JP2018038162A - 極異方磁石及び永久磁石型モータジェネレータ - Google Patents
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Abstract
Description
(a)ロータに電気伝導体を用いるインダクションモーター(IM)、
(b)ロータの表面に永久磁石を貼り付けた表面磁石型(Surface Permanent Magnet; SPM)モータ、
(c)ロータの内部に永久磁石が埋め込まれた磁石埋込型(Interior Permanent Magnet; IPM)モータ
などの様々な構造を持つものが知られている。
これに対し、SPMモータは、IPMモータに比べてマグネットトルクを大きくすることができる。そのため、SPMモータは、一定の回転数で使用される用途(例えば、発電機)に用いられることが多い。
(a)n個の永久磁石ブロックをエポキシ系の接着剤で接着して1つの磁極とし、
(b)合計p個の前記磁極(合計pn個の永久磁石ブロック)をエポキシ系の樹脂で回転子の表面に接着し、
(c)各永久磁石ブロックの着磁方向を周期的に変化させた
回転電機が開示されている。
同文献には、磁極の分割数(n)を4以上にすると、コギングトルクを低減できる点が記載されている。
(1)前記極異方磁石は、一体磁石からなる。
(2)前記極異方磁石は、z軸に対して平行方向に磁極の境界面がある。
(3)前記極異方磁石は、xy平面上において、磁化容易軸が円弧状に、かつ、同心円状に配向している配向領域を備えている。
(1)前記永久磁石型モータジェネレータは、
2n個(n≧1)の磁極を備えたインナーロータと、
前記インナーロータに向かってティースが放射状に配置され、かつ、前記ティースの周囲にコイルが巻き付けられたアウターステータと
を備えている。
(2)前記インナーロータは、
シャフトと、
前記シャフトの外周面に接合されたロータヨークと、
前記ロータヨークの表面に接合され、又は前記ロータヨークの内部に埋め込まれたn個の磁石と
を備えている。
(4)前記磁石は、本発明に係る極異方磁石からなり、
前記極異方磁石は、N極及びS極が前記インナーロータの外周面側を向くように,前記ロータヨークの表面に接合され、又は前記ロータヨークの内部に埋め込まれている。
さらに、本発明に係る極異方磁石は、磁化容易軸が円弧状に、かつ、同心円状に配向している配向領域を備えている。そのため、ステータからの磁力線の形状に合わせて磁化容易軸の配向方向の曲率半径を最適化し、ステータからの磁力線の形状と磁化容易軸の配向方向がほぼ一致するように極異方磁石をロータに設置すると、ステータ/ロータ間に発生するマグネットトルクを大きくすることができる。
[1. 極異方磁石]
本発明に係る極異方磁石は、以下の構成を備えている。
(1)前記極異方磁石は、一体磁石からなる。
(2)前記極異方磁石は、z軸に対して平行方向に磁極の境界面がある。
(3)前記極異方磁石は、xy平面上において、磁化容易軸が円弧状に、かつ、同心円状に配向している配向領域を備えている。
本発明に係る極異方磁石は、一体磁石からなる。「一体磁石」とは、磁石全体が同一の材料からなり、かつ、磁極の境界面が連続していること、あるいは、磁極の境界面に異物(例えば、接着剤)がないことをいう。
本発明に係る極異方磁石は、z軸に対して平行方向に磁極の境界面がある。また、極異方磁石は、xy平面上において、磁化容易軸が円弧状に、かつ、同心円状に配向している配向領域を備えている。極異方磁石は、その全体が配向領域からなるものでも良く、あるいは、その一部が配向領域からなるものでも良い。
磁化容易軸の配向方向を連続した円弧で表した時に、その円弧の曲率半径(以下、これを「配向方向の曲率半径(r)」ともいう)は、特に限定されない。後述する方法を用いると、配向方向の曲率半径を広い範囲に渡って制御することができる。
本発明において、「開き角(θ)」とは、
(a)前記磁化容易軸の配向方向を連続した円弧で近似し、
(b)前記円弧の中心をC点、曲率半径が最大となる前記円弧の両端点のD点及びF点とした時に、
CD線とCF線とのなす角をいう。
但し、極異方磁石を本発明に係る永久磁石型モータジェネレータに用いる場合において、開き角(θ)が過度に大きくなると、永久磁石型モータジェネレータの効率が低下する。従って、極異方磁石を永久磁石型モータジェネレータに用いる場合、開き角(θ)は、180°以下が好ましい。開き角(θ)は、永久磁石型モータジェネレータの構造に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
本発明において、極異方磁石の形状は特に限定されない。磁化容易軸が円弧状に配向している素材(形状は問わない)を作製し、次いで得られた素材から不要部分を除去すると、種々の形状を備えた極異方磁石が得られる。
磁極の境界面32aはz軸に対して平行であり、磁化容易軸(図1中、円弧状の矢印で表示。以下同じ。)はxy平面上において円弧状に、かつ同心円状に配向している。図1(a)の場合、極異方磁石30aの左側の平面がS極となり、右側の平面がN極となる。
磁極の境界面32bはz軸に対して平行であり、磁化容易軸はxy平面上において円弧状に、かつ同心円状に配向している。図1(b)の場合、極異方磁石30bの左側の上面がS極となり、右側の上面がN極となる。
磁極の境界面32cはz軸に対して平行であり、磁化容易軸はxy平面上において円弧状に、かつ同心円状に配向している。図1(c)の場合、極異方磁石30cの左側の平面がS極となり、右側の平面がN極となる。
磁極の境界面32dはz軸に対して平行であり、磁化容易軸はxy平面上において円弧状に、かつ同心円状に配向している。図1(d)の場合、極異方磁石30dの左側の平面がS極となり、右側の平面がN極となる。
磁極の境界面32eはz軸に対して平行であり、磁化容易軸はxy平面上において円弧状に、かつ同心円状に配向している。図1(e)の場合、極異方磁石30eの左側の平面がS極となり、右側の平面がN極となる。
磁極の境界面32fはz軸に対して平行であり、配向領域内の磁化容易軸はxy平面上において円弧状に、かつ同心円状に配向している。図1(f)の場合、極異方磁石30fの左側の上面がS極となり、右側の上面がN極となる。
極異方磁石の材料は、磁化容易軸を円弧状に配向させることが可能であり、かつ、保磁力の高い材料であれば良い。このような材料としては、例えば、
(a)R−T−B系希土類合金(Rは、Nd、Pr、Dy、Tbなどの希土類元素、Tは、Fe、Coなどの遷移金属元素)、
(b)R−Co系合金(Rは、Smなどの希土類元素)、
(c)R−Fe系合金(Rは、Smなどの希土類元素)
などがある。これらの中でも、R−T−B系希土類合金は、高保磁力が得られ、かつ、磁化容易軸を円弧状に配向させるのが容易であるので、極異方磁石の材料として好適である。
本発明に係る極異方磁石は、種々の方法により製造することができる。
例えば、図1(a)〜図1(e)に示す極異方磁石30a〜30eは、
(a)円弧状又はU字型のグリーン体を製造し、
(b)グリーン体を円周方向に沿って圧縮すると同時に、ラジアル方向の厚さを増大させることにより、断面がバームクーヘン形又は扇形の磁石を製造し、
(c)必要に応じて、得られた磁石から不要部分を除去する
ことにより製造することができる。
まず、円弧状又はU字型のグリーン体を製造する。グリーン体の製造方法は、特に限定されない。グリーン体の製造方法としては、例えば、
(a)粉末を円弧状又はU字型に圧粉成型する方法、
(b)冷間静水圧加圧成形法(CIP)等の加圧成形法により圧粉体を得る方法、
(c)通電加熱焼結法(SPS)、金属粉末射出成形法等により焼結体を得る方法、
などがある。
次に、熱間において、円弧状又はU字型のグリーン体を円周方向に沿って圧縮すると同時に、ラジアル方向の厚さを増大させることにより、断面がバームクーヘン形又は扇形の磁石を製造する。図2に、熱間塑性加工法を用いて円弧状グリーン体からバームクーヘン形磁石を製造する方法を説明するための模式図を示す。
次に、必要に応じて、第2工程で得られた磁石から不要部分を除去する。円弧状グリーン体28を極異方磁石30aに塑性加工した後、極異方磁石30aから不要部分を研削除去すると、図1(b)〜図1(e)に示すような種々の形状を有する極異方磁石30b〜30eが得られる。
図3に、U字型グリーン体から釣り鐘型磁石を製造する方法を説明するための模式図を示す。図1(f)に示す極異方磁石30fは、以下のようにして製造することができる。
すなわち、U字型グリーン体を熱間塑性加工する場合において、ダイスの形状を最適化すると、図3(a)に示すように、U字型グリーン体28aをU字に沿った方向(広義の円周方向)に圧縮すると同時に、U字に対して垂直方向(広義のラジアル方向)の厚さを増大させることができる。その結果、図3(b)に示すように、U字型グリーン体28aから釣り鐘型の極異方磁石30fを製造することができる。
本発明に係る永久磁石型モータジェネレータは、以下の構成を備えている。
(1)前記永久磁石型モータジェネレータは、
2n個(n≧1)の磁極を備えたインナーロータと、
前記インナーロータに向かってティースが放射状に配置され、かつ、前記ティースの周囲にコイルが巻き付けられたアウターステータと
を備えている。
(2)前記インナーロータは、
シャフトと、
前記シャフトの外周面に接合されたロータヨークと、
前記ロータヨークの表面に接合され、又は前記ロータヨークの内部に埋め込まれたn個の磁石と
を備えている。
(4)前記磁石は、本発明に係る極異方磁石からなり、
前記極異方磁石は、N極及びS極が前記インナーロータの外周面側を向くように,前記ロータヨークの表面に接合され、又は前記ロータヨークの内部に埋め込まれている。
図4に、本発明に係る永久磁石型モータジェネレータのインナーロータの模式図を示す。図4において、インナーロータ10は、シャフト12と、シャフト12の外周面に接合されたロータヨーク20と、ロータヨーク20の表面に接合された極異方磁石30、30…とを備えている。なお、図示はしないが、極異方磁石30、30…は、ロータヨーク20の内部に埋め込まれていても良い。
インナーロータ10は、2n個(n≧1)の磁極を備えている。磁極の数は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な個数を選択することができる。一般に、磁極の数が多くなるほど、コイルに鎖交する磁束の切替回数が増える。各極における磁石量の減り分を考慮しても、同じ回転数では、磁極の数が多くなるほど、トルク、及び発電量が向上する。このような効果を得るためには、磁極の数は、4極以上が好ましい。磁極の数は、さらに好ましくは、8極以上である。
一方、磁極の数が多くなりすぎると、ステータ形状と巻線が複雑になり、モータ体格が肥大化するという問題があり、特に小型モータで顕著となる。従って、磁極の数は、16極以下が好ましい。磁極の数は、さらに好ましくは、12極以下である。
ロータヨーク20は、アウターステータ(図示せず)の内周面に対向する表面又は内部に、n個の極異方磁石30、30…を保持するためのものである。ロータヨーク20の材料は、目的に応じて最適な材料を選択するのが好ましい。
例えば、図4に示すように、ロータヨーク20の表面に極異方磁石30、30…を密に接合する場合、インナーロータ10は、マグネットトルクのみで回転する。この場合、ロータヨーク20の材料は、特に限定されない。
ここで、「高透磁率材料」とは、極異方磁石30よりも比透磁率が高い材料をいう。
(a)3%Si−Fe、6.5%Si−Feなどの電磁鋼板、
(b)パーメンジュール(Fe−Co合金)、アモルファス(Fe基、Co基)、ナノ結晶合金(Fe−Si−B−Cu−Nb系)
などがある。図4に示す例では、ロータヨーク20には、電磁鋼板の積層体が用いられている。
本発明において、インナーロータ10に備えられる磁石として、本発明に係る極異方磁石30が用いられる。極異方磁石30は、N極及びS極がインナーロータ10の外周面側を向くように,ロータヨーク20の表面に接合され、又はロータヨーク20の内部に埋め込まれている。換言すれば、極異方磁石30は、円弧状の配向軸の凹側が外側を向くように、ロータヨーク20の表面に接合され、又はロータヨーク20の内部に埋め込まれている。極異方磁石30の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
アウターステータ(図示せず)は、中央にインナーロータ10を挿入するための貫通穴を備えており、貫通穴の内表面には、界磁コイルの鉄芯となるティースが放射状に配置されている。また、ティースの周囲には、コイルが巻き付けられている。コイルは、インナーロータに対して回転磁界を作用させるため、又はインナーロータの回転に伴う磁束の変化を電流として取り出すために用いられる。アウターステータは、ティースによって形成される磁路の曲率半径(r')と極異方磁石30の配向方向の曲率半径(r)との間に、後述する関係を備えているものが好ましい。アウターステータの構造に関するその他の点(例えば、ティースの構造、コイルの巻き線方式など)は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な構造を選択することができる。
[4.3.1. 平均磁路]
図5に、平均磁路の定義を説明するための模式図を示す。アウターステータ40は、インナーロータ(図示せず)に向かってティース42a、42b…が放射状に配置されている。また、ティース42a、42b…の周囲には、コイル(図示せず)が巻き付けられている。コイルの巻き方としては、分布巻きと集中巻きがある。図5は、分布巻きの例であり、ティース42aから流出した磁束は、これに隣接するティース42bではなく、そのさらに隣にあるティース42cに流入する。
すなわち、磁束の流出端となる1又は2以上のティースの内、最外部に位置するティース(A)の先端面の中心をA点、磁束の流入端となる1又は2以上のティースの内、最外部に位置するティース(B)の先端面の中心をB点、アウターステータ40の中心をO点とする。また、A点を通るAO線の垂線とB点を通るBO線の垂線との交点をG点とする。この時、G点を中心とし、かつ、A点及びB点を通る円弧を「平均磁路」と定義する。
図5に示すように、1つおきに磁束が流入・流出するケースでは、ティース42aの先端面の中心がA点となり、ティース42cの先端面の中心がB点となる。平均磁路44は、A点及びB点を通る円弧として表される。
理想的には、アウターステータ40により形成される磁路と、極異方磁石30の磁化容易軸の配向方向とを完全に一致させるのが好ましい。実際には、両者を完全に一致させるのは難しいが、平均磁路44と磁化容易軸の配向方向を一致させることはできる。この場合、磁化容易軸の配向方向が平均磁路44に近づくほど、高いマグネットトルクが得られる。
r'b≦r≦r'a ・・・(1)
但し、
rは、前記AO線と前記BO線とのなす角の二等分線と、前記平均磁路との交点(X点)における前記磁石の前記配向領域内にある前記磁化容易軸の配向方向の曲率半径、
r'aは、前記ティース(A)の先端面の外側の端点をA’点、前記ティース(B)の先端面の外側の端点をB’点とした時に、G点を中心とし、かつ、A’点及びB’点を通る円弧(磁路)の曲率半径、
r'bは、前記ティース(A)の先端面の内側の端点をA”点、前記ティース(B)の先端面の内側の端点をB”点とした時に、G点を中心とし、かつ、A”点及びB”点を通る円弧(磁路)の曲率半径。
また、ティース42aの先端面の内側の端点がA”点となり、ティース42cの先端面の内側の端点がB”点となる。r'bは、G点を中心とし、A”点及びB”点を通る円弧(最小磁路44b)の曲率半径である。
さらに、平均磁路44の曲率半径をr'0とする。
図8に、磁石間の周長(ΔL)の定義を説明するための模式図を示す。磁石間の周長(ΔL)は、永久磁石型モータジェネレータの特性に影響を与える。本発明に係る永久磁石型モータジェネレータは、次の(3)式を満たしているのが好ましい。
0≦ΔL≦(2πR/n)×0.3 ・・・(3)
但し、
ΔLは、前記磁石間の円周方向の最短距離、
Rは、前記インナーロータの中心から、前記磁石間の円周方向の距離がΔLとなる位置までの長さ。
但し、ΔLが大きくなりすぎると、磁石量が減ることによりマグネットトルクが減少する。そのため、マグネットトルクが必要となる低速回転域や始動に必要となるトルクが不足する。従って、ΔLは、(2πR/n)×0.3以下が好ましい。ΔLは、永久磁石型モータの用途に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
本発明に係る永久磁石型モータジェネレータは、
(a)電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電力機器(狭義の「モータ」)、
(b)力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する電力機器(ジェネレータ)、及び
(c)モータとジェネレータの双方の機能を持つ電力機器(モータジェネレータ)
のいずれの用途にも用いることができる。
すなわち、本発明において、「永久磁石型モータジェネレータ」という時は、狭義のモータ、ジェネレータ、及びモータジェネレータが含まれる。
本発明に係る極異方磁石は、磁石ブロックをエポキシ樹脂などで接合した接合磁石と異なり、磁極の境界線に空間を含め磁石以外の異物がない。そのため、本発明に係る極異方磁石は、接合磁石に比べて磁石に内包する磁気モーメントを漏れなく外部へ放出することができる。特に、磁気回路の磁路と磁石配向が一致した場合、所望の磁気回路内部で大きな磁束を発生させることができる。
さらに、本発明に係る極異方磁石は、磁化容易軸が円弧状に、かつ、同心円状に配向している配向領域を備えている。そのため、ステータからの磁力線の形状に合わせて磁化容易軸の配向方向の曲率半径を最適化し、ステータからの磁力線の形状と磁化容易軸の配向方向がほぼ一致するように極異方磁石をロータに設置すると、ステータ/ロータ間に発生するマグネットトルクを大きくすることができる。
[1. 試験方法]
図4に示すインナーロータ10を備えた永久磁石型モータジェネレータの特性を評価した。ロータヨークには、高透磁率材料を用いた。また、磁石間の周長ΔLは、極異方磁石の最大占有長さ(2πR/n)の0%(実施例1)、10%(実施例2)、20%(実施例3)、又は30%(実施例4)とした。
また、比較として、ラジアル異方性リングを用いたSPMモータ(比較例1)、及び板磁石を用いたIPMモータ(比較例2)の特性も評価した。
表1に結果を示す。表1より、以下のことがわかる。
(1)ΔLが小さくなるほど、マグネットトルクは大きくなった。
(2)実施例1〜3は、比較例1に比べて、いずれの対応回転数においてもマグネットトルクが大きくなった。一方、実施例4は、比較例1に比べて、マグネットトルクは小さいが、高回転数域における合成トルクは比較例1より大きくなった。
(3)実施例1〜3の合成トルクは、比較例2と同等以上であった。一方、実施例4は、比較例2と比べて、低回転数域における合成トルクは劣るが、高回転数域の合成トルクは比較例2を超えた。
[1. 試験方法]
極異方磁石の磁化容易軸の配向方向の曲率(曲率半径の逆数)が最適である場合(すなわち、X点における磁化容易軸の配向方向の曲率半径が平均磁路の曲率半径と一致している場合)について、磁石使用量と、誘起電圧実効値の磁極数依存性を調べた。
表2に結果を示す。表2より、以下のことが分かる。
(1)磁化容易軸の最適な曲率は、極数に依存する。極数が6である時の最適な曲率をχとした場合、極数が8、10、12である時の最適な曲率は、それぞれ、1.32χ、1.67χ、1.92χとなる。
(2)極異方磁石を用いたモータジェネレータ(実施例5)は、ラジアル異方性リング磁石を用いたモータ(比較例1)に比べて磁石使用量が2〜3割程度多くなるという欠点がある。しかしながら、同一磁極数で比較した場合、実施例5は、比較例1に比べて誘起電圧実効値が3〜4割程度向上する。
20 ロータヨーク
30、30a〜30f 極異方磁石
32a〜32f 磁極の境界面
40 アウターステータ
42a〜42c ティース
Claims (7)
- 以下の構成を備えた極異方磁石。
(1)前記極異方磁石は、一体磁石からなる。
(2)前記極異方磁石は、z軸に対して平行方向に磁極の境界面がある。
(3)前記極異方磁石は、xy平面上において、磁化容易軸が円弧状に、かつ、同心円状に配向している配向領域を備えている。 - 開き角(θ)が180°以下である請求項1に記載の極異方磁石。
但し、「開き角(θ)」とは、
前記磁化容易軸の配向方向を連続した円弧で近似し、前記円弧の中心をC点、曲率半径が最大となる前記円弧の両端点のD点及びF点とした時に、
CD線とCF線とのなす角をいう。 - 前記z軸に対して垂直方向の断面形状がバームクーヘン形(中空円筒を軸方向に分割した形状)であり、前記バームクーヘン形の断面の円弧に沿って前記磁化容易軸が配向している請求項1又は2に記載の極異方磁石。
- 前記z軸に対して垂直方向の断面形状がレンズ形であり、前記レンズ形の断面の一方の円弧に沿って前記磁化容易軸が配向している請求項1又は2に記載の極異方磁石。
- 以下の構成を備えた永久磁石型モータジェネレータ。
(1)前記永久磁石型モータジェネレータは、
2n個(n≧1)の磁極を備えたインナーロータと、
前記インナーロータに向かってティースが放射状に配置され、かつ、前記ティースの周囲にコイルが巻き付けられたアウターステータと
を備えている。
(2)前記インナーロータは、
シャフトと、
前記シャフトの外周面に接合されたロータヨークと、
前記ロータヨークの表面に接合され、又は前記ロータヨークの内部に埋め込まれたn個の磁石と
を備えている。
(4)前記磁石は、請求項1から4までのいずれか1項に記載の極異方磁石からなり、
前記極異方磁石は、N極及びS極が前記インナーロータの外周面側を向くように,前記ロータヨークの表面に接合され、又は前記ロータヨークの内部に埋め込まれている。 - 以下の構成をさらに備えた請求項5に記載の永久磁石型モータジェネレータ。
(5)前記磁石は、前記インナーロータが回転した時に、前記配向領域の少なくとも一部分が前記アウターステータにより形成される平均磁路を横切る位置に設置されている。
ここで、「平均磁路」とは、
磁束の流出端となる最外部に位置するティース(A)の先端面の中心をA点、前記磁束の流入端となる最外部に位置するティース(B)の先端面の中心をB点、前記アウターステータの中心をO点、A点を通るAO線の垂線とB点を通るBO線の垂線との交点をG点とした時に、G点を中心とし、かつ、A点及びB点を通る円弧(磁路)をいう。
(6)前記磁石は、次の(1)式を満たす。
r'b≦r≦r'a ・・・(1)
但し、
rは、前記AO線と前記BO線とのなす角の二等分線と、前記平均磁路との交点(X点)における前記磁石の前記配向領域内にある前記磁化容易軸の配向方向の曲率半径、
r'aは、前記ティース(A)の先端面の外側の端点をA’点、前記ティース(B)の先端面の外側の端点をB’点とした時に、G点を中心とし、かつ、A'点及びB’点を通る円弧(磁路)の曲率半径、
r'bは、前記ティース(A)の先端面の内側の端点をA”点、前記ティース(B)の先端面の内側の端点をB”点とした時に、G点を中心とし、かつ、A”点及びB”点を通る円弧(磁路)の曲率半径。 - 次の(3)式を満たす請求項5又は6に記載の永久磁石型モータジェネレータ。
0≦ΔL≦(2πR/n)×0.3 ・・・(3)
但し、
ΔLは、前記磁石間の円周方向の最短距離、
Rは、前記インナーロータの中心から、前記磁石間の円周方向の距離がΔLとなる位置までの長さ。
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