディのドア(200)開口周縁部(100)に設けられたフランジ(101)に取付けられる、車外側側壁部(21a),車内側側壁部(21b)及び両側壁部(21a,21b)を連結する連結壁部(21c)からなる断面略U字形状の取付基部(21)と、前記取付基部(21)の車外側側壁部(21a)のフランジ先端(101a)側と前記車外側側壁部(21a)のフランジ付根(101b)側に第一付根部(22a)と第二付根部(22b)がそれぞれ取付けられるとともに車外側に突出して前記ドア(100)に弾接する中空シール部(22)を備え、前記中空シール部(22)の断面形状は、前記第一付根部(22a)からフランジ先端(101a)側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第一折り返し点(P)としてフランジ付根(101b)側かつ車外側に向けて膨出湾曲し前記第二付根部(22b)に連結されてなる自動車用ウェザーストリップ(20)であって、
前記中空シール部の第一付根部(22a)側をソリッド材で形成するとともに、前記第一付根部(22a)と前記第二付根部(22b)の間をスポンジ材で形成し、
前記第一付根部(22a)側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分の第一材質境界線(H)を、前記第一折り返し点(P)よりも車外側に設定してなることを特徴とする。
また、本発明は、前記第一材質境界線(H)を、前記中空シール部(22)の最も車外側に突出した部分(Q)に設定したことを特徴とする。
また、本発明は、前記第一材質境界線(H)を、前記中空シール部(22)の前記第一付根部(22a)と前記第一折り返し点(P)までの距離をL1とした場合、前記第一折り返し点(P)から距離L1分、車外側に突出した部分に設定したことを特徴とする。
また、本発明は、前記中空シール部(22)の表面をソリッド材で形成された皮膜(30)で覆うとともに、前記皮膜(30)の硬度を、前記中空シール部(22)の第一,第二付根部(22a,22b)側を形成するソリッド材の硬度よりも低くしたことを特徴とする。
また、本発明は、前記中空シール部(22)の前記第一付根部(22a)から前記第一折り返し点(P)まで延びる部分と、前記車外側側壁部(21a)の間に形成された間隙に、内装材(40)の端部(40a)が差込まれることを特徴とする。
また、本発明は、前記中空シール部の第一付根部側を形成するソリッド材は、前記取付基部を構成する材質と同一で前記取付基部から一連一体的に形成されてなることを特徴とする。
また、本発明の自動車用ウェザーストリップは、自動車ボディのドア(200)開口周縁部(100)に設けられたフランジ(101)に取付けられる、車外側側壁部(21a),車内側側壁部(21b)及び両側壁部(21a,21b)を連結する連結壁部(21c)からなる断面略U字形状の取付基部(21)と、前記取付基部(21)の車外側側壁部(21a)のフランジ先端(101a)側と前記車外側側壁部(21a)のフランジ付根(101b)側に第一付根部(22a)と第二付根部(22b)がそれぞれ取付けられるとともに車外側に突出して前記ドア(100)に弾接する中空シール部(22)を備え、前記中空シール部(22)の断面形状は、前記第一付根部(22a)からフランジ先端(101a)側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第一折り返し点(P)としてフランジ付根(101b)側かつ車外側に向けて膨出湾曲し前記第二付根部(22b)に連結されてなる自動車用ウェザーストリップ(20)であって、
前記中空シール部の第一付根部(22a)側を第一部材で形成するとともに、前記第一付根部(22a)と前記第二付根部(22b)の間を、前記第一部材よりも柔軟性のある第二部材で形成し、
前記第一付根部(22a)側の前記第一部材で形成された部分と前記第二部材で形成された部分の第一材質境界線(H)を、前記第一折り返し点(P)よりも車外側に設定してなり、
前記中空シール部の第一付根部側を形成する前記第一部材は、前記取付基部を構成する材質と同一で前記取付基部から一連一体的に形成されてなることを特徴とする。
また、本発明は、前記第一部材を、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40以上を示すゴム様弾性体とし、
前記第二部材を、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40未満を示すゴム様弾性体としたことを特徴とする。
本発明で言う、「ソリッド材」とは、全くに気泡が無い形態だけでなく、気泡を有していても、ある程度に剛性が高い材質も含まれる。発泡倍率で示すと1.7倍未満に発泡が抑えられているゴム様弾性体であって、例えばカーボンブラックなどの充填材が配合されたEPDMゴムであれば、比重0.7を超えているものを言う。
また、本発明で言う、「スポンジ材」とは、柔軟性のある材質であって、気泡を有しており、発泡倍率で示すと1.7倍以上に発泡しているゴム様弾性体であり、例えばカーボンブラックなどの充填材が配合されたEPDMゴムであれば比重0.7以下となるものを言う。
また、請求項1に係る発明において、中空シール部の第一付根部と第二付根部の間はスポンジ材で形成され、かつ第一付根部側はソリッド材で形成されているが、第二付根部側を形成する部材の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ソリッド材であっても、スポンジ材であってもよく、あるいはその他の材質のものであってもよい。
また、本発明で言う、ゴム様弾性体とは、前記したゴムや熱可塑性エラストマーと言った弾性を有する材質のことである。
また、請求項7に係る発明において、中空シール部の第一付根部と第二付根部の間は第二部材で形成され、かつ第一付根部側は第一部材で形成されているが、第二付根部側を形成する部材の材質は特に限定されるものではなく、例えば、第二部材であっても、第一部材であってもよく、あるいはその他の材質のものであってもよい。
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
本発明によれば、断面略U字形状の取付基部の車外側側壁部に第一,第二付根部が取付けられた中空シール部の断面形状を、第一付根部からフランジ先端側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第一折り返し点としてフランジ付け根側かつ車外側に向けて膨出湾曲し第二付根部に連結するようにした自動車用ウェザーストリップにおいて、中空シール部の第一根部側をソリッド材で形成するとともに、第一付根部と第二付根部の間をスポンジ材で形成し、第一付根部側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分の第一材質境界線を、第一折り返し点よりも車外側に設定したので、車外側に向けて突出した中空シール部の部位においてソリッド材で形成された領域が、第一及び第二付根部側だけをソリッド材で形成したものと比較して広がる。
したがって、特に人が車両に乗り込む際に人体の一部や荷物などが擦れ易い中空シール部の部位だけをソリッド材で形成することができるのでスポンジ材で形成するものと比較して耐久性能が飛躍的にあがり中空シール部が損傷することを防止することができる。しかも、中空シール部全体をソリッド材で形成するものではないので中空シール部の表面に折れ皺が生じ難い。さらにソリッド材を使用した部分では断面密度があがるので付随効果として遮音性についても向上させることができる。
特に第一付根部側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分の第一材質境界線を、中空シール部の最も車外側に突出した部分に設定すると、保護すべき必要性が高い部分だけをソリッド材とするので耐久性能の効果を有効的に最大限に発揮させることができる。なお、第一材質境界線を、中空シール部の第一付根部と第一折り返し点までの距離をL1とした場合、第一折り返し点から距離L1分、車外側に突出した部分に設定するようにするだけでも効果を十分発揮させることができる。
また本発明によれば、中空シール部の表面をソリッド材で形成された皮膜で覆うとともに、皮膜の硬度を、中空シール部の第一,第二付根部側を形成するソリッド材の硬度よりも低くすることで耐久性能をさらに発揮させることができる。
また本発明によれば、中空シール部の第一付根部から第一折り返し点まで延びる部分と、車外側側壁部の間に形成された間隙に、内装材の端部が差込まれる自動車用ウェザーストリップであり、このような場合は、人体の一部や荷物などが中空シール部に擦れると内装材の端部に中空シール部が部分的に強く押付けられて特に損傷し易いので、このようなタイプの自動車用ウェザーストリップにおいて人体の一部や荷物などが当接しやすい部分をソリッド材で保護することは有効的である。
また、本発明によれば、中空シール部の第一付根部側を、取付基部を構成する材質と同一で取付基部から一連一体的に形成された硬度の高い第一部材で形成し、第一付根部と第二付根部の間を第一部材より柔らかく硬度の低い第二部材で形成し、第一付根部側の第一部材で形成された部分と第二部材で形成された部分の第一材質境界線を、第一折り返し点よりも車外側に設定したので、車外側に向けて突出した中空シール部の部位において第一部材で形成された領域が、第一付根部側だけを第一部材で形成したものと比較して広がる。
したがって、特に人が車両に乗り込む際に人体の一部や荷物などが擦れ易い中空シール部の部位だけを、取付基部の材質と同一で硬度の高い第一部材で形成することができるので硬度の低い第二部材で形成するものと比較して耐久性能が飛躍的にあがり中空シール部が損傷することを防止することができる。しかも、中空シール部全体を第一部材で形成するものではないので中空シール部の表面に折れ皺が生じ難い。さらに第一部材を使用した部分では断面密度があがるので付随効果として遮音性についても向上させることができる。
特に、第一部材を、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40以上を示すゴム様弾性体とし、第二部材を、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40未満を示すゴム様弾性体としたもので構成すると効果的である。
本発明の実施形態に係る自動車用ウェザーストリップを示す図7のA−A線拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る別の自動車用ウェザーストリップを示す図7のA−A線拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る別の自動車用ウェザーストリップを示す図7のA−A線拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る別の自動車用ウェザーストリップを示す図7のA−A線拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る別の自動車用ウェザーストリップを示す図7のA−A線拡大断面図である。 自動車の外観側面図である。 図6に示す自動車のフロントドアに取付けられる自動車用ウェザーストリップの拡大側面図である。 従来例に係る自動車用ウェザーストリップを示す図7のA−A線拡大断面図である。
図1,図6及び図7を参照して、本発明の実施形態に係る自動車用ウェザーストリップについて説明する。なお、従来例で示したもの(図8)と同一部分には同一符号を付した。
本発明の実施形態に係る自動車用ウェザーストリップ20は、自動車ボディにおけるフロントドア200の開口周縁部100に設けられたフランジ101に取付けられるもので、取付基部21と、取付基部21に対して一体的に成形され、フロントドア200の閉時にはそのドア200に弾接する中空シール部22を備えている。
取付基部21は、車外側側壁部21a,車内側側壁部21b及び両側壁部21a,21bを連結する連結壁部21cからなる断面略U字形状をしていて、芯材23(金属製でも樹脂製でもよい)が埋設されている。
車外側側壁部21aの車内側及び車内側側壁部21bの車外側には、取付基部21内に挿入されたフランジ101の両側面に弾接する複数の突条部24a,24b,24c,24dが設けられている。ここでは、車外側側壁部21a側に三つの小突条部24a,24b,24cと車内側側壁部21b側にそれらよりも大きい大突条部24dを設けたが、フランジ101を安定して保持することのできるものであればよく、特に突条部の数や大きさ,形状が限定されるものではない。
また、車内側側壁部21bと連結壁部21cとの連結位置には断面略舌状の装飾リップ部25が設けられている。
中空シール部22は、取付基部21の車外側側壁部21aの車外側に第一付根部22aと第二付根部22bが互いに離間した状態で取付けられ、車外側に向けて突出している。
第一付根部22aは、車外側側壁部21aのフランジ先端101a側に取付けられ、第二付根部22bは、逆側、すなわち、車外側側壁部21aのフランジ付根101b側に取付けられている。
中空シール部22の断面形状は、第一付根部22aからフランジ先端101a側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第一折り返し点Pとしてフランジ付根101b側かつ車外側に向けて膨出湾曲し第二付根部22bに連結されてなる。また、中空シール部22の断面形状において第二付根部22b側では、第二付根部22bからフランジ付根101b側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第二折り返し点Rとしている。
すなわち、中空シール部22の断面形状は、車外側側壁21aに対して第一付根部22aと第二付根部22bから互いに斜めに離れるように、つまり除々に拡開するように延び、車外側に向けて膨出湾曲した湾曲部22cの外方側の一端が第一付根部22aに連結され、湾曲部22cの内方側の他端が第二付根部22bに連結された状態になっている。第一折り返し点Pと第二折り返し点Rは互いに離間させた方向(第一折り返し点Pはフランジ先端101a側,第二折り返し点Rはフランジ付根101b側の方向)で、中空シール部22はパンタグラフのような断面形状をしている。
そして、中空シール部22の第一付根部22a側と第二付根部22b側をソリッド材で形成するとともにその間、すなわち湾曲部22c側をスポンジ材で形成し、さらに第一付根部22a側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分を仕切る第一材質境界線Hを、第一折り返し点Pよりも車外側、つまり湾曲部22c側に少し(本実施形態ではおよそ5mm)寄った位置Jに設定している。
なお、第二付根部22b側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分を仕切る第二材質境界線Sについては、通常の自動車用ウェザーストリップと同様に第二折り返し点Rよりも車内側に寄った位置に設定している。
中空シール部22を形成するソリッド材としては、EPDMゴムや,各種熱可塑性エラストマーがあげられるが、ここでは取付基部21を形成するソリッド材と同一でJISA硬度70・のものを使用している。
中空シール部22の第一付根部22a側を形成するソリッド材は、取付基部21を構成する材質と同一で取付基部21から一連一体的に形成されてなり、取付基部21から中空シール部22の第一付根部22a側に同じソリッド材が延長されたような態様になっている。なお、中空シール部22の第二付根部22b側を形成するソリッド材についても、取付基部21を構成する材質と同一で取付基部21から一連一体的に形成されてなり、取付基部21から中空シール部22の第二付根部22b側に同じソリッド材が延長されたような態様になっている。
本発明の実施形態において、「ソリッド材」とは、全くに気泡が無い形態だけでなく、気泡を有していても、ある程度に剛性が高い材質も含まれる。発泡倍率で示すと1.7倍未満に発泡が抑えられているゴム様弾性体であって、例えばカーボンブラックなどの充填材が配合されたEPDMゴムであれば、比重0.7を超えているものを言う。
また、本発明の実施形態において、「スポンジ材」とは、柔軟性のある材質であって、気泡を有しており、発泡倍率で示すと1.7倍以上に発泡しているゴム様弾性体であり、例えばカーボンブラックなどの充填材が配合されたEPDMゴムであれば比重0.7以下となるものを言う。
また、本発明の実施形態に言う、ゴム様弾性体とは、前記したゴムや熱可塑性エラストマーと言った弾性を有する材質のことである。
このように構成された自動車用ウェザーストリップ20によれば、中空シール部22の全体をソリッド材で形成したり、あるいは中空シール部22の全体をスポンジ材で形成したりするものではなく、中空シール部22の第一付根部22a側と第二付根部22b側をソリッド材で形成するとともにその間をスポンジ材で形成し、第一付根部22a側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分の第一材質境界線Hを、第一折り返し点Pよりも車外側に設定したので、車外側に向けて突出した中空シール部22の部位においてソリッド材で形成された領域が、第一付根部22a側及び第二付根部22b側だけをソリッド材で形成したものと比較して広がる。
したがって、図1の矢印Xに示すように、人が車両を乗り込む際に人体Tの一部(腰や尻)や荷物などが擦れ易い中空シール部22の部位だけをソリッド材で形成することができるのでスポンジ材で形成するものと比較して耐久性能が飛躍的にあがり中空シール部22が損傷することを防止することができる。しかも、中空シール部22全体をソリッド材で形成するものではないので中空シール部22の表面に折れ皺が生じ難い。さらにソリッド材を使用した部分では断面密度があがるので付随効果として遮音性についても向上させることができる。
なお、ここでは第一付根部22a側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分を仕切る第一材質境界線Hを、第一折り返し点Pよりも車外側に少し寄った位置Jに設定したが、図2に示すように、第一材質境界線Hを、中空シール部22の最も車外側に突出した部分Qに設定するようにしてもよい。
これによれば、人が車両を乗り降りする際に人体Tの一部や荷物などが擦れ易く保護する必要性が高い部分だけをソリッド材とし、残りの部分をスポンジ材とするので耐久性能の効果を有効的に最大限に発揮させることができる。
また、図3に示すように、第一材質境界線Hを、中空シール部22の第一付根部22aと第一折り返し点Pまでの距離をL1とした場合、第一折り返し点Pから距離L1分、車外側に突出した部分に設定するようにするだけでも効果を十分発揮させることができる。
さらに、図4に示すように、中空シール部22の表面をソリッド材で形成された皮膜30で覆うとともに、皮膜30の硬度を、中空シール部22の第一,第二付根部22a,22b側を形成するソリッド材の硬度よりも低くするようにして、中空シール部22の耐久性能をさらに向上させるようにしてもよい。
ここでは、JISA硬度70・に対して、皮膜30の硬度をJISA硬度50・としている。
また、図4では、皮膜30の第二付根部22b側の終点を、第二材質境界線S付近としているが、ドア閉め力の悪化が問題となる場合には、人体Tや荷物との擦れが発生しにくい場所でもある事から、皮膜30の終点を、第二折り返し点R付近としても良い。
また、第二付根部22bを中空シール部22を形成する柔軟なスポンジ材で形成することも可能である。つまり、中空シール部22を形成する柔軟性のあるスポンジ材で、中空シール部22から一連一体的に第二付根部22bを形成するようにしてもよい。
特に図4では、中空シール部22の第一付け根部22aから第一折り返し点Pまで延びる部分と、車外側側壁部21aの間に形成された間隙に、内装材40の端部40aが差込まれるようにしてフランジ101に取付けられる自動車用ウェザーストリップ20の例を示した。
このような場合は、人体Tの一部や荷物などが中空シール部22に擦れると内装材40の端部40aに中空シール部22が部分的に強く押付けられて特に損傷し易いので、このようなタイプの自動車用ウェザーストリップ20において人体Tの一部や荷物などが当接しやすい部分をソリッド材で保護することは有効的である。
図1〜図4中に示した第一材質境界線Hは、いずれも、中空シール部22の外形線に対して略垂直であるが、図5に示すように、中空シール部22の外形線に対して略垂直でなく、鋭角で略斜めとしてもよい。
図5では、第一材質境界線Hの、中空シール部22の外面側端部が第一折り返し点Pよりわずかに車外側に設定し、第一材質境界線Hの、中空シール部22の内面側端部が最も車外側に突出した部分Q付近としている。
図1〜図4中に示した第一材質境界線Hではその前後で、中空シール部22の剛性が急変するのに対し、図5に示した第一材質境界線Hの前後では、中空シール部22の剛性が叙変する。そうする事により、中空シール部22の耐摩耗性が、より向上する。
次に耐摩耗試験結果を示す。
これは、3kgの摩耗子(表面はジーンズ生地)を、中空シール部22の上に載せて、速度30回/分で往復させ、中空シール部22の表面を10000回まで擦り、中空シール部22が摩耗しはじめる回数を確認したものである。
以下、結果を示す。
確認結果
実施形態例 図1の場合 10000回 まで、摩耗なし
図2の場合 10000回 まで、摩耗なし
図3の場合 10000回 まで、摩耗なし
図4の場合 10000回 まで、摩耗なし
図5の場合 10000回 まで、摩耗なし

比較例 図8の場合 500回 で、破れ(穴あき)
なお、本実施形態では、中空シール部22の第一,第二付根部22a,22b側をソリッド材で形成するとともにその間をスポンジ材で形成するといったように、比重の相違で区分したソリッド材とスポンジ材で中空シール部22を仕切るようにしたが、比重で区別せず、単純に硬度で仕切るようにしてもよい。
すなわち、中空シール部22の第一,第二付根部22a,22b側を硬度の高い第一部材で形成するとともにその間を、第一部材よりも柔軟性のある、つまり硬度の低い第二部材で形成し、第一付根部22a側の第一部材で形成された部分と第二部材で形成された部分の第一材質境界線Hを、第一折り返し点Pよりも車外側に設定してなり、中空シール部22の第一付根部22a側を形成する第一部材を、取付基部21を構成する材質と同一のものとして、取付基部21から一連一体的に形成するようにしてもよい。
なお、第二付根部22bは、第一付根部22aと異なる材質であってよく、例えば中空シール部22を形成する柔軟性のある第二部材で、中空シール部22から一連一体的に第二付根部22bを形成するようにしてもよい。
第一部材としては、例えば、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40以上を示すゴム様弾性体とするとともに、第二部材としては、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40未満を示すゴム様弾性体とすることができる。
これによれば、車外側に向けて突出した中空シール部22の部位において第一部材で形成された領域が、第一及び第二付根部側だけを第一部材で形成したものと比較して広がる。
したがって、特に人が車両に乗り込む際に人体の一部や荷物などが擦れ易い中空シール部22の部位だけを、取付基部21の材質の同一で硬度の高い第一部材で形成することができるので硬度の低い第二部材で形成するものと比較して耐久性能が飛躍的にあがり中空シール部22が損傷することを防止することができる。しかも、中空シール部22全体を第一部材で形成するものではないので中空シール部22の表面に折れ皺が生じ難い。さらに第一部材を使用した部分では断面密度があがるので付随効果として遮音性についても向上させることができる。
10 自動車用ウェザーストリップ
11 取付基部
12 中空シール部
13 芯材
20 自動車用ウェザーストリップ
21 取付基部
21a 車外側側壁部
21b 車内側側壁部
21c 連結壁部
22 中空シール部
22a 第一付根部
22b 第二付根部
22c 湾曲部
23 芯材
24a,24b,24c,24d 突条部
25 装飾リップ部
30 皮膜
40 内装材
40a 内装材の端部
100 ドア(サイドドア)開口周縁部
101 フランジ
101a フランジ先端
101b フランジ付根
200 ドア(サイドドア)
H 第一材質境界線
P 第一折り返し点
R 第二折り返し点
S 第二材質境界線
T 人体
Q 最も車外側に突出した部分

Claims (8)

  1. 自動車ボディのドア開口周縁部に設けられたフランジに取付けられる、車外側側壁部,車内側側壁部及び両側壁部を連結する連結壁部からなる断面略U字形状の取付基部と、前記取付基部の車外側側壁部のフランジ先端側と前記車外側側壁部のフランジ付根側に第一付根部と第二付根部がそれぞれ取付けられるとともに車外側に突出して前記ドアに弾接する中空シール部を備え、前記中空シール部の断面形状は、前記第一付根部からフランジ先端側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第一折り返し点としてフランジ付根側かつ車外側に向けて膨出湾曲し前記第二付根部に連結されてなる自動車用ウェザーストリップであって、
    前記中空シール部の第一付根部側をソリッド材で形成するとともに、前記第一付根部と前記第二付根部の間をスポンジ材で形成し、
    前記第一付根部側のソリッド材で形成された部分とスポンジ材で形成された部分の第一材質境界線を、前記第一折り返し点よりも車外側に設定してなることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
  2. 前記第一材質境界線を、前記中空シール部の最も車外側に突出した部分に設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウェザーストリップ。
  3. 前記第一材質境界線を、前記中空シール部の前記第一付根部と前記第一折り返し点までの距離をL1とした場合、前記第一折り返し点から距離L1分、車外側に突出した部分に設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウェザーストリップ。
  4. 前記中空シール部の表面をソリッド材で形成された皮膜で覆うとともに、前記皮膜の硬度を、前記中空シール部の第一,第二付根部側を形成するソリッド材の硬度よりも低くしたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の自動車用ウェザーストリップ。
  5. 前記中空シール部の前記第一付根部から前記第一折り返し点まで延びる部分と、前記車外側側壁部の間に形成された間隙に、内装材の端部が差込まれることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の自動車用ウェザーストリップ。
  6. 前記中空シール部の第一付根部側を形成するソリッド材は、前記取付基部を構成する材質と同一で前記取付基部から一連一体的に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の自動車用ウェザーストリップ。
  7. 自動車ボディのドア開口周縁部に設けられたフランジに取付けられる、車外側側壁部,車内側側壁部及び両側壁部を連結する連結壁部からなる断面略U字形状の取付基部と、前記取付基部の車外側側壁部のフランジ先端側と前記車外側側壁部のフランジ付根側に第一付根部と第二付根部がそれぞれ取付けられるとともに車外側に突出して前記ドアに弾接する中空シール部を備え、前記中空シール部の断面形状は、前記第一付根部からフランジ先端側かつ車外側に向けて斜めに突出し、その突出した部位の端部を第一折り返し点としてフランジ付根側かつ車外側に向けて膨出湾曲し前記第二付根部に連結されてなる自動車用ウェザーストリップであって、
    前記中空シール部の第一付根部側を第一部材で形成するととも前記第一付根部と前記第二付根部の間を、前記第一部材よりも柔軟性のある第二部材で形成し、
    前記第一付根部側の前記第一部材で形成された部分と前記第二部材で形成された部分の第一材質境界線を、前記第一折り返し点よりも車外側に設定してなり、
    前記中空シール部の第一付根部側を形成する前記第一部材は、前記取付基部を構成する材質と同一で前記取付基部から一連一体的に形成されてなることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
  8. 前記第一部材を、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40以上を示すゴム様弾性体とし、
    前記第二部材を、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメーターによる測定で、硬度40未満を示すゴム様弾性体としたことを特徴とする請求項7に記載の自動車用ウェザーストリップ。
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