JP4770426B2 - 捲回型蓄電装置 - Google Patents
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Description
このような蓄電装置の一形態として、適当な活物質等が塗布された長尺シート状の正極集電体及び負極集電体を同様のシート形状のセパレータと重ね合わせ、それらを渦巻き状に捲回して形成した電極を備えたもの(いわゆる捲回型蓄電装置)が挙げられる。捲回タイプの電極は量産化に優れるとともに高容量で高出力の蓄電装置を構築し易いため、リチウム二次電池その他の蓄電装置の電極形態としてますます採用・普及することが期待されている。例えば、特許文献1〜3には、捲回タイプの電極を備えたリチウム二次電池が記載されている。
ここで開示される蓄電装置は、前記捲回された正極集電体及び負極集電体のうちの少なくとも一方の集電体において、前記活物質層に導電材の主体となる主導電材と該主導電材とは異質の副導電材とを含んでいる。
そして、それら正副導電材全体に占める前記副導電材の配合割合(質量比)が前記捲回された集電体の外周部分(典型的には外縁に近い捲回部分)と内周部分(典型的には渦巻中心に近い捲回部分)との間で異なっていることを特徴とする。
また、本明細書において「集電体」とは、正極又は負極を構成する集電部材をいう。
従って、本発明によると、捲回電極の外周部分の部位特異的に先行する材料劣化を抑え、捲回型蓄電装置の長寿命化を実現することができる。
このように導電材自体の配合割合を捲回電極の外周部分及び内周部分でほぼ一致させることにより、これら二つの部分間において正極又は負極活物質の集電体への付着量を変動させることなく、これら二つの部分間における電流密度(或いは膜抵抗)の差の拡大を防止し得る。
従って、本構成の捲回型蓄電装置によると、所定の出力及び容量を維持しつつ蓄電装置の長寿命化を実現することができる。
かかる構成の捲回型蓄電装置によると、特に捲回された正極の外周部分の劣化を抑止することができる。
このように、導電性の高い副導電材を捲回電極の外周部分に相対的に高い配合比で配合することにより、外周部分の導電性を向上させ、膜抵抗を抑えることができる。このため、捲回電極の外周部分の部位特異的(偏在的)な早期の劣化を効果的に抑止することができる。従って、捲回型蓄電装置の長寿命化をより効果的に実現し得る。
このように相対的に導電性の異なる少なくとも2種のカーボンブラックを使用するとともに、捲回電極の外周部分において高導電性カーボンブラック(副導電材)の配合比率を高めることによって、緻密で良好な電子密度の電極外周部分(好適には正極の外周部分)を形成することができる。このため、捲回電極の外周部分の部位特異的劣化をより効果的に抑止し、捲回型蓄電装置の長寿命化をより効果的に実現し得る。
例えば、本発明によって提供される蓄電装置の種類として、種々の二次電池(例えばリチウム二次電池、ニッケル水素二次電池)、或いはキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)を挙げることができる。リチウム二次電池への適用が特に好適である。
正負極の少なくとも一方の極(好ましくは正極)側集電体において上述のように主導電材及び副導電材を含むものであればよく、他の電極構成要素(集電体、正極活物質、負極活物質、バインダ、電解質、等)については特に制限はない。また、捲回型である限り、電極及び該電極を備えた蓄電装置の形状やサイズに特に制限はない。
捲回電極20(図3参照)と電解質を収容し得る外装ケース12(図1参照)として適当な絶縁処理が施された金属製ケース、樹脂製ケース、或いはラミネートフィルム製のケース12を備える。
捲回電極20を構成する正極集電体22(図2)としてはアルミニウム、ニッケル、チタン等の金属から成るシート材を使用し得る。他方、捲回電極20を構成する負極集電体26(図2)としては銅等の金属から成るシート材を使用し得る。正負極集電体22,26と重ね合わされるセパレータ24としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂から成る多孔質フィルムが適当である。
本発明の実施にあたり上記主導電材及び副導電材として性状の異なる2種類の導電材を使用する場合、主導電材と副導電材とを導電性の観点から選択するとよい。即ち、捲回電極において電流密度分布の偏りを是正すべく外周部分の膜抵抗を制御するために添加される副導電材としては、導電材成分の主体を為す主導電材(典型的には炭素材料)よりも高い導電性を示す(典型的には炭素材料又は金属材料)材料が好ましい。そのような組み合わせの好適な一例として、主導電材が相対的に低導電性のカーボンブラック(例えばアセチレンブラック)であり且つ副導電材が相対的に高導電性のカーボンブラック(例えばケッチェンブラック)若しくはグラファイト粉末であることが挙げられる。このような高導電性炭素材料からなる副導電材の配合割合を外周部分において高めておくことにより、当該部分の膜抵抗の上昇を抑え、捲回された電極の外周部分と内周部分との間で、電流密度の分布に偏りが生じ難い蓄電装置を構築することができる。
例えば、主導電材及び副導電材の添加量を適当に異ならせることにより、導電材全体に占める副導電材の配合割合が相互に異なる外周部分活物質層形成用ペーストと内周部分活物質層形成用ペーストをそれぞれ調製することができる。そして、図5に模式的に示すように、それらペーストを集電体(捲回前のシート状集電体)22の対応する部位にそれぞれ付与(塗布)することによって、副導電材の配合割合が相互に異なる外周部分活物質層23Aと内周部分活物質層23Bとを一つの集電体22の両面に形成することができる。
例えば、リチウム二次電池を構築する場合、上記のような構成(組成)のペーストによって外周部分活物質層23Aと内周部分活物質層23Bとが形成された正極集電体22を負極集電体26及びセパレータ24とともに捲回して形成した捲回電極20(図3参照)を所定のケース12に収容し、一部がケース12の外部に配置される正極端子16と捲回電極20における正極集電体22の端部とを電気的に接続する。同様に、一部がケース12の外部に配置される負極端子14と捲回電極20における負極集電体26の端部とを電気的に接続する。
そして、適当な電解液(例えばLiPF6等のリチウム塩を適当量含むジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒のような非水電解液)を注入し、ケース12を封止することによって本発明の蓄電装置の一典型例であるリチウム二次電池10の組み立て(構築)が完成する。尚、ケース12の封止プロセスや電解質注入プロセスは、従来のリチウム二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
以下のようにして円筒形標準タイプである18650型のリチウム二次電池を製造した。ここでは正極活物質としてリチウムニッケル系複合酸化物(式:LiNi0.8Co0.15Al0.05O2で表されるリチウム遷移金属複合酸化物)粉末を使用した。
而して、上記正極活物質85質量部、バインダとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)5質量部、および導電材として2種類のカーボンブラック(アセチレンブラック及びケッチェンブラック)を使用しその合計で10質量部を水とともに混和し、内周部分活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストにおける2種類のカーボンブラックの配合割合は、アセチレンブラック(主導電材)83質量部に対しケッチェンブラック(副導電材)2質量部とした。
また、上記正極活物質85質量部、CMC5質量部、および導電材として2種類のカーボンブラック(アセチレンブラック及びケッチェンブラック)を使用しその合計で10質量部を水とともに混和し、外周部分活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストにおける2種類のカーボンブラックの配合割合は、アセチレンブラック(主導電材)80質量部に対しケッチェンブラック(副導電材)5質量部とした。
また、比較例として、上記内周部分活物質層形成用ペーストのみを用いて集電体の両面全体に厚み約20μmの活物質層を形成し、全体の厚みが約40μmとなるようにプレスしたシート状正極を作製した。
上記実施例の正極を備えたリチウム二次電池及び上記比較例の正極を備えたリチウム二次電池について、初期抵抗値と下記条件の充放電サイクルを500〜2000サイクル行った後の内部抵抗値(耐久後抵抗値)を測定した。
(a) 300mA/cm2で10秒間放電する。
(b) 300mA/cm2で10秒間充電する。
(c) 900mA/cm2で10秒間放電する。
(d) 900mA/cm2で10秒間充電する。
(e)2700mA/cm2で10秒間放電する。
(f)2700mA/cm2で10秒間充電する。
以上の結果を図6及び図7に示す。図6のグラフは上記長さ変化率(%)の結果を捲回電極における内周部分、外周部分及びそれらの中間部分について示している。また、図7のグラフは上記抵抗変化率(%)を示している。
他方、正極集電体の活物質層に含まれる副導電材の配合割合が電極(正極集電体)の全体に亘って一定である比較例のリチウム二次電池では、特に捲回電極の外周部分の正極活物質の劣化が著しく、上記2000サイクルの充放電後の抵抗変化率も高いことが認められた。
以上の結果から、本発明の実施によって、捲回電極の特に外周部分特異的な早期の劣化を抑止し、長寿命の捲回型リチウム二次電池その他蓄電装置を提供し得ることが確認された。
例えば、上述の実施例は捲回型リチウム二次電池の例であるが、捲回電極を備えた他の電池(ニッケル水素二次電池等)或いは電気二重層キャパシタ等の物理電池にも適用し得る。また、本発明の実施にあたっては、導電材全体に占める前記副導電材の配合割合(質量比)が捲回された集電体の外周部分と内周部分との間で異なる限り、導電材組成の異なる部位を上記のように集電体の外周部分とそれ以外の部分との二つに限定する必要はなく、例えば、捲回された集電体の外周部分、内周部分及びその中間部分の3部分においてそれぞれ導電材組成を異ならせてもよい。或いは、捲回された集電体の中心部分から外周部分へいくに従い副導電材(好ましくは高導電性のもの)の配合割合が漸増するようなものでもよい。
12 外装ケース
20 捲回電極
22 正極集電体
23 活物質層
23A 外周部分活物質層
23B 内周部分活物質層
24 セパレータ
26 負極集電体
32 内周部分
34 外周部分
Claims (5)
- 正極用の活物質層を有するシート状正極集電体と負極用の活物質層を有するシート状負極集電体とがセパレータとともに捲回されて形成された電極を備える捲回型蓄電装置であって、
前記捲回された正極集電体及び負極集電体のうちの少なくとも一方の集電体において、前記活物質層に導電材の主体となる主導電材と該主導電材とは異質の副導電材とを含んでおり、
導電材全体に占める前記副導電材の配合割合(質量比)は、前記集電体の捲回の中心に近い捲回部分と外縁に近い捲回部分との間で異なっていることを特徴とする、捲回型蓄電装置。 - 前記副導電材として前記主導電材よりも導電性が高い材料が使用されており、
導電材全体に占める該副導電材の配合割合(質量比)は、前記捲回された集電体の外縁に近い捲回部分のほうが中心に近い捲回部分よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の捲回型蓄電装置。 - 前記主導電材として所定のカーボンブラックが使用されており、前記副導電材として該主導電材であるカーボンブラックよりも高導電性である他の種類のカーボンブラックが使用されていることを特徴とする、請求項2に記載の捲回型蓄電装置。
- 前記活物質層を形成する材料全体に占める前記主導電材及び副導電材合計の配合割合(質量比)は、前記集電体の外縁に近い捲回部分と中心に近い捲回部分との間で一致していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の捲回型蓄電装置。
- 前記捲回された正極集電体が前記主導電材及び副導電材を含む活物質層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の捲回型蓄電装置。
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