JP6708947B2 - ミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの製造方法に関する。
携帯電話に代表される移動体通信機器、その基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワークインフラ機器、大型コンピュータなどの電子機器では使用する信号の高速化及び大容量化が年々進んでいる。これに伴い、これらの電子機器に搭載されるプリント配線板には高周波化対応が必要となり、伝送損失の低減を可能とする低比誘電率及び低誘電正接の基板材料が求められている。近年、このような高周波信号を扱うアプリケーションとして、上述した電子機器のほかに、ITS分野(自動車、交通システム関連)及び室内の近距離通信分野でも高周波無線信号を扱う新規システムの実用化及び実用計画が進んでおり、今後、これらの機器に搭載するプリント配線板に対しても、低伝送損失基板材料が更に要求されると予想される。
また、近年の環境問題から、鉛フリーはんだによる電子部品の実装及びハロゲンフリーによる難燃化が要求されるようになってきたため、プリント配線板用材料にはこれまでよりも高い耐熱性及び難燃性が必要とされている。
従来、低伝送損失が要求されるプリント配線板には、優れた高周波特性を示す耐熱性熱可塑性ポリマーとしてポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂が使用されている。ポリフェニレンエーテル系樹脂の使用としては、例えば、ポリフェニレンエーテルと熱硬化性樹脂とを併用する方法が提案されており、具体的には、ポリフェニレンエーテル及びエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、ポリフェニレンエーテルと、熱硬化性樹脂の中でも比誘電率が低いシアネートエステル樹脂とを併用した樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。
また、本発明者らは、ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリブタジエン樹脂をベースとして、樹脂組成物の製造段階(Aステージ段階)でセミIPN化することで相容性、耐熱性、熱膨張特性、導体との接着性等を向上できる樹脂組成物を提案している(例えば、特許文献3参照)。
更に、プリント配線板用材料として、マレイミド化合物を用いることも検討されている。例えば、特許文献4には、少なくとも2つのマレイミド骨格を有するマレイミド化合物と、少なくとも2つのアミノ基を有するとともに芳香族環構造を有する芳香族ジアミン化合物と、前記マレイミド化合物と前記芳香族ジアミン化合物との反応を促す、塩基性基およびフェノール性水酸基を有する触媒と、シリカと、を有することを特徴とする樹脂組成物が開示されている。
特開昭58−69046号公報 特公昭61−18937号公報 特開2008−95061号公報 特開2012−255059号公報
しかしながら、近年の高周波帯で使用するプリント配線板用基板材料には高周波特性と接着性が更に優れていることが要求されている。
また、樹脂フィルムの比誘電率が一定でなく(ばらつきが生じ)、当該樹脂フィルムを用いて得られるプリント配線板の高周波特性の安定性を悪化させたり、生産性を低下させる傾向があった。
本発明は、このような現状に鑑み、優れた高周波特性(低比誘電率、低誘電正接)と導体との接着性とを両立するミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する化合物を含有する樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。
[2]マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物と、略球状の無機充填材とを混合する工程を備えるミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの製造方法。
[2]マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物と、無機充填材スラリーとを混合する工程を備える、ミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、優れた高周波特性(低比誘電率、低誘電正接)を備え、かつ、導体との接着性を備える樹脂組成物、並びに前記樹脂組成物を用いて製造される樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板を提供できる。
本発明のプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及びミリ波レーダー用プリント配線板は、本発明の樹脂組成物を用いて形成されるため、高周波領域における比誘電率及び誘電正接がともに低いという優れた誘電特性を有する。
本実施形態に係る多層印刷配線板の製造工程を示す概略図である。 内層回路基板の製造工程を示す概略図である。 本実施形態に係る多層印刷配線板の製造工程を示す概略図である。 従来の多層印刷配線板の製造工程を示す概略図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、本明細書において、高周波領域とは、0.3GHz〜300GHzの領域を指し、特にミリ波レーダーに用いられる周波数領域は3GHz〜300GHzを指すものとする。
≪ミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの製造方法≫
[樹脂組成物]
<(A)マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物>
本実施形態に係る(a)マレイミド基、(b)少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び(c)飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物を(A)成分ということがある。また、(a)マレイミド基を構造(a)、(b)少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基を構造(b)、(c)飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を構造(c)ということがある。(A)成分を用いることで、高周波特性及び導体との高い接着性を有する樹脂組成物を得ることができる。なお、本命最初において樹脂組成物とは、本実施形態にかかるミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの原料として用いられるものである。
(a)マレイミド基は特に限定されず、一般的なマレイミド基である。(a)マレイミド基は芳香環に結合していても、脂肪族鎖に結合していてもよいが、誘電特性の観点からは、脂肪族鎖に結合していることが好ましい。
(b)少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基としては特に限定されないが、例えば、下記式(I)で表される基が挙げられる。
Figure 0006708947
式(I)中、R1は4価の有機基を示す。R1は4価の有機基であれば特に限定されないが、例えば、取扱性の観点から、炭素数1〜100の炭化水素基であってもよく、炭素数2〜50の炭化水素基であってもよく、炭素数4〜30の炭化水素基であってもよい。
1は、置換又は非置換のシロキサン部位であってもよい。シロキサン部位としては、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン等に由来する構造が挙げられる。
1が置換されている場合、置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、アミド基、−C(O)H、−NRxC(O)−N(Rx2、−OC(O)−N(Rx2、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホンアミド基等が挙げられる。ここで、Rxは水素原子又はアルキル基を示す。これらの置換基は目的、用途等に合わせて、1種類又は2種類以上を選択できる。
1としては、例えば、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物の4価の残基、すなわち、酸無水物から酸無水物基(−C(=O)OC(=O)−)を2個除いた4価の基が好ましい。酸無水物としては、後述するような化合物が例示できる。
機械強度の観点から、R1は芳香族であることが好ましく、無水ピロメリット酸から2つの酸無水物基を取り除いた基であることがより好ましい。すなわち、構造(b)は下記式(III)で表される基であることがより好ましい。
Figure 0006708947
流動性及び回路埋め込み性の観点からは、構造(b)は、(A)成分中に複数存在すると好ましい。その場合、構造(b)は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。(A)成分中の構造(b)の数は、2〜40であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましい。
誘電特性の観点から、構造(b)は、下記式(IV)又は下記式(V)で表される基であってもよい。
Figure 0006708947
Figure 0006708947
構造(c)は特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。また、飽和又は不飽和の2価の炭化水素基の炭素数は、8〜100であってもよい。構造(c)は、炭素数8〜100の分岐を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、炭素数10〜70の分岐を有していてもよいアルキレン基であるとより好ましく、炭素数15〜50の分岐を有していてもよいアルキレン基であると更に好ましい。(A)成分が構造(c)を有することで、本実施形態に係る樹脂組成物の可とう性が向上し、樹脂組成物から作製される樹脂フィルムの取扱性(タック性、割れ、粉落ち等)及び強度を高めることが可能である。また、上記の炭素数を有する構造(c)は、分子構造を三次元化し易く、ポリマーの自由体積を増大させて低密度化、すなわち低誘電率化できるため好ましい。
構造(c)としては、例えば、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基等のアルキレン基;ベンジレン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ベンジルプロピレン基、ナフチレンメチレン基、ナフチレンエチレン基等のアリーレンアルキレン基;フェニレンジメチレン基、フェニレンジエチレン基等のアリーレンジアルキレン基などが挙げられる。
高周波特性、低熱膨張特性、導体との接着性、耐熱性及び低吸湿性の観点から、構造(c)として下記式(II)で表される基が特に好ましい。
Figure 0006708947
式(II)中、R2及びR3は各々独立に炭素数4〜50のアルキレン基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、R2及びR3は各々独立に、炭素数5〜25のアルキレン基であることが好ましく、炭素数6〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数7〜10のアルキレン基であることが更に好ましい。
式(II)中、R4は炭素数4〜50のアルキル基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、R4は炭素数5〜25のアルキル基であることが好ましく、炭素数6〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数7〜10のアルキル基であることが更に好ましい。
式(II)中、R5は炭素数2〜50のアルキル基を示す。柔軟性の更なる向上及び合成容易性の観点から、R5は炭素数3〜25のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数5〜8のアルキル基であることが更に好ましい。
流動性及び回路埋め込み性の観点からは、構造(c)は、(A)成分中に複数存在すると好ましい。その場合、構造(c)はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、(A)成分中に2〜40の構造(c)が存在することが好ましく、2〜20の構造(c)が存在することがより好ましく、2〜10の構造(c)が存在することが更に好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は特に限定されない。耐熱性の観点から(A)成分の含有量の下限値は、樹脂組成物の全質量に対して2質量%以上又は10質量%以上であってもよい。また、低熱膨張係数の観点から(A)成分の含有量の上限値は、樹脂組成物の全質量に対して98質量%以下、50質量%以下又は30質量%以下であってもよい。耐熱性の観点から、(A)成分の含有量は樹脂組成物の全質量に対して2〜98質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましい。
(A)成分の分子量は特に限定されない。流動性の観点から(A)成分の重量平均分子量(Mw)の下限値は、500以上、1000以上、1500以上又は1700であってもよい。また、取扱性の観点から(A)成分のMwの上限値は、10000以下、9000以下、7000以下又は5000以下であってもよい。取扱性、流動性及び回路埋め込み性の観点より(A)成分のMwは、500〜10000であることが好ましく、1000〜9000であることがより好ましく、1500〜9000であることが更に好ましく、1500〜7000であることがより一層好ましく、1700〜5000であることが特に好ましい。
(A)成分のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。
なお、GPCの測定条件は下記のとおりである。
ポンプ:L−6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
検出器:L−3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラムオーブン:L−655A−52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラム及びガードカラム:TSK Guardcolumn HHR−L+カラム;TSKgel G4000HHR+TSKgel G2000HHR[すべて東ソー株式会社製、商品名]
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:30mg/5mL
注入量:20μL
流量:1.00mL/分
測定温度:40℃
(A)成分を製造する方法は限定されない。(A)成分は、例えば、酸無水物とジアミンとを反応させてアミン末端化合物を合成した後、該アミン末端化合物を過剰の無水マレイン酸と反応させることで作製してもよい。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの酸無水物は目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。なお、前述のとおり、上記式(I)のR1として、上記に挙げられるような酸無水物に由来する4価の有機基を用いることができる。より良好な誘電特性の観点から、酸無水物は、無水ピロメリット酸であることが好ましい。
ジアミンとしては、例えば、ダイマージアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ポリオキシアルキレンジアミン、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン等が挙げられる。これらは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(A)成分としては、例えば、以下の化合物であってもよい。
Figure 0006708947
式中、R及びQはそれぞれ独立に2価の有機基を示す。Rは上述の構造(c)と同じものが使用でき、Qは上述のR1と同じものが使用できる。また、nは1〜10の整数を表す。
(A)成分としては市販されている化合物を使用することもできる。市販されている化合物としては、例えば、Designer Molecules Inc.製の製品が挙げられ、具体的には、BMI−1500、BMI−1700、BMI−3000、BMI−5000、BMI−9000(いずれも商品名)等が挙げられる。より良好な高周波特性を得る観点から、(A)成分としてBMI−3000を使用することがより好ましい。
<無機充填材>
本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材を含有する。適切な無機充填材を選択することにより、低熱膨張特性、高弾性率、耐熱性、難燃性等を向上させることができる。無機充填材としては特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態においては、特定の無機充填材を含有させ、当該無機充填材を樹脂組成物中に略均一に分散することにより、樹脂成分と無機充填材成分との比誘電率の差により発生する高周波特性のばらつきを抑制することが可能となる。略均一に分散する方法としては、例えば、略球状の無機充填材を用いる方法、無機充填材をスラリーとして用いる方法等が挙げられ、任意の一つ以上の手法を用いて略均一な分散を達成できる。
(略球状の無機充填材を用いる方法)
無機充填材の形状として、例えば、球状、円柱状、角柱状、多面体状、不定形等が挙げられるが、球状の無機充填材を用いれば、略均一に分散させやすくなる。より分散性を高める観点から、上記無機充填材のアスペクト比(長径と短径の比)は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。ここで、無機充填材の形状は、走査型電子顕微鏡により観察できる。なお、本明細書における「球状」とは略球状、真球状、楕円状、卵形等を含み、真球のみを意味するものではない。
(無機充填材をスラリーとして用いる方法)
無機充填材を予め有機溶媒中に分散させることにより、略均一に分散させやすくなる。なお、当該状態のものを無機充填材スラリーともいう。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などが挙げられる。
無機充填材スラリー中のシリカ粒子の配合量としては、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上70質量%以下であることが更に好ましい。
分散性を向上させるために、本実施形態に係る無機充填材は、粒度分布におけるD10に対するD90の比率が1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがより好ましい。「D10」とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積10%に相当する点の粒子径を意味し、「D90」とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積90%に相当する点の粒子径を意味する。ここで、本発明における粒度分布とは、粒径の分布割合を意味し、粒度分布は、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(例えば、SALD−2200(株式会社島津製作所社製)等)により測定できる。
同様に、「D50」とは、積算値が50%の時の粒径を意味する。また、「D50」の粒径を平均粒径という。無機充填材のD50は特に限定されないが、例えば、0.01〜20μmであっても、0.1〜10μmであってもよい。
無機充填材の使用量は特に制限されないが、例えば、樹脂組成物中の固形分を全量として無機充填材の含有比率が3〜75体積%であることが好ましく、5〜70体積%であることがより好ましい。樹脂組成物中の無機充填材の含有比率が上記の範囲である場合、良好な硬化性、成形性及び耐薬品性が得られ易くなる。
無機充填材を用いる場合、無機充填材の分散性、有機成分との密着性を向上させる等の目的で、必要に応じ、カップリング剤を併用できる。カップリング剤としては特に限定されず、例えば、各種のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等を用いることができる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。また、カップリング剤の使用量も特に限定されず、例えば、使用する無機充填材100質量部に対して0.1〜5質量部としてもよいし、0.5〜3質量部としてもよい。この範囲であれば、諸特性の低下が少なく、無機充填材の使用による特長を効果的に発揮し易くなる。
カップリング剤を用いる場合、樹脂組成物中に無機充填材を配合した後、カップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよいが、予め無機充填材にカップリング剤を、乾式又は湿式で表面処理して使用する方式が好ましい。この方法を用いることで、より効果的に上記無機充填材の特長を発現できる。
<(B)マレイミド基含有化合物>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分とは異なるマレイミド基含有化合物を更に含有することができる。該マレイミド基含有化合物を(B)成分ということがある。なお、(A)成分及び(B)マレイミド基含有化合物の双方に該当し得る化合物は、(A)成分に帰属するものとする。(B)成分を用いることで、樹脂組成物は、特に低熱膨張特性に優れるものとなる。すなわち、本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分とを併用することにより、良好な誘電特性を維持しつつ、低熱膨張特性等を更に向上させることができる。この理由として、(A)成分と(B)マレイミド基含有化合物とを含有する樹脂組成物から得られる硬化物は、低誘電特性を備える(A)成分からなる構造単位と、低熱膨張である(B)マレイミド基含有化合物からなる構造単位とを備えるポリマーを含有するためだと推測される。
すなわち、(B)マレイミド基含有化合物は、(A)成分よりも熱膨張係数が低いことが好ましい。(A)成分よりも熱膨張係数が低い(B)成分として、例えば、(A)成分よりも分子量が低いマレイミド基含有化合物、(A)成分よりも多くの芳香環を有するマレイミド基含有化合物、主鎖が(A)成分よりも短いマレイミド基含有化合物等が挙げられる。
樹脂組成物中の(B)成分の含有量は特に限定されない。低熱膨張性の観点から(B)成分の含有量の下限値は、樹脂組成物の全質量に対して1質量%以上、3質量%以上又は5質量%以上であってもよい。また、誘電特性の観点から(B)成分の含有量の上限値は、樹脂組成物の全質量に対して95質量%以下、90質量%以下又は85質量%以下であってもよい。低熱膨張性の観点から、(B)成分の含有量は樹脂組成物の全質量に対して1〜95質量%であることが好ましく、3〜90質量%であることがより好ましく、5〜85質量%であることが更に好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分と(B)成分との配合割合は特に限定されない。誘電特性及び低熱膨張係数の観点から、(A)成分と(B)成分の質量比(B)/(A)が0.01〜3であることが好ましく、0.03〜2であることがより好ましく、0.05〜1であることが更に好ましい。
(B)マレイミド基含有化合物は特に限定されないが、芳香環を有することが好ましい。芳香環は剛直で低熱膨張であるため、芳香環を有する(B)成分を用いることで、更に熱膨張係数を低減させることができる。マレイミド基は芳香環に結合していても、脂肪族鎖に結合していてもよいが、誘電特性の観点からは、芳香環に結合していることが好ましい。すなわち、(B)成分は、芳香環にマレイミド基が結合した基を有することが好ましい。また、(B)成分は、マレイミド基を2個以上含有するポリマレイミド化合物であることも好ましい。
(B)成分の具体例としては、1,2−ジマレイミドエタン、1,3−ジマレイミドプロパン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,7−ジマレイミドフルオレン、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(1,3−(4−メチルフェニレン))ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)エ−テル、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(2−(3−マレイミドフェニル)プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)−1−プロピル)ベンゼン、ビス(マレイミドシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(マレイミドフェニル)チオフェン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、吸湿性及び熱膨張係数をより低下させる観点からは、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを用いることが好ましい。樹脂組成物から形成される樹脂フィルムの破壊強度及び金属箔引き剥がし強さを更に高める観点からは、(B)成分として、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンを用いることが好ましい。
成形性の観点からは、(B)マレイミド基含有化合物としては、例えば、下記式(VI)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006708947
式(VI)中、A4は下記式(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)で表される残基を示し、A5は下記式(XI)で表される残基を示す。
Figure 0006708947
式(VII)中、R10は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。
Figure 0006708947
式(VIII)中、R11及びR12は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、A6は炭素数1〜5のアルキレン基若しくはアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基、単結合又は下記式(VIII−1)で表される残基を示す。
Figure 0006708947
式(VIII−1)中、R13及びR14は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、A7は炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
Figure 0006708947
式(IX)中、iは1〜10の整数である。
Figure 0006708947
式(X)中、R15及びR16は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、jは1〜8の整数である。
Figure 0006708947
式(XI)中、R17及びR18は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示し、A8は、炭素数1〜5のアルキレン基若しくはアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基、フルオレニレン基、単結合、下記式(XI−1)で表される残基又は下記式(XI−2)で表される残基を示す。
Figure 0006708947
式(XI−1)中、R19及びR20は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、A9は、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、m−フェニレンジイソプロピリデン基、p−フェニレンジイソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
Figure 0006708947
式(XI−2)中、R21は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、A10及びA11は各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基又は単結合を示す。
(B)マレイミド基含有化合物は、有機溶媒への溶解性、高周波特性、導体との高接着性、プリプレグの成形性等の観点から、ポリアミノビスマレイミド化合物として用いることが好ましい。ポリアミノビスマレイミド化合物は、例えば、末端に2個のマレイミド基を有する化合物と、分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物とを有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより得られる。
分子中に2個の一級アミノ基を有する芳香族ジアミン化合物は特に限定されないが、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
また、有機溶媒への溶解性が高く、合成時の反応率が高く、かつ耐熱性を高くできる観点からは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタンが好ましい。これらは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
ポリアミノビスマレイミド化合物を製造する際に使用される有機溶媒は特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、これらの中でも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドが溶解性の観点から好ましい。
<その他の成分>
(触媒)
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分の硬化を促進するための触媒を更に含有してもよい。触媒の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の全質量に対して0.1〜5質量%であってもよい。触媒としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。
過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、2−ブタノンパーオキサイド、tert−ブチルパーベンゾエイト、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及びtert−ブチルヒドロパーオキシドが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1’―アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)が挙げられる。
((C)熱硬化性樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分とは異なる熱硬化性樹脂を更に含有することができる。なお、(A)成分又は(B)成分に該当し得る化合物は、(C)熱硬化性樹脂に帰属しないものとする。(C)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。(C)熱硬化性樹脂を含むことで、樹脂組成物の低熱膨張特性等を更に向上させることができる。
(C)熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有させる場合、特に制限されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、高周波特性及び熱膨張特性の観点からは、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂又はビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
(C)熱硬化性樹脂としてシアネートエステル樹脂を含有させる場合、特に限定されないが、例えば、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノール付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステル化合物、フェノールノボラック型シアネートエステル化合物、クレゾールノボラック型シアネートエステル化合物等が挙げられる。これらは1種類を用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、安価である点、高周波特性及びその他特性の総合バランスを考慮すると、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンを用いることが好ましい。
(硬化剤)
本実施形態の樹脂組成物は、(C)熱硬化性樹脂の硬化剤を更に含有してもよい。これにより、樹脂組成物の硬化物を得る際の反応を円滑に進めることができるとともに、得られる樹脂組成物の硬化物の物性を適度に調節することが可能となる。
エポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては特に制限されないが、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジシアンジアミド等のポリアミン化合物;ビスフェノールA、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等のポリフェノール化合物;無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物;各種カルボン酸化合物;各種活性エステル化合物などが挙げられる。
シアネートエステル樹脂を用いる場合、硬化剤としては特に限定されないが、例えば、各種モノフェノール化合物、各種ポリフェノール化合物、各種アミン化合物、各種アルコール化合物、各種酸無水物、各種カルボン酸化合物等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(硬化促進剤)
本実施形態の樹脂組成物には、(C)熱硬化性樹脂の種類に応じて硬化促進剤を更に配合してもよい。エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、例えば、潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類、BF3アミン錯体、リン系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤を配合する場合、樹脂組成物の保存安定性、半硬化の樹脂組成物の取扱性及びはんだ耐熱性の観点から、イミダゾール類及びリン系硬化促進剤が好ましい。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂フィルムの取扱い性を高める観点から、熱可塑性樹脂を更に含有してもよい。熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、分子量も限定されないが、(A)成分との相溶性をより高める点から、数平均分子量(Mn)が200〜60000であることが好ましい。
フィルム形成性及び耐吸湿性の観点から、熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマであることが好ましい。熱可塑性エラストマとしては飽和型熱可塑性エラストマ等が挙げられ、飽和型熱可塑性エラストマとしては化学変性飽和型熱可塑性エラストマ、非変性飽和型熱可塑性エラストマ等が挙げられる。化学変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、無水マレイン酸で変性されたスチレン−エチレン−ブチレン共重合体等が挙げられる。化学変性飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、タフテックM1911、M1913、M1943(全て旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等が挙げられる。一方、非変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、非変性のスチレン−エチレン−ブチレン共重合体等が挙げられる。非変性飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、タフテックH1041、H1051、H1043、H1053(全て旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
フィルム形成性、誘電特性及び耐吸湿性の観点から、飽和型熱可塑性エラストマは、分子中にスチレンユニットを有することがより好ましい。なお、本明細書において、スチレンユニットとは、重合体における、スチレン単量体に由来する単位を指し、飽和型熱可塑性エラストマとは、スチレンユニットの芳香族炭化水素部分以外の脂肪族炭化水素部分が、いずれも飽和結合基によって構成された構造を有するものをいう。
飽和型熱可塑性エラストマにおけるスチレンユニットの含有比率は、特に限定されないが、飽和型熱可塑性エラストマの全質量に対するスチレンユニットの質量百分率で、10〜80質量%であると好ましく、20〜70質量%であるとより好ましい。スチレンユニットの含有比率が上記範囲内であると、フィルム外観、耐熱性及び接着性に優れる傾向にある。
分子中にスチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマの具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体が挙げられる。スチレン−エチレン−ブチレン共重合体は、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエンに由来する構造単位が有する不飽和二重結合に水素添加を行うことにより得ることができる。
熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されないが、誘電特性を更に良好にする観点からは樹脂組成物の固形分を全量として0.1〜15質量%であることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
(難燃剤)
本実施形態の樹脂組成物には、難燃剤を更に配合してもよい。難燃剤としては特に限定されないが、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物等が好適に用いられる。臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂;ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン等の臭素化添加型難燃剤;トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化スチレン等の不飽和二重結合基含有の臭素化反応型難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族系リン酸エステル;フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル;ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル;ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物;リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物、赤リン等のリン系難燃剤などが挙げられる。金属水酸化物難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの難燃剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記した各成分を均一に分散及び混合することによって得ることができ、その調製手段、条件等は特に限定されない。例えば、所定配合量の各種成分をミキサー等によって十分に均一に撹拌及び混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等を用いて混練し、更に得られた混練物を冷却及び粉砕する方法が挙げられる。なお、混練形式についても特に限定されない。樹脂組成物は、必要に応じ有機溶媒を含んでいてもよく、上記成分が、有機溶媒に溶解又は分散した樹脂ワニスの形態であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物において無機充填材を略均一に分散させる方法として、特定の方法で分散処理を行う方法を用いてもよい。分散処理する方法としては、例えば、ビーズミル、ボールミル等のメディアミル;ディゾルバー等のハイスピードディスパーサー、ナノマイザー等の高圧ホモジナイザー;コロイドミル;超音波処理機などが挙げられる。これらの中で、不純物の混入が少なく、効率良く分散できる点から高圧ホモジナイザーで処理する方法が好ましい。また、分散混合の際に分散剤として、シラン系やチタネート系、アルミネート系等のカップリング剤、ポリエーテル変性ポリシロキサン等の変性シリコーン類、ポリカルボン酸類、ウレタン系やアクリル系のポリマー分散剤等を添加することもできる。
分散性をより高める観点からは、無機充填材スラリー、必要に応じて熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂をこの順で混合することが好ましい。
[樹脂組成物の特性]
本実施形態の樹脂組成物の硬化物の比誘電率は特に限定されないが、高周波帯で好適に用いる観点から、10GHzでの比誘電率は3.6以下であることが好ましく、3.1以下であることがより好ましく、3.0以下であることが更に好ましい。比誘電率の下限については特に限定はないが、例えば、1.0程度であってもよい。また、高周波帯で好適に用いる観点から、本実施形態の樹脂組成物の硬化物の誘電正接は0.004以下であることが好ましく、0.003以下であることがより好ましい。比誘電率の下限については特に限定はなく、例えば、0.0001程度であってもよい。比誘電率及び誘電正接は下記実施例で示す方法で測定できる。
積層板のそりを抑制する観点から、本実施形態の樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数は、10〜90ppm/℃であることが好ましく、10〜45ppm/℃であることがより好ましく、10〜40ppm/℃であることが更に好ましい。熱膨張係数はIPC−TM−650 2.4.24に準拠して測定できる。
[樹脂フィルム]
本実施形態では、上記の樹脂組成物を用いて、樹脂フィルムを製造することができる。なお、樹脂フィルムとは未硬化又は半硬化のフィルム状の樹脂組成物を指す。
樹脂フィルムの製造方法は限定されないが、例えば、樹脂組成物を支持基材上に塗布して形成された樹脂層を乾燥することで得られる。具体的には、上記樹脂組成物をキスコーター、ロールコーター、コンマコーター等を用いて支持基材上に塗布した後、加熱乾燥炉中等で、例えば70〜250℃、好ましくは70〜200℃の温度で、1〜30分間、好ましくは3〜15分間乾燥してもよい。これにより、樹脂組成物が半硬化した状態の樹脂フィルムを得ることができる。
なお、この半硬化した状態の樹脂フィルムを、加熱炉で更に、例えば、170〜250℃、好ましくは185〜230℃の温度で、60〜150分間加熱させることによって樹脂フィルムを熱硬化させることができる。
本実施形態に係る樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、1〜200μmであることが好ましく、2〜180μmであることがより好ましく、3〜150μmであることが更に好ましい。樹脂フィルムの厚さを上記の範囲とすることにより、本実施形態に係る樹脂フィルムを用いて得られるプリント配線板の薄型化と良好な高周波特性、を両立し易い。
支持基材は特に限定されないが、ガラス、金属箔及びPETフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。樹脂フィルムが支持基材を備えることにより、保管性及びプリント配線板の製造に用いる際の取扱性が良好となる傾向にある。すなわち、本実施形態に係る樹脂フィルムは、本実施形態の樹脂組成物を含む樹脂層及び支持基材を備える、樹脂層付き支持体の形態をとることができ、使用される際には支持基材から剥離してもよい。
≪プリプレグ≫
本実施形態のプリプレグは、上述の樹脂組成物と、繊維基材とから構成される。
本実施形態のプリプレグは、例えば、本実施形態の樹脂組成物を補強基材である繊維基材に塗工し、塗工された樹脂組成物を乾燥させて得られる。また、本実施形態のプリプレグは、繊維基材を本実施形態の樹脂組成物に含浸した後、含浸された樹脂組成物を乾燥させて得てもよい。具体的には、樹脂組成物が付着した繊維基材を、乾燥炉中で通常、80〜200℃の温度で、1〜30分間加熱乾燥することで、樹脂組成物が半硬化したプリプレグを得られる。良好な成形性の観点からは、繊維基材に対する樹脂組成物の付着量は、乾燥後のプリプレグ中の樹脂含有率として30〜90質量%となるように塗工又は含浸することが好ましい。
繊維基材としては限定されないが、シート状繊維基材が好ましい。シート状繊維基材としては、例えば、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている公知のものが用いられる。その材質としては、例えば、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Qガラス等の無機繊維;ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維などが挙げられる。シート状繊維基材として、織布、不織布、チョップドストランドマット等の形状を有するものが使用できる。また、シート状繊維基材の厚みは特に制限されず、例えば、0.02〜0.5mmのものを用いることができる。また、シート状繊維基材としては、カップリング剤等で表面処理したもの、又は、機械的に開繊処理を施したものが、樹脂組成物の含浸性、積層板とした際の耐熱性、耐吸湿性及び加工性の観点から好ましい。
≪積層板≫
本実施形態によれば、上述の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、導体層と、を有する積層板を提供することができる。例えば、上記樹脂フィルム、樹脂層付き支持体又はプリプレグを用い、金属張積層板を製造することができる。
金属張積層板の製造方法は限定されないが、例えば、本実施形態の樹脂フィルム又はプリプレグを1枚又は複数枚重ね、少なくとも一つの面に導体層となる金属箔を配置し、例えば、170〜250℃、好ましくは185〜230℃の温度及び0.5〜5.0MPaの圧力で60〜150分間加熱及び加圧することにより、絶縁層となる樹脂層又はプリプレグの少なくとも一つの面に金属箔を備える金属張積層板が得られる。加熱及び加圧は、例えば、真空度は10kPa以下、好ましくは5kPa以下の条件で実施でき、効率を高める観点からは真空中で行うことが好ましい。加熱及び加圧は、開始から30分間〜成形終了時間まで実施することが好ましい。
≪多層プリント配線板≫
本実施形態によれば、上述の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、少なくとも3層の回路層とを備える、多層プリント配線板を提供することができる。回路層の数の上限値は特に限定されず、3層〜20層であってもよい。多層プリント配線板は、例えば、上記の樹脂フィルム、樹脂層付き支持体、プリプレグ又は金属張積層板を用いて製造することもできる。
多層プリント配線板の製造方法としては特に限定されないが、例えば、まず、回路形成加工されたコア基板の片面又は両面に、樹脂フィルムを配置するか、あるいは複数枚のコア基板の間に樹脂フィルムを配置し、加圧及び加熱ラミネート成形、又は加圧及び加熱プレス成形を行って各層を接着した後、レーザー穴開け加工、ドリル穴開け加工、金属めっき加工、金属エッチング等による回路形成加工を行うことで、多層プリント配線板を製造することができる。樹脂フィルムが支持基材を有している場合(樹脂層付き支持体を用いる場合)、支持基材は、コア基板上又はコア基板間に樹脂フィルムを配置する前に剥離しておくか、あるいは、樹脂層をコア基板に張り付けた後に剥離することができる。
本実施形態に係る樹脂フィルムを用いた多層プリント配線板の製造方法を、図1に沿って説明する。図1は、本実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程を模式的に示す図である。本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法は、(a)内層回路基板に樹脂フィルムを積層して樹脂層を形成する工程(以下、「工程(a)」という)と、(b)樹脂層を加熱・加圧して硬化する工程(以下、「工程(b)」という)と、(c)硬化した樹脂層上にアンテナ回路層を形成する工程(以下、「工程(c)」という)とを有する。
図1の(a)に示すように、工程(a)では、内層回路基板11に本実施形態に係る樹脂フィルム12を積層して樹脂フィルム12からなる樹脂層を形成する。
積層方法は特に限定されないが、例えば、多段プレス、真空プレス、常圧ラミネーター、および真空下で加熱加圧するラミネーターを用いて積層する方法が挙げられ、真空下で加熱加圧するラミネーターを用いる方法が好ましい。これにより、内層回路基板11が表面に微細配線回路を有していてもボイドがなく回路間を樹脂で埋め込むことができる。ラミネート条件は特に限定されないが、圧着温度が70〜130℃、圧着圧力が1〜11kgf/cm2であって、減圧又は真空下で積層するのが好ましい。ラミネートは、バッチ式であってもよく、また、ロールでの連続式であってもよい。
内層回路基板11としては、特に限定されず、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等を使用することができる。内層回路基板11の樹脂フィルムが積層される面の回路表面は予め粗化処理されていてもよい。
内層回路基板11の回路層数は限定されない。図1では6層の内層回路基板としたが、この層数に限定されず、例えば、ミリ波レーダー用プリント配線板を作製する場合、その設計に応じて2層〜20層等と自由に選択することができる。本実施形態の多層プリント配線板は、ミリ波レーダーの作製へ応用することができる。すなわち、本実施形態の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、回路層とを備える、ミリ波レーダー用プリント配線板を作製することができる。
後述するアンテナ回路層14をエッチングにより樹脂層12a上に形成する場合、樹脂フィルム12上に更に金属箔13を積層して金属層13aを形成してもよい。金属箔としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛等が挙げられ、導電性の観点からは銅が好ましい。金属箔は合金であってもよく、例えば、銅合金として、ベリリウム又はカドミウムを少量添加した高純度銅合金が挙げられる。金属箔の厚みは、3〜200μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。
図1の(b)に示すように、工程(b)では、工程(a)で積層した内層回路基板11及び樹脂層12aを加熱加圧して熱硬化させる。条件は特に限定されないが、温度100℃〜250℃、圧力0.2〜10MPa、時間30〜120分間の範囲が好ましく、150℃〜220℃がより好ましい。
図1の(c)に示すように、工程(c)では、樹脂層12a上にアンテナ回路層14を形成する。アンテナ回路層14の形成方法は特に限定されず、例えば、サブトラクティブ法等のエッチング法、セミアディティブ法等によって形成してもよい。
サブトラクティブ法は、金属層13aの上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって、レジストの除去された部分の金属層を薬液で溶解し除去することによって、所望の回路を形成する方法である。薬液としては、例えば、塩化銅溶液、塩化鉄溶液等を使用することができる。
セミアディティブ法は、無電解めっき法により樹脂層12aの表面に金属被膜を形成し、金属被膜上に所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次いで、電解めっき法によって金属層を形成した後、不要な無電解めっき層を薬液等で除去し、所望の回路層を形成する方法である。
また、樹脂層12aには、必要に応じてビアホール15等のホールを形成してもよい。ホールの形成方法は限定されないが、NCドリル、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、YAGレーザー、プラズマ等を適用できる。
ここで、内層回路基板11は、図2に示す工程(p)〜(r)によって製造することもできる。図2は、内層回路基板の製造工程を模式的に示す図である。すなわち、本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法は、工程(p)、工程(q)、工程(r)、工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有していてもよい。以下、工程(p)〜(r)について説明する。
まず、図2の(p)に示すように、工程(p)では、コア基板41及びプリプレグ42を積層する。コア基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等を使用できる。プリプレグとしては、例えば、日立化成株式会社製「GWA−900G」、「GWA−910G」、「GHA−679G」、「GHA−679G(S)」、「GZA−71G」「GEA−75G」(いずれも商品名)等を使用することができる。
次に、図2の(q)に示すように、工程(q)では、工程(p)で得られたコア基板41及びプリプレグ42の積層体を加熱加圧する。加熱する温度は、特に限定されないが、120〜230℃が好ましく、150〜210℃がより好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、1〜5MPaが好ましく、2〜4MPaがより好ましい。加熱時間は特に限定されないが30〜120分が好ましい。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた内層回路基板を得ることができる。
さらに、図2の(r)に示すように、工程(r)では、必要に応じて内層回路基板にスルーホール43を形成する。スルーホール43の形成方法は特に限定されず、上述するアンテナ回路層を形成する工程と同一であってもよいし、公知の方法を用いてもよい。
上記の工程により、本実施形態の多層プリント配線板を製造できる。また、上記工程を経て製造されたプリント配線板を内層回路基板として更に工程(a)〜(c)を繰り返してもよい。
図3は、図1に示す工程により製造された多層プリント配線板を内層回路基板として用いた多層プリント配線板の製造工程を模式的に示す図である。図3の(a)と図1の(a)が、図3の(b)と図1の(b)が、図3の(c)と図1の(c)が、それぞれ対応する。
具体的には、図3の(a)は、内層回路基板21に樹脂フィルム22を積層して樹脂層22sを形成し、必要に応じて金属箔23を樹脂フィルム22に積層して金属層23aを形成する工程である。図3の(b)は、樹脂層22aを加熱・加圧して硬化する工程であり、図3の(c)は硬化した樹脂層上にアンテナ回路層24を形成する工程である。
図1及び図3では、アンテナ回路パターン等を形成する目的で内層回路基板上に積層する樹脂層の層数を1層又は2層としたが、これに限定されず、アンテナ回路設計に応じて3層又はそれ以上の層数としてもよい。アンテナ回路層を多層とすることで、広帯域特性を有するアンテナ及び使用周波数帯域でアンテナ放射パターンの角度変化が少ない(ビームチルトレス)アンテナの設計が容易となる。
本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法では、マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物を含有する樹脂組成物を用いて樹脂層を形成しているため、高周波特性に優れる層の他に接着層を設けずに積層体を作製することができる。これにより、工程の簡略化及び更なる高周波特性の向上効果が得られる。
上記のような本実施形態の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム、樹脂層付き支持体、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板は、1GHz以上の高周波信号を扱う電子機器に好適に用いることができ、特に10GHz以上の高周波信号を扱う電子機器に好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
[樹脂組成物]
下記手順に従って、各種の樹脂組成物を調製した。実施例1〜8及び比較例1〜4の樹脂組成物の調製に用いた各原材料の使用量(質量部)は、表1及び表2にまとめて示す。
温度計、還流冷却管及び攪拌装置を備えた300mLの4つ口フラスコに、表1又は2に示す各成分を投入し、25℃で1時間攪拌した後、#200ナイロンメッシュ(開口75μm)によりろ過して樹脂組成物を得た。
なお、表1及び2における各材料の略号等は、以下のとおりである。
(1)BMI−1500[Mw:約1500、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(2)BMI−1700[Mw:約1700、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(3)BMI−3000[Mw:約3000、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(4)BMI−5000[Mw:約5000、Designer Molecules Inc.製、商品名]
(5)BMI−1000[ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、大和化成工業株式会社製、商品名]
(6)BMI−4000[2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、大和化成工業株式会社製、商品名]
(7)BMI−2300[ポリフェニルメタンマレイミド、大和化成工業株式会社製、商品名]
(8)MIR−3000[ビフェニルアラルキル型マレイミド、日本化薬株式会社製、商品名]
(9)B−3000[ブタジエンホモポリマー、Mn:約3000、日本曹達株式会社製、商品名]
(10)PPO640[ポリフェニレンエーテル、Mn:約16000、SABICイノベーティブプラスチックス社製、商品名]
(11)NC−3000H[ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、商品名]
(12)BADCY[2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ロンザ社製、商品名]
(13)KA1165[ノボラック型フェノール樹脂、DIC株式会社製、商品名]、
(14)PCP[p−クミルフェノール、和光純薬工業株式会社製、商品名]、
(15)H1041[Mn6万未満のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物、スチレン含有比率:30%、Mn:58000、旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「タフテックH1041」]
(16)シリカスラリー[球状溶融シリカ、表面処理:フェニルアミノシランカップリング剤(1質量%/スラリー中の全固形分)、分散媒:メチルイソブチルケトン(MIBK)、固形分濃度:70質量%、平均粒子径:0.5μm、密度:2.2g/cm3、株式会社アドマテックス製、商品名「SC−2050KNK」]
(17)パーヘキシン25B[2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日油株式会社製、商品名]
(18)2E4MZ[2−エチル−4メチル−イミダゾール、四国化成工業株式会社製、商品名]
(19)ナフテン酸亜鉛[東京化成工業株式会社製]
(20)REF−015[ガラスフレーク、鱗片形状、日本板硝子株式会社製]
(21)SN−9FWS[窒化けい素粉末、電気化学工業株式会社製]
(22)SN−F1[窒化けい素粉末、電気化学工業株式会社製)]
(23)TF9207Z[四フッ化エチレン樹脂マイクロパウダー、スリーエムジャパン株式会社製]
Figure 0006708947
Figure 0006708947
なお、上記(A)成分として用いた化合物の推定される構造は以下のとおりである。下記式(XII−1)〜(XII−3)がそれぞれ上記(1)〜(3)に対応し、(4)は式(XII−3)の構造を有し、(3)よりも大きな重量平均分子量を持つ。式(XII−1)〜(XII−3)において、nは1〜10の整数を表す。
Figure 0006708947
Figure 0006708947
Figure 0006708947
[樹脂フィルム]
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、コンマコーターを用いて、支持基材として厚さ38μmのPETフィルム(G2−38、帝人株式会社製)上に塗工し(乾燥温度:130℃)、半硬化状態の樹脂層を備える樹脂層付き支持体であるPETフィルム付き半硬化樹脂フィルムを作製した。半硬化樹脂フィルム(樹脂層)の厚さは50μmであった。
[樹脂フィルム(樹脂層)の評価]
実施例及び比較例の半硬化樹脂フィルムの外観及び取扱性を評価した。結果を表3に示す。
外観は目視により下記の基準で評価した。
○:半硬化樹脂フィルムの表面にムラ、スジ等がない。
×:半硬化樹脂フィルムの表面に多少なりともムラ、スジ等があり、表面平滑性に欠ける。
取扱性は、目視及び触感により下記の基準で評価した。
(1)25℃における表面のべたつき(タック)の有無。
(2)カッターナイフで切断した際の状態の樹脂割れ又は粉落ちの有無。
○:上記(1)及び(2)のいずれも無い。
×:上記(1)及び(2)のいずれか一方でも有る。
[多層プリント配線板]
上述した樹脂層付き支持体を用い、以下の手順で多層プリント配線板を作製した。
回路パターンが形成されたガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板を内層回路基板とし、その両面に、上記樹脂層付き支持体からPETフィルムを剥離した半硬化樹脂フィルムを1枚乗せ、その上に厚さ12μmの電解銅箔(日本電解株式会社製、商品名「YGP−12」)を配置した後、その上に鏡板を乗せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱及び加圧成形して、4層プリント配線板を作製した。
次いで、作製された4層プリント配線板の最外層の銅箔をエッチングし、回路埋め込み性(多層化成形性)を評価した。多層化成形性は目視により下記基準で評価した。評価結果を表3に示す。
○:回路にボイド、カスレが存在しない。
×:ボイド、カスレが多少なりとも存在する。
[両面金属張硬化樹脂フィルム]
上述の樹脂層付き支持体からPETフィルムを剥離した樹脂フィルムを2枚重ねた後、その両面に、厚さ18μmのロープロファイル銅箔(M面Rz:3μm、古河電気工業株式会社製、商品名「F3−WS」)をその粗化面(M面)が接するように配置し、その上に鏡板を乗せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱及び加圧成形して、両面金属張硬化樹脂フィルム(厚さ:0.1mm)を作製した。
上述の両面金属張硬化樹脂フィルムについて、取扱性、誘電特性(比誘電率、誘電正接)、比誘電率バラツキ、銅箔引きはがし強さ、吸水率を評価した。その評価結果を表3に示す。両面金属張硬化樹脂フィルムの特性評価方法は以下のとおりである。
[取扱性(耐折曲げ性)]
取扱性(耐折曲げ性)は、両面金属張硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングしたものを180度折り曲げることにより、下記基準により評価した。
○:折り曲げた際、割れ又はクラックが発生しない。
×:折り曲げた際、割れ又はクラックが多少なりとも発生する。
[誘電特性]
誘電特性である比誘電率及び誘電正接は、両面金属張硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングし、長さ60mm、幅2mm、厚み約1mmに切断したものを試験片として空洞共振器摂動法により測定した。測定器にはアジレントテクノロジー社製ベクトル型ネットワークアナライザE8364B、空洞共振器には株式会社関東電子応用開発製CP129(10GHz帯共振器)及びCP137(20GHz帯共振器)、測定プログラムにはCPMA−V2をそれぞれ使用した。条件は、周波数10GHz及び20GHz、測定温度25℃とした。
[比誘電率バラツキ]
500mm角に成形した硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングしたものを50mm角、合計100枚に切断したものを試験片として、各試験片の比誘電率を上記と同様にして空洞共振器摂動法により測定した。各試験片の比誘電率の平均値、最大値、最小値を算出し、(最大値と平均値の差)/平均値、及び、(最小値と平均値の差)/平均値の合計値を比誘電率のバラツキ(%)とした。
[銅箔引きはがし強さ]
銅箔引きはがし強さは、銅張積層板試験規格JIS−C−6481に準拠して測定した。測定温度は25℃とした。
[吸水率]
吸水率は、両面金属張硬化樹脂フィルムの両面の銅箔をエッチングし、50mm角に切断したものを試験片として、その常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)装置(条件:121℃、2.2気圧)中に所定時間(5時間)処理し、処理前後の質量を測定することで、処理前後の増加割合(重量%)を算出した。
Figure 0006708947
表3に示した結果から明らかなように、実施例1〜8の樹脂組成物を用いて作製された半硬化樹脂フィルムによれば、外観(表面均一性)、取扱性(タック性、割れ、粉落ち等)に問題がなく、多層化成形性も良好であることが確認された。加えて、実施例1〜8の樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂フィルムは、いずれも比誘電率、誘電正接がともに優れており、さらに、比誘電率バラツキも0.02%と非常に優れ、銅箔引きはがし強さ及び吸水率に関しても優れていた。対する比較例では、比誘電率バラツキが4.55〜6.85%程度と大きかった。
[ミリ波レーダー用プリント配線板]
(実施例1)
図2に示す工程で内層回路基板11を作製した後、実施例1の樹脂フィルムを用いて図1に示す工程でミリ波アンテナ回路層を1層含む計7層構造のミリ波レーダー用プリント配線板を作製した。
まず、工程(p)で、厚さ18μmの銅箔を両面に貼り合わせた厚さ0.1mmのガラス布基材エポキシ銅張積層板(日立化成株式会社製、商品名「MCL−E−75G」)の不要な銅箔をエッチング除去して内層回路基板を作製した後、0.1mmのガラス布基材エポキシプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名「GEA−75G」)を銅張積層板間に重ねて配置し構造体を作製した。次いで、工程(q)で、工程(p)にて作製した構造体に対し、180℃/3.0MPa/60分のプレス条件で加熱加圧成形して一体化基板を形成した。そして、工程(r)で、工程(q)にて作製した一体化基板に対し、所望の位置にドリルにより穴を開け、ホール内に銅めっきを施して内層回路基板11を作製した。
工程(a)では、内層回路基板11の表面に、実施例1の樹脂組成物を用いて作製した半硬化樹脂フィルム(厚さ130μm)を真空ラミネーターにて仮接着し、更に厚さ18μmのロープロファイル銅箔(古河電気工業株式会社製、商品名「F3−WS」)を配置し構造体を作製した。次いで、工程(b)では、工程(a)にて作製した構造体の上に鏡板を乗せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱加圧成形した。そして、工程(c)で、工程(b)にて作製した構造体に対し、所望の位置にレーザーにて不要な樹脂の除去及びビアホール(IVH)の形成を行った後、めっき及びエッチングを施してアンテナ回路層14を形成し、ミリ波アンテナ回路層を1層含む計7層構造の多層プリント配線板を得た。
(実施例2)
実施例2の樹脂フィルムを用い、図3に示す工程でミリ波アンテナ回路層を2層含む計8層構造のミリ波レーダー用プリント配線板を作製した。
工程(a)では、実施例1にて作製したミリ波レーダー用プリント配線板を内層回路基板21として用い、その表面に実施例2の樹脂組成物を用いて作製した半硬化樹脂フィルム(厚さ130μm)を真空ラミネーターにて仮接着した後、「F3−WS」を配置し構造体を作製した。次いで、工程(b)で、工程(a)にて作製した構造体の上に鏡板を乗せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱加圧成形した。そして、工程(c)で、工程(b)にて作製した構造体に対し、所望の位置にレーザーにて不要な樹脂の除去及びビアホール(IVH)の形成を行った後、めっき及びエッチングを施してアンテナ回路層24を形成し、ミリ波アンテナ回路を層2層含む計8層構造のミリ波レーダー用プリント配線板を得た。
(比較例5)
実施例2の樹脂フィルムに代えて、フッ素系樹脂材料を用い、従来の手法である図4で示す工程でミリ波アンテナ回路層を2層含む計8層構造のミリ波レーダー用プリント配線板を作製した。
まず、図4の工程(a’)では、上記工程(p)〜(r)で作製した内層回路基板31上に、0.1mmのガラス布基材エポキシプリプレグ(GEA−75G)33及び0.13mmのフッ素系樹脂基材銅張積層板(Rogers corporation製、商品名「RO−3003」)の不要な銅箔をエッチング除去した銅張積層板32を重ねて配置し構造体を作製した。次いで、工程(b’)で、工程(a’)にて作製した構造体に対し、180℃/3.0MPa/60分のプレス条件で加熱加圧成形し、アンテナ回路を1層含む計7層構造の多層配線板を作製した。次に、工程(c’)で、工程(b’)にて作製した多層配線板上に、0.1mmのガラス布基材エポキシプリプレグ(GEA−75G)33及び0.13mmのフッ素系樹脂基材銅張積層板(RO−3003)の不要な銅箔をエッチング除去した銅張積層板32を重ねて配置し構造体を作製した。そして、工程(d’)で、工程(c’)にて作製した構造体に対し、180℃/3.0MPa/60分のプレス条件で加熱加圧成形した後、スルーホール穴あけ〜めっき〜エッチングにより所望の回路を形成し、アンテナ回路を2層含む計8層構造のミリ波レーダー用プリント配線板を得た。
比較例5の方法によれば、フッ素系樹脂基材銅張積層板を用いても多層構造のアンテナ回路を形成可能であるが、フッ素系樹脂の間にプリプレグ等の接着層が必要となる。その際、一般的なプリプレグ等の接着層はミリ波帯での比誘電率及び誘電正接がフッ素系樹脂材料と比較して悪いため、フッ素系樹脂間の接着層存在により、多層構造のアンテナ回路特性は劣化し易い。
これに対して、実施例2の方法では、ミリ波帯での比誘電率及び誘電正接に優れた材料のみで多層構造のアンテナ回路が構成されるため、比較例5と比べて特性に優れた多層構造のアンテナ回路を形成できる。
本発明の樹脂組成物はプリント配線板に要求される各種特性及び優れた高周波特性を発現するため、1GHz以上又は10GHz以上の高周波信号を扱う電子機器、移動体通信機器及びその基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等の各種電子機器などに使用されるプリント配線板の部材・部品用途として有用である。
11,21,31…内層回路基板、12,22…樹脂フィルム、12a,22a…樹脂層、13,23…金属箔、13a,23a…金属層、14,24…アンテナ回路層、15…ビアホール、32…銅張積層板、33,42…プリプレグ、41…コア基板、43…スルーホール。

Claims (6)

  1. マレイミド基、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基及び飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を有する化合物と、無機充填材スラリーとを混合する工程を備え
    前記少なくとも2つのイミド結合を有する2価の基が下記式(III)、(IV)又は式(V)で表される基であり、前記飽和又は不飽和の2価の炭化水素基の炭素数が8〜100である、ミリ波レーダー用印刷配線板製造用樹脂フィルムの製造方法。
    Figure 0006708947
  2. 前記無機充填材スラリー中のシリカ粒子の配合量が、10質量%以上90質量%以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記化合物の重量平均分子量が、500〜10000である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記化合物とは異なるマレイミド基含有化合物を更に混合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記樹脂フィルムの硬化物の比誘電率が10GHzで3.1以下である、請求項1〜4いずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記樹脂フィルムの硬化物の誘電正接が10GHzで0.004以下である、請求項1〜5いずれか一項に記載の製造方法。
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