JP6096538B2 - 配線基板、これを用いた実装構造体および配線基板の製造方法 - Google Patents

配線基板、これを用いた実装構造体および配線基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子機器(たとえば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ機器およびその周辺機器)に使用される配線基板、これを用いた実装構造体および配線基板の製造方法に関するものである。
従来、電子部品を配線基板に実装してなる実装構造体が、電子機器に用いられている。
この配線基板として、例えば、特許文献1には、フィラーが分散された樹脂からなる絶縁層とこの絶縁層の上に形成された配線層(導電層)とを備えた配線基板が記載されている。
一般的に、このような配線基板は電子部品よりも熱膨張率が大きいため、電子部品の実装時や作動時に熱が実装構造体に加わると、配線基板と電子部品との熱膨張量の違いに起因した熱応力が配線基板に加わって、配線基板が反ることがある。その結果、配線基板と電子部品との接続部に応力が加わるため、配線基板と電子部品との接続信頼性が低下し、実装構造体の電気的信頼性が低下しやすくなる。
したがって、電子部品との接続信頼性に優れた配線基板を提供することが望まれている。
特開2010−10639号公報
本発明は、電子部品との接続信頼性に優れた配線基板、これを用いた実装構造体および配線基板の製造方法を提供することによって上記要求を解決することを目的とするものである。
本発明の一形態における配線基板は、平均粒径が3nm以上110nm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有しており、かつ一部が互いに接続した複数の第1無機絶縁粒子、および該複数の第1無機絶縁粒子同士の間隙に配された樹脂部を有する無機絶縁層と、該無機絶縁層上に配された導電層とを備えるとともに、前記第1無機絶縁粒子におけるナトリウムの含有割合が、20ppm以上300ppm以下である
本発明の一形態における実装構造体は、上記配線基板と、該配線基板に実装され、前記導電層に電気的に接続された電子部品とを備える。
本発明の一形態における配線基板の製造方法は、平均粒径が3nm以上110nm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを20ppm以上300ppm以下の割合で含有した複数の第1無機絶縁粒子、および該第1無機絶縁粒子が分散した溶を含むスラリーを支持体上に塗布する工程と、前記スラリーから前記溶剤を蒸発させて、前記複数の第1無機絶縁粒子を前記支持体上に残存させる工程と、前記支持体上に残存した前記複数の第1無機絶縁粒子を加熱して、該複数の第1無機絶縁粒子同士の一部を互いに接続させる工程と、一部が互いに接続した前記第1無機絶縁粒子同士の間隙に樹脂部を形成することによって前記複数の第1無機絶縁粒子および前記樹脂部を有する無機絶縁層を形成する工程と、該無機絶縁層上に導電層を形成する工程とを備える。
本発明の一形態における配線基板によれば、複数の第1無機絶縁粒子の一部が互いに強固に接続することによって、無機絶縁層のヤング率を高め、配線基板の剛性を高めることができる。したがって、配線基板の反りを抑制し、ひいては電子部品との接続信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
本発明の一形態における実装構造体によれば、前述した配線基板を備えるため、配線基板と電子部品との接続信頼性に優れた実装構造体を得ることができる。
本発明の一形態における配線基板の製造方法によれば、複数の第1無機絶縁粒子の一部が互いに強固に接続したヤング率の高い無機絶縁層を形成することによって、剛性が高い配線基板を得ることができる。したがって、配線基板の反りを抑制し、ひいては電子部品との接続信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
(a)は、本発明の一実施形態における実装構造体を厚み方向に切断した断面図であり、(b)は、図1(a)のR1部分を拡大して示した断面図である。 図1(b)のR2部分を拡大して示した断面図である。 (a)および(b)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する断面図であり、(c)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する、図1(b)のR2部分に相当する部分を拡大して示した断面図である。 (a)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する断面図であり、(b)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する、図1(b)のR2部分に相当する部分を拡大して示した断面図である。 (a)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する断面図であり、(b)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する、図1(b)のR2部分に相当する部分を拡大して示した断面図である。 (a)ないし(d)は、図1(a)に示す実装構造体の製造工程を説明する断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る配線基板を備えた実装構造体を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置またはその周辺機器などの電子機器に使用されるものである。この実装構造体1は、電子部品2と、電子部品2が実装された配線基板3とを含んでいる。
電子部品2は、例えばICもしくはLSI等の半導体素子または弾性表面波(SAW)装置もしくは圧電薄膜共振器(FBAR)等の弾性波装置等である。この電子部品2は、配線基板3に半田等の導電材料からなるバンプ4を介してフリップチップ実装されている。電子部品2の厚みは、例えば0.1mm以上1mm以下である。また、電子部品2の各方向への熱膨張率は、例えば2ppm/℃以上14ppm/℃以下である。なお、電子部品2の熱膨張率は、市販のTMA(Thermo-Mechanical Analysis)装置を用いて、JIS
K7197−1991に準じた測定方法により測定される。以下、各部材の熱膨張率は、電子部品2と同様に測定される。
配線基板3は、電子部品2を支持するとともに、電子部品2を駆動もしくは制御するための電源や信号を電子部品2へ供給する機能を有するものである。この配線基板3は、コア基板5と、コア基板5の上下面に形成された一対のビルドアップ層6とを含んでいる。配線基板3の厚みは、例えば0.05mm以上1.5mm以下である。配線基板3の主面方向(XY平面方向)の熱膨張率は、例えば4ppm/℃以上20ppm/℃以下である。
コア基板5は、配線基板3の剛性を高めつつ一対のビルドアップ層6間の導通を図るものである。このコア基板5は、ビルドアップ層6を支持する基体7と、基体7を厚み方向に貫通したスルーホール内に配された筒状のスルーホール導体8と、スルーホール導体8に取り囲まれた柱状の絶縁体9とを含んでいる。
基体7は、配線基板3を高剛性かつ低熱膨張率とするものである。この基体7は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂と樹脂に被覆されたガラスクロス等の基材と樹脂中に分散した酸化珪素等からなるフィラー粒子とを含む。
スルーホール導体8は、一対のビルドアップ層6同士を電気的に接続するものである。このスルーホール導体8は、例えば銅等の導電材料を含んでいる。
絶縁体9は、スルーホール導体8に取り囲まれた空間を埋めるものである。この絶縁体9は、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料を含んでいる。
一方、コア基板5の上下面には、上述した如く、一対のビルドアップ層6が形成されている。一対のビルドアップ層6のうち、一方のビルドアップ層6は、バンプ3を介して電子部品2と接続し、他方のビルドアップ層6は、例えば半田ボール(図示せず)を介して外部回路と接続する。
ビルドアップ層6は、基体7上に積層された複数の絶縁層10と、基体7上または絶縁層10上に部分的に配された複数の導電層11と、絶縁層10を厚み方向に貫通した複数のビア導体12とを含んでいる。
絶縁層10は、厚み方向または主面方向に離れた導電層11同士の絶縁部材や主面方向に離れたビア導体12同士の絶縁部材として機能するものである。絶縁層10の詳細については後述する。
導電層11は、厚み方向または主面方向に互いに離れており、接地用配線、電力供給用配線または信号用配線等の配線として機能するものである。導電層11は、例えば銅等の導電材料を含んでいる。また、導電層11の厚みは、3μm以上20μm以下であり、導電層11の各方向への熱膨張率は、例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下である。また、導電層11のヤング率は、例えば70GPa以上150以下GPaである。なお、導電層11のヤング率は、MTS社製ナノインデンターXPを用いて、ISO14577−1:2002に準じた方法で測定される。以下、各部材のヤング率は、導電層11と同様に測定される。
ビア導体12は、厚み方向に互いに離れた導電層11同士を電気的に接続するものである。このビア導体12は、導電層11と同様の材料からなり、同様の特性を有する。また、ビア導体12は、コア基板5に向って幅狭となる柱状に形成されている。ビア導体12の幅は、例えば10μm以上75μm以下である。
次に、絶縁層10について詳細に説明する。
絶縁層10は、コア基板5側に配された樹脂層13と、コア基板5と反対側に配された無機絶縁層14とを含んでいる。無機絶縁層14のコア基板5と反対側の一主面の一部には、導電層11が配されており、無機絶縁層14の一主面の他の部分には、隣接する絶縁層10の樹脂層13の一部が配されている。
樹脂層13は、絶縁層10において接着部材として機能するものである。また、樹脂層13は、その一部がコア基板5側に配された導電層11同士の間に配されており、主面方向に離れた導電層11同士の絶縁部材として機能するものである。また、樹脂層13は、無機絶縁層14よりもヤング率が小さく弾性変形しやすいため、配線基板3におけるクラックの発生を抑制するものである。樹脂層13の厚みは、例えば3μm以上30μm以下である。樹脂層13のヤング率は、例えば0.2GPa以上20GPa以下である。樹脂層13の各方向への熱膨張率は、例えば20ppm/℃以上50ppm/℃以下である。
この樹脂層13は、図1(b)に示すように、樹脂15と樹脂15中に分散した複数のフィラー粒子16とを含んでいる。樹脂層13におけるフィラー粒子16の含有割合は、例えば3体積%以上60体積%以下である。なお、樹脂層13におけるフィラー粒子16の含有割合は、配線基板3の厚み方向への断面において、樹脂層13においてフィラー粒子16が占める面積の割合を含有割合(体積%)とみなすことによって測定することができる。以下、各部材における各粒子の含有割合は、フィラー粒子16と同様に測定される。
樹脂15は、樹脂層13において接着部材として機能するものである。この樹脂15は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。樹脂15のヤング率は、例えば0.1GPa以上5GPa以下である。樹脂15の各方向への熱膨張率は、例えば20ppm/℃以上50ppm/℃以下である。
フィラー粒子16は、樹脂層13を高剛性かつ低熱膨張率とするものである。このフィラー粒子16は、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していない。フィラー粒子16における酸化ケイ素の含有割合は、例えば99.9質量%(w/w)以上100質量%以下である。フィラー粒子16の平均粒径は、例えば0.5μm以上5μm以下である。フィラー粒子19のヤング率は、例えば40GPa以上90GPa以下である。フィラー粒子16の各方向への熱膨張率は、例えば0ppm/℃以上15ppm/℃以下である。
なお、フィラー粒子16におけるナトリウムの含有の有無は、配線基板3の厚み方向への断面に対し、アルバック・ファイ社製飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SI
MS)を用いて質量分析を行なうことによって判別することができる。この質量分析によ
って検出された場合にはナトリウムが含有されているとし、検出されない(検出限度以下)場合にはナトリウムが含有されていないとする。また、フィラー粒子16における酸化ケイ素の含有割合は、例えば、樹脂層13を樹脂15の熱分解温度以上の温度で加熱して樹脂15を分解した後、残存したフィラー粒子16に対し、日立ハイテクノロジーズ社製原子吸光光度計を用いて原子吸光分析を行なうことによって測定することができる。また、フィラー粒子16の平均粒径は、配線基板3の厚み方向への断面において、各粒子の粒径の平均値を算出することによって測定することができる。以下、各部材におけるナトリウムの含有の有無は、フィラー粒子16と同様に判別される。また、各部材における酸化ケイ素の含有割合および各部材の平均粒径は、フィラー粒子16と同様に測定される。
無機絶縁層14は、コア基板5と反対側の一主面の一部に導電層11が配されており、導電層11の支持部材として機能するものである。また、無機絶縁層14は、絶縁層13を高剛性かつ低熱膨張率とすることによって、電子部品2と配線基板3との熱膨張率の差を低減し、電子部品2の実装時や作動時に実装構造体1に熱が加わった際に、電子部品2と配線基板3との熱膨張率の違いに起因した反りを低減するものである。無機絶縁層14の厚みは、例えば3μm以上30μm以下である。無機絶縁層14のヤング率は、例えば10GPa以上50GPa以下である。また、無機絶縁層14の各方向への熱膨張率は、例えば0ppm/℃以上10ppm/℃以下である。
無機絶縁層14は、図1(b)および図2に示すように、一部が互いに接続した複数の無機絶縁粒子17と、複数の無機絶縁粒子17の間隙18に配された樹脂部19を有する。すなわち、無機絶縁粒子17同士が互いに接続することによって三次元網目状構造である多孔質体をなしており、この多孔質体の間隙18に樹脂部19が配されている。また、複数の無機絶縁粒子17同士の接続部20は、括れ状であり、また、ネック構造をなしている。無機絶縁層14においては、複数の無機絶縁粒子17同士が互いに接続して拘束し合うことから、樹脂層13中に分散したフィラー粒子16のように流動しないため、無機絶縁層14を高剛性かつ低熱膨張率とすることができる。
複数の無機絶縁粒子17は、一部が互いに接続した複数の第1無機絶縁粒子21と、第1無機絶縁粒子21よりも粒径が大きく、一部が第1無機絶縁粒子21と接続しているとともに、第1無機絶縁粒子21を挟んで互いに離れた複数の第2無機絶縁粒子22とを含んでいる。複数の無機絶縁粒子17における第1無機絶縁粒子21の含有割合は、例えば20体積%以上90体積%以下であり、複数の無機絶縁粒子17における第2無機絶縁粒子22の含有割合は、例えば10体積%以上80体積%以下である。
第1無機絶縁粒子21は、無機絶縁層14において接続部材として機能するものである。この第1無機絶縁粒子21は、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有している。酸化ケイ素は、結晶構造に起因した熱膨張率の異方性を低減するため、アモルファス(非晶質)状態であることが望ましい。第1無機絶縁粒子21における酸化ケイ素の含有割合は、例えば99.9質量%以上100質量%以下である。第1無機絶縁粒子21におけるナトリウムの含有割合は、例えば20ppm(w/w)以上300ppm以下である。なお、第1無機絶縁粒子21におけるナトリウムの含有割合は、前述したフィラー粒子16の酸化ケイ素の含有割合と同様に、日立ハイテクノロジーズ社製原子吸光光度計を用いて原子吸光分析を行なうことによって測定することができる。
第1無機絶縁粒子21は、例えば球状である。また、第1無機絶縁粒子21の平均粒径は、3nm以上110nm以下である。また、第1無機絶縁粒子14のヤング率は、例えば40GPa以上90GPa以下である。また、第1無機絶縁粒子14の各方向への熱膨張率は、例えば0ppm/℃以上15ppm/℃以下である。
第2無機絶縁粒子22は、無機絶縁層14に生じたクラックの伸長を抑制するものである。第2無機絶縁粒子22は、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していない。第2無機絶縁粒子22における酸化ケイ素の含有割合は、例えば99.9質量%以上100質量%以下である。第2無機絶縁粒子22は、例えば球状である。また、第2無機絶縁粒子22の平均粒径は、例えば0.5μm以上5μm以下である。また、第2無機絶縁粒子22のヤング率および各方向への熱膨張率は、第1無機絶縁粒子14と同様である。
間隙18は、開気孔であり、無機絶縁層14の一主面および他主面に開口を有する。ま
た、一部が互いに接続した複数の無機絶縁粒子17が多孔質体をなしているため、間隙18の少なくとも一部は、無機絶縁層14の厚み方向への断面において、無機絶縁粒子17に取り囲まれている。
樹脂部19は、間隙18に入り込んだ樹脂層13の一部であり、さらには樹脂15の一部である。その結果、弾性変形しやすい樹脂15によって無機絶縁層14に加わった応力が緩和されるため、無機絶縁層14におけるクラックの発生を抑制できる。なお、無機絶縁層14において樹脂部19が占める割合は、例えば10体積%以上50体積%以下である。
ところで、配線基板3と電子部品2とは熱膨張率が異なるため、電子部品2の実装時や作動時に配線基板3に熱が加わると、配線基板3に熱応力が加わることがある。
一方、本実施形態の配線基板3は、図2に示すように、平均粒径が3nm以上110nm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有しており、かつ一部が互いに接続した複数の第1無機絶縁粒子21を有する無機絶縁層14を備える。
その結果、第1無機絶縁粒子21の平均粒径が3nm以上110nm以下であることから、複数の第1無機絶縁粒子21の一部を互いに強固に接続することができる。これは、第1無機絶縁粒子21が微小であることから、第1無機絶縁粒子21の原子、特に表面の原子が活発に運動するため、複数の第1無機絶縁粒子21の一部が互いに強固に接続すると推測される。さらに、第1無機絶縁粒子21が酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していることから、複数の第1無機絶縁粒子21の一部を互いに強固に接続することができる。これは、ナトリウムが酸化ケイ素の酸素とケイ素との結合を切断することによって、第1無機絶縁粒子21の酸化ケイ素と他の第1無機絶縁粒子の酸化ケイ素とが結合しやすくなるため、複数の第1無機絶縁粒子21の一部が互いに強固に接続すると推測される。
このように、複数の第1無機絶縁粒子21の一部が互いに強固に接続していることから、無機絶縁層14のヤング率を高めることができる。この無機絶縁層14によって配線基板3の剛性を高めることができるため、配線基板3に熱応力が加わった際に配線基板3の反りを抑制し、この反りによって加わる応力に起因した配線基板3と電子部品2との接続部の破壊を抑制することができる。それ故、配線基板3と電子部品2との接続信頼性を高め、ひいては実装構造体1の電気的信頼性を高めることができる。
本実施形態の配線基板3は、図1(b)に示すように、平均粒径が0.5μm以上5μm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有しておらず、かつ第1無機絶縁粒子21を挟んで互いに離れた複数の第2無機絶縁粒子22を有する。
その結果、第2無機絶縁粒子22は、平均粒径が大きいことから、無機絶縁層14に生じたクラックが迂回するためのエネルギーを増加させるため、このクラックの伸長を抑制することができる。したがって、このクラックに起因した導電層11の断線を抑制することができ、配線基板3の電気的信頼性を高めることができる。
また、第2無機絶縁粒子22は酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していないため、ビア導体12に含まれる銅等の導電材料がイオン化して隣接するビア導体12に向かって伸長すること(イオンマイグレーション)に起因したビア導体12同士の短絡を抑制することができる。
第1無機絶縁粒子21におけるナトリウムの含有割合は、20ppm以上300ppm
以下であることが望ましい。ナトリウムの含有割合が20ppm以上であることによって、複数の第1無機絶縁粒子21の一部を互いに強固に接続することができる。また、ナトリウムの含有割合が300ppm以下であることによって、イオンマイグレーションに起因したビア導体12同士の短絡を抑制することができる。
本実施形態の樹脂層13は、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有しておらず、かつ樹脂15中に分散した複数のフィラー粒子16を有する。その結果、フィラー粒子16が酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していないため、イオンマイグレーションに起因したビア導体12同士の短絡を抑制することができる。
本実施形態の第1無機絶縁粒子21は、図2に示すように、平均粒径が3nm以上15nm以下である複数の第1粒子23、および平均粒径が35nm以上110nm以下である複数の第2粒子24を含んでおり、第1粒子23におけるナトリウムの含有割合は、第2粒子24におけるナトリウムの含有割合よりも大きい。
その結果、第1粒子23は、第2粒子24よりも平均粒径が小さいことから、互いに強固に接続するため、無機絶縁層14のヤング率を高めることができる。また、第2粒子24は、第1粒子23よりも平均粒径が大きいため、無機絶縁層14に生じたクラックが迂回するためのエネルギーを増加させるため、このクラックの伸長を抑制することができる。さらに、第1粒子23におけるナトリウムの含有割合が第2粒子24におけるナトリウムの含有割合よりも大きいため、第1粒子23同士の接続をさらに強固にすることができる。
第2粒子24は、第2無機絶縁粒子22同士の間に配されていることが望ましい。その結果、第2無機絶縁粒子22同士の間の領域において、クラックの伸長を抑制することができる。
次に、上述した実装構造体1の製造方法を、図3ないし図6に基づいて説明する。
(1)図3(a)に示すように、コア基板5を作製する。具体的には、例えば以下のように行なう。
プリプレグを硬化させてなる基体7と基体7の上下に配された銅等の金属箔とからなる積層板を準備する。次に、サンドブラスト加工、レーザー加工またはドリル加工を用いて、積層板にスルーホールを形成する。次に、例えば無電解めっき法、電解めっき法、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法等を用いて、スルーホール内に導電材料を被着させてスルーホール導体8を形成する。次に、スルーホール導体8の内側に未硬化樹脂を充填して硬化させることによって、絶縁体9を形成する。次に、例えば無電解めっき法、電解めっき法、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法等を用いて、絶縁体9上に導電材料を被着させた後、フォトリソグラフィー法およびエッチング法等を用いて、基体7上の金属箔および導電材料をパターニングして導電層11を形成する。その結果、コア基板5を作製することができる。
(2)図3(b)ないし図6(a)に示すように、銅箔等の金属箔またはPETフィルム等の樹脂シートからなる支持体25と、支持体25上に配された無機絶縁層14と、無機絶縁層14上に配された未硬化樹脂を含む樹脂層前駆体26とを有する積層シート27を作製する。具体的には、例えば以下のように行なう。
まず、図3(b)および図3(c)に示すように、無機絶縁粒子17と無機絶縁粒子17が分散した溶剤28とを有するスラリー29を準備し、スラリー29を支持体25の一主面に塗布する。次に、図4(a)および図4(b)に示すように、スラリー29から溶剤28を蒸発させて、支持体25上に無機絶縁粒子17を残存させて、残存した無機絶縁粒子17からなる粉末層30を形成する。この粉末層30において、第1無機絶縁粒子21は近接箇所で互いに接触している。次に、図5(a)および図5(b)に示すように、粉末層30を加熱して、隣接する第1無機絶縁粒子21同士を近接箇所で接続させることによって、無機絶縁層14を形成する。次に、図6(a)に示すように、樹脂15となる未硬化樹脂およびフィラー粒子16を含む樹脂層前駆体26を無機絶縁層14上に積層し、積層された無機絶縁層14および樹脂層前駆体26を厚み方向に加熱加圧することによって、樹脂層前駆体26の一部を間隙18内に充填する。その結果、積層シート27を作製することができる。
スラリー29における無機絶縁粒子17の含有割合は、例えば10%体積以上50体積%以下であり、スラリー29における溶剤28の含有割合は、例えば50%体積以上90体積%以下である。溶剤28は、例えばメタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミドまたはこれらから選択された2種以上の混合物を含んだ有機溶剤等を用いることができる。
スラリー29の乾燥は、例えば加熱および風乾により行なわれる。乾燥温度は、例えば20℃以上溶剤28の沸点未満であり、乾燥時間は、例えば20秒以上30分以下である。
粉末層30を加熱する際の加熱温度は、溶剤28の沸点以上、第1無機絶縁粒子21の結晶化開始温度未満であり、さらには、100℃以上250℃以下である。また、加熱時間は、例えば0.5時間以上24時間以下である。
積層された無機絶縁層14および樹脂層前駆体26を加熱加圧する際の加圧圧力は、例えば0.05MPa以上0.5MPa以下であり、加圧時間は、例えば20秒以上5分以
下であり、加熱温度は、例えば50℃以上100℃以下である。なお、この加熱温度は、樹脂層前駆体26の硬化開始温度未満であるため、樹脂層前駆体26を未硬化の状態で維持することができる。
ここで、本実施形態の配線基板3の製造方法は、平均粒径が3nm以上110nm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有した複数の第1無機絶縁粒子21、およびこの第1無機絶縁粒子21が分散した溶剤28を含むスラリー19を支持体25上に塗布する工程と、スラリー19から溶剤29を蒸発させて、複数の第1無機絶縁粒子21を支持体25上に残存させる工程と、支持体25上に残存した複数の第1無機絶縁粒子21を加熱して、複数の第1無機絶縁粒子21同士の一部を互いに接続させる工程とを備える。
その結果、第1無機絶縁粒子21の平均粒径が3nm以上110nm以下であることから、低温条件下においても、複数の第1無機絶縁粒子21の一部を互いに強固に接続することができる。これは、第1無機絶縁粒子21が微小であることから、第1無機絶縁粒子21の原子、特に表面の原子が活発に運動するため、複数の第1無機絶縁粒子21の一部が互いに強固に接続する温度を低減すると推測される。さらに、第1無機絶縁粒子21が酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していることから、低温条件下においても、複数の第1無機絶縁粒子21の一部を互いに強固に接続する温度を低減することができる。これは、ナトリウムが酸化ケイ素の酸素とケイ素との結合を切断することによって、第1無機絶縁粒子21の酸化ケイ素と他の第1無機絶縁粒子の酸化ケイ素とが結
合しやすくなるため、複数の第1無機絶縁粒子21の一部が互いに強固に接続する温度を低減すると推測される。
したがって、第1無機絶縁粒子21の結晶化開始温度未満、さらには250℃以下といった低温条件下で複数の第1無機絶縁粒子21同士を強固に接続させることができる。また、このように低温で加熱することによって、第1無機絶縁粒子21および第2無機絶縁粒子22の粒子形状を保持しつつ、第1無機絶縁粒子21同士および第1無機絶縁粒子21と第2無機絶縁粒子22とを近接領域のみで接続することができる。その結果、接続部20においてネック構造を形成するとともに、開気孔の間隙18を容易に形成することができる。なお、第1無機絶縁粒子21同士を強固に接続することができる温度は、例えば、第1無機絶縁粒子21の平均粒径を110nmに設定した場合は250℃程度であり、第1無機絶縁粒子21の平均粒径を15nmに設定した場合は150℃程度である。
また、本実施形態の配線基板3の製造方法においては、スラリー19を支持体25上に塗布する工程で、平均粒径が0.5μm以上5μm以下である複数の第2無機絶縁粒子22をさらに含むスラリー19を支持体25上に塗布している。その結果、平均粒径が第1無機絶縁粒子21よりも大きい第2無機絶縁粒子22によって、スラリー29における無機絶縁粒子17の隙間を低減できるため、溶剤28を蒸発させて形成する粉末層30の収縮を低減できる。したがって、主面方向へ大きく収縮しやすい平板状である粉末層30の収縮を低減することで、粉末層30における厚み方向に沿ったクラックの発生を低減することができる。
また、本実施形態の配線基板3の製造方法においては、スラリー19を支持体25上に塗布する工程で、平均粒径が3nm以上15nm以下である第1粒子23、平均粒径が35nm以上110nm以下である第2粒子24を含む第1無機絶縁粒子21を含むスラリー19を支持体25上に塗布している。その結果、平均粒径が第1粒子23よりも大きい第2粒子24によって、スラリー29における第2無機絶縁粒子22の間の隙間を低減できるため、溶剤28を蒸発させて形成する粉末層30の収縮を低減できる。したがって、第2無機絶縁粒子22の間の領域におけるクラックの発生を低減することができる。
(3)図6(b)ないし図6(d)に示すように、コア基板5上に積層シート27を積層して絶縁層10を形成し、絶縁層10に導電層11およびビア導体12を形成する。具体的には、例えば以下のように行なう。
まず、樹脂層前駆体26をコア基板5側に配しつつ、コア基板5上に積層シート27を積層する。次に、積層されたコア基板5および積層シート27を厚み方向に加熱加圧することによって、コア基板5に積層シート27を接着させる。次に、樹脂層前駆体26を加熱することによって、未硬化樹脂を硬化させて樹脂15として、樹脂層前駆体26を樹脂層13とする。その結果、図6(b)に示すように、この樹脂層13と積層シート27に含まれていた無機絶縁層14とを有する絶縁層10をコア基板5上に形成することができる。また、工程(2)で間隙18に入り込んでいた樹脂層前駆体26の一部が本工程で樹脂部19となる。
次に、無機絶縁層14から支持体15を機械的または化学的に剥離した後、レーザー加工等を用いて、絶縁層10を厚み方向に貫通するとともに導電層11を露出したビア孔を形成する。次に、無電解めっき法および電解めっき法等を用いたセミアディティブ法、サブトラクティブ法またはフルアディティブ法等によって、図6(c)に示すように、絶縁層10上に所望のパターンの導電層11を形成するとともに、ビア孔内にビア導体12を形成する。
コア基板5に積層シート27を接着させる際の加熱加圧は、工程(2)と同様の条件を用いることができる。
未硬化樹脂を硬化させて樹脂15とする際の加熱温度は、例えば未硬化樹脂の硬化開始温度以上、熱分解温度未満であり、加熱時間は、例えば20秒以上5分以下である。
(4)図6(d)に示すように、工程(2)および(3)を繰り返すことによって、コア基板5上にビルドアップ層6を形成し、配線基板3を作製する。なお、本工程を繰り返すことにより、ビルドアップ層6をより多層化することができる。
(5)配線基板3に対してバンプ4を介して電子部品2をフリップチップ実装することにより、図1(a)に示した実装構造体1を作製する。なお、電子部品2は、ワイヤボンディングにより配線基板3と電気的に接続してもよいし、あるいは、配線基板3に内蔵させてもよい。
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、改良、組合せ等が可能である。
例えば、上述した本発明の実施形態においては、ビルドアップ層6が無機絶縁層14を有する構成を例に説明したが、コア基板5が無機絶縁層14を有していても構わない。この場合には、上述した基体7の両主面に無機絶縁層14が配されることが望ましい。
また、上述した本発明の実施形態においては、配線基板3としてコア基板5およびビルドアップ層6からなるビルドアップ多層基板を用いた例について説明したが、配線基板3として他のものを用いてもよく、例えば、コア基板5のみの単層基板またはビルドアップ層6のみのコアレス基板を用いても構わない。
また、上述した本発明の実施形態においては、無機絶縁粒子17が酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していない第2無機絶縁粒子22を含む構成を例に説明したが、無機絶縁粒子17は、第2無機絶縁粒子22を含んでいなくても構わないし、他の材料からなる第2無機絶縁粒子22を含んでいても構わない。
また、上述した本発明の実施形態においては、第1無機絶縁粒子21が第1粒子23および第2粒子24を含む構成を例に説明したが、第1無機絶縁粒子21は、第1粒子23および第2粒子24のいずれか一方のみを含んでいても構わない。
また、上述した本発明の実施形態においては、樹脂層13が酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有していないフィラー粒子16を含む構成を例に説明したが、樹脂層13は、フィラー粒子16を含んでいなくても構わないし、他の材料からなるフィラー粒子16を含んでいても構わない。
また、上述した本発明の実施形態においては、無機絶縁層14の一主面に導電層11が接した構成を例に説明したが、無機絶縁層14上に導電層11を配されていればよく、無機絶縁層14の一主面と導電層11との間に樹脂層等が介在されていても構わない。
また、上述した本発明の実施形態においては、工程(2)において溶剤28の蒸発と粉末層30の加熱とを別々に行なった構成を例に説明したが、これらを同時に行なっても構わない。
1 実装構造体
2 電子部品
3 配線基板
4 バンプ
5 コア基板
6 ビルドアップ層
7 基体
8 スルーホール導体
9 絶縁体
10 絶縁層
11 導電層
12 ビア導体
13 樹脂層
14 無機絶縁層
15 樹脂
16 フィラー粒子
17 無機絶縁粒子
18 間隙
19 樹脂部
20 複数の無機絶縁粒子同士の接続部
21 第1無機絶縁粒子
22 第2無機絶縁粒子
23 第1粒子
24 第2粒子
25 支持体
26 樹脂層前駆体
27 積層シート
28 溶剤
29 スラリー
30 粉末層

Claims (6)

  1. 平均粒径が3nm以上110nm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有しており、かつ一部が互いに接続した複数の第1無機絶縁粒子、および該複数の第1無機絶縁粒子同士の間隙に配された樹脂部を有する無機絶縁層と、該無機絶縁層上に配された導電層とを備えるとともに、前記第1無機絶縁粒子におけるナトリウムの含有割合が、20ppm以上300ppm以下であることを特徴とする配線基板。
  2. 請求項1に記載の配線基板において、
    前記無機絶縁層は、平均粒径が0.5μm以上5μm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有しておらず、かつ前記第1無機絶縁粒子を挟んで互いに離れた複数の第2無機絶縁粒子を有することを特徴とする配線基板。
  3. 請求項1に記載の配線基板において、
    前記無機絶縁層の前記導電層とは反対側の主面に配された樹脂層をさらに備え、
    該樹脂層は、樹脂、および酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを含有しておらず、かつ前記樹脂中に分散した複数のフィラー粒子を有することを特徴とする配線基板。
  4. 請求項1に記載の配線基板において、
    前記複数の第1無機絶縁粒子は、平均粒径が3nm以上15nm以下である複数の第1粒子、および平均粒径が35nm以上110nm以下である複数の第2粒子を含んでおり、前記第1粒子におけるナトリウムの含有割合は、前記第2粒子におけるナトリウムの含有割合よりも大きいことを特徴とする配線基板。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の配線基板と、該配線基板に実装され、前記導電層に電気的に接続された電子部品とを備えたことを特徴とする実装構造体。
  6. 平均粒径が3nm以上110nm以下であり、酸化ケイ素を主成分として含有しつつナトリウムを20ppm以上300ppm以下の割合で含有した複数の第1無機絶縁粒子、および該第1無機絶縁粒子が分散した溶を含むスラリーを支持体上に塗布する工程と、前記スラリーから前記溶剤を蒸発させて、前記複数の第1無機絶縁粒子を前記支持体上に残存させる工程と、
    前記支持体上に残存した前記複数の第1無機絶縁粒子を加熱して、該複数の第1無機絶縁
    粒子同士の一部を互いに接続させる工程と、
    一部が互いに接続した前記第1無機絶縁粒子同士の間隙に樹脂部を形成することによって前記複数の第1無機絶縁粒子および前記樹脂部を有する無機絶縁層を形成する工程と、
    該無機絶縁層上に導電層を形成する工程とを備えたことを特徴とする配線基板の製造方法。
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