JP5725372B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。詳しくは、従来に比べ信頼性の向上した負極を備えた該電池に関する。
リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)等の非水電解質二次電池は、小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度に優れる。このため、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や、車両駆動用電源として好ましく用いられている。
この種の非水電解質二次電池は、正極および負極を備える電極体と、非水電解質(典型的には非水電解液)とを電池ケースに収容した構成を備える。そして、該電極(正極および負極)は、対応する正負の集電体上に、電荷担体(典型的にはリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る活物質を主成分とする電極合材層(具体的には、正極合材層および負極合材層)を、それぞれ備えている。かかる電極は、例えば、活物質とバインダ等を適当な溶媒中で混合し調製したスラリー状(ペースト状、インク状を含む)の組成物(電極合材スラリー)を集電体上に塗工(塗布)し、電極合材層を形成することにより作製される。
国際公開第2011/114641号
このような非水電解質二次電池では、落下等の衝撃によって該電池が変形したり、金属物の釘刺し等によって該電池の構造が破壊されたりすると、電池内で短絡(内部短絡)が発生する場合がある。かかる場合、短絡した部分でジュール熱が発生することにより活物質(例えば、負極活物質)等が発熱し、該電池の温度が急激に上昇する虞がある。例えば、車両駆動用電源等に用いられるような高エネルギー密度および/または高出力密度の電池においては、このような温度上昇がとりわけ顕著なため、該電池の更なる信頼性の向上が求められている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い電池性能を維持しつつ、従来に比べ信頼性(典型的には、落下等の衝撃によって電池が変形した場合や、金属物の釘刺し等によって電池の構造が破壊されたりした場合の耐性)が向上した非水電解質二次電池を提供することである。
上記目的を実現すべく、正極と負極とを備えた電極体と非水電解質とが所定の電池ケース内に収容された非水電解質二次電池が提供される。そして、上記負極は負極集電体と該集電体上に形成された負極活物質を含む負極合材層とを備え、上記負極合材層は負極活物質としての炭素材料を主として含む上記負極集電体に接するメイン合材層と、上記メイン合材層上に形成された負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物を主として含むサブ合材層を有している。ここで、上記サブ合材層を厚み方向に二分した時に、相対的に上記メイン合材層に近い領域に含まれる導電材の割合(Rc)と、相対的に表面に近い領域に含まれる導電材の割合(Rs)とが異なっており、上記Rcと上記Rsとが、Rc>Rsの関係にあることを特徴とする。
サブ合材層に含有される導電材が上記関係にある場合、負極合材層の表面に近い領域(例えば、負極合材層の最表面)における導電性が低く抑えられているため、金属物の釘刺し等によって電池の内部に短絡箇所が生じた場合にも、該電池の発熱(典型的には、ジュール熱)を好適に抑制することができる。また、相対的に上記メイン合材層に近い領域に導電材を多く含むことで、導電性の低いリチウムチタン複合酸化物の抵抗(典型的には、サブ合材層内の抵抗)を抑制することができる。更に、メイン合材層には主として炭素材料が含まれるため、高い電池性能(例えば、電池容量)を発揮することができる。したがって、上記メイン合材層とサブ合材層とを有する負極合材層を備えた非水電解質二次電池では、高い電池性能(例えば、電池容量や低温出力特性)を維持しつつ、従来に比べ電池の信頼性を向上(典型的には、内部短絡時の発熱を低減)させることができる。
なお、特許文献1には、炭素材料からなる負極合材層の表面にリチウムチタン複合酸化物を含む層を配置したリチウム二次電池が記載されている。しかし、かかる従来技術は電池特性の向上のみを目的としており、本発明の課題および目的(即ち、該電池の信頼性向上と電池性能の両立)に関しては、何の開示も示唆もされていない。また後述する試験例に示すように、かかる従来技術のみでは本願の目的を達成することはできない。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様として、上記Rsが0質量%≦Rs≦6質量%であることが挙げられる。
上記導電材の割合を満たす場合、負極合材層の表面に近い領域の導電性がより低く抑えられている。このため、電池の内部に短絡が生じた場合等においても、該電池の発熱を更に抑制することができ、本発明の効果(該電池の信頼性の向上)をより一層発揮することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様として、上記Rcが、7質量%≦Rc≦20質量%であることが挙げられる。
上記導電材の割合を満たす場合、導電性の低いリチウムチタン複合酸化物を含むサブ合材層内の抵抗(典型的にはリチウムチタン複合酸化物同士の接触抵抗)をより低く抑えることができる。このため、かかるサブ合材層を有する非水電解質二次電池では、より一層優れた電池性能を発揮することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様として、上記サブ合材層は、上記メイン合材層に近い領域からなる下層と、上記表面に近い領域からなる上層と、の二層構造からなることが挙げられる。
サブ合材層が上記二層構造からなる場合、効率的に本願の目的を達成し得る。即ち、本発明の目的(優れた性能備え、且つ信頼性の向上した電池を提供すること)と生産性とを好適に両立させることができる。
また、本発明は、正極と負極とを備えた電極体と、非水電解質と、が所定の電池ケース内に収容された非水電解質二次電池の製造方法を提供する。かかる製造方法は、負極集電体上に、負極活物質としての炭素材料を主として含むメイン合材層を形成すること、上記メイン合材層上に、負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物を主として含むサブ合材層を形成することにより、上記負極集電体上に負極合材層を作製すること、および上記負極集電体上に上記負極合材層が形成されてなる負極を用いて非水電解質二次電池を構築すること、を包含する。そして、上記サブ合材層を厚み方向に二分した時に、相対的に上記メイン合材層に近い領域に含まれる導電材の割合(Rc)と、相対的に表面に近い領域に含まれる導電材の割合(Rs)とが異なり、上記Rcと上記Rsとの関係が、Rc>Rsとなるように上記負極合材層を作製することを特徴とする。
ここで開示される製造方法によれば、高い電池性能(例えば、電池容量や低温出力特性)を備え、且つ従来に比べ電池の信頼性が向上(典型的には、内部短絡時の発熱が低減)した電池を好適に製造することができる。
また、本発明によると、ここで開示される非水電解質二次電池を駆動用電源として備える車両が提供される。
上記電池は、高い電池性能を維持しつつ、従来に比べ信頼性(典型的には、落下等の衝撃によって電池が変形した場合や、金属物の釘刺し等によって電池が破壊されたりした場合の耐性)が向上している。このため、高容量、高出力の用途(例えば車両(典型的には、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV))に搭載されるモーター駆動のための動力源(駆動用電源))に好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る、非水電解質二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1の非水電解質二次電池のII−II線における断面構造を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る、非水電解質二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る、非水電解質二次電池の負極の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る、非水電解質二次電池を備えた車両(自動車)を示す側面図である。 0℃パルス試験における1サイクルの充放電パターンを示す図である。
本明細書において「非水電解質二次電池」とは、非水電解質(典型的には、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を含む電解質)を備えた電池をいう。また、「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池(もしくはリチウムイオン二次電池)、リチウムポリマー電池等と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。また、本明細書において「活物質」とは、正極側又は負極側において蓄電に関与する物質(化合物)をいう。即ち、電池の充放電時において電子の吸蔵および放出に関与する物質をいう。
以下、ここで開示される非水電解質二次電池の好適な実施形態について説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。かかる構造の非水電解質二次電池は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池の正極としては、正極活物質と導電材とバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒中で混合してスラリー状(ペースト状、インク状のものを包含する。)の組成物(以下、「正極合材スラリー」という。)を調製し、該スラリーを正極集電体上に付与して正極合材層(正極活物質層ともいう。)を形成した形態のものを用いることができる。なお、正極合材スラリーを調製する方法としては、上記正極活物質と導電材とバインダとを一度に混練してもよく、何回かに分けて段階的に混練してもよい。特に限定されるものではないが、正極合材スラリーの固形分濃度(NV)は50質量%〜75質量%(好ましくは55質量%〜65質量%、より好ましくは55質量%〜60質量%)とすることができる。また、正極合材層を形成する方法としては、例えば、上記正極合材スラリーを正極集電体の片面または両面に、従来公知の塗布装置(例えば、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター)を用いて適量塗布し、乾燥させる方法を採用することができる。
正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好ましく用いられる。集電体の形状は、構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に限定されず、棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。なお、後述する捲回電極体を備えた電池では、主に箔状体が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから、5μm〜50μm(より好ましくは8μm〜30μm)程度のものを好ましく用いることができる。
正極活物質としては、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウム元素と遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウム元素と遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等が挙げられる。中でも、構成元素としてリチウム元素、ニッケル元素、コバルト元素およびマンガン元素を含む、層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を主成分とする正極活物質(典型的には、実質的にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質)は、熱安定性に優れ、かつエネルギー密度も高いため好ましく用いることができる。特に限定するものではないが、正極合材層全体に占める正極活物質の割合は、50質量%以上(典型的には70質量%以上100質量%以下、例えば80質量%以上99質量%以下)であることが好ましい。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、Li、Ni、Co、Mnを構成金属元素とする酸化物のほか、Li、Ni、Co、Mn以外に他の少なくとも一種の金属元素(Li、Ni、Co、Mn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの一種または二種以上の元素であり得る。また、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、及びリチウムマンガン酸化物についても同様である。上記置換的な構成元素の量は、特に限定されないが、例えば、当該置換元素とNiとCoとMnとの合計100質量%に対し、0.1質量%以上(典型的には0.2質量%以上、例えば0.3質量%以上)であって、1.0質量%以下(典型的には0.8質量%以下、例えば0.7質量%以下)とすることができる。
このようなリチウム遷移金属酸化物(典型的には粒子状)としては、例えば従来公知の方法で調製されるリチウム遷移金属酸化物粉末をそのまま使用することができる。かかる粉末の粒径は、特に限定するものではないが、例えば、1μm〜25μm(典型的には2μm〜10μm、例えば6μm〜10μm)とすることができる。なお、本明細書において「粒径」とは一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布おいて、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)を示す。
溶媒としては、従来から非水電解質二次電池に用いられる溶媒のうち一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。なお、かかる溶媒は水系と有機溶剤に大別され、有機溶媒としては、例えば、アミド、アルコール、ケトン、エステル、アミン、エーテル、ニトリル、環状エーテル、芳香族炭化水素等が挙げられる。より具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−プロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、プロペン酸メチル、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、アセトニトリル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられ、典型的にはNMPを用いることができる。また、水系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒であることが好ましい。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒(例えば水)が挙げられる。
導電材としては、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等)、コークス、黒鉛(天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。あるいは金属繊維(例えばAl繊維、ステンレス鋼(SUS)繊維等)、導電性金属粉末(例えばAg、Ni、Cu等の金属粉末)、金属酸化物(例えばZnO、SnO等)、金属で表面被覆した合成繊維等を用いてもよい。なかでも好ましい導電材として、粒径が小さく比表面積の大きなカーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)が挙げられる。正極合材層全体に占める導電材の割合は、特に限定するものではないが、例えば0.1質量%〜15質量%(典型的には1質量%〜10質量%)とすることができる。
バインダとしては、上述した溶媒中に均一に溶解または分散し得る化合物であって、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、溶剤系の液状組成物(分散媒の主成分が有機溶媒である溶剤系組成物)を用いて正極合材層を形成する場合には、有機溶剤に分散または溶解するポリマー材料を好ましく採用し得る。かかるポリマー材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等が挙げられる。あるいは、水系の液状組成物を用いて正極合材層を形成する場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。かかるポリマー材料としては、セルロース系ポリマー、フッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、ゴム類等が例示される。より具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等が挙げられる。特に限定するものではないが、正極合材層全体に占めるバインダの割合は、例えば0.1質量%〜10質量%(好ましくは1質量%〜5質量%)とすることができる。
また、ここで調製される正極合材スラリーには、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、各種添加剤(例えば、過充電時においてガスを発生させる無機化合物や、分散剤として機能し得る材料)等を添加することもできる。該過充電時にガスを発生させる無機化合物としては、炭酸塩やシュウ酸塩、硝酸塩等が挙げられ、例えば、炭酸リチウムやシュウ酸リチウムが好ましく用いられる。また、該分散剤としては、疎水性鎖と親水性基をもつ高分子化合物(例えばアルカリ塩、典型的にはナトリウム塩)や、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩等を有するアニオン性化合物やアミン等のカチオン性化合物等が挙げられる。より具体的には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチラール、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ等が挙げられる。
そして、上記正極スラリーを付与した正極を適当な乾燥手段で乾燥し、正極合材スラリー中に含まれていた溶媒を除去する。かかる手法としては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線等を単独または組み合わせて用いることができる。
正極合材スラリーの乾燥後、正極に適宜プレス処理(例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。)を施すことによって、正極合材層の厚みや密度を調整することができる。正極集電体上に形成された正極合材層の密度が極端に低い場合は、単位体積当たりの容量が低下する虞がある。また、正極合材層の密度が極端に高い場合は、特に大電流充放電時や低温下での充放電時において内部抵抗が上昇する傾向にある。このため、正極合材層の密度は、例えば2.0g/cm以上(典型的には2.5g/cm以上)であって、4.5g/cm以下(典型的には4.2g/cm以下)とすることができる。
次に、ここで開示される非水電解質二次電池の負極の構成を、図4を参照しながら説明する。図4はここで開示される非水電解質二次電池の負極20の構成を示した模式図である。ここで開示される負極20は、負極集電体22と、該集電体上22に形成された負極活物質を含む負極合材層24とを備えており、負極合材層24は、主として炭素材料(典型的には、黒鉛)を含む負極集電体に接するメイン合材層26と、メイン合材層26上に形成された主としてリチウムチタン複合酸化物を含むサブ合材層28とを有している。そして、サブ合材層28を厚み方向に二分した時に、相対的にメイン合材層26に近い領域28Cに含まれる導電材の割合(Rc)と、相対的に表面に近い領域28Sに含まれる導電材の割合(Rs)とが異なっている。
サブ合材層に含有される導電材が上記関係にある場合、負極合材層の表面に近い領域(例えば、負極合材層の最表面)における導電性が低く抑えられているため、金属物の釘刺し等によって電池の内部に短絡箇所が生じた場合にも、該電池の発熱(典型的には、ジュール熱)を好適に抑制することができる。また、相対的にメイン合材層に近い領域に導電材を多く含むことで、導電性の低いリチウムチタン複合酸化物の抵抗(典型的には、サブ合材層内の抵抗)を抑制することができる。更に、メイン合材層には主として炭素材料が含まれるため、高い電池性能(例えば、電池容量)を発揮することができる。したがって、メイン合材層とサブ合材層とを有する負極合材層を備えた非水電解質二次電池では、高い電池性能(例えば、電池容量や低温出力特性)を維持しつつ、従来に比べ電池の信頼性を向上(典型的には、内部短絡時の発熱を低減)させることができる。なお、本明細書において「層」とは、単に厚み方向の一部を、他の部分と区別するのに用いる用語であって、必ずしも物理的に微視的および/または巨視的に視認される必要はない。
ここで、好ましい一態様としては、サブ合材層28は、メイン合材層26に近い領域からなる下層28Cと、表面に近い領域からなる上層28Sと、の二層構造からなることが挙げられる。サブ合材層が上記二層構造からなる場合、効率的に本願の目的を達成し得る。即ち、該電池の作製に要する時間や費用を低く抑えることができるため、本発明の目的(優れた性能備え、且つ信頼性の向上した電池を提供すること)と生産性とを好適に両立させることができる。
かかる非水電解質二次電池の負極を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、先ず、負極活物質としての炭素材料とバインダ等とを適当な溶媒中で混合してスラリー状(ペースト状、インク状のものを包含する。)の組成物(以下、「メイン合材層形成用スラリー」という。)を調製する。次に、少なくとも負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物と導電材とバインダ等とを適当な溶媒中で混合してスラリー状の組成物(以下、「サブ合材層形成用スラリー」という。)を調製する。なお、サブ合材層形成用スラリーを調製する際は、典型的には添加する導電材の割合を変えた2種類のスラリーを調製する。即ち、典型的には、メイン合材層形成用スラリーと、2種のサブ合材層形成用スラリーと、を用意する。
上記調製したメイン合材層形成用スラリーを負極集電体22上の片面または両面に適当量塗布し乾燥させることにより、メイン合材層26を形成する。次に、サブ合材層形成用スラリーのうち、導電材の含有割合が高い方のスラリーをメイン合材層26の上に適当量塗布し乾燥させることにより下層(サブ合材層)28Cを形成する。そして、サブ合材層形成用スラリーのうち、導電材の含有割合が低い方のスラリーを下層(サブ合材層)28Cの上に適当量塗布し乾燥させることにより上層(サブ合材層)28Sを形成する。これにより、図4に示すような負極20を得ることができる。
負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好ましく用いられる。なお、形態は特に限定されず、棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。後述する捲回電極体を備えた電池では、箔状が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから、5μm〜50μm(より好ましくは8μm〜30μm)程度のものを好ましく用いることができる。
ここで開示される負極合材層には、メイン合材層26には主として負極活物質たる炭素材料が、サブ合材層28には主として負極活物質たるリチウムチタン複合酸化物が、其々含まれている。
メイン合材層26全体に占める炭素材料の割合は特に限定されないが、典型的には50質量%以上、例えば70質量%〜99質量%(好ましくは80質量%〜99質量%)とすることができる。また、サブ合材層28全体に占めるリチウムチタン複合酸化物の割合は特に限定されないが、典型的には50質量%以上、例えば60質量%〜99質量%(典型的には70質量%〜99質量%、好ましくは80質量%〜98質量%、より好ましくは85質量%〜98質量%)とすることができる。
負極活物質としては、かかる条件を満たす限りにおいて、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。上記炭素材料としては、例えば、天然黒鉛(石墨)およびその改質体や石油または石炭系の材料から製造された人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)や、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等少なくとも一部に黒鉛構造(層状構造)を有する(低結晶性の)炭素材料等が挙げられる。なかでも、大きな容量が得られる黒鉛質の炭素材料(典型的には、黒鉛)を好ましく使用することができる。負極活物質として、層間構造が発達し高い容量が得られる(即ち、電荷担体をかかる層間構造に多く吸蔵し得る)黒鉛を用いることで、本発明の効果(広範な温度環境下における信頼性の向上)と優れた電池性能(例えば、高い出力密度)とを高いレベルで両立させることができる。
このような炭素材料は典型的には粉体(粉末状)であり、かかる粉体の粒径は例えば、15μm以下(典型的には10μm以下、好ましくは4μm以上10μm以下)とすることができる。また、一般的な比表面積測定装置(例えば、日本ベル株式会社製の「BELSORP(商標)−18PLUS」)を用いて、窒素ガスによる定容量式吸着法により測定し、BET法(例えばBET1点法)により解析した値(BET比表面積)は、例えば、1m/g以上(典型的には2m/g以上)であって、40m/g以下(典型的には30m/g以下、例えば20m/g以下)とすることができる。また、一般的なタッピング式の密度測定装置(例えば、筒井理化学器械社製の型式「TPM−3」)を用いてJIS K1469に規定される方法により測定した値(タップ密度)は、例えば、0.1g/cm以上(典型的には0.5g/cm以上、例えば0.7g/cm以上)であって、1.5g/cm以下(典型的には1.3g/cm以下、例えば1.2g/cm以下)とすることができる。負極活物質としての炭素材料が上記範囲を満たす場合、負極合材層内に好適な空隙を保持し得る。このため該負極合材層内に電解液が潤浸し易く、内部抵抗(拡散抵抗)を低く抑えることができる。さらに、比較的体積が小さく抑えられることで、負極合材層内の負極活物質の割合を相対的に高めることができ、単位体積当たりの電池容量(エネルギー密度)を高めることができる。
また、上記リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTOとも言う。)としては、構成元素にリチウム元素(Li)とチタン元素(Ti)と酸素元素(O)を含む化合物であれば特に限定されず、一種または二種以上を適宜用いることができる。かかる例としては、例えば、化学式:LiTi12、LiTi、LiTi等で示される酸化物が挙げられ、なかでもLiTi12で示されるスピネル構造を有するチタン酸リチウムを好ましく用いることができる。
ここで、リチウムチタン複合酸化物とは、Li、Tiを構成金属元素とする酸化物のほか、Li、Ti以外に他の少なくとも一種の金属元素を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素としては、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの一種または二種以上の元素であり得る。上記置換的な構成元素の量は、特に限定されないが、例えば、当該置換元素とLiとTiとの合計100質量%に対し、10質量%以下とすることができる。
このようなリチウムチタン複合酸化物としては、例えば従来公知の方法で調製されるリチウムチタン複合酸化物(典型的には粉体)をそのまま使用することができる。かかる粉体の粒径は例えば、20μm以下(典型的には0.5μm以上20μm以下、例えば1μm以上10μm以下)とすることができる。また、既に上述した手法を用いて測定された比表面積は例えば、1m/g以上(典型的には2m/g以上)であって、30m/g以下(典型的には20m/g以下、例えば10m/g以下)とすることができる。
なお、負極活物質としては、本発明の効果を著しく悪化させない限りにおいて、上記炭素材料およびリチウムチタン複合酸化物以外の材料を種々混合して用いることもできる。かかる材料としては、例えば、金属の酸化物、窒化物、硫化物およびその複合物や、リチウム合金、リチウム合金複合化合物等が挙げられる。より具体的には、酸化ケイ素(例えばSiO、SiO)、酸化チタン(例えばTiO、TiO)、酸化バナジウム(例えばVO、V)、酸化鉄(例えばFeO、Fe、Fe)、酸化コバルト(例えばCoO、Co)、酸化ニッケル(例えばNiO)、酸化ニオブ(例えばNb)、酸化錫(例えばSnO、SnO)、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物、窒化リチウム(LiN)、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物、硫化チタン(例えばTiS、TiS、Ti)、硫化バナジウム(例えばVS、VS、V)、硫化鉄(例えばFeS、FeS、Fe)、硫化モリブデン(例えばMoS、Mo)、硫化錫(例えばSnS、SnS)、ケイ素とリチウムの合金(例えばLi4.4Si、Li22Si)、ゲルマニウムとリチウムの合金(例えばLi4.4Ge)等が挙げられる。
ここで、サブ合材層28は、厚み方向に二分した時に、相対的にメイン合材層に近い領域28Cに含まれる導電材の割合(Rc)と、相対的に表面に近い領域28Sに含まれる導電材の割合(Rs)とが異なり、RcとRsとがRc>Rsの関係になるよう作製される。ここで開示される製造方法によれば、高い電池性能(例えば、電池容量や低温出力特性)を備え、且つ従来に比べ電池の信頼性が向上(典型的には、内部短絡時の発熱が低減)した電池を好適に製造することができる。
導電材は、典型的には粉体であって、例えば既に上記正極合材層用として例示したものを1種または2種以上、適宜選択して用いることができる。かかる粉体の性質は特に限定されないが、例えば、一般的な走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)観察によって計測される一次粒子の粒径は例えば、10nm以上(典型的には15nm以上、例えば20nm以上)であって、200nm以下(典型的には100nm以下、例えば60nm以下)とすることができる。また、比表面積は例えば、10m/g以上であって、1000m/g以下(典型的には500m/g以下、例えば100m/g以下)とすることができる。また、タップ密度は例えば、0.01g/cm以上であって、0.50g/cm以下(典型的には、0.30g/cm以下)とすることができる。かかる性質(即ち、上述した一次粒子の粒径、比表面積、タップ密度)のうち一または二以上を満たす場合、合材層内に好適な導電パスを形成し、且つ高いエネルギー密度を実現し得る。このような条件を満たす導電材としては例えば、カーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)が挙げられる。
サブ合材層28において、メイン合材層26に近い領域28Cに含まれる導電材と、表面に近い領域28Sに含まれる導電材との種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、導電材の割合は、RcとRsの関係が上記範囲を満たす限りにおいて特に限定されず、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択することができる。例えば、上記Rsは、0質量%以上(典型的には0質量%よりも大きく、好ましくは1質量%以上)であって、6質量%以下とすることができる。上記導電材の割合を満たす場合、負極合材層の表面に近い領域の導電性がより低く抑えられている。このため、電池の内部に短絡が生じた場合等においても、該電池の発熱を更に抑制することができ、本発明の効果(該電池の信頼性の向上)をより一層発揮することができる。なお、負極活物質として、リチウムチタン複合酸化物よりも導電性の高い化合物(例えば黒鉛)を併用する場合は、例えば、導電材と該リチウムチタン複合酸化物よりも導電性の高い化合物との和を上記数値範囲内とすることができる。
また上記Rcは、7質量%以上であって、20質量%以下(典型的には15質量%以下、例えば10質量%以下)とすることができる。上記導電材の割合を満たす場合、導電性の低いリチウムチタン複合酸化物を含むサブ合材層内の抵抗(典型的にはリチウムチタン複合酸化物同士の接触抵抗)をより低く抑えることができる。このため、かかるサブ合材層を有する非水電解質二次電池では、より一層優れた電池性能を発揮することができる。
電池の状態に含まれる負極中の導電材の分布状態(即ち、メイン合材層に近い領域28Cに含まれる導電材の割合(Rc)と、表面に近い領域28Sに含まれる導電材の割合(Rs))を把握する手法としては、例えば、SEMが挙げられる。より具体的には、先ず測定対象たる負極を電池ケースから取り出して、他の材料から分離する。次に、該負極を適当な溶媒によって洗浄して、電解液を除去する。このとき、適当な溶媒中に負極を浸漬させ、超音波等を印加することにより効率よく除去することができる。かかる負極について、クロスセクションポリッシャ加工等で断面出しを行い、サブ合材層26を一般的なSEMを用いて観察する。そして、サブ合材層26のなかで相対的にメイン合材層に近い領域28Cと、相対的に表面に近い領域28Sと、の観察画像を比較することで、含有する導電材量の大小関係を把握することができる。
バインダとしては、既に上記正極合材層用のバインダとして例示したポリマー材料から適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。また、メイン合材層26全体(または、サブ合材層28全体)に占めるバインダの割合は特に限定されず、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよい。例えば、1質量%〜10質量%(典型的には2質量%〜5質量%)とすることができる。
また、上記(即ち、負極活物質、導電材、バインダ)以外に、既に上記正極合材層用として例示したような各種添加剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の分散剤)等も適宜使用することができる。
なお、図4に示す例ではメイン合材層26と、下層28Cと、上層28Sと、からなる三層構造を示しているが、積層する層の数に限定はなく、適宜増やすことができる。より具体的には、例えば、メイン合材層26と下層28Cの間等に新たな層を設けることができる。かかる場合において、新たな層に使用する材料(例えば負極活物質、バインダ、導電材等)および比率、合材層形成用スラリーを調製する方法等については、本発明の効果を著しく悪化させない限りにおいて、例えば既に上述したものを適宜用いることができる。
負極合材スラリーの乾燥後、正極の場合と同様に、適宜プレス処理を施すことによって、負極合材層24の密度や厚みを調製することができる。
負極合材層24全体の密度は、例えば1.1g/cm以上(典型的には1.2g/cm以上、例えば1.3g/cm以上)であって、1.5g/cm以下(典型的には1.49g/cm以下)とすることができる。また、負極合材層を形成する層の中で、厚み方向に占める割合が最も大きい層が、上記密度であることが好ましい。かかる密度が上記範囲より極端に低い(即ち、負極合材層内の活物質量が極端に少ない)場合は、単位体積当たりの容量が低下する虞がある。一方、該密度が上記範囲より極端に高い場合は、特に低温環境下の充放電時において内部抵抗が上昇する傾向にある。上記電極密度を満たす場合、負極合材層内に適度な電解液を含浸し得るため、高い電池性能を発揮することができる。
上記プレス処理後の負極合材層24全体の平均厚みは特に限定されないが、例えば、30μm以上(典型的には50μm以上)であって、300μm以下(典型的には200μm以下)とすることができる。また、メイン合材層26とサブ合材層28との平均厚みの比は特に限定されないが、例えば、負極合材層24全体の厚みを100とした時に、メイン合材層26:サブ合材層28=50:50〜96:4(典型的には70:30〜95:5、例えば80:20〜90:10)とすることができる。上記範囲にある場合、優れた電池性能と本発明の効果(即ち、電池の信頼性向上)とを、より一層高いレベルで両立させることができる。
なお、負極合材層24全体の平均厚みは、例えば一般的なノギスや厚さ測定機等により数箇所(典型的には5箇所以上、例えば10箇所)の厚みを計測した結果を算術平均することにより求めることができる。また、メイン合材層26とサブ合材層28との平均厚みの比は、例えば、クロスセクションポリッシャ加工等で断面出しした負極20サンプルを、SEM‐エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)を用いて分析することにより確認し得る。より具体的には、先ず、SEM観察により得られた負極20の断面観察画像をEDXによって解析(マッピング)して含有元素の分布状態を調べる。そして、かかる元素の分布状態の差異からメイン合材層26とサブ合材層28とを特定し、各層の厚みを計測する。この計測を、任意の数箇所(典型的には10〜30箇所)において行うことで、各層の平均厚みを得ることができる。
そして、上記正極および負極を積層して、電極体が作製される。かかる電極体を非水電解質(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解質)とともに適当な電池ケースに収容して非水電解質二次電池が構築される。電極体の形状は特に限定されないが、例えば、長尺状の正極集電体上に、所定の幅の正極合材層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の正極と、長尺状の負極集電体上に、所定の幅の負極合材層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の負極と、が積層され、長手方向に捲回されてなる捲回電極体を用いることができる。
電池ケースとしては、特に限定されず、従来の非水電解質二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。該ケースの材質としては、例えばアルミニウム、スチール等の比較的軽量な金属材や、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料が挙げられる。また、形状(容器の外形)も特に限定されず、例えば、円筒型、角型、直方体型、コイン型、袋体型等の形状であり得る。
なお、ここで開示される非水電解質二次電池の典型的な構成では、正極と負極との間にセパレータが介在される。該セパレータとしては、従来から非水電解質二次電池に用いられるものと同様の各種多孔質シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム、不織布等)が挙げられる。なお、かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複数構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。なお、固体状の電解質を用いた非水電解質二次電池(リチウムポリマー電池)では、上記電解質がセパレータを兼ねる構成としてもよい。
電解質としては、従来の非水電解質二次電池に用いられる非水電解質と同様の一種または二種以上のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解質は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩(支持電解質)を含有させた組成を有する。
該非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、エチレングリコール、ジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。なかでもカーボネート類を主体とする非水溶媒が好ましく用いられる。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水電解液を好ましく用いられる。
該支持塩(典型的にはリチウム塩)としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiCSO、LiC(SOCF、LiClO等が例示される。なかでもLiPFが好ましく用いられる。支持塩の濃度は特に制限されないが、支持塩の濃度が低すぎると電解質に含まれるリチウムイオンの量が不足し、イオン伝導性が低下する傾向がある。また支持塩の濃度が高すぎると非水電解質の粘度が高くなりすぎて、イオン伝導性が低下する傾向がある。このため、支持塩を0.1mol/L〜5mol/L(好ましくは、0.8mol/L〜1.5mol/L)程度の濃度で含有する非水電解質が好ましく用いられる。また、ここで調製される電解質には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、各種添加剤(例えば、過充電時においてガスを発生させる化合物や、分散剤または増粘剤として機能し得る材料)等を添加することもできる。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と、非水電解質と、を扁平な直方体形状(箱型)の容器に収容した形態の非水電解質二次電池(単電池)を例とし、図1〜3にその概略構成を示す。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池100の外形を模式的に示す斜視図である。また図2は、上記図1に示した非水電解質二次電池のII−II線に沿う断面構造を模式的に示す図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る非水電解質二次電池100は、捲回電極体80と、ハードケース(外容器)50とを備える。このハードケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(箱型)のハードケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。ハードケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極シートと電気的に接続する正極端子70および該電極体の負極シートと電気的に接続する負極端子72が設けられている。また、蓋体54には、従来の非水電解質二次電池のハードケースと同様に、電池ケース内部で発生したガスをケースの外部に排出するための安全弁55が備えられている。
電池ケース50の内部には、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20(例えば図4に示すような積層構造であり得る。)が長尺状のセパレータ40Aと40Bとを介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、図示しない非水電解質とともに収容される。また、正極シート10は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極合材層14が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体12が露出するよう形成されている。同様に、捲回される負極シート20は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極合材層24が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体22が露出するように形成されている。そして、正極集電体12の該露出端部に正極集電板が、負極集電体22の該露出端部には負極集電板がそれぞれ付設され、上記正極端子70および上記負極端子72とそれぞれ電気的に接続される。
図3は、捲回電極体80を組み立てる前段階における長尺状のシート構造(電極シート)を模式的に示す図である。長尺状の正極集電体12の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って正極合剤層14が形成された正極シート10と、長尺状の負極集電体22の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って負極合剤層24が形成された負極シート20とを、長尺状のセパレータ40Aと40Bとともに重ね合わせて長尺方向に捲回し、捲回電極体を作製する。かかる捲回電極体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体80が得られる。
ここで開示される非水電解質二次電池は、各種用途に利用可能であるが、高い電池性能を維持しつつ、且つ従来に比べ信頼性(典型的には、落下等の衝撃によって電池が変形した場合や、金属物の釘刺し等によって電池が破壊されたりした場合の耐性)が向上していることを特徴とする。よって、例えば、図5に示すような自動車等の車両1に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)としてここで開示される非水電解質二次電池100が好適に使用され得る。車両1の種類は特に限定されないが、典型的には、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)が挙げられる。また、かかる非水電解質二次電池100は単独で使用されてもよく、該電池を直列および/または並列に複数接続されてなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下、具体的な実施例を示す。ここではラミネートシート型および18650型のリチウムイオン二次電池を構築し、安全性試験(具体的には、釘刺し試験)と低温出力特性試験(具体的には、−30℃における反応抵抗測定および0℃パルス試験)を行った。なお、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
[非水電解質二次電池の構築]
<例1〜8および10〜15>
正極活物質粉末としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)と、導電材としてのアセチレンブラックと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを、これら材料の質量比率が91:6:3となるよう、混練機(プラネタリーミキサー)に投入し、N−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調製しながら混練して正極合材層形成用のスラリー状組成物(正極合材スラリー)を調製した。この正極合材スラリーを、厚み15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)上に塗布し乾燥させることで正極合材層を形成した。得られた正極をロールプレスし、正極合材層密度が1.4g/cmの正極を作製した。かかる正極を用いて、シート状の正極と、40(mm)×40(mm)の平板状の正極を準備した。
負極活物質としての天然黒鉛(C)とバインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比率となるよう混合して、イオン交換水で粘度を調製しながら混練してスラリー状組成物(メイン合材層形成用スラリー)を調製した。かかるメイン合材層形成用スラリーを、厚み20μmの長尺状銅箔(負極集電体)上に塗布し乾燥させることで、メイン合材層26(図4)を形成した。
次に、負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物(LiTi12:以下、LTOと略す。)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを表1中の下層の欄に示す質量比率で混合し、N−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調製しながら混練してスラリー状組成物(下層形成用スラリー)を調製した。かかる下層形成用スラリーを、上記形成したメイン合材層26の上に塗布し乾燥させることで、下層28C(図4)を形成した。そして、下層と同様に、表1中の上層の欄に示す質量比率で混合した材料を用いて上層形成用スラリーを調製し、かかる上層形成用スラリーを、上記形成した下層28Cの上に塗布し乾燥させることで、上層28S(図4)を形成した。得られた負極をロールプレスし、負極合材層24(図4)全体の密度が1.4g/cmの3層構造からなる負極を作製した。かかる負極を用いて、シート状の負極(例1〜8および10〜15)と、44(mm)×44(mm)の平板状の負極(例1〜8および10〜15)を準備した。なお、かかる負極の断面構造を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、負極合材層24全体の平均厚みは全てのサンプルにおいて凡そ133μmだった。また、負極合材層24全体の厚みを100とした時に、メイン合材層26とサブ合材層28との平均厚みの比は、メイン合材層26:サブ合材層28=80:20〜95:5だった。
上記平板状の正極シートと負極シートとを、セパレータ(ここでは、PE層の両面にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP)の多孔質シート(47(mm)×47(mm))を用いた。)を介して対面に配置し、平板状の電極体を作製した。そして、該電極体の正極集電体の端部に正極端子を、負極集電体の端部に負極端子を溶接によりそれぞれ接合した。かかる電極体をラミネートシート型セルに収容し、非水電解質(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、電解質としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させた電解質を用いた。)を注液した。そしてラミネートシートを熱融着して、ラミネートシート型非水電解質二次電池(例1〜8および10〜15)を構築した。
また、上記シート状の正極シートと負極シートとを、長尺状のセパレータ(ここでは、PE層の両面にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP)の多孔質シートを用いた。)を介して重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形した。そして、該電極体の正極集電体の端部に正極端子を、負極集電体の端部に負極端子を溶接によりそれぞれ接合した。かかる電極体を18650型のセルに収容し、非水電解質(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させた電解質を用いた。)を注液した。ケースの開口部に蓋体を溶接して接合することにより、定格容量24Ahの18650型非水電解質二次電池(例1〜8および10〜15)を構築した。上記構築した電池の特徴を、表1に纏める。
Figure 0005725372
<例9>
例9では、上層および下層を、メイン合材層と同様の材料および比率で形成した(即ち、メイン合材層が3層積層された構造とした。)こと以外は例1と同様に、ラミネートシート型および18650型の非水電解質二次電池(例9)を構築した。
上記構築した非水電解質二次電池(例1〜15)に対して、25℃の温度環境下において、適当なコンディショニング処理を行った(ここでは、1Cの充電レートで4.1Vまで定電流で充電(CC充電)した後5分休止し、1.5時間の定電圧充電(CV充電)を行って、5分休止した。)。その後、1Cの放電レートで3.0Vまで定電流で放電(CC放電)し、実施する試験に合わせてSOC(%)の調整を行った。
なお、「SOC」とは、充電深度(State of Charge)を意味し、可逆的に充放電可能な稼動電圧の範囲において、その上限となる電圧(ここでは4.1Vと規定した。)が得られる充電状態(即ち、満充電状態)を100%とし、下限となる電圧(ここでは3.0Vと規定した。)が得られる充電状態(即ち、充電されていない状態)を0%としたときの充電状態を示す。
[反応抵抗の測定(低温出力特性)]
ラミネートシート型非水電解質二次電池(例1〜15)について、交流インピーダンス測定法を用いて以下の条件で反応抵抗(電荷移動抵抗とも言う。)を測定した。そして、得られたCole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)に、等価回路をフィッティングさせることによって、反応抵抗(mΩ)を算出した。結果を表2および3の該当箇所に示す。
測定装置 :Solartron社製の電気化学インピーダンス測定装置(「1287型ポテンショ/ガルバノスタット」および「1255B型周波数応答アナライザ(FRA)」)
印加電圧 :10mV
測定周波数範囲:1MHz〜0.01Hz
測定温度 :−30℃
電池の充電状態:SOC40%
測定方法:2端子法
解析ソフト;ZPlot/CorrWare
Figure 0005725372
Figure 0005725372
表2に示すように、上層に含まれる導電材の割合が高くなるに従い−30℃における反応抵抗値は低下し、上層に含まれる導電材の割合が1質量%以上でほぼ一定の抵抗値を示した。また表3より、上層の場合と同様に、下層でも導電材の割合が高くなるに従い−30℃における反応抵抗の値は低くなった。そして、下層に含まれる導電材の割合が7質量%以上でほぼ一定の抵抗値となり、良好な電池性能(低温出力特性)を示した。
[0℃パルス試験(低温サイクル特性)]
まず、上記コンディショニング処理後のラミネートシート型非水電解質二次電池(例1〜9)について電池容量(初期容量)を測定した。電池容量の測定は、25℃の温度環境下において、以下に示す(1)〜(3)の手順によって測定した。そして、(3)における積算の放電容量(CCCV放電容量)を「電池容量」とした。
(1)1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
(2)1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
(3)0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
次に、電池容量測定後の各電池をSOC60%に調整し、かかる電池を用いて0℃の温度環境下において、パルス試験を行った。パルス試験は、図6に示すパルスの充放電パターンを1サイクルとして、250サイクル行なった。図6中のS1、S2の詳細を下記に示す。
S1:15Cの定電流で10秒間充電(CC充電)し、10分間休止する。
S2:15Cの定電流で10秒間放電(CC放電)し、10分間休止する。
そして、上記パルス試験の後の各電池について、上述した初期容量と同じ条件で電池容量(0℃パルス試験後の電池容量)を測定した。そして上記測定した初期容量と、0℃パルス試験後の電池容量から、式(1)を用いて0℃パルス容量維持率を算出した。この結果を表2に示す。
容量維持率(%)=(0℃パルス試験後の電池容量)/(初期容量)×100(1)
表2に示すように、上層に含まれる導電材の割合が高くなるに従って、パルス試験後の容量維持率は上昇する傾向にあった。そして、上層に含まれる導電材の割合が1質量%以上の場合に、0℃パルス試験後の容量維持率が97%以上と極めて良好な電池性能(低温サイクル特性)を示した。
[安全性試験(釘刺し試験)]
上記コンディショニング処理後の18650型非水電解質二次電池(例1〜9)を、SOC100%(即ち、満充電状態)に調整した。そして、25℃の温度条件下にて、満充電状態の各電池の中央付近に直径3mmの鉄製の釘を10mm/secの速度で貫通させ、該電池を強制的に内部短絡させた。この際、各電池ケースの外表面に熱電対を貼り付けて、電池温度(最高到達温度)を測定した。結果を、表2の該当箇所に示す。
表2に示すように、上層に含まれる導電材の割合が6質量%以下の場合に、釘刺し試験時の最高到達温度が120℃以下となり、該電池の信頼性を向上させることができた。
上記の結果より、サブ合材層において、相対的に表面に近い領域における導電性を低く(例えば、導電材の割合を6質量%以下に)抑えることで、金属物の釘刺し等によって電池の内部に短絡箇所が生じた場合にも、該電池の発熱を好適に抑制することができた。また、相対的に上記メイン合材層に近い領域に、上記相対的に表面に近い領域よりも多くの導電材(例えば、導電材の割合が7質量%以上)を含むことで、導電性の低いリチウムチタン複合酸化物の抵抗(典型的には、サブ合材層内の抵抗)を抑制することができた。かかる結果は、本発明の適用効果(即ち、優れた電池性能(例えば、低温出力特性や低温サイクル特性)と、電池の信頼性の向上(典型的には、内部短絡時の発熱が低減されていること)と、を高いレベルで両立させること)を示すものである。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 自動車(車両)
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極合材層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極合材層
26 メイン合材層
28 サブ合材層
28C メイン合材層に近い領域(下層)
28S 表面に近い領域(上層)
40A、40B セパレータシート
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 非水電解質二次電池

Claims (6)

  1. 正極と負極とを備えた電極体と、非水電解質と、が所定の電池ケース内に収容された非水電解質二次電池であって、
    前記負極は、負極集電体と、該集電体上に形成された負極活物質を含む負極合材層と、を備え、
    前記負極合材層は、負極活物質としての炭素材料を主として含む前記負極集電体に接するメイン合材層と、前記メイン合材層上に形成された負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物を主として含むサブ合材層を有しており、
    ここで、前記サブ合材層を厚み方向に二分した時に、相対的に前記メイン合材層に近い領域に含まれる導電材の割合(Rc)と、相対的に表面に近い領域に含まれる導電材の割合(Rs)とが異なっており、
    前記Rcと前記Rsとが、Rc>Rsの関係にあることを特徴とする、非水電解質二次電池。
  2. 前記Rsが、0質量%≦Rs≦6質量%である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記Rcが、7質量%≦Rc≦20質量%である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記サブ合材層は、前記メイン合材層に近い領域からなる下層と、前記表面に近い領域からなる上層と、の二層構造からなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 正極と負極とを備えた電極体と、非水電解質と、が所定の電池ケース内に収容された非水電解質二次電池の製造方法であって、
    負極集電体上に、負極活物質としての炭素材料を主として含むメイン合材層を形成すること、
    前記メイン合材層上に、負極活物質としてのリチウムチタン複合酸化物を主として含むサブ合材層を形成することにより、前記負極集電体上に負極合材層を作製すること、および、
    前記負極集電体上に前記負極合材層が形成されてなる負極を用いて非水電解質二次電池を構築すること、
    を包含し、
    ここで、前記サブ合材層を厚み方向に二分した時に、相対的に前記メイン合材層に近い領域に含まれる導電材の割合(Rc)と、相対的に表面に近い領域に含まれる導電材の割合(Rs)とが異なり、
    前記Rcと前記Rsとの関係が、Rc>Rsとなるように前記負極合材層を作製する、非水電解質二次電池の製造方法。
  6. 請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池、または請求項5に記載の製造方法により製造された非水電解質二次電池、を駆動用電源として備える車両。
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