JP2018016553A - 口腔内細菌叢改善剤 - Google Patents

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裕之 若林
俊孝 小田巻
Toshitaka Odamaki
俊孝 小田巻
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宏祐 菅原
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Abstract

【課題】安全性が高く、日常的に使用できる、口腔内細菌叢改善剤を提供する【解決手段】ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を有効成分として含む口腔内細菌叢改善剤。【選択図】無し

Description

本発明はラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を有効成分とする口腔内細菌叢改善剤に関する。
口腔には数百種、兆単位ともいわれる数の細菌が定着しており、これら口腔内で生育する一群の細菌の集合は、口腔内細菌叢若しくは口内フローラと言われる。そして、口腔内細菌叢を正常に保つことは健康の維持に重要と考えられている(非特許文献1)。
口腔内細菌叢には、口腔内の常在菌として人体に有用である菌も存在する他、歯周病菌など病原性を持つ人体に有害な菌も存在する。
プラーク中に形成されている細菌叢について、健常者と歯周病患者を比較した研究では、健常者では歯周病患者と比べて口腔内に常在する菌属であるストレプトコッカス(Streptococcus)属の占める割合が大きく、そのうちストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)の占める割合が有意に高かったことが報告されている(非特許文献2)。
口腔内の常在菌であるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)は、その有益な役割のひとつとしてMRSAに対する定着防止作用が報告されている(非特許文献3)。
体力の衰えた高齢者では、通常の口腔内細菌叢が破たんすることで、誤嚥性肺炎や人工呼吸器関連肺炎の発症リスクが高まることが指摘されている。Takeshitaらは、療養型医療施設および高齢者施設の入所者から舌苔を採取してその細菌叢を解析した結果、口腔内に常在する菌属であるストレプトコッカス属やロチア(Rothia)属が優勢な群では、他群と比べて発熱日数が有意に低く、肺炎死亡率が低かったことを報告している(非特許文献4)。
また、口腔内細菌叢の多様性は口腔衛生状態や健康状態と関連することが知られている。口腔内細菌叢の多様性と全身の健康状態との関連を調査した結果、歯周ポケットの深さ、プロービング時の出血、プラークの付着度が悪化しているグループでは、口腔内細菌叢の多様性が高いことが報告されている(非特許文献5)。
また、口腔内常在菌であるストレプトコッカス・ミチスを含むスプレー剤を口腔に噴霧することで正常な口腔内細菌叢の状態を回復させ、様々な病原菌の定着を予防する方法が提案されている(非特許文献6)。非特許文献6には当該スプレー剤の継続使用によって反復性扁桃炎の再発防止につながることが示されている。
腸内細菌・口腔細菌と全身疾患、シーエムシー出版、2015年 Griffen AL et al. ISME J. 6:1176-1185 (2012) Uehara Y et al. Clin Infect Dis. 32:1408-13 (2001) T. Takeshita et al. J. Am. Geriatr. Soc., 58:1050-1057 (2010) T. Takeshita et al. Sci Rep., 6:22164 (2016) Falck G et al. Acta Otolaryngol. 119:944-948 (1999)
以上のように、口腔内細菌叢(口内フローラ)を正常に保つことは、口腔内の環境の正常化のみならず、健康の維持や疾患の治療又は予防のために重要である。中でも、ストレプトコッカス・ミチスを主とする口腔内常在菌が優勢である正常な口腔内細菌叢を形成することが重要である。
一般的には、病原菌を減少させるためには、抗生物質、抗菌剤を用いる方法が考えられるが、これらの投与によっては、口腔内常在菌も減少し、口腔内において日和見菌や通常口腔に存在しない菌が増殖する、いわゆる菌交代現象がおきる可能性があり、関連する疾病リスクが向上する可能性がある。
また、非特許文献6に記載されているような、口腔内常在菌を含むスプレー剤を口腔に直接噴霧する方法については、安全性が確立されていない。
そこで、本発明は、安全性が高く、日常的に使用できる、口腔内細菌叢改善剤を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究努力の結果、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を組み合わせた組成物において、優れた口腔内細菌叢改善作用があることを見出した。
前記課題を解決する本発明は、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を有効成分として含む口腔内細菌叢改善剤である。
本発明によれば、口腔内細菌叢の改善効果に優れ、安全性の高い口腔内細菌叢改善剤を提供することができる。
本発明の好ましい形態では、前記口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)の占める割合を増加させるために用いられる。
ストレプトコッカス・ミチスは、主要な口腔内常在菌である。そのため、本発明の口腔内細菌叢改善剤を口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチスの占める割合を増加させるために用いることにより、より効果的に口腔内細菌叢を改善することができる。
ストレプトコッカス・ミチスは正常な口腔内細菌叢を形成する主要な菌種であることから、その割合の減少は種々の疾患を引き起こすと考えられる。したがって、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチスの占める割合の減少に起因する疾患の予防又は治療のために用いられることがより好ましい。
ストレプトコッカス・ミチスの占める割合の減少に起因する疾患としては発熱及び扁桃炎が挙げられ、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、これら疾患の予防又は治療のために用いることができる。
本発明の好ましい形態では、前記口腔内細菌叢改善剤はpH調整剤を含む。
pH調整剤を含む形態とすることにより、有効成分の作用を効果的に発揮させ、高い口腔内細菌叢改善作用を得ることができる。
本発明の口腔内細菌叢改善剤は、食品組成物、医薬組成物、化粧品組成物又は飼料組成物の形態とすることが好ましい。
本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢の改善作用に優れ、かつ安全性も高い。本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチスの占める割合を増加させるために有用であり、口腔内細菌叢における当該細菌の割合が減少することに起因する疾患の予防又は治療に有用である。
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
本発明における「口腔内細菌叢改善」とは、口腔内細菌叢における細菌の構成を相対的に正常化することをいう。「口腔内細菌叢改善」とは、人体に有用な細菌の割合を増加し、人体に有害な細菌の割合を減少させること、口腔内細菌叢における細菌の多様性を減少させることを含む概念である。
人体に有用な細菌としては、ストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)などが挙げられる。
また、人体に有害な菌としてはカンピロバクター・グラシリス(Campylobacter gracilis)、カンピロバクター・ショワエ(Campylobacter showae)、カプノサイトファーガ・ジンジバリス(Capnocytophaga gingivalis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)などが挙げられる。
本発明における「治療」とは、症状を緩和(改善)することと、疾患を治療することを含む。
また、「予防」とは、疾患への罹患を防ぐことと、疾患の症状が発症することを防ぐことを含む。
本発明の口腔内細菌叢改善剤の有効成分は、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源である。以下、各有効成分について説明する。
本発明の有効成分であるラクトフェリンは市販品の他、哺乳類(例えば、ヒト、ウシ、水牛、ウマ、ヤギ、ヒツジ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳等、これらの処理物である脱脂乳、ホエイ等からイオン交換クロマトグラフィー等の常法により分離したラクトフェリン、ラクトフェリンから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、アポラクトフェリンに鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属を一部キレートさせた金属結合ラクトフェリン、または前記金属を完全にキレートさせた金属飽和ラクトフェリンを使用することができる。
特に牛由来のラクトフェリンが好ましい。
また、組換えDNA技術により得られる組換え真菌、組換え乳牛(トランスジェニック・カウ)等により生産されるヒト・ラクトフェリン等も、同様に本発明に使用することができる。
本発明で使用するラクトフェリンとしては、アポラクトフェリン、天然型ラクトフェリンまたはホロラクトフェリンが好ましく、天然型ラクトフェリンまたはアポラクトフェリンがより好ましく、天然型ラクトフェリンがさらに好ましい。
本発明の有効成分であるラクトパーオキシダーゼは、哺乳類の乳等から得ることができ、例えば、ヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の乳等から得ることができる。ラクトパーオキシダーゼは、例えば、特開平5−41981公報(発明の名称:生菌含有液状組成物)に開示された方法のように、乳等未加熱のホエイまたは脱脂乳から、常法(例えば、イオン交換クロマトグラフィー等)に従って工業的に製造することが好ましい。また、市販の天然物由来のラクトパーオキシダーゼ(例えばタツア社製等)、又は組換え型ラクトパーオキシダーゼ(例えば、シンらの方法[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニュケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)、第271巻、2000年、p.831−836])によって発現・精製された組換え型ラクトパーオキシダーゼ、又は市販の組換え型ラクトパーオキシダーゼを使用することも可能である。
本発明に使用するラクトパーオキシダーゼとしては、哺乳類の乳に由来するものを好適に使用可能である。特に、その乳が伝統的に飲食用に用いられている牛、羊、山羊などの乳に由来するラクトパーオキシダーゼが好ましく、特に牛由来のものが好ましい。これらは歴史的な年月の間、ヒトの飲食に使用されていたために、ヒトに対する安全性が極めて高い水準で担保されているからである。
また、牛由来の未加熱のホエイは、乳製品製造の副産物として安定して大量に得ることができるために、本発明に使用するラクトパーオキシダーゼの原料として、特に好適である。
本発明の有効成分であるグルコースオキシダーゼとしては、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)等の微生物の産生する酵素である市販品のグルコースオキシダーゼ(例えば、新日本化学工業社製等)を使用することができる。
本発明の有効成分であるグルコース源は、前述したグルコースオキシダーゼの基質として機能する。グルコース源としては、例えば、市販品の食品添加物用のグルコース(例えば、日本食品化工社製等)を使用することができる。
本発明の口腔内細菌叢改善剤の有効成分であるラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源は、口腔内、すなわち唾液中で効果を発揮する。
口腔内細菌叢改善剤におけるラクトフェリンの含有量は、使用時における唾液中のラクトフェリン濃度が、好ましくは8〜10000μg/mlとなるように、より好ましくは31〜5000μg/mlとなるように、さらに好ましくは50〜3000μg/mlとなるように調整することが好ましい。特に好ましくは、1000〜2500μg/mlとなるように調整することが好ましい。
口腔内細菌叢改善剤におけるラクトパーオキシダーゼの含有量は、使用時における唾液中のラクトパーオキシダーゼ濃度が、好ましくは0.1〜1000μg/mlとなるように、より好ましくは0.5〜500μg/mlとなるように、さらに好ましくは1.2〜400μg/mlとなるように調整することが好ましい。特に好ましくは、150〜300μg/mlとなるように調整することが好ましい。
口腔内細菌叢改善剤におけるグルコースオキシダーゼの含有量は、使用時における唾液中のグルコースオキシダーゼ濃度が、好ましくは5〜5000μg/mlとなるように、より好ましくは10〜3000μg/mlとなるように、さらに好ましくは15〜500μg/mlとなるように調整することが好ましい。特に好ましくは、100〜300μg/mlとなるように調整することが好ましい。
口腔内細菌叢改善剤におけるグルコース源の含有量は、使用時における唾液中のグルコース濃度が、好ましくは50〜10000μg/mlとなるように、より好ましくは100〜5000μg/mlとなるように、さらに好ましくは200〜4000μg/mlとなるように調整することが好ましい。特に好ましくは、1000〜3000μg/mlとなるように調整することが好ましい。
口腔内細菌叢改善剤における各有効成分の含有量は、その形態に応じて、口腔内に適用した際に、前記唾液中の濃度となるように、設計することができる。
例えば、口腔内細菌叢改善剤におけるラクトフェリンの含有量は、好ましくは1〜80質量%であり、より好ましくは5〜60質量%であり、さらに好ましくは10〜40質量%である。
また、ラクトパーオキシダーゼの含有量は、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%である。
また、グルコースオキシダーゼの含有量は、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%である。
また、グルコース源の含有量は、グルコースオキシダーゼの基質として十分量であれば良いが、好ましくは1〜60質量%であり、より好ましくは5〜50質量%であり、さらに好ましくは10〜40質量%である。
また、前記各有効成分の含有量の範囲は、特に口腔内細菌叢改善剤を錠剤、錠菓、ガム、キャンディ等の形態とする際に好ましく適用できる。
製剤中におけるラクトパーオキシダーゼとラクトフェリンの含有質量比は、好ましくは1:1000〜10:1であり、より好ましくは1:100〜5:1であり、さらに好ましくは1:50〜4:1であり、さらに好ましくは1:20〜2:1である。特に好ましくは1:20〜1:1である。
また、製剤中におけるラクトパーオキシダーゼとグルコースオキシダーゼの含有質量比は、好ましくは1:1000〜1000:1であり、より好ましくは1:100〜100:1であり、さらに好ましくは1:10〜10:1であり、さらに好ましくは1:2〜2:1である。
また、製剤中におけるグルコースオキシダーゼとグルコース源の含有質量比は、好ましくは1:100〜1:1であり、さらに好ましくは1:20〜1:4である。特に好ましくは1:16〜1:10である。
本発明の口腔内細菌叢改善剤は、前述した有効成分以外の成分を含んでいてもよい。
本発明の口腔内細菌叢改善剤は、有効成分の口腔内細菌叢改善作用をより向上させるため、pH調整剤を含むことが好ましい。
pH調整剤としては、口腔内細菌叢改善剤の使用時、すなわち唾液に懸濁した際のpHを4.4〜5.9の弱酸性に安定させるための緩衝能があればどのようなものであってもよい。
pH調整剤としては、例えば有機酸及び/又は有機酸の塩類を使用することができる。
有機酸としては、例えば、市販食品添加物のクエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、グルタミン酸等からなる群より選択される少なくとも1種以上の酸を用いることができる。
有機酸の塩類としては、例えばクエン酸塩(例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム等)、乳酸塩(例えば、乳酸ナトリウム等)、リンゴ酸塩(例えば、リンゴ酸ナトリウム等)、コハク酸塩(例えば、コハク酸一ナトリウム、コハク酸ニナトリウム等)、酒石酸塩(例えば、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム等)、グルタミン酸塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム等)等からなる群より選択される少なくとも1種以上の塩類の組み合わせを使用することが可能である。
また、本発明の口腔内細菌叢改善剤には、乳中の他の有用な蛋白質であるリゾチーム、免疫グロブリン、カゼイン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリンや乳酸菌等のプロバイオティクスが含まれていてもよい。
本発明の口腔内細菌叢改善剤は、例えば、医薬組成物、食品組成物、化粧品組成物及び飼料組成物等の形態とすることができる。
医薬組成物は、例えば、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を、薬学的に許容され得る賦形剤その他任意の添加剤を用いて製剤化することにより製造することができる。
錠剤として製剤化する際に用いる賦形剤としては、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等が挙げられる。
また、製剤化の際に前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜使用することができる。それぞれの具体例を以下に示す。
[結合剤]
デンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール。
[崩壊剤]
デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース。
[界面活性剤]
ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80。
[滑沢剤]
タルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール。
[流動性促進剤]
軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム。
また、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤としても投与することができ、これらの各種剤形には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
本発明の口腔内細菌叢改善剤を食品組成物の形態とする場合、例えば、本発明の有効成分にデキストリン、デンプン等の糖類;乳蛋白質、大豆蛋白質、ゼラチン等の蛋白質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を配合することにより製造することができる。
食品組成物の形態としては、粉乳、加工乳、発酵乳、チーズ、バター、クリーム等の乳製品;乳酸飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料等の飲料;アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓類;そば、うどん等の麺類;飴、チューインガム、キャンディ、チョコレート、錠菓、ビスケット、ゼリー、ジャム、焼き菓子類等の菓子類;マーガリン、バター、ショートニング、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;スープ、サラダ、パン;経腸栄養剤;機能性食品等が例示される。
食品組成物の好適な形状としては、錠菓、チューイングガム、キャンディを例示することができる。このような形態とすることによって、唾液の分泌を促し、有効成分が口腔内に十分に行き渡る。また、有効成分の摂取量及び有効成分と同時に摂取されるカロリーを正確に把握することができる。
さらに、食品組成物の好適な形状として、液体、特にとろみのある液体を挙げることができる。液体は、口腔内に行き渡り、歯の硬組織と歯肉組織との間に浸透しやすいからである。また、とろみのある液体は、口腔内に滞留する時間が長くなるため、有効成分の作用効果が十分に発揮される。
化粧品組成物の形態としては、歯磨き剤、洗口剤及びマウススプレーなどが例示される。
本発明の口腔内細菌叢改善剤を飼料組成物の形態とする場合、例えば、本発明の有効成分に、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;大豆油粕、菜種油粕等の植物性油粕;フスマ、麦糠、米糠等の糠類;脱脂粉乳、ホエイ、魚粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;アミノ酸類;糖類等を配合することにより製造することが可能である。飼料組成物の形態としては、ペットフード、家畜飼料等が挙げられる。
本発明の口腔内細菌叢改善剤は、ヒトを含む哺乳動物に投与することができる。
本発明の口腔内細菌叢改善剤によれば、口腔内細菌叢における細菌の構成を相対的に正常化することができる。すなわち、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、人体に有用な細菌の割合を増加し、人体に有害な細菌の割合を減少させる効果を有する。
より具体的には、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)などの人体に有用な細菌の占める割合を増加させることができる。
また、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢におけるカンピロバクター・グラシリス(Campylobacter gracilis)、カンピロバクター・ショワエ(Campylobacter showae)、カプノサイトファーガ・ジンジバリス(Capnocytophaga gingivalis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)などの人体に有害な細菌の占める割合を減少させることができる。
また、本発明の口腔内細菌叢改善剤によれば、口腔内細菌叢における細菌の多様性を減少させることにより、口腔衛生を改善することができる。具体的には、プラーク付着度、歯周ポケットの深さ、及び口腔内空気中における口臭原因物質濃度などの口腔衛生指標を総合的に改善することができる。
本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内常在菌であり人体に有用な細菌であるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)の口腔内細菌叢における割合を増加させる効果に特に優れる。したがって、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)の占める割合を増加させる目的で用いられることが好ましい。
また、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチスの占める割合が減少することによって惹起される疾患の予防及び/又は治療のために用いられることが好ましい。
口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチスの占める割合が減少することによって惹起される疾患としては、発熱及び扁桃炎が例示される。
また、ストレプトコッカス・ミチスは口腔内におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する定着防止作用を有することから、本発明の口腔内細菌叢改善剤は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の口腔内への定着防止のために用いることもできる。
<試験例1>16S rRNA系統解析による口腔内細菌叢構成の解析
ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を含む組成物による、口腔内細菌叢の改善作用を調べるために以下の試験を行った。
(1)被験試料
ラクトフェリン20mg、ラクトパーオキシダーゼ2.6mg、グルコースオキシダーゼ2.6mg、グルコース27mg、pH調整剤としてクエン酸3mg及びクエン酸ナトリウム1mg、並びに、賦形剤(デキストリン)の混合物を常法により打錠し、1錠1000mgの被験試料の錠菓を製造した。
また、賦形剤(デキストリン)及び着色料の混合物を常法により打錠し、1錠1000mgのプラセボ試料の錠菓を製造した。
(2)被験試料の摂取
高齢者46名(男性15名,女性31名,83.3±7.0歳)を、被験試料を摂取する群(試験群)と、プラセボ試料を摂取する群(プラセボ群)にランダムに分け、1日3錠の被験試料を8週間継続して摂取させた。
(3)検体の回収及び検体の調製
(3−1)舌苔の回収及び検体の調製
被験試料の摂取開始前、摂取4週後および8週後に検体として舌苔を回収した。具体的には、舌中央の約2cm2を滅菌済みスワブをできるだけ寝かせて、前後方向に表で5往復、裏で5往復擦ることにより、舌苔を当該スワブに付着させることにより回収した。
スワブに付着した舌苔を滅菌バイアル中の滅菌生理食塩水1mlに懸濁することにより検体を調製した。
(3−2)歯肉縁上プラークの回収及び検体の調製
被験試料の摂取開始前、摂取4週後および8週後に検体として歯肉縁上プラークを回収した。具体的には、被験者の左側上顎臼歯部5番、6番、7番(第2小臼歯・第1大臼歯・第2大臼歯)相当部の頬側歯頸部の歯垢を、滅菌済みスワブを使って表で5往復、裏で5往復擦ることにより、プラークを当該スワブに付着させることにより回収した。
スワブに付着した歯肉縁上プラークを滅菌バイアル中の滅菌生理食塩水1mlに懸濁することにより検体を調製した。
(4)DNAの抽出・増幅
被験者から回収した2種の検体から、MagNA Pure LC Total Nucleic Acid Isolation Kit(ロシュダイアグノスティックス株式会社)を用いて、DNAの抽出を行った。
次に、これらDNA溶液に含まれる菌群のゲノムに対して核酸増幅反応を行った。下記表1〜表3に、試験例1で用いたプライマーの配列を示す。表1に示すプライマーセットは、16SrRNA遺伝子の第1〜2可変領域を増幅させるためのプライマーである。これらのプライマーについては、便宜的に第1プライマーセットとする。
表1中、「R」は、グアニン又はアデニンを意味する。「Y」は、シトシン又はチミンを意味する。「M」は、アデニン又はシトシンを意味する。
また、下記表2及び表3に示すプライマーセットは、次世代シーケンサー(Miseq(イルミナ社製))を用いて塩基配列を解析するために必要な配列(アダプター領域及びインデックス領域)を増幅核酸鎖に組み込むためのプライマーセットである。表2に示すプライマーはフォワードプライマーであり、表3に示すプライマーは、リバースプライマーである。これらのプライマーは、便宜的に第2プライマーセットとする。なお、表1〜表3に示すプライマーは、Life Technologies社のオリゴプライマー作成サービスにより得た。

前述したDNA溶液及び第1プライマーセットを含む総液量25μlの反応液を、TaKaRa ExTaq HS kit(タカラバイオ社製)を用いて調製した。核酸増幅反応は、サーマルサイクラー(Veriti 200(Life Technologies社製))を用いて行い、94℃−3分の後、94℃−30秒、50℃−30秒、72℃−30秒を1サイクルとし、これを30回繰り返し、その後72℃−5分として、PCR反応を行った。得られたPCR産物を1%アガロースゲルにて電気泳動し、バンドパターンにより、増幅核酸鎖を確認した。
続いて、得られたPCR産物1μlを鋳型とし、第2プライマーセットを用いて前述した条件と同様にPCR反応を行った。但し、サイクル数は8回とした。得られたPCR産物を1%アガロースゲルにて電気泳動し、バンドパターンを確認した後、QIAquick 96 PCR Purification Kit(キアゲン社製)を用いてPCR産物を精製した。精製後のPCR産物については、Quant−iT PicoGreen dsDNA Assay kit(Life Technologies社製)によりDNA濃度を測定した。
(5)DNAシークエンス解析
複数の検体に由来するPCR産物を同じ濃度で混合したものをMiseq v3 Reagent kit(イルミナ社製)に供し、Miseqにてシークエンス解析を実施した。
(6)菌群の同定及び構成割合の算出
前述したシークエンス解析により得られたペアエンド配列からReference Consortium human build 37 (GRCh37)およびPhiX 174に相当する配列をbowtie−2 (ver.2−2.2.4)を用いて検出し、検出された配列を解析から除外した。
その後、PHRED quality scoreが17以下の塩基配列をトリミングし、150塩基より短い、又は配列全長の平均PHRED quality scoreが25以下の配列全長を削除した。
その後、fastq−join(ver.1.1.2−537)(http://code.google.com/p/ea-utils/wiki/FastqJoin)にて、ペアエンド配列を結合し、USEARCH(ver.5.2.32)(http://www.drive5.com/usearch/download.html)とgoldデータベース(http://drive5.com/otupipe/gold.tz)を用いてキメラ配列を除去し、解析に用いる配列を得た。
菌属の解析にはQiimeソフトウェア(version 1.8.0)(http://qiime.org/)におけるopen−reference OTU(Operational Taxonomy Unit)picking法と、データベース:Greengenes database 13_8(ftp://greengenes.microbio.me/greengenes_release/gg_13_5/gg_13_8_otus.tar.gz)にて97%の相同性を有する配列ごとをOTUとした。
各OTUの代表配列をデータベース:Greengenes database 13_8(ftp://greengenes.microbio.me/greengenes_release/gg_13_5/gg_13_8_otus.tar.gz)に対して相同性検索することにより、口腔内細菌叢の構成を解析した。
菌種の解析には、Qiimeソフトウェア(version 1.8.0)において、全体の中で一つしかないOTUをUSEARCH(ver.5.2.32)によって削除し、99%の相同性を有する配列ごとをOTUとした。
各OTUの代表配列をデータベース:DDBJ 16SrRNA(Prokaryotes)(ftp://ftp.ddbj.nig.ac.jp/ddbj_database/16S/16S.fasta.gz)に対して98.6%の閾値で相同性検索することにより、口腔内細菌叢の構成を解析した。
(7)結果
被験試料の摂取前と比較して、摂取後8週で舌苔又は歯肉縁上プラークにおける口腔内細菌叢に占める割合が有意に増減した細菌を表4及び5に示す。
表4及び5の結果は、被験試料の摂取により、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)などの人体に有用な菌が占める割合が増加していることを示している。
また、表4及び5の結果は、被験試料の摂取により、口腔内細菌叢におけるカンピロバクター・グラシリス(Campylobacter gracilis)、カンピロバクター・ショワエ(Campylobacter showae)、カプノサイトファーガ・ジンジバリス(Capnocytophaga gingivalis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)などの人体に有害な菌が占める割合が減少していることを示している。
また、被験試料の摂取開始前、摂取4週後および8週後における舌苔の細菌叢中のストレプトコッカス(Streptcoccus)属、並びにストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)の占める割合の変化を表6に示す。
表6に示す結果は、被験試料を摂取した試験群では、摂取前と比べて摂取4週後および8週後で、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス属に属する細菌、そして、ストレプトコッカス・ミチスの占める割合が有意に増加したことを示している。
また、表6の結果は、被験試料を摂取した試験群では、摂取前と比べて摂取4週後および8週後で、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス属に属する細菌の占める割合が増加する一方、同属に属するストレプトコッカス・ミュータンスおよびストレプトコッカス・ソブリナスの占める割合には変化が無いことを示している。
なお、ストレプトコッカス・ミュータンス及びストレプトコッカス・ソブリナスは、ストレプトコッカス属に属する一方、う蝕に大きく関与する菌種である
表4〜6の結果から、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源は、口腔内に存在する人体に有用な菌であるストレプトコッカス属に属する細菌、特にストレプトコッカス・ミチスの口腔内細菌叢に占める割合を増加させる効果を有することが証明された。
また、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源は、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス属に属する細菌の占める割合を増加させる一方、同属に属しながらも人体に有害な菌であるストレプトコッカス・ミュータンス及びストレプトコッカス・ソブリナスの占める割合は増加させないことが証明された。
以上の結果は、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源には、口腔内細菌叢を改善する作用があることを示している。
<試験例2>口腔内細菌叢の多様性と口腔衛生の関連性の解析
(1)口腔衛生指数の測定
試験例1における検体の回収及び検体の調製と並行して、被験試料の摂取開始前、摂取4週後および8週後に、口腔衛生指標としてプラーク付着度、歯周ポケットの深さ、口臭原因物質濃度を測定した。
それぞれの口腔衛生指標の測定方法は以下の通りである。
プラーク付着度は、全ての歯について、各々4歯面(頬側、舌側、遠心、近心)の歯肉に接した部分に付着したプラークの有無を判定し、被検歯面数に対するプラークが付着している歯面数の割合を計算することにより算出した。
歯周ポケットの深さは、プローブを用いて、全歯について各々6点(頬側の近心・中央・遠心、舌側の近心・中央・遠心)計測し、1歯あたり最もポケットが深い1点をmm単位で記録し、これを全歯について平均することにより算出した。
口臭原因物質濃度は、口腔内空気中の硫化水素濃度、メチルメルカプタン濃度及びジメチルスルフィド濃度を口臭測定器(オーラルクロマ、アルビット社製)で測定し、その合計値を算出した。
(2)口腔内細菌叢の多様性の解析
口腔内細菌叢の多様性については、試験例1において歯肉縁上プラークより抽出したDNA溶液から得られた解析に用いる配列について、多様性指標(Shannon diversity index)を求めることで評価した。
被験試料の摂取開始前、摂取4週後および8週後における歯肉縁上プラークにおける細菌叢の多様性指標を表7に示す。
表7に示すように、被験試料の摂取した試験群では、摂取4週後及び8週後において、歯肉縁上プラーク中の細菌叢の多様性の程度がプラセボ群と比較して有意に小さい。
この結果は、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を組み合わせて摂取することで、口腔内細菌叢の多様性が減少する効果が得られることを示している。
(3)口腔内細菌叢の多様性と口腔衛生の相関解析
口腔内細菌叢の多様性指標と、それぞれの口腔衛生指数の相関性の強さを、Rを用いて評価した。結果を表8に示す。
表8に示す通り、口腔内細菌叢の多様性指標は、プラーク付着度、平均歯周ポケットの深さ、口臭原因物質濃度といった口腔衛生指標との間に正の相関が認められた。つまり、この結果は、口腔内細菌叢の多様性が高いほど口腔衛生状態が悪いことを示している。
以上の結果は、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源の組み合わせによって、口腔内細菌叢の多様性を減少させ、これにより口腔衛生状態が総合的に改善することを示唆している。
本発明における口腔内細菌叢改善剤は、口腔内に適用される医薬品、化粧品や、食品、飼料に応用することができる。

Claims (6)

  1. ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース源を有効成分として含む口腔内細菌叢改善剤。
  2. 前記口腔内細菌叢改善剤が、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)の占める割合を増加させるために用いられることを特徴とする、請求項1に記載の口腔内細菌叢改善剤。
  3. 前記口腔内細菌叢改善剤が、口腔内細菌叢におけるストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)の占める割合の減少に起因する疾患の予防又は治療のために用いられることを特徴とする、請求項2に記載の口腔内細菌叢改善剤。
  4. 前記疾患が、発熱及び扁桃炎から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の口腔内細菌叢改善剤。
  5. pH調整剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の口腔内細菌叢改善剤。
  6. 食品組成物、医薬組成物、化粧品組成物又は飼料組成物であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の口腔内細菌叢改善剤。

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