JP2018026242A - バナジウムレドックス二次電池、及び電池用イオン伝導性膜 - Google Patents

バナジウムレドックス二次電池、及び電池用イオン伝導性膜 Download PDF

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Abstract

【課題】良好なサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性を有し、安価に製造することができるバナジウムレドックス二次電池、及び電池用イオン伝導性膜を提供する。【解決手段】電池1は、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む正の電極50と、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む負の電極60と、電極50及び電極60を区画する隔膜7とを備える。隔膜7は、エチレン比率が30mol%以下であるエチレンビニルアルコール共重合体を含み、前記エチレンビニルアルコール共重合体の、X線回折パターンから求めた結晶子サイズは、1.3nm以上8.8nm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、活物質として、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有し、活物質による酸化還元反応を利用して充放電を行うバナジウムレドックス二次電池、及び正の電極及び負の電極を区画する隔膜等に用いられる電池用イオン伝導性膜に関する。
二次電池は、デジタル家電製品、電気自動車、ハイブリッド自動車及び太陽光発電設備等に広く用いられている。この電池として、リチウムイオン二次電池、バナジウムレドックス二次電池(特許文献1)等が挙げられる。バナジウムレドックス二次電池は、2組の酸化還元対を利用して、イオンの価数変化によって充放電を行う。活物質としては、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンが用いられる。
バナジウムレドックス二次電池は、活物質、導電助剤としての炭素材料、及び硫酸等の水系電解液を有する電極と、電極が配される銅等の導電体とを備える電極材を、極性が異なる電極材が隔膜を介して対向する状態で複数並設し、外装袋に収容することにより構成される。このバナジウムレドックス二次電池は、さらにケースに収容されることもある。
バナジウムレドックス二次電池において、前記隔膜としてイオン交換膜が多く用いられている。しかし、イオン交換膜は単位面積当たりのコストが高いため、これを用いるバナジウムレドックス二次電池全体のコストが高くなるという問題があった。
また、リチウムイオン二次電池及び鉛蓄電池用の隔膜をバナジウムレドックス二次電池の隔膜に用いることで、低コスト化及び優れた入出力特性(レート特性)を実現できるが、イオン選択性が不十分であるため、自己放電特性、及び電池サイクルを繰り返した場合のクーロン効率(サイクル特性)が悪いという問題があった。
国際公開2011/049103号公報
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、良好なサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性を有し、安価に製造することができるバナジウムレドックス二次電池、及び安価であり、良好なサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性を有する電池を得ることができる電池用イオン伝導性膜を提供することを目的とする。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む正の電極と、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む負の電極と、前記正の電極及び負の電極を区画する隔膜とを備え、前記隔膜は、エチレン比率が30mol%以下であるエチレンビニルアルコール共重合体を含み、前記エチレンビニルアルコール共重合体の、X線回折パターンから求めた結晶子サイズ(結晶子サイズt)は、1.3nm以上8.8nm以下であることを特徴とする。
本発明に係る電池用イオン伝導性膜は、エチレン比率が30mol%以下であり、X線回折パターンから求めた結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下であるエチレンビニルアルコール共重合体を含む基層を有することを特徴とする。
本発明によれば、電池サイクルを繰り返した場合のクーロン効率が良好であってサイクル特性が良好であり、充電レート特性及び放電レート特性が高く、入出力特性が良好であり、長時間放置後の電圧維持率が高く、自己放電特性が良好である。そして、エチレンビニルアルコール共重合体が安価であるので、電池の材料費が安価になり、電池全体の製造コストを低減させることができる。
実施の形態に係るバナジウムレドックス二次電池の模式的平面図である。 図1のII−II線模式的断面図である。 隔膜と正の電極との間に陰イオン交換膜を備えた電池を示す模式的断面図である。 隔膜と、正の電極及び負の電極との間に陰イオン交換膜を備えた電池を示す模式的断面図である。 実施例の隔膜のXRD(X線回折:X‐ray diffraction)パターンの一例である。 面積抵抗値と厚さとの関係を示すグラフである。 厚さが15μmである隔膜,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、面積抵抗値とエチレン比率との関係を示すグラフである。 厚さ15μmである隔膜,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、5価イオン透過濃度とエチレン比率との関係を示すグラフである。 厚さが10μmである隔膜,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、面積抵抗値と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 厚さが10μmである隔膜を有する実施例の電池において、5価イオン透過濃度と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 厚さが10μmである隔膜を有する実施例の電池において、5価イオン透過濃度と格子定数との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例の電池において、20サイクル目CEと結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 厚さが30μm以下である隔膜,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、20サイクル目CEと格子定数との関係を示すグラフである。 厚さが10μmである隔膜を有する実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 厚さが10μmである隔膜を有する実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 厚さが10μmである隔膜を有する実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフである。 厚さが10μmである隔膜を有する実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフである。 エチレン比率が24mol%で結晶子サイズが5nm以下である実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と厚さとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が24mol%で結晶子サイズが5nm以下である実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と厚さとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が24mol%で結晶子サイズが5nm以下である実施例の電池において、電圧維持率と厚さとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の隔膜において、面積抵抗値と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29%で厚さが10μmである実施例の隔膜において、5価イオン透過濃度と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、面積抵抗値と格子定数との関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、5価イオン透過濃度と格子定数との関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、20サイクル目CEと結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、20サイクル目CEと格子定数との関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、電圧維持率と結晶子サイズとの関係を示すグラフである。 エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、電圧維持率と格子定数との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
1.バナジウムレドックス二次電池
図1は実施の形態に係るバナジウムレドックス二次電池の模式的平面図、図2は図1のII−II線模式的断面図である。
図1及び図2に示すように、実施の形態に係るバナジウムレドックス二次電池1(以下、電池1という)は、外装袋2と、外装袋2の周縁部の一部から突出した正極端子3及び負極端子4と、正極の電極材5と、負極の電極材6と、電極材5及び電極材6を区画する隔膜7とを備える。正極端子3,負極端子4は、基端部側がシール材30,40に覆われた状態で、外装袋2の周縁部の一部から突出している。この電池1単体、又は該電池1と他の電池1とを組み合わせてケース(不図示)に収容してもよい。
電極材5は、電極50、導電体51、保護層52、及びシーラント54を備える。
導電体51は角型平板状をなし、前記外装袋2の、図2における下側の半体22の上面に配されており、導電体51の上面は保護層52により覆われている。保護層52の上面の周縁部の内側には、角型平板状の電極50が設けられている。
シーラント54は縁部を有する枠状をなし、前記周縁部及び半体22に接着されており、半体22及び保護層52とにより導電体51を封止する。
以下、電極材5の各部、及び外装袋2の半体22について詳述する。
半体22は電解液非透過性である。半体22は、合成樹脂層及び金属層を含有するラミネートシートからなるのが好ましい。
合成樹脂層の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミド等が挙げられる。金属層の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、ステンレス、チタン、チタン合金等が挙げられる。
導電体51の平面面積は半体22の平面面積より小さい。
導電体51は、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属箔からなるのが好ましい。
導電体51は、周縁部の一部から突出したタブ(不図示)を有し、タブの先端部は正極端子3に接続されている。
保護層52は、導電体51の一面に、グラファイトシートを例えば導電性の接着シートを介し設けてなる。
なお、保護層52の材質はグラファイトシートには限定されない。保護層52は導電性かつ電解液非透過性であればよく、導電性フィルム、シート状の導電性ゴムを用いることにしてもよい。また、導電体51の一面を、黒鉛の粉末、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料とバインダとを混合した塗工液でコーティングした後、乾燥させることにより、保護層52を形成することにしてもよい。また、水系電解液が酸性又はアルカリ性ではなく、導電体51が腐食等される虞がない場合は、保護層52を備えていなくてもよい。
なお、本実施の形態において、以後、符号を付さずに単に「集電体」と記載するときは、「導電体51(又は61)及び保護層52(又は62)」、又は「導電体51(又は61)単体」、を意味する。
電極50は、上述したように保護層52の上面の周縁部の内側に、即ち保護層52の上面の周縁部以外の部分に設けられている。
電極50は、炭素材料と、酸化還元反応によって、5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウム(V)イオン、又は5価及び4価の間で酸化数が変化するVを含むイオンを含有するバナジウム固体塩からなる正極活物質と、バインダとを含有する固体状物、及び水系電解液を含む。
5価及び4価の間で酸化数が変化する前記Vを含むイオンとしては、VO2+(IV)、VO2 +(V )が例示される。
正極用の活物質であるバナジウム化合物としては、硫酸酸化バナジウム(IV)(VOSO4 ・nH2 O)、硫酸酸化バナジウム(V)((VO2 2 SO4 ・nH2 O)を挙げることができる。なお、nは0から6の整数を示す。
バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVDF/HFP)等が挙げられる。
電極50の炭素材料としては、アセチレンブラック,ケッチェンブラック(登録商標)等のカーボンブラック、及びグラファイト等が挙げられる。炭素材料は1種又は2種以上を用いることができる。
電極50に含まれる水系電解液は、硫酸水溶液であるのが好ましい。硫酸水溶液として、例えば濃度が90質量%未満の硫酸を用いることができる。電解液は、電池のSOCを0〜100%まで取り得るのに過不足のない量である。電解液の量は、例えばバナジウム化合物100gに対して、2Mの硫酸70mLである。
シーラント54は上述したように枠状をなし、角筒状の枠本体の上端部に、内側に張り出した内側縁部54aを備え、枠本体の下端部に、外側に張り出した外側縁部54bを備える。即ち、シーラント54は平面視で、内側縁部54a(電極50の外側部分)の外側に、外側縁部54bが位置するように構成されている。
シーラント54の内側縁部54aは保護層52の上面の周縁部に接着されており、内側縁部54aの内側面は電極50の側面に当接されている。
外側縁部54bは半体22の導電体51側の面の、導電体51の外側に接着されている。これにより、導電体51及び保護層52は、半体22とシーラント54とに挟着されている。即ち、半体22、保護層52、及びシーラント54により、導電体51は封止された状態で、導電体51は半体22に固定されている。なお、導電体51の側面はシーラント54に接着されていてもよく、接着されていなくてもよい。
シーラント54の材料としては、例えばポリプロピレン又はポリエチレン等が挙げられる。ポロプロピレン又はポリエチレン等を用いることにより、熱溶着で容易に導電体51を封止することが可能となる。
電極材6は電極材5と同様の構成を有し、電極60、導電体61、保護層62、及びシーラント64を備える。導電体61は角型平板状をなし、外装袋1の半体21の図2における下面に配されており、導電体61の下面は保護層62により覆われている。保護層62の下面の周縁部の内側には、活物質、炭素材料、バインダ、及び水系電解液を有する角型平板状の電極60が設けられている。シーラント64は枠状をなし、角筒状の枠本体の下端部に、内側に張り出した内側縁部64aを備え、枠本体の上端部に、外側に張り出した外側縁部64bを備える。内側縁部64aは前記周縁部に接着され、外側縁部64bは半体21に接着され、シーラント64は半体21及び保護層62とにより導電体61を封止する。
電極材6の導電体61は、周縁部の一部から突出したタブ(不図示)を有し、タブの先端部は負極端子4に接続されている。
電極材6の導電体61、保護層62、及びシーラント64は電極材5と同様の材料を用いてなる。
電極60は、炭素材料と、酸化還元反応によって、2価及び3価の間で酸化数が変化するVイオン、又は2価及び3価の間で酸化数が変化するVを含むイオンを含有するバナジウム固体塩からなる負極活物質と、バインダとを含有する固体状物、及び水系電解液を含む。2価及び3価の間で酸化数が変化する前記VイオンとしてV2+(II)、V3+(III)が挙げられ、負極用の活物質であるバナジウム化合物として、硫酸バナジウム(II)(VSO4・nH2 O)、硫酸バナジウム(III )(V2 (SO4 3 ・nH2 Oが挙げられる。なお、nは1から10の整数を示す。
隔膜7はシーラント54の内側縁部54aの上面、及びシーラント64の内側縁部64aの下面に接着されている。
隔膜7はエチレン比率が30mol%以下であるエチレンビニルアルコール共重合体(以下、EVOHという)を含み、EVOHの、XRDパターンから求めた結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下である。隔膜7は、低い面積抵抗値を維持しつつ、後述するように5価イオンの透過性が低く、即ちイオン選択性が良好であり、水素イオン(プロトン)又は硫酸イオンを通過させることができる。
エチレン比率が30mol%以下である場合、隔膜7の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該隔膜7を有する電池1のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。低い面積抵抗値と低い5価イオン透過濃度とを併せ持つために、エチレン比率の下限値は、後述する図7及び図8の結果に基づき面積抵抗値と5価イオン透過濃度との積から判断した場合、21mol%であるのが好ましい。エチレン比率の下限値は、22mol%、24mol%、25mol%の順に好ましく、上限値は29mol%、28mol%、27mol%の順に好ましい。
結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下である場合、隔膜7の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該隔膜7を有する電池1のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
結晶子サイズの下限値は1.5nm、2nm、3nm、3.2nm、3.3nmの順に好ましく、上限値は7.8nm、7.0nm、6.8nm、6.5nm、6nm、5.5nmの順に好ましい。
XRDパターンから求めたEVOHの格子定数は0.435nm以上0.453nm以下であるのが好ましい。この場合、隔膜7の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該隔膜7を有する電池1のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
格子定数の下限値は0.436nm、0.437nm、0.438nmの順に好ましく、上限値は0.452nm、0.448nm、0.446nm、0.445nm、0.444nm、0.442nm、0.441nmの順に好ましい。
隔膜7は、0.5M硫酸中において1kHzで測定した面積抵抗値が10Ω・cm2以下であるのが好ましい。この場合、高電流密度で入出力したときの電池1の容量維持率(レート維持率)が良好であり、即ち入出力特性が良好である。面積抵抗値の上限値は9Ω・cm2、8Ω・cm2、7Ω・cm2の順に好ましい。
隔膜7は厚さが90μm以下であるのが好ましい。この場合、隔膜7の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該隔膜7を有する電池1のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
厚さの下限値は15μm、20μmの順に好ましく、上限値は80μm、60μm、40μmの順に好ましい。
要求される電池1のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性の内容に応じて、エチレン比率、厚さ、格子定数又は結晶子サイズを設定し、面積抵抗値、及び5価イオン透過濃度を制御した隔膜7を選択する。
電極材5のバナジウム化合物としてVOSO4 ・nH2 Oを用い、電極材6のバナジウム化合物としてV2 (SO4 3 ・nH2 Oを用いた場合、電池1の電極材5の電極50と電極材6の電極60との間において、下記式(1)及び(2)の反応が生じる。
正極:2VOSO4 ・nH2 O⇔(VO2 2 SO4 ・(n−2)H2 O+H2 SO4 +2H+ +2e- …(1)
負極:V2 (SO4 3 ・nH2 O+2H+ +2e- ⇔2VSO4 ・nH2 O+H2 SO4 …(2)
前記式(1)及び(2)の反応を利用して電池1の充放電が行われる。このとき、正極端子3,負極端子4を介して、外部の負荷又は充電器等との間で充放電が行われる。式(1)及び(2)の反応において隔膜7を介して、電極50,60間でプロトンが移動する。
以上のように構成された電池1は、上述の隔膜7を有するので、サイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
そして、EVOHが安価であるので、隔膜7を安価に製造することができ、電池1の材料費が安価になり、電池1全体の製造コストが低減される。
また、導電体51は、シーラント54、保護層52、及び半体22により封止され、電極50は隔膜7と、シーラント54aとにより包囲されているので、電極50に含まれる酸性の電解液が導電体51に接触することがなく、導電体51の腐食が防止されている。同様に、導電体61は、シーラント64、保護層62、及び半体21により封止され、電極60は隔膜7と、シーラント64aとにより包囲されているので、電極60に含まれる酸性の電解液が導電体61と反応することがなく、導電体61の腐食が防止されている。
本実施の形態に係る電池は、隔膜7と正の電極50との間に陰イオン交換膜8を備えていてもよい。
図3は、隔膜7と正の電極50との間に陰イオン交換膜8を備えた電池11を示す模式的断面図である。これにより、隔膜7の酸化が抑制される。そして、電池11のサイクル特性及び自己放電特性はより良好である。
陰イオン交換膜8は、耐酸化性が良好であるという観点からフッ素系陰イオン交換膜であるのが好ましい。そして、陰イオン交換膜8の厚さは、抵抗の増加を抑制するという観点から50μm以下であるのが好ましい。
なお、隔膜7と陰イオン交換膜8とは別体ではなく、一体化されていてもよい。即ち隔膜7に陰イオン交換樹脂の層が設けられているものであってもよい。
本実施の形態に係る電池は、隔膜7と、正の電極50,負の電極60との間に夫々陰イオン交換膜8,9を備えていてもよい。
図4は、隔膜7と正の電極50との間に陰イオン交換膜8を、隔膜7と負の電極60との間に陰イオン交換膜9を備えた電池12を示す模式的断面図である。
電池12のサイクル特性及び自己放電特性はより良好である。
陰イオン交換膜8はフッ素系陰イオン交換膜であるのが好ましい。陰イオン交換膜9はフッ素系陰イオン交換膜であっても、他の陰イオン交換膜であってもよい。陰イオン交換膜8,9の厚さは、面積抵抗値を低くするという観点から、50μm以下であるのが好ましく、30μm以下であるのがより好ましく、10μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、隔膜7と陰イオン交換膜8,9とは別体ではなく、一体化されていてもよい。即ち隔膜7の両面に夫々陰イオン交換樹脂の層が設けられているものであってもよい。
2.バナジウムレドックス二次電池の製造方法
以下、実施の形態に係る電池1の製造方法について説明する。
電池1は、正極の電極材5と負極の電極材6とを各別に作製してもよく、単一の電極材を作製した後、正極側及び負極側のいずれに用いるかを使い分けし、電池1の組立後の通電によって、正極の電極材5及び負極の電極材6を形成してもよい。
まず、炭素材料に、3価のバナジウム化合物としてのV2 (SO4 3 ・nH2 O、4価のバナジウム化合物としてのVOSO4 ・nH2 O、及びバインダを配合し、攪拌機により混合することにより混合粉を得る。炭素材料、活物質、及びバインダの組成は、要求される容量、乾燥条件、及び外部環境(気温、湿度)等に応じて決定する。
次に、前記混合粉に水系電解液を配合し、プラネタリーミキサ等を用いて混練することにより、混練物を得る。
前記混練物はロールプレス等により圧延成形され、電極形状に打ち抜かれて集電体に配置される。ここで、集電体としては、上述の「導電体51(又は61)単体」、及び「導電体51(又は61)及び保護層52(又は62)」等が挙げられる。
上述したように、電極材を電極材5用,電極材6用に使い分ける。
なお、電極材5及び6は夫々、活物質、炭素材料、バインダ及び非水系溶媒を含有する溶液、半固体状物又は固体状物等を成形し、非水系溶媒を揮発させた後、酸性の電解液を含ませることにより形成してもよい。非水系溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、イソプロパノール(IPA)等が例示される。酸性電解液は外装袋2を真空封止する際に真空含浸させてもよい。
電極材5の電極50と電極材6の電極60との間に隔膜7を配し、シーラント54,64を電極50,60の周囲に配する。
電極材5の集電体側に外装袋2の半体22を、電極材6の集電体側に半体21を配し、熱プレス等により、シーラント64を介し半体21に電極材6の集電体が接着され、シーラント54を介し半体22に電極材5の集電体が接着される。
そして、半体21,22の周縁部の一部から正極端子3及び負極端子4が突出する状態で、周縁部を圧接し、接着することにより外装袋2が形成され、電池1が得られる。なお、半体21,22は最初から一体化されていてもよい。
電池1の組み立て後の通電により、正極の電極材5のバナジウム化合物の価数が4価、負極の電極材6のバナジウム化合物の価数が3価になる。
電池11の場合、電極50と隔膜7との間にさらに陰イオン交換膜8を配し、電池12の場合、電極60と隔膜7との間にさらに陰イオン交換膜9を配して電池を作製する。
3.電池用イオン伝導性膜
実施の形態に係る電池用イオン伝導性膜(以下、イオン伝導性膜という)は、エチレン比率が30mol%以下であり、XRDパターンから求めた結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下であるEVOHを含む基層を有する。
該イオン伝導性膜は、低い面積抵抗値を維持しつつ、イオン選択性が良好であり、水素イオン(プロトン)又は硫酸イオンを通過させることができる。
エチレン比率が30mol%以下である場合、イオン伝導性膜の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該イオン伝導性膜を有する電池のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。エチレン比率の下限値は21mol%、24mol%、25mol%の順に好ましく、上限値は29mol%、28mol%、27mol%の順に好ましい。
結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下である場合、イオン伝導性膜の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該イオン伝導性膜を有する電池のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
結晶子サイズの下限値は1.5nm、2nm、3nm、3.2nm、3.3nmの順に好ましく、上限値は7.8nm、7nm、6.8nm、6.5nm、6nm、5.5nmの順に好ましい。
EVOHのXRDパターンから求めた格子定数は0.435nm以上0.453nm以下であるのが好ましい。この場合、イオン伝導性膜の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該イオン伝導性膜を有する電池のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
格子定数の下限値は0.436nm、0.437nm、0.438nmの順に好ましく、上限値は0.452nm、0.448nm、0.446nm、0.444nm、0.442nm、0.441nmの順に好ましい。
0.5M硫酸中において1kHzで測定したイオン伝導性膜の基層の面積抵抗値は10Ω・cm2以下であるのが好ましい。この場合、該イオン伝導性膜を有する電池の入出力特性が良好である。面積抵抗値の上限値は9Ω・cm2、8Ω・cm2、7Ω・cm2の順に好ましい。
イオン伝導性膜の基層は厚さが90μm以下であるのが好ましい。この場合、イオン伝導性膜の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が良好である。低い面積抵抗値と高いイオン選択性とをバランス良く有するので、該イオン伝導性膜を有する電池のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
厚さの下限値は15μm、20μmの順に好ましく、上限値は80μm、60μm、40μmの順に好ましい。
イオン伝導性膜は、前記基層のみから構成されるものであってもよく、前記基層を含む2層構造、又は3層以上の構造を有するものであってもよい。積層構造としては、例えば基層と、陰イオン交換樹脂を含む層との2層構造、基層を2枚の陰イオン交換樹脂を含む層で挟んだ3層の構造等が挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、例えばフッ素系陰イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換樹脂を含む層の厚さは、抵抗の増加を抑制するという観点から50μm以下であるのが好ましく、30μm以下であるのがより好ましく、10μm以下であるのがさらに好ましい。
イオン伝導性膜は、バナジウムレドックス二次電池、レドックスフロー電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、酸化銀電池、燃料電池の隔膜等に用いることができる。
要求される電池のサイクル特性、入力特性、出力特性、及び自己放電特性の内容に応じて、エチレン比率、厚さ、格子定数又は結晶子サイズを設定し、面積抵抗値、及び5価イオン透過濃度を制御したイオン伝導性膜を選択する。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
1.隔膜7を有する実施例の電池、及び比較例の電池の性能評価
(1)電池の製造
[実施例1]
炭素材料に、3価のバナジウム化合物としてのV2 (SO4 3 、4価のバナジウム化合物としてのVOSO4 、及びバインダを配合し、攪拌機により混合することにより混合粉を得た。炭素材料、活物質、及びバインダの組成は、要求される容量、乾燥条件、及び外部環境(気温、湿度)等に応じて決定する。次に、前記混合粉に有機溶媒を配合し、混練機等を用いて混練することにより、混練物を得た。前記混練物はロールプレス等により圧延成形された後、真空乾燥にて有機溶媒を除去することで電極シートを得る。所定のサイズ及び形状に電極シートを打ち抜くことで電極50,60を得た。
銅箔からなる導電体にグラファイトシートを接着して集電体を得た。
該集電体に電極50,60を夫々配置して電極材5,6を作製した。
隔膜7として、EVOHの樹脂ペレット(「M100B」、エチレン比率24mol%、株式会社クラレ製)をフィルムに成形したものを用いた。
フィルム成形に用いた装置、ダイス及び押出機の大きさは以下の通りである。
装置:Tダイ成形押出機(株式会社プラスチック工学研究所製)
ダイス…150mm幅、コートハンガーダイ
リップ幅:0.3mm
押出機…φ20、L/D=25、フルフライトスクリュ(C/R=3.0)
Tダイ成形条件を下記の表1に示す。
Figure 2018026242
表1に示すように、Tダイ温度は200℃、ロール温度は100℃である。成形された隔膜7の厚さは10μmである。
電極材5の電極50と電極材6の電極60との間に隔膜7を配し、上述のようにして、図1及び2に示すタイプである実施例1の電池1を作製した。
[実施例2]
実施例1の電池1の隔膜7と電極50との間に、厚さ50μmの陰イオン交換膜8(「FAP−450、FuMA−Tech社製)を配したこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示すタイプである実施例2の電池11を作製した。
[実施例3]
実施例2の電池11の隔膜7と電極60との間に、厚さ50μmの陰イオン交換膜9(「FAP−450、FuMA−Tech社製)を配したこと以外は、実施例2と同様にして、図4に示すタイプである実施例3の電池12を作製した。
[比較例1]
隔膜7に代えて、ポリエチレン製多孔質膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電池を作製した。
[比較例2]
隔膜7に代えて、ガラス製多孔質膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電池を作製した。
[比較例3]
隔膜7に代えて、陰イオン交換膜(「FAP−450、FuMA−Tech社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の電池を作製した。
(2)物性の測定、及び電池の性能評価
実施例1〜3、及び比較例1〜3の電池につき、膜の厚さ[μm]と、面積抵抗値[Ω・cm2 ],及び5価イオン透過濃度[mmol/L]の物性を求めた結果と、20サイクル目容量[mAh],40サイクル目容量[mAh],20サイクル目CE(クーロン効率)[%],40サイクル目CE[%],充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L],放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]、80h後電圧維持率[%]の電池性能を求めた結果とを下記の表2に示す。
Figure 2018026242
隔膜7、及び比較例1〜3の膜の面積抵抗値は、AGCエンジニアリング株式会社のイオン交換膜抵抗測定器を用いて測定した。
抵抗の測定条件は、以下の通りである。
電解液:0.5M硫酸
周波数:1kHz
5価イオン透過濃度は、以下のようにして測定した。
H型セルのフランジガラスセル同士の間に、隔膜として測定対象である隔膜7及び比較例の膜を各別に挟み込み、フランジ用固定クランプでフランジガラスセルを固定した。H型セルとしてイーシーフロンティア社製のH型セル(型式名:VB−9)を用いた。フランジガラスセルにおけるフランジ部の内径は、12mmである。
フランジガラスセルの一方の極に、5価のバナジウム化合物としての硫酸酸化バナジウム(V)((VO2 2 SO4 )水和物の1Mの水溶液に、硫酸を遊離硫酸濃度が2Mと
なるように配合した溶液を15mL入れ、他方の極に2Mの硫酸を含む溶液を15mL入れた。硫酸溶液を入れた後、フランジガラスセルを25℃の環境下で放置した。
両方の極に硫酸溶液を入れてから1週間後に、前記一方の極から他方の極に移動してきたV5+の濃度を測定した。V5+の濃度の測定は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析装置(島津製作所社製「ICPE−9000))により行った。
上述の電池1、11、12、及び比較例の電池の性能評価のための充放電プログラムは、下記の表3の通りである。
Figure 2018026242
表3に示すように、No.1のモードにおいて、6.25mAで1.47VまでCC充電し、5秒間休止した後、6.25mAで1.16VまでCC放電を行い、5秒間休止することを1サイクルとし、20サイクルの充放電を実施した。No.2のモードにおいては、6.25mAで1.47VまでCC充電し、5秒間休止した後、18.75mAで1.16VまでCC放電し、5秒間休止する1サイクルの充放電を実施した。以下、同様にして充放電を行った。
上記表2の「20サイクル目容量」は充放電プログラムのNo.1の20サイクル目の放電容量であり、「40サイクル目容量」はNo.16の20サイクル目の放電容量である。
「20サイクル目CE」はNo.1の20サイクル目の充電容量に対する放電容量の割合、「40サイクル目CE」はNo.16の20サイクル目の充電容量に対する放電容量の割合である。
「充電レート特性@10mA/cm2 」は、No.11において、62.5mAで1.47VまでCC充電し、5秒間休止した後、6.25mAで1.16VまでCC放電を行った際に取り出せたエネルギー(Wh)を電極体積で(L)で除することにより求めた。電極の面積が6.25cm2 であるので、62.5(mA)/6.25=10(mA/cm2 )であり、電流密度10mA/cm2 で電流を流して充電した後、1mA/cm2で放電したときに取り出せた放電エネルギー密度を求めたことになる。
「放電レート特性@10mA/cm2 」は、No.4において、6.25mAで1.47VまでCC充電した後、62.5mAで1.16VまでCC放電を行った際に取り出せたエネルギー(Wh)を電極体積で(L)で除することにより求めた。電極の面積が6.25cm2 であるので、62.5(mA)/6.25=10(mA/cm2 )であり、電流密度10(mA/cm2 )で電流を流したときに取り出せた放電エネルギー密度を求めたことになる。
「80h後電圧維持率」は、No.15の充電終了1h後の電圧に対する80h後の電圧の割合である。
上記表2より、実施例1の隔膜7は、比較例1〜3の膜より面積抵抗値が少し高いが、5価イオン透過濃度は比較例1〜3より大きく低下しており、面積抵抗値が大きく増加することなく、イオン選択性が向上していることが分かる。そして、実施例1の電池は、比較例1〜3の電池と比較して20サイクル目容量、40サイクル目容量、20サイクル目CE、40サイクル目CEが高く、サイクル特性が良好であり、充電レート特性及び放電レート特性が高く、入出力特性が良好であり、80h後電圧維持率が高く、自己放電特性が良好であることが分かる。
実施例2の電池は実施例1の電池より20サイクル目CE及び40サイクル目CE、並びに80h後電圧維持率が向上し、サイクル特性がより良好であり、自己放電特性もより良好である。
実施例3の電池は実施例2の電池より40サイクル目CE及び80h後電圧維持率が向上し、実施例2の電池のように20サイクル目容量に対する40サイクル目容量が低下することもなく、サイクル特性及び自己放電特性が向上している。
2.隔膜7の物性の評価、及び電池の性能評価
次に、隔膜7の物性とエチレン比率,厚さとの関係、物性間の関係、物性,厚さと電池の性能との関係を調べた結果について説明する。
(1)電池の製造
[実施例4〜14]
厚さ、Tダイ温度、ロール温度を下記表4に示すように設定して隔膜7を作製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4〜14の電池を作製した。なお、表4中の実施例1は、上述の実施例1と同一である。表4には、エチレン比率[mol%]、結晶子サイズ[Å]、格子定数[Å]、面積抵抗値[Ω・cm2 ]、5価イオン透過濃度[mmol/L]、20サイクル目CE[%]、充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L],放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]、80h後電圧維持率[%]も併せて示す。
Figure 2018026242
実施例7〜10夫々の隔膜7のTダイ成形条件を下記の表5〜表8に示す。
Figure 2018026242
Figure 2018026242
Figure 2018026242
Figure 2018026242
[実施例15〜17]
EVOHの樹脂ペレット(「V2504RB」、エチレン比率25mol%、日本合成化学工業株式会社製)を用い、厚さ、Tダイ温度、ロール温度を上記表4に示すように設定して隔膜7を作製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例15〜17の電池を作製した。
実施例17の隔膜7のTダイ成形条件を下記の表9に示す。
Figure 2018026242
[実施例18〜21]
EVOHの樹脂ペレット(「L171B」、エチレン比率27mol%、株式会社クラレ製)を用い、厚さ、Tダイ温度、ロール温度を上記表4に示すように設定して隔膜7を作製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例18〜21の電池を作製した。
[実施例22〜25]
EVOHの樹脂ペレット(「DT2904RB」、エチレン比率29%、日本合成化学工業株式会社製)を用い、厚さ、Tダイ温度、ロール温度を上記表4に示すように設定して隔膜7を作製したこと以外は、実施例1と同様にして実施例22〜25の電池を作製した。
[比較例4〜8]
EVOHのフィルム(「EF−F」、エチレン比率32mol%、株式会社クラレ製)を用い、厚さを上記表4に示すように設定して隔膜7を作製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4〜8の電池を作製した。
[比較例9]
EVOHのフィルム(「EF−E」、エチレン比率44mol%、株式会社クラレ製)を用い、厚さを上記表4に示すように設定して隔膜7を作製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例9の電池を作製した。
実施例4〜6、実施例11〜16、実施例18〜25の隔膜7については、Tダイ温度が200℃の場合、リップ、アダプタ、フランジの成形温度は200℃、205℃、210℃であり、Tダイ温度が200℃以外の場合、リップ、アダプタ、フランジの成形温度はTダイ温度の温度と同一である。C1 、C2 、C3 は混練部の温度(C1 が資料投入側)であり、全ての実施例の隔膜7において共通である。
(2)物性の測定
面積抵抗値及び5価イオン透過濃度は上述のようにして測定した。
結晶子サイズ[Å]、格子定数[Å]は、フィルムを夫々4枚重ねにし、試料台を回転させながらXRDパターンを測定し、該パターンから算出した。
図5に、実施例の隔膜7のXRDパターンの一例を示す。
20°付近に見られるピークから結晶子サイズ及び格子定数を求める。
結晶子サイズ及び格子定数の算出式は以下の通りである。
結晶子サイズ
t=K×λ/(β×cosθ)
K:Scherrer定数(0.9)
λ:入射X線の波長(0.154)
β:結晶子の大きさによる回折線の拡がり
θ:回折角
格子定数
d=nλ/2sinθ
n:任意の整数
λ:入射X線の波長(0.154)
θ:入射角
(3)隔膜7の物性とエチレン比率,厚さとの関係、物性間の関係、物性,厚さと電池の性能との関係
図6は、実施例の隔膜7及び比較例のフィルムの面積抵抗値と厚さとの関係を示すグラフであり、横軸は厚さ[μm]、縦軸は面積抵抗値[Ω・cm2 ]である。
図6より、エチレン比率が30mol%以下である実施例の隔膜7は面積抵抗値が10Ω・cm2 以下であり、電池1に用いた場合、レート特性が良好になることが分かる。厚さの上限値は90μm、80μm、60μm、40μmの順に好ましい。
図7は、厚さが15μmである隔膜7,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、面積抵抗値とエチレン比率との関係を示すグラフであり、横軸はエチレン比率[mol%]、縦軸は面積抵抗値[Ω・cm2 ]である。
図7より、エチレン比率が30%以下である実施例の隔膜7の場合、面積抵抗値が低いことが分かる。エチレン比率が大きくなるのに従い、面積抵抗値が大きくなる。エチレン比率の上限値は29mol%、28mol%、27mol%の順に好ましい。
図8は、厚さ15μmである隔膜7,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、5価イオン透過濃度とエチレン比率との関係を示すグラフであり、横軸はエチレン比率[mol%]、縦軸は5価イオン透過濃度[mmol/L]である。
図8より、エチレン比率が30mol%以下である実施例の隔膜7の場合、5価イオン透過濃度が低いことが分かる。エチレン比率が大きくなるのに従い、5価イオン透過濃度が低くなる。エチレン比率の下限値は24mol%、25mol%の順に好ましい。
図9は、厚さが10μmである隔膜7,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、面積抵抗値と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は面積抵抗値[Ω・cm2 ]である。
図9より、結晶子サイズが20Å以上88Å以下である実施例の隔膜7の場合、面積抵抗値が低いことが分かる。結晶子サイズが小さくなるのに従い、面積抵抗値が低くなる。結晶子サイズの上限値は、78Å、68Å、65Å、55Åの順に好ましい。
図10は、厚さが10μmである隔膜7を有する実施例の電池において、5価イオン透過濃度と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は5価イオン透過濃度[mmol/L]である。
図10より、結晶子サイズが20Å以上88Å以下である場合、5価イオン透過濃度が低いことが分かる。結晶子サイズが小さくなるのに従い、5価イオン透過濃度が大きくなる。結晶子サイズの下限値は、30Å、33Åの順に好ましい。
図11は、厚さが10μmである隔膜7を有する実施例の電池において、5価イオン透過濃度と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は5価イオン透過濃度[mmol/L]である。
図11より、格子定数が4.35Å以上4.42Å以下である場合、5価イオン透過濃度が低いことが分かる。
格子定数の上限値は4.41Åがより好ましい。
上記表4の電池性能の項目の20サイクル目CE[%]、充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]、放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]、80h後電圧維持率[%]は上述のようにして測定した。
図12は、実施例及び比較例の電池において、20サイクル目CEと結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は20サイクル目CE[%]である。
図12より、結晶子サイズが13Å以上88Å以下である場合、上述の通り、イオン選択性が良好であるので、20サイクル目CE(サイクル特性)が良好であることが分かる。
図13は、厚さが30μm以下である隔膜7,フィルムを有する実施例,比較例の電池において、20サイクル目CEと格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は20サイクル目CE[%]である。
図13より、格子定数が4.34Å以上4.53Å以下である場合、5価イオン透過性が低く、イオン選択性が良好であるので、20サイクル目CEが良好であることが分かる。
格子定数の上限値は4.52Å、4.48Å、4.46Å、4.44Åの順に好ましい。
図14は、厚さが10μmである隔膜7を有する実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図14より、結晶子サイズが30Å以上88Å以下である場合、充電レート特性が良好であることが分かる。結晶子サイズの下限値は33Åがより好ましく、上限値は78Å、70Å、68Åの順に好ましい。
図15は、厚さが10μmである隔膜7を有する実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図15より、結晶子サイズが30Å以上88Å以下である場合、放電レート特性が良好であることが分かる。結晶子サイズの下限値は33Åがより好ましい。
図16は、厚さが10μmである隔膜7を有する実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図16より、格子定数が4.35Å以上4.42Å以下である場合、充電レート特性が良好であることが分かる。
格子定数の下限値は4.36Åが好ましく、上限値は4.41Åが好ましい。
図17は、厚さが10μmである隔膜7を有する実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図17より、格子定数が4.35Å以上4.42Å以下である場合、放電レート特性が良好であることが分かる。
格子定数の下限値は4.36Å、4.37Åが好ましく、上限値は4.41Åが好ましい。
図18は、エチレン比率が24mol%で結晶子サイズが5nm以下である実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と厚さとの関係を示すグラフであり、横軸は厚さ[μm]、縦軸は充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図18より、厚さが10μm以上90μm以下である場合、充電レート特性が良好であることが分かる。厚さの下限値は15μmであるのが好ましく、厚さの上限値は60μm、40μmの順に好ましい。
図19は、エチレン比率が24mol%で結晶子サイズが5nm以下である実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と厚さとの関係を示すグラフであり、横軸は厚さ[μm]、縦軸は放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図19より、厚さが10μm以上90μm以下である場合、放電レート特性が良好であることが分かる。厚さの下限値は15μm、20μmの順に好ましく、厚さの上限値は60μm、40μmの順に好ましい。
図20は、エチレン比率が24mol%で結晶子サイズが5nm以下である実施例の電池において、電圧維持率と厚さとの関係を示すグラフであり、横軸は厚さ[μm]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図20より、厚さが10μm以上90μm以下である場合、電圧維持率が良好であることが分かる。厚さの下限値は15μm、20μmの順に好ましい。
図21は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の隔膜7において、面積抵抗値と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は面積抵抗値[Ω・cm2 ]である。
図21より、結晶子サイズが20Å以上80Å以下である前記実施例の隔膜7の面積抵抗値が良好であることが分かる。結晶子サイズの上限値は70Å、60Åの順に好ましい。
図22は、エチレン比率が25〜29%で厚さが10μmである実施例の隔膜7において、5価イオン透過濃度と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は5価イオン透過濃度[mmol/L]である。
図22より、結晶子サイズが20Å以上80Å以下である前記実施例の隔膜7の5価イオン透過濃度が良好であることが分かる。結晶子サイズの下限値は、30Å、33Åの順に好ましい。
図23は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、面積抵抗値と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は面積抵抗値[Ω・cm2 ]である。
図23より、格子定数が4.36Å以上4.42Å以下である前記実施例の隔膜7の面積抵抗値が良好であることが分かる。格子定数の下限値は4.37Å、4.38Åの順に好ましい。
図24は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、5価イオン透過濃度と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は5価イオン透過濃度[mmol/L]である。
図24より、格子定数が4.36Å以上4.42Å以下である前記実施例の隔膜7の5価イオン透過濃度が良好であることが分かる。格子定数の上限値は、4.41Åであるのが好ましい。
図25は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図25より、隔膜7の結晶子サイズが13Å以上88Å以下である前記実施例の場合、充電レート特性が良好であることが分かる。結晶子サイズの下限値は20Å、30Åの順に好ましい。
図26は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図26より、隔膜7の結晶子サイズが13Å以上88Å以下である前記実施例の場合、放電レート特性が良好であることが分かる。結晶子サイズの下限値は20Å、30Åの順に好ましい。
図27は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、充電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は充電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図27より、隔膜7の格子定数が4.36Å以上4.42Å以下である前記実施例の場合、充電レート特性が良好であることが分かる。格子定数の上限値は4.41Åが好ましい。
図28は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、放電レート特性@10mA/cm2 と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は放電レート特性@10mA/cm2 [Wh/L]である。
図28より、隔膜7の格子定数が4.36Å以上4.42Å以下である前記実施例の場合、放電レート特性が良好であることが分かる。格子定数の上限値は4.41Åが好ましい。
図29は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、20サイクル目CEと結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は20サイクル目CE[%]である。
図29より、隔膜7の結晶子サイズが13Å以上80Å以下である前記実施例の場合、20サイクル目CEが良好であることが分かる。結晶子サイズの下限値は20Å、30Åの順に好ましい。
図30は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、20サイクル目CEと格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は20サイクル目CE[%]である。
図30より、隔膜7の格子定数が4.36Å以上4.42Å以下である前記実施例の場合、20サイクル目CEが良好であることが分かる。格子定数の上限値は4.41Åが好ましい。
図31は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、電圧維持率と結晶子サイズとの関係を示すグラフであり、横軸は結晶子サイズ[Å]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図31より、隔膜7の結晶子サイズが13Å以上80Å以下である前記実施例の場合、電圧維持率が良好であることが分かる。電圧維持率の下限値は20Å、30Åの順に好ましい。
図32は、エチレン比率が25〜29mol%で厚さが10μmである実施例の電池において、電圧維持率と格子定数との関係を示すグラフであり、横軸は格子定数[Å]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図32より、隔膜7の格子定数が4.36Å以上4.42Å以下である前記実施例の場合、電圧維持率が良好であることが分かる。格子定数の上限値は4.41Åが好ましい。
以上のグラフ、並びに表2及び表4より、エチレン比率が30mol%以下であるEVOHを含み、結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下である実施例の電池の隔膜7は面積抵抗値とイオン選択性とをバランス良く有し、該隔膜7を有する電池はサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好であることが確認された。
要求される電池のサイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性の内容に応じて、エチレン比率、厚さ、格子定数又は結晶子サイズを設定し、面積抵抗値、及び5価イオン透過濃度を制御した隔膜7を選択することができる。
以上のように、本発明に係るバナジウムレドックス二次電池1、11、12は、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む正の電極50と、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む負の電極60と、前記正の電極50及び負の電極60を区画する隔膜7とを備え、前記隔膜7は、エチレン比率が30mol%以下であるエチレンビニルアルコール共重合体を含み、前記エチレンビニルアルコール共重合体の、X線回折パターンから求めた結晶子サイズは、1.3nm以上8.8nm以下であることを特徴とする。
本発明においては、サイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。そして、エチレンビニルアルコール共重合体が安価であるので、電池1、11、12の材料費が安価になり、電池全体の製造コストを低減させることができる。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池1、11、12は、上述のバナジウムレドックス二次電池1、11、12において、X線回折パターンから求めた前記エチレンビニルアルコール共重合体の格子定数は0.435nm以上0.453nm以下であることを特徴とする。
本発明においては、サイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性がより良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池1、11、12は、上述のバナジウムレドックス二次電池1、11、12において、0.5M硫酸中において1kHzで測定した前記隔膜7の面積抵抗値は10Ω・cm2以下であることを特徴とする。
本発明においては、隔膜7の面積抵抗値が10Ω・cm2以下であるので、高電流密度で入出力したときの容量維持率(レート維持率)が良好であり、即ち入出力特性が良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池1、11、12は、上述のバナジウムレドックス二次電池1、11、12において、前記隔膜7の厚さは90μm以下であることを特徴とする。
本発明においては、隔膜7の面積抵抗値が低く、イオン選択性も良好であるので、サイクル特性、入出力特性、及び自己放電特性が良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池1、11、12は、上述のバナジウムレドックス二次電池1、11、12において、前記エチレン比率は21mol%以上であることを特徴とする。
本発明においては、隔膜7の面積抵抗値が低く、かつイオン選択性が高く、電池1、11、12のサイクル特性、クーロン効率、及び自己放電特性が良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池11は、上述のバナジウムレドックス二次電池11において、前記隔膜7と前記正の電極50との間に陰イオン交換樹脂を含む第1層8を有することを特徴とする。
本発明においては、正の電極50における酸化が抑制される。そして、電池11のサイクル特性及び自己放電特性がより良好になる。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池12は、上述のバナジウムレドックス二次電池11において、前記隔膜7と前記負の電極60との間にさらに陰イオン交換樹脂を含む第2層9を有することを特徴とする。
本発明においては、サイクル特性及び自己放電特性がより良好になる。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池11、12は、上述のバナジウムレドックス二次電池11、12において、前記第1層8の陰イオン交換樹脂は、フッ素系陰イオン交換樹脂であることを特徴とする。
本発明においては、耐酸化性が良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池11、12は、上述のバナジウムレドックス二次電池11、12において、前記第1層8又は前記第2層9の厚さは50μm以下であることを特徴とする。
本発明においては、抵抗の増加が抑制される。
本発明に係る電池用イオン伝導性膜は、エチレン比率が30mol%以下であり、X線回折パターンから求めた結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下であるエチレンビニルアルコール共重合体を含む基層7を有することを特徴とする。
本発明においては、電池用イオン伝導性膜を備える電池のサイクル特性、入力特性、出力特性、及び自己放電特性が良好である。
そして、エチレンビニルアルコール共重合体が安価であるので、材料費が安価になり、電池用イオン伝導性膜の製造コストが低い。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、バナジウムレドックス二次電池は、一対の電極材を備える場合に限定されず、複数対の電極材を備えることにしてもよい。
また、シーラント54、64を備える場合に限定されない。
1、11、12 バナジウムレドックス二次電池
2 外装袋
3 正極端子
4 負極端子
5、6 電極材
50 電極(正極)
60 電極(負極)
51、61 導電体
52、62 保護層
54、64 シーラント
7 隔膜
8、9 陰イオン交換膜

Claims (10)

  1. バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む正の電極と、
    バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む負の電極と、
    前記正の電極及び負の電極を区画する隔膜と
    を備え、
    前記隔膜は、
    エチレン比率が30mol%以下であるエチレンビニルアルコール共重合体を含み、
    前記エチレンビニルアルコール共重合体の、X線回折パターンから求めた結晶子サイズは、1.3nm以上8.8nm以下であることを特徴とするバナジウムレドックス二次電池。
  2. X線回折パターンから求めた前記エチレンビニルアルコール共重合体の格子定数は0.435nm以上0.453nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  3. 0.5M硫酸中において1kHzで測定した前記隔膜の面積抵抗値は10Ω・cm2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  4. 前記隔膜の厚さは90μm以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  5. 前記エチレン比率は21mol%以上であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  6. 前記隔膜と前記正の電極との間に陰イオン交換樹脂を含む第1層を有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  7. 前記隔膜と前記負の電極との間に陰イオン交換樹脂を含む第2層を有することを特徴とする請求項6に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  8. 前記第1層の陰イオン交換樹脂は、フッ素系陰イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項6又は7に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  9. 前記第1層又は前記第2層の厚さは50μm以下であることを特徴とする請求項6から8までのいずれか1項に記載のバナジウムレドックス二次電池。
  10. エチレン比率が30mol%以下であり、X線回折パターンから求めた結晶子サイズが1.3nm以上8.8nm以下であるエチレンビニルアルコール共重合体を含む基層を有することを特徴とする電池用イオン伝導性膜。
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