JP2023048781A - 絶縁粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性と耐トラッキング性とを両立させた絶縁粘着テープを提供する。【解決手段】絶縁粘着テープ3は、絶縁層12及び粘着層13を含む積層体L3で構成され、絶縁層12及び粘着層13は、積層体L3の表面にそれぞれ設けられ、絶縁層12は、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする樹脂で形成されている。【選択図】図1

Description

本開示は、絶縁粘着テープに関するものである。
自動車部品や電気・電子部品等に使用される絶縁材料が種々検討されている。例えば、特許文献1には、ポリアミド樹脂に特定の多分岐構造の化合物および/または縮合物を含有してなるポリアミド樹脂組成物及び当該ポリアミド樹脂組成物からなる成形品であって、国際電気標準会議規格IEC-60112/3に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)が500ボルト以上である成形品が提案されている。
特開2020-19861号公報
ところで、近年、世界的に、バッテリーの電気でモータを駆動させて走るEV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド式電動自動車)や、水素と酸素の化学反応で得られる電気でモータを駆動させて走るFCV(燃料電池車)等が急速に普及し始めている。モータを駆動するためには、バッテリーより直流電源を取り出し、インバーターを用いて交流モータを駆動する。多くの電流を限られた資源(電線の太さ)で流すためには、電圧を上げることが必要とされる。
バッテリーの電圧は現在400Vが主流であるが、ケーブルの細線化や充電時間短縮のために800Vへ昇圧する動きが出ている。そのため、耐熱性の高い耐トラッキング絶縁材料、当該材料を用いた絶縁(粘着)テープ等の開発が要望されている。
前記材料の候補として、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂等が挙げられるが、材料の入手性及び加工性の点で、当該樹脂を絶縁テープ基材として使用することは経済的に非現実的である。また、耐熱性樹脂にフィラーや樹脂等を混合して耐トラッキング性を向上させた樹脂が存在するが、材料強度及び加工適正の点で、当該樹脂を用いて絶縁テープ基材として仕上げることは困難である。このように、現在、耐熱性(例えば、JISC4003:2010に規定される耐熱クラスがF種(155℃)以上)と耐トラッキング性(例えば、IEC60112、JIS C2134又はASTM D3638に規定される比較トラッキング指数(Comparative Tracking Index、CTI)が600V以上)の双方に優れた材料を絶縁テープ基材として用いた絶縁粘着テープはほとんど見当たらない。
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性と耐トラッキング性とを両立させた絶縁粘着テープを提供することにある。
上記の目的を達成するために、この開示技術では、絶縁粘着テープを構成する積層体の少なくとも一方の最表面(最表層)を、特定のポリアミド及び/又はポリイミドを主成分とする樹脂で構成するようにした。本開示は、具体的には以下のとおりである。
本開示の絶縁粘着テープは、絶縁層及び粘着層を含む積層体で構成される絶縁粘着テープであって、前記絶縁層及び粘着層は、前記積層体の表面にそれぞれ設けられ、前記絶縁層は、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする樹脂で形成されていることを特徴とする。前記積層体は基材層をさらに含む3層以上で構成され、前記基材層は前記絶縁層及び粘着層の間に設けられ、前記積層体の厚みに対する前記絶縁層の厚みの比率が0.05以上0.15以下であってもよい。前記基材層は、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、前記芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド以外のポリイミド及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。前記絶縁層は、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミドを主成分とする樹脂で形成されていてもよい。また、本開示の絶縁粘着テープは、IEC60112、JIS C2134又はASTM D3638に基づく試験に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)が600V以上又は1000V以上であってもよい。
本開示によれば、耐熱性と耐トラッキング性とを両立させた絶縁粘着テープを提供することができる。
図1は、本開示の第1の実施形態に係る絶縁粘着テープを示す概略側面図である。 図2は、本開示の第1の実施形態に係る絶縁粘着テープの変形例を示す概略側面図であり、図1に相当する図である。 図3は、本開示の第2の実施形態に係る絶縁粘着テープの概略側面図であり、図1に相当する図である。
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<実施形態1>
図1及び図2は本実施の形態に係る絶縁粘着テープ3a,3b(なお、まとめて「絶縁粘着テープ3」ともいう)を示す。図1及び図2に示すように、絶縁粘着テープ3は例えば芯材10にロール状に巻回されている。絶縁粘着テープ3は、テープ表面から順に絶縁層12、基材層11及び粘着層13が積層された3層の積層体L3で構成されている。基材層11は積層体L3に介在している。換言すると、基材層11は絶縁層12及び粘着層13の間に設けられている。一方、絶縁層12及び粘着層13は積層体L3の表面にそれぞれ設けられている。換言すると、基材層11の一方面(表面、図1では上面)に絶縁層12が形成され、他方面(裏面、図1では下面)に粘着層13が形成されている。
[基材層]
基材層11は絶縁粘着テープ3を支持する支持体(基材)を構成する層である。基材層11を構成する樹脂としては、絶縁性、耐トラッキング性、耐熱性等を有するものであれば特に限定されず、例えば、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、芳香族ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。なお、前記芳香族ポリイミド(PI)は、後述する芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミドとは異なるポリイミド(つまり、芳香環濃度が30質量%を超過するポリイミド)であってもよい。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、絶縁粘着テープの耐熱性向上の観点から、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、芳香族ポリイミド及びポリエーテルエーテルケトンが好ましい。換言すると、基材層11は、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、芳香族ポリイミド及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも一種を含む樹脂で形成されていることが好ましい。なお、絶縁粘着テープの耐熱性向上の観点から、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド及び芳香族ポリイミドがより好ましく、芳香族ポリイミドがさらに好ましい。また、絶縁粘着テープの難燃性向上の観点から、ポリフェニレンスルファイド及び芳香族ポリイミドが好ましく、芳香族ポリイミドがより好ましい。
基材層11を構成する樹脂は、市販品を使用してもよく、従来公知の方法により合成して得られたものを使用してもよい。
基材層11を構成する樹脂成分(原料)は、前記の樹脂の少なくとも一種のみを含有するものでもよく、前記の樹脂の少なくとも一種と共に、本発明の目的を阻害しない範囲内で、前記の樹脂以外の他の樹脂、無機微粒子(シリカ等)、各種エラストマー成分等を含有していてもよい。
基材層11は、市販のフィルム;キャスティング法、カレンダー法、溶融押出法等の成形方法により成膜されたフィルム等を使用できる。市販のフィルムとしては、例えば、東レ・デュポン(株)製の「カプトン(Kapton)」(登録商標、芳香族ポリイミドフィルム)等が挙げられる。
なお、基材層11は、単層でもよく、複数層に形成されていてもよい。複数層の場合、各層を構成する樹脂の種類は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
[絶縁層]
絶縁層12は、基材層11に耐トラッキング性を付与するための層であり、絶縁粘着テープ3を構成する積層体L3の最表層を構成する。トラッキングの発生メカニズムとして、絶縁物である絶縁層に汚染や埃等が存在し、さらに水分が存在した状態で電圧が加わると、当該絶縁層に電流が流れ、ジュール熱により水分が蒸発・乾燥すると電流が一部に集中して微小放電が発生し、当該絶縁層の一部が分解・炭化することが原因とされている。
したがって、絶縁層12を構成する樹脂としては、(1)疎水性が高い、(2)含有炭素量が少ない(炭化導電路を形成し難い)、(3)耐熱性が高い、という3つの性質を併せ持つものが理想的である。さらに、コーティング法で絶縁層12を基材層11上に塗工するときに、コーティング剤への加工のし易さの点で、(4)溶剤可溶の材料であることが好ましい。
本実施形態では、前記(1)~(4)の性質を併せ持つ材料として、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド及び芳香環濃度が30質量%以下であるポリアミドを想到し、当該材料で構成される絶縁層12を積層体L3の最表層に配置することで、前記効果を発現する絶縁粘着テープ3を完成させた。
(芳香環濃度)
本明細書において、芳香環濃度は、ポリイミド又はポリアミド(以下単に「ポリマー」ともいう)に含まれる芳香環の含有率(ポリマーの原料中の芳香環の質量の割合)をいい、ポリマー中の芳香環に相当する部分(以下「芳香環骨格」という)の重量をポリマー全体の重量で除した値をいう。つまり、芳香環濃度はポリマーの原料として用いられる単量体成分の組成から算出される値である。具体的には、芳香環濃度は以下の数式(1)により算出される。
[数1]
芳香環濃度(質量%)=〔「芳香環骨格の分子量」×「ポリマー(ポリイミド又はポリアミド)に含まれる芳香環骨格の数」〕/〔ポリマー(ポリイミド又はポリアミド)の分子量〕 (1)。
なお、数式(1)中のポリマーの分子量は数平均分子量(Mn)である。また、数式(1)中の芳香環骨格とは、縮合ベンゼン環骨格(分子量:76g/mol)、縮合ナフタレン環骨格(分子量:128g/mol)、縮合アントラセン環骨格(分子量:178g/mol)、縮合フェナントレン環骨格(分子量:178g/mol)等の縮合芳香環骨格をいう。縮合ナフタレン環骨格、縮合アントラセン環骨格及び縮合フェナントレン環骨格は、それぞれ1つの縮合芳香環骨格として、芳香環濃度を計算する。
芳香環濃度は、絶縁粘着テープの耐トラッキング性の向上を図る観点から、30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。また、当該芳香環濃度の下限値は、絶縁粘着テープの耐熱性の向上を図る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。換言すると、芳香環濃度は、耐トラッキング性と耐熱性とを両立させた絶縁粘着テープを得る観点から、好ましくは5質量%以上30質量%以下、より好ましくは7質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは8質量%以上20質量%以下である。
(数平均分子量(Mn))
数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、ポリマーの芳香環濃度を前記範囲にする観点から、好ましくは1900以上、より好ましくは3500以上、さらに好ましくは10000以上である。また、その上限値は、前記観点から、好ましくは77000以下、より好ましくは39000以下、さらに好ましくは26000以下である。数平均分子量(Mn)が前記範囲内の場合、芳香環濃度の変化は小さい、つまり芳香環濃度は同様の値になる。なお、数平均分子量(Mn)は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(密度)
また、前記(1)~(4)の性質を併せ持つ材料として、芳香環濃度が30質量%以下であると共に、密度が1.2g/cm以下であるポリイミド及びポリアミドがより好ましい。密度は、好ましくは1.15g/cm以下であり、また好ましくは1g/cm以上、より好ましくは1.05g/cm以上、さらに好ましくは1.1g/cm以上である。なお、密度は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(官能基濃度(官能基価))
ポリマーの官能基濃度(酸価又は酸無水物価)は、特に限定されないが、ポリマーの数平均分子量(Mn)を前記範囲にする観点から、好ましくは22mgKOH/g以下、より好ましくは14mgKOH/g以下、より一層好ましくは11mgKOH/g以下、さらに好ましくは8mgKOH/g以下である。また、その下限値は、前記観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは6mgKOH/g以上である。なお、官能基濃度は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
絶縁層12は、前記した芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド(以下「特定ポリイミド」ともいう)及び芳香環濃度が30質量%以下であるポリアミド(以下「特定ポリアミド」ともいう)からなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする樹脂で形成されている。つまり、絶縁層12を構成する樹脂は、特定ポリイミドのみを主成分として含んでいてもよく、特定ポリアミドのみを主成分として含んでいてもよく、特定ポリイミド及び特定ポリアミドを組み合わせたものを主成分として含んでいてもよい。
なお、本明細書において、主成分とは層を構成する樹脂中の主要な成分をいう。具体的には、主成分は層を構成する樹脂(原料)中に50質量%超過で含有する樹脂成分をいう。主成分の樹脂中の含有量は、50質量%超過であれば特に限定されず、100質量%でもよい。つまり、主成分の樹脂のみで層が形成されていてもよい。
〔芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド〕
芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド(特定ポリイミド)は、ポリマー全体に対する芳香環由来の構造の占める割合が30質量%以下であれば、原料として種々のテトラカルボン酸二無水物やポリアミン化合物等を組み合わせることが可能である。
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物は、脂肪族構造又は脂環族構造を有するものが、ポリマー全体に対する芳香環濃度を30質量%以下に調整しやすく好適である。
脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5-ペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸等の鎖状炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂環族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、1-カルボキシメチル-2,3,5-シクロペンタントリカルボン酸、3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸(TCA)、rel-ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ-9-エン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、5-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,6-トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、ビシクロ[3.3.0]オクタン-2,4,6,7-テトラカルボン酸、7,8-ジフェニルビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、4,8-ジフェニル-1,5-ジアザビシクロオクタン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、9-オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、9,14-ジオキソペンタシクロ[8.2.11,11.14,7.02,10.03,8]テトラデカン-5,6,12,13-テトラカルボン酸等のシクロ、ビシクロ、トリシクロテトラカルボン酸;2,8-ジオキサスピロ[4.5]デカン-1,3,7,9-テロトン等のスピロ環含有テトラカルボン酸;1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン(TDA)等の脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
前記脂肪族構造や脂環族構造以外のテトラカルボン酸二無水物として、芳香環濃度を30質量%以下に調整できれば、芳香族構造を有するテトラカルボン酸無水物を使用してもよい。具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(BPDA)、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、以下の一般式(1)で表されるジフタル酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、PMDA及びBPDAが好ましい。なお、BPDAは、以下の一般式(2)で表される、2つの芳香環構造が直接繋がったカルボン酸ニ無水物である。
Figure 2023048781000002
一般式(1)中のXは、2価の置換基を有していてもよい有機基(例えば炭素数1~10の炭化水素基)、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-CONH-、-COO-、又は-OCO-等の連結基を示す。
Figure 2023048781000003
前記脂肪族構造、脂環族構造又は芳香族構造を有するテトラカルボン酸二無水物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、前記単量体の例は、適宜、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等が例示できる。また、前記テトラカルボン酸二無水物に代えて、同様の構造を有するテトラカルボン酸又はテトラカルボン酸ジエステル等のテトラカルボン酸誘導体を用いてもよい。
(ポリアミン化合物)
ポリアミン化合物も、前記テトラカルボン酸二無水物と同様に、脂肪族構造又は脂環族構造を有するものが、ポリマー全体に対する芳香環濃度を30質量%以下に調整しやすく好適である。なかでもダイマー構造を有するポリアミン化合物であるダイマージアミン(DDA)が好ましい。
ダイマージアミンはダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化した化合物を使用できる。ダイマー酸はダイマー構造を有する多塩基酸化合物であり、脂肪酸の二量体(以下「脂肪酸二量体」という)である。
脂肪酸二量体は、炭素数20~60の化合物が好ましく、炭素数24~56の化合物がより好ましく、炭素数28~48の化合物がさらに好ましく、炭素数36~44の化合物がさらに一層好ましい。脂肪酸二量体は脂肪酸をディールス-アルダー反応させた分岐構造を有するジカルボン酸化合物が好ましい。前記脂肪酸は、例えば、炭素数10~30の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数10~24の不飽和脂肪酸がより好ましい。前記不飽和脂肪酸は、炭素炭素二重結合、又は炭素炭素三重結合を1以上有する。前記脂肪酸の具体例としては、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、菜種油脂肪酸等の天然の脂肪酸、及びこれらを精製したオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等が挙げられる。前記分岐構造は、脂肪鎖構造及び環構造が好ましく、環構造がより好ましい。前記環構造は、1又は2以上の芳香環及び脂環構造が好ましく、1又は2以上の脂環構造がより好ましい。前記脂環構造は、環内に二重結合を1つ有するものでもよく、二重結合を有さないものでもよい。
脂肪酸二量体を合成する際、脂肪酸二量体の他に、脂肪酸の三量体や場合によって四量体が生成する。そのため、ダイマー骨格を含む多塩基酸化合物は、主成分の脂肪酸二量体のみならず、脂肪酸の三量体等、場合によっては原料の脂肪酸を含む混合物である。ダイマー酸における脂肪酸二量体の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ダイマー酸は原料に不飽和脂肪酸を使用しているため不飽和結合が残存する場合がある。かかる場合、水素添加(水添反応ともいう)を行い、不飽和結合数を抑制できる。これにより、特定ポリイミドを合成する際の反応安定性が向上し、さらに特定ポリイミドを含む絶縁粘着テープの耐熱性が向上する。
ダイマー酸の市販品は、例えば、クローダジャパン社製の「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」、「プリポール1015」、「プリポール1017」、「プリポール1022」、「プリポール1025」、「プリポール1040」;BASFジャパン社製の「エンポール1008」、「エンポール1012」、「エンポール1016」、「エンポール1026」、「エンポール1028」、「エンポール1043」、「エンポール1061」、「エンポール1062」等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ダイマージアミンは、炭素数20~60の化合物が好ましく、炭素数24~56の化合物がより好ましく、炭素数28~48の化合物がさらに好ましく、炭素数36~44の化合物がさらに一層好ましい。かかる炭素数のダイマージアミンは入手し易さの観点で好ましい。
ダイマージアミン(DDA)の市販品は、例えば、クローダジャパン社製の「プリアミン(PRIAMINE)1071」、「プリアミン1073」、「プリアミン1074」、「プリアミン1075」、BASFジャパン社製の「バーサミン551」等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、ダイマージアミンを得るためのダイマー構造を有する多塩基酸化合物は、例えば、以下の化学式(d1)~化学式(d4)で示す構造を有するもの等が挙げられる。なお、ダイマー構造を有する多塩基酸化合物は以下構造を有するものに限定されない。
Figure 2023048781000004
Figure 2023048781000005
Figure 2023048781000006
Figure 2023048781000007
ダイマージアミン以外のポリアミン化合物(以下「その他のジアミン」ともいう)としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよい、脂肪族構造(不飽和結合が含まれていてもよい、鎖状炭化水素構造及び/又は脂環式炭化水素構造)、芳香族構造(芳香環及び前記構造を任意に組み合わせてもよい)のジアミン化合物等が挙げられる。
脂肪族構造を有するその他のジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(MBCHA)、ピペラジン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
芳香族構造を有するその他のジアミンとしては、例えば、例えば、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノトルエン、3,4-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらの中では、4,4’-ODAが好ましい。その他のジアミンの中では、反応性や入手し易さの点で、イソホロンジアミン及びノルボルナンジアミンが好ましい。
前記ダイマー構造(ダイマージアミン)、ダイマージアミン以外(その他のジアミン)のポリアミン化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(その他の単量体)
絶縁層12を構成する樹脂成分の原料として、本発明の目的を阻害しない範囲内で、前記以外の単量体を用いてもよい。例えば、アミノ基を3つ以上有するポリアミン化合物を用いてもよい。アミノ基を3つ以上有するポリアミン化合物としては、例えば、1,2,4-トリアミノベンゼン、3,4,4’-トリアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
(架橋剤)
特定ポリイミドは、架橋剤と反応させて架橋させることで、絶縁層の耐熱性の向上を図ることができる。そのため、特定ポリイミドの原料として用いられる単量体成分に架橋剤が含まれていることが好ましい。
架橋剤としては、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有し、架橋構造を構築できる化合物等が挙げられる。具体例としては、エポキシ化合物、シアネートエステル化合物、イソシアネート基含有化合物、キレート化合物、カルボジイミド基含有化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物をいい、公知の化合物を用いることができる。耐熱性をより効果的に高める観点からは、高分子化合物であることが好ましく、Mwが200~3000のエポキシ化合物がより好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能フェノール系エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アラルキル変性型エポキシ樹脂、脂環式系およびアルコール系等のグリシジルエーテル、脂環式系およびアルコール系等のグリシジルアミン系(例えば、三菱ガス化学(株)製の「テトラッドC」、「テトラッドX」等)、並びに脂環式系およびアルコール系等のグリシジルエステル系樹脂等が挙げられる。
架橋剤は、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。また、架橋剤は、架橋剤自身が熱硬化性を示す化合物であってもよく、架橋剤と特定ポリイミドとが架橋する化合物であってもよい。架橋剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(官能基)
特定ポリイミドは、前記架橋剤と反応させて架橋させることで耐熱性を向上させることが可能であるため、官能基を有することが好ましい。
官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、酸無水物基等が例示できる。これらは、特定ポリイミドの原料として用いられる単量体由来の官能基であってもよく、重合体を得た後に変性体として官能基を導入してもよい。官能基は、重合体の末端にある態様の他、側基、及び/又は側鎖に有する態様がある。好適な例として、重合体末端にカルボキシル基、酸無水物基又はアミノ基等の官能基を有する態様が例示できる。また、側基又は側鎖にカルボキシル基、アミノ基、水酸基等の官能基の少なくとも一種を有する態様が例示できる。
官能基として水酸基を有する場合、フェノール性水酸基が好適である。フェノール性水酸基を有することで、架橋剤との架橋構造を構築し、強靱な絶縁層12を形成できる。フェノール性水酸基は、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物及び/又はフェノール性水酸基を有するポリアミン化合物を用いることにより容易に導入できる。このフェノール性水酸基の芳香環は、主鎖骨格に含まれる態様が好ましい。また、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物を用いることが好ましい。
(シリカフィラー)
特定ポリイミドは、シリカフィラーによって、絶縁層のブロッキングを防止できる。そのため、特定ポリイミドの原料として用いられる単量体成分にシリカフィラーが含まれていることが好ましい。
シリカフィラーは、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカフィラー等が挙げられる。シリカフィラーは、流動性に優れる点で、溶融球状シリカが好ましい。
シリカフィラーの平均粒子径は、1~50μmが好ましく、5~30μmがより好ましく、10~22μmがさらに好ましい。なお、平均粒子径は、平均粒子径D50であり、例えば、母集団から任意に抽出される試料を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定できる。
シリカフィラーは、特定ポリイミドの原料として用いられる単量体成分(不揮発分)100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。なお、シリカフィラーの上記含有量の上限の好適値は30質量部である。
シリカフィラーは単一種類の使用でもよく、二種以上を併用してもよい。シリカフィラーを二種類以上含む態様として、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカおよび2次凝集シリカの中から任意の二種類以上を併用する態様;平均粒子径が異なる二種類以上を併用する態様;表面処理が異なる二種類以上のシリカフィラーを併用する態様等が例示できる。
また、シリカフィラーはシランカップリング剤により処理(前処理)することが好ましい。これにより、他の材料との親和性が向上し、シリカフィラーの分散性がより向上する。
シランカップリング剤は加水分解性基と反応性官能基を有する化合物である。加水分解性基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基;アセトキシ基;2-メトキシエトキシ基等が挙げられる。これらの中でも加水分解によって生じるアルコールなどの揮発成分を除去し易い面でメトキシ基が好ましい。
前記反応性官能基は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基等が挙げられる。これらの中では、エポキシ基が好ましい。
シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基含有シランカップリング剤;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基含有シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤によりシリカフィラーを処理する方法は、例えば、溶媒中でシリカフィラーとシランカップリング剤を混合する湿式法、気相中でシリカフィラーとシランカップリング剤を処理させる乾式法等が挙げられる。
シランカップリング剤の処理量は、未処理のシリカフィラー100質量部に対して、シランカップリング剤を0.1~1質量部程度処理することが好ましい。
(触媒)
特定ポリイミドと前記架橋剤とを反応させて架橋させるときに、触媒を用いてもよい。触媒としては、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類;ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類;リン系化合物等を例示できる。具体的には、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7(DBU)、トリフェニルホスフィン(TPP)等が挙げられる。
〔芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミドの製造方法〕
芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド(特定ポリイミド)は各種公知の方法により製造できる。具体例として、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸樹脂又はポリアミド酸エステル樹脂を加熱により環化してイミド基に変換する方法等が挙げられる。
ポリアミド酸樹脂の合成法は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させる方法等が挙げられる。具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを含む単量体成分を溶媒に溶解させて、例えば60~120℃の温度で0.1~2時間撹拌し、重合させることにより、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸樹脂を製造できる。
ポリアミド酸エステル樹脂の合成法は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得て、次いで縮合剤の存在下でジアミンと反応させる方法;テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得て、次いで残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミンと反応させる方法等が挙げられる。これにより、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸エステル樹脂を製造できる。
重合に用いる有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。前記有機溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、前記有機溶媒は、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素との併用も可能である。
前記ポリイミド前駆体を加熱により環化してイミド基に変換する方法、つまりポリイミド前駆体をイミド化させてポリイミド樹脂を得る方法は、特に制限されないが、溶媒中で、例えば、80~400℃の温度で0.5~50時間加熱する方法が例示できる。このとき、必要に応じて触媒及び/又は脱水剤を用いてもよい。
触媒としては、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類;ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類等が例示できる。また、脱水剤としては、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物等が例示できる。
特定ポリイミドのイミド化率(イミド環の形成率)は特に限定されないが、基材層に優れた耐トラッキング性を付与する絶縁層を形成する観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95~100%である。イミド化率はNMRやIR分析等により決定できる。
以上のようにして得られる特定ポリイミドは、例えば、以下の化学式(PI1)~化学式(PI3)で示す構造を有するもの等が挙げられる。なお、特定ポリイミドは以下構造を有するものに限定されない。
Figure 2023048781000008
Figure 2023048781000009
Figure 2023048781000010
〔芳香環濃度が30質量%以下であるポリアミド〕
芳香環濃度が30質量%以下であるポリアミド(特定ポリアミド)はアミド基を含む繰り返し構造単位を含有するポリマーである。具体的には、特定ポリアミドは、多塩基酸化合物、ポリアミン化合物、必要に応じてその他の単量体の重合体、又はその重合体を変性した変性体である。ここで変性体とは、前記重合体の分子構造内の一部を変換(例えば、官能基の変換、他の化合物と置換、又は他の化合物の付加)した誘導体である。特定ポリアミドは、ポリマー全体に対する芳香環由来の構造の占める割合が30質量%以下であれば、原料として種々の多塩基酸化合物やポリアミン化合物等を組み合わせることが可能である。
芳香環濃度を30質量%以下に調整するには、ポリアミド系樹脂にダイマー構造を導入する方法が好ましい。ポリアミド系樹脂へのダイマー構造の導入には、ダイマー構造を有する単量体を用いればよい。ダイマー構造を有する多塩基酸化合物として、ダイマー酸が好適である。ダイマー酸は前記特定ポリイミドで例示した前記脂肪酸二量体と同様のものが挙げられる。また、ダイマー構造を有するポリアミン化合物として、ダイマージアミンが好適である。ダイマージアミンは前記特定ポリイミドで例示した前記ダイマージアミンと同様のものが挙げられる。
(多塩基酸化合物)
多塩基酸化合物は二塩基酸以上のカルボン酸である。多塩基酸化合物はその一部が酸無水物であってもよい。多塩基酸化合物として、前記ダイマー酸、その他の多塩基酸化合物が挙げられる。
その他の多塩基酸化合物は、前記ダイマー酸以外の多塩基酸化合物であって、2官能以上の化合物である。
二塩基酸化合物として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(TPA)、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸;シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、チオりんご酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジオン酸、ジグリコール酸等の脂肪族二塩基酸;1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸等が挙げられる。二塩基酸化合物の中ではて、イソフタル酸、テレフタル酸(TPA)及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
3官能以上の多塩基酸化合物は、例えば、トリメリット酸、水添トリメリット酸、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、トリメシン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
また、その他の多塩基酸化合物の好適例として、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物が挙げられる。フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物を用いることにより、強靱な絶縁層12を形成できる。フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物は、フェノール性水酸基を有し、酸性官能基を2以上有する化合物である。前記酸性官能基は、例えば、カルボキシル基等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物は、例えば、2-ヒドロキシイソフタル酸、4-ヒドロキシイソフタル酸、5-ヒドロキシイソフタル酸(5-HIP)等のモノヒドロキシイソフタル酸;2,5-ジヒドロキシイソフタル酸、2,4-ジヒドロキシイソフタル酸、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸等のジヒドロキシイソフタル酸;2-ヒドロキシテレフタル酸等のモノヒドロキシテレフタル酸;2,3-ジヒドロキシテレフタル酸、2,6-ジヒドロキシテレフタル酸等のジヒドロキシテレフタル酸;3-ヒドロキシフタル酸、4-ヒドロキシフタル酸等のヒドロキシフタル酸;3,4-ジヒドロキシフタル酸、3,5-ジヒドロキシフタル酸、4,5-ジヒドロキシフタル酸、3,6-ジヒドロキシフタル酸等のジヒドロキシフタル酸等が挙げられる。これらの中では、共重合性、入手の容易さ等の点で、5-ヒドロキシイソフタル酸(5-HIP)が好ましい。なお、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物は、前記で例示した化合物のカルボキシル基が酸無水物基を形成していてもよく、カルボキシル基がエステルを形成していてもよい。
多塩基酸化合物として例示したダイマー酸、その他の多塩基酸化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(ポリアミン化合物)
ポリアミン化合物は特定ポリイミドで例示した前記ポリアミン化合物と同様のものが挙げられる。
(架橋剤)
特定ポリアミドは、架橋剤と反応させて架橋させることで、絶縁層の耐熱性の向上を図ることができる。そのため、特定ポリアミドの原料として用いられる単量体成分に架橋剤が含まれていることが好ましい。架橋剤は特定ポリイミドで例示した前記架橋剤と同様のものが挙げられる。
(官能基)
特定ポリアミドは、前記架橋剤と反応させて架橋させることで耐熱性を向上させることが可能であるため、官能基を有することが好ましい。官能基としては、特定ポリイミドで例示した前記官能基と同様の基が挙げられ、フェノール性水酸基が好適である。
(その他)
特定ポリアミドは、本発明の目的を阻害しない範囲内で、イミド基を一部に有するポリアミドイミドであってもよく、エステル基を一部に有するポリアミドエステルであってもよい。
〔芳香環濃度が30質量%以下であるポリアミドの製造方法〕
芳香環濃度が30質量%以下であるポリアミド(特定ポリアミド)は各種公知の方法により製造できる。具体例として、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、又はこれらを組み合わせて合成できる。これらの中でも溶液重合が好ましい。
特定ポリアミドの重合体は、多塩基酸化合物と、ポリアミン化合物と、必要に応じてその他の単量体とを含む単量体成分を使用し、触媒の存在下又は非存在下で行うことができる。例えば、窒素充填したフラスコに、ダイマー酸、その他の酸モノマー、ダイマージアミン、その他のアミン系モノマー及びイオン交換水を所定量仕込み、20~100℃で加熱・撹拌することで均一溶解ないし分散する。その後、前記イオン交換水及び反応により生ずる水を除去しながら230℃まで徐々に昇温し、230℃に到達次第15mmHg程度まで減圧を行い、その状態を1時間程度保持することで特定ポリアミドを得ることができる。加熱温度は例えば150~300℃である。加熱時間は1~24時間程度である。合成反応の促進のため、脱水又は脱アルコール反応を行うことが好ましい。また、高温による着色、分解反応を避けるために、減圧下、180~270℃で反応を行うことが好ましい。
その他のモノマーとして、ポリアミンに加えてモノアミンを併用してもよい。モノアミンは、反応停止剤として作用するため、特定ポリアミドの分子量を調整し易い。また、特定ポリアミドの主鎖末端の一部が反応性官能基ではないため、経時安定性が向上する。モノアミンとして、アニリン、4-アミノフェノール、2-エチルヘキシルアミン等が例示できる。
以上のようにして得られる特定ポリアミドは、例えば、以下の化学式(PA1)で示す構造を有するもの等が挙げられる。なお、特定ポリアミドは以下構造を有するものに限定されない。
Figure 2023048781000011
特定ポリイミド及び特定ポリアミドはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。特定ポリイミド及び特定ポリアミドの中では、耐トラッキング性と耐熱性とを両立させた絶縁粘着テープを得る観点から、特定ポリイミドが好ましい。
特定ポリイミド及び特定ポリアミド、前記した単量体を含む単量体成分により構成される絶縁層12は、単層に形成されていてもよく、複数層に形成された積層体でもよい。
絶縁層12を構成する樹脂成分は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、特定ポリイミド及び特定ポリアミド以外の他の樹脂を含有していてもよい。特定ポリイミド及び/又は特定ポリアミドと共に用いることができる他の樹脂としては、フッ素樹脂等が挙げられる。
絶縁層12は、前記特定ポリイミド及び/又は特定ポリアミドを主成分として含み、必要に応じて架橋剤やシリカフィラー等の他の成分を含む絶縁層用組成物を用いて形成できる。具体的な絶縁層12の製造方法は、以下に詳述する。
[粘着層]
粘着層13は、基材層11に粘着性を付与するための層であり、絶縁粘着テープ3を構成する積層体L3の絶縁層12に対して他方の最表層を構成する。絶縁層12の原料として用いられる粘着剤としては特に限定されず、耐熱性、絶縁性等の観点から適宜選択すればよい。粘着層13を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、耐熱性や経時安定性、絶縁粘着テープとしての自背面接着性、耐絶縁ワニス特性等との粘着力の微妙な調整の容易さ等の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
〔粘着剤(粘着性組成物)〕
アクリル系粘着剤は(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有する粘着性組成物から得られるものが好ましい。換言すると、アクリル系粘着剤の原料として用いられる粘着性組成物は(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。また、本明細書において、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
((メタ)アクリル酸エステル重合体)
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現できる。当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル〔BA、BMA〕、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル〔2-EHA、2-EHMA〕、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、絶縁粘着テープの粘着性を向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1~8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸n-ブチル〔BA、BMA〕及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル〔2-EHA、2-EHMA〕がより好ましく、アクリル酸n-ブチル〔BA〕及びアクリル酸2-エチルヘキシル〔2-EHA〕がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましく、70質量%以上含有することがさらに好ましい。当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有することにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体は好適な粘着性を発揮できる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを90質量%以下含有することが好ましく、80量%以下含有することがより好ましい。当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルを90質量%以下含有することにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体中に他のモノマー成分を好適な量で導入できる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成する主たるアルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに接着特性、凝集力を付与するために反応性を有する官能基を含むモノマー(以下「反応性官能基含有モノマー」という)を共重合させた共重合体であることが好ましい。
反応性官能基含有モノマーとしては、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(以下「カルボキシ基含有モノマー」という)、分子内に水酸基を有するモノマー(以下「水酸基含有モノマー」という)、分子内にアミノ基を有するモノマー(以下「アミノ基含有モノマー」という)等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、カルボキシ基含有モノマーが好ましい。後述する架橋剤として金属キレート系架橋剤を使用する場合、カルボキシ基含有モノマー由来のカルボキシ基は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の架橋時に金属キレート系架橋剤と反応し、それによって、三次元網目構造である架橋構造が形成される。このカルボキシ基と金属キレート系架橋剤との反応による架橋構造を有する粘着剤は、塗工直後に適度な凝集力を得ることができ、加工性、自背面剥離性に有利である。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、アクリル酸が好ましい。アクリル酸によれば、上記の効果がより優れたものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを0.5質量%以上含有することが好ましく、1質量%以上含有することがより好ましく、3質量%以上含有することがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを30質量%以下含有することが好ましく、25質量%以下含有することがより好ましく、20質量%以下含有することがさらに好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合態様は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量は、粘着剤の耐熱性、耐溶剤性、接着特性、耐久性を向上させる観点から、好ましくは20万以上、より好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万以上、さらに一層好ましくは50万以上である。また、その上限値は、得られる粘着剤の粘着力を向上させる観点から、好ましくは250万以下、より好ましくは200万以下、さらに好ましくは150万以下、さらに一層好ましくは120万以下である。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
粘着性組成物は、(メタ)アクリル酸エステル重合体と共に、架橋剤を含有することが好ましく、必要に応じて粘着付与樹脂や難燃剤を併用できる。
(架橋剤)
架橋剤としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体が有する反応性官能基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、金属キレート系架橋剤が好ましい。この場合、(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを含むことが好ましい。カルボキシ基含有モノマーと金属キレート系架橋剤との組み合わせにより、前述したように、得られる粘着剤は、塗工直後に適度な凝集力を得ることができる。その結果、リリースライナーを用いないで直接巻回物となるテープ(セロハンテープ状巻回物)を生産でき、加工性、自背面剥離性に有利となる。
金属キレート系架橋剤としては、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等である金属キレート化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、アルミニウムキレート化合物が特に好ましい。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ-N-ラウロイル-β-アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2-エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、上記効果の観点から、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が好ましい。
また、アルミニウムキレート化合物以外の金属キレート化合物としては、例えば、チタニウムテトラプロピオネート、チタニウムテトラ-n-ブチレート、チタニウムテトラ-2-エチルヘキサノエート、ジルコニウムsec-ブチレート、ジルコニウムジエトキシ-tert-ブチレート、トリエタノールアミンチタニウムジプロピオネート、チタニウムラクテートのアンモニウム塩、テトラオクチレングリコールチタネート等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
粘着剤組成物中における金属キレート系架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上、さらに一層好ましくは0.5質量部以上である。また、当該含有量の上限値は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。金属キレート系架橋剤の含有量が上記の範囲にあることにより、前述した効果がより優れたものとなる。
また、粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤以外にイソシアネート系架橋剤をさらに含有していてもよい。イソシアネート系架橋剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体のカルボキシ基と金属キレート系架橋剤との反応を阻害せずに、しかもカルボキシ基と反応する。
イソシアネート系架橋剤は少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネートが好ましく、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートがより好ましく、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートがさらに好ましい。
(添加剤等)
粘着性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、アクリル系粘着剤に通常使用される各種添加剤を添加できる。各種添加剤としては、例えば、粘着付与剤、酸化防止剤、軟化剤、充填剤等が挙げられる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物を構成する添加剤に含まれないものとする。
〔粘着剤(粘着性組成物)の製造〕
粘着性組成物は、(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体に、所望により、架橋剤、添加剤等を加えることで製造できる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は当該重合体を構成するモノマーの混合物(単量体成分)を通常のラジカル重合法で重合することにより製造できる。(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合は所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。
重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アゾ系化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
なお、上記重合工程において、2-メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節できる。
続いて、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体の溶液に、必要に応じて、架橋剤、添加剤等を添加し、十分に混合することにより、粘着性組成物が得られる。
なお、粘着性組成物は、塗工に適切な粘度に調整するために、又は粘着組成物を用いて形成される粘着層13を所望の膜厚に調整するために、希釈溶媒等で希釈して、後述する塗布液としてもよい。希釈溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[絶縁粘着テープの製造方法]
本実施形態に係る絶縁粘着テープ3は、例えば、基材層11及び絶縁層12からなる2層の積層体を製造し、続いて2層の積層体の絶縁層12が設けられた面とは反対側の表面に前記粘着性組成物を塗工して粘着層13を形成することにより製造できる。なお、基材層11と、絶縁層12又は粘着層13との密着性を向上させる観点から、これらの何れかの層又は両方の層の塗工面(貼合面)に対して、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行ってから両層を塗工(貼合)してもよい。
基材層11及び絶縁層12からなる2層の積層体は、例えば、次のように製造できる。まず、基材層11の主面(積層体L3の一方の表面)に対して、前記絶縁層用組成物と、必要に応じて希釈溶媒とを含有する塗布液(絶縁層12用)を塗布し、乾燥させる。塗布液の塗布方法は、常法によって行えばよく、例えば、バーコート法、ナイフコート法、マイヤーバー法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。塗布液の乾燥方法として、例えば80~150℃で30秒~5分程度、加熱処理することにより、塗布液中の溶媒を除去する。
その後、前記塗布液を乾燥させてなる層に活性エネルギー線を照射又は加熱によるエネルギーにより、当該層を硬化させて絶縁層12を形成する。
活性エネルギー線としては、例えば、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを使用でき、具体的には、紫外線、電子線等を使用できる。特に、取扱いが容易な紫外線が好ましい。紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等によって行うことができる。紫外線の照射量は、照度が50~1000mW/cm程度であることが好ましい。また、紫外線の光量は、50~10000mJ/cmであることが好ましく、80~5000mJ/cmであることがより好ましく、200~2000mJ/cmであることがさらに好ましい。一方、電子線の照射は、電子線加速器等によって行うことができる。電子線の照射量は、10~1000krad程度が好ましい。
加熱によるエネルギーによる硬化条件としては、100℃~200℃で5分~90分が好ましく、生産性と材料のシェルフライフの観点から、120℃~180℃で5分~30分がより好ましい。
続いて、前記で形成された、基材層11及び絶縁層12からなる2層の積層体にさらに粘着層13を設ける。3層の積層体L3は、例えば、前記粘着性組成物と、必要に応じて溶媒とを含有する塗布液(粘着層13用)を、基材層11の主面(絶縁層12が形成された面)とは反対側の表面に塗布し、加熱処理を行って塗膜を形成する方法、又は前記塗布液を離形フィルムに塗工し、加熱処理を行って離形フィルム付き塗膜を形成し、続いて、得られた離形フィルム付き塗膜を基材層11の主面とは反対側の表面に貼り合わせる方法等により製造できる。加熱処理は、塗布液の希釈溶媒等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。加熱処理を行う場合、加熱温度は、好ましくは50~150℃、より好ましくは70~120℃である。また、加熱時間は、好ましくは30秒~10分、より好ましくは50秒~5分。加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1~2週間程度の養生期間を設けてもよい。
前記で形成された塗膜は、養生期間が不要な場合は、そのまま粘着層13となり、養生期間が必要な場合は、養生期間経過後に粘着層13となる。
(その他の層)
図1に示すように、粘着層13を塗工した絶縁粘着テープ3aはこのまま巻回物として巻き取るため、粘着層13と表面層としての絶縁層12とが直接接触する。そのため、必要に応じて絶縁層12の表層(絶縁層12の基材層11が設けられた面とは反対側の表面)に剥離剤を塗工して剥離層14を形成してもよい。
剥離層14の原料として用いられる剥離性を付与する材料としては、シリコーン系剥離剤、エステル基又はエーテル基を介して炭素数16から24のアルキル基をペンダント状に配した長鎖アルキルペンダント型ポリマー系剥離剤等が挙げられる。
また、絶縁粘着テープ3aの変形例である絶縁粘着テープ3bとして、養生期間が必要な粘着性組成物を使用した場合は、図2に示すように、剥離層14の代わりに、粘着層13の塗工後に巻回物を形成せずに、リリースライナー15を用いてもよい。リリースライナー15は、粘着層13の表層(粘着層13の基材層11が設けられた面とは反対側の表面)に設ける。リリースライナー15は、特に限定されず、市販品を使用できる。
[絶縁粘着テープ]
以上により、絶縁層12、基材層11及び粘着層13の順に積層された3層の積層体L3で構成される絶縁粘着テープ3が得られる。
基材層11の厚み(D1)は、機械的強度を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また好ましくは125μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらに一層好ましくは30μm以下である。
絶縁層12の厚み(D2)は、耐トラッキング性と耐熱性とを両立させた絶縁粘着テープを得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であり、また好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。
粘着層13の厚み(D3)は、十分な粘着性を確保する観点から、好ましくは20μm以上であり、また好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは28μm以下である。
絶縁粘着テープ3の厚み(積層体L3の厚みの合計:D1+D2+D3)は、耐トラッキング性と耐熱性とを両立させた絶縁粘着テープを得る観点から、好ましくは32μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは50μm以上であり、また好ましくは175μm以下、より好ましくは100μm以下、より一層好ましくは80μm以下、さらに好ましくは70μm以下、さらに一層好ましくは60μm以下である。
絶縁粘着テープ3の厚み(積層体L3の厚みの合計:D1+D2+D3)に対する絶縁層12の厚み(D2)の比率は、耐トラッキング性と耐熱性とを両立させた絶縁粘着テープを得る観点から、好ましくは0.05以上0.15以下である。具体的には、当該比率は、耐トラッキング性の向上を図る観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、より好ましくは0.08以上である。また当該比率の上限値は、難燃性を向上させ、基材層との密着不良やコスト上昇等を抑制する観点から、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.1以下である。
<実施形態2>
図3は本実施の形態に係る絶縁粘着テープ2を示し、絶縁粘着テープ2は、例えば芯材10にロール状に巻回されている。図3に示すように、絶縁粘着テープ2は、絶縁層12及び粘着層13を少なくとも含む2層の積層体L2で構成されている。つまり、絶縁粘着テープ2では、基材層1が設けられていない。そのため、絶縁層12が絶縁粘着テープ2を支持する支持体(基材)を構成する層を兼ねている。絶縁層12及び粘着層13は積層体L2の表面(最表層)にそれぞれ設けられている。
絶縁粘着テープ2の全体構成は、積層体L2の構成以外、上述の第1の実施形態の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。第1の実施形態で説明したすべての事項は、本実施の形態にも適用される。また、第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる点については以下に詳細に説明する。
[絶縁粘着テープの製造方法]
本実施形態に係る絶縁粘着テープ2は、例えば、絶縁層12に用いられる材料をフィルム状に加工して支持体を兼ねる絶縁層12を形成し、さらに絶縁層12の一方の表面に前記粘着性組成物を塗工して粘着層13を形成することにより製造できる。
絶縁層12に用いられる材料は、前記絶縁層用組成物と同様の成分を含む樹脂組成物が挙げられるが、当該樹脂組成物をフィルム状に加工するには、例えば、実質的に無溶剤である樹脂成分、シリカフィラー等からなる組成物を、ロールやニーダーにより溶融混練して混練物をシート状にした後、冷却することにより得ることができる。溶融混練は、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機等の公知の混練機を用いて行うことができる。溶融混練の温度条件としては、例えば30~150℃、好ましくは40~140℃、より好ましくは60~120℃である。溶融混錬の時間は、例えば1~30分間、好ましくは5~15分間である。
溶融混練は減圧条件下で行うことが好ましい、これにより、脱気できるとともに、混練物への気体の侵入を防止できる。減圧条件下の圧力は、好ましくは0.1kg/cm以下、より好ましくは0.05kg/cm以下である。減圧下の圧力の下限は特に限定されないが、例えば1×10-4kg/cm以上である。
混練物を塑性加工して前記絶縁層用組成物からなるシート(フィルム、絶縁層12)を形成する場合、溶融混練後の混練物は、冷却することなく高温状態のままで塑性加工することが好ましい。塑性加工方法としては特に制限されず、平板プレス法、Tダイ押出法、スクリューダイ押出法、ロール圧延法、ロール混練法、インフレーション押出法、共押出法、カレンダー成形法等が挙げられる。成形機としては、Tダイスクリュー成形機、コンプレッションモールド成形機、カレンダー成形機等が挙げられる。塑性加工温度としては、前記各成分の軟化点以上が好ましく、成形性を考慮すると、例えば100~300℃、好ましくは150~270℃、より好ましくは180~250℃である。なお、シート(フィルム)状の組成物の表面に、保護フィルムを積層してもよい。また、シート(フィルム)状の硬化性組成物は、枚葉状、或いは巻き取り可能なロール状としてもよい。
シート(フィルム)の厚みは用途に合わせて適宜調整可能であるが、20μm以上であることが好ましく、25μm以上がより好ましい。20μm以上とすることにより、例えばハンドリングに優れた成型物とすることができる。
また、前記とは異なる絶縁層12の形成方法として、例えば、希釈溶媒に溶解させた前記樹脂組成物(前記絶縁層用組成物)を工程フィルムに塗工して、加熱乾燥させて、フィルム状に加工する方法でもよい。樹脂組成物を溶解させる溶媒は前記と同様のものを使用できる。工程フィルム(剥離フィルム)は、特に限定されず、例えばPETフィルム等が挙げられる。
前記絶縁層用組成物は、前記したように、芳香環濃度が一定以下(30質量%以下)のポリイミド及び/又はポリアミドを主成分として含有する。この芳香環(芳香族)構造が一定以下しか含まれないポリイミド及び/又はポリアミドは、溶媒の選択と加熱によって溶液となり、溶液を工程フィルムに塗工して乾燥させることでフィルムを製造できる。
また、前記で形成された絶縁層12と粘着層13との密着性を向上させる観点から、これらの何れかの層又は両方の層の塗工面に対して、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行ってから粘着層13を塗工してもよい。
続いて、前記で形成された絶縁層12の主面とは反対側の表面に粘着層13を設ける。粘着層13の形成方法(2層の積層体L2の製造方法)は、上述の第1の実施形態と同様の方法を採用できる。
(その他の層)
上述の第1の実施形態と同様に、必要に応じて絶縁層12の表層(絶縁層12の粘着層13が設けられた面とは反対側の表面)に剥離層14を形成してもよい。また、剥離層14の代わりに、粘着層13の塗工後に巻回物を形成せずに、リリースライナー15を用いてもよい。
[絶縁粘着テープ]
以上のようにして、絶縁層12及び粘着層13を含む積層体L2で構成される絶縁粘着テープ2が得られる。
絶縁粘着テープ2では、絶縁層12が支持体(基材)となる。そのため、絶縁層12の厚み(D2)は、絶縁粘着テープの機械的強度を確保する観点から、好ましくは10μm以上50μm以下である。
粘着層13の厚み(D3)は、十分な粘着性を確保する観点から、好ましくは20μm以上40μm以下である。
絶縁粘着テープ2の厚み(2層の積層体L2の厚みの合計:D2+D3)は、耐トラッキング性と耐熱性とを両立させた絶縁粘着テープを得る観点から、好ましくは30μm以上90μm以下である。
絶縁粘着テープ2の厚み(2層の積層体L2の厚みの合計:D2+D3)に対する絶縁層12の厚み(D2)の比率は、耐トラッキング性と耐熱性とを両立させた絶縁粘着テープを得る観点から、好ましくは0.2以上0.8以下である。
<その他の実施形態>
絶縁粘着テープを構成する積層体の数は、2層又は3層に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で、4層以上であってもよい。
絶縁粘着テープを構成する積層体は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、基材層に絶縁粘着テープの用途に応じた機能(特性)を付与するための層をさらに含んでいてもよい。機能層とは例えば、放熱層、水蒸気バリア層、電磁波吸収層などである。但し、この場合、特定ポリイミド及び/又は特定ポリアミドを主成分として含有する絶縁層は積層体の一方の最表層に設けられる。
絶縁層の表層(絶縁層の粘着層が設けられた面とは反対側の表面)には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、例えば絶縁層の表面を保護する保護層等を形成してもよい。
以下に、本開示を実施例に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限定されるものではなく、以下の実施例を本開示の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本開示の範囲から除外するものではない。なお、実施例で「部」は「質量部」であり、「%」は「質量%」である。表中の配合量は、質量部である。
<ポリイミド及びポリアミドの合成>
[合成例1]
撹拌機、ディーンスターク装置を備えた還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた4口フラスコに、窒素ガスを導入しながら、シクロヘキサノン(773.5g)を加えた。続いて、ジアミンとして表1に示すDDAを534.3g(1.00モル)を撹拌しながら加えた。さらに、テトラカルボン酸二無水物としてそれぞれ表1に示すTCAを117.58g(0.524モル)とTDAを157.6g(0.524モル)とを加えて室温で30分撹拌した。これを100℃に昇温し、3時間撹拌した後、オイルバスを外して室温に戻し、ワニス状のポリイミド前駆体を得た。その後、ディーンスターク装置を用いて、留出する水を系外に除去しながら、170℃で10時間加熱を行い、イミド化してポリイミドA樹脂溶液を得た。得られたポリイミドA樹脂溶液にシクロヘキサンを追加し、不揮発分50%になるように調整した。
[合成例2~6]
表1に記載の単量体を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法により、ポリイミドB~E樹脂溶液又はポリアミドA樹脂溶液を得た。
<ポリイミド及びポリアミドの評価>
各合成例で得られたポリイミドA~E及びポリアミドAの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、芳香環濃度、密度、及び末端官能基種類による官能基濃度を以下に示す測定方法により測定した結果を表1に示す。また、東レ・デュポン(株)製の「カプトン(Kapton)」(登録商標)を用いて、芳香族ポリイミド(以下「PI」ともいう)の芳香環濃度及び密度を測定した結果も表1に示す。
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)]
ポリイミドA~E及びポリアミドAの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、昭和電工(株)製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「GPC-101」を用いて測定した。GPCは溶媒(THF:テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。カラムは、「KF-805L」(昭和電工社製:GPCカラム:8mmID×300mmサイズ)を直列に2本接続して用いた。測定は、試料濃度1質量%、流量1.0mL/min、圧力3.8MPa、カラム温度40℃の条件で行った。数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。データ解析はメーカー内蔵ソフトを使用して検量線、分子量、ピーク面積を算出し、保持時間17.9~30.0分の範囲を分析対象として数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
[芳香環濃度]
ポリイミドA~E、ポリアミドA及びPIの芳香環濃度は、前記数式(1)により求めた。
(密度)
密度は以下の手順で測定した。密度が既知である四塩化炭素とn-ヘキサンを混合して、混合液を作製した。この混合液に塊状又はフィルム状の測定対象の試料を静かに浸漬させた。ポリマーが混合液中で浮揚した状態を示す四塩化炭素とn-ヘキサンとの混合液を作製した。得られた混合液の計算密度をポリマーの比重として、当該比重からポリマーの密度を求めた。
[官能基濃度(官能基価)]
(酸価)
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mLを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。酸価は数式(2)により求めた(単位:mgKOH/g)。
[数2]
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S (2)
数式(2)中のS、a及びFは以下を示す。
・S:試料の採取量(g)
・a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
・F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価。
(酸無水物価)
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、1,4-ジオキサン溶媒100mLを加えて溶解した。試料中の酸無水物基の量よりも多いオクチルアミン、1,4-ジオキサン、水の混合溶液(質量の混合比は1.49/800/80)を10mL加えて15分攪拌し、酸無水物基と反応させた。その後、過剰のオクチルアミンを0.02M過塩素酸、1,4-ジオキサンの混合溶液で滴定した。また、試料を加えていない、オクチルアミン、1,4-ジオキサン、水の混合溶液(質量の混合比は1.49/800/80)10mLもブランクとして測定を実施した。酸無水物価は数式(3)により求めた(単位:mgKOH/g)
[数3]
酸無水物価(mgKOH/g)=0.02×(B-S)×F×56.11/W (3)
数式(3)中のB、S、W及びFは以下を示す。
・B:ブランクの滴定量(mL)
・S:試料の滴定量(mL)
・W:試料固形量(g)
・F:0.02mol/L過塩素酸の力価。
Figure 2023048781000012
表1の略称の内容を以下に示す。
(酸無水物成分)
・TCA(TCA-AH):3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸無水物1,4:2,3-ジ酸無水物(東京化成工業(株)製)
・TDA:4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッド TDA-100)
・BPDA:3,3',4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(三菱ケミカル(株)製)
・PMDA:ピロメリット酸二無水物
(2塩基酸無水物)
・TPA:テレフタル酸
・5-HIP:5-ヒドロキシイソフタル酸
(ジアミン)
・DDA:ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE1075」、クローダジャパン社製)
・MBCHA:4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
・4,4’-ODA:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業(株)製)。
(PI)
・PIの欄に記載の「○」はその原料を意味する。
表1に示すポリイミドA~E及びポリアミドAの構造(化学式)を以下に示す。
・ポリイミドAは、前記化学式PI1で示す構造(TDA:TCA(TDAとTCAとの含有割合)=50:50)を有する。
・ポリイミドBは、前記化学式PI1で示す構造(TDA:TCA=30:70)を有する。
・ポリイミドCは、前記化学式PI2で示す構造を有する。
・ポリイミドDは、前記化学式PI3で示す構造を有する。
・ポリアミドAは、前記化学式PA1で示す構造を有する。
・ポリイミドEは、以下の化学式PI4で示す構造を有する。
Figure 2023048781000013
<ポリイミド及びポリアミドの配合(絶縁層用組成物の製造)>
[配合例1]
合成例1で得られたポリイミドA樹脂溶液167.8gに、架橋剤として表2に示すテトラッドC1.67g、触媒として表2に示すDBU0.43g、及び溶剤としてトルエン30.1gを混合し、ミキサーで撹拌して絶縁層用組成物を得た。
[配合例2~9]
ポリイミド樹脂溶液/ポリアミド樹脂溶液、架橋剤、触媒の種類をそれぞれ表2に示すものに変更したこと以外は、配合例1と同様の方法により、絶縁層用組成物を得た。なお、配合例7では、絶縁層用組成物を調製する際に、シリカフィラーをさらに混合した。
Figure 2023048781000014
表2の略称の内容を以下に示す。
(架橋剤)
・テトラッドC:エポキシ化合物(1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノエチル)シクロヘキサン、三菱ガス化学(株)製)
・テトラッドX:エポキシ化合物(N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、三菱ガス化学(株)製)
(触媒)
・DBU:1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7
・TPP:トリフェニルホスフィン。
(シリカフィラー)
・サイリシア350:微粉末シリカ(富士シリシア化学(株)製)
湿式シリカ、平均粒子径3.9μm、見かけ比重0.49g/mL、吸油量310mL/100g、細孔容積1.7mL/g。
<アクリル樹脂の合成(粘着性組成物の製造)>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた4口フラスコに、窒素ガスを導入しながら、酢酸エチル500gをウオーターバスで加熱した。続いて、BA(アクリル酸n-ブチル)240g、2-EHA(アクリル酸2-エチルヘキシル)240g、AA(アクリル酸)20g及び開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.5gを加えた混合物を酢酸エチル中に滴下して、還流を保ちながら8時間反応させた。反応後、酢酸エチル110gを添加して、不揮発分45%、重量平均分子量(Mw)65万の粘着剤ワニスを得た。
なお、重量平均分子量(Mw)は、下記の条件により測定した。重量平均分子量(Mw)の決定は、重量平均分子量が既知のポリスチレンを標準物質に用いた検量線法により決定した。
・装置名:(株)島津製作所製、LC-GPCシステム「Prominence」
・カラム:東ソー(株)製、TSKgel(登録商標)α-M、2本を直列に連結
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・流量:1.0mL/分
・カラム温度:40℃。
前記で得られた粘着剤ワニス100gに対して、架橋剤としてアルミキレートA(アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、川研ファインケミカル(株)製)を0.1g、硬化遅延材(その他の成分)としてIPA(イソプロパノール)10gを添加したものを撹拌して粘着性組成物を得た。
<絶縁粘着テープの製造>
〔実施例1シリーズ〕
[実施例1]
基材層としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(東洋紡(株)製、製品名:テオネックス(登録商標)、厚み25μm)を用いた。ブレードコーター1milにて、基材層の一方の表面(片面、主面)に配合例1で得られた絶縁層用組成物を塗工した後、電気オーブンで150℃、5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが5μmの絶縁層を形成した。
続いて、前記で得られた粘着性組成物を、シリコーン離形処理されたPETフィルムにブレードコーター5milで塗工した後、電気オーブンで105℃、3分間乾燥させて、乾燥後の厚みが25μmの粘着層を形成した。
最後に、得られた離形フィルム付き粘着層を基材層の他方の表面(絶縁層が形成された面とは反対側の表面)に貼り合わることにより、絶縁層、基材層及び粘着層の順に積層された3層の積層体で構成される絶縁粘着テープを得た。得られた絶縁粘着テープでは、積層体の一方の最表層に絶縁層が形成されている。
[実施例2~11及び比較例1]
各層の原料や厚みを表3に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、絶縁層、基材層及び粘着層の順に積層された3層の積層体で構成される絶縁粘着テープを得た。
[比較例2]
PENフィルム(基材層)の一方の表面に、絶縁層としてPIフィルムを貼り合わせたこと、および以外は、実施例1と同様の方法により、絶縁層、基材層及び粘着層の順に積層された3層の積層体で構成される絶縁粘着テープを得た。
[比較例3]
離型処理されたPETフィルム(工程フィルム)の表面に配合例3で得られた絶縁層用組成物を塗工した後、電気オーブンで150℃、5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが25μmの層を形成し、これを基材層として用いたこと以外は、比較例2と同様の方法により、絶縁層、基材層及び粘着層の順に積層された3層の積層体で構成される絶縁粘着テープを得た。
<絶縁粘着テープの評価>
実施例1シリーズの各実施例及び比較例で得られた絶縁粘着テープのCTI、耐熱温度及び難燃性を以下に示す方法により測定し、以下の評価基準に基づいて評価した結果を表3に示す。また、絶縁粘着テープの絶縁層形成作業性(耐ブロッキング性)について、以下の評価基準に基づいて評価した結果を表3に示す。
[CTI]
絶縁材料の耐トラッキング性能を測定する手法としては、IEC60112、JIS C2134、ASTM D3638又はUL746Aに基づく比較トラッキング指数試験(Comparative Tracking Index、CTI)がある。CTIの試験電圧の上限は600Vと規定されている。600Vを超える高い電圧を用いてトラッキング性能を測定する手法としては、IEC60587、JIS C2136又はASTM D2303に基づく傾斜面トラッキング性試験(Inclined-Plane Tracking、IPT)がある。IPTの試験電圧の下限は1kV(1000V)と規定されている。前記をふまえ、本明細書では、IEC60112に準拠して、試験電圧の上限を1000Vとして試験を行い、CTIを測定した。以下の評価基準に基づいて絶縁粘着テープのCTI(耐トラッキング性)を評価した。
(評価基準)
◎:CTIが1000V以上である。
〇:CTIが600V以上1000V未満である。
△:CTIが550V以上600V未満である。
×:CTIが550V未満である。
[耐熱温度]
JISC4003:2010に準拠して、絶縁粘着テープの熱的評価の試験を行い、耐熱温度を測定した。以下の評価基準に基づいて絶縁粘着テープの耐熱性を評価した。
(評価基準)
◎:耐熱温度が180℃以上である(耐熱クラス:H、N、R)。
〇:耐熱温度が155℃以上180℃未満である(耐熱クラス:F)。
△:耐熱温度が130℃以上155℃未満である(耐熱クラス:B)。
×:耐熱温度が130℃未満である(耐熱クラス:Y、A、E)。
[難燃性]
UL510FRに準拠して、絶縁粘着テープの燃焼試験を行い、以下の評価基準に基づいて絶縁粘着テープの難燃性を評価した。
(評価基準)
◎:5回の接炎ですべて着火せず。
〇:5回の接炎で着火するものの、合計5秒以内に自己消火する。
△:5回の接炎で着火するものの、合計60秒以内に自己消火する。
×:5回の接炎で合計60秒以上、燃焼する(燃焼試験不合格)。
[絶縁層形成作業性](耐ブロッキング性)
上記で得られた実施例1~13及び比較例1~3の絶縁粘着テープを各種2枚用意した。同種の絶縁粘着テープを用いて、絶縁層側の表面が互いに触れるように重ねて1kg/cmの荷重をかけた状態で、40℃で2日間静置した。その後、2枚の絶縁粘着テープを手で剥がす際の抵抗感から、テープ同士のブロッキングによる作業性の良否を評価した。なお、実用可能レベルは○以上とする。
(評価基準)
◎:ブロッキングは発生せず、抵抗感なくテープが剥がれる。
〇:ややブロッキングは起こる(若干の抵抗感を伴う)が、実用上問題なくテープが剥がれる。
△:ブロッキングにより、抵抗感と音を伴ってテープが剥がれる。
×:ブロッキングにより、テープが剥がれない。
Figure 2023048781000015
表3の略称の内容を以下に示す。
・PEN:ポリエチレンナフタレートフィルム(東洋紡(株)製、製品名:テオネックスQ51-25(登録商標))
・PPS:ポリフェニレンスルファイドフィルム(東レ(株)製、製品名:トレリナ#25-3030(登録商標)
・PI:芳香族ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、製品名:カプトン100H(Kapton)(登録商標))。
表3の結果から、各実施例と各比較例とを対比すると、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド及び/又はポリアミド(特定ポリイミド及び/又は特定ポリアミド)を主成分とする樹脂で形成された絶縁層を備えることで、優れたCTI及び耐熱温度を有する絶縁粘着テープが得られることが分かった。具体的には、各実施例では、130℃以上(好ましくは155℃以上、より好ましくは180℃以上)の耐熱性と、CTIが550V以上(好ましくは600V以上、より好ましくは1000V以上)の耐トラッキング性とを両立させた絶縁粘着テープが得られた。
また、特定ポリイミド(配合例3)で形成された基材層を備える一方、特定ポリイミドではないポリイミド(PI、芳香環濃度:60.8質量%)で形成された絶縁層を備える比較例3では、耐トラッキング性能が劣る(CTI:250V)。このことから、特定ポリイミドからなる層は絶縁粘着テープを構成する積層体の表面層(最表層)に設けられる必要があることが分かった。
さらに、3層の積層体における絶縁層の厚みの割合を0.1以下にする、又は基材層を芳香族ポリイミド(PI)で形成することで、耐熱性及び耐トラッキング性と共に、さらに難燃性を向上できることが分かった。
〔実施例2シリーズ〕
[実施例1]
離型処理されたPETフィルム(工程フィルム)の表面に配合例1で得られた絶縁層用組成物を塗工した後、電気オーブンで150℃、5分間乾燥させて、乾燥後の厚みが25μmの絶縁層を形成した。
続いて、前記実施例1シリーズで得られた離形フィルム付き粘着層(厚みが25μm)を、前記で得られた絶縁層の一方の表面(片面、主面)に貼り合わることにより、絶縁層及び粘着層が積層された2層の積層体で構成される絶縁粘着テープを得た。なお、絶縁粘着テープを得た後に離型処理されたPETフィルムを剥離した。得られた絶縁粘着テープでは、積層体の一方の最表層に絶縁層が形成されている。
[実施例2~7及び比較例1~6]
各層の原料や厚みを表4に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、絶縁層及び粘着層が積層された2層の積層体で構成される絶縁粘着テープを得た。なお、比較例2~5では、絶縁層として表4に示す樹脂フィルムをそれぞれ用いた。また、比較例6では、絶縁層として配合例6で得られた絶縁層用組成物を用いた。
<絶縁粘着テープの評価>
実施例2シリーズの各実施例及び比較例で得られた絶縁粘着テープのCTI、耐熱温度及び難燃性を前記実施例1シリーズと同様にして測定し、評価した結果を表4に示す。
Figure 2023048781000016
表4の略称の内容を以下に示す。なお、前記した略称は省略する。
・OPP:2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)製、製品名:トレファン(登録商標))
・PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、製品名:ルミラー(登録商標))。
表4の結果から、絶縁粘着テープが基材層を含まない2層の積層体で合っても、前記実施例1シリーズと同様の効果が得られることが分かった。具体的には、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド及び/又はポリアミド(特定ポリイミド及び/又は特定ポリアミド)を主成分とする樹脂で形成された絶縁層を備える各実施例では、180℃以上の耐熱性とCTIが1000V以上の耐トラッキング性とを両立させた絶縁粘着テープが得られた。一方、特定ポリイミド及び/又は特定ポリアミド以外の樹脂で形成された絶縁層を備える各比較例では、耐熱性及び耐トラッキング性の何れか又は両方に劣り、絶縁粘着テープとして求められる耐熱性と耐トラッキング性とを両立するものは得られなかった。
L2,L3 積層体
2,3(3a,3b) 絶縁粘着テープ
10 芯材
11 基材層
12 絶縁層
13 粘着層
14 剥離層
15 リリースライナー

Claims (6)

  1. 絶縁層及び粘着層を含む積層体で構成される絶縁粘着テープであって、
    前記絶縁層及び粘着層は、前記積層体の表面にそれぞれ設けられ、
    前記絶縁層は、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする樹脂で形成されていることを特徴とする絶縁粘着テープ。
  2. 前記積層体は基材層をさらに含む3層以上で構成され、
    前記基材層は前記絶縁層及び粘着層の間に設けられ、
    前記積層体の厚みに対する前記絶縁層の厚みの比率が0.05以上0.15以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁粘着テープ。
  3. 前記基材層は、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、前記芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミド以外のポリイミド及びポリエーテルエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項2に記載の絶縁粘着テープ。
  4. 前記絶縁層は、芳香環濃度が30質量%以下であるポリイミドを主成分とする樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の絶縁粘着テープ。
  5. IEC60112、JIS C2134又はASTM D3638に基づく試験に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)が600V以上である請求項1~4の何れか一項に記載の絶縁粘着テープ。
  6. IEC60112、JIS C2134又はASTM D3638に基づく試験に準拠して測定した比較トラッキング指数(CTI)が1000V以上である請求項1~4の何れか一項に記載の絶縁粘着テープ。
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