JP2018009830A - 蛍光浸透探傷試験用水溶性現像剤及び蛍光浸透探傷試験方法 - Google Patents

蛍光浸透探傷試験用水溶性現像剤及び蛍光浸透探傷試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光浸透探傷試験において、現出する欠陥指示模様の輝度が高くて視認性も良いため開口欠陥部を正確に検出でき、また、消泡性及びヌレ性が良いため均一な厚みの現像剤層を形成でき、しかも、現像剤の塗布時に改めて攪拌しなくても現像材粒子が均一に分布した現像剤層を形成でき、現像作業終了後には現像剤層を水で洗い流せるため作業効率に優れる水溶性現像剤を提供する。【解決手段】安息香酸ナトリウム85〜98重量%とHLBが12.5〜15のポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル1〜10重量%とを含有する水溶性組成物を60〜200g/L水に含有させた蛍光浸透探傷試験用水溶性現像剤。【選択図】図1

Description

本発明は、各種金属部材表面に存在する微細な開口欠陥部を検出する蛍光浸透探傷試験に使用する現像剤に関する。詳しくは、該現像剤は、現出する欠陥指示模様の輝度が高く視認性が良いから開口欠陥部の検出精度に優れ、また、消泡性やヌレ性が良いから均一な厚みの現像剤層を形成でき、しかも、水溶性現像剤であるため、現像剤塗布時の攪拌作業が不要で、現像作業終了後には水のみで現像剤層を除去することができる水溶性現像剤に関する。
周知の通り、浸透探傷試験は、非破壊検査方法の一種でありJIS Z 2343-1〜6に規格化されている。その基本的態様は、染料を溶解させた浸透性の強い染色浸透液や蛍光浸透液(以下「浸透液」と言う)を被検査物表面に付着させて開口欠陥部に浸透させた後、当該欠陥部内に浸透せずに被検査物表面に残留している余剰浸透液を除去し、次いで、当該被検査物表面に炭酸マグネシウム粉末や炭酸カルシウム粉末などの無機質白色粉末や各種粉末(当業者間では「現像剤」と呼ばれている)の薄層(以下「現像剤層」と言う)を形成し、該現像剤層によって開口欠陥部内に浸透している浸透液を現像剤層表面に吸い出させることによって欠陥指示模様を現出させ、染色浸透液の場合は自然光又は白色光の下で、目視によって観察し、又は、デジタルカメラ等で撮影した画像を観察し、また、蛍光浸透液の場合はブラックライト等の照射下で目視によって観察し、又は、デジタルカメラ等で撮影した画像を観察して現出した欠陥指示模様によって開口欠陥部の存在・位置を検出するというものである。
浸透探傷試験における現像は、現像剤層に含まれる粒子(以下「現像材粒子」と言う)間に空間(隙間)が存在することにより生じる毛細管現象によって、開口欠陥部に残留した浸透液を現像剤層表面に吸い出そうとするものであるから、現像材粒子間の隙間が偏って存在したり、隙間が全く存在しない部分があれば、染色浸透液が偏って吸い出されたり、全く吸い出されなかったりするため、正確に開口欠陥部の位置や大きさを検出することができない。
したがって、正確に開口項欠陥部を検出するには、現像材粒子が均一に分布して空間が均一に形成されていることが必要である。
無機質白色粉末が現像材粒子である現像剤によって現像材粒子が均一に分布した現像剤層を形成するためには、無機質白色粉末同士の凝固を防ぐために有機溶剤、樹脂、界面活性剤等の分散媒を含有させ、また、使用する直前に攪拌して、素早く塗布することが必要である。
また、無機質白色粉末は水に溶解しないため、現像作業の終了後には、現像剤層をふき取ることによって除去する必要がある。
現像材粒子が均一に分布し、かつ、現像作業終了後にはふき取らずに水で除去できる現像剤層を形成する現像剤として、水溶性の現像材粒子を用いた水溶性現像剤が開発されているが、従来の水溶性現像剤は、蛍光浸透探傷試験において現出する欠陥指示模様の輝度が低くて視認性が悪いため正確に開口欠陥部を検出するのが困難であるという問題がある。
現像材粒子の濃度を上げれば輝度を上げることはできるのだが、塗布時に泡立ったり、ヌレ性が悪かったりするため作業効率が悪くなり、また、均一な厚みの現像剤層にならないため正確に開口欠陥部を検出するのが困難であるという問題がある。
そこで、輝度の高い欠陥指示模様が現出して視認性に優れ、かつ、消泡性やヌレ性が良くて均一な厚みの現像剤層を形成でき、しかも、水溶性であって塗布時の攪拌作業や現像作業終了後にはふき取りによって除去しなくても良いという、開口欠陥部の高い検出精度と高い作業効率とを併せ持つ蛍光浸透探傷試験に使用する水溶性現像剤の開発が望まれている。
米国特許第3561262公報 米国特許第3642655公報
特許文献1には、安息香酸ナトリウムと水溶性界面活性剤と、水溶性ワックスと腐食阻害剤とシリコン液が水に溶解した水溶性現像剤が記載されている。
しかしながら、蛍光浸透探傷試験に該水溶性現像剤を用いると、現出する欠陥指示模様の輝度が低くて視認性が悪く、また、輝度を上げて視認性を良くするべく現像材粒子の濃度を上げれば消泡性が悪くなって塗布時に泡が発生したり、また、シリコン液を含有するからヌレ性が悪かったりして均一な厚みの現像剤層を形成できないから、正確に開口欠陥部を検出するのが困難であるという問題がある。
特許文献2には、安息香酸ナトリウムと水と混和する有機溶媒と水とからなる現像剤が記載されている。
しかしながら、該現像剤を蛍光浸透探傷試験に用いると現出する指示模様の輝度が低く、正確に開口欠陥部を検出することが困難であるという問題がある。
本発明者らは、前記諸問題点を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、安息香酸ナトリウム85〜98重量%とHLBが12.5〜15のポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル1〜10重量%とを含有する水溶性組成物を60〜200g/L水に含有させた蛍光透探傷試験用水溶性現像剤であれば、現出する欠陥指示模様の輝度が高く視認性が良いから正確に開口欠陥部を検出でき、また、消泡性やヌレ性が良いから、均一な厚みの現像剤層を形成でき、さらには、現像材粒子が水に溶けているから塗布時に改めて攪拌しなくても現像材粒子が均一に分布した現像剤層を形成でき、現像作業が終了した後には水で洗い流せるため作業効率に優れる水溶性現像剤になるという刮目すべき知見を得て、前記技術的課題を達成したものである。
前記技術的課題は、次のとおり本発明によって解決できる。
本発明は、安息香酸ナトリウム85〜98重量%とHLBが12.5〜15のポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル1〜10重量%とを含有する水溶性組成物を60〜200g/L水に含有させた蛍光浸透探傷試験用水溶性現像剤である。
また、本発明は、前記水溶性組成物が、さらにポリエチレングリコール及び/又はペンタエリスリトールを1〜10重量%含有する請求項1記載の蛍光浸透探傷試験用水溶性現像剤である。
また、本発明は、請求項1又は2記載の水溶性現像剤を用いて現像することを特徴とする蛍光浸透探傷試験方法である。
本発明における水溶性現像剤は、蛍光浸透探傷試験に使用すると、現出する欠陥指示模様の輝度が高く、視認性に優れるため、開口欠陥部を正確に検出することができる。
また、消泡性が良く、例え塗布時に泡が生じたとしてもすぐに消え、また、ヌレ性も良いため均一な厚みの現像剤層を形成できるから開口欠陥部を正確に検出することができ、作業効率にも優れる。
また、本発明は、現像材粒子が水に溶解しているので、塗布時に改めて攪拌しなくても、現像材粒子が均一に分布した現像剤層を形成でき、現像作業が終了した後には、水で洗い流すことができるので作業効率に優れる。
なお、本発明におけるヌレ性が良いとは被検査物表面に現像剤を塗布した際に、現像剤がはじかれて表面を覆っていない部分(以下「ハジキ」と言う)が少ないことを言う。ハジキが多いと良好な指示模様を得ることができない。
実施例3の欠陥指示模様の写真である。 比較例6及び7の欠陥指示模様の写真である。 比較例8〜10の欠陥指示模様の写真である 比較例15及び21の欠陥指示模様の写真である。
本発明における現像剤が含有する水溶性組成物における安息香酸ナトリウムの含有量は85〜98重量%が好ましい。85重量%より低ければ、欠陥指示模様の輝度が低くて視認性も悪く、また、98重量%より多ければ均一な厚みの現像剤層が形成できないためである。
また、水溶性組成物が含有するポリオキシアルキレン分岐デシルエーテルのHLBは12.5〜15が好ましく、より好ましくはHLB12.5〜13.3である。
HLBが12.5より低いと欠陥指示模様の輝度が低くて視認性も悪く、HLBが15よりも大きければ、輝度が低くて視認性も悪くなると共に消泡性も悪くなるためである。
ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテルの含有量は1〜10重量%が好ましい。1重量%より少なければ欠陥指示模様の輝度が低くて視認性も悪くなり、また、10重量%より多ければ、輝度が低くて視認性も悪くなると共に消泡性も悪くなるためである。
本発明に使用できるポリオキシアルキレン分岐デシルエーテルとしては、例えば、ノイゲン(登録商標)LF−60X(HLB13.3)、ノイゲンXL−60(HLB12.5)、ノイゲンXL−100(HLB14.7)(第一工業製薬株式会社製)を挙げることができる。
水溶性組成物には、現像剤層の塗膜を安定化させるため、さらにポリエチレングリコール及び/又はペンタエリスリトールを含有させることができる。
ポリエチレングリコール及び/又はペンタエリスリトールの含有量は1〜10重量%が好ましい。1重量%より少なければ塗膜の安定化の向上が望めず、また、10重量%を超えて含有させれば初期の指示模様の形成が遅くなるため、短時間の現像時間では開口欠陥部を見落とす虞があり、また、欠陥指示模様が細くなって視認性が低下するためである。
本発明に使用するポリエチレングリコールの平均分子量は3400〜20000が好ましく、更に好ましくは8300〜20000である。
本発明における水溶性現像剤は前記水溶性組成物を水に溶解してなる。
現像剤における水溶性組成物の含有量は60〜200g/Lである。
水溶性組成物の含有量が60g/Lより低ければ、欠陥指示模様の輝度が低くて視認性も悪くなり、また、200g/Lを超えて含有させると、欠陥指示模様が一部形成されない虞があるためである。
本発明における現像剤を使用した浸透探傷試験方法の一形態を示す。
蛍光浸透液を被検査物表面に塗布して付着させて開口欠陥部に浸透させる(浸透処理)。
次いで、当該被検査物表面を水道水又はエコチェック(登録商標)ER−ST(マークテック株式会社製)等の洗浄剤を使用し、ウエスによって開口欠陥部内に浸透せずに被検査物表面に残っている余剰浸透液を洗浄・除去する(洗浄処理)。
被検査物の表面に本発明に係る水溶性現像剤を塗布し、乾燥させ、欠陥部に残留している蛍光浸透液が現像剤層に吸い出されることにより現出した欠陥指示模様をブラックライトの照射下で目視によって観察し、または、ブラックライトの照射下でデジタルカメラ等で撮影した画像を観察することにより被検査物の開口欠陥部の数、大きさ、形などを検出する。
本発明を実施例及び比較例を挙げてより詳しく説明する。
表1〜5の「組成(重量%)」に記載の物質及び割合で混合し、攪拌して各水溶性組成物を製造し、その後、「濃度g/L」に記載される割合で水と混合し、攪拌して実施例及び比較例の各現像剤を製造した。
比較例21はMagnaflux社製水溶性現像剤ZP−14Aを使用した。
各水溶性組成物に使用した物質は下記の通りである。
安息香酸ナトリウム(株式会社伏見製薬所製)、セスキ炭酸ナトリウム(美浜株式会社製)、パラ‐ターシャリ‐ブチル安息香酸ナトリウム(PTBBA-Na)(扶桑化学工業株式会社)、グルコン酸ナトリウム(Jungbunzlauer社製)クエン酸三ナトリウム(磐田化学工業株式会社製)。
ノイゲンLF-60X(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル/HLB13.3)、ノイゲンLP-70(ポリオキシアルキレンラウリルエーテル/HLB12)、ノイゲンXL-41(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル/(HLB10.5)、ノイゲンXL-60(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル/HLB12.5)ノイゲンXL-140(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル/HLB15.9)(第一工業製薬株式会社製)。
PEG-6000S(平均分子量8300)、PEG-4000S(平均分子量3400)、PEG−20000(平均分子量20000)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(ノニポール95)(三洋化成工業株式会社製)。
ペンタエリスリトール(広栄化学工業株式会社製)、ヒドロキシエチルセルロース(HPC)(日本曹達株式会社製)、尿素(三井化学株式会社製)、EDTA(キレスト(登録商標)400)(キレスト株式会社製)、L-77シリコン(Silwet L-77)Momentive社製、Triton X-114(DOW社製)
実施例及び比較例の現像剤の評価は次の通りである。
(視認性)
JIS Z 2343-3に規定されたタイプ3対比試験片を使用した。
刷毛塗法により、試験片にSUPERGLO(登録商標)蛍光浸透液OD‐2800II(マークテック株式会社製)を塗布し、また、比較例21の試験片にのみ、Magnaflux社製ZL−60D を塗布して4分間放置して浸透させた。
ブラックライトの下で状態を確認しながら洗浄を行った。
実施例、比較例の各現像剤中に洗浄処理した試験片を2秒間浸漬した後、取り出して1分間静置した。
その後、熱風式循環乾燥機に入れ、60℃で2分間乾燥させた。
ブラックライトの下で開口欠陥部を示す指示模様を比較し、全ての指示模様を明瞭に形成しているものを○、一部の指示模様を形成できていないものを△、指示模様が全く形成されていないものを×として評価した。
(輝度)
視認性試験を行った各サンプルをデジタルカメラ(Canon EOS Kiss X4)で撮影し、フリーの画像処理ソフトImage Jを用いて画像を二値化した。
各サンプルの画像の同一の場所に同一の長さの赤線と黄色線の二本を引き、赤線部及び黄色線部の各欠陥指示模様のGray Value(0〜256階調)を測定した。
各表の「輝度(赤)」、「輝度(黄)」及び「輝度(平均)」は各サンプルの赤線部の測定値、黄色線部の測定値及び赤線部と黄色線部の輝度の平均値をそれぞれ表している。
(ヌレ性)
水平なアクリル板上に各現像剤を滴下し、30秒後の接触角を測定した。
本測定方法による接触角が15.0〜40.0°であれば、現像剤が被検査対象物表面に均一な厚みに広がるため作業効率に優れる。
(消泡性)
50mlのメスシリンダーに各現像剤20mlを入れ、20回上下に振り、攪拌直後の体積と5分後の体積を測定した。
攪拌直後の体積(ml)を「直後消泡性」、5分後の体積(ml)を「5分後消泡性」として各表に示す。
表1〜5のとおり、本発明に係る水溶性現像剤であれば、欠陥指示模様の輝度が高くて視認性に優れるから正確に開口欠陥部を検出できることが証明された。
さらに、消泡性やヌレ性が良く、現像材粒子が均一に分布し、均一な厚みの現像剤層が形成できることが証明された。
本発明に係る水溶性現像剤は、蛍光浸透探傷試験において現出する欠陥指示模様の輝度が高くて視認性も良いから開口欠陥部を正確に検出することができる。また、消泡性やヌレ性に優れるため均一な厚みの現像剤層を形成でき、しかも、現像剤塗布時の攪拌作業が不要で、また、現像終了後には現像剤層を水で洗い流せるため作業効率に優れる。
よって、本発明の産業上の利用可能性は高いと言える。

Claims (3)

  1. 安息香酸ナトリウム85〜98重量%とHLBが12.5〜15のポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル1〜10重量%とを含有する水溶性組成物を60〜200g/L水に含有させた蛍光浸透探傷試験用水溶性現像剤。
  2. 前記水溶性組成物が、さらにポリエチレングリコール及び/又はペンタエリスリトールを1〜10重量%含有する請求項1記載の蛍光浸透探傷試験用水溶性現像剤。
  3. 請求項1又は2記載の水溶性現像剤を用いて現像することを特徴とする蛍光浸透探傷試験方法。
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