JP2018023285A - 乾麺の製造方法、及びそれに用いる製麺用組成物 - Google Patents

乾麺の製造方法、及びそれに用いる製麺用組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018023285A
JP2018023285A JP2016155288A JP2016155288A JP2018023285A JP 2018023285 A JP2018023285 A JP 2018023285A JP 2016155288 A JP2016155288 A JP 2016155288A JP 2016155288 A JP2016155288 A JP 2016155288A JP 2018023285 A JP2018023285 A JP 2018023285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
noodles
raw material
noodle
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016155288A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6803697B2 (ja
Inventor
俊平 宮川
Shunpei Miyagawa
俊平 宮川
優珠子 井川
Yumiko Igawa
優珠子 井川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Sangyo Co Ltd filed Critical Showa Sangyo Co Ltd
Priority to JP2016155288A priority Critical patent/JP6803697B2/ja
Publication of JP2018023285A publication Critical patent/JP2018023285A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6803697B2 publication Critical patent/JP6803697B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Noodles (AREA)

Abstract

【課題】ロール式製麺機を用いて、手延べ麺と同等の高い透明感を有し、口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感を有する茹で麺が得られる乾麺を容易に、歩留まり良く製造する方法、及びその乾麺の製造方法に用いる製麺用組成物の提供。【解決手段】小麦粉を含む原料粉、及び水を含む生地を調製し、ロール式製麺機によって製麺する工程、及び製麺された麺を乾燥する工程を含む乾麺を製造する方法であって、原料粉が、原料粉の総質量を基準として、10質量%超、50質量%未満のリン酸架橋澱粉を含有し、生地が、原料粉100質量部に対して、0.005〜0.05質量部の有機酸を含有し、有機酸の水に対する酸解離定数pKaが4.0〜5.5である乾麺の製造方法、及びその製造方法に用いる小麦粉、及び所定量のリン酸架橋澱粉を含有する原料粉、並びに有機酸を含有し、有機酸の水に対する酸解離定数pKaが4.0〜5.5である製麺用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ロール式製麺機を用いて乾麺を製造する方法に関し、特に手延べ麺と同等の高い透明感を有し、口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感を有する茹で麺が得られる乾麺の製造方法に関する。
そうめん、ひやむぎ、うどん等の手延べ麺は、茹で調理することで、高い透明感を有し、口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い独特の食感を有する茹で麺が得られる。しかしながら、手延べ麺の製造は、ほとんど手作業で行なわれ、長時間に渡る極めて繁雑な工程が必要である。したがって、従来から、ロール式製麺機等の製麺機を用いて、手延べ麺と同等の品質を有する乾麺を製造するために技術開発が進められている。
従来、製麺機を用いて、上記のような手延べ麺の特徴を有する乾麺を製造するため、(1)原料粉に対して通常よりも多加水で生地を調製する、(2)原料粉として澱粉を配合する、等の方法が用いられていた。しかしながら、(1)の多加水の生地は、柔らかすぎて、伸びてしまい、特にロール式製麺機に掛け難く、製麺適性が低下したり、べたつきが強く、麺の乾燥時に麺同士が付着することで乾燥不良が生じたりする場合があった。また、(2)の澱粉を配合した生地は、原料粉中のグルテンが少なくなるため、得られる茹で麺が柔らかくなり過ぎるため、コシ・弾力が弱い食感になったり、生地のつながりが弱く、麺の乾燥時にひび割れ等が生じて乾燥不良が生じたりする場合があった。この場合、グルテンを補うために粉末グルテンを添加すると、茹で調理の際、糊化が遅くなり、芯が残った粉っぽい茹で麺になることがある。
さらに、近年でも、製麺機を用いた、手延べ麺の特徴を有する乾麺を製造する技術が報告されている。例えば、特許文献1では、手延べ麺類の様な滑らかさ、および粘弾性を有し、茹で伸びも遅い麺類を機械製麺により製造し得る手延べ風麺類の製造方法を提供することを目的とし、手延べ風麺類を機械製麺するに際して、原料穀粉に対して、加水量を25〜45質量%とし、且つ増粘剤としてグアーガムおよび/またはキサンタンガムを0.2〜2.5質量%、水溶液またはゲルの形態で添加するとともに、麺生地のpHが6.3〜7.5の範囲になるようにpH調整剤を添加することを特徴とする手延べ風麺類の製造方法が開示されている。また、特許文献2では、機械製麺法により、弾力性、歯切れ感などの食感、茹で伸びの遅さ、麺ほぐれなどの点において、手延べ麺類と同等以上の品質を有する乾麺類を製造しうる方法を提供することを目的とし、麺帯を麺線に切り出し、該麺線を乾燥して乾麺類を製造する方法において、麺線を水分15質量%以下に乾燥後、得られた乾麺類を、遠赤外線照射下において、温度60〜70℃の雰囲気で24〜60時間熟成させることを特徴とする乾麺類の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3では、麺帯を麺線に切り出し、該麺線を乾燥して乾麺類を製造する方法において、麺線を水分15質量%以下に乾燥後、得られた乾麺類を、マイクロ波により加熱して熟成させることを特徴とする乾麺類の製造法が開示されている。
特開2009−225736号公報 特開2010−130979号公報 特開2011−50281号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、増粘剤を用いるため、生地のべたつきが強く、麺の乾燥時に麺同士が付着することで乾燥不良が生じ、歩留まりが低下する場合がある。また、特許文献2及び3の方法では、熟成のための新たな設備や時間が必要であるという問題がある。すなわち、さらに容易に、歩留まり良く、手延べ麺の特徴を有する乾麺を製造する方法が求められている。
したがって、本発明の目的は、ロール式製麺機を用いて、手延べ麺と同等の高い透明感を有し、口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感を有する茹で麺が得られる乾麺を容易に、歩留まり良く製造する方法、及びその乾麺の製造方法に用いる製麺用組成物を提供することにある。
本発明者らはロール式製麺機を用い、製麺して乾麺を製造する際の生地の配合について鋭意検討した結果、副資材として所定量のリン酸架橋澱粉、及び特定の有機酸を配合することで上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記目的は、小麦粉を含む原料粉、及び水を含む生地を調製し、ロール式製麺機を用いて製麺する工程、及び製麺された麺を乾燥する工程を含む乾麺を製造する方法であって、前記原料粉が、前記原料粉の総質量を基準として、10質量%超、50質量%未満のリン酸架橋澱粉を含有し、前記生地が、前記原料粉100質量部に対して、0.005〜0.05質量部の有機酸を含有し、前記有機酸の水に対する酸解離定数(以下、単に「酸解離定数」ともいう)pKaが4.0〜5.5であることを特徴とする乾麺の製造方法によって達成される。ロール式製麺機で製麺する生地に用いる原料粉に配合する澱粉として、リン酸架橋澱粉を選択し、さらに生地に上記の範囲で特定の有機酸を含有させることによって、手延べ麺と同等の高い透明感を有し、口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感を有する茹で麺が得られる乾麺を製造することができる。また、乾燥時に麺が折れ難くなり、歩留まり良く乾麺を製造することができる。
本発明の乾麺の製造方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記リン酸架橋澱粉が、リン酸架橋以外の加工処理がされていないリン酸架橋澱粉である。
(2)前記リン酸架橋澱粉が、馬鈴薯澱粉由来のリン酸架橋澱粉である。
(3)前記有機酸が、アスコルビン酸、及び/又は酢酸である。
(4)前記原料粉の小麦粉由来のたん白質含有率が、前記原料粉の総質量を基準として6.5〜10質量%である。
(1)〜(4)により、さらに口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られる乾麺とすることができる。
また、上記目的は、本発明の乾麺の製造方法に用いる生地であるか、又は生地を調製するための製麺用組成物であって、小麦粉、及び10質量%超、50質量%未満のリン酸架橋澱粉を含有する原料粉、並びに前記原料粉100質量部に対して0.005〜0.05質量部の有機酸を含有する製麺用組成物によって達成される。本発明の製麺用組成物を用いることで、容易に本発明の乾麺の製造方法を実施することができる。
本発明の乾麺の製造方法により、ロール式製麺機を用いて、手延べ麺と同等の高い透明感を有し、口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感を有する茹で麺が得られる乾麺を、容易に歩留まり良く製造することができる。
[乾麺の製造方法]
本発明の乾麺の製造方法は、小麦粉を含む原料粉、及び水を含む生地を調製し、ロール式製麺機を用いて製麺する工程、及び製麺された麺を乾燥する工程を含み、前記原料粉が、前記原料粉の総質量を基準として、10質量%超、50質量%未満のリン酸架橋澱粉を含有し、前記生地が、前記原料粉100質量部に対して、0.005〜0.05質量部の有機酸を含有し、前記有機酸の水に対する酸解離定数pKaが、4.0〜5.5であることを特徴とする。乾麺の原料粉として澱粉を配合すると、高い透明感や、口当たりが滑らかな食感を有する茹で麺が得られる傾向があるが、上述のように、原料粉中のグルテン含有量が少なくなるため、コシ・弾力が弱い食感になる場合がある。また、麺の乾燥時に、ひび割れが生じて麺が折れてしまい、歩留まりが低下する場合もある。本発明においては、澱粉としてリン酸架橋澱粉を選択し、且つ生地に特定の有機酸を上記の範囲の量で含有させることで、手延べ麺と同等の高い透明感、及び口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られる乾麺を製造することができる。さらに、麺の乾燥時のひび割れも生じ難くなり、乾麺を歩留まり良く製造することができる。この機作としては明確ではないが、リン酸架橋澱粉は、澱粉の高分子構造が強化されているので、麺中で強いゲル構造を形成し、グルテン含有量が少ないために弱くなったグルテンネットワークを補強することができ、同時に、上記の範囲の少量の特定の有機酸が、グルテンネットワークを強化するためと考えられる。
後述する実施例で示す通り、リン酸架橋澱粉以外の澱粉では、本発明の効果が得られない。また、生地が所定量の有機酸を含有していても、原料粉におけるリン酸架橋澱粉の含有率が、10質量%では、高い透明感、及び口当たりが滑らかな食感を有する茹で麺が得られず、50質量%では、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られず、乾燥時のひび割れも生じる。一方、原料粉が所定量のリン酸架橋澱粉を含んでいても、生地の有機酸の含有量が上記の範囲より少ない場合は、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られず、多い場合は、麺の変色が生じ、高い透明感を有する茹で麺が得られない。
本発明において、原料粉におけるリン酸架橋澱粉の含有率は、原料粉の総質量を基準として、15〜40質量%が好ましく、25〜35質量%がさらに好ましい。また、生地における有機酸の含有量は、原料粉100質量部に対して、0.01〜0.05質量部が好ましく、0.01〜0.03質量部がさらに好ましい。
本発明において、リン酸架橋澱粉は、植物から抽出した澱粉を、トリメタリン酸塩、オキシ塩化リン等の架橋剤を用いてリン酸架橋した澱粉である。リン酸架橋澱粉としては、アセチル化、リン酸化、ヒドロキシプロピル化等の複数の加工処理を組み合わせたリン酸架橋澱粉も含む。本発明においては、より口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られる点で、リン酸架橋以外の加工処理がされていないリン酸架橋澱粉が好ましい。リン酸架橋澱粉によるリン酸架橋澱粉の澱粉原料としては、特に制限はなく、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉が挙げられる。本発明においては、より口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られる点で、馬鈴薯澱粉由来のリン酸架橋澱粉が好ましい。
本発明において、有機酸は、水に対する酸解離定数pKaが4.0〜5.5のものであり、食品用に使用できる有機酸であれば、特に制限はない。例えば、アスコルビン酸(pKa=4.17)、酢酸(pKa=4.76)、コハク酸(pKa=4.19)、アジピン酸(pKa=4.42)、グルタル酸(pKa=4.34)等が挙げられる。後述する実施例に示す通り、酸解離定数pKaが上記の範囲を満たさない、乳酸(pKa=3.86)、及びフマル酸(pKa=3.03)を用いた場合は、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られない。これは、酸解離定数pKaが4.0未満のものはグルテンのつながりを弱くするためと考えられる。本発明において、有機酸の水に対する酸解離定数pKaが、4.0〜5.0であることがさらに好ましい。有機酸としては、特に、アスコルビン酸はグルテンの弾力を増加させ、酢酸はグルテンの伸びを良くする効果が認められることから、アスコルビン酸、及び/又は酢酸が好ましく、特にアスコルビン酸が好ましい。なお、本発明において、有機酸の酸解離定数pKaは、ジカルボン酸等の酸性基を2個以上有する有機酸の場合は、最初に解離する酸性基の酸解離定数を意味する。
本発明において、原料粉に含まれる小麦粉としては、どのような種類の小麦粉を用いてもよく、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、セモリナ粉等を適宜使用することができる。本発明において、原料粉の小麦粉由来のたん白質含有率が低過ぎたり、高過ぎたりすると、本発明の効果が得難くなるので、原料粉の小麦粉由来のたん白質含有率は、原料粉の総質量を基準として、6.5〜10.0質量%が好ましく、7.0〜9.5質量%がさらに好ましく、7.5〜9.5質量%が特に好ましい。なお、本発明において、「原料粉の小麦粉由来のたん白質」とは、原料粉として含まれる小麦粉中のたん白質のことであり、生地中に別に添加される粉末グルテン等のたん白素材は含まない。また、本発明においては、原料粉として、小麦粉以外の穀粉を含有させてもよい。小麦粉以外の穀粉としては、特に制限はなく、例えば、大麦粉、米粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、そば粉、大豆粉等が挙げられる。
本発明において、乾麺の製造に用いる生地は、本発明の効果を損なわない限り、上述の材料以外に、一般に製麺用の生地に使用される材料を適宜含んでいてもよい。そのような材料として、卵白、卵黄、カゼイン、粉末グルテン等のたん白質;食用油脂;糖類;色素;グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム等の増粘剤;アラニン、グリシン、リジン等のアミノ酸;グルタミン酸ナトリウム、食塩等の調味料;香料;かんすい;アルコール製剤等が挙げられる。
本発明において、生地を調製し、ロール式製麺機を用いて製麺する工程、及び製麺された麺を乾燥する工程は、常法に従って実施することができる。例えば、まず、原料粉、及び有機酸、及び必要に応じて上述のその他の材料をピンミキサー等の混合機に入れ、撹拌しながら所定量の水を添加して、生地がそぼろ状になるまでミキシングすることで生地を調製する。液状の材料(食用油脂、液状の有機酸等)や、水溶性の材料(食塩、粉末状の有機酸等)は、予め水に溶解又は分散させて、水の添加の際に混合してもよい。加水量は、ロール式製麺機の圧延ロールに掛けることができれば、特に制限はない。そぼろ状の生地の塊が大きくなり過ぎると、圧延ロールに掛け難くなる場合があるため、そぼろ状の生地の状態を見て、加水量を適宜調節することができる。次いで、そぼろ状の生地をロール式製麺機に投入し、圧延して麺帯を製造し、得られた麺帯を、麺の種類に応じた幅に細断等して生麺を調製する。その後、得られた生麺を乾燥室等で乾燥し、乾麺を製造する。本発明の製造方法で製造される麺の種類には、特に制限はなく、例えば、そうめん、ひやむぎ、うどん、きしめん等が挙げられる。
[製麺用組成物]
本発明の製麺用組成物は、上述の本発明の乾麺の製造方法に用いる生地であるか、又は生地を調製するための製麺用組成物であって、小麦粉、及び10質量%以上、50質量%未満のリン酸架橋澱粉を含む原料粉、及び前記原料粉100質量部に対して0.005〜0.05質量部の有機酸を含有する。本発明において、「製麺用組成物」は、小麦粉、及びリン酸架橋澱粉を含む原料粉、並びに有機酸を上記の範囲で含有する組成物であり、有機酸が粉末状の場合は、原料粉、有機酸、及び必要に応じて、上述のその他の材料を含有する製麺用のミックス粉の形態であってもよく、有機酸が液状の場合や、水に溶解させて生地に添加する場合は、原料粉、有機酸、水、及び必要に応じて、上述のその他の材料を含有する生地、又は生地になる前の粉状組成物、及び液状組成物の組み合わせ等の形態であってもよい。本発明の製麺用組成物を用いることで、容易に本発明の乾麺の製造方法を実施することができ、手延べ麺と同等の高い透明感、及び口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感の茹で麺が得られる乾麺を、歩留まり良く製造することができる。なお、本発明の製麺用組成物の好ましい形態は、上述の乾麺の製造方法における生地の好ましい態様と同様である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.乾麺の調製
乾麺として、そうめんを選択して、以下の通り製造した。
(1)生地の調製
表1〜3に示した配合で、各実施例、及び比較例のそうめん用生地を調製した。すなわち、水、食塩以外の各材料をピンミキサーにいれ、撹拌しながら、食塩を溶解した食塩水を添加して、生地がそぼろ状になるまでミキシングして生地を調製した。なお、有機酸は水と混合して添加した。
(2)製麺
(1)で得られた各実施例、及び比較例の生地について、ロール式製麺機を使用して、厚さ1.0mmの麺帯を調製し、切刃;丸30番で麺線を切り出して生麺を調製した。
(3)乾燥
(2)で得られた各実施例、及び比較例の生麺について、乾燥器で25〜30℃、12時間乾燥して乾麺を調製した。乾燥後、乾麺の外観を観察し、ひび割れの状況を以下の基準で評価した。評価結果は、表1〜3に示す。
○:ひび割れがなく、極めて良好である。
△:ひび割れが観察されるが、許容範囲である。
×:ひび割れが多く観察され、不良である。
2.乾麺の評価
上記で調製した各実施例、及び比較例の乾麺を、沸騰水中で2分30秒間茹で調理し、冷水で冷却し、ざるに上げた茹で麺について、直ぐに10名のパネラーで、外観、及び食感を以下の基準で評価した。パネラーの評価点の平均値を評価結果として表1〜3に示す。なお、評価点は小数点第2位を四捨五入して示した。
(1)麺の透明感
5:非常に透明感があり、極めて良好である。
4:透明感があり、良好である。
3:やや透明感があり、許容範囲である。
2:透明感があまりなく、悪い。
1:透明感がなく、非常に悪い。
(2)麺の口当たりの滑らかさ
5:非常に口当たりが滑らかで、極めて良好である。
4:口当たりが滑らかで、良好である。
3:やや口当たりが滑らかで、許容範囲である。
2:口当たりの滑らかさがあまりなく、悪い。
1:口当たりの滑らかさがなく、非常に悪い。
(3)麺のコシ・弾力
5:コシ・弾力が強く、極めて良好である。
4:コシ・弾力があり、良好である。
3:ややコシ・弾力があり、許容範囲である。
2:コシ・弾力が弱く、悪い。
1:コシ・弾力がなく、非常に悪い。
Figure 2018023285
Figure 2018023285
Figure 2018023285
表1〜3に示した通り、小麦粉、及び、15〜40質量%のリン酸架橋澱粉を含有する原料粉、並びに原料粉100質量部に対して、0.005〜0.05質量部の有機酸(酸解離定数pKaが4.0〜5.5のアスコルビン酸(pKa=4.17)、又は酢酸(pKa=4.76)を含有する実施例1〜12の生地から調製された乾麺は、ひび割れがなく、茹で麺の透明感が良好であり、且つ茹で麺の口当たりの滑らかさ、及びコシ・弾力が良好であった。一方、リン酸架橋澱粉、及び有機酸を含まない比較例1は、乾麺のひび割れはなかったものの、茹で麺の透明感が悪く、茹で麺の口当たりの滑らかさ、及びコシ・弾力が悪かった。また、リン酸架橋澱粉を含有していても、有機酸を含まない比較例2は、茹で麺の透明感、及び茹で麺の口当たりの滑らかさは良好であったが、乾麺のひび割れが観察され、茹で麺のコシ・弾力が悪かった。さらに、所定量の有機酸を含有していても、リン酸架橋澱粉以外の澱粉として、タピオカ澱粉(比較例4)、酸化澱粉(比較例5)、酢酸澱粉(比較例6)、ヒドロキシプロピル化澱粉(比較例7)を含む場合は、乾麺のひび割れがなく、茹で麺の透明感、及び茹で麺の口当たりの滑らかさは良好であったが、茹で麺のコシ・弾力が悪かった。また、有機酸であっても、酸解離定数pKaが4.0未満の有機酸である乳酸(pKa=3.86)(比較例8)、及びフマル酸(pKa=3.03)(比較例9)を含む場合は、茹で麺の透明感、及び茹で麺の口当たりの滑らかさは良好であったが、乾麺のひび割れが観察され、茹で麺のコシ・弾力が悪かった。したがって、本発明においては、原料粉にリン酸架橋澱粉を含有させ、さらに生地に酸解離定数pKaが4.0〜5.5の有機酸を含有させることが必須であることが示唆された。なお、茹で麺のコシ・弾力を向上するために、比較例2の配合に粉末グルテンを配合した比較例3では、茹で麺のコシ・弾力は向上したものの、茹で麺の透明感が低下した。
リン酸架橋澱粉としては、馬鈴薯澱粉由来のリン酸架橋澱粉(1)を用いた実施例1が、タピオカ澱粉由来のリン酸架橋澱粉(2)を用いた実施例2より、やや茹で麺のコシ・弾力が良好であった。また、タピオカ澱粉由来のリン酸架橋澱粉の内、他の加工処理がされていないリン酸架橋澱粉を用いた実施例2の方が、アセチル化リン酸架橋澱粉を用いた実施例3より茹で麺のコシ・弾力が良好であった。したがって、本発明においては、リン酸架橋澱粉が馬鈴薯澱粉由来の方が好ましく、リン酸架橋澱粉以外の加工処理がされていない方が好ましいことが示唆された。
原料粉におけるリン酸架橋澱粉の含有率が10質量%の比較例10では、茹で麺の透明感が低く、茹で麺の口当たりの滑らかさが弱かった。一方、原料粉におけるリン酸架橋澱粉の含有率が50質量%の比較例11では、乾麺のひび割れが多く観察され、茹で麺のコシ・弾力も弱かった。したがって、本発明において、原料粉におけるリン酸架橋澱粉の含有率の範囲は、原料粉の総質量を基準として、10質量%超、50質量%未満であることが必要であることが示唆された。
生地における有機酸(アスコルビン酸)の含有量が、原料粉100質量部に対して、0.003質量部の比較例12では、乾麺のひび割れが観察され、茹で麺のコシ・弾力が弱かった。一方、原料粉100質量部に対して、0.10質量部の比較例13では、茹で麺の変色が認められ、透明感が低くなった。したがって、本発明において、生地における有機酸の含有量は、原料粉100質量部に対して0.005〜0.05質量部であることが必要であることが示唆された。
原料粉の小麦粉由来のたん白質含有率は、実施例1〜12において、6.9〜9.2質量%であった。したがって、本発明において、原料粉の小麦粉由来のたん白質含有率は、6.5〜10.0質量%が好ましいことが示唆された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、ロール式製麺機を用いて、手延べ麺と同等の高い透明感を有し、口当たりが滑らかで、コシ・弾力が強い食感を有する茹で麺が得られる乾麺を、容易に歩留まり良く製造することができる。


Claims (6)

  1. 小麦粉を含む原料粉、及び水を含む生地を調製し、ロール式製麺機を用いて製麺する工程、及び製麺された麺を乾燥する工程を含む乾麺を製造する方法であって、
    前記原料粉が、前記原料粉の総質量を基準として、10質量%超、50質量%未満のリン酸架橋澱粉を含有し、
    前記生地が、前記原料粉100質量部に対して、0.005〜0.05質量部の有機酸を含有し、前記有機酸の水に対する酸解離定数pKaが4.0〜5.5であることを特徴とする乾麺の製造方法。
  2. 前記リン酸架橋澱粉が、リン酸架橋以外の加工処理がされていないリン酸架橋澱粉である請求項1に記載の乾麺の製造方法。
  3. 前記リン酸架橋澱粉が、馬鈴薯澱粉由来のリン酸架橋澱粉である請求項1又は2に記載の乾麺の製造方法。
  4. 前記有機酸が、アスコルビン酸、及び/又は酢酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の乾麺の製造方法。
  5. 前記原料粉の小麦粉由来のたん白質含有率が、前記原料粉の総質量を基準として6.5〜10.0質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾麺の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項の乾麺の製造方法に用いる生地であるか、又は生地を調製するための製麺用組成物であって、
    小麦粉、及び10質量%超、50質量%未満のリン酸架橋澱粉を含有する原料粉、並びに
    前記原料粉100質量部に対して、0.005〜0.05質量部の有機酸を含有し、前記有機酸の水に対する酸解離定数pKaが4.0〜5.5である製麺用組成物。
JP2016155288A 2016-08-08 2016-08-08 乾麺の製造方法、及びそれに用いる製麺用組成物 Active JP6803697B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016155288A JP6803697B2 (ja) 2016-08-08 2016-08-08 乾麺の製造方法、及びそれに用いる製麺用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016155288A JP6803697B2 (ja) 2016-08-08 2016-08-08 乾麺の製造方法、及びそれに用いる製麺用組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018023285A true JP2018023285A (ja) 2018-02-15
JP6803697B2 JP6803697B2 (ja) 2020-12-23

Family

ID=61193234

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016155288A Active JP6803697B2 (ja) 2016-08-08 2016-08-08 乾麺の製造方法、及びそれに用いる製麺用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6803697B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020009177A1 (ja) * 2018-07-04 2020-01-09 日清フーズ株式会社 麺類の製造方法
JP2020092609A (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 日本製粉株式会社 無塩手延べ乾麺及びその製造方法
JP2020127376A (ja) * 2019-02-07 2020-08-27 日東富士製粉株式会社 麺用穀粉組成物及び麺用組成物

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03143361A (ja) * 1989-10-26 1991-06-18 Matsutani Kagaku Kogyo Kk 麺類の製造法
JPH09285263A (ja) * 1996-04-24 1997-11-04 House Foods Corp 生タイプ包装麺の製造方法
JP2005328785A (ja) * 2004-05-21 2005-12-02 J-Oil Mills Inc 麺類及びその製造方法
JP2010130940A (ja) * 2008-12-04 2010-06-17 Todakyu:Kk 麺類の製造方法およびその製造装置
JP2010172217A (ja) * 2009-01-27 2010-08-12 Nisshin Flour Milling Inc 茹で麺類の製造方法
JP2015002695A (ja) * 2013-06-20 2015-01-08 株式会社日清製粉グループ本社 麺類の製造方法
JP2016067336A (ja) * 2014-10-02 2016-05-09 グリコ栄養食品株式会社 食感改良組成物
JP2016119864A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 サンヨー食品株式会社 乾燥麺及びその製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03143361A (ja) * 1989-10-26 1991-06-18 Matsutani Kagaku Kogyo Kk 麺類の製造法
JPH09285263A (ja) * 1996-04-24 1997-11-04 House Foods Corp 生タイプ包装麺の製造方法
JP2005328785A (ja) * 2004-05-21 2005-12-02 J-Oil Mills Inc 麺類及びその製造方法
JP2010130940A (ja) * 2008-12-04 2010-06-17 Todakyu:Kk 麺類の製造方法およびその製造装置
JP2010172217A (ja) * 2009-01-27 2010-08-12 Nisshin Flour Milling Inc 茹で麺類の製造方法
JP2015002695A (ja) * 2013-06-20 2015-01-08 株式会社日清製粉グループ本社 麺類の製造方法
JP2016067336A (ja) * 2014-10-02 2016-05-09 グリコ栄養食品株式会社 食感改良組成物
JP2016119864A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 サンヨー食品株式会社 乾燥麺及びその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020009177A1 (ja) * 2018-07-04 2020-01-09 日清フーズ株式会社 麺類の製造方法
JP2020092609A (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 日本製粉株式会社 無塩手延べ乾麺及びその製造方法
JP7118874B2 (ja) 2018-12-10 2022-08-16 株式会社ニップン 無塩手延べ乾麺及びその製造方法
JP2020127376A (ja) * 2019-02-07 2020-08-27 日東富士製粉株式会社 麺用穀粉組成物及び麺用組成物
JP7241560B2 (ja) 2019-02-07 2023-03-17 日東富士製粉株式会社 麺用穀粉組成物及び麺用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6803697B2 (ja) 2020-12-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4350932B2 (ja) 調理用増粘剤として有用な同時加工組成物
JP6450130B2 (ja) 食感改良組成物
JP5431607B1 (ja) 麺の製造方法および麺
EP3888473A1 (en) Batter for fried food
JP6803697B2 (ja) 乾麺の製造方法、及びそれに用いる製麺用組成物
JP2019162092A (ja) 麺類用穀粉組成物及び麺類の製造方法
JP2013198420A (ja) 米粉麺
JP6116150B2 (ja) レトルト耐性麺
JP6132544B2 (ja) 人造米
JPH11164660A (ja) 大麦麺の製造方法
JP2018093787A (ja) 豆乳ゲル化食品およびその製造方法
JPWO2017099133A1 (ja) ビーフン様米粉麺類の製造方法
JP5129220B2 (ja) 茹で中華麺類の製造方法
JP4206469B2 (ja) 麺類
JP6483032B2 (ja) 冷凍調理済み麺類およびその製造方法
JP2020058272A (ja) 麺類用ミックス及びそれを用いた麺類の製造方法
JP2019118318A (ja) 麺類の製造方法
JP4908970B2 (ja) 麺類の復元性向上剤
JP6995610B2 (ja) フライ麺類の製造方法およびフライ麺類の吸油を低減させる方法
JP3843050B2 (ja) 麺類
JP6951239B2 (ja) 麺類の製造方法
JP2009136230A (ja) 麺類用品質改良剤
JP2006055024A (ja) 粥類用乾燥米飯
WO2023080068A1 (ja) 水戻し用の即席麺類の製造方法
JP2004357571A (ja) 低カロリー麺類の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6803697

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250