JPWO2020194385A1 - 電極、電池及び電池パック - Google Patents

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Abstract

一実施形態によると、電極が提供される。この電極は、活物質含有層を具備する。活物質含有層は、活物質粒子と、バインダと、導電剤とを含む。バインダは、活物質粒子の表面を80%以上99%未満の被覆率で覆う。活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布において、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g以上0.050mL/g以下である。150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下である。

Description

本発明の実施形態は、電極、電池及び電池パックに関する。
近年、例えば12〜48Vのマイルドハイブリッド車に搭載させるための自動車用リチウムイオン電池の開発が加速している。それに伴い、入出力性能の向上を目的とした電池開発が進んでいる。入出力性能を向上させるための施策として、具体的には、活物質粒子の粒子径を小さくすることや、電極合剤層の中に含まれる導電剤の量を増やすなどの、様々な工夫が検討されている。
日本国特表2013−510392号公報 日本国特開2016−104848号公報 国際公開第2014/088070号 国際公開第2016/068258号 日本国特開2014−194927号公報 日本国特開平11−86846号公報 国際公開第2012/111813号 日本国特開2012−174416号公報
神保元二ら:「微粒子ハンドブック」、初版、朝倉書店、1991年9月1日、p.151−152 早川宗八郎編:「粉体物性測定法」、初版、朝倉書店、1973年10月15日、p.257−259
優れた入出力性能及び優れた寿命特性を示すことができる電池を実現できる電極、この電極を具備した電池、及びこの電池を具備した電池パックを提供することを目的とする。
第1の実施形態によると、電極が提供される。電極は、活物質含有層を具備する。活物質含有層は、活物質粒子と、バインダと、導電剤とを含む。バインダは、活物質粒子の表面を80%以上99%未満の被覆率で覆う。活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布において、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g以上0.050mL/g以下である。150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下である。
第2の実施形態によると、電池が提供される。この電池は、正極としての第1の実施形態に係る電極と、負極と、電解質とを具備する。
第3の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第2の実施形態に係る電池を具備する。
図1は、第1の実施形態に係る一例の電極の活物質含有層の積算細孔容積分布である。 図2は、第1の実施形態に係る一例の電極が含む活物質含有層の断面を表す概念図である。 図3は、図2の活物質含有層における活物質粒子の外周部と活物質粒子の表面に存在するN原子とを表す概念図である。 図4は、図3の活物質含有層における活物質粒子の表面のうちN元素が存在する部分の外周長さを表す概念図である。 図5は、第1の実施形態に係る一例の電極の概略断面図である。 図6は、第2の実施形態に係る第1の例の非水電解質電池の概略切り欠き斜視図である。 図7は、図6のA部の概略拡大断面図である。 図8は、第2の実施形態に係る第2の例の非水電解質電池の概略切り欠き斜視図である。 図9は、第3の実施形態に係る一例の電池パックの概略分解斜視図である。 図10は、図9の電池パックの電気回路を示すブロック図である。
実施形態
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、電極が提供される。電極は、活物質含有層を具備する。活物質含有層は、活物質粒子と、バインダと、導電剤とを含む。バインダは、活物質粒子の表面を80%以上99%未満の被覆率で覆う。活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布において、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g以上0.050mL/g以下である。150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下である。
電池の入出力性能を向上させるために導電剤の量を増やすと、電池内部に持ち込まれる不純物が増加しやすい。例えば、電池が充放電サイクルに供されている間、又は電池の貯蔵などの長期試験の間、不純物が活物質と反応し、その結果、電池の抵抗が上昇するおそれがある。この課題は、特に、残留アルカリ成分が多い、ハイニッケル系正極活物質を含んだ電池において顕著である。
長期試験における抵抗上昇を抑制する方法としては、例えば、活物質粒子の表面をバインダにより80%以上99%未満の被覆率で被覆することが挙げられる。このような対処により、活物質粒子と電解液や不純物との副反応を抑制することができる。
一方で、活物質粒子への被覆率を80%以上とすると、活物質含有層中において、活物質粒子と導電剤とが接触する頻度が下がる。その結果、初期抵抗が増加する。活物質粒子と導電剤との接触頻度を増加するためには、導電剤の量を増やす、又は比表面積が大きな導電剤を利用するなどの施策が考えられる。しかしながら、導電剤は炭素の疎水性相互作用によって凝集しやすい。そのため、このような施策でも、実際には、活物質粒子と導電剤との接触頻度は、期待しているほどは増加しない。
発明者らは、このような問題を解決するために鋭意研究した結果、第1の実施形態に係る電極を実現した。
150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下である電極は、導電剤の表面と水素結合することができる成分を十分に含むことができる。この成分の存在により、第1の実施形態に係る電極は、導電剤の凝集を防ぐことができる。
また、活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布において細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積は、活物質含有層における導電剤の分散状態の指標である。この細孔体積が0.035mL/g以上0.050mL/g未満であることは、導電剤が、活物質粒子の周りに十分に且つ均一に分散していることを意味する。
その結果、第1の実施形態に係る電極では、バインダによる高い被覆率を示しながらも、活物質粒子と導電剤との接触頻度を高めることができる。このような電極は、活物質含有層において、活物質粒子間の電気的な導通を高めることができる。また、第1の実施形態に係る電極では、活物質と導電剤との接触頻度が高いため、仮に充放電中に活物質粒子が膨張及び/又は収縮を起こして活物質割れが生じても、導電剤による導電パスの切断を抑えることができる。それにより、第1の実施形態に係る電極は、充放電中の膨張及び/又は収縮を原因とした活物質粒子の劣化を抑えることができる。それにより、第1の実施形態に係る電極は、活物質含有層に局所的な過電圧が生じること、及び活物質粒子の劣化を防ぐことができる。
以上説明した理由により、第1の実施形態に係る電極は、優れた入出力性能及び優れた寿命特性を実現することができる。
活物質粒子の表面に対するバインダの被覆率が99%以上であると、活物質粒子と導電剤との接触確率が低くなる。そのため、このような電極は、優れた入出力性能を実現することができない。バインダの被覆率が80%未満である電極では、活物質粒子と、例えば不純物などの他の成分との副反応を十分に抑制することができない。そのため、このような電極は、優れた寿命特性を示すことができない。バインダの被覆率は、85%以上95%以下であることが好ましく、90%以上95%以下であることがより好ましい。
積算細孔容積分布において細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g未満の電極では、活物質含有層に含まれる導電剤が過剰に凝集しており、活物質粒子と導電剤との接触が不足している。その結果、この電極は、高い抵抗を示し、優れた入出力性能を実現することができない。一方、積算細孔容積分布において細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.050mL/gを上回る電極では、活物質含有層に含まれる導電剤が過分散の状態にある。このような電極の活物質含有層では、孤立している活物質粒子や導電剤の量が多く、活物質粒子間の導電パスが切れた状態にある。そのため、このような電極は、高い抵抗を示し、優れた入出力性能を実現することができない。積算細孔容積分布において細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積は、0.037mL/g以上0.047mL/g以下であることが好ましく、0.040mL/g以上0.047mL/g以下であることがより好ましい。
150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによって活物質含有層から二酸化炭素を発生させる成分は、例えば、カルボニル基(C=O)を含んだ成分である。すなわち、活物質含有層は、カルボニル基を含んだ成分を含むことができる。例えば、バインダがカルボニル基を含むことができる。例えば、バインダは、カルボニル基を含むポリフッ化ビニリデンを含んでもよい。或いは、活物質粒子が表面にカルボニル基を含んでいてもよい。カルボニル基は、活物質粒子の表面に結合していても良い。このようなカルボニル基は、例えば、活物質粒子の表面を修飾している、ということができる。
150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g未満である電極は、導電剤の表面と水素結合できる成分を十分に含んでいない。そのため、このような電極は、導電剤の凝集を十分に抑えることができない。二酸化炭素の発生量が10mL/gを超える電極では、二酸化炭素を発生させる成分の含有量が多過ぎる。このような電極は、高温貯蔵時おいてガス発生が多くなり、寿命特性が著しく低下する。活物質含有層からの二酸化炭素の発生量は、9.3mL/g以上10mL/g以下であることが好ましく、9.4mL/g以上9.8mL/g以下であることがより好ましい。
次に、第1の実施形態に係る電極を、より詳細に説明する。
第1の実施形態に係る電極は、活物質含有層を具備する。第1の実施形態に係る電極は、集電体を更に含むこともできる。集電体は、例えば、帯状の平面形状を有することができる。集電体は、例えば、第1の表面と、第1の表面の反対側の面としての第2の表面とを有することができる。
活物質含有層は、集電体の一方の表面上、又は両方の表面上に形成され得る。例えば、活物質含有層は、集電体の第1の表面及び第2の表面の何れか一方に形成されてもよいし、或いは、集電体の第1の表面及び第2の表面の両方に形成されてもよい。集電体は、活物質含有層を担持していない部分を含んでもよい。この部分は、例えば、集電タブとして用いることができる。或いは、第1の実施形態に係る電極は、集電体とは別体の集電タブを含むこともできる。
活物質含有層は、活物質粒子と、バインダと、導電剤とを含む。
活物質粒子と、活物質粒子の表面を被覆するバインダとは、例えば、複合体を構成することができる。すなわち、活物質含有層は、例えば、活物質粒子と、活物質粒子の表面を80%以上99%未満の被覆率で覆うバインダとを含む複合体を含むことができる。言い換えると、複合体は、活物質粒子と、活物質粒子の一部の表面を覆うバインダとを含むことができる。
第1の実施形態に係る電極は、電池において使用することができる。第1の実施形態に係る電極は、電池において、例えば、正極として用いることができる。電池は、例えば、充電及び放電を繰り返して行うことができる二次電池であり得る。二次電池の例としては、非水電解質電池を挙げることができる。非水電解質電池は非水電解質を含み、非水電解質は電解質を含む。二次電池の他の例としては、水系溶媒と、水系溶媒に溶解した電解質とを含んだ電解液を含んだ電池を挙げることができる。
次に、第1の実施形態に係る電極において用いることができる材料の例を、具体的に説明する。
(集電体)
集電体としては、電気伝導性の高い材料を含むシートを使用することができる。例えば、集電体としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用する場合、その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。アルミニウム合金箔には、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等を含めることができる。また、アルミニウム合金箔に含まれる、鉄、銅、ニッケル、クロムといった遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
(活物質粒子)
活物質粒子は、例えば、正極活物質の粒子である。正極活物質としては、例えば、層状岩塩構造を有するリチウムコバルト複合酸化物(コバルト酸リチウム;LCO)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(NCM)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物(NCA)、リチウムマンガン複合酸化物(マンガン酸リチウム;LMO)、リチウムニッケルマンガン複合酸化物(LNMO)、オリビン型の結晶構造を有するリチウムリン酸鉄(LFP)、マンガン含有リチウムリン酸鉄(LMP)、リチウムニッケル複合酸化物(LNO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LNCO)及びリチウムマンガンコバルト複合酸化物(LMCO)を挙げることができる。活物質粒子は、これらの複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
リチウムコバルト複合酸化物は、例えば、一般式LiaCoO2(添字aは、0.9≦a≦1.2の範囲内にある)で表される組成を有することができる。リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、例えば、一般式LibNixCoyMnz2(添字x及びyは、x+y+z=1を満たし、添字bは、0.9≦b≦1.2の範囲内にある)で表される組成を有することができる。リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物は、例えば、一般式LiNixCoyAlz2(添字x及びyは、x+y+z=1を満たし、添字cは、0.9≦c≦1.2の範囲内にある)で表される組成を有することができる。リチウムマンガン複合酸化物は、例えば、一般式LiMn24又はLiMnO2(添字dは、0.9≦d≦1.2の範囲内にあり、添字eは、0.9≦e≦1.2の範囲内にある)で表される組成を有することができる。一般式LiMn24で表される組成を有するリチウムマンガン複合酸化物は、例えば、スピネル型構造を有することができる。リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、例えば、一般式LiNi1-xMnx2(添字xは0<x<1を満たし、添字fは、0.9≦f≦1.2の範囲内にある)で表される組成を有することができる。リチウムリン酸鉄は、例えば、一般式LiFePO4(添字gは、0.9≦g≦1.2の範囲内にある)で表される組成を有することができる。マンガン含有リン酸鉄は、例えば、一般式LihMnxFe1-xPO4(LFP):添字hは、0.9≦h≦1.2の範囲内にあり、添字xは、0<x<1の範囲内にある)で表される組成を有することができる。リチウムニッケル複合酸化物は、例えば、一般式LiiNiO2(添字iは、0.9≦i≦1.2の範囲内にある)で表される組成を有することができる。リチウムニッケルコバルト複合酸化物は、例えば、一般式LijNi1-xCox2(添字jは、0.9≦j≦1.2の範囲内にあり、添字xは、0<x<1の範囲内にある)で表される組成を有することができる。リチウムマンガンコバルト複合酸化物は、例えば、一般式LikMnxCo1-x2(添字kは、0.9≦k≦1.2の範囲内にあり、添字xは、0<x<1の範囲内にある)で表される組成を有することができる。
活物質粒子における遷移金属内のニッケルの含有量は、40mol%以上であることが好ましい。このような活物質粒子は、高い充放電容量を実現できるにもかかわらず、先に説明した理由により充放電中の膨張及び/又は収縮による劣化を回避することができ、優れた入出力性能と寿命特性とを維持することができる。活物質粒子における遷移金属内のニッケルの含有量は、例えば95mol%以下である。
活物質粒子は、一次粒子で存在していてもよいし、又は一次粒子が凝集して形成された二次粒子であってもよい。或いは、一次粒子及び二次粒子の混合物であってもよい。
活物質粒子の平均一次粒子径は、0.05μm以上1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。活物質粒子の平均二次粒子径は、3μm以上12μm以下であることが好ましく、3μm以上6μm以下であることがより好ましい。
1つの態様では、活物質粒子は、表面にカルボニル基を含む。例えば、カルボニル基は、活物質粒子の表面、例えば表面の一部に結合していてもよい。活物質粒子が二次粒子を含む場合、カルボニル基は、二次粒子の表面に結合していてもよいし、又は二次粒子を構成する少なくとも一部の一次粒子の表面に結合していてもよい。表面にカルボニル基を含んだ活物質粒子を含む電極の作製方法は、後段で詳細に説明する。
(導電剤)
導電剤は、例えば、活物質含有層において、活物質粒子同士の電気的導通を助ける役割、及び活物質粒子から集電体への電気的導通を助ける役割を果たすことができる。
導電剤は、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を含むことができる。カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基は、例えば、導電剤の表面に含まれ得る。例えば、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基は、後段で説明する強酸による処理により、導電剤に導入することができる。活物質粒子の表面に含まれ得るカルボニル基は、導電剤が含み得るカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基と水素結合することもできる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、黒鉛、カーボンファイバー、グラフェン等の炭素物質を用いることができる。導電剤は、ケッチェンブラックを含むことが好ましい。ケッチェンブラックは、例えば、200m2/g以上500m2/g以下の比表面積を有することができる。ケッチェンブラックを用いることにより、活物質粒子との接触頻度を更に増やすことができる。導電剤としては、先に挙げた材料のうちの1種を用いてもよいし、又は2種以上の混合物を用いてもよい。
導電剤の平均粒子径は、例えば、20nm以上50nm以下である。
(バインダ)
バインダは、活物質と集電体とを結合する働きを示すことができる。バインダの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリル系共重合体を主成分とするバインダ(例えば、ポリアクリロニトリル(PAN))、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を挙げることができる。
1つの態様では、バインダは、カルボニル基を含むPVdF及び/又はカルボニル基を含むアクリル系共重合体を含む。カルボニル基は、例えば、それぞれのバインダの官能基に含まれる。
バインダは、例えば、先に挙げた材料のうちの1種でもよいし、又は2種以上の混合物でもよい。例えば、バインダは、活物質粒子を覆った第1のバインダと、第1のバインダとは異なる第2のバインダとを含んでもよい。第2のバインダは、活物質粒子と第1のバインダとを含んだ複合体同士を結着させることができると共に、これらの複合体を集電体に結着させることもできる。或いは、第2のバインダは、第1のバインダの材料と同じ材料を含んでいてもよい。
(活物質含有層における配合割合)
活物質含有層における活物質粒子、導電剤及びバインダの割合(配合割合)は、それぞれ、75重量%以上96重量%以下、3重量%以上15重量%以下、及び1重量%以上10重量%以下であることが好ましく、90重量%以上95重量%以下、3重量%以上5重量%以下、及び2重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。
[製造方法の例]
第1の実施形態に係る電極は、例えば、以下に説明する方法で製造することができる。
(第1の例)
第1の例として、カルボニル基を含んだバインダを含む電極の製造方法の例を説明する。
[電極塗料の調製]
<先分散液Aの調製>
活物質粒子と、カルボニル基を含んだバインダとを準備する。これらを、適切な溶媒、例えばN−メチルピロリドンに投入して、混合物を得る。
得られた混合物を、高い剪断力を与えることができる分散機で更に混合する。このような分散機としては、例えば、メディアを用いた分散機が挙げられる。メディアを用いた分散機としては、例えば、ボールミル及びビーズミルを挙げることができる。このような分散により、先分散液Aが得られる。先分散液Aは、活物質粒子と活物質粒子の表面を覆ったバインダとを含む複合体を含む。
<先分散液Bの調製>
導電剤と、バインダとを準備する。
導電剤は、強酸で処理したものを用いる。強酸としては、例えば、濃硫酸を挙げることができる。強酸での処理により、導電剤の表面に、カルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を十分に導入することができる。
ここで準備するバインダは、カルボニル基を含んでいてもよいし、又はカルボニル基を含んでいなくてもよい。
次いで、これらを、適切な溶媒、例えばN−メチルピロリドンに投入し、混合物を得る。
得られた混合物を、例えばビーズミル分散機で更に混合する。かくして、先分散液Bが得られる。
<電極塗料の調製>
次に、先分散液A及び先分散液Bを混合する。得られた混合物を例えばロールミル装置においてさらに混合して、分散させる。かくして、電極塗料が得られる。
このように活物質粒子を含んだ先分散液Aと導電剤を含んだ先分散液Bとを別途先に分散する理由を以下に説明する。
粒子径が大きく且つ量の多い活物質粒子と、活物質粒子に比べて粒子径が小さく且つ量の少ない導電剤とを、バインダとともに分散した場合、体積の大きな活物質粒子が、体積の小さな導電剤の分散を阻害する。一方、活物質粒子と混合する前に、導電剤をバインダと共に分散した場合では、導電剤の分散を阻害する要因を少なくすることができる。そのため、導電剤の先分散によって得られた先分散液Bは、導電剤の分散状態に優れる。導電剤の分散状態に優れる先分散液Bを、活物質粒子を含んだ先分散液Aとともに更に分散させることにより、導電剤の分散に優れた電極塗料を調製することができる。
しかしながら、導電剤の総比表面積が大きい場合、上記先分散だけでは、導電剤の凝集を防止することが困難になることがある。
それに対し、この例の製造方法では、強酸処理に供した導電剤を含んだ先分散液Bを調製する。この導電剤に含まれるカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基は、先分散液A及び先分散液Bを混合した際に、先分散液Aに含まれる複合体のカルボニル基と水素結合することができる。この水素結合は、導電剤の凝集を防止するのに役立つ。この例の製造方法では、強酸処理により十分な量のカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を導電剤に導入することができるので、導電剤の凝集をより十分に防止することができる。その結果、この例の製造方法では、活物質粒子の周りに、導電剤を更に均一に分散させることができる。
[電極の作製]
次に、かくして得られた電極塗料を、集電体の表面に塗布する。次いで、塗膜を乾燥させる。次に、塗膜を、集電体と共にプレスする。プレス後の電極密度(集電体を含まない、活物質含有層の密度)は、例えば、2.5g/cm3以上3.5g/cm3以下とする。密度は、2.8g/cm3以上3.3g/cm3以下であることが好ましく、3.0g/cm3以上3.3g/cm3以下であることがより好ましい。かくして、第1の実施形態に係る一例の電極が得られる。
導電剤は、種類に応じて、比表面積が異なる。また、プレス条件により、積算細孔容積分布も変化する。そのため、例えば、導電剤の種類(特に比表面積)、先分散液の分散条件、電極塗料の分散条件、活物質粒子、導電剤及びバインダの配合比、並びに塗膜のプレス条件を組み合わせて調整することにより、積算細孔容積分布を調整することができる。これらの条件の組み合わせの具体例を、後段の実施例に示す。
また、第1の例の製造方法では、例えば、電極塗料の調製の際に用いる、カルボニル基を含むバインダの量、及びこのバインダに含まれているカルボニル基の含有量を組み合わせて調整することにより、得られる電極の活物質含有層からの二酸化炭素の発生量を調整することができる。これらの条件の組み合わせの具体例を、後段の実施例に示す。
(第2の例)
第2の例として、表面にカルボニル基を含んだ活物質粒子を含む電極の製造方法の一例を説明する。
第2の例の製造方法は、先分散液Aの調製方法以外は、第1の例の製造方法と同様である。
第2の例では、活物質粒子として、露点管理をしていない大気環境下で24時間以上保管した活物質粒子を用いる。このような活物質粒子は、表面に炭酸リチウム(Li2CO3)を含むことができる。すなわち、このような活物質粒子は、表面にカルボニル基を含むことができる。大気環境下での保管は、12時間以上48時間以下とすることが好ましく、24時間以上36時間以下とすることがより好ましい。
なお、先分散液A及び/又は先分散液Bの調製の際に、カルボニル基を含んだバインダを用いてもよいし、又は用いなくてもよい。
第2の例の製造方法では、例えば、活物質粒子の組成、及び大気環境下での保管時間を組み合わせて調整することにより、得られる電極の活物質含有層からの二酸化炭素の発生量を調整することができる。先分散液A及び/又は先分散液Bの調製の際にカルボニル基を含んだバインダを用いる場合、上記条件に加え、カルボニル基を含むバインダの量、及びこのバインダに含まれているカルボニル基の含有量も組み合わせて調整する。これらの条件の組み合わせの具体例を、後段の実施例に示す。
(第3の例)
第3の例として、表面にカルボニル基を含んだ活物質粒子を含む電極の製造方法の他の例を説明する。
第3の例の製造方法は、先分散液Aの調製方法以外は、第1の例の製造方法と同様である。
第3の例の製造方法では、先分散液Aの調製の際に、添加剤を更に用いる。添加剤としては、例えば、酢酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸など、カルボキシル基を含む物質が挙げられる。
調製した先分散液Aを1日間塗液の状態で放置することにより、活物質粒子の表面と添加剤との反応が進み、活物質粒子の表面にカルボニル基を結合させることができる。先分散液Aの放置雰囲気は、常温常圧の大気雰囲気であることが好ましい。この雰囲気下で撹拌させながら放置することが、より好ましい。
なお、先分散液A及び/又は先分散液Bの調製の際に、カルボニル基を含んだバインダを用いてもよいし、又は用いなくてもよい。
また、第3の例の製造方法では、第2の例の製造方法と同様に、先分散液Aの調製の際に、活物質粒子として、露点管理をしていない大気環境下で24時間以上保管した活物質粒子を用いることもできる。
第3の例の製造方法では、例えば、電極添加剤の種類及び量、並びに添加剤と活物質粒子の表面とを反応させるための先分散液Aの放置時間を組み合わせて調整することにより、得られる電極の活物質含有層からの二酸化炭素の発生量を調整することができる。先分散液A及び/又は先分散液Bの調製の際にカルボニル基を含んだバインダを用いる場合、上記条件に加え、カルボニル基を含むバインダの量、及びこのバインダに含まれているカルボニル基の含有量も組み合わせて調整する。同様に、活物質粒子として、露点管理をしていない大気環境下で24時間以上保管した活物質粒子を用いる場合、活物質粒子の組成、及び大気環境下での保管時間も組み合わせて調整する。これらの条件の組み合わせの具体例を、後段の実施例に示す。
以上のようにして得られた電極は、所定の寸法に切断してもよい。また、集電体に、この集電体とは別体の集電タブを、例えば溶接により接続してもよい。
[分析方法]
次に、各種分析方法を説明する。
(A)前処理
非水電解質電池に組み込まれている電極に対しては、以下の手順で前処理を行う。
まず、非水電解質電池をアルゴンで満たしたグローブボックス内で分解し、測定対象たる電極を非水電解質電池から取り出す。次いで、取り出した電極を、メチルエチルカーボネート(MEC)で洗浄する。次いで、洗浄した電極を、25℃及びゲージ圧−90Paの雰囲気下で乾燥させる。乾燥させた電極を、以下に説明する各分析の対象とする。以下、測定対象の電極を、単に、「電極」と呼ぶ。
(B)水銀圧入法による活物質含有層の積算細孔容積分布の取得方法
活物質含有層の積算細孔容積分布を水銀圧入法によって得る手順を以下に示す。
細孔分布測定装置には、例えば島津オートポア9520型を用いることができる。測定に際しては、1枚の先の試料を約25mm巾のサイズに裁断し、これを折り畳み、標準セルに採り、測定室に挿入する。測定は、初期圧20kPa(約3psia、細孔径約60μm相当)及び終止圧414000kPa(約60000psia、細孔径約0.003μm相当)の条件で行う。3つの試料の平均値を測定結果として用いる。データ整理に当り、細孔比表面積は、細孔の形状を円筒形として計算する。なお、水銀圧入法の解析原理はWashburnの式:D=−4γcosθ/Pに基づく。ここで、Pは加える圧力、Dは細孔径、γは水銀の表面張力(480dyne・cm-1)、θは水銀と細孔壁面の接触角で140°である。γ及びθは定数であるから、Washburnの式より、加えた圧力Pと細孔径Dとの関係が求められ、そのときの水銀侵入体積を測定することにより、細孔径とその体積分布を導くことができる。測定法・原理等の詳細は、非特許文献1及び2などを参照されたい。
この測定により、活物質含有層の積算細孔容積分布を得ることができる。なお、以上の手順により得られる積算細孔容積分布は、活物質含有層の細孔径だけでなく、集電体の細孔径も反映している。しかしながら、集電体の細孔径は活物質含有層の細孔径に比べて十分に小さく、存在割合も少ないため、無視することができる。得られた分布から、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積(mL/g)を求めることができる。ここでの基準となる重量は、測定に用いた活物質含有層の重量(g)である。
図1に、第1の実施形態に係る一例の電極の活物質含有層の積算細孔容積分布を示す。図1に示す積算細孔容積分布は、後段に示す、実施例6の電極についての積算細孔容積分布である。図1に示す積算細孔容積分布において、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積は、0.047mL/gである。
(C)熱分解クロマトグラフィーを用いた分析
次に、熱分解クロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量の分析手順を説明する。
分析に先立ち、分析に供する電極の重量を測定する。
分析には、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(Pyrolysis Gas Chromatography Mass Spectrometer;Pyro−GC/MS)を用いる。例えば、フロンティア・ラボ株式会社製パイロライザーを用いることができる。この装置において、パイロライザーにより、電極を40℃で8分間保持する。次いで、電極を5℃/分の速度で600℃まで昇温する。この処理により、活物質含有層に含まれている成分のうち、600℃の温度で分解する成分を熱分解させることができる。そして、この装置のガスクロマトグラフ質量分析器を用いることで、熱分解して発生した成分を同定することができる。この分析において、ガスクロマトグラフ質量分析器の温度を、250℃で常に一定になるように制御する。
分析後、集電体から、活物質含有層を剥がし取る。かくして得られた集電体の重量を測定する。先に測定した電極の重量から集電体の重量を引き、活物質含有層の重量とする。
この分析において150℃〜600℃の間に発生した二酸化炭素の量を、活物質含有層の重量で割ることにより、150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量(mL/g)を算出することができる。すなわち、二酸化炭素の発生量は、活物質含有層1gあたりの二酸化炭素の発生量である。
(D)活物質含有層、導電剤及びバインダの確認方法
活物質含有層に含まれている、活物質粒子及び導電剤の形状は、電界放射型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope; FE−SEM)を用いて確認することができる。また、活物質含有層に含まれている活物質粒子、導電剤及びバインダの分布は、エネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive X-ray spectrometry; EDX)により、判別することができる。
以下に、活物質含有層に含まれている活物質粒子、導電剤及びバインダの確認方法を具体的に説明する。
まず、電極の断面を得る。観察用の断面の作製方法としては、断面を得ることができれば制限はなく、電極の加工のしやすさによって適宜選択される。この際、電極をそのまま加工してもよいし、必要に応じて、活物質含有層の細孔に樹脂等の充填剤を充填した電極を加工してもよい。こうした電極を切断して、その切断面を露出させた試料を得る。切断方法としては、例えば、剃刀やミクロトームでの切断、液体窒素中での割断、ArイオンビームやGaイオンビームでの切断などの方法が挙げられる。
次に、試料をFE−SEMの試料台上に貼り付ける。この際、試料が試料台から剥がれたり浮いたりしないように、導電性テープなどを用いて処置を施す。また、必要であれば、試料を試料台に貼り付けるのに適切な大きさに切断してもよい。測定にあたっては、試料を不活性雰囲気に維持した状態で試料室に導入する。上述のように準備した試料について、FE−SEMにより、30000倍の倍率で、活物質含有層の断面を観察する。
更に、同分析範囲に対してEDXによる元素分析を実施する。これにより、FE−SEM像に映し出された活物質含有層の断面に含まれている、活物質粒子、導電剤及びバインダの構成元素のうち、周期表のホウ素B〜ウランUまでの元素を確認することができる。
次いで、EDXによる元素分析結果から、活物質粒子固有の構成元素、例えばNi、Mn、Co及びFeなどの金属元素についてのマッピング画像を得る。同様に、EDXによる元素分析結果から、バインダ固有の構成元素、例えばF(例えばポリフッ化ビニリデン)又はN(例えばポリアクリロニトリル)の元素についてのマッピング画像を得る。スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、酸化オスミウム(OsO4)で染色して、Osの元素についてマッピングすることで画像を得ることができる。
次に、試料断面のSEM観察及びEDX分析から確認した活物質粒子の中で、最も大きな粒子と最も小さい粒子とを除外する。残りの活物質粒子について、粒子外周部分におけるバインダの構成元素についてのマッピング画像を2値化し、元素の存在比率を求める。この結果得られた値を、活物質粒子の表面に対するバインダの被覆率(%)とする。具体的な算出方法の例は、後述する。
2値化の閾値は、以下のように設定する。F元素のマッピング画像の場合、SEM−EDXのF−Kaスペクトルから求められるフッ素濃度が1.5重量%以上3重量%以下である箇所に、F元素が存在していると判断する。N元素のマッピング画像の場合、SEM−EDXのN−Kaスペクトルから求められる窒素濃度が1.5重量%以上5重量%以下である箇所に、N元素が存在していると判断する。
次に、模式図を参照しながら、第1の実施形態に係る一例の電極の活物質含有層における、バインダによる活物質粒子の表面の被覆状態を説明する。
図2は、第1の実施形態に係る一例の電極が含む活物質含有層の断面を表す概念図である。図3は、図2の活物質含有層における活物質粒子の外周部と活物質粒子の表面に存在するN原子とを表す概念図である。図4は、図3の活物質含有層における活物質粒子の表面のうちN元素が存在する部分の外周長さを表す概念図である。
図2では、活物質含有層の断面を、先に説明したFE−SEM測定により観察した際に確認される活物質粒子10及びバインダ分子11を模式的に示している。また、図2では、活物質含有層の断面を先に説明したEDX分析に供して得られた窒素(N)元素のマッピング画像から確認されるN元素12を更に模式的に示している。なお、この例の電極の活物質含有層は、N原子を含む第1のバインダを含んでいる。そのため、図2では、バインダ分子11の分布とN元素12の分布とが重なり合っている。また、説明の簡略化のため、図2では、全ての活物質粒子10を一次粒子として表している。一方で、導電剤は図示していない。
図3では、活物質粒子10の表面の外周部分10a及び外周部分10aの表面に存在する(隣接する)N元素12を、図2に示した断面から抽出している。図4では、図3に示した外周部分10aのうちN元素12が隣接している部分であるN隣接外周部分10bを示している。例えば、図3に示すN元素12のポイントの数に基づいて、N隣接外周部分10bの長さを算出することができる。図3における外周部分10aの長さと図4から求められるN隣接外周部分10bの長さと下記の式に代入することで、バインダ、例えば窒素原子による活物質粒子の被覆率を算出することができる。
被覆率(%)=(活物質粒子10の表面のN隣接外周部分10bの長さ)/(活物質粒子10の表面の外周部分10aの長さ)×100%
(E)活物質粒子及び導電剤の平均粒子径
先に説明したSEM観察及びEDX分析の際に同時に得られる複数視野のSEM画像から、30個の活物質と導電剤をそれぞれ任意で探索する。それらの粒子の粒子径の平均値を平均粒子径とする。
次に、第1の実施形態に係る電極を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図5は、第1の実施形態に係る一例の電極の概略断面図である。
図5に示す正極3は、集電体3aと、集電体3aの両方の表面上に形成された活物質含有層3bとを含む。図示をしていないが、集電体3aは、帯状である。集電体3aは、いずれの表面にも活物質含有層3bを担持していない部分を含む。この部分は、集電タブとして働くことができる。
第1の実施形態に係る電極が具備する活物質含有層は、活物質粒子と、バインダと、導電剤とを含む。バインダは、活物質粒子の表面を80%以上99%未満の被覆率で覆う。活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布において、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g以上0.050mL/g以下である。150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下である。この活物質含有層では、バインダが高い被覆率で活物質粒子の表面を覆っているが、導電剤が、活物質粒子の周りに、十分な量で均一に存在できる。そのため、この活物質含有層では、活物質粒子と導電剤とが、高い接触頻度を示すことができる。これらの結果、第1の実施形態に係る電極は、優れた入出力性能及び優れた寿命特性を示すことができる電池を実現できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、電池が提供される。この電池は、正極としての第1の実施形態に係る電極と、負極と、電解質とを具備する。
第2の実施形態に係る電池は、第1の実施形態に係る電極を具備するので、優れた入出力性能及び優れた寿命特性を示すことができる。
第2の実施形態に係る電池は、例えば、充電及び放電を繰り返し行うことができる。そのため、第2の実施形態に係る電池は、二次電池ということもできる。
第2の実施形態に係る電池は、例えば非水電解質電池である。非水電解質電池は非水電解質を含み、非水電解質は電解質を含む。或いは、第2の実施形態に係る電池は、水系溶媒と、水系溶媒に溶解した電解質とを含んだ電解液を含んだ電池であってもよい。
次に、第2の実施形態に係る電池を、より詳細に説明する。
第2の実施形態に係る電池は、正極として、第1の実施形態に係る電極を具備する。そのため、第2の実施形態に係る電池が具備する正極は、第1の実施形態に係る電極が具備する活物質含有層を具備する。また、正極は、第1の実施形態に係る電極が具備することができる集電体を具備することができる。以下、負極の部材との区別のため、第1の実施形態に係る電極が具備することができる、集電体、活物質含有層、集電タブ、及び活物質粒子を、それぞれ、正極集電体、正極活物質含有層、正極集電タブ、及び正極活物質粒子と呼ぶ。なお、正極に関する詳細は、第1の実施形態に係る電極の説明を参照されたい。
第2の実施形態に係る電池は、負極を更に具備する。
負極は、例えば、負極集電体と、負極集電体上に形成された負極活物質含有層とを含むことができる。
負極活物質含有層は、負極集電体の何れか一方の表面上に設けられていてもよいし又はその両方の表面に設けられていてもよい。
負極活物質含有層は、負極活物質、導電助剤及びバインダを含むことができる。
負極集電体は、表面に負極活物質含有層を担持していない部分を含むこともできる。この部分は、例えば、負極集電タブとして働くこともできる。或いは、負極は、負極集電体とは別体の負極集電タブを含むこともできる。
負極は、例えば、以下の手順で作製できる。まず、負極活物質、導電剤及びバインダを適切な溶媒、例えばN−メチルピロリドンに溶解し、混合する。得られた混合物を、ビーズミルによる分散に供して、ペースト状の負極塗料を調整する。この負極塗料を、帯状の負極集電体の塗布し、塗膜を乾燥させる。次いで、乾燥させた塗膜を、負極集電体とともにプレスする。かくして、負極を得ることができる。得られた負極を、所定の寸法に切断してもよい。また、負極集電体に、この負極集電体とは別体の負極集電タブを、例えば溶接により接続してもよい。
正極及び負極は、正極活物質含有層と負極活物質含有層とが対向するように配置されて、電極群を構成することができる。正極活物質含有層と負極活物質含有層との間には、リチウムイオンは透過させるが電気を通さない部材、例えばセパレータを配置することができる。
電極群は、様々な構造を有することができる。電極群は、スタック型構造を有していても良いし、又は捲回型構造を有していても良い。スタック型構造は、例えば、複数の負極及び複数の正極を、負極と正極との間にセパレータを挟んで積層させた構造を有する。捲回型構造の電極群は、例えば、負極及び正極をこれらの間にセパレータを挟んで積層させたものを捲回した缶型構造体でも良いし、又はこの缶型構造体をプレスすることによって得られる扁平型構造体でも良い。
第2の実施形態に係る電池は、正極端子及び負極端子を更に具備することができる。正極集電タブは、正極端子に電気的に接続することができる。同様に、負極集電タブは、負極端子に電気的に接続することができる。正極端子及び負極端子は、電極群から延出することができる。
第2の実施形態に係る電池の一例である非水電解質電池において、非水電解質は、例えば電極群に含浸された状態で保持され得る。或いは、第2の実施形態に係る他の例の電池では、電解質を含んだ電解液が、例えば電極群に含浸された状態で保持され得る。
第2の実施形態に係る電池は、外装部材を更に具備することができる。外装部材は、例えば、電極群と、電解質とを収容することができる。
外装部材は、正極端子の一部及び負極端子の一部をその外側に延出させることができるような構造を有していても良い。或いは、外装部材は、2つの外部端子を具備し、これらのそれぞれが正極端子及び負極端子のそれぞれに電気的に接続されるように構成されていても良い。或いは、外装部材自体が、正極端子又は負極端子の何れかとして働くこともできる。
次に、第2の実施形態に係る電池の一例である非水電解質電池が含むことができる各部材をより詳細に説明する。
(正極)
正極については、第1の実施形態に係る電極の説明を参照されたい。
(負極)
負極集電体としては、電気伝導性が高く、負極の作動電位範囲において腐食を抑えることができる材料を含むシートを使用することができる。例えば、負極集電体としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用する場合、その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。アルミニウム合金箔には、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等を含めることができる。また、アルミニウム合金箔に含まれる、鉄、銅、ニッケル、クロムといった遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
負極活物質としては、例えば、金属、金属合金、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、黒鉛質材料、炭素質材料などを用いることができる。金属酸化物としては、例えば、単斜晶型の結晶構造を有する二酸化チタン(例えば、TiO2(B))及びリチウムチタン複合酸化物のような、チタンを含む化合物を挙げることができる。金属硫化物としては、例えば、TiS2のような硫化チタン、MoS2のような硫化モリブデン、FeS、FeS2、及びLilFeS(添字hは、0.9≦l≦1.2)のような硫化鉄が挙げられる。黒鉛質材料及び炭素質材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素を挙げることができる。なお、複数の異なった負極活物質を混合して用いることも可能である。
チタンを含む化合物のより具体的な例としては、例えば、スピネル型チタン酸リチウム(スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウム)を挙げることができる。この化合物は、一般式Li4+wTi512で表される組成を有し、0≦w≦3であり、スピネル型の結晶構造を有する化合物である。スピネル型チタン酸リチウムは、リチウムが挿入されている状態(w>0)で電子導電性を示し、リチウム挿入量の上昇に伴って電子導電性が向上する。
リチウムチタン複合酸化物の他の具体例としては、単斜晶型の結晶構造を有するニオブチタン複合酸化物及び直方晶型(orthorhombic)の結晶構造を有するチタン含有複合酸化物などのリチウムチタン複合酸化物を挙げることができる。
上記単斜晶型の結晶構造を有するニオブチタン複合酸化物(単斜晶型ニオブチタン複合酸化物)の例としては、一般式LimTi1-nM1nNb2-oM2o7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr、Si及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V、Ta及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。一般式中のそれぞれの添字は、0≦m≦5、0≦n<1、0≦o<2、−0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、一般式LimNb2TiO7(0≦m≦5)で表される組成を有する複合酸化物を挙げることができる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例としては、一般式LipTi1-qM3q+rNb2-r7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦p≦5、0≦q<1、0≦r<2、−0.3≦δ≦0.3である。
直方晶型の結晶構造を有するチタン含有複合酸化物(直方晶型チタン含有複合酸化物)の例としては、一般式Li2+sM(I)2-tTi6-uM(II)v14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr、Ba、Ca、Mg、Na、Cs、Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)は、Zr、Sn、V、Nb、Ta、Mo、W、Y、Fe、Co、Cr、Mn、Ni及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦s≦6、0≦t<2、0≦u<6、0≦v<6、−0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例としては、一般式Li2+sNa2Ti614(0≦s≦6)で表される組成を有する化合物が挙げられる。
負極活物質としては、充放電時の活物質の膨張収縮が小さいチタン含有酸化物を用いることが好ましい。負極活物質に、充放電時の活物質の膨張収縮がない無歪みの特徴を有する組成式Li4Ti512で表される組成を有するチタン酸リチウムを含むことがより好ましい。負極活物質として充放電時に膨張収縮が小さい活物質を用いることで、負極活物質の充放電時における膨張収縮の活物質粒子の割れを抑制することができる。
導電剤は、例えば、負極活物質含有層において、負極活物質同士の電気的導通を助ける役割、及び負極活物質から負極集電体への電気的導通を助ける役割を果たすことができる。
負極の導電剤としては、例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンファイバー、グラフェン等の炭素物質を用いることができる。
バインダは、活物質と集電体とを結合する働きを示すことができる。負極のバインダとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムを用いることができる。
負極活物質含有層に含まれる負極活物質、導電剤、及びバインダの割合(配合割合)は、それぞれ、70〜95重量%、0〜25重量%及び2〜10重量%であることが好ましく、85〜95重量%、3〜10重量%及び2〜5重量%であることがより好ましい。
(セパレータ)
セパレータは、絶縁性を有するものであれば特に限定されない。例えば、セパレータとして、ポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド及びビニロンのようなポリマーで作られた多孔質フィルム又は不織布を用いることができる。セパレータの材料は、1種類であってもよく、或いは、2種類以上を組合せて用いてもよい。
(非水電解質)
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質(電解質塩)とを含む。
電解質としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)などを用いることができる。非水溶媒は、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeHF)、1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル(AN)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)を用いることができる。
(負極集電タブ、正極集電タブ、負極端子及び正極端子)
負極集電タブ、正極集電タブ、負極端子及び正極端子は、電気伝導性の高い材料から形成されていることが好ましい。集電体に接続する場合、接触抵抗を低減させるために、これらの部材は、集電体と同様の材料からなるものであることが好ましい。
(外装部材)
外装部材としては、例えば金属製容器又はラミネートフィルム製容器を用いることができるが、特に限定されない。
外装部材として金属製容器を用いることにより、耐衝撃性及び長期信頼性に優れた電池を実現することができる。外装部材としてラミネートフィルム製容器を用いることにより、耐腐食性に優れた電池を実現することができると共に、電池の軽量化を図ることができる。
金属製容器は、例えば、壁厚が0.2〜5mmの範囲内にあるものを用いることができる。金属製容器は、壁厚が0.5mm以下であることがより好ましい。
金属製容器は、Fe、Ni、Cu、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作ることができる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は1重量%以下にすることが好ましい。これにより、高温環境下での長期信頼性及び耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
ラミネートフィルム製容器は、例えば、厚さが0.1〜2mmの範囲内にあるラミネートフィルムを用いて作製することができる。ラミネートフィルムの厚さは0.2mm以下であることがより好ましい。
ラミネートフィルムは、金属層と、この金属層を挟み込んだ樹脂層を含む多層フィルムが用いられる。金属層は、Fe、Ni、Cu、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属を含むことが好ましい。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。
外装部材の形状としては、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、ボタン型等が挙げられる。外装部材は、用途に応じて様々な寸法を採ることができる。例えば、第2の実施形態に係る電池が携帯用電子機器の用途に用いられる場合は、外装部材は搭載する電子機器の大きさに合わせて小型のものにすることができる。或いは、二輪乃至四輪の自動車等に積載される非水電解質電池である場合、容器は大型電池用容器であり得る。
次に、第2の実施形態に係る電池の例を、図面を参照しながら更に詳細に説明する。
図6は、第2の実施形態に係る第1の例の電池の概略切り欠き斜視図である。図7は、図6のA部の概略拡大断面図である。
図6及び図7に示す電池100は、扁平型の電極群1を具備する。扁平型の電極群1は、負極2と、正極3と、セパレータ4とを含む。
負極2は、図7に示すように、負極集電体2aと、負極集電体2a上に担持された負極活物質含有層2bとを具備する。負極2の最も外側の部分では、負極集電体2aの一方の表面のみに、負極活物質含有層2bが設けられている。その他の部分では、負極集電体2aの両方の表面上に、負極活物質含有層2bが設けられている。正極3は、図7に示すように、正極集電体3aと、正極集電体3aの両方の表面上に担持された正極活物質含有層3bとを具備する。すなわち、正極3は、図5に示す第1の実施形態に係る一例の電極3と同様の構造を有している。
電極群1では、図7に示すように、負極2と正極3とが、負極活物質含有層2bと正極活物質含有層3bとの間にセパレータ4が介在した状態で積層されている。このような電極群1は、以下の手順により得ることができる。まず、一枚の平板状の負極2と一枚の平板状の正極3とを間にセパレータ4を介在させて積層させる。次に、もう一枚のセパレータ4を負極2に対向していない方の正極活物質含有層3bに積層させて、積層体を作る。この積層体を、負極2を外側にして巻回する。ついで、巻き芯を抜いたのち、プレスして、扁平形状にする。かくして、図6及び図7に示す電極群1を得ることができる。
負極2には帯状の負極端子5が電気的に接続されている。正極3には帯状の正極端子6が電気的に接続されている。
図6及び図7に示す電池100は、容器としてのラミネートフィルム製の外装袋7を更に具備している。
電極群1は、ラミネートフィルム製の外装袋7内に、負極端子5及び正極端子6の端部を外装袋7から延出させた状態で収容されている。
ラミネートフィルム製外装袋7内には、図示しない非水電解質が収容されている。すなわち、図6及び図7に示す電池100は、非水電解質電池である。非水電解質は、電極群1に含浸されている。外装袋7は、周縁部がヒートシールされており、それにより、電極群1及び非水電解質を封止している。
次に、第2の実施形態に係る電池の第2の例を、図8を参照しながら詳細に説明する。
図8は、第2の実施形態に係る第2の例の電池の一部切欠き斜視図である。
図8に示す電池100は、外装材が金属製容器7a及び封口板7bから構成されている点で、第1の例の電池100と大きく異なる。
図8に示す電池100は、第1の例の電池100の電極群1と同様の電極群1を具備する。第1の例との相違点は、図8に示す第2の例では、第1の例で負極端子5として用いていた部材5aを負極リードとして用いている点と、第1の例で正極端子6として用いていた部材6aを正極リードとして用いている点とにある。
図8に示す電池100では、このような電極群1が、金属製容器7aの中に収容されている。金属製容器7aは、非水電解質を更に収納している。金属製容器7aは、金属製の封口板7bにより封止されている。
封口板7bには、負極端子5及び正極端子6が備え付けられている。正極端子6と封口板7bとの間には、絶縁部材7cが配されている。それにより、正極端子6と封口板7bとが電気的に絶縁されている。
負極端子5は、図8に示すように、負極リード5aに接続されている。同様に、正極端子6は、正極リード6aに接続されている。
第2の実施形態に係る電池は、第1の実施形態に係る電極を具備するので、優れた入出力性能及び優れた寿命特性を示すことができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第2の実施形態に係る電池を具備する。
第3の実施形態に係る電池パックは、複数の電池を備えることもできる。複数の電池は、電気的に直列に接続することもできるし、又は電気的に並列に接続することもできる。或いは、複数の電池を、直列及び並列の組み合わせで接続することもできる。
例えば、第3の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る電池を複数個具備することもできる。これらの電池は、直列に接続されることができる。また、直列に接続された電池は、組電池を構成することができる。すなわち、第3の実施形態に係る電池パックは、組電池を具備することもできる。
第3の実施形態に係る電池パックは、複数の組電池を具備することができる。複数の組電池は、直列、並列、又は直列及び並列の組み合わせで接続することができる。
第3の実施形態に係る電池パックの一例を、図9及び図10を参照して詳細に説明する。図9及び図10に示す電池パック20は、複数の単電池21を含む。単電池21には、図8に示す電池を使用することができる。
前述した図8に示す電池100から構成される複数の単電池21は、外部に延出した負極端子5及び正極端子6が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ22で締結することにより組電池23を構成している。これらの単電池21は、図10に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板24は、負極端子5及び正極端子6が延出する単電池21側面と対向して配置されている。プリント配線基板24には、図10に示すようにサーミスタ25、保護回路26及び外部機器への通電用端子27が搭載されている。なお、組電池23と対向するプリント配線基板24の面には組電池23の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード28は、組電池23の最下層に位置する正極端子6に接続され、その先端はプリント配線基板24の正極側コネクタ29に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード30は、組電池23の最上層に位置する負極端子5に接続され、その先端はプリント配線基板24の負極側コネクタ31に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ29及び31は、プリント配線基板24に形成された配線32及び33を通して保護回路26に接続されている。
サーミスタ25は、単電池21の温度を検出し、その検出信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路26と外部機器への通電用端子27との間のプラス側配線34a及びマイナス側配線34bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ25の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池21の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池21若しくは組電池23全体について行われる。個々の単電池21を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図9及び図10の場合、単電池21それぞれに電圧検出のための配線35を接続し、これら配線35を通して検出信号が保護回路26に送信される。
正極端子6及び負極端子5が突出する側面を除く組電池23の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート36がそれぞれ配置されている。
組電池23は、各保護シート36及びプリント配線基板24と共に収納容器37内に収納される。すなわち、収納容器37の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート36が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池23は、保護シート36及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。蓋38は、収納容器37の上面に取り付けられている。
なお、組電池23の固定には粘着テープ22に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図9及び図10では単電池21を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続してもよい。組み上がった電池パックを直列及び/又は並列に接続することもできる。
また、第3の実施形態に係る電池パックの態様は、用途により適宜変更される。第3の実施形態に係る電池パックは、大電流を取り出したときにサイクル特性が優れていることが要求される用途に好適に用いられる。具体的には、デジタルカメラの電源として、又は、例えば列車、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、及び、アシスト自転車等の車両の車載用電池として用いられる。特に、車載用電池として好適に用いられる。
第3の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る電池を具備するので、優れた入出力性能及び優れた寿命特性を示すことができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
[電極の作製]
(実施例1)
実施例1では、以下の手順で電極を作製した。
(先分散液Aの調製)
まず、活物質粒子として、式LiNi0.6Co0.2Mn0.22で表される組成を有するリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。この粒子を、露点管理していない大気環境下で、30時間保管した。得られた粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は0.5μmであり、平均二次粒子径は7μmであった。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、活物質粒子及びバインダを、99:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
(先分散液Bの調製)
まず、導電剤として、アセチレンブラックを準備した。このアセチレンブラックを、濃硫酸中で、200℃で加熱した。この処理により、導電剤の表面の官能基の量を増やすことができる。実際、得られた導電剤は、表面にヒドロキシル基とカルボキシル基とを有していた。導電剤の平均粒子径は、40nmであった。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、導電剤及びバインダを、70:30の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Bを得た。
(電極塗料Cの調製)
次に、先分散液A及び先分散液Bを、活物質粒子:導電剤:バインダの重量比が85:10:5となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ロールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の電極塗料Cを得た。
(電極の完成)
次に、電極塗料Cを、帯状のアルミニウム箔からなる集電体の両方の表面に均一に塗布した。次に、塗膜を乾燥させて、集電体とそれの表面上に設けられた活物質含有層とを含む帯状体を得た。次いで、集電体と活物質含有層とを含む帯状体を、プレスに供した。
プレス後、帯状体を切断し、集電体に集電タブを溶接した。かくして、実施例1の電極を得た。
(実施例2)
実施例2では、以下の手順で先分散液Aの調製したこと、及び以下の手順で電極塗料Cを調製したこと以外は実施例1の手順と同様の手順により、電極を作製した。
この例では、活物質粒子として、式LiNi0.6Co0.2Mn0.22で表される組成を有するリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。この粒子をドライルームに保管し、使用直前にドライルームから取り出した。この粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は0.7μmであり、平均二次粒子径は8μmであった。
また、電極添加剤としてのシュウ酸、及びバインダとしてのポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、活物質粒子、電極添加剤及びバインダを、98:1:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、常温常圧の大気雰囲気下で、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。得られたペーストを36時間静置した状態で保管した。
一方で、実施例1と同様の手順で、先分散液Bを得た。次に、先分散液Aと先分散液Bとを、活物質粒子:導電剤:バインダ:電極添加剤の重量比が85:9:5:1となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の電極塗料Cを得た。
(実施例3)
実施例3では、以下の手順で先分散液Aを調製したこと以外は実施例1の手順と同様の手順により、電極を作製した。
この例では、活物質粒子として、実施例2で用いたのと同様のリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。また、バインダとして、カルボニル基を含んだ官能基を側鎖に含むポリフッ化ビニリデンを準備した。このポリフッ化ビニリデンの全体の分子量に対する、カルボニル基の部分の分子量の比率は、3%であった。
次いで、活物質粒子及びバインダを、99:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
(実施例4)
実施例4では、以下の手順で先分散液Aを調製したこと以外は実施例1の手順と同様の手順により、電極を作製した。
この例では、活物質粒子として、実施例2で用いたのと同様のリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。また、バインダとして、カルボニル基を含んだ官能基を側鎖に含むポリアクリロニトリルバインダを準備した。このポリアクリロニトリルの全体の分子量に対する、カルボニル基の部分の分子量の比率は、3%であった。
次いで、活物質粒子及びバインダを、99:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
(実施例5)
実施例5では、以下の手順で先分散液Bを調製したこと以外は実施例3の手順と同様の手順により、電極を作製した。
この例では、導電剤として、ケッチェンブラックを準備した。このケッチェンブラックを、濃硫酸中で、200℃で加熱した。この処理により、導電剤の表面の官能基の量を増やすことができる。実際、得られた導電剤は、表面にヒドロキシル基とカルボキシル基とを有していた。導電剤の平均粒子径は、35nmであった。
また、バインダとして、実施例3で用いたものと同じポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、導電剤及びバインダを、70:30の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Bを得た。
(実施例6)
実施例6では、以下の手順で先分散液Bを調製したこと以外は実施例5の手順と同様の手順により、電極を作製した。
この例では、導電剤として、実施例5で用いたのと同様のケッチェンブラックを準備した。このケッチェンブラックを、実施例5の手順と同様の手順で、濃硫酸により処理をした。
また、バインダとして、実施例3で用いたものと同じポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、導電剤及びバインダを、70:30の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ビーズミル分散機であるビーズ式湿式微粒分散粉砕機「サンドグラインダー」に投入した。このビーズミル分散機において分散を60分間実施した。分散にあたり、分散メディアとして、径が2mmであるガラス製のビーズを用いた。また、羽の回転数を800rpmに設定した。かくして、ペースト状の先分散液Bを得た。
(実施例7及び8)
実施例7及び8では、それぞれ以下の手順で電極塗料Cを調製したこと以外は実施例1と同様の手順により、電極を作製した。
実施例7では、先分散液A及び先分散液Bを、活物質粒子:導電剤:バインダの重量比が85:8:7となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、実施例1と同様に処理した。かくして、ペースト状の電極塗料Cを得た。
実施例8では、先分散液A及び先分散液Bを、活物質粒子:導電剤:バインダの重量比が85:5:10となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、実施例1と同様に処理した。かくして、ペースト状の電極塗料Cを得た。
(実施例9)
実施例9では、以下の手順で先分散液Aを調製したこと以外は実施例1と同様の手順により、電極を作製した。
まず、活物質粒子として、式LiMn24で表される組成を有するスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物の粒子を準備した。この粒子を、露点管理していない大気環境下で、36時間保管した。得られた粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は1μmであり、平均二次粒子径は10μmであった。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、活物質粒子及びバインダを、99:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
(実施例10)
実施例10では、以下の手順で先分散液Aを調製したこと以外は実施例1と同様の手順により、電極を作製した。
まず、活物質粒子として、式LiFePO4で表される組成を有するオリビン型の結晶構造を有するリン酸鉄リチウムの粒子を準備した。この粒子を、露点管理していない大気環境下で、36時間保管した。得られた粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は0.2μmであり、平均二次粒子径は3μmであった。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、活物質粒子及びバインダを、99:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
(実施例11)
実施例11では、実施例1と同様の手順で電極を作製した。
(比較例1)
比較例1では、以下の手順で先分散液Aを調製したこと、及び以下の手順で先分散液Bを調製したこと以外は実施例1の手順と同様の手順で、電極を作製した。
この例では、活物質粒子として、式LiNi0.6Co0.2Mn0.22で表される組成を有するリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。この粒子をドライルームに保管し、使用直前にドライルームから取り出した。この粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は0.7μmであり、平均二次粒子径は8μmであった。すなわち、この例では、実施例2で用いたのと同様の活物質粒子を用いた。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、活物質粒子及びバインダを、70:30の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、実施例1と同様に処理した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
また、この例では、導電剤として、アセチレンブラックを準備した。ただし、実施例1〜4、7〜11とは異なり、準備したアセチレンブラックを、濃硫酸での処理に供さなかった。導電剤の平均粒子径は、40nmであった。この例では、この導電剤を用いたこと以外は実施例1の手順と同様の手順により、先分散液Bを調製した。
(比較例2)
比較例2では、以下の手順で先分散液Bを調製したこと以外は比較例1と同様の手順により、電極を作製した。
この例では、導電剤として、ケッチェンブラックを準備した。ただし、実施例5及び6とは異なり、準備したケッチェンブラックは、濃硫酸による処理に供さなかった。導電剤の平均粒子径は、35nmであった。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、導電剤及びバインダを、70:30の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Bを得た。
(比較例3及び4)
比較例3及び4では、それぞれ以下の手順で電極塗料Cを調製したこと以外は比較例2と同様の手順により、電極を作製した。
比較例3では、先分散液A及び先分散液Bを、活物質粒子:導電剤:バインダの重量比が94:1:5となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、実施例1と同様に処理した。かくして、ペースト状の電極塗料Cを得た。
比較例4では、先分散液A及び先分散液Bを、活物質粒子:導電剤:バインダの重量比が75:20:5となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、実施例1と同様に処理した。かくして、ペースト状の電極塗料Cを得た。
(比較例5)
比較例5では、電極塗料Cの代わりに、以下の手順で調製した電極塗料Dを用いたこと以外は実施例1の手順と同様の手順により、電極を作製した。
この例では、まず、活物質粒子として、式LiNi0.6Co0.2Mn0.22で表される組成を有するリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。この粒子を、露点管理していない大気環境下で、30時間保管した。得られた粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は0.5μmであり、平均二次粒子径は7μmであった。すなわち、実施例1で用いたものと同様の活物質粒子を準備した。
次に、導電剤として、比較例1で用いたのと同様のアセチレンブラックを準備した。すなわち、この例では、濃硫酸での処理に供していないアセチレンブラックを導電剤として用いた。また、バインダとして、実施例1で用いたのと同様のポリフッ化ビニリデンを準備した。
次に、これらを、活物質粒子:導電剤:バインダの重量比が85:10:5となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドンに投入し、懸濁液を得た。
次に、この懸濁液をビーズミル分散機であるビーズ式湿式微粒分散粉砕機「サンドグラインダー」に投入した。このビーズミル分散機において分散を60分間実施した。分散にあたり、分散メディアとして、径が2mmであるガラス製のビーズを用いた。また、羽の回転数を800rpmに設定した。かくして、ペースト状の電極塗料Dを得た。
(比較例6)
比較例6では、以下の手順で先分散液Aを調製したこと及び以下の手順で先分散液Bを調製したこと以外は実施例9と同様の手順で、電極を作製した。
まず、活物質粒子として、式LiMn24で表される組成を有するスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物の粒子を準備した。この粒子をドライルームに保管し、使用直前にドライルームから取り出した。この粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は1μmであり、平均二次粒子径は10μmであった。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、活物質粒子及びバインダを、99:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
一方で、この例では、導電剤として、比較例1で用いたのと同様のアセチレンブラックを準備した。すなわち、この例では、濃硫酸での処理に供していないアセチレンブラックを導電剤として用いた。この例では、この導電剤を用いたこと以外は比較例1の手順と同様の手順により、先分散液Bを調製した。
(比較例7)
比較例7では、以下の手順で先分散液Aを調製したこと及び以下の手順で先分散液Bを調製したこと以外は実施例10と同様の手順により、電極を作製した。
まず、活物質粒子として、式LiFePO4で表される組成を有するオリビン型の結晶構造を有するリン酸鉄リチウムの粒子を準備した。この粒子をドライルームに保管し、使用直前にドライルームから取り出した。この粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は0.2μmであり、平均二次粒子径は3μmであった。
また、バインダとして、ポリフッ化ビニリデンを準備した。
次いで、活物質粒子及びバインダを、99:1の重量比で、N−メチルピロリドンに投入し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、ボールミルで60分間撹拌した。かくして、ペースト状の先分散液Aを得た。
一方で、この例では、導電剤として、比較例1で用いたのと同様のアセチレンブラックを準備した。すなわち、この例では、濃硫酸での処理に供していないアセチレンブラックを導電剤として用いた。この例では、この導電剤を用いたこと以外は比較例1の手順と同様の手順により、先分散液Bを調製した。
(比較例8)
比較例8では、比較例1と同様の手順で電極を作製した。
(比較例9)
比較例9では、以下の手順で電極を作製した。
まず、活物質粒子として、式LiNi0.6Co0.2Mn0.22で表される組成を有するリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。この粒子をドライルームに保管し、使用直前にドライルームから取り出した。この粒子は、一次粒子と二次粒子との混合物であった。平均一次粒子径は0.7μmであり、平均二次粒子径は8μmであった。すなわち、この例では、実施例2で用いたのと同様の活物質粒子を用いた。
また、導電剤として、ケッチェンブラックを準備した。このケッチェンブラックに対しては、酸処理を行わなかった。この導電剤の平均粒子径は、35nmであった。
また、バインダとして、比較例1で用いたものと同様のポリフッ化ビニリデンと、カルボニル基を含んでいないポリアクリロニトリルとを準備した。すなわち、この例で準備したバインダは、カルボニル基を含んでいなかった。
次に、これらを、活物質粒子:導電剤:ポリフッ化ビニリデン:ポリアクリロニトリルの重量比が96:2:1.6:0.4となるように混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物を、N−メチルピロリドンに投入し、懸濁液を得た。この懸濁液をプラネタリーミキサーにて撹拌し、ペースト状の電極塗料Eを得た。プラネタリーミキサーでの撹拌は、50rpmで60分間する条件であった。
次いで、電極塗料Eを、帯状のアルミニウム箔からなる集電体の両方の表面に均一に塗布した。次に、塗膜を乾燥させて、集電体とそれの表面上に設けられた活物質含有層とを含む帯状体を得た。次いで、集電体と活物質含有層とを含む帯状体を、プレスに供した。
プレス後、帯状体を切断し、集電体に集電タブを溶接した。かくして、電極を得た。
[電池の作製]
(実施例1〜10、比較例1〜7、比較例9)
実施例1〜10、比較例1〜7、比較例9の各々では、以下の手順で各例の電池を作製した。なお、以下の説明においては、実施例1〜10、比較例1〜7、比較例9の各々の電極を「正極」と呼ぶ。
(負極の作製)
まず、負極活物質として、スピネル型の結晶構造を有し且つ式Li4Ti512で表される組成を有するチタン酸リチウムを準備した。また、導電剤としてのグラファイト及びバインダとしてのポリフッ化ビニリデンを準備した。これらを、負極活物質、導電剤及びバインダの重量比が90:5:5となるように、N−メチルピロリドンに投入し、混合した。かくして、ペースト状の負極塗料を調製した。
このペースト状の負極塗料を、帯状のアルミニウム箔からなる負極集電体の両方の表面に均一に塗布した。次に、塗膜を乾燥させて、負極集電体とそれの表面上に設けられた負極活物質含有層とを含む帯状体を得た。次いで、負極集電体と負極活物質含有層とを含む帯状体を、プレスに供した。
プレス後、帯状体を切断し、負極集電体に負極集電タブを溶接した。かくして、負極を得た。
(電極群の作製)
2枚のポリエチレン樹脂製セパレータを用意した。次に、1枚のセパレータ、正極、もう一枚のセパレータ及び負極をこの順で重ねて積層体を形成した。次いで、かくして得られた積層体を負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回した。次いで、捲回体から巻き芯を抜いた。次いで、この捲回体を加熱しながらプレスした。かくして、扁平形状の捲回型電極群を作製した。
(非水電解質の調製)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを体積比1:2で混合し、非水溶媒を調製した。この非水溶媒に、電解質としての六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた。かくして、非水電解質を調製した。
(電池の組み立て)
上記のようにして得られた捲回型電極群の正極及び負極にそれぞれ端子を接続した。次いで、アルミニウム製の角形容器(外装部材)に電極群を収容した。この容器の中に、前述の非水電解質を注液した。かくして、各例の電池を得た。
(実施例11及び比較例8)
実施例11及び比較例8の各々では、以下の手順で負極を作製したこと、及び実施例11及び比較例8の各々の電極を正極として用いたこと以外は実施例1と同様の手順により、電池を作製した。
これらの例では、負極活物質として、単斜晶型の結晶構造を有し且つ式TiNb27で表される組成を有するニオブチタン複合酸化物を準備した。これらの例では、負極活物質としてこのニオブチタン複合酸化物を用いたこと以外は実施例1の手順と同様の手順により、負極を作製した。
以下の表1及び表2に、各例の電池の作製条件を示す。
Figure 2020194385
Figure 2020194385
[電池性能の評価]
実施例及び比較例の各々の電池を、以下の手順で評価した。以下の説明では、各々の電池を単に電池と呼ぶ。
(初回充放電)
電池を、25℃の温度環境下において、0.2Cの定電流値で、電圧が2.8Vに達するまで定電流充電した。次いで、電池を、電流値が0.01Cの電流値となるまで定電圧充電した。すなわち、電池を定電流定電圧充電(CC−CV充電)に供した。次いで、50℃以上の高温下で保管した電池を、25℃の温度環境下において、5時間保管した。次いで、電池を、1Cの定電流値で、電圧が1.5Vに達するまで定電流放電した。この放電で得られた容量を検査容量とした。
(出力試験)
電池を、25℃の温度環境下において、充電率100%(SOC100%)の状態から充電率0%(SOC0%)まで1Cの電流値で放電に供した。次いで、電池を、25℃の温度環境下において、先と同様の条件で定電流定電圧充電に供した。次いで、電池を、25℃の温度環境下において、充電率100%(SOC100%)の状態から充電率0%(SOC0%)まで10Cの電流値で放電に供した。それぞれの電流値で放電した際に得られた放電容量の比C(10C)/C(1C)を、レート容量維持率として求めた。レート容量維持率は、出力性能の指標である。レート容量維持率が高い電池は、優れた出力性能を示すことができる。また、優れた出力性能を示すことができる電池は、電池の内部抵抗が低いため、優れた入力性能を示すこともできる。
(寿命試験)
電池を、以下の手順で、寿命試験に供した。
まず、電池を、25℃の温度環境下においた。この環境下で、電池を充電率50%(SOC50%)の状態とした。この状態にある電池の開回路電圧(OCV)を測定し、放電開始前の開回路電圧V0とした。次いで、この電池を、10Cの電流値で10秒間放電し、電圧を測定した。この電圧を、10秒放電後の電圧V10とした。電圧V0と電圧V10との差分から、サイクル前抵抗値R0を算出した。具体的には、R0は、以下の式にV0及びV10の値を代入して求めた。R0=(V0−V10)/10C。
次に、電池を45℃の温度環境下においた。ここで、電池を2Cの定電流値で電池電圧が2.8Vに達するまで充電した。次いで、電池を2Cの定電流値で電池電圧が1.5Vに達するまで放電した。この充電及び放電の組を1つの充放電サイクルとした。次いで、電池を、500回の充放電サイクルに供した。
次に、サイクル前抵抗値R1の測定と同様の手順で、電池の500回サイクル後の抵抗値R500を算出した。
抵抗値R500を抵抗値R0で割ることにより、500回の充放電サイクルによる抵抗上昇率を求めた。
抵抗上昇率は、電池の寿命性能の指標である。抵抗上昇率が低い電池は、優れた寿命特性を示すことができる。
各電池のレート容量維持率及び抵抗上昇率を、以下の表3に示す。
Figure 2020194385
(活物質粒子に対するバインダの被覆率の測定)
各電池の正極に含まれる活物質粒子(正極活物質粒子)に対するバインダの被覆率を、先に説明した手順で測定した。その結果を以下の表4に示す。
(活物質含有層の積算細孔容積分布の測定)
各電池の正極の活物質含有層(正極活物質含有層)の積算細孔容積分布を、先に説明した手順で得た。各電池について得られた積算細孔容積分布における、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積を、以下の表4に示す。
(活物質含有層からの二酸化炭素の発生量の測定)
各電池の正極の活物質含有層(正極活物質含有層)を、先に説明した手順で、熱分解クロマトグラフィーによる分析に供した。この分析によって得られた活物質含有層からの二酸化炭素の発生量を、以下の表4に示す。
Figure 2020194385
表3に示した結果から、実施例1〜11の電極は、優れた出力性能と、優れた寿命特性を示すことができた電池を実現できたことが分かる。また、実施例1と、実施例9及び10との比較から、これらの実施例の電極は、正極活物質が異なっているが、同様に、優れた出力性能と優れた寿命特性とを示すことができた電池を実現できたことが分かる。また、実施例1と実施例11との比較から、これらの実施例の電池は、負極活物質が異なっているが、同様に、優れた出力性能と優れた寿命特性とを示すことができたことが分かる。
一方、比較例1の電池は、実施例1〜11の電池よりも、出力性能が低かった。比較例1の電池の正極では、導電剤が凝集してしまい、活物質粒子の周りに均一に分散できていなかったと考えられる。そのため、比較例1の電池の正極では、活物質粒子と導電剤とが十分に接触できず、結果として、比較例1の電池が乏しい出力性能を示したと考えられる。
比較例2の電極は、導電剤として、アセチレンブラックの代わりにケッチェンブラックを用いた点で比較例1と異なる。比較例1及び2の結果から、比較例1の電極において、粒子径が小さい、すなわち比表面積の大きなケッチェンブラックを用いても、活物質粒子と導電剤との接触頻度の向上を十分に達成できないことが分かる。
比較例3の電池は、実施例1〜11の電池よりも、出力性能が低かった。比較例3の電池の正極では、活物質粒子の周りに導電剤が十分に存在していなかったと考えられる。そのため、比較例3の電池の正極では、活物質粒子と導電剤とが十分に接触できず、結果として、比較例3の電池が乏しい出力性能を示したと考えられる。この結果から、150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下であっても、活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布における細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g未満であると、優れた出力性能を実現できないことが分かる。
一方、比較例4の電池は、実施例1〜11の電池よりも、寿命特性に劣っていた。比較例4の電池の正極では、活物質粒子に対するバインダの被覆率が低過ぎ、活物質と非水電解質や不純物などとの副反応を抑制できなかったと考えられる。
比較例5の電池は、実施例1〜11の電池よりも、出力性能が低かった。比較例5の電池の正極では、活物質粒子の周りに導電剤が均一に存在していなかったと考えられる。そのため、比較例5の電池の正極では、活物質粒子と導電剤とが十分に接触できず、結果として、比較例5の電池が乏しい出力性能を示したと考えられる。この結果から、150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下であっても、活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布における細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g未満であると、優れた出力性能を実現できないことが分かる。
比較例6及び7の電池も、比較例1の電池と同様に、出力性能に劣っていた。比較例1、6及び7は、正極活物質が互いに異なる例である。これらの比較例の結果から、比較例1、6及び7の電池の乏しい出力性能は、正極活物質の種類に依存するものではないことがわかる。また、実施例1及び比較例1の組、実施例9及び比較例6の組、並びに実施例10及び比較例7の組は、それぞれ、準備した正極活物質の組成が同様である。これらの例の結果から、各実施例の電池は、対応する比較例の電池よりも、優れた出力性能及び優れた寿命特性を示すことができたことが分かる。
また、比較例8の電池は、比較例1の電池と同様に、出力性能に劣っていた。比較例8の電池の正極は、比較例1のそれと同様である。比較例1及び8の結果の比較から、比較例8の電池の乏しい出力性能は、負極活物質の種類に依存するものではないことがわかる。また、表3に示した結果から、実施例11の電池は、負極活物質が同様である比較例8の電池よりも出力性能に優れていたことが分かる。
比較例9の電池は、比較例1の電池と同様に、出力性能に劣っていた。比較例9の電池の正極の活物質含有層では、活物質粒子に対するバインダの被覆率が、例えば、実施例1のそれと同様であった。また、比較例9で用いた導電剤であるケッチェンブラックは、実施例1で用いた導電剤よりも小さな平均粒子径、すなわち大きな比表面積を有していた。しかしながら、比較例9の電池の正極の活物質含有層では、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g未満であったため、導電剤が凝集していた。このことは、活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布における細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g未満であったことからも明らかである。つまり、比較例9の電池では、正極活物質粒子の表面の85%がバインダによって被覆され、且つ導電助剤が凝集していた。そのため、比較例9の電池の正極の活物質含有層では、活物質粒子と導電剤との接触頻度が低くなった。その結果、比較例9の電池は、乏しい出力性能を示したと考えられる。
これらの少なくとも1つの実施形態又は実施例の電極は、活物質含有層を具備する。この活物質含有層は、活物質粒子と、バインダと、導電剤とを含む。バインダは、活物質粒子の表面を80%以上99%未満の被覆率で覆う。活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布において、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g以上0.050mL/g以下である。150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下である。この活物質含有層では、バインダが高い被覆率で活物質粒子の表面を覆っているが、導電剤が、活物質粒子の周りに、十分な量で均一に存在できる。そのため、この活物質含有層では、活物質粒子と導電剤とが、高い接触頻度を示すことができる。これらの結果、この電極は、優れた入出力性能及び優れた寿命特性を示すことができる電池を実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (7)

  1. 活物質粒子と、
    前記活物質粒子の表面を80%以上99%未満の被覆率で覆うバインダと、
    導電剤と
    を含む活物質含有層を具備し、
    前記活物質含有層の水銀圧入法による積算細孔容積分布において、細孔径が0.1μm以下である領域の細孔体積が0.035mL/g以上0.050mL/g以下であり、
    150℃から600℃までの熱分解ガスクロマトグラフィーによる、前記活物質含有層からの二酸化炭素の発生量が9mL/g以上10mL/g以下である電極。
  2. 前記バインダがカルボニル基を含んでいる請求項1に記載の電極。
  3. 前記バインダが、カルボニル基を含むポリフッ化ビニリデンを含む請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記活物質粒子は、表面にカルボニル基を含んでいる請求項1〜3の何れか1項に記載の電極。
  5. 前記導電剤がケッチェンブラックを含む請求項1〜4の何れか1項に記載の電極。
  6. 正極としての請求項1〜5の何れか1項に記載の電極と、
    負極と、
    電解質と
    を具備した電池。
  7. 請求項6に記載の電池を具備した電池パック。
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