JP2018012881A - 環状ワークの焼入れ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な真円度を有する焼入れ処理された環状ワークを低コストで提供することができる。【解決手段】 環状ワークの焼入れ方法であって、環状ワークは金属で形成され、環状ワークを焼入れ温度に加熱する加熱工程と、焼入れ温度に加熱された環状ワークの径寸法を取得し、取得した前記径寸法に基づいて、加熱された環状ワークを少なくとも大径部と小径部とに区分けする解析工程と、前記解析工程で少なくとも大径部と小径部とに区分けされた環状ワークに冷却液を噴射する冷却工程と、を含み、前記冷却工程において、前記大径部と前記小径部との寸法差が小さくなるように、前記大径部と前記小径部とに異なる噴射条件で冷却液を噴射することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、金属で形成された環状ワークの焼入れ方法に関する。
環状部材としての例えば転がり軸受の軌道輪は、主に鋼材で形成され、例えば、軸受鋼や浸炭鋼などの軸受用鋼で形成されている。上記軌道輪は、所望の機械的強度とするために、環状ワークに焼入れなどの熱処理を施す必要がある。
ところが、環状ワークを焼入れすると、真円度が悪化したり、外径や内径の寸法バラツキが大きくなったりするという問題がある。
環状部材の外径及び内径のバラツキを抑制する手法として、例えば、特許文献1には、環状部材の外周面に当接して上記環状部材の径方向外側への変形を規制する外周拘束具と、上記環状部材の内周面に当接して上記環状部材の径方向内側への変形を規制する内周拘束具とを備えた焼入れ装置を用いて焼入れ処理を行う手法が提案されている。
特開2014−62308号公報
特許文献1に開示された手法によれば、焼入れ後の環状部材の真円度の悪化や寸法バラツキの増大を回避することは期待できるものの、拘束具を別途用意する必要があるためコストの増大を避けることができないという問題があった。また、この拘束具は環状部材のサイズ(型番)に応じて交換する必要があるため、環状部材のサイズを変更する毎に、焼入れ装置の段取り換えをする必要がある。そのため、サイズの異なる環状部材の焼入れに迅速に対応することも困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、焼入れ後の環状ワークの真円度の悪化や、寸法バラツキの増大を回避することが可能な焼入れ処理を低コストで行うことができ、また、焼入れ対象となる環状ワークのサイズなどの変更にも迅速に対応することができる焼入れ方法を提供することを目的とする。
第1の本発明は、環状ワークの焼入れ方法であって、
環状ワークは金属で形成され、
環状ワークを焼入れ温度に加熱する加熱工程と、
焼入れ温度に加熱された環状ワークの径寸法を取得し、取得した上記径寸法に基づいて、加熱された環状ワークを少なくとも大径部と小径部とに区分けする解析工程と、
上記解析工程で少なくとも大径部と小径部とに区分けされた環状ワークに冷却液を噴射する冷却工程と、
を含み、
上記冷却工程において、上記大径部と上記小径部との寸法差が小さくなるように、上記大径部と上記小径部とに異なる噴射条件で冷却液を噴射することを特徴とする環状ワークの焼入れ方法である。
本発明において焼入れ対象となる軸受軌道輪等を製造するための環状ワークは、当該環状ワークを製造するための前工程(例えば、鍛造工程や旋削工程など)で生じた残留応力を有している。このような残留応力を有する環状ワークを加熱した場合、環状ワークは残留応力を解放しながら熱膨張する。そのため、焼入れ温度に加熱された環状ワークには、残留応力の分布に応じた変形(ひずみ)が発生し、環状ワークの真円度は低下している。
また、焼入れ処理において、焼入れ温度に加熱された環状ワークを冷却する冷却工程では、環状ワークは温度の低下ともに径寸法が変化する。このとき、環状ワークの径寸法の変化の仕方は冷却条件によって異なる。
第1の本発明の焼入れ方法では、焼入れ温度に加熱した際に変形(ひずみ)の生じた環状ワークを少なくとも大径部と小径部とに区分けし、その後の冷却工程において、上記大径部と上記小径部との寸法差が小さくなるように、上記大径部と上記小径部とに異なる噴射条件で冷却液を噴射して環状ワークを冷却する。
このように、環状ワークの冷却条件を調節することにより、上記冷却工程では、環状ワークを焼入れ温度に加熱した際に生じた残留応力の分布に応じた変形(ひずみ)が解消されるように環状ワークを変形させることができる。その結果、真円度が良好で、寸法バラツキの少ない焼入れ処理品を得ることができる。
また、第1の本発明の焼入れ方法では、焼入れ温度に加熱された環状ワークの径寸法を取得し、得られた径寸法に応じて冷却条件を調節している。そのため、焼入れ処理の対象となる環状ワークの形状、サイズ、型番等に関係なく、任意の環状ワークに対して適切な焼入れ処理を低コストで施すことができる。更には、焼入れ対象となる環状ワークのサイズなどの変更にも迅速に対応することができる。
第2の本発明の焼入れ方法は、環状ワークの焼入れ方法であって、
環状ワークは金属で形成され、
環状ワークを、当該環状ワークの応力が解放される温度に加熱する第1加熱工程と、
応力を解放する温度に加熱された環状ワークの径寸法を取得し、取得した上記径寸法に基づいて、加熱された環状ワークを少なくとも大径部と小径部とに区分けする解析工程と、
上記解析工程で少なくとも大径部と小径部とに区分された環状ワークを焼入れ温度に加熱する第2加熱工程と、
焼入れ温度に加熱された環状ワークに冷却液を噴射する冷却工程と、
を含み、
上記冷却工程において、上記大径部と上記小径部との寸法差が小さくなるように、上記大径部と上記小径部とに異なる噴射条件で冷却液を噴射することを特徴とする環状ワークの焼入れ方法である。
上述したように、軸受軌道輪等を製造するための環状ワークを加熱した場合、当該環状ワークは残留応力を解放しながら熱膨張するため、加熱された環状ワークには残留応力の分布に応じた変形(ひずみ)が発生し、環状ワークの真円度は低下している。このとき、環状ワークは、最初は残留応力を解放しながら熱膨張するため、残留応力の分布に応じた変形(ひずみ)を伴いながら熱膨張するが、残留応力が解放された後は、ほぼ均一に熱膨張する。
上記環状ワークの応力が解放される温度は、環状ワークの材質等にもよるが、例えば、軸受用鋼からなる環状ワークの場合には、500〜700℃程度の温度で環状ワークに残留していた応力がほぼ解放される。
第2の本発明の焼入れ方法では、上記第1加熱工程において、環状ワークを当該環状ワークの応力が解放される温度(以下、応力解放温度ともいう)に加熱した後、上記応力解放温度に加熱された環状ワークを、大径部と小径部とに区分けする。その後は、第2加熱工程を経て環状ワークを焼入れ温度まで加熱した後、冷却工程において、上記大径部と上記小径部との寸法差が小さくなるように、上記大径部と上記小径部とに異なる噴射条件で冷却液を噴射して環状ワークを冷却する。
このように、環状ワークの冷却条件を調節することにより、上記冷却工程では、環状ワークを加熱した際に生じた残留応力の分布に応じた変形(ひずみ)が解消されるように環状ワークを変形させることができる。その結果、真円度が良好で、寸法バラツキの少ない焼入れ処理品を得ることができる。
また、第2の本発明の焼入れ方法では、応力が開放される温度に加熱された環状ワークの径寸法を取得し、得られた径寸法に応じて冷却条件を調節している。そのため、焼入れ処理の対象となる環状ワークの形状、サイズ、型番等に関係なく、任意の環状ワークに対して適切な焼入れ処理を低コストで施すことができる。更には、焼入れ対象となる環状ワークのサイズなどの変更にも迅速に対応することができる。
更に、第2の本発明の焼入れ方法では、上記加熱工程において、環状ワークを応力が解放される温度に加熱した後、環状ワークを少なくとも大径部と小径部とに区分けし、その後、上記第2加熱工程において環状ワークを焼入れ温度まで加熱している。
この場合、環状ワークが焼入れ温度に加熱された時点で上記解析工程は完了している。そのため、焼入れ温度に加熱された環状ワークは、加熱後、直ちに冷却工程に移行することができる。
環状ワークに焼入れを行う場合、焼入れ温度まで加熱した後、速やかに冷却することが重要である。特に、環状ワークの内部まで良好な焼入れを行うにはワークの内部まで速やかに冷却することが重要である。この点で、第2の本発明の焼入れ方法は、加熱工程終了後直ちに冷却工程に移行することができるため、環状ワークの内部まで速やかに冷却することができる。そのため、焼入れ対象の環状ワークが冷却しにくい肉厚の厚いワークであっても、その内部まで良好に焼入れを行うことができる。
第1及び第2の本発明の焼入れ方法においては、上記冷却工程により、環状ワークを不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織にすることが好ましい。
不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織とは、マルテンサイト組織85〜95質量%、残留オーステナイト組織5〜15質量%の組織であり、不完全焼入れ組織がない。ここで、不完全焼入れ組織とは、焼入れ処理において冷却速度が遅い場合に析出するベイナイト組織のことである。上記不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織は、ベイナイト組織が析出していない。
不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織からなる焼入れ処理品は、軸受軌道輪等として好適に使用することができる。
また、冷却液を噴射して環状ワークを冷却する上記冷却工程は、焼入れ温度に加熱された環状ワークを急速に冷却することができるため、環状ワークを不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織にする冷却工程として適している。
第1及び第2の本発明の焼入れ方法は、上記冷却工程において、上記小径部の冷却が上記大径部の冷却よりも促進されるように、上記冷却液の噴射条件を調節することが好ましい。
これにより、真円度がより良好な焼入れ処理品を得ることができる。
焼入れ処理後の環状ワークの組織が不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織になるように、上記環状ワークを急速に冷却した場合、環状ワークは、まずは温度の低下とともに収縮し、その後、組織がマルテンサイト変態することで膨張し、更なる温度低下とともに収縮する。この場合、上記小径部の冷却が上記大径部の冷却よりも促進されるように環状ワークを冷却すると、先行して冷却された小径部が先にマルテンサイト変態して膨張する。そうすると、マルテンサイト変態することで膨張し、更なる温度低下とともに収縮した小径部は、収縮途中にある大径部よりも径寸法が大きくなる。一方、大径部も小径部に遅れてマルテンサイト変態し、膨張を開始する。このとき小径部は既に不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織に変態しており、不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織は、オーステナイト組織に比べて降伏点が高く変形しにくいため、遅れて冷却された大径部の膨張は、小径部によって抑制される。そのため、上記大径部のマルテンサイト変態の膨張に伴う変位量は、先行して膨張した上記小径部に比べて小さくなる。
その結果、環状ワークを焼入れ温度に加熱した際に発生した残留応力の分布に応じた変形(ひずみ)による寸法差が、環状ワークを冷却した際には緩和され、焼入れ処理された環状ワークは、小径部と大径部との寸法差が小さく、真円度は優れたものとなる。
第1及び第2の本発明の焼入れ方法は、上記冷却工程において、上記環状ワークの内方側及び外方側から冷却液を噴射することが好ましい。
この場合、焼入れ温度に加熱された環状ワークをより速やかに冷却することができる。そのため、厚肉の環状ワークを冷却する手法として特に好適である。
また、上記冷却工程において、上記冷却液の噴射条件は、単位時間あたりの冷却液の噴射量、冷却液の噴射開始時期、及び、冷却液の噴射角度のうちの少なくとも1つを変化させることによって調節することが好ましい。
これらの冷却液の噴射条件の調節手法は、いずれも上記大径部と上記小径部との冷却条件を調節するのに適した手法である。
第1及び第2の本発明の焼入れ方法の上記解析工程では、上記環状ワークの径寸法の取得をレーザ変位センサによる計測結果に基づいて行うことが好ましい。
このような手法で、環状ワークの径寸法を取得することにより、上記環状ワークに接触することなく、短時間で、正確に、環状ワークの径寸法を取得することができる。
本発明によれば、良好な真円度を有し、寸法バラツキの少ない焼入れ処理された環状ワークを低コストで提供することができる。また、本発明は、焼入れ処理の対象となる環状ワークのサイズなどの変更にも迅速に対応することができる。
(A)は、第1実施形態の環状ワークの焼入れ方法を説明するための工程図であり、(B)は(A)に示した焼入れ方法で使用する焼入れ装置を模式的に示す図である。 第1実施形態の冷却工程で使用する冷却装置の一部を模式的に示す平面図である。 冷却液の噴射角度を説明するための図である。 (A)は、第2実施形態の環状ワークの焼入れ方法を説明するための工程図であり、(B)は(A)に示した焼入れ方法で使用する焼入れ装置を模式的に示す図である。 第2実施形態の冷却工程で使用する冷却装置の一部を模式的に示す平面図である。
(第1実施形態)
ここでは、第1の本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の焼入れ方法は、環状ワークを焼入れ対象とし、加熱工程、解析工程及び冷却工程を含む方法である。環状ワークは鋼材で形成される。
以下、工程順に本実施形態の焼入れ方法を説明する。
図1(A)は、第1実施形態の環状ワークの焼入れ方法を説明するための工程図であり、(B)は(A)に示した焼入れ方法で使用する焼入れ装置を模式的に示す図である。
図2は、第1実施形態の冷却工程で使用する冷却装置の一部を模式的に示す平面図である。
図3は、冷却液の噴射角度を説明するための図である。
本実施形態で焼入れ対象となる環状ワーク(以下、単にワークともいう)は、軸受用鋼で構成されている。上記軸受用鋼としては、特に限定されないが、例えば、JIS SUJ2、JIS SUJ3などの高炭素クロム軸受鋼、SAE5120、SCr420などの浸炭鋼(肌焼鋼)などが挙げられる。
上記ワークのサイズ(外径や肉厚等)は限定されない。本実施形態では、任意のサイズのワークを焼入れ対象とすることができる。
一方、本実施形態で焼入れ対象となるワークの肉厚は、誘導加熱の加熱コイルに依存する。上記ワークの肉厚は、加熱コイルによってワーク全体を誘導加熱できればいかなる肉厚であってもよい。
上記ワークの肉厚の上限は、加熱コイルに依存する。また、上記ワークの肉厚の下限は、熱処理後の環状部材に必要な厚さに依存する。
また、上記ワークは、厚肉になればなるほど加熱コイルだけでは均一加熱が難しくなるため、上記ワークの肉厚が10mm以上の場合、ワークの径方向の内方側に非接触にセンターコアを配置して誘導加熱してもよい。センターコアは珪素鋼板で形成され、一例では円柱形状である。
なお、上記ワークの肉厚とは、上記ワークの肉厚が軸方向において均一な場合には、外径と内径との差の1/2の値をいい、上記ワークの肉厚が軸方向において均一でない場合には、内径と外径との差が最も大きくなる軸方向位置での外径と内径との差の1/2の値をいう。
上記ワークは、例えば、軸受用鋼からなる鋼材から鍛造により環状素材を製造し、得られた環状素材を切削加工などで所定形状に加工する(旋削処理)ことにより製造することができる。
本実施形態の焼入れ方法は、例えば、図1(B)に示したような焼入れ装置100を用いて行う。焼入れ装置100は、誘導加熱ゾーン10、外周解析ゾーン20及び冷却ゾーン30を備える。
上記焼入れ方法では、まず、旋削処理を経て作製された上記ワークを焼入れ温度に加熱する加熱工程を行う。
上記加熱工程では、まず、旋削処理を経て作製されたワークW1を、図1(B)に示すように、ターンテーブル1と加熱コイル11を備えた誘導加熱ゾーン10に搬送する(図1中、矢印(1)参照)。搬送されたワークW1は、ターンテーブル1に載置され、加熱コイル11の内周側にセットされる。その後、ワークW1(ターンテーブル1)を回転させつつ、加熱コイル11に電流を流して、ワークW1を所定の焼入れ温度(例えば、JIS SUJ2製のワークW1であれば900〜1000℃)に誘導加熱する。
これにより、ワークW1を均一に加熱することができ、ワークW1のオーステナイト化を均一に行なうことができる。ここで、誘導加熱の条件は、ワークW1を表面から内部まで全体を均一に加熱することができるように、出力、周波数、加熱時間等を調節すればよい。上記周波数は、0.1〜5kHzが好ましい。
上記誘導加熱では、ワークW1自体が迅速に加熱される。上記誘導加熱は、加熱に要する時間を短縮することができ、加熱工程のインライン化に適している。
また、本工程において、加熱温度は、ワークW1の材質や加熱方法を考慮して適宜選択すればよい。また、ワークW1の加熱は、例えば、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
次に、加熱されたワークW1を大径部と小径部とに区分けする解析工程を行う。
上記解析工程では、加熱されたワークW1をレーザ変位センサ(ギャップセンサ)を備えた外周解析ゾーン20に移動させ(図1中、矢印(2)参照)、ワークW1の外周の周方向各位置における半径を計測し、この計測結果に基づいて、ワークW1を大径部と小径部とに区分けする。
上記外周の周方向各位置とは、外周全体を構成する点のうちセンサの分解能等の制約によって計測できた点のそれぞれの位置を示す。
外周解析ゾーン20には、ワークW1の外方側に位置するようにレーザ変位センサのセンサ素子21が取り付けられている。ここでは、ターンテーブル1を回転させることにより、ワークW1を対向配置したセンサ素子21の内側で回転させる。これにより、ワークW1の外周の周方向各位置とセンサ素子21との距離を計測することができる。
上記レーザ変位センサとしては、従来公知のレーザ変位センサを用いることができ、市販品を使用することもできる。
上記レーザ変位センサにおけるレーザ光の色は特に限定されないが、青又は緑が好ましい。加熱されたワークW1は赤色であるため、青又は緑のレーザ光を用いた場合、より正確にワークW1との距離を計測することができるからである。
上記解析工程において、ワークW1の計測に要する時間は、短ければ短いほど好ましく、上記計測時間は概ね3秒未満が好ましい。このような短時間での計測は、レーザ変位センサを用いることで達成することができる。
上記計測時間を3秒未満とすることで、計測中のワークW1の表面温度の低下を30℃以下に抑えることができる。
この解析工程では、上述したように、ワークW1を径方向のサイズの大きい大径部と、径方向のサイズが小さい小径部とに区分けする。
この区分けは、外周解析ゾーン20が備える演算部22で行う。また、区分けした結果は、外周解析ゾーン20が備える記憶部23で記憶する。
また、必要に応じて、加熱されたワークW1の真円度を併せて算出してもよい。
上述した大径部と小径部との区分けは、例えば、下記(A)及び(B)の工程を経て行う。
(A)加熱後のワークW1の外周の周方向各位置を測定し、ワークW1の外周形状を把握する工程。
(B)ワークW1の外周形状に応じて、ワークW1を大径部と小径部とに区分けする工程。
上記(A)の工程では、具体的には、下記(A−1)〜(A−4)の処理を行い、ワークW1の外周形状を把握する。
(A−1)まず、加熱したワークW1の仮想中心Cを決定する。仮想中心Cの決定方法は特に限定されず、任意に決定することができる。例えば、予め、ターンテーブル1にマスターワークを載置して、マスターワークの中心を算出しておき、このマスターワークの中心を仮想中心Cとすれば良い。
(A−2)次に、加熱したワークW1の外周の周方向各位置を上記レーザ変位センサを用いて測定し、上記仮想中心CとワークW1の外周の周方向各位置との距離を取得する。
(A−3)上記(A−2)で取得した距離を、上記仮想中心Cを原点としたXY座標に変換する。
(A−4)上記(A−3)で取得した座標データを最小二乗法により近似し、ワークW1の外周形状に近似した円(近似円)を算出する。
また、上記近似円の中心座標CからワークW1の外周の周方向各位置までの距離を算出し、これをワークW1の外周の周方向各位置における半径として、ワークW1の外周形状を把握する。
なお、(A)の工程で取得した、近似円の情報(中心座標C、半径r)、及び、上記ワークW1の外周の周方向各位置における半径は、記憶部23に記憶させておく。
次に、上記(B)の工程を行う。
上記(B)の工程では、具体的には、下記(B−1)〜(B−4)の処理を行い、ワークW1を上記大径部と上記小径部とに区分けする。
(B−1)まず、上記(A)の工程で取得した情報に基づき、中心座標Cを中心とする第1仮想円と第2仮想円とを求める。
上記第1仮想円は、上記中心座標Cを中心とし、上記(A)の工程で取得したワークW1の外周の周方向各位置における半径のうちの最大値を当該第1仮想円の半径とした円である。また、上記第2仮想円は、上記中心座標Cを中心とし、上記(A)の工程で取得したワークW1の外周の周方向各位置における半径のうちの最小値を当該第2仮想円の半径とした円である。
(B−2)次に、上記第1仮想円の半径a及び上記第2仮想円の半径bとに基づいて、下記計算式(1)より、大径部及び小径部の区分けを行う基準半径cを算出する。
c=(a+b)/2・・・(1)
(B−3)上記(B−1)及び(B−2)とは別に、平面視したワークW1を、上記第1仮想円(又は上記第2仮想円)の円周方向に中心角が均一になるように16等分し、16個の環状ワーク断片W1a〜W1pに仮想的に分割する(図2参照)。
次に、各環状ワーク断片W1a〜W1pに含まれる外周の周方向各位置における半径の平均値を各環状ワーク断片W1a〜W1pのそれぞれで算出する。
(B−4)その後、各環状ワーク断片W1a〜W1pの周方向各位置における半径の平均値と、上記基準半径cとを比較し、上記平均値が上記基準半径cよりも大きい環状ワーク断片を大径部、上記平均値が上記半径c以下の環状ワーク断片を小径部とする。
なお、上記解析工程において、ワークW1の外周の周方向各位置における半径を取得するする手法は、レーザ変位センサを用いた手法に限定されるわけではなく、他の手法を採用してもよい。
一方、レーザ変位センサを用いた計測結果に基づいて、ワークW1の外周の周方向各位置における半径等のワークW1の径寸法を取得する手法は、上記解析工程のインライン化に適している。
続いて、ワークW1を冷却ゾーン30に移動させ(図1中、矢印(3)参照)、ワークW1に冷却液を噴射する冷却工程を行う。
本冷却工程では、焼入れ温度に加熱されることによってオーステナイト化したワークW1をマルテンサイト変態させる冷却速度で、好ましくは不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織からなるワークW1となる冷却速度で、加熱されたワークW1を冷却する。
冷却ゾーン30を構成する冷却装置は、図2に示すように、ワークW1を配置した際に、ワークW1の外周囲に複数(図2の例では16個)の噴射ノズル32(32a〜32p)が等間隔で位置するように構成されている。
上記冷却工程では、複数の噴射ノズル32を用いて冷却液をワークW1の外方側から噴射してワークW1の冷却を行う。
この冷却工程では、上記解析工程で行った大径部と小径部との区分けの結果に基づいて、ワークW1の部位(環状ワーク断片)毎に冷却条件を調節する。
ここでは、例えば、ワークW1の小径部の冷却がワークW1の大径部の冷却よりも促進されるように冷却液33の噴射条件を調節する。上記冷却液の噴射条件の調節は、例えば、単位時間あたりの冷却液の噴射量、冷却液の噴射開始時期、及び、冷却液の噴射角度のうちの少なくとも1つを変化させることによって行うことができる。
具体的には、例えば、
(a)単位時間あたりの小径部への冷却液の噴射量(冷却液の流量)を単位時間あたりの大径部への冷却液の噴射量よりも多くする。
(b)最初に小径部にのみ冷却液を噴射し、一定時間経過後、大径部を含むワークW1全体に冷却液を噴射して、小径部の噴射開始時期を大径部の噴射開始時期よりも早くする。
(c)小径部では冷却液を斜め上方向からワークW1に噴射し、大径部では冷却液を水平方向(図1中、左右方向)からワークW1に噴射して、小径部と大径部とでワークW1への冷却液の噴射角度を異ならせる。
(d)小径部では冷却液の噴射時間を長くし、大径部では冷却液の噴射時間を短くする。
(e)小径部では冷却液の温度を低くし、大径部では冷却液の温度を高くする。
(f)上記(a)〜(e)を適宜組み合わせる。
などに冷却液の噴射条件を調節する。これにより、ワークW1の小径部の冷却がワークW1の大径部の冷却よりも促進されることになる。
本発明の実施形態において、上記冷却液の噴射角度とは、外周面(又は内周面)が鉛直方向を向くように載置されたワークW1に対して噴射ノズル32から噴射した冷却液の噴射方向が水平方向とのなす角度をいう。
図3(a)に示すように、噴射ノズル32から噴射される冷却液の噴射方向が水平方向Hと一致する場合には、冷却液の噴射角度は0°となる。また、図3(b)に示すように、噴射ノズル32から噴射される冷却液が斜め上方向からワークW1に噴射される際には、冷却液の噴射方向(図中、矢印参照)と水平方向Hとのなす角度θが冷却液の噴射角度となる。
上記冷却工程では、噴射角度θを0°よりも大きくすると、噴射角度が0°の場合(水平方向から冷却液を噴射する場合)に比べて、ワークW1の冷却速度を速くすることができる。
上記冷却工程では、一般に、冷却初期(蒸気膜段階)はワーク表面に蒸気膜が発生して冷却剤とワーク表面の直接接触を妨げ、かつ熱伝導率の小さい蒸気膜が熱移動を阻害するため冷却速度が遅く、この蒸気膜が崩壊し固液接触が起こると沸騰(沸騰段階)に移行しワークの冷却が急速に進行するとされている。このとき、冷却液の噴射角度を0°よりも大きくして冷却液を斜め方向から噴射すると、上記蒸気膜が崩壊されやすくなるため、早期に沸騰段階に移行し、ワークの冷却速度を速くすることができると考えられる。実際、上記噴射角度θが0°の場合よりも、噴射角度θを5°又は15°として冷却液を斜め上方向から噴射した場合の方が冷却速度が速くなることも確認している。
なお、上記冷却液の噴射角度を調節することによって、ワークの冷却速度を調節する場合、上記冷却液の噴射角度は、0°〜60°の間で調節することが好ましい。
上記加熱工程で加熱されたワークは、既に説明したように、加熱前に真円度の良好な形状を有していたとしても、上記加熱工程において変形し、真円度が悪化してしまうことがある。加熱処理後のワークの平面視形状は、略楕円形状や凸部を複数カ所(例えば、3カ所)有する形状など、様々な形状となり、その変形の仕方は、加熱条件が同一であっても一様ではない。そして、上記加熱工程で変形したワークを均一に冷却すると、加熱時の変形状態を維持したまま冷却されるため、得られた焼入れ処理品は真円度に劣るものとなってしまう。
一方、本実施形態では、上記解析工程を行い、ワークW1を焼入れ温度に加熱した直後にワークW1の外周形状を把握し、ワークW1の外周形状に基づいて、当該ワークW1を大径部と小径部とに区分けする。その後、冷却工程においてワークW1の小径部の冷却がワークW1の大径部の冷却よりも促進されるように冷却条件(冷却液の噴射条件)を調節してワークW1の冷却を行う。
このような条件で冷却することにより、既に説明したように、小径部のマルテンサイト変態の膨張に伴う変位量が、上記大径部のマルテンサイト変態の膨張に伴う変位量よりも大きくなる。その結果、冷却工程後には、小径部と大径部との寸法差は小さくなり、焼入れ処理されたワークは、真円度が優れたものとなる。
また、本実施形態の焼入れ方法は、インライン化にも適している。
上記冷却工程では、16個の噴射ノズルを用いて冷却液をワークW1に噴射してワークW1の冷却を行っているが、本実施形態において、上記冷却工程で使用する噴射ノズルの個数は特に限定されない。上記噴射ノズルの個数は、4個以上であることが好ましい。
上記冷却液は、ワークW1を冷却可能な液体であればよい。上記冷却液としては特に限定されず、例えば、水、油、水溶性ポリマー等が挙げられる。
上記油としては、例えば、焼入油等が挙げられる。
上記水溶性ポリマーとしては、例えば、PAG(ポリアルキレングリコール)等が挙げられる。上記水溶性ポリマーは、水に溶解させた水溶液として用いることができる。この場合、水への水溶性ポリマーの配合量は、水溶性ポリマーの種類等に応じて適宜設定することができる。
これらの冷却液は、1種類のみを用いてよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記冷却工程は、ワークを焼入れ温度に加熱した後、出来るだけ早く開始することが好ましい。ワークを焼入れ温度に加熱した後、冷却を開始するまでに時間が掛かると、冷却工程によりワークをマルテンサイト変態させることが困難になることがある。
そのため、上記焼入れ温度に加熱した後、上記冷却工程を開始(冷却液を噴射)するまでの時間は短いほど好ましい。従って、上記解析工程終了後は、速やかに上記冷却工程を行うことが好ましい。
また、上記焼入れ温度に加熱した後上記冷却工程を開始(冷却液を噴射)するまでに低下するワークの表面温度も小さいほど好ましい。
上記冷却工程において、上記冷却液の噴射時間は特に限定されず、ワークW1の温度や冷却液の流量などを考慮して適宜設定すれば良い。
また、上記冷却液の噴射条件(b)に示したように、ワークW1の大径部と小径部とで冷却液の噴射開始時期をずらして冷却液の噴射を行う場合、小径部への噴射を開始してから大径部への噴射を開始するまでの時間は、10秒以下であることが好ましい。
また、上記冷却工程において、単位時間あたりの冷却液の噴射量(流量)は特に限定されず、ワークW1のサイズや噴射ノズルの個数などに応じて適宜選択すればよい。
なお、冷却液の噴射量を調節すべく、冷却ゾーン30は、図示しない流量調整弁等を備えている。
このような各工程を経て、ワークW1に焼入れ処理を行うことにより、不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織からなり、真円度が良好で、寸法バラツキの少ないワークの焼入れ品を低コストで得ることができる。
上述した方法で焼入れ処理が施されたワークには、通常、次に焼戻し処理が施される(図1中、矢印(4)参照)。
本実施形態の焼入れ方法にて、焼入れ処理が施されたワークは、軸受軌道輪等に好適に使用することができる。
(第1の本発明の他の実施形態)
第1の本発明の実施形態において、大径部と小径部とに区分けする手法は第1実施形態の手法に限定されるわけではない。例えば、上記(A)の工程で算出した近似円の半径rを基準とし、この半径rと各環状ワーク断片の外周の周方向各位置における半径の平均値とを比較して、ワークを大径部と小径部とに区分けしてもよい。
第1の本発明の実施形態における上記解析工程では、ワークW1の内周の周方向各位置を測定し、その測定結果に基づいてワークW1の内周形状を把握し、その後、上記内周形状に基づいて、ワークW1を大径部と小径部とに区分けしてもよい。この場合、ワークW1の大径部と小径部との区分けは、上述したワークW1の外周形状に基づいて行う手法とほぼ同様の手法にて行えば良い。
また、ワークW1の径寸法の取得は、レーザ変位センサ以外に、例えば、サーモグラフィー等を用いて行ってもよい。
第1の本発明の実施形態に係る焼入れ方法では、ワークを径寸法に基づいて3種類以上の部位(例えば、大径部、中径部及び小径部の3種類の部位)に区分けし、径寸法の小さい部位ほど、より冷却が促進されるように冷却液の噴射条件を調節して上記冷却工程を行ってもよい。
第1の本発明の実施形態に係る焼入れ方法では、大径部の冷却が小径部の冷却よりも促進されるように冷却条件を調節してもよい。
この場合、例えば、小径部の冷却を大径部の冷却よりも促進させる上述した(a)〜(f)の手法において、小径部の冷却条件と大径部の冷却条件とを互いに入れ替えればよい。
第1の本発明の実施形態において、ワークの加熱方法は、誘導加熱に限定されるわけではない。上記ワークの加熱方法は、炉加熱などの従来公知の他の加熱方法であってもよい。
第1の本発明の実施形態において、ワークの材質は軸受用鋼に限定されるわけではない。上記ワークの材質は軸受用鋼以外の鋼材であってもよく、鋼材以外の金属材料であってもよい。
(第2実施形態)
ここでは、第2の本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の焼入れ方法は、環状ワークを焼入れ対象とし、第1加熱工程、解析工程、第2加熱工程及び冷却工程を含む方法である。環状ワークは鋼材で形成される。
以下、工程順に本実施形態の焼入れ方法を説明する。
図4は、(A)は、第2実施形態の環状ワークの焼入れ方法を説明するための工程図であり、(B)は(A)に示した焼入れ方法で使用する焼入れ装置を模式的に示す図である。
図5は、第2実施形態の冷却工程で使用する冷却装置の一部を模式的に示す平面図である。
本実施形態で焼入れ対象となる環状ワーク(以下、単にワークともいう)は、第1実施形態と同様、軸受用鋼で構成されている。
本実施形態においても上記ワークのサイズは限定されない。本実施形態では、任意のサイズのワークを焼入れ対象とすることができる。
一方、本実施形態で焼入れ対象となるワークの肉厚は、誘導加熱の加熱コイルに依存する。上記ワークの肉厚は、加熱コイルによってワーク全体を誘導加熱できればいかなる肉厚であってもよい。
上記ワークの肉厚の上限は、加熱コイルに依存する。また、上記ワークの肉厚の下限は、熱処理後の環状部材に必要な厚さに依存する。
また、上記ワークは、厚肉になればなるほど加熱コイルだけでは均一加熱が難しくなるため、上記ワークの肉厚が10mm以上の場合、ワークの径方向の内方側に非接触にセンターコアを配置して誘導加熱してもよい。センターコアは珪素鋼板で形成され、一例では円柱形状である。
本実施形態では、第1実施形態と同様、旋削処理等を経て作製された軸受用鋼からなるワークに焼入れ処理を施す。
本実施形態の焼入れ方法は、例えば、焼入れ装置300を用いて行う。焼入れ装置300は、誘導加熱ゾーン210、外周解析ゾーン220及び冷却ゾーン230を備える。
上記焼入れ方法では、まず、旋削処理を経て作製された上記ワークを応力が解放される温度(応力解放温度)に加熱する第1加熱工程を行う。
上記第1加熱工程では、まず、旋削処理を経て作製されたワークW2を、図4(B)に示すように、ターンテーブル201と加熱コイル211を備えた誘導加熱ゾーン210に搬送する(図4中、矢印(1)参照)。搬送されたワークW2は、ターンテーブル201に載置され、加熱コイル211の内周側にセットされる。その後、ワークW2(ターンテーブル201)を回転させつつ、加熱コイル211に電流を流して、ワークW2を、当該ワークW2の残留応力が解放される温度に誘導加熱する。このとき、誘導加熱の条件は、ワークW2の表面から内部まで均一に加熱することができるように、出力、周波数、加熱時間等を調節する。上記周波数は、0.1〜5kHzが好ましい。
なお、上記第1加熱工程おける加熱温度は、焼入れ温度未満でもある。焼入れ温度までの加熱は、後の第2加熱工程で行うからである。
これにより、ワークW2を製造する際に生じた当該ワークW2の残留応力が解放され、加熱されたワークW2には残留応力に応じた変形が生じる。ここで生じた残留応力に応じた変形は、ワークを焼入れ温度まで加熱した際にほぼそのまま維持される。
上記第1加熱工程におけるワークW2の加熱温度は、500〜700℃の間の温度が好ましい。この範囲の温度にまで加熱されたワークW2は、ほぼ残留応力が解放されており、残留応力によるランダムな変形を終えているからである。
一方、ワークW2の加熱温度が500℃未満では、ワークW2の残留応力が充分に解放されていないことがあり、また、700℃を超えると、ワークW2の組織に相変態が生じ始めるため、加熱を中断するのに適していない。
より好ましい加熱温度は、500〜650℃の間の温度であり、更に好ましい加熱温度は、600〜650℃である。
次に、加熱されたワークW2をレーザ変位センサ(ギャップセンサ)を備えた外周解析ゾーン220に移動させ(図4中、矢印(2)参照)、ワークW2の外径形状を把握し、ワークW2を大径部と小径部とに区分けする解析工程を行う。
上記解析工程において、ワークW2を大径部と小径部とに区分けする手法としては、第1実施形態と同様の手法を採用すればよい。
その後、解析工程の終了したワークW2を再度誘導加熱ゾーン210に搬送し(図4中、矢印(3)参照)、ワークW2を所定の焼入れ温度(例えば、JIS SUJ2製のワークW2であれば900〜1000℃)まで誘導加熱する第2加熱工程を行う。
上記第2加熱工程では、上記第1加熱工程と同様、ターンテーブル201に載置され、加熱コイル211の内周側にセットされたワークW2を回転させつつ、加熱コイル211に電流を流して、当該ワークW2を誘導加熱する。このとき、加熱条件としての周波数は、0.1〜5kHzが好ましい。
本工程では、ワークW2を均一に加熱することができるため、ワークW2のオーステナイト化を均一に行なうことができる。また、本工程では、上記第1加熱工程で生じた残留応力に応じた変形が維持されたまま焼入れ温度まで加熱される。
上記第2加熱工程において、ワークW2の焼入れ温度は、ワークW2の材質や加熱方法を考慮して適宜選択すればよい。また、ワークW2の加熱は、例えば、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
続いて、焼入れ温度に加熱されたワークW2を冷却ゾーン230に移動させ(図4中、矢印(4)参照)、ワークW2に冷却液を噴射する冷却工程を行う。
本冷却工程では、オーステナイト化したワークW2をマルテンサイト変態させる冷却速度で、好ましくは不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織からなるワークW2となる冷却速度で、加熱されたワークW2を冷却する。
冷却ゾーン230は、ワークW2の外方側及び内方側のそれぞれからワークW2に冷却液を噴射するように構成されている。
冷却ゾーン230を構成する冷却装置では、図5に示すように、ワークW2を配置した際に、ワークW2の外周囲に複数個(図4の例では16個)の噴射ノズル232(232a〜232p)が等間隔で位置するとともに、ワークW2の内周囲に複数個(図4の例では16個)の噴射ノズル234(234a〜232p)が等間隔で位置するように構成されている。冷却ゾーン230では、各噴射ノズル232a〜232p及び234a〜234pを介してワークW2に冷却液233を噴射する。
この冷却工程では、上記解析工程で行った大径部と小径部との区分けの結果に基づいて、ワークW2の部位(環状ワーク断片)毎に冷却条件を調節する。
ここでは、例えば、ワークW2の小径部の冷却が、ワークW2の大径部の冷却よりも促進されるように、冷却液233の噴射条件を調節する。具体的な噴射条件の調節手法としては、第1実施形態と同様の手法を採用することができる。
このような本実施形態の焼入れ方法では、第1実施形態の焼入れ方法と同様、上記冷却工程において、ワークを加熱した際に生じた残留応力の分布に応じた変形(ひずみ)が解消されるようにワークが冷却されるため、良好な真円度を有する焼入れ品を得ることができる。
また、本実施形態の焼入れ方法は、インライン化にも適している。
更に、本実施形態の焼入れ方法では、残留応力が解放される温度に加熱する第1加熱工程を行った後、上記解析工程を行い、その後、焼入れ温度まで加熱する第2加熱工程を行った後、冷却工程を行っている。そのため、第1実施形態と異なり、ワークW2を焼入れ温度まで加熱した後、直ちに冷却工程に移行することができる。また、上記冷却工程では、加熱されたワークW2の外方側からだけでなく、内方側からも冷却液を噴射することによって、ワークW2を冷却している。
そのため、本実施形態では、加熱工程完了後、より短時間でワークW2を内部まで冷却することができる。
従って、本実施形態では、焼入れ対象となるワークが厚肉のワークであっても、内部まで充分に焼入れされ、良好な真円度を有する焼入れ品を得ることができる。
勿論、本実施形態は、薄肉のワークを処理対象とする焼入れ処理にも適している。
本実施形態において、上記冷却工程で使用する噴射ノズルの個数は特に限定されない。上記噴射ノズルの個数は、外周囲及び内周囲ともに4個以上であることが好ましい。
また、上記冷却液としては、第1実施形態と同様の冷却液を使用すればよい。
上記冷却工程において、上記冷却液の噴射時間は特に限定されず、ワークW2の温度や冷却液の流量などを考慮して適宜設定すれば良い。
また、上記冷却工程において、ワークW2の大径部と小径部とで冷却液の噴射開始時期をずらして冷却液の噴射を行う場合、小径部への噴射を開始してから大径部への噴射を開始するまでの時間は、10秒以下であることが好ましい。
また、上記冷却工程において、単位時間あたりの冷却液の噴射量(流量)は特に限定されず、ワークW2のサイズや噴射ノズルの個数などに応じて適宜選択すればよい。
また、上記冷却工程において、冷却液の噴射角度をずらす場合、上記噴射角度は特に限定されず、ワークW2のサイズや噴射ノズルの個数などに応じて適宜選択すればよい。このとき、上記冷却液の噴射角度は、0°〜60°の間で調節することが好ましい。
また、ワークW2を挟んで互いに対向するそれぞれの外方側の噴射ノズル232及び内方側の噴射ノズル234の噴射条件は、同一であっても良いし、互いに異なっていても良い。
このような各工程を経て、ワークW2に焼入れ処理を行うことにより、マルテンサイトからなり、真円度が良好で、寸法バラツキの少ないワークの焼入れ品を低コストで得ることができる。
上述した方法で焼入れ処理が施されたワークには、通常、次に焼戻し処理が施される(図4中、矢印(5)参照)。
本実施形態の焼入れ方法にて、焼入れ処理が施されたワークは、軸受軌道輪等として好適に使用することができる。
(第2の本発明の他の実施形態)
第2実施形態の焼入れ方法では、ワークW2を大径部と小径部とに区分けする手法として、例えば、上記(A)の工程で算出した近似円の半径rを基準とし、この半径rと各環状ワーク断片の外周の周方向各位置における半径の平均値とを比較して、ワークを大径部と小径部とに区分けする手法を採用してもよい。
第2の本発明の実施形態における上記解析工程では、ワークW2の内周の周方向各位置を測定し、その測定結果に基づいてワークW2の内周形状を把握し、その後、上記内周形状に基づいて、ワークW2を大径部と小径部とに区分けしてもよい。この場合、ワークW2の大径部と小径部との区分けは、上述したワークW2の外周形状に基づいて行う手法とほぼ同様の手法にて行えば良い。
また、ワークW2の径寸法の取得は、レーザ変位センサ以外に、例えば、サーモグラフィー等を用いて行ってもよい。
第2の本発明の実施形態に係る焼入れ方法では、ワークを径寸法に基づいて3種類以上の部位(例えば、大径部、中径部及び小径部の3種類の部位)に区分けし、径寸法の相対的に大きい部位ほど、より冷却が促進されるように3種類以上の冷却条件を採用して冷却工程を行ってもよい。
第2の本発明の実施形態において、ワークの加熱方法は、誘導加熱に限定されるわけではない。上記ワークの加熱方法は、炉加熱などの従来公知の他の加熱方法であってもよい。
第2の本発明の実施形態において、ワークの材質は軸受用鋼に限定されるわけではない。上記ワークの材質は軸受用鋼以外の鋼材であってもよく、鋼材以外の金属材料であってもよい。
第2の本発明の実施形態に係る焼入れ方法では、大径部の冷却が小径部の冷却よりも促進されるように冷却条件を調節してもよい。
この場合、例えば、小径部の冷却を大径部の冷却よりも促進させる上述した(a)〜(f)の手法において、小径部の冷却条件と大径部の冷却条件とを互いに入れ替えれば良い。
[第1の実施例]
第1の本発明の焼入れ方法の作用効果を検証した。
ここでは、下記環状ワークを試験片として、実施例1〜5及び比較例1〜4を行った。
(評価用試験片の作製)
JIS SUJ2からなる鋼材から環状素材を製造し、得られた環状素材に切削加工を施して、所定形状に加工して、環状ワーク(外径:125mm、肉厚:4mm)を得た。
(実施例1)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片)の真円度を算出した。真円度は、80μmであった。
真円度の算出は、レーザ変位センサ(キーエンス社製)を使用し、上述した手法で算出した第1仮想円の半径と第2仮想円の半径との差を真円度とした。
(2)次に、環状ワークを誘導加熱ゾーン10、外周解析ゾーン20及び冷却ゾーン30を備えた焼入れ装置100(図1(B)参照)の誘導加熱ゾーン10に導入し、誘導加熱により、環状ワーク全体を950℃に誘導加熱した。ここで、加熱条件は、周波数1kHz、加熱時間は30秒間とした。また、環状ワークの温度は、熱電対を用いて表面温度で測定した。
加熱後の環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
(3)続いて、加熱した環状ワークを外周解析ゾーン20に移動させ、加熱した環状ワークを大径部と小径部とに区分けした後、この区分けされた情報を記憶部23に記憶させた。ここで、環状ワークを大径部と小径部とに区分けする手法としては、上述した(A)及び(B)の工程を経る手法を採用した。
即ち、まず、上述した(A)の工程を経て環状ワークの外周形状を把握した。その後、上述した(B)の工程を行うことにより、環状ワークの上記第1仮想円と上記第2仮想円とから求めた基準半径cに基づいて、仮想的に分割された16個の環状ワーク断片のそれぞれを大径部及び小径部のいずれかに区分けした。
(4)次に、環状ワークを冷却ゾーン30に移動させ、環状ワークに所定の条件で冷却液を噴射する冷却処理を行った。
ここでは、図2に示したような16個の等間隔で配置された冷却液を噴射するための噴射ノズル32(32a〜32p)を備えた冷却装置を有する冷却ゾーン30内で、噴射ノズル32の内側に環状ワークを配置し、環状ワークの外周側に冷却液33を噴射する冷却処理を行った。
冷却液の噴射条件としては下記条件を採用した。
[冷却液の噴射条件]
小径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.2L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
このような焼入れ処理により、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度を算出したところ、65μmであった。
(実施例2)
冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして環状ワークに焼入れ処理を施した。
[冷却液の噴射条件]
小径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.5L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
本実施例において、環状ワークの加熱前の真円度は60μm、冷却後の真円度は60μmであり、加熱後の環状ワークの平面視形状は、凸部を3カ所有する形状であった。
(実施例3)
冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして環状ワークに焼入れ処理を施した。
[冷却液の噴射条件]
小径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:解析工程終了から6秒後に噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
本実施例において、環状ワークの加熱前の真円度は92μm、冷却後の真円度は65μmであり、加熱後の環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
(実施例4)
冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例1との同様にして環状ワークに焼入れ処理を施した。
[冷却液の噴射条件]
小径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:解析工程終了から3秒後に噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
本実施例において、環状ワークの加熱前の真円度は65μm、冷却後の真円度は65μmであり、加熱後の環状ワークの平面視形状は、凸部を3カ所有する形状であった。
(実施例5)
冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例1との同様にして環状ワークに焼入れ処理を施した。
[冷却液の噴射条件]
小径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.6L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は15°とする。
大径部:解析工程終了から1秒後に噴射ノズル1個につき流量1.2L/minで冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
本実施例において、環状ワークの加熱前の真円度は85μm、冷却後の真円度は75μmであり、加熱後の環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
(比較例1)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片)の真円度を算出した。真円度は、78μmであった。
(2)次に、環状ワークを加熱炉に搬入し、環状ワークを830℃で0.5時間の条件で炉加熱した。
(3)次に、環状ワークを80℃の冷却油の投入する油冷による冷却処理を行った。
このような焼入れ処理により、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は、500μmであった。
(比較例2)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片)の真円度を算出した。真円度は、62μmであった。
(2)次に、環状ワークを加熱炉に搬入し、環状ワークを830℃で0.5時間の条件で炉加熱した。
(3)次に、環状ワークを80℃の冷却油の投入する油冷による冷却処理を行った。その後、環状ワークの矯正を行った。
矯正後の環状ワークの真円度は、100μmであった。
また、このような焼入れ処理により、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。
(比較例3)
冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例1との同様にして環状ワークに焼入れ処理を施した。
[冷却液の噴射条件]
解析工程終了から1秒後に全ての噴射ノズルを開いて、噴射ノズル1個につき流量0.5L/minで環状ワーク全体への冷却液の噴射を開始し、30秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
本比較例において、環状ワークの加熱前の真円度は73μm、冷却後の真円度は200μmであった。
(比較例4)
加熱工程において、環状ワークの内周面及び外周面のそれぞれを拘束具で拘束した状態で、環状ワークを誘導加熱した以外は、比較例3と同様にして環状ワークの焼入れ処理を施した。
本比較例において、環状ワークの加熱前の真円度は70μm、冷却後の真円度は50μmであった。
実施例1〜5及び比較例1〜4の検証結果について、表1に示した。
表1に示したように、第1の本発明の焼入れ方法では、加熱時に拘束具を使用したり、冷却後に矯正を施したりしなくても、真円度の良好な焼入れ品を得ることができることが明らかとなった。
そのため、第1本発明の焼入れ方法によれば、低コストで真円度の良好な焼入れ品を提供することができる。また、拘束具が無くても良いため、環状ワークのサイズ変更などにも迅速に対応することができる。
[第2の実施例]
第2の本発明の焼入れ方法の作用効果を検証した。
ここでは、下記環状ワークを試験片として、実施例6〜8、参考例1〜2及び比較例5〜6を行った。
(評価用試験片の作製)
JIS SUJ2からなる鋼材から環状素材を製造し、得られた環状素材に切削加工を施して、所定形状に加工して、環状ワーク(外径:200mm、肉厚:10〜20mm)を得た。
(実施例6)
(1)加熱前の環状ワーク(試験片:肉厚15mm)の真円度を算出した。真円度は、100μmであった。
上記真円度は、実施例1と同様の手法により算出した。
(2)次に、環状ワークを誘導加熱ゾーン210、外周解析ゾーン220及び冷却ゾーン230を備えた焼入れ装置300(図4参照)の誘導加熱ゾーン210に搬送し、環状ワーク全体を600℃に誘導加熱した。ここで、加熱条件は、周波数1kHzとした。また、環状ワークの温度は、熱電対を用いて表面温度で測定した。
このとき、加熱された環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
(3)続いて、加熱した環状ワークを外周解析ゾーン220に移動させ、加熱した環状ワークを大径部と小径部とに区分けした後、この区分けされた情報を記憶部223に記憶させた。ここで、環状ワークを大径部と小径部とに区分けする手法としては、実施例1と同様の手法を採用した。
(4)次に、環状ワークを再度、誘導加熱ゾーン210に搬送し、上記(2)と同条件で環状ワーク全体を950℃まで加熱した。
なお、上記工程(2)における600℃までの加熱、上記工程(3)における環状ワークの区分け、及び、本工程における焼入れ温度(950℃)までの加熱に要した総時間は70秒間であった。また、本実施例では、600℃に加熱された環状ワークを外周解析ゾーン220に搬送し、大径部と小径部とに区分けした後、再度、誘導加熱ゾーン210に搬送するまでに要した時間は10秒間であった。
(5)焼入れ温度まで加熱後、直ちに環状ワークを冷却ゾーン230に移動させて環状ワークに所定の条件で冷却液を噴射する冷却処理を行った。
ここでは、図5に示したような、環状ワークの外周囲に16個の冷却液を噴射するための噴射ノズル232(232a〜232p)が等間隔で配置されるとともに、環状ワークの内周囲に16個の冷却液を噴射するための噴射ノズル234(234a〜234p)が配置された冷却装置を有する冷却ゾーン230内で、噴射ノズル232と噴射ノズル234との間に環状ワークを配置して冷却処理を行った。
冷却液の噴射条件としては下記条件を採用した。
小径部:焼入れ温度(950℃)までの加熱完了から1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量2.0L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:焼入れ温度(950℃)までの加熱完了から1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
このような焼入れ処理により、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は、120μmであった。
(実施例7)
環状ワーク(試験片)として、肉厚20mmの環状ワークを使用し、加熱条件及び冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例6と同様にして環状ワークに焼入れ処理を施した。なお、加熱前の環状ワークの真円度は、150μmであった。
[加熱条件]
周波数1kHzで誘導加熱する。
[冷却液の噴射条件]
小径部:焼入れ温度(950℃)までの加熱完了から1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量2.2L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:焼入れ温度(950℃)までの加熱完了から1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
本実施例では、焼入れ処理により、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は130μmであった。
また、600℃まで加熱した際の環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
(実施例8)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片:肉厚10mm)の真円度を算出した。真円度は、120μmであった。
(2)次に、環状ワークを誘導加熱ゾーン210、外周解析ゾーン220及び冷却ゾーン230を備えた焼入れ装置300(図4参照)の誘導加熱ゾーン210に搬送し、環状ワーク全体を600℃まで加熱した。ここで、加熱条件は、周波数1kHzとした。また、環状ワークの温度は、実施例6と同様にして測定した。
このとき、加熱された環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
(3)続いて、加熱した環状ワークを外周解析ゾーン220に移動させ、加熱した環状ワークを大径部と小径部とに区分けした後、この区分けされた情報を記憶部223に記憶させた。ここで、環状ワークを大径部と小径部とに区分けする手法としては、実施例1と同様の手法を採用した。
(4)次に、環状ワークを再度、誘導加熱ゾーン210に搬送し、環状ワークを950℃まで加熱した。
なお、上記工程(2)における600℃までの加熱、上記工程(3)における環状ワークの区分け、及び、本工程における焼入れ温度(950℃)までの加熱に要した総時間は40秒間であった。また、本実施例では、600℃に加熱された環状ワークを外周解析ゾーンに搬送し、大径部と小径部とに区分けした後、再度、誘導加熱ゾーン210に搬送するまでに要した時間は10秒間であった。
(5)焼入れ温度まで加熱後、直ちに環状ワークを冷却ゾーン230に移動させ、冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例6と同様にして環状ワークを冷却した。
小径部:焼入れ温度(950℃)までの加熱完了から1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:焼入れ温度(950℃)までの加熱完了から1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量1.5L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
このような焼入れ処理により、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は、100μmであった。
(参考例1)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片:肉厚20mm)の真円度を算出した。真円度は、150μmであった。
(2)次に、環状ワークを誘導加熱ゾーン210、外周解析ゾーン220及び冷却ゾーン230を備えた焼入れ装置300(図4参照)の誘導加熱ゾーン210に搬送し、環状ワーク全体を950℃に加熱した。ここで、加熱条件は、周波数1kHz、加熱時間60秒間とした。また、環状ワークの温度は、実施例6と同様にして測定した。
このとき、加熱された環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
その後、空冷により環状ワークを750℃まで冷却した。
(3)続いて、焼入れ温度まで加熱後、750℃まで冷却された環状ワークを外周解析ゾーン220に移動させ、環状ワークを大径部と小径部とに区分けした後、この区分けされた情報を記憶部223に記憶させた。ここで、環状ワークを大径部と小径部とに区分けする手法としては、実施例1と同様の手法を採用した。
(4)次に、環状ワークを冷却ゾーン230まで移動させ、冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例6と同様にして環状ワークを冷却した。
小径部:空冷により750℃に到達してから1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量2.0L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:空冷により750℃に到達してから1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量1.5L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
このような焼入れ処理では、環状ワークの組織の一部に不完全焼入れ組織(ベイナイト組織)が観察された。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は、160μmであった。
(参考例2)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片:肉厚10mm)の真円度を算出した。真円度は、140μmであった。
(2)次に、環状ワークを誘導加熱ゾーン210、外周解析ゾーン220及び冷却ゾーン230を備えた焼入れ装置300(図4参照)の誘導加熱ゾーン210に搬送し、環状ワーク全体を950℃に加熱した。ここで、加熱条件は、周波数1kHz、加熱時間30秒間とした。環状ワークの温度は、実施例6と同様にして測定した。
このとき、加熱された環状ワークの平面視形状は、略楕円形状であった。
その後、空冷により環状ワークを750℃まで冷却した。
(3)続いて、焼入れ温度まで加熱後、750℃まで冷却された環状ワークを外周解析ゾーン220に移動させ、環状ワークを大径部と小径部とに区分けした後、この区分けされた情報を記憶部に記憶させた。ここで、環状ワークを大径部と小径部とに区分けする手法としては、実施例1と同様の手法を採用した。
(4)次に、環状ワークを冷却ゾーン230まで移動させ、冷却条件(冷却液の噴射条件)を下記のように変更した以外は、実施例6と同様にして環状ワークを冷却した。
小径部:空冷により750℃に到達してから1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量1.1L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
大径部:空冷により750℃に到達してから1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量0.8L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
このような焼入れ処理では、環状ワークの組織の一部に不完全焼入れ組織(ベイナイト組織)が観察された。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は、150μmであった。
(比較例5)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片:肉厚20mm)の真円度を算出した。真円度は、150μmであった。
(2)次に、環状ワークを加熱炉に搬入し、環状ワークを830℃で0.5時間の条件で炉加熱した。
(3)次に、環状ワークを80℃の冷却油の投入する油冷による冷却処理を行った。
このような焼入れ処理により、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は、300μmであった。
(比較例6)
(1)まず、加熱前の環状ワーク(試験片:肉厚20mm)の真円度を算出した。真円度は140μmであった。
(2)次に、環状ワークを誘導加熱ゾーン210、外周解析ゾーン220及び冷却ゾーン230を備えた焼入れ装置300(図4参照)の誘導加熱ゾーン210に搬送し、環状ワーク全体を950℃に加熱した。ここで、加熱条件は、周波数1kHz、加熱時間60秒間とした。環状ワークの温度は、実施例6と同様にして測定した。
(3)次に、環状ワークを冷却ゾーン230まで移動させ、環状ワークに所定の条件で冷却液を噴射して環状ワークを冷却した。ここでは、全ての噴射ノズルから同一の条件で冷却液を噴射して環状ワークを冷却した。
[冷却液の噴射条件]
焼入れ温度(950℃)までの加熱完了から1秒後に、内方側の噴射ノズル及び外方側の全ての噴射ノズルのそれぞれから、噴射ノズル1個につき流量1.8L/minで冷却液の噴射を開始し、60秒間冷却液を噴射する。冷却液の噴射角度は0°とする。
このような焼入れ処理では、環状ワークの内部組織は不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織となった。
また、焼入れ処理後の環状ワークの真円度は、220μmであった。
表2に示したように、第2の本発明の焼入れ方法では、真円度の良好な焼入れ品を得ることができることが明らかとなった。
そのため、第2の本発明の焼入れ方法によれば、低コストで真円度の良好な焼入れ品を提供することができる。また、環状ワークのサイズ変更などにも迅速に対応することができる。
また、第2の本発明の焼入れ方法によれば、焼入れ対象となる環状ワークが肉厚が10mmを超える環状ワークであっても真円度が良好な焼入れ品を得ることができることも明らかとなった。
W1、W2:環状ワーク(ワーク)、1、201:ターンテーブル、10、210: 誘導加熱ゾーン、11、211:加熱コイル、20、220:外周解析ゾーン、21、221:センサ素子、22、222:演算部、23、223:記憶部、30、230:冷却ゾーン、32、232、234:噴射ノズル、33、233:冷却液、100、300:焼入れ装置

Claims (7)

  1. 環状ワークの焼入れ方法であって、
    環状ワークは金属で形成され、
    環状ワークを焼入れ温度に加熱する加熱工程と、
    焼入れ温度に加熱された環状ワークの径寸法を取得し、取得した前記径寸法に基づいて、加熱された環状ワークを少なくとも大径部と小径部とに区分けする解析工程と、
    前記解析工程で少なくとも大径部と小径部とに区分けされた環状ワークに冷却液を噴射する冷却工程と、
    を含み、
    前記冷却工程において、前記大径部と前記小径部との寸法差が小さくなるように、前記大径部と前記小径部とに異なる噴射条件で冷却液を噴射することを特徴とする環状ワークの焼入れ方法。
  2. 環状ワークの焼入れ方法であって、
    環状ワークは金属で形成され、
    環状ワークを、当該環状ワークの応力が解放される温度に加熱する第1加熱工程と、
    応力を解放する温度に加熱された環状ワークの径寸法を取得し、取得した前記径寸法に基づいて、加熱された環状ワークを少なくとも大径部と小径部とに区分けする解析工程と、
    前記解析工程で少なくとも大径部と小径部とに区分された環状ワークを焼入れ温度に加熱する第2加熱工程と、
    焼入れ温度に加熱された環状ワークに冷却液を噴射する冷却工程と、
    を含み、
    前記冷却工程において、前記大径部と前記小径部との寸法差が小さくなるように、前記大径部と前記小径部とに異なる噴射条件で冷却液を噴射することを特徴とする環状ワークの焼入れ方法。
  3. 前記冷却工程により、環状ワークを不完全焼入れ組織のないマルテンサイト組織にする請求項1又は2に記載の環状ワークの焼入れ方法。
  4. 前記冷却工程において、前記小径部の冷却が前記大径部の冷却よりも促進されるように、前記冷却液の噴射条件を調節する請求項1〜3のいずれかに記載の環状ワークの焼入れ方法。
  5. 前記冷却工程において、前記環状ワークの内方側及び外方側から冷却液を噴射する請求項1〜4のいずれかに記載の環状ワークの焼入れ方法。
  6. 前記冷却工程において、前記冷却液の噴射条件は、単位時間あたりの冷却液の噴射量、冷却液の噴射開始時期、及び、冷却液の噴射角度のうちの少なくとも1つを変化させることによって調節する請求項1〜5のいずれかに記載の環状ワークの焼入れ方法。
  7. 前記環状ワークの径寸法の取得は、レーザ変位センサによる計測結果に基づいて行う請求項1〜6のいずれかに記載の環状ワークの焼入れ方法。
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