JP2018013248A - エジェクタ式冷凍サイクル - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷変動に応じて冷媒回路を、機械的に、かつ、確実に切替可能に構成されたエジェクタ式冷凍サイクルを提供する。【解決手段】通常運転時には放熱器12から流出した冷媒をエジェクタ15のノズル部15aへ流入させてエジェクタ15にポンプ作用を発揮される冷媒回路に切り替え、低負荷運転時には放熱器12から流出した冷媒をノズル部15aを迂回させる迂回通路20を介して蒸発器19へ導く冷媒回路に切り替えるための回路切替弁13として、高圧側圧力PHと低圧側圧力PLとの圧力差ΔPに応じて、放熱器12から流出した冷媒をノズル部15a側へ導く第1冷媒通路30bおよび放熱器12から流出した冷媒を迂回通路20側へ導く第2冷媒通路30cのうち、いずれか一方を開いた際に他方を閉じる機械的機構で構成されたものを採用する。【選択図】図2

Description

本発明は、エジェクタを備えるエジェクタ式冷凍サイクルに関する。
従来、エジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置であるエジェクタ式冷凍サイクルが知られている。この種のエジェクタは、エジェクタ式冷凍サイクルにおいて、ノズル部から噴射された高速度の噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器から流出した冷媒を冷媒吸引口から吸引し、噴射冷媒と吸引冷媒とをディフューザ部にて混合させて昇圧させる吸引昇圧作用(いわゆる、ポンプ作用)を発揮する。
さらに、エジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタのポンプ作用によって昇圧された冷媒を圧縮機の吸入口側へ流出させる。これにより、エジェクタ式冷凍サイクルでは、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機へ吸入される吸入冷媒の圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、吸入冷媒の圧力を上昇させることができる。従って、エジェクタ式冷凍サイクルでは、通常の冷凍サイクル装置よりも圧縮機の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)の向上を狙うことができる。
ところが、上述したエジェクタのポンプ作用は、ノズル部から噴射される噴射冷媒の吸引作用および速度エネルギによって生じるので、サイクルを循環する冷媒流量が低下する低負荷運転時には、噴射冷媒の流速が低下してポンプ作用も小さくなってしまう。そして、ポンプ作用が小さくなってしまうと、蒸発器へ冷媒を流入させることができなくなり、エジェクタ式冷凍サイクルが冷凍能力を発揮できなくなってしまうおそれがある。
これに対して、特許文献1には、通常運転時における冷媒回路と低負荷運転時における冷媒回路とを切替可能に構成されたエジェクタ式冷凍サイクルが開示されている。
具体的には、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、放熱器から流出した高圧冷媒をエジェクタのノズル部を迂回させて流す迂回通路を備えている。そして、通常運転時には、高圧冷媒をエジェクタのノズル部へ流入させてエジェクタにポンプ作用を発揮させる冷媒回路に切り替える。一方、低負荷運転時には、高圧冷媒を迂回通路へ流入させて通常の冷媒サイクル装置の同様の冷媒回路に切り替える。
これにより、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、負荷変動によらず冷凍能力を発揮できるようにしている。
特許第4078901号公報
ところで、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置として、三方弁を採用している。しかし、特許文献1には、この三方弁の具体的構成について記載されていない。
例えば、三方弁として、電気的に作動する電気式三方弁が採用されていると、電気式三方弁の作動条件を判定するための検出装置や、電気式三方弁の作動を制御する制御装置が必要となる。このため、エジェクタ式冷凍サイクル10全体としての大型化や、制御態様の複雑化を招きやすい。従って、冷媒回路切替装置としては、機械的な機構によって負荷変動に応じて自動的に作動するものが採用されていることが望ましい。
しかしながら、機械的な機構の冷媒回路切替装置として、例えば、サイクルの高圧側冷媒と低圧側冷媒との圧力差に応じて迂回通路を開閉する差圧弁を採用すると、低負荷運転時に差圧弁が迂回通路を開いても、エジェクタのノズル部の入口側を閉じることができない。その結果、高圧冷媒が迂回通路側とエジェクタのノズル部側の双方へ流入してしまい、冷媒回路を確実に切り替えることができなくなってしまう。
本発明は、上記点に鑑み、負荷変動に応じて冷媒回路を、機械的に、かつ、確実に切替可能に構成されたエジェクタ式冷凍サイクルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、放熱器から流出した冷媒を減圧させるノズル部(15a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(15c)から冷媒を吸引し、噴射冷媒と冷媒吸引口から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部(15d)を有するエジェクタ(15)と、冷媒を蒸発させて冷媒吸引口側へ流出させる蒸発器(19)と、放熱器にて放熱した冷媒を、ノズル部を迂回させて蒸発器の冷媒出口よりも上流側へ導く迂回通路(20)と、迂回通路を介して蒸発器へ流入する冷媒を減圧させる減圧部(34a)と、放熱器にて放熱した冷媒をノズル部側へ導く第1冷媒通路(30b、40b、50b)を開閉するとともに、放熱器にて放熱した冷媒を迂回通路側へ導く第2冷媒通路(30c、40c、50c)を開閉する回路切替弁(13、24、25)と、を備え、
回路切替弁は、第1冷媒通路および第2冷媒通路のいずれか一方を開いた際に他方を閉じる機械的機構で構成されており、さらに、回路切替弁は、圧縮機の吐出口側の冷媒圧力から吸入口側の冷媒圧力を減算した前後差圧(ΔPc)が予め定めた基準前後差圧(KΔPc)よりも低くなっている際には、第2冷媒通路を開くエジェクタ式冷凍サイクルである。
これによれば、回路切替弁(13…25)として、第1冷媒通路(30b…50b)および第2冷媒通路(30c…50c)のいずれか一方を開いた際に他方を閉じる機械的機構が採用されており、さらに、前後差圧(ΔPc)が基準前後差圧(KΔPc)よりも低くなっている際に、第2冷媒通路を開くものを採用している。
従って、前後差圧(ΔPc)が大きくなる通常運転時に、回路切替弁(13…25)が、第1冷媒通路(30b…50b)側を開くように基準前後差圧(KΔPc)を設定することで、放熱器(12)にて放熱した冷媒をエジェクタ(15)のノズル部(15a)へ流入させる冷媒回路に切り替えることができる。
さらに、前後差圧(ΔPc)が小さくなる低負荷運転時に、回路切替弁(13…25)が、第2冷媒通路(30c…50c)側を開くように基準前後差圧(KΔPc)を設定することで、放熱器(12)にて放熱した冷媒を迂回通路(20)へ流入させて蒸発器(19)の冷媒入口側へ導くことができる。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、負荷変動に応じて冷媒回路を、機械的に、かつ、確実に切替可能に構成されたエジェクタ式冷凍サイクルを提供することができる。
ここで、サイクルの起動時等にサイクル内の均圧化が進行していると、前後差圧(ΔPc)が基準前後差圧(KΔPc)よりも低くなる。
従って、サイクルの起動時には、第2冷媒通路側が開き、放熱器(12)にて放熱した冷媒を、迂回通路(20)を介して蒸発器(19)へ流入させる、通常の冷凍サイクル(いわゆる、環状サイクル)を形成することができる。従って、サイクルの起動時に、蒸発器(19)内に滞留している冷凍機油を圧縮機(11)へ戻しやすい。
また、上記のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、回路切替弁(13…25)として、回路切替弁(13…25)の上流側の冷媒の高圧側圧力(PH)から減圧部(34a)の下流側の冷媒の低圧側圧力(PL)を減算した圧力差(ΔP)が予め定めた基準圧力差(KΔP)以上となっている際には、第1冷媒通路(30b…50b)を開くとともに第2冷媒通路(30c…50c)を閉じ、さらに、圧力差(ΔP)が基準圧力差(KΔP)よりも低くなっている際には、第1冷媒通路(30b…50b)を閉じるとともに第2冷媒通路(30c…50c)を開くものを採用してもよい。
この場合は、圧力差(ΔP)が基準圧力差(KΔP)になっている際の前後差圧(ΔPc)を、基準前後差圧(KΔPc)に設定すればよい。
また、上記のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、回路切替弁(13…25)として、回路切替弁(13…25)の上流側の冷媒の高圧側圧力(PH)が予め定めた基準高圧側圧力(KPH)以上となっている際には、第1冷媒通路(30b…50b)を開くとともに第2冷媒通路(30c…50c)を閉じ、さらに、高圧側圧力(PH)が基準高圧側圧力(KPH)より低くなっている際には、第1冷媒通路(30b…50b)を閉じるとともに第2冷媒通路(30c…50c)を開くものを採用してもよい。
この場合は、高圧側圧力(PH)が基準高圧側圧力(KPH)になっている際の前後差圧(ΔPc)を、基準前後差圧(KΔPc)に設定すればよい。
ここで、請求項に記載された「放熱器にて放熱した冷媒」とは、放熱器(12)の少なくとも一部で放熱した冷媒を意味している。また、「蒸発器の冷媒出口よりも上流側へ導く」とは、蒸発器(19)の冷媒入口よりも上流側へ導くことも含まれる。さらに、蒸発器(19)の冷媒出口よりも上流側であれば、蒸発器(19)の冷媒出口よりも下流側(例えば、蒸発器(19)の冷媒通路内)へ導くことも含まれる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの模式的な全体構成図である。 第1実施形態の回路切替弁が第1冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。 第1実施形態の回路切替弁が第2冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。 第1実施形態の回路切替弁が瞬間的に第1冷媒通路および第2冷媒通路の双方を開いている状態の軸方向断面図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの通常運転時における冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの低負荷運転時における冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。 第2実施形態の回路切替弁が第1冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。 第2実施形態の回路切替弁が第2冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。 第3実施形態の回路切替弁が第1冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。 第4実施形態の回路切替弁が第1冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。 第5実施形態の回路切替弁が第1冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。 第5実施形態の回路切替弁が第2冷媒通路を開いた際の軸方向断面図である。
(第1実施形態)
図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。図1の全体構成図に示す本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、空調対象空間である車室内(室内空間)へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷却対象流体は、送風空気である。
このエジェクタ式冷凍サイクル10では、空調熱負荷に応じて、冷媒回路を切り替えることができる。より具体的には、通常運転時は、図1の黒塗矢印に示すように冷媒が流れる冷媒回路に切り替え、通常運転時よりもエジェクタ式冷凍サイクル10の熱負荷が低くなる低負荷運転時は、図1の白抜矢印に示すように冷媒が流れる冷媒回路に切り替えることができる。
さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。この冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
エジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器のうち、圧縮機11は、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで昇圧して吐出するものである。圧縮機11は、車両走行用の駆動力を出力するエンジン(内燃機関)とともにエンジンルーム内に配置されている。さらに、圧縮機11は、プーリ、ベルト等を介してエンジンから出力される回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機である。
より具体的には、この圧縮機11は、吐出容量を変化させることによって冷媒吐出能力を調整可能に構成された斜板式の可変容量型圧縮機である。圧縮機11では、吐出容量を変化させるための図示しない吐出容量制御弁を有している。吐出容量制御弁は、後述する制御装置から出力される制御電流によって、その作動が制御される。
圧縮機11の吐出口には、放熱器12の凝縮部12aの冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12dから送風された車室外空気(外気)を熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。放熱器12は、エンジンルーム内の車両前方側に配置されている。
より具体的には、この放熱器12は、凝縮部12a、レシーバ部12b、および過冷却部12cを有する、いわゆるサブクール型の凝縮器として構成されている。
凝縮部12aは、圧縮機11から吐出された高圧気相冷媒と冷却ファン12dから送風された外気とを熱交換させ、高圧気相冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮用の熱交換部である。レシーバ部12bは、凝縮部12aから流出した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える冷媒容器である。過冷却部12cは、レシーバ部12bから流出した液相冷媒と冷却ファン12dから送風される外気とを熱交換させ、液相冷媒を過冷却する過冷却用の熱交換部である。
冷却ファン12dは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
放熱器12の過冷却部12cの冷媒出口には、回路切替弁13の高圧冷媒入口31aが接続されている。回路切替弁13は、放熱器12の過冷却部12cから流出した冷媒を後述するエジェクタ15のノズル部15aへ流入させる通常運転時の冷媒回路と、放熱器12の過冷却部12cから流出した冷媒を後述する迂回通路20へ流入させる低負荷運転時の冷媒回路とを切り替える冷媒回路切替装置である。
回路切替弁13の詳細構成については、図2〜図4を用いて説明する。図2は、回路切替弁13が、放熱器12から流出した冷媒をエジェクタ15のノズル部15a側へ流入させる冷媒回路に切り替えている状態を示す模式的な断面図である。図3は、回路切替弁13が、放熱器12から流出した冷媒を迂回通路20側へ流入させる冷媒回路に切り替えている状態を示す模式的な断面図である。
さらに、図4は、回路切替弁13が、冷媒回路を切り替える際に、瞬間的に、冷媒をノズル部15a側の冷媒通路および迂回通路20側の冷媒通路の双方を開いた状態を示す模式的な断面図である。
回路切替弁13は、バルブボデー31、弁体部32、コイルバネ33等を有している。バルブボデー31は、図2〜図4に示すように、金属製あるいは樹脂製の複数の構成部材を組み合わせることによって、角柱状あるいは円柱状に形成されている。バルブボデー31は、回路切替弁13の外殻を形成するとともに、内部に弁体部32、コイルバネ33等を収容するものである。
バルブボデー31には、高圧冷媒入口31a、第1冷媒出口31b、第2冷媒出口31cが形成されている。また、バルブボデー31の内部には、流入通路30a、第1冷媒通路30b、第2冷媒通路30cといった複数の冷媒通路が形成されている。
高圧冷媒入口31aは、放熱器12から流出した冷媒を流入通路30a内に流入させる冷媒入口である。第1冷媒出口31bは、第1冷媒通路30bを流通する冷媒をエジェクタ15のノズル部15a側(より具体的には、後述する膨張弁14の冷媒入口側)へ流出させる冷媒出口である。第2冷媒出口31cは、第2冷媒通路30cを流通する冷媒を迂回通路20側へ流出させる冷媒出口である。
第1冷媒通路30bは、流入通路30aに連通して、放熱器12から流出した冷媒をエジェクタ15のノズル部15a側へ導く冷媒通路である。第2冷媒通路30cは、流入通路30aに連通して、放熱器12から流出した冷媒を迂回通路20側へ導く冷媒通路である。
弁体部32は、第1冷媒通路30bの入口部を開閉する球体状のボールバルブ32a、および第2冷媒通路30bの入口部を開閉する円板状の板状バルブ32bを有している。板状バルブ32bのうち、第2冷媒通路30bの入口部に当接する部位には、ゴム製のシール部材32cが配置されている。
ボールバルブ32aと板状バルブ32bは、弁体部32の変位方向へ延びる連結棒によって連結されている。そして、ボールバルブ32aが第1冷媒通路30bを閉じる側に変位すると、板状バルブ32bが第2冷媒通路30cを開く側に変位する。また、ボールバルブ32aが第1冷媒通路30bを開く側に変位すると、板状バルブ32bが第2冷媒通路30cを閉じる側に変位する。
さらに、弁体部32には、板状バルブ32bよりも冷媒流れ下流側の第2冷媒通路30cの円柱状の空間内に配置された受圧部34が連結されている。受圧部34は金属製の円柱状部材で形成されている。第2冷媒通路30cの内径と受圧部34の外径は、隙間バメの寸法関係になっている。このため、受圧部34は、第2冷媒通路30c内に中心軸方向へ摺動可能に配置されている。
なお、第2冷媒通路30cの内周面と受圧部34の外周面との隙間には、シール部材としてのOリングが配置されており、これらの隙間から冷媒が漏れることはない。
また、受圧部34には、中心軸方向に延びて、第2冷媒通路30cの入口側と第2冷媒通路30cの出口側とを連通させるオリフィス孔34aが形成されている。オリフィス孔34aは、第2冷媒通路30cに対して、充分に細い径で形成されている。
従って、第2冷媒通路30cを流通して第2冷媒出口31cから流出する冷媒は、オリフィス孔34aを通過する際に減圧される。さらに、受圧部34には、オリフィス孔34aの入口側冷媒の入口側圧力Priとオリフィス孔34aの出口側冷媒の出口側圧力Proとの差圧が作用する。
つまり、オリフィス孔34aは、迂回通路20を介して後述する蒸発器19へ流入する冷媒を減圧させる減圧部である。本実施形態では、減圧部が回路切替弁13内に形成されていることによって、減圧部と回路切替弁が一体的に形成されている。
コイルバネ33は、弁体部32に対して、ボールバルブ32aが第1冷媒通路30bを閉じるとともに、板状バルブ32bが第2冷媒通路30cを開く側に荷重をかける弾性部材である。
本実施形態のコイルバネ33の荷重は、次に示すように設定されている。まず、以下の説明では、回路切替弁13の上流側の冷媒の高圧側圧力PHからオリフィス孔34aよりも下流側の冷媒の低圧側圧力PLを減算した値を圧力差ΔPと定義する。
この際、本実施形態のコイルバネ33の荷重は、圧力差ΔPが予め定めた基準圧力差KΔP以上となっている際には、第1冷媒通路30bを開くとともに、第2冷媒通路30cを閉じるように設定されている。一方、圧力差ΔPが基準圧力差KΔPよりも低くなっている際には、第1冷媒通路30bを閉じるとともに、第2冷媒通路30cを開くように設定されている。
ここで、低圧側圧力PLは、オリフィス孔34aよりも下流側の冷媒の圧力であるから、後述する蒸発器19の入口側冷媒の圧力、蒸発器19の出口側冷媒の圧力、あるいは、圧縮機11吸入冷媒の圧力を採用することができる。本実施形態では、低圧側圧力PLとして、蒸発器19出口側冷媒の圧力を採用している。もちろん、低圧側圧力PLとして、オリフィス孔34aの出口側冷媒の出口側圧力Proを採用してもよい。
さらに、本実施形態では、圧力差ΔPが基準圧力差KΔPになっている際の圧縮機11の吐出口側の冷媒圧力から吸入口側の冷媒圧力を減算した前後差圧ΔPcを、基準前後差圧KΔPcと定義する。このため、本実施形態のコイルバネ33の荷重は、前後差圧ΔPcが基準前後差圧KΔPcよりも低くなっている際には、回路切替弁13が第1冷媒通路30bを閉じるとともに、第2冷媒通路30cを開くように設定されている。
つまり、本実施形態の回路切替弁13は、第1冷媒通路30bおよび第2冷媒通路30cのいずれか一方を選択的に開く(すなわち、いずれか一方を開いた際に他方を閉じる)機械的機構で構成されている。
また、本実施形態の回路切替弁13では、以下数式F1〜F3の関係を満たすようにコイルバネ33の設定荷重および各種諸元が決定されている。
A1>A2 …(F1)
A1×KΔP>Fsp1 …(F2)
Fsp1>A2×KΔP …(F3)
ここで、A1は、図2〜図4に示すように、弁体部32が第2冷媒通路30cを閉じた際に、弁体部32のうち高圧側圧力PHと入口側圧力Priとの差圧が作用する第1受圧面積A1である。A2は、受圧部34うち入口側圧力Priと出口側圧力Proとの差圧が作用する第2受圧面積A2である。Fsp1は、圧力差ΔPが基準圧力差KΔPとなった際にコイルバネ33が弁体部32に作用させる第1セット荷重Fsp1である。
なお、図2〜図4では、円形状となる第1受圧面積A1の直径に相当する箇所にA1の符号を付している。このことは、第2受圧面積A2、および第3受圧面積においても同様である。
また、本実施形態では、板状バルブ32bのシール部材32cが当接する円筒状のシート部31dの内径と外径の差によって、上記数式F1の関係を実現している。
これに加えて、本実施形態の回路切替弁13では、以下数式F4〜F6の関係を満たすようにコイルバネ33の設定荷重および各種諸元が決定されている。
A2>A3 …(F4)
Fsp2>(A2−A3)×KΔP …(F5)
A2×KΔP>Fsp2 …(F6)
ここで、A3は、図2〜図4に示すように、弁体部32が第1冷媒通路30bを閉じた際に、弁体部32のうち高圧側圧力PHと第1冷媒通路30b側(すなわち、ノズル部15aの入口側)のノズル側圧力Pnozとの差圧が作用する第3受圧面積A3である。Fsp2は、弁体部32が第1冷媒通路30bを閉じている際にコイルバネ33が弁体部32に作用させる第2セット荷重Fsp2である。
さらに、バルブボデー31には、コイルバネ33を支持する受け部材33aが配置されている。この受け部材33aは、バルブボデー31にネジ止めにて固定されている。従って、コイルバネ33の荷重は、受け部材33aを変位させることによって調整することができる。
回路切替弁13の第1冷媒出口31bには、膨張弁14の冷媒入口側が接続されている。この膨張弁14は、いわゆる外部均圧式のボックス型の温度式膨張弁である。
膨張弁14は、放熱器12の過冷却部12cから流出した高圧液相冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させるとともに、サイクルを循環する循環冷媒流量を調整する流量調整装置である。さらに、本実施形態の膨張弁14は、蒸発器19出口側冷媒の過熱度SHが、予め定めた基準過熱度KSHに近づくように循環冷媒流量を調整する。
このような膨張弁14としては、蒸発器19から流出した冷媒の温度および圧力に応じて変位する変位部材(ダイヤフラム)を有する感温部を備え、この変位部材の変位に応じて蒸発器19出口側冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように機械的機構によって弁開度(冷媒流量)が調整されるものを採用することができる。
膨張弁14の冷媒出口には、エジェクタ15のノズル部15aの入口側が接続されている。エジェクタ15は、通常運転時に、膨張弁14から流出した冷媒(すなわち、放熱器12から流出した冷媒)を減圧させる減圧装置としての機能を果たす。
さらに、エジェクタ15は、膨張弁14から流出した冷媒をノズル部15aで減圧させて噴射し、高速度で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器19から流出した冷媒を(すなわち、蒸発器19出口側冷媒)を吸引して輸送する冷媒輸送装置としての機能を果たす。
より具体的には、エジェクタ15は、ノズル部15aおよびボデー部15bを有している。ノズル部15aは、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る形状の金属製(本実施形態では、ステンレス製)の略円筒状部材で形成されている。そして、内部に形成された冷媒通路にて冷媒を等エントロピ的に減圧させるものである。
ノズル部15aの内部に形成された冷媒通路には、通路断面積が最も縮小した喉部(最小通路面積部)が形成され、さらに、この喉部から冷媒を噴射する冷媒噴射口へ向かうに伴って冷媒通路面積が拡大する末広部が形成されている。つまり、ノズル部15aは、ラバールノズルとして構成されている。
さらに、本実施形態では、ノズル部15aとして、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常作動時に、冷媒噴射口から噴射される噴射冷媒の流速が音速以上となるように設定されたものが採用されている。もちろん、ノズル部15aを先細ノズルで構成してもよい。
ボデー部15bは、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金製)の円筒状部材で形成されており、内部にノズル部15aを支持固定する固定部材として機能するとともに、エジェクタ15の外殻を形成するものである。ノズル部15aは、ボデー部15bの長手方向一端側の内部に収容されるように圧入にて固定されている。このため、ノズル部15aとボデー部15bとの固定部(圧入部)から冷媒が漏れることはない。
また、ボデー部15bの外周面のうち、ノズル部15aの外周側に対応する部位には、その内外を貫通してノズル部15aの冷媒噴射口と連通するように設けられた冷媒吸引口15cが形成されている。この冷媒吸引口15cは、ノズル部15aから噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器19から流出した冷媒をエジェクタ15の内部へ吸引する貫通穴である。
さらに、ボデー部15bの内部には、冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒をノズル部15aの冷媒噴射口側へ導く吸引通路、および吸引通路を介してエジェクタ15の内部へ流入した吸引冷媒と噴射冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部であるディフューザ部15dが形成されている。
ディフューザ部15dは、吸引通路の出口に連続するように配置されて、冷媒通路面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させながら、その流速を減速させて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力を上昇させる機能を果たす。従って、エジェクタ15は、冷媒を吸引して、混合冷媒を昇圧させる吸引昇圧作用(いわゆる、ポンプ作用)を発揮することができる。
ディフューザ部15dの冷媒出口には、アキュムレータ16の入口側が接続されている。アキュムレータ16は、ディフューザ部15dから流出した冷媒の気液を分離する気液分離部である。アキュムレータ16には、分離された気相冷媒を流出させる気相冷媒出口と、分離された液相冷媒を流出させるための液相冷媒出口が設けられている。
アキュムレータ16の液相冷媒出口には、逆止弁17を介して、三方継手18の一方の冷媒入口が接続されている。逆止弁17は、アキュムレータ16の液相冷媒出口から流出した冷媒が三方継手18側へ流れることのみを許容するものである。
三方継手18は3つの冷媒出入口を有する配管継手である。本実施形態では、3の冷媒出入口のうち2つを冷媒入口として利用し、残りの1つを冷媒出口として利用している。三方継手18の冷媒出口には、蒸発器19の冷媒入口が接続されている。従って、逆止弁17は、冷媒が蒸発器19の入口側からアキュムレータ16の液相冷媒出口側へ流れることを抑制する抑制機構である。
蒸発器19は、エジェクタ15にて減圧された低圧冷媒と送風ファン19aから車室内へ送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
送風ファン19aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。蒸発器19の出口側には、エジェクタ15の冷媒吸引口15c側が接続されている。さらに、アキュムレータ16の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
また、回路切替弁13の第2冷媒出口31cには、迂回通路20の入口側が接続されている。迂回通路20の出口側には、三方継手18の他方の冷媒入口が接続されている。従って、迂回通路20は、放熱器12にて放熱した冷媒を、エジェクタ15のノズル部15aを迂回させて、蒸発器19の冷媒出口よりも冷媒流れ上流側に配置された三方継手18側へ導く冷媒通路である。
次に、図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。そして、上述の各種電気式のアクチュエータ11、12d、14a等の作動を制御する。
また、制御装置には、内気温センサ、外気温センサ、日射センサ、蒸発器温度センサ、出口側温度センサ、出口側圧力センサ等の複数の空調制御用のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
より具体的には、内気温センサは、車室内温度を検出する内気温検出装置である。外気温センサは、外気温を検出する外気温検出装置である。日射センサは、車室内の日射量を検出する日射量検出装置である。蒸発器温度センサは、蒸発器19の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度検出装置である。出口側温度センサは、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度検出装置である。出口側圧力センサは、放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力検出装置である。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御部が一体的に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御部を構成している。
例えば、本実施形態では、圧縮機11の吐出容量制御弁の作動を制御することによって、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する構成が吐出能力制御部を構成している。もちろん、吐出能力制御部を制御装置に対して、別体の制御装置で構成してもよい。
次に、上記構成における本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の作動について説明する。前述の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、通常運転時の冷媒回路と低負荷運転時の冷媒回路とを切り替えることができる。
より具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、回路切替弁13における圧力差ΔPが基準圧力差KΔPより大きくなっている際に通常運転時の冷媒回路に切り替えられ、圧力差ΔPが基準圧力差KΔP以下となっている際に低負荷運転時の冷媒回路に切り替えられる。
まず、通常運転時の作動について説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が、予め記憶された空調制御プログラムを実行して、圧縮機11の電動モータ、冷却ファン12d、送風ファン19a等の作動を制御する。
ここで、車両の停止後、短時間で再起動する場合等を除き、一般的に、サイクルの起動時には、エジェクタ式冷凍サイクル10内の冷媒の均圧化がなされていることが多い。そして、冷媒の均圧化がなされている場合には、前後差圧ΔPcが基準前後差圧KΔPcよりも低くなる。従って、回路切替弁13では、図3に示すように、第1冷媒通路30bが閉じ、第2冷媒通路30cが開いた状態となる。
その結果、サイクルの起動直後のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図1の白抜矢印に示すように冷媒が流れる。この際、サイクル内の冷媒圧力は、以下、数式F7〜F10に示す関係になっている。
PH=Pri …(F7)
Pri>Pro …(F8)
Pro≒PL …(F9)
Pro≒Pnoz …(F10)
このため、前述した数式F5に示すように、圧力差ΔPによって第1冷媒通路30bを開く側の荷重(すなわち、(A2−A3)×ΔP)が、第1冷媒通路30bを閉じる側の第2セット荷重Fsp2より大きくなるまで、第2冷媒通路30cを開いた状態が維持される。
なお、本実施形態では、高圧側圧力PHとして放熱器12出口側冷媒の圧力(すなわち、回路切替弁13の高圧冷媒入口31aにおける冷媒圧力)を採用している。また、ノズル側圧力Pnozとして、膨張弁14入口側冷媒の圧力(すなわち、回路切替弁13の第1冷媒出口31bにおける冷媒圧力)を採用している。
そして、通常運転時の圧縮機11の吸入圧縮作用によって、高圧側圧力PHと低圧側圧力PLとの圧力差ΔPが拡大し、基準圧力差KΔPに到達すると、図4に示すように弁体部32のボールバルブ32aが第1冷媒通路30bを開くとともに、板状バルブ32bが第2冷媒通路30cを閉じる側に変位する。すなわち、第1冷媒通路30bおよび第2冷媒通路30cの双方が開いた状態になる。
この際、サイクル内の圧力は、以下、数式F11、F12に示す関係に変化する。
PH≒Pnoz …(F11)
PH≒Pri …(F12)
ここで、本実施形態では、数式F4に示すように、第2受圧面積A2が第3受圧面積A3よりも大きくなっているので、数式F6に示すように、圧力差ΔPによって第1冷媒通路30bを開く側の荷重(すなわち、A2×ΔP)が、瞬時に第1冷媒通路30bを閉じる側の第2セット荷重Fsp2よりも大きくなる。
その結果、第1冷媒通路30bおよび第2冷媒通路30cの双方が開いた状態から、瞬時に、図2に示すように、第1冷媒通路30bが開き、第2冷媒通路30cが閉じた状態となる。このため、通常運転時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図1の黒塗矢印に示すように冷媒が流れる。
より具体的には、図5のモリエル線図に示すように、圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒(図5のa点)は、放熱器12の凝縮部12aへ流入する。凝縮部12aへ流入した冷媒は、冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、放熱して凝縮する。凝縮部12aにて凝縮した冷媒は、レシーバ部12bにて気液分離される。レシーバ部12bにて気液分離された液相冷媒は、過冷却部12cにて冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、さらに放熱して過冷却液相冷媒となる(図5のa点→b点)。
放熱器12の過冷却部12cから流出した過冷却液相冷媒は、回路切替弁13の高圧冷媒入口31aから流入通路30aへ流入する。通常運転時の回路切替弁13では、弁体部32が第1冷媒通路30bを開くとともに、第2冷媒通路30cを閉じているので、流入通路30aへ流入した冷媒は、第1冷媒出口31bから流出して、膨張弁14へ流入する。
膨張弁14へ流入した冷媒は、中間圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧される(図5のb点→b1点)。この際、膨張弁14の絞り開度は、蒸発器19出口側冷媒(図5のh点)の過熱度SHが基準過熱度KSHに近づくように調整される。膨張弁14から流出した中間圧冷媒はエジェクタ15のノズル部15aへ流入する。
ノズル部15aへ流入した冷媒は、等エントロピ的に減圧されて噴射される(図5のb1→c点)。そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器19出口側冷媒が、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。ノズル部15aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒は、ディフューザ部15dへ流入する(図5のc→d点、h1点→d点)。
ここで、本実施形態の吸引通路は、冷媒流れ方向に向かって通路断面積が縮小する形状に形成されている。このため、吸引通路を通過する吸引冷媒は、その圧力を低下させながら(図5のh点→h1点)、流速を増加させる。これにより、吸引冷媒と噴射冷媒との速度差を縮小し、ディフューザ部15dにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
ディフューザ部15dでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する(図5のd点→e点)。ディフューザ部15dから流出した冷媒はアキュムレータ16へ流入して気液分離される。
アキュムレータ16にて分離された液相冷媒(図5のg点)は、逆止弁17および三方継手18を介して、蒸発器19へ流入する。液相冷媒が逆止弁17を通過する際には、圧力損失が生じる(図5のg点→g1点)。蒸発器19へ流入した冷媒は、送風ファン19aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する(図5のg1点→h点)。これにより、送風空気が冷却される。
一方、アキュムレータ16にて分離された気相冷媒(図5のf点)は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図5のf点→a点)。
通常運転時のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
また、通常運転時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ部15dにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させることができる。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10によれば、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機吸入冷媒の圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
ここで、通常運転時におけるエジェクタ15の吸引昇圧作用(いわゆる、ポンプ作用)は、ノズル部15aから噴射される高速度の噴射冷媒の吸引作用および速度エネルギによって生じる。
このため、サイクルを循環する冷媒流量が低下する低負荷運転時には、噴射冷媒の流速が低下してポンプ作用も小さくなってしまう。さらに、ポンプ作用が小さくなってしまうと、蒸発器19へ冷媒を流入させることができなくなってしまい、エジェクタ式冷凍サイクル10が冷凍能力を発揮できなくなってしまうおそれがある。
そこで、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、低負荷運転時には、エジェクタ15のノズル部15aを迂回させて冷媒を流す冷媒回路に切り替えて冷凍能力を確実に発揮できるようにしている。
より詳細には、通常運転時には、弁体部32が第1冷媒通路30bを開き、第2冷媒通路30cを閉じているので、サイクルの冷媒圧力は、以下、数式F13、F14に示す関係になっている。
PH=Pnoz …(F13)
PH=Pri …(F14)
このため、前述した数式F2に示すように、圧力差ΔPによって第1冷媒通路30bを開く側の荷重(すなわち、A1×KΔP)が、第1冷媒通路30bを閉じる側の第1セット荷重Fsp1よりも小さくなるまで、第1冷媒通路30bを開いた状態を維持することができる。
そして、サイクルに要求される負荷が低下して、高圧側圧力PHと低圧側圧力PLとの圧力差ΔPが縮小し、基準圧力差KΔPに到達すると、図4に示すように弁体部32のボールバルブ32aが第1冷媒通路30bを閉じる側に変位するとともに、板状バルブ32bが第2冷媒通路30cを開く。すなわち、第1冷媒通路30bおよび第2冷媒通路30cの双方が開いた状態になる。
この際、本実施形態では、数式F1に示すように、第1受圧面積A1が第2受圧面積A2よりも大きくなっているので、数式F3に示すように、圧力差ΔPによって第1冷媒通路30bを開く側の荷重(すなわち、A2×KΔP)が、瞬時に第1冷媒通路30bを閉じる側の第2セット荷重Fsp1よりも小さくなる。
その結果、第1冷媒通路30bおよび第2冷媒通路30cの双方が開いた状態から、瞬時に図3に示すように、第1冷媒通路30bが閉じ、第2冷媒通路30cが開いた状態となる。このため、低負荷運転時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図1の白抜矢印に示すように冷媒が流れる。
より具体的には、図6のモリエル線図に示すように、圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒(図6のa点)は、通常運転時と同様に放熱器12にて過冷却液相冷媒となる(図6のa点→b点)。放熱器12の過冷却部12cから流出した過冷却液相冷媒は、回路切替弁13の流入通路30aへ流入する。
低負荷運転時の回路切替弁13では、弁体部32が第1冷媒通路30bを閉じるととともに、第2冷媒通路30cを開いているので、流入通路30aへ流入した冷媒は第2冷媒通路30cへ流入する。
第2冷媒通路30cへ流入した冷媒は、弁体部32の受圧部34に設けられたオリフィス孔34aにて等エンタルピ的に減圧され(図6のb点→g点)、第2冷媒出口31cから流出して、迂回通路20へ流入する。迂回通路20へ流入した冷媒は、三方継手18を介して、蒸発器19へ流入する。
蒸発器19へ流入した冷媒は、送風ファン19aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する(図6のg点→h点)。これにより、送風空気が冷却される。蒸発器19から流出した冷媒は、エジェクタ15の冷媒吸引口15cへ流入する。
ここで、本実施形態のオリフィス孔34aの流量特性は、低負荷運転時となった際に、蒸発器19から流出した冷媒(すなわち、蒸発器19出口側冷媒)が飽和気相冷媒あるいは気液二相冷媒となるように設定されている。このため、膨張弁14は、低負荷運転時になると、絞り通路を閉塞させる。なお、図6では、蒸発器19出口側冷媒が飽和気相冷媒となっている際のモリエル線図を示している。
エジェクタ15の冷媒吸引口15cへ流入した冷媒は、吸引通路およびディフューザ部15dを流通して、アキュムレータ16へ流入する。アキュムレータ16にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入され再び圧縮される(図6のh点→a点)。
低負荷運転時のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
さらに、低負荷運転時の冷媒回路に切り替わっている際に、エジェクタ式冷凍サイクル10の熱負荷が増加すると、制御装置の吐出能力制御部が圧縮機11の冷媒吐出能力を上昇させる。これにより、圧力差ΔPが基準圧力差KΔPより大きくなり、回路切替弁13の弁体部32が第1冷媒通路30bを開くとともに、第2冷媒通路30cを閉じる。その後の作動は、上述した通常運転時の作動で説明した通りである。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、回路切替弁13として、第1冷媒通路30bおよび第2冷媒通路30cのいずれか一方を開いた際に他方を閉じる機械的機構が採用されている。さらに、回路切替弁13として、前後差圧ΔPcが基準前後差圧KΔPcよりも低くなっている際に第2冷媒通路を開くものが採用されている。
従って、通常運転時には、回路切替弁13が、第1冷媒通路30b側を開くことによって、放熱器12にて放熱した冷媒をエジェクタ15のノズル部15aへ流入させることができる。さらに、低負荷運転時には、回路切替弁13が、第2冷媒通路30c側を開くことによって、放熱器12にて放熱した冷媒を迂回通路20へ流入させて蒸発器19の冷媒入口側へ導くことができる。
すなわち、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、負荷変動に応じて冷媒回路を、機械的に、かつ、確実に切り替えることができる。
ここで、サイクルの起動時にサイクル内の圧力の均圧化が進行している際には、前後差圧ΔPcが基準前後差圧KΔPcよりも低くなる。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、サイクルの起動時には、第2冷媒通路30cが開き、放熱器12にて放熱した冷媒を、迂回通路20を介して蒸発器19へ流入させる、通常の冷凍サイクル(いわゆる、環状サイクル)を形成することができる。従って、サイクルの起動時に、蒸発器19内に滞留している冷凍機油を圧縮機11へ戻しやすい。
また、本実施形態では、回路切替弁13として、圧力差ΔPが基準圧力差KΔP以上となっている際に、第1冷媒通路30bを開き、さらに、圧力差ΔPが基準圧力差KΔPよりも低くなっている際に、第2冷媒通路30cを開くものを採用している。
そして、上記数式F1〜F3を満足するように、第1受圧面積A1、第2受圧面積A2、およびコイルバネ33の設定荷重Fsp1を設定しているので、圧力差ΔPが基準圧力差KΔP以上となった際に、通常運転時の冷媒回路から低負荷運転時の冷媒回路へ、瞬時に切り替えることができる。
さらに、上記数式F4〜F6を満足するように、第2受圧面積A2、第3受圧面積A3、およびコイルバネ33の設定荷重Fsp2を設定しているので、圧力差ΔPが基準圧力差KΔPより低くなった際に、低負荷運転時の冷媒回路から通常運転時の冷媒回路へ、瞬時に切り替えることができる。
また、本実施形態の回路切替弁13では、受圧部34のオリフィス孔34aによって、減圧部を構成しているので、容易に減圧部を形成することができる。もちろん、バルブボデー31に受圧部34の冷媒流れ上流側と下流側との接続する冷媒通路を形成し、この冷媒通路に減圧部としてのオリフィス、キャピラリチューブ等を配置してもよい。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、回路切替弁の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図7、図8に示す回路切替弁24を採用している。
図7は、回路切替弁24が、放熱器12から流出した冷媒をエジェクタ15のノズル部15a側へ流入させる冷媒回路に切り替えている状態を示す模式的な断面図である。図8は、回路切替弁24が、放熱器12から流出した冷媒を迂回通路20側へ流入させる冷媒回路に切り替えている状態を示す模式的な断面図である。
回路切替弁24は、バルブボデー41、第1弁体部42、第1コイルバネ43、第1駆動機構44、第2弁体部45、第2コイルバネ46、第2駆動機構47等を有している。
バルブボデー41は、図7、図8に示すように、金属製あるいは樹脂製の複数の構成部材を組み合わせることによって、角柱状あるいは円柱状に形成されている。バルブボデー41は、回路切替弁24の外殻を形成するとともに、内部に第1弁体部42、第1コイルバネ43、第2弁体部45、第2コイルバネ46等を収容するものである。
バルブボデー41には、第1実施形態で説明した回路切替弁13と同様の高圧冷媒入口41a、第1冷媒出口41b、第2冷媒出口41cが形成されている。また、バルブボデー41の内部には、回路切替弁13と同様の流入通路40a、第1冷媒通路40b、第2冷媒通路40cといった複数の冷媒通路が形成されている。
第1弁体部42は、第1冷媒通路40bを開閉する円柱状の弁体である。第1コイルバネ43は、第1弁体部42に対して、第1冷媒通路40bを開く側の荷重をかける第1弾性部材である。第1駆動機構44は、回路切替弁24の上流側の冷媒の高圧側圧力PH(本実施形態では、放熱器12出口側冷媒の圧力)に応じて第1弁体部42を変位させるための駆動力を出力するものである。
より具体的には、第1駆動機構44は、図7、図8に示すように、バルブボデー41の外部に取り付けられている。第1駆動機構44は、第1ケース44aおよび第1ダイヤフラム44bを有している。第1ケース44aは、金属製の杯状部材(すなわち、カップ状部材)の開口部側同士を結合させることによって形成された第1空間形成部材である。このため、第1ケース44aの内部に空間が形成されている。
第1ケース44aの内部には、第1圧力応動部材である第1ダイヤフラム44bが配置されている。第1ダイヤフラム44bは、金属製の円形薄板で形成されている。第1ダイヤフラム44bの外周縁部は全周に亘って、第1ケース44aに固定されている。このため、第1ケース44aの内部空間は、第1ダイヤフラム44bによって、第1封入空間44cおよび第1導入空間44dの2つの空間に仕切られている。
第1封入空間44cには、不活性ガス(本実施形態では、ヘリウムガス)が予め定めた基準封入圧力となるように封入されている。一方、第1導入空間44dは、流入通路40aに連通している。このため、第1導入空間44d内の冷媒圧力は、放熱器12出口側冷媒の高圧側圧力PHとなる。従って、第1ダイヤフラム44bは、封入空間44c内の不活性ガスの圧力と高圧側圧力PHとの圧力差に応じて変位する。
ここで、ボイル・シャルルの法則からも明らかなように、第1封入空間44c内の不活性ガスは、僅かに温度変化が生じても大きく圧力変化しない。このため、本実施形態の第1封入空間44c内の圧力は、エジェクタ式冷凍サイクル10の一般的な使用環境下では、略一定となる。従って、本実施形態の第1ダイヤフラム44bは、実質的に放熱器12出口側冷媒の高圧側圧力PHに応じて変位する。
さらに、第1ダイヤフラム44bの変位は、第1弁体部42の変位方向に延びる円柱状の第1作動棒42aを介して、第1弁体部42に伝達される。
従って、高圧側圧力PHが上昇して、第1ダイヤフラム44bが第1封入空間44cを縮小させる側へ変位すると、図7に示すように、第1弁体部42は、第1冷媒通路40bを開く側へ変位する。一方、高圧側圧力PHが低下して、第1ダイヤフラム44bが第1封入空間44cを拡大させる側へ変位すると、図8に示すように、第1弁体部42は、第1冷媒通路40bを閉じる側へ変位する。
そこで、本実施形態では、高圧側圧力PHが予め定めた基準高圧側圧力KPH以上となっている際に、第1弁体部42が第1冷媒通路40bを開くように、第1封入空間44c内の不活性ガスの基準封入圧力を設定している。
次に、第2弁体部45は、第2冷媒通路40cを開閉する球状の弁体である。第2コイルバネ46は、第2弁体部45に対して、第2冷媒通路40cを閉じる側の荷重をかける第2弾性部材である。第2駆動機構47は、回路切替弁24の上流側の冷媒の高圧側圧力PHに応じて第2弁体部45を変位させるための駆動力を出力するものである。
第2駆動機構47は、図7、図8に示すように、バルブボデー41の外部に取り付けられている。第2駆動機構47の基本的構成は、第1駆動機構44と同様である。従って、第2駆動機構47は、第2空間形成部材である第2ケース47a、第2圧力応動部材である第2ダイヤフラム47bを有している。
第2ケース47aの内部空間は、第2ダイヤフラム47bによって、第2封入空間47cおよび第2導入空間47dの2つの空間に仕切られている。第2ダイヤフラム47bは、第1駆動機構44の第1ダイヤフラム44bと同様に、実質的に放熱器12出口側冷媒の高圧側圧力PHに応じて変位する。
さらに、第2ダイヤフラム47bの変位は、第2弁体部45の変位方向に延びる円柱状の第2作動棒45aを介して、第2弁体部45に伝達される。
従って、高圧側圧力PHが上昇して、第2ダイヤフラム47bが第2封入空間47cを縮小させる側へ変位すると、図7に示すように、第2弁体部45は、第2冷媒通路40cを閉じる側へ変位する。一方、高圧側圧力PHが低下して、第2ダイヤフラム47bが第2封入空間47cを拡大させる側へ変位すると、図8に示すように、第2弁体部45は、第2冷媒通路40cを開く側へ変位する。
そこで、本実施形態では、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPH以上となっている際に、第2弁体部45が第2冷媒通路40cを閉じるように、第2封入空間47c内の不活性ガスの基準封入圧力を設定している。従って、第1封入空間44c内の不活性ガスの基準封入圧力と第2封入空間47c内の不活性ガスの基準封入圧力は同じである。
これにより、本実施形態の回路切替弁24では、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPH以上となっている際には、第1冷媒通路40bを開くとともに第2冷媒通路40cを閉じる。一方、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPHより低くなっている際には、第1冷媒通路40bを閉じるとともに第2冷媒通路40cを開く。
さらに、本実施形態では、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPHになっている際の圧縮機11の前後差圧ΔPcを、基準前後差圧KΔPcと定義する。このため、本実施形態の回路切替弁24では、一般的なサイクルの起動時のように、前後差圧ΔPcが基準前後差圧KΔPcよりも低くなっている際には、第1冷媒通路40bを閉じるとともに、第2冷媒通路40cを開く。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、迂回通路20に蒸発器19へ流入する冷媒を減圧させる減圧部としての固定絞りが配置されている。この固定絞りとしては、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用することができる。
その他のエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、回路切替弁24として、第1、第2駆動機構44、47を備えるものを採用している。このように封入空間内の気体圧力と導入空間内の冷媒圧力との圧力差によって、圧力応動部材(ダイヤフラム)を変位させる駆動機構では、導入空間内の圧力(本実施形態では、高圧側圧力PH)が急変動しても、封入空間がダンパーとして機能する。このため、圧力応動部材(ダイヤフラム)の急変位が抑制される。
従って、通常運転時の冷媒回路と低負荷運転時の冷媒回路とを切り替える際の第1、第2弁体部42、45の振動やハンチング現象を抑制することができる。その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても、負荷変動に応じて冷媒回路を、機械的に、かつ、確実に切り替えることができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態に対して、図9に示すように、回路切替弁24の構成を変更した例を説明する。
より具体的には、本実施形態の第1弁体部42には、流入通路40aと第1冷媒通路40bとを連通させる第1パイロット孔42bが形成されている。また、第1作動棒42aは、第1ダイヤフラム44bの変位に応じて、第1パイロット孔42bを開閉するように配置されている。さらに、バルブボデー41には、流入通路40aと第1冷媒通路40bとを連通させるための連通路41dが形成されている。その他の回路切替弁24の構成は、第2実施形態と同様である。
次に、本実施形態の回路切替弁24の作動について説明する。まず、高圧側圧力PHが上昇すると第1ダイヤフラム44bが第1封入空間44cを縮小させる側に変位する。そして、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPH以上になると、第1ダイヤフラム44bに連結された第1作動棒42aが第1パイロット孔42bを開く。
これにより、連通路41dおよび第1パイロット孔42bを介して、第1弁体部42の下流側に放熱器12から流出した冷媒が流れ込む。第1弁体部42の冷媒流れ上流側の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力との圧力差が縮小し、第1コイルバネ43の荷重によって、第1弁体部42が第1冷媒通路40bを開く。
一方、高圧側圧力PHが上昇すると第1ダイヤフラム44bが第1封入空間44cを拡大させる側に変位して、第1作動棒42aが第1弁体部42の第1パイロット孔42bを閉じる。そして、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPH以上になると、第1作動棒42aとともに第1弁体部42が変位して第1冷媒通路40bを閉じる。
その他の回路切替弁24の作動は、第2実施形態と同様である。本実施形態の回路切替弁24においても、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPH以上となっている際には、第1冷媒通路40bを開くとともに第2冷媒通路40cを閉じる。一方、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPHより低くなっている際には、第1冷媒通路40bを閉じるとともに第2冷媒通路40cを開く。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の回路切替弁24では、低負荷運転時に、第1弁体部42の冷媒流れ上流側の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力との圧力差が大きくなっていても、第1パイロット孔42bを開閉することで、第1弁体部42を開くことができる。従って、比較的小さな駆動力で第1弁体部42を開くことができ、第1駆動機構44の大型化を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1弁体部42に第1パイロット孔42bを形成した例を説明したが、もちろん、第2弁体部45が、流入通路40aと第2冷媒通路40cとを連通させる第2パイロット孔45bを有し、第2駆動機構47の第2ダイヤフラム47bが第2パイロット孔45bを開閉する第2作動棒45aに連結されていてもよい。
(第4実施形態)
本実施形態では、第2実施形態に対して、図10に示すように、回路切替弁24の構成を変更した例を説明する。より具体的には、本実施形態の回路切替弁24は、第1封入空間44cと第2封入空間47cとを連通させる封入空間連通路41eを有している。その他の回路切替弁24およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第2実施形態と同様である。
これによれば、第1封入空間44c内の不活性ガスの圧力と第2封入空間47c内の不活性ガスの圧力を一致させることができるので、第1弁体部42および第2弁体部45を確実に連動させることができる。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10よれば、より一層、確実に負荷変動に応じて冷媒回路を切り替えることができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第2実施形態に対して、回路切替弁の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図11、図12に示す回路切替弁25を採用している。
図11は、回路切替弁25が、放熱器12から流出した冷媒をエジェクタ15のノズル部15a側へ流入させる冷媒回路に切り替えている状態を示す模式的な断面図である。図12は、回路切替弁25が、放熱器12から流出した冷媒を迂回通路20側へ流入させる冷媒回路に切り替えている状態を示す模式的な断面図である。
回路切替弁25は、バルブボデー51、第1弁体部52、第1コイルバネ53、第2弁体部55、第2コイルバネ56、共用駆動機構57、共用作動棒58等を有している。
バルブボデー51は、図11、図12に示すように、金属製あるいは樹脂製の複数の構成部材を組み合わせることによって、角柱状あるいは円柱状に形成されている。バルブボデー51は、回路切替弁24の外殻を形成するとともに、内部に第1弁体部52、第1コイルバネ53、第2弁体部55、第2コイルバネ56、共用作動棒58等を収容するものである。
バルブボデー51には、第1実施形態で説明した回路切替弁13と同様の高圧冷媒入口51a、第1冷媒出口51b、第2冷媒出口51cが形成されている。また、バルブボデー51の内部には、回路切替弁13と同様の流入通路50a、第1冷媒通路50b、第2冷媒通路50cといった複数の冷媒通路が形成されている。
第1弁体部52は、第1冷媒通路50bの入口部を開閉する円柱状の弁体である。第1コイルバネ53は、第1弁体部52に対して、第1冷媒通路50bを閉じる側の荷重をかける第1弾性部材である。第1弁体部52の中心部には、軸方向に貫通する貫通穴が形成されている。この貫通穴の内部には、共用作動棒58が配置されている。
第2弁体部55は、第2冷媒通路50cの入口部を開閉する球状の弁体である。第2コイルバネ56は、第2弁体部55に対して、第2冷媒通路50cを閉じる側の荷重をかける第2弾性部材である。
共用駆動機構57は、第1弁体部52および第2弁体部55の双方を変位させるための駆動力を出力するものである。共用駆動機構57は、図11、図12に示すように、バルブボデー51の外部に取り付けられている。共用駆動機構57の基本的構成は、第2実施形態で説明した第1、第2駆動機構44、47と同様である。
従って、共用駆動機構57は、共用空間形成部材である共用ケース57a、共用圧力応動部材である共用ダイヤフラム57bを有している。共用ケース57aの内部空間は、共用ダイヤフラム57bによって、共用封入空間57cおよび共用導入空間57dの2つの空間に仕切られている。共用ダイヤフラム57bは、実質的に放熱器12出口側冷媒の高圧側圧力PHに応じて変位する。
さらに、共用ダイヤフラム57bの変位は、第1弁体部52および第2弁体部55の変位方向に延びる円柱状の共用作動棒58を介して、第1弁体部52および第2弁体部55の双方へ伝達される。
具体的には、高圧側圧力PHが上昇して、共用ダイヤフラム57bが共用封入空間57cを縮小させる側へ変位すると、共用作動棒58も共用ダイヤフラム57bと同じ側へ変位する。これにより、図11に示すように、第1弁体部52は、共用作動棒58の外表面に形成された突起部58aと係合して第1冷媒通路50bを開く側へ変位する。一方、第2弁体部55は、第2コイルバネ56の荷重によって、第2冷媒通路50cを閉じる側へ変位する。
また、高圧側圧力PHが低下して、共用ダイヤフラム57bが共用封入空間57cを拡大させる側へ変位すると、共用作動棒58も共用ダイヤフラム57bと同じ側へ変位する。これにより、図12に示すように、第1弁体部52は、第1コイルバネ53の荷重によって、第1冷媒通路50bを閉じる側へ変位する。一方、第2弁体部55は、共用作動棒58とともに、第2冷媒通路50cを開く側へ変位する。
そこで、本実施形態では、高圧側圧力PHが予め定めた基準高圧側圧力KPH以上となっている際には、第1冷媒通路50bを開くとともに第2冷媒通路50cを閉じ、高圧側圧力PHが基準高圧側圧力KPHより低くなっている際には、第1冷媒通路50bを閉じるとともに第2冷媒通路50cを開くように、共用封入空間57c内の不活性ガスの基準封入圧力を設定している。
その他のエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第2実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の回路切替弁25によれば、第1弁体部52および第2弁体部55を変位させる駆動機構および作動棒を共通のものとすることができるので、回路切替弁25の小型化や低コスト化を図ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクルのサイクル構成は、上述の実施形態に開示された構成に限定されない。例えば、エジェクタ15のディフューザ部15dの冷媒出口とアキュムレータ16の入口との間に、冷媒を蒸発させる補助蒸発器を配置してもよい。
これによれば、通常運転時には、エジェクタ15の昇圧作用によって、補助蒸発器における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)を蒸発器19における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも上昇させることができる。従って、双方の蒸発器において、異なる温度帯で冷媒を蒸発させることができる。さらに、低負荷運転時にも、蒸発器19および補助蒸発器を直列的に接続して、双方の蒸発器にて、冷凍能力を発揮することができる。
また、エジェクタ式冷凍サイクル10に、放熱器12から流出した高圧冷媒と、蒸発器19から流出した低圧冷媒あるいは圧縮機11へ吸入させる吸入冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を追加してもよい。
(2)エジェクタ式冷凍サイクル10を構成する各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、エンジン駆動式の可変容量型圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11として、電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を採用してもよい。さらに、固定容量型圧縮機構と電動モータとを備え、電力を供給されることによって作動する電動圧縮機を採用してもよい。電動圧縮機では、電動モータの回転数を調整することによって、冷媒吐出能力を制御することができる。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、サブクール型の熱交換器を採用した例を説明したが、凝縮部12aのみからなる通常の放熱器を採用してもよい。さらに、通常の放熱器とともに、この放熱器にて放熱した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える受液器(レシーバ)を一体化させたレシーバ一体型の凝縮器を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、膨張弁14を採用したが、膨張弁14は本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、必須の構成ではない。さらに、膨張弁14を採用する場合には、膨張弁14、エジェクタ15、アキュムレータ16等を一体的に構成してもよい。例えば、エジェクタ15のノズル部15aの内部にニードル状あるいは円錐状の弁体部を配置し、この弁体部を蒸発器19出口側冷媒の過熱度SHが基準過熱度KSHに近づくように変位させることで、膨張弁14とエジェクタ15とを一体化させてもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR134aを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、HFO系冷媒(R1234yf、HFO−1234ze、HFO−1234zd)、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用することができる。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。さらに、冷媒として二酸化炭素を採用して、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成してもよい。
(3)上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両用空調装置に適用した例を説明したが、エジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。例えば、据置型空調装置、冷温保存庫、自動販売機用冷却加熱装置等に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ15を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10の放熱器12を冷媒と外気とを熱交換させる室外側熱交換器とし、蒸発器19を送風空気を冷却する利用側熱交換器としている。これに対して、蒸発器19を外気等の熱源から吸熱する室外側熱交換器として用い、放熱器12を空気あるいは水等の被加熱流体を加熱する利用側熱交換器として用いてもよい。
10 エジェクタ式冷凍サイクル
11 圧縮機
12 放熱器
13、24、25 回路切替弁
15 エジェクタ
19 蒸発器
20 迂回通路
30a、40a、50a 流入通路
30b、40b、50c 第1冷媒通路
30c、40c、50a 第2冷媒通路
34a オリフィス孔(減圧部)

Claims (12)

  1. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、
    前記放熱器から流出した冷媒を減圧させるノズル部(15a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(15c)から冷媒を吸引し、前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部(15d)を有するエジェクタ(15)と、
    冷媒を蒸発させて前記冷媒吸引口側へ流出させる蒸発器(19)と、
    前記放熱器にて放熱した冷媒を、前記ノズル部を迂回させて前記蒸発器の冷媒出口よりも上流側へ導く迂回通路(20)と、
    前記迂回通路を介して前記蒸発器へ流入する冷媒を減圧させる減圧部(34a)と、
    前記放熱器にて放熱した冷媒を前記ノズル部側へ導く第1冷媒通路(30b、40b、50b)を開閉するとともに、前記放熱器にて放熱した冷媒を前記迂回通路側へ導く第2冷媒通路(30c、40c、50c)を開閉する回路切替弁(13、24、25)と、を備え、
    前記回路切替弁は、前記第1冷媒通路および前記第2冷媒通路のいずれか一方を開いた際に他方を閉じる機械的機構で構成されており、
    さらに、前記回路切替弁は、前記圧縮機の吐出口側の冷媒圧力から吸入口側の冷媒圧力を減算した前後差圧(ΔPc)が予め定めた基準前後差圧(KΔPc)よりも低くなっている際には、前記第2冷媒通路を開くものであるエジェクタ式冷凍サイクル。
  2. 前記回路切替弁(13)は、前記回路切替弁の上流側の冷媒の高圧側圧力(PH)から前記減圧部の下流側の冷媒の低圧側圧力(PL)を減算した圧力差(ΔP)が予め定めた基準圧力差(KΔP)以上となっている際には、前記第1冷媒通路を開くとともに前記第2冷媒通路を閉じ、さらに、前記圧力差(ΔP)が前記基準圧力差(KΔP)よりも低くなっている際には、前記第1冷媒通路を閉じるとともに前記第2冷媒通路を開くものである請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  3. 前記回路切替弁(13)は、前記第1冷媒通路(30b)および前記第2冷媒通路(30c)が形成されたボデー(31)、前記第1冷媒通路および前記第2冷媒通路を開閉する弁体部(32)、前記弁体部に連結されて前記弁体部よりも冷媒流れ下流側に配置される受圧部(34)、および前記弁体部に対して荷重をかける弾性部材(33)を有し、
    前記受圧部には、前記減圧部の入口側冷媒の入口側圧力(Pri)と前記減圧部の出口側冷媒の出口側圧力(Pro)との差圧が作用しており、
    前記弾性部材は、前記弁体部に対して前記弁体部が前記第1冷媒通路を閉じるとともに前記第2冷媒通路を開く側に荷重をかけるものであり、
    前記弁体部が前記第2冷媒通路を閉じた際に、前記弁体部のうち前記高圧側圧力(PH)と前記減圧部の入口側冷媒の入口側圧力(Pri)との差圧が作用する面積を第1受圧面積(A1)と定義し、
    前記受圧部のうち前記入口側圧力(Pri)と前記減圧部の出口側冷媒の出口側圧力(Pro)との差圧が作用する面積を第2受圧面積(A2)と定義し、
    前記圧力差(ΔP)が前記基準圧力差(KΔP)となった際の前記弾性部材が前記弁体部に作用させる荷重を第1セット荷重Fsp1と定義したときに、
    A1>A2
    となっており、
    A1×KΔP>Fsp1、かつ、Fsp1>A2×KΔP
    となっている請求項2に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  4. 前記減圧部は、前記受圧部に形成されている請求項3に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  5. 前記回路切替弁(13)は、前記第1冷媒通路(30b)および前記第2冷媒通路(30c)が形成されたボデー(31)、前記第1冷媒通路および前記第2冷媒通路を開閉する弁体部(32)、前記弁体部に連結されて前記弁体部よりも冷媒流れ下流側に配置される受圧部(34)、および前記弁体部に対して荷重をかける弾性部材(33)を有し、
    前記受圧部のうち前記入口側圧力(Pri)と前記減圧部の出口側冷媒の出口側圧力(Pro)との差圧が作用する面積を第2受圧面積(A2)と定義し、
    前記弁体部が前記第1冷媒通路を閉じた際に、前記弁体部のうち前記高圧側圧力(PH)と前記ノズル部の入口側のノズル側圧力(Pnoz)との差圧が作用する面積を第3受圧面積(A3)と定義し、
    前記弁体部が前記第1冷媒通路を閉じている際に前記弾性部材が前記弁体部に作用させる荷重を第2セット荷重Fsp2と定義したときに、
    A2>A3
    となっており、
    Fsp2>(A2−A3)×KΔP、かつ、A2×KΔP>Fsp2
    となっている請求項2ないし4のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  6. 前記回路切替弁(24、25)は、前記回路切替弁の上流側の冷媒の高圧側圧力(PH)が予め定めた基準高圧側圧力(KPH)以上となっている際には、前記第1冷媒通路を開くとともに前記第2冷媒通路を閉じ、さらに、前記高圧側圧力(PH)が前記基準高圧側圧力(KPH)より低くなっている際には、前記第1冷媒通路を閉じるとともに前記第2冷媒通路を開くものである請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  7. 前記回路切替弁(24)は、前記放熱器にて放熱した冷媒を流入させる流入通路(40a)が形成されたボデー(41)、前記第1冷媒通路を開閉する第1弁体部(42)、前記第1弁体部を変位させる第1駆動機構(44)、前記第2冷媒通路を開閉する第2弁体部(45)、および前記第2弁体部を変位させる第2駆動機構(47)とを有し、
    前記第1冷媒通路(40b)および前記第2冷媒通路(40c)は、前記ボデーに形成されており、
    前記第1駆動機構は、予め定めた基準封入圧力となるように気体が封入される第1封入空間(44c)を形成する第1空間形成部材(44)、および前記第1封入空間内の気体圧力と前記流入通路内の冷媒圧力との圧力差に応じて変位する第1圧力応動部材(44b)を有し、
    前記第2駆動機構は、前記基準圧力となるように気体が封入される第2封入空間(47c)を形成する第2空間形成部材(47)、および前記第2封入空間内の気体圧力と前記流入通路内の冷媒圧力との圧力差に応じて変位する第2圧力応動部材(47b)を有している請求項6に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  8. 前記第1弁体部は、前記流入通路と前記第1冷媒通路とを連通させる第1パイロット孔(42b)を有し、
    前記第1圧力応動部材は、前記第1パイロット孔を開閉する第1作動棒(42a)に連結されている請求項7に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  9. 前記第1封入空間と前記第2封入空間とを連通させる封入空間連通路(41e)を有している請求項7または8に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  10. 前記回路切替弁(25)は、前記放熱器にて放熱した冷媒を流入させる流入通路(50a)が形成されたボデー(51)、前記第1冷媒通路(50b)を開閉する第1弁体部(52)、前記第2冷媒通路(50c)を開閉する第2弁体部(55)、並びに、前記第1弁体部および前記第2弁体部の双方を変位させる共用駆動機構(57)とを有し、
    前記第1冷媒通路および前記第2冷媒通路は、前記ボデーに形成されており、
    前記共用駆動機構は、予め定めた基準圧力となるように気体が封入される共用封入空間(57c)を形成する共用空間形成部材(57a)、前記共用空間形成部材内の気体圧力と前記流入通路内の冷媒圧力との差圧に応じて変位する共用圧力応動部材(57b)、前記共用圧力応動部材の変位を前記第1弁体部および前記第2弁体部の双方へ伝達する共用作動棒(58)を有している請求項6に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  11. 前記気体は、不活性ガスである請求項7ないし10のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  12. さらに、前記昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する気液分離部(16)と、
    冷媒が前記蒸発器の冷媒入口側から前記気液分離部の液相冷媒出口側へ流れること抑制する抑制機構(17)と、を備え、
    前記気液分離部の気相冷媒出口は、前記圧縮機の吸入口側に接続されており、
    前記液相冷媒出口は、前記蒸発器の冷媒入口側に接続されている請求項1ないし11のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
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