JP2018012764A - 樹脂組成物、樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた高周波特性(低比誘電率、低誘電正接)を備え、かつ、耐熱性及び導体との接着性をも高い水準で備える樹脂組成物、樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板を提供することを目的とする。【解決手段】(A)(a1)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物に由来する構造単位、並びに(a2)芳香族マレイミド化合物に由来する構造単位、を有する化合物を含有する樹脂組成物に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板の製造方法に関する。
携帯電話に代表される移動体通信機器、その基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワークインフラ機器、大型コンピュータなどの電子機器では使用する信号の高速化及び大容量化が年々進んでいる。これに伴い、これらの電子機器に搭載されるプリント配線板には高周波化対応が必要となり、伝送損失の低減を可能とする低比誘電率及び低誘電正接の基板材料が求められている。近年、このような高周波信号を扱うアプリケーションとして、上述した電子機器のほかに、ITS分野(自動車、交通システム関連)及び室内の近距離通信分野でも高周波無線信号を扱う新規システムの実用化及び実用計画が進んでおり、今後、これらの機器に搭載するプリント配線板に対しても、低伝送損失基板材料が更に要求されると予想される。
また、近年の環境問題から、鉛フリーはんだによる電子部品の実装及びハロゲンフリーによる難燃化が要求されるようになってきたため、プリント配線板用材料にはこれまでよりも高い耐熱性及び難燃性が必要とされている。
従来、低伝送損失が要求されるプリント配線板には、優れた高周波特性を示す耐熱性熱可塑性ポリマーとしてポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂が使用されている。ポリフェニレンエーテル系樹脂の使用としては、例えば、ポリフェニレンエーテルと熱硬化性樹脂とを併用する方法が提案されており、具体的には、ポリフェニレンエーテル及びエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、ポリフェニレンエーテルと、熱硬化性樹脂の中でも比誘電率が低いシアネートエステル樹脂とを併用した樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。
また、本発明者らは、ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリブタジエン樹脂をベースとして、樹脂組成物の製造段階(Aステージ段階)でセミIPN化することで相溶性、耐熱性、熱膨張特性、導体との接着性等を向上できる樹脂組成物を提案している(例えば、特許文献3参照)。
さらに、プリント配線板用材料として、マレイミド化合物を用いることも検討されている。例えば、特許文献4には、少なくとも2つのマレイミド骨格を有するマレイミド化合物と、少なくとも2つのアミノ基を有するとともに芳香族環構造を有する芳香族ジアミン化合物と、前記マレイミド化合物と前記芳香族ジアミン化合物との反応を促す、塩基性基及びフェノール性水酸基を有する触媒と、シリカと、を有することを特徴とする樹脂組成物が開示されている。
特開昭58−69046号公報 特公昭61−18937号公報 特開2008−95061号公報 特開2012−255059号公報
しかしながら、近年の高周波帯で使用するプリント配線板用基板材料には高周波特性及び導体との高接着性に加えて、低熱膨張率等の各種特性が更に優れていることが要求されている。
例えば、導体との接着性としては、樹脂との接着面側の表面粗さが非常に小さいロープロファイル銅箔(Rz:1〜2μm)使用時の銅箔引き剥がし強さで0.6kN/m以上が望まれている。また、低熱膨張特性としては、熱膨張係数(Z方向、Tg以下)が45ppm/℃以下であることが望まれている。
もちろん高周波特性としては、より高い周波数帯での優れた誘電特性が要求されており、例えば、一般的なEガラス基材を複合させた場合の基板材料の比誘電率は3.7以下、更には3.6以下であることが望まれている。しかも、従来の1〜5GHzでの誘電特性値のみならず、10GHz帯以上の高周波帯で上記要求値を満たす必要性が高まってきている。
本発明は、このような現状に鑑み、優れた高周波特性(低比誘電率、低誘電正接)を備え、かつ、耐熱性及び導体との接着性をも高い水準で備える樹脂組成物、樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の化合物を含有する樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]を含むものである。
[1](A)(a1)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物に由来する構造単位、並びに(a2)芳香族マレイミド化合物に由来する構造単位、を有する化合物を含有する樹脂組成物。
[2]前記化合物が、(a3)2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン由来の構造単位を更に有する[1]に記載の樹脂組成物。
[3]更に、(B)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物、並びに(C)芳香族マレイミド化合物を含有する[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4](D)無機フィラを更に含有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[5]前記樹脂組成物の硬化物の10GHzでの比誘電率が3.6以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂層及び支持基材を備える、樹脂層付き支持体。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物と、繊維基材と、から構成される、プリプレグ。
[8][1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、導体層と、を有する積層板。
[9][1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、少なくとも3層の回路層とを備える、多層プリント配線板。
[10] 前記回路層の数が3〜20層である、[9]に記載の多層プリント配線板。
[11][1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、回路層とを備える、ミリ波レーダー用プリント配線板。
本発明によれば、優れた高周波特性(低比誘電率、低誘電正接)を備え、かつ、耐熱性及び導体との接着性をも高い水準で備える樹脂組成物、樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板を提供することができる。
本実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程を示す概略図である。 内層回路基板の製造工程を示す概略図である。 本実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程を示す概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本明細書において、高周波領域とは、300MHz〜300GHzの領域を指し、特に3GHz〜300GHzを指すものとする。
本明細書においては、便宜上、特定の成分を(A)等の大文字を、特定の構造を(a)等の小文字を付記して表記することがある。この場合、前記特定の成分を(A)成分と表記し、前記特定の構造を構造(a)と表記することがある。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、(A)(a1)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物に由来する構造単位と、(a2)芳香族マレイミド化合物に由来する構造単位とを有する化合物(以下、(A)成分ともいう)を含有する。これによって良好な誘電特性を維持しつつ、導体との高Tg化,低CTE化、相容性等を更に向上させることができる。
<(A)(a1)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物に由来する構造単位と、(a2)芳香族マレイミド化合物に由来する構造単位とを有する化合物>
(a1)の原料は特に限定されないが、例えば、後述する(B)成分と同一の又は(B)成分と異なる化合物を使用できる。(a2)の原料は特に限定されないが、例えば、後述する(C)成分と同一の又は(C)成分と異なる化合物を使用できる。相容性や反応性の均一化の観点から、(a1)は(B)成分と同一のものであり、(a2)は(C)成分と同一のものであることが好ましい。
前記(A)成分を製造する際に使用される有機溶媒は特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。またこれらの中でも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが溶解性の観点から好ましい。
(A)成分は、更に(a3)2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物に由来する構造単位を有していることが好ましい。これにより、相溶性をより向上できる。
2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(1−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、これらの中でも、有機溶媒への溶解性が高く、合成時の反応率が高く、かつ耐熱性を高くできる観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリンから選択してもよい。溶解性、反応率及び耐熱性が優れることに加えて、安価であるという観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタンであってもよい。また、溶解性、反応率及び耐熱性に優れることに加えて、導体との高接着性を発現できるという観点から、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリンであってもよい。更に、溶解性、反応率、耐熱性、及び導体との接着性に優れることに加えて、高周波特性及び耐吸湿性の観点からは、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリンを選択してもよい。これらは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
<(B)飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及び少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基を有するマレイミド化合物>
本実施形態に係る飽和又は不飽和の2価の炭化水素基及び少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基を有するマレイミド化合物を(B)成分ということがある。(B)成分は、(a)マレイミド基、(b)少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び(c)飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物である。(B)成分を用いることで、高周波特性及び導体との高い接着性を有する樹脂組成物を得ることができる。
(a)マレイミド基は特に限定されず、一般的なマレイミド基である。(a)マレイミド基は芳香環に結合していても、脂肪族鎖に結合していてもよいが、誘電特性の観点からは、長鎖脂肪族鎖(例えば、炭素数8〜100の飽和炭化水素基)に結合していることが好ましい。(B)成分が、(a)マレイミド基が長鎖脂肪族鎖に結合した構造を有することで、樹脂組成物の高周波特性をより向上することができる。
構造(b)としては特に限定されないが、例えば、下記式(I)で表される基が挙げられる。
Figure 2018012764
式(I)中、Rは4価の有機基を示す。Rは4価の有機基であれば特に限定されないが、例えば、取扱性の観点から、炭素数1〜100の炭化水素基であってもよく、炭素数2〜50の炭化水素基であってもよく、炭素数4〜30の炭化水素基であってもよい。
は、置換又は非置換のシロキサン部位であってもよい。シロキサン部位としては、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン等に由来する構造が挙げられる。
が置換されている場合、置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−NRC(O)−N(R、−OC(O)−N(R、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホンアミド基等が挙げられる。ここで、Rは水素原子又はアルキル基を示す。これらの置換基は目的、用途等に合わせて、1種類又は2種類以上を選択できる。
としては、例えば、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物の4価の残基、すなわち、酸無水物から酸無水物基(−C(=O)OC(=O)−)を2個除いた4価の基が好ましい。酸無水物としては、後述するような化合物が例示できる。
機械強度の観点から、Rは芳香族であることが好ましく、無水ピロメリット酸から2つの酸無水物基を取り除いた基であることがより好ましい。すなわち、構造(b)は下記式(III)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2018012764
流動性及び回路埋め込み性の観点からは、構造(b)は、(A)成分中に複数存在すると好ましい。その場合、構造(b)は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。(A)成分中の構造(b)の数は、2〜40であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましい。
誘電特性の観点から、構造(b)は、下記式(IV)又は下記式(V)で表される基であってもよい。
Figure 2018012764
Figure 2018012764
構造(c)は特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。高周波特性の観点から、構造(c)は、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、飽和又は不飽和の2価の炭化水素基の炭素数は、8〜100であってもよい。構造(c)は、炭素数8〜100の分岐を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、炭素数10〜70の分岐を有していてもよいアルキレン基であるとより好ましく、炭素数15〜50の分岐を有していてもよいアルキレン基であると更に好ましい。構造(c)が炭素数8以上の分岐を有していてもよいアルキレン基であると、分子構造を三次元化し易く、ポリマーの自由体積を増大させて低密度化し易い。すなわち低誘電率化できるため、樹脂組成物の高周波特性を向上し易くなる。また、(A)成分が構造(c)を有することで、本実施形態に係る樹脂組成物の柔軟性が向上し、樹脂組成物から作製される樹脂フィルムの取扱性(タック性、割れ、粉落ち等)及び強度を高めることが可能である。
構造(c)としては、例えば、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基等のアルキレン基;ベンジレン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ベンジルプロピレン基、ナフチレンメチレン基、ナフチレンエチレン基等のアリーレンアルキレン基;フェニレンジメチレン基、フェニレンジエチレン基等のアリーレンジアルキレン基などが挙げられる。
高周波特性、低熱膨張特性、導体との接着性、耐熱性及び低吸湿性の観点から、構造(c)として下記式(II)で表される基が特に好ましい。
Figure 2018012764
式(II)中、R及びRは各々独立に炭素数4〜50のアルキレン基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、R及びRは各々独立に、炭素数5〜25のアルキレン基であることが好ましく、炭素数6〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数7〜10のアルキレン基であることが更に好ましい。
式(II)中、Rは炭素数4〜50のアルキル基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、Rは炭素数5〜25のアルキル基であることが好ましく、炭素数6〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数7〜10のアルキル基であることが更に好ましい。
式(II)中、Rは炭素数2〜50のアルキル基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、Rは炭素数3〜25のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数5〜8のアルキル基であることが更に好ましい。
流動性及び回路埋め込み性の観点からは、構造(c)は、(A)成分中に複数存在すると好ましい。その場合、構造(c)はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、(A)成分中に2〜40の構造(c)が存在することが好ましく、2〜20の構造(c)が存在することがより好ましく、2〜10の構造(c)が存在することが更に好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は特に限定されない。耐熱性の観点から、(A)成分の含有量は樹脂組成物(固形分)の全質量に対して2〜98質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましい。
(B)成分の分子量は特に限定されない。取扱性、流動性及び回路埋め込み性の観点より(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、500〜10000であることが好ましく、1000〜9000であることがより好ましく、1500〜9000であることが更に好ましく、1500〜7000であることがより一層好ましく、1700〜5000であることが特に好ましい。
(B)成分のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。
なお、GPCの測定条件は下記のとおりである。
ポンプ:L−6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
検出器:L−3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラムオーブン:L−655A−52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
ガードカラム及びカラム:TSK Guardcolumn HHR−L+TSKgel G4000HHR+TSKgel G2000HHR[すべて東ソー株式会社製、商品名]
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:30mg/5mL
注入量:20μL
流量:1.00mL/分
測定温度:40℃
(B)成分を製造する方法は限定されない。(B)成分は、例えば、酸無水物とジアミンとを反応させてアミン末端化合物を合成した後、該アミン末端化合物を過剰の無水マレイン酸と反応させることで作製してもよい。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの酸無水物は目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。なお、前述のとおり、上記式(I)のRとして、上記に挙げられるような酸無水物に由来する4価の有機基を用いることができる。より良好な誘電特性の観点から、酸無水物は、無水ピロメリット酸であることが好ましい。
ジアミンとしては、例えば、ダイマージアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ポリオキシアルキレンジアミン、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン等が挙げられる。これらは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(B)成分としては、例えば、下記式(XIII)で表される化合物であってもよい。
Figure 2018012764
式中、R及びQはそれぞれ独立に2価の有機基を示す。Rは上述の構造(c)と同じものが使用でき、Qは上述のRと同じものが使用できる。また、nは1〜10の整数を表す。
(B)成分としては市販されている化合物を使用することもできる。市販されている化合物としては、例えば、Designer Molecules Inc.製の製品が挙げられ、具体的には、BMI−1500、BMI−1700、BMI−3000、BMI−5000、BMI−9000(いずれも商品名)等が挙げられる。より良好な高周波特性を得る観点から、(B)成分としてBMI−3000を使用することがより好ましい。
<(C)芳香族マレイミド化合物>
本実施形態に係る樹脂組成物には、(B)成分とは異なる(C)芳香族マレイミド化合物を含有してもよい。本実施形態に係る(C)芳香族マレイミド化合物を(C)成分ということがある。なお、(B)成分及び(C)成分の双方に該当し得る化合物は、(B)成分に帰属するものとするが、(B)成分及び(C)成分の双方に該当し得る化合物を2種類以上含む場合、そのうち1つを(B)成分、その他の化合物を(C)成分と帰属するものとする。(C)成分を用いることで、樹脂組成物は、特に低熱膨張特性に優れるものとなる。すなわち、本実施形態の樹脂組成物は、(B)成分と(C)成分とを併用することにより、良好な誘電特性を維持しつつ、低熱膨張特性等を更に向上させることができる。この理由として、(B)成分と(C)成分とを含有する樹脂組成物から得られる硬化物は、低誘電特性を備える(B)成分からなる構造単位と、低熱膨張である(C)成分からなる構造単位とを備えるポリマーを含有するためだと推測される。
すなわち、(C)成分は、(B)成分よりも熱膨張係数が低いことが好ましい。(B)成分よりも熱膨張係数が低い(C)成分として、例えば、(B)成分よりも分子量が低いマレイミド基含有化合物、(B)成分よりも多くの芳香環を有するマレイミド基含有化合物、主鎖が(B)成分よりも短いマレイミド基含有化合物等が挙げられる。
樹脂組成物中の(C)成分の含有量は特に限定されない。低熱膨張性及び誘電特性の観点から(C)成分の含有量は樹脂組成物の全質量に対して1〜95質量%であることが好ましく、3〜90質量%であることがより好ましく、5〜85質量%であることが更に好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分と(C)成分との配合割合は特に限定されない。誘電特性及び低熱膨張係数の観点から、(A)成分と(C)成分の質量比(C)/(A)が0.01〜3であることが好ましく、0.03〜2であることがより好ましく、0.05〜1であることが更に好ましい。
(C)成分は、芳香環を有していれば、特に限定されない。芳香環は剛直で低熱膨張であるため、芳香環を有する(C)成分を用いることで、樹脂組成物の熱膨張係数を低減させることができる。マレイミド基は芳香環に結合していても、脂肪族鎖に結合していてもよいが、低熱膨張性の観点から、芳香環に結合していることが好ましい。また、ベンゼン環構造を内部骨格に有することが好ましい。(C)成分は、マレイミド基を2個以上含有するポリマレイミド化合物であることも好ましい。
(C)成分の具体例としては、1,2−ジマレイミドエタン、1,3−ジマレイミドプロパン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,7−ジマレイミドフルオレン、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(1,3−(4−メチルフェニレン))ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)エ−テル、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(2−(3−マレイミドフェニル)プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)−1−プロピル)ベンゼン、ビス(マレイミドシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(マレイミドフェニル)チオフェン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、吸湿性及び熱膨張係数をより低下させる観点からは、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを用いることが好ましい。樹脂組成物から形成される樹脂フィルムの破壊強度及び金属箔引き剥がし強さを更に高める観点からは、(C)成分として、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンを用いることが好ましい。
成形性の観点からは、(C)成分としては、例えば、下記式(VI)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018012764
式(VI)中、Aは下記式(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)で表される残基を示し、Aは下記式(XI)で表される残基を示す。低熱膨張性の観点から、Aは下記式(VII)、(VIII)又は(IX)で表される残基であることが好ましい。
Figure 2018012764
式(VII)中、R10は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。
Figure 2018012764
式(VIII)中、R11及びR12は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、Aは炭素数1〜5のアルキレン基若しくはアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基、単結合又は下記式(VIII−1)で表される残基を示す。
Figure 2018012764
式(VIII−1)中、R13及びR14は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、Aは炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
Figure 2018012764
式(IX)中、iは1〜10の整数である。
Figure 2018012764
式(X)中、R15及びR16は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、jは1〜8の整数である。
Figure 2018012764
式(XI)中、R17及びR18は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基若しくはアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基、フルオレニレン基、単結合、下記式(XI−1)で表される残基又は下記式(XI−2)で表される残基を示す。
Figure 2018012764
式(XI−1)中、R19及びR20は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、m−フェニレンジイソプロピリデン基、p−フェニレンジイソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
Figure 2018012764
式(XI−2)中、R21は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、A10及びA11は各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
(C)成分は、有機溶媒への溶解性、高周波特性、導体との高接着性、プリプレグの成形性等の観点から、ポリアミノビスマレイミド化合物を用いることが好ましい。ポリアミノビスマレイミド化合物は、例えば、末端に2個のマレイミド基を有する化合物と、分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物とを有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより得られる。
分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物は特に限定されないが、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
また、有機溶媒への溶解性が高く、合成時の反応率が高く、かつ耐熱性を高くできる観点からは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタンが好ましい。これらは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
ポリアミノビスマレイミド化合物を製造する際に使用される有機溶媒は特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、これらの中でも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドが溶解性の観点から好ましい。
<(D)熱硬化性樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分及び(C)成分とは異なる(D)熱硬化性樹脂を更に含有することができる。なお、(A)成分又は(C)成分に該当し得る化合物は、(D)熱硬化性樹脂に帰属しないものとする。(D)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。(D)熱硬化性樹脂を含むことで、樹脂組成物の低熱膨張特性等を更に向上させることができる。
(D)熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有させる場合、特に制限されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、高周波特性及び熱膨張特性の観点からは、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂又はビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
(D)熱硬化性樹脂としてシアネートエステル樹脂を含有させる場合、特に限定されないが、例えば、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノール付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステル化合物、フェノールノボラック型シアネートエステル化合物、クレゾールノボラック型シアネートエステル化合物等が挙げられる。これらは1種類を用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、安価である点、高周波特性及びその他特性の総合バランスを考慮すると、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンを用いることが好ましい。
(硬化剤)
本実施形態の樹脂組成物は、(D)熱硬化性樹脂の硬化剤を更に含有してもよい。これにより、樹脂組成物の硬化物を得る際の反応を円滑に進めることができるとともに、得られる樹脂組成物の硬化物の物性を適度に調節することが可能となる。
エポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては特に制限されないが、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジシアンジアミド等のポリアミン化合物;ビスフェノールA、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等のポリフェノール化合物;無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物;各種カルボン酸化合物;各種活性エステル化合物などが挙げられる。
シアネートエステル樹脂を用いる場合、硬化剤としては特に限定されないが、例えば、各種モノフェノール化合物、各種ポリフェノール化合物、各種アミン化合物、各種アルコール化合物、各種酸無水物、各種カルボン酸化合物等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(イミダゾール化合物、リン化合物、アゾ化合物及び有機過酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む触媒)
イミダゾール化合物としては、例えば、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール及びイソシアネートマスクイミダゾールが挙げられる。イソシアネートマスクイミダゾールとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールとの付加反応物が挙げられる。イミダゾール化合物としては、特に限定されないが、樹脂組成物の保存安定性の観点からイソシアネートマスクイミダゾールであることが好ましい。
リン化合物としては、リン原子を含有する触媒であれば特に制限なく使用することができる。リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類;有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体;及び第三ホスフィンとキノン類との付加物が挙げられる。リン化合物としては、(A)成分の硬化反応がより十分に進み、より高い導体との接着性を発揮できる観点から、第三ホスフィンとキノン類との付加物が好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカーボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート及び1,1’−アゾビス−(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキサイド、ジベンゾイルペルオキサイド、2−ブタノンペルオキサイド、tert−ブチルペルベンゾエイト、ジ−tert−ブチルペルオキサイド、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジラウロイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド及びtert−ブチルパーオキシピバレートが挙げられる。
(B)成分は、1時間半減期温度が110〜250℃の有機過酸化物を含むことが好ましく、1時間半減期温度が115〜250℃の有機過酸化物を含むことがより好ましく、1時間半減期温度が120〜230℃の有機過酸化物を含むことが更に好ましく、1時間半減期温度が130〜200℃の有機過酸化物を含むことが特に好ましい。この範囲であれば、はんだ耐熱性を良好にしつつ塗工の自由度及びプレス性が高い樹脂組成物を得ることができる。同様の観点から、有機過酸化物の1分間の半減期温度は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが更に好ましい。有機過酸化物の1分間の半減期温度の上限値は特に限定されない。
なお、有機過酸化物における半減期は、一定温度における有機過酸化物の分解速度を表す指標であって、元の有機過酸化物が分解して、その活性酸素量が1/2になるまでに要する時間によって示される。有機過酸化物の半減期は、例えば、以下のようにして算出することができる。
まず、ラジカルに比較的不活性な溶媒(例えば、ベンゼン)に有機過酸化物を溶解し、希薄濃度の有機過酸化物溶液を調製し、窒素置換を行ったガラス管に封入する。次いで、ガラス管を所定温度にセットした恒温槽に浸し、有機過酸化物を熱分解させる。一般的に希薄溶液中の有機過酸化物の分解は、近似的に一次反応として取扱うことができるので、分解有機過酸化物x、分解速度定数k、時間t、有機過酸化物の初期濃度aとすると、下記式(1)及び(2)で表すことができる。
dx/dt=k(a−x) (1)
ln a/(a−x)=kt (2)
また、半減期(t1/2)は、分解によって有機過酸化物が初期の半分に減ずるまでの時間であるため、下記式(3)で表すことができる。
kt1/2=ln2 (3)
したがって、一定温度で有機過酸化物を熱分解させ、時間tと、ln a/(a−x)との関係をプロットし、得られた直線の傾きからkを求め、(3)式からある温度における半減期(t1/2)を求めることができる。
(無機充填剤)
本実施形態の樹脂組成物は、無機充填剤を更に含有してもよい。任意に適切な無機充填剤を含有させることで、樹脂組成物の低熱膨張特性、高弾性率性、耐熱性、難燃性等を向上させることができる。無機充填剤としては特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
無機充填剤の形状及び粒径についても特に制限はない。無機充填剤の粒径は、例えば、0.01〜20μmであっても、0.1〜10μmであってもよい。ここで、粒径とは、平均粒子径を指し、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積50%に相当する点の粒子径のことである。平均粒径はレーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
無機充填剤を用いる場合、その使用量は特に制限されないが、例えば、樹脂組成物中の固形分を全量として無機充填剤の含有比率が3〜75体積%であることが好ましく、5〜70体積%であることがより好ましい。樹脂組成物中の無機充填剤の含有比率が上記の範囲である場合、良好な硬化性、成形性及び耐薬品性が得られ易くなる。
無機充填剤を用いる場合、無機充填剤の分散性、有機成分との密着性を向上させる等の目的で、必要に応じ、カップリング剤を併用できる。カップリング剤としては特に限定されず、例えば、各種のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等を用いることができる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。また、カップリング剤の使用量も特に限定されず、例えば、使用する無機充填剤100質量部に対して0.1〜5質量部としてもよいし、0.5〜3質量部としてもよい。この範囲であれば、諸特性の低下が少なく、無機充填剤の使用による特長を効果的に発揮し易くなる。
カップリング剤を用いる場合、樹脂組成物中に無機充填剤を配合した後、カップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよいが、予め無機充填剤にカップリング剤を、乾式又は湿式で表面処理した無機充填剤を使用する方式が好ましい。この方法を用いることで、より効果的に上記無機充填剤の特長を発現できる。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂フィルムの取扱性を高める観点から、熱可塑性樹脂を更に含有してもよい。熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、分子量も限定されないが、(A)成分との相溶性をより高める点から、数平均分子量(Mn)が200〜60000であることが好ましい。
フィルム形成性及び耐吸湿性の観点から、熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマであることが好ましい。熱可塑性エラストマとしては飽和型熱可塑性エラストマ等が挙げられ、飽和型熱可塑性エラストマとしては化学変性飽和型熱可塑性エラストマ、非変性飽和型熱可塑性エラストマ等が挙げられる。化学変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、無水マレイン酸で変性されたスチレン−エチレン−ブチレン共重合体等が挙げられる。化学変性飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、タフテックM1911、M1913、M1943(全て旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等が挙げられる。一方、非変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、非変性のスチレン−エチレン−ブチレン共重合体等が挙げられる。非変性飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、タフテックH1041、H1051、H1043、H1053(全て旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
フィルム形成性、誘電特性及び耐吸湿性の観点から、飽和型熱可塑性エラストマは、分子中にスチレンユニットを有することがより好ましい。なお、本明細書において、スチレンユニットとは、重合体における、スチレン単量体に由来する単位を指し、飽和型熱可塑性エラストマとは、スチレンユニットの芳香族炭化水素部分以外の脂肪族炭化水素部分が、いずれも飽和結合基によって構成された構造を有するものをいう。
飽和型熱可塑性エラストマにおけるスチレンユニットの含有比率は、特に限定されないが、飽和型熱可塑性エラストマの全質量に対するスチレンユニットの質量百分率で、10〜80質量%であると好ましく、20〜70質量%であるとより好ましい。スチレンユニットの含有比率が上記範囲内であると、フィルム外観、耐熱性及び接着性に優れる傾向にある。
分子中にスチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体が挙げられる。スチレン−エチレン−ブチレン共重合体は、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエンに由来する構造単位が有する不飽和二重結合に水素添加を行うことにより得ることができる。
熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されないが、誘電特性を更に良好にする観点からは樹脂組成物の固形分を全量として0.1〜15質量%であることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
(難燃剤)
本実施形態の樹脂組成物には、難燃剤を更に配合してもよい。難燃剤としては特に限定されないが、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物等が好適に用いられる。臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂;ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン等の臭素化添加型難燃剤;トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化スチレン等の不飽和二重結合基含有の臭素化反応型難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族系リン酸エステル;フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル;ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル;ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物;リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物、赤リン等のリン系難燃剤などが挙げられる。金属水酸化物難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの難燃剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、上記した各成分を均一に分散及び混合することによって得ることができ、その調製手段、条件等は特に限定されない。例えば、所定配合量の各種成分をミキサー等によって十分に均一に撹拌及び混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等を用いて混練し、更に得られた混練物を冷却及び粉砕する方法が挙げられる。なお、混練形式についても特に限定されない。
本実施形態の樹脂組成物の硬化物の比誘電率は特に限定されないが、高周波帯で好適に用いる観点から、10GHzでの比誘電率は3.6以下であることが好ましく、3.1以下であることがより好ましく、3.0以下であることが更に好ましい。比誘電率の下限については特に限定はないが、例えば、1.0程度であってもよい。また、高周波帯で好適に用いる観点から、本実施形態の樹脂組成物の硬化物の誘電正接は0.004以下であることが好ましく、0.003以下であることがより好ましい。比誘電率の下限については特に限定はなく、例えば、0.0001程度であってもよい。比誘電率及び誘電正接は下記実施例で示す方法で測定できる。
積層板のそりを抑制する観点から、本実施形態の樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数は、10〜90ppm/℃であることが好ましく、10〜45ppm/℃であることがより好ましく、10〜40ppm/℃であることが更に好ましい。熱膨張係数はIPC−TM−650 2.4.24に準拠して測定できる。
本実施形態の樹脂組成物は、高周波領域における比誘電率及び誘電正接がともに低いという優れた誘電特性を有している。そのため、当該樹脂フィルムの表面(片面又は両面)に金属箔(銅箔)を積層して金属張硬化樹脂フィルムとした場合に、高周波領域における優れた誘電特性を得ることができる。
[樹脂フィルム]
本実施形態では、上記の樹脂組成物を用いて、樹脂フィルムを製造することができる。なお、樹脂フィルムとは未硬化又は半硬化のフィルム状の樹脂組成物を指す。
樹脂フィルムの製造方法は限定されないが、例えば、樹脂組成物を支持基材上に塗布して形成された樹脂層を乾燥することで得られる。すなわち、本実施形態の樹脂フィルムは、支持基材と、該支持基材上に形成された、上記樹脂組成物の半硬化物又は硬化物からなる樹脂層とを備える構成を有していてもよい。具体的には、上記樹脂組成物をキスコーター、ロールコーター、コンマコーター等を用いて支持基材上に塗布した後、加熱乾燥炉中等で、例えば70〜250℃、好ましくは70〜200℃の温度で、1〜30分間、好ましくは3〜15分間乾燥してもよい。これにより、樹脂組成物が半硬化した状態の樹脂フィルムを得ることができる。
なお、この半硬化した状態の樹脂フィルムを、加熱炉で更に、例えば、170〜250℃、好ましくは185〜230℃の温度で、60〜150分間加熱させることによって樹脂フィルムを熱硬化させることができる。
本実施形態に係る樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、1〜200μmであることが好ましく、2〜180μmであることがより好ましく、3〜150μmであることが更に好ましい。樹脂フィルムの厚さを上記の範囲とすることにより、本実施形態に係る樹脂フィルムを用いて得られるプリント配線板の薄型化と良好な高周波特性とを両立し易い。
支持基材は特に限定されないが、ガラス、金属箔及びPETフィルムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。樹脂フィルムが支持基材を備えることにより、保管性及びプリント配線板の製造に用いる際の取扱性が良好となる傾向にある。すなわち、本実施形態に係る樹脂フィルムは、本実施形態の樹脂組成物を含む樹脂層及び支持基材を備える、樹脂層付き支持体の形態をとることができ、使用される際には支持基材から剥離してもよい。
従来のプリント配線板用の樹脂フィルムでは、ガラスクロス等を樹脂組成物中に配さない場合、樹脂フィルムの取扱性が悪くなり、強度も十分に保持でき難い傾向がある。これに対し、本実施形態の樹脂フィルムは、特に、柔軟な(A)成分を有する樹脂組成物から形成されるため、ガラスクロス等を有さなくても、薄く且つ取扱性(タック性、割れ、粉落ち等)にも優れるものとなる。また、本実施形態の樹脂フィルムは、ロープロファイル箔等に対する引き剥がし強さが十分に高い。そのため、ロープロファイル箔を問題なく使用でき、さらに伝送損失を十分に低減したプリント配線板を提供できる。また、本実施形態の樹脂フィルムは、優れた外観性と多層化成形性とを同時に達成できるものであると共に、耐熱性及び耐湿性にも優れる。
[プリプレグ]
本実施形態に係るプリプレグは、例えば、本実施形態の樹脂組成物を補強基材である繊維基材に塗工し、塗工された樹脂組成物を乾燥させて得ることができる。また、本実施形態のプリプレグは、繊維基材を本実施形態の樹脂組成物に含浸した後、含浸された樹脂組成物を乾燥させて得てもよい。具体的には、樹脂組成物が付着した繊維基材を、乾燥炉中で通常、80〜200℃の温度で、1〜30分間加熱乾燥することで、樹脂組成物が半硬化したプリプレグを得られる。良好な成形性の観点からは、繊維基材に対する樹脂組成物の付着量は、乾燥後のプリプレグ中の樹脂含有率として30〜90質量%となるように塗工又は含浸することが好ましい。
プリプレグの補強基材としては限定されないが、シート状繊維基材が好ましい。シート状繊維基材としては、例えば、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている公知のものが用いられる。その材質としては、例えば、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Qガラス等の無機繊維;ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維などが挙げられる。シート状繊維基材として、織布、不織布、チョップドストランドマット等の形状を有するものが使用できる。また、シート状繊維基材の厚みは特に制限されず、例えば、0.02〜0.5mmのものを用いることができる。また、シート状繊維基材としては、カップリング剤等で表面処理したもの、又は、機械的に開繊処理を施したものが、樹脂組成物の含浸性、積層板とした際の耐熱性、耐吸湿性及び加工性の観点から好ましい。
[積層板]
本実施形態によれば、上述の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、導体層とを有する積層板を提供することができる。例えば、上記樹脂フィルム又は上記プリプレグを用い、金属張積層板を製造することができる。当該樹脂フィルム又はプリプレグを用いて得られる金属張積層板は、実装時のはんだ接続工程に耐え得る高いはんだ耐熱性を備えると共に、耐吸湿性にも優れることから、屋外での使用用途にも適するものとなる。
金属張積層板の製造方法は限定されないが、例えば、本実施形態に係る樹脂フィルム又はプリプレグを1枚又は複数枚重ね、少なくとも一つの面に導体層となる金属箔を配置し、例えば、170〜250℃、好ましくは185〜230℃の温度及び0.5〜5.0MPaの圧力で60〜150分間加熱及び加圧することにより、絶縁層となる樹脂層又はプリプレグの少なくとも一つの面に金属箔を備える金属張積層板が得られる。加熱及び加圧は、例えば、真空度は10kPa以下、好ましくは5kPa以下の条件で実施でき、効率を高める観点からは真空中で行うことが好ましい。加熱及び加圧は、開始から30分間〜成形終了時間まで実施することが好ましい。
[多層プリント配線板]
本実施形態によれば、上述の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、回路層とを備える多層プリント配線板を提供することができる。回路層の数の上限値は特に限定されず、3層〜20層であってもよい。多層プリント配線板は、例えば、上記樹脂フィルム、プリプレグ又は金属張積層板を用いて製造することもできる。
多層プリント配線板の製造方法としては特に限定されないが、例えば、まず、回路形成加工されたコア基板の片面又は両面に、樹脂フィルムを配置するか、あるいは複数枚のコア基板の間に樹脂フィルムを配置し、加圧及び加熱ラミネート成形、又は加圧及び加熱プレス成形を行って各層を接着した後、レーザー穴開け加工、ドリル穴開け加工、金属めっき加工、金属エッチング等による回路形成加工を行うことで、多層プリント配線板を製造することができる。樹脂フィルムが支持基材を有している場合、支持基材は、コア基板上又はコア基板間に樹脂フィルムを配置する前に剥離しておくか、あるいは、樹脂層をコア基板に張り付けた後に剥離することができる。
本実施形態に係る樹脂フィルムを用いた多層プリント配線板の製造方法を、図1に沿って説明する。図1は、本実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程を模式的に示す図である。本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法は、(a)内層回路基板に樹脂フィルムを積層して樹脂層を形成する工程(以下、「工程(a)」という)と、(b)樹脂層を加熱及び加圧して硬化する工程(以下、「工程(b)」という)と、(c)硬化した樹脂層上にアンテナ回路層を形成する工程(以下、「工程(c)」という)とを有する。
図1の(a)に示すように、工程(a)では、内層回路基板11に本実施形態に係る樹脂フィルム12を積層して樹脂フィルム12からなる樹脂層を形成する。
積層方法は特に限定されないが、例えば、多段プレス、真空プレス、常圧ラミネーター、真空下で加熱及び加圧するラミネーターを用いて積層する方法等が挙げられ、真空下で加熱及び加圧するラミネーターを用いる方法が好ましい。これにより、内層回路基板11が表面に微細配線回路を有していてもボイドがなく回路間を樹脂で埋め込むことができる。ラミネート条件は特に限定されないが、圧着温度が70〜130℃、圧着圧力が1〜11kgf/cmであって、減圧又は真空下で積層するのが好ましい。ラミネートは、バッチ式であってもよく、また、ロールでの連続式であってもよい。
内層回路基板11としては、特に限定されず、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等を使用することができる。内層回路基板11の樹脂フィルムが積層される面の回路表面は予め粗化処理されていてもよい。
内層回路基板11の回路層数は限定されない。図1では6層の内層回路基板としたが、この層数に限定されず、例えば、ミリ波レーダー用プリント配線板を作製する場合、その設計に応じて2層〜20層等と自由に選択することができる。本実施形態の多層プリント配線板は、ミリ波レーダーの作製へ応用することができる。すなわち、本実施形態に係る樹脂フィルムの硬化物を含む樹脂層と、回路層とを備えるミリ波レーダー用プリント配線板を作製することができる。
後述するアンテナ回路層14をエッチングにより樹脂層12a上に形成する場合、樹脂フィルム12上に更に金属箔13を積層して金属層13aを形成してもよい。金属箔としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛等が挙げられ、導電性の観点からは銅が好ましい。金属箔は合金であってもよく、例えば、銅合金として、ベリリウム又はカドミウムを少量添加した高純度銅合金が挙げられる。金属箔の厚みは、3〜200μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。
図1の(b)に示すように、工程(b)では、工程(a)で積層した内層回路基板11及び樹脂層12aを加熱及び加圧して熱硬化させる。条件は特に限定されないが、温度100℃〜250℃、圧力0.2〜10MPa、時間30〜120分間の範囲が好ましく、150℃〜220℃がより好ましい。
図1の(c)に示すように、工程(c)では、樹脂層12a上にアンテナ回路層14を形成する。アンテナ回路層14の形成方法は特に限定されず、例えば、サブトラクティブ法等のエッチング法、セミアディティブ法等によって形成してもよい。
サブトラクティブ法は、金属層13aの上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって、レジストの除去された部分の金属層を薬液で溶解し除去することによって、所望の回路を形成する方法である。薬液としては、例えば、塩化銅溶液、塩化鉄溶液等を使用することができる。
セミアディティブ法は、無電解めっき法により樹脂層12aの表面に金属被膜を形成し、金属被膜上に所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次いで、電解めっき法によって金属層を形成した後、不要な無電解めっき層を薬液等で除去し、所望の回路層を形成する方法である。
また、樹脂層12aには、必要に応じてビアホール15等のホールを形成してもよい。ホールの形成方法は限定されないが、NCドリル、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、YAGレーザー、プラズマ等を適用できる。
ここで、内層回路基板11は、図2に示す工程(p)〜(r)によって製造することもできる。図2は、内層回路基板の製造工程を模式的に示す図である。すなわち、本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法は、工程(p)、工程(q)、工程(r)、工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有していてもよい。以下、工程(p)〜(r)について説明する。
まず、図2の(p)に示すように、工程(p)では、コア基板41及びプリプレグ42を積層する。コア基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等を使用できる。プリプレグとしては、例えば、日立化成株式会社製「GWA−900G」、「GWA−910G」、「GHA−679G」、「GHA−679G(S)」、「GZA−71G」、「GEA−75G」(いずれも商品名)等を使用することができる。
次に、図2の(q)に示すように、工程(q)では、工程(p)で得られたコア基板41及びプリプレグ42の積層体を加熱及び加圧する。加熱する温度は、特に限定されないが、120〜230℃が好ましく、150〜210℃がより好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、1〜5MPaが好ましく、2〜4MPaがより好ましい。加熱時間は特に限定されないが30〜120分が好ましい。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性に優れた内層回路基板を得ることができる。
さらに、図2の(r)に示すように、工程(r)では、必要に応じて内層回路基板にスルーホール43を形成する。スルーホール43の形成方法は特に限定されず、上述するアンテナ回路層を形成する工程と同一であってもよいし、公知の方法を用いてもよい。
上記の工程により、本実施形態の多層プリント配線板を製造できる。また、上記工程を経て製造されたプリント配線板を内層回路基板として更に工程(a)〜(c)を繰り返してもよい。
図3は、図1に示す工程により製造された多層プリント配線板を内層回路基板として用いた多層プリント配線板の製造工程を模式的に示す図である。図3の(a)と図1の(a)が、図3の(b)と図1の(b)が、図3の(c)と図1の(c)が、それぞれ対応する。
具体的には、図3の(a)は、内層回路基板21に樹脂フィルム22を積層して樹脂層22aを形成し、必要に応じて金属箔23を樹脂フィルム22に積層して金属層23aを形成する工程である。図3の(b)は、樹脂層22aを加熱及び加圧して硬化する工程であり、図3の(c)は硬化した樹脂層上にアンテナ回路層24を形成する工程である。
図1及び図3では、アンテナ回路パターン等を形成する目的で内層回路基板上に積層する樹脂層の層数を1層又は2層としたが、これに限定されず、アンテナ回路設計に応じて3層又はそれ以上の層数としてもよい。アンテナ回路層を多層とすることで、広帯域特性を有するアンテナ及び使用周波数帯域でアンテナ放射パターンの角度変化が少ない(ビームチルトレス)アンテナの設計が容易となる。
本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法では、(A)成分及び(B)成分を含有する樹脂フィルムを用いて樹脂層を形成しているため、高周波特性に優れる層の他に接着層を設けずに積層体を作製することができる。これにより、工程の簡略化及び更なる高周波特性の向上効果が得られる。
上記のような本実施形態に係る樹脂組成物、樹脂フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板は、1GHz以上の高周波信号を扱う電子機器に好適に用いることができ、特に10GHz以上の高周波信号を扱う電子機器に好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[(A)成分の製造]
(合成例A−1)
表1の配合量に従って、 温度計、還流冷却管、撹拌装置を備えた加熱及び冷却可能な容積2Lのガラス製フラスコ容器に、トルエン、BMI−3000、BMI−1000を投入し、100℃で撹拌しながら溶解した。溶解したことを目視で確認後、溶液温度115℃で8時間反応させ構造(a1)と構造(a2)とを有する化合物を得た。
この反応溶液を少量取り出し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、測定を行ったところ、表に記載の分子量となった。なお、GPCの測定条件は上述のとおりである。
(合成例A−2〜A−6)
各成分の投入量を表1に示すとおりに変更し、合成例A−1と同様の操作を行って、構造(a1)と、構造(a2)と、構造(a3)を有する化合物を得た。
(合成例A−7〜A−10)
各成分の投入量を表1に示すとおりに変更し、合成例A−1と同様の操作を行って、構造(a1)と、構造(a2)と、構造(a3)を有する化合物を得た。
[比較合成例]
各成分の投入量を表2に示すとおりに変更し、合成例A−1と同様の操作を行った。
[樹脂ワニスの調製]
下記手順に従って、各種の樹脂ワニスを調製した。
(実施例1)
温度計、還流冷却管及び攪拌装置を備えた300ミリリットル容の4つ口フラスコに、シリカスラリー(SC−2050KNK、球状溶融シリカ:平均粒子径:0.5μm、表面処理:フェニルアミノシランカップリング剤(1質量%/固形分)、分散媒:メチルイソブチルケトン(MIBK)、固形分濃度70質量%、密度2.2g/cm、株式会社アドマテックス製)、上記で合成した(A)成分、パーブチルP、シリカスラリーを投入し、25℃で1時間攪拌した。次いで#200ナイロンメッシュ(開口75μm)によりろ過し樹脂ワニスを調整した。
(実施例2〜10、参考例1〜10)
各成分の配合量を表3及び表4に示す量に変更し、実施例1と同一の操作を行い樹脂ワニスを得た。
なお、表1〜4における各材料の略号等は、以下の通りである。
・BMI−3000(構造(a1)の原料、重量平均分子量:約3000、デジグナーモレキュールズインコーポレイテッド社製)
・BMI−5000(構造(a1)の原料、重量平均分子量:約5000、デジグナーモレキュールズインコーポレイテッド社製)
・BMI−1000: ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(構造(a2)の原料、大和化成工業株式会社製)
・BMI−4000: 2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(構造(a2)の原料、大和化成工業株式会社製)
・BMI−TMH: 2,2’,4−トリメチルヘキサンビスマレイミド(構造(a2)の原料、大和化成工業株式会社製)
・ビスアニリンM:1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(構造(a3)の原料、三井化学ファインケミカル株式会社製)
・パーブチルP: ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン (日油株式会社製)
・G−8009L:イソシアネートマスクイミダゾール(ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加反応物)(第一工業製薬株式会社製)
・シリカスラリー: (SC−2050KNK、球状溶融シリカ:平均粒子径:0.5μm、表面処理:フェニルアミノシランカップリング剤(1質量%/固形分)、分散媒:メチルイソブチルケトン(MIBK)、固形分濃度70質量%、密度2.2g/cm、株式会社アドマテックス製)
・トルエン(関東化学株式会社製)
Figure 2018012764
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Figure 2018012764
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[ワニス相容性]
上記で調整したワニスの透明性とメッシュ(ナイロン#200:目開き77μm)の抜け性によって評価した。透明性の高いもの(濁りのないもの)を◎、メッシュはぬけるものの透明性のないものは○、メッシュ抜け性が悪く(抜けないも含む)、透明性がないものは×として評価した。
[両面金属張硬化樹脂フィルムの作製]
上述の樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、これを2枚重ね、その両面に、厚さ18μのロープロファイル銅箔(F3−WS、M面Rz:3μm、古河電気工業社製)をその粗化(M)面が接するように配置し、その上に鏡板を乗せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱加圧成形して、両面金属張硬化樹脂フィルム(厚さ:0.1mm)を作製した。
[両面金属張硬化樹脂フィルムの特性評価]
上述の実施例1〜10及び比較例1〜10の両面金属張硬化樹脂フィルムについて、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張率、銅箔引きはがし強さを評価した。その評価結果を表5、表6に示す。両面金属張硬化樹脂フィルムの特性評価方法は以下のとおりである。
[誘電特性]
誘電特性である比誘電率及び誘電正接は、両面金属張硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングし、長さ60mm、幅2mm、厚み約1mmに切断したものを試験片として空洞共振器摂動法により測定した。測定器にはアジレントテクノロジー社製ベクトル型ネットワークアナライザE8364B、空洞共振器には株式会社関東電子応用開発製CP129(10GHz帯共振器)及びCP137(20GHz帯共振器)、測定プログラムにはCPMA−V2をそれぞれ使用した。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
[ガラス転移温度の測定]
ガラス転移温度は、両面の銅箔をエッチングしたサンプルを用い、サンプルサイズ幅5mmX 長さ20mm X 厚み1mmを昇温速度5℃/min、温度範囲30℃―300℃、周波数10Hzで動的粘弾性測定装置(ユーピーエム社製、DVE−V4)により測定し、損失正接(Tanδ)低温側の極大値の温度をガラス転移温度とした。
[熱膨張係数の測定]
熱膨張係数(板厚方向、温度範囲:30〜150℃)は、両面の銅箔をエッチングした5mm角の試験片を用いて、TMA(TAインスツルメント社製、Q400)により、IPC法に準拠して測定した。
[銅箔引きはがし強さの測定]
両面金属張硬化樹脂フィルムの銅箔引きはがし強さは、銅張積層板試験規格JIS−C−6481に準拠して測定した。
[はんだ耐熱性の評価]
はんだ耐熱性は、50mm角に切断した上述の両面金属張硬化樹脂フィルムの片側の銅箔をエッチングし、その常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)装置(条件:121℃、2.2気圧)において、所定時間(1、3、5時間)処理した後のものを、288℃の溶融はんだに20秒間ディップし、処理時間が異なる3枚の硬化樹脂フィルムのそれぞれの外観を目視で調べた。なお、表中の数字は、はんだディップ後の硬化樹脂フィルム3枚のうち、フィルム内部及びフィルムと銅箔間に膨れ又はミーズリングの発生が認められなかったものの枚数を意味する。
Figure 2018012764
Figure 2018012764
実施例の半硬化樹脂フィルムを用いて作製した硬化樹脂フィルムは、いずれも高周波特性に優れており、(A)成分を用いることで、単に(B)成分及び(C)成分を組み合わせた参考例よりも、ワニスの相溶性、Tg、及びCTEが更に向上する。
本発明の樹脂組成物は、ビルドアップ配線板の製造に適したフィルム形成能及び取り扱い性を保持しつつ、無機充填剤入りフッ素樹脂基板材料と同等レベルである、約3.0以下の比誘電率を有し、且つ誘電正接も低く、また液晶ポリマーよりも良好な誘電特性を示すことから、ミリ波帯を超えるような高周波帯域でも伝送損特性を発現し、且つ良好なはんだ耐熱性、銅箔引きはがし強さを兼ね備えている。したがって、1GHz以上の高周波信号を扱う移動体通信機器及びその基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器及び大型コンピュータ等の各種電気・電子機器などに使用される印刷配線板の部材・部品用途,より高周波での使用が求められるミリ波レーダー用の部材・部品用途としも有用である。
11,21…内層回路基板、12,22…樹脂フィルム、12a,22a…樹脂層、13,23…金属箔、13a,23a…金属層、14,24…アンテナ回路層、15…ビアホール、41…コア基板、42…プリプレグ、43…スルーホール。

Claims (11)

  1. (A)(a1)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物に由来する構造単位、並びに(a2)芳香族マレイミド化合物に由来する構造単位、を有する化合物を含有する樹脂組成物。
  2. 前記化合物が、(a3)2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン由来の構造単位を更に有する請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 更に、(B)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物、並びに(C)芳香族マレイミド化合物を含有する請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. (D)無機フィラを更に含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物の硬化物の10GHzでの比誘電率が3.6以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む樹脂層及び支持基材を備える、樹脂層付き支持体。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、繊維基材と、から構成される、プリプレグ。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、導体層と、を有する積層板。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、少なくとも3層の回路層とを備える、多層プリント配線板。
  10. 前記回路層の数が3〜20層である、請求項18に記載の多層プリント配線板。
  11. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、回路層とを備える、ミリ波レーダー用プリント配線板。
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