JP2010205430A - リチウム二次電池用正極およびリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極およびリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量かつ高放電率特性を発揮させることができるリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池20では、正極板W1、負極板W3が捲回された電極群6が電池容器7に収容されている。正極板W1は、アルミニウム箔に正極合剤が塗着されている。正極合剤には、正極活物質、3種の炭素材料、バインダが配合されている。正極活物質には、化学式Li1+xFe1−xPO(0<x<1)で表され、オリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムが用いられている。リン酸鉄リチウムは、BET比表面積が5〜30m/gの範囲に設定されている。3種の炭素材料は、それぞれの重量とそのBET比表面積との積で表される表面積の総合計が、リン酸鉄リチウムの表面積を1としたときに0.1〜1.2の範囲に調整されている。
【選択図】図1

Description

本発明はリチウム二次電池用正極およびリチウム二次電池に係り、特に、化学式Li1+xFe1−xPO(0<x<1)で表されオリビン結晶構造を有する正極活物質と、導電助剤とを含むリチウム二次電池用正極および該正極を備えたリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は、高エネルギー密度であるメリットを活かして、ノートパソコン等のポータブル機器の電源として広く普及している。一般的なリチウム二次電池では、正極活物質としてリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出できるリチウム含有金属酸化物、負極活物質として炭素材料がそれぞれ用いられている。一方、地球温暖化抑制に重要なCO削減や石油枯渇の問題から、ハイブリッド電気自動車(HEV)の普及が急速に進んでいる。また、HEVのみならず、さらなる燃費の改善からプラグインハイブリッド自動車(PHEV)や電気自動車(EV)の開発が急ピッチで行われている。こうした動きに伴い、モーターでの定常走行を可能にする高出力かつ高容量で安全性に優れたリチウム二次電池の開発が急務となっている。
正極活物質のリチウム含有金属酸化物としては、従来コバルト酸リチウムが主として用いられている。ところが、コバルト酸リチウムは、原料であるコバルトの資源量が少なくリチウム二次電池のコスト高を招く。また、リチウム二次電池の大型化による安全性の確保が懸念され、安全性への重要度は非常に高まっている。このため、近年では、安全性向上や低コスト化を目的に、オリビン(かんらん石)結晶構造を有するリン酸鉄リチウムを正極活物質として使用する研究も盛んに行われている。
オリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムでは、比較的高電位で動作するため、電池容量が大きくなる利点を有している。その反面、ポリアニオンを基本骨格とすることから、局在化した電子構造が形成されるため、層状結晶構造やスピネル結晶構造を有するリチウム含有金属酸化物に比べて電子伝導性が低く、高負荷の充放電には適していない。換言すれば、リン酸リチウムを用いたリチウム二次電池では、高容量化が可能となるものの、HEV等の電源として使用するには高放電率特性が十分とはいえない。これらの問題を克服し電池として十分な性能を得るために、例えば、リン酸鉄リチウムを構成する鉄元素の一部を異種元素で置換する技術が開示されている(特許文献1参照)。
特開2005−50556号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、鉄元素の一部を異種元素で置換するために原料の配合割合や反応条件等の管理が煩雑となり、正極活物質がコスト高となる。また、リン酸鉄リチウムの電子伝導性の低さを補うために導電助剤を多く添加すると相対的に正極活物質の割合が低下するため、リチウム二次電池のエネルギー密度の損失が増加する。
本発明は上記事案に鑑み、高容量かつ高放電率特性を発揮させることができるリチウム二次電池用正極および該正極を用いたリチウム二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、化学式Li1+XFe1−XPO(0<x<1)で表され、BET比表面積が5m/g〜30m/gの範囲でオリビン結晶構造を有する正極活物質と、BET比表面積の異なる3種の炭素系の導電助剤と、前記正極活物質および導電助剤を結着させるバインダと、を含み、前記正極活物質および導電助剤のそれぞれの重量とそのBET比表面積との積を表面積としたときに、前記正極活物質の表面積と前記導電助剤の総表面積との表面積比が1:0.1〜1:1.2の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池用正極である。
第1の態様では、正極活物質量に対する導電助剤量をそれぞれの重量とそのBET比表面積との積で表される表面積により制限したことで、正極活物質のBET比表面積を変えても導電助剤量が適正化されるため、正極中の電子伝導を確保し高放電率特性を発揮させることができる。
第1の態様において、表面積比を1:0.1〜1:0.8の範囲としてもよい。表面積比を1:0.2〜1:0.5の範囲とすることができる。また、導電助剤が1種の黒鉛炭素と2種の非黒鉛炭素とで構成されていてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、第1の態様の正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極とを備えたリチウム二次電池である。
本発明によれば、正極活物質量に対する導電助剤量をそれぞれの重量とそのBET比表面積との積で表される表面積により制限したことで、正極活物質のBET比表面積を変えても導電助剤量が適正化されるため、正極中の電子伝導を確保し高放電率特性を発揮させることができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池を模式的に示す断面図である。 実施例および比較例の高率放電特性を示し、放電時間率に対する放電容量の変化を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明を適用した円筒型リチウムイオン二次電池の実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池20は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器7を備えている。電池容器7には、正極板(正極)W1および負極板W3がセパレータW5を介して対向するように断面渦巻状に捲回された電極群6が収容されている。
電極群6の捲回中心には、ポリプロピレン樹脂製で円筒状の軸芯1が使用されている。電極群6の上側には、軸芯1のほぼ延長線上に正極板W1からの電位を集電するための円環状の正極集電リング4が配置されている。正極集電リング4は、軸芯1の上端部に固定されている。正極集電リング4の周囲から一体に張り出している鍔部周縁には、正極板W1から導出された正極リード片2の端部が溶接で接合されている。正極集電リング4の上方には、安全弁を内蔵し正極外部端子となる円盤状の電池蓋12が配置されている。正極集電リング4の上部には正極リード9の一端が接合されており、正極リード9の他端は電池蓋12の下面に接合されている。
一方、電極群6の下側には負極板W3からの電位を集電するための円環状の負極集電リング5が配置されている。負極集電リング5の内周面には軸芯1の下端部外周面が固定されている。負極集電リング5の外周縁には、負極板W3から導出された負極リード片3の端部が溶接で接合されている。負極集電リング5の下部は、負極リード8を介して負極外部端子を兼ねる電池容器7の内底部に溶接で接合されている。
電池蓋12は、ガスケット10を介して電池容器7の上部にカシメ固定されている。ガスケット10には、ポリプロピレン樹脂等の絶縁性および耐熱性を有する材質が用いられている。このため、リチウムイオン二次電池20の内部は密封されている。また、電池容器7内には、非水電解液が注液されている。非水電解液には、炭酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル等の混合有機溶媒中に6フッ化リン酸リチウムを1M/L(モル/リットル)程度の濃度で溶解したものが用いられている。
電極群6は、正極板W1と負極板W3とが、これら両極板が直接接触しないようにポリエチレン製等の微多孔性のセパレータW5を介し、軸芯1の周囲に捲回されている。セパレータW5は、厚さが20〜50μm程度に設定されている。正極リード片2と負極リード片3とが、それぞれ電極群6の互いに反対側の両端面に配されている。電極群6および正極集電リング4の鍔部周面全周には、電極群6と電池容器7との電気的接触を防止するために絶縁被覆が施されている。電極群6の最大径部が絶縁被覆存在部となるように捲き数が調整され、該最大径が電池容器7の内径より僅かに小さく設定されている。
電極群6を構成する正極板W1は、正極集電体としてアルミニウム箔を有している。アルミニウム箔の厚さは、本例では、20μmに設定されている。アルミニウム箔の両面には、正極活物質を含む正極合剤が略均等に塗着されている。正極合剤には、正極活物質以外に、導電助剤としての3種の炭素材料およびバインダ(結着材)のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記する。)等が配合されている。
正極活物質には、化学式Li1+xFe1−xPO(0<x<1)で表され、オリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムの粉末が用いられている。リン酸鉄リチウム粉末は、BET比表面積が5〜30m/gの範囲に設定されている。なお、BET比表面積は、窒素ガス等の吸着を利用したBET法により測定した数値である。
導電助剤に用いられる3種の炭素材料は、1種の黒鉛炭素と2種の非黒鉛炭素とで構成されている。また、各炭素材料のそれぞれの重量とそのBET比表面積との積で表される表面積の総合計(以下、総表面積という。)が、正極活物質のリン酸鉄リチウムの重量とBET比表面積との積で表される表面積に対する比率として所定範囲に定められている。炭素材料の総表面積は、リン酸鉄リチウムの表面積を1としたときに、0.1〜1.2の範囲に調整されている。すなわち、リン酸鉄リチウムの表面積と炭素材料の総表面積との表面積比が1:0.1〜1:1.2の範囲である。換言すれば、正極活物質に用いるリン酸鉄リチウムのBET比表面積と重量とを定めることで、各炭素材料のBET比表面積から導電助剤の重量を決めることができる。
アルミニウム箔への正極合剤の塗着時には、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する。)等の分散溶媒で粘度調整される。正極板W1は、乾燥後プレスで密度が調整され形成されている。アルミニウム箔の長寸方向一側の側縁には、正極合剤の非塗着部(無地部)が形成されている。非塗着部は櫛状に切り欠かれており、切り欠き残部で正極リード片2が形成されている。
一方、負極板W3は、負極集電体として銅箔を有している。銅箔の厚さは、本例では、10μmに設定されている。銅箔の両面には、負極活物質としてリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材料の粉末を含む負極合剤が略均等に塗着されている。負極合剤には、負極活物質以外に、アセチレンブラック等の導電材およびPVDF等のバインダが配合されている。銅箔への負極合剤の塗着時には、NMP等の分散溶媒で粘度調整される。負極板W3は、乾燥後プレスで密度が調整され形成されている。銅箔の長寸方向一側の側縁には、正極板W1と同様に負極合剤の非塗着部が形成されており、負極リード片3が形成されている。なお、負極板W3の長さは、正極板W1および負極板W3を捲回したときに、捲回最内周および最外周で捲回方向に正極板W1が負極板W3からはみ出すことがないように、正極板W1の長さより長く設定されている。また、負極合剤塗着部の幅は、軸芯1の長手方向において正極合剤塗着部が負極合剤塗着部からはみ出すことがないように、正極合剤塗着部の幅より長く設定されている。
(電池組立)
リチウムイオン二次電池20の組立では、まず、作製した正負極板をセパレータW5を介して軸芯1の周囲に捲回し電極群6を作製する。軸芯1にセパレータW5をテープ等で固定する。捲き始めにセパレータW5のみを2〜3周程度捲回した後、正極板W1、負極板W3を正極合剤塗着面と負極合剤塗着面とが適切に対向し、かつ、正極リード片2と負極リード片3とが互いに反対方向に位置するように捲回する。正極板W1、負極板W3を全て捲回した後、最外周で電極が露出しないように、捲き終わりにセパレータW5を2〜3周程度捲回する。
作製した電極群6の両端面にそれぞれ配された正極リード片2および負極リード片3を正極集電リング4および負極集電リング5にそれぞれ溶接した後、負極集電リング5を底側に向けて電池容器7内に電極群6を挿入する。軸芯1に形成された中空部分に溶接棒を挿入し、負極集電リング5に予め溶接しておいた負極リード8を電池容器7の内底部に抵抗溶接で接合する。電池容器7の開口部より若干底側にグルービングを施し、正極集電リング4に予め一端を溶接しておいた正極リード9の他端を電池蓋12の下面に溶接で接合する。電極群6や電池容器7等の電池内部の付着水分を除くため、グルービングを施した部分の上側にガスケット10を装着した状態で60℃で20時間の真空乾燥を施す。真空乾燥後、電池容器7内に非水電解液を注液する。非水電解液の注液は、水分の再付着を防ぐためにアルゴン置換されたグローブボックス中などで行う。非水電解液注液後、電池蓋12を電池容器7の上部にかしめ固定することで、リチウムイオン二次電池20の組立を完成させる。
(作用等)
次に、本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池20の作用等について説明する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、正極板W1を構成する正極活物質として化学式Li1+xFe1−xPO(0<x<1)で表されオリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムが用いられており、正極集電体のアルミニウム箔に塗着された正極合剤には導電助剤として3種類の炭素材料が配合されている。オリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムでは、局在化した電子構造が形成されるため、層状結晶構造やスピネル結晶構造を有する化合物と比較して電子伝導性が小さいことが知られている。リチウムイオン二次電池20では、正極合剤に3種類の炭素材料が含まれているため、これらの炭素材料によりリン酸鉄リチウムおよびアルミニウム箔間の電子伝導が媒介される。これにより、リン酸鉄リチウムの電子伝導性の低さが緩和されるので、電池性能、特に、高放電率特性を向上させることができる。
また、本実施形態では、正極活物質として用いたリン酸鉄リチウムと、導電助剤として用いた各炭素材料とが、それぞれの重量とそのBET比表面積との積を表面積としたときに、リン酸鉄リチウムの表面積と炭素材料の総表面積との表面積比が所定範囲に調整されている。すなわち、リン酸鉄リチウムの表面積を1としたときに、炭素材料の総表面積が0.1〜1.2の範囲に調整されている。リン酸鉄リチウムの量に対する炭素材料の量を表面積により制限したことで、正極合剤が塗着された正極板W1では、正極合剤中のリン酸鉄リチウムのBET比表面積に合わせて炭素材料の合計の量が適正化されるため、正極中の電子伝導が確保される。これにより、リチウムイオン二次電池20では、リン酸鉄リチウムが有する高容量性能を発揮させることができ、高放電率特性を向上させることができる。
更に、本実施形態のリチウムイオン二次電池20に用いた正極板W1では、電子導電パスが良好に形成され炭素材料の量が適正化されることから、正極活物質のリン酸鉄リチウムに対して炭素材料が過不足なく配合される。このことは、従来リン酸鉄リチウムの電子伝導性の低さを補うために炭素材料の配合量を大きくしたことを考慮すれば、炭素材料の総表面積を減少させることに相当する。このため、リン酸鉄リチウムや炭素材料を結着させるバインダ量を低減することができる。この結果、リン酸鉄リチウム、炭素材料を含む正極合剤中に占めるリン酸鉄リチウムの量が相対的に増加するので、リチウムイオン二次電池20のエネルギー密度を向上させることができる。従って、本実施形態で用いた正極板W1をリチウム二次電池に組み込むことで、リチウム二次電池の高容量化を図り、かつ、優れた高放電率特性を発揮させることができる。
なお、本実施形態では、正極合剤に3種の炭素材料を含有させ、リン酸鉄リチウムの表面積の1に対して炭素材料の総表面積を0.1〜1.2の範囲とする例を示した。電子伝導性や高放電率特性の向上を図ることを考慮すれば、炭素材料の総表面積をリン酸鉄リチウムの表面積の1に対して0.1〜0.8の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5の範囲である。また、本実施形態では、炭素材料の表面積を3種の合計で示したが、個々の表面積については特に制限されるものではない。高容量性能を有するリン酸鉄リチウムの電子伝導を確実に媒介することを考慮すれば、3種の炭素材料が1種の黒鉛炭素と2種の非黒鉛炭素とで構成されることが好ましく、それぞれのBET比表面積を異なるようにすることが好ましい。例えば、リン酸鉄リチウムのBET比表面積が15m/gの場合、BET比表面積が10m/gの1種の黒鉛炭素、BET比表面積がそれぞれ30m/g、250m/gの2種の非黒鉛炭素を組み合わせるようにしてもよい。このようにすれば、正極合剤中でリン酸鉄リチウムと各炭素材料との分布状態が適正化され、良好な電子導電パスを形成することができる。
また、本実施形態では、正極活物質としてリン酸鉄リチウムを例示したが、本発明の正極活物質としては、化学式Li1+xFe1−xPO(0<x<1)で表されオリビン結晶構造を有する材料であれば、特に制限されるものではない。更に、本実施形態では、負極活物質として黒鉛を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料であればよく、リチウムイオン二次電池に通常用いられる炭素材料を用いることができる。本実施形態以外の負極活物質としては、例えば、非晶質炭素や、各種の黒鉛材、コークス等を挙げることができ、その粒子形状においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。また、負極板W3の導電材としてアセチレンブラックを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、負極板W3に導電材を配合しなくてもよく、配合する場合には、通常、リチウムイオン二次電池に使用される材料を用いることができる。
更に、本実施形態では、非水電解液に炭酸エチレン、炭酸ジメチルおよび炭酸エチルメチルの混合有機溶媒中へ6フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル程度で溶解したものを例示したが、本発明は特に制限されるものではなく、リチウムイオン二次電池に通常用いられるいずれのものも使用可能である。本実施形態以外の非水電解液としては、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解させた非水電解液を使用することができ、リチウム塩や有機溶媒にも特に制限されない。
また更に、本実施形態では、正負極板を捲回し作製した電極群6を有底円筒状の電池容器7に収容した円筒型リチウムイオン二次電池20を例示したが、本発明は電池の形状や構造に限定されるものではなく、例えば、角形、その他の多角形状の電池や正負極板を積層した積層タイプの電池にも適用可能である。また、本発明の適用可能な電池の構造としては、例えば、正負極外部端子が電池蓋を貫通し電池容器内で軸芯を介して押し合っている構造の電池を挙げることができる。更に、本発明は、リチウムイオン二次電池に代表されるリチウム二次電池に適用可能なことはもちろんである。
次に、リチウムイオン二次電池20の実施例について説明するが、正極活物質重量あたりの放電容量の差異を定量的に比較するため、金属リチウムを対極としたハーフセルを用いて評価した。なお、比較のために作製した比較例についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、正極活物質として、BET比表面積が15m/gであり、化学式Li1+XFe1−XPO(0<x<1)で表されるオリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムを使用した。3種の炭素材料としては、BET比表面積が10m/gの1種の黒鉛炭素と、BET比表面積が30m/gの非黒鉛炭素Aと、BET比表面積が250m/gの非黒鉛炭素Bと、を使用した。リン酸鉄リチウム、黒鉛炭素、非黒鉛炭素A、非黒鉛炭素Bを重量比90:8:1.5:0.5で混合し、バインダのPVDF、分散溶媒のNMPを加えてスラリ状の合剤溶液を作製した。得られた合剤溶液を正極集電体のアルミニウム箔の両面にアプリケータを用いて塗布し、乾燥させた後、厚さが90μmとなるようにプレスして一体化した。正極の密度は2.0g/cmに設定した。プレス後、縦横の寸法がそれぞれ50mmとなるように切断して正極を作製した。作製した正極を作用極に、厚さが0.5mmで55mm×55mmに切り出したリチウム箔を対極にそれぞれ用い、厚さが25μm、縦横65mmのポリエチレン製多孔膜のセパレータを介して作用極および対極を積層し、テフロン(登録商標)製の密閉セルに組み込みハーフセルを作製した。電解液としては、炭酸エチレン、炭酸ジメチルおよび炭酸エチルメチルを体積比で1:1:1の割合で混合した混合有機溶媒にLiPFを1M/Lの割合で溶解させて作製し、これをハーフセルに10ml注液した。
下表1に示すように、実施例1の正極(作用極)では、導電助剤に用いた炭素材料の総表面積と、正極活物質に用いたリン酸鉄リチウムの表面積とを比較すると、リン酸鉄リチウムの表面積の1に対する炭素材料の総表面積の比率が0.2となる。なお、表1において、総表面積比率は、リン酸鉄リチウムの表面積の1に対する炭素材料の総表面積の比率を示している。
Figure 2010205430
(実施例2)
表1に示すように、実施例2では、正極活物質としてBET比表面積が10m/gでオリビン結晶構造を有するリン酸鉄リチウムを使用する以外は実施例1と同様にして、ハーフセルを作製した。実施例2では、総表面積比率が0.3となる。
(実施例3〜実施例4)
表1に示すように、実施例3〜実施例4では、リン酸鉄リチウムおよび炭素材料の配合割合を変える以外は実施例2と同様にして、ハーフセルを作製した。リン酸鉄リチウム、黒鉛炭素、非黒鉛炭素A、非黒鉛炭素Bの比率は、実施例3では重量比で88:8:2:2、実施例4では重量比で87:8.5:1:3.5とした。総表面積比率は、実施例3では0.5となり、実施例4では0.75となる。
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、正極活物質として実施例2と同じリン酸鉄リチウムを使用し、導電助剤として実施例1と同じ黒鉛炭素の1種を使用した。また、リン酸鉄リチウム、黒鉛炭素を重量比90:9で混合し、実施例1と同様にしてハーフセルを作製した。比較例1では、総表面積比率が0.07となる。
(比較例2)
表1に示すように、比較例2では、正極活物質として実施例2と同じリン酸鉄リチウムを使用し、導電助剤として実施例1と同じ黒鉛炭素および非黒鉛炭素Aの2種を使用した。また、リン酸鉄リチウム、黒鉛炭素、非黒鉛炭素Aを重量比85:8.5:6.5で混合し、実施例1と同様にしてハーフセルを作製した。比較例2では、総表面積比率が1.3となる。
(電池評価試験)
作製した各実施例および比較例のハーフセルについて、放電容量、負荷率特性を評価した。すなわち、放電容量は、負荷逆容量を考慮し、5時間率(0.2C)の充放電条件でリサイクルさせ5サイクル目の放電容量を測定した。また、負荷率特性は、5時間率(0.2C)で充電した後、3時間率(0.3C)、1時間率(1C)、0.5時間率(2C)、0.3時間率(3C)で終止電圧まで放電したときの放電容量を測定した。各試験では、いずれも、充電終止電圧を3.7V、放電終止電圧を3.0Vとし、室温(25℃)にて行った。放電容量の測定結果を表1に合わせて示した。
表1に示すように、正極活物質単位重量当りの5サイクル目の放電容量は、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4がいずれも比較例1、比較例2より高い値となった。また、実施例1、実施例2、実施例3では、実施例4と比較して高い放電容量を示した。
一方、高率放電試験においては、図2に示すように、比較例1、比較例2では、放電時間率が3時間率となると放電電流値が大きく低下し、1時間率以下では充放電が不可能となった。これに対し各実施例では、時間率が小さく(放電電流値が大きく)なっても、比較的高い放電容量を示した。また、実施例1、実施例2、実施例3では、5サイクル目の放電容量と同様に実施例4と比較して良好な高放電率特性を示した。従って、リン酸鉄リチウムの表面積と3種の炭素材料の総表面積との比率が1:0.1〜1:1.2の範囲、さらに好ましくは1:0.2〜1:0.5の範囲となるように調整することで、放電容量、高放電率特性(負荷率特性)を改善できることが確認された。
本発明は高容量かつ高放電率特性を発揮させることができるリチウム二次電池用正極および該正極を用いたリチウム二次電池を提供するものであるため、リチウム二次電池の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
6 電極群
20 円筒型リチウムイオン二次電池(リチウム二次電池)
W1 正極板(正極)
W3 負極板(負極)

Claims (5)

  1. 化学式Li1+XFe1−XPO(0<x<1)で表され、BET比表面積が5m/g〜30m/gの範囲でオリビン結晶構造を有する正極活物質と、
    BET比表面積の異なる3種の炭素系の導電助剤と、
    前記正極活物質および導電助剤を結着させるバインダと、
    を含み、
    前記正極活物質および導電助剤のそれぞれの重量とそのBET比表面積との積を表面積としたときに、前記正極活物質の表面積と前記導電助剤の総表面積との表面積比が1:0.1〜1:1.2の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  2. 前記表面積比は、1:0.1〜1:0.8の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極。
  3. 前記表面積比は、1:0.2〜1:0.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極。
  4. 前記導電助剤は、1種の黒鉛炭素と2種の非黒鉛炭素とで構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極とを備えたことを特徴とするリチウム二次電池。
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