JP2018011407A - ワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ - Google Patents

ワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ Download PDF

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正剛 若林
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Abstract

【課題】プロテクタとしての軽量化を図るとともに、ワイヤハーネスから発生する音に対する防音効果を維持することのできるワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタを提供する。【解決手段】樹脂プロテクタ10は、車両のワイヤハーネスの外周に設けられ、ワイヤハーネスを保護する。樹脂プロテクタ10は、樹脂製シートの第2,4,6の樹脂層22,24,26と、樹脂製シートの第3,5の樹脂層23,25とが交互に積層され、かつ、接合されており、第3の樹脂層23等は、第2の樹脂層22等を構成する樹脂材料にセルロースナノファイバを添加してなる樹脂製シートであり、積層された第2の樹脂層22等と第3の樹脂層23等とを積層方向に貫通する貫通孔13を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、車両のワイヤハーネスを保護するワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタに関する。
従来、ワイヤハーネスを保護するプロテクタの一形態として、ワイヤハーネスを内部に挿通させて保護するパイプ状のプロテクタが知られている。パイプ状のプロテクタは、ハイブリッド自動車や電気自動車ではバッテリとインバータとの間やインバータとモータとの間を接続する複数本の動力用の電線からなるワイヤハーネスを挿通させる。よって、パイプ状のプロテクタは、車体床下の外部等を配索されるワイヤハーネスを配索経路中の角部や突起等への接触から保護する。例えば、こうしたプロテクタの一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載のプロテクタ(シールド)は、アルミニウム製の金属パイプからなり、この金属パイプに保護対象のワイヤハーネス(電線)を挿通させた状態で自動車の車体の床下に沿うように取り付けられている。
特開2006−312409号公報
上記特許文献1に記載のプロテクタによれば、高い強度を有する金属パイプに挿通されたワイヤハーネスが配索経路中の角部や突起等に対する接触から保護されるようになる。
しかし、プロテクタとして、金属材料の中では軽量であるアルミニウム製の金属パイプを用いるにしても、車両軽量化の要求に対してその重量が無視できない。また、ワイヤハーネスは車両の振動に応じて音を発生させるが、金属パイプは音を伝達させやすいために防音効果が高くない傾向にある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プロテクタとしての軽量化を図るとともに、ワイヤハーネスから発生する音に対する防音効果を維持することのできるワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタを提供することにある。
上記課題を解決するワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタは、車両のワイヤハーネスの外周に設けられ、前記ワイヤハーネスを保護するワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタであって、樹脂製シートの第1の層と、樹脂製シートの第2の層とが交互に積層され、かつ、接合されており、前記第2の層は、前記第1の層を構成する樹脂材料にセルロースナノファイバを添加してなる樹脂製シートであり、前記第1の層は、前記第2の層よりも前記セルロースナノファイバの添加量が少なく、前記第1の層と前記第2の層とを積層方向に貫通する貫通孔であって、前記ワイヤハーネスが通される前記貫通孔を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、ワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタは、樹脂やグラスファイバ、カーボンファイバよりも質量の小さいセルロースナノファイバが第2の層に添加されることにより軽量化が図られる。また、ワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタは、樹脂や鉄鋼よりも高強度のセルロースナノファイバが第2の層に添加されることにより、激しい振動が避けられない自動車のワイヤハーネスの保護に要する強度が備えられる。一方、強度が高くされた第2の層はワイヤハーネスから発生する音に対する防音効果が低下するおそれがあるが、セルロースナノファイバを含んでいない第1の層を設けることにより、第1の層によって貫通孔内に位置するワイヤハーネスの防音効果の低下を抑制することもできる。
これにより、軽量化を図るとともに、ワイヤハーネスから発生する音に対する防音効果を維持することができる樹脂プロテクタを提供することができる。
好ましい構成として、前記第2の層は、前記第1の層の外周よりも外側に突出している。
上記構成によれば、機械的な強度の高い第2の層が外側に突出することにより樹脂プロテクタが外部の角部や突起等への接触からワイヤハーネスを適切に保護することができる。また、同角部や突起等が第1の層を破損等させることを抑制させることができる。
好ましい構成として、前記第2の層は、前記第1の層の内周よりも外側に凹んでいる。
上記構成によれば、貫通孔の周壁においてワイヤハーネスが第2の層に対して相対的に柔らかい第1の層に当接支持されるので、ワイヤハーネスから発生する音の防音効果がより高く維持される。
好ましい構成として、前記樹脂プロテクタは、前記貫通孔を外部に連通する連通部が前記積層方向に延設されている。
上記構成によれば、ワイヤハーネスを、樹脂プロテクタの外部から連通部を通して樹脂プロテクタに挿通させることができる。これにより、ワイヤハーネスの周りに樹脂プロテクタを設置することが容易になる。特に、自動車の場合、車体に配索されたワイヤハーネスについても、その配索後に樹脂プロテクタを取り付けて、当該ワイヤハーネスの保護を図ることができる。
好ましい構成として、前記樹脂製シートは発泡樹脂からなる。
上記構成によれば、樹脂製シートが発泡樹脂からなるので防音効果が高められる。特に、発泡樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等からなる独立気泡を有する樹脂であるとよい。
好ましい構成として、前記樹脂プロテクタは、前記積層方向の少なくとも一方の端面に、接着剤を含んでいる接着層を備えている。
上記構成によれば、接着層の接着力により複数の樹脂プロテクタを固定連結させることができるようになる。これにより、複数の樹脂プロテクタから保護対象のワイヤハーネスに必要な長さの樹脂プロテクタを容易に構成することができる。
好ましい構成として、前記積層方向と直交する方向から見た形状が矩形状である。
上記構成によれば、樹脂プロテクタが単純な形状である矩形であることから、こうした樹脂プロテクタの製造が容易になる。
好ましい構成として、前記樹脂プロテクタは、前記積層方向の一方側の端面には当該端面の縁に沿って面に突出する突出部が設けられており、前記積層方向の他方側の端面には、他の前記樹脂プロテクタが有する前記一方側の端面の突出部の内側に嵌合する凸部が設けられている。
上記構成によれば、積層方向の一方側の端面の突出部に、他の樹脂プロテクタが有する積層方向の他方側の端面の凸部が嵌合する。これにより、複数の樹脂プロテクタを好適に嵌合、連結させることができるようになり、用途に適した長さの樹脂プロテクタの利用が容易になる。
このワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタによれば、プロテクタとしての軽量化を図るとともに、ワイヤハーネスから発生する音に対する防音効果を維持することができる。
ワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタを有して構成されるプロテクタを具体化した一実施形態について斜視構造を示す斜視図。 同実施形態において、複数の樹脂プロテクタの斜視構造を示す斜視図。 同実施形態において、樹脂プロテクタの拡大構造を示す図であって、(a)は右側面図、(b)は正面図。 同実施形態において、樹脂プロテクタを構成する発泡樹脂の拡大模式構造をしめす模式図。 同実施形態において、樹脂プロテクタを構成するセルロースナノファイバの添加された発泡樹脂の拡大模式構造を示す模式図。
以下、図1〜図5を参照して、ワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタとしての樹脂プロテクタ10を有して構成されるプロテクタ1を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、自動二輪車に配索されている複数の配線3をテープ4で束ねてなるワイヤハーネス2には、その配線3を角部や突起等への接触から保護するプロテクタ1が取り付けられる。プロテクタ1は、複数の樹脂プロテクタ10が連結されてなり、連結された樹脂プロテクタ10の外周が樹脂テープ6で捲回されている。プロテクタ1は、矩形の管状に構成されており、ワイヤハーネス2の延設方向の長さが「所定長さLa」であり、延設方向の端面の矩形において平行する一対の辺のうちの一方側の長さが「長さWa」であり、同他方側の長さが「長さWb」である。各樹脂プロテクタ10は、ワイヤハーネス2の延設方向の所定の長さが「長さL1」である。つまり、延設方向に対する樹脂プロテクタ10の「長さL1」はプロテクタ1の「所定長さLa」よりも短い。換言すると、プロテクタ1の「所定長さLa」は連結された樹脂プロテクタ10の数だけ「幅L1」を積算した長さである。
図2に示すように、各樹脂プロテクタ10は、個別の部品として製造されており、複数が連結されてプロテクタ1を構成する。樹脂プロテクタ10は、図2において右側に右側面11、同左側に左側面12を有している。樹脂プロテクタ10の右側面11は、プロテクタ1の延設方向の一方側の端面と同様の矩形の枠状であり、同左側面12は、プロテクタ1の延設方向の他方側の端面と同様の矩形の枠状である。つまり、樹脂プロテクタ10は、枠状の形状において、外枠を構成する枠部10Aの内側に貫通孔13を備えている。
図3(a)に示すように、樹脂プロテクタ10の右側面11を正面に見たとき、樹脂プロテクタ10の枠部10Aは、上枠16、前枠15、下枠17及び後枠18をこの順で連続配置させてなる。このうち後枠18は、周回方向における中央部分に、貫通孔13を外部につなぐ連通部18Gを有している。連通部18Gは、樹脂プロテクタ10において貫通孔13の延設方向に延設されている。連通部18Gは、貫通孔13側には内側ギャップ18aを有しており、外側には内側ギャップ18aを有している。連通部18Gは、内側ギャップ18aから外側ギャップ18bに向けて拡開する形状をしている。詳しくは、連通部18Gは内側ギャップ18aの幅が「幅G1」であり、外側ギャップ18bの幅が「幅G2」であり、かつ、2つの幅の関係が「幅G1<幅G2」である。つまり外側から見て、連通部18Gは先細り形状であって、この連通部18Gを通して樹脂プロテクタ10にワイヤハーネス2を挿通させることが容易である。一方、連通部18Gは、内側ギャップ18aの幅である「幅G1」をワイヤハーネス2が通過できない間隔にしている。よって、一旦、連通部18Gを通して樹脂プロテクタ10に挿通されたワイヤハーネス2が連通部18Gを抜けて樹脂プロテクタ10から離脱しないようになっている。
貫通孔13は、枠部10Aの内側に区画された矩形状の空間を備えており、上枠16と下枠17との間の幅を「幅13a」とし、前枠15と後枠18との間の幅を「幅13b」とする大きさの内部空間を有する。この貫通孔13の内部空間は、プロテクタ1が保護対象とするワイヤハーネス2を挿通配置させることのできる大きさである。
また、樹脂プロテクタ10の右側面11には、連通部18Gの部分を除いて、枠部10Aの縁に沿って突出部21bが延設されている。突出部21bは、右側面11側の部材の表面21aから突出する。
図3(b)に示すように、樹脂プロテクタ10は、複数のシート状の部材が積層されて構成されている。樹脂プロテクタ10は、右側面11側から順に、接着層20、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第3の樹脂層23、第4の樹脂層24、第5の樹脂層25、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27が積層されたものである。本実施形態では、第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25がそれぞれ第1の層に対応し、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27がそれぞれ第2の層に対応する。
接着層20は、隣接する樹脂プロテクタ10に接着して固定連結するための接着剤からなる層である。接着剤としては、樹脂プロテクタ10の右側面11側の第1の樹脂層21と左側面12の第7の樹脂層27とを接着させることが可能な接着剤であればよく、例えば、アクリル樹脂系の接着剤や、ブチルゴム系の接着剤等であってもよい。
第1の樹脂層21〜第7の樹脂層27は、多数の独立気泡を内包する発泡樹脂からなる樹脂製シートである。発泡樹脂としては、多数の独立気泡を有しているものが好ましく、例えば、樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)であってよい。発泡樹脂は、多数の独立気泡によって高い防音効果を発揮する。
図4及び図5に示すように、本実施形態では、第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25は樹脂32から構成されている。一方、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27は樹脂32にセルロースナノファイバ34が添加されている。これにより、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27は、第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25に比較して高い強度を有する一方、剛性が高くなることに応じて逆に防音効果が低下する。
図3(b)に示すように、枠部10Aの外面を見ると、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27に比較して、第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25は凹んでいる。すなわち、樹脂プロテクタ10は、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27の大きさに比べて一回り小さい第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25が積層されている。これにより、樹脂プロテクタ10の最外周には強度の高い各樹脂層21,22,24,26,27が配置され、強度の高められていない各樹脂層23,25が外周において一段低く配置される。よって、樹脂プロテクタ10は、角部や突起等へ接触するのが強度の高い各樹脂層21,22,24,26,27に限られ、強度の高められていない各樹脂層23,25であることが避けられるため、角部や突起等への接触に対する強度の向上が図られる。また、樹脂プロテクタ10は、強度の高い各樹脂層21,22,24,26,27よりも高い防音効果を発揮する層である強度の高められていない各樹脂層23,25を含んでいるため貫通孔13内で発生した音の防音効果を発揮し、外部への漏洩を好適に抑制することができる。
図3(a)に示すように、接着層20は第1の樹脂層21に支持されてその表面に配置されており、右側面11側の形状は第1の樹脂層21に基づく形状である。第1の樹脂層21は、右側面11側に向く表面21aと、表面21aの外周縁に沿って周状に同表面21aから突出する突出部21bとを備えている。つまり、接着層20は、突出部21bに対応する部分が表面21aよりも突出する。
第7の樹脂層27は、左側面12側に向く表面27aと、表面27aの外周縁よりも内側となる部分に表面27aから突出する凸部27bとを備えている。凸部27bは、外周の大きさが第1の樹脂層21の突出部21bの内周と同じ程度の大きさである。よって、突出部21bが形成する内周に凸部27bが形成する外周が嵌合できる。また、凸部27bは、その高さが第1の樹脂層21の突出部21bの高さと同じ程度の高さである。よって、突出部21bが形成する内周に凸部27bの形成する外周が好適に嵌合する。
図4に示すように、第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25を構成する第1の発泡樹脂30は、樹脂32の間に多数の気泡33を有している。樹脂32は、気泡33により密度が低下することから軽量化が図られる。その一方、材料密度が小さくなるため、角部や突起等への接触に対する強度が低下し、破損等のおそれが高まる。なお、気泡33が上述の独立気泡として防音効果を高める。なお、図4は説明のための便宜的なものであり、樹脂32と気泡33との関係は発泡倍率により変化する。
図5に示すように、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27を構成する第2の発泡樹脂31は、第1の発泡樹脂30と同様に、樹脂32の間に多数の気泡33を有していることに加えて、樹脂32の間に多数のセルロースナノファイバ34を含んでいる。第2の発泡樹脂31は、セルロースナノファイバ34の添加された発泡樹脂材料に基づいて発泡樹脂を製造することで得られる。セルロースナノファイバ34は、樹脂32に比較して質量が小さく、強度が強いことから、樹脂32を基材としつつセルロースナノファイバ34が添加された第2の発泡樹脂31は、第1の発泡樹脂30に比較して軽量化及び機械的な強度の強化が図られる。すなわち、第2の発泡樹脂31は、自動二輪車の振動、環境、又は熱等に対して信頼性や耐久性の向上が図られる。
ここで、セルロースナノファイバ34について詳述する。
セルロースナノファイバ34は、樹木や草等の植物細胞壁の骨格を構成する有機物質であって、植物繊維を化学的、機械的にナノメートルの大きさまで細かくほぐすことで得られる繊維である。例えば、セルロースナノファイバ34は、繊維の幅が1ナノメートル以上かつ1000ナノメートル以下であり、繊維の長さが同繊維の幅の100倍以上である。つまり、繊維の幅が1ナノメートルであれば繊維の長さは100ナノメートル以上、同様に、繊維の幅が1000ナノメートルであれば繊維の長さは100マイクロメートル以上である。セルロースナノファイバ34は、密度が鉄鋼の約1/5であり、強度は同鉄鋼の約5倍であって、いわゆる軽くて強い。また、セルロースナノファイバ34は、大きな比表面積を有する。また、セルロースナノファイバ34は、熱膨張がガラスの約1/50であり、熱による変形が小さい。また、セルロースナノファイバ34は、植物由来であるから、資源の持続性があるとともに、環境負荷が小さい。
第2の発泡樹脂31は、第2の発泡樹脂31の全質量の中に10〜15質量%のセルロースナノファイバ34が添加されている。これにより、第2の発泡樹脂31は、樹脂32の特性に加えて、添加されたセルロースナノファイバ34の特性を有する樹脂として得られる。例えば、第2の発泡樹脂31は、PEからなる第1の発泡樹脂30に比べて、軽く(例えば質量を12〜24%削減)、強く(例えば2〜4倍の強度)、熱膨張(例えば20%程度)が小さい。また、第2の発泡樹脂31は、第1の発泡樹脂30と同様の製造方法による製品化が可能である。
本実施形態の樹脂プロテクタ10をワイヤハーネスへの取り付ける場合について説明する。
一般にワイヤハーネス2は、車体のフレームに沿いつつも、該フレームに取り付けられている各部材を迂回しながら、可能な限り最短距離で配索される。なかでも自動二輪車は、車体のフレームが小さいことから、ワイヤハーネス2の配索経路の自由度が低く、また、配索経路に狭い部分を生じやすい。従来、ワイヤハーネス2は、金属製の保護パイプに挿通された(先通しした)後、配索経路に配索されるため、配索経路には、ワイヤハーネス2の配索が可能であることに加えて、組み付け中に曲げることのできない保護パイプを設置できる必要がある。また、曲げられない保護パイプの設置は手間でもある。また、金属の保護パイプの曲げ加工上の制約がワイヤハーネスの配索経路の自由度を制約することにもなる。
まず、本実施形態ではワイヤハーネス2は、プロテクタ1が取り付けられないままで自動二輪車の車体に配索される。そして、車体にワイヤハーネス2が配索されると、プロテクタ1として必要な長さになる数の樹脂プロテクタ10がワイヤハーネス2に取り付けられる。つまり、樹脂プロテクタ10は、連通部18Gを通じてワイヤハーネス2に取り付けられる。ワイヤハーネス2への取り付け後、隣接する樹脂プロテクタ10は、接着層20を介して一方の右側面11の突出部21bに他方の左側面12の凸部27bを嵌合させる。これにより隣接する樹脂プロテクタ10は、右側面11と左側面12とが接着層20により接着されて連結固定される。そして、必要な長さまで連結された樹脂プロテクタ10は、その外周が樹脂テープ6で捲回されてプロテクタ1を構成する。このようにして、車体に配索された後のワイヤハーネス2であっても、樹脂プロテクタ10からなるプロテクタ1を取り付ける(後付けする)ことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)プロテクタ1は、樹脂やグラスファイバ、カーボンファイバよりも質量の小さいセルロースナノファイバが第2の層としての第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26及び第7の樹脂層27に添加されることにより軽量化が図られる。また、プロテクタ1は、樹脂や鉄鋼よりも高強度のセルロースナノファイバが第1の樹脂層21等に添加されることにより、激しい振動が避けられない自動二輪車のワイヤハーネス2の保護に要する強度が備えられる。一方、強度が高くされた第1の樹脂層21等はワイヤハーネス2から発生する音に対する防音効果が低下するおそれがあるが、セルロースナノファイバを含んでいない第1の層としての第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25を設けることにより、第3の樹脂層23等によってワイヤハーネス2の防音効果の低下を抑制することもできる。
これにより、軽量化を図るとともに、ワイヤハーネス2から発生する音に対する防音効果を維持することができるプロテクタ1を提供することができる。
(2)機械的な強度の高い第1の樹脂層21等が外側に突出することによりプロテクタ1が外部の角部や突起等への接触からワイヤハーネス2を適切に保護することができる。また、同角部や突起等が第3の樹脂層23等を破損等させることを抑制させることができる。
(3)ワイヤハーネス2を、プロテクタ1の外部から連通部18Gを通しプロテクタ1に挿通させることができる。これにより、ワイヤハーネス2の周りにプロテクタ1を設置することが容易になる。特に、自動二輪車の場合、車体に配索されたワイヤハーネス2についても、その配索後にプロテクタ1を取り付けて、当該ワイヤハーネス2の保護を図ることができる。
(4)各樹脂層21〜27を構成する樹脂製シートが発泡樹脂からなるので防音効果が高められる。特に、発泡樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等からなる独立気泡を有する樹脂であるとよい。
(5)接着層20の接着力により複数のプロテクタ1を固定連結させることができるようになる。これにより、複数のプロテクタ1から保護対象のワイヤハーネス2に必要な長さのプロテクタ1を容易に構成することができる。
(6)プロテクタ1が単純な形状である矩形であることから、こうしたプロテクタ1の製造が容易になる。
(7)積層方向の一方側の端面の突出部21b、積層方向の他方側の端面の凸部27bが嵌合する。これにより、複数のプロテクタ1を好適に嵌合、連結させることができるようになり、用途に適した長さのプロテクタ1の利用が容易になる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、第1の樹脂層21から第7の樹脂層27まで積層される場合について例示したが、これに限らず、セルロースナノファイバを含有しない発泡樹脂とセルロースナノファイバを含有する発泡樹脂とが交互に積層される構成を有していればよく、樹脂層の積層数は、必要に応じて増減してもよい。
・上記実施形態では、第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25は第1の発泡樹脂30から構成され、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27は第2の発泡樹脂31から構成されている場合について例示した。しかしこれに限らず、第1の樹脂層〜第7の樹脂層27の少なくとも1層以上が第1の発泡樹脂であり、かつ、少なくとも1層以上が第2の発泡樹脂からなり、第1の発泡樹脂の層と第2の発泡樹脂の層とが積層されていれば、各層が第1の発泡樹脂からなっていてもよいし、第2の発泡樹脂からなっていてもよい。また、各層に第1の発泡樹脂でも、第2の発泡樹脂でもない層が含まれていてもよい。
・上記実施形態では、樹脂32に対して10〜15質量%の添加量でセルロースナノファイバ34が添加されている場合について例示した。しかしこれに限らず、セルロースナノファイバの添加量は、特性上の必要に応じて、10質量%未満にしてもよいし、15質量%よりも多くしてもよい。
・上記実施形態では、第1の樹脂層21の突出部21bと第7の樹脂層27の凸部27bとが嵌合する場合について例示した。しかしこれに限らず、第1の樹脂層と第7の樹脂層とが適切な強度で接着されるのであれば、第1の樹脂層の突出部と第7の樹脂層の凸部とが嵌合しなくてもよいし、第1の樹脂層の突出部や第7の樹脂層の凸部がなくてもよい。
・上記実施形態では、樹脂プロテクタ10の右側面11(左側面12)が矩形の枠状である場合について例示したが、これに限らず、ワイヤハーネスを枠内に配置させることができる形状であれば、樹脂プロテクタの側面の形状は円状、楕円状、矩形以外の多角形状の枠状であってもよい。
・上記実施形態では、樹脂プロテクタ10の右側面11に接着層20が設けられている場合につい例示した。しかしこれに限らず、樹脂プロテクタの右側面と左側面とに接着層が設けられていてもよい。これにより、一方の層を薄くしたり、2液型の接着剤を利用したりすることができる。
・上記実施形態では、樹脂プロテクタ10には接着層20が設けられている場合につい例示した。しかしこれに限らず、樹脂プロテクタに後から接着剤を塗布することができるのであれば、樹脂プロテクタに接着層が設けられていなくてもよい。
・上記実施形態では、第1の樹脂層21〜第7の樹脂層27が発泡樹脂である場合について例示した。しかしこれに限らず、樹脂プロテクタとして軽量化が図られ、かつ、防音効果を有するのであれば、樹脂は発泡していなくてもよい。
・上記実施形態では、樹脂プロテクタ10には連通部18Gが設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、樹脂プロテクタに連通部が設けられていなくてもよい。この場合、ワイヤハーネスに複数の樹脂プロテクタを通してからワイヤハーネスを配索することになるが、配索後に樹脂プロテクタを連結させることで配策の自由度の向上が図られる。
・上記実施形態において、貫通孔13内において強度の高い各樹脂層21,22,24,26,27は、強度の高められていない各樹脂層23,25と同じ面を構成していてもよいし、それら各樹脂層23,25よりも凹んでいてもよい。例えば、各樹脂層23,25の方が内側に突出していれば、ワイヤハーネス2が防音効果の高い各樹脂層23,25にだけ当接することになってより防音効果が高められる。
貫通孔の周壁においてワイヤハーネスが強度の高い樹脂層に対して相対的に柔らかい樹脂層に当接支持されれば、ワイヤハーネスから発生する音の防音効果がより高く維持される。
・上記実施形態において、第1の樹脂層21、第2の樹脂層22、第4の樹脂層24、第6の樹脂層26、及び、第7の樹脂層27の大きさに比べて第3の樹脂層23及び第5の樹脂層25が一回り小さい場合について例示した。しかしこれに限らず、各樹脂層の大きさが同じであってもよい。また、第2の発泡樹脂からなる樹脂層が最外周に含まれるのであれば、その他の樹脂層の小ささはどの程度であってもよい。
・上記実施形態では、ワイヤハーネス2に樹脂プロテクタ10を取り付けてから隣接する樹脂プロテクタ10を連結固定する場合について例示した。しかしこれに限らず、プロテクタとして必要な長さなに連結固定した樹脂プロテクタをワイヤハーネスに取り付けてもよい。
・上記実施形態では、セルロースナノファイバ34と標記したが、セルロースナノフィブリルやフィブリレーティドセルロース等と標記してもよい。
・上記実施形態では、ワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタが自動二輪車に用いられる場合について例示したが、これに限らず、四輪の乗用車等を含む自動車に用いてもよい。
1…プロテクタ、2…ワイヤハーネス、3…配線、4…テープ、6…樹脂テープ、10…樹脂プロテクタ、10A…枠部、11…右側面、12…左側面、13…貫通孔、15…前枠、16…上枠、17…下枠、18…後枠、18a…内側ギャップ、18b…外側ギャップ、18G…連通部、20…接着層、21…第1の樹脂層、21a…表面、21b…突出部、22…第2の樹脂層、23…第3の樹脂層、24…第4の樹脂層、25…第5の樹脂層、26…第6の樹脂層、27…第7の樹脂層、27a…表面、27b…凸部、30…第1の発泡樹脂、31…第2の発泡樹脂、32…樹脂、33…気泡、34…セルロースナノファイバ。

Claims (8)

  1. 車両のワイヤハーネスの外周に設けられ、前記ワイヤハーネスを保護するワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタであって、
    樹脂製シートの第1の層と、樹脂製シートの第2の層とが交互に積層され、かつ、接合されており、
    前記第2の層は、前記第1の層を構成する樹脂材料にセルロースナノファイバを添加してなる樹脂製シートであり、
    前記第1の層は、前記第2の層よりも前記セルロースナノファイバの添加量が少なく、
    前記第1の層と前記第2の層とを積層方向に貫通する貫通孔であって、前記ワイヤハーネスが通される前記貫通孔を備える
    ことを特徴とするワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
  2. 前記第2の層は、前記第1の層の外周よりも外側に突出している
    請求項1に記載のワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
  3. 前記第2の層は、前記第1の層の内周よりも外側に凹んでいる
    請求項1又は2に記載のワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
  4. 前記樹脂プロテクタは、前記貫通孔を外部に連通する連通部が前記積層方向に延設されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
  5. 前記樹脂製シートは発泡樹脂からなる
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
  6. 前記樹脂プロテクタは、前記積層方向の少なくとも一方の端面に、接着剤を含んでいる接着層を備えている
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
  7. 前記積層方向と直交する方向から見た形状が矩形状である
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
  8. 前記樹脂プロテクタは、前記積層方向の一方側の端面には当該端面の縁に沿って面に突出する突出部が設けられており、前記積層方向の他方側の端面には、他の前記樹脂プロテクタが有する前記一方側の端面の突出部の内側に嵌合する凸部が設けられている
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のワイヤハーネス保護用樹脂プロテクタ。
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