JP2018025246A - 転がり軸受用保持器の加熱方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】保持器全体をフッ素系樹脂の架橋反応に適した均一な温度に加熱することができ、照射窓箔を劣化させない転がり軸受用保持器への加熱方法を提供する。【解決手段】加熱治具11を転がり軸受用保持器1の内径部6に挿入して加熱する転がり軸受用保持器の加熱方法であって、加熱治具11は転がり軸受用保持器を内径部側から固定する固定治具8、この固定治具を加熱する加熱源9およびこの加熱源を制御する制御装置10を備え、転がり軸受用保持器を加熱する加熱目的温度領域未満では加熱治具と転がり軸受用保持器との間に隙間を有し、加熱目的温度領域では転がり軸受用保持器内径部に加熱治具が嵌合する。【選択図】図2
Description
本発明は転がり軸受用保持器の加熱方法に関し、特に転がり軸受用保持器へ加熱と共に電子線を照射することができる転がり軸受用保持器の加熱方法に関する。
摺動部品表面の摩擦特性、日用品やキッチン用品などの撥水・撥油特性、非粘着性、防汚特性などを向上するためにフッ素系樹脂をコーティングすることがある。しかし、フッ素系樹脂は樹脂の中でも特に軟質であるため、耐摩耗性に乏しい欠点がある。そこで、充填剤の添加などで耐摩耗性を向上する方法もあるが、フッ素系樹脂の分子骨格に3次元架橋構造を導入することによっても耐摩耗性を向上することが知られている。その方法はワークをフッ素系樹脂の融点〜融点+25℃の範囲で加熱しながら放射線を照射する方法である。
放射線照射時にワークを加熱する方法としては、(1)窒素で充たした照射チャンバー内に設置したホットプレートで加熱する方法(特許文献1)、(2)窒素などの不活性ガスで充たした加熱炉を兼ねた電子線照射チャンバー内の雰囲気自体をヒータなどで加熱する方法(特許文献2)等が知られている。なお、フッ素系樹脂は、その融点〜融点+25℃の温度領域で電子線照射することにより3次元架橋することが知られている(非特許文献1)。
放射線照射時にワークを加熱する方法としては、(1)窒素で充たした照射チャンバー内に設置したホットプレートで加熱する方法(特許文献1)、(2)窒素などの不活性ガスで充たした加熱炉を兼ねた電子線照射チャンバー内の雰囲気自体をヒータなどで加熱する方法(特許文献2)等が知られている。なお、フッ素系樹脂は、その融点〜融点+25℃の温度領域で電子線照射することにより3次元架橋することが知られている(非特許文献1)。
転がり軸受用保持器の摺動面は、潤滑油や潤滑グリースなどが供給されて転がり摩擦またはすべり摩擦を低減している。また、更に摺動性を向上させるための表面処理が摺動面になされている。表面処理の1つにフッ素系樹脂被膜を形成する方法が知られている。このフッ素系樹脂被膜は、鉄系金属材表面に耐熱性樹脂および第一のフッ素系樹脂を含む下地層を形成し、この下地層表面に第二のフッ素系樹脂層を形成し、上記下地層および上記第二のフッ素系樹脂層を焼成後、放射線照射して形成された摺動層であり、上記耐熱性樹脂は上記焼成時において熱分解しない樹脂であり、上記放射線照射の条件は上記第二のフッ素系樹脂層が架橋する条件であることを特徴としている(特許文献3)。
Oshima et al.,Radiation Physics and chemistry vol.45. No.2. pp.269-273, 1995
しかしながら、特許文献1に示す加熱方法は、平板など薄く平たいワークであればワーク全体を均一に加熱することができるが、転がり軸受用保持器のような高さがあるワークではホットプレートに接触している接触側と接触していない非接触側で温度の差が現れる。このような場合、架橋反応が均一に進まないため、架橋ムラのある被膜となり、品質が安定しないという問題がある。
特許文献2に示す加熱方法は、加熱炉全体を均一な温度に保つ方法であるが、電子線照射を同時に行なう場合、電子線照射装置にも熱が伝わってしまい、電子線照射装置の照射窓箔が熱により劣化し、照射窓箔の短寿命化につながる。照射窓箔は電子線照射装置と照射チャンバーとの隔壁の役割があるが、それを透過して電子線がチャンバー内に照射されるため非常に薄い金属箔となっており熱に弱いためである。
また、特許文献3に示す表面処理においては、転がり軸受用保持器に対する加熱手段についての記載がない。
特許文献2に示す加熱方法は、加熱炉全体を均一な温度に保つ方法であるが、電子線照射を同時に行なう場合、電子線照射装置にも熱が伝わってしまい、電子線照射装置の照射窓箔が熱により劣化し、照射窓箔の短寿命化につながる。照射窓箔は電子線照射装置と照射チャンバーとの隔壁の役割があるが、それを透過して電子線がチャンバー内に照射されるため非常に薄い金属箔となっており熱に弱いためである。
また、特許文献3に示す表面処理においては、転がり軸受用保持器に対する加熱手段についての記載がない。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、電子線照射チャンバー全体を加熱しなくとも、転がり軸受用保持器全体をフッ素系樹脂の架橋反応に適した均一な温度に加熱することができ、照射窓箔を劣化させない転がり軸受用保持器の加熱方法の提供を目的とする。
本発明の転がり軸受用保持器の加熱方法は、加熱治具を転がり軸受用保持器の内径部に挿入して、この加熱治具の加熱により上記保持器を加熱する加熱方法である。上記加熱治具は、転がり軸受用保持器を内径部側から固定する固定治具、この固定治具を加熱する加熱源およびこの加熱源を制御する制御装置を備えている。
この加熱方法は、上記転がり軸受用保持器を加熱する加熱目的温度領域未満では加熱治具と転がり軸受用保持器との間に隙間を有し、加熱目的温度領域では転がり軸受用保持器内径部に加熱治具が嵌合することを特徴とする。
この加熱方法は、上記転がり軸受用保持器を加熱する加熱目的温度領域未満では加熱治具と転がり軸受用保持器との間に隙間を有し、加熱目的温度領域では転がり軸受用保持器内径部に加熱治具が嵌合することを特徴とする。
本発明の転がり軸受用保持器の加熱方法に用いる加熱治具は、転がり軸受用保持器内径部に嵌合することにより、保持器の円筒軸を中心に回転させる回転機構を備えることを特徴とする。
また、上記固定治具の材質の線膨張係数が上記転がり軸受用保持器の材質の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする。特に上記固定治具の材質がアルミニウム系金属、上記転がり軸受用保持器の材質が鉄系金属であることを特徴とする。
また、本発明における加熱目的温度領域が上記軸受用保持器の表面に形成されたフッ素系樹脂層を電子線架橋する温度領域であることを特徴とする。
また、上記固定治具の材質の線膨張係数が上記転がり軸受用保持器の材質の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする。特に上記固定治具の材質がアルミニウム系金属、上記転がり軸受用保持器の材質が鉄系金属であることを特徴とする。
また、本発明における加熱目的温度領域が上記軸受用保持器の表面に形成されたフッ素系樹脂層を電子線架橋する温度領域であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受用保持器の加熱方法は、転がり軸受用保持器の内径部に加熱治具を挿入して、保持器内径側全体から加熱することにより表面層の加熱ムラを小さくすることができる。その結果、保持器表面に被覆されたフッ素系樹脂層を電子線照射により、架橋フッ素系樹脂層を形成するときに、加熱ムラに起因する架橋ムラの発生を抑制できる。また、電子線照射チャンバー内の温度も上昇しないため照射窓が早期に劣化することを抑制できる。
本発明の転がり軸受用保持器の加熱方法において、加熱治具を構成する固定治具の材質の線膨張係数が転がり軸受用保持器の材質の線膨張係数よりも大きいので、保持器の表面に形成されたフッ素系樹脂層を電子線架橋するときの温度領域未満では加熱治具と保持器との間に隙間を有し、加熱目的温度領域では保持器内径部に嵌合するので、加熱治具から保持器への熱移動を容易にできる。また、保持器を回転させることが容易である。
転がり軸受用保持器の一例を図1に示す。図1はニードル軸受用保持器の斜視図である。図1に示すように、ニードル軸受用保持器1は、転動体を保持する複数のポケット部2と、各ポケット部2の間に位置する軸方向に沿った柱部3と、柱部3を軸方向両側で固定する円筒部4とを備えている。柱部3および円筒部4には外径部5および内径部6を有し、円筒部4には2つの端面7を有している。
本発明の加熱方法に係る保持器としては、ニードル軸受用保持器に限らず、ポケット部が円形の玉軸受用保持器にも適用できる。
本発明の加熱方法に係る保持器としては、ニードル軸受用保持器に限らず、ポケット部が円形の玉軸受用保持器にも適用できる。
転がり軸受用保持器の材質としては、鉄系金属材が好ましい。
鉄系金属材は、転がり軸受などに使用される軸受鋼、浸炭鋼、機械構造用炭素鋼、冷間圧延鋼、または熱間圧延鋼等が挙げられる。鉄系金属材は摺動部材の形状に加工後、焼入焼戻し処理することで所定の表面硬度に調整する。例えばクロムモリブデン鋼(SCM415)を用いた鉄系金属材製保持器の場合、Hv値を484〜595に調整した鉄系金属材を使用することが好ましい。
鉄系金属材は、転がり軸受などに使用される軸受鋼、浸炭鋼、機械構造用炭素鋼、冷間圧延鋼、または熱間圧延鋼等が挙げられる。鉄系金属材は摺動部材の形状に加工後、焼入焼戻し処理することで所定の表面硬度に調整する。例えばクロムモリブデン鋼(SCM415)を用いた鉄系金属材製保持器の場合、Hv値を484〜595に調整した鉄系金属材を使用することが好ましい。
転動体を保持する複数のポケット部2を有する保持器1は、素形材より円筒を削り出し、ポケット部2をプレス加工により打抜きで形成する方法、平板をプレス加工した後、適当な長さに切断し、円筒状に丸めて溶接により接合する方法などにより製造できる。
保持器1の表面には摺動性を向上させるため、樹脂層が設けられる。保持器1の表面への樹脂層は、転動体と接触するポケット部2の表面を含めた保持器1の表面に形成される。
表面の樹脂層を形成する樹脂材料としては、電子線照射により架橋する樹脂であれば使用できる。そのような樹脂としてはフッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。耐熱性に優れていることから、フッ素系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルが挙げられる。これらの樹脂は単独でも混合物としても使用できる。これらの中で耐熱性および摺動性に優れるPTFEが好ましい。
なお、フッ素系樹脂は、融点付近で電子線照射を行なうことにより架橋反応が進行する。そのため、この架橋反応が進行する温度領域に保持器を加熱する必要があり、この温度領域が加熱目的温度領域である。PTFEの場合、この加熱目的温度領域は融点〜融点+25℃の温度範囲である。加熱目的温度領域未満の温度では加熱治具と転がり軸受用保持器との間に隙間を有し、加熱目的温度領域では転がり軸受用保持器内径部に加熱治具が嵌合する。フッ素系樹脂として、200℃以下では隙間を有し、200℃をこえると嵌合するような隙間とすることが好ましい。
なお、フッ素系樹脂は、融点付近で電子線照射を行なうことにより架橋反応が進行する。そのため、この架橋反応が進行する温度領域に保持器を加熱する必要があり、この温度領域が加熱目的温度領域である。PTFEの場合、この加熱目的温度領域は融点〜融点+25℃の温度範囲である。加熱目的温度領域未満の温度では加熱治具と転がり軸受用保持器との間に隙間を有し、加熱目的温度領域では転がり軸受用保持器内径部に加熱治具が嵌合する。フッ素系樹脂として、200℃以下では隙間を有し、200℃をこえると嵌合するような隙間とすることが好ましい。
フッ素系樹脂を主とする樹脂層は、(1)保持器表面側をフッ素系樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物とし、表面側をフッ素系樹脂とする2層構造、(2)表面側から保持器表面側に向かってフッ素系樹脂が三次元構造から二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造等を有する例が挙げられる。
円筒状の転がり軸受用保持器の表面への樹脂層の形成は、保持器の基材表面にフッ素系樹脂の分散液および/または溶液を塗布・乾燥後、焼成して形成される。
樹脂層の層厚さは、5μm以上40μm未満、好ましくは15μm以上30μm未満である。層厚さが5μm未満であると、被膜の密着不良による剥離や初期摩耗の摩耗により、保持器表面の金属基材が露出するおそれがある。40μm以上であると、樹脂被膜形成時のクラック発生や運転中に剥離して潤滑状態が悪化するおそれがある。層厚さを5μm以上40μm未満の範囲とすることで、初期摩耗による金属基材の露出を防止でき、運転中における剥離を長期間にわたって防止できる。
保持器表面に形成されたフッ素系樹脂は加熱下に電子線照射により架橋される。加熱装置の一例を図2に示す。図2(a)は加熱前の状態を示す断面図であり、図2(b)は電子線照射時に保持器が加熱されている状態を示す断面図である。なお、図2(a)における隙間は誇張して図示してある。
電子線照射チャンバー14内の設置台13に保持器1を置き、保持器1の内径部6に加熱治具11を配置して、この加熱治具11を加熱することにより保持器1を加熱する。
電子線照射チャンバー14内の設置台13に保持器1を置き、保持器1の内径部6に加熱治具11を配置して、この加熱治具11を加熱することにより保持器1を加熱する。
加熱治具11は、保持器1の内径部6に加熱時に嵌合すると共に保持器1を固定して直接加熱する円柱状の固定治具8と、この固定治具8を加熱するカートリッジヒーターなどの加熱源9およびヒータ制御用熱電対などの制御装置10とを備えている。なお、熱電対12aは設置台13に対して保持器の上部用であり、熱電対12bは設置台側にある保持器の下部測定用であり、熱電対12cはチャンバー14内の雰囲気温度測定用である。
加熱治具11を構成する固定治具8の材質の線膨張係数は、保持器1の材質の線膨張係数よりも大きいことが好ましい。固定治具8および保持器1の線膨張係数を上記範囲とすることにより、加熱しながら電子線照射する時に保持器1を固定すると共に、効率的に加熱することができる。
固定治具8の材質は、保持器1の材質、大きさ、形状等によって変動するが、保持器1の材質が鋼の場合、線膨張係数、熱伝導度の観点から好ましくはアルミニウム系、さらに好ましくは経済性の観点から純度99.00%以上の純アルミニウムである1000系のアルミニウムがよい。
固定治具8の外径t1と、保持器1の内径部6の直径t2との室温での隙間(=t2−t1)は50〜100μmであることが好ましい。ここで隙間はt+t’で表される。この範囲とすることにより、電子線照射するときに転がり軸受用保持器を加熱する加熱目的温度領域において、保持器1の内径部6に固定治具8が嵌合することで、保持器1を固定すると共に、効率的に加熱することができる。
図2において、保持器1は設置台13上に載置されているが、保持器1は内径部6に嵌合して配置された円柱状の固定治具8の回転軸にモーターの回転軸を接続して、この接続されたモーターの回転動力により回転することができる。固定治具8の回転軸は、電子線照射チャンバー14の電子線照射窓14aより照射される電子線の照射方向に対して保持器の外径部5が垂直方向となることが好ましい。
図2(b)に示す、保持器表面に形成された樹脂層の電子線照射時には、電子線照射チャンバー14の内部14bは窒素により満たされる。フッ素系樹脂層、特にPTFEの場合、電子線照射時の温度は融点〜融点+25℃の範囲が好ましい。この温度範囲で加熱しながら電子線照射することにより、表面のPTFE被覆が架橋される。また、窒素雰囲気下で電子線照射することにより、電子線が直接照射される面のみならず、側面にも電子線が照射される。好ましい窒素雰囲気としては、チャンバー内の酸素濃度が300ppm以下となるように窒素を対流させることが挙げられる。また、電子線照射時および加熱時に保持器を回転させる場合、好ましい回転軸の回転数としては60〜70rpmが挙げられる。
電子線照射の加速電圧は、100kV未満であることが好ましく、より好ましくは50〜70kVである。本発明は、加速電圧が数10kV程度の低エネルギー電子線照射であっても、保持器1表面全体に照射できる。電子線照射は、電子線が垂直に侵入する直接照射と共に、電子線の散乱による照射も生じるためである。電子線が垂直に侵入する直接照射面としては保持器1の外径部5であることが好ましい。外径部5の方が照射線量が大きくなることにより、転がり軸受保持器の中で最も摺動特性が要求される外径面樹脂層に対して、電子線のエネルギー付与率が高くなので、転がり軸受用保持器にとって好適な照射方法となる。
実施例1
焼入焼戻し処理したクロムモリブデン鋼(SCM415)製φ44mm×幅22mmのニードル軸受用保持器(基材表面硬度 Hv:484〜595)を準備して、フッ素系樹脂および耐熱性樹脂からなるプライマー塗料(ダイキン社製 型番:EK−1909S21R)を下地層を約10μmとなるようにスプレー塗布し、90℃の恒温槽内で30分間乾燥して被膜を形成した。この被膜の上に、フッ素系樹脂からなるトップ塗料(ダイキン社製 型番:EK−3700C21R)を約10μmとなるようにスプレー塗布し、90℃の恒温槽内で30分間乾燥して樹脂層となる被膜を形成した。その後、380℃の加熱炉内で30分間焼成した。
焼入焼戻し処理したクロムモリブデン鋼(SCM415)製φ44mm×幅22mmのニードル軸受用保持器(基材表面硬度 Hv:484〜595)を準備して、フッ素系樹脂および耐熱性樹脂からなるプライマー塗料(ダイキン社製 型番:EK−1909S21R)を下地層を約10μmとなるようにスプレー塗布し、90℃の恒温槽内で30分間乾燥して被膜を形成した。この被膜の上に、フッ素系樹脂からなるトップ塗料(ダイキン社製 型番:EK−3700C21R)を約10μmとなるようにスプレー塗布し、90℃の恒温槽内で30分間乾燥して樹脂層となる被膜を形成した。その後、380℃の加熱炉内で30分間焼成した。
図2に示す装置を用いて、表面に樹脂層が形成されたニードル軸受用保持器を電子線照射するために加熱した。照射チャンバー14の内部14bを酸素濃度が300ppm以下となるように窒素対流させた。。1000系のアルミニウム製円柱状の固定治具8を備えた加熱治具11を取付け→加熱→設定温度到達後冷却→加熱治具取り外しのサイクルを3回繰り返し、その都度の保持器温度をバラツキと共に測定した。また、雰囲気温度も同時に測定した。結果を表1に示す。
比較例1
比較例1の加熱方法に用いた装置を図3に示す。保持器1をホットプレート15に一方の端面が接するように設置した。
保持器1のホットプレート側端面7bと非ホットプレート側端面7aとに保持器温度測定用熱電対16bおよび16aを取り付けた。ホットプレート表面の設定温度を340℃にしたときの保持器温度を測定した。結果を表1に示す。
比較例1の加熱方法に用いた装置を図3に示す。保持器1をホットプレート15に一方の端面が接するように設置した。
保持器1のホットプレート側端面7bと非ホットプレート側端面7aとに保持器温度測定用熱電対16bおよび16aを取り付けた。ホットプレート表面の設定温度を340℃にしたときの保持器温度を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
固定治具の材質を保持器1の材質と同じ鋼とし、加熱治具の設定温度を400℃に変更する以外は実施例1と同一の条件で保持器温度を測定した。結果を表1に示す。
固定治具の材質を保持器1の材質と同じ鋼とし、加熱治具の設定温度を400℃に変更する以外は実施例1と同一の条件で保持器温度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1は加熱治具により保持器内径両端側から加熱することにより、保持器全体が均一な温度に保持することができていることがわかる。また、保持器固定治具を保持器よりも線膨張係数が大きな材質を用いることで効率よく熱を伝えることができ、保持器を均一に加熱できる。また、到達温度バラツキも少なく、再現性も良好である。
一方、比較例1ではホットプレート側端面(表1で下部で表す)、非ホットプレート側端面(表1で上部で表す)で保持器の温度に差が現れた。融点が約327℃であるPTFE被覆層が架橋効果を得られるのは融点〜融点+25℃程度であり、非ホットプレート側では架橋効果が得られないことがわかる。また、非ホットプレート側端面を融点〜融点+25℃をこえる温度になるように加熱すると、ホットプレート側の温度が上限をこえてしまうことは容易に想像でき、これも架橋効果が得られない。
比較例2では加熱治具の設定温度を実施例よりも大きくしないと同じ温度に達することができず効率が悪い。また、3回測定したうちでの温度のばらつきも実施例よりも大きくなった。このことから、加熱治具の設定温度を常に同一にするとロット間でバラツキが現れる可能性がある。
なお、実施例1、比較例1および比較例2のいずれの場合も照射チャンバー内の雰囲気温度は室温〜室温+5℃の範囲であった。この温度は、電子線照射窓箔に影響ない温度である。
なお、実施例1、比較例1および比較例2のいずれの場合も照射チャンバー内の雰囲気温度は室温〜室温+5℃の範囲であった。この温度は、電子線照射窓箔に影響ない温度である。
本発明の加熱方法は、転がり軸受用保持器にとって非常に効果的な加熱方法であるので、円筒形状を有する全ての転がり軸受用保持器に応用できる。
1 ニードル軸受用保持器
2 ポケット部
3 柱部
4 円筒部
5 外径部
6 内径部
7 端面
8 固定治具
9 加熱源
10 制御装置
11 加熱治具
12 熱電対
13 設置台
14 電子線照射チャンバー
15 ホットプレート
16 熱電対
2 ポケット部
3 柱部
4 円筒部
5 外径部
6 内径部
7 端面
8 固定治具
9 加熱源
10 制御装置
11 加熱治具
12 熱電対
13 設置台
14 電子線照射チャンバー
15 ホットプレート
16 熱電対
Claims (5)
- 加熱治具を転がり軸受用保持器の内径部に挿入して、前記加熱治具の加熱により前記転がり軸受用保持器を加熱する転がり軸受用保持器の加熱方法であって、
前記加熱治具は、転がり軸受用保持器を内径部側から固定する固定治具、この固定治具を加熱する加熱源およびこの加熱源を制御する制御装置を備え、
前記転がり軸受用保持器を加熱する加熱目的温度領域未満では前記加熱治具と前記転がり軸受用保持器との間に隙間を有し、前記加熱目的温度領域では前記転がり軸受用保持器内径部に前記加熱治具が嵌合することを特徴とする転がり軸受用保持器の加熱方法。 - 前記加熱治具は、前記転がり軸受用保持器内径部に嵌合することにより、前記保持器の円筒軸を中心に回転させる回転機構を備えることを特徴とする請求項1の転がり軸受用保持器の加熱方法。
- 前記固定治具の材質の線膨張係数が前記転がり軸受用保持器の材質の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする請求項1および請求項2記載の転がり軸受用保持器の加熱方法。
- 前記固定治具の材質がアルミニウム系金属、前記転がり軸受用保持器の材質が鉄系金属であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載の転がり軸受用保持器の加熱方法。
- 前記加熱目的温度領域が前記軸受用保持器の表面に形成されたフッ素系樹脂層を窒素雰囲気中にて電子線架橋する温度領域であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の転がり軸受用保持器の加熱方法。
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