JP2017220332A - 非水電解液蓄電素子 - Google Patents

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良夫 伊藤
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由佳 荒木
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Abstract

【課題】長期に亘ってガス発生を低減可能な非水電解液蓄電素子の提供。【解決手段】アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、前記正極活物質が、表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有する非水電解液蓄電素子である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液蓄電素子に関する。
近年、携帯機器の小型化、高性能化に伴い高いエネルギー密度を持つ非水電解液蓄電素子の特性が向上し、普及しており、より大容量で安全性に優れた非水電解液蓄電素子の開発も進められ、電気自動車等への搭載も始まっている。
エネルギー密度が高く、高速充放電に適した非水電解液蓄電素子として、導電性ポリマー、炭素材料等を正極に用い、炭素等の負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解してなる非水電解液とからなり、充電時には、非水電解液中のアニオンが正極へ、カチオンが負極へ挿入し、放電時には、正極、及び負極に挿入されたアニオン、並びに、カチオンが電解液中へ脱離することにより充放電が行われる、いわゆるデュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子(デュアルイオン蓄電素子)の実用化が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
前記デュアルイオン蓄電素子の持つ電気量は、非水電解液中のアニオン及びカチオンの総量に比例する。したがって、蓄電素子の蓄えるエネルギーは正極活物質及び負極活物質に加えて、非水電解液の質量の合計に比例する。このため、蓄電素子の重量エネルギー密度を高めることが難しい。リチウムイオン二次電池に通常使用される1mol/L程度のリチウム塩濃度の非水電解液を用いると、リチウムイオン二次電池に比べて大量の非水電解液が必要になる。一方、リチウム塩濃度が3mol/L程度の濃い非水電解液を用いると、非水電解液の劣化が顕著となり、蓄電素子の充放電の繰り返しに伴う蓄電素子の容量の低下が大きいという課題がある。
また、前記デュアルイオン蓄電素子は、動作電圧範囲が2.5V〜5.4V程度であり、最高電圧がリチウムイオン二次電池の4.2V程度より1V程度高い。このため、非水電解液が分解しやすく、その結果、セルのガス発生が大きくなるという問題があり、非水電解液分解反応の抑制が必要となる。
そこで、蓄電素子における電解液の分解反応を抑制するため、電極活物質を無機物質や炭素、樹脂等でコーティングすることで保護することが提案されている(例えば、特許文献2、3、及び4参照)。
本発明は、長期に亘ってガス発生を低減可能な非水電解液蓄電素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の非水電解液蓄電素子は、アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極活物質が、表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有する。
本発明によると、長期に亘ってガス発生を低減可能な非水電解液蓄電素子を提供することができる。
図1は、本発明の非水電解液蓄電素子の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の非水電解液蓄電素子の他の一例を示す概略図である。
(非水電解液蓄電素子)
本発明の非水電解液蓄電素子は、アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極活物質が、表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
本発明の非水電解液蓄電素子は、従来の無機物質や炭素、樹脂等で電極活物質表面をコーティングする手法では、デュアルイオン蓄電素子の長期サイクル特性に関しては、アニオンインターカレーションによる電極活物質の体積変化にコーティング膜が追随できず、保護効果が短期間で失われてしまうという知見に基づくものである。
本発明者らが、前記正極にアニオンを蓄えるタイプの電極を用いた非水電解液蓄電素子において、高電圧域を使用する蓄電素子におけるガス発生のメカニズムについて鋭意検討を重ねた結果、前記正極活物質である炭素材料表面上の反応性の高い官能基(−OH、−COOH等)が反応の基点となり、電解液の分解反応に影響していることが確認された。また、これら官能基を従来の被覆方法により不活性化したとしても、長期に亘ってアニオンインターカレーションによる充放電を繰り返した場合、被覆体が体積膨張に追随できず破損、剥離し、再度反応性の高い官能基が現れることにより、長期に亘ってガス発生を抑制することができないという問題があることが確認された。
そこで、本発明者らが、前記正極活物質である炭素材料表面の官能基を不活性化でき、かつ繰り返しアニオンをインターカレートし、体積膨張が発生した際にも官能基から剥がれが発生せず、保護効果を維持できることを目的として、被覆剤の探索を行った結果、正極の炭素材料の表面にシリコーンポリマーを被覆することにより、前記正極活物質である炭素材料の表面の反応性官能基を効果的に不活性化しつつ、柔軟なポリマー構造により体積膨張に対し追随することが可能であるため、長期に亘ってガス発生を抑制可能な非水電解液蓄電素子を提供できることを見出した。
したがって、本発明の非水電解液蓄電素子は、表面をシリコーンポリマーで被覆した炭素材料を正極活物質として用いることで、表面で発生する電解液の分解反応とそれに伴うガス発生を抑制することができ、更に、体積膨張による体積変化に追随することが可能であるため、長期に亘ってガス発生を抑制可能である。
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記正極活物質である炭素材料の表面をシリコーンポリマーで被覆することを特徴とするものであり、シリコーンポリマーの被覆状態は炭素材料の表面全体を覆うものでもよく、−OH基、−COOH基等の反応性官能基にのみ選択的に被覆させたものでも構わない。また、前記正極を用いたアニオンインターカレーションを伴う蓄電素子の負極や電解液等のその他の構成要素についても、特に限定されるものではない。
以下、本発明の非水電解液蓄電素子の構成部材毎に詳細に説明する。
<正極>
前記正極は、正極蓄電物質(正極活物質等)を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体上に正極活物質を有する正極材を備えた正極、などが挙げられる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
−正極材−
前記正極材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤などを含む。
−−正極活物質−−
前記正極活物質としては、アニオンを吸蔵及び放出可能であり、表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有する。
−−炭素材料−−
前記炭素材料としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛、三次元網目構造の連通した細孔(メソ孔)を有する多孔質の炭素材料、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物などが挙げられる。
これらの中でも、アニオンが正極にインターカレーションした際の体積膨張が小さく、長期的な安定性が高い点から、三次元網目構造の連通した細孔(メソ孔)を有する多孔質の炭素材料が特に好ましい。
前記「三次元網目構造の連通した細孔(メソ孔)を有する炭素材料」は、メソ孔(空洞部)と炭素材料部とが接する面の両側に亘り正負の電解質イオンが対をなして存在することにより電荷二重層が形成されるキャパシタである。このため、対をなして存在する電解質イオンの移動の方が、極活物質と順次化学反応した後、発生した電解質イオンが次に移動するよりも速いこと、電力供給能は、空洞部の容積の大きさもさることながら、正負の電解質イオン対を存在させるメソ孔の表面積の大きさに依存することが理解される。
前記炭素材料の結晶性についてみると、該キャパシタの時定数(充放電時の応答の遅さ)は、非水電解液のキャパシタンスだけでなく、これにオーミックコンタクトする炭素材料部の抵抗値にも因る。更に、両電解質イオンは、それぞれのための極活物質と結合分離を繰り返す化学反応を伴うため炭素材料が劣化する可能性がある。炭素材料の結晶性は炭素材料がこの劣化に耐えうる強度を備えるように適宜決定することが好ましい。
なお、炭素質の全ての部分が結晶構造となっている必要はなく、一部に非晶質部分が存在、また、全てが非晶質であってもよい。
前記炭素材料において、メソ孔は必須であるがミクロ孔は必須ではない。したがって、ミクロ孔は存在していても、存在していなくてもよいが、炭素材料形成源としての有機物質は炭化時に通常揮発性物質を放出して炭化し、したがって通常は放出跡としてミクロ孔を残すので、ミクロ孔の全くないものを得ることは難しい。これに対して、メソ孔は通常意図的に形成される。例えば、知られているように、酸(アルカリ)可溶性の金属、金属酸化物や、金属塩、金属含有有機物の筋材と炭素物質又はその原料たる有機材料とを一緒に成型したのち、酸(アルカリ)で筋材部分を溶解し去った痕跡がメソ孔となる場合も多い。
ここで、本明細書においては、細孔径が2nm未満のものをミクロ孔、細孔径が2nm以上50nm以下のものをメソ孔と称することとする。電解質イオンのサイズは0.5nm以上2nm以下であるから、前記ミクロ孔はイオンの移動にさほど寄与するとは云い難い。したがって、イオンの円滑移動のためには、メソ孔が重要となる。ちなみに、同じ炭素質材料である活性炭における孔のサイズは、平均1nm程度と云われており、活性炭の場合には、例外なく発熱を伴う(エンタルピーの減少)全ての吸着の1つと見なされる。
前記サイズのメソ孔は、3次元網目構造を成すことが好ましい。前記孔が三次元網目構造を成していれば、イオンが円滑に移動する。
前記炭素材料のBET比表面積としては、50m/g以上が好ましく、50m/g以上2,000m/g以下が好ましく、800m/g以上1,800m/g以下がより好ましい。
前記BET比表面積が、50m/g以上であると、気孔が十分な量形成され、イオンの挿入が十分に行われるため、高容量化することができる。また、前記BET比表面積が、2,000m/g以下であると、メソ孔が十分に形成され、イオンの挿入を阻害することがないため、高容量化することができる。
前記BET比表面積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET(Brunauer、Emmett、Teller)法を用いて求めることができる。
前記炭素材料の細孔容積としては、0.2mL/g以上2.3mL/g以下が好ましく、0.2mL/g以上1.7mL/g以下がより好ましい。前記細孔容積が0.2mL/g以上であると、メソ孔が独立した細孔になることが稀になり、アニオンの移動が阻害されることもなく大きい放電容量を得ることができる。一方、前記炭素材料の細孔容積が2.3mL/g以下であれば、炭素構造が嵩高くならずに電極としてエネルギー密度が高められ、単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。また、前記細孔を形成している炭素質壁が薄くならずに、アニオンの吸蔵及び放出を繰り返しても炭素質壁の形状が保つことができ、充放電特性が向上する点で有利である。
前記炭素材料の細孔容積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BJH(Barrett、Joyner、Hallender)法を用いて求めることができる。
前記炭素材料としては、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、クノーベル(登録商標)(東洋炭素株式会社製)などが挙げられる。
前記炭素材料の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元網目構造を有する筋材と、炭素材料形成源としての有機物質とを成形して炭化させた後、酸又はアルカリで前記筋材を溶解する方法などが挙げられる。この場合、前記筋材を溶解した痕が三次元網目構造を形成する複数のメソ孔となり、意図的に形成することができる。
前記筋材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、金属酸化物、金属塩、金属含有有機物などが挙げられる。これらの中でも、酸又はアルカリ可溶性のものが好ましい。
前記有機物質としては、炭化させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記有機物質は、炭化時に揮発性物質を放出するため、放出跡としてミクロ孔が形成されるため、ミクロ孔が全く存在しない炭素材料を製造することは難しい。
−−シリコーンポリマー−−
前記炭素材料は、表面にシリコーンポリマーを有する。
前記炭素材料の表面にシリコーンポリマーを有する態様には、前記炭素材料の少なくとも一部がシリコーンポリマーで被覆されていることを含む。前記被覆は、前記炭素材料の表面の全面積を完全に覆わなくてもよく、前記炭素材料の表面の一部が露出していてもよい。
前記炭素材料表面にシリコーンポリマーを有することにより炭素表面の反応性官能基を効果的に不活性化しつつ、柔軟なポリマー構造により体積膨張に対し追随することが可能であるため、長期に亘ってガス発生を抑制することができる。
前記シリコーンポリマーとしては、一般的なポリシロキサンであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖ポリシロキサン類;アミノ変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、長鎖アルキル変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安定性が高く、かつ炭素材料中の反応性官能基との反応性が高い点から、メチルハイドロジェンポリシロキサンが特に好ましい。
前記炭素材料におけるエネルギー分散型X線分光法(EDS)で求めたSi元素量は、ガス発生抑制の点から、3.0%以上5.0%以下であることが好ましい。前記好ましい含有量の範囲において、長期に亘ってガス発生を抑制することができる。
前記炭素材料の表面にシリコーンポリマーを被覆する方法としては、例えば、溶媒と、炭素材料と、シリコーンポリマーとを、室温(25℃)で攪拌した後、加熱状態で2時間程度攪拌し、スラリー状になるまで溶媒を蒸発する。その後、焼付けを行うことにより、炭素材料の表面にシリコーンポリマーを被覆することができる。
前記炭素材料Aと前記シリコーンポリマーBとの質量比率(A:B)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80:20〜98:2が好ましい。
−−バインダ及び増粘剤−−
前記バインダ及び増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−−導電助剤−−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−正極集電体−
前記正極集電体の材質、形状、大きさ、及び構造としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが特に好ましい。
前記正極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<正極の作製方法>
前記正極は、前記正極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記増粘剤、前記導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした正極材を、前記正極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒、などが挙げられる。前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
なお、前記正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたりすることもできる。
<負極>
前記負極は、負極蓄電物質(負極活物質等)を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に負極活物質を有する負極材を備えた負極、などが挙げられる。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
−負極材−
前記負極材としては、負極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤などを含む。
−負極活物質−
前記負極活物質としては、非水溶媒系でカチオンを吸蔵及び放出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオンとしてのリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素質材料、金属酸化物、リチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化金属リチウムなどが挙げられる。
前記炭素質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物などが挙げられる。
前記黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛などが挙げられる。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化アンチモン錫、一酸化珪素などが挙げられる。
前記金属又は金属合金としては、例えば、リチウム、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛などが挙げられる。
前記リチウムとの複合合金化合物としては、例えば、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
前記チッ化金属リチウムとしては、例えば、チッ化コバルトリチウムなどが挙げられる。
前記負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性とコストの点から、炭素質材料、チタン酸リチウムが好ましい。
−−バインダ及び増粘剤−−
前記バインダ及び増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−−導電助剤−−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−負極集電体−
前記負極集電体の材質、形状、大きさ、及び構造としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、などが挙げられる。これらの中でもステンレススチール、銅、アルミニウムが特に好ましい。
前記負極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<負極の作製方法>
前記負極は、前記負極活物質に、必要に応じて前記バインダ及び増粘剤、前記導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした負極材を、前記負極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、前記正極の作製方法と同様の溶媒を用いることができる。
また、前記負極活物質に前記バインダ及び増粘剤、前記導電剤等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着、スパッタ、メッキ等の手法で前記負極集電体上に前記負極活物質の薄膜を形成することもできる。
<非水電解液>
前記非水電解液は、非水溶媒に電解質塩を溶解してなる電解液である。
−非水溶媒−
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非プロトン性有機溶媒が好適である。
前記非プロトン性有機溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート等のカーボネート系有機溶媒が用いられ、低粘度な溶媒が好ましい。これらの中でも、電解質塩の溶解力が高い点から、鎖状カーボネートが好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。これらの中でも、ジメチルカーボネート(DMC)が好ましい。
前記DMCの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非水溶媒に対して70質量%以上が好ましく、83質量%以上がより好ましい。前記DMCの含有量が、70質量%未満であると、残りの溶媒は誘電率が高い環状物質(環状カーボネートや環状エステル等)である場合には、誘電率が高い環状物質の量が増えるため、3M以上の高濃度の非水電解液を作製したときに粘度が高くなりすぎ、非水電解液の電極へのしみ込みや、イオン拡散の点で不具合を生じることがある。
前記環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが挙げられる。
前記環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と、前記鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非水溶媒としては、必要に応じて、環状エステル、鎖状エステル等のエステル系有機溶媒、環状エーテル、鎖状エーテル等のエーテル系有機溶媒などを用いることができる。
前記環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル(酢酸メチル(MA)、酢酸エチル等)、ギ酸アルキルエステル(ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチル等)などが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
−電解質塩−
前記電解質塩としては、リチウム塩を使用することが好ましい。
前記リチウム塩としては、非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(CFSO)、リチウムビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(CSO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素電極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPFが特に好ましい。
前記電解質塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非水溶媒中に、0.5mol/L以上6mol/L以下が好ましく、蓄電素子容量と出力の両立の点から、2mol/L以上4mol/L以下がより好ましい。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために正極と負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、及び構造としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。
これらの中で好ましいものとしては、電解液保持の観点より気孔率50%以上のものが好ましい。形状としては微多孔(マイクロポア)を有する薄膜タイプよりも、気孔率が高い不織布系の方が好ましい。
前記セパレータの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上100μm以下が好ましい。前記平均厚みが、20μm未満であると、電解液の保持量が少なくなることがあり、100μmを超えると、エネルギー密度が低下することになる。
前記セパレータの大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
<非水電解液蓄電素子の製造方法>
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記正極、前記負極、及び前記非水電解液と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装缶等の他の構成部材を用いることも可能である。前記非水電解液蓄電素子を組み立てる方法としては、特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
本発明の非水電解液蓄電素子の形状については、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
ここで、前記非水電解液蓄電素子の一例を図1に示す。この図1に示した非水電解液蓄電素子10は、正極1と、負極2と、非水電解液を保持したセパレータ3と、外装缶4と、正極引き出し線6と、負極引き出し線5とを有し、必要に応じて他の部材を有してなる。非水電解液蓄電素子10の具体例としては、例えば、非水電解液二次電池、非水電解液キャパシタなどが挙げられる。
図2は、非水電解液蓄電素子10の基本構成を分かりやすく説明するための概略図である。
正極11は、例えば、アルミニウム製の正極集電体20と、正極集電体20上に固定された正極活物質としての炭素21と、炭素21同士を繋ぎとめるバインダ22と、炭素21間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
負極12は、例えば、銅製の負極集電体24と、負極集電体24上に固定された炭素質材料などからなる負極活物質25と、負極活物質25同士を繋ぎとめるバインダ22と、負極活物質25間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
正極11と負極12との間にはセパレータ13が配置されているとともに、非水電解液26が配置されている。符号27はイオンを示している。イオンが炭素層間に挿入乃至脱離することで充放電が行われる。
デュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子の充放電反応は、例えば、電解質にLiPFを使用した場合には、下記の反応式に示すように、非水電解液中から正極にPF が挿入され、負極にLiが挿入されることにより充電が行われ、正極からPF が、負極からLiが非水電解液へ脱離することにより放電が行われる。
<用途>
本発明の非水電解液蓄電素子の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、電動自転車、電動工具等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<負極活物質に金属リチウムを用いたガス発生量の測定試験>
−正極活物質の作製−
正極活物質としてシリコーンポリマー被覆炭素粉末を、以下の手順にて作製した。
溶媒としてn−ヘキサン80質量%に対し、炭素材料として炭素粉末(TIMCAL社製、KS−6)を19.2質量%、及びシリコーンポリマーとしてメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越シリコーン株式会社製、KF−99)を0.8質量%添加し、室温(25℃)で攪拌した後、70℃にて2時間程度攪拌し、スラリー状になるまで溶媒を蒸発させた。その後、150℃で30分間の条件にて焼付けを行い、炭素粉末の粒子上にシリコーンポリマーを定着させ、正極活物質としての実施例1のシリコーンポリマー被覆炭素材料を作製した。
(実施例2〜7)
−正極活物質の作製−
実施例1において、表1に示すシリコーンポリマー、及びスラリー組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、正極活物質としての実施例2〜7のシリコーンポリマー被覆炭素材料を作製した。
*メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越シリコーン株式会社製、KF−99)
*ジメチルポリシロキサン(信越シリコーン株式会社製、KF−96−50cs)
*モノアミン変性シリコーンポリマー(信越シリコーン株式会社製、KF−868)
次に、得られたシリコーンポリマー被覆炭素材料を乳鉢で軽く打解した後、SEM観察を行い、エネルギー分散型X線分光法(EDS、BRUKER社製、Flat QUAD 5060F)により炭素材料表面のSi元素量を測定した。測定として、SEM画像上の炭素材料部分のランダムな3点についてSi元素量を測定し、その平均値を実測値とした。結果を表2に示した。
−正極の作製−
正極活物質として、上記方法にて作製した各シリコーンポリマー被覆炭素材料を用い、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、バインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)、及び増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル2200、ダイセル化学工業株式会社製)を、各々、固形分の質量比で87.0:7.0:3.0:3.0になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚み20μmのアルミニウ箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。乾燥後の目付け量(塗工された正極中の炭素活物質粉末の質量)の平均は10mg/cmであった。これを直径18mmに打ち抜いて正極とした。
(比較例1)
実施例1において、正極活物質として、未処理品の炭素粉末(TIMCAL社製、KS−6)を用いた以外は、実施例1と同等にして、正極を作製した。
(比較例2)
正極活物質として、未処理の炭素粉末(TIMCAL社製、KS−6)の表面に、CVD炭素による被覆を施した材料を作製した。CVD条件として、ヒーター上に設置した石英ガラス菅に炭素粉末30gを静置し、コート元ガス:メタン、置換ガス:Ar、コート元ガス:置換ガス比=1:1、流量200cm/secの条件でガスを流しながら、保持温度950℃、1時間の保持時間の条件にてCVD被覆を行い、CVD被覆炭素を得た。
(比較例3)
比較例2において、保持温度950℃、4時間の保持時間の条件にてCVD被覆を行った以外は、比較例2と同様にして、CVD被覆を行い、CVD被覆炭素を得た。
次に、得られた比較例2及び3のCVD被覆炭素を乳鉢で軽く打解した後、SEM観察を行い、CVD被覆により付着した炭素の表面占有率を算出した。結果を表3に示した。
−表面占有率−
表面占有率の算出方法として、得られたSEM画像より、活物質の粒子部分の画像を1μm×1μmの範囲で切り出し、CVDで炭素が付着した部分が表面積に占める割合を計算した。同様の作業を別箇所の撮影を含め3回繰り返し、得られた数値の平均値を以って表面占有率とした。
次に、作製したCVD被覆炭素を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同等の方法にて、正極を作製した。
−セパレータ−
セパレータは、ガラス濾紙(GA100、ADVANTEC社製)を直径18mmに打ち抜いたものを3枚用意した。
−負極の作製−
金属リチウム負極として、リボン状の金属リチウムを直径18mmに打ち抜いたものを用いた。
−非水電解液−
電解液として、2mol/LのLiPFのジメチルカーボネート(DMC):エチレンカーボネート(EC):フルオロエチレンカーボネート(FEC)=(96:2:2(質量/質量%))混合溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。
−蓄電素子の作製−
次に、作製した前記正極、前記負極、及び前記セパレータを150℃で24時間の条件にて乾燥した後、前記負極、前記セパレータの順に積層し、そこに前記電解液600μLを注入し、その上に、前記正極を積層して、蓄電素子を組み立てた。
<サイクル試験時のガス発生量の測定試験>
ガス発生量測定試験として、EL−CELL社製放出ガス量測定セルECC−Press−DLを用いて、サイクル試験中のガス発生量を測定した。測定方法を以下に示す。
作製した各蓄電素子を40℃雰囲気下にて5時間放置した後、「0.2mA−5.2V充電→印加なし2時間放置→1.0mA−3.0V放電→印加なし5時間放置」の条件にてエージングを行った。エージング終了時点の内部圧力を原点とし、そこから、「5mA−5.2V充電→5分休止→5mA−3.0V放電→5分休止→以下繰り返し」の条件にてサイクル試験を行い、10サイクル、及び100サイクル経過後のガス発生量を計測した。
また、10サイクル経過時点での放電容量を計測し、比較例1(未処理品)との比較により、表面被覆による蓄電素子容量の低下率を測定した。ガス発生量の測定試験と蓄電素子容量の低下率の測定の結果を表4に示した。
表4の結果から、実施例1〜7と比較例1の結果を比較すると、表面にシリコーンポリマー被覆を行わない正極活物質を用いた比較例1に対し、表面にシリコーンポリマー被覆を行った実施例1〜7は、10サイクル、及び100サイクル後の何れもガス発生量が抑制される傾向が得られた。
これに対して、CVD炭素による表面被覆を施した比較例2,3は、被覆量が少ない比較例2ではガス発生抑制の効果が現れず、被覆量が多い比較例3では100サイクル時点でのガス発生抑制効果はあるものの、蓄電素子容量の低下が顕著であり、かつ長期的にはガス発生抑制効果を維持できない。
したがって、これらに対してシリコーンポリマー被覆を施した実施例1〜7は効果が高いことがわかった。
実施例1〜7の中では、実施例4は、未処理炭素を用いた比較例1と比べると、ガス発生は抑制されているものの、その抑制効果が比較的小さく、短期的には比較例3より効果が小さかった。これより、シリコーンポリマーの被覆の効果を効率よく得るためには、EDS測定時のSi元素量として3.0%以上が適していることがわかった。また、実施例5を見ると、ガス発生抑制の効果は大きいものの、蓄電素子容量の低下が比較例3と同程度発生している。これより、シリコーンポリマーの被覆量はEDS測定時のSi元素量として5.0%以下が適していることが分かる。よって、シリコーンポリマーの被覆量は、EDS測定時のSi元素量として3.0%以上5.0%以下であることが好ましい。
また、実施例6及び7を見ると、シリコーンポリマーとして、メチルハイドロジェンポリシロキサンと異なる構造を有するメチルポリシロキサン、モノアミン変性シリコーンポリマーを使用した場合でもガス発生抑制効果が現れており、ガス発生抑制効果は、シリコーンポリマーの種類を問わず有効であることがわかった。なお、これら3種のなかでも最も効果が高いものは、同等のシリコーンポリマー量であっても容量低下が小さく、かつガス発生抑制効果が高いメチルハイドロジェンポリシロキサンであった。
(実施例8)
<正極活物質に三次元網目構造を有した炭素を用いたガス発生量の測定試験>
実施例2において、正極活物質に、三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有する炭素材料(クノーベル−非晶質炭素系、東洋炭素株式会社製)を用いて作製したシリコーンポリマー被覆炭素粉末を使用した以外は、実施例2と同様にして、実施例8の蓄電素子を作製した。
なお、前記正極活物質として三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有する炭素材料(クノーベル−非晶質炭素系、東洋炭素株式会社製)のBET比表面積は1,270m/g、細孔容積は1.06mL/gであった。
実施例2と同様にして、エネルギー分散型X線分光法(EDS)により炭素材料表面のSi元素量を測定したところ、Si元素量は4.4%であった。その後、実施例2と同様にして、ガス発生量の測定試験、及び蓄電素子容量の低下率(比較例4に対する)を測定した。結果を表5に示した。
(比較例4)
実施例8において、正極活物質に未処理の三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有する炭素材料(クノーベル−非晶質炭素系、東洋炭素株式会社製)を用いた以外は、実施例8と同様にして、比較例4の蓄電素子を作製し、実施例2と同様にして、ガス発生量の測定試験、及び蓄電素子容量の低下率を測定した。結果を表5に示した。
表5の結果から、実施例8は、比較例4と比してガス発生が抑制されており、シリコーンポリマー被覆によるガス発生低減の効果は、正極活物質に三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有する炭素材料を用いた場合でも発揮されることがわかった。
また、実施例8と実施例2を比較すると、実施例8はガス発生量の絶対量が低く、かつ未処理の比較例からのガス発生低減率も更に高いことがわかった。このことから、シリコーンポリマー被覆炭素材料によるガス発生抑制効果は、三次元網目構造を形成する複数の細孔を内部に有する炭素材料の使用が、より適していることがわかった。
(実施例9)
<負極活物質に炭素材料を用いたガス発生量の測定試験>
−炭素材料負極の作製−
負極として人造黒鉛(日立化成工業株式会社製、MAGD)を用い、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、バインダとしてSBR系(EX1215、デンカ株式会社製)、及び増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース(ダイセル2200、ダイセル化学工業株式会社製)を、各々、固形分の質量%で90.9:4.5:2.7:1.8になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚み18μmの銅箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。
乾燥後の目付け量(塗工された負極中の炭素活物質粉末の質量)の平均は3mg/cmであった。これを直径18mmに打ち抜いたものを炭素材料負極とした。
前記炭素材料負極を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例9の蓄電素子を作製し、実施例1と同様にして、ガス発生量の測定試験、及び蓄電素子容量の低下率(比較例5に対する)を測定した。結果を表6に示した。
(比較例5)
負極として、実施例9と同じ炭素材料負極を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例5の蓄電素子を作製し、実施例1と同様にして、ガス発生量の測定試験、及び蓄電素子容量の低下率を測定した。結果を表6に示した。
表6の結果から、実施例9は、比較例5と比してガス発生が抑制されており、負極に炭素材料を用いた場合であっても、シリコーンポリマー被覆によるガス発生抑制効果は顕著であった。
(実施例10)
<負極活物質にチタン酸リチウムを用いたガス発生量の測定試験>
負極としてチタン酸リチウム(石原産業株式会社製)を用いた以外は、実施例8の炭素材料負極と同等の手順で電極を作製した。乾燥後の目付け量(塗工された負極中のチタン酸リチウム粉末の質量)の平均は3mg/cmであった。これを直径18mmに打ち抜いたものをチタン酸リチウム負極とした。
前記チタン酸リチウム負極を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例10の蓄電素子を作製した。
(比較例6)
負極として、実施例10と同等のチタン酸リチウム負極を使用した以外は、比較例1と同様にして、比較例6の蓄電素子を作製した。
<サイクル試験時のガス発生量の測定試験>
ガス発生量測定試験として、「エージング条件:40℃雰囲気下にて5時間放置後、0.2mA−3.7V充電→印加なし2時間放置→1.0mA−1.5V放電→印加なし5時間放置」、「サイクル条件:5mA−3.7V充電→5分休止→5mA−1.5V放電→5分休止→以下繰り返し」の条件に変更した以外は、前記負極に金属リチウムを用いたガス発生量の測定試験と同様にして、ガス発生量の測定試験を行った。結果を表6に示した。
また、10サイクル経過時点での放電容量を計測し、比較例6(未処理品)との比較により、表面被覆による蓄電素子容量の低下率を測定した。結果を表7に示した。
表7の結果から、実施例10は、比較例6と比べてガス発生が抑制されており、負極にチタン酸リチウムを用いた場合でも、シリコーンポリマー被覆によるガス発生抑制効果は顕著に現れている。
これらの結果から、シリコーンポリマー被覆によるガス発生抑制効果は、負極の種類に因らず得られることがわかった。
以上の結果より、正極へのアニオン挿入を利用した蓄電素子において、シリコーンポリマー被覆を施した炭素材料を用いることにより、長期に亘りガス発生が抑制された非水電解液蓄電素子を提供することが可能である。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極活物質が、表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有することを特徴とする非水電解液蓄電素子である。
<2> 前記正極活物質が、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有しかつ表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有する前記<1>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<3> 前記炭素材料におけるエネルギー分散型X線分光法(EDS)で求めたSi元素量が、3.0%以上5.0%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<4> 前記シリコーンポリマーが、メチルハイドロジェンポリシロキサンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<5> 前記炭素材料のBET比表面積が50m/g以上であり、かつ前記炭素材料の細孔容積が0.2mL/g以上2.3mL/g以下である前記<2>から<4>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<6> 細孔径が、2nm以上50nm以下である前記<2>から<5>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<7> 前記非水電解液が、LiPF及びLiBFの少なくともいずれかを含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<8> 前記非水電解液に含まれる非水溶媒が、非プロトン性有機溶媒である前記<1>から<7>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<9> 前記非プロトン性有機溶媒が、鎖状カーボネートである前記<8>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<10> 前記負極活物質が、人造黒鉛及びチタン酸リチウムの少なくともいずれかである前記<1>から<9>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<11> 前記正極と前記負極との間に、セパレータを有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<12> 前記セパレータの平均厚みが、20μm以上100μm以下である前記<11>に記載の非水電解液蓄電素子である。
前記<1>から<12>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 負極引き出し線
6 正極引き出し線
10 非水電解液蓄電素子
特許第4569126号号公報 特開2002−8652号公報 特開2014−143032号公報 特開平8−195197号公報

Claims (7)

  1. アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液とを有する非水電解液蓄電素子であって、
    前記正極活物質が、表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有することを特徴とする非水電解液蓄電素子。
  2. 前記正極活物質が、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有しかつ表面にシリコーンポリマーを有する炭素材料を含有する請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
  3. 前記炭素材料におけるエネルギー分散型X線分光法(EDS)で求めたSi元素量が、3.0%以上5.0%以下である請求項1から2のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  4. 前記シリコーンポリマーが、メチルハイドロジェンポリシロキサンである請求項1から3のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  5. 前記非水電解液が、LiPF及びLiBFの少なくともいずれかを含有する請求項1から4のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  6. 前記負極活物質が、人造黒鉛及びチタン酸リチウムの少なくともいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  7. 前記正極と前記負極との間に、セパレータを有する請求項1から6のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。

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