JP2015082408A - 固体酸化物形燃料電池システムおよび固体酸化物形燃料電池システムの停止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料極の酸化による単セルの破損を防ぐことができる固体酸化物形燃料電池システムおよび固体酸化物形燃料電池の停止方法を提供する。【解決手段】固体酸化物形燃料電池システムは、セルスタック11を有するモジュール1と、このモジュール1に原燃料を供給する燃料供給装置2と、モジュール1に酸化剤ガスを供給する空気供給装置3と、モジュール1に原燃料の改質に用いる水を供給する純水供給タンク4と、モジュール1にセルスタック11の冷却用の水を供給する冷却水供給タンク5と、燃料ガスのガス漏れを検出するガス漏れ検出装置6と、これら各構成要素の動作を制御する制御装置7とを備えている。ここで、冷却水供給タンク5は、内部に水を貯留する貯留槽である。この冷却水供給タンク5の排出口には、制御弁51が設けられており、この制御弁51には、冷却配管L10の一端が接続されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池を備えた固体酸化物形燃料電池システムに関するものである。
近年、規模の大小にかかわらず高い効率が得られることから、次世代のコジェネレーションシステムに用いられる発電手段として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、酸素などの酸化剤ガスと水素などの燃料ガスとの化学反応を利用した電池であり、空気極と呼ばれるカソードと、燃料極と呼ばれるアノードとで電解質の層を挟んだ単セルを、複数直列に接続した構成を備えている。一つの単セルで得られる電気の電圧は、約0.7[V]程度であるが、複数の単セルを直列接続することで、所望とする電圧の供給が可能である。このような燃料電池には、高分子材料を電解質層に用いる固体高分子形や、セラミックスなどの酸化物を電解質層に用いる固体酸化物形がある。
固体高分子形の燃料電池は、作動温度が高々90[℃]程度であり、自動車用や家庭用コジェネレーションシステムに適用可能とされている。これに対し、固体酸化物形の燃料電池(以下、「固体酸化物形燃料電池」と言う。)は、作動温度が600[℃]以上と高温であるが、発電効率が45%以上と高いという特徴を備えている。このため、複数の単セルを組み合わせたスタック構造の固体酸化物形燃料電池は、タービン発電などを組み合わせてより高い効率のコジェネレーションシステムが構築できるという利点を有し、発電所としての用途などが期待されている。
このような固体酸化物形燃料電池では、燃料極への燃料供給が停止すると、単セルを収容するセパレータのシールが不十分な部分や燃料を供給する配管内などに空気が混入して、燃料極が酸化雰囲気に晒されることがある。すると、燃料極中のNiが酸化され、燃料極の体積が膨張してしまう。燃料極の体積膨張は高温ほど大きくなるので、600〜1000℃という高温の固体酸化物形燃料電池の運転温度付近で燃料極が酸化雰囲気に晒されると燃料極の体積膨張の応力により電解質が破損し、これにより単セル自体が破損することがあった。
そこで、燃料ガスを貯留するタンクを設け、自然災害や人為的な理由などにより燃料ガスの供給が停止した場合であっても、そのタンクから燃料ガスを供給することにより燃料極が酸化することを防ぐことが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、自然災害などにより電力の供給が停止すると、供給する燃料ガスを切り替える弁を制御したり単セルから排出されるガスを処理したりすることが困難となるので、単セルへの燃料ガスの供給や単セルの冷却ができなくなり、結果として、燃料極が酸化して膨張し単セルが破損してしまう虞があった。
そこで、燃料極の酸化による単セルの破損を防ぐことができる固体酸化物形燃料電池システムおよび固体酸化物形燃料電池システムの停止方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムは、燃料極、この燃料極上に配設された固体酸化物からなる電解質およびこの電解質上に配設された空気極からなる複数の単セルを有するセルスタックと、このセルスタックよりも高い位置に配設され、水を貯留する貯留槽と、一端が貯留槽に接続され、少なくとも一部がセルスタックの外周に配置された配管と、貯留槽の排出口と配管の一端との間に設けられ、異常を検出すると閉状態から開状態になる制御弁とを備えることを特徴とするものである。
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、セルスタックの温度を検出する温度センサと、この温度センサにより検出したセルスタックの温度が400℃以上のときに異常を検出すると、制御弁を閉状態から開状態にさせる制御装置とをさらに備えるようにしてもよい。
また、上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、貯留槽の容量はセルスタックの重量に基づいて設定されるようにしてもよい。
また、本発明に係る固体酸化物形燃料電池システムの停止方法は、燃料極、この燃料極上に配設された固体酸化物からなる電解質およびこの電解質上に配設された空気極からなる単セルを有するセルスタックを備え、外部から燃料ガスが燃料極に供給されるとともに、酸化剤ガスが空気極に供給されることにより電気化学反応によって発電する固体酸化物形燃料電池システムの停止方法であって、異常を検出すると、セルスタックよりも高い位置に配設された貯留槽に貯留された水を、一端が貯留槽に接続され少なくとも一部がセルスタックの外周に配置された冷却配管に供給する供給ステップを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、異常を検出すると、貯留槽の排出口と配管の一端との間に設けられた制御弁が閉状態から開状態になり、セルスタックよりも高い位置に配設された貯留槽に貯留された水がセルスタックの外周に配置された配管に供給され、この配管に供給された水とセルスタックとの間で熱交換が行われてセルスタックが冷却されるので、燃料極も冷却されることとなり、結果として、燃料極の酸化による単セルの破損を防ぐことができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<固体酸化物形燃料電池システムの構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る固体酸化物形燃料電池システムは、セルスタック11を有するモジュール1と、このモジュール1に原燃料を供給する燃料供給装置2と、モジュール1に酸化剤ガスを供給する空気供給装置3と、モジュール1に原燃料の改質に用いる水を供給する純水供給タンク4と、モジュール1にセルスタック11の冷却用の水を供給する冷却水供給タンク5と、燃料ガスのガス漏れを検出するガス漏れ検出装置6と、これら各構成要素の動作を制御する制御装置7とを備えている。
図1に示すように、本実施の形態に係る固体酸化物形燃料電池システムは、セルスタック11を有するモジュール1と、このモジュール1に原燃料を供給する燃料供給装置2と、モジュール1に酸化剤ガスを供給する空気供給装置3と、モジュール1に原燃料の改質に用いる水を供給する純水供給タンク4と、モジュール1にセルスタック11の冷却用の水を供給する冷却水供給タンク5と、燃料ガスのガス漏れを検出するガス漏れ検出装置6と、これら各構成要素の動作を制御する制御装置7とを備えている。
≪モジュールの構成≫
モジュール1は、セルスタック11と、蒸発器12と、改質器13と、燃焼器14と、熱交換器15と、モジュール1全体を覆う断熱材(図示せず)とを備えている。
モジュール1は、セルスタック11と、蒸発器12と、改質器13と、燃焼器14と、熱交換器15と、モジュール1全体を覆う断熱材(図示せず)とを備えている。
セルスタック11は、燃料極、電解質および空気極から構成される単セル110と、この単セル110を収容するとともに外部から供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスを燃料極または空気極に供給するインターコネクタとを一組としたセルを複数組重ねて直列に接続した構成を有する。このようなセルスタック11の最上部および最下部のインターコネクタには、セルスタック11により発生した電力を取り出して調整する出力調整器8が接続されている。この出力調整器8には、調整した電力を供給する負荷9が接続されている。また、セルスタック11には、セルスタック11の温度を測定する温度センサ10が接続されている。この温度センサ10による計測結果は、制御装置7に送信される。
ここで、単セル110は、図2に示すように、平板状の燃料極111と、この燃料極の上面に形成された電解質112と、この電解質112の上面に形成された空気極113とから構成された燃料極支持形の構成を有する。本実施の形態において、燃料極111は、Niとジルコニアのサーメットから構成されている。また、電解質112は、Y2O3を添加したZrO2、Sc2O3を添加したZrO2、Smを添加したCeO2、Gdを添加したCeO2、Sc2O3とAl2O3を添加したZrO2、ペロブスカイト系酸化物などから構成されている。また、空気極113は、LaSrMn酸化物、LaSrCoFe酸化物、LaNiFe酸化物、ペロブスカイト系酸化物、各種貴金属、貴金属とセラミックスとのサーメットなどから構成されている。なお、図1においては、理解を容易にするためにセルスタック11を1つの単セルで表している。
蒸発器12は、純水供給タンク4から純水配管L1を介して供給される純水を気化させる反応装置である。生成した水蒸気は、蒸気配管L2を介して改質器13に供給される。
改質器13は、燃料配管L3を介して燃料供給装置2から供給された原燃料に対して蒸発器12から供給される水蒸気を用いた水蒸気改質を行うことにより、水素リッチな燃料ガスを生成する反応装置である。この改質器13には、隣接する燃焼器14で生成された熱が伝導され、この熱が燃料ガスの生成に用いられる。また、改質器13により生成された燃料ガスは、燃料ガス配管L4を介してセルスタック11の燃料極111に供給される。
燃焼器14は、燃料排気ガス配管L5を介してセルスタック11の燃料極111から排出される排気ガス(以下、「燃料排気ガス」と言う。)と、酸化剤排気ガス配管L6を介してセルスタック11の空気極113から排出される排気ガス(以下、「酸化剤排気ガス」と言う。)との混合ガスを燃焼させて高温の燃焼ガスを生成するバーナ燃焼器である。上述したように、燃焼反応で生成された熱は、改質器13に伝導されて燃料ガスの改質反応に使用される。また、燃焼反応で生成された高温の燃焼ガスは、燃焼ガス配管L7を介して熱交換器15に供給され、空気供給装置3から供給される空気との間の熱交換に使用される。
熱交換器15は、第1の空気配管L8を介して空気供給装置3から供給された空気を加熱するとともに、この加熱した空気を第2の空気配管L9を介してセルスタック11の空気極113に供給する熱交換装置である。この熱交換器15は、燃焼ガス配管L7を介して燃焼器14による燃焼反応で生成された燃焼ガスが供給され、この燃焼ガスと空気供給装置3から供給された空気との間で熱交換を行うことによりその空気を加熱する。なお、熱交換器15で熱交換が行われた燃焼ガスは、モジュール1外部に排出される。
≪燃料供給装置の構成≫
燃料供給装置2は、公知の送風装置等からなり、脱硫器21を介して外部から供給される都市ガスやプロパンガスなどの原燃料を、燃料配管L3を介して改質器13に供給する。
ここで、脱硫器21は、都市ガスやプロパンガスといった炭化水素ガスに含まれる硫黄分を除去する装置である。これにより、セルスタック11が硫黄によって劣化することを防ぐことができる。
また、燃料配管L3には、脱硫器21よりも上流側に設けられた燃料バルブ22と、原燃料の流量を安定させる燃料バッファタンク23と、燃料配管L3を通過する原燃料の量を制御する燃料バルブ24と、燃料配管L3内を流れる原燃料の流量を計測する流量計25と、燃料配管L3内の圧力を計測する圧力計26とが設けられている。流量計25および圧力計26による検出結果は、制御装置7に送信される。
燃料供給装置2は、公知の送風装置等からなり、脱硫器21を介して外部から供給される都市ガスやプロパンガスなどの原燃料を、燃料配管L3を介して改質器13に供給する。
ここで、脱硫器21は、都市ガスやプロパンガスといった炭化水素ガスに含まれる硫黄分を除去する装置である。これにより、セルスタック11が硫黄によって劣化することを防ぐことができる。
また、燃料配管L3には、脱硫器21よりも上流側に設けられた燃料バルブ22と、原燃料の流量を安定させる燃料バッファタンク23と、燃料配管L3を通過する原燃料の量を制御する燃料バルブ24と、燃料配管L3内を流れる原燃料の流量を計測する流量計25と、燃料配管L3内の圧力を計測する圧力計26とが設けられている。流量計25および圧力計26による検出結果は、制御装置7に送信される。
≪空気供給装置の構成≫
空気供給装置3は、公知の送風装置等からなり、酸化剤として空気を第1の空気配管L8を介して熱交換器15に供給する。第1の空気配管L8には、空気の流量を安定させる空気バッファタンク31と、第1の空気配管L8内を流れる空気の流量を計測する流量計32と、第1の空気配管L8内の圧力を計測する圧力計33とが設けられている。流量計32および圧力計33による検出結果は、制御装置7に送信される。
空気供給装置3は、公知の送風装置等からなり、酸化剤として空気を第1の空気配管L8を介して熱交換器15に供給する。第1の空気配管L8には、空気の流量を安定させる空気バッファタンク31と、第1の空気配管L8内を流れる空気の流量を計測する流量計32と、第1の空気配管L8内の圧力を計測する圧力計33とが設けられている。流量計32および圧力計33による検出結果は、制御装置7に送信される。
≪純水供給タンク≫
純水供給タンク4は、内部に純水を貯留する貯留槽である。この純水は、純水配管L1を介して蒸発器12に供給される。純水配管L1には、純水を圧送するためのポンプ41が設けられている。このポンプ41は、制御装置7の指示に基づいて駆動する。
純水供給タンク4は、内部に純水を貯留する貯留槽である。この純水は、純水配管L1を介して蒸発器12に供給される。純水配管L1には、純水を圧送するためのポンプ41が設けられている。このポンプ41は、制御装置7の指示に基づいて駆動する。
≪冷却水供給タンク≫
冷却水供給タンク5は、内部に水を貯留する貯留槽である。この冷却水供給タンク5の排出口には、制御弁51が設けられており、この制御弁51には、冷却配管L10の一端が接続されている。
冷却水供給タンク5は、内部に水を貯留する貯留槽である。この冷却水供給タンク5の排出口には、制御弁51が設けられており、この制御弁51には、冷却配管L10の一端が接続されている。
制御弁51は、上述したように冷却水タンク5の排出口と冷却配管L10との間に設けられている。本実施の形態において、制御弁51は、電磁弁から構成されており、通常の運転時、すなわち、制御信号が入力されている時には閉状態となる。一方、自然災害時や制御装置7の指示によって制御信号の入力が停止すると、制御弁51は開状態となる。
冷却配管L10は、一端が制御弁51を介して冷却水供給タンク5に接続され、少なくとも一部がセルスタック11の外周に配置されている。具体的には、冷却配管L10の一部は、セルスタック11の上部から下部に向かって、セルスタック11の積層方向を軸線としてセルスタック11の外周に螺旋状に取り付けられている。冷却配管L10の他端は、モジュール1外部に導出されている。
ここで、冷却水供給タンク5は、セルスタック11よりも鉛直方向に高い位置に配置されている。したがって、制御弁51が開状態となって冷却水供給タンク5から冷却配管L10に供給された水は、位置エネルギーによって、セルスタック11の上部から下部に向かって、その外周を周回しながら流れてゆくこととなる。このように冷却配管L10を水が流れることにより、セルスタック11が高温の時には、その水とセルスタック11との間で熱交換が行われて、セルスタック11が冷却されることとなる。
また、冷却水供給タンク5の容量は、セルスタック11の重量に応じて設定され、冷却水供給タンク5にはセルスタック11を十分に冷却できる程度の水が貯留される。例えば、20kgのセルスタック11を700℃から200℃まで冷却する場合、冷却水供給タンク5には7kg以上の水が貯留されるように設定される。また、冷却配管L10の長さや径についても、内部を流れる水とセルスタック11との間で十分に熱交換が行われるように設定される。
また、冷却水供給タンク5の容量は、セルスタック11の重量に応じて設定され、冷却水供給タンク5にはセルスタック11を十分に冷却できる程度の水が貯留される。例えば、20kgのセルスタック11を700℃から200℃まで冷却する場合、冷却水供給タンク5には7kg以上の水が貯留されるように設定される。また、冷却配管L10の長さや径についても、内部を流れる水とセルスタック11との間で十分に熱交換が行われるように設定される。
≪ガス漏れ検出装置≫
ガス漏れ検出装置6は、モジュール1外部に設けられ、原燃料や燃料ガスの漏れを検出するセンサである。ガス漏れ検出装置6による検出結果は、制御装置7に出力される。
ガス漏れ検出装置6は、モジュール1外部に設けられ、原燃料や燃料ガスの漏れを検出するセンサである。ガス漏れ検出装置6による検出結果は、制御装置7に出力される。
≪制御装置≫
制御装置7は、公知のコントローラから構成され、オペレータからの指示やセンサ等の検出結果に基づいて、固体酸化物形燃料電池システムの各構成要素に対して制御信号を送信してそれらの構成要素の動作を制御することにより、固体酸化物型燃料電池システム全体の動作を制御する。また、制御装置7には、後述する停止動作において固体酸化物形燃料電池システムを停止するか否かを判定するために使用する燃料配管L3や第1の空気配管L8の内部圧力やセルスタック11の温度のしきい値が予め記憶されている。
制御装置7は、公知のコントローラから構成され、オペレータからの指示やセンサ等の検出結果に基づいて、固体酸化物形燃料電池システムの各構成要素に対して制御信号を送信してそれらの構成要素の動作を制御することにより、固体酸化物型燃料電池システム全体の動作を制御する。また、制御装置7には、後述する停止動作において固体酸化物形燃料電池システムを停止するか否かを判定するために使用する燃料配管L3や第1の空気配管L8の内部圧力やセルスタック11の温度のしきい値が予め記憶されている。
<固体酸化物型燃料電池システムの動作>
次に、本実施の形態に係る固体酸化物型燃料電池システムの動作について説明する。
次に、本実施の形態に係る固体酸化物型燃料電池システムの動作について説明する。
<通常運転動作>
発電を行う通常運転時において、制御装置7は、制御信号を送信し、燃料供給装置2および空気供給装置3を駆動させるとともに、燃料バルブ24を開状態、制御弁51を閉状態としている。すると、燃料供給装置2から供給される原燃料は、改質器13により水素リッチな燃料ガスに改質された後、セルスタック11中の燃料極111に供給される。一方、空気供給装置3から供給される空気は、熱交換器15により加熱された後、セルスタック11中の空気極113に供給される。これにより、各単セル110で酸化還元反応が行われると、負荷9により電力が取り出されることとなる。
発電を行う通常運転時において、制御装置7は、制御信号を送信し、燃料供給装置2および空気供給装置3を駆動させるとともに、燃料バルブ24を開状態、制御弁51を閉状態としている。すると、燃料供給装置2から供給される原燃料は、改質器13により水素リッチな燃料ガスに改質された後、セルスタック11中の燃料極111に供給される。一方、空気供給装置3から供給される空気は、熱交換器15により加熱された後、セルスタック11中の空気極113に供給される。これにより、各単セル110で酸化還元反応が行われると、負荷9により電力が取り出されることとなる。
このとき、燃焼器14には、燃料排気ガス配管L5を介してセルスタック11の燃料極111から排出される燃料排気ガスが供給されるとともに、酸化剤排気ガス配管L6を介してセルスタック11の空気極113から排出される酸化剤排気ガスが供給され、これらの混合ガスが燃焼される。この燃焼により生成された熱は、改質器13に伝導され、原燃料の改質反応に用いられる。また、その燃焼により生成された燃焼ガスは、燃焼ガス配管L7を介して熱交換器15に供給され、空気供給装置3から供給された空気との間で熱交換される。このように未使用の燃料の一部を熱エネルギーに変換して使用することでシステム全体の効率の向上を実現している。
<停止動作>
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る固体酸化物型燃料電池システムにおける停止動作について説明する。
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る固体酸化物型燃料電池システムにおける停止動作について説明する。
まず、制御装置7は、異常を検出したか否かを確認する(ステップS1)。その異常としては、例えば、ガス漏れ検出装置6がガス漏れを検出したり、燃料配管L3や第1の空気配管L8の内部圧力が所定の圧力の範囲内(しきい値)ではなかったりすることなどがある。なお、本実施の形態では、燃料配管L3や第1の空気配管L8の内部圧力は、2kPa以下または15kPa以上のときに異常であると判定される。
異常を検出した場合(ステップS1:YES)、制御装置7は、温度センサ10の測定結果からセルスタック11の温度が所定の温度(しきい値)以上であるか否かを確認する(ステップS2)。その所定の温度は、単セル110の状態、すなわち単セル110が破損するか否かに基づいて設定される。本実施の形態において、所定の温度は400℃に設定される。
セルスタック11の温度が所定の温度以上の場合(ステップS2:YES)、制御装置7は、制御弁51への制御信号の出力を停止することにより、制御弁51を閉状態から開状態にする(ステップS3)。すると、冷却水供給タンク5内に貯留された水が、冷却配管L10に供給される。上述したように、冷却配管L10は、セルスタック11の外周に配設されている。したがって、冷却配管L10を水が流れることによって、この水とセルスタック11との間で熱交換が行われ、セルスタック11が冷却される。これにより、燃料極の温度も低下するので、燃料極の酸化による体積の膨張を防ぐまたは小さくすることができ、結果として、単セルの破損をより防ぐことができる。
このように、本実施の形態では、セルスタック11の温度が400℃以上という単セル110に破損の虞がある場合にのみ冷却配管L10に水が供給される。結果として、無駄な動作が行われること防ぐことができる。
このように、本実施の形態では、セルスタック11の温度が400℃以上という単セル110に破損の虞がある場合にのみ冷却配管L10に水が供給される。結果として、無駄な動作が行われること防ぐことができる。
制御弁51を駆動させた場合、または、セルスタック11の温度が所定の温度未満の場合(ステップS2:NO)、制御装置7は、固体酸化物形燃料電池システムの動作を停止させる(ステップS4)。具体的には、制御装置7は、燃料バルブ22および燃料バルブ24を開状態から閉状態にしたり、燃料供給装置2、空気供給装置3およびポンプ41の駆動を停止したりすることにより、固体酸化物形燃料電池システムの動作を停止させる。
≪緊急停止動作≫
次に、図4を参照して、緊急停止動作について説明する。
次に、図4を参照して、緊急停止動作について説明する。
例えば、自然災害などの異常によって系統電力の供給が停止すると(ステップS11)、制御装置7への電力の供給も停止するので、制御装置7から制御弁51への制御信号の送出も停止する。すると、制御弁51は、上述したように制御信号の入力が停止すると開状態となる電磁弁から構成されているので、閉状態から開状態となる(ステップS12)。これにより、冷却水タンク5内の水が冷却配管L10に供給される。
すると、冷却水供給タンク5がセルスタック11よりも鉛直方向に高い位置に配置されているので、冷却水供給タンク5から冷却配管L10に供給された水は、位置エネルギーによって冷却配管L10を流れてゆく。これにより、冷却配管L10を流れる水とセルスタック11との間で熱交換が行われてセルスタック11が冷却され、燃料極の温度も低下するので、燃料極の酸化による体積の膨張を防ぐまたは小さくすることができる。結果として、単セルの破損をより防ぐことができる。
このように、制御弁51が自動的に開状態になり、冷却水供給タンク5内の水が位置エネルギーにより冷却配管L10を流れてゆくので、自然災害等により系統電力が停止した場合であっても、セルスタック11を確実に冷却することができる。これにより、単セル110の破損をより防ぐことができる。
このように、制御弁51が自動的に開状態になり、冷却水供給タンク5内の水が位置エネルギーにより冷却配管L10を流れてゆくので、自然災害等により系統電力が停止した場合であっても、セルスタック11を確実に冷却することができる。これにより、単セル110の破損をより防ぐことができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、異常を検出すると、冷却水供給タンク5の排出口と冷却配管L10の一端との間に設けられた制御弁51が閉状態から開状態になり、セルスタック11よりも高い位置に配設された冷却水供給タンク5に貯留された水がセルスタック11の外周に配置された冷却配管L10に供給され、この冷却配管L10に供給された水とセルスタック11との間で熱交換が行われてセルスタック11が冷却されるので、燃料極も冷却されることとなり、結果として、燃料極の酸化による単セル110の破損を防ぐことができる。
また、従来では、タンクに可燃性の燃料ガスを常時貯留していたので、ガスボンベを慎重に保管する必要があり、そのために手間がかかっていたが、本実施の形態では、水を貯留するだけでよいので、保管にかかる手間を軽減することもできる。
また、従来では、タンクに可燃性の燃料ガスを常時貯留していたので、ガスボンベを慎重に保管する必要があり、そのために手間がかかっていたが、本実施の形態では、水を貯留するだけでよいので、保管にかかる手間を軽減することもできる。
また、本実施の形態によれば、セルスタックの温度が400℃以上という単セル110が破損する虞がある場合にのみセルスタックが冷却されるので、無駄な動作が行われることを防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、冷却水供給タンク5の容量がセルスタック11の重量に基づいて設定されるので、セルスタック11を確実に冷却することができる。
本発明は、固体酸化物形燃料電池システムなど、高温下でNiを含む構成を用いる各種システムに適用することができる。
1…モジュール、2…燃料供給装置、3…空気供給装置、4…純水供給タンク、5…冷却水供給タンク、6…ガス漏れ検出装置、7…制御装置、8…出力調整器、9…負荷、10…温度センサ、11…セルスタック、12…蒸発器、13…改質器、14…燃焼器、15…熱交換器、21…脱硫器、22…燃料バルブ、23…燃料バッファタンク、24…燃料バルブ、25…流量計、26…圧力計、、31…空気バッファタンク、32…流量計、33…圧力計、41…ポンプ、51…制御弁、110…単セル、111…燃料極、112…電解質、113…空気極、L1…純水配管、L2…蒸気配管、L3…燃料配管、L4…燃料ガス配管、L5…燃料排気ガス配管、L6…酸化剤排気ガス配管 、L7…燃焼ガス配管、L8…第1の空気配管、L9…第2の空気配管、L10…冷却配管。
Claims (4)
- 燃料極、この燃料極上に配設された固体酸化物からなる電解質およびこの電解質上に配設された空気極からなる複数の単セルを有するセルスタックと、
このセルスタックよりも高い位置に配設され、水を貯留する貯留槽と、
一端が前記貯留槽に接続され、少なくとも一部がセルスタックの外周に配置された配管と、
前記貯留槽の排出口と前記配管の一端との間に設けられ、異常を検出すると閉状態から開状態になる制御弁と
を備えることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。 - 請求項1記載の固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
前記セルスタックの温度を検出する温度センサと、
この温度センサにより検出した前記セルスタックの温度が400℃以上のときに異常を検出すると、前記制御弁を閉状態から開状態にさせる制御装置と
をさらに備えることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。 - 請求項1または2記載の固体酸化物形燃料電池システムにおいて、
前記貯留槽の容量は、前記セルスタックの重量に基づいて設定される
ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。 - 燃料極、この燃料極上に配設された固体酸化物からなる電解質およびこの電解質上に配設された空気極からなる単セルを有するセルスタックを備え、外部から燃料ガスが燃料極に供給されるとともに、酸化剤ガスが空気極に供給されることにより電気化学反応によって発電する固体酸化物形燃料電池システムの停止方法であって、
異常を検出すると、前記セルスタックよりも高い位置に配設された貯留槽に貯留された水を、一端が前記貯留槽に接続され少なくとも一部がセルスタックの外周に配置された冷却配管に供給する供給ステップ
を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの停止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013219821A JP2015082408A (ja) | 2013-10-23 | 2013-10-23 | 固体酸化物形燃料電池システムおよび固体酸化物形燃料電池システムの停止方法 |
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JP2013219821A JP2015082408A (ja) | 2013-10-23 | 2013-10-23 | 固体酸化物形燃料電池システムおよび固体酸化物形燃料電池システムの停止方法 |
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JP2015082408A true JP2015082408A (ja) | 2015-04-27 |
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ID=53012903
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JP2013219821A Pending JP2015082408A (ja) | 2013-10-23 | 2013-10-23 | 固体酸化物形燃料電池システムおよび固体酸化物形燃料電池システムの停止方法 |
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JP (1) | JP2015082408A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20180085989A (ko) | 2017-01-20 | 2018-07-30 | 창원대학교 산학협력단 | 고체산화물 연료전지의 음극 산화 방지용 장치 |
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2013
- 2013-10-23 JP JP2013219821A patent/JP2015082408A/ja active Pending
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KR20180085989A (ko) | 2017-01-20 | 2018-07-30 | 창원대학교 산학협력단 | 고체산화물 연료전지의 음극 산화 방지용 장치 |
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