簡潔には、開示される主題としては、1つ以上のノイズの後のデジタル・フィルタと共に、1つ以上のノイズ源の前にアナログ・フィルタを利用するよう構成されるノイズ低減装置がある。アナログ・フィルタは、1つ以上のノイズ源(例えば、アナログ・デジタル・コンバータ)の前で、アナログ信号を増加(boost)又はスケール調整するよう動作できる。これは、ノイズ源によって信号に導入されるノイズに比較して、アナログ信号を増加させる結果を生じさせることができる。デジタル・フィルタは、アナログ・フィルタの増加とほぼ逆方向に働き、信号をオリジナル・レベルに戻すと共に、対応する量でノイズを減少させることができる。
種々の例では、ノイズは、ある周波数でのみ生じるか、又は、ある周波数で際立って生じることがある。別の例では、信号が、意図しない特定周波数での減衰で劣化することがある。どちらの場合も、アナログ・フィルタは、例えば、低周波数に比較して高周波数を調整する又はその逆に調整するなど、ノイズが問題となる周波数をブーストしたり、又は、意図せずに減衰される周波数をブーストしたりするように、第1周波数(又は複数の周波数)を第2周波数(又は複数の周波数)に対して調整又はスケール調整するように構成しても良い。アナログ・フィルタは、受動型(passive:パッシブ)でも良く、この場合、高周波数に対して低周波数を減衰できる。このような例では、増幅器を使用してノイズ源の前に信号全体をブーストしても良い。これに代えて、アナログ・フィルタが代わりに能動型(Active:アクティブ)であってもよく、この場合、低周波数に対して高周波数をブーストできる。
いくつかの態様では、コントローラが、アナログ・フィルタの設定を選択的に調整して、増加した信号対ノイズ比、最適化した信号対ノイズ比、又は、最適化に近い信号対ノイズ比を提供するようにしても良い。具体的には、アナログ・デジタル(A/D)コンバータによるクリッピングが生じることなしに、低周波数に比較して高周波数の振幅が可能な限り高くなるようスケール拡大調整されても良い。例えば、いくつかの態様では、デジタル領域でクリッピングが生じるまで、アナログ・フィルタのスケールがアナログ領域において繰り返し増加される。次に、アナログ・フィルタのスケールが、クリッピングが生じなくなるまで低減されても良い。いくつかの例では、高周波数の最大振幅と、A/Dコンバータの最大変換能力との間に、マージン(余裕)を維持するようにしても良い。
いくつかの態様では、ユーザの制御によって、アナログ・フィルタを選択的に制御できても良い。これに代えて、アナログ・フィルタを制御するのに、シリアル・データ・リンク解析(SLDA)を利用しても良い。そのような場合、アナログ・フィルタ又は他のコンポーネントの影響を入力信号から取り除く(ディエンベッドする)のに、スキャタリング(S)パラメータも利用しても良く、これによって、例えば、オシロスコープが、被試験デバイス(DUT)を出た信号のもっと正確な近似を表示可能となる。更に、逆フィルタなどの逆フィルタを選択的に使用して、アナログ・フィルタの効果を除去しても良い。例えば、オシロスコープの構成要素(例えば、A/Dコンバータ)は、いくらかのノイズを生来の特性として信号に追加することがある。アナログ・フィルタは、このノイズの追加の前に信号を増幅することで、ノイズが信号対ノイズ比に対して、比較的小さな影響となる結果を生じるようにしても良い。次に、逆フィルタは、適切な周波数において、信号の利得を低減しても良く、これは、アナログ・フィルタと逆フィルタの間で信号に取り込まれたノイズにおいても、対応する低減が生じる。いくつかの例では、アナログ・フィルタは、A/Dコンバータのフロントエンド(例えば、アナログ側)に統合されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、対応する逆フィルタをA/Dコンバータのバックエンド(例えば、デジタル側)に統合することができる。このような構成は、例えば、A/Dコンバータの構成要素がノイズ源を含む場合に実施することができる。
図1は、アナログ領域131内のアナログ・フィルタ121と、デジタル領域132内の逆フィルタ122とを使用するように構成されたオシロスコープ120を含む試験測定システム100の一例のブロック図である。オシロスコープ120は、DUTリンク113を介して被試験デバイス(DUT)110からの信号のような被試験信号を受信し、信号にアナログ・フィルタ121を適用するように構成されている。いくつかの実施形態では、アナログ・フィルタ121は、DUTリンク113で生じる減衰(例えば、高周波の減衰)について信号を補償するように構成できる。
DUT110は、電気信号又は光信号を利用して通信するように構成された任意の信号源であってもよい。例えば、DUT110は、導電性媒体を通じて信号を伝導するよう構成されたトランスミッタ(Tx)111を含んでいても良い。いくかの場合において、DUT110は、対応するレシーバ(図示せず)へと信号を送信するよう設計された装置である。例えば、DUT110が欠陥のある信号を送信するのに関係していると思われる場合や、新規設計のDUT110に関してシグナリング精度の検証する場合などに、DUT110を、試験を目的として、オシロスコープ120に結合しても良い。DUT110は、DUTリンク113を介してオシロスコープ120に接続される。DUTリンク113は、DUT110からオシロスコープ120に信号を通信できる任意の導電性媒体であるか、又はそれを含んでも良い。例えば、DUTリンク113は、導電性ワイヤ、信号プローブ、介在する試験装置などを使用できる。多くの場合、DUTリンク113は、特定周波数での減衰で苦しむことがある。減衰は、媒体を通過しているときの、信号振幅の少しずつの損失である。例えば、例えば、信号の高周波数成分(例えば、100MHzを超える周波数)は、信号のより低い周波数成分(例えば、100MHzより低い周波数)よりも大きな減衰を受けることがある。増幅は、減衰される高周波数をブーストするために使用することがあるが、こうした増幅は、減衰のない又は減衰の少ない、より低い周波数もブーストすることがあり、これは、オシロスコープ120中のA/Dコンバータ125のダイナミックレンジを超えることがあり、更には、得られるデジタル信号のクリッピングや過度の歪を生じ得る。
オシロスコープ120は、オシロスコープの信号チャンネルにおけるノイズ(例えば、ノイズ源123からの)を増幅することなく、DUTリンク113の特定周波数の減衰に対処するように構成できる試験測定装置である。これは、以下により詳細に説明するように、アナログ・フィルタ121を用いることによって達成できる。オシロスコープ120は、DUTリンク113を介して信号を受信するように構成された入力ポート127を含む。入力ポート127は、信号プローブを受けるためのプラグなどのDUTリンク113とインタフェースするように構成された任意の電気部品としても良い。入力ポートで受信される信号は、アナログ信号161である。オシロスコープ120は、更に、試験用の信号を送るための信号チャネルを含む。信号チャネルは、入力ポート127から、アナログ信号161をアナログ形式からデジタル形式に変換するように構成されたA/Dコンバータ125まで延びていても良い。具体的には、入力信号は、オシロスコープ120によって、A/Dコンバータ125に到達するまでアナログ信号161として扱われ、続いて、変換後にデジタル信号163として扱われる。説明を明確にするために、アナログ信号161と相互作用するコンポーネントは、本願ではアナログ領域131で動作するとして言及し、一方、デジタル信号163と相互作用するコンポーネントは、本願ではデジタル領域132で動作するとして言及する。アナログ領域131とデジタル領域132との間の境界は、A/Dコンバータ125が両方の領域の信号と相互作用するので、A/Dコンバータ125を二等分する破線として示されている。従って、A/Dコンバータ125は、アナログ領域131のアナログ信号161をデジタル領域132内の信号163に変換するように構成されている。
上述したように、オシロスコープ120は、オシロスコープのチャンネルにおいてノイズ源123として描かれた、信号チャンネルに沿った複数のノイズ源を生来的に含む。ノイズ源123は、オシロスコープ120の信号チャネルにおけるノイズを生成する任意のコンポーネント若しくは複数コンポーネントの組み合わせであるか、又はそれらを含むとしても良い。ノイズ源123として動作するコンポーネントの例としては、これらに限定するものではないが、プローブ・フィルタ、温度補償フィルタ、帯域幅拡張(BWE)位相及び振幅補正フィルタ、非線形歪み補正フィルタ、MIMO(Multiple Input Multiple Output)インタリーブ・スプリアス補正フィルタ、補間フィルタ、平均化処理フィルタ、調整回路、増幅器、サンプラ、位相基準回路、クロック回路等のような信号調整のためのコンポーネントの任意の個数又は組合せがある。このようなノイズは、ノイズ源123からのノイズを補償する措置を取らない限り、デジカル信号163のSNRを低下させる可能性がある。アナログ信号161は、DUTリンク113及びオシロスコープ120のチャンネルを通過するとき、特定周波数での減衰及び全周波数での全般的な減衰の両方を受けることがある。減衰は、アナログ信号161を増幅することによって対処できる。しかしながら、高周波数減衰に対処するために、アナログ領域131における信号131全体を増幅すると、オシロスコープ120チャネルのダイナミックレンジを超える結果となり、これは、更に、クリッピングや過度の歪みを引き起こす可能性がある。
オシロスコープ120は、信号チャンネル中にアナログ・フィルタ121も含む。アナログ・フィルタ121は、アナログ信号161の選択された高周波数のスケールを、アナログ信号161の選択された低周波数に対して調整することによって、アナログ領域131内で動作するように構成されたフィルタである。実施形態では、これらの周波数は、DUTリンク113で生じる特定周波数の減衰を補償するように選択しても良い。アナログ・フィルタ121はノイズ源123の前に配置されているので、ノイズ源123からのノイズを増幅することなく、特定周波数の減衰を補償できる。ノイズ源123の前にあるように描かれている一方で、それ以外のノイズ源がアナログ・フィルタ121の前にもあり得るが、関心のあるノイズ源は、ノイズ源123として描かれていると理解されたい。また、1つのノイズ源123が示されているが、ノイズ源123は、A/Dコンバータ125によって導入されるノイズを含む任意の個数のノイズ源を含み得ることも理解されよう。アナログ・フィルタ121は、アナログ信号161にデシベル(dB)のブーストを供給するために、制御可能なカットオフ周波数と、制御可能な設定とで構成されても良い。アナログ・フィルタ121は、入力ポート127とA/Dコンバータ125との間に電気的に結合されている。アナログ・フィルタ121は、パッシブ・アナログ・フィルタ、アクティブ・アナログ・フィルタ、又はその両方として構成しても良い。アクティブ・アナログ・フィルタ121は、アナログ信号161内の選択又は指定された低周波数波を増幅することなく、アナログ信号161内の選択又は指定された高周波を増幅することによって、スケールを調整する。パッシブ・アナログ・フィルタ121は、選択又は指定された高周波数波を調整することなく、アナログ信号161内の選択又は指定された低周波数波を減衰させる。パッシブ・アナログ・フィルタには、例えば、連続時間線形等化器(CTLE)、イコライザ、プリエンファシス・フィルタなどが含まれても良い。パッシブ及びアクティブ・フィルタ・フィルタ121の他の例については、図12〜15を参照して以下で説明する。いずれの構成においても、低周波数信号成分に対して高周波信号成分の振幅は、アナログ・フィルタ121によって増加する。パッシブ・アナログ・フィルタ121の場合、アナログ信号の利得を上げるために追加のアンプを使用しても良い。アナログ・フィルタ121は、入力ポート127とノイズ源123との間に位置し、アナログ・フィルタ121によるノイズ源123に関連するノイズの増幅を防止する。アナログ・フィルタ121の調整(例えば、スケール、周波数ブレークポイントなど)は、操作装置を介して(例えば、グラフィカル・ユーザ・インタフェースを介して)ユーザによって調整可能としたり、ソフトウェア・プロセスによって自動的に調整可能としたり、固定されていても良い。いくつかの例では、アナログ・フィルタ121の周波数応答の形状、ポール(極)、ゼロ・ブレーク・ポイント等は、ユーザによって(例えば、グラフィカル・ユーザ・インタフェースを介して)や、ソフトウェア処理によって、ダイナミックに調整できる。そのような形状としては、ケーブル及びリンクのロールオフ特性に対する逆応答を、周波数の関数として含んでいても良い。更に、アナログ・フィルタ121にバイパス・スイッチ(図示せず)を組み込んでも良く、これによって、ユーザが必要に応じてアナログ・フィルタ121を無効にできる。
オシロスコープ120には、信号チャンネル中に逆フィルタ122(例えば、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)で実現される)もあり、A/Dコンバータ125に結合される。逆フィルタ122は、アナログ領域131内のアナログ・フィルタ121の逆周波数応答で、デジタル領域132内のデジタル信号163をフィルタ処理するように構成される。従って、逆フィルタ122を選択的に適用してアナログ・フィルタ121のスケール調整(scaling:スケーリング)の影響を除去し、デジタル信号132をDUT110におけるアナログ信号161と実質的に同じ状態にできる。逆フィルタ122を適用することにより、オシロスコープ120内のコンポーネントにより生成されるノイズを低減しつつ、アナログ・フィルタ121によって生じるノイズ(例えば、高周波数ノイズ)の増幅を除去する。言い換えれば、逆フィルタ122は、アナログCTLEフィルタ121の影響をキャンセルし、入力ポート127に入ったときに生じる信号161/163のように、オシロスコープ120が信号161/163を表示することを可能にするが、アナログ・フィルタ121/逆フィルタ122を用いなかった場合よりも、低ノイズである。これは、上述のように、アナログ・フィルタ121が、信号の他の周波数(例えば、より低い周波数)と比較して、ある周波数(例えば、より高い周波数)を調整又はスケール調整するように動作するからである。このように、これらの特定の周波数に関して、アナログ・フィルタ121と逆フィルタ122との間で導入されるノイズは、逆フィルタ122によってスケール調整が除去されるときに、逆フィルタ122によって低減される。逆フィルタ122は、オシロスコープ120のプロセッサによって実行される組み込みソフトウェア・コンポーネントとして実装でき、DUT110を出た後にアナログ信号161に対して生じる試験測定システム100の影響をディエンベッドする処理の一部として適用できる。逆フィルタ122は、オシロスコープ120のプロセッサによって実行される組み込みソフトウェア・コンポーネントとして実装でき、DUT110を出た後にアナログ信号161に対して生じる試験測定システム100の影響をディエンベッドする処理の一部として適用できる。例えば、逆フィルタ122は、SDLAベースのディエンベッド処理の一部として含まれるSパラメータ処理の一部として利用されても良い。よって、逆フィルタ122は、ノイズ源123からのノイズを、アナログ・フィルタ121によって加えられたブーストと同じ量だけ減らすことができ、デジタル信号163中のノイズの正味の減少をもたらす。
オシロスコープ120は、DUTディエンベッド・フィルタ124も含んでいても良い。DUTディエンベッド・フィルタ124は、デジタル領域において、例えば、ソフトウェア・フィルタとして実現されても良い。DUTディエンベッド・フィルタ124は、アナログ・フィルタ121と実質的に同様であってもよいが、DUTリンク113を通ってアナログ信号161が伝搬することによって生じる高周波数の減衰(例えば、特定周波数の減衰)を補正するように選択されたスケール増大を採用しても良い。従って、オシロスコープ120は、DUTリンク113によって生じるチャンネル損失/減衰より前の、DUT110において生じた信号のように、アナログ信号161をユーザに表示できる。従って、オシロスコープ120は、DUTリンク113によって生じるチャンネル損失/減衰より前の、DUT110において生じた信号のように、アナログ信号161をユーザに表示できる。これに加えて又はこれに代えて、DUTディエンベッド・フィルタ124は、DUT又は試験測定システム内の任意の点における信号を見ることを可能にするために、試験測定システムの別の局面(aspect:側面)又はDUTの別の回路を信号からディエンベッドしても良い。
オシロスコープ120は、プロセッサ及びメモリのようなデジタル信号を変更及び記憶するためのハードウェアを更に含むことに留意されたい。更に、オシロスコープ120は、信号161/163をエンド・ユーザに(例えば、グラフィカル・ユーザ・インタフェースを介して)表示するための表示装置やユーザ操作装置などを含んでも良い。オシロスコープ120は、また、当業者には理解されるように、信号の波形を捕捉して表示する他の構成要素を含む。そのような構成要素は、明瞭化のために示されていないことが理解されよう。
図2は、本発明の様々な実施形態によるノイズ低減装置220を含むシステム200の一例のブロック図である。ノイズ低減装置220は、アナログ・フィルタ221、A/Dコンバータ225、デジタル・フィルタ222、及びその他のコンポーネント280を含む。
アナログ・フィルタ221はCTLEのようなアナログ・フィルタである。アンテナ・フィルタ221は、アナログ信号161と同様の電気信号261を受けるように構成されている。アナログ・フィルタ221は、電気信号の第2周波数(例えば、低周波数)に比較して、電気信号の第1周波数(例えば、高周波数)を調整/スケール調整/変更して変更信号262を生成するように構成される。アナログ・フィルタ221は、設定可能な第1の周波数伝達関数271に従って、第1周波数を第2周波数に対して相対的にスケール調整する。伝達関数は、入力信号又は刺激信号に対するフィルタ回路のような、システムの出力信号又は応答に関連する数学的な関数である。電気信号261と変更信号262は、一緒に合わせて、アナログ信号161と実質的に同様であってもよいことに留意されたい。アナログ・フィルタ221は、電気信号261の第2周波数に比較して、電気信号261の第1周波数をブーストして、変更信号262を生成するように構成されたアクティブ・フィルタであってもよい。アナログ・フィルタ221は、あるいは、電気信号261の第1周波数に比較して、電気信号261の第2周波数を減衰させるように構成されたパッシブ・フィルタであってもよい。そのような場合には、別個の増幅器も設けて、第1周波数と減衰された第2周波数の両方をブーストして、変更信号262を生成するように構成しても良い。
いくつかの態様では、第2周波数帯域と比較した第1周波数帯域のスケール調整やブーストを達成するために、アナログ・フィルタが、ピークのある周波数応答を有していても良い。このようなピークのある周波数応答は、正の利得傾斜を有していても良い。結果として得られるデジタル信号のSNRを、システムでの損失を補償するのに必要となる以上に増加させるため、ピーキングをかなりの量に、例えば5デシベル(dB)を超える、又は10dBを超えるように選択しても良い。例えば、20dBのブーストは、得られる信号のSNRを約12dB改善できる。このピーキングの結果、A/Dコンバータに印加されるアナログ信号の波形が入力電気信号261の波形と大きく異なる場合があり得る。実際、意図的に歪められているため、これを補償するためのデジタル後処理が必要であり、これは、本願で説明されるように、ノイズを効果的に低減する。他の態様では、本願の他の箇所で説明したように、周波数応答は、A/Dコンバータ225のリミットに基づいてダイナミックに調整できるので、ピーキングの量は、利用されるA/Dコンバータによって左右される。これに加えて又はこれに代えて、処理中の信号の周波数の振幅がA/Dコンバータの範囲内で適用できるピーキングの量に影響し得るので、ピーキングを処理される信号によって左右させても良い。このピーキングは、スケール調整される周波数帯域(例えば、高周波数帯域)内のノイズに対処するために意図的に選択できる。場合によっては、ピーキングは、ノイズ低減装置のユーザによって選択可能であってもよい。
変更信号262は、A/Dコンバータ125とほぼ同様なA/Dコンバータ225が受ける。A/Dコンバータ225は、介在するアナログ回路を介してアナログ・フィルタ221の出力に結合される。A/Dコンバータ225は、変更信号262に基づいてデジタル信号263を生成するように構成される。
デジタル信号262は、デジタル・フィルタ222が受ける。デジタル信号262は、逆フィルタ122やDUTディエンベッド・フィルタ124と実質的に同様であってもよい。デジタル・フィルタ222は、アナログ・デジタル・コンバータ225と結合され、デジタル信号263からフィルタ処理信号264を生成するように構成される。フィルタ処理信号264及びデジタル信号263は、一緒に合わせて、デジタル信号163と実質的に同様であり得る。デジタル・フィルタ222は、第1周波数伝達関数271と実質的に逆の第2周波数伝達関数272に基づいて、フィルタ処理信号264を生成する。言い換えると、デジタル化された信号が電気信号261と実質的に同一の表現であるように、第2周波数伝達関数272は、第1周波数伝達関数271の影響をデジタル信号263から除去するよう選択されて良く、結果としてフィルタ処理信号264を生じる。デジタル・フィルタは、アナログ・フィルタ221に関連する寄生効果をフィルタ処理信号264から除去するようにも構成して良い。デジタル・フィルタ222は、例えば、追加コンポーネント280による(例えば、試験測定システムによる)更なる処理のために、フィルタ処理信号264を出力する。追加コンポーネント280は、信号261〜264を処理、記憶、変更、及び/又はユーザに表示するように構成された任意のハードウェア又はソフトウェアのコンポーネントであってもよい。
ノイズ低減装置220は、以下で説明するように、コントローラ440と同様でも良いプロセッサ240を含むこともできる。プロセッサ240は、ノイズ低減装置220のコンポーネントを制御するように構成されてもよい。ノイズ低減装置220は、また、プロセッサ240によって使用される命令(例えば、コンピュータ・プログラム・プロダクト)を記憶するための非一時的記憶媒体として働くメモリ223を含むことができる。プロセッサ240は、第1周波数伝達関数271のスケールを選択して、変更信号262の信号対ノイズ比(SNR)を増加させることができる。プロセッサ240は、アナログ・フィルタ221に関連する寄生効果を記述するSパラメータを受け、SDLA処理の一部としてSパラメータを使用して、デジタル・フィルタ222に、アナログ・フィルタ221に関連する寄生効果をディエンベッドさせる。また、プロセッサ240は、変更信号262の最大振幅がA/Dコンバータ225の変換能力を超え、これによってクリッピングが発生し得るまで、第1周波数のスケールを第2周波数に比較して反復して増加させることによって、第1周波数伝達関数271を調整しても良い。次に、プロセッサ240は、第1周波数伝達関数271を調整して、第2周波数に比較して第1周波数のスケールをクリッピングが発生しなくなるまで減少させ、それに応じて第2周波数伝達関数を設定する(例えば、第1周波数伝達関数の逆)。更に、プロセッサ240は、変更信号262の最大振幅とA/Dコンバータ225の変換能力との間に特定のマージンを維持するようにしても良い。加えて又はこれに代えて、プロセッサ240は、方法1500、1600及び/又は1700のような、本願に開示されている任意の他の方法を実行できる。
システム200は、システム100のような任意の試験測定装置(例えば、オシロスコープ)においてや、システム700のような別個のフィルタにおいて、実現されてもよいことにも注意されたい。更に、システム200は、対応する方法、装置、システムなどを実現するために使用されてもよい。
1つの例では、ノイズ低減装置220は、A/Dコンバータ内で実装されても良い。このような場合には、A/Dコンバータの中で懸念される1つ以上のノイズ源の前にアナログ・フィルタが配置され、これらのノイズ源の後にデジタル・フィルタが配置される。
図3は、シリアル・データ・リンク解析(SDLA)441のインタフェースを用いて制御されるアナログ・フィルタ421とデジタル・フィルタ422を使用するように構成されたオシロスコープ420を含む試験測定システム400の一例のブロック図である。システム400には、DUTリンク413、オシロスコープ420、入力ポート427、ノイズ源423、A/Dコンバータ425、アナログ・フィルタ421があり、これらは、全て、DUTリンク113、オシロスコープ120、入力ポート127、ノイズ源123、A/Dコンバータ125、アナログ・フィルタ121と夫々ほぼ同様である。オシロスコープ420には、デジタル・フィルタ422もあり、これは、ダイミナミックに制御可能な逆フィルタ(例えば、逆フィルタ122)又は任意の他のデジタル領域フィルタのような、デジタル信号に適用される任意のソフトウェア又はハードウェア・フィルタであっても良い。例えば、図示のように、デジタル・フィルタ422は、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)として実現されても良い。デジタル・フィルタ422は、また、SDLA441のSパラメータなどに基づく帯域幅制限フィルタ、ディエンベッド・フィルタを含んでいても良い。
オシロスコープ420には、コントローラ440、メモリ426、表示装置428及びユーザ操作装置443もあり、これらの夫々は、本願で説明する他のオシロスコープ(例えば、オシロスコープ120など)と連係して利用され、これらは、全体として、アナログ・フィルタ421、A/Dコンバータ425及びデジタル・フィルタ422に加えて、任意の他のオシロスコープのコンポーネントを制御する。例えば、コントローラ440は、メモリ記憶されたユーザの命令、指示などに基づいて、アナログ・フィルタ421、A/Dコンバータ425やデジタル・フィルタ422をダイナミックに設定するよう構成される。コントローラ440は、オシロスコープ420の中のコンポーネントを制御するように構成された任意のハードウェア・コンポーネントである。例えば、コントローラ440は、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、DSPなどを含んでいても良い。コントローラ440は、メモリ426からの命令を実行したり、以下で詳細に説明される方法1600や1700のような任意の方法を実現するように構成される。コントローラ440は、指示に従って、SDLA441コンポーネント及び自動設定424コンポーネントを動作させるように構成されても良い。SDLA441コンポーネントは、コントローラ440を利用して、信号チャンネルを横断する信号に対するオシロスコープ420のコンポーネント又はそのサブセットの電気的影響をディエンベッドするためのSパラメータを使用するように構成されても良い。自動設定442コンポーネントは、コントローラ440を利用して、例えば、ユーザの入力又は記憶された命令に基づいて、信号のSNRを増加又は最適化するために、アナログ・フィルタ421やデジタル・フィルタ422を調整するように構成される。例えば、自動設定442コンポーネントは、コントローラに、アナログ領域におけるアナログ・フィルタ421を繰り返し調整させて、デジタル領域におけるデジタル信号のSNRを増加又は最適化させるように構成される。デジタル領域におけるデジタル信号のSNRを増加又は最適化するための例示的な処理は、以下でより詳細に説明され、図17の方法1700によって示される。自動設定442コンポーネントは、実施例に応じて、SDLA441コンポーネントと連携して、又は独立して動作できる。更に、すべての実施例で、SDLA441コンポーネントを利用しなくても良い。
メモリ426は、揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、不揮発性RAM、読み出し専用メモリ(ROM)若しくはその他の機械可読媒体又はそれらの組み合わせのような、命令を記憶するように構成された任意のコンポーネントで良い。メモリ426は、Sパラメータ、制御コントローラ440の制御ファイルや、DUTリンク413から受けた信号から取り込まれたサンプリングされた波形を記憶するように構成されても良い。
表示装置428は、デジタル・スクリーン又は陰極線管ベースの表示装置であってもよい。表示装置428は、例えば、アイ・ダイアグラム、ヒストグラム、ヒート・マップ、時間領域信号、周波数領域信号などの、対応する入力信号を表示するための1つ以上の目盛りを含むことができる。表示装置428には、メニュー429があり、これは、見込まれるユーザ命令、取られたアクションの確認等を表示するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースを含む。例えば、メニュー429は、アナログ・フィルタ421に関連する周波数応答の形状、ポール、ゼロ・ブレーク・ポイントなどをユーザが変更できるようにするコントロール(操作部)を含んでいても良い。オシロスコープ420は、また、コントローラ440、表示装置428やアナログ・フィルタ421に結合されたユーザ操作装置443を含む。ユーザ操作装置443は、表示装置428上に入力信号を表示するためにユーザが利用可能な、ストローブ入力、利得制御、トリガ、表示調整、電力制御、又は他の操作装置を含むことができる。ユーザ操作装置443は、また、信号を分析する際に行われる特定の測定又は動作をユーザが選択することも可能にする。いくつかの例では、ユーザ操作装置443は、例えば、タッチ・スクリーンによって、表示装置428に統合される。
ユーザ操作装置443は、受けたユーザ入力に基づいて、選択された高周波数及び選択された低周波数に関して、周波数範囲を選択するように構成されても良い。周波数範囲は、内部/外部メモリに記憶されたデータに基づくような、他の手段によって選択されてもよいことに留意されたい。ユーザ操作装置443は、また、アナログ領域におけるアナログ・フィルタ421を調整し、デジタル領域における対応するデジタル信号のSNRを増加又は最適化するようにしても良い。例えば、ユーザは、コントローラ440がディエンベッド処理で使用するSパラメータを入力するのに、ユーザ操作装置443を利用できる。このようなSパラメータは、例えば、外部メモリ・デバイスからのファイルの転送、ネットワーク接続などによって、コントローラ420で使用するようにメモリ426に入力されてもよい。ユーザ操作装置443は、また、制御信号の増幅、アナログ・フィルタ421やデジタル・フィルタ422などによって適用される伝達関数を選択するために利用されてもよい。一例として、コントローラ440は、自動設定442コンポーネントを利用して、増加又は最適SNRを得るように、アナログ・フィルタ421を調整する。続いて、ユーザ操作装置443は、必要に応じてアナログ・フィルタ421を調整し、ユーザが希望するように表示装置428上の波形出力を変更するのに利用できる。ユーザ操作装置443は、直接的に、及び/又はコンローラ440を介してアナログ・フィルタ421と交信できる。例えば、ユーザ操作装置443は、命令をコントローラ440に送り、コントローラ440は、次に、SDLAプログラム・インターフェイス(PI)コマンドなどの命令を、Sパラメータに基づいてアナログ・フィルタ421に送って、アナログ・フィルタ421を制御し、アナログ・フィルタ421をディエンベッド等する。
図4は、SDLA541によって制御されるアナログ・フィルタ521及びデジタル・フィルタ522を使用するように構成されたオシロスコープ520を含む、試験測定システム500の一例の機能図である。システム500は、システム400とほぼ同様であるが、例示的なハードウェアの代わりに機能的なコンポーネント相互作用の観点から示されている。オシロスコープ520には、アナログ・フィルタ521、ノイズ源(「Σ」と表記)、A/Dコンバータ(「A/D」と表記)、フィルタ522があり、オシロスコープ420と同様に、全てが信号チャンネルに沿って配置されている。アナログ・フィルタ521は、上述のように、アクティブ又はパッシブ・アナログ・フィルタであってもよく、デジタル・フィルタ522は、デジタル・フィルタ422とほぼ同様であってもよい。アナログ・フィルタ521は、(例えば、DUTリンクから)アナログ信号を受け、その信号をデジタル・フィルタ522を介してチャネルに沿って転送する。
アナログ・フィルタ521及びデジタル・フィルタ522は、プロセッサ/コントローラが動作させているSDLAコンポーネント541によって制御され、これは、SDLAインタフェース441とほぼ同様である。SDLAコンポーネント541は、ユーザ提供のSパラメータ545、測定された応答546、逆フィルタ547、オシロスコープのSパラメータ544、帯域幅(BW)制限543を含む様々な入力を受ける。ユーザ提供のSパラメータ545は、ユーザ操作装置やメモリを介して、ユーザから受けても良い。ユーザ提供のSパラメータ545は、DUTリンクや試験測定システム500の任意の他のコンポーネントが、オシロスコープ502に到達する前のアナログ信号に対して有する電気的な影響を記述していても良い。ユーザが提供するとして説明されているが、ユーザが提供するSパラメータ545は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の適切な方法(例えば、メモリ又は他のデータストアから)でも提供できると理解されたい。オシロスコープのSパラメータ544は、オシロスコープ520のコンポーネントが信号に与える電気的影響を記述していても良い。例えば、オシロスコープのSパラメータは、アナログ・フィルタ521、デジタル・フィルタ522、A/Dコンバータなどの電気的影響を記述していても良く、SDLAコンポーネント541で受けても良い。オシロスコープのSパラメータ544は、記憶されて、システム・メモリから取り出されても良い。BW制限543は、オシロスコープ520のハードウェアの制限により、正確にサンプリングできる情報の量を示す。BW制限543は、オシロスコープ520の能力について、アナログ・フィルタ521や他の信号処理コンポーネントによって可能な最大サンプリング周波数、最大A/D変換能力、最大増幅又は調整や、帯域幅制限を定める任意の他の情報を示す。SDLAコンポーネント541は、ユーザ提供のSパラメータ545、オシロスコープのSパラメータ544及びBW制限543を利用して、オシロスコープ520、DUTリンクや他のシステム・ハードウェアの影響を、受けた信号に基づいて捕捉された波形から、どのようにディエンベッドするかを決定する。SDLAコンポーネント541は、ユーザ提供のSパラメータ545、オシロスコープのSパラメータ544及びBW制限543を利用して、オシロスコープ520、DUTリンクや他のシステム・ハードウェアの影響を、受けた信号に基づいて捕捉された波形から、どのようにディエンベッドするかを決定する。入手可能なシステム応答を利用して、メニュー529へ送信する命令(例えば、PIコマンド)をSDLA541インタフェースによって生成する。
メニュー529は、図2に示すように、表示装置428のような表示装置上で表示され、ユーザの命令を受けるようにしても良い。メニューを利用して、ユーザは関連するシステム応答を選択して、様々なコンポーネントを選択的にディエンベッドできる。これにより、ユーザは、システム又はDUTの任意のポイントに存在する信号の特性を見ることができる。例えば、SDLAコンポーネント541は、アナログ・フィルタ521のSパラメータを使用して、アナログ・フィルタ521の電気的影響をアナログ信号又はデジタル信号からディエンベッドできる。ユーザは、メニューを利用して、アナログ・フィルタ521で調整する低及び高周波数の範囲を設定したり、サンプリング・トリガを設定したり、その他の信号処理要件を設定するなどしても良い。ユーザの入力に基づいて、適切な命令をSDLAコンポーネント541からアナログ・フィルタ521へ送ることができる。SDLAコンポーネントは、自動設定542コンポーネントも含んでいて良く、これは、自動設定442コンポーネントとほぼ同様である。メニュー529からのユーザの命令に基づいて、SDLAコンポーネント541は、自動設定442を利用して、SDLAインタフェースを介したSDLA命令により、アナログ・フィルタ521を繰り返し調整できる。
更に、オシロスコープ520は、オシロスコープ520の信号チャンネルを横断する信号を測定し、そのような測定値をメモリに記憶できる。SDLAコンポーネント541は、測定された応答546として、メモリからこのような測定値を取り出すことができる。測定された応答546は、SDLAコンポーネント541が入力として受け、フィードバック制御システムの一部として、アナログ・フィルタ521を繰り返し調整するのに利用される。更に、測定された応答546は、図1に関して説明したように、測定されたデジタル信号からアナログ・フィルタ521の電気的影響を除去する逆フィルタ547に関する所望の応答(例えば、周波数応答形状)を計算するために利用できる。こうして、SDLAコンポーネント541は、計算された逆フィルタ547を利用でき、これは、次に、デジタル・フィルタ522を、図1の逆フィルタ122と同様な逆フィルタとして動作させるよう設定するのに利用できる。このように、SDLAコンポーネント541は、オシロスコープのチャンネルのノイズを増幅することなく、また、ユーザの命令に基づいて必要に応じて、関連するオシロスコープ520のコンポーネントをディエンベッドすることなく、Sパラメータ及び命令を利用してアナログ・フィルタ521やデジタル・フィルタ522における逆フィルタを繰り返しかつ連続的に制御し、ノイズ又は減衰(例えば、DUTリンクにおける特定周波数の減衰)を調整する。更に、SDLAコンポーネント541は、以下に詳細に説明する方法1600や1700のような、本願に開示された方法のいずれかを実現するためにも使用できる。
図5は、SDLAなしで制御されるアナログ・フィルタ621及びデジタル・フィルタ622を使用するように構成されたオシロスコープ620を含む試験測定システム600の一例の機能図である。システム600は、システム500とほぼ同様であるが、SDLA、Sパラメータ、又は制御命令なしで実現される。オシロスコープ620、メニュー629、アナログ・フィルタ621、デジタル・フィルタ622、BW制限643、測定された応答646及び逆フィルタ・パラメータ647は、オシロスコープ520、メニュー529、アナログ・フィルタ541、デジタル・フィルタ522、BW制限543、測定された応答546及び逆フィルタ・パラメータ547と夫々ほぼ同様である。自動設定642コンポーネントは、自動設定542コンポーネントとほぼ同様であるが、SDLAなしで実現される。よって、自動設定642コンポーネントは、ディエンベッド処理をするのに、Sパラメータを利用することなく、アナログ・フィルタ621やデジタル・フィルタ622を直接調整/制御する。具体的には、自動設定642コンポーネントは、メニュー629から受けたユーザの指示に基づいて、測定された応答646に基づき、デジタル信号のSNRを増加又はほぼ最適にするように、アナログ・フィルタ621の利得を繰り返し調整できる。自動設定642コンポーネントは、また、測定された応答646から逆フィルタ・パラメータ647を計算し、アナログ・フィルタ621に対応する逆フィルタとして動作するようにデジタル・フィルタ622を調整するのに、逆フィルタ・パラメータ647を利用できる。自動設定642は、また、フィルタ622を設定するときに、オシロスコープ620のBW制限643に加えて、信号に適用される任意の他のオシロスコープのフィルタ644も考慮して良い。このように、自動設定642コンポーネントは、ユーザの命令に基づき、必要に応じて、下流のオシロスコープのチャンネルのノイズを増幅することなく、特定周波数のノイズや減衰(例えば、DUTリンクに由来)を調整するように、アナログ・フィルタ621やデジタル・フィルタ622を反復的かつ連続的に制御するように構成できる。自動設定642コンポーネントは、方法1600や1700のような本願に開示された方法のいずれかを実現するために使用できる。
図6は、外部フィルタ750を制御するように構成されたオシロスコープ720を含む試験測定システム700の一例のブロック図である。オシロスコープ720は、図4のオシロスコープ420とほぼ同様であるが、内部アナログ・フィルタを含んでいない。オシロスコープ720には、A/Dコンバータ721、DSPフィルタ722、コントローラ740、メモリ726、SDLA741コンポーネント、自動設定742コンポーネント、アナログ領域731及びデジタル領域732があり、これらは、A/Dコンバータ425、デジタル・フィルタ422、コントローラ440、メモリ426、SDLAコンポーネント 441、自動設定442コンポーネント、アナログ領域131及びデジタル領域132と夫々ほぼ同様である。システム700は、信号713を受ける。いくつかの実施形態では、信号713を、例えば、図1のDUTリンク113と同様なDUTリンクのような、DUTリンクを通して受けても良い。こうした実施形態では、信号713が、減衰(例えば、特定周波数の減衰)を被ることがある。信号713は、外部フィルタ750で受けても良い。オシロスコープ720は、外部フィルタ750の出力ポート757と結合される入力ポートを含んでいる。
外部フィルタ750には、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751と、プログラマブル・アクティブ・フィルタ755と、コントローラ752と、外部フィルタ750に固有のSパラメータ754を含むメモリ753とがある。プログラマブル・パッシブ・フィルタ751及びプログラマブル・アクティブ・フィルタ755は、アナログ・フィルタ121と同様に動作しても良い。しかし、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751は、選択された低周波数を減衰させることによって、信号713の周波数をスケール調整又は調整するよう構成できる一方で、プログラマブル・アクティブ・フィルタ755は、選択された高周波数を増幅させることによって、信号713をスケール調整するよう構成できる。いくつかの実施形態では、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751及びプログラマブル・アクティブ・フィルタ755は、異なる周波数応答を有するように選択/制御されても良く、これは、入力アナログ信号に対して、直列に又は個別に利用されても良い。このように、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751及びプログラマブル・アクティブ・フィルタ755の両方を利用すると、単一のパッシブ・フィルタを利用するのに比較して、より多くの信号処理オプションをユーザに提供できる。2つのフィルタを示しているが、いくつかの例では、外部フィルタ750は、両方ではなく、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751又はプログラマブル・アクティブ・フィルタ755のいずれか一方を含んでも良いことに注意すべきである。別の例では、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751及びプログラマブル・アクティブ・フィルタ755の両方が利用されるが、特定の用途で利用するのに、どちらのフィルタか又はこれらの組み合わせかの選択をするオプションをユーザに提供するように、並列な構成に(例えば、直列の構成から)切り換えることができる。構成に関係なく、外部フィルタ750には、信号713を(例えば、DUTリンクを介して)受ける入力ポート756と、オシロスコープ720の入力ポートと結合できる出力ポート757とがある。外部フィルタ750には、更に、入力ポート756と出力ポート757との間の信号チャンネルがある。プログラマブル・パッシブ・フィルタ751とプログラマブル・アクティブ・フィルタ755は、外部フィルタ750の信号チャンネル中に配置され、利用する構成に応じて、入力ポート756や出力ポート757と結合される。
メモリ753は、メモリ426と同様であり、コントローラ752に関する指示に加えて、外部フィルタ750に固有のSパラメータ754を含む。Sパラメータ754は、入力ポート756、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751、プログラマブル・アクティブ・フィルタ755、出力ポート757や外部フィルタ750の信号チャンネル中の任意の他の回路の影響を、アナログ信号からディエンベッドするのに利用できる。
コントローラ752は、コントローラ440と同様であり、例えば、SDLAのPIコマンドを介してコントローラ740と通信し、コントローラ740からの命令に基づいて、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751、プログラマブル・アクティブ・フィルタ755及び任意の他の外部フィルタ750のコンポーネントを制御するよう構成される。そうしたことから、コントローラ752は、例えば、ケーブルを介して、コントローラ740と結合される。信号713を外部フィルタ750へ伝播するのに、DUTリンクが、例えば、第2のケーブルや信号プローブを介して、入力ポート756に結合されても良い。出力ポート757は、例えば、第3のケーブルを介して、オシロスコープ720の入力ポートへ結合される。こうした構成では、信号は、DUTリンクから、フィルタ751及び755の任意の組み合わせを介して、外部フィルタ750を通る信号チャンネルを横断でき、そして、サンプリングのためにオシロスコープへと横断できる。次いで、コントローラ740は、コントローラ752と通信して、フィルタ751や755を制御し、所望の周波数応答を得ることができる。こうした制御は、SDLA、SパラメータやPIコマンドの有無にかかわらず実行できる。更に、コントローラ752は、外部フィルタ750でディエンベッド処理を実行しても良いし、又は、Sパラメータ754をコントローラ740に転送して、SDLA741を使ってコントローラ740でデエンベディング処理を行うようにしても良い。更に、コントローラ752は、フィルタ751や755の現在の設定を必要に応じてコントローラ740に転送して、DSPフィルタ722についての対応する逆パラメータの計算をサポートしても良い。
このように、オシロスコープ720には、DUT及び外部フィルタ750からのアナログ信号713を受けるよう構成される入力ポートがある。A/Dコンバータ721は、アナログ領域731に由来するアナログ信号をデジタル領域732におけるデジタル信号に変換するよう構成される。次いで、コントローラ740は、デジタル領域732におけるデジタル信号の測定値を求めるよう構成される。測定値に基づいて、コントローラ740は、コントローラ752を介して、外部フィルタ750を制御し、アナログ信号713の選択された低周波数に比較して、アナログ信号713の選択された高周波数のスケールを調整する。こうした調整は、例えば、アナログ領域で生じる減衰(例えば、特定周波数の減衰)、例えば、DUTリンクによる減衰を、デジタル領域で(例えば、コントローラ740によって)測定されるデジタル信号のSNRに基づいて、補償する。
更に、コントローラ740は、コントローラ752と通信したり、コントローラ752を制御することによって、方法1600及び/又は1700を実現するように構成できる。例えば、コントローラ740は、コントローラ752を介して、ユーザの命令に基づいて、特定の高及び低周波数を選択するよう外部フィルタ750に命令できる。次に、コントローラ740は、選択された低周波数に対して、選択された高周波数のスケールを増加させるように、外部フィルタ750に反復的に命令できる。スケールは、デジタル領域732におけるデジタル信号の最大振幅が、A/Dコンバータ721の変換能力を超えてクリッピングを生じるまで増加させても良い。次に、コントローラ740は、クリッピングが発生しなくなるまで、フィルタ751や755によって提供されるスケールを縮小するように、外部フィルタ750に命令しても良い。更に、いくつかの態様では、コントローラ740は、デジタル信号の最大振幅とA/Dコンバータ721の変換能力との間に所定のマージンが維持されるまで、スケールを縮小するように外部フィルタ750に命令しても良い。
図7は、SDLAインタフェースを用いて外部フィルタ850を制御するように構成されたオシロスコープ820を含む試験測定システム800の一例を示すブロック図である。システム800は、システム700とほぼ同様であるが、オシロスコープ820のハードウェアを、より詳細に示している。信号813及び外部フィルタ850は、信号713及び外部フィルタ750と夫々ほぼ同様である。オシロスコープ820には、入力ポート427、ノイズ源423、A/Dコンバータ425及びデジタル・フィルタ422と夫々ほぼ同様な入力ポート827、ノイズ源823、A/Dコンバータ821、デジタル・フィルタ822を有する信号チャンネルがある。オシロスコープ820には、内部アナログ・フィルタがなく、このため、処理される信号の振幅又は電力を増加させるように、全周波数でアナログ信号を増幅する増幅器824を利用する。別の実施形態では、こうした増幅をプログラマブル・アクティブ・フィルタ755で実行しても良い。こうした実施形態では、増幅器824を省略することもできる。増幅器824は、信号の電力を増加させる任意の電気デバイスで良い。アナログ信号は、入力ポート827で受信され、増幅器824によって増幅される。その後、アナログ信号は、様々な回路によって処理され、これらはノイズ823を導入する。続いて、アナログ信号は、A/Dコンバータ821によってデジタル信号に変換される。ノイズ823とは別個に図示されているが、図示された個々のコンポーネント(例えば、A/Dコンバータ821)もノイズ823の一因となり得ることが理解されよう。しかし、これらコンポーネントは、説明を簡単にするため、別個に示される。結果として得られるデジタル信号は、デジタル・フィルタ822によってフィルタ処理されるが、デジタル・フィルタ822は、増幅器824、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751及び/又はプログラマブル・アクティブ・フィルタ755の逆数である周波数応答の形状を持っていても良い。ノイズ823の前に信号813を増幅することにより、信号713は、ノイズ823と比較して増幅される。結果として得られるデジタル信号は、デジタル・フィルタ822によってフィルタ処理されるが、デジタル・フィルタ822は、増幅器824、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751及び/又はプログラマブル・アクティブ・フィルタ755の逆数である周波数応答の形状を持っていても良い。ノイズ823の前に信号813を増幅することにより、信号713は、ノイズ823と比較して増幅される。デジタル・フィルタ822によるその後のフィルタ処理は、外部フィルタ850又は増幅器824によって信号813に適用された増幅又はスケール調整を元に戻すことができるため、対応する量でノイズ823を低減しながら、信号713を元のレベルに戻すことができる。結果として得られた信号は、次いで、メモリ826に記憶されたり、表示装置828上で波形として表示されたりできる。
オシロスコープ820には、更に、ユーザ操作装置843と、SDLAコンポーネント841及び自動設定コンポーネント842を含むコントローラ840と、メモリ826と、表示装置828と、メニュー829とがあり、これは、ユーザ操作装置443、コントローラ440、SDLAコンポーネント441、自動設定442コンポーネント、メモリ426、表示装置428及びメニュー429と夫々同様である。自動設定コンポーネント842は、独立して動作したり、外部フィルタ850、増幅器824等を制御するSDLAコンポーネント841と連係して動作したりするよう構成される。例えば、ユーザ操作装置843は、受けたユーザ入力に基づいて、選択された高周波数及び選択された低周波数のための周波数範囲を選択するように構成される。ユーザ操作装置843は、また、例えば、表示装置828やメニュー829を介して、ユーザからSパラメータや他の指示を受けても良い。このような入力は、コントローラ840に転送され、コントローラ840は、メモリ826から他の関連データを取得する。ユーザ入力やメモリ826からのデータに基づいて、CTLE自動設定442コンポーネントは、A/Dコンバータ821の下流で行われた測定値に基づいてデジタル信号を増加させるために、外部フィルタ850を反復的に調整する。更に、コントローラ840は、外部フィルタ850と通信して、外部フィルタ850に関連するSパラメータを取得する。Sパラメータやユーザ入力に基づいて、SDLAコンポーネント841は、外部フィルタ850及びオシロスコープ820のコンポーネントの影響を信号813からディエンベッドして信号ノイズを低減し、SNRを更に向上させる。
図8は、SDLA941によって外部フィルタ950を制御するように構成されたオシロスコープ920を含む試験測定システム900の一例の機能図である。システム900は、システム800とほぼ同様であるが、具体的なハードウェアの代わりに、機能的なコンポーネントの相互作用の観点から示されている。更に、システム900は、機能的にはシステム500と同様であるが、内部アナログ・フィルタ521の代わりに、外部フィルタ950を制御するのに適したものにされている。外部フィルタ950は、外部フィルタ750及び850とほぼ同様である。オシロスコープ920には、メニュー929、フィルタ922、SDLAコンポーネント941、自動設定942コンポーネント、そして、入力BW制限943、オシロスコープのSパラメータ944、ユーザ提供Sパラメータ945、測定された応答946及び逆パラメータ947とがあり、これらは、メニュー529、フィルタ522、SDLAコンポーネント541、自動設定542コンポーネント、BW制限543、オシロスコープのSパラメータ544、ユーザ提供Sパラメータ545、測定された応答546及び逆パラメータ547と夫々ほぼ同様である。システム500と違って、測定された応答946は、外部フィルタ950に関するSパラメータも含み、これは、外部フィルタ950に記憶され、外部フィルタ950上のコントローラとオシロスコープ920上のコントローラとの間のインタフェースを介して受信される。次いで、SDLA941は、外部フィルタ950からのSパラメータ及びオシロスコープのSパラメータ944に基づいて、メニュー929や外部フィルタ950に送信するための制御命令(例えばPIコマンド)を生成する。更に、SDLA941は、自動設定942コンポーネントを使用して、本願の他の箇所で説明したように、外部フィルタ950や増幅器924の利得/減衰を繰り返し調整して、オシロスコープ902で受けてサンプリングされた信号のSNRを増加、最適化又はほぼ最適化を行う。
図9は、SDLAなしに、外部の外部フィルタ1050を制御するように構成されたオシロスコープ1020を含む試験測定システム1000の一例の機能図である。システム1000は、システム900とほぼ同様であるが、SDLA、Sパラメータ又は制御命令なしで実現される。外部フィルタ1050は、外部フィルタ750とほぼ同様である。オシロスコープ1020、メニュー1029、フィルタ1022、BW制限1043、測定された応答1046及び逆パラメータ1047は、オシロスコープ920、メニュー929、フィルタ922、BW制限943、測定された応答946及び逆パラメータ947と夫々ほぼ同様である。自動設定1042コンポーネントは、自動設定942コンポーネントとほぼ同様であるが、SDLAなしで実現される。よって、自動設定1042コンポーネントは、ディエンベッド処理のために、Sパラメータを利用することなく、外部フィルタ1050やデジタル・フィルタ1022を直接調整/制御する。自動設定1042コンポーネントは、メニュー1029から受信したユーザの指示に基づいて、測定された応答1046に基づき、デジタル信号のSNRを最適化するように、外部フィルタ1050や増幅器を繰り返し調整できる。自動設定1042コンポーネントは、また、測定された応答1046から逆フィルタ1047も計算でき、逆フィルタ1047を使用して、外部フィルタ1050や増幅器1024の逆周波数形状にデジタル・フィルタ1022を調整することもできる。自動設定1042は、デシタル・フィルタ1022のパラメータを設定する際に、オシロスコープ1020のBW制限1043に加えて、信号に適用される任意の他のオシロスコープのフィルタ1044も考慮できる。このように、自動設定1042コンポーネントは、ユーザの命令に基づき、必要に応じて、デジタル・フィルタ1022によって実現される外部フィルタ1050や逆フィルタを繰り返し連続的に制御して、下流のオシロスコープのチャンネル・ノイズの導入の前に、信号を増幅するように構成されても良い。更に、自動設定1042コンポーネントは、方法1600や1700のような、本願で開示される任意の方法を実現するのに利用されても良い。
図10は、外部フィルタ1150を校正するよう構成される試験測定システム1100の一例のブロック図である。外部フィルタ1150は、外部フィルタ750とほぼ同様である。外部フィルタ1150は、プログラマブル・パッシブ・フィルタ1151、プログラマブル・アクティブ・フィルタ1155、コントローラ1152、メモリ1153及びSパラメータ1154を含み、これらは、プログラマブル・パッシブ・フィルタ751、プログラマブル・アクティブ・フィルタ755、コントローラ752、メモリ753及びSパラメータ754の仕様と夫々ほぼ同様である。
外部フィルタ1150は、校正用の試験システム1165と結合される。試験システムとしては、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)又はタイム・ドメイン・リフレクション(TDR)/タイム・ドメイン・トランスミッション(TDT)試験装置を含んでも良い。試験システム1165は、外部フィルタ1150の入力及び出力ポートの両方と結合される。試験信号が、フィルタ1151及び1155を横断して送信され、試験システム1165によって捕捉される。次いで、試験システム1165は、外部フィルタ1150に関連するSパラメータを測定する。
校正装置1160も利用される。校正装置1160は、試験の目的として、外部フィルタ1150を制御するよう構成される任意のコンポーネントであって良い。例えば、校正装置は、汎用コンピュータ、オシロスコープ、専用の試験システムなどであっても良い。校正装置には、コントローラ1161があり、これは、プロセッサ、メモリなどを含んでいても良い。コントローラ1161には、校正処理の間、外部フィルタ1150を制御するよう構成される校正コンポーネント1162がある。試験システム1165によって測定されたSパラメータや関連する命令は、試験システム1165から校正装置1160に転送される。次いで、校正装置1160は、コントローラ1161を介して、測定されたSパラメータを外部フィルタ1150に転送し、Sパラメータ1154に記憶する。試験システム1165と校正装置1160は、異なる構成から生じるSパラメータの変化を得るために、試験中に交信して、フィルタ1151及び1155の周波数応答を変更しても良い。試験システム1165と校正装置1160は、異なる構成から生じるSパラメータの変化を得るために、試験中に交信して、フィルタ1151及び1155の周波数応答を変更しても良い。異なる構成から生じるSパラメータの変化は、試験システム1165によっても測定されて良く、校正装置1160からの命令に基づいてメモリ1153に記憶されてもよい。こうしたSパラメータは、フィルタ1151及び1155の特定の構成に基づくSパラメータの復元できるように、メモリ1153中において、フィルタ1151及び1155の異なる構成と相互に関連付けられても良い。これらの異なる構成は、図7を参照して上述したように、フィルタ1151又は1155の個別の使用、又はフィルタ1151及び1155の組み合わせた使用を含んでも良いことが理解されよう。
図11は、抵抗器(R)及びコンデンサ(C)ベースのパッシブ・フィルタ1200の一例のブロック図であり、これは、フィルタ121、321、421、521、621、751、850、950、1050や1151の夫々のような、本願で開示される任意のパッシブ・フィルタを実現するのに利用できる。フィルタ1200のようなパッシブ・フィルタは、チャンネル損失を補償するハイパス伝達関数を実現できることに注意されたい。パッシブ構造は、チャンネル応答の結果生じる先行(precursor)及びロングテールの両方のインタースパイク・インターバル(ISI:interspike interval)をキャンセルできる。フィルタ1200のようなパッシブ構造は、純粋にパッシブであっても良いし、利得を提供する増幅器と組み合わせても良い。パッシブ構造は、高周波数アプリケーションで有用となり得る。また、パッシブ・フィルタは、オシロスコープのチャンネルが、関連する用途に関して、既に元々十二分な直流(DC)利得(例えば、信号の増幅)がある場合にも有用となり得る。
パッシブ・フィルタ1200は、チャンネル1201に結合されている。チャンネル1201は、例えば、DUTリンクから受けたアナログ信号を伝導するように構成されたオシロスコープ又は外部チャンネルである。パッシブ・フィルタ1200には、図12に示すように、チャンネル1201に接続された並列接続の可変コンデンサC1 1204と可変抵抗器R1 1202とがある。パッシブ・フィルタ1200には、更に、図示のように、並列接続され、更にグラウンドに接続された可変コンデンサC2 1205と、可変抵抗器R2 1203とがある。チャンネル1201からのアナログ信号をVout1206に伝導して、フィルタ1200の外の他のコンポーネントへ伝達するように、C1 1204、C2 1205、R1 1202及びR2 1203は、図示のように、電圧出力部(Vout)1206に結合される。パッシブ・フィルタ1200は、チャンネル1201からVout1206へと横断するアナログ信号の低周波数を、高周波数と比較して、スケール調整又は調整する。パッシブ・フィルタ1200は、電圧増幅を利用しないので、パッシブである。よって、このため、スケール調整を行うのに、高周波数を低減することなく、低周波数を低減する。パッシブ・フィルタ1200は、C1 1204、C2 1205、R1 1202、R2 1203を選択した容量及び抵抗値に夫々調整することによって、異なる周波数応答(例えば、高周波数の範囲、低周波数、スケール調整係数などの選択)を生成するように調整されても良い。パッシブ・フィルタ1200の電気的応答は、以下の数式1〜4によって数学的に記述できる。
ここで、H(s)は、パッシブ・フィルタの伝達関数であり、R1及びR2は、R1 1202及びR2 1203夫々の抵抗であり、C1及びC2は、C1 1204及びC2 1205夫々の容量であり、sは、信号の複素周波数である。
ここで、DC Gainは、パッシブ・フィルタ1200を横断する信号の低周波数電圧利得であり、他の全ての変数は、数式1に記述されている。
ここで、HF Gainは、パッシブ・フィルタ1200を横断する信号の高周波数電圧利得であり、他の全ての変数は、数式1に記述されており、そして、
ここで、Peakingは、パッシブ・フィルタ1200を横断する信号の低周波数電圧利得に対する高周波数電圧利得のスケールであり、他の全ての変数は、数式1〜3に記述されている。
図12は、R及びインダクタ(L:誘導子)ベースのパッシブ・フィルタ1300の一例のブロック図である。パッシブ・フィルタ1300は、パッシブ・フィルタ1200とほぼ同様であるが、代わりに、インダクタを用いて実現されている。パッシブ・フィルタ1300は、フィルタ121、321、421、521、621、751、850、950、1050や1151の夫々のような、本願で開示される任意のパッシブ・フィルタを実現するのに利用できる。パッシブ・フィルタ1300には、チャンネル1301、R11302、R21303、Vout1306及びグラウンド1307があり、これらは、チャンネル1201、R11202、R21203、Vout1206及びグラウンド1207と夫々ほぼ同様である。パッシブ・フィルタ1300には、コンデンサ1204及び1205の夫々の代わりに、可変インダクタL1 1304及びL2 1305もある。パッシブ・フィルタ1300は、パッシブ・フィルタ1200と同様のやり方で、チャンネル1301を横断するアナログ信号の低周波数を、高周波数と比較して、スケール調整する。パッシブ・フィルタ1300は、L1 1304、L2 1305、R1 1302及びR2 1303を選択したインダクタンス及び抵抗値に夫々調整することによって、異なる周波数応答(例えば、高周波数の範囲、低周波数、スケール調整係数などの選択)を生成するように調整されても良い。パッシブ・フィルタ1300の電気的応答は、以下の数式5〜8によって数学的に記述できる。
ここで、全ての変数は、数式1〜4に記述されているようにパッシブ・フィルタ1300に適用されるが、夫々、L1及びL2がL1 1304及びL2 1305のインダクタンスであり、R1及びR2がR1 1302及びR2 1303の抵抗値である点が異なる。
本願で説明するパッシブ・フィルタの複数の構成は、単一の実施例で実現できることが理解されよう。そのような場合、パッシブ・フィルタ(可変及び/又は静的)は、1つ又は複数のパッシブ・フィルタのどれを入力信号に適用するかを選択できるスイッチング・ネットワークと結合しても良い。実施形態では、適用される1つ又は複数のパッシブ・フィルタは、上述のコントローラによって選択できる。可変パッシブ・フィルタには、上述のパッシブ・フィルタを含めることができ、また、バラクタ、電界効果トランジスタ(FET)なども含めることができる。
図13は、R及びLベースのアクティブ・フィルタ1400の一例のブロック図であり、これは、フィルタ121、321、421、521、621、755、850、950、1050や1155の夫々のような、本願で開示される任意のアクティブ・フィルタを実現するのに利用できる。パッシブ・フィルタ1200及び1300と異なり、アクティブ・フィルタ1400は、増幅を提供し、よって、高周波数をブーストすることによって、アナログ信号の高周波数を、低周波数と比較して、スケール調整する。アクティブ・フィルタ1400には、可変インダクタL1 1405、可変抵抗器R1 1402、可変コンデンサC1 1404、Vout1406、グラウンド1407及びVin1408があり、これらは、図14に示すように接続される。Vin1408は、入力電圧であり、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)やバイポーラ接合トランジスタ(BJT)のようなトランジスタを介して受けても良い。Vin408は、チャンネルに接続されていても良く、よって、チャンネルは、Vout1406へアナログ信号を伝導できる。インダクタL1 1405は、より低い周波数をブーストすることなく、より高い周波数にブーストを提供する複素アンダーダンプ(underdamped:減衰不足の)ポールとして動作できる。アクティブ・フィルタ1400は、L1 1405、R1 1402及びC1 1404を選択したインダクタンス、抵抗及び容量値に夫々調整することによって、異なる周波数応答(例えば、高周波数の範囲、低周波数、スケール調整係数などの選択)を生成するように調整されても良い。アクティブ・フィルタ1400の電気的応答は、以下の数式9〜13によって数学的に記述できる。
ここで、H(s)は、アクティブ・フィルタ1400の伝達関数であり、R1は、R1 1402の抵抗であり、C1は、C1 1404の容量であり、L1は、L1 1405のインダクタンスであり、sは、信号の複素周波数であり、ω1及びω2は、低及び高周波数での信号周波数の2π倍を夫々示し、Qは、回路の共振のアンダーダンピングを記述する品質係数であり、HF Gain及びDC Gainは、夫々高及び低周波数利得であり、そして、Peaking は、アクティブ・フィルタ1400を横断する信号の低周波数電圧利得に対する高周波数電圧利得のスケールである。
図14は、トランジスタ・ベースのアクティブ・フィルタ1500の一例のブロック図であり、これは、アクティブ・フィルタ1400と同様であり、フィルタ121、321、421、521、621、755、850、950、1050や1155の夫々のような、本願で開示される任意のアクティブ・フィルタを実現するのに利用できる。アクティブ・フィルタ1400のように、アクティブ・フィルタ1500は、増幅を提供し、よって、高周波数をブーストすることによって、アナログ信号の高周波数を、低周波数と比較して、スケール調整する。アクティブ・フィルタ1500は、RC縮退(degenerated)差動ペア用いて、ピーキング(ピークのある)ブーストを提供する。この回路構成では、利得、ブースト及び帯域幅は、回路中のトランジスタの周波数によって制限されることがある。アクティブ・フィルタ1500には、駆動電圧(例えば、電源からの)であるVdd1501がある。アクティブ・フィルタ1500には、更に、DUTリンクからアナログ信号を受けるVin1511とVin1510がある。アクティブ・フィルタ1500には、更に、Vout1508及び1509があり、スケール調整されたアナログ信号をアクティブ・フィルタ1500の下流にあるコンポーネントの方へ出力する。アクティブ・フィルタ1500には、更に、可変抵抗値を持つ可変抵抗器であるR1 1502、R2 1503及びR3 1504がある。アクティブ・フィルタ1500には、更に、可変容量を有する可変コンデンサであるC1 1507とC2 1506がある。アクティブ・フィルタ1500には、更に、T1 1517及びT2 1516があり、これらは、MOSFETやBJTのようなトランジスタである。アクティブ・フィルタ1500には、更に、電流源であるCS1 1518及びCS2 1519がある。アクティブ・フィルタ1500には、更に、グラウンド1512、1513、1515及び1514がある。アクティブ・フィルタ1500のコンポーネントは、図15に示すように接続される。アナログ信号は、Vin1510〜1511からVout1508〜1509へとアクティブ・フィルタ1500を横断しながら、他の回路コンポーネントによって、選択された低周波数をブーストすることなく、選択された高周波数をブーストすることによって変更される。アクティブ・フィルタ1500は、夫々、C1 1507及びC2 1506を選択した容量に調整し、R1 1502、R2 1503及びR3 1504を選択した抵抗値に調整することよって、異なる周波数応答(例えば、高周波数の範囲、低周波数、スケール調整係数などの選択)を生成するように調整されても良い。アクティブ・フィルタ1500の電気的応答は、以下の数式14〜17によって数学的に記述できる。
ここで、ωz1、ωp1及びωp2は、選択された周波数における信号周波数の2π倍を示し、R2及びR3は、R1 1502、R2 1503及びR3 1504に関連して選択された抵抗であり、C1及びC2は、C1 1507及びC2 1506に関連して選択された容量であり、gm及びgmbは、トランジスタに関連する相互コンダクタンンス値であり、HF Gain及びDC Gainは、夫々高及び低周波数利得であり、Peaking は、アクティブ・フィルタ1500を横断する信号の低周波数電圧利得に対する高周波数電圧利得のスケールである。
図15は、信号のSNRを向上させる、フィルタ121、221、321、421、521、621、751、755、850、950、1050、1151、1155、1200、1300、1400、1500やこれらの組み合わせのようなフィルタを制御する方法1600の一例のブロック図である。方法1600は、プロセッサや、コントローラ440、740、840や1161のようなコントローラを利用しても良い。更に、方法1600は、全体又は一部が、ユーザ操作装置を介してユーザの命令やSパラメータを受ける処理や、システム・メモリからそのような命令/パラメータを受ける処理に基づいて、実現されてもよい。ブロック1601では、アナログ信号を繰り返し受けて、デジタル信号へ変換し、選択された低周波数に対して、選択された高周波数のスケールを増加させる。アナログ信号は、例えば、被試験デバイス(DUT)から受けても良い。いくつかの実施形態では、アナログ信号は、本願で説明されたDUTリンク113、413や他の任意のDUTリンクのような特定周波数の減衰で影響されるDUTリングを介して受けても良い。アナログ信号のデジタル信号のへの変換は、本願で説明されたA/Dコンバータ125、225、325、425、721、821や任意の他のA/DコンバータのようなA/Dコンバータによって実行されても良い。
続いて、アナログ信号の選択された高周波数のスケールは、アナログ・フィルタを利用して、選択された低周波数と比較して、増加される。上述のように、もしアナログ・フィルタがアクティブ・フィルタなら、スケールは、選択された高周波数を調整可能に増幅することによって増加される。もしアナログ・フィルタがパッシブ・フィルタなら、スケールは、選択された低周波数を減衰することによって増加される。高周波数及び低周波数は、上述のように、記憶されているか、受信されるSパラメータによって、ユーザ操作装置を介してユーザによって自動的に選択されても良い。スケールは、繰り返し増加させて、デジタル領域における変換されたデジタル信号のSNRを増加させる。特定周波数減衰のネガティブな影響を被るDUTリンクを介してアナログ信号を受ける実施形態では、低周波数と比較した高周波数のスケールの調整が、DUTリンクで生じる特定周波数減衰の調整を含む。ある実施例では、アナログ信号の最大振幅がA/Dコンバータの変換能力に合致するか又は超えるまで、アナログ・フィルタによって提供されるスケールが繰り返し増加される。A/Dコンバータの変換能力を超えると、クリッピングが発生する。クリッピングとは、アナログ信号の最大振幅がA/Dコンバータの最大出力を超える状況を示し、その結果、デジタル信号の振幅がA/Dコンバータの最大出力まで減少/クリッピングされる。クリッピングは変換エラーであって、望ましくなく、スケール調整(scaling)がハードウェアの能力を超えて増加していることを示している。
その後、方法1600はブロック1603に進み、クリッピングが発生しなくなるまで、アナログ・フィルタが提供するスケール調整を減少させる。いくつかの例では、アナログ信号の最大振幅とA/Dコンバータの変換能力との間に所定のマージンを維持することは、予期しないクリッピングを防ぐために望ましい。そのような場合、指定されたマージン(例えば、A/Dコンバータの最大出力を20%下回る)を維持するために、アナログ・フィルタによって提供されるスケールが更に低減される。マージンは、オシロスコープのメモリで指定されたり、ユーザ操作装置を介してユーザから受けたりできる。
A/Dコンバータの変換能力が分かっている実施例の場合では、ブロック1601において、アナログ信号の振幅がA/Dコンバータの変換能力に合致するまでだけ、アナログ・フィルタのスケール調整(scaling:スケーリング)を繰り返し増加させることに注意されたい。別の例では、ブロック1601において、アナログ・フィルタのスケール調整は、アナログ信号の振幅がA/Dコンバータの変換能力から指定されたマージンを差し引いた値に達するまでだけ繰り返し増加される。どちらの場合でも、クリッピングを起こさずに最大SNRが達成され、アナログ・フィルタのスケール調整を減少させる必要がないので、ブロック1603は使用しなくても良い。方法1600から得られるデジタル信号は、続いて、アナログ・フィルタの逆の周波数応答形状を有するデジタル・フィルタによってフィルタ処理して良いことが理解されよう。アナログ領域で信号をスケール調整することによって、信号チャンネルにおいて(例えば、A/Dコンバータによって)導入されるノイズと比較して、信号がスケール調整、即ち、増加される。続く、デジタル・フィルタによるフィルタ処理は、このスケール調整を逆転させて、信号をオリジナルのレベルへと低減しつつ、スケール調整後に導入されたノイズを対応する量で減少させる。
図16は、信号対ノイズ比(SNR)を最適化するように、アナログ・フィルタ121、221、421、521、621、751、755、850、950、1050、1151、1155、1200、1300、1400、1500のようなアナログ・フィルタ、増幅器824、924、1024やこれらの組み合わせを制御する別の例の方法1700のブロック図である。方法1700は、方法1600とほぼ同様であるが、ブロック1605に関して上述したようなアナログ・フィルタによって提供されるスケールの繰り返し増加の処理を明確に説明するために提供される。ブロック1701では、アナログ・フィルタは、スケール調整のない初期状態に設定しても良い。言い換えると、この初期状態では、アナログ・フィルタは、特定周波数の増幅及び特定周波数の減衰を提供しなくて良い。ブロック1703では、A/Dコンバータによってアナログ信号をデジタル信号に変換することにより、デジタル領域で信号を取込む。ブロック1705では、方法1700は、A/Dコンバータにおいて、取り込まれた信号にクリッピングが生じているかどうか判断する。これは、例えば、上記のように、アナログ信号の振幅とデジタル信号の振幅をコントローラで比較することで実現できる。クリッピングが発生していない場合、方法1700はブロック1707に進み、追加の増幅が可能である場合にはスケール調整を増加させ、これによって、追加のSNR改善を達成できる。次に、方法1700はブロック1703に戻り、スケール調整を増加させて信号を取得する。ブロック1705でクリッピングが発生した場合、方法1700はブロック1709に進む。クリッピングが発生した場合、スケール調整はシステムの能力を超えて増加している。したがって、クリッピングを生じることなくSNRを向上させるためには、スケール調整を小さくする必要がある。そこで、ブロック1709では、クリッピングを防止したり、信号とA/Dコンバータの変換能力との間の所定のマージンを維持するためにスケール調整(scaling)が減少される。
図17は、複数のパラメータを利用することによって、アナログ・フィルタ121、221、321、421、521、621、751、755、850、950、1050、1151、1155、1200、1300、1400、1500のようなアナログ・フィルタ、増幅器824、924、1024やこれらの組み合わせを制御する実施例の方法1800のブロック図である。方法1800は、方法1600及び1700とほぼ同様であり、更に、利用可能な増幅器(例えば、増幅器824)の利得及び利用可能なアナログ・フィルタ周波数応答の両方に基づいて、SNRを更に最適化又は増加させる別のメカニズムを提供する。本願で開示されるいずれのオシロスコープ又はノイズ低減装置も、信号チャンネル内に増幅器を有して構成されて良いことに注意されたい。そのため、方法1800は、本願で開示される任意のオシロスコープ又はノイズ低減装置で利用できる。
ブロック1801では、オシロスコープ(例えば、オシロスコープ120、420、520、620、720、820、920や1020)又は他のノイズ低減装置(例えば、ノイズ低減装置220)が、スケール調整なしで入力信号を取り込む。外部アナログ・フィルタを用いる実施例は、スケール調整を設定するのに、外部ソフトウェア・インタフェースによって外部アナログ・フィルタを制御しても良い一方、内部アナログ・フィルタを用いる実施例は、内部ソフトウェア命令によってスケール調整を設定しても良い。ステップ1803では、信号チャンネルの途中の増幅器の信号利得が設定される。例えば、増幅器の利得は、ピーク・トゥ・ピーク電圧(Vpp)が対応するA/Dのレンジの特定パーセント又はマージン、例えば、任意の他のパーセント又はマージンを利用しても良いが、約80パーセント(%)である出力信号を生成するように設定されても良い。
ブロック1805では、信号を取り除き、現在のアナログ・フィルタと増幅器の設定の組み合わせで、オシロスコープがオシロスコープ・チャンネルのベースライン(基礎的な)ノイズを取得できるようにする。ブロック1807では、取得したオシロスコープのベースライン・ノイズを測定し、これを用いて信号のSNRを計算する。SNRは、CTLEと増幅器の設定の組み合わせと一緒に保存される。ステップ1809では、方法1800は、可能な又は所望のアナログ・フィルタ設定の夫々が試みられたかどうかを判断する。そうでない場合には、方法1800は、ブロック1813に進むことによって、可能な又は望ましい全てのアナログ・フィルタ設定の反復を続ける。
ブロック1813では、アナログ・フィルタの周波数応答が次に利用可能な設定へと調整される。ブロック1815では、調整されたアナログ・フィルタ周波数応答の設定で信号が取得される。方法1800は、次に、ブロック1803に戻り、新たに選択されたアナログ・フィルタ周波数応答設定で信号のSNRを求める。
なお、指定されたパーセンテージに対応する増幅器の利得は、新たに選択されたアナログ・フィルタ周波数応答設定に基づいて変化する場合があることに注意されたい。有り得るアナログ・フィルタ設定の夫々でSNRが決定されると、方法は、ブロック1809からブロック1811へと進む。ブロック1811では、ステップ1807で記憶された値に基づいて、最高の(例えば、最良又は最適の)信号対ノイズ比を提供するように、アナログ・フィルタ及び増幅器利得が選択されても良い。
図18は、開示された実施例による例示的なアナログ・フィルタ周波数応答のグラフ1900である。グラフ1900は、水平軸に沿ったギガヘルツ(GHz)の信号周波数と、デシベル(dB)での垂直軸のスケール(例えば、増幅)のマグニチュード(大きさ)を示している。図示のように、約0.1GHz未満の低周波数には、増幅は適用されない。約0.1GHzと約0.7GHzとの間のより高い周波数は、信号周波数が高くなるほど徐々に高くなる減衰を克服するために、だんだんと(次第に)ブースト、即ち、スケール調整される。グラフ1900は、約0.7GHz以上でロールオフし、これは、アナログ・フィルタが、約0.7GHzより高い周波数の信号をフィルタ処理することを意味する。グラフ1900は、本願で説明するアナログ・フィルタのいずれかを実現するのに利用できる単一周波数応答を示すことに留意されたい。グラフ1900は、低周波数と比較して、高周波数をスケール調整する例を提供するためだけに提示されている。本願で開示されるアナログ・フィルタは調整可能であるため、必要に応じてアナログ・フィルタのコンポーネント(例えば、調整可能な抵抗器、コンデンサ・インディケータ、トランジスタなど)を調整することによって、実質的に任意の周波数応答を得ることができる。例えば、周波数応答は、周波数の関数としてロールオフ特性を持つDUTリンク・ケーブルの応答の逆数として選択しても良い。図示された周波数レンジは、本質的に例示的であることを意味し、本発明の可能な周波数レンジを限定することを意図するものではないことが理解されよう。本発明の周波数レンジは、本発明の教示を組み込んだ装置が動作するように構成されている任意の周波数レンジであって良い。
図19は、開示された実施形態が適用されていないオシロスコープで検出された例示的な信号のグラフ2000である。グラフ2000を生じる入力信号は、矩形波であるため、全ての粗いエッジはノイズの結果である。グラフ2000は、垂直軸に沿ったボルト単位の振幅と水平軸に沿った時間単位を示す。図示のように、重要なノイズは、−0.5Vの低電圧と0.5Vの高電圧の両方で検出される。
図20は、本願に開示された任意のフィルタ構成を利用することによって、開示された実施形態を適用したオシロスコープで検出された例示的な信号のグラフ2100である。グラフ2100は、垂直軸に沿った電圧単位での振幅と、水平軸に沿った時間単位とを示す。フィルタ処理を適用することにより、−0.5Vの低電圧と0.5Vの高電圧の両方で、信号ノイズがグラフ2000と比較して減少している。このように、本願で説明するようなフィルタ処理は、オシロスコープで検出される信号ノイズを著しく減少させる。図示の例では、フィルタ処理により、SNRが約12dB向上している。
図21は、本願に開示された任意のフィター構成を利用することによって、本願で開示されるようなフィルタ処理で検出された例示的な信号に関するアイ・ダイアグラム2202と、フィルタ処理なしでのアイ・ダイアグラム2201を示す。ダイアグラム2201及び2202は、パルス振幅変調4(PAM−4)信号に基づいて生成される。アイ・ダイアグラムは、複数のサイクルに渡って重ねられた信号のハイ(高)、信号のロー(低)及び遷移(transition)を、グレースケールで描きながら、色が明るいほど信号の活動が次第に増加することを示す。閉じたアイ・ダイアグラムは、ハイ、ロー及びトランジションの差異をあまり際立たないようにするので、ノイズの増加を示す。図示のように、ダイアグラム2201では、Vpp単位で約0.1ボルトのノイズがPAM−4信号に加えられ、アイ・ダイアグラムが顕著に閉じている。フィルタ処理のあるアイ・ダイアグラム2202は、フィルタ処理のないアイ・ダイアグラム2201よりもはるかに開いており、これは、本願で開示されるフィルタ処理を使用すると、信号ノイズが減少し、信号のハイ、ロー及び遷移間を区別するオシロスコープの能力が増加することを示す。
本発明は、様々な実施例において、多数の組み合わせで実現できる。網羅することは意図していないが、以下の実施例は、本発明の特定の実施例として提示される。以下の実施例は、明瞭化の目的で提示されており、本発明の範囲を限定するとみなすべきではない。
実施例1としては、オシロスコープがあり、特定周波数の減衰によるネガティブな影響を受けるDUTリンクを介してアナログ信号を受けるよう構成される入力ポートと、上記アナログ信号をアナログ領域からデジタル領域におけるデジタル信号へ変換するよう構成されるA/Dコンバータと、上記入力ポートと上記A/Dコンバータの間に電気的に結合されるアナログ・フィルタとを具え、上記アナログ・フィルタは、上記アナログ信号の選択された高周波数を、上記アナログ信号の選択された低周波数に比較して、スケール調整することによって、上記DUTリンクにおいて生じる特定周波数減衰を調整するよう構成される。
実施例2としては、実施例1のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、オシロスコープのチャンネル・ノイズ源を更に具え、このとき、アナログ・フィルタは、アナログ信号中の高周波数波を増幅することによってスケールを調整し、このとき、アナログ・フィルタは、入力ポートとオシロスコープのチャンネル・ノイズ源との間に配置されて、オシロスコープのチャンネル・ノイズ源に関連する高周波数ノイズの増幅を防止する。
実施例3としては、実施例1〜2のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、A/Dコンバータに結合された逆フィルタを更に具え、この逆フィルタは、アナログ領域のアナログ・フィルタに対する逆周波数応答で、デジタル領域中のデジタル信号をフィルタ処理するよう構成される。
実施例4としては、実施例1〜3のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、アナログ領域におけるアナログ・フィルタを繰り返し調整して、デジタル領域のデジタル信号の信号対ノイズ比を最適化するよう構成されるコントローラを更に具えている。
実施例5としては、実施例1〜4のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、コントローラは、アナログ・フィルタに関連するSパラメータを受けて、アナログ・フィルタのSパラメータを利用してアナログ・フィルタの電気的影響をアナログ信号又はデジタル信号からディエンベッドするよう更に構成されている。
実施例6としては、実施例4〜5のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、コントローラは、SDLAのPI命令を利用することによって、アナログ・フィルタを繰り返し調整する。
実施例7としては、実施例1〜6のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、受けたユーザ入力に基づいて、選択された高周波数及び選択された低周波数に関する周波数範囲を選択するよう構成されたユーザ操作装置を更に具えている。
実施例8としては、実施例1〜8のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、アナログ領域におけるアナログ・フィルタを調整して、デジタル領域のデジタル信号の信号対ノイズ比を最適化するよう構成されるユーザ操作装置を更に具えている。
実施例9としては、オシロスコープにおいてアナログ・フィルタを制御する方法があって、この方法は、特定周波数の減衰によってネガティブに影響される被試験デバイス(DUT)リンクを介してアナログ信号を受ける処理と、アナログ信号をアナログ領域からデジタル信号へと変換するためにアナログ・デジタル(A/D)コンバータを利用する処理と、デジタル領域におけるデジタル信号を取り込む処理と、アナログ信号の選択された低周波数に比較してアナログ信号の選択された高周波数のスケールを繰り返し増加させるのにコントローラを利用し、DUTリンクで生じる特定周波数の減衰を調整することによってデジタル信号の信号対ノイズ比を増加させるのに、アナログ・フィルタによってアナログ領域におけるアナログ信号に提供されるスケールを利用する処理とを具えている。
実施例10としては、実施例9の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタによって提供されるスケールを、アナログ信号の最大振幅がA/Dコンバータの変換能力を超えてクリッピングを生じるまで繰り返し増加させ、そして、このとき、この方法は、更に、クリッピングが生じなくなるまでアナログ・フィルタによって提供されるスケールを低減する処理を更に具えている。
実施例11としては、実施例10の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタによって提供されるスケールを低減する処理は、アナログ信号の最大振幅とA/Dコンバータの変換能力との間に特定マージンを維持する処理を含んでいる。
実施例12としては、実施例9の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタによって提供されるスケールは、クリッピングを生じることなく、デジタル信号の最大の信号対ノイズ比が得られるまで繰り返し増加される。
実施例13としては、実施例9〜11の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタは、選択された高周波数を調整可能に増幅することによって、スケールを調整するよう構成されるアクティブ・アナログ・フィルタである。
実施例14としては、実施例9〜11の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタは、選択された低周波数を調整可能に減衰することによって、スケールを調整するよう構成されるパッシブ・アナログ・フィルタである。
実施例15としては、オシロスコープがあり、特定周波数の減衰によるネガティブな影響を受けるDUTリンクを介する共に外部アナログ・フィルタを介してアナログ信号を受けるよう構成される入力ポートと、上記アナログ信号をアナログ領域からデジタル領域におけるデジタル信号へ変換するよう構成されるA/Dコンバータと、デジタル領域におけるデジタル信号の測定値を求め、アナログ領域におけるDUTリンクで生じる特定周波数の減衰を調整するため、デジタル領域で測定されるデジタル信号の信号対ノイズ比に基づいて、上記アナログ信号の選択された高周波数を上記アナログ信号の選択された低周波数に比較してスケール調整するように外部アナログ・フィルタを制御するコントローラとを具えている。
実施例16としては、実施例15のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、外部アナログ・フィルタを制御する処理が、外部アナログ・フィルタに結合された外部コントローラとSDLAのPI命令を交信する処理を含む。
実施例17としては、実施例16のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、SDLAのPI命令は、信号のディエンベッド処理をサポートするSパラメータを含む。
実施例18としては、実施例15〜17のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、コントローラは、デジタル信号の最大振幅がA/Dコンバータの変換能力を超え、クリッピングを生じるまで、選択された低周波数に対する選択された高周波数のスケールを増加させるように繰り返し命令し、クリッピングが生じなくなるまでアナログ・フィルタによって提供されるスケールを低減するように外部アナログに命令するよう構成される。
実施例19としては、実施例18のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、コントローラは、デジタル信号の最大振幅とA/Dコンバータの変換能力との間に特定マージンが維持されるまで、スケールを低減するよう外部アナログに命令する。
実施例20としては、実施例15〜19のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、受けたユーザ入力に基づいて、選択された高周波数及び選択された低周波数に関する周波数範囲を選択するよう構成されたユーザ操作装置を更に具えている。
実施例21としては、外部アナログ・フィルタ装置があり、特定周波数の減衰によるネガティブな影響を受けるDUTリンクを介してアナログ信号を受けるよう構成される入力ポートと、オシロスコープへアナログ信号を出力するよう構成される出力ポートと、入力ポート及び出力ポート間に電気的に結合されるアナログ・フィルタとを具え、アナログ・フィルタは、アナログ信号の選択された低周波数に比較してアナログ信号の選択された高周波数のスケールを調整することによって、DUTリンクで生じる特定周波数の減衰を調整するように、アナログ領域で動作するよう構成される。
実施例22としては、実施例21の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、アナログ・フィルタに結合され、アナログ・フィルタのSNRを最適化するようにアナログ・フィルタをダイミナミックに調整するように構成されたコントローラを更に具えている。
実施例23としては、実施例22の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、コントローラは、オシロスコープ中のオシロスコープのコントローラと通信し、オシロスコープのコントローラからの命令に基づいてアナログ・フィルタをダイミナミックに調整するよう更に構成されている。
実施例24としては、実施例22〜23の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、アナログ・フィルタに関連するSパラメータを記憶するメモリを更に具え、このとき、コントローラは、Sパラメータをオシロスコープのコントローラへ伝達し、SDLA処理によるアナログ・フィルタのディエンベッド処理をサポートするよう更に構成される。
実施例25としては、実施例22〜24の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、オシロスコープのコントローラからの命令は、SDLAのPIを通じて受ける。
実施例26としては、実施例22〜25の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、アナログ・フィルタは、オシロスコープのコントローラからの命令に基づいて、オシロスコープ中のA/Dコンバータの変換能力を超えて繰り返しを生じるまでアナログ・フィルタによって提供されるスケールを繰り返し増加させ、そして、オシロスコープのコントローラからの命令に基づいて、クリッピングが生じなくなるまで、アナログ・フィルタによって提供されるスケールを低減することによって、ダイミナミックに調整される。
実施例27としては、実施例26の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、アナログ・フィルタによって提供されるスケールを低減する処理は、アナログ信号の最大振幅とA/Dコンバータの変換能力との間に特定マージンを維持する処理を含んでいる。
実施例28としては、実施例22〜25の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、アナログ・フィルタによって提供されるスケールは、オシロスコープのコントローラからの命令に基づいて、オシロスコープ中のA/Dコンバータでクリッピングを生じることなく、デジタル信号の最大の信号対ノイズ比が得られるまで、繰り返し増加される。
実施例29としては、実施例22〜28の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置、実施例があり、このとき、コントローラは、アナログ・フィルタの設定をオシロスコープのコントローラへ伝達し、オシロスコープにおけるアナログ・フィルタに対応する逆フィルタの算出をサポートするよう更に構成される。
実施例30としては、実施例22〜29の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、コントローラは、オシロスコープのコントローラを介して受けるユーザ命令に基づいて、アナログ・フィルタを調整するよう更に構成される。
実施例31としては、実施例21〜30の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、コントローラは、オシロスコープのコントローラを介して受けるユーザ命令に基づいて、選択された高周波数に関する周波数範囲及び選択された低周波数に関する周波数範囲を選択するよう更に構成される。
実施例32としては、実施例21〜31の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、アナログ・フィルタは、プログラマブル・パッシブ・アナログ・フィルタである。
実施例33としては、実施例21〜31の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、このとき、アナログ・フィルタは、プログラマブル・アクティブ・アナログ・フィルタである。
実施例34としては、実施例21〜31の外部アナログ・フィルタ装置又は本願に記載された任意の他の例示的な外部アナログ・フィルタ装置があり、
このとき、アナログ・フィルタは、プログラマブル・パッシブ・アナログ・フィルタと直列に結合されたプログラマブル・アクティブ・アナログ・フィルタである。
実施例35としては、外部アナログ・フィルタ装置においてアナログ・フィルタを制御する方法があって、この方法は、特定周波数の減衰によってネガティブに影響されるDUTリンクを介して入力ポートにおいてアナログ信号を受ける処理と、出力ポートにおいてオシロスコープへアナログ信号を送信する処理と、オシロスコープ中のオシロスコープのコントローラから命令を受ける処理と、命令に基づいて、アナログ信号の選択された低周波数に比較してアナログ信号の選択された高周波数のスケールを繰り返し増加させるようアナログ・フィルタを調整する処理とを具え、アナログ・フィルタによってアナログ信号に提供されるスケールは、DUTリンクで生じる特定周波数の減衰を調整することによって、オシロスコープへ送信されるアナログ信号の信号対ノイズ比を増加させる。
実施例36としては、実施例35の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタによって提供されるスケールは、オシロスコープからの命令に基づいて、アナログ信号の最大振幅がオシロスコープ中のA/Dコンバータの変換能力を超えてクリッピングを生じるまで繰り返し増加され、このとき、この方法は、更に、オシロスコープにおいて、クリッピングが生じなくなるまで、アナログ・フィルタによって提供されるスケールを低減する処理を更に具えている。
実施例37としては、実施例36の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、オシロスコープからの命令は、オシロスコープ中のオシロスコープのメモリから読み出されたアナログの測定された応答に基づいている。
実施例38としては、実施例36〜37の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタによって提供されるスケールを低減する処理が、アナログ信号の最大振幅とオシロスコープ中のA/Dコンバータの変換能力との間に特定マージンを維持する処理を含んでいる。
実施例39としては、実施例35の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタによって提供されるスケールは、オシロスコープにおいてクリッピングを生じることなく、アナログ信号の最大の信号対ノイズ比が得られるまで繰り返し増加される。
実施例40としては、実施例35〜39の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタは、選択された高周波数を調整可能に増幅することによって、スケールを調整するよう構成されるアクティブ・アナログ・フィルタである。
実施例41としては、実施例35〜39の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、このとき、アナログ・フィルタは、選択された低周波数を調整可能に減衰することによって、スケールを調整するよう構成されるパッシブ・アナログ・フィルタである。
実施例42としては、実施例35〜41の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法、実施例があり、このとき、オシロスコープからの命令を受ける処理は、選択された高周波数に関する選択周波数範囲及び選択された低周波数に関する周波数範囲を受ける処理を含む。
実施例43としては、実施例35〜42の方法又は本願に記載された任意の他の例示的な方法があり、SDLA処理によるアナログ・フィルタのディエンベッド処理をサポートするために、オシロスコープのコントローラへSパラメータを伝達する処理を更に具えている。
実施例44としては、オシロスコープがあり、DUTリンクを介して特定周波数減衰によるネガティブな影響を受けたアナログ信号を受けるよう構成される入力ポートと、上記アナログ信号をアナログ領域からデジタル領域におけるデジタル信号へ変換するよう構成されるA/Dコンバータと、DUTリンクにおいてアナログ信号に生じる特定周波数の減衰に関して調整するように、デジタル信号の選択された低周波数に比較して、デジタル信号の選択された高周波数のスケールを調整することによって、デジタル領域で動作するよう構成されるアナログ・フィルタとを具えている。
実施例45としては、実施例44のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、アナログ・フィルタは、DSPで実現されるプログラマブル・フィルタである。
実施例46としては、実施例44〜45のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、A/Dコンバータからの出力信号としてデジタル信号のSNRを最適化するようアナログ・フィルタを繰り返し調整するよう構成されるコントローラを更に具えている。
実施例47としては、実施例46のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、コントローラは、メモリから読み出されたアナログの測定された応答に基づいて、アナログ・フィルタを繰り返し調整する。
実施例48としては、実施例44〜47のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、受けたユーザ入力に基づいて、選択された高周波数及び選択された低周波数に関する周波数範囲を選択するよう構成されたユーザ操作装置を更に具えている。
実施例49としては、実施例44〜48のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、アナログ・フィルタは、選択された高周波数を調整可能に増幅することによって、スケールを調整する構成されるアクティブ・アナログ・フィルタである。
実施例50としては、実施例44〜48のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、このとき、アナログ・フィルタは、選択された低周波数を調整可能に減衰することによって、スケールを調整するよう構成されるパッシブ・アナログ・フィルタである。
実施例51としては、実施例44〜50のオシロスコープ又は本願に記載された任意の他の例示的なオシロスコープがあり、受けたユーザ入力に基づいて、選択された高周波数及び選択された低周波数に関する周波数範囲を選択するよう構成されたユーザ操作装置を更に具えている。
実施例52としては、試験測定システムのためのノイズ低減装置があり、第1周波数伝達関数に従って電気信号の第2周波数に比較して電気信号の第1周波数を調整して変更信号を生成するよう構成される周波数特定アナログ・フィルタと、アナログ・フィルタの出力と結合され、変更信号に基づいてデジタル信号を生成するよう構成されるアナログ・デジタル・コンバータと、アナログ・デジタル・コンバータと結合され、デジタル信号を受け、第1周波数伝達関数の実質的に逆である第2周波数伝達関数に基づいてデジタル信号からフィルタ処理信号を生成し、試験測定システムによる追加処理のためにフィルタ処理信号を出力するよう構成されるデジタル・フィルタとを具えている。
実施例53としては、実施例52のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、このとき、周波数特定アナログ・フィルタは、電気信号の第2周波数に比較して電気信号の第1周波数をブーストして変更信号を生成するよう構成されるアクティブ・フィルタである。
実施例54としては、実施例52のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、このとき、周波数特定アナログ・フィルタは、電気信号の第1周波数に比較して電気信号の第2周波数を減衰するよう構成されるパッシブ・フィルタであり、このとき、ノイズ低減装置は、第1周波数と減衰された第2周波数の両方をブーストして変更信号を生成するよう構成される増幅器を更に具えている。
実施例55としては、実施例52〜54のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、このとき、周波数特定アナログ・フィルタは、連続時間線形等化器(CTLE)である。
実施例56としては、実施例52〜55のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、変更信号のSNRを増加させるように第1周波数伝達関数のスケールを選択するよう構成されるプロセッサを更に具えている。
実施例57としては、実施例52〜56のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、このとき、試験測定システムは、オシロスコープである。
実施例58としては、実施例52〜57のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、このとき、デジタル・フィルタは、周波数特定アナログ・フィルタに関連する寄生効果をフィルタ処理信号からディエンベッドするよう更に構成される。
実施例59としては、実施例52〜58のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、周波数特定アナログ・フィルタに関連する寄生効果を記述するスキャタリング(S)パラメータを受けて、SDLA処理の一部分としてSパラメータを利用して、周波数特定アナログ・フィルタに関連する寄生効果をデジタル・フィルタにディエンベッドさせるよう構成されるプロセッサを更に具えている。
実施例60としては、実施例52〜59のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、アナログ・デジタル・コンバータの変換能力を超えてクリッピングを生じるまで、第2周波数と比較した第1周波数のスケールを繰り返し増加させることによって第1周波数伝達関数を調整し、次いで、クリッピングが生じなくなるまで第2周波数と比較した第1周波数のスケールを低減するように第1周波数伝達関数を調整するよう構成されるプロセッサを更に具えている。
実施例61としては、実施例52〜60のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置があり、このとき、プロセッサは、変更信号の最大振幅とアナログ・デジタル・コンバータの変換能力との間に特定マージンを維持するよう更に構成される。
実施例62としては、実施例52〜61のノイズ低減装置又は本願に記載された任意の他の例示的な装置を実現する方法がある。
本発明の実施例は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ、又はプログラムされた指示に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願で使用されている「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC、及び専用ハードウェア・コントローラを含むことを意図している。本発明の1つ以上の態様は、1つ以上のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)又は他のデバイスによって実行される1つ以上のプログラム・モジュールのような、コンピュータ使用可能データ及びコンピュータ実行可能な指示で具体化されてもよい。一般に、プログラム・モジュールには、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれ、これらは、コンピュータ又は他のデバイス中のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ形式を実現したりする。コンピュータ実行可能な指示は、ハードディスク、光ディスク、取り外し可能な記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのような非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において、所望に応じて組み合わせたり又は分散させても良い。更に、これら機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア等価物に、全体又は一部分を組み込むことができる。本発明の1つ以上の態様をより効果的に実現するために、特定のデータ構造を使用しても良く、このようなデータ構造は、本願に記載のコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
開示された主題の上述の実施例は、記載したか又は当業者には明らかであろう多くの利点を有する。そうであるとしても、開示された装置、システム又は方法の全てのバージョンにおいて、これらの利点又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
加えて、この書かれた説明では、特定の特徴に言及している。この明細書における本発明は、これらの特定の特徴の有り得る全ての組み合わせを含むと理解されるべきである。特定の特徴が、特定の態様又は実施例の状況において開示される場合、その特徴は、可能な限り、他の態様及び実施例の状況においても使用され得る。
また、本願において、定義された2つ以上のステップ又は工程を有する方法に言及する場合、定義されたステップ又は工程は、状況がそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行できる。
説明の都合上、本発明の特定の実施例を図示及び説明してきたが、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変更が行え得ることが理解されるよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
本発明の態様は、様々な変更及び代替形態で動作する。特定の態様は、図面において例として示されており、本願において、先に詳細に説明されている。しかしながら、本願で開示された実施例は、説明を明瞭にする目的で提示されており、明示的に限定されない限り、本願で記述された具体的な実施例で開示される全般的な概念の範囲を限定することを意図するものではない。このように、本発明は、添付の図面及び特許請求の範囲に照らして、記載された態様のすべての変更、等価物及び代替物をカバーすることを意図している。
明細書中の実施形態、態様、実施例などへの言及は、記載された項目が特定の特徴、構造、又は特性を含むことを示している。しかしながら、開示される各態様は、その特定の特徴、構造、又は特性を含んでも良いし、必ずしも含んでいなくても良い。更に、このような語句は、特に明記しない限り、必ずしも同じ態様を指すものではない。特定の態様に関連して特定の特徴、構造又は特性が記載されている場合、そのような特徴、構造又は特性は、そのような特徴が明示的に他の開示される態様と関連して記述されていても又はいなくても、他の開示された態様と関連して利用されて良い。
開示された態様は、いくつかの場合では、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ以上の機械可読媒体(例えば、コンピュータ可読媒体)によって搬送されるか又は記憶される命令として実現されてもよい。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ばれる。機械可読媒体は、任意の利用可能な媒体とすることができ、揮発性及び不揮発性媒体、取外し可能及び取外し不可能媒体の両方を含む。限定するものではないが、一例として、機械可読媒体としては、機械可読記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。機械可読記憶媒体は、機械可読命令、データ構造、プログラム・モジュール又は他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術で実現される揮発性及び不揮発性の取り外し可能及び取外し不可能媒体を含む。機械可読記憶媒体には、限定するものではないが、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は、所望の情報を記憶するために使用でき、コンピューティング・デバイスによってアクセス可能な任意の他の媒体がある。機械可読記憶媒体は、信号そのものと、信号伝送の一時的な形態は除外する。
本発明の実施形態は、試験測定装置を含むことができる。試験測定装置としては、他の適切な測定装置もあるが、特に、波形モニタ、ベクトル・スコープ、ロジック・アナライザ、オシロスコープなどがあり得る。本発明は、オシロスコープに特に重点を置いているが、これは単に参照を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、これに限定されるものではなく、様々な試験測定装置や他の装置の中で具体化できると理解されたい。