JP2018023361A - 繊維集合体、それを用いた培地、および生物組織もしくは微生物の電位測定装置 - Google Patents

繊維集合体、それを用いた培地、および生物組織もしくは微生物の電位測定装置 Download PDF

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太一 中村
池田 浩二
Koji Ikeda
浩二 池田
貴義 山口
Takayoshi Yamaguchi
貴義 山口
和宜 石川
Kazunobu Ishikawa
和宜 石川
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Abstract

【課題】心筋細胞などの生物組織や微生物の培養に適した繊維集合体を提供する。【解決手段】繊維集合体に含まれる複数の繊維は、第1スチレン樹脂を含む。第1スチレン樹脂は、ゴム含有スチレン樹脂である。繊維集合体中のゴム成分の含有量は、例えば、2〜30質量%である。複数の繊維は、さらに第1スチレン樹脂とは異なる第2スチレン樹脂を含んでもよい。複数の繊維が一方向に沿って配列していることが好ましい。より具体的には、複数の繊維において、繊維同士が交わる平均的な角度は、0°以上60°以下であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、生物組織や微生物を培養するのに有用な繊維集合体、および繊維集合体を用いた培地、および生物組織もしくは微生物の電位測定装置に関する。
従来、生物組織や微生物を培養するための培地としては、カンテンやゼラチンなどの培地が利用されているが、これらの培地では、三次元的な培養が難しい。そこで、不織布や繊維の三次元構築物を、生物種を培養するための培地(培養のための足場)に利用することが提案されている(特許文献1)。
また、電極上に載置した細胞の電位変化を測定する装置やインピーダンス変化に基づいて大気中の化学種を検知する装置が提案されている(特許文献2および特許文献3など)。特許文献3では、電極上に導電性充填材を含むナノファイバを配置して、ナノファイバのインピーダンス変化に基づいて化学種を識別している。
特開2012−200152号公報 特表2002−523726号公報 特表2010−513934号公報
生物組織や微生物の種類などによっては、従来のカンテン培地や不織布培地では、効率よく培養することができない場合がある。また、繊維基材上で生物組織や微生物を、培養に適した状態で評価できれば、正しい評価が可能になると期待される。
本発明の一局面は、複数の繊維の集合体であって、
前記複数の繊維が、第1スチレン樹脂を含み、
前記第1スチレン樹脂が、ゴム含有スチレン樹脂である、繊維集合体に関する。
本発明の他の一局面は、複数の繊維の集合体であって、
前記複数の繊維が、第1スチレン樹脂と、前記第1スチレン樹脂とは異なる第2スチレン樹脂と、を含み、
前記第1スチレン樹脂は、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第1ブロックポリマーであり、
前記第1ブロックポリマーは、少なくとも末端に前記ポリスチレンブロックを含む、繊維集合体に関する。
本発明のさらに他の局面は、上記の繊維集合体を備え、生物組織または微生物を培養するための培地に関する。
本発明の別の局面は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に配置され、かつ互いに絶縁された複数の電極と、前記電極上に配された上記の繊維集合体と、を備え、
前記複数の電極の少なくとも一部を、前記繊維集合体に保持された生物組織または微生物と電気的に接続させ、前記電極により前記生物組織または微生物の電位を測定する、生物組織または微生物の電位測定装置に関する。
本発明によれば、心筋細胞などの生物組織や微生物の培養に適した繊維集合体を提供することができる。繊維集合体は、生物組織や微生物を培養する際の培地(培養のための足場)に適している。また、繊維集合体は、生物組織や微生物の電位を測定するときに、生物組織や微生物を載置するための基材としても利用できる。
本発明の一実施形態に係る生物組織または微生物の電位測定装置を模式的に示す斜視図である 図1の電位測定装置の概略上面図である。 実施例1の電位測定装置において、絶縁性リングの内側の領域を上から見た走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例における引張試験結果を示すグラフである。 繊維の配列を説明するための繊維集合体の一部の領域の概略上面図である。
本発明の一実施形態に係る繊維集合体は、複数の繊維を含んでおり、複数の繊維は、スチレン樹脂(以下、第1スチレン樹脂とも言う)を含む。第1スチレン樹脂は、ゴム含有スチレン樹脂である。
従来は、生物組織や微生物の培養に、カンテン培地や不織布培地などが用いられているが、生物組織や微生物の種類などによっては、効率よく培養することができない場合がある。
また、特許文献3に記載されているように、例えば、細胞毒性の低いポリスチレンで形成した繊維の不織布を培地として用いると、繊維が高弾性であるため、デバイスのアセンブリやハンドリングの過程で繊維が切断される場合がある。
それに対し、本発明の上記の実施形態では、ゴム含有スチレン樹脂である第1スチレン樹脂を用いることで、繊維の柔軟性および伸度を向上できる。また、繊維化が容易になり、繊維の強度を確保し易くなる。そのため、このような繊維を用いた繊維集合体は、生物組織や微生物に対する親和性が高まる。よって、繊維集合体は、生物組織や微生物の培養用途(特に、培地(足場))に適している。
繊維集合体中のゴム成分の含有量は、2〜30質量%であることが好ましい。また、ゴム成分は、ポリジエン成分であることが好ましい。これらの場合、繊維の柔軟性および伸度をさらに高めることができる。
なお、繊維集合体中のゴム成分の含有量(質量%)は、例えば、繊維集合体のFT−IR分析により算出できる。
複数の繊維は、さらに第1スチレン樹脂とは異なるスチレン樹脂(以下、第2スチレン樹脂とも言う)を含んでもよい。この場合、繊維の高い柔軟性および伸度を確保しながら、容易に繊維化できるとともに、繊維の強度を確保し易くなる。
第1スチレン樹脂は、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第1ブロックポリマーであり、第2スチレン樹脂は、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第2ブロックポリマーであってもよい。第1ブロックポリマー中の前記ポリジエンブロックの含有量は、15質量%を超え25質量%以下であることが好ましく、第2ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量は、1〜15質量%であることが好ましい。この場合、第1スチレン樹脂と第2スチレン樹脂との親和性を高め易く、双方の樹脂の特性を繊維に付与し易くなる。よって、高い柔軟性および伸度を確保しながら、繊維化が容易になり、繊維の強度を確保し易くなる。
第1ブロックポリマーは、少なくとも末端にポリスチレンブロックを含み、第2ブロックポリマーは、少なくとも末端にポリスチレンブロックを含むことが好ましい。この場合、第1ブロックポリマーと第2ブロックポリマーとの親和性をさらに高めることができる。
本発明の他の一実施形態に係る繊維集合体は、複数の繊維を含んでおり、複数の繊維は、第1スチレン樹脂と、第1スチレン樹脂とは異なる第2スチレン樹脂と、を含む。第1スチレン樹脂は、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第1ブロックポリマーであり、第1ブロックポリマーは、少なくとも末端にポリスチレンブロックを含んでいる。このような実施形態では、ポリジエンブロックを含む第1ブロックコポリマーを用いることで、柔軟で、伸度に優れる繊維が得られる。また、第1ブロックポリマーが末端にポリスチレンブロックを含むことで、第2スチレン樹脂との親和性が高まり、繊維における樹脂の均一性を高めることができる。また、第1スチレン樹脂と第2スチレン樹脂とを用いることで、繊維化が容易になり、繊維の強度を確保し易くなる。そのため、このような繊維を用いた繊維集合体は、生物組織や微生物に対する親和性が高まる。よって、このような繊維集合体も、生物組織や微生物の培養用途(特に、培地(足場))に適している。
これらの実施形態に係る繊維集合体において、複数の繊維は、一方向に沿って配列していることが好ましい。複数の繊維が一方向に配列した場合には、繊維集合体を構成する複数の繊維の全てが一方向に沿って配列している場合に限らず、繊維集合体において、繊維同士が交わる平均的な角度が0°以上60°以下(好ましくは0°以上30°以下)である場合も含まれるものとする。このように、複数の繊維が配列した状態である場合、その繊維の配列方向に沿って繊維が伸び易いため、デバイスのアセンブリやハンドリングの過程で繊維が切断され難くなる。なお、繊維同士が交わる角度が0°である場合とは、繊維同士が平行である場合を意味するものとする。ここで、繊維同士が交わる平均的な角度は、繊維の平均的な長さ方向の交わりから決定する。
繊維の平均的な長さ方向は、例えば、繊維集合体を上から見たときのSEM写真に基づいて決定することができる。図5は、繊維の配列を説明するための繊維集合体の概略上面図である。図5では、繊維集合体を上から撮影したSEM写真における繊維集合体の状態を模している。複数の繊維21で構成される繊維集合体20を上から見たとき、まず、所定のサイズ(例えば、100μm×100μmや25μm×25μm)の正方形の領域Rを設定する。このとき、領域Rは、領域R内に12本以上の繊維21が入り、かつ領域R内に位置する繊維21の50%以上が領域Rの対向する2辺と交差するように決定する。この領域Rにおいて、ある繊維21が、上記の対向する2辺と交差する2点間を結んだ直線(図5では点線)の方向を、その繊維21の平均的な長さ方向とする。
繊維同士が交わる平均的な角度は、例えば、上記領域Rにおいて、任意に選択した複数(例えば、20本)の繊維から、さらに任意に2本の繊維を選択し、各繊維の平均的な長さ方向が交わる角度(例えば、図5のθ1)を求める。別の2本の繊維を選択し、各繊維の平均的な長さ方向が交わる角度(例えば、図5のθ2)を求める。このような作業を、選択した残りの繊維(例えば、16本)について行う。そして、それぞれの角度の平均を算出し、繊維同士が交わる平均的な角度とする。
繊維集合体において、第1スチレン樹脂と第2スチレン樹脂との質量比は、70:30〜3:97であることが好ましく、50:50〜3:97であることがさらに好ましい。この場合、繊維の柔軟性を確保しながらも、繊維形成性をさらに高めることができる。
第1ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量は、好ましくは10〜30質量%である。この場合、繊維化がさらに容易になり、しかも繊維に適度な柔軟性および伸度を付与し易い。
スチレン樹脂は、ポリスチレンを含むことが好ましい。この場合、繊維形成性をさらに高めることができる。特に、繊維集合体を電界紡糸法により形成する場合には、高い曳糸性を確保し易くなる。
本実施形態に係る繊維集合体は、生物組織や微生物の培養用途(特に、培地(足場))に適している。そのため、本発明の他の実施形態には、上記の繊維集合体を備え、生物組織または微生物を培養するための培地(より具体的には、培養用の足場)も含まれる。
なお、本明細書中、「生物組織」には、生物組織またはその一部、生物組織や臓器を構成する細胞、iPS細胞やES細胞などの生物組織や臓器などに分化可能な細胞(およびその細胞から培養される組織または臓器、もしくはこれらの一部など)を含むものとする。
上記の培地において複数の繊維が一方向に沿って配列している場合には、生物組織の中でも、特に、心筋細胞との親和性を高めることができ、心筋細胞を培養するのに特に適している。
本発明のさらに他の実施形態には、上記の繊維集合体を用いた生物組織または微生物の電位測定装置も含まれる。より具体的には、生物組織または微生物の電位測定装置は、絶縁性基板と、絶縁性基板上に配置され、かつ互いに絶縁された複数の電極と、電極上に配された上記の繊維集合体と、を備える。電位測定装置では、複数の電極の少なくとも一部を、繊維集合体に保持された生物組織または微生物と電気的に接続させ、電極により生物組織または微生物の電位を測定する。このような電位測定装置では、生物組織や微生物を、上記の繊維集合体に保持させた状態で、電位の変化を測定するため、培養に適した条件で電位に基づく機能評価を行うことができ、より正しい評価が可能になると考えられる。
なお、培地の場合と同様の理由で、電位測定装置も心筋細胞の電位測定に適している。
以下に繊維集合体、培地および生物組織または微生物の電位測定装置の構成についてより詳細に説明する。
[繊維集合体]
本実施形態に係る繊維集合体は、複数の繊維の集合体であり、複数の繊維は、第1スチレン樹脂を含む。第1スチレン樹脂は、ゴム含有スチレン樹脂である。
ゴム含有スチレン樹脂としては、例えば、ゴム成分がスチレン樹脂に配合されたポリマーアロイ、ゴム成分にポリスチレン鎖がグラフト結合したグラフトポリマー、ゴム成分のブロックとポリスチレンブロックとを含むブロックポリマーなどが挙げられる。複数の繊維は、第1スチレン樹脂を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
第1スチレン樹脂を構成するスチレン単位には、スチレン単位だけでなく、メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン誘導体(スチレン置換体など)の単位も包含される。第1スチレン樹脂は、スチレン単位およびスチレン誘導体単位の少なくとも一方を含んでおり、スチレン単位とスチレン誘導体単位との双方を含んでいてもよい。
ゴム含有スチレン樹脂に含まれるゴム成分(第1ゴム成分とも言う)としては、特に制限されず、例えば、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなどが挙げられる。ブロックポリマーでは、後述のポリジエンブロックなどのポリジエン成分を第1ゴム成分として含むことが好ましい。
第1スチレン樹脂としては、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第1ブロックポリマーが好ましい。
繊維集合体は、さらに、第1スチレン樹脂とは異なる第2スチレン樹脂を含んでもよい。
繊維集合体中のゴム成分の含有量は、2〜30質量%であることが好ましく、3〜30質量%または5〜30質量%であることがさらに好ましく、10〜25質量%であってもよい。繊維集合体中のゴム成分の含有量をこのような範囲とすることで、繊維の高い柔軟性と伸度とを確保することができる。繊維集合体中のゴム成分の含有量とは、繊維集合体の質量に占める、繊維集合体に含まれるゴム成分全体の比率である。この比率には、第1スチレン樹脂に含まれる第1ゴム成分の比率が含まれるとともに、第2スチレン樹脂にゴム成分(第2ゴム成分とも言う)が含まれる場合には第2ゴム成分の比率も含まれ、第1スチレン樹脂および第2スチレン樹脂以外にゴム成分(第3ゴム成分とも言う)を含む場合には、さらに第3ゴム成分の比率も含まれる。
(第1ブロックポリマー)
第1スチレン樹脂としての第1ブロックポリマーは、ポリジエンブロックを含む。これにより、繊維の柔軟性や伸度を高めることができる。
本明細書中、ポリジエンブロックとは、ジエンユニットが繰り返し連結したポリマーブロックを言う。ジエンユニットとしては、ブタジエン、イソプレン、およびクロロプレンなどからなる群より選択される少なくとも一種のジエンのユニットが挙げられる。ポリジエンブロックは、ポリブタジエン(PB)ブロック、ポリイソプレンブロック、ポリクロロプレンブロックなどの単独重合ブロックであってもよく、ポリ(ブタジエン−イソプレン)ブロックなどの共重合ブロックであってもよい。高い柔軟性や伸度を繊維に付与し易い観点から、PBブロックが好ましい。
第1ブロックポリマーは、ポリジエンブロックを末端に有していてもよい。第2スチレン樹脂との親和性を高める観点からは、末端以外にポリジエンブロックを有することが好ましい。第2スチレン樹脂との親和性を確保する観点からは、第1ブロックポリマーは、少なくとも末端にポリスチレン(PS)ブロックを含んでいることが好ましい。第1ブロックポリマーは、例えば、側鎖を有する場合には、側鎖の末端にPSブロックを含んでもよいが、PSブロックを、主鎖の少なくとも1つの末端に有することが好ましい。特に、主鎖の両末端にPSブロックを有する場合には、第2スチレン樹脂との親和性をさらに高めることができるため、さらに繊維が形成され易くなり、繊維内での樹脂の分散性も高まる。よって、繊維の柔軟性や伸度のばらつきが低減される。特に、繊維集合体を電界紡糸法により形成する場合には、高い曳糸性を確保し易くなる。第1ブロックポリマーは、さらに、末端以外に位置するPSブロックを有していてもよい。
第1ブロックポリマーは、例えば、ポリジエンブロックとPSブロックとが連結したジブロック体であってもよいが、ポリジエンブロックとPSブロックとが交互に連結したトリブロック体以上のポリブロック体が好ましい。中でも、ポリジエンブロックとPSブロックとが交互に連結し、かつPSブロックがブロックポリマーの両末端に位置するトリブロック体(ABA型トリブロック体)やペンタブロック体など奇数のブロック(例えば、3、5、7または9のブロック)が連結したブロックポリマーが好ましい。
第1ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量は、例えば、10〜30質量%であり、15〜30質量%であることが好ましく、20〜30質量%または20〜25質量%であってもよい。第1ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量は、15質量%を超え30質量%以下である場合も好ましく、15質量%を超え25質量%以下である場合も好ましい。ポリジエンブロックの含有量がこのような範囲である場合、第1ブロックポリマーと第2スチレン樹脂との高い親和性を確保し易い。また、高い柔軟性および伸度を有する繊維が形成され易い。電界紡糸法により繊維集合体を形成する場合には、高い曳糸性を確保することができる。
第1ブロックポリマーは、必要に応じて、PSブロックおよびポリジエンブロックに加え、他の共重合ブロックや共重合モノマー単位などを含んでもよい。ブロックポリマー中のPSブロックおよびポリジエンブロック(PBブロックなど)の割合は、例えば、10質量%以上であり、好ましくは20質量%以上であり、第2スチレン樹脂との親和性が確保し易い観点からは30質量%以下であることが好ましい。また、第1ブロックポリマーは、PSブロックおよび/またはポリジエンブロックに、必要に応じて、置換基(例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、および/またはハロゲン原子など)を有していてもよい。
第1ブロックポリマーなどの第1スチレン樹脂のMFRは、例えば、3〜12g/10分であり、4〜10g/10分であることが好ましく、5〜8g/10分であることがさらに好ましい。第1ブロックポリマーのMFRがこのような範囲である場合、繊維を形成し易くなる、また、第2スチレン樹脂を用いる場合には、第2スチレン樹脂との親和性を高め易くなり、繊維形成性をさらに高めることができる。さらに、繊維に柔軟性や伸度を付与し易い。
なお、本明細書中、MFRは、例えば、JIS K 7210に準拠し、200℃にて荷重5kgf(≒49N)の条件にて測定した値である。
(第2スチレン樹脂)
第1スチレン樹脂と第2スチレン樹脂とを併用する場合、繊維の柔軟性や伸度確保しながらも、繊維化が容易になり、繊維の強度を確保し易くなる。第2スチレン樹脂としては、上記の第1スチレン樹脂とは異なるものが使用される。第2スチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン(スチレンホモポリマー)、スチレンと他の共重合性モノマーとの共重合体、第1ブロックポリマーとは異なるブロックポリマー(第2ブロックポリマーとも言う)などが挙げられる。第2スチレン樹脂は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせてもよい。
第2スチレン樹脂を構成するスチレン単位としては、スチレン単位だけでなく、メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン誘導体(スチレン置換体など)の単位も包含される。第2スチレン樹脂は、スチレン単位および/またはスチレン誘導体単位を含んでいる。
共重合体を構成する共重合性モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはその無水物などが挙げられる。共重合体は、これらの共重合性モノマーの単位を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。共重合体中に含まれる共重合性モノマー単位の割合は、例えば、0モル%を超え30モル%であり、1〜20モル%であってもよい。
第2ブロックポリマーとしては、第1ブロックポリマーとして記載したものから選択できる。第2ブロックポリマーは、少なくとも末端にPSブロックを含むことが好ましい。この場合、第1スチレン樹脂との親和性を確保し易くなる。
第2ブロックポリマーは、ポリジエンブロックを含むことが好ましい。第2ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量は、例えば、1〜30質量%の範囲から選択できる。第2ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量は、第1ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量よりも少ないことが好ましい。この場合、第1ブロックポリマーなどの第1スチレン樹脂との高い親和性を確保しながらも、第2ブロックポリマーにより、繊維化が容易になり、繊維に強度を付与しやすくなる。第2ブロックポリマー中のポリジエンブロックの含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%または5〜15質量%であることがさらに好ましい。
第2スチレン樹脂は、ポリスチレンを含むことが好ましい。繊維化が容易である観点から、スチレン樹脂に占めるポリスチレンの比率は、例えば、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であってもよい。特に、電界紡糸法により繊維集合体を形成する場合には、ポリスチレンの比率がこのような範囲である場合、曳糸性を高めることができる。
第2スチレン樹脂としては、第2ブロックポリマーも好ましい。特に、第1ブロックポリマーと、第1ブロックポリマーとは異なる第2スチレンブロックポリマーとを用いることで、両ブロックポリマーの親和性を高めることができ、双方の特性を繊維に付与しやすくなる。よって、柔軟性および伸度が高く、強度に優れる繊維を得ることができる。また、繊維化も容易になる。
繊維の柔軟性と繊維の形成し易さとを両立させる観点から、第1スチレン樹脂と第2スチレン樹脂との質量比(=第1スチレン樹脂:第2スチレン樹脂)は、例えば、70:30〜3:97であり、50:50〜3:97であることが好ましく、30:70〜10:90であることがさらに好ましい。また、第1スチレン樹脂と第2スチレン樹脂との質量比は、2:1〜1:5または1:1〜1:4である場合も好ましい。このような質量比の範囲は、第1ブロックポリマーと第2ポリスチレン樹脂としてのポリスチレンとを組み合わせる場合に特に適している。特に、溶液を用いる電界紡糸法により繊維集合体を形成する場合には、質量比がこのような範囲である場合、第1スチレン樹脂および第2スチレン樹脂を溶媒に溶解し易く、高い紡糸性を確保することもできる。
第2スチレン樹脂のMFRは、例えば、1〜15g/10分であり、3〜15g/分であることが好ましい。また、第2スチレン樹脂のMFRは、例えば、1〜10g/10分であってもよく、3〜10g/10分または5〜9g/10分である場合も好ましい。第2スチレン樹脂のMFRがこのような範囲である場合、第1ブロックポリマーなどの第1スチレン樹脂との親和性を高め易く、繊維が形成され易い。
繊維集合体を構成する材料のMFRは、例えば、2〜14g/10分であり、4〜12g/10分であることが好ましい。繊維集合体を構成する材料のMFRは、繊維を形成する前の材料、または繊維集合体を用いて測定できる。
(繊維)
繊維は、必要に応じて添加剤などを含んでもよい。
繊維集合体における繊維の平均繊維径は、例えば、50nm〜5μmであり、50nm〜3μmであってもよく、2〜5μmであってもよい。例えば、電界紡糸法により繊維集合体を形成する場合には、繊維の平均繊維径は、3μm以下であることが好ましく、100nm〜3μmまたは0.5〜3μmであってもよい。溶融紡糸法や溶液紡糸法により繊維集合体を形成する場合には、繊維の平均繊維径は、3μm以上であることが好ましく、3〜5μmであることがさらに好ましい。
なお、平均繊維径とは、繊維の直径の平均値である。繊維の直径とは、繊維の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、繊維集合体の1つの主面(例えば、上面)の法線方向から見たときの、繊維の長さ方向に対して垂直な方向の幅を、繊維の直径と見なしてもよい。平均繊維径は、例えば、繊維集合体に含まれる任意の10本の繊維の任意の箇所の直径の平均値である。
繊維集合体において、複数の繊維はランダムに配置され、交差していてもよく、所定の方向に沿って配列していてもよい。繊維の交差や配列の状態は、用途に応じて適宜選択すればよい。上述のように、複数の繊維が一方向に沿って配列している場合には、複数の繊維のうち、例えば、50%以上の繊維が一方向に沿って配列していることが望ましい。
生物組織や微生物の成長に方向性が見られる場合には、繊維がランダムに交差しているよりはある程度配列していることが好ましい。例えば、繊維同士が交わる平均的な角度は、0°以上60°以下であることが好ましく、0°以上30°以下であることがさらに好ましい。このように繊維は一方向に沿って配列している場合には、特に、心筋細胞を培養する場合にも適している。
繊維集合体の単位面積に占める繊維の面積の割合は10〜90%から選択できる。例えば、心筋細胞の培養や電位測定装置に利用する場合には、繊維集合体はごく薄く、単位面積当たりに占める繊維の割合は20〜50%であり、30〜40%で均一に分散して堆積していることが好ましい。なお、繊維の面積の割合は、繊維集合体の一方の主面(例えば、上面)において、繊維集合体における所定の面積(例えば、短軸3mm×長軸6mmの楕円形)の領域において、光沢度計により光沢度を測定し、繊維と繊維以外の領域との光沢度の違いに基づき、繊維が占める面積を算出し、単位面積当たりの面積比率(%)に換算することにより求めることができる。
(繊維集合体の製造方法)
繊維集合体は、繊維の原料を含む原料液から繊維を生成させ(または紡糸し)、基材などに堆積させることにより形成することができる。原料液は、繊維の生成に先立って準備される。繊維を堆積させる際に、配列させながら堆積させてもよい。基材上に形成した繊維集合体を、基材とともに、培地として用いてもよい。
また、基材上に形成した繊維集合体を基材から剥離させて培地や電位測定装置に用いてもよい。基材からの剥離を、転写を利用して行なってもよい。具体的には、基材(第1基材)上に形成した繊維集合体を、繊維集合体が別の基材(第2基材)や電極上に接触するように第1基材とともに重ねて、繊維集合体を第2基材または電極上に転写させ、第1基材を剥離させてもよい。繊維集合体の転写を容易にするために、必要に応じて、繊維集合体および/または第2基材(もしくは電極)の一部の領域に接着剤を配してもよい。このとき、接着剤として、生体適合性に優れたシリコーン粘着剤などを用いることが好ましい。
原料液から繊維を生成する方法(紡糸法)は特に限定されず、生成させる繊維の種類等に応じて適宜選択すればよい。紡糸法としては、例えば、溶液紡糸法、溶融紡糸法および電界紡糸法等が挙げられる。
溶液紡糸法は、繊維の原料を溶媒に溶解して得られた溶液を、原料液として用いる方法である。溶媒を用いる溶液紡糸法には、いわゆる湿式紡糸法および乾式紡糸法がある。湿式紡糸法では、原料液を凝固液中に吐出して、繊維の原料と凝固液との化学反応により、あるいは、溶媒と凝固液との置換により、繊維が形成される。乾式紡糸法では、原料液を空気中に吐出した後、加熱等により溶媒を除去することにより、繊維が形成される。なかでも、繊維を一方向に配列させた状態で堆積させ易い点で、乾式紡糸法が好ましい。
溶融紡糸法は、繊維の原料を加熱して溶融させた溶融液を、原料液として用いる方法である。得られた原料液は、空気中に吐出された後、冷却されることにより、繊維状に固化する。この場合、通常、繊維の原料を溶解するための溶媒は使用しない。よって、溶融紡糸法は、作業者の安全性確保のための紡糸空間からの溶媒の除去作業が省略できる点で好ましい。
電界紡糸法は、繊維の原料を溶媒に溶解して得られた溶液を原料液として用いる点で溶液紡糸法と共通する。しかし、電界紡糸法では、原料液に高電圧を印加しながら空気中に吐出する。原料液に含まれる溶媒は、基材上に到達するまでの過程において概ね揮発する。電界紡糸法では、原料液に高電圧を印加するため、原料液は、プラスあるいはマイナスに帯電する。このとき、基材をグランドさせるか、あるいは、原料液とは逆の極性に帯電させることで、吐出された原料液が基材に引き寄せられ、基材に繊維が堆積する。
原料液を吐出するノズルの動きおよび/または基材の動きを制御することで、繊維を交差させたり、配列させたりすることができる。繊維を配列させる場合には、例えば、原料液の吐出開始時に、その吐出端を、第1基材としての巻取回転体の周面に付着させて、吐出端を確保する。そして、原料液を吐出しながら巻取回転体を回転させることにより、繊維は、巻取回転体の周面を周回しながら堆積していく。巻取回転体あるいはノズルを、例えば巻取回転体の回転軸方向に移動させながら原料液を吐出することにより、巻取回転体の周面の少なくとも一部を覆い、周回する方向に配列する繊維を備える繊維集合体を形成することができる。巻取回転体の周面に形成された繊維集合体は、適宜切断され、例えば、第2基材や電極などに転写される。
溶液紡糸法や電界紡糸法で利用する繊維の原料を含む溶液は、通常、繊維の原料(例えば、第1スチレン樹脂、必要に応じて第2スチレン樹脂および/または添加剤など)と溶媒とを含んでいる。
溶媒としては、繊維の原料を溶解し、揮発などにより除去可能なものであれば特に制限されず、原料の種類や製造条件に応じて、水および有機溶媒から適宜選択して使用できる。溶媒としては、非プロトン性の極性有機溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド(鎖状または環状アミドなど);ジメチルスルホキシドなどのスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶液などの原料液は、必要に応じてさらに添加剤を含んでもよい。
溶液の固形分濃度は、溶媒の種類などに応じて調節できるが、例えば、3〜50質量%であり、5〜50質量%または10〜30質量%であってもよい。固形分濃度がこのような範囲である場合、紡糸時に固形分がビーズ状になり難く、曳糸性の観点で望ましい。また、固形分を溶媒に均一に溶解させることができ、ゲル化等の不良を低減できるため、溶液安定性に優れる。
[培地]
生物組織または微生物を培養するために使用される培地は、上記の繊維集合体を少なくとも備えていればよく、必要に応じて、繊維集合体と、繊維集合体を支持する基材層とを含んでもよい。
基材層としては、樹脂フィルムなどを用いてもよいが、従来の培地(足場も含む)に利用されるものを用いることが好ましい。このような基材層としては、培養する生物組織や微生物の種類などに応じて、カンテン層やゼラチン層などを用いてもよく、不織布などの多孔質基材層を用いてもよく、これらを組み合わせてもよい。
不織布に含まれる繊維の材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、セルロース誘導体(エーテル、エステルなど)、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが例示される。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。不織布に含まれる繊維は、これらの材質を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
[電位測定装置]
上記の繊維集合体は、生物組織や微生物を保持した状態でこれらの電位を測定するための電位測定装置に利用するのに適している。繊維集合体の繊維は柔軟性や伸度に優れているため、培養に適した状態でこれらの電位を測定することができ、電位に基づいて生物組織や微生物の機能を評価することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る生物組織または微生物の電位測定装置を模式的に示す斜視図である。図2は、図1の電位測定装置の概略上面図である。電位測定装置200は、絶縁性基板201と、絶縁性基板201上に配置された複数の電極(第1電極)202と、第1電極202上に配された繊維集合体20と、を備えている。複数の第1電極202は、互いに絶縁されている。このような装置200では、複数の電極202の少なくとも一部を、繊維集合体20に保持された生物組織または微生物210と電気的に接続させることで、電極202により生物組織または微生物210の電位を測定することができる。なお、図2では、図1の電位測定装置200の繊維集合体20上に生物組織または微生物210を載せた状態を示しており、第1電極202を備える絶縁性基板201を省略している。
図示例では、電位測定装置200は、さらに第1電極202と電気的に接続する複数のマイクロ電極(第2電極)203を備えている。複数の第2電極203は、行列方式にて所定の間隔で形成されており、複数の第2電極203は互いに絶縁されている。複数の第2電極203は、第2電極203と第1電極202および/または絶縁性基板201との間に繊維集合体20を挟むように形成されている。そして、生物組織または微生物210は、複数の第2電極203の少なくとも一部に接触するように配されている。複数の第2電極203、および繊維集合体20により保持された生物組織または微生物210を取り囲むように、絶縁性のリング204が配されている。第2電極203を形成すると、第2電極203を生物組織または微生物210と接触させ易くなるため、生物組織または微生物210の電位の測定が容易になる。
図示例では、繊維集合体20を構成する繊維21は、繊維21が一方向に沿った状態で配列している。このような配列の繊維21を備える繊維集合体20は、特に柔軟であり、繊維21の長さ方向に沿って伸び易い。よって、生物組織や微生物の培養に適した状態で、生物組織や微生物の電位測定(および機能評価)が可能となる。
電位測定装置200は、必要に応じてホルダーなどに収容してもよい。
絶縁性基板としては、特に制限されず、用途に応じて選択でき、例えば、ガラス基板、石英基板、アクリル板、ポリスチレン板などが例示される。
第1電極としては、特に制限されず、用途に応じて選択でき、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)電極や白金電極などが例示される。
第2電極としては、生物組織や微生物の電位を測定可能であればよく、用途に応じて適宜選択できる。第2電極のサイズ、隣接する第2電極間の距離、第2電極の個数は、生物
組織や微生物の種類やサンプルのサイズなどに応じて適宜選択できる。第2電極の一辺の長さ(円盤状の場合には直径)は、例えば、10〜100μmであり、15〜60μmであってもよい。隣接する第2電極間距離(第2電極の中心間距離)は、例えば、50〜1000μmであり、50〜500μmであってもよい。
絶縁性のリングは、特に制限されず、ガラス製や樹脂製(エラストマー製も含む)のものが使用される。ガラス製やシリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサンなど)製のリングが用いられる場合が多い。なお、絶縁性リングの内側の領域は、仕切り板などにより仕切られていてもよい。
繊維集合体は、第1電極を備える絶縁性基板上に繊維を直接堆積することにより形成してもよいが、図1や図2に示すように、繊維が配列した状態の繊維集合体を作製するには、前述のような転写を利用するのが有利である。転写を行なう場合には、別途第1基材上に形成した繊維集合体を、第1電極を備える絶縁性基板(第2基材)上に、繊維集合体を接触させた状態で載せ、プレスして、第1基材を剥離する。繊維集合体や絶縁性基板に接着剤を付与しておくと、絶縁性基板に繊維集合体を転写させ易くなる。このとき、第2電極や絶縁性リングの外側となる領域に接着剤が配されるように、接着剤を付与すると、電位測定の妨げになり難い。
第2電極を設ける場合には、繊維集合体を絶縁性基板上に配した後、第2電極と第1電極および/または絶縁性基板との間に繊維を挟むように第2電極を形成する。このとき、第2電極を、第1電極と電気的に接続させる。第1電極の表面は、各第2電極と接続させる領域で露出していればよく、残りの領域はアクリル樹脂などの絶縁製の膜で覆ってもよい。電位測定装置は、必要に応じて、基準電極および/または参照電極を備えていてもよい。
電位測定装置では、繊維集合体に保持された生物組織または微生物の電位を、第1電極(第1および第2電極)で測定する。電位の経時的な変化や条件を変更した際の変化を求め、この電位変化に基づいて、生物組織または微生物の状態や機能などを評価することができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)繊維集合体の作製
実施例1
第1基材としての巻取回転体の周面に、電界紡糸法により、繊維を堆積させて繊維集合体を作製した。このとき、原料液を吐出させながら巻取回転体を回転させて、繊維を巻取回転体の周面を周回させながら堆積させた。周面の幅方向に沿って繊維集合体に切れ目を入れ、複数のITO電極を備えるガラス基板(第2基材)の表面に、繊維集合体が接触するように、ガラス基板を巻取回転体の周面に押し付け、繊維集合体を、ガラス基板上に転写させた。ガラス基板の一部の領域には、格子状に予め接着剤を付与しておいた。
なお、電解紡糸に用いた原料液としては、第1スチレン樹脂としてPBブロックとPBブロックの両方の末端に結合したPSブロックとを有するブロックポリマー(トリブロック体、PB含有量:23質量%、MFR:6g/10分)、および第2スチレン樹脂としてのポリスチレン(MFR:7.7g/10分)を、それぞれ、15質量%濃度で含むDMAc溶液を用いた。得られた繊維集合体における繊維の平均繊維径は、2.5μmであり、繊維集合体の単位面積当たりに占める繊維の面積の割合は35%であった。なお、繊維集合体中のゴム成分の含有量は、11.5質量%である。
実施例2
原料液におけるブロックポリマーおよびポリスチレンの濃度をそれぞれ、10質量%および20質量%とした以外は実施例1と同様に繊維集合体を作製した。繊維集合体中のゴム成分の含有量は、7.6質量%である。
実施例3
原料液におけるブロックポリマーおよびポリスチレンの濃度をそれぞれ、4.5質量%および25.5質量%とした以外は実施例1と同様に繊維集合体を作製した。繊維集合体中のゴム成分の含有量は、3.5質量%である。
実施例4
第1スチレン樹脂として、PBブロックを含むスチレン系ブロックポリマー(PB含有量:23質量%、MFR:6g/10分)、および第2スチレン樹脂として、PBブロックを含むスチレン系ブロックポリマー(PB含有量:10質量%、MFR:6g/10分)、を、それぞれ、20質量%濃度および10質量%濃度で含むDMAc溶液を用いた。このこと以外は、実施例1と同様に繊維集合体を作製し、引張り試験評価を行なった。なお、繊維集合体中のゴム成分の含有量は、5.6質量%である。
比較例1
ブロックポリマーを用いずに、原料液におけるポリスチレンの濃度を、30質量%とした以外は実施例1と同様に繊維集合体を作製した。
(2)電位測定装置の作製
実施例5
実施例1〜4および比較例1で得られた繊維集合体のそれぞれを、ガラス基板とともに縦20mm×横20mmのサイズにカットし、図1に示すようなマイクロ電極(第2電極)103を白金めっきにより形成し、第1電極102としてのITO電極に電気的に接続させた。このとき、第2電極103は、繊維集合体20の繊維21を第2電極103と第1電極102との間に挟むように、4×4の行列方式で形成した。そして、ポリジメチルシロキサン製の絶縁性リング104を第2電極103の周囲を取り囲むように配置した。なお、繊維集合体には、接着剤が絶縁性リング104の外側の領域に配された状態となるように、接着剤を付与した。また、繊維集合体のカットは、接着剤を付与した部分において行った。
図3に、実施例1の繊維集合体を用いた場合について絶縁性リングの内側の領域を上から見たSEM写真を示す。図3に示すように、実施例1の繊維集合体では、繊維が一方向に配列した状態となっていた。SEM写真から、繊維集合体の領域R(25μm×25μm)について繊維同士が交わる平均的な角度を求めたところ5°であった。なお、図3中、黒い微小な矩形の物体がマイクロ電極である。
(3)引張試験評価
上記実施例1〜4、比較例1で得られた繊維(固形分)をISO3167;1993に示す多目的試験片(厚み4mm)に成型し、ISO527−1(プラスチック−引張特性の試験方法)に準拠して、引張速度50mm/分で、引張試験を行った。
評価結果を図4に示す。比較例1の繊維を用いた試験片では、降伏しなかったため、図4には実施例1〜4の繊維を用いた例をそれぞれA1〜A4として示した。
ポリスチレンのみを用いた比較例1の試験片では降伏しなかったのに対し、実施例の試験片では、図4に示されるように、繊維集合体中のゴム成分の含有量が多くなると、最大応力が低下し、歪みが向上することが確認された。
本発明の一実施形態に係る繊維集合体は、微生物または生物組織の培養のための培地(足場)や微生物や生物組織の電位を測定するための基材に適している。繊維集合体は、妊娠検査シート等の体外検査シート、医療用シート等などの用途にも利用することができる。
20:繊維集合体、21:繊維、200:生物組織または微生物の電位測定装置、201:絶縁性基板、202:第1電極、203:第2電極、204:絶縁性のリング、210:生物組織または微生物

Claims (16)

  1. 複数の繊維の集合体であって、
    前記複数の繊維が、第1スチレン樹脂を含み、
    前記第1スチレン樹脂が、ゴム含有スチレン樹脂である、繊維集合体。
  2. 前記繊維集合体中のゴム成分の含有量は、2〜30質量%である、請求項1に記載の繊維集合体。
  3. 前記ゴム成分は、ポリジエン成分である、請求項1または2に記載の繊維集合体。
  4. 前記複数の繊維は、さらに前記第1スチレン樹脂とは異なる第2スチレン樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維集合体。
  5. 前記第1スチレン樹脂は、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第1ブロックポリマーであり、
    前記第2スチレン樹脂は、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第2ブロックポリマーであり、
    前記第1ブロックポリマー中の前記ポリジエンブロックの含有量は、15質量%を超え25質量%以下であり、
    前記第2ブロックポリマー中の前記ポリジエンブロックの含有量は、1〜15質量%である、請求項4に記載の繊維集合体。
  6. 前記第1ブロックポリマーは、少なくとも末端に前記ポリスチレンブロックを含み、
    前記第2ブロックポリマーは、少なくとも末端に前記ポリスチレンブロックを含む、請求項5に記載の繊維集合体。
  7. 複数の繊維の集合体であって、
    前記複数の繊維が、第1スチレン樹脂と、前記第1スチレン樹脂とは異なる第2スチレン樹脂と、を含み、
    前記第1スチレン樹脂は、ポリスチレンブロックとポリジエンブロックとを含む第1ブロックポリマーであり、
    前記第1ブロックポリマーは、少なくとも末端に前記ポリスチレンブロックを含む、繊維集合体。
  8. 前記複数の繊維が一方向に沿って配列している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維集合体。
  9. 前記複数の繊維において、繊維同士が交わる平均的な角度が0°以上60°以下である、請求項8に記載の繊維集合体。
  10. 前記第1スチレン樹脂と前記第2スチレン樹脂との質量比は、70:30〜3:97である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の繊維集合体。
  11. 前記第1ブロックポリマー中の前記ポリジエンブロックの含有量は、10〜30質量%である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の繊維集合体。
  12. 前記第2スチレン樹脂は、ポリスチレンを含む、請求項7〜11のいずれか1項に記載の繊維集合体。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維集合体を備え、生物組織または微生物を培養するための培地。
  14. 前記生物組織が心筋細胞である、請求項13に記載の培地。
  15. 絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に配置され、かつ互いに絶縁された複数の電極と、前記電極上に配された請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維集合体と、を備え、
    前記複数の電極の少なくとも一部を、前記繊維集合体に保持された生物組織または微生物と電気的に接続させ、前記電極により前記生物組織または微生物の電位を測定する、生物組織または微生物の電位測定装置。
  16. 前記生物組織が心筋細胞である、請求項15に記載の生物組織または微生物の電位測定装置。
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