JP2018032588A - 非水電解液蓄電素子 - Google Patents

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奈緒人 阿部
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良夫 伊藤
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達也 壇
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Abstract

【課題】ナトリウムイオンを用いた場合でも、ナトリウムイオンの吸蔵量が大きく、高い容量を有する非水電解液蓄電素子の提供。
【解決手段】正極活物質を含む正極1と、ナトリウムイオンを挿入及び脱離可能な負極活物質を含む負極2と、非水電解液と、を有し、前記負極活物質が三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素であると共に、前記多孔質炭素が結晶性を有する非水電解液蓄電素子10。前記負極活物質の細孔径が2nm未満のミクロ孔の容積が0.01〜0.3mL/gである非水電解液蓄電素子10。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウムイオン二次電池等の非水電解液蓄電素子に関する。
近年、携帯機器の小型化や電池自動車の実現に向けた取り組みの中で、高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池等の非水電解液蓄電素子の開発が急速に進められている。
前記リチウムイオン二次電池の材料として使用されるリチウムは資源量に制限があるのに加え、採掘地が偏在しているという問題がある。そこで、リチウムと比較して資源的に豊富なナトリウムが電池材料として注目されており、電池の低コスト化及び供給の安定性の観点から、ナトリウムイオン二次電池についても開発が進められており、実用化が期待されている。
しかし、ナトリウムイオンは、イオン半径が大きく、黒鉛層間にインターカレートしにくく、たとえインターカレートしたとしても、結晶構造に歪みが生じる。そのため、黒鉛層間の可逆的な膨張、収縮ができなくなり、黒鉛の結晶構造が崩壊し、容量が得られなくなってしまうことが知見されていた。例えば、リチウムイオン二次電池で実用化されている黒鉛を、ナトリウムイオン二次電池の負極活物質として使用できないことが記載されており、非晶質なガラス状炭素材料を使用することを開示している(例えば、特許文献1参照)。
前記課題を解決するために、負極活物質として炭素粒子内部に細孔を有するメソポーラスカーボンを使用することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
前記特許文献1及び前記非特許文献1に記載されているような炭素質材料は粒子表面、あるいは内部に多くの細孔を有しているため、黒鉛層間距離よりも大きいサイズのナトリウムイオンを細孔内に吸着することができ、容量を発現できることが知られている。
本発明は、ナトリウムイオンを用いた場合でも、ナトリウムイオンの吸蔵量が大きく、高い容量を有する非水電解液蓄電素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として本発明の非水電解液蓄電素子は、正極活物質を含む正極と、ナトリウムイオンを挿入及び脱離可能な負極活物質を含む負極と、非水電解液と、を有し、
前記負極活物質が、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素であると共に、前記多孔質炭素が結晶性を有する。
本発明によると、ナトリウムイオンを用いた場合でも、ナトリウムイオンの吸蔵量が大きく、高い容量を有する非水電解液蓄電素子を提供することができる。
図1は、本発明の非水電解液蓄電素子の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の非水電解液蓄電素子の他の一例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の非水電解液蓄電素子の負極に用いられる負極炭素活物質の一例を示す模式図である。 図4は、炭素Aと炭素KにおけるX線回折スペクトルを表す図である。 図5は、実施例11における放電曲線を表す図である。 図6は、実施例13における放電曲線を表す図である。 図7は、比較例5における放電曲線を表す図である。
(非水電解液蓄電素子)
本発明の非水電解液蓄電素子は、正極活物質を含む正極と、ナトリウムイオンを挿入及び脱離可能な負極活物質を含む負極と、非水電解液と、を有し、
前記負極活物質が、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素であると共に、前記多孔質炭素が結晶性を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
従来技術では、ナトリウムイオンの吸蔵に際して、リチウムイオン電池の負極活物質で用いられているような黒鉛を負極活物質として使用しても、黒鉛層間距離(d=0.335nm)よりもナトリウムイオンのサイズが大きいため、黒鉛層間へのナトリウムイオンの挿入及び脱離に対して黒鉛の結晶構造が追従できずに結晶構造の崩壊が生じる。黒鉛結晶構造の崩壊は、負極活物質粒子の崩壊を意味するため、ナトリウムイオンの挿入が不可能となり、容量を発現できなくなる。そのため、ナトリウムイオン二次電池の負極活物質に黒鉛材料は使用できなかった。
また、ナトリウムイオンを粒子表面、あるいは内部に存在するナトリウムイオンよりも大きなサイズの細孔へ吸着し、貯蔵することができる難黒鉛化性炭素と言った炭素質材料の検討もなされているが、吸着により得られる容量には限界があり、リチウムイオンを黒鉛層間にインターカレートさせた場合に得られる理論容量372mAh/gには及ばないため、ナトリウムイオンを使用する利点がなくなってしまう。
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記従来技術のように、前記負極活物質に前記黒鉛や炭素質材料を用いると、結晶構造の崩壊、あるいはナトリウムイオンの貯蔵量に制限が生じてしまうため、高い容量を得ることができないという知見に基づくものである。
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記負極活物質の黒鉛層間距離が一般的な黒鉛の層間距離よりも広いため、ナトリウムイオンの挿入が容易であり、更に、ナトリウムイオンの挿入に伴う黒鉛層間の拡張を三次元網目状に形成された細孔が緩和するため、負極活物質粒子の崩壊を抑制することができる。
したがって、より多くのナトリウムイオンを吸蔵できるため、高い容量を有する非水電解液蓄電素子を提供することができる。
以下、前記非水電解液蓄電素子の各構成部材について詳細に説明する。
<負極>
前記負極は、負極活物質を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に前記負極活物質を含有する負極材を備えた負極などが挙げられる。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、シート状などが挙げられる。
<<負極材>>
前記負極材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナトリウムイオンを挿入及び脱離可能な負極活物質を少なくとも含み、必要に応じてバインダ、増粘剤、導電助剤などを含む。
−負極活物質−
前記負極活物質としては、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素であり、かつ結晶性を有する結晶性炭素を用いる。
前記負極活物質が「三次元網目構造を形成する複数の細孔を有している」ということは、前記炭素粒子の表面及び内部に複数の細孔を有し、隣接する細孔が互いにつながって三次元的に連結し、表面に開口部を有する連通孔が形成されている状態を意味する。
前記負極活物質が三次元網目構造を形成する複数の細孔を有していることを確認する方法としては、例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)、TEM(Transmission Electron Microscope)などを用いて観察する方法などが挙げられる。前記「三次元網目構造を形成する複数の細孔」を有している前記負極活物質の断面は、TEMによる写真に基づいて作成した図3の概略断面図のように示すことができる。
前記「結晶性を有する」ということは、炭素間がsp混成軌道により結合された六角板状の単一結晶が層状に形成された状態(黒鉛層)を意味する。前記負極活物質が結晶性を有していることを確認する方法としては、例えば、TEMを用いて黒鉛の層状構造を観察する方法や、後述するX線回折によりスペクトルのピークとして確認する方法などが挙げられる。
前記負極活物質が「三次元網目構造を形成する複数の細孔」を有していると、ナトリウムイオンが前記黒鉛層にインターカレートした際に、黒鉛層の膨張が緩和されるため、ナトリウムイオンが円滑に吸蔵及び放出されやすいという点で有利である。
前記負極活物質には、最小径が2nm未満の「ミクロ孔」及び最小径が2nm以上50nm以下の「メソ孔」のいずれの細孔も存在してよいが、前記負極活物質の三次元網目構造を形成する複数の細孔としては、メソ孔であることが好ましい。前記負極活物質の細孔がメソ孔であると、ナトリウムイオンの直径が0.4nm以上2nm以下であり、メソ孔の最小径が2nm以上50nm以下であるため、ナトリウムイオンが円滑に前記細孔の内部に移動して吸蔵されやすい点で有利である。更に、前記黒鉛層間にナトリウムイオンが挿入された場合は、前記黒鉛層が膨張するため、ミクロ孔よりもサイズの大きいメソ孔の存在比率が高い方が、その膨張を緩和するため、結晶構造の崩壊を抑制する点において有利である。前記ミクロ孔に関しては、前記炭素粒子を炭化(結晶成長)させるための焼成工程において、存在比率は減少する。前記炭素粒子のミクロ孔容積としては、0.01mL/g以上0.30mL/g以下が好ましく、0.01mL/g以上0.10mL/g以下がより好ましい。
前記負極活物質における細孔の開口の向きとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、開口がランダムな方向に形成される方がより好ましい。
前記ランダムとは、負極活物質にナトリウムイオンが浸潤する方向に対して特定の規則性あるいは法則性を持たない状態を示している。負極活物質に細孔が規則性を持って形成されると、様々な角度からナトリウムイオンを吸蔵することが難しくなってしまうためである。
前記負極活物質の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、球状が好ましい。
前記負極活物質が「結晶性を有する」ことは、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの25.00以上、27.00以下の領域において回折ピークを有していることから確認することが好ましく、前記ブラッグ角度2θの領域において2つの回折ピークを有することを確認することがより好ましい。
ここで、X線回折スペクトルについて説明する。
X線回折スペクトルは、例えば、X線回折装置(XRD:X−ray diffraction)を用いた測定結果から入手することができる。
原子が規則正しく配列している物質に、原子の間隔と同程度の波長を持つX線が入射すると、各原子に所属する電子によりX線が散乱される。散乱したX線は干渉し合い、特定の方向で強め合うことで、X線の回折現象が生じる。
入射するX線の波長を変化させながら回折スペクトルを測定することで、物質の結晶構造の格子間距離を測定することができる。
このとき、測定対象が非晶質(アモルファス)であれば、格子間距離に規則性がなく、回折スペクトルは測定波長全般において緩やかな山状か、平坦になってしまうに過ぎない。しかしながら、結晶化した部分については、格子間距離が規則性を示すので、格子間距離に対応する特定の波長において回折スペクトルにピーク(極大値)が現われる。以降の説明ではかかる特定の極大値を特に回折ピークという。
即ち、前記ブラッグ角度2θの領域において回折ピークを有していることは、負極活物質の炭素粒子内において、少なくとも一部が結晶構造化していることを示している。言い換えると炭素粒子内の一部が黒鉛化していることを示している。
黒鉛化していれば、黒鉛層内にナトリウムイオンの挿入が起こり、より高い容量を得ることができる。
また、回折ピークが2つあることは、格子間距離の異なる2つの結晶構造が現われていることを示している。ここで2つのピークのうち低角側の回折ピーク強度をI、高角側の回折ピーク強度をIとした場合に、強度比(I/I)>1であることがより好ましい。
低角側のピーク強度Iの割合が大きいことは、黒鉛化している領域の炭素層間距離dが大きいことを意味する。したがって、強度比(I/I)が1より大きいと、アニオンの挿入されるときにも炭素層構造を壊すことがなく、より高容量を得ることができる。
なお、負極活物質の結晶性としては、炭素粒子を構成する炭素のすべてが結晶構造となっている必要はなく、非晶質構造が存在してもよい。このように炭素粒子の一部分のみが結晶化されたときにも、回折ピークは生じる。しかしながら、全体が非晶質もしくは回折ピークが生じない程度の微小な結晶構造しか有さない場合には、ナトリウムイオンの挿入に対して十分な強度を持ち得ない。
ここで、ラマンスペクトルについて説明する。
前記ラマンスペクトルは炭素質材料にアルゴンレーザーを照射する、レーザーラマン分光法を用いた測定結果より入手することができる。
前記炭素質材料のラマンスペクトルは、前記黒鉛の結晶構造に由来する振動モードとして1,580cm−1±100cm−1の波長領域にGバンドと略称されるピーク(P)と、非晶質の乱層構造、即ち、炭素原子同士の結合状態のばらつきの大きさに由来する振動モードとして1,360cm−1±100cm−1の波長領域にDバンドと略称されるピーク(P)を有する。
前記炭素質材料の結晶成長が進行するとラマンスペクトル上では、Pの強度(I)が増加し、Pの強度(I)が低下し、逆に炭素質材料の構造の乱れが進行するとIが低下し、Iが増加する。即ち、P、Pの2つのピークの強度比は、黒鉛化の度合いを表す指標、黒鉛化度(R)と呼ばれている。
ここで、前記負極活物質に波長532nmのレーザーを照射した際のラマンスペクトルが、1,580cm−1±100cm−1の波長領域にピークP、及び1,360cm−1±100cm−1の波長領域にピークPを有し、
前記Pのピーク強度をIとし、前記Pのピーク強度をIとすると、下記数式1で定義された黒鉛化度Rが大きい値ほど炭素質材料の結晶性が高いことを示しており、反対に黒鉛化度Rが小さい値ほど黒鉛の結晶構造が乱れていることを意味する。
<数式1>
黒鉛化度R=I/I
したがって、黒鉛化度Rが小さい値を示している方が炭素質材料内に黒鉛層が多く存在していることを意味するため、黒鉛層内にナトリウムイオンの挿入が起こり、より高い容量を得ることができる。そのため、黒鉛化度Rは0.25以上0.80以下が好ましく、0.25以上0.60以下がより好ましい。前記Rが0.80より大きな値となると、黒鉛層の発達が不十分となり、ナトリウムイオンの挿入箇所が減少し、高い容量を得ることができない。また、黒鉛の結晶成長を促進するには、後述する2,000℃以上の高温焼成処理が用いられるが、炭素粒子内部には多くの細孔が存在するため、熱の偏在が起こり結晶成長には制限がかかる。そのため、黒鉛化度Rを0.25より小さな値とすることは難しい。
前記負極活物質の「三次元網目構造を形成する複数の細孔を有している」構造について更に説明する。
細孔が形成されている状態の指標として、表面に吸着占有面積のわかったガス分子を吸着させ、当該分子の吸着量から試料の比表面積を求めたり、ガス分子の凝縮から細孔分布を測定するBET(Brunauer、Emmett、Teller)法と呼ばれる方法が知られている。
前記負極活物質のBET比表面積は、50m/g以上1,500m/g以下が好ましく、50m/g以上900m/g以下がより好ましい。
前記BET比表面積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET法を用いて求めることができる。
前記BET比表面積は、その数値が大きいほど、細孔の形成量が多いことを示す。
前記負極活物質のBET比表面積が当該範囲内であると、細孔の形成量が十分となり、負極活物質内でのナトリウムイオンの移動が容易となり、より多くの黒鉛層に行き渡るため放電容量が大きくなる。
一方で、活性炭のようにBET比表面積が2,000m/g程度と大きすぎる場合には、電解液との反応が容易に進みすぎるために、充放電の繰り返しによって電解液の分解が促進され長期的には放電容量が低下してしまう虞がある。
前記負極活物質のBET比表面積が既に述べたような範囲内であると、細孔を十分な量形成しつつも、電解液との反応を低減して電解液の分解が促進されにくくなり、充放電の繰り返しによる放電容量の低下が抑制される。
前記負極活物質となる炭素質材料は、例えば、ポリイミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ピッチ系の熱硬化性樹脂等を出発原料とし、これに熱処理を施すことにより。なお、前記出発原料に限定されるものではなく、その他の熱硬化性樹脂を出発原料としてもよい。
このような炭素質材料としては、例えば、クノーベル(登録商標)(東洋炭素株式会社製)などが挙げられる。
前記負極活物質の製造方法について説明する。
まず、三次元網目構造を有する筋材と、炭素材料形成源としての有機物である出発原料を成形し、2,000℃以上で焼成することにより炭化させる。
その後、酸又はアルカリで筋材を溶解することで、前記筋材を溶解した痕が三次元網目構造を形成する複数のメソ孔となり、意図的に形成することができる。
前記筋材としては、酸又はアルカリ可溶性の金属が好ましい。ただし、かかる構成に限定されることなく、目的に応じて適宜選択することができる。その他一例として、金属酸化物、金属塩、金属含有有機物などが挙げられる。
出発原料としては、炭化させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記出発原料は一般に有機物であり、炭化時に揮発性物質を放出するため、放出跡としてミクロ孔が形成されるため、前記ミクロ孔が全く存在しない炭素粒子を製造することは難しい。
一般的に、焼成した炭素材料には、熱応力が残留する。このような熱応力は、異なる材料を混合して焼成したときには、特に互いの熱膨張係数の差などで大きくなる傾向にあることが知られている。
前記負極活物質の製造方法によれば、焼成時には、筋材が溶解することで後に細孔となる壁部の周辺部分と、壁部の中心付近とでは、熱と圧力のかかり方が異なると考えられるので、残留する熱応力も異なる。
前記熱応力の差によって、炭素粒子の格子間距離に差が生じやすく、また更に、焼成されることで炭素質の一部が結晶構造へと変化しやすい。このような構成により、負極活物質の結晶構造は、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の範囲において2つの回折ピークを有する。
−導電助剤−
前記導電助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属材料、炭素質材料などが挙げられる。
前記金属材料としては、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
前記炭素質材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アセチレンブラック、又は、ケッチェンブラックが好ましい。
−バインダ及び増粘剤−
前記バインダ及び前記増粘剤としては、電極製造時に用いる溶媒、電解液、及び印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。
前記フッ素系バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、SBR、フッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
<<負極集電体>>
前記負極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、銅、アルミニウムが特に好ましい。
<<負極の製造方法>>
前記負極の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記負極活物質に、必要に応じて、前記バインダ、前記増粘剤、前記導電剤、溶媒を加えてスラリー状とした負極材を、前記負極集電体上に塗布し、乾燥させる方法などが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒などが挙げられる。
前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。
前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
なお、前記負極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とすることもできる。
<正極>
前記正極としては、正極活物質を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体上に前記正極活物質を含有する正極材を備えた正極などが挙げられる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、シート状などが挙げられる。
<<正極材>>
前記正極材は、前記正極活物質を含み、更に必要に応じて、導電助剤、バインダ、増粘剤などを含む。
−正極活物質−
前記正極活物質としては、非水溶媒系でカチオンを吸蔵及び放出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオンとしてのナトリウムイオンを吸蔵、放出可能なナトリウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン及びフッ素化ポリアニオン材料、遷移金属硫化物などが挙げられる。
前記ナトリウム含有遷移金属酸化物としては、例えば、NaMe (0<x≦1、0.95≦y<1.05、MeはFe、Mn、Ni、Co、Cr、及びTiからなる群から選択される少なくとも1種を含む)などが挙げられる。
前記遷移金属フッ化物としては、例えば、NaFeF、NaMnF、NaNiFなどが挙げられる。
前記ポリアニオン及びフッ素化ポリアニオン材料としては、例えば、NaMePO、NaMe (PO4)、NaMe (PO4)、NaMePOF及びNaMe (PO(MeはFe、Mn、Ni、Co、Ti、V及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を含む)などが挙げられる。
前記遷移金属硫化物としては、例えば、Ni、F、TiSなどが挙げられる。
前記正極活物質として、対ナトリウム電位で3V以上6V以下の電圧範囲においてアニオンの吸蔵及び放出が可能な炭素質材料も選択することができる。
前記炭素質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物などが挙げられる。
前記黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性とコスト、及び高電位にアニオンインターカレーションのプラトーを有する観点から、人造黒鉛又は天然黒鉛がより好ましい。
−導電助剤−
前記導電助剤としては、前記負極活物質と同様の前記導電助剤を用いることができる。
−バインダ及び増粘剤−
前記バインダ及び前記増粘剤としては、前記負極活物質と同様の前記バインダ及び前記増粘剤を用いることができる。
これらの中でも、フッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
<<正極集電体>>
前記正極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが好ましい。
<<正極の製造方法>>
前記正極の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記正極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記増粘剤、前記導電助剤、溶媒などを加えてスラリー状とした正極材を、前記正極集電体上に塗布して乾燥する方法、スラリー状とした前記正極材をそのままロール成形してシート電極とする方法、圧縮成形によりペレット電極とする方法、蒸着、スパッタ、メッキ等により前記正極集電体上に前記正極活物質の薄膜を形成する方法などが挙げられる。
前記溶媒としては、前記負極の製造方法と同様の溶媒を用いることができる。
<非水電解液>
前記非水電解液は、非水溶媒及び電解質塩を含有する。
<<非水溶媒>>
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非プロトン性有機溶媒、エステル系有機溶媒、エーテル系有機溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、非プロトン性有機溶媒が好ましい。
前記非プロトン性有機溶媒としては、例えば、カーボネート系有機溶媒が挙げられ、低粘度な溶媒が好ましい。
前記カーボネート系有機溶媒としては、例えば、鎖状カーボネート、環状カーボネートなどが挙げられる。
これらの中でも、鎖状カーボネートが、電解質塩の溶解力が高い点で好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)が好ましい。
前記ジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、ジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)の混合割合は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)が好ましい。
前記環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と、前記鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記エステル系有機溶媒としては、例えば、環状エステル、鎖状エステルなどが挙げられる。
前記環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル、ギ酸アルキルエステルなどが挙げられる。
前記酢酸アルキルエステルとしては、例えば、酢酸メチル(MA)、酢酸エチルなどが挙げられる。
前記ギ酸アルキルエステルとしては、例えば、ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチルなどが挙げられる。
前記エーテル系有機溶媒としては、例えば、環状エーテル、鎖状エーテルなどが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
<<電解質塩>>
前記電解質塩としては、ナトリウム塩が好ましい。前記ナトリウム塩としては、前記非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、塩化ナトリウム(NaCl)、ホウ弗化ナトリウム(NaBF)、六弗化砒素ナトリウム(NaAsF)、トリフルオロメタスルホン酸ナトリウム(NaCFSO)、ナトリウムビスフルオロスルホニルイミド(Na(SOF))、ナトリウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(NaN(SOCF)、ナトリウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(NaN(SO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)、ホウ弗化ナトリウム(NaBF)が、サイクル性と容量の観点から好ましい。
前記電解質塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、放電容量と出力の両立の点から、前記非水溶媒中で、0.5mol/L以上6mol/L以下が好ましく、1mol/L以上4mol/L以下がより好ましい。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セパレータなどが挙げられる。
−セパレータ−
前記セパレータは、前記正極と前記負極の短絡を防ぐために前記正極と前記負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。これらの中でも、電解液保持の観点から、気孔率50%以上のものが好ましい。
前記セパレータの形状としては、微多孔(マイクロポア)を有する薄膜タイプよりも、気孔率が高い不織布系の方が好ましい。
前記セパレータの平均厚みとしては、短絡防止と電解液保持の観点から、20μm以上が好ましい。
前記セパレータの大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造としては、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
<非水電解液蓄電素子の製造方法>
本発明の非水電解液蓄電素子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記正極、前記負極、及び前記非水電解液と、必要に応じて用いられる前記セパレータとを、適切な形状に組み立てる方法などが挙げられる。更に、必要に応じて外装缶等の他の構成部材を用いることも可能である。
本発明の非水電解液蓄電素子の形状については、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
ここで、前記非水電解液蓄電素子の一例を図1に示す。この図1に示した非水電解液蓄電素子10は、正極1と、負極2と、非水電解液を保持したセパレータ3と、外装缶4と、正極引き出し線6と、負極引き出し線5とを有し、必要に応じて他の部材を有する。
非水電解液蓄電素子10の具体例としては、例えば、非水電解液二次電池、非水電解液キャパシタなどが挙げられる。
図2は、非水電解液蓄電素子10の基本構成を説明するための概略図である。
正極11は、例えば、アルミニウム製の正極集電体20と、正極集電体20上に固定された正極活物質21と、正極活物質21同士を繋ぎとめるバインダ22と、正極活物質21間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
負極12は、例えば、銅製の負極集電体24と、負極集電体24上に固定された負極活物質としての炭素質材料25と、炭素質材料25同士を繋ぎとめるバインダ22と、炭素質材料25間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
正極11と負極12との間にはセパレータ13が配置されているとともに、非水電解液26が配置されている。符号27はイオンを示している。イオンが活物質層間に挿入乃至脱離することで充放電が行われる。
<用途>
本発明の非水電解液蓄電素子の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例では、非水電解液蓄電素子としてナトリウムイオン二次電池を用いた例を示す。
まず、各実施例及び比較例で用いる炭素質材料における細孔の形成状態及び結晶性を確認するために、以下に示すような測定を行った。
<負極活物質の細孔の形成状態>
前記負極活物質において、TEM(JEM−2100、日本電子株式会社製)により三次元網目構造を形成する細孔の有無を観察し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
○:図3に示すような三次元網目構造を形成する細孔を確認できた
×:図3に示すような三次元網目構造を形成する細孔が確認できない
<負極活物質の結晶性>
前記負極活物質のX線回折スペクトルを、X線回折装置(XRD;Dicover8、Bruker社製)によりX線回折法を用いて求めた。X線源にはCuKα線を用いている。
前記負極活物質の結晶性の評価は、X線回折スペクトルにおいて,ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の間に存在する、黒鉛の層構造の規則性に由来するピークに着目し評価しており、前記範囲内のピークの数、ピークの位置する角度、及び前記ピークが2つ存在する際には2つのピークのうち低角側のピークの強度Iと高角側のピークの強度Iとの強度比(I/I)を求め、下記の基準で評価した。
[評価基準]
○:結晶性有り
×:結晶性無し
<負極活物質のBET比表面積及び細孔容積の測定>
前記負極活物質のBET比表面積を、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET(Brunauer、Emmett、Teller)法を用いて求めた。
前記負極活物質粒子のミクロ孔容積を、前記BET比表面積を求めた際に用いた前記吸着等温線の測定結果から、HK(Horbath−Kawazoe)法を用いて求めた。
<負極活物質の黒鉛化度>
前記負極活物質のラマンスペクトルを、レーザーラマン分光装置(Nanofinder30、株式会社東京インスツルメンツ製)によりレーザーラマン分光法を用いて求めた。レーザーにはアルゴンレーザーを用いている。
なお、前記負極活物質の黒鉛化度(R)の評価は、ラマンスペクトルにおいて、1,580cm−1±100cm−1の波長領域に存在するピーク(P)の強度Iと、1,360cm−1±100cm−1の波長領域に存在するピーク(P)の強度Iとの強度比(I/I)を求めた。
(実施例1)
<負極の作製>
−負極スラリーの調製−
前記負極活物質として三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有し、かつ結晶性を有する多孔質炭素(以下、「炭素A」と称することもある)(商品名:クノーベル、東洋炭素株式会社製)、前記導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、電気化学工業株式会社製)、前記バインダとしてスチレンブタジエンゴム(EX1215、電気化学工業株式会社製)、及び前記増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル2200、株式会社ダイセル製)を、固形分の質量比で100:5.0:3.0:2.0となるようにプラネタリミキサー(ハイビスミックス3D−2型、プライミクス株式会社製)を用いて混合し、水を加えて適切な粘度に調製し、負極スラリーを得た。
−負極の作製−
次に、得られた負極スラリーを、負極集電体としての平均厚み18μmの銅箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の目付け量(塗工された負極中の炭素活物質粉末の質量)の平均を0.8mg/cmとした。これを直径16mmに打ち抜いて正極とした。
<セパレータ>
セパレータとしては、ガラス濾紙(GA100、ADVANTEC社製)を直径16mmに打ち抜いたものを2枚用意した。
<正極>
正極としては、直径16mmに打ち抜いたナトリウム金属箔を使用した。
<非水電解液>
非水電解液としては、1mol/LのNaPF電解質を含有するエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=1:1(質量比)の混合溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。
<ナトリウムイオン二次電池の製造>
前記負極、前記正極、前記セパレータ、及びコインセル部材を150℃で4時間真空乾燥後、乾燥アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、非水電解液蓄電素子としての2032型コインセルを組み立てた。
前記2032型コインセルに、前記非水電解液を400μL注入した。
得られた実施例1のナトリウムイオン二次電池について、以下のようにして、充放電試験を行った。
<充放電試験>
得られた実施例1のナトリウムイオン二次電池を23℃の恒温槽中に保持し、自動電池評価装置(1024B−7V0.1A−4、株式会社エレクトロフィールド製)を用いて、以下のとおりの充放電試験を実施した。
初回の充放電は電極への電解液の均一な含浸を目的に、24時間静置後、充電終止電圧として0.01Vまで定電流充電した後、24時間休止し、放電終止電圧として1.50Vまで定電流放電をするという前処理(エイジング)を施した。前記エイジング処理後に、下記の充放電試験を行った。
なお、充電及び放電における電流値は前記負極活物質の重量に対する電流密度が0.3A/gとなるように設定した。
[1]:電流密度0.3A/gの電流値において0.01Vまで定電流充電
[2]:5分間休止
[3]:電流密度0.3A/gの電流値において1.50Vまで定電流放電
[4]:5分間休止
上記の充放電試験を行った際の、放電容量を測定した。なお、放電容量は、負極活物質1g当たりの換算値(mAh/g)である。
また、前記負極活物質の高容量性を下記基準で評価した。即ち、高容量を維持し続ける特性(高容量・長寿命性)を下記基準で評価した。結果を表1−1に示した。
[評価基準]
○:放電容量が372mAh/gより大きい
×:放電容量が372mAh/g以下である
(実施例2〜10)
実施例1において、負極活物質を表1−1及び表1−2に示すように結晶性、BET比表面積、及び黒鉛化度の異なる炭素B〜J(商品名:クノーベル、東洋炭素株式会社製)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10のナトリウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1−1及び表1−2に示した。
(比較例1)
実施例1において、負極活物質を天然黒鉛(特CP、日本黒鉛工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のナトリウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1−3に示した。
(比較例2)
実施例1において、負極活物質を難黒鉛化性炭素(ベルファインLN、ATエレクトロード株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2のナトリウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1−3に示した。
(比較例3)
実施例1において、負極活物質を表1−3に示すように結晶性、BET比表面積、及び黒鉛化度の異なる多孔質炭素(炭素K)(商品名:クノーベル、東洋炭素株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3のナトリウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1−3に示した。
表1−1から表1−3の結果から、三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有する多孔質炭素であるのは、炭素A〜Kであるが、X線回折スペクトルの評価より結晶性を有するのは炭素A〜Jであることがわかる。
ここで、図4に炭素Aと炭素KのX線回折スペクトルの結果を示す。図4より、炭素Aはブラッグ角度2θ=25.00〜27.00の間に回折ピークを有していることがわかり、前記ブラッグ角度2θの領域に回折ピークを有していることは、負極活物質となる炭素粒子内に黒鉛層構造に由来する結晶構造が発達していることを意味している。したがって、三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有するとともに、結晶性を有する多孔質炭素を負極活物質として使用している実施例1〜10は、比較例1〜3に比べて高い放電容量を示している。
また、炭素A〜Jは焼成処理を施されることにより、黒鉛層構造が規則的に配列するようになり、その結果、結晶構造が発達している。結晶成長に伴い、ミクロ孔容積の存在比率は減少するため、炭素A〜Jと炭素Kを比較した場合、ミクロ孔容積の値が比較的小さな炭素A〜Jを負極活物質として使用した実施例1〜10の方が、炭素Kを負極活物質として使用した比較例3よりも大きな放電容量を示す。このとき、実施例10と実施例1〜9の比較から、負極活物質として使用する多孔質炭素のミクロ孔容積は0.01mL/g以上0.30mL/g以下であることが好ましい。
更に、表1−1から表1−3の結果から、負極活物質の結晶性について、X線回折スペクトルのブラッグ角度2θの25.00以上27.00以下の間に存在する回折ピークの数から検討する。
実施例10と比較例3との比較から、ブラッグ角度2θの25.00以上27.00以下の間の範囲内に存在する回折ピークが26.5の1本の場合には、ミクロ孔容積が小さく、比較例3よりも高い放電容量を示している。
既に述べたように、負極活物質にX線を照射したときのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の範囲に回折ピークが存在することは、炭素粒子の少なくとも一部が結晶構造化していることを表している。即ち、かかる回折ピークを有することで、負極活物質は、ナトリウムイオンが挿入されやすくなり、高容量化される。
更に、実施例10と実施例1〜9の比較により、放電容量の向上のためには、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の範囲内に存在する回折ピークの数は2本であることがより好ましい。
更に、実施例9と実施例1〜8の比較によれば、2つの回折ピークの強度比(I/I)が、強度比(I/I)>1を満たすときより高い放電容量が得られるため、2つのピークの強度比(I/I)は1より大きいことが好ましい。
更に、表1−1及び表1−2の結果から、負極活物質の黒鉛化度R=I/Iについて検討する。
実施例1〜8の比較から、前記黒鉛化度Rの値が小さくなるほど放電容量が高い値を示している。すでに述べたように、黒鉛化度Rは炭素質材料内の結晶性の乱れを表すため、黒鉛化度Rが小さい値を示している方が炭素質材料内に黒鉛層が多く存在していることを意味する。即ち、黒鉛化度Rが小さい値を示している方が黒鉛層内へのナトリウムイオンの挿入の頻度が高くなるため、より高い容量を得ることができる。実施例8と実施例1〜7との比較から、黒鉛化度Rは0.25以上0.80以下となることが好ましい。
かかる構成により、前記実施例1〜10のナトリウムイオン二次電池は、更に高い放電容量を有する。
(実施例11)
実施例2において、正極を、以下のようにして調製した正極に代えた以外は、実施例2と同様にして、実施例11のナトリウムイオン二次電池を製造した。
<正極の作製>
−正極スラリーの調製−
前記正極活物質として人造黒鉛(KS−6、TIMCAL社製)、前記導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、電気化学工業株式会社製)、前記バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)、及び前記増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル2200、株式会社ダイセル製)を、固形分の質量比で100:7.5:3.0:3.8になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整し、正極スラリーを得た。
−正極の作製−
次に、得られた正極スラリーを、正極集電体としての平均厚み20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の目付け量(塗工された正極中の炭素活物質粉末の質量)の平均を10.8mg/cmとした。これを直径16mmに打ち抜いて正極とした。
なお、得られた実施例11のナトリウムイオン二次電池は、正極活物質として炭素質材料を用いているため、全電池(フルセル)としての評価方法となる。以下に、フルセルでの充放電試験条件を記載する。
<フルセル充放電試験>
初回の充放電は電極への電解液の均一な含浸を目的に、24時間静置後、充電終止電圧として5.0Vまで定電流充電した後、24時間休止し、放電終止電圧として3.0Vまで定電流放電をするという前処理(エイジング)を施した。前記エイジング処理後に、下記の充放電試験を行った。
なお、充電及び放電における電流値は前記負極活物質の重量に対して電流密度が0.3A/gとなるように設定した。
[1]:電流密度0.3A/gの電流値において5.0Vまで定電流充電
[2]:5分間休止
[3]:電流密度0.3A/gの電流値において3.0Vまで定電流放電
[4]:5分間休止
上記の充放電試験を行った際の、放電容量を電池容量(mAh)として測定した。結果を表2に示した。また、図5に実施例11における放電曲線を示した。
このとき、実施例11における負極にあらかじめナトリウムイオンをドーピングしておく、プレドーピング処理を施してもよいし、施さなくともよい。実施例11においては、前記正極活物質に炭素質材料を用いているため、前記電圧条件で充放電試験を行うと、3.0V以上の電圧領域では、前記正極活物質内にアニオンとして六フッ化リンイオン(PF )が挿入され、前記負極活物質内にはカチオンとしてナトリウムイオンが挿入され、電池として機能(蓄電)することができ、高容量を得ることができる。前記負極にプレドーピング処理を施した場合には、ナトリウムイオンをあらかじめドーピングしておく量(プレドーピング量)に応じて、前記負極の電位を調整することができるため、充放電を繰り返した場合においても前記負極の電位が変動しないことから、サイクル性が向上する。
プレドーピング処理の方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記負極とナトリウム金属箔を物理的に接触させ、短絡状態にすることによりナトリウムイオンをドーピングさせてもよいし、電池構成前の前記負極に、非水電解液中で電気化学的にドーピングさせてもよい。
(実施例12)
実施例11において、前記正極活物質を天然黒鉛(特CP、日本黒鉛工業株式会社製)に代え、前記正極の乾燥後の目付け量の平均を11.1mg/cmに変えた以外は、実施例11と同様にして、実施例12のナトリウムイオン二次電池を製造し、実施例11と同様にして評価した。結果を表2に示した。
(実施例13)
実施例11において、前記正極活物質を粉砕した生コークスを、不活性雰囲気中、1200℃で焼成し得た易黒鉛化性炭素に代え、前記正極の乾燥後の目付け量の平均を8.8mg/cmに変えた以外は、実施例11と同様にして、実施例13のナトリウムイオン二次電池を製造し、実施例11と同様にして評価した。結果を表2に示した。また、図6に実施例13における放電曲線を示した。
(比較例4)
比較例1において、正極を実施例11に使用したものと同様のものに代えた以外は、実施例11と同様にして、比較例4のナトリウムイオン二次電池を製造し、実施例11と同様にして評価した。結果を表2に示した。
(比較例5)
比較例2において、正極を実施例11に使用したものと同様のものに代えた以外は、実施例11と同様にして、比較例5のナトリウムイオン二次電池を製造し、実施例11と同様にして評価した。結果を表2に示した。また、図7に比較例5における放電曲線を示した。
表2の結果から、正極に炭素質材料を用いた全電池(フルセル)においても、三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有すると共に、結晶性を有する多孔質炭素を負極活物質として含む実施例11〜13は、比較例4及び比較例5に比べて高い電池容量を示すことが分かった。図5、図6、及び図7に、それぞれ実施例11、実施例13及び比較例5の放電曲線を示す。
また、実施例11の放電曲線を示した図5から、4.5V以上の領域に平坦な電位(プラトー)が確認された。前記正極活物質として人造黒鉛乃至天然黒鉛を用いた場合には、放電曲線の4.5V以上の領域において大きなプラトーが確認され、より高い電池容量を得ることができる。更に、より高い電位においてプラトーが存在することは、電池の平均電圧が高くなるため、電池のエネルギー密度を向上させるという観点からも有利である。そのため、前記正極活物質は、天然黒鉛及び人造黒鉛の少なくともいずれかであることが好ましい。
以上の結果から、本発明によれば、ナトリウムイオンを用いた場合でも、ナトリウムイオンの吸蔵量が大きく、高い容量を有するナトリウムイオン二次電池を提供できることがわかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 正極活物質を含む正極と、ナトリウムイオンを挿入及び脱離可能な負極活物質を含む負極と、非水電解液と、を有し、
前記負極活物質が、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素であると共に、前記多孔質炭素が結晶性を有することを特徴とする非水電解液蓄電素子である。
<2> 前記負極活物質における細孔径が2nm未満のミクロ孔の容積が0.01mL/g以上0.30mL/g以下である前記<1>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<3> 前記負極活物質にX線を照射した際のX線回折スペクトルが、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の間に回折ピークを有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<4> 前記負極活物質のX線回折スペクトルが、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の間に2つの回折ピークを有する前記<3>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<5> 前記負極活物質のX線回折スペクトルの回折ピークのうち、低角側の回折ピークの強度Iと、高角側の回折ピークの強度Iとの強度比(I/I)が、1よりも大きい前記<3>から<4>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<6> 前記負極活物質に波長532nmのレーザーを照射した際のラマンスペクトルが、1,580cm−1±100cm−1の波長領域にピークP、及び1,360cm−1±100cm−1の波長領域にピークPを有し、
前記Pのピーク強度をIとし、前記Pのピーク強度をIとすると、下記数式1で定義された黒鉛化度Rが、0.25以上0.80以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<数式1>
黒鉛化度R=I/I
<7> 前記正極活物質が、天然黒鉛及び人造黒鉛の少なくともいずれかである前記<1>から<6>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<8> 前記非水電解液が、非水溶媒及び電解質塩を含有し、
前記電解質塩が、ナトリウム塩である前記<1>から<7>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<9> 前記ナトリウム塩が、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)及びホウ弗化ナトリウム(NaBF)の少なくともいずれかである前記<8>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<10> 前記電解質塩の含有量が、0.5mol/L以上6mol/L以下である前記<8>から<9>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<11> 前記非水溶媒が、非プロトン性有機溶媒である前記<8>から<10>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<12> 前記非プロトン性有機溶媒が、鎖状カーボネートである前記<11>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<13> 前記鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート(DMC)及びメチルエチルカーボネート(EMC)の少なくともいずれかである前記<12>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<14> 前記正極と前記負極の間に、セパレータを有する前記<1>から<13>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<15> 前記セパレータの平均厚みが、20μm以上100μm以下である前記<14>に記載の非水電解液蓄電素子である。
前記<1>から<15>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 負極引き出し線
6 正極引き出し線
10 非水電解液蓄電素子
特開2009−129741号公報
ECS Electrochemistry Letters, 4 (2) A22−A23 (2015)

Claims (10)

  1. 正極活物質を含む正極と、ナトリウムイオンを挿入及び脱離可能な負極活物質を含む負極と、非水電解液と、を有し、
    前記負極活物質が、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有する多孔質炭素であると共に、前記多孔質炭素が結晶性を有することを特徴とする非水電解液蓄電素子。
  2. 前記負極活物質における細孔径が2nm未満のミクロ孔の容積が0.01mL/g以上0.30mL/g以下である請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
  3. 前記負極活物質にX線を照射した際のX線回折スペクトルが、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の間に回折ピークを有する請求項1から2のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  4. 前記負極活物質のX線回折スペクトルが、ブラッグ角度2θ=25.00以上27.00以下の間に2つの回折ピークを有する請求項3に記載の非水電解液蓄電素子。
  5. 前記負極活物質のX線回折スペクトルの回折ピークのうち、低角側の回折ピークの強度Iと、高角側の回折ピークの強度Iとの強度比(I/I)が、1よりも大きい請求項4に記載の非水電解液蓄電素子。
  6. 前記負極活物質に波長532nmのレーザーを照射した際のラマンスペクトルが、1,580cm−1±100cm−1の波長領域にピークP、及び1,360cm−1±100cm−1の波長領域にピークPを有し、
    前記Pのピーク強度をIとし、前記Pのピーク強度をIとすると、下記数式1で定義された黒鉛化度Rが、0.25以上0.80以下である請求項1から5のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
    <数式1>
    黒鉛化度R=I/I
  7. 前記正極活物質が、天然黒鉛及び人造黒鉛の少なくともいずれかである請求項1から6のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  8. 前記非水電解液が、非水溶媒及び電解質塩を含有し、
    前記電解質塩が、ナトリウム塩である請求項1から7のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  9. 前記ナトリウム塩が、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)及びホウ弗化ナトリウム(NaBF)の少なくともいずれかである請求項8に記載の非水電解液蓄電素子。
  10. 前記電解質塩の含有量が、0.5mol/L以上6mol/L以下である請求項8から9のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
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