JP2018015793A - 摩擦攪拌接合用工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦攪拌接合用工具の組成及び製造工程を複雑化することなく、摩擦攪拌接合用工具の耐熱性、耐摩耗性、耐酸化性、強度、および靱性を向上させる。【解決手段】摩擦攪拌接合用工具(10)は、αサイアロンおよびSi6−ZAlZOZN8−Zで表わされるβサイアロンを含むサイアロン相と、粒界相と、を含む。βサイアロンのZ値は、0.2≦Z≦0.7である。粒界相の少なくとも一部は、希土類元素とケイ素との酸窒化物により形成されている。酸窒化物は、βサイアロンの含有量に対して最高X線強度比で0.15以上0.75以下の割合で含有されている。サイアロン相中のαサイアロンの割合を示すα率は、10%以上40%以下である。【選択図】図4

Description

本発明は、摩擦攪拌接合用工具に関する。
従来、突起部を備えた工具を回転させつつ突起部側から被接合物に押し込み、摩擦熱によって被接合物の一部を軟化させ、軟化した部分を突起部によって攪拌して被接合物を接合する摩擦攪拌接合が知られている。このような摩擦攪拌接合に用いる摩擦攪拌接合用工具においては、より優れた耐熱性、耐摩耗性、耐酸化性、および靱性を有することが望まれる。そのため、従来、摩擦攪拌接合用工具を構成する材料として、窒化ケイ素を用いることが提案されていた。また、このように窒化ケイ素を用いた摩擦攪拌接合用工具において、例えば耐摩耗性をさらに向上させるために、窒化ケイ素からなる第1相と共に、B、Al、Ti、Siから選択される元素の窒化物等によって構成される第2相を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−98842号公報 国際公開第2016/047376号
しかしながら、上記のように第2相を設ける場合には、第2相を設けることによる耐摩耗性向上の効果は得られるものの、第2相を設けて相対的に第1相の割合が低下することに起因して、摩擦攪拌接合用工具全体の強度低下が低下する場合があった。このような場合には、結果的に、摩擦攪拌接合用工具の耐久性を十分に向上させることが困難であった。また、第2相を設ける場合には、摩擦攪拌接合用工具を製造する際に、第2相を設けるための追加の材料を加える必要があった。さらに、第2相を設ける場合には、望ましい第2相を設けるために製造工程が複雑化する可能性があった。そのため、摩擦攪拌接合用工具の組成及び製造工程を複雑化することなく、摩擦攪拌接合用工具における耐熱性、耐摩耗性、耐酸化性、強度、および靱性を向上させる技術が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、摩擦攪拌接合用工具が提供される。この摩擦攪拌接合用工具は、αサイアロンおよびSi6−ZAl8−Zで表わされるβサイアロンを含むサイアロン相と、粒界相と、を含み;前記βサイアロンのZ値が、0.2≦Z≦0.7であり;前記粒界相の少なくとも一部が、希土類元素とケイ素との酸窒化物により形成されており;前記酸窒化物は、前記βサイアロンの含有量に対して最高X線強度比で0.15以上0.75以下の割合で含有されており;前記サイアロン相中の前記αサイアロンの割合を示すα率が、10%以上40%以下である。
この形態の摩擦攪拌接合用工具によれば、摩擦攪拌接合用工具の組成及び製造工程を複雑化することなく、摩擦攪拌接合用工具の耐熱性、耐摩耗性、耐酸化性、強度、および靱性を向上させ、摩擦攪拌接合用工具の耐久性を高めることができる。
(2)上記形態の摩擦攪拌接合用工具において、ビッカース硬度が16GPa以上であることとしてもよい。この形態の摩擦攪拌接合用工具によれば、摩擦攪拌接合用工具の耐摩耗性および強度をさらに高めることができる。
(3)上記形態の摩擦攪拌接合用工具において、該摩擦攪拌接合用工具の軸線方向に延びる軸部と、該軸部における被接合物と接触する側の端部の面から前記軸線方向に突出して設けられた突起部と、を有し、前記端部の面、および、前記突起部の表面のうちの少なくとも一方が、焼肌面であることとしてもよい。この形態の摩擦攪拌接合用工具によれば、摩擦攪拌接合用工具の加工の工程を簡素化することができ、摩擦攪拌接合用工具の耐摩耗性をさらに向上させることができる。
(4)上記形態の摩擦攪拌接合用工具において、前記端部の面、および、前記突起部の表面のうちの一方のみが、焼肌面であることとしてもよい。このような構成とすれば、摩擦攪拌接合用工具の耐摩耗性を、より向上させることができる。
本発明は、摩擦攪拌接合用工具以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、摩擦攪拌接合用工具を備える摩擦攪拌接合装置、摩擦攪拌接合用工具の製造方法、摩擦攪拌接合方法等の形態で実現することができる。
実施形態の摩擦攪拌接合用工具の全体構成を示す斜視図である。 工具の使用状態を例示した説明図である。 工具の使用状態を例示した説明図である。 工具の使用状態を例示した説明図である。 工具の製造方法の一例を示したフローチャートである。 各サンプルに係る測定結果および試験結果を示す説明図である。 各サンプルに係る測定結果および試験結果を示す説明図である。 サンプル19の研磨面と焼肌面とをX線回折装置で分析した結果を示す図である。 セラミック焼結体の加工前の断面をSEMで観察した様子を示す図である。 セラミック焼結体の加工前の断面をSEMで観察した様子を示す図である。
A.実施形態:
A−1.工具の構成:
図1は、本発明の実施形態としての摩擦攪拌接合用工具10(以下、単に「工具10」とも呼ぶ)の全体構成を示す斜視図である。工具10は、セラミックスの焼結体により構成されている。工具10は、軸部11と突起部12とを備える。軸部11は、軸線X方向に延びる略円柱状に形成されている。突起部12は、略円柱状に形成されており、軸部11の一方の端部における軸線Xに垂直な面から、軸線X方向に突出して設けられている。突起部12は、軸部11の上記一方の端部における軸線Xに垂直な面の中心部に形成されており、突起部12の軸線は、軸部11の軸線Xと一致する。摩擦攪拌接合時には、工具10は、突起部12を被接合物に接触させつつ、被接合物に押圧して用いる。すなわち、軸部11における上記一方の端部は、被接合物に接触する側の端部である。工具10の表面のうち、軸部11の上記一方の端部における軸線Xに垂直な面を、ショルダー部13とも呼ぶ。
図2A〜図2Cは、工具10の使用状態を例示した説明図である。工具10は、図示しない接合装置に取り付けられて使用される。工具10を使用する際には、まず、突起部12を、積み重ねられた被接合物(被接合部材21,22)の上方に配置する(図2A参照)。そして、軸線Xを中心に突起部12を回転させた状態において、工具10の突起部12を、接合装置によって加圧しつつ、被接合部材21,22に対して上方から押し込む(図2B参照)。このようにして、突起部12が被接合部材21,22に押し込まれた状態のまま、軸線Xを中心に突起部12を回転させ続けることにより、突起部12付近の被接合部材21,22の領域は、摩擦熱によって塑性流動する。被接合部材21,22の塑性流動した部分(図2Bおよび図2Cにおいてハッチングを付して示す部分)を突起部12が攪拌することにより、接合領域が形成される(図2C参照)。この接合領域によって、被接合部材21,22が互いに結合される。なお、このような接合の工程においては、突起部12だけでなく、少なくともショルダー部13も、上記組成流動した部分に接する。その後、突起部12を被接合部材21,22から引き抜くことにより、摩擦攪拌接合が完了する。本実施形態において、被接合部材21,22は、鋼の板材であるが、鋼に代えてアルミニウムなどの他の任意の金属であってもよい。
工具10は、「サイアロン相」と「粒界相」とを含む。「サイアロン相」は、αサイアロン、および、Si6−ZAl8−Zで表わされるβサイアロンを含む。すなわち、工具10においては、αサイアロンの結晶粒とβサイアロンの結晶粒とが、焼結体中で混在している。βサイアロンは、窒化ケイ素(Si)と同様に、針状の結晶粒が絡み合った組織を形成するため高靱性であるという性質を有する。αサイアロンは、βサイアロンに比べて低靱性であるが、βサイアロンよりも硬度が高いという性質を有する。
なお、サイアロン相は、αサイアロンおよびβサイアロン以外のサイアロンを、さらに含んでいてもよい。αサイアロンおよびβサイアロン以外のサイアロンとしては、例えば、15R−サイアロン、21R−サイアロン、および12H−サイアロンを例示することができる。
本実施形態では、サイアロン相中におけるαサイアロンの割合を示すα率を、10%以上、40%以下としている。α率は、以下のようにして求められる。すなわち、α率は、Cu−Kα線を用いたX線回折装置によって、各サイアロンのピークのうちで強度が高い上位2つのピーク(以下、2つの最強ピークとも呼ぶ)のピーク強度を測定することにより求めている。具体的には、サイアロン相が、実質的にαサイアロンとβサイアロンのみを含有する場合には、α率は、βサイアロンの(101)面ピーク強度をβ1、βサイアロンの(210)面ピーク強度をβ2、αサイアロンの(102)面ピーク強度をα1、αサイアロンの(210)面ピーク強度をα2としたときに、以下の(1)式により求められる。なお、サイアロン相が、αサイアロンおよびβサイアロン以外のサイアロンを含む場合には、他種のサイアロンの各々についても、2つの最強ピークのピーク強度を測定して、(1)式の分母に加算することによって、α率を求めればよい。
α率(%)=(α1+α2)/(β1+β2+α1+α2)×100 …(1)
α率を10%未満にすると、硬度が高いαサイアロンの割合が低いことにより、工具10の耐摩耗性が不十分となる可能性がある。また、α率が40%を超えると、靱性が高いβサイアロンの割合が低いことにより、工具10が脆くなり、使用中に欠損が生じるなど、耐久性が低下する可能性がある。α率は、例えば、工具10を製造する際の後述する焼成処理における加熱温度を高くするほど、また、焼成処理における加熱時間を長くするほど、小さくなる傾向がある。
なお、サイアロン相におけるαサイアロンとβサイアロンの合計の割合は、80〜100%であることが望ましい。ここで、サイアロン相における各サイアロンの割合は、サイアロン相におけるαサイアロンの割合である既述したα率と同様にして、各々のサイアロンの2つの最強ピークのピーク強度を測定して算出することができる。サイアロン相におけるαサイアロン、βサイアロン、およびその他のサイアロンの割合は、例えば、工具10の製造時に配合する原料粉末の割合によって調節することができる。
また、本実施形態では、サイアロン相に含まれるβサイアロンにおいて、窒化ケイ素(Si)にアルミニウム(Al)および酸素(O)が固溶する程度を表わすZ値は、0.2≦Z≦0.7としている。ここで、サイアロンは、窒化ケイ素(Si)にアルミニウムおよび酸素が固溶することにより、窒化ケイ素(Si)に比べて、耐熱性、高温環境下での機械的強度、耐熱衝撃性、および耐酸化性等に優れるという性質を示す。また、工具10を構成するセラミック焼結体としてサイアロンを用いる場合には、窒化ケイ素(Si)を用いる場合に比べて、被加工部材との化学反応が発生しにくくなる。このように、窒化ケイ素(Si)に比べて、被加工部材との反応が起こりにくく強度が高いことにより、サイアロンは、優れた耐摩耗性を示す。Z値が0.2未満であると、サイアロンとしての上記性能を十分に得られず、耐摩耗性が低下する可能性がある。また、Z値が0.7を超える場合には、アルミニウムおよび酸素の固溶量が過剰になることに起因して、工具10において強度低下や熱伝導率低下の影響が大きくなる。例えば、βサイアロンの熱伝導率が低下すると、工具10が過熱状態となって耐久性が低下したり、工具10内で熱膨張率の差が大きい部位が生じることによって工具10の耐久性が低下する可能性がある。また、上記固溶量が過剰になることによって、βサイアロンの結晶粒が脆くなり、焼結体全体の強度が低下する可能性がある。
ここで、βサイアロンのZ値は、X線回折により、セラミック焼結体の焼肌面から約1mm以上内部におけるβサイアロンのa軸格子定数を求め、β−窒化ケイ素のa軸格子定数(7.60442Å)との差によって算出する値である。算出方法は、下記の(2)式による。式中のaは、測定されたβサイアロンのa軸格子定数を表わす。なお、焼肌面とは、工具10の製造工程における後述する焼成工程によってセラミック焼結体を得た後、研削や研磨などの加工を施した加工面とは異なり、このような加工を施していない未加工の面をいう。
Z=(a−7.60442Å)/0.03 …(2)
βサイアロンのZ値は、例えば、工具10を製造するために用いる後述する焼結助剤の種類や量によって調節することができる。例えば、焼結助剤の割合を多くするほど、Z値が大きくなる傾向がある。
なお、サイアロン相を構成するβサイアロンの各結晶粒子は、長軸の長さが10μm以下、短軸の長さが1.2μm以下であることが望ましい。ここで、βサイアロンの長軸の長さとは、βサイアロン粒子において幅が最も大きい部分の長さを指す。またβサイアロンの短軸の長さとは、βサイアロン粒子において、上記長軸と直交する方向の幅のうち、最も小さい部分の長さを指す。βサイアロン粒子の大きさを上記のようにすることで、粒子が過大となることに起因する工具10の強度低下を抑えることができる。なお、βサイアロンが、針状の結晶粒が絡み合った組織を形成することにより高靱性であるという特徴を確保するためには、βサイアロンの各粒子の長軸は、0.1μm以上であることが望ましい。
「粒界相」とは、結晶粒と結晶粒の境界が現れている部分をいう。粒界相は、光学顕微鏡による組織観察で網の目状に見える部分である。本実施形態では、この粒界相の少なくとも一部が、希土類元素とケイ素との酸窒化物により形成されている。希土類元素とケイ素との酸窒化物は、ReSiON、あるいはReSi(ただし、Reは希土類元素)と示すことができる。粒界相に存在する酸窒化物がどのようなタイプであるのかは、工具10を製造する際に用いる後述する焼結助剤の組成による。粒界相に存在する酸窒化物としては、ReSiが、より望ましい。ここで、希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、およびランタノイドを総称するものである。ランタノイドとしては、例えば、ユウロピウム(Eu)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、およびプラセオジム(Pr)などを挙げることができる。希土類元素とケイ素との酸窒化物としては、例えば、YSiON、YSi、YbSiON、YbSi、DySiON、DySi、ErSiON、ErSi、LuSiON、LuSiなどを挙げることができる。希土類元素としては、例えば、イットリウム(Y)が望ましく、希土類元素とケイ素との酸窒化物としては、例えば、YSiONおよびYSiが望ましく、YSiが特に望ましい。
本実施形態の工具10は、粒界相の少なくとも一部が、希土類元素とケイ素との酸窒化物により形成されていることにより、工具10を構成するセラミック焼結体の耐酸化性を向上させることができる。その結果、工具10の耐摩耗性を向上させることができる。
本実施形態の工具10では、希土類元素とケイ素との酸窒化物は、βサイアロンの含有量に対して最高X線強度比で0.15以上0.75以下の割合で含有されている。上記した酸窒化物のβサイアロンに対する含有量を表わす最高X線強度比Rは、以下の(3)式により算出される。
最高X線強度比R = P1/P2 …(3)
(式中、P1は、Cu−Kα線を用いたX線回折装置によって測定したピークであって、希土類元素とケイ素との酸窒化物を示すピークの中で、最も高い強度を示すピークの強度を表わす。P2は、X線回折装置によって測定したピークであって、βサイアロンを示すピークの中で最も高い強度を示すピークの強度を表わす。)
上記最高X線強度比Rが0.15未満であると、セラミック焼結体の粒界において、高温特性(例えば、耐熱性および耐酸化性)および機械的特性(例えば強度)が低いガラス相の割合が高まる可能性がある。そのため、最高X線強度比Rを0.15以上とすることで、工具10の化学的安定性および強度を向上させて、耐摩耗性を向上させることができる。一方、βサイアロンに対する上記酸窒化物の最高X線強度比Rが0.75を超える場合には、工具10を構成するセラミック焼結体における異相の割合が高まり、異相に起因する工具10の強度低下が引き起こされる可能性がある。したがって、上記最高X線強度比Rを0.15以上0.75以下とすることにより、工具10において、耐摩耗性の向上と強度の向上とを、両立させることができる。
なお、希土類元素とケイ素との酸窒化物として、複数種類の酸窒化物が存在する場合には、各々の酸窒化物における最も高い強度を示すピークの強度を合計して、上記した最高X線強度比Rを求めればよい。具体的には、例えば、希土類元素としてイットリウム(Y)を用い、酸窒化物としてYSiとYSiONとの双方が存在する場合には、YSiの最高強度とYSiONの最高強度との和を、既述した(3)式におけるP1として、最高X線強度比Rを求めればよい。
βサイアロンの含有量に対する上記酸窒化物の含有量を表わす最高X線強度比Rは、例えば、工具10の製造時の後述する焼成処理において、熱処理温度を高くすることや、熱処理時間を長くすることにより、大きくなる傾向がある。一方、熱処理温度を低くすることや、熱処理時間を短くすることにより、上記最高X線強度比Rは小さくなる傾向がある。この最高X線強度比Rは、工具10の耐久性をより向上させる観点から、0.3以上とすることがより好ましい。
希土類元素とケイ素との酸窒化物は、粒界相において、できるだけ細かく分散して存在することが望ましい。具体的には、例えば、上記酸窒化物の最大粒径が5μm以下の状態で、上記酸窒化物が粒界相に分散していることが望ましい。このように、上記酸窒化物が、粒径が細かい状態で粒界相に分散することにより、粒界相に上記酸窒化物が存在することによる上記効果が得られ易くなる。これに対して、上記酸窒化物の粒径が過大である場合には、粒界に異物が存在することによる影響が大きくなり、セラミック焼結体全体、すなわち、工具10の強度が低下する可能性がある。なお、粒界相における上記酸窒化物の粒径とは、ラインインターセプト法により求めた平均粒径を指す。ラインインターセプト法とは、観察画像上に複数の直線を平行に引き、粒子(上記酸窒化物の凝集体として観察される部分)を上記直線が横切った部分の直線の長さの平均値を、平均粒径として得るという公知の手法である。観察画面は、例えば、工具10の任意の断面を、5000倍の倍率にて観察した視野とすることができる。また、平均粒径を求める際に引く直線の数は、例えば10本とすることができる。
また、本実施形態の工具10は、ビッカース硬度が16GPa以上であることが望ましい。これにより、工具10の耐摩耗性および強度をさらに向上させることができる。本明細書において、ビッカース硬度は、JIS R1610に規定された測定方法に従って、室温(25℃)にて測定された値を指す。ビッカース硬度の測定時の試験荷重は10kgfである。工具10のビッカース硬度は、工具10における既述したα率が高いほど、高くなる傾向がある。また、工具10のビッカース硬度は、工具10における既述した最高X線強度比Rが小さいほど、高くなる傾向がある。ただし、工具10のビッカース硬度は、16GPa未満とすることもできる。
工具10は、既述したセラミック焼結体の表面に、さらにコーティング層を有していてもよい。コーティング層を設けることにより、工具10の耐摩耗性をさらに向上させることができる。コーティング層は、摩擦攪拌接合用工具を構成するために十分な耐熱性を有し、セラミック焼結体との間で望ましくない反応が進行しない物質を用いて構成すればよい。コーティング層の形成方法は,例えばCVDやPVDを採用することができる。
A−2.工具の製造方法:
図3は、工具10の製造方法の一例を示したフローチャートである。以下の説明で用いられる各種の材料や数値(例えば、粉末の平均粒径、混合時間、加熱時間、加熱温度など)は、その一例を示したものであり、これら以外の値を任意に採用することができる。
工具10を製造する際には、まず、セラミック焼結体を得るための原料粉末を秤量する(工程S110)。具体的には、原料粉末は、主原料である窒化ケイ素(Si)粉末と、焼結助剤と、を含み、得られるセラミック焼結体において、αサイアロンおよびβサイアロン、並びに、希土類元素とケイ素の酸窒化物が形成される化合物によって構成される。焼結助剤は、少なくとも、アルミニウム化合物と、希土類元素を含む化合物と、を含む。
アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム(Al)および窒化アルミニウム(AlN)のうちの少なくとも一方が含まれることが好ましい。このようなアルミニウム化合物を用いることにより、窒化ケイ素にアルミニウムと酸素とを固溶させて、窒化ケイ素をサイアロン化することができる。希土類元素を含む化合物としては、例えば、既述した希土類元素の酸化物を用いることができる。このような希土類元素の酸化物と共に、窒化アルミニウム(AlN)を用いる場合には、得られるセラミック焼結体において、上記希土類元素の酸窒化物を容易に形成させることが可能になる。
工程S110の後、秤量した原料粉末の混合および粉砕を行ないスラリーを作製する(工程S120)。混合および粉砕は、例えば、ボールミルを用いて、原料粉末を溶媒(例えば、エタノール)と共に混合することにより、行なうことができる。粉砕時間については、特に限定はないが、例えば20時間〜30時間を例示することができる。これにより、原料粉末を含んだスラリーが得られる。その後、得られたスラリーを湯煎乾燥してエタノールを除去することにより、混合粉末を得ることができる(工程S130)。
工程130の後、得られた混合粉末に対してプレス成形および焼成処理を行ない、セラミック焼結体を得る(工程S140)。プレス成形により得られる成形体の形状については特に限定はないが、例えば、略円柱状とすることができる。工程S140では、混合粉末のプレス成形後、さらに冷間等方圧加圧処理(CIP処理)を行なって成形体を得てもよい。焼成処理は、一次焼成と、熱間等方圧加圧処理(HIP処理)と、粒界相形成のための熱処理と、を含むことができる。一次焼成時の焼成温度は1550〜1950℃、焼成時間は1〜3時間とすることが好ましい。HIP処理の焼成温度は1500〜1800℃、焼成時間は1〜3時間、ガス圧は10〜200MPa、N雰囲気下で行なうことが好ましい。熱処理の加熱温度は1300〜1750℃、加熱時間は1〜3時間、N雰囲気下で行なうことが好ましい。工程S140の後、得られたセラミック焼結体を工具形状に加工(例えば、切削加工、研削加工、研磨など)することにより(工程S150)、工具10が完成する。
以上のように構成された本実施形態の工具10によれば、工具10中に特別な相を設けることによって工具の組成及び製造工程を複雑化することなく、耐熱性および靱性に優れるというサイアロンの特徴を保持しつつ、さらに、耐酸化性および強度(硬度)がより優れた工具とすることができる。すなわち、耐酸化性を高めて被接合物との化学反応を抑えることにより、工具10の耐摩耗性を向上させることができる。また、工具10の強度(硬度)を高めることにより、摩擦攪拌接合時に工具10が損傷することを抑えることができる。その結果、工具10の耐久性を向上する(長寿命化する)ことができる。このような工具10は、アルミニウム等に比べて軟化温度が高い鋼製の被接合物を用いる場合に、特に好適に用いることができる。
B.変形例:
上記実施形態では、工具10の製造時における工程S140で略円柱状に成形すると共に、工程S150において、加工によって突起部12を有する工具形状に加工しているが、異なる構成としてもよい。例えば、工程S140において、工具形状に成形し、工程S150においては、成形体の表面の少なくとも一部を加工することなく、工具10を作製してもよい。
具体的には、工具10の表面において、突起部12の表面およびショルダー部13の面のうちの少なくとも一方が、焼肌面であることとしてもよい。このようにすることで、工程S150における加工の工程を簡素化することができる。また、工具10の耐摩耗性をさらに向上させることが可能になる。特に、突起部12の表面およびショルダー部13の面のうちの一方のみを焼肌面とする場合には、工具10の耐摩耗性を、より向上させることが可能になる。工具10の耐摩耗性を向上させる上記効果は、突起部12の表面およびショルダー部13の面のうちの少なくとも一方が焼肌面であることにより、摩擦攪拌接合時に軟化した被接合物の流動性が影響を受けることにより得られると推察される。なお、突起部12の表面およびショルダー部13の面のうちの少なくとも一方が、焼肌面であるとは、突起部12の表面およびショルダー部13の面のうちの少なくとも一方における少なくとも一部が、焼肌面である場合を含む。
α率、Z値、最高X線強度比R、およびビッカース硬度等が異なる種々の工具としてサンプル1〜26の工具を作製した。そして、各サンプルについて接合試験を行なって、工具としての性能を評価した。図4および図5は、各サンプルに係る測定結果および試験結果を示す説明図である。
[焼結体および工具の作製]
図3に基づき説明した方法により、サンプル1〜26の工具を作製した。より具体的には、いずれのサンプルにおいても、工程S110では、主原料である平均粒径0.1μmの窒化珪素(Si)粉末と、平均粒径1.0μm以下の焼結助剤粉末とを用いた。サンプル1〜13、18〜26では、焼結助剤粉末として、酸化イットリウム(Y)粉末、酸化アルミニウム(Al)粉末、および窒化アルミニウム(AlN)粉末を用いた。これらのサンプル1〜13、18〜26では、それぞれ、窒化珪素(Si)粉末と各焼結助剤粉末の配合比や、焼成処理における加熱温度および加熱時間を異ならせた。また、焼結助剤粉末中の上記酸化イットリウム(Y)に代えて、サンプル14では酸化ユウロピウム(Eu)を用い、サンプル15では酸化ジスプロシウム(Dy)を用い、サンプル16では酸化イッテルビウム(Yb)を用い、サンプル17では酸化ルテチウム(Lu)を用いた。
原料粉末を配合した後、配合した原料粉末とエタノールとを樹脂ポットに入れて24時間混合粉砕してスラリーを得た(工程S120)。その後、スラリーを湯煎乾燥することによりエタノールを除去し、混合粉末を作製した(工程S130)。得られた粉末をプレス成形後、冷間等方圧加圧処理(CIP処理)を行うことで成形体を作製した。
そして、0.1MPa〜0.9MPaの窒素雰囲気下において一次焼成(1700℃〜1800℃、2時間)を行った後、100MPaの窒素雰囲気下において熱間等方圧加圧処理(HIP処理)(1650℃〜1750℃、2時間)を行うことで焼結体を作製した。その後、窒素雰囲気下において熱処理(1500℃〜1700℃、2時間)を行った(工程S140)。この熱処理により、粒界相として、YSi相が生成した。
サンプル1〜17、21〜26では、工程S140において略円柱状に成形し、工程S150において、作製した焼結体に対して加工を行い、ショルダー部13および突起部12を有する工具を作製した(工程S150)。
サンプル18〜20では、工程140において、ショルダー部13および突起部12を有する形状に成形しており、工程150において、ショルダー部13および突起部12の少なくとも一方の表面に対して加工を施していない。具体的には、サンプル18は、ショルダー部13および突起部12の双方の表面全体を、焼肌面とした。サンプル19は、ショルダー部13の表面全体のみを焼肌面とした。サンプル20は、突起部12の表面全体のみを焼肌面とした。なお、サンプル18〜20は、表面に対する加工の有無に係る条件以外は、同じ条件にて作製した。
サンプル21は、ビッカース硬度を低くするために、熱処理温度を他の試料よりも高い1800℃とした。
サンプル22〜26は、工程S150における加工を施したセラミック焼結体の表面に、さらにコーティング層を設けた。具体的には、サンプル22は、サンプル1のセラミック焼結体を基材として用い、サンプル23、25、26は、サンプル3のセラミック焼結体を基材として用い、サンプル24は、サンプル5のセラミック焼結体を基材として用いた。これらの基材に対して、サンプル22〜25はCVD(chemical vapor deposition)法によりコーティング層を形成し、サンプル26はPVD(physical vapor deposition)法によりコーティング層を形成した。CVD法を用いたサンプル22〜25では、成膜材料として、酸窒化アルミニウム(α−AlON)、炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、および窒化チタン(TiN)を用いた。ここで、サンプル22〜24では、膜厚は1.5μmとしており、サンプル25では、膜厚は3.0μmとした。PVD法を用いたサンプル26では、成膜材料として窒化チタンアルミニウム(TiAlN)を用い、膜厚は1.5μmとした。
なお、試験に供した各サンプルの数は、1とした。また、各サンプルの形状は、軸部11の直径は12mm、突起部12の直径は4mm、軸線Xに沿った軸部11の長さは18.5mm、突起部12の長さは1.5mmとした。
[各サンプルの物性測定]
作製した各サンプルについて、α率、Z値、および最高X線強度比Rを導出すると共に、ビッカース硬度を測定した。これらの導出方法及び測定方法は、既述した実施形態と同様の方法とした。
[接合試験]
作製した各サンプルについて、接合試験を行なった。図2に示すように、被接合部材である鋼板を積み重ね、これらの鋼板に工具を押し付けることにより点接合を行った。接合試験は、以下に示す条件で行なった。
<試験条件>
・被接合部材:SUS304(厚さ2mm)
・シールドガス:アルゴン(Ar)
・降下速度:0.5mm/s
・工具押し込み荷重:1.2×10kgf
・回転速度:600rpm
・保持時間:1sec
・打点:60
ここで、「シールドガス」とは、試験中に被接合部材と空気との接触を断つために試験空間に配されたガスを示す。「降下速度」とは、工具10を被接合部材に近接させる際の速度を示す。「工具押し込み荷重」とは、被接合部材に対する工具10の押し込み荷重を示す。「回転速度」とは、工具10の回転速度を示す。「保持時間」とは、被接合部材に対して工具10からの押し込み荷重がかかった状態で保持された時間を示す。「打点」とは、本試験の反復回数を示す。
<評価方法>
試験後の工具状態を評価した。工具状態は、突起部12とショルダー部13における試験前後の軸線Xに沿った長さを測定することにより評価した。判断基準を、以下に示す。判定としては、◎が最も評価が高く、○、△、×の順に評価が下がる。
・×:(i)ショルダー部13の摩耗量が0.5mm以上および突起部12の摩耗量が0.4mm以上のうちの少なくとも一方を満たす、または、(ii)サンプルが損傷(欠け等の破損)。
・△:「×」を満たさないサンプルのうちで、ショルダー部13の摩耗量が0.3mm以上0.5mm未満、および、突起部12の摩耗量が0.2mm以上0.4mm未満、のうちの少なくとも一方を満たす。
・○:「△」を満たさないサンプルのうちで、ショルダー部13の摩耗量が0.2mmより大きく0.3mm未満、および、突起部12の摩耗量が0.05mmより大きく0.2mm未満、のうちの少なくとも一方を満たす。
・◎:ショルダー部13の摩耗量が0.2mm以下、かつ、突起部12の摩耗量が0.05mm以下。
[評価結果]
図4および図5では、以下の要件を満たすものを実施例とし、以下の要件を満たさないものを比較例として示した。
(I)α率が10%以上40%以下であること。
(II)Z値が0.2≦Z≦0.7を満たすこと。
(III)希土類元素と珪素との酸窒化物は、βサイアロンの含有量に対して最高X線強度比Rで0.15以上0.75以下の割合で含有されること。
図4および図5に示すように、サンプル2〜4、7、8、11、12、14〜21、23、25、26は、上記要件(I)〜(III)を満たすため、実施例としている。サンプル1、5、6、9、10、13、22、24は、上記要件(I)〜(III)のいずれかを満たさないため比較例としている。具体的には、サンプル1、5、22、24は要件(III)を満たさず、サンプル6、9は要件(II)を満たさず、サンプル10、13は要件(I)を満たさない。
上記した実施例の各サンプルは、接合試験において「◎」〜「△」の評価が得られた。これに対して、比較例の各サンプルは、接合試験において「×」の評価となった。すなわち、要件(I)〜(III)を満たすことにより、工具の強度および耐摩耗性が向上することが確認された。
最高X線強度比を変更させたサンプル1〜5のうち、最高X線強度比Rが要件(III)の下限値を下回るサンプル1では、摩耗量が大きいことにより、「×」の評価となった(「×」の評価基準の(i))。これに対して、最高X線強度比Rが要件(III)の上限値を上回るサンプル5では、工具が欠損することにより、「×」の評価となった(「×」の評価基準の(ii))。
また、Z値を変更させたサンプル6〜9のうち、Z値が要件(II)の下限値を下回るサンプル6では、摩耗量が大きいことにより、「×」の評価となった(「×」の評価基準の(i))。これに対して、Z値が要件(II)の上限値を上回るサンプル9では、工具が欠損することにより、「×」の評価となった(「×」の評価基準の(ii))。
また、α率を変更させたサンプル10〜13のうち、α率が要件(I)の下限値を下回るサンプル10では、摩耗量が大きいことにより、「×」の評価となった(「×」の評価基準の(i))。これに対して、α率が要件(I)の上限値を上回るサンプル13では、工具が欠損することにより、「×」の評価となった(「×」の評価基準の(ii))。
サンプル14〜17の結果より、要件(I)〜(III)を満たせば、粒界相に存在する酸窒化物を構成する希土類元素がイットリウム以外の元素であっても、同様の効果が得られることが確認できた。
サンプル18〜20の結果より、ショルダー部13の表面、および、突起部12の表面のうちの少なくとも一方を焼肌面とすることが有効であることが確認された。特に、サンプル19、20の結果より、ショルダー部13の表面、および、突起部12の表面のうちの一方のみを焼肌面とすることにより、工具の耐摩耗性および強度をさらに向上させられることが確認できた。
図6は、サンプル19における加工面(研磨面)である突起部12の表面と、非加工面(焼肌面)であるショルダー部13の表面について、X線回折装置により分析を行なった結果を示す図である。研磨面と焼肌面とを比較すると、希土類元素とケイ素の酸窒化物であるYSiのピークのみが、加工によって大幅に小さくなることがわかる。
また、図7Aおよび図7Bは、サンプル3と同様にして作製したセラミック焼結体の、加工前の断面における表面を含む領域について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した様子を示す説明図である。図7Aは2000倍で観察した結果を示し、図7Bは5000倍で観察した結果を示す。図7Aおよび図7Bでは、YSiの部分がより白く示されている。図7Aおよび図7Bから分かるように、焼肌面である表面近傍(例えば、表面から10〜20μm)の領域において、YSiの含有量が極めて多くなっている。このような領域は、研削や研磨等の加工を行なう際には、通常は除去される領域である。また、焼肌面の表面近傍では、加工面の表面近傍に比べて、希土類元素とケイ素の酸窒化物であるYSiの含有量が多いことは、サンプル18〜20において、焼肌面の方が研磨面よりも最高X線強度比Rが大きいことからも理解できる。
上記のように、サイアロン相と粒界相とを備えるセラミック焼結体において、粒界相の少なくとも一部が、希土類元素とケイ素との酸窒化物により形成される場合には、焼成処理後のセラミック焼結体では、表面近傍において、YSiがより多く存在することが分かる。そして、摩擦攪拌接合用工具においては、ショルダー部13の表面と突起部12の表面のうちの少なくとも一方を焼肌面とし、望ましくはショルダー部13の表面と突起部12の表面のうちの一方のみを焼肌面とすることにより、工具の強度および耐摩耗性を向上できることが分かる。
サンプル21の結果より、工具のビッカース硬度が16GPa未満であると、工具の耐摩耗性および強度が比較的抑えられることが確認された。従って、要件(I)〜(III)を満たすことに加えて、さらに、工具のビッカース硬度を16GPa以上とすることが望ましいといえる。
サンプル22〜26の結果から、工具10の表面にコート層を設ける場合には、接合試験の結果として示される工具の耐摩耗性および強度において、コート層を設けない場合と同様の優劣関係(要件(I)〜(III)を満たすことにより、工具の耐久性がより向上すること)が維持されつつ、耐摩耗性および強度が向上する方向に全体的にシフトすることが確認された。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…摩擦攪拌接合用工具
11…軸部
12…突起部
13…ショルダー部
21,22…被接合部材

Claims (4)

  1. 摩擦攪拌接合用工具であって、
    αサイアロンおよびSi6−ZAl8−Zで表わされるβサイアロンを含むサイアロン相と、粒界相と、を含み、
    前記βサイアロンのZ値が、0.2≦Z≦0.7であり、
    前記粒界相の少なくとも一部が、希土類元素とケイ素との酸窒化物により形成されており、
    前記酸窒化物は、前記βサイアロンの含有量に対して最高X線強度比で0.15以上0.75以下の割合で含有されており、
    前記サイアロン相中の前記αサイアロンの割合を示すα率が、10%以上40%以下であることを特徴とする
    摩擦攪拌接合用工具。
  2. 請求項1に記載の摩擦攪拌接合用工具であって、
    ビッカース硬度が16GPa以上であることを特徴とする
    摩擦攪拌接合用工具。
  3. 請求項1または請求項2に記載の摩擦攪拌接合用工具であって、
    該摩擦攪拌接合用工具の軸線方向に延びる軸部と、該軸部における被接合物と接触する側の端部の面から前記軸線方向に突出して設けられた突起部と、を有し、
    前記端部の面、および、前記突起部の表面のうちの少なくとも一方が、焼肌面であることを特徴とする
    摩擦攪拌接合用工具。
  4. 請求項3に記載の摩擦攪拌接合用工具であって、
    前記端部の面、および、前記突起部の表面のうちの一方のみが、焼肌面であることを特徴とする
    摩擦攪拌接合用工具。
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