JP2018039157A - 巻回体および基板用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂層中への水分の浸入を低減できる巻回体および基板用シートを提供する。【解決手段】巻回体は、長尺状の積層シートが長さ方向に巻回された巻回構造を有しており、積層シート1は、長尺状の支持シート5と、該支持シート5上に配された複数のフィラー51を含有する第1樹脂層11とを含み、支持シート5の幅方向における第1樹脂層11の側面11aが露出しているとともに、フィラー51の表面にフェニル基が存在しているものである。また、主面が対向する一対の第1辺および一対の第2辺を有する矩形状であり、支持シート5と、該支持シート5上に配された複数のフィラー51を有する第1樹脂層11とを含み、支持シート5の幅方向における第1樹脂層11の側面が露出しているとともに、フィラー51の表面にフェニル基が存在している。【選択図】図1
Description
本発明は、巻回体および基板用シートに関する。
従来、電子機器における実装構造体としては、配線基板に電子部品を実装したものが知られている。このような配線基板を形成するための積層シートは、例えば、銅箔(支持シート)に樹脂層を形成して構成されている。この積層シートは耳部がカットされて支持シートと樹脂層の幅が揃えられ、巻回することによりドラム状にした巻回体が作製され、この状態で販売されている。または、積層シートが所定長さにカットされた基板用シートとして販売されている。
巻回体を用いて配線基板を作製する際には、巻回体から、所定長さだけ積層シートが引き出され、所定長さにカットされ、このカットされた基板用シートを複数枚、真空状態で加熱し加圧されて積層される。銅箔の一部は、エッチングされて配線とされる。
このような配線基板を作製するための積層シートとして、支持シート上に、粒径が異なる第1無機絶縁粒子と第2無機絶縁粒子とを含有する無機絶縁層を形成し、この無機絶縁層上に樹脂層を形成したものが知られている(特許文献1参照)。この特許文献1では、第1無機絶縁粒子同士が互いに接着し、第2無機絶縁粒子同士が第1無機絶縁粒子を介して接着し、3次元網目状構造の骨格を有することが記載されている。
特許文献1の樹脂層はフィラーを含有しており、樹脂層の表面にフィラーが露出しており、このフィラー表面を介して水分が樹脂層の内部に浸入するおそれがあった。この場合には、積層シートを所定長さにカットした基板用シートの積層加熱加圧時に基板が膨れ、変形し易いという問題があった。
本発明は、第1樹脂層中への水分の浸入を低減できる巻回体および基板用シートを提供することを目的とする。
本発明の巻回体は、長尺状の積層シートが長さ方向に巻回された巻回構造を有しており、前記積層シートは、長尺状の支持シートと、該支持シート上に配された複数のフィラーを含有する第1樹脂層とを含み、前記支持シートの幅方向における前記第1樹脂層の側面が露出しているとともに、前記フィラーの表面にフェニル基が存在していることを特徴とする。
本発明の基板用シートは、主面が対向する一対の第1辺および一対の第2辺を有する矩形状であり、支持シートと、該支持シート上に配された複数のフィラーを有する第1樹脂層とを含み、前記支持シートの幅方向における前記第1樹脂層の側面が露出しているとともに、前記フィラーの表面にフェニル基が存在していることを特徴とする。
本発明では、第1樹脂層中への水分の浸入を低減できる。
以下、巻回体について、図1〜図2を参照しつつ説明する。なお、本開示の巻回体は、以下の実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
図1(a)は、一部の積層シート1が引き出された巻回体を示している。この巻回体は、円筒状の芯材3の周りに、長尺状の積層シート1が長さ方向に複数回巻回されて構成されている。なお、図1(a)は1回巻回したものを記載したが、実際は複数回巻回されて構成されている。
長尺状の積層シート1は、長さが長い帯状である。巻回体は、芯材3の周囲に積層シート1を渦巻き状に巻き付けてドラム状にしたものであり、芯材3の周囲に積層シート1を何重にも取り巻くように巻き付けて構成されている。
この積層シート1は、図1(a)の積層シート1を上下方向(積層シート1の厚み方向(Z軸方向))に切断した断面である図1(b)に示すように、支持シート5と、支持シート5上の第1樹脂層11とを有している。第1樹脂層11は、図1(c)に示すように、複数のフィラー51を含有しており、図2に示すように、支持シート5の幅方向(Y軸方向)の両側の側面(以下、単に側面という)11aが露出しているとともに、フィラー51の表面にフェニル基が存在している。第1樹脂層11は、未硬化または半硬化状態の樹脂からなる層である。フィラー51は、第1樹脂層11の上面にも露出している。
すなわち、図2(a)(b)に示すように、支持シート5の幅方向(Y軸方向)の側面5aと、第1樹脂層11のY軸方向の側面11aとが同一面を形成している。同一面とは、側面5aと側面11aとが同じ平面を構成していることをいう。なお、後述する図4(b)、図5(b)(c)は断面図であるが、理解を容易にするため、斜線を省略している。
フィラー51表面には、疎水性のフェニル基が存在するが、このフェニル基は、例えば
、シランカップリング剤によりフィラー51を表面処理した際の官能基として存在している。このフェニル基は、例えば、第1樹脂層11の側面におけるフィラー51表面に対して、FT−IR分光分析することにより存在を確認できる。
、シランカップリング剤によりフィラー51を表面処理した際の官能基として存在している。このフェニル基は、例えば、第1樹脂層11の側面におけるフィラー51表面に対して、FT−IR分光分析することにより存在を確認できる。
このような巻回体では、フィラー51が第1樹脂層11の上面および側面に露出しているが、フィラー51の表面に疎水性のフェニル基が存在しているため、フィラー51と樹脂との間の水分の通過を抑制し、第1樹脂層11内への水分の浸入を低減でき、第1樹脂層11内の水分量を低減でき、積層加工時の加熱加圧時における膨満を防止できる。また、フィラー51と樹脂との密着性が良好となり、第1樹脂層の上面および側面からの脱落を低減できる。
図3(a)は、積層シート1の他の形態を示すもので、図2(b)に対応する図である。積層シート1は、支持シート5と第1樹脂層11との間に、複数の無機絶縁粒子15を有するとともに、無機絶縁粒子間に空隙を有する無機絶縁層9が介在しており、支持シート5のY軸方向における無機絶縁層9の側面9aが露出している。
すなわち、支持シート5のY軸方向の側面5aと、第1樹脂層11のY軸方向の側面11aと、無機絶縁層9のY軸方向の側面9aとが同一面を形成している。無機絶縁層9の第1樹脂層11側の第1部分には、第1樹脂層11の樹脂が無機絶縁粒子間の空隙に介在し、このような無機絶縁粒子間に樹脂が介在した第1部分が層状に形成されていても良い。この場合、無機絶縁層9中の空隙は、第1部分よりも支持シート5側に、支持シート5に沿って層状に存在しており、層状の空隙含有層の側面が露出している。
このような巻回体では、無機絶縁層9の側面から空隙含有層の空隙を介して水分が浸入し、第1樹脂層11の支持シート5側に露出しているフィラー51の表面を介して水分が第1樹脂層11内に浸入し易いが、この実施形態では、フィラー51の表面に疎水性のフェニル基が存在しているため、フィラー51と樹脂との間の水分の通過を抑制し、第1樹脂層11内への水分の浸入を低減でき、第1樹脂層11内の水分量を低減でき、積層加工時の加熱加圧時における膨満を防止できる。
図3(b)は、積層シート1のさらに他の形態を示すもので、図2(b)に対応する図である。積層シート1は、支持シート5と第1樹脂層11との間に、複数の無機絶縁粒子15を有するとともに、無機絶縁粒子15間に空隙を有する無機絶縁層9、フィラー51を含有する第2樹脂層13が介在しており、支持シート5のY軸方向における無機絶縁層9、第2樹脂層13の側面9a、13aが露出している。フィラー51は、第2樹脂層13の上面にも露出している。
第2樹脂層13は、第1樹脂層11と同様に、複数のフィラー51を含有しており、支持シート5の幅方向(Y軸方向)の両側の側面(以下、単に側面という)13aが露出しているとともに、フィラー51の表面にフェニル基が存在している。第2樹脂層13は、未硬化または半硬化状態の樹脂からなる層である。
すなわち、支持シート5のY軸方向の側面5aと、第2樹脂層13のY軸方向の側面13aと、無機絶縁層9のY軸方向の側面9aと、第1樹脂層11のY軸方向の側面11aと、無機絶縁層9のY軸方向の側面9aとが同一面を形成している。無機絶縁層9の第1樹脂層11側の第1部分には、第1樹脂層11の樹脂が無機絶縁粒子15間の空隙に介在し、無機絶縁層9の第2樹脂層13側の第2部分には、第2樹脂層13の樹脂が無機絶縁粒子15間の空隙に介在し、第1部分および第2部分が層状に形成されていても良い。この場合、第1部分と第2部分との間に、無機絶縁層9中の空隙が層状に存在する空隙含有層が存在し、その側面は露出していることになる。
このような巻回体では、無機絶縁層9の側面から空隙を介して水分が浸入し、第1樹脂層11の支持シート5側に露出しているフィラー51の表面を介して水分が第1樹脂層11内に浸入し易く、第2樹脂層13の第1樹脂層11側に露出しているフィラー51の表面を介して水分が第2樹脂層13内に浸入し易いが、この実施形態では、フィラー51の表面に疎水性のフェニル基が存在しているため、フィラー51と樹脂との間の水分の通過を抑制し、第1樹脂層11、第2樹脂層13内への水分の浸入を低減でき、第1樹脂層11、第2樹脂層13内の水分量を低減でき、積層加工時の加熱加圧時における膨満を防止できる。
また、図3(a)(b)では、第1樹脂層11の樹脂が無機絶縁粒子間の空隙に充填された第1部分と、第2樹脂層13の樹脂が無機絶縁粒子間の空隙に充填された第2部分とを有するため、無機絶縁層9と第1樹脂層11,第2樹脂層13との接合強度を向上できる。
図1〜図3に示した巻回体は、第1樹脂層11上に保護フィルムを具備していても良い。保護フィルムはPETフィルム等の樹脂フィルムを用いることができる。
巻回体の製法について、図3(b)の積層シートを用いて、図4に基づいて説明する。
(1)先ず第2樹脂層13を支持シート5に形成する。特に、配線基板を作製する際に配線導体に使用することができるという点で、支持シート5には銅箔を用いることが望ましい。
具体的には、溶剤、フィラー51および未硬化の樹脂の混合物を支持シート5の主面に塗工し、第2樹脂層13の塗工膜を形成する。この際、第2樹脂層13の塗工膜は、例えば、第2樹脂層13のY軸方向の側面13aが、支持シート5のY軸方向の側面5aよりも内側に位置するように塗布する。この塗工膜を乾燥させて溶剤を蒸発させることによって、第2樹脂層13を形成する。混合物の塗工は、既存の成形方法、例えばドクターブレード法、ディスペンサー法、バーコーター法、ダイコーター法またはグラビア印刷法等を用いて行なうことができる。
(2)次に、複数の無機絶縁粒子15、および水あるいは有機溶剤、適切な分散剤を準備し、秤量、混合し、無機絶縁粒子15を含有したスラリーを作製する。前記スラリーは、例えば無機絶縁粒子15を10体積%以上60体積%以下含み、水あるいは有機溶剤および分散剤をその合量で40%体積以上90体積%以下含む。前記有機溶剤には、例えばメタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミドまたはこれらから選択された2種以上の混合物を含んだ有機溶剤を使用することができる。
分散剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の公知の分散剤が例として挙げられる。
(3)次に、支持シート5上の第2樹脂層13の表面に前記スラリーをシート状に成形(塗布)する。このスラリーは、無機絶縁層9のY軸方向の側面9aが、例えば、第2樹脂層13のY軸方向の側面13aよりも内側に位置するように塗布する。成形方法としては、既存の成形方法、例えばドクターブレード法、ディスペンサー法、バーコーター法、ダイコーター法またはグラビア印刷法等を用いて行い、水あるいは溶剤を乾燥除去するこ
とにより行い、無機絶縁粒子15同士が3次元網目状に結合した無機絶縁層9の骨格を形成することができる。
とにより行い、無機絶縁粒子15同士が3次元網目状に結合した無機絶縁層9の骨格を形成することができる。
(4)第1樹脂層11を、無機絶縁層9の骨格上に形成する。具体的には、まず、溶剤、フィラー51および未硬化の樹脂の混合物を無機絶縁層9の骨格の主面に塗工する。この混合物は、例えば、第2樹脂層13および無機絶縁層9のY軸方向の側面13a、9aを被覆するように塗工される。次いで、混合物を乾燥させて混合物から溶剤を蒸発させることによって、第1樹脂層11を形成する。混合物の塗工は、既存の成形方法、例えばドクターブレード法、ディスペンサー法、バーコーター法、ダイコーター法またはグラビア印刷法等を用いて行なうことができる。
続いて、第1樹脂層11の一部(第2樹脂部18の一部)を無機絶縁層9の骨格の間隙に入り込ませて第1樹脂部16を形成する。具体的には、支持シート5、無機絶縁層9の骨格および第1樹脂層11を上下方向に加熱加圧することによって、無機絶縁層9の間隙の少なくとも一部に第1樹脂層11の一部(第2樹脂部18)を入り込ませる。なお、この際に、第2樹脂層13の樹脂の一部も無機絶縁層9の間隙に入り込ませる。
このとき、加熱加圧装置としてロールラミネーターを使用し、連続的に行うことが望ましい。支持シート5等の加熱温度は、例えば60℃以上130℃以下に設定される。支持シート5等の加圧圧力は、例えば0.1MPa以上2MPa以下に設定される。支持シート5等の加熱加圧時間は、例えば0.5分以上10分以下に設定され、ロールラミネーターを使用する際には、送り速度を1m/秒以上50m/秒以下に設定することが望ましい。第1樹脂層11の樹脂材料の上記加熱時間における溶融粘度は、例えば10000Pa・s以下に設定される。
あるいは、キャリアフィルム上に、前述の溶剤、フィラーおよび未硬化の樹脂の混合物を、前述と同様の既存の成形方法によりシート状に成形した第1樹脂層11を準備し、この第1樹脂層11を、支持シート5の無機絶縁層9上に載置し、前述と同様の方法で加熱加圧することによっても(ロールラミ)、無機絶縁層9の間隙に第1樹脂層11の一部を入り込ませ、第2樹脂層13の樹脂の一部も無機絶縁層9の間隙に入り込ませることが可能である。なお、キャリアフィルムは、保護フィルムとして機能させても良い。
以上のようにして、支持シート5、第2樹脂層13、無機絶縁層9および第1樹脂層11を備える積層シート1を作製する。
巻回体に用いられる積層シートは、例えば、図4に示すように、第2樹脂層13のY軸方向の側面13aは、支持シート5のY軸方向の側面5aよりも内側に位置し、無機絶縁層9のY軸方向の側面9aは、第2樹脂層13のY軸方向の側面13aよりも内側に位置し、第2樹脂層13および無機絶縁層9のY軸方向の側面13a、9aは、第1樹脂層11で被覆されている。
このような積層シートは、支持シート5上に、第2樹脂層13、無機絶縁層9および第1樹脂層11のY軸方向の側面13a、9a、11aは、ワニス塗工によりダレて傾斜している。この後、図4(b)の一点鎖線で示す部分で積層シート1をカットし、耳部10を除去する。これにより、支持シート5の側面5aと、第1樹脂層11の側面11a、第2樹脂層13の側面13a、無機絶縁層9の側面9aとが同一面を形成し、図3(b)に示す積層シート1を作製することができる。
このような積層シート1を芯材3に巻回して、図1(a)に示すような巻回体が得られる。
図3(b)の積層シートを用いて基板用シートを作製する工程を、図5を用いて説明する。先ず、図4(b)で示した、耳部10を除去した積層シート1を準備し、図5(a)に一点鎖線で示す部分をカットする。すなわち、積層シート1を所定長さでカットすることで、基板用シートを得ることができる。
この基板用シートは、主面が対向する一対の第1辺および一対の第2辺を有する矩形状の支持シート5と、該支持シート5上に配された第2樹脂層13と、該第2樹脂層13上に配された無機絶縁層9と、該無機絶縁層9上に配された第1樹脂層11とを含み、図5(b)(c)に示すように、第1辺間方向および第2辺間方向における、第2樹脂層13の側面13a、無機絶縁層9の側面9a、第1樹脂層11の側面が露出し、同一面を形成している。第1辺は、Y軸方向の支持シート5の側面5aを構成する辺であり、第2辺は、第1辺と直交する辺(X軸方向の辺(図5(a)の一点鎖線で示す辺))である。
このような基板用シートについても、巻回体と同様に、第1樹脂層11,第2樹脂層中のフィラー51の表面に疎水性のフェニル基が存在しているため、フィラー51と樹脂との間の水分の通過を抑制し、第1樹脂層11、第2樹脂層13内への水分の浸入を低減でき、第1樹脂層11、第2樹脂層13内の水分量を低減でき、積層加工時の加熱加圧時における膨満を防止できる。
以下、積層シート1を構成する各部材について説明する。支持シート5は、積層シート1を取り扱う際に、無機絶縁層9を支持するものであり、配線基板の製造時には無機絶縁層9から剥離されたり、配線に加工されたりする。支持シート5は、例えば銅箔からなる。支持シート5が銅箔からなるため、支持シート5の耐熱性を向上させることができる。
支持シート5は、図5(b)(c)に示すように、支持シート5上に無機絶縁層9が積層されている。無機絶縁層9との接着力を向上させるために、支持シート5の主面に第2樹脂層(プライマー層)13が形成され、この第2樹脂層13上に無機絶縁層9が積層されている。なお、第2樹脂層(プライマー層)13は必ずしも形成する必要はないが、第2樹脂層13を形成することにより、支持シート5への無機絶縁層9の形成が容易となる。
支持シート5の厚さは、例えば3μm以上100μm以下に設定されている。支持シート5のヤング率は、例えば70GPa以上130GPa以下に設定されている。支持シート5の熱膨張率は、例えば15ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。な
お、支持シート5のヤング率は、市販のDMA装置等を用いて、JISZ2280−1993に準じた測定方法によって測定される。また、支持シート5の熱膨張率は、市販のTMA装置を用いて、JISK7197−1991に準じた測定方法によって測定される。なお、支持シート5として、樹脂製のフィルムも用いることができる。
お、支持シート5のヤング率は、市販のDMA装置等を用いて、JISZ2280−1993に準じた測定方法によって測定される。また、支持シート5の熱膨張率は、市販のTMA装置を用いて、JISK7197−1991に準じた測定方法によって測定される。なお、支持シート5として、樹脂製のフィルムも用いることができる。
無機絶縁層9は、作製された配線基板の配線間の絶縁を確保するものである。無機絶縁層9の厚みは、例えば1μm以上15μm以下に設定されている。
無機絶縁層9は、図6に示すように、複数の無機絶縁粒子15a、15b(以下、単に15ということがある)および第1樹脂部16によって形成されている。複数の無機絶縁粒子15が粒子形状を保持したまま互いの一部で結合(接触も含む概念)することによって、三次元網目構造体を構成し、無機絶縁層9の主要部である骨格が形成されている。複数の無機絶縁粒子15が粒子形状を保持したまま互いの一部で結合しているため、複数の無機絶縁粒子15同士の間には空隙が存在し、この空隙の少なくとも一部には樹脂が配置されて、第1樹脂部16を形成している。
また、無機絶縁層9は、複数の無機絶縁粒子15同士が結合しているため、単に樹脂中に複数の無機絶縁粒子が分散されている場合と比較して、無機絶縁層9の剛性を向上させることができる。その結果、無機絶縁層9の変形を低減することができる。
無機絶縁粒子15は、第1無機絶縁粒子15aおよび第2無機絶縁粒子15bを含んでおり、第1無機絶縁粒子15aの粒子径は、5nm以上80nm以下に設定され、第2無機絶縁粒子15bの粒子径は、0.1μm以上5μm以下に設定されている。第1無機絶縁粒子15aおよび第2無機絶縁粒子15bの粒子径は、例えば、まず無機絶縁層9の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することによって算出される。
第1無機絶縁粒子15aは、例えば、複数の無機絶縁粒子15中に10体積%以上40体積%以下含まれており、第2無機絶縁粒子15bは、例えば複数の無機絶縁粒子15中に55体積%以上85体積%以下含まれてもよい。上記の通り、複数の無機絶縁粒子15の粒度分布を設定すれば、無機絶縁層9の間隙が小さくなりすぎることを抑制して、後述する第1樹脂層11の樹脂を入り込ませやすくすることができる。また、さらに望ましくは、第1無機絶縁粒子15aの粒子径が8nm以上70nm以下に設定され、複数の無機絶縁粒子15中に10体積%以上30体積%以下含まれており、第2無機絶縁粒子15bの粒子径が0.15μm以上2μm以下に設定され、複数の無機絶縁粒子15中に65体積%以上85体積%以下含まれているとよい。無機絶縁層9には、第1無機絶縁粒子15a、第2無機絶縁粒子15b以外の無機粒子を含有しても良い。
無機絶縁粒子15は、無機絶縁層9の主要部(骨格)を形成している。無機絶縁粒子15の形状は、例えば球状である。無機絶縁粒子15は、例えば酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウム等の無機絶縁材料からなる。また、無機絶縁粒子15は単一の材料からなってもよいし、複数種類の材料からなってもよい。なお、無機絶縁粒子15は、熱膨張率が例えば0.6ppm/℃以上13.5ppm/℃以下である材料からなる。また、無機絶縁粒子15は、ヤング率が例えば70GPa以上300GPa以下である材料からなる。また、複数の無機絶縁粒子15の無機絶縁層9に対する含有率は、例えば70体積%以上に設定され、望ましくは75体積%以上に設定されている。無機絶縁粒子15の含有率は、無機絶縁層9の断面の顕微鏡写真における面積比率から求めることができる。
第1樹脂部16は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂等からなり、また、第1樹脂部16は、熱膨張率が例えば30ppm/℃以上60ppm/℃以下である材料からなる。また、第1樹脂部16は、ヤング率が例えば2GPa以上10GPa以下である材料からなる。第1樹脂部16は、積層シート1において未硬化あるいは半硬化状態である。
第1樹脂層11は、配線基板の製造時に、無機絶縁層9と配線、または無機絶縁層9とこの無機絶縁層9に積層される他の無機絶縁層9とを接着するものである。第1樹脂層11は、図6(a)に示すように、第2樹脂部18および第2樹脂部18の樹脂内に配されている無機フィラー51を有している。
第1樹脂層11の厚さは、無機絶縁層9の厚さよりも小さくてもよい。これにより、第1樹脂層11の熱膨張の影響が小さくなり、無機絶縁層9は、第1樹脂層11の熱膨張量を効果的に低減させることができる。なお、第1樹脂層11の厚さは、例えば1μm以上
40μm以下に設定されている。
40μm以下に設定されている。
第1樹脂層11の第2樹脂部18は、無機絶縁層9の第1樹脂部16と接触していてもよい。その結果、無機絶縁層9と第1樹脂層11との接着強度を向上させることができ、例えば無機絶縁層9と第1樹脂層11の熱膨張率の違いによる剥離を低減することができる。
また、第1樹脂層11の第2樹脂部18は、無機絶縁層9の第1樹脂部16と一体的に形成されてもよい。すなわち、第1樹脂層11を形成する樹脂が、無機絶縁層9の間隙に入り込んで、第1樹脂部16を形成してもよい。その結果、第1樹脂層11と無機絶縁層9との剥離を効果的に低減することができる。
第2樹脂部18は、主に第1樹脂層11を構成するものである。第2樹脂部18は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂等からなる。また、第2樹脂部18は、熱膨張率が例えば30ppm/℃以上60ppm/℃以下である材料からなる。また、第2樹脂部18は、ヤング率が例えば2GPa以上10GPa以下である材料からなる。第2樹脂部18は、積層シート1において未硬化状態あるいは半硬化状態である。
無機材料からなるフィラー51は、フェニル基を有するシランカップリング剤で表面処理されており、第1樹脂層11の剛性を向上させたり熱膨張係数を低下させたりするものである。フィラー51の形状は、例えば球状である。フィラー51の粒子径は、第2無機絶縁粒子15bの粒子径以上であってもよい。フィラー51の粒子径は、例えば0.1μm以上5μm以下に設定される。また、第1樹脂層11に対するフィラー51の含有率は、無機絶縁層9に対する無機絶縁粒子15の含有率よりも小さくてもよい。フィラー51の第1樹脂層11に対する含有率は、例えば60体積%以下に設定されている。
第2樹脂層13については、第1樹脂層11と同様の材料で構成されていてもよいし、異なった材料で構成されていても良い。
次に、上述した積層シート1を用いて製造された、図7(a)に示す配線基板24を説明する。図7(a)は、配線基板24を上下方向に切断した断面を模式的に示している。
配線基板24は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置またはその周辺機器等の電子機器に使用されるものである。配線基板24は、例えばビルドアップ多層配線基板であって、図7(a)に示すように、コア基板25とコア基板25の上下に形成された一対の配線層26とを備えている。
コア基板25は、配線基板26の剛性を高めつつ一対の配線層26間の導通を図るものである。コア基板25は、樹脂基体27と、樹脂基体27を上下方向に貫通して形成されている筒状のスルーホール導体28と、スルーホール導体28に取り囲まれた領域に配された柱状の絶縁体29とを含んでいる。
樹脂基体27は、コア基板25の剛性を高めるものである。この樹脂基体27は、例えば樹脂と、この樹脂に被覆された基材および無機絶縁フィラーとを含んでいる。
樹脂基体27に含まれた樹脂は、樹脂基体27の主要部を形成するものである。この樹脂は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳
香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂またはポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料からなる。
香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂またはポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料からなる。
樹脂基体27に含まれた基材は、樹脂基体27を高剛性化および低熱膨張化するものである。この基材は、繊維によって構成された織布もしくは不織布または繊維を一方向に配列したものからなる。また、この繊維は、例えばガラス繊維または樹脂繊維等からなる。
樹脂基体27に含まれた無機絶縁フィラーは、樹脂基体27を高剛性化、低熱膨張化および難燃化するものである。この無機絶縁フィラーは、例えば酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウムまたは炭酸カルシウム等の無機絶縁材料からなる複数の粒子により構成されている。
スルーホール導体28は、コア基板25の上下の配線層26を電気的に接続するものである。このスルーホール導体28は、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロム等の導電材料からなる。
絶縁体29は、後述するビア導体30の支持面を形成するものである。この絶縁体29は、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂材料からなる。
一方、コア基板25の上下には、上述した如く、一対の配線層26が形成されている。配線層26は、厚み方向に沿った有底孔(ビア孔)が形成された無機絶縁層9と、樹脂基体27上または無機絶縁層9上に部分的に形成された配線31と、ビア孔内に形成されたビア導体30とを含んでいる。
配線層26は、コア基板25側に位置している第1樹脂層11と、第1樹脂層11上に積層されている無機絶縁層9と、無機絶縁層9上に積層されている第2樹脂層13とを含んでいる。なお、無機絶縁層9、第1樹脂層11および第2樹脂層13は、上述した積層シート1が備えていたものである。また、巻回体および基板用シートでは、無機絶縁層9の第1樹脂部16および第1、第2樹脂層11、13の第2樹脂部18は未硬化または半硬化であったが、配線基板24では、第1樹脂部16および第2樹脂部18は硬化している。
第1樹脂層11は、コア基板25表面の配線31の側面および上面に接着しつつ、樹脂基体27と無機絶縁層9とを接着、または積層された無機絶縁層9同士を接着するものである。無機絶縁層9は、無機絶縁層9の主要部をなし、厚み方向に沿って離れて配された配線31同士の絶縁部材として機能するものである。無機絶縁層9は、樹脂材料と比較して低熱膨張率および高剛性であるから、無機絶縁層9の平面方向への熱膨張率を低減することができる。したがって、配線基板24と配線基板24上に実装される電子部品(図示せず)との平面方向への熱膨張率の差を低減し、ひいては配線基板24の反りを低減することができる。
配線31は、平面方向または厚み方向に沿って互いに離れて配されており、接地用配線、電力供給用配線または信号用配線として機能するものである。この配線31は、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロム等の導電材料からなる。配線31の厚さは、例えば3μm以上20μm以下に設定されている。配線31の熱膨張率は、例えば14ppm/℃以上19ppm/℃以下に設定されている。配線31のL/S(ライン/スペース)は、例えば3/3μm以上40/40μm以下に設定されている。
ビア導体30は、厚み方向に互いに離れて配された配線31同士を電気的に接続するものであり、コア基板25に向って幅狭となる柱状に形成されている。ビア導体30は、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロムの導電材料からなる。また、ビア導体30は、熱膨張率が例えば14ppm/℃以上19ppm/℃以下に設定されている。
本開示の巻回体を用いた配線基板24の製造方法について、図7(b)〜図8を参照しつつ説明する。なお、図7(b)〜図8は、本開示の巻回体を使用して製造する配線基板の製造方法の一工程を示した断面図である。
(1)まず、上述した巻回体から所定長さの積層シート1を引き出し、所定長さにカットし、所定長さの基板用シート35を準備する。
(2)コア基板25(基板)を作製する。コア基板25の作製には、まず、例えば金属箔上に複数の樹脂層が積層された樹脂基体27を形成する。次いで、例えばドリル加工やレーザー加工等によって樹脂基体27にスルーホールを形成した後、例えば無電解めっき法、電気めっき法、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法等により、スルーホールの内壁に筒状のスルーホール導体28を形成する。次いで、スルーホール導体28に取り囲まれた領域に樹脂材料を充填することによって絶縁体29を形成し、導電材料を絶縁体29の露出部に被着させた後、従来周知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング等によりパターニングして配線31を形成する。以上のようにして、コア基板25を準備する。
(3)図7(b)に示すように、巻回体から積層シート1を所定長さにカットし、基板用シート35を作製し、この基板用シート35をコア基板25上に積層する。具体的には基板用シート35の積層は、基板用シート35の第1樹脂層11がコア基板25に接触するように行なう。
その後、基板用シート35とコア基板25とを一体化させるため、上下方向に加熱加圧し無機絶縁層9の間隙に第1樹脂層11(第2樹脂部18)の一部を入り込ませる。なお、この際に、第2樹脂層13の樹脂の一部も無機絶縁層9の間隙に入り込んでも構わない。このとき、無機絶縁層9の間隙のほぼ全てに樹脂が入り込むように加熱加圧条件を調整することが、絶縁信頼性を確保する上で望ましい。
前述の加熱温度は、例えば60℃以上150℃以下に設定され、加圧圧力は、例えば0.1MPa以上4MPa以下に設定される。支持シート5等の加熱加圧時間は、例えば0.5分以上80分以下に設定される。
無機絶縁層9中の空気を、空隙含有層内の空隙を介して、空隙含有層の側面から容易に抜くことができるため、無機絶縁層9中における空隙を殆ど無くすことができ、配線基板作製工程での剥離等の不具合を無くすことができる。
(4)第1樹脂部16および第2樹脂部18を熱硬化させる。具体的には、基板用シート35およびコア基板25を、第1樹脂部16および第2樹脂部18の熱硬化開始温度以上加熱することによって、基板用シート35中の未硬化状態の第1樹脂部16および第2樹脂部18を熱硬化させる。基板用シート35等の加熱温度は、例えば80℃以上250℃以下に設定される。
なお、樹脂部の熱硬化は、前述の工程(3)の加熱加圧時に同時に行っても差し支えない。
(5)図8(b)に示すように、支持シート5の表面から無機絶縁層9および第1樹脂層11、第2樹脂層13を厚み方向に貫通するビア孔を形成する。ビア孔の形成は、例えばYAGレーザー装置または炭酸ガスレーザー装置を用いて支持シート5の上面にレーザー光を照射することによって行なう。
(6)次に、前述のビア孔の底部にレーザー加工により生じる樹脂残渣(スミア)を除去するため、強アルカリ処理を施す。強アルカリ性の水溶液としては、例えば過マンガン酸カリウムまたは過マンガン酸ナトリウム等の水溶液が好適である。
(7)ビア孔にビア導体30を形成する。ビア導体30は、例えば電解めっき、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法を用いて、ビア孔内に導電材料を埋めることによって形成される。
(8)銅箔からなる支持シート5を、例えばフォトリソグラフィー技術等を用いてパターニングすることにより配線層を形成する。
なお、支持シートに銅箔を用いない場合には、前述の(7)の工程までに支持シートを剥離しておき、(7)の工程にてビア導体を形成する際に絶縁層表面全面に導電材料を被着形成した後、前述のパターニングを行うことにより配線層を形成する。以上のようにして、図7(a)に示したような、配線基板24を製造する。
このようにして形成された配線基板24の上面に電子部品を配置し、配線31にバンプやはんだ等の接合部材を介して電子部品を実装することによって、実装構造体を作製する。
尚、フィラー51の表面に疎水性のフェニル基が存在しているため、フィラー51と樹脂との間の水分の通過を抑制し、第1樹脂層11、第2樹脂層13内への水分の浸入を低減できる。そのため、高温高湿環境下に曝されても第1樹脂層11、第2樹脂層13への水分吸収量を低減でき、実使用環境での絶縁不良を防止することができる。
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良、組合せ等が可能である。
上述した配線基板24の実施形態では、無機絶縁層9を1層積層した構成を例に説明したが、無機絶縁層9は何層積層しても構わない。
また、上述した本開示の実施形態は、第1樹脂部16と第2樹脂部18を一体的に形成する例を説明したが、第1樹脂部16と第2樹脂部18は別々に形成しても構わない。この場合、第1樹脂部16を間隙に配した後に、第1樹脂層11(第2樹脂部)を形成することになる。
2種類の第1樹脂を作製し、JISK7209-2000に準拠して、吸湿試験を行うことにより、
第1樹脂の吸水率を測定する試験を行った。
第1樹脂の吸水率を測定する試験を行った。
先ず、厚さ50μmのPETフィルム上に、ナフタレンエーテル型エポキシを主剤とし、硬化剤にはCUA-4、成膜性付与成分として液状ナフタレン型エポキシとエラストマーの
フェノキシ樹脂を使用した樹脂に、フェニル基を有するシランカップリング剤で表面処理した、平均径0.5μmのシリカ粒子を第1樹脂中に55体積%を含有させる。この配合
した樹脂をバーコーターにて塗工し、防爆オーブンにて150℃3分の条件で乾燥させて厚さ20μmで幅200mm、長さ300mmの本発明の半硬化状態の第1樹脂を形成した。
フェノキシ樹脂を使用した樹脂に、フェニル基を有するシランカップリング剤で表面処理した、平均径0.5μmのシリカ粒子を第1樹脂中に55体積%を含有させる。この配合
した樹脂をバーコーターにて塗工し、防爆オーブンにて150℃3分の条件で乾燥させて厚さ20μmで幅200mm、長さ300mmの本発明の半硬化状態の第1樹脂を形成した。
一方、厚さ50μmのPETフィルム上に、本発明の第1樹脂と同じ樹脂に、ビニルシラン基を有するシランカップリング剤で表面処理をした(比較例1)、および表面処理をしていない(比較例2)、平均径0.5μmのシリカ粒子を第1樹脂中に55体積%を含有させる。配合した樹脂を、本発明の第1樹脂と同様にして比較例1、2の半硬化状態の第1樹脂を形成した。
これらの樹脂を粉砕して、厚さ1mm、幅30mm□の紙の型に入れ、真空プレスにて4MPaの圧力、200℃で60分の加熱処理することにより吸湿試験用の樹脂硬化物を得た。
これらについて吸湿試験(沸騰した蒸留水に30分浸漬する)を行い、重量を測定することで、第1樹脂における樹脂の重量増加(増量は侵入した水分量に相当する)を測定したところ、本発明の第1樹脂では、0.033%の重量増であったのに対して、ビニルシラン基を有する比較例1の第1樹脂では、0.132%の重量増であり、表面処理をしていない比較例2の第1樹脂では、0.173%の重量増であった。
これらの結果から、本発明では、フィラーの表面に疎水性のフェニル基が存在することにより、フィラーと樹脂との間の水分の通過を抑制し、第1樹脂内への水分の浸入を低減でき、第1樹脂内の水分量を低減できることがわかる。
1 積層シート
5 支持シート
9 無機絶縁層
11 第1樹脂層
13 第2樹脂層
15 無機絶縁粒子
15a 第1無機絶縁粒子
15b 第2無機絶縁粒子
24 配線基板
5 支持シート
9 無機絶縁層
11 第1樹脂層
13 第2樹脂層
15 無機絶縁粒子
15a 第1無機絶縁粒子
15b 第2無機絶縁粒子
24 配線基板
Claims (5)
- 長尺状の積層シートが長さ方向に巻回された巻回構造を有しており、前記積層シートは、長尺状の支持シートと、該支持シート上に配された複数のフィラーを含有する第1樹脂層とを含み、前記支持シートの幅方向における前記第1樹脂層の側面が露出しているとともに、前記フィラーの表面にフェニル基が存在していることを特徴とする巻回体。
- 前記支持シートと前記第1樹脂層との間に、複数の無機絶縁粒子を有する無機絶縁層が介在しており、該無機絶縁層は、無機絶縁粒子間に空隙を有する空隙含有層を有するとともに、前記支持シートの幅方向における前記空隙含有層の側面が露出している請求項1に記載の巻回体。
- 前記支持シートと前記無機絶縁層との間に、複数のフィラーを含有する第2樹脂層が介在しており、前記支持シートの幅方向における前記第2樹脂層の側面が露出しているとともに、前記第2樹脂層中の前記フィラーの表面にフェニル基が存在している請求項2に記載の巻回体。
- 主面が対向する一対の第1辺および一対の第2辺を有する矩形状であり、支持シートと、該支持シート上に配された複数のフィラーを有する第1樹脂層とを含み、前記支持シートの幅方向における前記第1樹脂層の側面が露出しているとともに、前記フィラーの表面にフェニル基が存在していることを特徴とする基板用シート。
- 前記支持シートと前記第1樹脂層との間に、複数の無機絶縁粒子を有する無機絶縁層が介在しており、該無機絶縁層は、無機絶縁粒子間に空隙を有する空隙含有層を有するとともに、前記支持シートの幅方向における前記空隙含有層の側面が露出している請求項4に記載の基板用シート。
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