JP2018022016A - 吸音パネル - Google Patents
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Abstract
Description
このような室内音響環境に対しては、以前から改善要求がなされている。
また、ヘルムホルツ共鳴の原理を利用するだけでは、吸音効果が狭い周波数帯域でしか得られないが、会話は案外広い周波数帯域にわたっており、小ブースが複数隣接しており、会話が大きく聞こえるような状況では、できるだけ広い周波数帯域で吸音効果を得たいのが実情である。
従って、パーティションとして利用すれば、ブース内音響対策にも同時に対応できる。
しかも、本発明の吸音パネルによれば、保持プレートの開口の形状や配置、更には開口率を設計パラメータとして、吸音特性を微妙に変えることができるので、室内音響環境をその使用状況に応じて適切に細かく調整できる。従って、会議室等だけでなく、オーディオルームや音楽室でも音響設計に積極的に活用できると期待される。
この吸音パネル1は、積層構造になっており、中間は多孔質型吸音シート3になっている。この多孔質型吸音シート3は、多孔質型吸音材、例えば、フェルト、布、グラスウール、ロックウール等の繊維材料や発泡材料により構成されている。音波をこれらの材料に透過させると、細孔中の空気の運動に対して摩擦抵抗が働き、音のエネルギーの一部が熱のエネルギーに変換されて吸音効果が生ずると言われており、従来から、剛性の壁面や天井面に貼着して音漏れを防止する意味での防音対策に利用されているものを、本発明でも構成要素の一つとして利用している。
保持プレート5、9のプレート厚さと共に、スリット孔7、11の大きさ、すなわち長さ寸法や幅寸法、開口率、更に配置間隔は開口の設計パラメータになっており、吸音特性に影響を与えている。
この吸音パネル1の場合には、スリット孔7、11のスリット幅wは同じであるが、長さ寸法はスリット孔7の方が大きく、その分だけ保持プレート5の上下縁近くまで延びている。また、スリット孔7、7の隣り合う間隔、すなわちスリット間隔d1はスリット11、11のスリット間隔d2よりも狭く、d1:d2=1:3の関係になっている。また、スリット間隔d1はスリット幅寸法wと同じになっている。
すなわち、保持プレート5側から吸音される吸音機構として、「スリット孔7→多孔質型吸音シート3→保持プレート9(剛壁)」が構築され、保持プレート9側から吸音される吸音機構として、「スリット孔11→多孔質型吸音シート3→保持プレート5(剛壁)」が構築されている。
また、多孔質型吸音シート3は必ず保持プレート5、9のいずれかに固着されていることから、保持プレート5から保持プレート9側へ、またはその反対側への音波の通り抜けは規制されている。
吸音の仕組みは複雑であり、スリット孔7、11と多孔質型吸音シート3を設けることで、ヘルムホルツ共鳴型と多孔質型の二つの吸音機構が発現するが、これらは単純に総和されるのではなく、複雑に影響し合っているとしか思われない試験結果が得られている。
吸着機構を保持プレート5と保持プレート9の両面側から吸音させる両面型とする際に、保持プレート9側の吸音機構の剛壁として保持プレート5のプレート面を利用し、保持プレート5側の吸音機構の剛壁として保持プレート9のプレート面を利用することで三層化しており、パネルとしての形状保持は二つの保持プレート5、9で担っているので、各保持プレート5、9は薄くて済む。従って、薄肉化及び軽量化の要求も当然に満たしている。
この吸音パネル17では、保持プレート19、21共に、上下方向に長い矩形のスリット孔23が形成されている。スリット孔23は多数並列した状態で配置されている。保持プレート19側も保持プレート21側もスリット孔23は同じ設計になっており、その幅寸法とスリット間隔は同じになっている。スリット孔23は同じ上下方向の列で上下方向にスペーサ25の部分をあけて複数配置されているが、横方向に隣り合う列とはスペーサ25の上下端がずれている。すなわち、隣り合う列のスペーサ25、25、……は斜め方向に連なるように配置されており、スリット孔23、23、……を筋交い状に斜めに分断している。この筋交い状になったスペーサ25、25、……の斜め方向の列は互いに平行に3つ形成されている。
このスペーサ25の配置により、大判の保持プレート19、21が補強されており、安定的に立っていられるようになっている。
保持プレート19側のスリット孔23、23、……は保持プレート21側のスリット孔23、23、……と、多孔質型吸音材3を介して互い違いに配置されているので、二つの保持プレート19、21の両面側から吸音可能になっている。
全てのパネルは、全体のサイズが同じになっており、多孔質型吸音シート(フェルト)3が使用されている。保持プレートは全てヒノキ材で、板厚は20mmになっている。
パネル(A)は、図1に示すものであり、多孔質型吸音シート3が、保持プレート5、9に固着されて三層化されている。保持プレート5のスリット孔7のスリット幅wは20mm、スリット間隔d1は20mmになっている。保持プレート9のスリット孔11のスリット幅wは20mm、スリット間隔d2は60mmになっている。
パネル(B)は、多孔質型吸音シート3が、保持プレート5、27に固着されている。この保持プレート27には、スリット孔は形成されていない。
パネル(D)は、多孔質型吸音シート3が、保持プレート5に固着されている。これだけは二層タイプになっている。
図4は吸音試験の結果を示すグラフである。吸音率0.8以上を有効範囲とすると、パネル(A)、(B)、(C)は、会話音の周波数帯域で吸音効果を有することが確認されたが、そのうち、特に、パネル(A)、(C)で帯域が広げられたことが確認された。
また、パネル(A)とパネル(C)とを比較すると、パネル(A)は低い周波数帯域側に、パネル(C)は高い周波数帯域側にそれぞれ広がっていることが確認された。
上記の結果から、本発明の吸音パネルは、両面吸音型であり、広い周波数帯域にわたって吸音効果を有するだけでなく、その周波数帯域も調整できることが実証された。
7…スリット孔 9…保持プレート 11…スリット孔
13…パーティション 15…脚部 17…吸音パネル
19、21…保持プレート 23…スリット孔 25…スペーサ
Claims (5)
- 多孔質型吸音シートと、前記吸音シートの両面にそれぞれ固着された、多数の開口を有する剛性の保持プレートとで構成され、一方の面側に設けられた保持プレートの開口は、前記吸音シートを介して他方の面側に設けられた保持プレートのプレート面により閉塞され、前記他方の面側に設けられた保持プレートの開口は、前記吸音シートを介して前記一方の面側に設けられた保持プレートのプレート面により閉塞されていることを特徴とする両面型吸音パネル。
- 請求項1に記載した吸音パネルにおいて、
保持プレートの開口がスリット孔になっていることを特徴とする吸音パネル。 - 請求項1または2に記載した吸音パネルにおいて、
吸音シートはフェルト等の繊維材料で構成されていることを特徴とする吸音パネル。 - 請求項1から3のいずれかに記載した吸音パネルにおいて、
保持プレートが木材や木質材によって形成されていることを特徴とする吸音パネル。 - 請求項1から4のいずれかに記載した吸音パネルを本体として利用したことを特徴とするパーティション。
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