JP2017183017A - バナジウムレドックス二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好なサイクル特性を有し、容量を良好に維持することができるバナジウムレドックス二次電池を提供する。【解決手段】バナジウムレドックス二次電池1は、バナジウムイオン、又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む電極50及び電極60と、電極50及び電極60を区画するイオン交換膜(陰イオン交換膜)7と、イオン交換膜7を迂回して電極50及び電極60とを接続するバイパス部材8とを備える。バイパス部材8により、電極60に移動したバナジウムイオン、硫酸イオン、及び水等の物質を電極50に戻すことができる。【選択図】図2
Description
本発明は、活物質として、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンを含有し、活物質による酸化還元反応を利用して充放電を行うバナジウムレドックス二次電池に関する。
二次電池は、デジタル家電製品、電気自動車、ハイブリッド自動車及び太陽光発電設備等に広く用いられている。この電池として、リチウムイオン二次電池、バナジウムレドックス二次電池(特許文献1)等が挙げられる。バナジウムレドックス二次電池は、2組の酸化還元対を利用して、イオンの価数変化によって充放電を行う。活物質としては、バナジウムイオン又はバナジウムを含むイオンが用いられる。
バナジウムレドックス二次電池は、活物質、導電助剤としての炭素材料、及び硫酸等の酸性電解液を有する電極と、電極が配される銅等の導電体とを備える電極材を、極性が異なる電極材がイオン交換膜(陰イオン交換膜)を介して対向する状態で複数並設し、外装袋に収容することにより構成される。このバナジウムレドックス二次電池は、さらにケースに収容されることもある。
バナジウムレドックス二次電池において、イオン交換膜として陰イオン交換膜を用いる場合、長期間充放電を繰り返したり、一定の電位で長時間放置したりしたとき、陰イオン交換膜を介して正極から負極へバナジウムイオン、硫酸イオン、水等が移動し、容量が低下するという問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、良好なサイクル特性を有し、容量を良好に維持することができるバナジウムレドックス二次電池を提供することを目的とする。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、バナジウムイオン、又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む正極及び負極と、前記正極及び前記負極を区画する陰イオン交換膜と、前記陰イオン交換膜を迂回して前記正極と前記負極とを接続するバイパス部材とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、陰イオン交換膜を迂回して正極と負極とを接続するバイパス部材を備えるので、負極に移動したバナジウムイオン、硫酸イオン、及び水等の物質を正極に戻すことができる。従って、バナジウムレドックス二次電池は良好なサイクル特性を有し、容量を良好に維持することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
1.バナジウムレドックス二次電池
図1及び図2に示すように、実施の形態に係るバナジウムレドックス二次電池1(以下、電池1という)は、外装袋2と、外装袋2の周縁部の一部から突出した正極端子3及び負極端子4と、正極の電極材5と、負極の電極材6とを備える。正極端子3,負極端子4は、基端部側がシール材30,40に覆われた状態で、外装袋2の周縁部の一部から突出している。この電池1単体、又は該電池1と他の電池1とを組み合わせてケース(不図示)に収容してもよい。
1.バナジウムレドックス二次電池
図1及び図2に示すように、実施の形態に係るバナジウムレドックス二次電池1(以下、電池1という)は、外装袋2と、外装袋2の周縁部の一部から突出した正極端子3及び負極端子4と、正極の電極材5と、負極の電極材6とを備える。正極端子3,負極端子4は、基端部側がシール材30,40に覆われた状態で、外装袋2の周縁部の一部から突出している。この電池1単体、又は該電池1と他の電池1とを組み合わせてケース(不図示)に収容してもよい。
電極材5は、電極50、導電体51、保護層52、及びシーラント54を備える。
導電体51は角型平板状をなし、前記外装袋2の、図2における下側の半体22の上面に配されており、導電体51の上面は保護層52により覆われている。保護層52の上面の周縁部の内側には、活物質、導電助剤としての炭素材料、バインダ、及び水系電解液を有する角型平板状の電極50が設けられている。
シーラント54は縁部を有する枠状をなし、前記周縁部及び半体22に接着されており、半体22及び保護層52とにより導電体51を封止する。
導電体51は角型平板状をなし、前記外装袋2の、図2における下側の半体22の上面に配されており、導電体51の上面は保護層52により覆われている。保護層52の上面の周縁部の内側には、活物質、導電助剤としての炭素材料、バインダ、及び水系電解液を有する角型平板状の電極50が設けられている。
シーラント54は縁部を有する枠状をなし、前記周縁部及び半体22に接着されており、半体22及び保護層52とにより導電体51を封止する。
以下、電極材5の各部、及び外装袋2の半体22について詳述する。
半体22は電解液非透過性である。半体22は、合成樹脂層及び金属層を含有するラミネートシートからなるのが好ましい。
合成樹脂層の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミド等が挙げられる。金属層の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、ステンレス、チタン、チタン合金等が挙げられる。
半体22の厚みは特に限定されないが、15〜250μmであるのが好ましい。厚みが15〜250μmである場合、十分な強度を有するとともに、電池の体積エネルギー密度が向上する。
半体22は電解液非透過性である。半体22は、合成樹脂層及び金属層を含有するラミネートシートからなるのが好ましい。
合成樹脂層の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミド等が挙げられる。金属層の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、ステンレス、チタン、チタン合金等が挙げられる。
半体22の厚みは特に限定されないが、15〜250μmであるのが好ましい。厚みが15〜250μmである場合、十分な強度を有するとともに、電池の体積エネルギー密度が向上する。
導電体51の平面面積は半体22の平面面積より小さい。
導電体51は、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属箔からなるのが好ましい。厚みは、5〜100μmであるのが好ましい。厚みが100μm以下である場合、電池の体積エネルギー密度、重量エネルギー密度が向上する。
導電体51は、周縁部の一部から突出したタブ(不図示)を有し、タブの先端部は正極端子3に接続されている。
導電体51は、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属箔からなるのが好ましい。厚みは、5〜100μmであるのが好ましい。厚みが100μm以下である場合、電池の体積エネルギー密度、重量エネルギー密度が向上する。
導電体51は、周縁部の一部から突出したタブ(不図示)を有し、タブの先端部は正極端子3に接続されている。
保護層52は、導電体51の一面に、グラファイトシートを例えば導電性の接着シートを介し設けてなる。保護層52の厚みは1〜100μmであるのが好ましい。この場合、電極50と導電体51との電気伝導性の低下を抑制でき、電池1の内部抵抗を小さくすることができる。
なお、保護層52の材質はグラファイトシートには限定されない。保護層52は導電性かつ電解液非透過性であればよく、導電性フィルム、シート状の導電性ゴムを用いることにしてもよい。また、導電体51の一面に黒鉛でコーティングすることにより、保護層52を形成することにしてもよい。また、水系電解液が酸性又はアルカリ性ではなく、導電体51が腐食等される虞がない場合は、保護層52を備えていなくてもよい。
なお、保護層52の材質はグラファイトシートには限定されない。保護層52は導電性かつ電解液非透過性であればよく、導電性フィルム、シート状の導電性ゴムを用いることにしてもよい。また、導電体51の一面に黒鉛でコーティングすることにより、保護層52を形成することにしてもよい。また、水系電解液が酸性又はアルカリ性ではなく、導電体51が腐食等される虞がない場合は、保護層52を備えていなくてもよい。
なお、本実施の形態において、以後、符号を付さずに単に「集電体」と記載するときは、「導電体51(又は61)及び保護層52(又は62)」、又は「導電体51(又は61)単体」、を意味する。
電極50は、上述したように保護層52の上面の周縁部の内側に、即ち保護層52の上面の周縁部以外の部分に設けられている。
電極50においては、導電助剤としての炭素材料に、酸化還元反応によって、5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウム(V)イオン、又は5価及び4価の間で酸化数が変化するVを含むイオンを含有するバナジウム固体塩を正極活物質として含有する固体状の化合物を含む析出物が担持されている。
電極50においては、導電助剤としての炭素材料に、酸化還元反応によって、5価及び4価の間で酸化数が変化するバナジウム(V)イオン、又は5価及び4価の間で酸化数が変化するVを含むイオンを含有するバナジウム固体塩を正極活物質として含有する固体状の化合物を含む析出物が担持されている。
5価及び4価の間で酸化数が変化する前記Vを含むイオンとしては、VO2+(IV)、VO2 +(V )が例示される。
正極用の活物質であるバナジウム化合物としては、硫酸酸化バナジウム(IV)(VOSO4 ・nH2 O)、硫酸酸化バナジウム(V)((VO2 )2 SO4 ・nH2 O)を挙げることができる。なお、nは0から5の整数を示す。
正極用の活物質であるバナジウム化合物としては、硫酸酸化バナジウム(IV)(VOSO4 ・nH2 O)、硫酸酸化バナジウム(V)((VO2 )2 SO4 ・nH2 O)を挙げることができる。なお、nは0から5の整数を示す。
バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVDF/HFP)等が挙げられる。
電極50の炭素材料としては、アセチレンブラック,ケッチェンブラック(登録商標)等のカーボンブラック、及びグラファイト等が挙げられる。炭素材料は1種又は2種以上を用いることができる。
電極50に含まれる水系電解液は、硫酸水溶液であるのが好ましい。硫酸水溶液として、例えば濃度が90質量%未満の硫酸を用いることができる。電解液は、電池のSOCを0〜100%まで取り得るのに過不足のない量である。電解液の量は、例えばバナジウム化合物100gに対して、2M(mol/L)の硫酸70mLである。
電極50に含まれる水系電解液は、硫酸水溶液であるのが好ましい。硫酸水溶液として、例えば濃度が90質量%未満の硫酸を用いることができる。電解液は、電池のSOCを0〜100%まで取り得るのに過不足のない量である。電解液の量は、例えばバナジウム化合物100gに対して、2M(mol/L)の硫酸70mLである。
シーラント54は上述したように枠状をなし、角筒状の枠本体の上端部に、内側に張り出した内側縁部54aを備え、枠本体の下端部に、外側に張り出した外側縁部54bを備える。即ち、シーラント54は平面視で、内側縁部54a(電極50の外側部分)の外側に、外側縁部54bが位置するように構成されている。
シーラント54の内側縁部54aは保護層52の上面の周縁部に接着されており、内側縁部54aの内側面は電極50の側面に接着されている。
外側縁部54bは半体22の導電体51側の面の、導電体51の外側に接着されている。これにより、導電体51及び保護層52は、半体22とシーラント54とに挟着されている。即ち、半体22、保護層52、及びシーラント54により、導電体51は封止された状態で、導電体51は半体22に固定されている。なお、導電体51の側面はシーラント54に接着されていてもよく、接着されていなくてもよい。
外側縁部54bは半体22の導電体51側の面の、導電体51の外側に接着されている。これにより、導電体51及び保護層52は、半体22とシーラント54とに挟着されている。即ち、半体22、保護層52、及びシーラント54により、導電体51は封止された状態で、導電体51は半体22に固定されている。なお、導電体51の側面はシーラント54に接着されていてもよく、接着されていなくてもよい。
シーラント54の材料としては、例えばポリプロピレン又はポリエチレン等が挙げられる。ポロプロピレン又はポリエチレン等を用いることにより、熱溶着で容易に導電体51を封止することが可能となる。
電極材6は電極材5と同様の構成を有し、電極60、導電体61、保護層62、及びシーラント64を備える。導電体61は角型平板状をなし、外装袋1の半体21の図2における下面に配されており、導電体61の下面は保護層62により覆われている。保護層62の下面の周縁部の内側には、活物質、炭素材料、バインダ、及び水系電解液を有する角型平板状の電極60が設けられている。シーラント64は枠状をなし、角筒状の枠本体の下端部に、内側に張り出した内側縁部64aを備え、枠本体の上端部に、外側に張り出した外側縁部64bを備える。内側縁部64aは前記周縁部に接着され、外側縁部64bは半体21に接着され、シーラント64は半体21及び保護層62とにより導電体61を封止する。
電極材6の導電体61は、周縁部の一部から突出したタブ(不図示)を有し、タブの先端部は負極端子4に接続されている。
電極材6の導電体61、保護層62、及びシーラント64は電極材5と同様の材料を用いてなる。
電極材6の導電体61は、周縁部の一部から突出したタブ(不図示)を有し、タブの先端部は負極端子4に接続されている。
電極材6の導電体61、保護層62、及びシーラント64は電極材5と同様の材料を用いてなる。
電極60においては、導電助剤としての炭素材料に、酸化還元反応によって、2価及び3価の間で酸化数が変化するVイオン、又は2価及び3価の間で酸化数が変化するVを含むイオンを含有するバナジウム固体塩を負極活物質として含有する固体状の化合物を含む析出物が担持されている。
2価及び3価の間で酸化数が変化する前記Vイオンとしては、V2+(II)、V3+(III )が例示される。
負極用の活物質であるバナジウム化合物としては、硫酸バナジウム(II)(VSO4 ・nH2 O)、硫酸バナジウム(III )(V2 (SO4 )3 ・nH2 O)が挙げられる。なお、nは0から10の整数を示す。
負極用の活物質であるバナジウム化合物としては、硫酸バナジウム(II)(VSO4 ・nH2 O)、硫酸バナジウム(III )(V2 (SO4 )3 ・nH2 O)が挙げられる。なお、nは0から10の整数を示す。
前記イオン交換膜7はシーラント54の内側縁部54aの上面、及びシーラント64の内側縁部64aの下面に接着されている。
イオン交換膜7は陰イオン交換膜であり、低い膜抵抗値を維持しつつ、イオン選択性が良好であり、水素イオン(プロトン)又は硫酸イオンを通過させることができる。
イオン交換膜7は陰イオン交換膜であり、低い膜抵抗値を維持しつつ、イオン選択性が良好であり、水素イオン(プロトン)又は硫酸イオンを通過させることができる。
本実施の形態に係る電池1は、イオン交換膜7を迂回して電極50と電極60とを接続するバイパス部材8を備える。
バイパス部材8は板状の部材であり、図2に示すように、長手方向の中央部で折り曲げられ、イオン交換膜7の一辺の中央部を挟む状態で、即ち内面がイオン交換膜7に接触した状態で設けられている。バイパス部材8の外面の端部寄りの部分は内側縁部54a,64aに接触し、外面の両端部は、夫々電極50,60に接触している。なお、バイパス部材8は板状である場合には限定されず、チューブ状、又はロッド状であってもよい。
バイパス部材8は板状の部材であり、図2に示すように、長手方向の中央部で折り曲げられ、イオン交換膜7の一辺の中央部を挟む状態で、即ち内面がイオン交換膜7に接触した状態で設けられている。バイパス部材8の外面の端部寄りの部分は内側縁部54a,64aに接触し、外面の両端部は、夫々電極50,60に接触している。なお、バイパス部材8は板状である場合には限定されず、チューブ状、又はロッド状であってもよい。
バイパス部材8の材料としては、陽イオン交換膜、多孔質膜等が挙げられる。多孔質膜として、例えばポリオレフィンの不織布、若しくはポリオレフィンの延伸多孔質フィルム、又はそれらにシリカを含んだものが挙げられる。
イオン交換膜7の、電極50と電極60とが対向する方向の抵抗値(膜抵抗値)に対する、バイパス部材8の、電極50と電極60とを接続する方向の抵抗値であるバイパス抵抗値の比率は大きいことが好ましい。
バイパス抵抗値は、2×104 Ω以上5×106 Ω以下であることが好ましい。バイパス部材8が多孔質膜からなる場合、バイパス抵抗値の下限値は1.5×105 Ωがより好ましく、2×105 Ωがさらに好ましく、5×105 Ωが特に好ましい。バイパス部材8が陽イオン交換膜からなる場合、バイパス抵抗値の下限値は4×104 Ωがより好ましく、1×105 Ωがさらに好ましい。
イオン交換膜7の抵抗値に対するバイパス抵抗値の比率(抵抗値比)は、8×105 以上2×108以下であることが好ましい。バイパス部材8が多孔質膜からなる場合、抵抗値比の下限値は1×106 がより好ましく、7×106 がさらに好ましく、1×107 が特に好ましい。バイパス部材8が陽イオン交換膜からなる場合、抵抗値比の下限値は9×105 がより好ましく、1×106 がさらに好ましく、4×106 が特に好ましい。
電極50,60のイオン交換膜7と接している面の面積に対するバイパス抵抗値の比率は、3.5×103 Ω/cm2 以上7×105 Ω/cm2 以下であることが好ましい。バイパス部材8が多孔質膜からなる場合、前記比率の下限値は2×104 Ω/cm2 がより好ましく、3×104 Ω/cm2 がさらに好ましく、8×104 Ω/cm2 が特に好ましい。バイパス部材8が陽イオン交換膜からなる場合、前記比率の下限値は4×103 Ω/cm2 がより好ましく、6×103 Ω/cm2 がさらに好ましく、1.5×104 が特に好ましい。
電極50及び60のイオン交換膜7と接している部分の合計の体積に対するバイパス抵抗値の比率は、1×105 Ω/cm3 以上2×107 Ω/cm3 以下であることが好ましい。バイパス部材8が多孔質膜からなる場合、前記比率の下限値は7×105 Ω/cm3 がより好ましく、2×106 Ω/cm3 がさらに好ましい。バイパス部材8が陽イオン交換膜からなる場合、前記比率の下限値は1.5×105 がより好ましく、5×105 がさらに好ましい。
(変形例1)
図3は、変形例1に係る電池1の模式的断面図である。
電池1のバイパス部材8は、曲げられたときの一端部の外面が保護層52に、内面が内側縁部54a及び電極50に接触し、他端部の外面が保護層62に、内面が内側縁部64a及び電極60に接触するように設けられている。
図3は、変形例1に係る電池1の模式的断面図である。
電池1のバイパス部材8は、曲げられたときの一端部の外面が保護層52に、内面が内側縁部54a及び電極50に接触し、他端部の外面が保護層62に、内面が内側縁部64a及び電極60に接触するように設けられている。
(変形例2)
図4は、変形例2に係る電池1の模式的断面図である。
電池1のバイパス部材8は、曲げられたときの一端部寄りの部分の内面がイオン交換膜7に接触し、該部分の外面は内側縁部54a及び電極50に接触している。他端部寄りの部分の外面は保護層62に接触し、内面は内側縁部64a及び電極60に接触している。
図4は、変形例2に係る電池1の模式的断面図である。
電池1のバイパス部材8は、曲げられたときの一端部寄りの部分の内面がイオン交換膜7に接触し、該部分の外面は内側縁部54a及び電極50に接触している。他端部寄りの部分の外面は保護層62に接触し、内面は内側縁部64a及び電極60に接触している。
バイパス部材8の配置箇所は図2〜図4の場合に限定されるものではない。図4の場合とは逆に、曲げられたときの一端部寄りの部分の内面がイオン交換膜7に接触し、該部分の外面は内側縁部64a及び電極60に接触し、他端部寄りの部分の外面は保護層52に接触し、内面は内側縁部54a及び電極50に接触するようにしてもよい。
また、バイパス部材8の配置箇所は、イオン交換膜7の一辺の中央部には限定されず、個数も1個である場合には限定されない。
また、バイパス部材8の配置箇所は、イオン交換膜7の一辺の中央部には限定されず、個数も1個である場合には限定されない。
以上のように構成された電池1の電極材5の電極50と電極材6の電極60との間において、下記式(1)及び(2)の反応が生じる。
正極:VOX2 ・nH2 O(s)⇔VO2 X・(n−1)H2 O(s)+HX+H+ +e- …(1)
負極:VX3 ・nH2 O(s)+H++e- ⇔VX2 ・nH2 O(s)+HX…(2)
式中、Xは1価の陰イオンを表す。Xがm価の陰イオンである場合、結合係数(1/m)が考慮される。nは種々の値をとり得る。
正極:VOX2 ・nH2 O(s)⇔VO2 X・(n−1)H2 O(s)+HX+H+ +e- …(1)
負極:VX3 ・nH2 O(s)+H++e- ⇔VX2 ・nH2 O(s)+HX…(2)
式中、Xは1価の陰イオンを表す。Xがm価の陰イオンである場合、結合係数(1/m)が考慮される。nは種々の値をとり得る。
前記式(1)及び(2)の反応を利用して電池1の充放電が行われる。このとき、正極端子3,負極端子4を介して、外部の負荷又は充電器等との間で充放電が行われる。式(1)及び(2)の反応においてイオン交換膜7を介して、電極50,60間でプロトンが移動する。
なお、電極材5のバナジウム化合物としてVOSO4 ・nH2 Oを用い、電極材6のバナジウム化合物としてV2 (SO4 )3 ・nH2 Oを用いた場合の各物質の反応を以下に示す。
正極:2VOSO4 ・nH2 O(s)⇔(VO2 )2 SO4 ・(n−2)H2 O(s)+H2 SO4 +2H+ +2e- …(3)
負極:V2 (SO4 )3 ・nH2 O(s)+2H+ +2e- ⇔2VSO4 ・nH2 O(s)+H2 SO4 …(4)
正極:2VOSO4 ・nH2 O(s)⇔(VO2 )2 SO4 ・(n−2)H2 O(s)+H2 SO4 +2H+ +2e- …(3)
負極:V2 (SO4 )3 ・nH2 O(s)+2H+ +2e- ⇔2VSO4 ・nH2 O(s)+H2 SO4 …(4)
2.バナジウムレドックス二次電池の製造方法
以下、本発明の電池1の製造方法について説明する。
電池1は、正極の電極材5と負極の電極材6とを各別に作製するのではなく、単一の電極材を作製した後、正極側及び負極側のいずれに用いるかを使い分けし、電池1の組立後の通電によって、正極の電極材5及び負極の電極材6を形成することができる。電極50,60の厚みを変える場合等においては、電極材5,6を各別に作製する。
以下、本発明の電池1の製造方法について説明する。
電池1は、正極の電極材5と負極の電極材6とを各別に作製するのではなく、単一の電極材を作製した後、正極側及び負極側のいずれに用いるかを使い分けし、電池1の組立後の通電によって、正極の電極材5及び負極の電極材6を形成することができる。電極50,60の厚みを変える場合等においては、電極材5,6を各別に作製する。
まず、炭素材料に、3価のバナジウム化合物としてのV2 (SO4 )3・nH2O、4価のバナジウム化合物としてのVOSO4 ・nH2O、及びバインダを配合し、攪拌機により混合することにより混合粉を得る。炭素材料、活物質、及びバインダの組成は、要求される容量、乾燥条件、及び外部環境(気温、湿度)等に応じて決定する。
次に、前記混合粉に水系電解液を配合し、プラネタリーミキサ等を用いて混練することにより、混練物を得る。
前記混練物はロールプレス等により圧延成形され、電極形状に打ち抜かれて集電体に配置される。ここで、集電体としては、上述の「導電体51(又は61)単体」、及び「導電体51(又は61)及び保護層52(又は62)」等が挙げられる。
上述したように、電極材を電極材5用,電極材6用に使い分ける。
上述したように、電極材を電極材5用,電極材6用に使い分ける。
図2に示す電池1の場合、電極材5の電極50と電極材6の電極60との間に、一辺の中央部をバイパス部材8により挟んだ状態でイオン交換膜7を配し、シーラント54,64を電極50,60の周囲に配する。
電極材5の集電体側に外装袋2の半体22を、電極材6の集電体側に半体21を配し、熱プレス等により、半体22,電極材5,イオン交換膜7,電極材6、及び半体21を一体化する。
電極材5の集電体側に外装袋2の半体22を、電極材6の集電体側に半体21を配し、熱プレス等により、半体22,電極材5,イオン交換膜7,電極材6、及び半体21を一体化する。
そして、半体21,22の周縁部の一部から正極端子3及び負極端子4が突出する状態で、周縁部を圧接し、接着することにより外装袋2が形成され、電池1が得られる。なお、半体21,22は最初から一体化されていてもよい。
電池の組み立て後の通電により、正極の電極材5のバナジウム化合物の価数が4価、負極の電極材6のバナジウム化合物の価数が3価になる。
図3及び図4の電池1も同様にして製造される。
図3及び図4の電池1も同様にして製造される。
以上のように構成された本実施の形態に係る電池1は、イオン交換膜7を迂回して電極50と電極60とを接続するバイパス部材8を備えるので、電極60に移動したバナジウムイオン、硫酸イオン、及び水等の物質を電極50に戻すことができる。従って、電池1は良好なサイクル特性を有し、容量を良好に維持することができる。さらに、バイパス部材8の抵抗値を制御することで、バイパス部材8中のバナジウムイオンの移動を抑制することができる。従って、電池1は、良好な自己放電特性(電圧維持率及び残電流容量)を有する。また、40℃以上の高温下において5価のバナジウムは、酸化物(5酸化バナジウム)として安定に存在するが、この酸化物は化学反応に寄与しないため、容量が劣化することになる。しかしながら、本実施の形態に係る電池1においては、電極60から2価及び3価のバナジウムイオンが電極50に移動することが可能であるため、前記酸化物は2価及び3価のバナジウムイオンにより還元され、再び硫酸錯体やイオンの形態となり、化学反応に寄与することが可能となる。従って、本実施の形態に係る電池1は、高温環境下での容量低下が抑制される。
また、本実施の形態においては、導電体51は、シーラント54、保護層52、及び半体22により封止され、電極50はイオン交換膜7と、シーラント54aとにより包囲されているので、電極50に含まれる酸性の電解液が導電体51に接触することがなく、導電体51の腐食が防止されている。同様に、導電体61は、シーラント64、保護層62、及び半体21により封止され、電極60はイオン交換膜7と、シーラント64aとにより包囲されているので、電極60に含まれる酸性の電解液が導電体61と反応することがなく、導電体61の腐食が防止されている。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
1.電池の製造
[実施例1]
炭素材料としてのカーボンブラック(「ケッチェンブラック(登録商標)EC600JD」、株式会社ライオン製)を2800℃で焼成したもの2.93gに、3価のバナジウム化合物としてのV2 (SO4 )3・nH2O(自社製)を2.89g、4価のバナジウム化合物としてのVOSO4・nH2O(新興化学株式会社製)を2.5g、バインダとしてのPTFE(「6−J」、三井デュポンフロロケミカル株式会社製)を0.08g配合して、上述の混合粉を得た。
次に、この混合粉2.0gに1M硫酸1.28mLを配合して混練し、上述の混練物を得た。該混練物をロールプレス等により圧延成形し、打ち抜いて電極を得た。ここで、電極は電極50用,電極60用に分けて作製した。電極50の厚みは180μm、電極60の厚みは180μmである。
銅箔からなる導電体にグラファイトシートを接着して集電体を得た。
該集電体に電極50,60を夫々配置して電極材5,6を作製した。
イオン交換膜7として、陰イオン交換膜(「VPMX−310」、FuMA−Tech社製)を用いた。
そして、図2に示すように、イオン交換膜7の一辺の中央部を挟むようにバイパス部材8を設け、半体22,電極材5,イオン交換膜7,電極材6、及び半体21を一体化し、実施例1の電池1を得た。バイパス部材8は多孔質膜である。
[実施例1]
炭素材料としてのカーボンブラック(「ケッチェンブラック(登録商標)EC600JD」、株式会社ライオン製)を2800℃で焼成したもの2.93gに、3価のバナジウム化合物としてのV2 (SO4 )3・nH2O(自社製)を2.89g、4価のバナジウム化合物としてのVOSO4・nH2O(新興化学株式会社製)を2.5g、バインダとしてのPTFE(「6−J」、三井デュポンフロロケミカル株式会社製)を0.08g配合して、上述の混合粉を得た。
次に、この混合粉2.0gに1M硫酸1.28mLを配合して混練し、上述の混練物を得た。該混練物をロールプレス等により圧延成形し、打ち抜いて電極を得た。ここで、電極は電極50用,電極60用に分けて作製した。電極50の厚みは180μm、電極60の厚みは180μmである。
銅箔からなる導電体にグラファイトシートを接着して集電体を得た。
該集電体に電極50,60を夫々配置して電極材5,6を作製した。
イオン交換膜7として、陰イオン交換膜(「VPMX−310」、FuMA−Tech社製)を用いた。
そして、図2に示すように、イオン交換膜7の一辺の中央部を挟むようにバイパス部材8を設け、半体22,電極材5,イオン交換膜7,電極材6、及び半体21を一体化し、実施例1の電池1を得た。バイパス部材8は多孔質膜である。
下記の表1の数値例のNo.1が実施例1に相当する。そして、後述する実施例2〜15が表1の数値例のNo.2〜15に相当し、比較例1が数値例のNo.16に相当する。
実施例1のバイパス部材8の厚み[μm]、長手方向の長さ[mm]、短手方向の幅[mm]、及びバイパス抵抗値[Ω]を表1に示す。バイパス抵抗値は、後述のようにして求めた。
表1には、イオン交換膜7の膜抵抗値[Ω]、膜抵抗値に対するバイパス抵抗値の比率(抵抗値比)、電極50の面積当たりのバイパス抵抗値[Ω/cm2 ](電極50の体積に対するバイパス抵抗値の比率)、電極50の体積当たりのバイパス抵抗値[Ω/cm3 ](電極50の体積に対するバイパス抵抗値の比率)も示してある。
表1には、イオン交換膜7の膜抵抗値[Ω]、膜抵抗値に対するバイパス抵抗値の比率(抵抗値比)、電極50の面積当たりのバイパス抵抗値[Ω/cm2 ](電極50の体積に対するバイパス抵抗値の比率)、電極50の体積当たりのバイパス抵抗値[Ω/cm3 ](電極50の体積に対するバイパス抵抗値の比率)も示してある。
イオン交換膜7の膜抵抗値は、AGCエンジニアリング株式会社のイオン交換膜抵抗測定器を用いて面積抵抗を求め、これをイオン交換膜7が電極と接している面積、即ち電極の平面面積で除することにより、求めた。
面積抵抗の測定条件は、以下の通りである。
電解液:0.5M硫酸
周波数:1kHz
面積抵抗の測定条件は、以下の通りである。
電解液:0.5M硫酸
周波数:1kHz
バイパス部材8のバイパス抵抗値は、上述のイオン交換膜抵抗測定器を用いて厚み方向の抵抗値を求め、該厚み方向の抵抗値を面方向(長手方向)の抵抗値に換算して求めた。ここで、異方性の影響はないと仮定している。
抵抗値の求め方を詳述する。バイパス部材8の前記厚みをt、前記長さをL、前記幅をW、体積抵抗率をρとすると、バイパス部材8の厚み方向の抵抗値R1 は以下の式(5)で表される。
R1 =ρ・t/(L・W)…(5)
一方、前記長手方向の抵抗値R2 は以下の式(6)で表される。
R2 =ρ・L/(W・t)…(6)
前記イオン交換膜抵抗測定器により抵抗値R1 を求めると、ρは以下の式(7)で表される。
ρ=R1 ・(L・W)/t…(7)
求めたρを式(6)に代入することにより、抵抗値R2 が求められる。
また、短冊状にカットしたバイパス部材8を0.5M硫酸に浸漬させた後、4端子法を用いることで、直接、バイパス部材8の面方向の抵抗値R2 を求めることもできる。
抵抗値の求め方を詳述する。バイパス部材8の前記厚みをt、前記長さをL、前記幅をW、体積抵抗率をρとすると、バイパス部材8の厚み方向の抵抗値R1 は以下の式(5)で表される。
R1 =ρ・t/(L・W)…(5)
一方、前記長手方向の抵抗値R2 は以下の式(6)で表される。
R2 =ρ・L/(W・t)…(6)
前記イオン交換膜抵抗測定器により抵抗値R1 を求めると、ρは以下の式(7)で表される。
ρ=R1 ・(L・W)/t…(7)
求めたρを式(6)に代入することにより、抵抗値R2 が求められる。
また、短冊状にカットしたバイパス部材8を0.5M硫酸に浸漬させた後、4端子法を用いることで、直接、バイパス部材8の面方向の抵抗値R2 を求めることもできる。
[実施例2〜6]
バイパス部材8の長さ及び幅を上記表1のように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6の電池1を作製した。バイパス抵抗値、膜抵抗値、抵抗値比、電極面積当たりのバイパス抵抗値、電極体積当たりのバイパス抵抗値も同様に表1に示す。
バイパス部材8の長さ及び幅を上記表1のように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6の電池1を作製した。バイパス抵抗値、膜抵抗値、抵抗値比、電極面積当たりのバイパス抵抗値、電極体積当たりのバイパス抵抗値も同様に表1に示す。
[実施例7〜12]
バイパス部材8として陽イオン交換膜を用い、バイパス部材8の厚み、長さ、幅を表1のように設定したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7〜12の電池1を作製した。バイパス抵抗値、膜抵抗値、抵抗値比、電極面積当たりのバイパス抵抗値、電極体積当たりのバイパス抵抗値も同様に表1に示す。
バイパス部材8として陽イオン交換膜を用い、バイパス部材8の厚み、長さ、幅を表1のように設定したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7〜12の電池1を作製した。バイパス抵抗値、膜抵抗値、抵抗値比、電極面積当たりのバイパス抵抗値、電極体積当たりのバイパス抵抗値も同様に表1に示す。
[実施例13〜15]
イオン交換膜7として、陰イオン交換膜(「VX−05」、FuMA−Tech社製)を用い、バイパス部材8の厚み、長さ、幅を表1のように設定したこと以外は実施例1と同様にして、実施例13〜15の電池1を作製した。バイパス抵抗値、膜抵抗値、抵抗値比、電極面積当たりのバイパス抵抗値、電極体積当たりのバイパス抵抗値も同様に表1に示す。
イオン交換膜7として、陰イオン交換膜(「VX−05」、FuMA−Tech社製)を用い、バイパス部材8の厚み、長さ、幅を表1のように設定したこと以外は実施例1と同様にして、実施例13〜15の電池1を作製した。バイパス抵抗値、膜抵抗値、抵抗値比、電極面積当たりのバイパス抵抗値、電極体積当たりのバイパス抵抗値も同様に表1に示す。
[比較例1]
バイパス部材8を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の電池を作製した。
バイパス部材8を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の電池を作製した。
2.電池の性能評価
上述の各実施例の電池1、及び各比較例の電池について、性能を評価した。
(1)サイクル特性
サイクル特性を調べた結果について説明する。サイクル特性の評価のための充放電条件を下記の表2に示す。
上述の各実施例の電池1、及び各比較例の電池について、性能を評価した。
(1)サイクル特性
サイクル特性を調べた結果について説明する。サイクル特性の評価のための充放電条件を下記の表2に示す。
表2に示すように、4mAで1.47VまでCC充電し、5秒間休止した後、4mAで1.16VまでCC放電を行い、5秒間休止することを1サイクルとし、50サイクルの充放電を実施した。環境温度は45℃である。そして、「サイクル容量維持率」を、(50サイクル目の放電電流容量)/(10サイクル目の放電電流容量)により算出した。
各実施例及び比較例のサイクル容量維持率を下記の表3に示す。
図5は、各実施例及び比較例のバイパス抵抗値とサイクル容量維持率との関係を示すグラフである。横軸はバイパス抵抗値[Ω]、縦軸はサイクル容量維持率[%]である。
図6は、各実施例及び比較例の抵抗値比(バイパス/膜)とサイクル容量維持率との関係を示すグラフである。横軸は抵抗値比、縦軸はサイクル容量維持率[%]である。
図7は、各実施例及び比較例の電極面積当たりバイパス抵抗値とサイクル容量維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極面積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm2 ]、縦軸はサイクル容量維持率[%]である。
図8は、各実施例及び比較例の電極体積当たりバイパス抵抗値とサイクル容量維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極体積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm3 ]、縦軸はサイクル容量維持率[%]である。
図6は、各実施例及び比較例の抵抗値比(バイパス/膜)とサイクル容量維持率との関係を示すグラフである。横軸は抵抗値比、縦軸はサイクル容量維持率[%]である。
図7は、各実施例及び比較例の電極面積当たりバイパス抵抗値とサイクル容量維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極面積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm2 ]、縦軸はサイクル容量維持率[%]である。
図8は、各実施例及び比較例の電極体積当たりバイパス抵抗値とサイクル容量維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極体積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm3 ]、縦軸はサイクル容量維持率[%]である。
表3及び図5〜8より、バイパス部材8を有する実施例の電池1のサイクル特性は、バイパス部材8を有さない比較例1の電池と比較して、大きく向上していることが分かる。
そして、同一のイオン交換膜7、及び同一の多孔質膜からなるバイパス部材8を用いた実施例1,3,5,6を比較することにより、バイパス抵抗値が上がるのに従い、サイクル特性が向上していることが分かる。
そして、同一のイオン交換膜7、及び同一の多孔質膜からなるバイパス部材8を用いた実施例1,3,5,6を比較することにより、バイパス抵抗値が上がるのに従い、サイクル特性が向上していることが分かる。
(2)自己放電特性
次に、自己放電特性を調べた結果について説明する。自己放電特性の評価のための充放電条件を下記の表4に示す。
次に、自己放電特性を調べた結果について説明する。自己放電特性の評価のための充放電条件を下記の表4に示す。
表4に示すように、モード1において、4mAで1.47VまでCC充電し、5秒間休止した後、4mAで1.16VまでCC放電を行い、5秒間休止することを1サイクルとし、20サイクルの充放電を実施した。
モード2において、4mAで1.47VまでCC充電し、80時間放置した際の開回路電圧をモニタリングし、「80h後電圧維持率(%)」を求めた。その後、4mAで1.16VまでCC放電を行い、このときに放電できた容量(「80h後残電流容量(mAh)」)も求めた。
モード3において、4mAで1.47VまでCC充電し、5秒間休止した後、4mAで1.16VまでCC放電を行い、5秒間休止することを1サイクルとし、20サイクルの充放電を実施した。
環境温度は23℃である。
モード2において、4mAで1.47VまでCC充電し、80時間放置した際の開回路電圧をモニタリングし、「80h後電圧維持率(%)」を求めた。その後、4mAで1.16VまでCC放電を行い、このときに放電できた容量(「80h後残電流容量(mAh)」)も求めた。
モード3において、4mAで1.47VまでCC充電し、5秒間休止した後、4mAで1.16VまでCC放電を行い、5秒間休止することを1サイクルとし、20サイクルの充放電を実施した。
環境温度は23℃である。
各実施例及び比較例の80h後電圧維持率、及び80h後残電流容量を上記表3に示す。
図9は、各実施例及び比較例のバイパス抵抗値と80h後の電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸はバイパス抵抗値[Ω]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図10は、各実施例及び比較例の抵抗値比(バイパス/膜)と電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸は抵抗値比、縦軸は電圧維持率[%]である。
図11は、各実施例及び比較例の電極面積当たりバイパス抵抗値と電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極面積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm2 ]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図12は、各実施例及び比較例の電極体積当たりバイパス抵抗値と電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極体積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm3 ]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図9は、各実施例及び比較例のバイパス抵抗値と80h後の電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸はバイパス抵抗値[Ω]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図10は、各実施例及び比較例の抵抗値比(バイパス/膜)と電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸は抵抗値比、縦軸は電圧維持率[%]である。
図11は、各実施例及び比較例の電極面積当たりバイパス抵抗値と電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極面積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm2 ]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図12は、各実施例及び比較例の電極体積当たりバイパス抵抗値と電圧維持率との関係を示すグラフである。横軸は電極体積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm3 ]、縦軸は電圧維持率[%]である。
図13は、各実施例及び比較例のバイパス抵抗値と80h後の残電流容量との関係を示すグラフである。横軸はバイパス抵抗値[Ω]、縦軸は残電流容量[mAh]である。
図14は、各実施例及び比較例の抵抗値比(バイパス/膜)と残電流容量との関係を示すグラフである。横軸は抵抗値比、縦軸は残電流容量[mAh]である。
図15は、各実施例及び比較例の電極面積当たりバイパス抵抗値と残電流容量との関係を示すグラフである。横軸は電極面積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm2 ]、縦軸は残電流容量[mAh]である。
図16は、各実施例及び比較例の電極体積当たりバイパス抵抗値と残電流容量との関係を示すグラフである。横軸は電極体積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm3 ]、縦軸は残電流容量[mAh]である。
図14は、各実施例及び比較例の抵抗値比(バイパス/膜)と残電流容量との関係を示すグラフである。横軸は抵抗値比、縦軸は残電流容量[mAh]である。
図15は、各実施例及び比較例の電極面積当たりバイパス抵抗値と残電流容量との関係を示すグラフである。横軸は電極面積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm2 ]、縦軸は残電流容量[mAh]である。
図16は、各実施例及び比較例の電極体積当たりバイパス抵抗値と残電流容量との関係を示すグラフである。横軸は電極体積当たりバイパス抵抗値[Ω/cm3 ]、縦軸は残電流容量[mAh]である。
表3、及び図9〜16より、バイパス抵抗値が2×104 Ω以上5×106 Ω以下である場合、抵抗値比が8×105 以上2×108以下である場合、電極面積当たりバイパス抵抗値が3.5×103 Ω/cm2 以上7×105 Ω/cm2 以下である場合、電極体積当たりバイパス抵抗値が1×105 Ωcm2 以上2×107 Ω/cm2 以下である場合、夫々80h後電圧維持率及び残電流容量が良好であることが分かる。
バイパス部材8が多孔質膜からなる場合、バイパス抵抗値の下限値は1.5×105 Ωが好ましく、2×105 Ωがより好ましく、5×105 Ωがさらに好ましい。抵抗値比の下限値は1×106 が好ましく、7×106 がより好ましく、1×107 がさらに好ましい。電極面積当たりバイパス抵抗値の下限値は2×104 Ω/cm2 が好ましく、3×104 Ω/cm2 がより好ましく、8×104 Ω/cm2 がさらに好ましい。電極体積当たりバイパス抵抗値の下限値は7×105 が好ましく、2×106 がより好ましい。
バイパス部材8が陽イオン交換膜からなる場合、バイパス抵抗値の下限値は4×104 Ωが好ましく、1×105 Ωがより好ましい。抵抗値比の下限値は9×105 が好ましく、1×106 がより好ましく、4×106 がさらに好ましい。電極面積当たりバイパス抵抗値の下限値は4×103 Ω/cm2 が好ましく、6×103 Ω/cm2 がより好ましく、1.5×104 がさらに好ましい。電極体積当たりバイパス抵抗値の下限値は1.5×105 が好ましく、5×105 がより好ましい。
以上より、本実施の形態に係る電池1は、良好なサイクル特性を有し、長時間放置した場合の電圧維持率及び残電流容量が良好であることが確認された。
以上のように、本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、バナジウムイオン、又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む正極及び負極と、前記正極及び前記負極を区画する陰イオン交換膜と、前記陰イオン交換膜を迂回して前記正極と前記負極とを接続するバイパス部材とを備えることを特徴とする。
本発明においては、陰イオン交換膜を迂回して正極と負極とを接続するバイパス部材を備えるので、負極に移動したバナジウムイオン、硫酸イオン、及び水等の物質を正極に戻すことができる。従って、バナジウムレドックス二次電池は良好なサイクル特性し、容量を良好に維持することができる。また、負極から2価及び3価のバナジウムイオンが正極に移動することで、正極で析出するV2 O5 等の酸化物を還元して再度溶解させることができるため、高温下での容量低下を抑制することも可能である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、上述のバナジウムレドックス二次電池において、前記陰イオン交換膜の、前記正極と前記負極とが対向する方向の抵抗値に対する、前記バイパス部材の、前記正極と前記負極とを接続する方向の抵抗値であるバイパス抵抗値の比率が大きいことを特徴とする。
本発明においては、陰イオン交換膜を介して、正極及び負極間でバナジウムイオンが移動する抵抗値より、バイパス部材の抵抗値が大きいので、バイパス部材をバナジウムイオンが移動することが抑制されている。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、上述のバナジウムレドックス二次電池において、前記バイパス抵抗値は、2×104 Ω以上5×106 Ω以下であることを特徴とする。
本発明においては、サイクル特性及び自己放電特性がより良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、上述のバナジウムレドックス二次電池において、前記比率は、8×105 以上2×108以下であることを特徴とする。
本発明においては、バイパス部材をバナジウムイオンが移動することが良好に抑制される。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、上述のバナジウムレドックス二次電池において、前記正極の面積に対する前記バイパス抵抗値の比率は、3.5×103 Ω/cm2 以上7×105 Ω/cm2 以下であることを特徴とする。
本発明においては、サイクル特性及び自己放電特性がより良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、上述のバナジウムレドックス二次電池において、前記正極及び前記負極の合計の体積に対する前記バイパス抵抗値の比率は、1×105 Ω/cm3 以上2×107 Ω/cm3以下であることを特徴とする。
本発明においては、サイクル特性及び自己放電特性がより良好である。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、上述のバナジウムレドックス二次電池において、前記バイパス部材は、前記陰イオン交換膜の前記正極側の面、又は該正極の前記陰イオン交換膜と反対側の面と、前記陰イオン交換膜の前記負極側の面、又は該負極の前記イオン交換膜と反対側の面とに接触していることを特徴とする。
本発明においては、負極に移動したバナジウムイオン、硫酸イオン、及び水等の物質を良好に正極に戻すことができる。
本発明に係るバナジウムレドックス二次電池は、上述のバナジウムレドックス二次電池において、前記バイパス部材は、陽イオン交換膜、又は多孔質膜であることを特徴とする。
本発明においては、負極に移動したバナジウムイオン、硫酸イオン、及び水等の物質等が良好に正極に戻される。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、バナジウムレドックス二次電池は、一対の電極材を備える場合に限定されず、複数対の電極材を備えることにしてもよい。
また、シーラント54、64を備える場合に限定されない。
例えば、バナジウムレドックス二次電池は、一対の電極材を備える場合に限定されず、複数対の電極材を備えることにしてもよい。
また、シーラント54、64を備える場合に限定されない。
1 バナジウムレドックス二次電池
2 外装袋
3 正極端子
4 負極端子
5、6 電極材
50 電極(正極)
60 電極(負極)
51、61 導電体
52、62 保護層
54、64 シーラント
7 イオン交換膜
8 バイパス部材
2 外装袋
3 正極端子
4 負極端子
5、6 電極材
50 電極(正極)
60 電極(負極)
51、61 導電体
52、62 保護層
54、64 シーラント
7 イオン交換膜
8 バイパス部材
Claims (8)
- バナジウムイオン、又はバナジウムを含むイオンを含有する活物質を含む正極及び負極と、
前記正極及び前記負極を区画する陰イオン交換膜と、
前記陰イオン交換膜を迂回して前記正極と前記負極とを接続するバイパス部材と
を備えることを特徴とするバナジウムレドックス二次電池。 - 前記陰イオン交換膜の、前記正極と前記負極とが対向する方向の抵抗値に対する、前記バイパス部材の、前記正極と前記負極とを接続する方向の抵抗値であるバイパス抵抗値の比率が大きいことを特徴とする請求項1に記載のバナジウムレドックス二次電池。
- 前記バイパス抵抗値は、2×104 Ω以上5×106 Ω以下であることを特徴とする請求項2に記載のバナジウムレドックス二次電池。
- 前記比率は、8×105 以上2×108以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載のバナジウムレドックス二次電池。
- 前記正極の面積に対する前記バイパス抵抗値の比率は、3.5×103 Ω/cm2 以上7×105 Ω/cm2 以下であることを特徴とする請求項2から4までのいずれか1項に記載のバナジウムレドックス二次電池。
- 前記正極及び前記負極の合計の体積に対する前記バイパス抵抗値の比率は、1×105 Ω/cm3 以上2×107 Ω/cm3以下であることを特徴とする請求項2から5までのいずれか1項1に記載のバナジウムレドックス二次電池。
- 前記バイパス部材は、前記陰イオン交換膜の前記正極側の面、又は該正極の前記陰イオン交換膜と反対側の面と、前記陰イオン交換膜の前記負極側の面、又は該負極の前記イオン交換膜と反対側の面とに接触していることを特徴とする請求項2から6までのいずれか1項に記載のバナジウムレドックス二次電池。
- 前記バイパス部材は、陽イオン交換膜、又は多孔質膜であることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のバナジウムレドックス二次電池。
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JP2019079789A (ja) * | 2017-10-25 | 2019-05-23 | 成都先▲進▼金属材料▲産▼▲業▼技▲術▼研究院有限公司 | バナジウムレドックス電池用の電極の調製方法 |
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2016
- 2016-03-29 JP JP2016066793A patent/JP2017183017A/ja active Pending
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