JP2013222551A - 負極用材料、負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

負極用材料、負極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量および充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明の負極用材料は、リチウムイオン二次電池に用いられるものであって、負極用材料は、少なくとも非晶質炭素を構成成分とする炭素材を含むものであり、負極用材料を用いて、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40%、湿度:90%RHの環境下に、100時間静置した際の前記膜の重量増加率X100が2.5%以下であることを特徴とする。前記炭素材は、前記非晶質炭素に加え、黒鉛を含むものであるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、負極用材料、負極およびリチウムイオン二次電池に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池の負極には、炭素材が使用されている(例えば、特許文献1参照)。充放電サイクルが進行しても、炭素材料を使用した負極上にはデンドライト状リチウムが析出されにくく、安全性が保証されるためである。
しかしながら、従来の炭素材を用いた場合、炭素材を用いて製造されるリチウムイオン二次電池について、放電容量、充放電効率を十分に優れたものとすることができない場合があり、また、複数のリチウムイオン二次電池間での特性のばらつきが生じやすいという問題があった。
特開平5−74457号公報
本発明の目的は、放電容量および充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池を提供すること、放電容量および充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池に好適に適用することができる負極を提供すること、また、放電容量および充放電効率に優れ、各個体間での特性のばらつきが小さいリチウムイオン二次電池の製造に好適に用いることができる負極用材料を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(14)に記載の本発明により達成される。
(1) リチウムイオン二次電池に用いられる負極用材料であって、
負極用材料は、少なくとも非晶質炭素を構成成分とする炭素材を含むものであり、
負極用材料を用いて、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に、100時間静置した際の前記膜の重量増加率X100が2.5%以下であることを特徴とする負極用材料。
(2) 負極用材料を用いて、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に静置してから150時間後での重量増加率X150[%]と、前記環境下に静置してから50時間後での重量増加率X50[%]との差(X150−X50)が0.2%以下である上記(1)に記載の負極用材料。
(3) 前記炭素材は、前記非晶質炭素に加え、黒鉛を含むものである上記(1)または(2)に記載の負極用材料。
(4) 負極用材料中における前記非晶質炭素の含有率をX[質量%]、負極用材料中における前記黒鉛の含有率をX[質量%]とした場合に、1≦X/X≦25の関係を満足する上記(3)に記載の負極用材料。
(5) 以下の条件(A)〜(E)のもと、陽電子消滅法により測定した前記非晶質炭素の陽電子寿命が370ピコ秒以上、480ピコ秒以下であり、
(A)陽電子線源: 電子加速器を用いて電子・陽電子対から陽電子を発生
(B)ガンマ線検出器: BaFシンチレーターおよび光電子増倍管
(C)測定温度及び雰囲気: 25℃、真空中
(D)消滅γ線カウント数: 3×10以上
(E)陽電子ビームエネルギー:10keV
かつ、X−ray Photoelectron Spectroscopy(XPS法)により測定した285eV付近に認められるピークの半値幅が0.8eV以上、1.8eV以下である上記(1)ないし(4)のいずれか一項に記載の負極用材料。
(6) 負極用材料は、導電助剤を含むものである上記(1)ないし(5)のいずれか一項に記載の負極用材料。
(7) 前記炭素材100質量部に対する前記導電助剤の含有率が0.5質量部以上20質量部以下である上記(6)に記載の負極用材料。
(8) 負極用材料は、スチレン−ブタジエンゴムを含むものである上記(1)ないし(7)のいずれか一項に記載の負極用材料。
(9) 前記炭素材100質量部に対する前記スチレン−ブタジエンゴムの含有率が0.1質量部以上15質量部以下である上記(8)に記載の負極用材料。
(10) 負極用材料は、カルボキシメチルセルロースを含むものである上記(1)ないし(9)のいずれか一項に記載の負極用材料。
(11) 前記炭素材100質量部に対する前記カルボキシメチルセルロースの含有率が0.1質量部以上15質量部以下である上記(10)に記載の負極用材料。
(12) 上記(1)ないし(11)のいずれか一項に記載の負極用材料を用いて製造されたことを特徴とする負極。
(13) 集電体上に、上記(1)ないし(11)のいずれか一項に記載の負極用材料を用いて形成された負極材層を有し、
前記負極材層の空孔率が10体積%以上70体積%以下であることを特徴とする負極。
(14) 上記(1)ないし(11)のいずれか一項に記載の負極用材料を用いて製造されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、放電容量および充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池を提供すること、放電容量および充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池に好適に適用することができる負極を提供すること、また、放電容量および充放電効率に優れ、各個体間での特性のばらつきが小さいリチウムイオン二次電池の製造に好適に用いることができる負極用材料を提供することができる。
消滅γ線のカウント数と、陽電子消滅時間との関係を示す図である。 リチウムイオン二次電池の模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《負極用材料》
まず、本発明の負極用材料(負極材)について説明する。
ところで、従来より、リチウムイオン二次電池の負極には、炭素材が使用されている。充放電サイクルが進行しても、炭素材料を使用した負極上にはデンドライト状リチウムが析出されにくく、安全性が保証されるためである。
しかしながら、従来の炭素材を用いた場合、炭素材を用いて製造されるリチウムイオン二次電池について、放電容量、充放電効率を十分に優れたものとすることができない場合があり、また、複数のリチウムイオン二次電池間での特性のばらつきが生じやすいという問題があった。
そこで、本発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行い、本発明に至った。すなわち、本発明の負極用材料は、少なくとも非晶質炭素を構成成分とする炭素材を含むものであり、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に、100時間静置した際の前記膜の重量増加率X100が2.5%以下であることを特徴とする。
このような構成であることにより、上記のような問題を解決することができる。また、リチウムイオン二次電池の製造条件を厳密に管理しなくても、製造される複数のリチウムイオン二次電池間での特性のばらつきが生じにくいため、製造条件の管理を緩和することができ、リチウムイオン二次電池の製造設備等の簡略化、低コスト化を図ることができる。これに対し、上記の条件を満足しない場合には、上記のような優れた効果は得られない。すなわち、上記と同様にして製造した膜を、上記と同様の環境下に、100時間静置した際の当該膜の重量増加率X100が2.5%を超える場合、負極用材料を用いて製造されるリチウムイオン二次電池について、放電容量、充放電効率を十分に優れたものとすることができない場合があり、また、リチウムイオン二次電池の製造時(構成部材の保存時、組立時等を含む)の環境の影響を受けやすく、製造される複数のリチウムイオン二次電池間での特性のばらつきが生じやすく、品質の安定性に劣る。
上記のように、本発明においては、負極用材料を用いて、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に、100時間静置した際の前記膜の重量増加率X100は、2.5%以下であればよいが、2.0%以下であるのが好ましく、1.5%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著なものとすることができる。
また、本発明では、負極用材料を用いて、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に静置してから150時間後での重量増加率X150[%]と、前記環境下に静置してから50時間後での重量増加率X50[%]との差(X150−X50)が、0.2%以下であるのが好ましく、0.15%以下であるのがより好ましく、0.1%以下であるのがさらに好ましい。これにより、リチウムイオン二次電池の製造時(構成部材の保存時、組立時等を含む)の環境の影響をより受けにくくすることができ、製造される複数のリチウムイオン二次電池間での特性のばらつきをより効果的に抑制することができ、品質の安定性を特に優れたものとすることができる。また、製造条件の管理のさらなる緩和を図ることができる。
以下、本発明の負極用材料の構成成分について詳細に説明する。
<炭素材>
本発明の負極用材料は、少なくとも非晶質炭素を構成成分とする炭素材を含むものである。このように、非晶質炭素を構成成分とする炭素材を含むものであることにより、低温(例えば、−20℃)における急速充放電特性を優れたものとすることができる。
負極用材料を構成する炭素材は、非晶質炭素に加え、黒鉛を含むものであるのが好ましい。これにより、充電容量が大きく、かつ、安全性が高いことに加えて、初回充放電効率が特に優れた負極が得られる。
また、本発明では、炭素材が有する全空孔容積に対するメソ孔の全容積とマクロ孔の全容積との和の比率が、80%以上98%以下であり、炭素材の単位重量当たりの前記マクロ孔の容積が、0.005ml/g以上0.030ml/g以下であるのが好ましい。これにより、本発明の負極用材料を用いて製造されるリチウムイオン二次電池の充放電容量および充放電時の電流密度を特に優れたものとすることができる。
上記のように、炭素材が有する全空孔容積に対するメソ孔の全容積とマクロ孔の全容積との和の比率は、80%以上98%以下であるのが好ましいが、85%以上95%以下であるのがより好ましく、85%以上92%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、上記のように、炭素材の単位重量当たりのマクロ孔の容積は、0.005ml/g以上0.030ml/g以下であるのが好ましいが、0.007ml/g以上0.025ml/g以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、炭素材の単位重量当たりのメソ孔の容積は、0.001ml/g以上0.025ml/g以下であるのが好ましく、0.003ml/g以上0.020ml/g以下であるのがより好ましい。
炭素材が有する全空孔容積に対するメソ孔の全容積の比率は、20%以上50%以下であるのが好ましく、30%以上45%以下であるのがより好ましい。
また、炭素材が有する全空孔容積に対するマクロ孔の全容積の比率は、30%以上70%以下であるのが好ましく、40%以上60%以下であるのがより好ましい。
以下、炭素材が、黒鉛と非晶質炭素とを含む場合について中心的に説明する。
[黒鉛(グラファイト)]
黒鉛とは、炭素の同素体の1つであり、六炭素環が連なった層からできている層状格子をなす六方晶系、六角板状結晶の物質である。
黒鉛の体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(平均粒径)は、5μm以上50μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、高い充放電効率を維持したまま高密度の電極を作製することが可能となる。
炭素材中における黒鉛の含有量は、50重量%以上96.2重量%以下であるのが好ましく、55重量%以上95重量%以下であるのがより好ましく、60重量%以上83.3重量%以下であるのがさらに好ましい。黒鉛の含有量が前記範囲内の値であると、充放電効率を高いものとしつつ、サイクル時の安定性をさらに高め、大電流の入出力特性をさらに優れたものとすることができる。
[非晶質炭素]
非晶質炭素は、黒鉛と異なり、アモルファス(非晶質)な炭素材料である。
非晶質炭素は、樹脂または樹脂組成物を炭化処理することにより好適に得ることができる。
非晶質炭素の体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(平均粒径)は、1μm以上50μm以下であるのが好ましく、2μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、高密度の電極を作製できる。
炭素材中における非晶質炭素の含有量は、3.8重量%以上50重量%以下であるのが好ましく、5.0重量%以上45重量%以下であるのがより好ましく、16.7重量%以上40重量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、優れた充放電効率を損なうことなく、サイクル時の安定性、および、大電流の入出力特性をより効果的に高いものとすることができる。
本発明の負極用材料が非晶質炭素および黒鉛を含むものである場合において、負極用材料中における前記非晶質炭素の含有率をX[質量%]、負極用材料中における前記黒鉛の含有率をX[質量%]とした場合に、1≦X/X≦25の関係を満足するのが好ましく、1.2≦X/X≦19の関係を満足するのがより好ましく、1.5≦X/X≦6の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、優れた充放電効率を損なうことなく、サイクル時の安定性、および、大電流の入出力特性をさらに効果的に高いものとすることができる。
非晶質炭素の原材料となる、樹脂あるいは、樹脂組成物に含まれる樹脂としては、特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいはエチレン製造時に副生する石油系のタールおよびピッチ、石炭乾留時に生成するコールタール、コールタールの低沸点成分を蒸留除去した重質成分やピッチ、石炭の液化により得られるタール及びピッチのような石油系または石炭系のタール若しくはピッチ、さらには前記タール、ピッチ等を架橋処理したもの等を含有することができ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、後述するように、樹脂組成物は、上記樹脂を主成分とするとともに、硬化剤、添加剤等を併せて含有することができ、さらには酸化等による架橋処理等も適宜実施することができる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、シアネート樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。また、これらが種々の成分で変性された変性物を用いることもできる。
また、熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン、塩化ビニル、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフタルアミド等が挙げられる。
特に非晶質炭素の製造に用いられる主成分となる樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。これにより、長期保存特性に優れるという効果が得られる。
特に、熱硬化性樹脂の中でも、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、及び、アニリン樹脂、およびこれらの変性物から選ばれるものであることが好ましい。これにより、充放電効率を特に優れたものとすることできる。また、炭素材の設計の自由度が広がり、低価格で製造することができる。また、サイクル時の安定性、および、大電流の入出力特性をさらに高いものとすることができる。
また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、その硬化剤を併用することができる。
用いられる硬化剤としては、特に限定されず、例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合はヘキサメチレンテトラミン、レゾール型フェノール樹脂、ポリアセタール、パラホルム等を用いることができる。また、エポキシ樹脂の場合は、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン等のポリアミン化合物、酸無水物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノール型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等、エポキシ樹脂にて公知の硬化剤を用いることができる。
なお、通常は所定量の硬化剤を併用する熱硬化性樹脂であっても、本実施形態で用いられる樹脂組成物においては、通常よりも少ない量を用いたり、あるいは硬化剤を併用しないで用いたりすることもできる。
また、非晶質炭素の原材料としての樹脂組成物においては、上記成分の他、添加剤を配合することができる。
ここで用いられる添加剤としては特に限定されないが、例えば、200℃以上800℃以下にて炭化処理した炭素材前駆体、有機酸、無機酸、含窒素化合物、含酸素化合物、芳香族化合物、および、非鉄金属元素等を挙げることができる。これら添加剤は、用いる樹脂の種類や性状等により、1種または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
非晶質炭素の原材料として用いられる樹脂としては、後述する含窒素樹脂類を主成分樹脂として含んでいてもよい。また、主成分樹脂に含窒素樹脂類が含まれていないときには主成分樹脂以外の成分として、少なくとも1種以上の含窒素化合物を含んでいてもよいし、含窒素樹脂類を主成分樹脂として含むとともに含窒素化合物を主成分樹脂以外の成分として含んでいてもよい。このような樹脂を炭化処理することにより、窒素を含有する非晶質炭素を得ることができる。非晶質炭素中に窒素が含まれると、窒素の有する電気陰性度により、非晶質炭素(炭素材)に好適な電気的特性を付与することができる。これにより、リチウムイオンの吸蔵・放出を促進させ、高い充放電特性を付与することができる。
ここで、含窒素樹脂類としては、以下のものを例示することができる。
熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、シアネート樹脂、ウレタン樹脂のほか、アミン等の含窒素成分で変性されたフェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフタルアミド等が挙げられる。
また、含窒素樹脂類以外の樹脂としては、以下のものを例示することができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
また、主成分樹脂以外の成分として含窒素化合物を用いる場合、その種類としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂の硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン、エポキシ樹脂の硬化剤である脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド等のほか、硬化剤成分以外にも、硬化剤として機能しないアミン化合物、アンモニウム塩、硝酸塩、ニトロ化合物等窒素を含有する化合物を用いることができる。
上記含窒素化合物としては、主成分樹脂に含窒素樹脂類を含む場合であっても含まない場合であっても、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
非晶質炭素の原材料として用いられる樹脂組成物、あるいは樹脂中の窒素含有量としては特に限定されないが、5重量%以上65重量%以下であることが好ましく、10重量%以上20重量%以下であるのがより好ましい。
このような樹脂組成物あるいは樹脂の炭化処理を行うことにより得られる非晶質炭素中における炭素原子含有量は95重量%以上であるのが好ましく、さらに、窒素原子含有量が0.5重量%以上5重量%以下であるのが好ましい。
このように窒素原子を0.5重量%以上、特に1.0重量%以上含有することで、窒素の有する電気陰性度により、非晶質炭素に好適な電気的特性を付与することができる。これにより、リチウムイオンの吸蔵・放出を促進させ、高い充放電特性を付与することができる。
また、窒素原子を5重量%以下、特に3重量%以下とすることで、非晶質炭素に付与される電気的特性が過剰に強くなってしまうことが抑制され、吸蔵されたリチウムイオンが窒素原子と電気的吸着を起こすことが防止される。これにより、不可逆容量の増加を抑制し、高い充放電特性を得ることができる。
非晶質炭素中の窒素含有量は、上記樹脂組成物あるいは樹脂中の窒素含有量のほか、樹脂組成物あるいは樹脂を炭化する条件や、炭化処理の前に硬化処理やプレ炭化処理を行う場合には、それらの条件についても適宜設定することによって、調整することができる。
例えば、上述したような窒素含有量である炭素材を得る方法としては、樹脂組成物あるいは樹脂中の窒素含有量を所定値として、これを炭化処理する際の条件、特に、最終温度を調整する方法があげられる。
非晶質炭素の原材料として用いられる樹脂組成物の調製方法としては特に限定されず、例えば、上記主成分樹脂と、これ以外の成分とを所定の比率で配合し、これらを溶融混合する方法、これらの成分を溶媒に溶解して混合する方法、あるいは、これらの成分を粉砕して混合する方法等により調製することができる。
本明細書中において、上記窒素含有量は熱伝導度法により測定したものである。
本方法は、測定試料を、燃焼法を用いて単純なガス(CO、HO、およびN)に変換した後に、ガス化した試料を均質化した上でカラムを通過させるものである。これにより、これらのガスが段階的に分離され、それぞれの熱伝導率から、炭素、水素、及び窒素の含有量を測定することができる。
なお、本発明では、パーキンエルマー社製・元素分析測定装置「PE2400」を用いて実施した。
また、本発明の負極用材料を構成する非晶質炭素は、陽電子消滅法により測定した陽電子寿命が370ピコ秒以上480ピコ秒以下のものであるのが好ましく、380ピコ秒以上460ピコ秒以下のものであるのがより好ましい。
陽電子消滅法により測定した陽電子寿命が370ピコ秒以上、480ピコ秒以下である場合には、後述するようにリチウムが出入りしやすいサイズの空隙が非晶質炭素に形成されているといえ、リチウムイオン二次電池の充電容量、放電容量をさらに高めることができる。
なお、陽電子消滅法による陽電子寿命の測定は、以下の条件で行うものとする。
(A)陽電子線源: 電子加速器を用いて電子・陽電子対から陽電子を発生
(B)ガンマ線検出器: BaFシンチレーターおよび光電子増倍管
(C)測定温度及び雰囲気: 25℃、真空中
(D)消滅γ線カウント数: 3×10以上
(E)陽電子ビームエネルギー:10keV
ここで、陽電子寿命と、空隙サイズとの関係について説明する。
陽電子寿命法とは、陽電子(e)が試料に入射してから、消滅するまでの時間を計測して、空隙の大きさを測定する方法である。
陽電子は、電子の反物質であり、電子と同じ静止質量を持つがその電荷は正である。
陽電子は、物質中に入射すると、電子と対(陽電子−電子対(ポジトロニウム))になり、その後消滅することが知られている。炭素材に陽電子を打ち込むと、陽電子(e)は高分子中で叩き出された電子の1つと結合してポジトロニウムを形成する。ポジトロニウムは高分子材料中の電子密度の低い部分、すなわち高分子中の局所空隙にトラップされ、空隙壁から出た電子雲と重なり消滅する。ポジトロニウムが高分子中の空隙中に存在する場合、その空隙の大きさとポジトロニウムの消滅寿命は反比例の関係にある。すなわち、空隙が小さいとポジトロニウムと周囲電子との重なりが大きくなり、陽電子消滅寿命は短くなる。一方、空隙が大きいとポジトロニウムが空隙壁からしみ出した他の電子と重なって消滅する確率が低くなりポジトロニウムの消滅寿命は長くなる。したがって、ポジトロニウムの消滅寿命を測定することにより炭素材中の空隙の大きさを評価することができる。
上述したように、炭素材に入射した陽電子は、エネルギーを失った後、電子とともに、ポジトロニウムを形成し消滅する。この際、炭素材からは、γ線が放出されることとなる。
従って、放出されたγ線が測定の終了信号となる。
陽電子消滅寿命の測定には、陽電子源として電子加速器や汎用のものとしては放射性同位元素22Naがよく用いられる。22Naは22Neにβ崩壊するときに、陽電子と1.28MeVのγ線を同時放出する。炭素材中に入射した陽電子は、消滅過程を経て511keVのγ線を放出する。したがって、1.28MeVのγ線を開始信号とし、511kevのγ線を終了信号として、両者の時間差を計測すれば陽電子の消滅寿命を求めることができる。具体的には、図1に示すような、陽電子寿命スペクトルが得られる。この陽電子寿命スペクトルの傾きAが陽電子寿命を示しており、陽電子寿命スペクトルから炭素材の陽電子寿命を把握することができる。
また、陽電子源として、電子加速器を使用する場合には、タンタルまたはタングステンからなるターゲットに電子ビームを照射することによって発生する制動X線により電子・陽電子対生成を引起こさせ、陽電子を発生させる。電子加速器の場合、陽電子ビームを試料に入射した時点を測定開始点(前記22Naにおける開始信号に相当)とし、終了信号は22Naの場合と同様の原理で測定を実施する。
陽電子消滅法により測定した陽電子寿命が370ピコ秒未満の場合には、空孔サイズが小さすぎて、リチウムイオンを吸蔵、放出しにくくなる。また、陽電子消滅法により測定した陽電子寿命が480ピコ秒を超えると、リチウムを吸蔵量は多くなるが、電解液等他の物質の侵入により、静電容量の増加によりリチウムが放出しにくくなると推測される。
また、非晶質炭素は、XPS法により測定した285eV付近に認められるピークの半値幅が0.8eV以上1.8eV以下であるのが好ましく、0.9eV以上1.6eV以下であるのがより好ましい。XPS法により測定した285eV付近に認められるピークの半値幅が1.8eV以下である場合は、非晶質炭素表面に存在する元素のほとんどが不活性なC−C結合等によるものであり、リチウムイオン等のイオン伝導に関わる活性物質と反応する官能基や不純物が実質的に存在しない状態となる。また285eV付近に認められるピークの半値幅が0.8eV以上の場合には、過度な結晶化等の問題が生じることがない。そのため、XPS法により測定した285eV付近に認められるピークの半値幅が0.8eV以上、1.8eV以下の場合には、不可逆容量に起因する充放電効率の低下が抑制される。
次に、XPS測定と表面状態との関係について説明する。
XPS測定法とは、固体試料表面にX線を照射し、それによって励起された原子から放出された光電子の運動エネルギーを測定することで、原子内における電子の結合エネルギー(原子により固有の値を持つ)が求められ、表面に存在する構成元素の同定を行う方法である。
FT−IR法も表面状態を分析することができるが、これは表面から約1μmに存在する化学結合の同定を行うのに対し、XPS測定法では表面から数Åに存在する元素の同定を行うことができる。このことから、より表面に近い官能基の同定を行うにはXPS測定法を用いるのが好ましい。
また、非晶質炭素は、広角X線回折法からBragg式を用いて算出される(002)面の平均面間隔d002が3.4Å以上、3.9Å以下であることが好ましい。平均面間隔d002が3.4Å以上、特に3.6Å以上である場合には、リチウムイオンの吸蔵に伴う層間の収縮・膨張が起こり難くなるため、充放電サイクル性の低下を抑制できる。
一方で、平均面間隔d002が3.9Å以下、特に3.8Å以下である場合にはリチウムイオンの吸蔵・脱離が円滑に行われ、充放電効率の低下を抑制できる。
さらに、非晶質炭素は、c軸方向((002)面直交方向)の結晶子の大きさLcが8Å以上、50Å以下であることが好ましい。
Lcを8Å以上、特に9Å以上とすることでリチウムイオンを吸蔵・脱離することができる炭素層間スペースが形成され、十分な充放電容量が得られるという効果があり、50Å以下、特に15Å以下とすることでリチウムイオンの吸蔵・脱離による炭素積層構造の崩壊や、電解液の還元分解を抑制し、充放電効率と充放電サイクル性の低下を抑制できるという効果がある。
Lcは以下のようにして算出される。
X線回折測定から求められるスペクトルにおける002面ピークの半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定した。
Lc=0.94λ/(βcosθ) ( Scherrerの式)
Lc:結晶子の大きさ
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
β:ピークの半値幅(ラジアン)
θ:スペクトルの反射角度
非晶質炭素におけるX線回折スペクトルは、島津製作所製・X線回折装置「XRD−7000」により測定したものである。非晶質炭素における、上記平均面間隔の測定方法は以下の通りである。
非晶質炭素のX線回折測定から求められるスペクトルより、平均面間隔dを以下のBragg式より算出した。
λ=2dhklsinθ (Bragg式)(dhkl=d002
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
θ:スペクトルの反射角度
さらに、非晶質炭素は、窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が15m/g以下、1m/g以上であることが好ましい。
窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が15m/g以下であることで、炭素材と電解液との反応を抑制できる。
また、窒素吸着におけるBET3点法による比表面積を1m/g以上とすることで電解液の炭素材への適切な浸透性が得られるという効果がある。
比表面積の算出方法は以下の通りである。
下記(1)式より単分子吸着量Wmを算出し、下記(2)式より総表面積Stotalを算出し、下記(3)式より比表面積Sを求めた。
1/[W(Po/P−1)=(C−1)/WmC(P/Po)/WmC・・(1)
式(1)中、P:吸着平衡にある吸着質の気体の圧力、Po:吸着温度における吸着質の飽和蒸気圧、W:吸着平衡圧Pにおける吸着量、Wm:単分子層吸着量、C:固体表面と吸着質との相互作用の大きさに関する定数(C=exp{(E1−E2)RT})[E1:第一層の吸着熱(kJ/mol)、E2:吸着質の測定温度における液化熱(kJ/mol)]
Stotal=(WmNAcs)M・・・・・・・・・(2)
式(2)中、N:アボガドロ数、M:分子量、Acs:吸着断面積
S=Stotal/w・・・・・・(3)
式(3)中、w:サンプル重量(g)
以上のような非晶質炭素は、樹脂あるいは、樹脂組成物の代表例では以下のようにして製造することができる。
はじめに、炭化処理すべき、樹脂あるいは、樹脂組成物を製造する。
樹脂組成物の調製のための装置としては特に限定されないが、例えば、溶融混合を行う場合には、混練ロール、単軸あるいは二軸ニーダー等の混練装置を用いることができる。また、溶解混合を行う場合は、ヘンシェルミキサー、ディスパーザ等の混合装置を用いることができる。そして、粉砕混合を行う場合には、例えば、ハンマーミル、ジェットミル等の装置を用いることができる。
このようにして得られた樹脂組成物は、複数種類の成分を物理的に混合しただけのものであってもよいし、樹脂組成物の調製時、混合(攪拌、混練等)に際して付与される機械的エネルギーおよびこれが変換された熱エネルギーにより、その一部を化学的に反応させたものであってもよい。具体的には、機械的エネルギーによるメカノケミカル的反応、熱エネルギーによる化学反応をさせてもよい。
非晶質炭素は、上記の樹脂組成物あるいは、樹脂を炭化処理してなるものである。
ここで炭化処理の条件としては特に限定されないが、例えば、常温から1℃/時間以上200℃/時間以下で昇温して、800℃以上3000℃以下で0.1時間以上50時間以下、好ましくは0.5時間以上10時間以下保持して行うことができる。炭化処理時の雰囲気としては窒素、ヘリウムガス等の不活性雰囲気下、もしくは不活性ガス中に微量の酸素が存在するような、実質的に不活性な雰囲気下、または還元ガス雰囲気下で行うことが好ましい。このようにすることで、樹脂の熱分解(酸化分解)を抑制し、所望の炭素材を得ることができる。
このような炭化処理時の温度、時間等の条件は、非晶質炭素の特性を最適なものにするため適宜調整することができる。
また、XPS法により測定した285eV付近に認められるピークの半値幅が0.8eV以上、1.8eV以下である炭素材を得るために、樹脂等に応じて適宜条件を定めればよいが、例えば炭化処理時の温度を1000℃以上にしたり、昇温速度を200℃/時間未満にするとよい。
このようにすることで、非晶質炭素表面が不活性な官能基等によるものとなり、XPS法により測定した285eV付近に認められるピークの半値幅が0.8eV以上、1.8eV以下である非晶質炭素を得ることができると推測される。
なお、上記炭化処理を行う前に、プレ炭化処理を行うことができる。
ここでプレ炭化処理の条件としては特に限定されないが、例えば、200℃以上600℃以下で1時間以上10時間以下行うことができる。このように、炭化処理前にプレ炭化処理を行うことで、樹脂組成物あるいは樹脂等を不融化させ、炭化処理工程前に樹脂組成物あるいは樹脂等の粉砕処理を行った場合でも、粉砕後の樹脂組成物あるいは樹脂等が炭化処理時に再融着するのを防ぎ、所望とする炭素材を効率的に得ることができるようになる。
このとき、陽電子消滅法により測定した陽電子寿命が370ピコ秒以上、480ピコ秒以下である非晶質炭素を得るための方法の一例としては、還元ガス、不活性ガスが存在しない状態で、プレ炭化処理を行うことがあげられる。
また、非晶質炭素製造用の樹脂として、熱硬化性樹脂や重合性高分子化合物を用いた場合には、このプレ炭化処理の前に、樹脂組成物あるいは樹脂の硬化処理を行うこともできる。
硬化処理方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂組成物に硬化反応が可能な熱量を与えて熱硬化する方法、あるいは、樹脂と硬化剤とを併用する方法等により行うことができる。これにより、プレ炭化処理を実質的に固相でできるため、樹脂の構造をある程度維持した状態で炭化処理またはプレ炭化処理を行うことができ、非晶質炭素の構造や特性を制御することができるようになる。
なお、上記炭化処理あるいはプレ炭化処理を行う場合には、上記樹脂組成物に、金属、顔料、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を添加して、所望する特性を炭素材に付与することもできる。
上記硬化処理および/またはプレ炭化処理を行った場合は、その後、上記炭化処理の前に、処理物を粉砕しておいてもよい。こうした場合には、炭化処理時の熱履歴のバラツキを低減させ、非晶質炭素の表面状態の均一性を高めることができる。そして、処理物の取り扱い性を良好なものにすることができる。
さらに、陽電子消滅法により測定した陽電子寿命が370ピコ秒以上、480ピコ秒以下の非晶質炭素を得るために、たとえば、必要に応じて炭化処理後において、還元ガスまたは不活性ガスの存在下で、500℃以上800℃以下まで自然冷却し、その後、100℃以下となるまで100℃/時間で冷却してもよい。
このようにすることで、急速冷却による非晶質炭素の割れが抑制され、形成された空隙が維持できるという理由により、陽電子消滅法により測定した陽電子寿命が370ピコ秒以上、480ピコ秒以下である非晶質炭素を得ることができると推測される。
<導電助剤>
本発明の負極用材料は、炭素材以外に、導電助剤を含むものであってもよい。これにより、負極の導電性が向上し、電気抵抗による発熱をより効果的に防ぐことができる。
本発明において、導電助剤とは、負極の導電性を向上させるために添加される導電性の高い材料のことを言う。
導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ等の微細炭素繊維等を用いることができる。
負極用材料が導電助剤を含むものである場合、炭素材100質量部に対する導電助剤の含有率は、0.5質量部以上20質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上10質量部以下であるのがより好ましい。これにより、Liと導電助材の副反応を防ぎつつ、より高い導電性を付与できる。
<スチレン−ブタジエンゴム>
また、本発明の負極用材料は、スチレン−ブタジエンゴムを含むものであってもよい。これにより、少量で集電体に負極用材料を好適に接着することができる。
負極用材料がスチレン−ブタジエンゴムを含むものである場合、炭素材100質量部に対するスチレン−ブタジエンゴムの含有率は、0.1質量部以上15質量部以下であるのが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であるのがより好ましい。これにより、負極の電気抵抗の増大を防止しつつ、負極用材料を集電体により好適に接着することができる。
<カルボキシメチルセルロース>
また、本発明の負極用材料は、カルボキシメチルセルロースを含むものであってもよい。これにより、負極用材料を集電体上に塗布する際の粘度を高め、負極の厚み制御がより容易になる。
負極用材料がカルボキシメチルセルロースを含むものである場合、炭素材100質量部に対するカルボキシメチルセルロースの含有率は、0.1質量部以上15質量部以下であるのが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であるのがより好ましい。これにより、負極の電気抵抗の増大を防止しつつ、負極用材料を集電体上に塗布する際の粘度を高め、負極の厚み制御がより容易になる。
<その他の成分>
また、本発明の負極用材料は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、有機高分子結着剤(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を含むフッ素系高分子、ブチルゴム等のゴム状高分子等)、粘度調整用溶剤(例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等)等が挙げられる。
《負極・リチウムイオン二次電池》
次に、本発明の負極およびリチウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう)について説明する。
本発明の負極は、上述したような本発明の負極用材料を用いて製造されたものである。これにより、放電容量および充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池に好適に適用することができる負極を提供することができる。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の負極用材料を用いて製造されたものである。これにより、放電容量および充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明の負極、リチウムイオン二次電池の好適な実施形態について説明する。
図2は、リチウムイオン二次電池の模式図である。
二次電池10は、図2に示すように、負極13と、正極21と、電解液16と、セパレータ18とを有している。
負極13は、図2に示すように、負極材層12と負極集電体14とを有している。
負極集電体14は、例えば、銅箔またはニッケル箔等で構成されている。
負極材層12は、上述したような本発明の負極用材料を用いて形成されたものである。
負極13は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、上述したような本発明の負極用材料(必要に応じて、混練して、ペースト状にしたものを含む)を圧縮成形、ロール成形等によりシート状、ペレット状等に成形して、負極材層12を得ることができる。そして、このようにして得られた負極材層12と負極集電体14とを積層することにより、負極13を得ることができる。
また、上述したような本発明の負極用材料(必要に応じて、混練して、ペースト状にしたものを含む)を負極集電体14に塗布、成形することにより、負極材層12を成形し、負極13を製造することもできる。
負極材層12の空孔率は、10体積%以上70体積%以下であるのが好ましく、20体積%以上60体積%以下であるのがより好ましい。これにより、高密度で、かつ、電解液の浸み込みやすい負極が得られる。
電解液16は、正極21と負極13との間を満たすものであり、充放電によってリチウムイオンが移動する層である。
電解液16としては、非水系溶媒に電解質となるリチウム塩を溶解したものが用いられる。
この非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネート等の鎖状エステル類、ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類等の混合物等を用いることができる。
電解質としては、LiClO、LiPF等のリチウム金属塩、テトラアルキルアンモニウム塩等を用いることができる。また、上記塩類をポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル等に混合し、固体電解質として用いることもできる。
セパレータ18としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質フィルム、不織布等を用いることができる。
正極21は、図2に示すように、正極材層20と正極集電体22とを有している。
正極材層20としては、特に限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)等の複合酸化物や、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子等を用いることができる。
正極集電体22としては、例えば、アルミニウム箔を用いることができる。
そして、本実施形態における正極21は、既知の正極の製造方法により製造することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各実施例、比較例で示される「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
[1]測定方法
はじめに、以下の実施例、比較例における測定方法を説明する。
1.粒度分布
堀場製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置LA−920を用いて、レーザー回折法により、炭素材の粒度分布、炭素材を構成する黒鉛の粒度分布、炭素材を構成する非晶質炭素の粒度分布を測定した。測定結果から、炭素材について、個数基準の累積分布における50%累積時の粒径(D50、平均粒径)を求め、炭素材を構成する黒鉛、および、炭素材を構成する非晶質炭素について、50%累積時の粒径(D50、平均粒径)を求めた。
2.非晶質炭素中の空孔の大きさ、存在量の測定
測定試料を島津製作所製・細孔分布測定装置「ASAP2010」を用いて、623Kで真空加熱前処理後、測定ガスとして窒素ガスを用い、77Kでの吸着等温線を測定し、DH法により細孔容積を計算した。直径が2nm以上50nm未満の空孔の容積の和をメソ孔容積、50nm以上の空孔の容積の和をマクロ孔容積とした。
3.陽電子寿命法による陽電子寿命の測定方法
陽電子・ポジトロニウム寿命測定・ナノ空孔計測装置(産業技術総合研究所製)を用いて、陽電子が消滅する際に発生する電磁波(消滅γ線)を測定し、陽電子寿命を測定した。
具体的には、以下のようである。
(A)陽電子線源:産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門の電子加速器を用い
て、電子・陽電子対生成から陽電子を発生(前記電子加速器は、ター
ゲット(タンタル)に電子ビームを照射して、電子・陽電子対生成を
引きおこし、陽電子を発生)
(B)ガンマ線検出器:BaFシンチレーターおよび光電子増倍管
(C)測定温度及び雰囲気:25℃、真空中(1×10−5Pa(1×10−7Torr))
(D)消滅γ線カウント数:3×10以上
(E)陽電子ビームエネルギー:10keV
(F)試料サイズ:粉末を試料ホルダ(アルミ板)に厚み0.1mmで塗布
4.XPS測定による表面状態の分析
Escalab−220iXL(サーモフィッシャー サイエンティフィック社製)を用い、下記の条件にて測定を実施し、得られた285eV付近に認められるピークの半値幅を下記の計算方法で算出した。
(測定条件)
X線源:Mg−Kα
出力:12kV−10mA
(計算方法)
得られたスペクトルを基に、以下のようにしてピーク強度及びピーク半値幅を求める。
ピーク強度を求めるには、対象のピークの両端からベースラインを引き、このベースラインからピーク頂点までの強度をピーク強度とする。これは通常得られるスペクトルのベースラインは、測定時の環境やサンプルの違い等により変化するからである。なお、得られたスペクトルにおいて、複数のピークが重複した場合は、それら重複ピークの両端からベースラインを引く。またピーク半値幅は、ピーク頂点から前記で求めたピーク強度の1/2の強度の点からベースラインに平行に線を引き、ピーク両端との交点のエネルギーを読み取ることで求める。
5.平均面間隔(d002)、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)
島津製作所製・X線回折装置「XRD−7000」を使用して平均面間隔を測定した。
炭素材のX線回折測定から求められるスペクトルより、平均面間隔d002を以下のBragg式より算出した。
λ=2dhklsinθ (Bragg式)(dhkl=d002
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
θ:スペクトルの反射角度
また、Lcは以下のようにして測定した。
X線回折測定から求められるスペクトルにおける002面ピークの半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定した。
Lc=0.94 λ /(βcosθ) ( Scherrerの式)
Lc:結晶子の大きさ
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
β:ピークの半値幅( ラジアン)
θ:スペクトルの反射角度
6.比表面積
Quantachrome社製の比表面積測定装置Nova−3200を使用して窒素吸着におけるBET3点法により測定した。具体的な算出方法は、前記実施形態で述べた通りである。
7.炭素含有率、窒素含有率
パーキンエルマー社製・元素分析測定装置「PE2400」を用いて測定した。測定試料を、燃焼法を用いてCO、HO、およびNに変換した後に、ガス化した試料を均質化した上でカラムを通過させる。これにより、これらのガスが段階的に分離され、それぞれの熱伝導率から、炭素、水素、及び窒素の含有量を測定した。
ア)炭素含有率
得られた非晶質炭素を、110℃/真空中、3時間乾燥処理後、元素分析測定装置を用いて炭素組成比を測定した。
イ)窒素含有率
得られた非晶質炭素を、110℃/真空中、3時間乾燥処理後、元素分析測定装置を用いて窒素組成比を測定した。
8.電極の空孔率測定
Quantachrome社製の全自動細孔分布測定装置Pore Master 60−GTを使用して水銀圧入法により測定した。測定試料を入れたサンプルセルに水銀を圧入して求めた細孔容積(P)、試料の嵩容積(V)から下式より空孔率を算出した。
空孔率=P/(P+V)×100
9.吸湿率
各実施例、各比較例について、それぞれ、負極用材料をミキサーで撹拌・混合し、スラリー状とし、これを平板状の銅製の基板の表面に塗布した。その後、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とし、このときの重量を測定した。その後、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に、50時間静置した際の重量を測定し、重量増加率X50を求め、100時間静置した際の重量を測定し、重量増加率X100を求め、150時間静置した際の重量を測定し、重量増加率X150を求めた。
10.充電容量、放電容量、充放電効率等
(1)二次電池評価用二極式コインセルの製造
各実施例、各比較例について、それぞれ、負極用材料をミキサーで撹拌・混合し、スラリー状とし、これを18μmの銅箔の片面に塗布し、その後、60℃で2時間予備乾燥を行い、次に、120℃で15時間真空乾燥した。真空乾燥後直ちに、ロールプレスによって電極を加圧成形し、これを直径13mmの円盤状として切り出し負極を作製した。負極材層の厚さは50μmであった。
リチウム金属を用いて、直径12mm、厚さ1mmの円盤状の正極を形成した。
そして、上記のようにして製造した負極、正極を用い、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で1:1で混合した混合溶媒に1mol/dmの割合でLiPFを加えたものを用いて、2032型コインセル形状の二極式ハーフセルを製造し、当該ハーフセルについて以下に述べる評価を行った。
また、上記と同様にして、真空乾燥を行った後、湿度90%RH、温度40℃の環境下に、100時間放置した後に、加圧成形を行った以外は、前記と同様にして2032型コインセル形状の二極式ハーフセルを製造し、当該ハーフセルについても以下に述べる評価を行った。
(2)充電容量、放電容量
充電条件は、25℃で電流25mA/gの定電流で0Vになるまで充電した後、0V保持で2.5mA/gまで電流が減衰したところを充電終止とした。また、放電条件のカットオフ電位は、1.5Vとした。
(3)充放電効率
上記(2)で得られた値をもとに、下記式により算出した。
充放電効率(%)=[放電容量/充電容量]×100
(4)60サイクル容量維持率の評価
上記(2)で得られた充放電容量の値と60回充放電を繰り返した後の放電容量の比を下記式により算出した。
60サイクル容量維持率(%)=[60サイクル目放電容量/1サイクル目充電容量]×100
2回目以降の充放電条件は、充電条件を電流250mA/gの定電流で1mVになるまで充電した後、1mV保持で12.5mA/gまで電流が減衰したところを充電終止とした。また、放電条件のカットオフ電位は、1.5Vとした。
(5)大電流特性
上記(2)で得られた放電容量の値をもとに、1時間で放電終了する電流値を1Cとし、1Cの電流値で放電して得られた放電容量と、5Cの電流値で放電して得られた放電容量の比[5C放電容量/1C放電容量]を大電流特性の指標とした。
[2]負極用材料の製造
(実施例1)
樹脂組成物として、フェノール樹脂PR−217(住友ベークライト(株)製)を以下の工程(a)〜(f)の順で処理を行い、非晶質炭素としてのハードカーボンを得た。
(a)還元ガス置換、不活性ガス置換、還元ガス流通、不活性ガス流通のいずれも無しで、室温から500℃まで、100℃/時間で昇温
(b)還元ガス置換、不活性ガス置換、還元ガス流通、不活性ガス流通のいずれも無しで、500℃で2時間脱脂処理後、冷却
(c)振動ボールミルで微粉砕
(d)不活性ガス(窒素)置換および流通下、室温から1200℃まで、100℃/時間で昇温
(e)不活性ガス(窒素)流通下、1200℃で8時間炭化処理
(f)不活性ガス(窒素)流通下、600℃まで自然放冷後、600℃から100℃以下まで、100℃/時間で冷却
多孔質の黒鉛(メソフェーズカーボンマイクロビーズ)100重量部と、得られた非晶質炭素43重量部とを乳鉢を用いて混合し、炭素材を得た。
その後、上記のようにして得られた炭素材を、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、および、導電助剤としてのアセチレンブラックと、表1に示すような比率で混合することにより、負極用材料(負極材)を得た。
(実施例2、3)
黒鉛と非晶質炭素の含有量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして負極用材料(負極材)を得た。
(実施例4)
実施例1と同様の樹脂組成物を使用した。
また、樹脂組成物の処理に際して、実施例1の(c)の工程を以下のように変更した点以外は、実施例1と同様にして炭素材を得た。
(c)ビーズミルで微粉砕
その後、炭素材を、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、および、導電助剤としてのアセチレンブラックと、表1に示すような比率で混合することにより、負極用材料(負極材)を得た。
(実施例5)
実施例1においてフェノール樹脂にかえて、アニリン樹脂(以下の方法で合成したもの)を用いた。
アニリン100部と37% ホルムアルデヒド水溶液697部、蓚酸2部を攪拌装置及び冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、脱水し、アニリン樹脂110部を得た。得られたアニリン樹脂の重量平均分子量は約800であった。
以上のようにして得られたアニリン樹脂100部とヘキサメチレンテトラミン10部を粉砕混合し得られた樹脂組成物を、実施例1と同様の工程で処理を行い、非晶質炭素を得た。多孔質の黒鉛(メソフェーズカーボンマイクロビーズ)100重量部と、得られた非晶質炭素67重量部とを乳鉢を用いて混合し、炭素材を得た。
その後、炭素材を、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、および、導電助剤としてのアセチレンブラックと、表1に示すような比率で混合することにより、負極用材料(負極材)を得た。
(実施例6)
実施例5と同様の樹脂組成物を使用した。
また、樹脂組成物の処理に際して、実施例1の(d)、(e)の工程を以下のようにした点以外は、実施例5と同様にして非晶質炭素を得た。
(d)不活性ガス(窒素)置換および流通下、室温から1100℃まで、100℃/時間で昇温
(e)不活性ガス(窒素)流通下、1100℃で8時間炭化処理
多孔質の黒鉛(メソフェーズカーボンマイクロビーズ)100重量部と、得られた非晶質炭素43重量部とを乳鉢を用いて混合し、炭素材を得た。
その後、炭素材を、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、および、導電助剤としてのアセチレンブラックと、表1に示すような比率で混合することにより、負極用材料(負極材)を得た。
(比較例1)
黒鉛(メソフェーズカーボンマイクロビーズ)を用意し、これを炭素材として用いた。
その後、炭素材を、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、および、導電助剤としてのアセチレンブラックと、表1に示すような比率で混合することにより、負極用材料(負極材)を得た。
(比較例2)
前記実施例4と同様にして製造した非晶質炭素を、黒鉛と混合することなくそのまま炭素材とした。
その後、炭素材を、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、および、導電助剤としてのアセチレンブラックと、表1に示すような比率で混合することにより、負極用材料(負極材)を得た。
(比較例3)
実施例1と同様の樹脂組成物を使用した。
また、樹脂組成物の処理に際して、実施例1の(d)、(e)の工程を以下のようにした点以外は、実施例1と同様にして非晶質炭素を得た。
(d)不活性ガス(窒素)置換および流通下、室温から1000℃まで、100℃/時間で昇温
(e)不活性ガス(窒素)流通下、1000℃で8時間炭化処理
得られた非晶質炭素を、黒鉛と混合することなくそのまま炭素材とした。
その後、炭素材を、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、および、導電助剤としてのアセチレンブラックと、表1に示すような比率で混合することにより、負極用材料(負極材)を得た。
[3]結果
前記各実施例および各比較例について、負極用材料(負極材)の組成とともに、重量増加率X100、X150−X50、炭素材についての全空孔容積に対するメソ孔の全容積の比率、全空孔容積に対するマクロ孔の全容積の比率、炭素材の単位重量当たりのマクロ孔の容積、炭素材の単位重量当たりのメソ孔の容積、D50、炭素材を構成する黒鉛、非晶質炭素についてのD50、黒鉛の含有量、非晶質炭素の含有量、非晶質炭素についての陽電子寿命、XPS、平均面間隔、結晶子の大きさ、比表面積、炭素含有率、窒素含有率、負極材層の空孔率を表1に示した。なお、表1中、炭素材についての全空孔容積に対するメソ孔の全容積の比率をR1、全空孔容積に対するマクロ孔の全容積の比率をR2、炭素材の単位重量当たりのマクロ孔の容積をV、炭素材の単位重量当たりのメソ孔の容積Vで示した。また、表1中、負極用材料(負極材)を構成する成分については、黒鉛を「GR」、非晶質炭素を「AM」、スチレン−ブタジエンゴムを「SBR」、カルボキシメチルセルロースを「CMC」、アセチレンブラックを「AB」で示した。また、表1中、非晶質炭素中の炭素含有率をX[重量%]、非晶質炭素中の窒素含有率をX[重量%]で示した。
また、各実施例、各比較例で得られた炭素材を負極として使用した場合の充電容量、放電容量、充放電効率等を表2に示した。なお、表2中、電池の製造過程において、真空乾燥後、直ちに加圧成形以降の処理を行ったものを条件1、電池の製造過程において、真空乾燥後、湿度90%RH、温度40℃の環境下に、100時間放置した後に、加圧成形以降の処理を行ったものを条件2で示した。
Figure 2013222551
Figure 2013222551
表から明らかなように、本発明では優れた結果が得られたのに対し、比較例では満足のいく結果が得られなかった。すなわち、比較例では、放電容量、充放電効率等の特性が低い、リチウムイオン二次電池の製造時(構成部材の保存時、組立時等を含む)の環境の影響を受けやすく、製造されたリチウムイオン二次電池の特性のばらつきが大きい等の問題があった。
10 二次電池
12 負極材層
14 負極集電体
13 負極
20 正極材層
22 正極集電体
21 正極
16 電解液
18 セパレータ

Claims (14)

  1. リチウムイオン二次電池に用いられる負極用材料であって、
    負極用材料は、少なくとも非晶質炭素を構成成分とする炭素材を含むものであり、
    負極用材料を用いて、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に、100時間静置した際の前記膜の重量増加率X100が2.5%以下であることを特徴とする負極用材料。
  2. 負極用材料を用いて、平板状の基板の表面に成膜し、温度:120℃、真空中で、15時間乾燥して、厚さ50μmの膜とした場合に、当該膜を温度:40℃、湿度:90%RHの環境下に静置してから150時間後での重量増加率X150[%]と、前記環境下に静置してから50時間後での重量増加率X50[%]との差(X150−X50)が0.2%以下である請求項1に記載の負極用材料。
  3. 前記炭素材は、前記非晶質炭素に加え、黒鉛を含むものである請求項1または2に記載の負極用材料。
  4. 負極用材料中における前記非晶質炭素の含有率をX[質量%]、負極用材料中における前記黒鉛の含有率をX[質量%]とした場合に、1≦X/X≦25の関係を満足する請求項3に記載の負極用材料。
  5. 以下の条件(A)〜(E)のもと、陽電子消滅法により測定した前記非晶質炭素の陽電子寿命が370ピコ秒以上、480ピコ秒以下であり、
    (A)陽電子線源: 電子加速器を用いて電子・陽電子対から陽電子を発生
    (B)ガンマ線検出器: BaFシンチレーターおよび光電子増倍管
    (C)測定温度及び雰囲気: 25℃、真空中
    (D)消滅γ線カウント数: 3×10以上
    (E)陽電子ビームエネルギー:10keV
    かつ、X−ray Photoelectron Spectroscopy(XPS法)により測定した285eV付近に認められるピークの半値幅が0.8eV以上、1.8eV以下である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の負極用材料。
  6. 負極用材料は、導電助剤を含むものである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の負極用材料。
  7. 前記炭素材100質量部に対する前記導電助剤の含有率が0.5質量部以上20質量部以下である請求項6に記載の負極用材料。
  8. 負極用材料は、スチレン−ブタジエンゴムを含むものである請求項1ないし7のいずれか一項に記載の負極用材料。
  9. 前記炭素材100質量部に対する前記スチレン−ブタジエンゴムの含有率が0.1質量部以上15質量部以下である請求項8に記載の負極用材料。
  10. 負極用材料は、カルボキシメチルセルロースを含むものである請求項1ないし9のいずれか一項に記載の負極用材料。
  11. 前記炭素材100質量部に対する前記カルボキシメチルセルロースの含有率が0.1質量部以上15質量部以下である請求項10に記載の負極用材料。
  12. 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の負極用材料を用いて製造されたことを特徴とする負極。
  13. 集電体上に、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の負極用材料を用いて形成された負極材層を有し、
    前記負極材層の空孔率が10体積%以上70体積%以下であることを特徴とする負極。
  14. 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の負極用材料を用いて製造されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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