JP2018029038A - 燃料電池の制御装置及び燃料電池の保護制御方法並びに発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】異常が発生した場合でも、燃料電池の発電出力低減や運転停止をする時間を短縮して、燃料電池の発電出力を増加することのできる燃料電池の制御装置、保護制御方法、及び発電システムを提供すること。【解決手段】燃料電池の制御装置60は、当該制御装置60に取り込まれた燃料電池に係る複数の計測データに基づいて、燃料電池の負荷を増減させることにより解消する可能性のある特定の異常が発生したか否かを判定する異常判定部141と、異常判定部141によって、特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した特定の異常の要因に応じて、燃料電池の負荷を低下または上昇させる出力制御部142と、燃料電池の負荷を低下または上昇させたことにより、特定の異常が解消されたか否かを判定する異常解消判定部143とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、燃料電池の制御装置及び燃料電池の保護制御方法並びに発電システムに関するものである。
燃料電池は、電気化学反応による発電方式を利用した発電装置であり、燃料側の電極である燃料極と、空気(酸化剤ガス)側の電極である空気極と、これらの間にありイオンのみを通す電解質とにより構成されており、電池の形状や構成材料によって様々な形式が開発されている。
このうち、例えば、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」と呼ぶ)は、電解質としてジルコニアセラミックスなどのセラミックスが用いられ、炭素質原料をガス化設備により製造した石炭ガス化ガス等のガス、水素、都市ガス、天然ガス、石油、メタノール等を燃料として運転される燃料電池である。このSOFCは、イオン伝導率を高めるために作動温度が約700〜1000℃程度と高く、高効率な高温型燃料電池として知られている。
このようなSOFCを例えば、マイクロガスタービン(以下「MGT」という。)等の内燃機関と組み合わせた複合発電システムが開発されている。MGTでは、圧縮機から吐出される圧縮空気をSOFCの空気極に供給するとともに、SOFCから排出される高温の排燃料ガスをMGTの燃焼器に供給して燃焼させ、燃焼器で発生した燃焼ガスを断熱膨張することでMGTのタービンを回転駆動させる。そして、タービンの回転駆動を発電機に伝達させることで発電機を発電させることにより、発電効率の高い発電が可能とされている。
このようなSOFCは、例えば、セル電圧の大きな低下、発電セルの急速な温度上昇などの何らかの異常が検知されると、より安全な側とする観点から緊急停止するように設計されている。例えば、特許文献1には、SOFCの停止を必要とする異常が発生した場合に、運転状態(例えば、ブロワ運転、不活性ガス供給の可否)に応じた適切な停止動作を行うことが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、異常が検知された場合に、発電停止後、リスクレベルに応じて自動的にSOFCを再起動させ、発電を再開させるシステムが開示されている。
また、特許文献3には、SOFC出力と燃料電池モジュールの電圧低下量とに基づいてSOFCの運転を停止するか否かを判定するが開示されている。
特開2014−146476号公報 特許第5112107号公報 特許第4924910号公報
従来のSOFCでは、異常が検知された場合に、その異常の要因によらずに、SOFCの運転を停止させ冷却していたため、SOFCを再起動して発電を再開するまでに相当な時間を要していた。すなわち、SOFCは起動時において、発電室温度を発電が可能な温度まで上昇させる温度上昇工程が必要であり、発電室温度が発電可能な温度に到達した後に発電を開始する必要がある。異常発生による運転停止からの経過時間が長いほど、発電室温度は低下するため、温度上昇工程に要する時間も長時間化する。とりわけ、発電室の温度が常温レベルまで冷却された後のコールドスタートから再起動させる場合には、起動完了までに1日以上を要する場合もあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、異常が発生した場合でも、燃料電池の発電出力低減や運転停止をする時間を短縮して、燃料電池の発電出力を増加することのできる燃料電池の制御装置及び燃料電池の保護制御方法並びに発電システムを提供することを目的とする。
本発明は、燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池の制御装置であって、前記制御装置に取り込まれた前記燃料電池に係る複数の計測データに基づいて、前記燃料電池の負荷を増減させることにより解消する可能性のある特定の異常が発生したか否かを判定する異常判定部と、前記異常判定部によって、前記特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した前記特定の異常の要因に応じて、前記燃料電池の負荷を低下または上昇させる出力制御部と、前記燃料電池の負荷を低下または上昇させたことにより、前記特定の異常が解消されたか否かを判定する異常解消判定部とを具備する燃料電池の制御装置を提供する。
上記燃料電池の制御装置において、「特定の異常」は、例えば、発電室の温度の上昇または下降に関する異常である。
上記燃料電池の制御装置において、「燃料電池の負荷」とは燃料電池の発電出力のことである。
上記燃料電池の制御装置において、前記出力制御部は、前記異常解消判定部によって前記特定の異常が解消されたと判定された場合に、前記特定の異常が解消されたときの負荷を維持する制御を行うこととしてもよい。
上記燃料電池の制御装置によれば、出力制御部は、異常判定部によって特定の異常が発生したと判定された場合に、負荷を低下または上昇させる。ここで、「特定の異常」は、負荷を増減させることにより解消する可能性のある異常であるため、負荷の低下または上昇によって異常が解消される可能性がある。そして、異常が解消された場合には、異常が解消されたときの負荷で運転を継続して行うので、異常の要因によらずに異常発生の場合に運転を停止させていた従来の発電システムに比べて、発電電力量を増加させることが可能となる。
上記燃料電池の制御装置において、前記異常解消判定部は、前記出力制御部によって前記燃料電池の負荷が低下または上昇させられ、低下または上昇後の前記燃料電池の負荷が予め設定された所定期間保持された後に、前記特定の異常が解消されたか否かを判定することとしてもよい。
例えば、発電室温度は熱容量が大きいため、発電室温度の変化は負荷変化に対して応答遅れがある。上記燃料電池の制御装置によれば、低下または上昇後の燃料電池の負荷が予め設定された所定期間保持された後に、特定の異常が解消されたか否かを判定するので、変化後の負荷に対して異常が解消されたか否かを確実に判定することが可能となる。
上記燃料電池の制御装置において、前記出力制御部は、目標負荷を所定の保護下限値または所定の保護上限値を限度として、前記異常解消判定部によって前記特定の異常が解消されたと判定されるまで、前記目標負荷を所定量ずつ段階的に低下または上昇させてもよい。
上記燃料電池の制御装置によれば、異常が解消されたか否かを確認しながら、所定の保護下限値または所定の保護上限値まで、目標負荷を段階的に低下または上昇させることが可能となる。これにより、負荷を保護下限値または保護上限値まで変化させる途中で異常が解消された場合には、異常が解消されたときの負荷を維持することが可能となり、目標負荷を一気に保護下限値まで低下または保護上限値まで上昇させる場合と比べて、より高い出力を維持することが可能となる。
上記「目標負荷を段階的に低下または上昇」とは、例えば、目標負荷を所定量低下または上昇させ、その状態を所定期間保持し、その後、さらに負荷を所定量低下または上昇させるという動作を繰り返すことを意味する。
また、目標負荷を変化させる場合の上記「所定量」は、発電室温度に変化を生じさせる負荷変化幅よりも大きな値に設定されている。
上記燃料電池の制御装置において、前記出力制御部は、目標負荷を所定の保護下限値または所定の保護上限値まで低下または上昇させ、前記異常解消判定部は、前記目標負荷が前記保護下限値または前記保護上限値に到達し前記所定期間を保持した後に、前記特定の異常が解消されたか否かを判定することとしてもよい。
特定の異常の中には、上述のように負荷を段階的に変化させても異常の解消が見込めない要因も存在する。このような異常の要因の場合には、目標負荷を保護下限値または保護上限値まで一気に連続して変化させた後に、特定の異常が解消されたか否かを判定する。このように、負荷の要因によっては、負荷を所定の保護下限値または保護上限値まで段階的に変化させる過程を省略することで、負荷変化によって異常が解消可能か否かをより短い時間で確認することが可能となる。
上記燃料電池の制御装置において、前記保護下限値は、例えば、改質用水の供給が必要とされる前記燃料電池の負荷よりも大きな値に設定されている。
燃料電池に供給する燃料ガスを改質するのに改質用水が必要になる。燃料電池から排出される排燃料ガスは燃料電池に再循環されているが、排燃料ガスに含まれる水蒸気の流量は燃料電池の運転状況によって異なるため、燃料電池の運転状況によっては排燃料ガスに含まれる水蒸気のみでは改質用水が不足する場合がある。また、改質用水の供給開始時には少なからず圧力変動や流動変動等の何らかの外乱が生ずる。保護下限値を改質用水の供給が必要とされる負荷よりも大きな値に設定することで、改質用水の供給による圧力変動や流動変動等の影響を受けることなく、安定した状態で異常が解消されたか否かを判定することが可能となる。
上記燃料電池の制御装置において、前記出力制御部は、前記特定の異常が解消され、かつ、前記特定の異常が再発しないと判定した場合に、前記燃料電池の負荷を要求負荷まで回復させる制御を行うこととしてもよい。
上記燃料電池の制御装置によれば、特定の異常が解消され、更に、特定の異常が再発しないと判定した場合には、現在維持している負荷から所定の負荷(例えば、定格負荷)まで負荷を回復させるので、例えば、負荷がゼロの状態から所定の負荷まで回復させる場合に比べて、負荷回復に要する時間を短縮することができる。
上記燃料電池の制御装置は、前記特定の異常に関する情報と該特定の異常の原因とを関連付けた原因特定情報を記憶する記憶部と、前記異常判定部によって前記特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した前記特定の異常に該当する前記原因特定情報を前記記憶部から抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された前記原因特定情報を用いて、前記特定の異常を引き起こした原因を特定する原因特定部とを更に備えていてもよい。
上記燃料電池の制御装置によれば、特定の異常に関する情報と特定の異常の原因とを関連付けた原因特定情報を用いて、発生した特定の異常の原因を特定するので、異常の原因解明までに要する時間を短縮することができるとともに、原因解明に要する労力を軽減することが可能となる。
上記燃料電池の制御装置は、前記原因特定部によって特定された前記原因を表示する表示部を更に備えていてもよい。
上記燃料電池の制御装置によれば、異常の原因を表示部に表示させることで、異常の原因をオペレータに通知することが可能となる。これにより、オペレータはその原因を確認することで、自らが異常の解明を行う必要なく、速やかに発生した異常に対して適切な措置を講じることが可能となる。
上記燃料電池の制御装置は、前記原因特定部によって特定された前記原因を排除する原因排除部を更に備えていてもよい。
上記燃料電池の制御装置によれば、発生した異常の原因を自動的に排除することが可能となる。これにより、自動的に負荷を回復させることが可能となる。
本発明は、マイクロガスタービンと、燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池と、上記いずれかの燃料電池の制御装置とを具備する発電システムを提供する。
本発明は、燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池の保護制御方法であって、前記燃料電池に係る複数の計測データに基づいて、前記燃料電池の負荷を増減させることにより解消する可能性のある特定の異常が発生したか否かを判定する工程と、前記特定の異常が発生したと判定した場合に、発生した前記特定の異常の要因に応じて、前記燃料電池の負荷を上昇または低下させる工程と、前記燃料電池の負荷を上昇または低下させたことにより、前記特定の異常が解消されたか否かを判定する工程とを含む燃料電池の保護制御方法を提供する。
上記燃料電池の保護制御方法は、前記特定の異常が解消されたと判定された場合に、前記特定の異常が解消されたときの前記燃料電池の負荷を維持する工程をさらに備えていてもよい。
本発明によれば、燃料電池もしくは燃料電池を備えた発電システムに異常が発生した場合でも、燃料電池の発電出力低減や運転停止をする時間を短縮して、燃料電池の発電出力を増加することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る発電システムの概略構成を示した概略構成図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCのセルスタックの一態様を示した図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示した図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るSOFCの制御装置が備える機能のうち、保護制御に関する機能を展開して示した機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るSOFCの制御装置によって実行される保護制御の手順を示したフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るSOFC制御装置において、特定の異常が発生した場合の出力電流指令の時間的推移の一例を示した図である。 本発明の第2実施形態に係るSOFCの制御装置が備える機能のうち、保護制御に関する機能を展開して示した機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る異常原因特定部の概略構成を示した図である。 本発明の第2実施形態に係るSOFCの制御装置によって実行される異常原因特定制御の手順を示したフローチャートである。
〔発電システムの構成〕
まず、本発明の一実施形態に係る発電システムの概略構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る発電システム10の概略構成を示した概略構成図である。図1に示すように、発電システム10は、マイクロガスタービン(以下「MGT」という。)11、発電機12、SOFC13を備えている。この発電システム10は、MGT11による発電と、SOFC13による発電とを組み合わせることで、高い発電効率を得るように構成されている。
MGT11は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を有しており、圧縮機21とタービン23とは回転軸24により一体回転可能に連結されている。後述するタービン23が回転することで圧縮機21が回転駆動する。圧縮機21は、空気取り込みライン25から取り込んだ空気Aを圧縮する。
燃焼器22には、第1空気供給ライン26を介して圧縮機21からの圧縮空気(以下、単に「空気」という。)Aの一部が供給されるとともに、第1燃料ガス供給ライン27を介して燃料ガスL1が供給される。第1空気供給ライン26には、燃焼器22へ供給する空気量を調整するための制御弁65が設けられ、第1燃料ガス供給ライン27には、燃焼器22へ供給する燃料ガス流量を調整するための制御弁70が設けられている。更に、燃焼器22には、後述するSOFC13の燃料ガス再循環ライン49を循環する排燃料ガスL3の一部が排燃料ガス供給ライン45を通じて供給される。排燃料ガス供給ライン45には、燃焼器22に供給する排燃料ガス量を調整するための制御弁47が設けられている。更に、燃焼器22には、後述する排空気供給ライン36を通じてSOFC13の空気極13Bで用いられた排空気A2の一部が供給される。
燃焼器22は、燃料ガスL1、空気Aの一部、排燃料ガスL3、及び排空気A2を混合して燃焼させ、燃焼ガスGを生成する。燃焼ガスGは燃焼ガス供給ライン28を通じてタービン23に供給される。タービン23は、燃焼ガスGが断熱膨張することにより回転し、排ガスが燃焼排ガスライン55から排出される。発電機12は、タービン23と同軸上に設けられており、タービン23が回転駆動することで発電する。
燃焼器22に供給する燃料ガスL1及び後述する燃料ガスL2は可燃性ガスであり、例えば、炭素質原料をガス化設備により製造した石炭ガス化ガス等のガス、一酸化炭素(CO)やメタン(CH)等の炭化水素ガス、液化天然ガス(LNG)、都市ガス、水素(H)、メタノール、石油等が用いられる。本実施形態での燃料ガスL1、L2は例えば都市ガスを使用し、メタンを主成分とする燃料ガスを用いている。燃料ガスL1、L2は必ずしも同じガスを使用する必要はなく、それぞれ異なるガスを使用してもよい。
SOFC13は、圧力容器内に燃料極13Aと空気極13Bと固体電解質111(図2参照)とが収容されて構成される。なお、SOFC13の詳細な構成については後述する。
SOFC13は、空気極13Bに酸化剤ガスが供給され、燃料極13Aに燃料ガス(還元剤ガス)が供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行う。
酸化剤ガスは、例えば、酸素を略15%から30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である。本実施形態では、SOFC13に供給される酸化剤ガスとして、圧縮機21によって圧縮された空気Aの少なくとも一部を採用する場合を例示して説明する。
SOFC13には、第1空気供給ライン26から分岐した第2空気供給ライン31を通じて酸化剤ガスとして空気(酸化剤ガス)A1が空気極13Bの導入部である空気供給部に供給される。この第2空気供給ライン31には、供給する空気A1の流量を調整するための制御弁64が設けられている。また、第1空気供給ライン26において、第2空気供給ライン31の分岐点よりも空気A1の上流側(換言すると、圧縮機21側)には、熱交換器58が設けられている。熱交換器58において、空気Aは、燃焼排ガスライン55から排出される排ガスとの間で熱交換されて昇温される。更に、第2空気供給ライン31には、熱交換器58をバイパスするバイパスライン62が設けられている。バイパスライン62には、制御弁66が設けられ、空気Aのバイパス流量が調整可能とされている。制御弁64、66の開度が後述する制御装置60によって制御されることで、熱交換器58を通過する空気Aと熱交換器58をバイパスする空気Aとの流量割合が調整され、第2空気供給ライン31を通じてSOFC13に供給される空気A1の温度が調整される。
SOFC13に供給される空気A1の温度は、SOFC13を構成するSOFCカートリッジ203(図3参照)に空気A1を導入する空気供給部や空気供給枝管をはじめSOFCカートリッジ203の構成材料に損傷を与えないよう温度の上限が制限されている。
更に、第2空気供給ライン31には、可燃性ガスとして燃料ガスL2を供給する空気極燃料供給ライン80が接続されている。空気極燃料供給ライン80には、第2空気供給ライン31へ供給する燃料ガス量を調整するための制御弁82が設けられている。制御弁82の弁開度が後述する制御装置60によって制御されることにより、空気A1に添加される燃料ガスL2の供給量が調整される。空気A1に添加される燃料ガスL2の量は、可燃限界濃度以下で供給され、より好ましくは3体積%以下で供給される。
SOFC13には、空気極13Bで用いられた排空気A2を排出する排空気排出ライン34が接続されている。この排空気排出ライン34には、燃焼器22に排空気A2を供給するための排空気供給ライン36が接続されている。排空気供給ライン36には、SOFC13とMGT11との間の系統を切り離すための遮断弁38が設けられている。
また、排空気排出ライン34には、外部へ排出する排空気量を調整するための制御弁(もしくは遮断弁)37が設けられている。
SOFC13には、更に、燃料ガスL2を燃料極13Aの導入部である燃料ガス供給部207(図3参照)に供給する第2燃料ガス供給ライン41と、燃料極13Aで反応に用いられた後の排燃料ガスL3を排出する排燃料ガスライン43とが接続されている。第2燃料ガス供給ライン41には、燃料極13Aに供給する燃料ガスL2の流量を調整するための制御弁42が設けられ、排燃料ガスライン43には外部に排出する排燃料ガス量を調整するための制御弁(もしくは遮断弁)46が設けられている。排燃料ガスライン43の制御弁(もしくは遮断弁)46と、排空気排出ライン34の制御弁(もしくは遮断弁)37とにより過剰になった圧力を素早く調整することができる。また、SOFC13の燃料極13Aと空気極13Bの燃料空気差圧は、燃料極13A側が所定の圧力範囲で高くなるように制御弁47により制御する。また、排燃料ガスライン43には、排燃料ガスL3をSOFC13の燃料極13Aの入口へと再循環させるための燃料ガス再循環ライン49が接続されている。燃料ガス再循環ライン49には、排燃料ガスL3を再循環させるための再循環ブロワ50が設けられている。
更に、燃料ガス再循環ライン49には、燃料極13Aに燃料ガスL2を改質するための純水を供給する純水供給ライン44が設けられている。純水供給ライン44にはポンプ48が設けられている。ポンプ48の吐出流量が制御装置60によって制御されることにより、燃料極13Aに供給される純水流量が調整される。
〔SOFCの構成〕
次に、図2から図4を参照してSOFC13の構成について説明する。
まず、本実施形態に係るSOFC複合発電システム(燃料電池複合発電システム)のSOFCに用いる円筒形セルスタックについて図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るセルスタック101の一態様を示した図である。セルスタック101は、円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを備える。燃料電池セル105は、燃料極13Aと固体電解質111と空気極13Bとが積層して形成されている。また、セルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の燃料電池セル105の内、基体管103の長手軸方向において最も端の一端に形成された燃料電池セル105の空気極13Bに、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115を備え、最も端の他端に形成された燃料電池セル105の燃料極13Aに電気的に接続されたリード膜(不図示)を備える。
基体管103は、多孔質材料からなり、例えば、CaO安定化ZrO(CSZ)、CSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)、又はY安定化ZrO2(YSZ)、又はMgAlなどを主成分とされる。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料ガスを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極13Aに拡散させる。
燃料極13Aは、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。燃料極13Aの厚さは50〜250μmである。この場合、燃料極13Aは、燃料極13Aの成分であるNiが燃料ガスに対して触媒作用を備える。この触媒作用は、基体管103を介して供給された燃料ガス、例えば、メタン(CH)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H)と一酸化炭素(CO)に改質する。また、燃料極13Aは、改質により得られる水素(H)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111を介して供給される酸素イオン(O2−)とを固体電解質111との界面付近において電気化学的に反応させて水(HO)及び二酸化炭素(CO)を生成する。なお、燃料電池セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。
固体電解質111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを備えるYSZとが主に用いられて構成されている。固体電解質111は、空気極13Bで生成される酸素イオン(O2−)を燃料極に移動させる。燃料極13Aの表面上に位置する固体電解質111の膜厚は10〜100μmである。
空気極13Bは、例えば、LaSrMnO系酸化物、又はLaCoO系酸化物で構成される。この空気極13Bは、固体電解質111との界面付近において、供給される空気等の酸化剤ガス中の酸素を解離させて酸素イオン(O2−)を生成する。空気極13Bは2層構成とすることもできる。この場合、固体電解質111側の空気極層(空気極中間層)は高いイオン導電性を示し、触媒活性に優れる材料で構成される。空気極中間層上の空気極層(空気極導電層)は、Sr及びCaドープLaMnOで表されるペロブスカイト型酸化物で構成されても良い。こうすることにより、発電性能をより向上させることができる。
インターコネクタ107は、SrTiO系などのM1−xTiO(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物などから構成される。インターコネクタ107は、燃料ガスと空気とが混合しないように緻密な膜となっていて、酸化ガス雰囲気と還元ガス雰囲気との両雰囲気下で安定した耐久性と電気導電性を備える。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極13Bと他方の燃料電池セル105の燃料極13Aとを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続する。リード膜115は、電子伝導性を備えること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材で構成されている。このリード膜115は、インターコネクタにより直列に接続される複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出する。
次に、図3及び図4を参照して本実施形態に係るSOFCモジュール及びSOFCカートリッジについて説明する。図3は、本実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示した図、図4は、本実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の断面図である。
SOFCモジュール201は、図3に示すように、例えば、複数のSOFCカートリッジ203と、複数のSOFCカートリッジ203を収納する圧力容器205とを備える。なお、図3には円筒形のSOFCのセルスタックを例示しているが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。圧力容器205は、内部の圧力が0.1MPa〜約1MPa、内部の温度が大気温度〜約550℃で運用されるので、耐力性と酸化剤ガス中に含まれる酸素などの酸化剤ガスに対する耐食性を保有する材質が利用される。例えばSUS304などのステンレス系材が好適である。
SOFCモジュール201は、燃料ガス供給部207と複数の燃料ガス供給枝管207a及び燃料ガス排出部209と複数の燃料ガス排出枝管209aとを備える。更に、SOFCモジュール201は、空気供給部(不図示)と空気供給枝管(不図示)及び空気排出部(不図示)と複数の空気排出枝管(不図示)とを備える。
第2燃料ガス供給ライン41(図1参照)からの燃料ガスL2は、燃料ガス供給部207、複数の燃料ガス供給枝管207aを通じて複数のSOFCカートリッジ203に供給される。燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給部207を通じて供給される燃料ガスL2を複数のSOFCカートリッジ203に略均等の流量で導き、複数のSOFCカートリッジ203の発電性能を略均一化させる。
SOFCカートリッジ203から排出される排燃料ガスL3は、燃料ガス排出枝管209a及び燃料ガス排出部209を通じることにより、略均等の流量で排燃料ガスライン43(図1参照)に導かれる。
本実施形態においては、複数のSOFCカートリッジ203が集合化されて圧力容器205に収納される態様について説明しているが、これに限られず、例えば、SOFCカートリッジ203が集合化されずに圧力容器205内に収納される態様としてもよい。
SOFCカートリッジ203は、図4に示すように、複数のセルスタック101と、発電室215と、燃料ガス供給室217と、燃料ガス排出室219と、空気供給室221と、空気排出室223とを備えている。更に、SOFCカートリッジ203は、上部管板225aと、下部管板225bと、上部断熱体227aと、下部断熱体227bとを備えている。なお、本実施形態においては、SOFCカートリッジ203は、燃料ガス供給室217と燃料ガス排出室219と空気供給室221と空気排出室223とが図4のように配置されることで、燃料ガスと酸化剤ガスとしての空気とがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れる構造とされているが、その態様は必ずしもこの例に限られず、例えば、セルスタックの内側と外側とを平行して流れる、または空気がセルスタックの長手軸方向と直交する方向へ流れるようにしても良い。
発電室215は、上部断熱体227aと下部断熱体227bとの間に形成された領域である。発電室215は、セルスタック101の燃料電池セル105が配置された領域であり、燃料ガスと空気とを電気化学的に反応させて発電を行う領域である。例えば、発電室215のセルスタック101の長手方向の中央部付近の温度は、後述する温度センサ92などで監視され、SOFCモジュール201の定常運転時に、約700℃から1000℃の高温雰囲気となる。
燃料ガス供給室217は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの上部に設けられた燃料ガス供給孔231aによって、燃料ガス供給枝管207aと連通されている。複数のセルスタック101は、上部管板225aとシール部材237aにより接合されており、燃料ガス供給室217は、燃料ガス供給枝管207aから燃料ガス供給孔231aを介して供給される燃料ガスを、複数のセルスタック101の基体管103の内部に略均一流量で導き、複数のセルスタック101の発電性能を略均一化させる。
燃料ガス排出室219は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bの下部に備えられた燃料ガス排出孔231bによって、燃料ガス排出枝管209aと連通されている。複数のセルスタック101は、下部管板225bとシール部材237bにより接合されており、燃料ガス排出室219は、複数のセルスタック101の基体管103の内部を通過して燃料ガス排出室219に供給される排燃料ガスL3を集約して、燃料ガス排出孔231bを介して燃料ガス排出枝管209aに導くことができる。
空気供給室221は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと、下部管板225bと、下部断熱体227bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bの側面に設けられた空気供給孔233aによって、図示しない空気供給枝管と連通されている。この空気供給室221は、図示しない空気供給枝管から空気供給孔233aを介して供給される所定流量の空気を、空気供給隙間235aを介して発電室215に略均一流量で導くことができる。
空気排出室223は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと、上部管板225aと、上部断熱体227aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの側面に設けられた空気排出孔233bによって、図示しない空気排出枝管と連通されている。この空気排出室223は、発電室215から、空気排出隙間235bを介して空気排出室223に供給される排空気を、空気排出孔233bを介して図示しない空気排出枝管に導くことができる。
発電室215で発電された直流電力は、複数の燃料電池セル105に設けられたNi/YSZ等からなるリード膜115(図2参照)によりセルスタック101の端部付近まで導出した後に、SOFCカートリッジ203の集電棒(不図示)に集電板(不図示)を介して集電して、各SOFCカートリッジ203の外部へと取り出される。SOFCカートリッジ203の外部に導出された電力は、SOFCモジュール201の外部へと導出されて、パワーコンディショナ等の電力変換装置によって交流電力へ変換されて、電力供給先(例えば、負荷設備や電力系統)へと供給される。
上述したように、本実施形態に係るSOFC13では、燃料ガスL2と空気A1とがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。これにより、排空気A2は、基体管103の内部を通って発電室215に供給される燃料ガスL2との間で熱交換がなされ、金属材料から成る上部管板225a等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて空気排出室223に供給される。また、燃料ガスL2は、発電室215から排出される排空気A2との熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料ガスL2を発電室215に供給することができる。更に、基体管103の内部を通って発電室215を通過した排燃料ガスL3は、発電室215に供給される空気A1との間で熱交換がなされ、金属材料から成る下部管板225b等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて燃料ガス排出室219に供給される。また、空気A1は排燃料ガスL3との熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された空気を発電室215に供給することができる。
発電システム10には、図1に示すように、各箇所に各種センサが設けられている。例えば、発電システム10には、差圧センサ90及び温度センサ92〜97が設けられている。差圧センサ90は、燃料極13Aと空気極13Bとの差圧を計測する。温度センサ92は、発電室温度を計測する。温度センサ93は、再循環ブロワ50に設けられ、再循環ブロワ50の軸受温度を計測する。温度センサ94は、MGT11の圧縮機21の吸入口付近に設けられ、圧縮機21に吸引される空気Aの温度である外気温度を計測する。温度センサ95は、排燃料ガスライン43に設けられ、排燃料出口温度を計測する。温度センサ96は、排空気排出ライン34に設けられ、排空気出口温度を計測する。温度センサ97は、第2空気供給ライン31に設けられ、入口空気温度を計測する。また、発電システム10が備える各種制御弁には、各種制御弁の弁開度を検出する弁開度検出部(図示略)が設けられている。
また、上記各種センサは一例であり、発電システム10には、発電システム10を正常に運用するために必要な各種データを取得するための各種センサや、異常を検知するための各種センサ等が設けられている。これらの各種センサによって計測された計測データは制御装置60に送信される。
制御装置60は、上記計測データに基づいて演算処理を行い、SOFC13に必要とされる発電負荷である要求負荷を満足するように発電システム10の各部の動作を制御する。また、制御装置60は、計測データに基づいて、SOFC13に異常が発生したか否かを監視しており、異常を検知した場合には、以下に説明する保護制御を実行する。
〔発電システムの保護制御〕
〔第1実施形態〕
次に、上記構成を備える発電システム10の制御装置60によって実行される保護制御の第1実施形態について説明する。
制御装置60は、例えば、コンピュータやシーケンサーであり、CPUと、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)等を備えている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
図5は、制御装置60が備える各種機能のうち、保護制御に関する機能を主に展開して示した機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置60は、異常判定部141、出力制御部142、及び異常解消判定部143を備えている。
異常判定部141は、上述した計測データに基づいて発電システム10に特定の異常が発生したか否かを判定する。ここで、「特定の異常」とは、SOFC13の負荷を増減させることにより解消する可能性のある異常であり、より具体的には、発電室215の温度の上昇または低下に関する異常である。ここで、「負荷」とはSOFC13の発電出力のことであり、本実施形態ではSOFC13の出力電流に相当する。
異常判定部141は、例えば、特定の異常が発生したことを判定するための判定基準が記述された異常判定情報を備えており、各種センサから受信した計測データと異常判定情報とを用いて、特定の異常が発生しているか否かを判定する。
本実施形態では、例えば、異常判定情報には、特定の異常発生と判定するための複数の条件(1)〜(9)が記述されている。異常判定部141は、異常判定情報に記述された複数の条件のうち、一つでも該当する場合に、特定の異常が発生したと判定する。なお、以下に示した条件は一例であり、特定の異常と判定するための判定基準はこの例に限定されない。
(1)発電室温度が第1閾値以上の状態が第1所定期間維持された場合
(2)再循環ブロワ50の内部温度が第2閾値以上の状態が第2所定期間維持された場合
(3)排燃料出口温度が第3閾値以上の状態が第3所定期間維持された場合
(4)排空気出口温度が第4閾値以上の状態が第4所定期間維持された場合
(5)空気利用率が第5閾値以上である状態が第5所定期間維持された場合
(6)外気温度が第6閾値以上の状態が第6所定期間維持された場合
(7)制御弁47の弁開度が第7閾値以上の状態が第7所定期間維持された場合
(8)制御弁47の弁開度が第8閾値以下の状態が第8所定期間維持された場合
(9)発電室温度が第9閾値以下の状態が第9所定期間維持された場合
本実施形態での、(1)〜(9)の条件に関する各閾値と、各所定期間につき、例として次に示す。
第1閾値は、例えば、定格負荷時の発電室温度の101%以上105%以下の温度範囲で設定されている。
第1所定期間は、例えば、60秒以上400秒以下の範囲で設定されている。
第2閾値は、例えば、定格負荷時の再循環ブロワ内部温度の101%以上120%以下の温度範囲で設定されている。
第2所定期間は、例えば、60秒以上400秒以下の範囲で設定されている。
第3閾値は、例えば、定格負荷時の排燃料出口温度の101%以上120以下の温度範囲で設定されている。
第3所定期間は、例えば、60秒以上400秒以下の範囲で設定されている。
第4閾値は、例えば、定格負荷時の排空気出口温度の101%以上120%以下の温度範囲で設定されている。
第4所定期間は、例えば、60秒以上400秒以下の範囲で設定されている。
第5閾値は、例えば、定格負荷時の空気利用率の101%以上120%以下の空気利用率範囲で設定されている。
第5所定期間は、例えば、60秒以上400秒以下の範囲で設定されている。
第6閾値は、例えば、40℃以上50℃以下の温度範囲で設定されている。
第6所定期間は、例えば、60秒以上400秒以下の範囲で設定されている。
第7閾値は、例えば、90%以上100%以下の弁開度範囲で設定されている。
第7所定期間は、例えば、30秒以上200秒以下の範囲で設定されている。
第8閾値は、例えば、1%以上10%以下の弁開度範囲で設定されている。
第8所定期間は、例えば、30秒以上200秒以下の範囲で設定されている。
第9閾値は、例えば、定格負荷時の発電室温度の80%以上90%以下の温度範囲で設定されている。
第9所定期間は、例えば、60秒以上200秒以下の範囲で設定されている。
出力制御部142は、異常判定部141によって特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した異常の要因に応じて、負荷を所定量上昇または低下させる。具体的には、上記条件のうち、(1)〜(8)の条件に関しては、発電室温度上昇が要因と考えられ、(9)の条件に関しては発電室温度低下が要因と考えられる。
例えば、(1)〜(4)の条件については、発電室温度が上昇することに起因して生じる現象であると考えられる。SOFC13の負荷を低下させることで、発電反応を低下させ、発電反応による発熱量を低下させることができる。これにより、発電室温度を低下させることができる。このように、負荷を低下させて発電室温度を低下させることで、(1)〜(4)に関する異常の解消が期待できる。
また、(5)、(6)の条件については、空気極13Bに供給される空気A1の供給量が相対的に低下することにより、発電室温度が上昇していると考えられる。すなわち、空気極13Bに供給される空気A1は冷却材として作用することから、空気A1の供給量が低下することにより発電室温度が上昇する。また、外気温度センサ94で計測される外気温度が上昇すると空気密度が低下して空気A1の供給量が低下することにより、発電室温度が上昇する。このような場合でも、負荷を低下させることで、発電に必要な酸化剤ガス(空気中の酸素)が減少するため発電室温度の冷却に寄与する空気量を実質的に増加させることができ、発電室温度を低下させることができる。このように、(5)、(6)の条件についても、負荷を低下させて発電室温度を低下させることで、異常の解消が期待できる。
ここで、空気利用率は、発電による酸素消費量を空気極への酸素供給量つまり空気極13Bに供給される空気A1に含まれる酸素の供給量で除算した値である。
発電による酸素消費量は、例えば、空気極13Bに供給される空気A1の流量及び酸素濃度を用いて算出される酸素流量と、排空気A2の流量及び酸素濃度を用いて算出される酸素流量との差分によって得ることができる。また、発電による酸素消費量の他の算出例として、例えば、燃料極13Aに供給される燃料流量及びガス組成と、排燃料ガスL3の流量及びガス組成とを用いることにより、反応した燃料成分を得、この量論反応量から算出する手法や、電流値、空気A1の流量及び酸素濃度、及び量論反応量を用いて算出する手法などが挙げられる。
また、空気極13Bへの酸素供給量は、例えば、空気極13Bに供給される空気A1の流量及び酸素濃度を用いて算出することができる。
また、(7)の条件については、SOFC13の燃料極13Aと空気極13Bの燃料空気差圧は、燃料極13A側が所定の圧力範囲で高くなるように制御弁47により制御するにあたり、配管閉塞等が要因の一つとして考えられる。SOFC13の負荷低下により発電反応が低下すれば、排燃料ガスライン43に排出される排燃料ガスの流量が低下する。これにより、配管閉塞等による圧力損失が緩和されることとなり、制御弁47の開度を減少させることができ、条件(7)に係る異常の解消が期待できる。
また、(8)の条件については、燃料極13Aと空気極13Bとの気密性が低下したことが要因の一つとして考えられる。このため、(8)の条件に関しては、セルやセルの支持部分の一部が破損に至った場合は差圧が回復しない可能性もあるが、例えばシール部材237a,237bのシール位置ずれなどによる場合は、負荷を低下させて発電室の状態を変化させることにより、異常の解消が見込める可能性がある。
条件(9)については、例えば、燃料極13Aに供給する改質用水である純水を供給したことの影響によって燃料入口温度が低下したこと等が要因となって、発電室温度が低下していると考えられる。したがって、上述の(1)〜(8)の場合とは逆に、負荷を上昇させることにより、発電反応による発熱量を増加させ、発電室温度を上昇させることで、異常の解消が期待できる。
出力制御部142は、上述のように、(1)〜(7)のいずれかの条件に該当する場合には、負荷を段階的に所定量ずつ低下させる。例えば、目標負荷を所定量低下させ、その状態を所定期間保持した後に、更に、目標負荷を所定量低下させるという処理を目標負荷が所定の保護下限値に到達するまで繰り返し行う。また、負荷を保護下限値まで低下させる過程において、後述する異常解消判定部143によって異常が解消されたと判定された場合には、出力制御部142は異常が解消されたと判定されたときの負荷を維持する。
ここで、目標負荷を変化させる場合の上記「所定量」とは、異常解消に寄与する程度の発電室温度の低下が望まれる変化幅以上に設定されている。本実施形態において、「所定量」は、例えば、定格負荷に対して5%以上15%以下の範囲で設定されている。
また、保持する「所定期間」とは、後述するように、発電システム10の温度や圧力などの追従応答への時間遅れに対して、異常解消を確認できる時間以上に設定されるとともに、変更後の目標負荷を保持することで発電システム10が故障に至らない時間以下の範囲に設定されている。
なお、「所定量」は負荷変化の各段階で必ずしも同じ値でなくてもよい。各段階が進み目標負荷に応じた発電システム10の応答性を考慮して、所定量を少しずつ増加させてもよいし、少しずつ減少させてもよい。
また、「保護下限値」は、例えば、燃料極13Aに改質用水である純水を供給する必要のない負荷以上に設定されていてもよい。例えば、負荷が所定値以上の負荷領域では、発電反応で発生する水蒸気量が多いため、SOFC13の排燃料ガスに含まれる水蒸気量が多くなる。そのため、燃料ガス再循環ライン49を通じて燃料極13Aに再投入される排燃料ガスに含まれる水蒸気によって、改質に必要な改質用水を賄うことができる。しかしながら、SOFC13の負荷が低下すると、発電反応によって生成される水蒸気の量が低下するため、燃料ガス再循環ライン49を循環する水蒸気量が減少し、改質に必要な水蒸気量を賄いきれなくなる。そのため、負荷が所定値以下の場合には、外部から純水供給ライン44を経由して純水を供給し、水蒸気の不足分を補充する。ここで、純水供給ライン44から純水を供給するときの負荷は、例えば、定格負荷の40%以上50%以下の範囲で所定の値に設定されている。ここで、純水の供給が必要となる負荷では、純水の投入によって発電システム10の各系統における圧力変動や流量変動等が生じるおそれがあるため、本実施形態では、保護下限値を純水の供給が不要な負荷以上に設定している。すなわち、本実施形態では、「保護下限値」を、例えば、定格負荷の40%以上50%以下の範囲の所定の値以上の負荷に設定し、発電システム10の各系統が安定した状態で異常が解消されたか否かを判定できるようにしている。
また、異常判定部141によって、上記(8)の条件に該当すると判定された場合には、出力制御部142は、負荷を段階的に所定量ずつ低下させるのではなく、保護下限値まで一度に低下させる。すなわち、(8)の条件に該当する場合には、上述したように、燃料極13Aと空気極13Bとの気密性が確保されていない状態の場合があると考えられるため、負荷を段階的に低下させても、負荷を一度に負荷下限値まで低下させても、異常が解消されるか否かの結果は変わらない可能性が高い。したがって、(8)の条件に該当する場合には、条件(1)〜(7)の場合と異なり、例えば、負荷を保護下限値まで所定の変化率で連続的に低下させ、目標負荷が保護下限値に到達してから所定期間経過したときに、異常解消判定部143によって異常解消の判定を行う。
また、異常判定部141によって、上記(9)の条件に該当すると判定された場合には、出力制御部142は、負荷を保護上限値まで段階的に所定量ずつ上昇させる。ここでの「段階的」、「所定量」は上述した通りである。
ここで、「保護上限値」とは、燃料極13Aに供給する改質用水である純水の供給が不要となり、燃料入口温度の低下が生じなくなり、発電室温度が低下しない負荷以上に設定されるとともに、定格負荷以下の範囲で設定されている。本実施形態では、定格負荷の40%から50%の間の値以上で定格負荷の100%以下の範囲に設定される。
異常解消判定部143は、出力制御部142によって負荷が所定量変化させられた場合に、変化後の負荷が所定期間保持された後に、異常が解消されているか否かを判定する。「所定期間」とは、発電システム10の温度や圧力などの追従応答への時間遅れに対して、異常解消を確認できる時間以上に設定されるとともに、変更後の負荷を保持することで発電システム10が故障に至らない時間以下の範囲に設定されている。
この「所定期間」は、例えば、発電室温度の場合は、目標負荷を低下または上昇させてから発電室温度がその負荷変化に追従して変化し安定するまでに要する時間以上に設定されている。発電室温度は熱容量が多いため、負荷の変化に対する応答遅れがある。この応答遅れを加味して上記所定期間が設定されていて、本実施形態では例えば60秒以上400秒以下の範囲で設定されている。
次に、本実施形態に係る発電システムの保護制御方法について図6を参照して説明する。
まず、上記計測データが入力され(ステップSA1)、これら計測データに基づいて特定の異常が発生したか否かを判定する(ステップSA2)。この結果、特定の異常が発生していないと判定した場合には(ステップSA2で「NO」)、監視を継続する。一方、ステップSA2において、特定の異常が発生していると判定した場合には(ステップSA2において「YES」)、その異常の要因に応じた負荷低下または負荷上昇を行う(ステップSA3)。具体的には、上記条件(1)〜(8)に該当した場合には、発電室温度の上昇が要因として考えられるので、目標負荷を所定量低下させ、条件(9)に該当した場合には、発電室温度の低下が要因として考えられるので、目標負荷を所定量上昇させる。また、条件(8)に該当した場合には、保護下限値まで目標負荷を低下させる。
続いて、目標負荷を低下または上昇させてから、その状態が所定期間保持されると(ステップSA4)、異常が解消されたか否かを判定する(ステップSA5)。ここで、ステップSA4における「所定期間」は、発生した異常の要因に応じて設定されており、上記条件(1)〜(9)に応じてそれぞれ異ならせてもよい。
ステップSA5において、異常が解消されていなければ(ステップSA5において「NO」)、負荷が保護下限値または保護上限値であるか否かを判定する(ステップSA6)。この結果、負荷が保護下限値または保護上限値でない場合には(ステップSA6において「NO」)、ステップSA3に戻り、以降の処理を繰り返し行う。一方、ステップSA6において、負荷が保護下限値または保護上限値である場合には、異常の解消が困難として判断して、SOFC13の運転を停止させる措置へと進める(ステップSA7)。
他方、ステップSA5において、異常が解消されていると判定した場合には、現在の負荷を維持する運転を行う(ステップSA8)。続いて、負荷が維持されている状態で、今回発生した異常が再発しないか、換言すると、今回発生した特定の異常の根本的な原因が排除されたか否かを判定する(ステップSA9)。例えば、今回発生した異常がオペレータにより排除された場合等(例えば、温度センサの故障が原因で計測値が異常値を示していた場合に、この温度センサの計測値を設計値に置き換えるなどの処理が行われた場合等)には、今回発生した異常が再発しないと判定し(ステップSA9において「YES」)、SOFCの負荷を、SOFC13に必要とされる発電負荷である要求負荷に応じて上昇または下降させ、通常運転に移行する(ステップSA10)。
一方、ステップSA9において、今回発生した特定の異常が再発しないと判定されなかった場合には(ステップSA9において「NO」)、今回発生した特定の異常が再発しないと判定されるまで、現在の負荷が維持される。
図7は、上記条件(1)〜(9)のうち、条件(1)〜(7)のいずれかに該当する異常が発生した場合の目標負荷の時間的推移の一例について示した図である。
例えば、図7の時刻t1において、条件(1)〜(7)のいずれかを満たすことにより、特定の異常が発生したと判定すると、目標負荷の所定量(例えば、定格負荷に対して10%とした場合を示す)を所定の負荷変化率(例えば定格負荷の数%/分)で低下させる。所定の負荷変化率は、発電システム10の負荷変化制御への応答性を考慮して適宜に設定されている。そして、時刻t2において、目標負荷が所定量低下すると、この状態を所定期間保持する。そして、所定期間の保持が経過した時刻t3において、異常が解消されているか否かを判定する。この結果、異常が解消されていなければ、更に目標負荷を所定量低下させる。そして、時刻t4において、目標負荷が所定量低下すると、この状態を所定期間保持する。そして、所定期間の保持が経過した時刻t5において、異常が解消されているか否かを判定する。この結果、異常が解消されていた場合には、現在の目標負荷を維持する。そして、時刻t6において、例えば、オペレータにより、今回の異常原因が排除された旨の入力がされると、出力制御部142は、今回発生した異常が再発しないと判定し、目標負荷を要求負荷に応じた値(例えば、定格負荷)に設定し、定格負荷に向けて所定の負荷変化率で目標負荷を上昇させる。そして、時刻t7において目標負荷が要求負荷に到達すると、この要求負荷が変化するまで、その状態を維持する。
なお、上記例において、所定期間(例えば、時刻t2〜t3の期間、時刻t4〜t5の期間)は、必ずしも毎回同じ期間でなくてもよい。例えば、目標負荷に応じて所定期間を変化させてもよい。
また、同じ目標負荷において、異常解消判定部143による異常解消の判定を所定期間中に複数回に渡って実施することとしてもよい。これにより、異常が解消されたか否かの判定結果の信頼性を向上させることができる。
以上、説明してきたように、本実施形態に係る燃料電池の制御装置、燃料電池の保護制御方法、及び発電システムによれば、負荷を増減させることにより解消する可能性のある特定の異常が発生した場合に、発生した特定の異常の要因に応じて、負荷を上昇または低下させる。そして、この負荷の増減によって異常が解消された場合には、異常が解消されたときの負荷で運転を継続して行う。このため、異常の要因によらずに異常発生の場合に運転を停止させていた従来の発電システムに比べて、運転停止をする時間を短縮して、発電電力量を増加させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、負荷を低下または上昇させる場合において、特定の異常の要因に応じた負荷低下または負荷上昇の制御を行う。例えば、特定の異常が解消されるまで、または、目標負荷が所定の保護上限値または所定の保護下限値に達するまで、目標負荷を段階的に上昇または低下させる。このように、異常が解消されたか否かを判断しながら、負荷を段階的に徐々に低下または上昇させることで、異常が解消される負荷付近で運転を維持することができ、目標負荷を保護下限値まで一度に低下させて異常が解消されたか否かを判定する場合に比べて、発電出力を低減する時間を短縮して、出力可能な電力を増加させることが可能となる。
また、発生している異常の要因によっては、異常が解消されるか否かを確認しながら徐々に目標負荷を下げても結果が変わらないものも存在する。このような場合には、目標負荷を保護下限値まで一度に下げることにより、負荷を所定の保護下限値または保護上限値まで段階的に変化させる過程を省略することで時間的な無駄を省略することができ、負荷変化によって異常が解消可能か否かをより短い時間で確認することが可能となる。これにより、発電出力低減や運転停止をする時間を短縮して、発電電力量を増加させることができる。
更に、本実施形態によれば、特定の異常を引き起こしている原因が排除されることにより、特定の異常が排除されたときの負荷が維持されている状態において、その特定の異常が再発しないと判定された場合には、現在維持している負荷から所定の負荷(例えば、定格負荷)まで負荷を回復させるので、例えば、負荷がゼロとなり発電室温度が低下した状態から所定の負荷まで回復させる場合に比べて、負荷回復に要する時間を短縮することができ、発電出力をゼロもしくは低減する時間を短縮して、発電電力量を増加させることが可能となる。
〔第2実施形態〕
次に、上記構成を備える発電システム10の制御装置60によって実行される保護制御の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、負荷を増減させることにより解消する可能性のある特定の異常が発生した場合に、発生した特定の異常の要因に応じて、負荷を上昇または低下させ、この負荷の増減によって異常が解消された場合には、異常が解消されたときの負荷で運転を継続して行うが、異常原因を特定する部分(第1実施形態でのステップSA9以降)が主に異なる。なお、上述した第1実施形態に係る制御装置60と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る制御装置60’の機能ブロック図である。図8に示すように、制御装置60’は、上述した異常判定部141、出力制御部142、及び異常解消判定部143に加えて、異常原因特定部144を備えている。異常原因特定部144は、異常判定部141によって特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した異常を引き起こしている原因を特定する。
異常原因特定部144は、図9に示すように、記憶部151、抽出部152、原因特定部153、原因排除部154、表示部155を備えている。
記憶部151には、特定の異常に関する情報と該特定の異常の原因とを関連付けた原因特定情報が格納されている。特定の異常に関する情報とは、例えば、異常判定部141によって用いられる異常判定情報の条件(1)〜(9)や、異常が発生した前後所定期間における計測データ等が一例として挙げられる。
特定の異常の原因としては、例えば、センサ故障、断線、配管損傷、再循環ブロワ50や制御弁47等の補機故障等が挙げられる。
この原因特定情報は、例えば、過去の経験に基づいて作成された情報であり、例えば、過去において、特定の異常が発生し、更に、その特定の異常を引き起こした原因を解明したときに、その特定の異常に関する情報と解明した原因とを関連付けることで作成される。
例えば、特定の異常が発生し、かつ、その異常を引き起こしている原因が解明される度に、原因特定情報を作成して記憶部に蓄積して、データベースとすることで、同じような異常が発生した場合には、過去の履歴を参照することにより、容易に原因を特定することが可能となる。
抽出部152は、異常判定部141によって特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した特定の異常に該当する原因特定情報を記憶部151から抽出する。
原因特定部153は、抽出部152によって抽出された原因特定情報を用いて、特定の異常を引き起こした原因を特定する。
原因排除部154は、原因特定部153によって特定された原因が排除可能な場合に、その原因を排除する。例えば、センサ故障や断線に関する原因の場合には、ソフトウェア的に処理を行うことで原因の排除が可能であり、例えば、故障または断線しているセンサによって計測された計測データを設計値やシミュレーションによる値などに置き換える処理を行うことで、原因を排除することができる。
一方、再循環ブロワの故障や制御弁の故障等のように、ソフトウェア的にその故障要因を排除できない原因の場合には、原因排除部154による原因排除は行われない。
表示部155は、原因特定部153によって特定された原因を表示することで、オペレータに対して今回の異常の原因を通知する。
次に、本実施形態に係る発電システムの保護制御、主に、原因特定について図10を参照して説明する。以下に説明する原因特定は、例えば、図6に示したフローチャートのステップSA8において、異常が解消したときの負荷を維持する制御が行われているときに実行される処理である。
まず、発生した異常に関連する情報をキーとして記憶部151内の原因特定情報を検索し、該当する原因特定情報を記憶部151から抽出する(ステップSB1)。なお、該当する原因特定情報が記憶部151にない場合には、その旨を表示部155に表示させてオペレータに通知する等の対応を取ることが可能である。
次に、抽出した原因特定情報に記述されている原因を参照することにより、今回の異常の原因を特定する(ステップSB2)。
次に、特定した異常が自動排除可能か否かを判定し(ステップSB3)、ソフトウェア的な処理によって原因を排除できる場合には、自動排除可能と判断して(ステップSB3において「YES」)、異常を排除する処理を実行する(ステップSB4)。例えば、センサ故障、断線等に関連するものであれば、故障したセンサによって計測された計測値を設計値やシミュレーションによる値などに置き換える処理や、故障したセンサの計測値を無効とする処理等を行うことにより、原因を排除する。
このようにして、異常が排除された場合には、負荷を要求負荷に応じて上昇または下降させることにより、負荷を回復させる(ステップSB5)。
一方、ステップSB3において、特定した異常が自動排除可能でないと判定した場合(ステップSB3において「NO」)、例えば、再循環ブロワ50や各種制御弁の機械的な故障である場合には、自動排除は不可能であると判定される。この場合は、異常の原因を表示部155に表示し、オペレータに通知する(ステップSB6)。
オペレータは表示部155に表示された異常の原因を確認し、手動で原因を排除できるものであれば、オペレータが手動で対応措置を行うことにより、原因を排除する(ステップSB7)。原因が排除された場合には、上記ステップSB5と同様に、負荷を回復させる。また、表示された異常の原因が手動でも排除できないような場合には、その異常の重要度に応じて、運転を現在の負荷で維持するのか、あるいは、運転を停止するのかがオペレータによって決定されることとなる。なお、オペレータが決定せずに時間が経過した場合でも、発電システム10から取り込まれた別の計測データにより異常の有無を感知しているので、別の事象の異常が発生した場合には発電システム10が故障に至る前に運転停止の措置が行われて、安全に停止する。
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池の制御装置及び燃料電池の保護制御方法並びに発電システムによれば、特定の異常に関する情報と特定の異常の原因とを関連付けた原因特定情報を予め記憶部151に蓄積しておき、特定の異常が発生した場合には、その特定の異常に関する情報をキーとして記憶部151を検索し、該当する異常特定情報を抽出し、抽出した原因特定情報を用いて異常の原因を特定するので、異常の原因解明と措置までに要する時間を短縮することができるとともに、原因解明に費やす労力を軽減することができる。
また、異常の原因がソフトウェア的な措置を講じることにより排除できる原因であった場合には、原因排除部154によって原因が自動的に排除される。これにより、異常が検知された場合でも、その異常の原因を自動的に排除して、自動的に負荷を復旧させることが可能となり、発電出力を低減する時間を短縮して、発電電力量を増加させることが可能となる。
また、異常の原因が特定された場合には、その原因が表示部155に表示されるので、オペレータも異常の原因を確認することができる。これにより、オペレータ自らが異常の解明を行う必要がなく、発生した異常に対して適切な措置を講じることが可能となり、発電出力低減や運転停止をする時間を短縮して、発電電力量を増加させることが可能となる。
10 :発電システム
11 :MGT(マイクロガスタービン)
12 :発電機
13 :SOFC(燃料電池)
13A :燃料極
13B :空気極
60、60’ :制御装置
105 :燃料電池セル
111 :固体電解質
141 :異常判定部
142 :出力制御部
143 :異常解消判定部
144 :異常原因特定部
151 :記憶部
152 :抽出部
153 :原因特定部
154 :原因排除部
155 :表示部
215 :発電室

Claims (14)

  1. 燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池の制御装置であって、
    前記制御装置に取り込まれた前記燃料電池に係る複数の計測データに基づいて、前記燃料電池の負荷を増減させることにより解消する可能性のある特定の異常が発生したか否かを判定する異常判定部と、
    前記異常判定部によって、前記特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した前記特定の異常の要因に応じて、前記燃料電池の負荷を低下または上昇させる出力制御部と、
    前記燃料電池の負荷を低下または上昇させたことにより、前記特定の異常が解消されたか否かを判定する異常解消判定部と
    を具備する燃料電池の制御装置。
  2. 前記特定の異常は、前記発電室の温度の上昇または低下に関する異常である請求項1に記載の燃料電池の制御装置。
  3. 前記出力制御部は、前記異常解消判定部によって前記特定の異常が解消されたと判定された場合に、前記特定の異常が解消されたときの前記燃料電池の負荷を維持する制御を行う請求項1または請求項2に記載の燃料電池の制御装置。
  4. 前記異常解消判定部は、前記出力制御部によって前記燃料電池の負荷が低下または上昇させられ、低下または上昇後の前記燃料電池の負荷が予め設定された所定期間保持された後に、前記特定の異常が解消されたか否かを判定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池の制御装置。
  5. 前記出力制御部は、目標負荷を所定の保護下限値または所定の保護上限値を限度として、前記異常解消判定部によって前記特定の異常が解消されたと判定されるまで、前記目標負荷を所定量ずつ段階的に低下または上昇させる請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料電池の制御装置。
  6. 前記出力制御部は、目標負荷を所定の保護下限値または所定の保護上限値まで低下または上昇させ、
    前記異常解消判定部は、前記目標負荷が前記保護下限値または前記保護上限値に到達し前記所定期間を保持した後に、前記特定の異常が解消されたか否かを判定する請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料電池の制御装置。
  7. 前記保護下限値は、改質用水の供給が必要とされる前記燃料電池の負荷よりも大きな値に設定されている請求項5または請求項6に記載の燃料電池の制御装置。
  8. 前記出力制御部は、前記特定の異常が解消され、かつ、前記特定の異常が再発しないと判定した場合に、前記燃料電池の負荷を要求負荷まで回復させる制御を行う請求項1から請求項7のいずれかに記載の燃料電池の制御装置。
  9. 前記特定の異常に関する情報と該特定の異常の原因とを関連付けた原因特定情報を記憶する記憶部と、
    前記異常判定部によって前記特定の異常が発生したと判定された場合に、発生した前記特定の異常に該当する前記原因特定情報を前記記憶部から抽出する抽出部と、
    前記抽出部によって抽出された前記原因特定情報を用いて、前記特定の異常を引き起こした原因を特定する原因特定部と
    を具備する請求項1から請求項8のいずれかに記載の燃料電池の制御装置。
  10. 前記原因特定部によって特定された前記原因を表示する表示部を備える請求項9に記載の燃料電池の制御装置。
  11. 前記原因特定部によって特定された前記原因を排除する原因排除部を備える請求項9または請求項10に記載の燃料電池の制御装置。
  12. マイクロガスタービンと、
    燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池と、
    請求項1から請求項11のいずれかに記載の燃料電池の制御装置と
    を具備する発電システム。
  13. 燃料極と、固体電解質と、空気極とを備える複数の燃料電池セルが配置された発電室を備える燃料電池の保護制御方法であって、
    前記燃料電池に係る複数の計測データに基づいて、前記燃料電池の負荷を増減させることにより解消する可能性のある特定の異常が発生したか否かを判定する工程と、
    前記特定の異常が発生したと判定した場合に、発生した前記特定の異常の要因に応じて、前記燃料電池の負荷を上昇または低下させる工程と、
    前記燃料電池の負荷を上昇または低下させたことにより、前記特定の異常が解消されたか否かを判定する工程と
    を含む燃料電池の保護制御方法。
  14. 前記特定の異常が解消されたと判定された場合に、前記特定の異常が解消されたときの前記燃料電池の負荷を維持する工程をさらに備える請求項13に記載の燃料電池の保護制御方法。
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