JP2018024724A - 墨塗剤の水系剥離用処理剤およびその剥離方法 - Google Patents

墨塗剤の水系剥離用処理剤およびその剥離方法 Download PDF

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達宏 土屋
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Abstract

【課題】墨塗剤除去として、光学レンズ形状、寸法、外観やARコートに影響なく、墨塗剤のみを除去し、それも、シンナーや塩素系溶剤などより引火性、健康被害、環境への影響が少なく、低い温度条件下で処理できる、墨塗剤の水系剥離用処理剤を提供する。
【解決手段】(a)無機アルカリ剤、(b)ベンジルアルコール、(c)ケイ酸塩、(d)エチレングリコール、(e)安息香酸ナトリウムを含有し、残部水であることを特徴とする墨塗剤の水系剥離用処理剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学レンズに塗布した墨塗剤の水系剥離用処理剤およびその墨塗剤の剥離方法に関する。
カメラ、顕微鏡、望遠鏡などに用いられる光学レンズは、光学レンズに入射する光の一部が光学レンズの外周面において乱反射し、これがフレア、ゴースト等を発生する原因となっている。乱反射は、光学素子の屈折率が高くなる程多くなるので、特に高屈折率ガラスで形成された光学素子では、上記フレア、ゴースト等の有害光による障害が問題となっている。これらフレア、ゴースト等を引き起こす乱反射を防ぎ、光学性能を高めるために墨塗剤と呼ばれている内面反射防止塗料を光学レンズの外周面などに塗布することが行われている。
墨塗剤と呼ばれている内面反射防止塗料は、カーボンブラックを主顔料にして黒色度をもたらされた塗料が一般的であり、また、塗料に使用される樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂及びその変性物、これらの混合物など、一般的な塗料に用いられる樹脂が用いられている。また、これらの樹脂は、硬化剤を添加及び加熱させて硬化(高分子化)し強固な被膜となる。
墨塗剤と呼ばれている内面反射防止塗料は、光学レンズの加工工程において粗削り工程、研磨工程、芯取り工程、ARコートと呼ばれる反射防止膜の蒸着工程後の最終工程で、墨塗剤の塗布工程として処理されている。このように墨塗剤の塗布工程が光学ガラスの加工工程の最終工程においてなされるため、墨塗剤の塗布不良が発生すると損失が大きく、墨塗剤除去のリペアが必要となってきている。それも、それまでの工程により形成した光学レンズの形状、寸法、外観やARコートには影響なく、墨塗剤だけを除去するリペアが必要とされている。
従来、墨塗剤除去のリペアには、シンナーや塩素系溶剤を用いて墨塗剤を除去することが行われているが、手拭作業により行われるため作業効率が悪く、かつ作業者への健康被害、環境問題が発生し、排気装置、溶剤回収装置などの対策が必要となり問題が多かった。また、ガラス用強アルカリ剤による処理もなされているが、光学レンズ形状、寸法、外観やARコートに影響しダメージを与えてしまうことがあり、墨塗剤を除去してもそのままでは再利用できないという問題が生じていた。
特許文献1には、(a)N−メチル−2−ピロリドン、ノルマルプロピルブロマイド、γ−ブチロラクトン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群より選択される有機溶媒30質量%〜95質量%、(b)塩基性無機化合物0.5質量%〜5.0質量%、並びに(c)グリセリン4.5質量%〜65質量%からなる樹脂溶解用溶剤として、加熱硬化させた溶解・剥離除去が困難なエポキシ樹脂などの合成樹脂、及びレンズ内面反射防止エポキシ系硬化塗膜等を除去するのに100℃以上の加熱条件下で適用する溶剤組成物が提案されている。
特許文献2には、(a)N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、及びジエチレングリコールからなる群より選択される1種以上の有機溶媒70質量%〜99.5質量%、及び(b)N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、及びジアザビシクロノネンからなる群より選択される1種以上の塩基性有機化合物0.5質量%〜30質量%からなる樹脂溶解用溶剤組成物として、加熱硬化させた溶解・剥離除去が困難なエポキシ樹脂などの合成樹脂、及びレンズ内面反射防止エポキシ系硬化塗膜等を除去するのに100℃以上の加熱条件下で適用する溶剤組成物が提案されている。
特許文献1、2のいずれも墨塗剤の溶解・剥離に効果があるとしているものの、いずれも100℃以上の加熱条件下の高温で処理することにより溶解・剥離効果を上昇させることができるとし、特許文献1では、試験例2としてレンズ墨塗りの墨除去試験を80℃で1時間の加熱処理を行うことが開示されており、剥離・除去作業に高温での処理を必要とし、処理エネルギー効率が悪く、作業環境の悪化という問題も生じていた。
特開2013−75950号公報 特開2013−91727号公報
本発明は、墨塗剤の除去として光学レンズ形状、寸法、外観やARコートに影響なく、墨塗剤のみを除去し、墨塗剤の剥離・除去後そのままで再利用でき、それも、従来より低い温度条件下で処理できる、墨塗剤の水系剥離用処理剤およびその墨塗剤の剥離方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(a)無機アルカリ剤、(b)ベンジルアルコール、(c)ケイ酸塩、(d)エチレングリコール、(e)安息香酸ナトリウムを含有し、残部水であることを特徴とする墨塗剤の水系剥離用処理剤が、光学レンズに塗布した墨塗剤の水系剥離用処理剤として、光学レンズ形状、寸法、外観やARコートに影響なく、墨塗剤のみを除去できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、次のとおりのものである。
[1] (a)無機アルカリ剤、(b)ベンジルアルコール、(c)ケイ酸塩、(d)エチレングリコール、(e)安息香酸ナトリウムを含有し、残部水であることを特徴とする墨塗剤の水系剥離用処理剤。
[2] (a)無機アルカリ剤を1.0〜5.0質量%、(b)ベンジルアルコールを10〜75質量%、(c)ケイ酸塩を0.1〜5.0質量%、(d)エチレングリコールを5.0〜35質量%、(e)安息香酸ナトリウムを1.0〜20質量%含有し、残部水であることを特徴とする項[1]記載の墨塗剤の水系剥離用処理剤。
[3] 項[1]又は項[2]において、水と安息香酸ナトリウムの比が3/7〜9/1であり、かつベンジルアルコールを10〜70質量%含有することを特徴とする墨塗剤の水系剥離用処理剤。
[4] 項[1]から項[3]のいずれかに記載の墨塗剤の水系剥離用処理剤を用いて被処理物を浸漬剥離処理することを特徴とする墨塗剤の剥離方法。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤によれば、光学レンズ形状、寸法、外観やARコートに影響なく、墨塗剤のみを除去でき、墨塗剤の剥離・除去後そのままで再利用でき、それも、シンナーや塩素系溶剤などより引火性、健康被害、環境への影響が少なく、低い温度条件の下で処理できるので作業性も良く、環境負荷を与えることなく、効率よく除去できる、墨塗剤の水系剥離用処理剤およびその墨塗剤の剥離方法を提供できる。
以下に、本発明を具体的に説明する。本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、(a)成分として無機アルカリ剤のうち少なくとも1種からなるアルカリ成分に、(b)成分としてベンジルアルコール、(c)成分としてケイ酸塩、(d)成分としてエチレングリコール、(e)成分として安息香酸ナトリウムを含有し、残部水であることを特徴とする墨塗剤の水系剥離用処理剤であって、各種光学ガラスの製造工程での墨塗剤の除去に使用することができる。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、カメラ、顕微鏡、望遠鏡などに用いられる光学レンズに墨塗剤と呼ばれている内面反射防止塗料を光学レンズに塗布する工程での、塗布ミスによるリペアのための剥離用に用いることができる。処理対象としては墨塗剤が塗布され剥離する必要のあるものを処理対象とすることができる。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤の(a)成分として、無機アルカリ剤のうち少なくとも1種を用いる。無機アルカリ剤は墨塗剤を剥離するための作用を有している。また、水系剥離用処理剤のpHも調整している。(a)成分の無機アルカリ剤は、剥離用処理剤中に1.0〜5.0質量%含有することが好適であり、より好ましくは2.0〜5.0質量%剥離用処理剤中に含有させることができる。
無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ砂、ケイ酸ナトリウム(SiO/NaO=1/1〜4/1、好ましくは2/1〜2.5/1)等を挙げることができる。これらの中でも、剥離効果の点、入手の容易性及び経済性から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、(b)成分としてベンジルアルコールを含有する。ベンジルアルコールは、無機アルカリ剤と同様、墨塗剤を剥離するための作用を有している。(b)ベンジルアルコールは、剥離用処理剤中に10〜75質量%含有することが好適であり、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%含有することができる。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、(c)成分としてケイ酸塩を含有する。ケイ酸塩は剥離する墨塗剤の下地層であるARコートと呼ばれる反射防止膜を保護する役目を果たしている。反射防止膜は通常MgFやSiOなどの無機化合物を真空蒸着、スパッタ法などで形成されたり、又フッ素樹脂を用いた塗布法などで形成されているが、ケイ酸塩を含有することでARコートには影響することなく、墨塗剤の剥離作用からのダメージを防ぐことができる。(c)成分としてのケイ酸塩は、0.1〜5.0質量%含有することが好適であり、より好ましくは0.5〜3.0質量%含有することができる。
(c)成分としてのケイ酸塩には、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウムなどのケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが例示できる。これらのうちケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが好ましく用いられる。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、(d)成分としてグリコール類中のエチレングリコールを含有する。(d)成分としてのエチレングリコールは、(c)成分と同様の反射防止膜を保護する役目を果たしている。エチレングリコールを含有することでARコートには影響することなく、墨塗剤の剥離作用からのダメージを防ぐことができる。(d)エチレングリコールは、5.0〜35質量%含有することが好適であり、より好ましくは20〜35質量%含有することができる。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、(e)成分として安息香酸ナトリウムを含有する。安息香酸ナトリウムは、ベンジルアルコール、水のための可溶化剤として作用する。また他の成分を配合する際の相溶性および剥離用処理剤の安定性を向上させることができる。(e)安息香酸ナトリウムは、剥離用処理剤中に1.0〜20質量%含有することが好適であり、より好ましくは1.0〜10質量%含有することができる。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分以外に水を含有させる。本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤を構成する水は、上記各成分を溶解し、剥離用処理剤を非危険物、非毒劇物とするためのものであり、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分などを加えた残りの残部量含有することができる。水は、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水等いずれでもかまわない。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、(a)成分〜(e)成分、および水を含有するものである。更に、実質的に(a)成分〜(e)成分と水のみからなるのがより好ましい。ここで「実質的に」は、剥離用処理剤が各種添加剤を含有してもよいが、主要成分としての(a)成分〜(e)成分と水以外の成分を含有しないことを意味する。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、必要に応じて適宜、従来の剥離剤、洗浄剤などに配合されている各種添加剤、例えばpH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、増粘剤、顔料などの着色剤、消泡剤などを添加してもよい。添加剤の添加量は、本発明の剥離用処理剤の剥離作用、レンズや下地のARコート材に影響しない範囲の量ならばかまわない。より好ましくは、0.1〜10質量%である。
本発明の好ましい墨塗剤の水系剥離用処理剤としては、(a)無機アルカリ剤を1.0〜5.0質量%、(b)ベンジルアルコールを10〜75質量%、(c)ケイ酸塩を0.1〜5.0質量%、(d)エチレングリコールを5.0〜35質量%、(e)安息香酸ナトリウムを1.0〜20質量%含有し、残部水である配合割合を有する墨塗剤の水系剥離用処理剤である。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤は、水/安息香酸ナトリウムが3/7〜9/1であり、かつ(b)ベンジルアルコールを10〜70質量%含有する配合割合を有する墨塗剤の水系剥離用処理剤であると剥離が180分以内の時間ですみ、かつ光学レンズ、下地への影響が非常に少なくダメージが発生しない処理が行える。水/安息香酸ナトリウムが7/3〜9/1であり、かつ(b)ベンジルアルコールを30〜65質量%含有する配合割合を有する場合がより好ましい。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤を用いる処理方法は、特に限定されるものではなく、通常の光学ガラスの洗浄法に用いる方法を使用することができる。例えば、浸漬法、浸漬揺動法、超音波処理法、液中噴流法、スプレー法、手拭き法、枚葉式、バッチ式などの各種の処理方法、及びこれらを併用して使用できる。超音波処理を用いた浸漬法が特に好ましい。剥離処理したのち、溶剤、温水、常温の水などでリンスするなどの方法を連続的に行う方法が、効率の良い処理方法として挙げられる。また、リンスするすすぎ水としては、表面の汚染物を除去しうるものであれば特に限定されないが、例えば、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水、通常の水道水などがリンス性の面から好ましい。
本発明の墨塗剤の水系剥離用処理剤を用いる処理時間は、好ましくは1秒〜6時間、より好ましくは2秒〜3時間の処理時間である。剥離用処理剤を用いて剥離処理する際、常温、加温状態で行うことができる。なかでも室温以上50℃に加温して剥離処理するのが、剥離効率からして好ましい。更に30℃から50℃に加温して超音波処理を併用した浸漬法で剥離処理するのが特に好ましい。なかでも、特に40℃に加温して超音波処理を併用した浸漬法で剥離処理するのがより好ましい。
本発明の水系剥離用処理剤は、強アルカリ処理剤でありながら、墨塗剤と呼ばれている内面反射防止塗料を剥離するのに、光学レンズ形状、寸法、外観やARコートに影響なく、墨塗剤のみを容易に除去できる。内面反射防止用塗料としては、市販されているものがあり、例えば、キャノン化成株式会社のGT−7II、GT−20、オリジン電気株式会社のレンズヨウクロB NO.3として入手できる。本発明の水系剥離用処理剤はこれら墨塗剤による塗膜を剥離することができるが、これらに限らず内面反射防止用塗料として用いられた塗膜を剥離することができる。
本発明の水系剥離用処理剤は、従来の剥離用処理剤を用いる高温加熱下での剥離処理とは異なり、室温から50℃程度の加温で効率よく容易に剥離処理ができる。剥離用処理剤を評価するのに、剥離性評価、剥離用処理剤への浸漬前後の反射率変化の評価、ARコートのダメージ評価を用いて行った。
[剥離性評価]
レンズ母材として片面すりガラス(スタンダードテストピース社製2×50×50mm)のすり面20×20mmの範囲に、墨塗剤としてキャノン化成株式会社製GT−7II(主剤/硬化剤/シンナー重量比を8/1.4/16として混合して使用)を0.1mLを均一に塗布し100℃において2時間硬化乾燥させてテストピースを作成した。作成したテストピースを、剥離用処理剤の液温を40℃に保った浸漬槽に浸漬させて墨塗剤の剥離時間を測定した。浸漬槽には超音波振動装置(日本エマソン社製BRANSONIC8510J−DTH)を設け44kHz、12.5W/Lで超音波振動を与えた。剥離性の評価は剥離時間により三段階評価で行った。
◎:良好(60min未満で剥離できた)
○:普通(60〜180minで剥離できた)
×:不良(剥離するのに180minを越えていた)
[反射率変化の評価]
口径30φの両面ARコート付き白板ガラス(大正光学社製)を、剥離用処理剤へ浸漬する前と、剥離用処理剤の液温を40℃に保った浸漬槽に浸漬させて3時間浸漬後の反射率を測定し、その変化量(波長範囲400−700nm)が0.15%未満を○、0.15%以上を×として評価した。浸漬槽には超音波振動装置(日本エマソン社製BRANSONIC8510J−DTH)を設け44kHz、12.5W/Lで超音波振動を与えた。反射率の測定には、コニカミノルタ社製CM−5 SCI方式を用いた。ARコート付き白板ガラスは、ガラス母材にAl/ZrO蒸着膜、TiO/Al/ZrO蒸着膜、TiO/Al/ZrO蒸着膜、TiO/MgF蒸着膜が形成されている白板ガラスである。
[ARコートのダメージ評価]
反射率変化の評価で用いたと同じ口径30φの両面ARコート付き白板ガラス(大正光学社製)を、剥離用処理剤の液温を40℃に保った浸漬槽に浸漬させて3時間浸漬処理し、処理後ARコートの膜剥がれの有無を目視観察した。浸漬槽には超音波振動装置(日本エマソン社製BRANSONIC8510J−DTH)を設け44kHz、12.5W/Lで超音波振動を与えた。ARコートのダメージ評価は、膜剥がれの有無の目視観察により、二段階評価を行った。
○:外観の変化ない(膜剥がれがなし)
×:膜剥がれがある
以下には、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム1.0質量%、(b)ベンジルアルコール(BzOH)を50.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを14.5質量%、(e)安息香酸ナトリウム8.8質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤1を調製した。水系剥離用処理剤1を用いて上記剥離性評価、反射率変化評価を行った。その結果を成分配合とともに表1に示す。また、ARコートのダメージ評価をしたところ、膜剥がれがなく外観上変化がなかった。
[実施例2]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム1.5質量%、(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを14.5質量%、(e)安息香酸ナトリウム8.8質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤2を調製した。水系剥離用処理剤2を用いて上記剥離性評価、反射率変化評価を行った。その結果を成分配合とともに表1に示す。
[実施例3]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム2.0質量%、(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを14.5質量%、(e)安息香酸ナトリウム8.8質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤3を調製した。水系剥離用処理剤3を用いて上記剥離性評価、反射率変化評価を行った。その結果を成分配合とともに表1に示す。
[実施例4]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム2.5質量%、(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを14.5質量%、(e)安息香酸ナトリウム8.8質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤4を調製した。水系剥離用処理剤4を用いて上記剥離性評価、反射率変化評価を行った。その結果を成分配合とともに表1に示す。
[実施例5]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム3.0質量%、(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを14.5質量%、(e)安息香酸ナトリウム8.8質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤5を調製した。水系剥離用処理剤5を用いて上記剥離性評価、反射率変化評価を行った。その結果を成分配合とともに表1に示す。
[実施例6]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム4.0質量%、(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを14.5質量%、(e)安息香酸ナトリウム8.8質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤6を調製した。水系剥離用処理剤6を用いて上記剥離性評価、反射率変化評価を行った。その結果を成分配合とともに表1に示す。
[実施例7]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム5.0質量%、(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを14.5質量%、(e)安息香酸ナトリウム8.8質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤7を調製した。水系剥離用処理剤7を用いて上記剥離性評価、反射率変化評価を行った。その結果を成分配合とともに表1に示す。
Figure 2018024724
(b)成分〜(e)成分の含有量は一定で、無機アルカリ剤の含有量を1.0〜1.5質量%とした実施例1〜2の剥離性評価は普通であり、60〜180分で剥離できていた。無機アルカリ剤の含有量を2.0質量%〜5.0質量%とした実施例3〜7は、剥離性の評価は良好であり、60分以内には剥離できていた。また、実施例1〜7とも反射率変化評価は3時間浸漬処理しても0.15%未満であった。
[比較例1]
(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、m−キシレンスルホン酸ナトリウムを15質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤8を調製した。水系剥離用処理剤8を用いて上記剥離性評価、ARコートのダメージ評価を行った。その結果を成分配合とともに表2に示す。
[比較例2]
(b)ベンジルアルコールを50.0質量%、(e)安息香酸ナトリウムを15質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤9を調製した。水系剥離用処理剤9を用いて上記剥離性評価、ARコートのダメージ評価を行った。その結果を成分配合とともに表2に示す。
[比較例3]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム5.0質量%、(b)ベンジルアルコールを41質量%、(e)安息香酸ナトリウムを20質量%、残部として水を混合し水系剥離用処理剤10を調製した。水系剥離用処理剤10を用いて上記剥離性評価、ARコートのダメージ評価を行った。その結果を成分配合とともに表2に示す。
Figure 2018024724
比較例1は可溶化剤としてm−キシレンスルホン酸Naを用いた従来の中性剥離剤であるが、剥離性の評価は不良、ARコートのダメージ評価は3時間浸漬処理すると、目視によるARコート膜の剥がれが観察された。比較例2は、比較例1の可溶化剤を安息香酸ナトリウムに変えたものであるが、剥離性の評価が不良であり、中性の剥離剤では墨塗剤の剥離が満足できるものではないことがわかる。比較例3は、無機アルカリ剤を含有するが、(c)成分のケイ酸塩と(d)エチレングリコールを含まない処理剤である。剥離性の評価は良好であるが、ARコートのダメージ評価は3時間浸漬処理すると、目視によるARコート膜の剥がれが観察された。このことは、(c)成分のケイ酸塩と(d)エチレングリコールがARコートのダメージを防ぐ作用を有していることが理解できる。
[実施例8〜14]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム2.5質量%として、(c)成分としてケイ酸カリウムを0.5質量%〜2.0質量%にかえ、(d)エチレングリコールを20.0質量%、22.5質量%とし、(b)ベンジルアルコールの含有量を調整して水系剥離用処理剤11〜17を調製した。水系剥離用処理剤11〜17を用いて上記剥離性評価、ARコートのダメージ評価、反射率変化の評価を行った。その結果を成分配合とともに表3に示す。水系剥離用処理剤11〜17を順に実施例8〜14とする。
Figure 2018024724
無機アルカリ剤の含有量を2.5質量%と一定にし、(c)成分のケイ酸塩の含有量を1.0〜2.0%を変えた実施例8〜14は、剥離性評価 ○:普通であり、ARコートのダメージ評価は3時間浸漬処理しても外観上変化はなかった。また、実施例8〜14とも、反射率変化の評価でも変化量が0.15%未満であった。
[実施例15〜20]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム5.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを0.5質量%〜3.0質量%にかえ、(d)エチレングリコールを32.5質量%とし、(b)ベンジルアルコールの含有量を調整して水系剥離用処理剤19〜24を調製した。水系剥離用処理剤19〜24を用いて上記剥離性評価、ARコートのダメージ評価、反射率変化の評価を行った。その結果を成分配合とともに表4に示す。水系剥離用処理剤19〜24を順に、実施例15〜20とする。
Figure 2018024724
無機アルカリ剤の含有量を5.0質量%、(d)エチレングリコールを32.5質量%とし、(c)成分のケイ酸塩の含有量を0.5〜3.0%を変えた実施例15〜20は、剥離性評価 ○:普通であり、ARコートのダメージ評価は3時間浸漬処理しても外観上変化はなかった。また、実施例15〜20とも、反射率変化の評価でも変化量が0.15%未満であった。
[実施例21〜22、比較例4]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム5.0質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを2.5質量%、3.0質量%とかえ、(d)エチレングリコールを30.0質量%とし、(b)ベンジルアルコールの含有量を調整して水系剥離用処理剤25、26を調製した。水系剥離用処理剤25、26を用いて上記剥離性評価、ARコートのダメージ評価、反射率変化の評価を行った。その結果を成分配合とともに表5に示す。水系剥離用処理剤25、26を順に実施例21、22とする。(c)成分としてケイ酸カリウムを添加せず調整した水系剥離用処理剤18を比較例4とする。
Figure 2018024724
無機アルカリ剤の含有量を5.0質量%、(d)エチレングリコールの含有量を30.0質量%とし、(c)成分のケイ酸塩の含有量を2.5〜3.0質量%に変えた実施例21〜22は、剥離性評価 ○:普通であり、ARコートのダメージ評価は3時間浸漬処理しても外観上変化はなかった。また、実施例21〜22とも、反射率変化の評価でも変化量が0.15%未満であった。(c)成分のケイ酸塩の含有量を0とした比較例4は、ARコートのダメージ評価は3時間浸漬処理すると、膜剥がれが生じてしまい、また、反射率変化の評価でも変化量が0.15%以上でありARコート自体へのダメージは大きいものであった。
[実施例23〜27]
(a)無機アルカリ剤として、水酸化カリウム2.5質量%、(c)成分としてケイ酸カリウムを1.0質量%、(d)エチレングリコールを20.0質量%とし、水/安息香酸ナトリウムの比率を7/3〜9/1に調整し、更にベンジルアルコールの含有量を調整して水系剥離用処理剤27〜31を調製した。水系剥離用処理剤27〜31を用いて上記剥離性評価、ARコートのダメージ評価、反射率変化の評価を行った。水系剥離用処理剤27〜31を順に実施例23〜27とし、その結果を成分配合とともに表6に示す。
Figure 2018024724
水/安息香酸ナトリウムの比率を7/3〜9/1に調整し、更にベンジルアルコールの含有量を30〜65質量%に調整すると剥離性の評価は良好で、ARコートのダメージ評価は3時間浸漬処理しても外観上変化はなかった。また、反射率変化の評価でも変化量が0.15%未満であった。同じく、水/安息香酸ナトリウムの比率を5/5〜9/1に調整し、更にベンジルアルコールの含有量を10〜70質量%に調整しても剥離性の評価、ARコートのダメージ評価、反射率変化の評価は問題なく良好であった。
カメラ、顕微鏡、望遠鏡などに用いられる光学レンズに塗布した墨塗剤の剥離用であって、本発明は、光学レンズ形状、寸法、外観やARコートに影響なく、墨塗剤のみを除去するために使用する墨塗剤の水系剥離処理剤であって、その剥離処理工程で用いることができる。

Claims (4)

  1. (a)無機アルカリ剤、(b)ベンジルアルコール、(c)ケイ酸塩、(d)エチレングリコール、(e)安息香酸ナトリウムを含有し、残部水であることを特徴とする墨塗剤の水系剥離用処理剤。
  2. (a)無機アルカリ剤を1.0〜5.0質量%、(b)ベンジルアルコールを10〜75質量%、(c)ケイ酸塩を0.1〜5.0質量%、(d)エチレングリコールを5.0〜35質量%、(e)安息香酸ナトリウムを1.0〜20質量%含有し、残部水であることを特徴とする請求項1記載の墨塗剤の水系剥離用処理剤。
  3. 請求項1又は2において、水と安息香酸ナトリウムの比が3/7〜9/1であり、かつベンジルアルコールを10〜70質量%含有することを特徴とする墨塗剤の水系剥離用処理剤。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の墨塗剤の水系剥離用処理剤を用いて被処理物を浸漬剥離処理することを特徴とする墨塗剤の剥離方法。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022190871A1 (ja) * 2021-03-11 2022-09-15 Dic株式会社 インキ剥離方法、該インキ剥離方法に使用するインキ剥離剤、及びこれらを利用したプラスチック基材回収方法

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