JP2018016714A - 接着材料、圧着印刷物製造用シート、圧着印刷物製造用シートの製造方法、圧着印刷物、圧着印刷物の製造方法、及び、圧着印刷物製造装置 - Google Patents

接着材料、圧着印刷物製造用シート、圧着印刷物製造用シートの製造方法、圧着印刷物、圧着印刷物の製造方法、及び、圧着印刷物製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された接着材料の提供。また、上記接着材料を使用した圧着印刷物製造用シート、圧着印刷物、圧着印刷物の製造方法、及び、圧着印刷物の製造装置の提供。【解決手段】下記式1を満たす接着材料。式1:20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)式1において、T(1MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度を表す。【選択図】図1

Description

本発明は、接着材料、圧着印刷物製造用シート、圧着印刷物製造用シートの製造方法、圧着印刷物、圧着印刷物の製造方法、及び、圧着印刷物製造装置に関する。
はがきサイズの圧着印刷物は、圧着はがきと呼ばれている。圧着はがきは、通常の郵便はがきと同じ料金で利用される。このため、圧着はがきは、封書に代わって利用され、隠蔽された記載内容が剥離により閲覧可能となる。圧着はがきは、記載事項を隠蔽して配達され、名宛人が隠蔽されたシートを剥離して、記載事項を判読する。圧着はがきにより、封書に代わり、親展文書がはがきの形式で使用される。従来の技術として、圧着はがきの二つ折りにする内部に文字情報を印字した後に圧着して投函用はがきを完成させるために、液状の接着剤を塗布したり、粘着シートを挟み込んだりしている。
特許文献1には、シートに粉体接着剤を電子写真方式による転写により塗布して、該粉体接着剤を塗布された秘匿情報印刷面を圧着する圧着印刷物作製装置であって、前記シートの裏面にトナーによる秘匿情報を転写する第1の画像形成ユニットと、該第1の画像形成ユニットによる前記シートの前記秘匿情報の転写面に粉体接着剤を転写する第2の画像形成ユニットと、前記シートに前記秘匿情報を定着すると共に前記粉体接着剤を仮定着する第1の加熱加圧装置と、前記秘匿情報を定着され前記粉体接着剤を仮定着された前記シートを反転搬送する搬送機構と、反転された前記シートの表面に宛名や差出人等の可変情報を転写する第3の画像形成ユニットと、該第3の画像形成ユニットにより転写された前記可変情報を前記シートの表面に定着する第2の加熱加圧装置と、前記シートの前記粉体接着剤を仮定着された裏面を中央部から谷折りする第1の折り装置と、該第1の折り装置により谷折りされた前記シートの裏面の前記粉体接着剤の仮定着面を熱と圧力により本定着して圧着させる第3の加熱加圧装置と、を備えて、投函可能状態の二つ折り圧着印刷物を作製することを特徴とする圧着印刷物作製装置が記載されている。
特許文献2には、基材の表面に粘着層を形成する粘着層の形成方法であって、加圧されることにより剥離可能かつ再粘着困難に粘着する性質を有し、かつ帯電性を有する粘着剤を含有するトナーを、感光ドラムを用いる静電印刷法により、前記基材の表面に吸着させ、光又は熱により前記基材上に定着させることを特徴とする粘着層の形成方法が記載されている。
特許文献3には、画像部を形成する有色トナー画像と接着部を形成する接着トナー画像とを作像して記録媒体に前記各画像を転写及び定着する画像形成手段と、前記記録媒体に作像された前記接着トナー画像を接着させる接着手段とを有する画像形成装置において、前記画像部の前記有色トナー画像上に前記接着トナー画像を形成することを特徴とする画像形成装置が記載されている。
特許文献4には、支持体上に、結着樹脂及び着色剤を含有する着色トナーにより画像層を形成する工程、前記画像層の上に、結着樹脂及び離型剤を含有する透明トナーにより透明層を形成する工程、並びに、前記透明層の上に剥離可能な圧着層を形成する工程を含有し、前記透明層が前記画像層よりも大きな硬度を有することを特徴とする画像形成方法が記載されている。
特許文献5には、炭化水素系樹脂を主成分として含むことを特徴とする圧着はがき用接着剤が記載されている。
特開2008−155412号公報 特開平09−104849号公報 特開2014−002366号公報 特開2014−186055号公報 特開2007−045861号公報
本発明が解決しようとする課題は、後述する式(1)を満たし、かつ剥離剤を含まない接着材料を用いた場合に比べ、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された接着材料を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。すなわち、
請求項1に係る発明は、
結着樹脂、及び、剥離剤を含有し、下記式(1)を満たす接着材料である。
式1:20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)
式1において、T(1MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力1MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力10MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表す。
請求項2に係る発明は、
圧着印刷物製造用接着材料である請求項1に記載の接着材料である。
請求項3に係る発明は、
前記剥離剤が、天然ゴム又はテルペン樹脂を少なくとも含む請求項1又は請求項2に記載の接着材料である。
請求項4に係る発明は、
基材と、前記基材上に配置された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料と、を有する圧着印刷物製造用シートである。
請求項5に係る発明は、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料を、基材上に配置する配置工程を含む圧着印刷物製造用シートの製造方法である。
請求項6に係る発明は、
折り曲げられた基材と、前記折り曲げられた基材の内側に配置された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料と、を有する圧着印刷物である。
請求項7に係る発明は、
2つの基材と、前記2つの基材の間に配置された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料と、を有する圧着印刷物である。
請求項8に係る発明は、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料を、基材上に配置する配置工程、及び、前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着工程を含む圧着印刷物の製造方法である。
請求項9に係る発明は、
前記配置工程が、電子写真方式により、前記接着材料を基材上に配置する配置工程である、請求項8に記載の圧着印刷物の製造方法である。
請求項10に係る発明は、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料を収納し、前記接着材料を基材上に配置する配置手段、及び、前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着手段を含む圧着印刷物製造装置である。
請求項11に係る発明は、
前記配置手段が、電子写真方式により、前記接着材料を基材上に配置する配置手段である、請求項10に記載の圧着印刷物製造装置である。
請求項1、請求項2又は請求項3に係る発明によれば、前記式(1)を満たし、かつ剥離剤を含まない接着材料を用いた場合に比べ、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された接着材料を提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、前記式(1)を満たし、かつ剥離剤を含まない接着材料を用いた場合に比べ、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された圧着印刷物製造用シートを提供することができる。
請求項5に係る発明によれば、前記式(1)を満たし、かつ剥離剤を含まない接着材料を用いた場合に比べ、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された圧着印刷物製造用シートの製造方法を提供することができる。
請求項6又は請求項7に係る発明によれば、前記式(1)を満たし、かつ剥離剤を含まない接着材料を用いた場合に比べ、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された圧着印刷物を提供することができる。
請求項8又は請求項9に係る発明によれば、前記式(1)を満たし、かつ剥離剤を含まない接着材料を用いた場合に比べ、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された圧着印刷物の製造方法を提供することができる。
請求項10又は請求項11に係る発明によれば、前記式(1)を満たし、かつ剥離剤を含まない接着材料を用いた場合に比べ、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された圧着印刷物製造装置を提供することができる。
圧着前の3つ折りの圧着はがき製造用基材の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る圧着印刷物製造装置の一例を表す概略図である。 図2に示した接着材料配置装置211として使用される、画像形成装置の一例を表す概略図である
以下、本実施形態について詳細に説明する。
(接着材料)
本実施形態に係る接着材料は、結着樹脂、及び、剥離剤を含有し、下記式(1)を満たす。
式1:20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)
式1において、T(1MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力1MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力10MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表す。
従来の前記式(1)を満たさない接着材料を用いて基材を接着する場合、接着材料を基材ごと加熱する必要がある。それに対し、本実施形態の接着材料は、基材を接着する場合に、圧力により接着する(圧着するともいう)。すなわち、本実施形態の接着材料は、圧着時における基材への加熱量を減少させて圧着する、又は、全く加熱せずに圧着することから、従来の接着材料に比して、接着時の省エネルギー性、接着にかかるコスト、接着速度、及び、圧着印刷物の生産量に優れる。
本実施形態において、圧着印刷物とは、折り曲げられた基材を接着して形成された印刷物、又は、2以上の基材を接着して形成された印刷物をいう。
上記圧着印刷物としては、特に限定されないが、例えば、はがきサイズの圧着印刷物(以下、「圧着はがき」ともいう)が挙げられる。
圧着はがきは、通常の郵便はがきと同じ料金で利用される。このため、圧着はがきは、封書に代わって利用され、隠蔽された記載内容が剥離により閲覧可能となる。圧着はがきは、記載事項を隠蔽して配達される。配達後、名宛人は隠蔽されたシートを剥離して、記載事項を判読する。圧着はがきを使用することにより、封書に代わり、親展文書がはがきの形式で使用される。従来の技術として、圧着はがきの二つ折りにする内部に文字情報を印字した後に圧着して投函用はがきを完成させるために、液状の接着材料を塗布する、粘着シートを挟み込む等の方法が使用されている。
圧着印刷物の製造において、文字情報等の印字前に接着材料を配置することを「先糊方式」、印字後に接着材料を配置することを「後糊方式」ともいう。
既存の圧着はがきについて、以下の点が挙げられる。
従来の圧着はがき用紙には、一般的には3か月乃至6か月の消費期限がある。
先糊方式においては、印字率が増大した場合に接着力が低下するため、印刷領域に制限がある。
また、先糊方式においては、画像形成時に、基材から脱離した糊により、画像形成装置や形成された画像が汚染されてしまう場合がある。
保管状況や湿度の大幅な変化に応じて、接着力が大きく変化してしまう場合がある。
先糊、後糊方式により製造された圧着はがきにおける、糊の存在箇所における画像は、糊が存在しない場合の画像と比較して、画像光沢が劣る。
後糊方式は、大がかりな設備と高度な技術を要し、高額な設備投資が必要である。
接着面の間に圧着用特殊フィルムを挟んで熱を与えながら圧着加工するフィルム圧着方式や、接着面にUV(紫外光)硬化性ニスを塗布し、UVを照射し硬化して熱を与えながら圧着加工するUVニス方式は、熱を使って圧着するため、圧着に時間がかかる。
フィルム圧着方式やUVニス方式の圧着に使用されるメールシーラーは高価である。
フィルム圧着方式は、フィルムを使用するため、運用コストが他の方式と比較して高い。
UVニス方式は、大掛かりなUVニス塗布装置が更に必要であり、コストの面から、少量多品種の生産には不向きである。
従来の接着剤、特に粉体接着剤(以下「トナー接着剤」ともいう)を用いた方式は、そのほとんどが熱エネルギーによりトナー接着剤を溶融して圧力を併用して圧着する方式である。
例えば、圧着はがきの製造において、二つ折り又は三つ折りのはがきの合わせ面にある接着材料を熱ローラ装置等により熱圧着しようとする場合、熱エネルギーははがきを介して接着材料に熱伝導することになる。はがきの熱伝導率は小さいため熱抵抗体として作用するので、接着材料を溶融するには表面の接着材料を溶融するより長い加熱時間が必要になる。このため圧着処理速度が低下してしまう。はがきを介して接着材料を熱溶融する場合には、はがき表面の接着材料を溶融する場合に比較して、通常であれば5乃至10倍長い加熱時間が必要になり、それによって処理速度は1/5乃至1/10まで低下してしまう。また、はがきに熱エネルギーが与えられるためはがきがカール等の変形が生じたり、はがき表面に予めトナーによる画像が記録されている場合には、表面のトナーが溶解してしまい、ホットオフセット(高温オフセット)を発生してしまう場合がある。
前記式(1)を満たす接着材料を使用した場合には、圧着時における基材の加熱量を減少させて圧着する、又は、全く加熱せずに圧着することから、上記ホットオフセットの発生が抑制される。
また、前記式(1)を満たす接着材料を配置及び圧着するために使用される装置は、従来の大がかりな後糊塗布装置やUVニス塗布装置と比べ、比較的小型の装置が用いられる。例えば、接着材料として、後述するトナーを使用する場合には、前記装置として小型のトナー形成ユニットが用いられ、装置の小型化が実現される。従来の装置においては、排気設備などの大掛かりな設備が必要なため、使用者は印刷業者や専門業者に限られていた。一方、本実施形態に係る接着材料を配置及び圧着するために使用される装置であれば、オフィス内に設置して利用され、装置の操作を専任で行う人間も必要なくなるといった利点を有する。
前記式(1)を満たす接着材料は、基材として、あらかじめ糊が塗布された専用紙ではなく、普通紙や特殊の基材が利用される。特に、本実施形態に係る接着材料は、従来の接着材料と比較して、接着時の基材の加熱量を低減し、又は、全く熱をかけずに圧力の作用により圧着するため、耐熱性の劣る樹脂フィルムなどにも利用される。
更に、前記式(1)を満たす接着材料は、環境変化に対して安定であるため、従来の接着材料と比較して接着力が湿度に影響されにくく、環境安定性が高い。更に、従来の接着材料と比較して、消費期限が長い。
加えて、前記式(1)を満たす接着材料は、接着時の基材の加熱量を低減し、又は、熱を全くかけずに、圧力により圧着するため、従来の熱を併用する方式に比較して、省エネルギー化と生産の高速化(生産量の増化)が実現される。
以上のように、前記式(1)を満たす接着材料は、従来の前記はがき圧着方式と比較して、高速、低コスト、高画質、かつ、オンデマンド印刷(掲載情報が異なる印刷)を少数部から大量までの印刷を実現できる方式を提案するものである。
一方、例えば、搬送するとき等における圧着印刷物の剥がれをより抑制するために、前記式(1)を満たす接着材料を用いた圧着印刷物の製造時に過度な圧力で圧着した場合、圧着印刷物を剥離すると、印刷された画像部の一部が剥がれ、欠損してしまう場合が見られた。
本実施形態に係る接着材料では、剥離剤を含むことで、過度な圧力で圧着したときでも得られる圧着印刷物を剥離した際の画像部の剥がれが抑制された接着材料が実現される。その理由は、次の通り推測される。
本実施形態に係る接着材料は、剥離剤を含むことにより、圧着された接着材料層の柔軟性が増加し、また、得られた圧着印刷物は接着材料と印字面との接着力が十分でありながら剥離性にも優れる。
本実施形態に係る接着材料は、前記柔軟性及び前記剥離性の相乗効果により、圧着印刷物の製造時に過度な圧力で圧着した場合であっても、接着材料により圧着されていた画像部分における画像を欠損することなく圧着された基材が剥離される。
以下、本実施形態に係る接着材料の詳細について説明する。
本実施形態に係る接着材料は、圧着印刷物製造用接着材料に好適に用いられる。
代表的な本実施形態に係る圧着印刷物の製造方法の一実施形態を下記1乃至4に記載する。
1.画像が記録された基材に圧着糊として画像部及び非画像部の表面に接着材料を電子写真方式により配置する。
2.配置された接着材料を圧力により仮定着する。(接着材料が圧力の作用で流動合体し、接着材料層が形成される)
3.接着材料層が形成された面を内側になるように、基材を折り曲げる。
4.折り曲げた基材を、圧着装置を用い圧力だけの作用により圧着する。(接着材料層は再び圧力の作用により流動合体して圧着される)
<剥離剤>
本実施形態に係る接着材料は、剥離剤を含有する。
剥離剤としては、天然ゴム及びテルペン系樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂が好ましく挙げられる。剥離剤は、接着層の改質を行うために用いられ、主に接着層・部位の柔軟性や粘着度合いを適宜調整するのに用いられる。例えば、剥離剤を混合させることにより、接着材料のみの場合に比較して可塑化されるため、紙の接着部分の柔軟性が増し、接着剤のみのときと比べて、紙からの剥離性・剥離しやすさが向上する。
また、剥離剤としては、樹脂剥離剤が好ましく、具体的には、天然ゴム、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂及びその水添物、スチレン系樹脂、並びに、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体等がより好ましく挙げられる。
これらの中でも、剥離力、及び、剥離箇所の画像欠損抑制性の観点から、天然ゴム又はテルペン樹脂を少なくとも含むことが好ましく、テルペン樹脂を少なくとも含むことが特に好ましい。
具体的には、天然ゴムやテルペン系樹脂を基材として、これに適宜ポリマーにより改質した材料、ラテックスが用いられる。例えば、天然ゴムにメチルメタクリレートをグラフト重合することにより改質された、(株)レヂテックス製のMGシリーズや、テルペン樹脂を天然ゴムやスチレン系エラストマーに配合されたヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPCやYSレジンPXN、あるいは、荒川化学工業(株)製のレジンエステルを用いたスーパーエステルEシリーズ、NSシリーズなどが挙げられる。
本実施形態に係る接着材料中における剥離剤の形状は、特に制限はなく、粒子状で含有されていても、結着樹脂中に海島構造の島状に含有されていても、結着樹脂と相溶した状態で含有されていても、これらが混在した状態で含有されていてもよい。
また、本実施形態に係る接着材料が後述するコア/シェル構造を有する接着材料粒子である場合、剥離剤をコアに含有していても、シェルに含有していても、その両方に含有していてもよいが、コアに含有していることが好ましい。
剥離剤は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
剥離剤の含有量は、剥離力、及び、剥離箇所の画像欠損抑制性の観点から、接着材料の全質量に対し、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。
<圧力に対する可塑挙動>
本実施形態に係る接着材料は、下記式(1)を満たし、加熱していない状態においても圧力に対し可塑挙動を示し、定められた圧力以上の加圧下において流動性を示す。
式1:20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)
式1において、T(1MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力1MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力10MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表す。
T(1MPa)−T(10MPa)で表される温度差(以下「温度差ΔT」とも称す)は、20℃以上であり、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、60℃以上120℃以下が更に好ましい。温度差ΔTが20℃以上であれば、圧力に対する可塑挙動が十分となり優れた圧着性能が発揮される。
また、温度差ΔTは、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。温度差ΔTが120℃以下であることにより、接着材料が柔らかくなりすぎず、接着材料が配置された箇所から脱落又は移動してしまうことが抑制される。
T(10MPa)の値は、140℃以下であることが好ましく、130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。T(10MPa)の値が140℃以下であれば、通常の圧力付与手段を用いて、接着時の基材の加熱量を低減し、又は、加熱を行わずに圧力のみにより接着することが容易となる。
また、T(10MPa)の値は、60℃以上であることが好ましく、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。T(10MPa)の値が60℃以上であれば、接着後の接着材料が硬化し、接着力に優れる。
温度差ΔTの測定は、フローテスターを用いた方法により行う。フローテスターとしては、例えば、(株)島津製作所製フローテスターCFT−500が挙げられる。
温度差ΔTの具体的な測定方法は、下記の通りである。
接着材料を圧縮固化してペレット状の試料を作製する。作製した試料をフローテスターにセットして、測定温度を50℃以上150℃以下の範囲で50℃から徐々に加熱し(+1℃/minの昇温速度)、定められた押し出し圧力を印加した条件下で、試料の粘度を測定する。印加圧力を1MPaに固定して、1MPaにおける温度に対する粘度を測定する。得られた粘度のグラフから、印加圧力1MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度T(1MPa)を決定する。印加圧力1MPaを10MPaとした以外は、T(1MPa)と同様の方法により、T(10MPa)を決定する。得られたT(1MPa)及びT(10MPa)から差をとり温度差ΔT(T(1MPa)−T(10MPa))を算出する。
本実施形態に係る接着材料は、基材への塗布性の観点から、粒子状であることが好ましい。
本実施形態に係る接着材料は、接着材料を溶媒に分散した接着材料分散液として基材に配置してもよいし、粒子状の接着材料を溶媒を用いずに基材に配置してもよい。
また、本実施形態に係る接着材料は、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)であることが好ましい。
接着材料を接着材料分散液として基材に配置する場合、接着材料を分散する溶媒としては、特に限定されず、公知の溶媒を使用することが可能であるが、乾燥のしやすさ、及び、接着材料の溶解度の低さの観点から、水が好ましい。
また、接着材料を接着材料分散液として基材に配置する場合、接着材料の体積平均粒径は、1μm以上50μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上25μm以下が更に好ましい。
上記体積平均粒径は、後述する、接着材料が静電荷像現像用トナーである場合と同様の方法により測定する。
本実施形態に係る接着材料が静電荷像現像用トナーである場合には、基材への塗布を電子写真方式により行うことが可能となるため、接着材料の基材上への配置位置を目的に応じて詳細に設計することが容易になる。
上記トナーとしては粒子状の接着材料をそのまま用いたものであってもよく、また粒子状の接着材料に対し更に外添剤を添加した外添トナーであってもよい。本実施形態における粒子状の接着材料を、「接着材料粒子」ともいい、本実施形態における接着材料がトナーである場合の接着材料粒子を、特に「トナー粒子」ともいう。
<結着樹脂>
本実施形態に係る接着材料に用いられる結着樹脂としては、接着材料として前記式(1)を満たすものであれば、特に制限はなく、圧力に対する可塑挙動を示す公知の樹脂が用いられるが、バロプラスチックを含む樹脂であることが好ましい。
以下に、本実施形態に用いられるバロプラスチックについて、好ましい2形態を挙げて説明する。
<<バロプラスチック>>
〔第1の実施形態〕
本実施形態に係る接着材料は、圧力が印加された際に可塑挙動を示しやすい観点から、ガラス転移温度(Tg)が異なる2種の樹脂(「結着樹脂」ともいう。)を少なくとも含むことが好ましい。本実施形態に係る接着材料が、前記2種の樹脂を少なくとも含む場合、接着材料は相分離構造を形成しやすくなる。そのため、前記接着材料は定められた圧力以上の加圧下において流動性を示しやすくなり、優れた圧力定着性能が発揮されやすくなる、と考えられる。
本実施形態に係る接着材料が3種以上の樹脂を含む場合、3種以上の樹脂のうち、少なくとも2種の樹脂の、ガラス転移温度が異なればよい。
本実施形態に係る接着材料は、2種の樹脂のガラス転移温度が、30℃以上異なることが好ましく、35℃以上異なることがより好ましい。2種の樹脂のガラス転移温度が30℃以上異なると、これら2種の樹脂を含む接着材料はより低圧力で定着させやすくなる。
本実施形態に係る接着材料は、3種以上の樹脂を含んでもよく、その場合、そのうちの2種が上記関係にあることが好ましい。
前記2種の樹脂のうち、2種の樹脂の合計質量に対する、ガラス転移温度が高い樹脂の含有量は、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましく、20質量%以上50質量%以下が更に好ましい。ガラス転移温度が高い樹脂の含有量が5質量%以上70質量%以下であると、低圧力における圧着が行いやすい。
本実施形態に係る接着材料が3種以上の複数の樹脂を含む場合、3種以上の複数の樹脂の合計質量に対する、前記2種の樹脂の含有量は、80質量%以上99質量%以下がよく、85質量%以上95質量%以下が好ましく、85質量%以上95質量%以下がより好ましい。前記2種の樹脂の含有量が80質量%以上99質量%以下であると、低圧力における接着が行いやすい。
ガラス転移温度が異なる2種の樹脂の少なくとも一方は、ガラス転移温度が40℃以上であることが好ましく、45℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。ガラス転移温度が40℃以上であると、保存安定性に優れた接着材料としやすくなる。
ガラス転移温度が40℃以上である樹脂の含有量は、ガラス転移温度が異なる2種の樹脂の質量に対して、5質量%以上70質量%以下がよく、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい。
上記2種の樹脂のうちガラス転移温度の高い方の当該温度は、40℃以上がよく、40℃以上60℃未満が好ましく、40℃以上55℃未満がより好ましい。当該温度が60℃未満であると、常温(機内温度50℃以下)での圧力による圧着を行いやすくなる。
前記2種の樹脂のうちガラス転移温度の低い方の当該温度は、10℃未満がよく、−100℃以上10℃未満が好ましく、−80℃以上10℃未満がより好ましい。当該温度が10℃未満であると、低圧力における定着が行いやすい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、3種以上の複数の樹脂を含んでもよく、その場合、そのうちの2種の樹脂のガラス転移温度が30℃以上異なる関係にあり、その少なくとも一方のガラス転移温度が40℃以上であることが好ましい。
「ガラス転移温度が異なる2種の樹脂」について上述した態様は、「溶融温度が異なる2種の樹脂」、及び、「ガラス転移温度と溶融温度が異なる非晶性樹脂と結晶性樹脂」にも当てはまる場合がある。
ガラス転移温度の制御は主に、樹脂の主鎖中の、芳香環やシクロヘキサン環などの剛直な単位の密度によってし得る。すなわち、主鎖中のメチレン基、エチレン基、オキシエチレン基などの密度が高ければガラス転移温度は低下し、芳香環やシクロヘキサン環などが多くなれば上昇することになる。更には脂肪族などの側鎖の密度を高めると、ガラス転移温度を低下させることになる。これらを考慮することによって、様々なガラス転移温度の樹脂が得られる。
また、溶融温度の制御についても同様に、剛直な単位の密度によりし得る。
以下、前記2種の樹脂が、ガラス転移温度の異なる2種の非晶性樹脂である場合、ガラス転移温度の高い方を「高Tg樹脂」と称し、ガラス転移温度の低い方を「低Tg樹脂」と称して説明する。
前記2種の樹脂が、溶融温度の異なる2種の結晶性樹脂である場合、溶融温度の高い方を「高融点樹脂」と称し、溶融温度が低い方を「低融点樹脂」と称して説明する。
前記2種の樹脂が、ガラス転移温度と溶融温度が異なる非晶性樹脂と結晶性樹脂であり、ガラス転移温度が溶融温度より高い場合、「高Tg樹脂」「低融点樹脂」と称し、ガラス転移温度が融解温度より低い場合、「低Tg樹脂」「高融点樹脂」と称して説明する。
本実施形態に係る接着材料が高Tg樹脂と低Tg樹脂とを含む態様としては、圧力が印加された際に可塑挙動を示しやすい相分離構造を形成しうる態様が好ましい。当該態様としては、例えば、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを両方含む混合物を含む接着材料;高Tg樹脂と低Tg樹脂とが海島構造を形成している樹脂を含む接着材料;高Tg樹脂と低Tg樹脂とがコア/シェル構造を形成する樹脂粒子を含む接着材料;等が挙げられる。
本実施形態に係る接着材料が、高融点樹脂と低融点樹脂とを含む態様、高Tg樹脂と低融点樹脂とを含む態様、及び低Tg樹脂と高融点樹脂とを含む態様である場合も、樹脂の種類を変更した以外は、上述の高Tg樹脂と低Tg樹脂とを含む態様と同様である。
本実施形態に係る接着材料の態様の例を、以下に、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを含む態様を例にして、より詳細に説明する。
高Tg樹脂と低Tg樹脂とを両方含む混合物としては、高Tg樹脂の粒子が分散した樹脂粒子分散液と、低Tg樹脂の粒子が分散した樹脂粒子分散液と、を混合した樹脂粒子分散液;高Tg樹脂を含む粉体と、低Tg樹脂を含む粉体と、を混合した粉体;高Tg樹脂を含む固形物と、低Tg樹脂を含む固形物と、を融解して混合した固形物;等が挙げられる。
高Tg樹脂と低Tg樹脂とが海島構造を形成している樹脂は、海相中に島相が存在する相分離構造を形成する。上記海島構造を形成している樹脂は、高Tg樹脂が海相、低Tg樹脂が島相であってもよいし、高Tg樹脂が島相、低Tg樹脂が海相であってもよいが、高Tg樹脂が海相、低Tg樹脂が島相であることが好ましい。
接着材料中に含まれる樹脂の海島構造は、次に示す方法で確認する。接着材料をエポキシ樹脂に包埋した後、ダイヤモンドナイフ等で切片を作製し、作製した切片をデシケータ内で四酸化オスミウムを用いて染色し、染色された切片を透過型電子顕微鏡にて観察し、樹脂の構造を確認する。ここで、海島構造の海相と島相とは、四酸化オスミウムによる樹脂の染色度合いに起因する濃淡で区別される。
島相の長径は、150nm以下であることが好ましい。高Tg樹脂が海相、低Tg樹脂が島相である場合、島相となる低Tg樹脂相は、微細に分布することが好ましく、かかる場合、島相の直径は150nm以下が好ましく、5nm以上150nm以下がより好ましく、50nm以上140nm以下がより好ましく、100nm以上130nm以下が特に好ましい。島相の直径が150nm以下であると、圧力可塑挙動が十分となりやすく、圧力定着時に定着されやすくなる。島相の直径が5nm以上であると、高Tg樹脂と低Tg樹脂とが混合溶解せずに良好に海島構造を形成しやすくなり、加圧していない常温でも可塑化しているために生じるブロッキングなどが発生しにくくなる。
島相の長径は、以下の方法で算出される。接着材料をエポキシ樹脂に包埋した後、ダイヤモンドナイフ等で切片を作製し、得られた切片を透過型電子顕微鏡で観察する。島相の長径は、切片で観察された島相を100個任意で選択し、ルーゼックス画像解析装置を用いて平均長径を算出することにより算出される。
海相を形成する樹脂の質量に対する、島相を形成する樹脂の質量の比は、0.25以上であることが好ましい。
適切な圧力可塑挙動を発現させるためには、例えば、高Tg樹脂が海相、低Tg樹脂が島相である場合、低Tg樹脂の質量の比は、高Tg樹脂の質量に対して0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい。
また、低Tg樹脂の質量の比は、高Tg樹脂の質量に対して1.5未満であることが好ましい。1.5未満であると、常温における可塑化が発生しにくくなる。
海島構造の形成に用いられる樹脂としては、例えば、付加重合型樹脂、重縮合樹脂がよい。
高Tg樹脂と低Tg樹脂とがコア/シェル構造を形成する樹脂粒子は、芯部(コア粒子)とこの芯部を被覆する被覆層(シェル層)とを有する樹脂粒子である。
バロプラスチックとしては、高Tg樹脂と低Tg樹脂とがコア/シェル構造を形成する樹脂粒子を凝集してなる樹脂が好適に挙げられる。
高Tg樹脂が芯部、低Tg樹脂が被覆層であってもよいし、高Tg樹脂が被覆層、低Tg樹脂が芯部であってもよいが、高Tg樹脂が被覆層、低Tg樹脂が芯部であることが好ましい。
芯部の直径は、10nm以上200nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。被覆層の厚みは、10nm以上100nm以下が好ましく、20nm以上80nm以下が好ましい。
コア/シェル構造は、次に示す方法により確認する。接着材料をエポキシ樹脂に包埋した後、ダイヤモンドナイフ等で切片を作製し、得られた切片を透過型電子顕微鏡で観察して、樹脂粒子の構造を確認する。
コア/シェル構造の形成に用いられる樹脂としては、例えば、付加重合型樹脂、重縮合樹脂がよい。
中でも、前記海島構造、又は、前記コア/シェル構造における高Tg樹脂としては、圧着性及び剥離性の観点から、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及び、スチレン−アクリル樹脂よりなる群から選ばれた樹脂が好ましく、スチレン−アクリル樹脂がより好ましい。前記海島構造、又は、前記コア/シェル構造における低Tg樹脂としては、圧着性及び剥離性の観点から、ポリエステル樹脂、及び、アクリル樹脂よりなる群から選ばれた樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましく、n−ブチルアクリレートの単独重合体及び共重合体、並びに、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体及び共重合体よりなる群から選ばれた樹脂が更に好ましく、n−ブチルアクリレートの単独重合体、又は、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体が特に好ましい。
〔第2の実施形態〕
本実施形態に係る接着材料は、圧力が印加された際に可塑挙動を示しやすい観点から、1分子中に、2つのガラス転移温度を有する樹脂を含むことが好ましい。本実施形態に係る接着材料が、当該樹脂を含む場合、接着材料は相分離構造を形成しやすくなる。そのため、前記接着材料は定められた圧力以上の加圧下において流動性を示しやすくなり、優れた接着性能が発揮されやすくなる、と考えられる。
1分子中に、2つのガラス転移温度を有する樹脂は、接着材料がより低圧力で接着しやすい観点から、2つのガラス転移温度が30℃以上異なることが好ましく、50℃以上異なることがより好ましい。
樹脂が1分子中に2つのガラス転移温度を有する場合、当該樹脂は、ガラス転移温度の異なる樹脂のブロック共重合体又はグラフト共重合体であることが好ましい。この場合、ガラス転移温度が高い方の樹脂に由来するセグメントを「高Tgセグメント」と称し、ガラス転移温度が低い方の樹脂に由来するセグメントを「低Tgセグメント」と称する。
前記樹脂における高Tgセグメントの割合は、5質量%以上70質量%以下がよく、10質量%以上60質量%以下がより好ましい。高Tgセグメントの割合が5質量%以上70質量%以下であると、低圧力における定着が行いやすく、画像の定着度が悪化しにくい。
前記樹脂は、40℃以上のガラス転移温度を有することが好ましく、45℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。ガラス転移温度が40℃以上であると、保存安定性に優れた接着材料としやすくなる。
前記ブロック共重合体は、圧力が印加された際に可塑挙動を示すならば、その構成セグメントの連結形式はいかなるものでも構わない。
前記ブロック共重合体としては、例えば、高TgセグメントをA、低TgセグメントをBとすると、AB型、ABA型、BAB型、(AB)n型、(AB)nA型、B(AB)n型等のブロック共重合体が挙げられる。
前記ブロック共重合体が形成する相分離構造は、構成セグメントの種類及び分子量により、熱力学的に最も安定な構造が存在し、一般的には、Cセグメント、Dセグメントからなる共重合体では、連結形式には依らず、C/D組成比にのみ依存し、C/D比の増加に伴い、Cが球状ドメインでDがマトリックス(C球Dマトリックス)(海島)、Cが棒状ドメインでDがマトリックス(シリンダ)、CとDとが入れ子(ジャイロイド)、C/D交互層(ラメラ)、Dが棒状ドメインでCがマトリックス(シリンダ)、DとCとが入れ子(ジャイロイド)、Dが球状ドメインでCがマトリックス(D球Cマトリックス)(海島)へと系統的に変化する。
しかしながら、湿式法により接着材料を製造する場合には、用いる溶媒及び乾燥速度等により、相分離状態が任意に制御される。例えば、C/D比が大きく熱力学的にはD球Cマトリックスを取る場合でも、溶媒として、Dの良溶媒であり、かつ、Cの貧溶媒である溶媒を選択すれば、C球Dマトリックス構造が得られる。
また、C、D両者の良溶媒を用い、急速に溶媒を除去すると、スピノーダル分解状態で凍結した相分離構造(変調構造)が得られる。また、C/D比が大きく熱力学的にはD球Cマトリックスを取る共重合体に、Dのみと相溶性のある重合体を添加すると、Cが球、D及びDのみと相溶性のある重合体がマトリックスとなる相分離構造も得られる。
前記ブロック共重合体が形成する相分離構造の繰り返し単位のサイズは、ブロック共重合体の分子量の増加に伴い、大きくなる。ブロック共重合体の重量平均分子量は、3,000以上500,000以下がよく、5,000以上400,000以下が好ましく、6,000以上300,000以下がより好ましい。
前記C球Dマトリックス及びD球Cマトリックスは、高Tgセグメントと低Tgセグメントとを有するブロック共重合体が海島構造を形成している樹脂粒子、又はこれを含む組成物を表す。この海島構造は、前述の高Tg樹脂と低Tg樹脂とが形成している海島構造と同様である。
高Tgセグメントと低Tgセグメントとを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体は、コア/シェル構造を形成する樹脂粒子の態様をとりうる。コア/シェル構造は、上述の高Tg樹脂と低Tg樹脂とが形成するコア/シェル構造と同様である。
また、前記ブロック共重合体又はグラフト共重合体がコア/シェル構造を形成する樹脂粒子の製造方法は、例えば、乳化凝集法により芯部となる凝集粒子を作製した後、凝集粒子の表面に単量体を重合させてシェル層を形成して、前記樹脂粒子を製造する方法がある。
前記ブロック共重合体又はグラフト重合体の合成方法としては、" 第4版実験化学講座28 高分子合成(丸善、1992)" 、"マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー、1990)" 、"高分子の相溶化と評価技術(技術情報協会、1992)" 、 "高分子新素材One Point 12 ポリマーアロイ(共立、1988)" 、"Angew. Macromol. Chem., 143, pp.1-9 (1986)"、"日本接着学会誌, 26, pp.112-118 (1990)"、"Macromolecules, 28, pp.4893-4898 (1995)"、"J. Am. Chem. Soc., 111, pp.7641-7643 (1989)"、"特開平6-83077号公報"等の文献に記載されている任意の適当な合成法を用いることがよい。
ブロック共重合体又はグラフト共重合体の合成に用いる樹脂としては、例えば、付加重合型樹脂、重縮合樹脂がよい。
〔樹脂の温度特性〕
樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。また、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。また、樹脂の溶融温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の溶融温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
以下に一例として、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを含む接着材料のガラス転移温度の測定について、接着材料の態様ごとに説明する。
接着材料が、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを両方含む混合物を含む態様である場合、混合する前の高Tg樹脂及び低Tg樹脂のガラス転移温度をそれぞれ測定する。
接着材料が、高Tg樹脂と低Tg樹脂とが海島構造を形成している樹脂を含む態様である場合、海島構造を形成している樹脂を作製する前の、高Tg樹脂及び低Tg樹脂のガラス転移温度を、それぞれ測定する。
接着材料が、高Tg樹脂と低Tg樹脂とがコア/シェル構造を形成している樹脂粒子を含む(好ましくは高Tg樹脂と低Tg樹脂とがコア/シェル構造を形成している樹脂粒子凝集した)態様であり、乳化凝集法で前記樹脂粒子を作製する場合、前記樹脂粒子を作製する前の、高Tg樹脂及び低Tg樹脂のガラス転移温度を、それぞれ測定する。
高融点樹脂と低融点樹脂とを含む接着材料の溶融温度の測定方法も、ガラス転移温度を溶融温度に変更した以外は、高Tg樹脂と低Tg樹脂とを含む接着材料のガラス転移温度の測定方法と同様である。また、高Tg樹脂と低融点樹脂とを含む接着材料等、他の樹脂の組合せの接着材料のガラス転移温度及び溶融温度の測定方法も、上述の測定方法と同様である。
接着材料が、高Tgセグメントと低Tgセグメントとを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体を含むものである場合、接着材料中のブロック共重合体又はグラフト共重合体のDSC測定を行い、得られたDSC曲線から、上記ブロック共重合体又はグラフト共重合体の分子内の高Tgセグメント由来のガラス転移温度と低Tgセグメント由来のガラス転移温度とを決定する。
他の態様のブロック共重合体又はグラフト共重合体を含む接着材料のガラス転移温度又は溶融温度の測定方法についても同様である。
−樹脂−
前記バロプラスチックの原料や後述するコア/シェル構造を有する粒子のシェル層等に好適に用いられる樹脂について説明する。
また、本実施形態に係る接着材料は、前記バロプラスチック以外の樹脂として、後述の樹脂を含有していてもよいが、その含有量は、前記バロプラスチックの含有量未満であることが好ましい。
樹脂としては、例えば、付加重合型樹脂、重縮合樹脂等が挙げられる。
付加重合型樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体である。
付加重合型樹脂を構成する単量体(エチレン性不飽和二重結合を有する単量体)としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィン類などや、β−カルボキシエチルアクリレートが挙げられる。これらの単量体のうち、1種の単量体を重合してなる単独重合体、2種以上の単量体を共重合してなる共重合体、これらの混合物であってもよい。
付加重合型樹脂は、必要に応じて酸性極性基、塩基性極性基、又はアルコール性水酸基を含有してもよい。前記酸性極性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、酸無水物等が挙げられる。
付加重合型樹脂に酸性極性基を含有させるための単量体としては、例えば、カルボキシ基又はスルホン酸基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物等が挙げられる。これらの単量体のうち、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、スルホン化スチレン、アリルスルホコハク酸等が好ましい。
前記塩基性極性基としては、例えば、アミノ基、アミド基、ヒドラジド基等が挙げられる。
付加重合型樹脂に塩基性極性基含有させるための単量体としては、例えば、窒素原子を有する単量体(以下、「含窒素モノマー」ともいう。)が挙げられる。これらの含窒素モノマーのうち、(メタ)アクリル酸アミド化合物、(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物、又は(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物が好ましい。
ここで、上記の「(メタ)アクリル酸」等の表記は、メタクリル酸及びアクリル酸の両方の構造を取り得ることを表す省略的表記である。以下の表記も同様である。
(メタ)アクリル酸アミド化合物としては、例えば、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸メチルアミド、メタクリル酸メチルアミド、アクリル酸ジメチルアミド、アクリル酸ジエチルアミド、アクリル酸フェニルアミド、アクリル酸ベンジルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物としては、例えば、アクリル酸ヒドラジド、メタクリル酸ヒドラジド、アクリル酸メチルヒドラジド、メタクリル酸メチルヒドラジド、アクリル酸ジメチルヒドラジド、アクリル酸フェニルヒドラジド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物は、(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル化合物、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物であってもよい。(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物としては、例えば、アクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル等が挙げられる。
アルコール性水酸基を形成するための単量体としては、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート類が好ましく、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
付加重合型樹脂の重合には連鎖移動剤を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、特に制限はないが、例えば、チオール成分を有する化合物が挙げられる。チオール成分を有する化合物としては、例えば、メルカプタン等が挙げられる。メルカプタンのうち、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましい。
付加重合型樹脂には、架橋剤を添加し、架橋樹脂としてもよい。架橋剤としては、例えば、分子内に2以上のエチレン性不飽和基を有する多官能単量体が挙げられる。
上記多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。これらの架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤のうち、ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類などを用いることが好ましい。
架橋剤の含有量は、付加重合型樹脂を構成する単量体総量の0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。
付加重合型樹脂は、ラジカル重合開始剤を用いて、ラジカル重合により製造してもよい。ラジカル重合用開始剤としては、特に制限はなく、公知のラジカル重合開始剤が挙げられる。
ラジカル重合用開始剤の使用量は、付加重合型樹脂を構成する単量体総量の0.01質量%以上15質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
付加重合型樹脂の重量平均分子量は1,500以上60,000以下であることが好ましく、3,000以上40,000以下であることがより好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して算出する。
重縮合樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂が挙げられる。このポリエステル樹脂は、結晶性でも非晶性でもよい。
ポリエステル樹脂を構成する単量体としては、例えば、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する多価カルボン酸及び1分子中に水酸基を2個以上含有する多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用される多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、グルタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらのジカルボン酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
また、これらカルボン酸のカルボキシ基を酸無水物、混合酸無水物、酸塩化物、又は、エステル等に誘導したものを用いてもよい。これらのジカルボン酸以外の多価カルボン酸のうち、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。これらの多価カルボン酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用される多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、及び、これらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの多価アルコールのうち、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
上記の多価カルボン酸と多価アルコールとを組み合わせて重縮合させることで、所望の結晶性ポリエステル樹脂が得られる。
結晶性ポリステル樹脂としては、例えば、1,9−ノナンジオールと1,10−デカンジカルボン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、シクロヘキサンジオールとアジピン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、エチレングリコールとコハク酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、エチレングリコールとセバシン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂等が挙げられる。
また、上記の多価カルボン酸と多価アルコールは、それぞれ1種ずつ単独で用いても、一方が1種単独で他方が2種以上用いても、それぞれ2種以上ずつ用いてもよい。単量体としてヒドロキシカルボン酸を用いる場合、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよく、多価カルボン酸、多価アルコールを併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂を得るために使用される多価カルボン酸としては、例えば、上記多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
また、前記ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、これらカルボン酸のカルボキシ基を酸無水物、酸塩化物、又は、エステル等に誘導したものを用いてもよい。これらの多価カルボン酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。なお、低級エステルとは、炭素数1以上8以下の脂肪族アルコールのエステルをいう。
非晶性ポリエステル樹脂を得るために使用される多価アルコールとしては、例えば、上記多価アルコールが挙げられる。これらの多価アルコールのうち、特に、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、及び、これらのアルキレンオキサイド付加物等を用いることが好ましい。これらの多価アルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記の重縮合性単量体の組み合わせによって、非晶性樹脂や結晶性樹脂が容易に得られる。
前記多価カルボン酸及び多価アルコールは、1種の重縮合樹脂を作製するために、それぞれ1種ずつを単独で用いても、一方が1種で他方が2種以上用いても、それぞれ2種以上ずつを用いてもよい。また、1種の重縮合樹脂を作製するためヒドロキシカルボン酸を用いる場合、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、多価カルボン酸や多価アルコールを併用してもよい。
重縮合樹脂の重量平均分子量は1,500以上60,000以下であることが好ましく、3,000以上40,000以下がより好ましい。また、単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって枝分かれや架橋などを有していてもよい。
<着色剤>
本実施形態に係る接着材料は、画像が形成された基材上に接着材料を配置した後に、画像の視認が可能となるという観点からは、着色剤を含有しないことが好ましい。上記態様における着色剤の含有量は、接着材料の全質量に対し、1質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましく、0.01質量%未満であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
また、本実施形態の接着材料は、接着材料を基材上に配置した後に、配置位置が視認可能であるという観点から、着色剤を含有することが好ましい。上記態様における着色剤の含有量としては、例えば、接着材料の全質量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
<離型剤>
本実施形態の接着材料は、離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、接着材料の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
<その他の添加剤>
本実施形態に係る接着材料は、その他の添加剤を含有してもよい。特に、本実施形態に係る接着材料が静電荷像現像用トナーである場合、その他の添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の添加剤が挙げられる。これらの添加剤としては、静電荷像現像用トナーに含まれる内添剤として公知のものが使用可能である。
<接着材料粒子の特性等>
接着材料粒子は、単層構造の接着材料粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された、所謂コア/シェル構造を有する接着材料粒子であってもよい。
ここで、コア/シェル構造を有する接着材料粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて着色剤、離型剤、及び、その他添加剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種と、を含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、により構成されていることがよい。
前記バロプラスチックは、コア又はシェルのみに有していても、コア及びシェルの両方に有していてもよいが、コアのみ、又は、コア及びシェルの両方に有していることが好ましい。
接着材料粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、接着材料粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50,000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p1/2として算出される。
接着材料粒子の形状係数SF1としては、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLは接着材料粒子の絶対最大長、Aは接着材料粒子の投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
<外添剤>
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子としては、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることが好ましい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、接着材料の全質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(接着材料の製造方法)
本実施形態に係る接着材料の製造方法は特に限定されないが、公知である混練粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や溶解懸濁法、懸濁重合法、又は、PxP法等の湿式法等によって作製してよい。これらの方法の中でも、接着材料の構造、平均粒径、粒径分布などを制御しやすいという観点から、乳化凝集法や溶解懸濁法、懸濁重合法、又は、PxP法等のいわゆるケミカル製法であることが好ましく、乳化凝集法及び溶解懸濁法がより好ましい。
以下、代表的な製法として、乳化凝集法及び溶解懸濁法について説明する。
<乳化凝集法>
本実施形態において乳化凝集法は、接着材料を構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)を形成する乳化工程と、該樹脂粒子を含む凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程と、を有してもよい。
〔乳化工程〕
例えば樹脂粒子分散液の作製は、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。
更に、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
本実施形態においては、乳化工程に用いられる結着樹脂として、前述のバロプラスチックを用いることが好ましい。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水であることが好ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒径(体積平均粒径)は1.0μm以下が好ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより好ましく、更に好ましくは150nm以上250nm以下の範囲である。60nm未満では、樹脂粒子が分散液中で安定な粒子となるため、該樹脂粒子の凝集が困難となる場合がある。また1.0μmを超えると、樹脂粒子の凝集性が向上し接着材料粒子を作製することが容易となるが、接着材料粒子の粒径分布が広がってしまう場合がある。
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。上記処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。好ましく無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が好ましい。上記離型剤分散液は乳化凝集法に用いられるが、接着材料を懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
分散処理により、体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より好ましい離型剤粒子の体積平均粒径は100nm以上500nm以下である。
体積平均粒径が100nm以上であることにより、使用される結着樹脂の特性にも影響されるものの、一般的に離型剤成分が接着材料中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下であることで、接着材料中の離型剤の分散状態が良好となる。
着色剤分散液の調製は、公知の分散方法が利用でき、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段を採用することができ、なんら制限されるものではない。着色剤は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散される。分散させた着色剤粒子の体積平均粒径は1μm以下であればよいが、80nm以上500nm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなく、かつ、接着材料中の着色剤の分散が良好で好ましい。
〔凝集工程〕
前記凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、剥離剤(又はその分散液)、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。pHとしては、2以上7以下の範囲が好ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液と共に一度に添加及び混合してもよいし、複数回に分割して添加してもよい。
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには好ましい。
〔融合工程〕
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
乾燥工程としては、例えば気流乾燥装置を用いる方法が挙げられ、例えばフラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理や、流動床(Fluid Bed)による処理等が挙げられる。特に、フラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理の場合、気流温度(入口気流温度)を30℃以上70℃以下(より好ましくは40℃以上60℃以下)に設定することが好ましい。
〔外添工程〕
得られた接着材料粒子には、流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外添剤としては、上述の公知の粒子が使用される。
これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させることが可能となる。接着材料粒子に上記成分を外添することにより、トナーである本実施形態の接着材料が得られる。
<溶解懸濁法>
本実施形態において溶解懸濁法は、有機溶剤中に少なくとも結着樹脂及び剥離剤を含む接着材料成分を溶解又は分散させて油相を調製する油相調製工程と、該油相成分を水相中で懸濁造粒する造粒工程と、溶媒を除去する溶媒除去工程と、を有してもよい。
〔油相調製工程〕
溶解懸濁法では、まず、上記の少なくとも結着樹脂及び剥離剤を含む接着材料成分を有機溶剤中に溶解又は分散させて油相を調製する。
本実施形態においては、上記結着樹脂として、前述のバロプラスチックを用いることが好ましい。
用いられる有機溶剤は、結着樹脂の種類に依存するが、一般に、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールエーテル、テトラヒドロフラン等のアルコール又はエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等のケトン類が用いられる。これらの溶媒は、結着樹脂を溶解させる必要があるが、必要に応じて添加される着色剤、及び、その他の添加剤は溶解しなくてもよい。油相に用いる結着樹脂、着色剤等の接着材料の成分と溶剤の質量比は、造粒のしやすさ、又は、最終的な接着材料の収率の点で、10:90から80:20が好ましい。
本実施形態においては、油相を調製する前に、着色剤を予めシナージストと分散剤とによって分散させた着色剤分散液を作製し、これを結着樹脂及び剥離剤等と混合してもよい。着色剤分散液の作製に際しては、まず、シナージストと分散剤とを着色剤に付着させる。着色剤への付着は、通常の撹拌装置を使用して行う。具体的には、例えばアトライター、ボールミル、サンドミル、振動ミル等の粒状メディアを装備した容器に着色剤、シナージスト、及び分散剤を投入し、この容器を好ましい温度範囲、例えば20℃から160℃の温度範囲に保ち、撹拌する方法が使用される。粒状メディアとしては、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が好ましく用いられる。これらの撹拌装置により、着色剤の凝集を解き、着色剤の平均粒径が好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下になるまで、着色剤を分散させ、撹拌負荷をかけてシナージストと分散剤とを着色剤に付着させる。これを、溶剤で希釈して、着色剤分散液とする。
また、本実施形態においては、着色剤分散液と結着樹脂等とを混合する際に、着色剤が凝集しないように、高速剪断等により再度分散させておくことが好ましい。分散は、各種ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ウルトラタラックス、クレアミル等の高速羽根回転型や強制間隔通過型の高速剪断機構を備えた分散機により行ってもよい。油相液調製の際に、油相液中、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下にまで、着色剤を分散しておくことが好ましい。
〔造粒工程〕
次に、これら油相成分は水相中で求められる粒径になるように懸濁造粒される。なお、水相の主要媒体は水であり、また分散剤として炭酸カルシウム、りん酸カルシウムなどの無機粒子を用いてもよい。本実施形態において、水相の主要媒体とは、水相における溶媒の全質量に対し50質量%以上含まれる溶媒をいう。水相における溶媒の全質量に対する水の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
分散剤(分散安定剤)は、親水性コロイドを形成することにより油相液滴を分散安定化する。無機の分散としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、珪酸ケイソウ土、粘土などがある。これらの無機の分散剤の粒径は好ましくは1μmから2μm、より好ましくは0.1μm以下であり、ボールミル、サンドミル、アトライター等の湿式分散機により求められる粒径まで粉砕した後使用することが好ましい。これらの無機の分散剤の粒径が2μm以下であると、造粒した接着材料粒子の粒度分布が狭く、接着材料粒子に好適であるので好ましい。
単独で、又は、これら無機の分散剤と併用して用いてもよい有機の分散剤としては、具体的には、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン等)、アルブミン、カゼイン等の蛋白質類、コロジオン、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースのアルキルエステル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、合成高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩)等が挙げられる。これらの有機分散剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を混合して用いてもよい。
分散剤は、水相の主要媒体の全質量に対して0.001質量%から5質量%の範囲で用いることが好ましい。
水相には分散補助剤を併用してもよい。分散補助剤には界面活性剤が好適であり、イオン性、非イオン性の界面活性剤類が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いてもまた二種類以上を混合して用いてもよい。分散補助剤は、水相の主要媒体に対して0.001質量%から5質量%の範囲で用いることが好ましい。
油相と水相の混合比率は、最終的な接着材料の粒径や、製造装置によっても異なるが、質量比で、油相/水相が10/90から90/10が好ましい。また、水相中での油相の造粒は、高速剪断下で行うのが好ましい。特に接着材料の粒径を2μmから10μmの範囲にする場合は、使用する高速剪断機構を備えた分散機の選定に注意を払うことが好ましい。中でも各種ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ウルトラタラックス、クレアミル等の高速羽根回転型や強制間隔通過型の乳化分散機が好適である。
〔溶媒除去工程〕
造粒工程中又は造粒工程後、溶媒(溶剤)を取り除く。溶剤の除去は、常温(例えば25℃)で行ってもよく、又は、減圧で行ってもよい。常温で行うためには、溶剤の沸点より低く、かつ樹脂のTgを考慮した温度をかけることが好ましい。樹脂のTgを大きく超えると接着材料の合一が起こることがある。通常40℃程度で3時間から24時間撹拌することが好ましい。減圧する際は20mmHgから150mmHgで行うのが好ましい。
得られた造粒物(スラリー物)は、溶媒除去後に、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸等の、無機分散剤を水溶化する酸類で洗浄するのが好ましい。これにより接着材料粒子表面に残存する無機分散剤が除去される。上記酸又はアルカリ処理した造粒物は、水酸化ナトリウム等のアルカリ水で再度洗浄してもよい。これにより、酸性雰囲気下に置かれることで不溶化した接着材料粒子表面の一部のイオン性物質が、再度、可溶化除去され、帯電性や粉体流動性が向上する。こうした酸やアルカリ水での洗浄は、接着材料粒子表面に遊離し付着したワックスを洗浄除去する効果を有する。洗浄時のpH、洗浄の回数、洗浄時の温度等の条件の他、撹拌機や超音波分散装置等を用いると洗浄が効果的に実施され、更に好ましい。その後ろ過、デカンテーション、遠心分離等のごとき工程を実施してもよく、乾燥後、接着材料粒子が得られる。
乾燥としては、例えば気流乾燥装置を用いる方法が挙げられ、例えばフラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理や、流動床(Fluid Bed)による処理等が挙げられる。特に、フラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理における気流温度については、前述と同様である。
(静電荷像現像剤)
本実施形態に係る接着材料がトナーである場合、本実施形態に係る接着材料を、静電荷像現像剤として使用することも可能である。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、トナーである本実施形態に係る接着材料を少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、トナーである本実施形態に係る接着材料のみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、静電荷像現像剤の分野において公知のキャリアを使用することが可能である。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散又は配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電材料等、その他添加剤を含ませてもよい。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
(圧着印刷物製造用シート)
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートは、基材と、前記基材上に配置された本実施形態に係る接着材料と、を有する。
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートを、基材上に配置された接着材料が、折り曲げられた基材の内側に存在するように折り曲げて圧着するか、基材上に配置された接着材料が、別の基材との間に存在するように前記基材と別の基材とを重ねて圧着することにより、圧着印刷物を製造することが可能である。
<基材>
基材としては、特に限定されないが、紙製の基材(いわゆる用紙)や、プラスチックフィルムにより構成された記録媒体(いわゆるOHPシート)などの比較的柔軟性の高い材料で構成されたシート状の部材が用いられるが、比較的剛性の高い材料で構成された板状の部材(例えば、厚みのあるプラスチック製のカードなど)を利用してもよい。
紙製の基材としては、例えば、上質紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙、及び、再生紙等が挙げられる。
また、基材には画像が形成されていてもよい。
上記画像の形成方法としては、特に限定されず、電子写真方式による方法、印刷版による印刷法、及び、インクジェット法等が挙げられる。
本実施形態に係る接着材料によれば、基材として、あらかじめ糊が塗布された専用紙ではなく、普通紙や特殊の基材を利用してもよい。特に、本実施形態に係る接着材料は、接着時の基材の加熱量を低減し、又は、全く熱をかけずに圧力の作用により圧着するため、耐熱性の劣る樹脂フィルムなどにも利用される。
<接着材料、接着材料層>
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートにおける、上記接着材料は、粒子の形状を残して配置されてもよいが、接着材料層として配置されることが好ましい。
上記接着材料層は、本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートにおいて基材上に配置された上記接着材料粒子を圧着することにより作製される。上記圧着は、後述する仮定着により行われる。
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートにおいて、上記接着材料粒子の状態の接着材料が配置される場合、接着材料粒子が1層又は2層の状態として配置されることが好ましい。
基材上に接着材料を粒子の状態で配置される場合、基材上の接着材料の総量は、0.5g/m以上50g/m以下であることが好ましく、1g/m以上40g/m以下であることがより好ましく、1.5g/m以上30g/m以下であることが更に好ましい。基材上の接着材料の総量が0.5g/m以上50g/m以下であれば、得られる圧着印刷物の剥離力が適切な値となる圧着印刷物製造用シートが得られる。
上記接着材料層は、連続した層であってもよいし、不連続な層であってもよい。
上記接着材料の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、2μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上25μm以下が更に好ましい。
上記接着材料層の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、2μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上25μm以下が更に好ましい。
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートは、接着材料を、基材上の全面に有してもよいが、基材上の少なくとも一部に有すればよい。基材に画像が形成されている場合、本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートは、接着材料を、基材の非画像部上と画像部上のいずれに有してもよい。例えば、非画像部上の少なくとも一部にベタ画像状の接着材料が配置された態様、画像部上の少なくとも一部に網点状に接着材料が配置された態様、画像部上の少なくとも一部にベタ画像状の接着材料が配置された態様等が挙げられる。
接着材料が基材の画像部上に配置された場合、接着材料は透明であることが好ましい。また、上記接着材料が接着材料層である場合、接着材料層が透明であることが好ましい。上記態様によれば、画像部の視認性が良好となる。
接着材料又は接着材料層が透明であるとは、接着材料又は接着材料層において可視領域(400nm以上700nm以下)の光の平均透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。上記平均透過率は、分光光度計V700(日本分光(株)製)を用いて測定される。
上記平均透過率は、例えば、接着材料における着色剤の含有量や、配置する接着材料の量を適宜設定することにより達成される。
(圧着印刷物製造用シートの製造方法、及び、製造装置)
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートの製造装置は、本実施形態に係る接着材料を収納し、前記接着材料を基材上に配置する配置手段を含む。
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートの製造装置は、基材上に配置された前記接着材料を仮定着する仮定着手段を含むことが好ましい。
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートの製造方法は、本実施形態に係る接着材料を、基材上に配置する配置工程を含む。
本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートの製造方法は、基材上に配置された前記接着材料を仮定着する仮定着工程を含むことが好ましい。
<配置工程、配置手段>
基材上に接着材料を配置する配置工程及び配置手段としては、特に限定されず、公知の配置方法及び配置手段により行うことが可能であるが、例えば、少なくとも本実施形態の接着材料を分散した接着材料分散液を調製し、調製した接着材料分散液を基材上に塗布し、乾燥して形成する塗布方法及び塗布手段;接着材料が粉体である場合、粉体の溶融物を剥離可能な基材上に層形成し、形成した層を基材上にラミネートする方法及び手段;等が挙げられる。
また、接着材料の基材上への配置位置の設計を容易にするという観点からは、本実施形態に係る配置工程及び配置手段は、電子写真方式により、本実施形態に係る接着材料を基材上に配置する配置工程及び配置手段であることが好ましい。
〔塗布方法及び塗布手段〕
前記接着材料分散液を基材上に塗布する塗布方法としては、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、キャストコーター、バーコーター、カーテンコーターダイスロットコータ、グラビアコータ等を用いオンマシン又はオフマシンによって行われる。乾燥は、自然乾燥の他に、人為的に乾燥を促進する方法を採用してもよく、例えば、赤外線ドライヤー、ドラムドライヤー、エアキャップドライヤー、エアホイルドライヤー、及び、エアコンベアドライヤー等を用いられる。
接着材料分散液の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、公知の界面活性剤を用いて、乳化重合法により水溶媒中で樹脂を合成し、接着材料分散液を調製する方法が挙げられる。接着材料分散液の調製後、異なる樹脂粒子分散液を混合し、異なる種類の樹脂粒子を分散させた接着材料分散液としてもよい。
〔電子写真方式により基材上に配置する方法及び手段〕
電子写真方式により接着材料を基材上に配置する方法としては、ロール等を用いてバイアス電界下などで像形成された基材表面に全面又は部分的に現像し、接着材料を配置する方法、又は電子写真用トナーと同様の方法によって任意の位置に接着材料を配置する方法などが挙げられる。
−バイアス電界下などで像形成された基材表面に全面又は部分的に現像し、接着材料を配置する方法−
バイアス電界下などで像形成された基材表面に全面又は部分的に現像し、接着材料を配置する方法としては、例えば、本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤を搬送する搬送手段と、前記搬送手段と相対し、基材を保持可能な保持手段と、前記搬送手段と前記保持手段間にバイアスを印可するバイアス印可手段と、を用いた方法が挙げられる。
具体的には、例えば、本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤を搬送する磁気ロールと、前記磁気ロールと相対し、基材を保持可能な平板と、前記磁気ロールと前記平板間にバイアスを印可するバイアス印可手段と、を用い、磁気ブラシ法により行われる。
前記搬送手段、前記保持手段、前記バイアス印可手段としては、特に限定されず、静電荷像現像用トナーの分野において公知の各手段を使用することが可能である。
−電子写真用トナーと同様の方法によって任意の位置に接着材料を配置する方法−
前記電子写真用トナーと同様の方法によって任意の位置に接着材料を配置する方法は、下記画像形成方法により行うことが好ましい。また、下記画像形成方法は、下記画像形成装置により行われる。なお、本実施形態において、パターン状に配置された接着材料を便宜上「画像」と称する。
−画像形成方法及び画像形成装置−
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前述の本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を基材の表面に転写する転写手段と、を備える。
本実施形態の画像形成方法は、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前述の本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を基材の表面に転写する転写工程と、を有する。
上述の各工程及び手段は、いずれも従来の画像形成方法及び画像形成装置で採用されている公知の方法及び手段により行ってもよい。また、本実施形態において、更に中間転写体などを用いる場合には、前記像保持体表面に形成されたトナー画像は一旦中間転写体に転写された後、最終的に、基材に転写される。
更に、前記画像形成装置及び画像形成方法は、例えば、像保持体表面をクリーニングするクリーニング手段、クリーニング工程等、上記したもの以外の手段や工程を含むものであってもよい。
前記像保持体として電子写真感光体を利用した場合、例えば、以下のように画像形成を行ってもよい。まず、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により帯電した後、露光し、静電荷像を形成する。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電荷像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー画像を形成する。形成されたトナー画像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の基材表面に転写され、基材に接着材料が配置される。
なお、前記電子写真感光体としては、一般に、アモルファスシリコン、セレンなど無機感光体、ポリシラン、フタロシアニンなどを電荷発生材料や電荷輸送材料として使用した有機感光体を用いられるが、特に、長寿命であることからアモルファスシリコン感光体が好ましい。
<仮定着工程及び仮定着手段>
前記配置工程及び配置手段によって、基材上に配置された接着材料を、仮定着することにより、基材上に接着材料層が形成される。
また、基材上に配置された接着材料を仮定着することにより、本実施形態に係る接着材料が、基材上の配置位置から移動、又は、脱落してしまうことが抑制される。
上記仮定着は加圧により行われることが好ましい。仮定着時の圧力(以下、「仮定着圧力」ともいう。)は、最大圧力が1MPa以上10MPa以下とされることが好ましく、2MPa以上8MPa以下であることがより好ましく、3MPa以上7MPa以下であることが更に好ましい。仮定着圧力が1MPa以上であれば、仮定着性が得られるため好ましい。また、仮定着圧力が10MPa以下であると、オフセットの発生等による画像汚れや加圧手段の汚染、基材の巻き付きの発生が少なく、また、仮定着後の基材が変形する(「基材カール」ともいう)ことの発生が抑制されるため好ましい。
また、仮定着時の仮定着圧力の最大圧力が1MPa以上であることにより、基材上に画像が形成されている場合には、当該画像の光沢に優れた圧着印刷物を製造することが可能な圧着印刷物製造用シートが製造される。
更に、仮定着時の仮定着圧力の最大圧力が1MPa以下であることにより、接着力に優れ、基材の剥離力が大きい圧着印刷物を製造することが可能な圧着印刷物製造用シートが製造される。
〔加圧方法、加圧手段〕
上記加圧方法及び加圧手段としては、特に限定されず、従来公知のトナーの定着装置を用いた方法など、公知の加圧方法を使用することが可能であり、例えば、定着ロールを用いた加圧方法が挙げられる。
例えば、円筒の芯金上にフッ素系樹脂(例えばテフロン(登録商標))、シリコーン系樹脂、パーフルオロアルキレート等が被覆された定着ロールが例示でき、また、高い定着圧力を得るためには、ステンレス鋼(SUS)製の定着ロールを使用してもよい。仮定着工程は、一般に2つのロール間に基材を通過させることにより行われるが、2つのロールを同一の材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。例えば、SUS/SUS、SUS/シリコン樹脂、SUS/テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、PFA/PFA等の組み合わせが挙げられる。
本実施形態において、定着ロール等の圧力分布は、市販の圧力分布測定センサーにより測定することができ、具体的には、蒲田工業(株)製、ローラ間圧力測定システム等により測定する。本実施形態において、仮定着時の仮定着圧力の最大圧力とは基材進行方向における定着ニップ入り口から出口に至る圧力の変化における最大値を表す。
本実施形態において、仮定着工程は、加熱せずに行われることが好ましい。ここで、加熱せずに仮定着が行われるとは、仮定着手段への直接の加熱手段を有していないことを意味するものである。したがって、他の動力の発する熱等により、機内の温度が環境温度以上となることを妨げるものではない。
仮定着温度は、15℃以上50℃以下であることが好ましく、15℃以上45℃以下であることがより好ましく、15℃以上40℃以下であることが更に好ましい。
仮定着温度が上記範囲内であれば、良好な仮定着性が得られる。
配置工程が、上記画像形成方法により行われる場合、本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートの製造方法は、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前述の本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を基材の表面に転写する転写工程と、前記基材の表面に転写されたトナー画像を加圧により仮定着する仮定着工程と、を含むことが好ましい。
また、上記画像形成方法が、上記画像形成装置を用いて行われる場合、本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートの製造装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前述の本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を基材の表面に転写する転写手段と、前記基材の表面に転写されたトナー画像を加圧により仮定着する仮定着手段と、を含むことが好ましい。
上記各工程及び手段は、上述の配置工程及び配置手段、並びに、上述の仮定着工程及び仮定着手段における各工程及び手段と、いずれも同義であり、好ましい態様も同様である。
(圧着印刷物)
本実施形態に係る圧着印刷物の第一の態様は、折り曲げられた基材と、前記折り曲げられた機材の内側に配置された本実施形態に係る接着材料と、を有する。
本実施形態に係る圧着印刷物の第二の態様は、2つの基材と、前記2つの基材の間に配置された本実施形態に係る接着材料と、を有する。
上記いずれの態様においても、折り曲げられた基材、又は、2つの基材が、本実施形態に係る接着材料により接着されていることが好ましい。
本実施形態において、折り曲げられた基材、又は、2つの基材が接着されているとは、接着された基材同士の剥離力が、0.1N以上であることを意味する。前記剥離力は、予期せぬ剥離を防止する観点から、0.2N以上であることが好ましく、0.3N以上であることがより好ましい。上記剥離力は、JIS Z0237:2009に記載の90度剥離法により測定される。
また、本実施形態に係る圧着印刷物は、剥離可能であることが好ましい。本実施形態において、圧着印刷物が剥離可能であるとは、接着された折り曲げられた基材、又は、接着された2つの基材とが、剥離可能である事を意味する。
すなわち、本実施形態に係る圧着印刷物は、接着された基材同士の剥離力が、10N以下であることが好ましく、8N以下であることがより好ましく、6N以下であることが更に好ましい。
上記剥離力が10N以下であれば、剥離が容易であり、剥離時に、基材の強度不足等を原因とした基材の破損が起こりにくく、基材の接着面に画像が形成されている場合であっても、画像の欠損が起こりにくい。
更に、本実施形態に係る圧着印刷物は、剥離後、再度の圧着を行うことにより再度の接着が可能である。すなわち、剥離後、再度の圧着により再び圧着印刷物とされる。
本実施形態に係る圧着印刷物の第一の態様において、前記接着材料は、折り曲げられた基材の内側の少なくとも一部に配置されていればよい。
本実施形態に係る圧着印刷物の第二の態様において、前記接着材料は、2つの基材の間の少なくとも一部に配置されていればよい。
上記いずれの態様においても、前記基材に画像が形成されている場合には、本実施形態に係る圧着印刷物、接着材料を、基材の非画像部上と画像部上のいずれに有してもよい。例えば、非画像部上の少なくとも一部にベタ画像状の接着材料が配置された態様、画像部上の少なくとも一部に網点状に接着材料が配置された態様、画像部上の少なくとも一部にベタ画像状の接着材料が配置された態様等が挙げられる。
また、本実施形態に係る圧着印刷物は、折り曲げられた基材の内側、又は、基材と別の基材との間に、本実施形態に係る接着材料が接着材料層として配置された圧着印刷物であることが好ましい。
上記接着材料層は、基材上に存在する上記接着材料粒子を圧着することにより作製される。
上記接着材料層は、連続した層であってもよいし、不連続な層であってもよい。
上記接着材料層の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、2μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上25μm以下が更に好ましい。
本実施形態に係る圧着印刷物において、その剥離後に接着材料が基材の画像部上に存在する場合、接着材料は透明であることが好ましい。また、上記接着材料が接着材料層である場合、接着材料層が透明であることが好ましい。上記態様によれば、画像部の視認性が良好となる。
本実施形態に係る圧着印刷物における、接着材料又は接着材料層が透明であるとは、上述の本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートにおける接着材料又は接着材料が透明であるとの内容と同義であり、好ましい態様も同様である。
例えば、接着材料における着色剤の含有量や、配置する接着材料の量を適宜設定することにより、接着材料又は接着材料層を透明とすることが可能である。
本実施形態に係る圧着印刷物は、第一の態様において、折り曲げられた基材の内側に本実施形態に係る接着材料が配置された箇所を、複数有してもよい。
本実施形態に係る圧着印刷物は、第二の態様において、3以上の基材を有し、2つの基材の間に本実施形態に係る接着材料が配置された箇所を、複数有してもよい。
また、本実施形態に係る圧着印刷物は、第一の態様と第二の態様とが組み合わされた態様による圧着印刷物であってもよい。すなわち、1つの圧着印刷物が、折り曲げられた基材の内側に接着材料が配置された箇所と、2つの基材の間に接着材料が配置された箇所と、を両方有していてもよい。
<基材>
本実施形態に係る圧着印刷物に係る基材は、上述の本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートにおける基材と同義であり、好ましい態様も同様である。
(圧着印刷物の製造方法及び製造装置)
<第一の態様>
本実施形態の圧着印刷物製造装置の第一の態様は、本実施形態に係る接着材料を収納し、前記接着材料を基材上に配置する配置手段、及び、前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着手段を含むことが好ましい。
本実施形態の圧着印刷物製造方法の第一の態様は、本実施形態に係る接着材料を、基材上に配置する配置工程、及び、前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着工程を含むことが好ましい。
〔配置工程、配置手段〕
前記配置工程及び配置手段については、上述の圧着印刷物製造用シートの製造方法における配置工程及び配置手段と同義であり、好ましい態様も同様である。
〔圧着工程、圧着手段〕
前記圧着工程及び圧着手段によって、折り曲げた基材を圧着する、又は、基材と別の基材とを圧着することにより、本実施形態に係る圧着印刷物が製造される。
前記基材を折り曲げて圧着する態様においては、折り曲げた基材の内側に接着材料が存在する。また、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する態様においては、前記基材と別の基材との間に接着材料が存在する。
本圧着工程は、折り曲げた基材の内側の2つの面、又は、基材と別の基材との間の2つの面を、接着材料により接着する工程であることが好ましい。
また、本圧着工程は、本実施形態に係る圧着印刷物を、折り曲げた基材の内側、又は、基材と別の基材との間に、本実施形態に係る接着材料が接着材料層として配置された圧着印刷物とする工程であることが好ましい。
基材を折り曲げる方法としては、特に制限はなく、公知の方法により折り曲げることが可能である。
また、基材の2つの面が対向し、当該2つの面のうち、少なくとも一方の面上に、本実施形態に係る接着材料が存在するように基材を折り曲げることが好ましい。前記接着材料は、前記対向する2つの面上の少なくとも一部に存在すればよい。
また、1つの基材の複数箇所を折り曲げることにより、1つの基材において、2つの面の間に接着材料が配置された箇所を複数作製してもよい。
接着材料が配置された基材と、別の基材と、を重ねる方法としては、特に制限はなく、公知の方法により重ねることが可能である。
また、基材における面と別の基材における面とが対向し、当該2つの面のうち、少なくとも一方の面上に、本実施形態に係る接着材料が存在するように基材を重ねることが好ましい。前記接着材料は、前記対向する2つの面上の少なくとも一部に存在すればよい。
圧着時における基材の数は特に限定されず、1つの基材の複数箇所に別の基材を重ねてもよい。
また、別の基材に、更なる別の基材を重ねてもよい。上記態様の場合、別の基材と、更なる別の基材との間にも、接着材料が存在することが好ましい。
また、圧着工程においては、前記基材を折り曲げて圧着する態様、及び、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する態様を組み合わせて行ってもよい。
上記圧着工程は加圧により行われることが好ましい。圧着時の圧力(以下、「圧着圧力」ともいう。)は、最大圧力が1MPa以上10MPa以下とされることが好ましく、2MPa以上8MPa以下であることがより好ましく、3MPa以上7MPa以下である事が更に好ましい。圧着圧力が1MPa以上であれば、接着力が得られ、予期せぬ剥離が起こりにくい圧着印刷物が得られるため好ましい。また、圧着圧力が10MPa以下であると、オフセットの発生等による画像汚れや定着ロール汚染、基材の巻き付きの発生が少なく、また、圧着後の基材が変形する(「基材カール」ともいう)といった問題の発生が抑制されるため好ましい。
−加圧方法、加圧装置−
上記加圧方法及び加圧手段としては、特に限定されず、従来公知の定着装置を用いた方法など、公知の加圧方法を使用することが可能であり、例えば、圧着ロールを用いた加圧方法が挙げられる。
圧着ロールとしては、例えば、円筒の芯金上にフッ素系樹脂(例えばテフロン(登録商標))、シリコーン系樹脂、パーフルオロアルキレート等が被覆された圧着ロールが例示でき、また、高い定着圧力を得るためには、SUS製の圧着ロールを使用してもよい。圧着工程は、一般に2つのロール間に基材を通過させることにより行われるが、2つのロールを同一の材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。例えば、SUS/SUS、SUS/シリコン樹脂、SUS/PFA、PFA/PFA等の組み合わせが挙げられる。
本実施形態において、圧着ロール等の圧力分布は、市販の圧力分布測定センサーにより測定することができ、具体的には、蒲田工業(株)製、ローラ間圧力測定システム等により測定する。本実施形態において、圧着圧力の最大圧力とは基材進行方向における定着ニップ入り口から出口に至る圧力の変化における最大値を表す。
本実施形態において、圧着工程は、加熱せずに行われることが好ましい。ここで、加熱せずに圧着が行われるとは、圧着手段への直接の加熱手段を有していないことを意味するものである。したがって、他の動力の発する熱等により、機内の温度が環境温度以上となることを妨げるものではない。
圧着温度は、15℃以上50℃以下であることが好ましく、15℃以上45℃以下であることがより好ましく、15℃以上40℃以下であることが更に好ましい。
圧着温度が上記範囲内であれば、良好な定着性が得られる。
〔仮定着工程、仮定着手段〕
本実施形態における圧着印刷物の製造方法は、転写工程後、圧着工程前に、仮定着工程を含んでもよい。
また、基材上に配置された接着材料を仮定着することにより、本実施形態に係る接着材料が、基材上の配置位置から移動、又は、脱落してしまうことが抑制される。
また、本実施形態に係る圧着印刷物の製造装置は、仮定着手段を含んでもよい。
上記仮定着工程及び仮定着手段は、上述の圧着印刷物製造用シートの製造方法及び製造装置における仮定着工程及び仮定着手段と同義であり、好ましい態様も同様である。
配置工程が、上記画像形成方法により行われる場合、本実施形態に係る圧着印刷物の製造方法は、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前述の本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を基材の表面に転写する転写工程と、前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着工程と、を有することが好ましい。
また、上記圧着印刷物の製造方法は、転写工程後、圧着工程前に、上述の仮定着工程を有していてもよい。
また、上記画像形成方法が、上記画像形成装置を用いて行われる場合、本実施形態に係る圧着印刷物の製造装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前述の本実施形態に係る接着材料を含む静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を基材の表面に転写する転写手段と、前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着手段と、を備えることが好ましい。
また、上記圧着印刷物の製造装置は、上述の仮定着手段を有していてもよい。
上記各工程及び手段は、上述の配置工程及び配置手段、上述の定着工程及び定着手段、並びに、上述の仮定着工程及び仮定着手段における各工程及び手段と、いずれも同義であり、好ましい態様も同様である。
<第二の態様>
本実施形態の圧着印刷物製造方法の第二の態様は、本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートを、折り曲げて圧着する、又は、本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートと別の基材、若しくは、別の本実施形態に係る圧着印刷物製造用シートとを重ねて圧着する圧着工程を含む事が好ましい。
上記圧着工程は、本実施形態の圧着印刷物製造方法の第一の態様における圧着工程と同義であり、好ましい態様も同様である。
<圧着はがき>
以下、圧着はがきを例に、本実施形態に係る圧着印刷物について説明する。
図1は、圧着前の3つ折りの圧着はがき製造用基材の一例を示す概略図である。
図1に示すように、3つ折りの圧着はがき製造用機材300は、宛名面1と、印字面2、3、4及び5と、裏面6とを有しており、印字面2及び3と、印字面4及び5と、がそれぞれ圧着されることにより、はがきの形状となり、圧着はがきとして使用可能である。
本実施形態に係る圧着印刷物の一例は、上記圧着はがき製造用基材の印字面2及び3よりなる群から選ばれた少なくとも一方の面上、並びに、印字面4及び5よりなる群から選ばれた少なくとも一方の面上に、本実施形態に係る接着材料を配置し、圧着することにより製造することが可能である。
本実施形態に係る接着材料は、各印字面の少なくとも一部に存在すればよく、特に本実施形態に係る接着材料がトナーである場合には、基材の強度や圧着はがきの用途に合わせて、配置位置を設計することが容易となる。
<圧着印刷物製造装置>
図2は、本実施形態に係る圧着印刷物製造装置の一例を表す概略図である。
圧着印刷物製造装置10には、3つ折りの圧着はがき製造用基材300が収納されており、供給ロール121により矢印Aの方向に搬送され、圧着印刷物加工部200に搬送される。
本実施形態の圧着印刷物加工部200は、接着材料配置装置211と、折り機構230と、圧着機構240とを備えている。
接着材料配置装置211は、例えば、本実施形態の接着材料を分散した接着材料分散液を基材上に塗布する手段を有する装置であってもよいし、電子写真方式により、本実施形態に係る接着材料を基材上に配置する手段を有する装置であってもよい。
折り機構230は、接着材料が配置された基材300を、三つ折りに折り曲げる動作を行う。
圧着機構240は、圧着ロール241の間で折り曲げられた基材300を挟んで圧着することにより、三つ折りの圧着はがき300Zを作製する動作を行う。
作成された圧着はがき300Zは、搬出ロール122により搬送され、装置の外部へ搬出される。
<画像形成装置>
図3は、図2に示した接着材料配置装置211として使用される、画像形成装置の一例を表す概略図である。
図3に示す画像形成装置100は、電子写真感光体(像保持体)107と、電子写真感光体107を帯電させる帯電ロールなどの帯電装置108と、帯電装置108に接続された電源109と、帯電装置108により帯電される電子写真感光体107を露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)110と、露光装置110により形成された静電荷像を現像剤により現像してトナー画像を形成する現像装置(現像手段)111と、現像装置111により形成されたトナー画像を記録媒体300に転写する転写装置(転写手段)112と、転写後に電子写真感光体107に残留しているトナーを除去するクリーニング装置113と、除電器114と、仮定着装置(仮定着手段)115と、を備える。
ここで、図3においてクリーニング装置113は、ブラシクリーニング装置であり、ブラシ部材により、電子写真感光体107に残留しているトナーを除去している。また、仮定着装置115は、加圧定着装置であり、加温手段を有していない。
画像形成装置100における各装置は、いずれも従来の画像形成装置で採用されているものを適用してもよい。
また、仮定着装置115としては、従来の画像装置で使用される定着装置を使用してもよい。
なお、本実施形態においては、除電器114が設けられていない画像形成装置であってもよい。また、図3において、帯電装置108は接触型の帯電装置を示しているが、コロトロン帯電器のような非接触型の帯電装置であってもよい。
(トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジ)
本実施形態のトナーカートリッジ(「接着材料カートリッジ」ともいう。)は、静電荷像現像用トナーである本実施形態の接着材料を少なくとも収容しているトナーカートリッジである。
本実施形態のトナーカートリッジは、静電荷像現像用トナーである本実施形態の接着材料を静電荷像現像剤として収納していてもよい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジ(「接着材料プロセスカートリッジ」ともいう。)は、現像剤保持体を備え、静電荷像現像用トナーである本実施形態の接着材料、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容しているプロセスカートリッジである。
本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であることが好ましい。すなわち、トナーカートリッジが着脱可能な構成を有する画像形成装置において、静電荷像現像用トナーである本実施形態の接着材料を収納した本実施形態のトナーカートリッジが好適に使用される。
また、トナーカートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジとを別体としたものでもよい。
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に脱着されることが好ましい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−233736号公報等を参照してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1:乳化凝集法)
<樹脂粒子分散液(1)の調製:高Tg樹脂の調製>
スチレン:811部
n−ブチルアクリレート:249部
アクリル酸:31部
ドデカンチオール:7.4部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)1.58部をイオン交換水948部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した(単量体乳化液A)。
更に、同じくアニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)20部を427部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。
重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと撹拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム15部をイオン交換水73部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aを、定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと撹拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子の中心径が200nm、ガラス転移温度が51℃、重量平均分子量が30,000、固形分量が42質量%の高Tg樹脂粒子分散液(1)を得た。
<樹脂粒子分散液(2)の調製>
樹脂粒子分散液(1)に、2−エチルヘキシルアクリレートを、樹脂粒子分散液(1)中の樹脂の含有量に対して、質量比で50:50の比率になるように調整した30%混合溶液に、開始剤(過硫酸アンモニウム、APS)を添加して70℃で3時間重合させた。重合後反応溶液は急冷して、50μmふるいで粗粉を取り除いた。
中心粒径270nm、固形分量が32質量%の樹脂粒子分散液(2)を得た。
なお、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度は、−40℃であった。
<トナー粒子の調製>
樹脂粒子分散液(2):350部(樹脂108部)
天然ゴムラテックスMG−25((株)レヂテックス製)剥離剤分散液:66部(剥離剤32部)
(なお、MG−25は、天然ゴムラテックスを基材として、MMA(メチルメタクリレート)をグラフト重合することにより天然ゴムラテックスを改質したものである。粘度は30mPa・sである。)
ポリ塩化アルミニウム:3部
イオン交換水:400部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合及び分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら30℃まで加熱し、30℃で20分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を60部(樹脂25部)追加して緩やかに撹拌した。添加後、温度を50℃まで昇温した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.5に調整した後、撹拌を継続しながら90℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、4.5以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.0以下とならない様に保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水中に再分散し、15分、ステンレスインペラーを用い100rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離したのち、含有水分量を40%に調整したのち、入口気流温度を80℃に設定しフラッシュジェットドライヤーにて乾燥を行った。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンター(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、累積体積平均粒径D50が7.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30であった。
また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は130であった。
またこの無色トナーのT(1MPa)−T(10MPa)=ΔTを測定したところ、35℃となり、十分バロプラスチック特性が示されることがわかった。
前記トナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー(接着材料)を得た。
<現像剤の調製>
ポリメチルメタクリレート(綜研化学(株)製)を1質量%被覆した平均粒径35μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が8質量%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌及び混合して現像剤を調製した。
<圧着印刷物の作製>
得られた現像剤を磁気ロールと相対する平板がスライドして、ロール−平板間のバイアス印加により現像する粉体塗布実験装置の磁気ロール表面に配置した。
富士ゼロックス(株)製ハガキ用紙V424を用いて、同じく富士ゼロックス(株)製DocuCentre C7550Iにて通常の文字画像を形成し、定着したものを用意した。
この画像を含むように前記ハガキ用紙をハガキ大に切り取り、上記の粉体塗布実験装置の平板上に固定し、300Vのバイアス電圧をかけながら磁気ロール下をスライドさせ、定着された文字画像上に接着材料の層を形成した。
この画像を含むように前記ハガキ用紙をハガキ大に切り取り、前記粉体塗布実験装置の平板上に固定し、300Vのバイアス電圧をかけながら磁気ロール下をスライドさせ、定着された文字画像上に接着材料層を形成した。
この画像を、まず幅160mmのステンレスロール対両端に100kgの圧力をかけたロール間を通過させてまず仮定着を行った。
更にこの仮定着を行った画像を二つ折りとして、同じく先のステンレスロール間を今度は両端に300kgの圧力をかけて通過させ、圧着を行い、圧着印刷物を得た。
<剥離力評価>
圧着したハガキ大の用紙を長辺方向に切断することにより、幅15mmの長方形状のサンプルを作製して、剥離力を90度剥離法で測定したところ1N以上の剥離力を示し、圧着ハガキに用いることができるレベルであることが分かった。
<印字面の画像欠損評価>
2cm×2cmの黒色べた画面を印刷して圧着したハガキ大の用紙をはがした後、印字面の欠損をルーペで確認した。更に、接着した面の反対側の白地面の汚れ(非画像部)をX−Rite(X−Rite社製画像濃度計)の数値を読み取ることにより評価した。
A:非画像部におけるX−Riteによる測定値が0.05以下である
B:非画像部に多少の汚れ(X−Riteによる測定値が0.05以上1.0以下)が観察されたが、実用上問題なし
C:非画像部に大きな汚れ(X−Riteによる測定値が1.0以上)が観察され、実用上使用不可である
(実施例2)
MG−25をMG−10S((株)レヂテックス製改質天然ゴムラテックス、粘度は60mPa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の接着材料、及び、圧着印刷物を得た。
なお、MG−10Sは、天然ゴムラテックスを基材として、MMA(メチルメタクリレート)をグラフト重合することにより天然ゴムラテックスを改質したものである。
得られた圧着印刷物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
MG−25をタッキファイヤーNS−100H(荒川化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の接着材料、及び、圧着印刷物を得た。なお、NS−100Hは、ロジンエステルを用いた水系エマルジョン型粘着付与樹脂である。
得られた圧着印刷物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
MG−25を26質量部、及び、樹脂粒子分散液(2)を414質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の接着材料、及び、圧着印刷物を得た。
得られた圧着印刷物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
MG−25を17質量部、及び、樹脂粒子分散液(2)を463質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の接着材料、及び、圧着印刷物を得た。
得られた圧着印刷物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
樹脂粒子分散液(2)をΔT=25℃の樹脂粒子分散液(3)(高Tg樹脂:2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体(低Tg樹脂)の質量比率=60:40)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の接着材料、及び、圧着印刷物を得た。
得られた圧着印刷物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
樹脂粒子分散液(2)をΔT=15℃の樹脂粒子分散液(4)(高Tg樹脂:低Tg樹脂の質量比率=80:20)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の接着材料、及び、圧着印刷物を得た。
得られた圧着印刷物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例及び比較例の評価結果をまとめて表1に示す。なお、表1における剥離剤の含有量は、接着材料の全質量に対する含有割合を示す。
なお、上述したように、ΔT=T(1MPa)−T(10MPa)を表す。
1 宛名面
2、3、4、5 印字面
10 圧着印刷物製造装置
100 画像形成装置
107 電子写真感光体(像保持体)
108 帯電装置
109 電源
110 露光装置(潜像形成手段)
111 現像装置(現像手段)
112 転写装置(転写手段)
113 クリーニング装置
114 除電器
115 仮定着装置(仮定着手段)
121 供給ロール
122 搬出ロール
200 圧着印刷物加工部
211 接着材料配置装置
230 折り機構
240 圧着機構
241 圧着ロール
300 3つ折りの圧着はがき製造用基材
300Z 圧着はがき
A 搬送方向

Claims (11)

  1. 結着樹脂、及び、剥離剤を含有し、
    下記式(1)を満たす
    接着材料。
    式1:20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)
    式1において、T(1MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力1MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力10MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表す。
  2. 圧着印刷物製造用接着材料である請求項1に記載の接着材料。
  3. 前記剥離剤が、天然ゴム又はテルペン樹脂を少なくとも含む請求項1又は請求項2に記載の接着材料。
  4. 基材と、前記基材上に配置された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料と、を有する
    圧着印刷物製造用シート。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料を、基材上に配置する配置工程を含む
    圧着印刷物製造用シートの製造方法。
  6. 折り曲げられた基材と、前記折り曲げられた基材の内側に配置された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料と、を有する
    圧着印刷物。
  7. 2つの基材と、前記2つの基材の間に配置された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料と、を有する
    圧着印刷物。
  8. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料を、基材上に配置する配置工程、及び、
    前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着工程を含む
    圧着印刷物の製造方法。
  9. 前記配置工程が、電子写真方式により、前記接着材料を基材上に配置する配置工程である、請求項8に記載の圧着印刷物の製造方法。
  10. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着材料を収納し、前記接着材料を基材上に配置する配置手段、及び、
    前記基材を折り曲げて圧着する、又は、前記基材と別の基材とを重ねて圧着する圧着手段を含む
    圧着印刷物製造装置。
  11. 前記配置手段が、電子写真方式により、前記接着材料を基材上に配置する配置手段である、請求項10に記載の圧着印刷物製造装置。
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