JP2013201305A - 配線基板およびその実装構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、電気的信頼性を改善した配線基板およびその実装構造体を提供する。
【解決手段】本発明の一形態にかかる配線基板3は、一部が互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の球状粒子13と、複数の球状粒子13の第1間隙G1に配された樹脂部材14と、球状粒子13を介して互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の板状粒子15とを有する無機絶縁層11aを備え、板状粒子15の幅は、球状粒子13の粒径よりも大きい。本発明の一形態にかかる実装構造体1は、配線基板3と配線基板3に実装された電子部品2とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器(たとえば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ機器およびその周辺機器)に使用される配線基板およびその実装構造体に関するものである。
従来、電子部品を配線基板に実装してなる実装構造体が、電子機器に用いられている。この実装構造体に用いられる配線基板としては、樹脂層とセラミック層とを備えたものが知られている。
例えば、特許文献1には、金属箔の片面にセラミックを溶射してセラミック層を形成し、該金属箔のセラミック層側と接するようにプリプレグを積層して熱圧成形して形成された配線基板が記載されている。
しかしながら、一般的に、セラミック層は剛性が高いが割れやすいため、配線基板に応力が印加された場合、クラックがセラミック層に生じやすくなる。それ故、該クラックが伸長して配線に達すると、該配線に断線が生じやすくなり、ひいては配線基板の電気的信頼性が低下しやすくなる。
従って、電気的信頼性を改良した配線基板を提供することが望まれている。
特開平2−253941号公報
本発明は、電気的信頼性を改善した配線基板およびその実装構造体を提供することによって上記要求を解決する。
本発明の一形態にかかる配線基板は、一部が互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の球状粒子と、該複数の球状粒子の間隙に配された樹脂部材と、前記球状粒子を介して互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の板状粒子とを有する無機絶縁層を備え、
前記板状粒子の幅は、前記球状粒子の粒径よりも大きい。
本発明の一形態にかかる実装構造体は、上記配線基板と、該配線基板に実装された電子部品とを備える。
本発明の一形態にかかる配線基板によれば、一部が互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の球状粒子によって、無機絶縁層の剛性を高めつつ、該複数の球状粒子に囲まれた間隙に配された樹脂部材によって、無機絶縁層に加わった応力を緩和し、無機絶縁層におけるクラックの発生を低減することができる。さらに、前記球状粒子を介して互いに接続した無機絶縁材料からなり、幅が球状粒子の粒径よりも大きい板状粒子によって、無機絶縁層におけるクラックの伸長を低減することができる。その結果、電気的信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態にかかる実装構造体を厚み方向に切断した断面図であり、図1(b)は、図1(a)のR1部分を拡大して示した断面図である。 図2(a)は、図1(b)のR3部分を拡大して示した断面図であり、図2(b)は、図2(a)のR4部分を拡大して示した断面図であり、図2(c)は、2つの球状粒子が接続した様子を模式的に表したものである。 図3(a)は、図1(a)の第1無機絶縁層を平面方向に切断し、拡大して示した断面図であり、図3(b)は、図1(b)のR2部分を拡大して示した断面図である。 図4(a)ないし(f)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する断面図である。 図5(a)ないし(c)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する断面図である。 図6(a)ないし(c)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る配線基板を備えた実装構造体を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実装構造体)
図1(a)に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置またはその周辺機器などの電子機器に使用されるものである。この実装構造体1は、電子部品2と、電子部品2が実装された配線基板3とを含んでいる。
電子部品2は、例えばICまたはLSI等の半導体素子であり、配線基板3に半田等の導電材料からなるバンプ4を介してフリップチップ実装されている。この電子部品2は、母材が、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウムまたは炭化珪素等の半導体材料により形成されている。電子部品2の厚みは、例えば0.1mm以上1mm以下に設定されている。また、電子部品2の平面方向および厚み方向への熱膨張率は、例えば3ppm/℃以上5ppm/℃以下に設定されている。なお、電子部品2の熱膨張率は、市販のTMA(Thermo-Mechanical Analysis)装置を用いて、JIS K7197−1991に準じた測定方法により測定される。以下、各部材の熱膨張率は、電子部品2と同様に測定される。
配線基板3は、コア基板5と、コア基板5の上下面に形成された一対のビルドアップ層6とを含んでおり、電子部品2を支持するとともに、電子部品2を駆動もしくは制御するための電源や信号を電子部品2へ供給する機能を有する。
以下、配線基板3の構成について詳細に説明する。
(コア基板)
コア基板5は、配線基板3の剛性を高めつつ一対のビルドアップ層6間の導通を図るものであり、ビルドアップ層6を支持する平板状の基体7と、この基体7に設けられた円柱状のスルーホールTと、このスルーホールT内に設けられ、一対のビルドアップ層6同士を電気的に接続する筒状のスルーホール導体8と、このスルーホール導体8に取り囲まれた絶縁体9とを含んでいる。
基体7は、第1樹脂層10aと、第1樹脂層10aの両主面に設けられた第1無機絶縁層11aと、第1無機絶縁層11aの第1樹脂層10aと反対側の主面に設けられた第2樹脂層10bとを含んでいる。
第1樹脂層10aは、基体7の主要部をなすものであり、例えば、樹脂部と、この樹脂部に被覆された基材と、樹脂部に被覆され、互いに離れるように分散した複数の第1フィラー粒子12aとを含む。第1樹脂層10aの厚みは、例えば0.1mm以上3mm以下に設定されている。また、第1樹脂層10aの平面方向への熱膨張率は、例えば3ppm/℃以上20ppm/℃以下に設定され、第1樹脂層10aの厚み方向への熱膨張率は、例えば30ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定されている。
第1樹脂層10aの樹脂部は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂により形成することができる。このような熱硬化性樹脂で形成することによって、第1無機絶縁層11aとの接着強度を高めることができるとともに、後述する樹脂部材14と比較して第1樹脂層10aの靱性を高め、クラックを低減することができる。中でも、第1樹脂層10aの樹脂部は、第1樹脂層10aの靱性や第1無機絶縁層11aとの接着強度の観点から、エポキシ樹脂により形成することが望ましい。
この第1樹脂層10aの樹脂部は、ヤング率が例えば0.1GPa以上5GPa以下に設定され、厚み方向および平面方向への熱膨張率が例えば20ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定されている。
ここで、第1樹脂層10aの樹脂部のヤング率は、MTS社製ナノインデンターXPを用いて、ISO14577−1:2002に準じた方法で測定される。以下、各部材のヤング率は、第1樹脂層10aの樹脂部と同様に測定される。
第1樹脂層10aの基材は、第1樹脂層10aの平面方向の熱膨張率を低減するとともに、第1樹脂層10aの剛性を高めるものである。前記基材は、例えば、複数の繊維からなる織布もしくは不織布または複数の繊維を一方向に配列した繊維群により形成することができる。前記繊維としては、例えばガラス繊維、樹脂繊維、炭素繊維または金属繊維等を使用することができる。
第1樹脂層10aの第1フィラー粒子12aは、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウムまたは炭酸カルシウム等の無機絶縁材料により形成することができる。第1フィラー粒子12aの粒径は、例えば0.5μm以上5.0μm以下に設定され、第1フィラー粒子12aの熱膨張率は、例えば0ppm/℃以上15ppm/℃以下に設定されている。また、第1樹脂層10aの樹脂部と第1フィラー粒子12aの体積の合計に対する第1フィラー粒子12aの体積の割合(以下、「第1フィラー粒子12の含有割合」という)が、例えば3体積%以上60体積%以下に設定されている。
一方、第1樹脂層10aの両主面に形成された第1無機絶縁層11aは、基体7を高剛性、且つ低熱膨張率とするものである。この第1無機絶縁層11aの厚みは、例えば3μm以上100μm以下に設定され、また、第1樹脂層10aの3%以上10%以下に設定されている。また、第1無機絶縁層11aのヤング率は、例えば10GPa以上50GPa以下に設定され、また、第1樹脂層10aの樹脂部の10倍以上100倍以下に設定されている。また、第1無機絶縁層11aは、厚み方向および平面方向への熱膨張率が例えば0ppm/℃以上10ppm/℃以下に設定されている。
この第1無機絶縁層11aは、図1(b)ないし図3(a)に示すように、一部が互いに接続した複数の球状粒子13と、この複数の球状粒子13に囲まれた第1間隙G1に配された樹脂部材14と、球状粒子13を介して互いに接続した複数の板状粒子15とを含んでいる。この第1無機絶縁層11aは、球状粒子13および板状粒子15からなる無機絶縁部材を50体積%以上90体積%以下含み、樹脂部材14を10体積%以上50体積%以下含んでいる。また、無機絶縁部材は、球状粒子13を3体積%以上45体積%以下含み、板状粒子15を55体積%以上97体積%以下含んでいる。
なお、各部材の体積%は、次のように算出される。まず、第1無機絶縁層11aの断面を透過型電子顕微鏡撮影する。次に、撮影した画像から画像解析装置等を用いて、各部材の面積比率(面積%)を測定する。そして、該測定値の平均値を算出することにより各部材の体積%が算出される。
複数の球状粒子13aは、一般的に樹脂材料よりも剛性の高い無機絶縁材料からなるとともに、一部が互いに接続して骨格構造をなすことによって、第1無機絶縁層11aの剛性を高めるものである。この球状粒子13は、球状であることから充填密度を高めやすいため、球状粒子13が第1ネック構造16aを介して接続してなる骨格構造の内部構造を緻密にし、この骨格構造の剛性を高めることができる。
球状粒子13は、酸化ケイ素(SiO)を含む無機絶縁材料により形成されている。その結果、球状粒子13を低熱膨張率とすることができる。この球状粒子13は、例えば酸化ケイ素を90質量%以上含む無機絶縁材料を用いることができ、中でも、酸化ケイ素を99質量%以上100質量%未満含む無機絶縁材料を用いることが望ましい。酸化ケイ素を90質量%以上100質量%未満含む無機絶縁材料を用いる場合は、この無機絶縁材料としては酸化ケイ素の他に、例えば酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウム等の無機絶縁材料を含んでも構わない。
さらに、本実施形態においては、球状粒子13は、アモルファス(非晶質)状態の酸化ケイ素を含んでいる。アモルファス状態の酸化ケイ素は、結晶状態の酸化ケイ素と比較して、結晶構造に起因した熱膨張率の異方性を低減することができるため、配線基板3の加熱後に配線基板3が冷却される際に、球状粒子13の収縮を厚み方向および平面方向にてより均一にすることができ、第1無機絶縁層11aにおけるクラックの発生を低減できる。なお、アモルファス状態の酸化ケイ素を含む無機絶縁材料は、結晶相の領域が例えば10体積%未満に設定されており、中でも5体積%未満に設定されていることが望ましい。
この無機絶縁材料の結晶相領域の体積比は、以下のように測定される。まず、100%結晶化した試料粉末と非晶質粉末とを異なる比率で含む複数の比較試料を作製し、この比較試料をX線回折法で測定することにより、この測定値と結晶相領域の体積比との相対的関係を示す検量線を作成する。次に、測定対象である調査試料をX線回折法で測定し、この測定値と検量線とを比較して、この測定値から結晶相領域の体積比を算出することにより、調査試料の結晶相領域の体積比が測定される。
また、球状粒子13は、粒径が3nm以上110nm以下に設定されていることが望ましい。その結果、第1無機絶縁層11aの内部を緻密に形成することができ、球状粒子13が第1ネック構造16aを介して接続してなる骨格構造の剛性を高めることができる。さらに、球状粒子13の粒径が非常に小さいことから、球状粒子13同士が結晶化開始温度未満にて互いに強固に結合するため、球状粒子13同士をアモルファス状態のままで接続させることができる。これは、球状粒子13の粒径が3nm以上110nm以下と微小に設定されていると、球状粒子13の原子、特に表面の原子が活発に運動するため、結晶化開始温度未満といった低温下でも球状粒子13同士が強固に結合すると推測される。なお、結晶化開始温度は、非晶質の無機絶縁材料が結晶化を開始する温度、すなわち、結晶相領域の体積が増加する温度である。
なお、球状粒子13の粒径は、第1無機絶縁層11aの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該撮影した拡大断面にて各粒子の粒径を測定し、この測定値の平均値を算出することによって、測定される。
また、複数の球状粒子13は、図2(c)に示すように、第1ネック構造16aを介して互いに接続している。第1ネック構造16aは、隣接する球状粒子13を互いに接続する構造であり、それぞれの球状粒子13の表面の一部の領域、特に球状粒子13同士が近接する領域に形成されている。第1ネック構造16aを介して互いに接続した球状粒子13は、それぞれ第1ネック構造16aに向かって幅が小さくなっており、第1ネック構造16aは括れ形状をなしている。このような第1ネック構造16aを介して球状粒子13同士を接続しているため、第1無機絶縁層11aに開気孔の第1間隙G1を良好に形成することができる。
また、球状粒子13のヤング率は、例えば70GPa以上80GPa以下に設定されている。また、球状粒子13の厚み方向および平面方向への熱膨張率は、例えば0.1ppm/℃以上1.2ppm/℃以下に設定されている。
この複数の球状粒子13の間には開気孔の第1間隙G1が形成されており、第1間隙G1は第1無機絶縁層11a両主面の開口を介して第1無機絶縁層11aの外部と通じている。この第1間隙G1は、一部が互いに接続した複数の球状粒子13の間に形成されており、その大きさは球状粒子13と略同一である。この第1間隙G1の幅は、例えば3nm以上110nm以下に設定される。
樹脂部材14は、一般的に無機絶縁材料よりもヤング率が小さい樹脂材料を含むとともに、複数の球状粒子13に囲まれた第1間隙G1に配されることによって、第1無機絶縁層11aに印加される応力を緩和し、クラックの伸長を抑制するものである。また、樹脂部材14が複数の球状粒子13の位置を固定することによって、第1ネック構造16aの破壊を低減し、ひいては第1無機絶縁層11aのクラックの発生を低減することができる。
この樹脂部材14は、上述した第1樹脂層10aの樹脂部の一部が第1無機絶縁層11aの一主面の開口を介して開気孔である第1間隙G1に充填されることによって、形成されたものである。この樹脂部材14は、第1樹脂層10aの樹脂部と同様の材料によって形成され、第1樹脂層10aの樹脂部と同様の物性を有する。なお、樹脂部材14は、第1フィラー粒子12aを含んでいても構わないし、第1フィラー粒子12aを含んでいなくても構わない。
板状粒子15は、一般的に樹脂材料よりも硬度や強度の高い無機絶縁材料からなるとともに、球状粒子13を介して互いに接続している。ここで、第1無機絶縁層11aにクラックが生じた場合に、板状粒子15にクラックが達すると、板状粒子15自体は硬度や強度が高くクラックが生じにくいため、クラックが伸長するためには、板状粒子15の表面に沿って迂回する必要がある。一方、板状粒子15は球状粒子13と比較して主面が平面状であるため、クラックが板状粒子15の表面に沿って迂回をするためには大きなエネルギーが必要となり、ひいてはクラックの伸長を低減することができる。また、板状粒子15の主面が平面状であるため、板状粒子15の主面を起点としたクラックの発生を低減することができる。
さらに、この板状粒子15の幅は、球状粒子13の粒径よりも大きい。このように第1無機絶縁層11aは、球状粒子13の粒径よりも幅の大きい板状粒子15を含むため、クラックが板状粒子15の表面に沿って迂回をするためにはより大きなエネルギーが必要となり、ひいてはクラックの伸長を良好に抑制することができる。
この板状粒子15は、マイカ(雲母)、タルク、ハイドロタルサイトまたは合成スメクタイトなどの無機絶縁材料を用いることができ、中でもマイカを用いることが望ましい。その結果、薄く平らな板状粒子15を得ることができる。
板状粒子15は、図1(b)に示すように、第1無機絶縁層11aの厚み方向に沿った断面にて、細長形状である。この細長形状の長手方向の長さを板状粒子15の幅とし、板状粒子15の幅に垂直な方向の長さを、板状粒子15の厚みとする。
なお、板状粒子15の幅および厚みは、第1無機絶縁層11aの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、この撮影した拡大断面にて各板状粒子15の幅および厚みを測定し、この測定値の平均値を算出することによって、測定される。
また、板状粒子15は、図1(b)に示すように、板状粒子15の長手方向における端部が曲面状となっている。その結果、端部に加わる応力を分散させることができる。なお、板状粒子15の長手方向における端部は、曲面状でなくても構わない。
この板状粒子15の幅は、例えば1μm以上20μm以下に設定され、また、球状粒子13の粒径の例えば10倍以上2000倍以下に設定されている。また、板状粒子15の厚みは、例えば0.2μm以上3μm以下に設定され、また、球状粒子13の粒径の例えば4倍以上300倍以下に設定されている。また、板状粒子15のアスペクト比(幅/厚み)は、3以上100以下に設定されている。
また、板状粒子15は、図3(a)に示すように、第1絶縁層10aの平面方向(XY平面方向)に沿った断面にて、多角形状または円形状である。多角形状である場合、その角部は曲線状であることが望ましい。この断面にて、板状粒子15の最大幅は、例えば1μm以上25μm以下に設定されている。
また、板状粒子15は、と第2ネック構造16bを介して隣接する球状粒子13接続しており、この球状粒子13を介して隣接する板状粒子15と接続している。その結果、粒径が小さく他の粒子との接続強度が高い球状粒子13を介在させることによって、板状粒子15同士を強固に接続させることができる。
第2ネック構造16bは、隣接する球状粒子13と板状粒子15とを接続する構造であり、球状粒子13および板状粒子15の表面の一部の領域に形成されている。第2ネック構造16bを介して接続した球状粒子13および板状粒子15は、それぞれ第2ネック構造16bに向かって幅が小さくなっており、第2ネック構造16bは括れ形状をなしている。このような第2ネック構造16bを介して球状粒子13と板状粒子15とを接続しているため、第1無機絶縁層11aに開気孔の第1間隙G1を良好に形成することができる。
ここで、第1ネック構造16aの幅は、第2ネック構造16bの幅よりも大きい。その結果、球状粒子13が互いに接続してなる骨格構造をより強固にすることができ、第1無機絶縁層11aの剛性を高めることができる。なお、第1ネック構造16aの幅は、例え
ば3nm以上25nm以下に設定されており、第2ネック構造16bの幅は、例えば3nm以上15nm以下に設定されている。
板状粒子15のヤング率は、例えば10GPa以上30GPa以下に設定され、また、球状粒子13のヤング率の0.1倍以上0.4倍以下に設定されている。また、板状粒子15の厚み方向の熱膨張率は、例えば10ppm/℃以上30ppm/℃以下に設定され、平面方向への熱膨張率は、例えば6ppm/℃以上11ppm/℃以下に設定され、また、球状粒子13の厚み方向および平面方向への熱膨張率の10倍以上50倍以下に設定されている。
本実施形態においては、複数の板状粒子15の間には開気孔の第2間隙G2が形成されている。この第2間隙G2は、第1無機絶縁層11aの両主面の開口を介して第1無機絶縁層11aの外部と通じるとともに第1間隙G1と通じており、第2間隙G2には樹脂部材14が充填されている。この第2間隙G2は、球状粒子13を介して互いに接続した複数の板状粒子15の間に形成されており、その大きさは板状粒子15と略同一である。この第2間隙G2の幅は、例えば1μm以上20μm以下に設定される。
一方、第1無機絶縁層11a上に設けられる第2樹脂層10bは、第1無機絶縁層11aと導電層18との間の熱応力を緩和する機能および第1無機絶縁層11aのクラックに起因した導電層18の断線を低減する機能を有するものであり、一主面が第1無機絶縁層11aと当接し、他主面が導電層18と当接している。この第2樹脂層10bは、例えば樹脂部と、この樹脂部に被覆されて互いに離れるように分散した第2フィラー粒子12bとを含んでいる。
また、第2樹脂層10bは、厚みが例えば0.1μm以上5μm以下に設定され、ヤング率が例えば0.05GPa以上5GPa以下に設定され、厚み方向および平面方向への熱膨張率が例えば20ppm/℃以上100ppm/℃以下に設定されている。
この第2樹脂層10bは、本実施形態のように、第1樹脂層10aおよび第1無機絶縁層11aと比較して、厚みが小さく設定され、且つヤング率が低く設定されていることが望ましい。この場合、薄く弾性変形しやすい第2樹脂層10bによって、第1無機絶縁層11aと導電層18との熱膨張量の違いに起因した熱応力が緩和される。したがって、第1無機絶縁層11aから導電層18が剥離することが抑制され、導電層18の断線を低減することができ、ひいては電気的信頼性に優れた配線基板3を得ることが可能となる。
第2樹脂層10bの樹脂部は、第2樹脂層10bの主要部をなすものであり、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂またはポリイミド樹脂等の樹脂材料からなる。中でも、第2樹脂層10bの靱性や第1無機絶縁層11aとの接着強度の観点から、エポキシ樹脂を用いることが望ましい。
第2樹脂層10bの第2フィラー粒子12bは、第2樹脂層10bの難燃性を高める機能や後述する取り扱い時に積層シート同士が接着してしまうことを抑制する機能を有し、例えば酸化ケイ素等の無機絶縁材料により形成することができる。この第2フィラー粒子12bの粒径は、例えば0.05μm以上0.7μm以下に設定されている。第2樹脂層10bにおける第2フィラー粒子12bの含有割合は、例えば0体積%以上10体積%以下に設定されている。
一方、基体7には、この基体7を厚み方向に貫通し、例えば直径が0.1mm以上1mm以下の円柱状であるスルーホールTが設けられている。スルーホールTの内部には、スルーホール導体8がスルーホールTの内壁に沿って筒状に形成されている。スルーホール
導体8は、コア基板5の上下のビルドアップ層6を電気的に接続するものである。スルーホール導体8は、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロム等の導電材料により形成することができる。スルーホール導体8の各方向の熱膨張率は、例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
筒状に形成されたスルーホール導体8の中空部には、絶縁体9が柱状に形成されている。絶縁体9は、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂材料により形成することができる。
(ビルドアップ層)
一方、コア基板5の上下面には、上述した如く、一対のビルドアップ層6が形成されている。
一対のビルドアップ層6のうち、一方のビルドアップ層6は電子部品2に対してバンプ4を介して接続され、他方のビルドアップ層6は、図示しない接合材を介して図示しない外部配線基板と接続される。
各ビルドアップ層6は、図1(a)に示すように、基体7上に交互に積層された複数の絶縁層17および複数の導電層18と、絶縁層17を厚み方向に貫通したビア孔V内に配されたビア導体19とを含んでいる。また、導電層18およびビア導体19は、互いに電気的に接続されており、接地用配線、電力供給用配線および/または信号用配線を構成している。
絶縁層17は、導電層18の支持部材として機能するとともに、互いに離れた導電層18同士の絶縁部材として機能するものである。この絶縁層17は、第3樹脂層10cと、第3樹脂層10c上に積層された第2無機絶縁層11bと、第2無機絶縁層11b上に積層された第4樹脂層10dとを含んでいる。
第3樹脂層10cは、第2樹脂層10dまたは第4樹脂層10dと第2無機絶縁層11bとを接着するとともに、平面視で離間した導電層18同士の間に配されて短絡を防止するものである。第3樹脂層10cは、例えば樹脂部と、この樹脂部に被覆され、互いに離れるように分散した第3フィラー粒子12cとを含んでいる。
第3樹脂層10cの厚みは、例えば3μm以上30μm以下に設定され、第3樹脂層10cのヤング率は、例えば0.2GPa以上20GPa以下に設定される。また、第3樹脂層10cの厚み方向および平面方向への熱膨張率は、例えば20ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定されている。
第3樹脂層10cの樹脂部は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂により形成することができる。中でも、第3樹脂層10cの靱性や第2無機絶縁層11bとの接着強度の観点から、エポキシ樹脂を用いることが望ましい。
第3樹脂層10cの第3フィラー粒子12cは、第1フィラー粒子12aと同様の材料により形成することができ、第3樹脂層10cの熱膨張率を低減するとともに、第3樹脂層10cの剛性を高めることができる。
第2無機絶縁層11bは、第3樹脂層10c上に形成され、上述した基体7に含まれる
第1無機絶縁層11aと同様の構成を有しており、その結果、第1無機絶縁層11aと同様の効果を奏する。なお、第2無機絶縁層11bの樹脂部材14は、第3樹脂層10cの樹脂部の一部が配されてなる。
第4樹脂層10dは、第2無機絶縁層11b上に形成され、上述した基体7に含まれる第2樹脂層10bと同様の構成を有しており、その結果、第2樹脂層10bと同様の効果を奏する。なお、第4樹脂層10dは、第2フィラー粒子12bと同様の構成および作用効果を有する第4フィラー粒子12dを含んでいる。
複数の導電層18は、それぞれの第4樹脂層10d上に部分的に形成され、厚み方向または平面方向に互いに離れており、側面および上面が第3樹脂層10cに接着している。この導電層18は、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロム等の導電材料により形成することができる。また、導電層18の厚みは、例えば3μm以上20μm以下に設定され、導電層18の熱膨張率は、例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
ビア導体19は、厚み方向に互いに離間した導電層18同士を電気的に接続するものであり、コア基板5に向って幅狭となる柱状に形成されている。ビア導体19は、ビア孔Vの内壁に被着しており、望ましくはビア孔V内に充填されている。このビア導体19は、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケルまたはクロム等の導電材料により形成することができ、ビア導体19の各方向への熱膨張率は、例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
次に、上述した本実施形態の実装構造体1において、第1無機絶縁層11aについて詳細に説明する。
(第1無機絶縁層)
第1無機絶縁層11aは、上述した如く、一部が互いに接続した複数の球状粒子13と、この複数の球状粒子13に囲まれた第1間隙G1に配された樹脂部材14と、球状粒子13を介して互いに接続した複数の板状粒子15とを含んでいる。
その結果、一部が互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の球状粒子13によって、第1無機絶縁層11aの剛性を高めつつ、この複数の球状粒子13に囲まれた第1間隙G1に配された樹脂部材14によって、第1無機絶縁層11aに加わった応力を緩和し、第1無機絶縁層11aにおけるクラックの発生を低減することができる。さらに、球状粒子13を介して互いに接続した無機絶縁材料からなるとともに球状粒子13の粒径よりも幅が大きい板状粒子15によって、第1無機絶縁層11aにおけるクラックの伸長を低減することができる。その結果、電気的信頼性に優れた配線基板3を得ることができる。
また、複数の板状粒子15それぞれの平面方向と第1無機絶縁層11aの平面方向(XY平面方向)とがなす角度の平均値は、45°よりも小さい。その結果、第1無機絶縁層11aに対して複数の板状粒子15を平行に近くなるように配することができるため、第1無機絶縁層11aの厚み方向に沿ったクラックを良好に低減することができる。この角度の平均値は、30°以下に設定されていることが望ましい。
なお、この角度は、第1無機絶縁層11aの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、この撮影した拡大断面にて各板状粒子15の主面に平行な仮想線と第1無機絶縁層11aの主面に平行な仮想線との角度(負の値については絶対値をとって、0°〜180°の範囲とする)を測定し、この測定値の平均値を算出することによって、測定される。
ここで、便宜上、第1無機絶縁層11aにおいて、第1無機絶縁層11aの一主面S1を含む領域を第1層領域L1とし、第1無機絶縁層11aの他主面S2を含む領域を第2層領域L2とする。本実施形態において、各層領域L1、L2の厚みは、同じであり、それぞれ第1無機絶縁層11aの厚みの1/2に設定されている。
本実施形態において、第2層領域L2における複数の板状粒子15それぞれの平面方向と第1無機絶縁層11aの平面方向とがなす角度の平均値は、第1層領域L1における複数の板状粒子15それぞれの平面方向と第1無機絶縁層11aの平面方向とがなす角度の平均値よりも小さい。その結果、第1無機絶縁層11aの他主面S2の近傍領域において、第1無機絶縁層11aに対して複数の板状粒子15を平行に近くなるように配することができるため、第1無機絶縁層11a外から第1無機絶縁層11aの他主面S2を介して第1無機絶縁層11a内へクラックが伸長することを抑制できる。
特に、本実施形態においては、一対のビルドアップ層6のうち、電子部品2が実装される実装領域を含むビルドアップ層6に第1無機絶縁層11aが含まれていることから、第1無機絶縁層11aの両主面S1、S2のうち、実装領域側に配された他主面S2の近傍領域において、電子部品2の実装に起因したクラックが第1無機絶縁層11a内へ伸長することを抑制することができ、ひいてはこのクラックが第1無機絶縁層11aを介して導電層18に達して導電層18が断線することを低減できる。
また、本実施形態において、樹脂部材14は、一主面S1側の第1樹脂層10aの一部が第1間隙G1および第2間隙G2に充填されてなることから、第1層領域L1における複数の板状粒子15それぞれの平面方向と第1無機絶縁層11aの平面方向とがなす角度の平均値を大きくすることによって、一主面S1における開口を増加させて、第1樹脂層10aの一部を第1間隙G1および第2間隙G2に効率良く充填させることができる。
また、本実施形態において、板状粒子15のヤング率は、球状粒子13のヤング率よりも小さい。その結果、配線基板3に反りが生じた場合に、板状粒子15が弾性変形することによって、第1無機絶縁層11aに加わる応力を緩和し、第1無機絶縁層11aにおけるクラックの発生を低減できる。また、板状粒子15の平面方向が第1無機絶縁層11aの平面方向に平行であると、第1無機絶縁層11aに加わる応力をより緩和することができる。また、板状粒子15の幅が球状粒子13の粒径よりも大きいと、第1無機絶縁層11aに加わる応力をより緩和することができる。
次に、上述した本実施形態の実装構造体1において、第2無機絶縁層11bについて詳細に説明する。
(第2無機絶縁層)
本実施形態の第2無機絶縁層11bは、第1無機絶縁層11aと同様の構成および効果を有している。
また、本実施形態の第2無機絶縁層11bにおいては、図3(b)に示すように、板状粒子15の一端部が、ビア孔V(貫通孔)の内壁からビア導体19(貫通導体)に向かって突出して突出部20をなしており、この突出部20が、ビア導体19に覆われている。その結果、アンカー効果によって、第2無機絶縁層11bとビア導体19との密着強度を高めることができる。この突出部20の高さは、例えば1μm以上8μm以下に設定されている。
かくして、上述した実装構造体1は、配線基板3を介して供給される電源や信号に基づ
いて電子部品2を駆動もしくは制御することにより、所望の機能を発揮する。
次に、上述した実装構造体1の製造方法を、図4から図6に基づいて説明する。
<実装構造体の製造方法>
実装構造体1の製造方法は、コア基板5の作製工程と、ビルドアップ層6の形成工程と、電子部品2の実装工程とからなっている。
(コア基板の作製工程)
(1)球状粒子13および板状粒子15を含む固形分と、この固形分が分散した溶剤とを有する無機絶縁ゾル11xを準備する。
無機絶縁ゾル11xは、例えば、固形分を10%体積以上50体積%以下含み、溶剤を50%体積以上90体積%以下含む。これにより、無機絶縁ゾル11xの粘度を低く保持しつつ、無機絶縁ゾル11xから形成される無機絶縁層の生産性を高く維持できる。
無機絶縁ゾル11xの固形分は、例えば、球状粒子13を20体積%以上90体積%以下含み、板状粒子15を10体積%以上80体積%以下含む。これにより、後述する(3)の工程にて第1無機絶縁層11aにおけるクラックの発生を効果的に低減できる。
なお、球状粒子13は、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)等のケイ酸化合物を精製し、化学的に酸化ケイ素を析出させることによって、作製することができる。この場合、低温条件下で球状粒子13を作製することができるため、アモルファス状態である球状粒子13を作製することができる。また、球状粒子13の粒径は、酸化ケイ素の析出時間を調整することによって調整され、具体的には、析出時間を長くするほど球状粒子13の粒径は大きくなる。
また、板状粒子15は、例えば、天然または合成によって得られたマイカを湿式または乾式で粉砕した後、大気中または水中で分級することによって、作製することができる。
無機絶縁ゾル11xに含まれる溶剤は、例えばメタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、および/またはこれらから選択された2種以上の混合物を含んだ有機溶剤を使用することができる。
(2)次に、図4(a)および(b)に示すように、銅等の導電材料により形成された金属箔21と、この金属箔21の一主面に形成された第2樹脂層10bとを備えた樹脂付き金属箔を準備し、第2樹脂層10cの露出した一主面に無機絶縁ゾル11xを塗布する。
樹脂付き金属箔は、金属箔21にバーコーター、ダイコーターまたはカーテンコーターなどを用いて樹脂ワニスを塗布し、乾燥することにより、形成することができる。本工程にて形成された第2樹脂層10bは、例えばBステージまたはCステージである。
無機絶縁ゾル11xの塗布は、例えば、ディスペンサー、バーコーター、ダイコーターまたはスクリーン印刷を用いて行うことができる。このとき、上述した如く、無機絶縁ゾル11xの固形分が50体積%以下に設定されていることから、無機絶縁ゾル11xの粘度が低く設定され、塗布された無機絶縁ゾル11xの平坦性を高めることができる。
また、球状粒子13の粒径は、上述したように、3nm以上に設定されているため、これによっても無機絶縁ゾル11xの粘度が良好に低減され、塗布された無機絶縁ゾル11xの平坦性を向上させることができる。
(3)続いて、無機絶縁ゾル11xを乾燥させて溶剤を蒸発させる。
ここで、溶剤の蒸発に伴って無機絶縁ゾル11xが収縮するが、かかる溶剤は球状粒子13および板状粒子15の第1間隙G1に含まれており、球状粒子13および板状粒子15自体には含まれていない。このため、無機絶縁ゾル11xが幅の大きい板状粒子15を含んでいると、その分、溶剤が充填される領域が少なくなり、無機絶縁ゾル11xの溶剤の蒸発時に、無機絶縁ゾル11xの収縮量が小さくなる。すなわち、板状粒子15によって無機絶縁ゾル11xの収縮が低減されることとなる。その結果、無機絶縁ゾル11xの収縮に起因するクラックの発生を低減することができる。また、仮にクラックが生じても、板状であって幅が大きい板状粒子15によってクラックの伸長を妨げることができる。
無機絶縁ゾル11xの乾燥は、例えば加熱および風乾により行われる。乾燥温度が、例えば、20℃以上溶剤の沸点(2種類以上の溶剤を混合している場合には、最も沸点の低い溶剤の沸点)未満に設定され、乾燥時間が、例えば20秒以上30分以下に設定されており、特に2分以上30分以下に設定されていることが望ましい。その結果、溶剤の沸騰が低減され、沸騰の際に生じる気泡の圧力によって球状粒子13および板状粒子15が押し出されることが抑制され、粒子の分布をより均一にするとともに、板状粒子15を第1無機絶縁層11aの主面と平行になるように配置することができる。なお、乾燥温度を低くしつつ乾燥時間を長くすることによって、板状粒子15を第1無機絶縁層11aの主面に対して平行に近くすることができる。
また、無機絶縁ゾル11xは、第2樹脂層10cとの界面においては、重力によって、板状粒子15がこの界面と平行になりやすい。一方、無機絶縁ゾル11xは、第2樹脂層10cと反対側で露出した表面においては、その下方に位置する板状粒子15の分布のばらつきによる影響や溶剤の対流の影響を受けて、板状粒子15が露出した表面と平行になりにくい。その結果、第1無機絶縁層11の他主面S2近傍に配された板状粒子15を、一主面S1近傍に配された板状粒子15よりも、第1無機絶縁層11と平行に近くなるように形成することができる。
ここで、無機絶縁ゾル11xを乾燥させた後に残存した無機絶縁ゾル11xの固形分においては、隣接する球状粒子13同士が近接点で接触するとともに複数の球状粒子13の間に第1間隙G1が形成され、また、隣接する板状粒子15同士が近接点で球状粒子13を介して接続するとともに複数の板状粒子15の間に第2間隙G2が形成される。なお、無機絶縁ゾル11xにおける球状粒子13と板状粒子15との含有割合を適宜調節することによって、第2間隙G2の大きさを調節することができる。例えば、球状粒子13の含有割合を小さくすると、第2間隙G2を大きくすることができる。
(4)図4(c)に示すように、残存した無機絶縁ゾル11xの固形分を加熱して、球状粒子13同士を、第1ネック構造16aを介して接続し、球状粒子13と板状粒子15とを第2ネック構造16bを介して接続する。
ここで、本実施形態の無機絶縁ゾル11xは、粒径が110nm以下に設定された球状粒子13を有している。その結果、無機絶縁ゾル11xの加熱温度が比較的低温、例えば、球状粒子13の結晶化開始温度未満、さらには、第2樹脂層10bの熱分解開始温度未満と低温であっても、球状粒子13同士を強固に接続させることができる。なお、無機絶縁ゾル11xを加熱して球状粒子13同士を接続させる際には、球状粒子13および板状粒子15も接続される。
この球状粒子13同士を強固に接続させることができる温度は、例えば、球状粒子13の粒径を110nm以下に設定した場合は250℃程度であり、粒径を15nm以下に設定した場合は150℃程度である。また、球状粒子13に含まれる酸化ケイ素の結晶化開始温度は1300℃程度である。また、第2樹脂層10bがエポキシ樹脂からなる場合、その熱分解開始温度は280℃程度である。この熱分解開始温度は、ISO11358:1997に準ずる熱重量測定において、樹脂の質量が5%減少する温度である。
このように低温で加熱することによって、球状粒子13および板状粒子15の粒子形状を保持しつつ、球状粒子13同士を近接領域のみで接続させるとともに、球状粒子13と板状粒子15とを近接領域のみで接続させることができる。その結果、第1ネック構造16aおよび第2ネック構造16bを形成しつつ、球状粒子13同士および球状粒子13と板状粒子15とを接続させることができ、ひいては複数の球状粒子13の間に開気孔の第1間隙G1を容易に形成することができるとともに、板状粒子15の間に開気孔の第2間隙G2を容易に形成することができる。
また、無機絶縁ゾル11xの加熱温度が、球状粒子13の結晶化開始温度未満に設定されていると、結晶化した粒子が相転移によって収縮することを低減し、第1無機絶縁層11aにおけるクラックの発生を低減できる。また、無機絶縁ゾル11xの加熱温度が、第2樹脂層10bの熱分解開始温度未満に設定されていると、第2樹脂層10bの特性低下を抑制することができる。
また、無機絶縁ゾル11xの加熱温度は、残存した溶剤を蒸発させるため、溶剤の沸点以上で行うことが望ましい。
無機絶縁ゾル11xの加熱温度は、例えば100度以上700度未満に設定され、無機絶縁ゾル11xの加熱時間は、例えば0.5時間以上24時間以下に設定されている。
以上のようにして、コア基板5の作製に用いる積層シート22を作製することができる。
(5)図4(d)に示すような第1樹脂前駆体シート10axを準備し、第1樹脂前駆体シート10axの上下に積層シート22を積層し、この積層体を上下方向に加熱加圧することにより、図4(e)に示すように、第1樹脂前駆体シート10axを硬化させて第1樹脂層10aを形成するとともに、第1樹脂層10aの樹脂部の一部を第1間隙G1および第2間隙G2に充填する。
第1樹脂前駆体シート10axは、第1樹脂層10aを構成する上述した未硬化の熱硬化性樹脂により形成される。なお、未硬化は、ISO472:1999に準ずるA−ステージまたはB−ステージの状態である。
積層シート22は、金属箔21および第2樹脂層12aと第1樹脂前駆体シート10axとの間に第1無機絶縁層11aが介在されるように積層される。
積層体の加熱温度は、第1樹脂前駆体シート10axの硬化開始温度以上熱分解温度未満に設定されている。具体的には、第1樹脂前駆体シートがエポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂またはポリフェニレンエーテル樹脂からなる場合であれば、加熱温度が例えば170℃以上230℃以下に設定される。また、前記積層体の圧
力は、例えば2MPa以上3MPa以下に設定され、加熱時間および加圧時間は、例えば0.5時間以上2時間以下に設定されている。
なお、硬化開始温度は、樹脂が、ISO472:1999に準ずるC−ステージの状態となる温度である。また、熱分解温度は、ISO11358:1997に準ずる熱重量測定において、樹脂の質量が5%減少する温度である。
(6)図4(f)に示すように、基体7を厚み方向に貫通するスルーホール導体8およびスルーホール導体8の内部に絶縁体9を形成し、しかる後、基体7上にスルーホール導体8に接続される導電層18を形成する。
スルーホール導体8および絶縁体9は、以下のように形成される。まず、例えばドリル加工等により、基体7および金属箔21を厚み方向に貫通したスルーホールTを複数形成する。次に、例えば無電解めっき、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法等により、スルーホールの内壁に導電材料を被着させることにより、円筒状のスルーホール導体8を形成する。次に、円筒状のスルーホール導体8の内部に、樹脂材料等を充填することにより、絶縁体9を形成する。
また、導電層18は、以下のように形成される。まず、金属箔21に形成されたスルーホールT内より露出する絶縁体9およびスルーホール導体8上に、例えば無電解めっき法、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法等により、金属箔21と同じ金属材料からなる金属層を被着させる。次に、フォトリソグラフィー技術、エッチング等を用いて金属箔21および金属層をパターニングすることにより、導電層18を形成する。なお、金属箔21を一旦剥離させた後、金属層を基体7上に形成し、この金属層をパターニングして導電層18を形成してもよい。
以上のようにして、コア基板5を作製することができる。
(ビルドアップ層の形成工程)
(7)図5(a)に示すように、金属箔21、第4樹脂層10d、第2無機絶縁層11bおよび第3樹脂前駆体シート10cxを含む積層シート22を作製した後、図5(b)に示すように、コア基板5の上下面それぞれに第3樹脂前駆体シート10cxを介して積層シート22を積層し、この積層体を工程(5)と同様に上下方向に加熱加圧することにより、第3樹脂前駆体シート10cxの樹脂部を硬化させて第3樹脂層10cを形成する。
本工程の積層シート22は、以下のように作製される。まず、工程(1)〜(4)と同様に、金属箔21上に第4樹脂層10dおよび第2無機絶縁層11bを順次作製する。次に、第2無機絶縁層11b上に未硬化の樹脂部を含む第3樹脂前駆体シート10cxを積層する。次に、第3樹脂前駆体シート10cxの樹脂部の硬化開始温度未満にて、この積層体を上下方向に加熱加圧することによって、第3樹脂前駆体シート10cxの未硬化の樹脂部の一部を第2無機絶縁層11bの第1間隙G1および第2間隙G2に充填し、樹脂部材14を形成する。以上のようにして、ビルドアップ層6の形成に用いる積層シート22を作製することができる。
(8)図5(c)および図6(a)に示すように、第2無機絶縁層11bから金属箔21を剥離した後、第3樹脂層10cおよび第2無機絶縁層11bを厚み方向に貫通するビア導体19を形成するとともに、第2無機絶縁層11b上に導電層18を形成する。
金属箔21の剥離は、例えば硫酸および過酸化水素水の混合液、塩化第二鉄溶液または
塩化第二銅溶液等を用いたエッチング法によって行うことができる。
ビア導体19および導電層18は、具体的に次のように形成される。まず、例えばYAGレーザー装置または炭酸ガスレーザー装置により、第3樹脂層10cおよび第2無機絶縁層11bを貫通するビア孔Vを形成する。次に、例えばセミアディティブ法、サブトラクティブ法またはフルアディティブ法等により、ビア孔V内にビア導体19を形成するとともに第2無機絶縁層11b上に導電材料を被着させて導電層18を形成する。なお、この導電層18は、第2無機絶縁層11bから金属箔21を剥離せず、この金属箔21をパターニングすることにより形成してもよい。
ここで、上述したレーザー加工を用いてビア孔Vを形成することによって、ビア孔V内に板状粒子15の端部を良好に突出させ、突出部20を形成することができる。
(9)図6(b)に示すように、(7)および(8)の工程を繰り返すことにより、コア基板5の上下にビルドアップ層6を形成する。なお、本工程を繰り返すことにより、ビルドアップ層6をより多層化することができる。
以上のようにして、配線基板3を作製することができる。
(電子部品の実装工程)
(10)配線基板3に対してバンプ4を介して電子部品2をフリップチップ実装することにより、図1(a)に示した実装構造体1を作製することができる。
なお、電子部品2は、ワイヤボンディングにより配線基板3と電気的に接続してもよいし、あるいは、配線基板3に内蔵させてもよい。
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、改良、組合せ等が可能である。
上述した実施形態においては、本発明を配線基板に適用した例について説明したが、配線基板に限らず、上述した無機絶縁層を有する全ての構造体に適用可能である。例えば、上述した無機絶縁層は、硬度が高く、且つ容易に作製できるため、金属、プラスチック、または木材の表面保護膜または装飾材料として使用できる。この場合、耐スクラッチ性(表面へのひっかき傷の入りにくさ)に優れた表面が得られる。また、板状粒子として着色したマイカ粉末を用いることで、真珠光沢のある装飾性の高い表面を得ることができる。
また、上述した本発明の実施形態においては、本発明に係る配線基板の例としてコア基板およびビルドアップ層からなるビルドアップ多層基板を挙げたが、本発明に係る配線基板の例としては、ビルドアップ多層基板以外にも、例えば、インターポーザー基板、コアレス基板またはコア基板のみからなる単層基板やセラミック基板、金属基板、金属板を含んだコア基板も含まれる。
また、上述した本発明の実施形態においては、コア基板およびビルドアップ層の双方が無機絶縁層を備えていたが、配線基板はコア基板またはビルドアップ層の少なくともいずれか一方が無機絶縁層を備えていればよい。
また、上述した本発明の実施形態においては、配線基板が第2樹脂層および第4樹脂層を有していたが、第2樹脂層および第4樹脂層を有していなくてもよい。この場合、第1無機絶縁層および第2無機絶縁層は、導電層と直接当接する。このような第1無機絶縁層および第2無機絶縁層は、金属箔上に直接無機絶縁ゾルを塗布することで、形成される。
また、上述した本発明の実施形態においては、第1樹脂層および第3樹脂層が熱硬化性樹脂により形成されていたが、第1樹脂層および第3樹脂層の少なくとも一方、もしくは双方が熱可塑性樹脂により形成されていても構わない。この熱可塑性樹脂としては、例えばフッ素樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリイミド樹脂等を用いることができる。
また、上述した本発明の実施形態においては、第1無機絶縁層は第1間隙および第2間隙を有していたが、第1無機絶縁層は第1間隙を有していれば良く、第2間隙を有していなくても構わない。第1無機絶縁層が第2間隙を有さない構成は、無機絶縁ゾル11xにおける球状粒子13の含有割合を増やすとともに無機絶縁ゾル11xの乾燥温度を低下させつつ乾燥時間を長くすることによって、形成することができる。
また、上述した本発明の実施形態においては、第1無機絶縁層の第1間隙および第2間隙に配された樹脂部材は、第1樹脂層の樹脂部の一部であったが、この樹脂部材は、第1樹脂層の樹脂部とは異なる樹脂からなるものを用いても構わない。この場合、工程(4)の後、第1間隙および第2間隙に液状樹脂を充填した後、工程(5)を行なえばよい。第2無機絶縁層においても、この第1無機絶縁層と同様の構成および製法を用いることができる。
また、上述した本発明の実施形態においては、板状粒子の一端部からなる突出部がビア孔の内壁に形成されていたが、スルーホール(貫通孔)の内壁に突出部が形成され、突出部がスルーホール導体(貫通導体)に覆われていても構わない。このような構成は、スルーホールをレーザー加工で形成することによって、作製できる。
また、上述した本発明の実施形態においては、金属箔を有する積層シートを用いたが、積層シートは、第1および第2無機絶縁層を形成するための支持部材を含んでいれば良く、この支持部材としては、例えばフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムを用いても構わない。
また、上述した本発明の実施形態においては、工程(3)における溶剤の蒸発と工程(4)における固形分の加熱を別々に行っていたが、工程(3)と工程(4)を同時に行っても構わない。
また、上述した本発明の実施形態においては、工程(7)にて未硬化の樹脂部を含む第3樹脂前駆体シートを第2無機絶縁層上に積層したが、未硬化の液状樹脂を含む第3樹脂前駆体を第2無機絶縁層に塗布し、第3樹脂前駆体を第2無機絶縁層の第1間隙および第2間隙に含浸させて、樹脂部材を形成しても構わない。
1 実装構造体
2 電子部品
3 配線基板
4 バンプ
5 コア基板
6 ビルドアップ層
7 基体
8 スルーホール導体
9 絶縁体
10a 第1樹脂層
10ax 第1樹脂前駆体シート
10b 第2樹脂層
10c 第3樹脂層
10cx 第3樹脂前駆体シート
10d 第4樹脂層
11a 第1無機絶縁層
11b 第2無機絶縁層
11x 無機絶縁ゾル
12a 第1フィラー粒子
12b 第2フィラー粒子
12c 第3フィラー粒子
12d 第4フィラー粒子
13 球状粒子
14 樹脂部材
15 板状粒子
16a 第1ネック構造
16b 第2ネック構造
17 絶縁層
18 導電層
19 ビア導体
20 突出部
21 金属箔
22 積層シート
T スルーホール
G 間隙

Claims (7)

  1. 一部が互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の球状粒子と、該複数の球状粒子の間隙に配された樹脂部材と、前記球状粒子を介して互いに接続した無機絶縁材料からなる複数の板状粒子とを有する無機絶縁層を備え、
    前記板状粒子の幅は、前記球状粒子の粒径よりも大きいことを特徴とする配線基板。
  2. 請求項1に記載の配線基板において、
    前記複数の板状粒子それぞれの平面方向と前記無機絶縁層の平面方向とがなす角度の平均値は、45°よりも小さいことを特徴とする配線基板。
  3. 請求項2に記載の配線基板において、
    前記無機絶縁層は、前記無機絶縁層の一主面を含む第1層領域と、前記無機絶縁層の他主面を含む第2層領域とを有し、
    前記第2層領域における前記複数の板状粒子それぞれの平面方向と前記無機絶縁層の平面方向とがなす角度の平均値は、前記第1層領域における前記複数の板状粒子それぞれの平面方向と前記無機絶縁層の平面方向とがなす角度の平均値よりも小さいことを特徴とする配線基板。
  4. 請求項3に記載の配線基板において、
    前記無機絶縁層の前記一主面上に配された樹脂層をさらに備え、
    前記樹脂部材は、前記樹脂層の一部が前記間隙に配されてなることを特徴とする配線基板。
  5. 請求項1に記載の配線基板において、
    前記板状粒子のヤング率は、前記球状粒子のヤング率よりも小さいことを特徴とする配線基板。
  6. 請求項1に記載の配線基板において、
    前記無機絶縁層を厚み方向に貫通する貫通孔内に配された貫通導体をさらに備え、
    前記板状粒子の一端部は、前記貫通孔の内壁から前記貫通導体に向かって突出しており、該突出した一端部は、前記貫通導体に覆われていることを特徴とする配線基板。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の配線基板と、該配線基板に実装された電子部品とを備えたことを特徴とする実装構造体。
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