JP2015074682A - 剥離剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂を含む基材の表面に設けられた塗膜等の被膜を充分に剥離でき、かつ、基材の表面状態や基材の機械的物性への悪影響を抑制できる剥離剤の提供。
【解決手段】樹脂を含む基材の表面に設けられた被膜を剥離するための剥離剤であって、剥離剤100質量%中、無機アルカリ化合物を5〜40質量%、アルカノールアミンを10〜50質量%、芳香族アルコールを10〜50質量%含む剥離剤である。該剥離剤によれば、例えば、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、セルロース系塗料、フェノール系塗料、エポキシ系塗料、塩化ビニル系塗料、酢酸ビニル系塗料、ポリビニルアルコール系塗料およびポリエチレン系塗料からなる群より選ばれる1種以上を用いて形成された塗膜等の被膜を剥離できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂を含む基材の表面に設けられた塗膜等の被膜を剥離、除去するために好適に使用される剥離剤に関する。
例えば、炭素繊維強化樹脂の成形品等のように樹脂を含む成形品は、製品を構成する基材として、種々の分野で幅広く使用されている。炭素繊維強化樹脂は、例えば航空機および自動車等の構成部材;風力発電のプロペラの構成部材;ゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等のスポーツ・レジャー用品の構成部材:等に多用されている。
このような樹脂を含む基材の表面には、通常、意匠性を高めたり耐久性を向上させる目的で、塗装が施される。ところが、塗装により形成された塗膜には、欠陥が生じたり、異物が混入したりすることがある。塗膜に欠陥や異物の混入が生じた物品は、その用途にもよるが、再利用されずに廃棄されることが多い。そこで、省資源、省エネルギー、廃棄物削減等の観点から、欠陥や異物の混入が生じた塗膜を剥離して、基材を再利用することが求められる。
塗膜を剥離するための剥離剤として、例えば特許文献1には、水酸化アルカリを0.1質量%以上5質量%未満、芳香族アルコールを5〜93.8質量%、アルカノールアミンを5〜60質量%、グリコール類を0.1〜30質量%、水を1〜50質量%含有する剥離剤が開示されている。特許文献1によれば、該剥離剤は、ステンレス製平板テストピースの表面におけるメラミン塗料からなる塗膜を良好に剥離できるとされている。
特開2002−275394号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載された剥離剤は、塗膜の剥離性能が充分ではなかった。
本発明の目的は、樹脂を含む基材の表面に設けられた塗膜等の被膜を充分に剥離でき、かつ、基材の表面状態や基材の機械的物性への悪影響を抑制できる剥離剤を提供することである。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]樹脂を含む基材の表面に設けられた被膜を剥離するための剥離剤であって、剥離剤100質量%中、無機アルカリ化合物を5〜40質量%、アルカノールアミンを10〜50質量%、芳香族アルコールを10〜50質量%含む、剥離剤。
[2]前記基材が炭素繊維強化樹脂である、[1]に記載の剥離剤。
[3]前記被膜が、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、セルロース系塗料、フェノール系塗料、エポキシ系塗料、塩化ビニル系塗料、酢酸ビニル系塗料、ポリビニルアルコール系塗料およびポリエチレン系塗料からなる群より選ばれる1種以上を用いて形成された塗膜である、[1]または[2]に記載の剥離剤。
本発明の剥離剤によれば、樹脂を含む基材の表面に設けられた塗膜等の被膜を充分に剥離でき、かつ、基材の表面状態や基材の機械的物性への悪影響を抑制できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の剥離剤は、樹脂を含む基材の表面に設けられた塗膜等の被膜を剥離するための剥離剤であって、剥離剤100質量%中、無機アルカリ化合物を5〜40質量%、アルカノールアミンを10〜50質量%、芳香族アルコールを10〜50質量%含む。
基材は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂を含むものであって、例えば、樹脂の成形品、樹脂を繊維で強化した繊維強化樹脂の成形品が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。なかでも、本発明の剥離剤は、エポキシ樹脂を含む基材の表面の塗膜を剥離する際の使用に好適である。
基材が繊維強化樹脂の成形品である場合、繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。なかでも、本発明の剥離剤は、炭素繊維強化樹脂の成形品からなる基材の表面の塗膜を剥離する際の使用に好適である。
剥離対象の被膜としては、熱硬化性樹脂系の塗料によって形成された塗膜、紫外線硬化性樹脂系の塗料によって形成された塗膜、溶剤乾燥型樹脂系の塗料によって形成された有機系の塗膜の他、無機系の塗膜等が挙げられる。有機系の塗膜としては、具体的には、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、セルロース系塗料、フェノール系塗料、エポキシ系塗料、塩化ビニル系塗料、酢酸ビニル系塗料、ポリビニルアルコール系塗料およびポリエチレン系塗料からなる群より選ばれる1種以上を用いて形成された塗膜が挙げられる。
剥離対象の被膜としては、アルミニウム、クロム等の金属蒸着膜等も挙げられる。
本発明の剥離剤は、このように種々な種類の被膜の剥離に使用できるが、特にウレタン系塗料、アクリル系塗料からなる塗膜の剥離に好適である。
本発明の剥離剤は、無機アルカリ化合物を含有する。
無機アルカリ化合物としては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等。)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化カルシウム等。)、水酸化アンモニウム等が挙げられ、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。なかでも、剥離剤の剥離性能がより高くなることから、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムの少なくとも一方がより好ましい。
剥離剤100質量%中の無機アルカリ化合物の含有率は5〜40質量%であり、10〜35質量%が好ましい。無機アルカリ化合物の含有率が前記下限値未満であると、剥離剤の剥離性能が不充分になり、前記上限値を超えると、樹脂を含む基材の表面が溶解したり膨潤したりして、基材の表面状態や基材の機械的物性に悪影響を及ぼす。
本発明の剥離剤は、アルカノールアミンを含有する。アルカノールアミンは、N(C2mOH)3−n(ただし、Rは水素原子または炭化水素基である。mは1以上の整数である。nは1,2,3のいずれかである。)で表される化合物である。炭化水素基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等。)、フェニル基、アルキルフェニル基(トリル基等。)、ジアルキルフェニル基等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミン、モノプロピルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、フェニルジエタノールアミン、トリルジエタノールアミン等が挙げられ、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。なかでも、剥離剤の剥離性能がより高くなることから、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンの少なくとも一方が好ましい。
剥離剤100質量%中のアルカノールアミンの含有率は10〜50質量%であり、20〜40質量%が好ましい。アルカノールアミンの含有率が前記下限値未満であると、剥離剤の剥離性能が不充分になり、前記上限値を超えると、樹脂を含む基材の表面が溶解したり膨潤したりして、基材の表面状態や基材の機械的物性に悪影響を及ぼす。
本発明の剥離剤は、芳香族アルコールを含有する。
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、ヒドロキシフェネチルアルコール、メトキシフェニルメタノール、ジヒドロキシフェニルメタノール等が挙げられ、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。なかでも、剥離剤の剥離性能がより高くなることから、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコールの少なくとも一方が好ましい。
剥離剤100質量%中の芳香族アルコールの含有率は10〜50質量%であり、20〜40質量%が好ましい。芳香族アルコールの含有率が前記下限値未満であると、剥離剤の剥離性能が不充分になり、前記上限値を超えると、樹脂を含む基材の表面が溶解したり膨潤したりして、基材の表面状態や基材の機械的物性に悪影響を及ぼす。
本発明の剥離剤は、無機アルカリ化合物、アルカノールアミンおよび芳香族アルコール以外の任意成分を含んでもよい。
任意成分としては、例えば、剥離剤の剥離性能をより高める成分として、アセチレン系ジオール誘導体を含有できる。アセチレン系ジオール誘導体としては、テトラメチルデシンジオール、テトラメチルデシンジオールエトキシレート、テトラメチルドデシンジオール、テトラメチルドデシンジオールエトキシレート、ジメチルオクチンジオール等が挙げられ、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。なかでも、剥離剤の剥離性能がより高くなることから、、テトラメチルデシンジオールエトキシレートおよびテトラメチルドデシンジオールエトキシレートの少なくとも一方が好ましい。
剥離剤100質量%中のアセチレン系ジオール誘導体の含有率は0.1〜5質量%であり、0.1〜3質量%が好ましい。アセチレン系ジオール誘導体の含有率が前記下限値以上であると、剥離剤の剥離性能がより高まり、前記上限値以下であると、樹脂を含む基材の表面の溶解、膨潤がより抑制され、基材の表面状態や基材の機械的物性への悪影響を低減できる。
任意成分としては、無機アルカリ化合物、アルカノールアミンおよび芳香族アルコールを均一に溶解または分散させるために、水を含有できる。剥離剤が水を含む場合、水の含有率は、剥離剤中の無機アルカリ化合物、アルカノールアミンおよび芳香族アルコールの各含有率にもよるが、剥離剤100質量%中、0〜70質量%が好ましい。
本発明の剥離剤は、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意成分として、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;芳香族アルコール以外のアルコール系溶剤、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、炭化水素系溶剤、キレート剤、防錆剤、安定剤、pH調整剤などを含んでもよい。
本発明の剥離剤は、無機アルカリ化合物、アルカノールアミンおよび芳香族アルコールと、必要に応じて配合される任意成分とを混合用容器内に投入し、均一に攪拌混合することによって製造できる。また、各成分の混合は、被膜の剥離処理を行う処理槽内や処理容器内で行ってもよい。
次に本発明の剥離剤を用いた被膜の剥離方法について、一実施形態例を示して説明する。本実施形態例の剥離方法は、溶解膨潤工程と濯ぎ工程と乾燥工程とを有する。
溶解膨潤工程は、基材の表面における被膜に剥離剤を接触させて、被膜を溶解・膨潤させる工程である。
剥離剤を被膜に接触させる方法としては、特に限定されないが、被膜が設けられた基材を剥離剤中に浸漬する方法、剥離剤をスプレー、シャワー等により被膜に噴き付ける方法、剥離剤を刷毛等を利用して被膜に塗布する方法等が挙げられる。
剥離剤の温度は30〜80℃であり、40〜80℃であることが好ましい。剥離剤の温度が前記下限値以上であると、剥離性能をより充分に発揮でき、前記上限値以下であると、基材の表面の溶解、膨潤や、基材の機械的物性の低下を抑制できる。
剥離剤を被膜に接触させる時間は、被膜の種類や膜厚に応じて適宜選択されるが、通常、5分間〜24時間程度である。
溶解膨潤工程は複数回行ってもよい。例えば、剥離剤をスプレー、シャワー等により被膜に噴き付けて第1の溶解膨潤工程を行い、所定時間の経過後、再度、剥離剤をスプレー、シャワー等により被膜に噴き付ける第2の溶解膨潤工程を行ってもよい。
また、溶解膨潤工程の途中に、被膜の剥離に要する時間を短縮するために、被膜の剥離を促進する剥離促進処理を施すことが好ましい。剥離促進処理としては、ウエス等の拭き取り材で被膜を拭き取る方法、被膜に超音波を照射する方法、被膜を備えた基材を揺動させる方法、基材が浸漬されている槽内の剥離剤を攪拌する方法等の処理が挙げられる。
具体的には、第1の溶解膨潤工程を実施した後、剥離促進処理を施し、ついで、第2の溶解膨潤工程を実施する形態が挙げられる。例えば、剥離剤をスプレー、シャワー等により被膜に噴き付けて第1の溶解膨潤工程を行い、所定時間の経過後、被膜を拭き取り材で拭き取る剥離促進処理を行い、ついで、剥離剤をスプレー、シャワー等により被膜に再度噴き付ける第2の溶解膨潤工程を行う形態等が挙げられる。
濯ぎ工程は、溶解膨潤工程後に、濯ぎ液によって基材の表面を濯いで、剥離剤と共に、溶解・膨潤した被膜を基材の表面から除去する工程である。
具体的には、基材を濯ぎ液中に浸漬する方法、濯ぎ液をスプレーやシャワーにより基材に噴き付ける方法、濯ぎ液を基材に掛け流す方法、濯ぎ液を染み込ませたウエス等により基材の表面を拭き取る方法などが挙げられる。基材を濯ぎ液中に浸漬する方法を採用する場合には、被膜の除去性がより高くなることから、超音波を照射しながら浸漬することが好ましい。
濯ぎ液は、水および有機溶剤の少なくとも一方を含有する。有機溶剤としては、乾燥工程における乾燥速度が速くなることから、大気圧での沸点が150℃以下のものが好ましい。大気圧での沸点が150℃以下の有機溶剤としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン等が挙げられる。なかでも、揮発性が高く、また、被膜の除去性に優れることから、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。これらの有機溶剤は1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
また、濯ぎ液として水溶性有機溶剤と水の両方を用い、まず、水溶性有機溶剤で濯いだ後、水で濯ぐ方法を適用してもよい。この場合は、有機溶剤の沸点は特に限定されない。水溶性有機溶剤としては、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール化合物;エチレングリコールやジエチレングリコールのアルキルエーテル、プロピレングリコールやジプロピレングリコールのアルキルエーテルなどのグリコールエーテル化合物;アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン化合物;N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド化合物;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これら水溶性有機溶剤は1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、水溶性有機溶剤には水が含まれていても構わない。
濯ぎ液の温度は、5〜90℃が好ましい。なお、沸点が90℃以下の有機溶剤を濯ぎ液として使用する場合には、濯ぎ液の温度は該有機溶剤の沸点以下とする。
濯ぎ液は、基材の表面から剥離剤および被膜をより容易に除去できることから、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、これらのいずれをも使用できるが、アニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤の少なくとも一方が好ましい。
乾燥工程は、基材を乾燥させて、濯ぎ工程で使用した濯ぎ液を基材から除去する工程である。
乾燥方法としては、濯ぎ液が基材の表面から蒸発する方法であればよく、熱風による乾燥法、空気の吹き付けによる乾燥法、赤外線の照射による乾燥法、減圧による乾燥法などが挙げられる。また、自然乾燥でもよい。
乾燥温度は特に限定されないが、通常、5〜150℃であり、10〜120℃が好ましい。
以上説明したように本発明の剥離剤は、剥離剤100質量%中、無機アルカリ化合物を5〜40質量%、アルカノールアミンを10〜50質量%、芳香族アルコールを10〜50質量%含む。そのため、樹脂を含む基材の表面に設けられた被膜を充分に剥離でき、一方、樹脂を含む基材の表面の溶解、膨潤等を抑制し、基材の表面状態や基材の機械的物性(例えば引張強度、衝撃強度等。)への悪影響を防止できる。
よって、本発明の剥離剤を使用することによって、欠陥や異物の混入が生じた被膜が形成され、従来は再利用されずに廃棄されていた例えば繊維強化樹脂等の成形品からなる基材を再利用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」は、特に断りがない限り「質量%」を示す。
(実施例1〜25、比較例1〜10)
表1〜6に示すように各成分を混合して、各例の剥離剤を調製した。
次いで、各例の剥離剤を、炭素繊維強化エポキシ樹脂成形品からなる板状の基材(100mm×50mm×3mm)の片面に設けられた塗膜(ウレタン系塗料またはアクリル系塗料からなる塗膜)に接触させ、塗膜を溶解・膨潤させた。具体的には、基材ごと剥離剤中に浸漬した。その際の剥離剤の温度、剥離剤の接触時間は各表に示すとおりとした(溶解膨潤工程)。
次いで、水(30℃)を掛け流して基材の表面を濯ぎ、剥離剤と共に塗膜を基材の表面から除去し(濯ぎ工程)、その後、水を乾燥除去した(乾燥工程)。
なお、実施例20では、溶解膨潤工程の途中で、剥離促進処理を行った。具体的には、塗膜に剥離剤を2時間接触させた後、拭き取り材(ウエス)により塗膜を拭き取って除去し、再度、残存する塗膜に剥離剤を1時間接触させた。
上記のようにして塗膜を剥離した際の剥離性、剥離後の基材の表面状態、剥離後の基材の機械的強度を以下のようにして評価した。結果を表1〜6に示す。
<評価>
[剥離性]
剥離性を以下の4段階で評価した。
なお、剥離面積は、塗膜を100マスに区分したときに、100マスのうち何マスにあたる部分が剥離できているか、目視により数えることで、算出した。例えば、100マスのうち、98マスに相当する部分が剥離できているとき、剥離面積は98%である。
◎:塗膜を完全に剥離できた(剥離面積100%)。
○:塗膜を殆ど剥離できた(剥離面積98%以上100%未満。)。
△:塗膜が僅かに残存した(剥離面積95%以上98%未満。)。
×:塗膜の残存が目立つ(剥離面積95%未満。)。
[基材の表面状態]
塗膜剥離後の基材の表面状態を目視により以下の3段階で評価した。
なお、下記に記載の各面積は、塗膜を100マスに区分したときに、100マスのうち何マスにあたる部分に膨潤等が起きているか、目視により数えることで、算出した。例えば、100マスのうち、5マスに相当する部分が膨潤しているとき、膨潤面積は5%である。
○:基材表面に全く変化が無かった。
△:基材表面がごく僅かに膨潤した(膨潤面積5%未満)。
×:基材表面に膨潤、溶解、白化が見られた(膨潤、溶解、白化面積5%以上)。
[基材の機械的強度]
JIS K 7074:1988に基づいて、塗膜が設けられた基材の三点曲げ強度Aと、塗膜剥離後の基材の三点曲げ強度Bとを測定し、下記式により強度低下率を求めた。
強度低下率(%)=[(A−B)/A]×100
○:強度低下率が1%未満。
△:強度低下率が1%以上5%未満。
×:強度低下率が5%以上。
Figure 2015074682
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各実施例の剥離剤によれば、塗膜を良好に剥離でき、しかも、剥離後の基材の表面状態および機械的強度が優れていた。なお、実施例20では、剥離促進処理を行ったため、実施例1と比較して、剥離性が向上した。
これに対して、各成分の含有率が適切な範囲外である比較例1〜6や、他の成分を用いた比較例7〜10は、剥離性が不充分であるか、剥離性が優れていても剥離後の基材の表面状態や機械的物性が悪いという結果であった。
また、実施例21〜25の結果から、剥離剤は、30〜80℃の温度範囲で塗膜に接触させることによって、良好な剥離性を発揮することがわかった。
本発明の剥離剤は、樹脂を含む基材の表面に設けられた被膜を充分に剥離でき、かつ、樹脂を含む基材の表面の溶解、膨潤、白化を抑制し、基材の表面状態や基材の機械的物性への悪影響を防止できる。よって、本発明の剥離剤を使用することによって、例えば航空機、自動車、スポーツ・レジャー用品分野等において、欠陥や異物の混入が生じた被膜が形成され、従来は再利用されずに廃棄されていた例えば繊維強化樹脂等の成形品からなる基材を再利用できる。

Claims (3)

  1. 樹脂を含む基材の表面に設けられた被膜を剥離するための剥離剤であって、
    剥離剤100質量%中、無機アルカリ化合物を5〜40質量%、アルカノールアミンを10〜50質量%、芳香族アルコールを10〜50質量%含む、剥離剤。
  2. 前記基材が炭素繊維強化樹脂である、請求項1に記載の剥離剤。
  3. 前記被膜が、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、セルロース系塗料、フェノール系塗料、エポキシ系塗料、塩化ビニル系塗料、酢酸ビニル系塗料、ポリビニルアルコール系塗料およびポリエチレン系塗料からなる群より選ばれる1種以上を用いて形成された塗膜である、請求項1または2に記載の剥離剤。
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