JP2018035211A - 高温耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

高温耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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博晃 西本
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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂とホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩において、特定のポリアミド樹脂を配合することにより、ポリアミド樹脂が有する機械的物性を著しく損なわず難燃性を付与するとともに、高温時の絶縁破壊電圧を向上できる高温耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸単位と炭素数10〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位よりなる半芳香族ポリアミド樹脂を30〜60重量部、難燃剤を5〜30重量部および強化材を25〜60重量部の合計100重量を部含有し、150℃における絶縁破壊電圧が25kV/mm以上である高温耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温環境における絶縁破壊電圧に優れ、同時に機械的物性、難燃性に優れた高温耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物およびその成形品に関するものである。
ポリアミド樹脂は、引張強度や、衝撃強度、弾性率などの機械的物性に優れ、しかも耐熱性、耐薬品性が良好であることから、電気電子部品、自動車用部品、建材部品、機械部品等に広く利用されている。
特に電気電子部品に対しては難燃性に対する要求が強く、UL94規格でV−0相当であることが必要条件となっている。熱可塑性樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物を配合する方法が一般的である。しかしながら、ハロゲン系難燃剤を配合した樹脂組成物は耐トラッキング性などの電気特性が低下することから、近年、これらハロゲンを全く含まない難燃剤を用いることが強く望まれるようになった。ハロゲンフリーによってUL94規格のV−0を達成するためには、赤燐や水酸化マグネシウム、数種のリン化合物などの配合が挙げられ、過去数多くの検討がなされてきた。特にホスフィン酸金属塩やジホスフィン酸金属塩であれば、比較的少ない配合量で、UL94規格のV−0を達成することが知られている。UL94規格はアンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter's Laboratories Inc.)が規格化した燃焼性試験方法であり、バーナーの炎を接触させた場合の「燃えにくさ」を示す。
近年、電機電子部品の開発では軽量化や省スペース化、また大容量化が進み、部品の一部を担う樹脂成形品への物性向上の要求が高まりつつある。軽量化や省スペース化により、樹脂成形品の肉厚が従来比薄くなるため、樹脂自体の機械的物性の向上が必要とされている。また大容量化により、発熱が促進されて高温環境下となるため、高温に対する電気特性が樹脂成形品に求められている。特に高電圧が印加される部品については、高い難燃性、耐トラッキング性、耐絶縁破壊性が求められている。トラッキング性とは、絶縁物の表面での微小放電が繰り返されることによって 絶縁物表面に導電性の経路が生成され、絶縁破壊に至る現象である。絶縁物のトラッキングの起こしにくさを示す値として、一般的に耐トラッキング性(Comparative Tracking Index:CTI)が用いられている。例えば電磁開閉器において通電する電極接点を高電圧状態で開放すると、開放した接点間にアーク放電が発生する。接点信頼性を向上させるためには、アーク放電を早期に消滅させることが必要となるため、アーク放電の際の高温や高エネルギーに耐えうる難燃性や、電力供給の信頼性を向上させるため耐トラッキング性が要求される。また絶縁破壊電圧とは絶縁体に印加する電圧を増加させると絶縁性が突然失われ、この時の電圧を絶縁体の厚みで除した値のことである。近年では例えば筐体用途では樹脂の薄肉化が進んでおり、高電圧が印加されることになり、樹脂の高い絶縁破壊電圧が求められている。具体的な樹脂の用途としては、コネクター、基盤、スイッチ、プラグ、電磁開閉器、電気ブレーカー筐体、トランジスタやインバーターのケース等が挙げられる。
このような非ハロゲン系の難燃剤を用いた電気特性に優れるポリアミド樹脂に関して、耐トラッキング性、UL94規格難燃性、グローワイヤー性、23℃における絶縁破壊電圧を向上させる手法として、例えば、ポリエステル樹脂とポリアミド樹脂の併用したポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、電気特性を向上させる手法として、具体的にはポリアミド66系が記載された、ポリアミド樹脂、強化材、ホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩、メラミンとリン酸とから形成される付加物、金属化合物からなる難燃性ポリアミド樹脂組成物や、具体的にはポリアミドMXD系が記載された、ポリアミド樹脂、リン系難燃剤、および(C)非円形断面を有するガラス繊維を含有してなる難燃性ポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。また、難燃性を向上させる手法として、半芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミドの併用したポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)ただし、いずれの文献においても高温時の絶縁破壊電圧についての記載は認められない。
特開2010−024324号公報 特開2007−023207号公報 特開2008−163317号公報 特開2013−064032号公報
本発明は上述した従来技術の課題に鑑み、機械的物性、難燃性に加えて、高温時の絶縁破壊電圧を向上させた高温耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、次のような手段を採用するものである。
(1)芳香族ジカルボン酸単位と炭素数10〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を有する半芳香族ポリアミド樹脂であるポリアミド樹脂を30〜60重量部、難燃剤を5〜30重量部および強化材を25〜60重量部の合計100重量部を含有し、150℃における絶縁破壊電圧が25kV/mm以上である耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
(2)前記半芳香族ポリアミド樹脂がポリアミド10Tまたはポリアミド10T/612である(1)記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
(3)前記難燃剤がホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩である(1)または(2)記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
(4)175℃における絶縁破壊電圧が20kV/mm以上である(1)〜(3)いずれかに記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物を含む耐絶縁破壊部品。
本発明によれば、ポリアミド樹脂が有する機械的物性を著しく損なわず難燃性を付与するとともに、高温時の絶縁破壊電圧を向上できるポリアミド樹脂組成物およびそれを用いてなる成形品を得ることができる。本発明のポリアミド樹脂組成物を含む成形品は、特に、高温時の絶縁破破壊電圧に優れるため、高温耐絶縁破壊部品に好適に用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物およびその成形品について具体的に説明する。
本発明の実施形態において用いられるポリアミド樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分と炭素数10〜18の脂肪族アルキレンジアミン成分を含有する半芳香族ポリアミド樹脂である。
半芳香族ポリアミド樹脂を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。経済的観点からテレフタル酸が好ましい。炭素数10〜18の脂肪族アルキレンジアミン成分とは、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミンが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分と炭素数10〜18の脂肪族アルキレンジアミン成分を含有する半芳香族ポリアミド樹脂としては、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリデカメチレンイソフタルアミド(ポリアミド10I)、ポリドデカメチレンイソフタルアミド(ポリアミド12I)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリドデカメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド10T/12T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリデカメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド10T/10I)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド/ポリドデカメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド12T/12I)や、ジカルボン酸成分中、テレフタル酸およびイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分の総量が50重量%以上であり、ジアミン成分中、炭素数10〜18の脂肪族アルキレンジアミン成分の総量が50重量%以上である、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド10T/6T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド10T/5T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリテトラメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド10T/4T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド12T/6T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド12T/5T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド/ポリテトラメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド12T/4T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリデカメチレンフタルアミドコポリマー(ポリアミド10T/10P)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリデカメチレンナフタルアミドコポリマー(ポリアミド10T/10N)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド10T/612)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。ここで、「/」は共重合体を示す。を挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。中でも、高温時の絶縁破壊電圧、機械的強度、剛性、靭性をよりバランスよく向上させることができることから、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド10T/612)が好ましく、ポリデカメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド10T/612)がより好ましい。
ポリアミド樹脂の融点には特に制限はないが、製品の耐熱性を考慮すると170℃以上が好ましい。一方、生産時の押出加工性や成形加工性を考慮すると340℃以下が好ましい。融点の測定方法としては、JIS K7121(1987年)に準拠し、示差走査型熱量測定装置を用い、昇温速度20℃/分で測定し、融解ピーク温度を融点とする。
ポリアミド樹脂の重合度には制限はないが、ISO307に準拠した硫酸96%法による粘度数が70〜250ml/gの範囲が好ましい。 本発明の実施形態において用いられる難燃剤はリン系難燃剤、窒素系難燃剤および金属水酸化物系難燃剤などのハロゲン原子を含まない非ハロゲン系難燃剤、臭素系難燃剤に代表されるハロゲン系難燃剤を挙げることができ、これらの難燃剤は単独で使用してもよいし、複数を併用して用いてもよい。非ハロゲン系難燃剤として、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンなどのポリリン酸系化合物、ホスフィン酸金属塩、ジホスフィン酸金属塩、ホスファゼン化合物、芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステルなどが挙げられる。
上に例示した難燃剤の中でも難燃性の点から、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩が好ましい。中でもジホスフィン酸金属塩がより好ましい。ホスフィン酸金属塩またはジホスフィン酸金属塩を含有することが好ましく、両者を含有することが更に好ましい。
金属塩としては、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。これら2種以上用いてもよい。その中でもアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩が好ましく、工業的に市販されているアルミニウム塩が量産性の観点からより好ましい。ジホスフィン酸金属塩の入手方法は特に限定されず、市販のものを使用することができる。例えば、クラリアント社製のExolit OP1230、OP930、OP935等が挙げられる。
本発明の実施形態において用いられる強化材は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えばガラス繊維の長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどを挙げることができる。これらを2種以上併用することもできる。ガラス繊維の長さに制限はないが、0.1〜6.0mmのチョップドストランドが好ましく用いられる。また、ガラス繊維の繊維径は5〜20μmが好ましい。また、ガラス繊維は公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)またはその他の表面処理剤を用いて、表面処理されていてもよい。表面処理により、ポリアミド樹脂との親和性を高めて、ポリアミド樹脂とガラス繊維との密着性を向上させ、成形品の機械強度が向上するため好ましい。また、扁平断面のガラス繊維を用いてもよく、成形品の寸法変化を抑制することができる。 ガラス繊維以外の強化材としては、炭素繊維、天然に存在する鉱物を粉砕、分級したものも使用できる。具体的な例としては、ワラステナイト、セリナイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、モンモリロナイト、合成雲母などの膨潤性の層状珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイドなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムおよびシリカなどの非繊維状充填材が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明の実施形態におけるポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミド樹脂、難燃剤および強化材の合計100重量部に対して、半芳香族ポリアミド樹脂を30〜60重量部、難燃剤を5〜30重量部、強化材を25〜60重量部含有する。
半芳香族ポリアミド樹脂は30〜60重量部である。30重量部未満の場合は、成形品を成形することができない。好ましくは35重量部以上であり、より好ましくは40重量部以上である。60重量部を超える場合はUL94規格V−0の難燃性を達成することが困難となる。好ましくは55重量部以下であり、より好ましくは50重量部以下である。
難燃剤の含有量は5〜30重量部であり、10〜20重量部が好ましい。5重量部未満の場合、UL94規格V−0の難燃性を達成することが困難となる。30重量部を超えると、強度、靭性などの機械的物性が低下する。
強化剤の含有量は25〜60重量部であり、30〜50重量部が好ましい。25重量部未満であると、強度、靭性などの機械的物性が低下する。一方、60重量部を超えると、押出等の加工性が悪化する。
本発明の実施形態におけるポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を樹脂成形品に含有してもよい。他の成分としては、例えば、非ハロゲン難燃剤(赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸エステル、あるいは、ベンゾグアニン化合物、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのテレフタル酸エステル化合物、アラントイン化合物、グリコールウリル化合物、メラミンホスフェート化合物、ジメラミンホスフェート化合物、メラミンピロホスフェート化合物、メレム、メラムなど)、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、長期耐熱安定性(銅化合物、ジペンタエリスリトール等)、長期耐熱安定性助剤(ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ化合物)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素、ポリエチレンワックスおよびジペンタエリスリトール等)、腐食防止剤(ハイドロタルサイト、炭酸水素塩)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、ポリアミド樹脂以外の重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、ポリフェニレンサルファイド樹脂等)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン共重合体等)やアイオノマー等を挙げることができる。
本発明の実施形態におけるポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品は、150℃における絶縁破壊電圧が25kV/mm以上である。26kV/mm以上が好ましく、27kV/mm以上が好ましい。更に好ましくは175℃における絶縁破壊電圧の値を20kV/mm以上であり、25kV/mm以上が特に好ましい。絶縁破壊電圧は、例えば80mm×80mm×1mmの成形品を絶縁破壊試験装置(日化テクノサービス:型式HAT−300−100RHO)を用いて測定することができる。前記成形品を特定の温度のオイル中に浸漬させ、速度:3kV/sec、電極:φ20球とφ25円柱を用いて測定することができる。
本発明の実施形態におけるポリアミド樹脂組成物の製造方法については特に制限はなく、ポリアミド樹脂と、難燃剤、強化材、必要に応じて他の成分をドライブレンドする方法、ポリアミド樹脂と難燃剤、強化材、必要に応じて他の成分を溶融混練する方法などが挙げられる。これらの中でも、ポリアミド樹脂と難燃剤、強化材および必要に応じて他の成分を溶融混練する方法が、樹脂成分中の添加剤の分散性が増し、添加剤の効果が向上するため好ましい。溶融混練装置には特に制限はないが、難燃剤、強化材の分散性の観点から押出機が好ましく、二軸押出機がより好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも好ましい。原料の供給の方法には特に制限はないが、二軸押出機を用いる場合には、ポリアミド樹脂と難燃剤、必要に応じて他の成分をあらかじめブレンダー等で混合しておき、それを二軸押出機のフィード口から供給し、強化材をサイドフィード口から供給する方法が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、通常公知の射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルム、シート、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維などが挙げられる。特に、本発明においては、高温の絶縁破壊電圧、難燃性に優れる点を活かして、耐高電圧部品に好適に用いられる。耐高電圧部品とは、例えば、トランジスタ、サイリスタ、インバーター、コンバーター、コネクター、スイッチ、電磁開閉器等の各種電気・電子部品、HEV・EV駆動、パワーステアリング関連等の自動車部品、太陽電池、風力等の新エネルギー関連部品、電鉄用部品、各種家電製品の部品や、それらの周辺の基盤や筐体、ケース、モジュール部品等などが挙げられる。
実施例・比較例における各特性の評価は以下の方法により行った。
(1)引張強度、引張伸び
・試験片:ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。
・試験条件:ISO527(2012年)に準処し、引張強度、引張伸びの測定を行った。引張速度50mm/分、標点間距離115mm。
・試験雰囲気:気温23℃、湿度50%RH。
・5回測定を行い、平均値を算出した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率
・試験片:ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。
・試験条件:ISO178(2010年)に準処し、曲げ強度、曲げ弾性率の測定を行った。降伏速度2mm/分、スパン間距離64mm。
・試験雰囲気:気温23℃、湿度50%RH
・5回測定を行い、平均値を算出した。
(3)シャルピー衝撃強度
・試験片:ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。この多目的試験片の中央部分より、80mm×10mm×4mmの試験片を切削加工し、得られた試験片を、JISK7144(1999年)に準処しノッチ加工することで衝撃試験片を得た。
・試験条件:ISO179(2010年)に準処し、シャルピー衝撃強度の測定を行った。
・試験雰囲気:気温23℃、湿度50%RH
・10回測定を行い、平均値を算出した。
(4)難燃性
・UL94の垂直燃焼試験に準拠し、試験片厚み0.4mmについて測定を行った。垂直にクランプで固定された試験片にバーナーの炎を10秒間接炎させ、炎を離してから試験片の炎が消えるまでの時間を秒単位で測定し、燃焼停止時間を測定する。試験片1本あたり、10秒間の接炎は2回行う。
「V−0判定」
・試験片1本あたりの1回目の燃焼停止時間が10秒以下
・試験片5本合計の1回目の燃焼停止時間が50秒以下
・試験片1本あたりの2回目の燃焼停止時間が30秒以下
・接炎後のクランプまでの燃焼不可
・ドリップ時の脱脂綿の燃焼不可
「V−2判定」
・試験片1本あたりの1回目の燃焼停止時間が30秒以下
・試験片5本合計の1回目の燃焼停止時間が250秒以下
・試験片1本あたりの2回目の燃焼停止時間が60秒以下
・接炎後のクランプまでの燃焼不可
・ドリップ時の脱脂綿の燃焼可
(5)絶縁破壊電圧
・80mm×80mm×1mmの成形品を絶縁破壊試験装置(日化テクノサービス:型式HAT−300−100RHO)を用いて測定した。
・23℃、150℃、175℃のオイル中に成形品を浸漬させ、速度:3kV/sec、電極:φ20球とφ25円柱を用いて測定した。
(6)耐トラッキング性(Comparative Tracking Index:CTI)
・80mm×80mm×3mmの成形品を用いて、IEC60112(1996年)に従い、電解液を滴下しながら電圧を加え、トラッキング破壊電圧を測定した。
(7)ポリアミド樹脂の粘度数
ISO307(2007年)に準拠して、溶媒に96%硫酸を用いて測定した。
実施例・比較例に用いた原料を以下に示す。
(8)ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度
東洋精機(株)製キャピログラフを用い、ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/sの条件で測定。
<ポリアミド樹脂>
・ポリアミド10T/612共重合(91/9[mol比]):融点315℃、粘度数90ml/g
・ポリアミド10T/612共重合(98/2[mol比]):融点300℃、粘度数90ml/g
・ポリアミド10T:融点315℃、粘度数110ml/g
・ポリアミド66:融点265℃、粘度数117ml/g
・ポリアミド6:融点225℃、粘度数110ml/g
<ポリフェニレンスルフィド樹脂>
・PPS:融点280℃、溶融粘度10Pa・s
<ガラス繊維>
・ガラス繊維A:チョップドストランド状 日本電気硝子(株)製T−275H(断面の直径10.5μm、繊維長3mm)
・ガラス繊維B:チョップドストランド状 日本電気硝子(株)製T−747H(断面の直径10.5μm、繊維長3mm)
<水酸化マグネシウム>
・協和化学工業(株)製KISUMA5EU:平均粒子径0.7μm
<ジエチルホスフィン酸アルミニウム>
・クラリアント(株)製Exolit OP1230
<ハイドロタルサイト>
・協和化学工業(株)製KW2100(組成Mg0.7Al0.31.15
<ヒンダードフェノール系耐熱材>
・BASF(株)製Irganox1098
実施例1〜7、比較例3、4
表1に示した配合比で混合し、2軸押出機(Werner&Pfleiderer製:ZSK57)を用いてシリンダー設定温度330℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で溶融混練を行った。溶融混錬した後、ストランド状のガットを冷却バスで冷却し、カッターを用いてペレットを得た。得られた樹脂組成物のペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。乾燥したペレットを用いて、日精樹脂工業(株)製のNEX1000射出成形機を用いて、シリンダー温度330℃、金型温度130℃の条件で成形し、各試験片を得た。
比較例1、2
表1に示した配合比で混合し、実施例1の樹脂溶融温度を290℃とし、溶融混練後ペレット化した。乾燥方法は実施例1と同様であり、成形機のシリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で成形し、各試験片を得た。
比較例5
表1に示した配合比で混合し、実施例1の樹脂溶融温度を320℃とし、溶融混練後ペレット化した。成形前に事前乾燥として130℃、6時間の条件で熱風乾燥処理し、成形機のシリンダー温度320℃、金型温度130℃の条件で成形し、試験片を得た。
その結果を表1に示す。
Figure 2018035211
実施例1〜5と比較例1〜5の対比により、特定のポリアミド樹脂に、難燃剤および強化材を特定量含有するポリアミド樹脂組成物は、機械的物性、難燃性に優れ、高温時の絶縁破壊電圧も高いことがわかった。

Claims (5)

  1. 芳香族ジカルボン酸単位と炭素数10〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を有する半芳香族ポリアミド樹脂を30〜60重量部、難燃剤を5〜30重量部および強化材を25〜60重量部の合計100重量部を含有し、150℃における絶縁破壊電圧が25kV/mm以上である耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記半芳香族ポリアミド樹脂がポリアミド10Tまたはポリアミド10T/612である請求項1記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記難燃剤がホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩である請求項1または2記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
  4. 175℃における絶縁破壊電圧が20kV/mm以上である請求項1〜3いずれかに記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の耐絶縁破壊部品用ポリアミド樹脂組成物を含む耐絶縁破壊部品。
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