JP7124365B2 - 箔形成体の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、紫外線硬化型粘着剤(以下UV粘着剤という)層の印刷塗布スピードと同調して箔操出し軸にセットされた箔がUV粘着剤層を印刷塗布した基材の上に重ねられて加圧ロールにて加圧された後、UV粘着剤層のある部分の箔が支持体から切断・剥離して基材の方へと移行することが記載されている。
特許文献3には、被箔面を形成した部材上に箔を載置し、箔押し版によって被箔面上の箔を加熱しながら加圧することが記載されている。
ここで、例えば、加熱により形成体に対してトナー像の上に箔を形成することがあるが、この場合、形成体や形成体に形成されたトナー像が加熱による影響を受け、箔が形成された箔形成体の品質が低下する場合がある。
本発明の目的は、形成体に70℃よりも高い温度で箔を押し当てて押圧することで形成体に対してトナー像の上に箔を形成する場合に比べて、箔形成体の品質の低下を抑制することにある。
請求項2に記載の発明は、前記感圧トナーには、ガラス転移温度が互いに異なる第1樹脂と第2樹脂とが含まれ、前記第1樹脂と前記第2樹脂とは相分離していることを特徴とする請求項1記載の箔形成体の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記感圧トナーは、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが相分離している芯部と、当該芯部を被覆する被覆部とを有するコアシェル構造をなすことを特徴とする請求項2記載の箔形成体の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記第1樹脂は、前記第2樹脂よりもガラス転移温度が高く、前記被覆部において、前記第1樹脂の質量部の総量は、前記第2樹脂の質量部の総量よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の箔形成体の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記感圧トナーは、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項4記載の箔形成体の製造方法である。
20℃≦T(1MPa)-T(10MPa)・・・式(1)
(式(1)において、T(1MPa)は、印加圧力1MPaにおいて前記感圧トナーの粘度が104Pa・sになるときの温度を示し、T(10MPa)は、印加圧力10MPaにおいて前記感圧トナーの粘度が104Pa・sになるときの温度を示す)
請求項6に記載の発明は、前記箔形成工程において、前記形成体のうち前記可塑性トナー像が形成されている領域よりも広い領域に対して前記箔を押し当てて押圧することで、当該形成体に対して当該可塑性トナー像の上に当該箔を形成することを特徴とする請求項1記載の箔形成体の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記箔形成工程において、一体として形成されたフィルム状の箔を前記形成体に押し当てて押圧することで、当該形成体に対して前記可塑性トナー像の上に当該箔を形成することを特徴とする請求項6記載の箔形成体の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記箔形成工程において、複数の粉状の箔を保持する箔保持部を前記形成体に押し当てて押圧することで、当該形成体に対して前記可塑性トナー像の上に当該箔を形成することを特徴とする請求項6記載の箔形成体の製造方法である。
請求項2の発明によれば、第1樹脂と第2樹脂とが相分離していない場合に比べて、感圧トナーを70℃以下の温度で加圧した場合に感圧トナーの粘度が低下しやすくなる。
請求項3の発明によれば、感圧トナーの表面部において第1樹脂と第2樹脂とが相分離している場合に比べて、感圧トナー同士の凝集が起こりにくくなる。
請求項4の発明によれば、被覆部において、ガラス転移温度がより低い樹脂の質量部の総量が、ガラス転移温度がより高い樹脂の質量部の総量よりも大きい場合に比べて、感圧トナーが圧力ストレスに対して強くなる。
請求項5の発明によれば、感圧トナーが式(1)を満たさない場合に比べて、感圧トナーを70℃以下の温度で加圧した場合に感圧トナーの粘度がより低下しやすくなる。
請求項6の発明によれば、形成体のうち可塑性トナー像が形成されている領域よりも狭い領域に対して箔を押し当てる場合に比べて、形成体に対して可塑性トナー像の上に箔を形成するために必要な構成が簡易になる。
請求項7の発明によれば、それぞれ別体に形成された複数の箔を形成体に形成する場合に比べて、形成体に対して可塑性トナー像の上に箔が形成されない部分が生じることを抑制することができる。
請求項8の発明によれば、一体として形成された箔を形成体に形成する場合に比べて、形成体に形成されなかった箔のうち次の箔形成に用いられる箔の量が多くなる。
<画像形成装置の説明>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき形成体の一例としての用紙Pに対して画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作制御や例えばパーソナルコンピュータ等との通信、画像データに対して行う画像処理等を実行する制御部50と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース部30と、を備えている。また、画像形成装置1は、可塑性を有する可塑性トナーの一例としての感圧トナーを用いて感圧トナー像を用紙Pに対して形成する感圧トナー像形成部70と、用紙Pに対して感圧トナー像の上に箔を形成する箔形成部80と、を備えている。
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、イエロー(Y)の画像形成ユニット11Y、マゼンタ(M)の画像形成ユニット11M、シアン(C)の画像形成ユニット11C、および黒(K)の画像形成ユニット11Kの4つの画像形成ユニットを備えている。
なお、以下の説明において、各画像形成ユニットを区別しないで説明する場合には「画像形成ユニット11」と総称する。
また、本実施形態では、2次転写ロール22が配置され、転写ベルト20上の各色熱定着トナー像が用紙Pに2次転写される領域を、2次転写領域23と称する。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1での基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成部10の画像形成ユニット11の各々は、上記の機能部材を用いた電子写真プロセスによりイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色熱定着トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色熱定着トナー像は、1次転写ロール21により転写ベルト20上に順に1次転写され、各色熱定着トナーが重畳された合成トナー像を形成する。転写ベルト20上の合成トナー像は、転写ベルト20の移動(矢印方向)に伴って2次転写ロール22が配置された2次転写領域23に搬送される。
その後、画像が形成された用紙Pは、転写ベルト20から分離され、搬送路に沿って定着ユニット60に搬送される。定着ユニット60に搬送された用紙P上の画像(熱定着トナー像)は、定着ユニット60によって定着処理を受けて用紙Pに定着される。
感圧トナー像形成部70は、例えば電子写真方式により感圧トナー像を形成する機能部である感圧トナー像形成ユニット71を備えている。感圧トナー像形成ユニット71は、感圧トナーが収容されている点を除いて画像形成部10の各画像形成ユニット11と略同様に構成されている。また、感圧トナー像形成部70は、感圧トナー像形成ユニット71に形成された感圧トナー像を用紙Pに対して転写する感圧トナー像転写ロール72を備えている。
次に、感圧トナーの構成について説明する。
本実施形態にて用いられる感圧トナーは、着色剤を含むカラートナーであってもよいし、透明色トナー(クリアトナー)であってもよいが、透明色トナーであることが好ましい。感圧トナーとして透明色トナーを用いると、用紙Pに対して感圧トナー像の上に箔が形成される場合において、ユーザが箔を見たときに感圧トナー像の色が透けて見えることが抑制される。なお、本実施形態において、透明とは、少なくとも可視光に対して透明であることを意味する。本実施形態の透明色トナーは、着色剤を実質的に含まない。なお、実質的に含まないとは、肉眼でその着色の程度が確認されない程度を意味する。
本実施形態にて用いられる感圧トナーは、70℃以下の温度で加圧された場合に粘度が低下する。言い換えると、本実施形態の感圧トナーは、加熱されることなく加圧された場合に粘度が低下する。
結着樹脂とは、用紙Pに粘着することで、感圧トナーを用紙Pに結着させる樹脂である。また、結着樹脂は、箔に押圧された場合にこの箔に粘着することで、箔を感圧トナーに接着させる。
本実施形態にて用いられる感圧トナーには、ガラス転移温度(Tg)が互いに異なる二種類の結着樹脂が含まれている。以下では、二種類の結着樹脂のうち、ガラス転移温度が高い方の結着樹脂を高Tg樹脂と称し、ガラス転移温度が低い方の結着樹脂を低Tg樹脂と称する。高Tg樹脂は第1樹脂の一例であり、低Tg樹脂は第2樹脂の一例である。
感圧トナーが高Tg樹脂を5質量部以上70質量部以下含む場合、感圧トナーに対して加熱することなく加圧した場合にこの感圧トナーの粘度が低下しやすくなる。
高Tg樹脂のガラス転移温度が40℃以上である場合、感圧トナーの保管時において感圧トナーの性質が変化することや感圧トナーが変形することが抑制される。
高Tg樹脂のガラス転移温度が60℃未満である場合、感圧トナーに対して加熱することなく加圧した場合にこの感圧トナーの粘度が低下しやすくなる。
10℃未満であることがより好ましく、-80℃以上10℃未満であることがさらに好ましい。
低Tg樹脂のガラス転移温度が10℃未満である場合、感圧トナーに加える圧力が低くても感圧トナーの粘度が低下しやすくなる。
高Tg樹脂と低Tg樹脂とが相分離している構成としては、高Tgセグメントと低Tgセグメントとのブロック共重合体を形成している構成や、高Tg樹脂と低Tg樹脂とがコアシェル構造を形成している構成等が挙げられる。高Tgセグメントとは、ブロック共重合体のうちの高Tg樹脂が含まれる部分である。低Tgセグメントとは、ブロック共重合体のうちの低Tg樹脂が含まれる部分である。
ブロック共重合体を形成する結着樹脂としては、例えば、付加重合型樹脂や、重縮合樹脂が挙げられる。
芯部には、離型剤が含まれてもよいし、内添剤が含まれてもよい。
コアシェル構造を形成する結着樹脂としては、例えば、付加重合型樹脂や、重縮合樹脂が挙げられる。
これに対し、感圧トナーにおいて高Tg樹脂と低Tg樹脂とが相分離している部分が被覆されていると、感圧トナーに対して低い圧力が加えられた場合において感圧トナーの変形が抑制される。この場合、保管時および使用時における感圧トナー同士の凝集粒子の発生やブロッキングが起こりにくくなる。
芯部が高Tg樹脂と低Tg樹脂とをそれぞれ50質量部含む場合、感圧トナーに対して予め定められた大きさ以上の圧力(例えば1MPa以上の圧力)が加えられた場合に感圧トナーの粘度が低下しやすくなる。
被覆部が低Tg樹脂よりも多くの高Tg樹脂を含む場合、感圧トナーに対して低い圧力が加えられた場合において感圧トナーの粘度が低下しにくくなる。そのため、感圧トナー像形成ユニット71に収容されている感圧トナーが外力を受けること等により感圧トナーが感圧トナー像形成ユニット71内に接着することが抑制される。すなわち、感圧トナーが圧力ストレスに対して強くなる。
付加重合型樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合により生成する重合体である。この単量体としては、例えば、スチレン類(例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、(メタ)アクリロニトリル類(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、エチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等)、ビニルエーテル類(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えば、イソプレン、ブテン、ブタジエン等)などや、β-カルボキシエチルアクリレートが挙げられる。これらの単量体のうち、1種の単量体の重合により生成する単独重合体、2種以上の単量体の共重合により生成する共重合体、これらの単独重合体および共重合体の混合物の何れが付加重合型樹脂として用いられても良い。
なお、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリロニトリルには、アクリル酸およびメタクリル酸が含まれる。
酸性極性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、酸無水物等が挙げられる。
付加重合型樹脂に含まれる単量体のうち塩基性極性基を有する単量体としては、例えば、窒素原子を有する単量体が挙げられる。窒素原子を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸アミド化合物、(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物、または(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物を用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物としては、例えば、アクリル酸ヒドラジド、メタクリル酸ヒドラジド、アクリル酸メチルヒドラジド、メタクリル酸メチルヒドラジド、アクリル酸ジメチルヒドラジド、アクリル酸フェニルヒドラジド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物としては、例えば、アクリル酸2-アミノエチル、メタクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物は、(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル化合物、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物であってもよい。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、チオール成分を有する化合物が挙げられる。チオール成分を有する化合物としては、例えば、メルカプタン等が挙げられる。メルカプタンのうち、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましい。
多官能単量体としては、例えば、芳香族の多ビニル化合物類(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等)、芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類(例えば、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等)、含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類(例えば、ピリジンジカルボン酸ジビニル等)不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類(例えば、ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール-2-カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等)、直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等)、分枝構造または置換基を有する多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン等)、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類(例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、多価カルボン酸の多ビニルエステル類(例えば、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’-チオジプロピオン酸ジビニル、trans-アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等)などが挙げられる。これらの架橋剤のうち、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
架橋剤の含有量は、付加重合型樹脂に含まれる単量体総量に対して0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、付加重合型樹脂に含まれる単量体総量に対して0.01質量%以上15質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定される。GPCによる分子量測定には、測定装置として東ソー株式会社製のGPC・HLC-8120GPC、TSKgel SuperHM-M(15cm)が使用され、THF溶媒にて行われる。この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を用いて、重量平均分子量および数平均分子量を算出する。
ポリエステル樹脂に含まれる単量体としては、例えば、1分子中にカルボキシル基が2以上含まれる多価カルボン酸および1分子中に水酸基が2以上含まれる多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
結晶性ポリステル樹脂としては、例えば、1,9-ノナンジオールと1,10-デカンジカルボン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、シクロヘキサンジオールとアジピン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、1,6-ヘキサンジオールとセバシン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、エチレングリコールとコハク酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、エチレングリコールとセバシン酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂、1,4-ブタンジオールとコハク酸とを重縮合して得られるポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。なお、低級エステルとは、炭素数1以上8以下の脂肪族アルコールのエステルである。
上記の多価カルボン酸と多価アルコールとを組み合わせて重縮合させることで、非晶性ポリエステル樹脂が得られる。
重縮合樹脂を作製するために、上記の多価カルボン酸および多価アルコールのうち、それぞれが1種ずつ用いられてもよいし、一方が1種用いられ他方が2種以上用いられてもよいし、それぞれが2種以上用いられてもよい。また、ヒドロキシカルボン酸を用いて重縮合樹脂を作製する場合、ヒドロキシカルボン酸のうち、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記の多価カルボン酸や多価アルコールとヒドロキシカルボン酸とを併用してもよい。
離型剤としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素系ワックス、天然ワックス(例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等)、合成又は鉱物・石油系ワックス(例えば、モンタンワックス等)、エステル系ワックス(例えば、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等)などが挙げられる。
なお、融解温度は、JIS K-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」に基づいて、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から求められる。
内添剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の添加剤が挙げられる。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
感圧トナーに含まれる外添剤の割合は、例えば、感圧トナーの質量に対して0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態で用いられる感圧トナーは、70℃以下の温度で加圧された場合に粘度が低下する。
トナー像が形成された形成体への箔の形成において、例えば、形成体として樹脂製シートを用いてこの樹脂製シートに70℃よりも高い温度で箔を押し当ててこの箔を樹脂製シート上のトナー像に接着させる場合、樹脂製シートが熱の影響を受けて変形することがある。また、箔を形成体に接着させるために用いられるトナー像とは異なる、画像としての熱定着トナー像が形成されている形成体に70℃よりも高い温度で箔を押し当てると、熱定着トナー像の粘度が低下して箔がこの熱定着トナー像にも接着することがある。すなわち、形成体に70℃よりも高い温度で箔を押し当てて形成体に対してトナー像の上に箔を形成する場合、箔が形成された箔形成体の品質が低下する場合がある。
この場合、形成体に加わる熱量が少なくなるために形成体の変形が抑制される。また、形成体に熱定着トナー像が形成されている場合であっても、熱定着トナー像の粘度が低下しにくいため、箔が熱定着トナー像に接着することが抑制される。すなわち、箔形成体の品質の低下が抑制される。
なお、本実施形態では、フローテスターを用いて、感圧トナーに加えられる圧力を測定した。
これに対し、感圧トナーが式(1)を満たす場合、感圧トナーに加える圧力を上記範囲で高くするにしたがって、感圧トナーが低温で加圧された場合における感圧トナーの粘度が低下しやすくなる。言い換えると、感圧トナーにおける粘度の圧力依存性が高く、感圧トナーのバロプラスチック特性が顕著になる。さらに言い換えると、感圧トナーが70℃以下の温度で上記範囲の圧力により加圧された場合に、この感圧トナーの粘度が低下しやすくなる。そのため、感圧トナー像が形成された形成体に対して加熱することなく箔を押し当てた場合に、箔が感圧トナーに接着しやすくなる。
上記の温度差が120℃以下である場合、感圧トナーに低い圧力が加えられた場合にこの感圧トナーの粘度が低下することが抑制される。そのため、感圧トナー像形成ユニット71に収容されている感圧トナーが外力を受けること等により感圧トナー像形成ユニット71内で固着したり、粒子同士が凝集することが抑制される。すなわち、感圧トナーが圧力ストレスに対して強くなる。
測定に際しては、界面活性剤の5%水溶液2mlからなる分散剤中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加えたものを、100ml以上150ml以下の電解液中に添加する。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
続いて、試料を懸濁した電解液に対して超音波分散器を用いて1分間分散処理を行った後に、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布をコールターマルチサイザーIIにより測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定した粒度分布に基づいて分割された粒度範囲(チャンネル)に対して小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を累積体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。この場合に、体積平均粒度分布指標(GSDv)および数平均粒度分布指標(GSDp)は、それぞれ下式により求められる。
なお、形状係数SF1は、下式により求められる。
形状係数SF1は、画像解析装置を用いて主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を解析することにより数値化される。具体的には、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の絶対最大長および投影面積を求める。そして、式(4)に各粒子の絶対最大長および投影面積をあてはめて各粒子の形状係数SF1を算出し、算出した値の平均値を感圧トナーの形状係数SF1として得る。
続いて、感圧トナーの製造方法について説明する。
本実施形態にて用いられる感圧トナーの製造方法としては特に限定されず、例えば、混練粉砕製法、乳化凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等が挙げられる。この中でも、乳化凝集法および溶解懸濁法が好ましい。
乳化凝集法について説明する。
乳化凝集法は、感圧トナーの原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)を形成する乳化工程と、形成された樹脂粒子を含む凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程と、を含む。
まず、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に対して、分散機により剪断力を与えることで樹脂粒子分散液を作製する。この際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また、分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。
さらに、樹脂が油性であって水への溶解度が比較的低い溶剤に溶解するものであれば、この樹脂をこれらの溶剤に解かして分散剤や高分子電解質と共に水中に粒子分散し、その後加熱または減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を作製する。
また、分散剤としては、例えば、水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等)、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等)、カチオン性界面活性剤(例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等)、両性イオン性界面活性剤(例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等)、無機塩(例えば、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等)などが挙げられる。
樹脂粒子の体積平均粒径は、1.0μm以下であることが好ましく、60nm以上300nm以下であることがより好ましく、150nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径が60nm未満である場合、分散液中で樹脂粒子が安定的になるため、この樹脂粒子の凝集が困難となる場合がある。樹脂粒子の体積平均粒径が1.0μmを超える場合、樹脂粒子の凝集性が向上し感圧トナーを作製することが容易となるが、感圧トナーの粒子径分布が広がる場合がある。
離型剤粒子の体積平均粒径が100nm以上である場合、離型剤成分が感圧トナー中に取り込まれやすくなる。また、離型剤粒子の体積平均粒径が500nm以下である場合、感圧トナー中の離型剤の分散状態が良好になる。
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成の際には、凝集剤が用いられてもよい。凝集粒子の形成は、例えば、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることにより行われる。pHとしては、2以上7以下の範囲が好ましい。
凝集剤としては、分散剤として用いられる界面活性剤とは逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が好ましく、これらの中でも2価以上の金属錯体がより好ましい。2価以上の金属錯体を用いた場合、界面活性剤の使用量が低減し、また、帯電特性が向上する。
融合工程においては、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲にすることで凝集の進行を止め、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、上記の被覆工程において凝集粒子の表面が樹脂粒子により被覆されている場合には、この樹脂粒子も融合させコア凝集粒子を被覆する。融合工程における加熱の時間としては、凝集粒子が融合される程度でよく、具体的には、0.5時間以上10時間以下程度である。
融合粒子に対して、ろ過などの固液分離を行い(固液分離工程)、洗浄を行い(洗浄工程)、乾燥を行う(乾燥工程)ことで感圧トナー粒子が得られる。
乾燥工程としては、気流乾燥装置を用いる方法が挙げられ、具体的には、フラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理や、流動床(Fluid Bed)による処理等が挙げられる。フラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理を行う場合、気流温度(入口気流温度)を30℃以上70℃以下に設定することが好ましく、40℃以上60℃以下に設定することがより好ましい。
外添工程としては、例えば、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等を用いて感圧トナー粒子に外添剤を添加する処理が挙げられる。この処理により、感圧トナー粒子に対して段階的に外添剤を添加させられる。
続いて、溶解懸濁法について説明する。
溶解懸濁法は、有機溶媒中に結着樹脂が含まれているトナー成分を溶解または分散させて油相を調製する油相調整工程と、油相成分を水相中で懸濁造粒する造粒工程と、溶媒を除去する溶媒除去工程と、を含む。
まず、少なくとも結着樹脂が含まれているトナー成分を有機溶媒に溶解または分散させることで、油相を調製する。
有機溶媒としては、例えば、炭化水素(例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等)、アルコール(例えば、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールエーテル、テトラヒドロフラン等)、エステル(例えば、エーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等)が挙げられる。これらの溶媒は、結着樹脂を溶解させる必要があるが、結着樹脂とは別に有機溶媒中に含まれる添加剤は溶解しなくてもよい。油相に用いる結着樹脂が含まれているトナー成分と溶剤との質量比は、造粒のしやすさ、または、最終的なトナー収率を鑑みて、10:90から80:20までの範囲が好ましい。
油相成分は、水相中で懸濁造粒される。水相としては、水が挙げられる。また、無機粒子と分散剤とを混合した無機粒子分散剤が水相に含まれてもよい。
分散剤(分散安定剤)は、親水性コロイドを形成することにより油相液滴を分散安定化させる機能を有する。無機粒子分散剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、珪酸ケイソウ土、粘土等が挙げられる。
無機粒子分散剤の粒径は、1μm~2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。また、無機粒子分散剤は、ボールミル、サンドミル、アトライター等の湿式分散機により求められる粒径まで粉砕された後に用いられることが好ましい。無機粒子分散剤の粒径が2μm以下である場合、造粒したトナーの粒度分布が狭くなる。
有機粒子分散剤としては、例えば、蛋白質類(例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えば、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン等)、アルブミン、カゼイン等)、コロジオン、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースのアルキルエステル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、合成高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩)等が挙げられる。これらの有機粒子分散剤は、1種が単独で用いられてもよく、また、2種以上が混合して用いられてもよい。
水相に含まれる無機粒子分散剤および/または有機粒子分散剤の割合は、水相の主要媒体に対して0.001質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
水相に含まれる分散補助剤の割合は、水相の主要媒体に対して0.001質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
造粒工程中または造粒工程後に、有機溶媒を取り除く。有機溶媒の除去は、常温(例えば25℃)で行われてもよいが、有機溶媒の沸点より低く且つ有機溶媒中に含まれる結着樹脂のガラス転移温度よりも低い温度で行われることが好ましい。結着樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で有機溶媒の除去が行われる場合、トナーの合一が起こることがある。有機溶媒の除去は、40℃程度で3時間から24時間撹拌することが好ましい。また、有機溶媒の除去は、減圧下で行われてもよい。有機溶媒の除去を減圧下で行う場合、20mmHg以上150mmHg以下の圧力下で行うことが好ましい。
洗浄したトナーを乾燥することにより、感圧トナー粒子が得られる。乾燥としては、例えば、気流乾燥装置を用いる方法が挙げられる。気流乾燥装置を用いる方法としては、例えば、フラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理や、流動床(Fluid Bed)による処理等が挙げられる。フラッシュジェットドライヤーを用いた乾燥処理を行う場合、上述の通り、気流温度を30℃以上70℃以下に設定することが好ましく、40℃以上60℃以下に設定することがより好ましい。
続いて、箔について説明する。
図2は、本実施形態にて用いられる箔100の構成を示した図である。
箔100は、フィルム状に形成されており、基材100aと、離型層100bと、箔層100cと、接着層100dとを備えている。
箔100においては、図中下側から、基材100a、離型層100b、箔層100c、接着層100dの順に積み重なっている。
着色層としては、例えば、樹脂材料に着色剤を添加したものが挙げられる。樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。着色剤としては、顔料や染料が挙げられる。また、着色層として、ホログラム画像からなるホログラム層が用いられてもよい。
金属層は、例えば、金属材料を用いた蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成される。金属材料としては、例えば、アルミニウム、スズ、銀、クロムニッケル、金、ニッケル-クロム-鉄合金、青銅、アルミ製銅等が挙げられる。
次に、箔形成部80について説明する。
図3は、箔形成部80の構成図である。
箔形成部80は、一体として形成された長尺状の箔100を保持する。そして、用紙Pに対して、箔100を押し当てる。この長尺状の箔100の幅方向(図中奥行き方向)における長さは、用紙Pの幅方向における長さより大きくてもよい。
箔形成部80は、箔100をロール状に巻き付けこの箔100を供給する供給ロール81と、箔100をロール状に巻き取る巻取ロール82とを備えている。また、箔形成部80は、箔100を張架し用紙Pに対して箔100を転写する箔転写ロール83と、箔100を介して箔転写ロール83に対向する対向ロール84とを備えている。
箔転写ロール83は、図示しない駆動モータからの回転駆動力を受け図中反時計回り方向に回転する。そして、対向ロール84との間で、用紙Pに対して箔100を押し当てる。このとき、箔転写ロール83は、用紙Pの幅方向の長さよりも広い領域に対して箔100を押し当ててもよい。
続いて、箔形成体の製造方法について説明する。
図4は、箔形成体の製造方法について説明したフローチャートである。
まず、画像形成装置1(図1参照)の画像形成部10が、2次転写領域23にて、用紙Pに対して熱定着トナー像を形成する(ステップ(以下、Sと記載する)101:熱定着トナー像形成工程)。次に、定着ユニット60が、熱定着トナー像が形成された用紙Pに対して熱定着処理を行い、熱定着トナー像を用紙Pに定着させる(S102:熱定着工程)。この熱定着トナー像の形成、定着は、必要に応じて省いてもよい。また、予め熱定着トナーが形成された形成体を用いてもよい。
なお、箔形成部80が保持する箔100のうち箔層100cおよび接着層100dが剥離したことにより残存した基材100a、および箔100のうち用紙Pに形成されなかった部分は、巻取ロール82に巻き取られる。
この場合、それぞれ別体に形成された複数の箔を用紙Pに形成する場合に比べて、用紙Pに対して感圧トナー像の上に箔が形成されない部分が生じることが抑制される。
本実施形態では、箔形成部80(図3参照)が、一体として形成された箔100を用紙Pに押し当てて用紙Pに対して感圧トナー像の上に箔100を形成するが、用紙Pに対して箔を形成するために必要な構成は、上記の例に限定されない。
図5は、変形例としての箔形成部90を示した図である。
図5に示す箔110には、金属粉が含まれている。金属粉としては、例えば、金粉、銀粉、アルミニウム粉、スズ粉、クロム粉、ニッケル粉、青銅粉等が挙げられる。
保持ロール91は、表面が吸着性を有する。吸着性を有する材料としては、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。保持ロール91として、シリコンロールやウレタンロールが用いられてもよい。
また、箔転写ロール92における表面の吸着力は、保持ロール91における表面の吸着力よりも大きい。
用紙Pは、感圧トナー像形成ユニット71(図1参照)にて感圧トナー像が形成された後、箔形成部90へ搬送される。用紙Pが箔転写ロール92と対向ロール93との間に入り込むと、箔転写ロール92は、用紙Pに70℃以下の温度で複数の粉状の箔110を押し当てる。これにより、箔転写ロール92が用紙Pに押し当てた複数の箔110のうち、感圧トナー像と重なった箔110が感圧トナー像の感圧トナーに接着し、用紙Pに対して感圧トナー像の上に箔110が形成される。箔転写ロール92が用紙Pに押し当てた複数の箔110のうち用紙Pに形成されなかった箔110は、その後も箔転写ロール92に保持される。
なお、箔転写ロール92は、用紙Pの幅方向の長さよりも広い領域に対して箔110を押し当ててもよい。
これに対し、変形例にて示した構成のように、それぞれが別体として形成されている複数の箔110を用紙Pに対して形成する場合、箔転写ロール92が保持する箔110のうち用紙Pに形成されなかった箔110は、箔転写ロール92に保持され続け、次の箔形成に用いられる。この場合、次の箔形成に用いられる箔110の量が多くなる。
例えば、画像形成装置1とは別に、感圧トナー像形成部および箔形成部を有する箔形成装置を設ける構成としてもよい。この場合に、まず、画像形成装置を用いて形成体に対して熱定着トナー像を形成する。続いて、熱定着トナー像が形成された形成体を画像形成装置から取り出し、感圧トナー像形成部を用いて、この形成体に対して感圧トナー像を形成する。そして、箔形成部を用いて、感圧トナー像が形成された形成体に対して箔を押し当てて、形成体に対して感圧トナー像の上に箔を形成してもよい。
また、感圧トナー像形成部と箔形成部とがそれぞれ別の装置に設けられてもよい。また、形成体に対して熱定着トナー像を形成することなく、感圧トナー像を形成し、この感圧トナー像の上に箔を形成してもよい。
(実施例1)
〔乳化凝集法による高Tg樹脂粒子分散液(1)の調製〕
まず、高Tg樹脂粒子分散液を調製するために、以下の試料を準備した。
・スチレン :450質量部
・n-ブチルアクリレート :150質量部
・アクリル酸 :12質量部
・ドデカンチオール :9質量部
さらに、重合用フラスコに入った555質量部のイオン交換水に対して、上記のアニオン性界面活性剤を3質量部加えて溶解させた。密栓した重合用フラスコに対して還流菅を介して窒素を注入するとともに攪拌しながら、ウォーターバスを用いて重合用フラスコ内の溶液が75℃になるまで加熱した。
重合用フラスコの攪拌を続けながらこの重合用フラスコを75℃で3時間保持して重合を終了した。これにより、高Tg樹脂粒子分散液(1)を得た。この分散液中の高Tg樹脂粒子は、中心径が75nm、ガラス転移温度が51℃、重量平均分子量が29000、固形分量が42重量%であった。
低Tg樹脂粒子分散液を調製するために、以下の試料を準備した。
・スチレン :100質量部
・n-ブチルアクリレート :500質量部
・アクリル酸 :12質量部
・ドデカンチオール :9質量部
さらに、重合用フラスコに入った555質量部のイオン交換水に対して、上記のアニオン性界面活性剤を3質量部加えて溶解させた。密栓した重合用フラスコに対して還流菅を介して窒素を注入するとともに攪拌しながら、ウォーターバスを用いて重合用フラスコ内の溶液が75℃になるまで加熱した。
重合用フラスコの攪拌を続けながらこの重合用フラスコを75℃で3時間保持して重合を終了した。これにより、低Tg樹脂粒子分散液(1)を得た。この分散液中の低Tg樹脂粒子は、中心径が50nm、ガラス転移温度が10℃、重量平均分子量が26000、固形分量が42重量%であった。
感圧トナー粒子を調製するために、以下の試料を準備した。
・高Tg樹脂粒子分散液(1) :100質量部(高Tg樹脂粒子42質量部)
・低Tg樹脂粒子分散液(1) :100質量部(低Tg樹脂粒子42質量部)
・ポリ塩化アルミニウム :0.15質量部
・イオン交換水 :300質量部
また、透過型電子顕微鏡を用いて感圧トナー粒子の断面を観察したところ、コアシェル構造をなしていることが確認された。
また、この感圧トナーについて上式(1)に示したT(1MPa)-T(10MPa)を測定したところ、35℃であった。
上記の感圧トナー粒子50質量部に対して疎水性シリカ(キャボット社製:TS720)1.5質量部を添加したものをサンプルミルにより混合して外添トナーを得た。恒温恒湿チャンバーを用いて温度50℃・湿度50%の雰囲気下にて、外添された感圧トナーを17時間保管した。35ミクロン目開きのメッシュを用いて保管した感圧トナーを篩い分けたところ、メッシュ上に感圧トナーは残らず、感圧トナー同士の凝集(ブロッキング)が生じていないことが確認された。
富士ゼロックス株式会社製のDocuCentreC7550Iを用いて、王子製紙株式会社製のOKトップコート(A4サイズ:127g/m2)に対して熱定着トナー像を形成し、熱定着処理を施した。
富士ゼロックス株式会社製のDocuCentre 450に対して上記の現像剤を装てんしたものを用いて、熱定着トナー像が形成された上記の用紙に対して感圧トナー像を形成した。さらに、図3に示した箔形成部80を用いて、感圧トナー像が形成された用紙に対して、25℃の温度・10MPaの圧力で長尺状の箔100を押し当て、用紙に対して感圧トナー像の上に箔100を形成した。
以上の工程により本実施例の箔形成体を作製した。
〔溶解懸濁法による樹脂粒子(1)の調製〕
高Tg樹脂粒子分散液(1)を用いた高Tg樹脂ラテックスと、2-エチルヘキシルアクリレート系低Tg樹脂ラテックス(DIC株式会社製:CE6400(ガラス転移温度:約-40℃))とを固形分50%ずつの量で混合した。温風乾燥機を用いて、混合した樹脂ラテックスを乾燥させて水分を除去し、樹脂粒子(1)を得た。樹脂粒子(1)は不透明に白濁しており、相分離が生じていることが確認された。
上記の樹脂粒子(1)100質量部、テトラヒドロフラン(THF)300質量部、および酢酸エチル300質量部を混合した。ボールミルを用いて、混合溶液に対して3時間分散処理を行い、トナー溶液を調製した。
また、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製:ルミナス)200質量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製:ネオゲン(登録商標)RK)5質量部、およびイオン交換水400質量部を混合した。ボールミルを用いて、混合溶液に対して2時間分散処理を行った。さらに、混合溶液に対して、イオン交換水900質量部を加え、ホモジナイザーを用いて均一混合を行い、炭酸カルシウム分散液を調製した。
ホモジナイザーを用いて炭酸カルシウム分散液の均一混合を継続させながら、この炭酸カルシウム分散液に対して上記のトナー溶液を加えて均一に乳化を行い、40℃に加熱しながら4時間かけて溶剤を除去した。さらに、1mol/Lの塩酸400質量部を加えて炭酸カルシウムを溶解させた。15ミクロンのナイロンメッシュを用いて溶液を篩い分け、濾過し、イオン交換水を用いて洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離した。得られた固体を40℃のイオン交換水中に加えて再分散し、ステンレスインペラーを用いて100rpmで15分間攪拌・洗浄した。この洗浄の工程を3回繰り返し、洗浄した溶液をヌッチェ式吸引濾過により固液分離した後、固体の含有水分量を40%に調整した。入口気流温度を80℃に設定したフラッシュジェットドライヤーを用いて固体を乾燥させることにより、感圧トナー粒子を得た。
また、透過型電子顕微鏡を用いて感圧トナー粒子の断面を観察したところ、表層が炭酸カルシウムの粒子層からなるコアシェル構造をなしていることが確認された。
また、この感圧トナーについて上式(1)に示したT(1MPa)-T(10MPa)を測定したところ、35℃であった。
実施例1と同様の方法により、現像剤を調製した。
富士ゼロックス株式会社製のDocuCentreC7550Iを用いて、王子製紙株式会社製のOKトップコート(A4サイズ:127g/m2)に対して熱定着トナー像を形成し、熱定着処理を施した。
富士ゼロックス株式会社製のDocuCentre450に対して上記の現像剤を装てんしたものを用いて、熱定着トナー像が形成された上記の用紙に対して感圧トナー像を形成した。さらに、図5に示した箔形成部90を用いて、感圧トナー像が形成された用紙に対して、30℃の温度・10MPaの圧力で粉状の箔110を押し当て、用紙に対して感圧トナー像の上に箔110を形成した。
実施例1に対し、表1に示すように変更を行った以外は、実施例1と同様にして箔形成体を作製した。
実施例1にて用いた高Tg樹脂粒子分散液(1)を50質量部(高Tg樹脂粒子21質量部)とし、低Tg樹脂粒子分散液(1)を100質量部(低Tg樹脂粒子42質量部)とし、さらに表1に示すように変更を行った以外は、実施例1と同様にして箔形成体を作製した。
コールターマルチサイザーIIを用いて感圧トナー粒子の粒径を測定したところ、累積体積平均粒径(D50v)が5.9μmであり、体積平均粒度分布指標(GSDv)が1.25であった。感圧トナー粒子の形状係数(SF1)は、130であった。
実施例1に対し、表1に示すように変更を行った以外は、実施例1と同様にして箔形成体を作製した。
つまり比較例1では、形成体としての用紙に対して70℃よりも高い100℃で箔を押し当てている。
また、比較例2では、形成体としての樹脂製シートである20ミクロン厚のポリエチレンシートに対して70℃よりも高い80℃で箔を押し当てている。
実施例1に対し、表1に示す変更、および以下に示すように変更を行った以外は、実施例1と同様にして箔形成体を作製した。
すなわち、実施例1にて用いた高Tg樹脂粒子分散液(1)を20質量部(高Tg樹脂粒子8.4質量部)とし、低Tg樹脂粒子分散液(1)を100質量部(低Tg樹脂粒子42質量部)とした。さらに、感圧トナー粒子の調製において丸型ステンレス製フラスコに試料を投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス(登録商標)T50)を用いてフラスコ内の溶液を混合・分散した後、加熱用オイルバスを用いてフラスコを攪拌しながらフラスコ内の溶液を42℃まで加熱した後に60分間保持した後、高Tg樹脂粒子分散液(1)を加えることなく、トナーを造粒した。これにより、コアシェル構造を有しないトナーを作製した。
コールターマルチサイザーIIを用いて感圧トナー粒子の粒径を測定したところ、累積体積平均粒径(D50v)が6.7μmであり、体積平均粒度分布指標(GSDv)が1.29であった。感圧トナー粒子の形状係数(SF1)は、133であった。
また、比較例3では、上式(1)に示したT(1MPa)-T(10MPa)の測定値が、20℃よりも低い15℃であった。
また、比較例3のトナーにおいては、実施例1と同様の外添トナーとして温度が50℃、湿度が50%で17時間保管した場合に、トナーの凝集物(ブロッキング)が発生した。
実施例1~4および比較例1~3の箔形成体における変形の有無を評価した。
具体的には、箔形成体を目視で観察し、箔形成体の変形の有無を評価した。なお、評価基準は以下の通りである。以下の評価基準のうち、無の評価を合格とし、有の評価を不合格とした。
無:箔形成体の変形または皺は確認されなかった。
有:箔形成体の変形または皺が確認された。
実施例1~4および比較例1~3の箔形成体について箔の定着性を評価した。
具体的には、箔形成体を目視で観察し、箔形成体に対してトナー像(箔を接着させるために用いられたトナー像)の上に形成されている箔の定着性を評価した。なお、評価基準は以下の通りである。以下の評価基準のうち、◎、〇の評価を合格とし、×の評価を不合格とした。
◎:箔は箔形成体から浮いておらず、爪でこすっても箔が剥がれない
〇:箔は箔形成体から浮いていないが、爪でこすると一部の箔が剥がれた
×:箔が箔形成体から浮いている部分があり、爪で容易に箔を剥がすことができた
実施例1~4および比較例1~3の箔形成体について、熱定着トナー像の上に形成される箔の有無を評価した。
具体的には、箔形成体を目視で観察し、箔形成体に対して熱定着トナー像の上に箔が形成されているか否かを評価した。なお、評価基準は以下の通りである。以下の評価基準のうち、無の評価を合格とし、有の評価を不合格とした。
無:箔形成体に対して熱定着トナー像の上に箔が形成されていない
有:箔形成体に対して熱定着トナー像の上に少なくとも一部の箔が形成されている
箔形成体における変形の有無の評価結果を表1に示した。
実施例1~4の何れの箔形成体には変形および皺の何れも確認されなかった。
箔の定着性の評価結果を表1に示した。
実施例1~4の箔形成体においては、何れも、箔は箔形成体から浮いていなかった。特に、実施例1~3の箔形成体においては、爪で箔をこすっても箔が剥がれなかった。これは、実施例1~3にて用いられた感圧トナーは、上式(1)を満たしておりバロプラスチック特性が顕著であり、感圧トナーが箔に押圧されたときに感圧トナーの粘度が低下しやすく感圧トナーの箔への接着力が強いためであると考えられる。
熱定着トナー像の上に形成される箔の有無の評価結果を表1に示した。
実施例1、2、4の箔形成体においては、何れも、熱定着トナー像の上に箔は形成されていなかった。
Claims (8)
- 可塑性を有する可塑性トナー像が形成された形成体を準備する準備工程と、
前記形成体に70℃以下の温度で箔を押し当てて押圧することで当該形成体に対して前記可塑性トナー像の上に当該箔を形成する箔形成工程と、
を含み、
前記可塑性トナー像の可塑性トナーは、70℃以下の温度で前記箔に押圧されると粘度が低下する感圧トナーである
箔形成体の製造方法。 - 前記感圧トナーには、ガラス転移温度が互いに異なる第1樹脂と第2樹脂とが含まれ、
前記第1樹脂と前記第2樹脂とは相分離していることを特徴とする請求項1記載の箔形成体の製造方法。 - 前記感圧トナーは、前記第1樹脂と前記第2樹脂とが相分離している芯部と、当該芯部を被覆する被覆部とを有するコアシェル構造をなすことを特徴とする請求項2記載の箔形成体の製造方法。
- 前記第1樹脂は、前記第2樹脂よりもガラス転移温度が高く、
前記被覆部において、前記第1樹脂の質量部の総量は、前記第2樹脂の質量部の総量よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の箔形成体の製造方法。 - 前記感圧トナーは、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項4記載の箔形成体の製造方法。
20℃≦T(1MPa)-T(10MPa)・・・式(1)
(式(1)において、T(1MPa)は、印加圧力1MPaにおいて前記感圧トナーの粘度が104Pa・sになるときの温度を示し、T(10MPa)は、印加圧力10MPaにおいて前記感圧トナーの粘度が104Pa・sになるときの温度を示す) - 前記箔形成工程において、前記形成体のうち前記可塑性トナー像が形成されている領域よりも広い領域に対して前記箔を押し当てて押圧することで、当該形成体に対して当該可塑性トナー像の上に当該箔を形成することを特徴とする請求項1記載の箔形成体の製造方法。
- 前記箔形成工程において、一体として形成されたフィルム状の箔を前記形成体に押し当てて押圧することで、当該形成体に対して前記可塑性トナー像の上に当該箔を形成することを特徴とする請求項6記載の箔形成体の製造方法。
- 前記箔形成工程において、複数の粉状の箔を保持する箔保持部を前記形成体に押し当てて押圧することで、当該形成体に対して前記可塑性トナー像の上に当該箔を形成することを特徴とする請求項6記載の箔形成体の製造方法。
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