以下、図面を参照して、1つの駆動軸の回転で昇降コードによるスラットの昇降操作とラダーコードによるスラットのチルト操作を可能とする横型ブラインドを例に説明する。尚、本願明細書中、図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をスラットの吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義する。また、図1の正面図を視認する側を前側(室内側)、及び、その反対側を後側(又は室外側)とし、横型ブラインドの前後方向と称するときは、図1の正面図における図示面に対して垂直な方向を云う。
(横型ブラインドの構成)
図1は、本発明による一実施形態の横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。図1に示す横型ブラインドでは、ヘッドボックス1内に、本発明に係る遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに並設させて構成したコード支持装置5を設け、ヘッドボックス1内の右端部側にラダーコード支持部材6を配設している。図示する例では、コード支持装置5及びラダーコード支持部材6をそれぞれ1つのみ図示しているが、それぞれ2以上のコード支持装置5及びラダーコード支持部材6をヘッドボックス1内に設けることができる。
コード支持ユニット5b及びラダーコード支持部材6は、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対の紐状のラダーコード9を介して多数段のスラット4を吊下支持しており、それぞれのラダーコード9の下端にボトムレール8が吊下支持されている。ヘッドボックス1は、ブラケット7を介して天井側の取付面に固定される。
また、コード支持ユニット5bから、ヘッドボックス1の下面における前後方向略中央部にて、紐状の昇降コード10が垂下され、昇降コード10の下端が各スラット4の前後方向略中央部に設けられた挿通孔(図示せず)を経てボトムレール8に取着されている。
このため、コード支持ユニット5bは、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9を掛装するV字溝を有するチルトドラム51と、昇降コード10を巻き取り、又は巻き戻し可能とする傾斜を持たせた長筒状の巻取軸52とを、四角棒状の駆動軸11上で並設して支持ケース50に支持するよう構成されている。
尚、本例では、巻取軸52の先端側に障害物検知停止装置53が設けられている。障害物検知停止装置53は昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき、当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための装置であり、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止させるとともに、昇降コード10の逆巻き取りを予防する機能を有する。
特に、詳細は後述するが、実施例1の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5では、チルトドラム51が駆動軸11に対し相対回転不能に連結されるのに対し、巻取軸52を駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持させたコード支持ユニット5bを構成しており、巻取軸52がチルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するよう作動させる遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに対し駆動軸11上にて並設させている。
尚、ラダーコード支持部材6は、単に、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9を掛装するV字溝を有するチルトドラム51aを支持する装置である。
ヘッドボックス1内の右端側には、操作ユニット2が設けられている。操作ユニット2は、図示する手動式であれば、無端紐状の操作コード3(或いは無端状のボールチェーンでもよい)を掛装可能なプーリー(図示せず)を有し、ヘッドボックス1から外方へ操作コード3が導出されて駆動軸11を回転操作可能となっている。
或いは、操作ユニット2を電動式とする場合には、外部からの操作信号に基づいて駆動軸11を回転操作可能とする電動モーターとすることができる。従って、操作ユニット2の形態は、操作者による操作に応じて駆動軸11の回転へと伝達可能な形態であれば任意の形態とすることができる。
従って、図1に示す横型ブラインドは、操作コード3を操作して駆動軸11を回転させ、この駆動軸11の回転に伴ってコード支持装置5におけるチルトドラム51と、ラダーコード支持部材6におけるチルトドラム51aとを回転させることにより、スラット4の角度を調節するチルト操作が可能となっている。そして、このチルト操作に要する回転以上に駆動軸11を回転させると、遅延ユニット5aの作用により、コード支持装置5における巻取軸52が当該チルト操作時のチルトドラム51の回転から所定の遅延量で連動回転し、スラット4を上昇又は下降させる昇降操作が可能となっている。
以下、より具体的に、各実施例の遅延ユニット5aとコード支持装置5の構造・動作について詳細に説明する。
(実施例1)
図2(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5の概略構成を示す斜視図及び断面図である。図3は、本発明による実施例1の遅延ユニット5aの概略構成を示す分解斜視図である。また、図4は、本発明による実施例1の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5の組み付け方法を説明する斜視図である。
図2(a)に示すコード支持装置5は、遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに並設させることで構成されている。そして、コード支持ユニット5bは、支持ケース50により、駆動軸11を回転軸としてチルトドラム51と巻取軸52を回転可能に支持している。チルトドラム51から垂下されることになるラダーコード9(図1参照)と、巻取軸52から垂下されることになる昇降コード10(図1参照)は、支持ケース50の底面に設けられた導出口50aから導出される。
図2(b)に示すように、チルトドラム51は、駆動軸11に対し相対回転不能に連結して支持ケース50に支持される。一方、巻取軸52は、駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持される。また、巻取軸52の先端側に、昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための障害物検知停止装置53が設けられているが、この障害物検知停止装置53も駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持される。障害物検知停止装置53のケース本体は巻取軸52の先端側に固定されるが、障害物検知停止装置53のケース本体に収容される筒状のカム軸531は、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止させるよう必要な遊び(即ち、巻取軸52の回転を阻止する回転量)を有して、巻取軸52の回転と一体となって回転可能となっている。
コード支持ユニット5bの支持ケース50に並設される遅延ユニット5aは、図3に示すように、出力軸部材56と、ブレーキスプリング57と、スプリングケース58と、回転中継プレート59と、入力軸部材60と、ケース部材55a,55bから構成される。
出力軸部材56は、外側六角形の筒状の軸部561と、この軸部561の基端側(駆動伝達入力側)に、筒状の軸部568が形成されたフランジ567を経て突出する略円筒状の円筒軸562とを有し、この円筒軸562の一部の外周にその軸中心から所定角度(後述する角度α1)の範囲で駆動伝達入力側へ突起する突起部564が設けられている。この出力軸部材56の軸部568及びフランジ567は、それぞれケース部材55a,55bの一方の側面(駆動伝達出力側)における円状開口部559c及び開口側面559aにて相対回転可能に支持される。本例では、円筒軸562と突起部564とが連なる形状で突出するように形成しているが、円筒軸562と突起部564とを個別に突出するようにしてもよい。円筒軸562の外周における突起部564を除く凹み領域が、後述する回転中継プレート59の突起片592の可動域となる係合受部563として形成される。尚、軸部561と円筒軸562には、駆動軸11を非係合で挿通可能な軸孔565が形成されている。そして、外側六角形の筒状の軸部561は、障害物検知停止装置53の六角状の軸孔531aを有する筒状のカム軸531と一体回転可能に係合可能となっており(図4参照)、出力軸部材56の回転は障害物検知停止装置53のカム軸531と同期して回転するよう伝達可能となっている(図2(b)参照)。
ブレーキスプリング57とスプリングケース58は、入力軸部材60からの回転伝達による回転以外の出力軸部材56の回転を抑制する制動部材として機能する。より具体的には、障害物検知停止装置53のカム軸531から伝達する出力軸部材56の回転に対し、所定のブレーキ力を作動させる。即ち、このブレーキスプリング57とスプリングケース58よりなる制動部材が、スラット4及びボトムレール8の自重降下を防止するよう駆動軸11の回転をロックするストッパー装置として機能する。
スラット4の昇降位置を安定的に維持するためには、昇降操作時を除いて巻取軸52を遊動させない状態とするために、コイル状のブレーキスプリング57の一対の端部571は、出力軸部材56の突起部564の両側辺にそれぞれ係合するよう嵌着される。また、スプリングケース58は、コイル状のブレーキスプリング57を縮径した状態で収容し、これにより常にブレーキスプリング57はスプリングケース58の内周面を押圧することで、スプリングケース58に対し相対回転可能とするが所定のブレーキ力を作動させる。一方、スプリングケース58は、その一部に設けられた一対の凹部582がケース部材55a,55bの各々に設けられた凸部557により回転不能に係止されてケース部材55a,55bの各々の収容部556に嵌着されるため、スプリングケース58は回転不能に固定される。
回転中継プレート59は、スプリングケース58に縮径して収容されたブレーキスプリング57の径とほぼ同一の外形を有する概ね円筒状部材で構成され、出力軸部材56の軸孔565と略同径の軸孔591が形成されている。従って、軸孔591は、駆動軸11を非係合で挿通可能となっている。回転中継プレート59は概ね円筒状部材で構成されるが、より詳細に言及すると、回転中継プレート59の先端面上には、その周縁近傍位置に、その軸中心から所定角度(後述する角度α2)の範囲で突起する突起片592が設けられている。この回転中継プレート59の先端面は、ブレーキスプリング57の内側を経て出力軸部材56の基端面と当接可能に配置された状態で(図2(b)参照)、回転中継プレート59がケース部材55a,55bの各々の収容部555に相対回転可能に収容される。このため、回転中継プレート59の先端面側の突起片592は、出力軸部材56における突起部564を除く凹み領域の係合受部563の範囲内であれば相対回転可能となり、即ち、回転中継プレート59が回転しても、その突起片592が出力軸部材56における突起部564とブレーキスプリング57の端部571を介して当接するまでは出力軸部材56に回転伝達されることはないが、当該当接後は、回転中継プレート59の回転は出力軸部材56に回転伝達されることになる。
また、回転中継プレート59の基端面上には、軸孔591の周囲に一部の回転受部594を除き溝状の係合受部593が形成されている。回転受部594は、軸孔591の軸中心から所定角度(後述する角度α3)の範囲で形成されている。本例では、回転受部594を形成するよう溝状の係合受部593としているが、同様の機能を作用させるものであれば溝状でなくともよい。
入力軸部材60は、駆動軸11上に直結される略四角孔状の軸孔602を有する筒状の軸部601と、その軸部601の軸中心から所定角度(後述する角度α4)の範囲で軸部601と並んで突起する突起片603が、筒状の軸部606が形成されたフランジ604を経て形成されている。入力軸部材60のフランジ604の駆動伝達出力側面が回転中継プレート59の駆動伝達入力側面と当接可能に配置された状態で(図2(b)参照)、入力軸部材60の軸部606及びフランジ604は、それぞれケース部材55a,55bの駆動伝達入力側の端部における円状開口部559d及び収容部555にて相対回転可能に支持される。また、軸部601は、出力軸部材56の軸孔565、及び回転中継プレート59の軸孔591を支持可能となっている。
このため、入力軸部材60の突起片603は、回転中継プレート59の係合受部593の範囲内であれば相対回転可能となり、即ち、駆動軸11上に直結される入力軸部材60が回転しても、その突起片603が回転中継プレート59の回転受部594と当接するまでは回転中継プレート59に回転伝達されることはないが、その当接後は、入力軸部材60の回転は回転中継プレート59に回転伝達されることになる。
従って、実施例1の遅延ユニット5aは、入力軸部材60の回転を出力軸部材56へ回転伝達させるまでに、入力軸部材60と回転中継プレート59との間の遅延量と、回転中継プレート59と出力軸部材56との間の遅延量を合計した遅延量を働かせるものとなっている。
例えば、図5(a)に示すように、回転中継プレート59と出力軸部材56との間の遅延量は、角度α1の範囲で突起する突起部564と角度α2の範囲で突起する突起片592との間で、遅延量βとなる。例えば、α1≒60度、α2≒90度とすれば、遅延量β≒210度となる。また、図5(b)に示すように、入力軸部材60と回転中継プレート59との間の遅延量は、角度α3の範囲の回転受部594と角度α4の範囲で突起する突起片603との間で、遅延量γとなる。例えば、α3≒60度、α4≒60度とすれば、遅延量γ≒240度となる。そして、入力軸部材60の回転を出力軸部材56へ回転伝達させるまでの遅延量は、β+γ≒450度となる。従って、遅延ユニット5aにより遅延させる回転量がスラット4の角度調整範囲以上となるよう設定することで、様々な遅延量を実現することができ、回転中継プレート59は所定の遅延量で回転中継する遅延調整部材として機能する。
そして、実施例1の遅延ユニット5aの構成部材のうち、駆動軸11と直結して回転する部材は入力軸部材60のみであり、この実施例1の遅延ユニット5aを駆動軸11上で並設するのみで、障害物検知停止装置53を介して巻取軸52の回転に対しチルトドラム51の回転から相対的に所定の遅延量で連動回転させることができる(図4及び図2(b)参照)。
特に、図4に示すように、実施例1の遅延ユニット5aのケース部55a,55bには、コード支持ユニット5bの支持ケース50に設けられた突起部50bに対し掴持する爪部558が駆動伝達出力側の側壁部にそれぞれ形成されている。これにより実施例1の遅延ユニット5aを駆動軸11上でコード支持ユニット5bに対し簡単に着脱可能な態様で、安定して組み付けることができるようになる。尚、遅延ユニット5aにおける出力軸部材56の軸部561を障害物検知停止装置53のカム軸531の軸孔531aへ係合させ、一体回転可能に連結することになるが、障害物検知停止装置53が作動しているにも関わらず駆動軸11の回転に過剰負荷を加えると、障害物検知停止装置53が支持ケース50から外れようとする不所望な力が働き、その連結状態を離間させる方向にも不所望な力が働くため故障の原因となりうる。そこで、このような過剰負荷時によるその連結状態を離間させる不所望な力を緩和させるため、図4に示すように、支持ケース50に、カム軸531の上方への移動を抑止する抑止壁50jが設けるのが好適である。
尚、実施例2として後述するが、回転中継プレート59を省略し、直接、入力軸部材60を出力軸部材56へと連接し、入力軸部材60と出力軸部材56との間の遅延量を働かせる構成とすることができ、同一の出力軸部材56、ブレーキスプリング57、スプリングケース58、及び入力軸部材60を共用して異なる遅延量を生じさせるものとすることができる。
例えば、図5(c)に示すように、回転中継プレート59を用いない場合の入力軸部材60と出力軸部材56との間の遅延量は、角度α1の範囲で突起する突起部564と角度α4の範囲で突起する突起片603との間で、遅延量ηとなる。例えば、α1≒60度、α4≒60度とすれば、遅延量η≒240度となる。従って、遅延ユニット5aにより遅延させる回転量がスラット4の角度調整範囲以上となるよう設定することで、様々な遅延量を実現することができる。
更に、突起片592の形状(角度α2)、或いは回転受部594の形状(角度α3)を変更し複数種の遅延量を生じさせる回転中継プレート59を用意することで、回転中継プレート59の変更のみで、多数種類の遅延量を実現することもできる。
ケース部材55a,55bは、出力軸部材56、ブレーキスプリング57、スプリングケース58、回転中継プレート59、及び入力軸部材60を、駆動軸11に対し垂直方向(本例では、前後方向)で嵌合形成して収容するようになっている。より具体的には、ケース部材55aの上面及び下面にはそれぞれ突起部553を有する嵌合受部551が形成され、ケース部材55bの上面及び下面にはそれぞれ突起部553と嵌合可能な孔部554を有し嵌合受部551と係合する嵌合片552が形成されている。つまり、2つのケース部材を用いて嵌合し1つのケースを形成する際に、駆動軸11に対し平行方向で嵌合形成すると、駆動軸11の回転によってその嵌合力が弱まり品質上の問題が生じうるため、ネジ等を利用した合体形成が必要となるところ、本実施例のように駆動軸11に対し垂直方向で嵌合形成するよう構成することで、駆動軸11の回転に対し強い嵌合力を有するためネジ等の合体形成が必要とならず、包括的に組立性の容易化、及び低廉化に寄与することとなる。
また、本実施例では、出力軸部材56の軸部561と障害物検知停止装置53のカム軸531とを六角形状で係合させる例を説明したが、その組立性の向上の観点からより多辺からなる係合形状とするのが好適である。即ち、出力軸部材56の軸部561を多角形状を有するよう構成し、これと係合するよう障害物検知停止装置53のカム軸531を構成することで、僅かな回転操作で組み付けることができ、その組付性が向上する。
そして、実施例1の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5を適用した図1に示す横型ブラインドであれば、1つの駆動軸11でチルトドラム51と巻取軸52の回転を操作可能にするよう構成しているが、スラット4の昇降のないチルト操作が望まれる場合であれば、そのチルト操作によってボトムレール8が昇降することがない。また、ボトムレール8が下限位置でない場合に、チルト操作時にスラット4の畳み込み部分が上昇してからチルトするようなその操作性を損なうこともない。
例えば、図6(a)に示す静止状態として水平状態のスラット4が所定数ボトムレール8に畳み込まれている場合に、図6(b)に示すようにチルト操作によってスラット4の角度を調節してもボトムレール8が昇降することがない。また、図6(c)に示すように、チルト操作時にスラット4の畳み込み部分が上昇してからチルトするような操作性を損なうこともない。
更に、図3に示すように、ケース部材55a,55bには四角状に凹みを持たせた上角部550aが形成されている。このため、それぞれヘッドボックス1内に遅延ユニット5aを設置したときに、下角部550bで支持される遅延ユニット5aの上角部550aがヘッドボックス1の上端に係合し(図6参照)、その前後方向及び上下方向のガタツキを抑えることができる。また、遅延ユニット5aのケース部材55a,55bには爪部558が形成されているため、コード支持ユニット5bにおける支持ケース50の突起部50bに対し掴持することで、その左右方向のガタツキも抑制される。
また、本実施例では、出力軸部材56の軸部561と障害物検知停止装置53のカム軸531とを係合させる例を説明したが、障害物検知停止装置53を介することなく巻取軸52と係合させる形態とする場合でも、本発明に係る作用・効果を発揮させることができる。
(実施例2)
次に、実施例2の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5について説明する。図7(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例2の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5の概略構成を示す斜視図及び断面図である。図8は、本発明による実施例2の遅延ユニット5aの概略構成を示す分解斜視図である。また、図9は、本発明による実施例2の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5の組み付け方法を説明する斜視図である。尚、実施例2において、実施例1と同様な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。
図7(a)に示す実施例2の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5は、実施例1と同様に、遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに並設させることで構成されている。また、実施例2の遅延ユニット5aに係るコード支持ユニット5bは、実施例1と同様に、支持ケース50により、駆動軸11を回転軸としてチルトドラム51と巻取軸52を回転可能に支持している。チルトドラム51から垂下されることになるラダーコード9と、巻取軸52から垂下されることになる昇降コード10は、支持ケース50の底面に設けられた導出口50aから導出される。
ただし、実施例2の遅延ユニット5aに係るコード支持ユニット5bにおける巻取軸52は、テープ状の昇降コード10を多層巻きして巻き取り、又は巻き戻し可能とし、チルトドラム51は捩りコイルスプリングによる吊下げ部材511を装着してラダーコード9を吊下支持するものとなっている。このようなコード支持ユニット5bの構成は、その小型化を要する横型ブラインドに適している。
吊下げ部材511は、捩りコイルスプリングで構成され、その捩りコイルスプリングの両端は屈曲してループ状のラダーコード取着部511aと係止端部511bが形成されている。前後一対のラダーコード9の上端はラダーコード取着部511aに取着されて吊下支持される。そして、吊下げ部材511は、チルトドラム51を締め付けて取着され、係止端部511bが支持ケース50に形成される壁部に当接するまでの間はチルトドラム51と一体回転し、係止端部511bが支持ケース50に形成される壁部に当接するとその締め付け力が弱まりチルトドラム51に対し空転する。このため、チルトドラム51の回転に基づいて、ラダーコード9を介して各スラット4が同位相で角度調節される。
この実施例2の遅延ユニット5aに係るコード支持ユニット5bに対して、図3に示す実施例1の遅延ユニット5aを適用することも可能であるが、その小型化を要する意図を生かすため、実施例2の遅延ユニット5aでは、図8に示すように構成されている。
図8を参照するに、実施例2の遅延ユニット5aは、実施例1と比較して、回転中継プレート59を省略し、ケース部材55a,55bの形状を小型化したものとなっており、その他の出力軸部材56、ブレーキスプリング57、スプリングケース58、及び入力軸部材60は、実施例1と共用するものとなっている。
また、ケース部材55a,55bの形状についても、実施例1と比較して、回転中継プレート59が収容する収容部555の形成が省略され入力軸部材60の軸部606及びフランジ604は、それぞれケース部材55a,55bの駆動伝達入力側の端部における円状開口部559d及び開口側面559bにて相対回転可能に支持されて小型化に寄与している点を除き、実施例1と同様の作用効果を生じる。
即ち、実施例2の遅延ユニット5aでは、回転中継プレート59を省略しており、直接、入力軸部材60を出力軸部材56へと連接し、入力軸部材60と出力軸部材56との間の遅延量を働かせる構成としており、実施例1とは同一の出力軸部材56、ブレーキスプリング57、スプリングケース58、及び入力軸部材60を共用しながら、異なる遅延量を生じさせるものとなっている。
例えば、図5(c)を参照して前述したように、回転中継プレート59を用いない場合の入力軸部材60と出力軸部材56との間の遅延量は、角度α1の範囲で突起する突起部564と角度α4の範囲で突起する突起片603との間で、遅延量ηとなる。例えば、α1≒60度、α4≒60度とすれば、遅延量η≒240度となる。従って、遅延ユニット5aにより遅延させる回転量がスラット4の角度調整範囲以上となるよう設定することで、様々な遅延量を実現することができる。
そして、実施例2においても、図7(b)に示すように、チルトドラム51は、駆動軸11に対し相対回転不能に連結して支持ケース50に支持される。一方、巻取軸52は、駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持される。また、巻取軸52の先端側に、昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき、当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための障害物検知停止装置53が設けられているが、この障害物検知停止装置53も駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持される。障害物検知停止装置53のケース本体は巻取軸52の先端側に固定されるが、障害物検知停止装置53のケース本体に収容される筒状のカム軸531は、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止させるとともに、昇降コード10の逆巻き取りを予防するのに必要な遊びを有して、巻取軸52の回転と一体となって回転可能となっている。
そして、実施例2の遅延ユニット5aにおいても、駆動軸11と直結して回転する部材は入力軸部材60のみであり、この実施例2の遅延ユニット5aを駆動軸11上で並設するのみで、障害物検知停止装置53を介して巻取軸52の回転に対しチルトドラム51の回転から相対的に所定の遅延量で連動回転させることができる(図9及び図7(b)参照)。
特に、図9に示すように、実施例2の遅延ユニット5aのケース部55a,55bには、コード支持ユニット5bの支持ケース50に設けられた突起部50bに対し掴持する爪部558が駆動伝達出力側の側壁部にそれぞれ形成されている。これにより実施例2の遅延ユニット5aを駆動軸11上でコード支持ユニット5bに対し簡単に着脱可能な態様で、安定して組み付けることができるようになる。
また、ケース部材55a,55bは、実施例2においても、駆動軸11に対し垂直方向で嵌合形成するよう構成しており、駆動軸11の回転に対し強い嵌合力を有するためネジ等の合体形成が必要とならず、包括的に組立性の容易化、及び低廉化に寄与することとなる。
更に、図8に示すように、実施例2においても、ケース部材55a,55bには四角状に凹みを持たせた上角部550aが形成されている。このため、それぞれヘッドボックス1内に遅延ユニット5aを設置したときに、下角部550bで支持される遅延ユニット5aの上角部550aがヘッドボックス1の上端に係合し(上述した図6と同様)、その前後方向及び上下方向のガタツキを抑えることができる。また、遅延ユニット5aのケース部材55a,55bには爪部558が形成されているため、コード支持ユニット5bにおける支持ケース50の突起部50bに対し掴持することで、その左右方向のガタツキも抑制される。
また、本実施例においても、出力軸部材56の軸部561を多角形状で構成し、これと係合するよう障害物検知停止装置53のカム軸531を構成することで、僅かな回転操作で組み付けることができ、その組付性が向上する。
そして、実施例2の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5を適用した横型ブラインドであれば、1つの駆動軸11でチルトドラム51と巻取軸52の回転を操作可能にするよう構成している場合でも、スラット4の昇降のないチルト操作が望まれる場合であれば、そのチルト操作によってボトムレール8が昇降することがない。また、ボトムレール8が下限位置でない場合に、チルト操作時にスラット4の畳み込み部分が上昇してからチルトするような操作性を損なうこともない。
また、本実施例では、出力軸部材56の軸部561と障害物検知停止装置53のカム軸531とを係合させる例を説明したが、障害物検知停止装置53を介することなく巻取軸52と係合させる形態とする場合でも、本発明に係る作用・効果を発揮させることができる。
また、実施例1,2の遅延ユニット5aは、その形状及び構造を維持したまま、紐状の昇降コード10について螺旋巻き取り式の螺旋軸52Cにより巻き取る構成のコード支持ユニット5bに適用してコード支持装置5を構成することもできる。
例えば、図10(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例2の遅延ユニット5aを有する螺旋巻き取り式のコード支持装置5の概略構成を示す斜視図及び断面図である。また、図11は、本発明による実施例2の遅延ユニット5aを有する螺旋巻き取り式のコード支持装置5の組み付け方法を説明する斜視図である。尚、図10及び図11において、実施例1と同様な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。
図10(a)に示す螺旋巻き取り式のコード支持装置5は、前述と同様に、遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに並設させることで構成されている。ただし、図10(a)に示すコード支持ユニット5bにおける螺旋軸52Cは、その略円筒状の本体に対し駆動軸11が非係合(非連結)で挿通されており、表面に螺旋状の螺合凸条が形成され、昇降コード10の上端が螺旋軸52Cの先端近傍における当該凹み部分に取着されて、昇降コード10の巻き取り、又は巻き戻しを可能としている。
この螺旋軸52Cにおける螺旋状の螺合凸条は、支持ケース50に設けられる内周面の螺旋状の被螺合凸条50dと螺合可能となっており、螺旋軸52C(巻取軸52)の回転に伴って、螺旋軸52C自体がそのケース部51Cに対し軸方向に相対移動する。
ケース部51Cには、捩りコイルスプリングによる吊下げ部材511を装着してラダーコード9を吊下支持するチルトドラム51が形成されている。
吊下げ部材511は、捩りコイルスプリングの両端は屈曲してループ状のラダーコード取着部511aと係止端部511bが形成されており、チルトドラム51を締め付けて取着される。吊下げ部材511は、係止端部511bが支持ケース50に形成される壁部に当接するまでの間はチルトドラム51と一体回転し、係止端部511bが支持ケース50に形成される壁部に当接するとその締め付け力が弱まりチルトドラム51に対し空転する。このため、チルトドラム51の回転に基づいて、ラダーコード9を介して各スラット4が同位相で角度調節される。
図10(a)に示す例においても、支持ケース50により、駆動軸11を回転軸としてチルトドラム51と巻取軸52を回転可能に支持している。チルトドラム51から垂下されることになるラダーコード9と、巻取軸52から垂下されることになる昇降コード10は、支持ケース50の底面に設けられた導出口50aから導出される。
そして、図10(b)に示すように、ケース部51C(チルトドラム51)は、駆動軸11に対し相対回転不能に連結して支持ケース50に支持される。一方、巻取軸52は、駆動軸11に対し非連結として支持ケース50に支持される。
尚、図10(a),(b)に示すように、実施例2の遅延ユニット5aは、螺旋軸52C(巻取軸52)の先端に固着された円板状の支持補助部材70を介して取着されるよう構成される。
実施例2の遅延ユニット5aは、駆動軸11と直結して回転する部材は入力軸部材60のみであり、この実施例2の遅延ユニット5aを駆動軸11上で並設するのみで、螺旋軸52C(巻取軸52)の回転に対しチルトドラム51の回転から相対的に所定の遅延量で連動回転させることができる(図11及び図10(b)参照)。
特に、図11に示すように、実施例2の遅延ユニット5aのケース部55a,55bの爪部558は、コード支持ユニット5bの螺旋軸52C(巻取軸52)に設けられた円板状の支持補助部材70に対し掴持することができる。これにより実施例2の遅延ユニット5aを駆動軸11上で螺旋式のコード支持ユニット5bに対し簡単に着脱可能な態様で、安定して組み付けることができるようになる。
〔他の実施例〕
前述した実施例1,2の遅延ユニット5aでは、各種の支持ケース50の外方で並設させてコード支持装置5を構成する上で組付性を改善し、コード支持装置5の小型化、汎用性、部品管理負担の軽減、並びに低廉化に寄与する実用性に優れたものとなる点を説明した。特に、実施例1,2の遅延ユニット5a間で、部品管理負担の軽減や低廉化に寄与することを重視して、できる限り共用部材を増大させることを意図していた。
コード支持装置5における前後方向又は上下方向への大型化は遮蔽装置自体の大型化をも伴うため、この点に関して、実施例1,2の遅延ユニット5aではその大型化を回避することができ有効な作用・効果を生じさせている。
一方で、図3に示す実施例1の遅延ユニット5aと、図8に示す実施例2の遅延ユニット5aとを比較して分かるように、図3に示す実施例1の遅延ユニット5aでは、実施例2の遅延ユニット5aと比してケース部材55a,55bがその左右方向へ大きくなる構成となっている。このため、例えばヘッドボックス1内の設置余裕が十分でない場合に、当該実施例1の遅延ユニット5aにおけるケース部材55a,55bの左右方向の幅をより小さくしたいとする要望も想定される。
そこで、部品管理負担の軽減や低廉化に寄与することよりも、その遅延ユニット5a自体の左右方向の大きさをより小型化することを重視した構成例として、実施例3,4について、順に説明する。包括的には、実施例1,2では駆動軸11の軸方向に所定の遅延量を生じさせる回転伝達部位を連関させるよう構成したものであるが、実施例3,4では駆動軸11に対し垂直方向に当該所定の遅延量を生じさせる回転伝達部位を連関させるよう構成することで、当該実施例3,4の遅延ユニット5aにおけるケース部材55a,55bの左右方向の幅をより小さいものとする。
(実施例3)
図12は、本発明による実施例3の遅延ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。尚、前述した実施例1と同様な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。図12に示すように、本実施例の遅延ユニット5aは、前述した実施例1と同様に、出力軸部材56と、ブレーキスプリング57と、スプリングケース58と、回転中継プレート59と、入力軸部材60と、ケース部材55a,55bから構成される。
本実施例における出力軸部材56は、外側八角形の筒状の軸部561と、この軸部561の基端側(駆動伝達入力側)に、筒状の軸部568が形成されたフランジ567を経てその一部の外周近傍にその軸中心から所定角度(後述する角度α1)の範囲で駆動伝達入力側へ突起する突起部564が設けられている。この出力軸部材56の軸部568及びフランジ567は、それぞれケース部材55a,55bの一方の開口側面559a(駆動伝達出力側)における円状開口部559c及び開口側面559aにて相対回転可能に支持される。尚、本実施例における出力軸部材56では、そのフランジ567の基端側(駆動伝達入力側)の面に、段差状に凹んだ係合受部563a,563bが形成されている。また、軸部561には、駆動軸11を非係合で挿通可能な軸孔565が形成されている。そして、外側八角形の筒状の軸部561は、障害物検知停止装置53の八角状の軸孔531aを有する筒状のカム軸531と一体回転可能に係合可能となっており、出力軸部材56の回転は障害物検知停止装置53のカム軸531と同期して回転するよう伝達可能となっている(前述した図2(b)と同様)。
ブレーキスプリング57とスプリングケース58は、後述する本実施例の回転中継プレート59をその内側内に収容するために実施例1,2のものよりも大径化させているが、前述した実施例1,2と同様に、入力軸部材60からの回転伝達による回転以外の出力軸部材56の回転を抑制する制動部材として機能する。即ち、障害物検知停止装置53のカム軸531から伝達する出力軸部材56の回転に対し、所定のブレーキ力を作動させる。スラット4の昇降位置を安定的に維持するためには、昇降操作時を除いて巻取軸52を遊動させない状態とするために、コイル状のブレーキスプリング57の一対の端部571は、出力軸部材56の突起部564の両側辺にそれぞれ係合するよう嵌着される。また、スプリングケース58は、コイル状のブレーキスプリング57を縮径した状態で収容し、これにより常にブレーキスプリング57はスプリングケース58の内周面を押圧することで、スプリングケース58に対し相対回転可能とするが所定のブレーキ力を作動させる。一方、スプリングケース58は、その一部に設けられた一対の凹部582がケース部材55a,55bの各々に設けられた凸部557により回転不能に係止されてケース部材55a,55bの各々の収容部556に嵌着されるため、スプリングケース58は回転不能に固定される。
本実施例の回転中継プレート59は、前述した実施例1とは大きく異なる。本実施例の回転中継プレート59は、スプリングケース58に縮径して収容されたブレーキスプリング57の径に対しより小さい外形でその外周面上の一部に突起部592aを有するとともに、内周面上の一部に回転受部594を有する概ね円筒状部材で構成され、出力軸部材56の軸孔565と略同径の軸孔591が形成されている。従って、軸孔591は、駆動軸11を非係合で挿通可能となっている。この回転中継プレート59の駆動伝達出力側面は、ブレーキスプリング57の内側を経て出力軸部材56の駆動伝達入力側面における係合受部563a,563bと当接可能な形状を有し、その当接配置された状態で、回転中継プレート59がスプリングケース58に縮径して収容されたブレーキスプリング57の内側に位置してケース部材55a,55bに対し相対回転可能に収容される。このため、回転中継プレート59の突起部592aは、出力軸部材56における突起部564を除く凹み領域の係合受部563bの範囲内であれば相対回転可能となり、即ち、回転中継プレート59が回転しても、その突起部592aが出力軸部材56における突起部564とブレーキスプリング57の端部571を介して当接するまでは出力軸部材56に回転伝達されることはないが、当該当接後は、回転中継プレート59の回転は出力軸部材56に回転伝達されることになる。
また、回転中継プレート59の内周面上には、軸孔591の周囲に一部の回転受部594を除き凹み状の係合受部593が形成されている。回転受部594は、軸孔591の軸中心から所定角度(後述する角度α3)の範囲で形成されている。本例では、回転受部594と突起部592aとを同じ回転角度範囲内に形成した例を示しているが、用途によって回転受部594と突起部592aの大きさ及び配置を変更したものとすることができる。
入力軸部材60は、駆動軸11上に直結される略四角孔状の軸孔602を有する筒状の軸部601と、その軸部601の軸中心から所定角度(後述する角度α4)の範囲で軸部601と並んで突起する突起片603が、筒状の軸部606が形成されたフランジ604の駆動伝達出力側面に形成されている。入力軸部材60のフランジ604の出力側面が回転中継プレート59の基端面と当接可能に配置された状態で、入力軸部材60の軸部606及びフランジ604は、それぞれケース部材55a,55bの収容部556の駆動伝達入力側の端部における円状開口部559d及び開口側面559bにて相対回転可能に支持される。また、軸部601は、出力軸部材56の軸孔565、及び回転中継プレート59の軸孔591を支持可能となっている。
このため、入力軸部材60の突起片603は、回転中継プレート59の係合受部593の範囲内であれば相対回転可能となり、即ち、駆動軸11上に直結される入力軸部材60が回転しても、その突起片603が回転中継プレート59の回転受部594と当接するまでは回転中継プレート59に回転伝達されることはないが、その当接後は、入力軸部材60の回転は回転中継プレート59に回転伝達されることになる。
従って、実施例3の遅延ユニット5aは、入力軸部材60の回転を出力軸部材56へ回転伝達させるまでに、入力軸部材60と回転中継プレート59との間の遅延量と、回転中継プレート59と出力軸部材56との間の遅延量を合計した遅延量を働かせるものとなっている。
例えば、図14(a)に示すように、回転中継プレート59と出力軸部材56との間の遅延量は、角度α1の範囲で突起する突起部564と角度α2の範囲で突起する突起部592aとの間で、遅延量βとなる。また、図14(b)に示すように、入力軸部材60と回転中継プレート59との間の遅延量は、角度α3の範囲の回転受部594と角度α4の範囲で突起する突起片603との間で、遅延量γとなる。そして、入力軸部材60の回転を出力軸部材56へ回転伝達させるまでの遅延量は、β+γとなる。従って、本実施例の遅延ユニット5aは、実施例1の遅延ユニット5aと同等の機能を実現することができ、回転中継プレート59は所定の遅延量で回転中継する遅延調整部材として機能する。
特に、本実施例の遅延ユニット5aでは、回転中継プレート59がスプリングケース58の内側に位置してケース部55a,55bに収容されるように構成したため、実施例1の遅延ユニット5aと同等の前後方向及び上限方向の幅を実現するとともに、実施例1の遅延ユニット5aよりも左右方向の幅を縮小させることができる。
そして、実施例3の遅延ユニット5aの構成部材のうち、駆動軸11と直結して回転する部材は入力軸部材60のみであり、この実施例3の遅延ユニット5aを駆動軸11上で並設するのみで、障害物検知停止装置53を介して巻取軸52の回転に対しチルトドラム51の回転から相対的に所定の遅延量で連動回転させることができる(前述した図4同様)。
また、本実施例においても、ケース部55a,55bには、コード支持ユニット5bの支持ケース50に設けられた突起部50bに対し掴持する爪部558が駆動伝達出力側の側壁部にそれぞれ形成されている。これにより実施例3の遅延ユニット5aを駆動軸11上でコード支持ユニット5bに対し簡単に着脱可能な態様で、安定して組み付けることができるようになる。
そして、実施例3の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5を適用した横型ブラインドであれば、スラット4の昇降のないチルト操作が望まれる場合であれば、そのチルト操作によってボトムレール8が昇降することがない。また、ボトムレール8が下限位置でない場合に、チルト操作時にスラット4の畳み込み部分が上昇してからチルトするようなその操作性を損なうこともない(前述した図6同様)。
更に、図12に示すように、実施例3においても、ケース部材55a,55bには四角状に凹みを持たせた上角部550aが形成されている。このため、それぞれヘッドボックス1内に遅延ユニット5aを設置したときに、下角部550bで支持される遅延ユニット5aの上角部550aがヘッドボックス1の上端に係合し(上述した図6と同様)、その前後方向及び上下方向のガタツキを抑えることができる。また、遅延ユニット5aのケース部材55a,55bには爪部558が形成されているため、コード支持ユニット5bにおける支持ケース50の突起部50bに対し掴持することで、その左右方向のガタツキも抑制される。
(実施例4)
次に、実施例4の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5について説明する。図13は、本発明による実施例4の遅延ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。尚、前述した実施例3と同様な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。図13に示すように、本実施例の遅延ユニット5aは、前述した実施例3と同様に、出力軸部材56と、ブレーキスプリング57と、スプリングケース58と、入力軸部材60と、ケース部材55a,55bから構成される。
図13を参照するに、実施例4の遅延ユニット5aは、実施例3と比較して、ケース部材55a,55bの形状を小型化したものを維持し、回転中継プレート59を省略して、これに伴う入力軸部材60の形状を変更したものとなっており、その他の出力軸部材56、ブレーキスプリング57、及びスプリングケース58は、実施例3と共用するものとなっている。
実施例4の遅延ユニット5aにおける入力軸部材60は、駆動軸11上に直結される略四角孔状の軸孔602を有する筒状の軸部601と、この軸部601の基端側で連なってより大径化し四角孔状の軸孔602を有する筒状の中継軸部605と、その軸部601及び中継軸部605の軸中心から所定角度(後述する角度α5)の範囲で中継軸部605と並んで突起する突起片603aがフランジ604を経て形成されている。
軸部601は、出力軸部材56の軸孔565を支持可能となっている。そして、中継軸部605における軸部601との境界面がブレーキスプリング57の内側を経て出力軸部材56の基端面における係合受部563aと当接可能に配置された状態で、入力軸部材60の軸部606及びフランジ604は、それぞれケース部材55a,55bの収容部556の駆動伝達入力側の端部における円状開口部559d及び開口側面559bにて相対回転可能に支持される。このとき、中継軸部605は、スプリングケース58に縮径して収容されたブレーキスプリング57の内側に位置してケース部材55a,55bに対し相対回転可能に収容される。
このため、入力軸部材60の突起片603aは、出力軸部材56の基端面における係合受部563bの範囲内であれば相対回転可能となり、即ち、駆動軸11上に直結される入力軸部材60が回転しても、その突起片603aが出力軸部材56の突起部564と当接するまでは出力軸部材56に回転伝達されることはないが、その当接後は、入力軸部材60の回転は出力軸部材56に回転伝達されることになる。
また、ケース部材55a,55bの形状についてもより小型化に寄与した形態を維持しており、実施例3と同様の作用効果を生じる。
例えば、図14(c)に示すように、回転中継プレート59を用いない場合の入力軸部材60と出力軸部材56との間の遅延量は、角度α1の範囲で突起する突起部564と角度α5の範囲で突起する突起片603aとの間で、遅延量ηとなる。
そして、実施例4においても、実施例2と同様に(前述した図7(b)同様)、チルトドラム51は、駆動軸11に対し相対回転不能に連結して支持ケース50に支持される。一方、巻取軸52は、駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持される。また、巻取軸52の先端側に、昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき、当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための障害物検知停止装置53が設けられているが、この障害物検知停止装置53も駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持される。障害物検知停止装置53のケース本体は巻取軸52の先端側に固定されるが、障害物検知停止装置53のケース本体に収容される筒状のカム軸531は、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止させるとともに、昇降コード10の逆巻き取りを予防するのに必要な遊びを有して、巻取軸52の回転と一体となって回転可能となっている。
そして、実施例4の遅延ユニット5aにおいても、駆動軸11と直結して回転する部材は入力軸部材60のみであり、この実施例4の遅延ユニット5aを駆動軸11上で並設するのみで、障害物検知停止装置53を介して巻取軸52の回転に対しチルトドラム51の回転から相対的に所定の遅延量で連動回転させることができる(前述した図9同様)。
また、実施例4の遅延ユニット5aにおいても、ケース部55a,55bには、コード支持ユニット5bの支持ケース50に設けられた突起部50bに対し掴持する爪部558が駆動伝達出力側の側壁部にそれぞれ形成されている。これにより実施例4の遅延ユニット5aを駆動軸11上でコード支持ユニット5bに対し簡単に着脱可能な態様で、安定して組み付けることができる。
また、実施例3,4の遅延ユニット5aは、実施例1,2のときと同様に、紐状の昇降コード10について螺旋巻き取り式の螺旋軸52Cにより巻き取る構成のコード支持ユニット5bに適用してコード支持装置5を構成することもできる(前述した図10参照)。特に、前述した図11と同様に、実施例4の遅延ユニット5aのケース部55a,55bの爪部558は、コード支持ユニット5bの螺旋軸52C(巻取軸52)に設けられた円板状の支持補助部材70に対し掴持することができる。これにより実施例4の遅延ユニット5aを駆動軸11上で螺旋式のコード支持ユニット5bに対し簡単に着脱可能な態様で、安定して組み付けることができるようになる。
更に、図13に示すように、実施例4においても、ケース部材55a,55bには四角状に凹みを持たせた上角部550aが形成されている。このため、それぞれヘッドボックス1内に遅延ユニット5aを設置したときに、下角部550bで支持される遅延ユニット5aの上角部550aがヘッドボックス1の上端に係合し(上述した図6と同様)、その前後方向及び上下方向のガタツキを抑えることができる。また、遅延ユニット5aのケース部材55a,55bには爪部558が形成されているため、コード支持ユニット5bにおける支持ケース50の突起部50bに対し掴持することで、その左右方向のガタツキも抑制される。
(遅延ユニットに関するヘッドボックス内の組み付けに係る構成)
図15は、本発明による一実施例の遅延ユニット5aに関するヘッドボックス1内の組み付けに係る構成を示す上面図である。特に、図15には、上述した実施例1乃至4の遅延ユニット5aのうち代表して図13に示す遅延ユニット5aを例に、ヘッドボックス1内の組み付けに係る構成を説明するが、上述した実施例1乃至4のいずれにおいても同様である点に留意する。
ヘッドボックス1の上面は前後方向に長さL1で開口しており、その内部は概略して前後方向の長さL2(>L1)の収容空間を有している。チルトドラム51、巻取軸52、及び障害物検知停止装置53からなるコード支持ユニット5bは支持ケース50に収容され、当該長さL2の収容空間でヘッドボックス1内に前後方向及び上下方向のずれが無いよう規制されて設置される。このため、支持ケース50に収容されるコード支持ユニット5bをヘッドボックス1内に設置するには、ヘッドボックス1の上面を広げて設置するか、或いはヘッドボックス1の左右方向の両端の開口(図示せず)から挿入して設置される。
一方、遅延ユニット5aは、図15にて図示するように上方から見て、そのケース部材55a,55bの駆動伝達入力側の側面と軸部561の駆動伝達出力側の側面との間の長さdが、ヘッドボックス1の上面で開口している長さL1よりも短い。このため、所望の位置へ容易に遅延ユニット5aをヘッドボックス1の収容空間へ設置できる。即ち、遅延ユニット5aをヘッドボックス1内に設置するのに、ヘッドボックス1の上面を広げて設置するか、或いはヘッドボックス1の左右方向の両端の開口(図示せず)から挿入して設置する必要はない。
また、遅延ユニット5aは、図15にて図示するように上方から見て、その重心Opから直径D(≦L2)の円弧S内となる外形形状を有している。このため、遅延ユニット5aは、ヘッドボックス1内に設置されると例えば重心OPを軸とした回転で、連結対象の支持ケース50に収容されるコード支持ユニット5bと対面させることができる。
より具体的には、遅延ユニット5aに関するヘッドボックス1内の組み付ける際には、まず、図16(a)に示すように、連結対象の支持ケース50に収容されるコード支持ユニット5bの近傍で、遅延ユニット5aをヘッドボックス1の収容空間へ設置する。続いて、図16(b)に示すように、ヘッドボックス1の収容空間内で、遅延ユニット5aを回転させ、連結対象の支持ケース50に収容されるコード支持ユニット5bと対面させる。
そして、図17(a)の上面図に示すように、横型ブラインドの仕様に応じて、ヘッドボックス1内に、複数の遅延ユニット5aと複数のコード支持ユニット5bを配置する。尚、図17(a)に示すように、複数のコード支持ユニット5bを昇降コード10の垂下位置に応じた向きでそれぞれ配設し、それぞれの連結対象のコード支持ユニット5bに向きに応じて、遅延ユニット5aの向きも合わせて配設する。また、図17(a)に示すように、その横型ブラインドの仕様に応じて、適所にラダーコード支持部材6も配置することができる。
続いて、図17(b)の上面図に示すように、ヘッドボックス1内に配置した複数の遅延ユニット5aと複数のコード支持ユニット5b、並びにラダーコード支持部材6に対し、駆動軸11を無造作にヘッドボックス1の左右方向の両端の開口(図示せず)から挿入し、操作ユニット2等の機能部材を配置してヘッドボックス1の左右方向の両端をサイドキャップ1cで塞ぐ。
このとき、従来技法に係る組み付け手順では、本発明に係る参照番号で説明すると、複数のコード支持ユニット5bに対し、駆動軸11を挿入時に、全ての巻取軸52における昇降コード10の取着位置に関する位置合わせ(各巻取軸52の初期巻取量及び取着位置)を同時に合わせながら挿入する必要がある。一方、上述した本発明に係る実施例1乃至4の遅延ユニット5aは、複数のコード支持ユニット5bに対し組み合わせ自由に分離されており、駆動軸11の挿入時点では無造作に挿入できるため、その組み付けに係るコスト(負担)を削減することができる。
つまり、本発明に係る組み付け手順では、駆動軸11の挿入後に、全ての巻取軸52における昇降コード10の取着位置に関する位置合わせ(各巻取軸52の初期巻取量及び取着位置)を行うことができる。
より具体的には、上記のように駆動軸11を無造作に挿入後、図17(c)の上面図に示すように、複数の遅延ユニット5aの設置に関し各遅延ユニット5aを初期状態化させるため、操作コード3を利用して駆動軸11を無造作に数回転(2回転程度)させる。つまり、各遅延ユニット5aの内部の各突起部及び突起片(例えば、図12に示す例では、入力部材60の突起片603、回転中継プレート59の突起部592a,594、及び、出力軸部材56の突起部564)の位置が揃うよう初期状態化させるため、操作コード3を利用して駆動軸11を無造作に数回転(2回転程度)させる。
続いて、図17(c)の上面図に示すように、それぞれのコード支持ユニット5bにおける駆動軸11に対し空転可能な巻取軸52上の昇降コード10の取着位置(図示S)を揃えた上で、それぞれの連結対象のコード支持ユニット5bに対し、対面させたそれぞれの遅延ユニット5aを左右方向のスライド操作で連結する。上述した各実施例1乃至4における遅延ユニット5aには、下角部550bを持つケース部材55a,55bに四角状に凹みを持たせた上角部550aが形成されているため、この上角部550aがヘッドボックス1の上端に係合し、その前後方向及び上下方向のガタツキを抑えつつ、スライドさせることができる。このように、各遅延ユニット5aを初期状態化させそれぞれのコード支持ユニット5bにおける巻取軸52の位置を容易に揃えることができ、左右方向でバランスのよいスラット4の昇降動作を実現可能としている。
また、遅延ユニット5aのケース部材55a,55bには爪部558が形成されているため、コード支持ユニット5bにおける支持ケース50の突起部50bに対し掴持することで、その左右方向のガタツキも抑制される。特に、遅延ユニット5aの爪部558は、連結対象のコード支持ユニット5bにおける突起部50bに対し、ヘッドボックス1の上面の開口から、その掴持する状態を目視できる位置(長さ図16(b)に示す長さL1の範囲内の位置)に形成されているため容易に連結させることができる。従来技法では、巻取軸52に対する駆動軸11の連結状態を確認しながら組み付ける必要があったがその連結状態を目視できないためその組み付け時のコスト(負担)が大きかったが、各実施例1乃至4における遅延ユニット5aでは、この点からもその組み付けに係るコスト(負担)を削減することができる。
尚、各実施例1乃至4における遅延ユニット5aでは、図18(a)に示すように、上述した爪部558により支持ケース50の突起部50bとの嵌合で掴持することで、遅延ユニット5aにおける出力軸部材56の軸部561(図示する例では八角軸)と障害物検知停止装置53のカム軸531の軸孔531a(図示する例では八角軸孔)とを軸連結させる例を説明したが、当該軸部561とカム軸531との直接的な掴持(嵌合)により、当該軸連結を実現する構成とすることもできる。
例えば、図18(b)に示すように当該軸部561とカム軸531との直接的な掴持(嵌合)により、当該軸連結を実現する構成とすることもできる。図18(b)を参照するに、遅延ユニット5aでは、爪部558を設ける代わりに、出力軸部材56の軸部561を円筒状とし、その内周面561aの対向2箇所に凸部561bを設ける。また、軸部561の内周面561aに、駆動軸11の挿通を妨げない態様で、弾性変形可能な係合片561dを対向2箇所の凸部561bと直交する位置に2箇所に設ける。各係合片561dには、内周面561aの軸中心に対し外面上に嵌合用突起部561cが設けられる。一方、障害物検知停止装置53のカム軸531の連結部位を、図18(a)に示す軸孔531aとする代わりに、その外周面上に部位5310と部位5319の段差を持たせた2段外周面形状とし、部位5319の対向2箇所に凹部531bを設ける。また、カム軸531の連結部位の面に、カム軸531の軸孔5313を構成する内周壁より短径で、尚且つ駆動軸11を挿通可能とする嵌合壁531cを設ける。
そして、軸部561の対向2箇所に凸部561bは、カム軸531の部位5319の対向2箇所の凹部531bと係合可能とし、この係合による連結状態では、軸部561の当該連結側先端部がカム軸531の部位5319の部位5310とほぼ当接する位置で、軸部561の弾性変形可能な係合片561dの嵌合用突起部561cが、カム軸531の嵌合壁531cと嵌合して掴持するようにしており、これにより遅延ユニット5aの当該軸部561をカム軸531に対して係止する係止手段として構成している。この係合による連結状態で、支持ケース50は、出力軸部材56の円筒状の軸部561を回転可能に支持する。尚、図18(b)は一例を示すものであり、凸部561bと凹部531bの形状を互いに入れ替えるなど、様々な変形例が想定される。
図18(b)に例示するように当該軸部561とカム軸531を構成し、互いに連結させることで、図18(a)に示すような爪部558及び突起部50bを設けることなく、当該軸部561とカム軸531の回転は相対回転不能に連結し、尚且つ左右方向のずれが生じない態様で、遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに掴持させることができる。
(実施例5)
次に、実施例5の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5について説明する。図19は、本発明による実施例5の遅延ユニット5aの概略構成を示す分解斜視図である。また、図20及び図21は、それぞれ本発明による実施例5の遅延ユニット5aを有する変形例のコード支持装置5の組付け方法と、その概略構成を示す斜視図である。尚、図19乃至図21に示す実施例5の遅延ユニット5a及びコード支持装置5は、上述した実施例1からの変形例として図示している。尚、実施例2乃至4からも同様の変形例を構成することができる。また、上述の各実施例と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
上述した実施例1乃至4では、遅延ユニット5aをコード支持装置5の支持ケース50の外方から並設させる例を説明したが、実施例5では、遅延ユニット5aがコード支持装置5の支持ケース50の内方に支持されて、駆動軸11上にて、巻取軸52がチルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するよう構成した例である。
図19に示すように、実施例5の遅延ユニット5aは、前述した実施例1(図3参照)と同様に、出力軸部材56と、ブレーキスプリング57と、スプリングケース58と、回転中継プレート59と、入力軸部材60とを備えているが、これらを収容するケース部材55の形状と、入力軸部材60の形状が実施例1と比較して一部異なる。
図19を参照するに、実施例5の遅延ユニット5aは、実施例1と比較して、ケース部材55をコード支持装置5の支持ケース50の内方で支持するのに適合した形状で構成し、これに伴う入力軸部材60の形状を変更したものとなっており、出力軸部材56、ブレーキスプリング57、及びスプリングケース58は、種々のコード支持装置5について共用するものとなっている。
実施例5の遅延ユニット5aにおける入力軸部材60は、概ね実施例1と同様の形状を有しているが、入力軸部材60のフランジ604の駆動伝達入力側の面から、駆動軸11上に直結される略四角孔状の軸孔602を有する筒状の軸部606の形状が相違している。
入力軸部材60の軸部606は、遅延ユニット5aがコード支持装置5の支持ケース50の内方に支持されたときに、図20及び図21に示すようにコード支持装置5の支持ケース50における軸受部50cにて回転可能に支持されるようになっている。
そして、出力軸部材56、ブレーキスプリング57、スプリングケース58、及び回転中継プレート59は、実施例1と同様の形状を有しており、入力軸部材60の回転を出力軸部材56へ回転伝達させるまでに、入力軸部材60と回転中継プレート59との間の遅延量と、回転中継プレート59と出力軸部材56との間の遅延量を合計した遅延量を働かせるものとなっている。
実施例5の遅延ユニット5aにおけるケース部材55は、コード支持装置5の支持ケース50の内方で支持するのに適合した形状で構成されており、本例では、出力軸部材56、ブレーキスプリング57、スプリングケース58、回転中継プレート59、及び入力軸部材60を収容する収容部556を有する円筒状の本体に、下角部550bを形成するための略E字断面で下方に延びた脚部550cが設けられている。
ケース部材55の収容部556の周面は、入力軸部材60のフランジ604の周縁を回転可能に支持するとともに、収容部556の周面上に設けられた凸部557がスプリングケース58の一部に設けられた一対の凹部582を係止して、スプリングケース58を回転不能に固定するようになっている。また、出力軸部材56の軸部568及びフランジ567は、それぞれケース部材55の開口側面559a(駆動伝達出力側)における円状開口部559c及び開口側面559aにて相対回転可能に支持される。このため、出力軸部材56の軸部561はケース部材55の円状開口部559cから突出し、障害物検知停止装置53のカム軸531と一体回転可能に係合可能となっている。
このように構成された実施例5の遅延ユニット5aは、図20に示すように、まず、チルトドラム51、巻取軸52、及び障害物検知停止装置53からなるコード支持ユニット5bに対し、遅延ユニット5aにおける出力軸部材56の軸部561が障害物検知停止装置53のカム軸531における軸孔531aへ係合するよう挿通して一体化させる。続いて、支持ケース50の各収容部位50d,50e,50f,50gへ、それぞれ遅延ユニット5a、障害物検知停止装置53、巻取軸52、及びチルトドラム51を載置し収容してコード支持装置5を構成する。そして、図21に示すように、このコード支持装置5に駆動軸11が挿通される。
これにより、実施例5の遅延ユニット5aは、図21に示すように駆動軸11上にて、巻取軸52がチルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するよう障害物検知停止装置53を介して巻取軸52に連結され、コード支持装置5の支持ケース50に収容される。
尚、実施例5の遅延ユニット5aのケース部材55では、脚部550cにおける下角部550bが、左右方向及び前後方向で位置ずれが生じないようコード支持装置5の支持ケース50の内方で安定支持される。そして、ヘッドボックス1内に支持されるコード支持装置5には駆動軸11が挿通されて、遅延ユニット5aの上下方向(並びに左右方向)のずれも生じない。
以上のように、実施例1の遅延ユニット5a及びコード支持装置5を変形して、実施例5のように遅延ユニット5aをコード支持装置5の支持ケース50の内方で支持するように構成しても、1つの駆動軸11でチルトドラム51と巻取軸52の回転を操作可能にするとともに、スラット4の昇降のないチルト操作が望まれる場合に、そのチルト操作によってボトムレール8が昇降してしまうという問題を解決することができる。特に、ボトムレール8が下限位置でない場合に、チルト操作時にスラット畳み込み部分が上昇してからチルトしてしまう問題を解決することができる。
従って、本発明に係る遅延ユニット5aは、1つの駆動軸11によりスラット4の昇降及びチルトの操作を可能とするコード支持装置5のための装置であり、1つの駆動軸11を回転軸中心としチルトドラム51と巻取軸52とをそれぞれ回転可能に支持する支持ケース50の外方又は内方で、当該巻取軸52が当該チルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するよう駆動軸11上にて並設される。
特に、本発明のコード支持装置5は、駆動軸11の回転を所定の遅延量で連動回転する出力軸部(出力軸部材56の軸部561)を有しその出力軸部を巻取軸52の軸受部に直接又は間接的に連結するよう遅延ユニット5aを配置する。
そして、本発明に係る横型ブラインドは、1つの駆動軸11の回転に基づいて、コード巻取装置を構成する複数の巻取軸52による昇降コード10の巻き取り或いは巻き戻しによりスラット4の昇降操作を可能とし、複数のチルトドラム51(又はラダーコード支持部材6のチルトドラム51a)からラダーコード9を吊下し、駆動軸11の回転に基づき回転させて、ラダーコード9に支持されたスラット4の角度を調整可能とし、このスラット4の昇降操作後にスラット4が反転する際、駆動軸11の回転をチルトドラム51(又は51a)に伝達するとともに、スラット4の角度調整中の巻取軸52の回転を阻止し、駆動軸11と巻取軸52とが所定の相対回転後に連動回転するよう構成し、尚且つ当該コード巻取装置及びチルトドラム51(又は51a)を収容するヘッドボックス1に対し回転不能に支持される制動手段(遅延ユニット5aにおけるケース部材55a,55b、ブレーキスプリング57、及びスプリングケース58)を当該コード巻取装置とは別に設け、スラット4の角度調整中の巻取軸52の回転を阻止するよう構成した。
これにより、1つの駆動軸11でチルトドラム51と巻取軸52の回転を操作可能にするとともに、スラット4の昇降のないチルト操作が望まれる場合に、そのチルト操作によってボトムレール8が昇降してしまうという問題を解決することができる。特に、ボトムレール8が下限位置でない場合に、チルト操作時にスラット畳み込み部分が上昇してからチルトしてしまう問題を解決し、組付性を改善し、小型化、汎用性、部品管理負担の軽減、並びに低廉化に寄与する実用性に優れたものとなる。
上述した本発明に係る実施1乃至5の遅延ユニット5aでは、1つの駆動軸11を回転軸中心としチルトドラム51と巻取軸52とをそれぞれ回転可能に支持するコード支持ユニット5bの支持ケース50の外方又は内方で、当該巻取軸52が当該チルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するよう駆動軸11上にて並設されることで、本発明に係る遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに並設させてコード支持装置5を構成する例を説明した。
ただし、遅延ユニット5aを支持ケース50の外方又は内方で設置する際に、必ずしも駆動軸11上にて遅延ユニット5aとコード支持ユニット5bを並設する構成とする必要はなく、例えばギヤ機構やベルト機構などの伝達機構を利用して当該巻取軸52が当該チルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するものとし、駆動軸11の軸外に遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに対し設置することができる。以下、その典型例として、図22を参照して実施例6の遅延ユニット5aを有するコード支持装置5の概略構成を説明する。
(実施例6)
図22は、本発明による実施例6の遅延ユニット5aに関するコード支持装置5の概略構成を示す斜視図である。
図22に示すコード支持装置5は、伝達機構(本例ではギヤ機構を構成する伝達ギヤ102,103,112,113)を介して当該巻取軸52が当該チルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するものとなっており、上ケース101に支持される遅延ユニット5aを、下ケース111で支持してコード支持ユニット5bの外方に設置させることで構成されている。
尚、図22に示すコード支持ユニット5bは、その外方に遅延ユニット5aを設置させる例として、上述した図4に示す実施例1のものと同構造のものを例示しているが、これに限定する必要はない。即ち、コード支持ユニット5bは、上述した図9、図11、又は図20に示すような他の実施例のものとしてもよく、更には、これらの実施例の形状に限定する必要はなく、これらの実施例と同機能を有するコード支持ユニット5bを、本実施例に適合するように適宜形状修整してもよい。
図22に示すコード支持ユニット5bでは、支持ケース50により、駆動軸11を回転軸としてチルトドラム51と巻取軸52を回転可能に支持している。チルトドラム51から垂下されることになるラダーコード9(図1参照)と、巻取軸52から垂下されることになる昇降コード10(図1参照)は、支持ケース50の底面に設けられた導出口50aから導出される。
また、巻取軸52の先端側に、昇降コード10に引き出し方向の張力が作用しないとき当該昇降コード10を支持する巻取軸52の回転を阻止するための障害物検知停止装置53が設けられているが、この障害物検知停止装置53も駆動軸11に対し非連結(非係合)として支持ケース50に支持される。障害物検知停止装置53のケース本体は巻取軸52の先端側に固定されるが、障害物検知停止装置53のケース本体に収容される筒状のカム軸531は、スラット4の下降中にボトムレール8が障害物に衝突すると、昇降コード10の巻き戻しを中止しスラット4及びボトムレール8の下降を停止させるよう必要な遊び(即ち、巻取軸52の回転を阻止する回転量)を有して、巻取軸52の回転と一体となって回転可能となっている。
そして、遅延ユニット5aは、上述した図3、図8、図12、図13、図18、図19等に例示した各実施例と同様の構成とすることができる。図22に例示する遅延ユニット5aは、図12に例示したケース部材55a,55bを、図22に示す上ケース101で支持されるよう形状変更している(特に、爪部558を不要とした形状としている)点を除き同様に機能する形状・構造を有している。即ち、図22に例示する遅延ユニット5aは、出力軸部材56と、ブレーキスプリング57と、スプリングケース58と、回転中継プレート59と、入力軸部材60と、ケース部材55a,55bから構成されている(図12参照)。
遅延ユニット5aにおける入力軸部材60の軸孔602には、この入力軸部材60と一体となって回転する伝達ギヤ102が係着され、その伝達ギヤ102の軸部102aが上ケース101に対し回転可能に支持される。本例では四角棒状の支持軸102bを挿通係合させて入力軸部材60と伝達ギヤ102とが一体となって回転するよう係着する例を示している。尚、このような支持軸102bを利用せずに、入力軸部材60と伝達ギヤ102は予め一体の部材として構成することも可能である。
遅延ユニット5aにおける出力軸部材56の軸部561には、この出力軸部材56と一体となって回転する伝達ギヤ103が係着され、その伝達ギヤ103の軸部103aが上ケース101に対し回転可能に支持される。尚、出力軸部材56と伝達ギヤ103は予め一体の部材として構成することも可能である。
遅延ユニット5aのケース部材55a,55bは、上ケース101に対し相対回転不能に支持される。図22に示す例では、その構造の理解を高めるために、遅延ユニット5aのケース部材55a,55bと上ケース101とを別部材として説明しているが、一体のものとすることもできる。
このようにして、遅延ユニット5aは、入力軸部材60側に伝達ギヤ102を有し、出力軸部材56側に伝達ギヤ103を有し、上ケース101に支持される。
一方、コード支持ユニット5bに挿通される駆動軸11上では、伝達ギヤ112が駆動軸11に対し相対回転不能に設けられ、伝達ギヤ112の軸部112aが下ケース111に対し回転可能に支持される。即ち、伝達ギヤ112の軸孔112bに駆動軸11が相対回転不能に挿通係合されて、駆動軸11が回転すると伝達ギヤ112も回転する。
また、下ケース111には、伝達ギヤ113が駆動軸11に対し相対回転可能(空転可能)に収容される。即ち、伝達ギヤ113の軸孔113bに駆動軸11が相対回転可能(空転可能)に挿通されている。また、伝達ギヤ113の外側六角形の筒状の軸部113aは、障害物検知停止装置53の六角状の軸孔531aを有する筒状のカム軸531と一体回転可能に係合可能となっている。即ち、伝達ギヤ113の外側六角形の筒状の軸部113aは、障害物検知停止装置53の六角状の軸孔531aに一体回転可能に嵌着できるようになっている。
そして、遅延ユニット5aを支持する上ケース101が下ケース111の上方から取着されると(図示する白抜き矢印)、即ち上ケース101の4隅に穿設される取付部101aに対し、下ケース111の4隅に直立する支持片の頂部111aが取着(本例では係合載置)されて固定されると、伝達ギヤ112は遅延ユニット5aにおける入力軸部材60側の伝達ギヤ102と噛合し、伝達ギヤ113は遅延ユニット5aにおける出力軸部材56側の伝達ギヤ103と噛合するようになっている。
下ケース111及びコード支持ユニット5bはヘッドボックス1内でガタツキなく載置されるものであればよく、上ケース101と下ケース111の形状や固定方法は、ヘッドボックス1内でガタツキなく載置するのに適した形状とすることができる。
このようにして、伝達ギヤ113の軸部113aがコード支持ユニット5b内の障害物検知停止装置53におけるカム軸531の軸孔531aに一体回転可能に嵌着された状態で、遅延ユニット5aを支持する上ケース101を、下ケース111の上方から取着させることができる。
このように上ケース101を下ケース111に取着した状態では、まず、駆動軸11の回転が伝達ギヤ112,102を介して遅延ユニット5aにおける入力軸部材60へ伝達され(図示する矢印TR1)、入力軸部材60の回転は遅延ユニット5a内で所定の遅延量で出力軸部材56へ伝達され(図示する矢印TR2)、出力軸部材56の回転は伝達ギヤ103を介して伝達ギヤ113へ伝達され(図示する矢印TR3)、伝達ギヤ113の回転は障害物検知停止装置53のカム軸531へと伝達される。
これにより、1つの駆動軸11でチルトドラム51と巻取軸52の回転を操作可能にするとともに、スラット4の昇降のないチルト操作が望まれる場合に、そのチルト操作によってボトムレール8が昇降してしまうという問題を解決することができる。
また、本実施例では、上ケース101を下ケース111に取着することで、遅延ユニット5aをコード支持ユニット5bに対し設置できるため、上述した図17に示したような位置合わせをより簡単化することができる。
更に、本実施例では、伝達ギヤ112,102、或いは伝達ギヤ103,113における回転伝達に係る減速比を調節することができ、例えば駆動軸11の回転に係る操作負荷を軽減させることができる。
尚、伝達ギヤ113の軸部113aと障害物検知停止装置53のカム軸531とを六角形状で係合させる例を説明したが、その組立性の向上の観点からより多辺からなる係合形状とするのが好適であり、僅かな回転操作で組み付けることができ、その組付性が向上する。
また、本実施例においても、伝達ギヤ113の軸部113aを障害物検知停止装置53のカム軸531へ係合させる例を説明したが、障害物検知停止装置53を介することなく巻取軸52と係合させる形態とする場合でも、本発明に係る作用・効果を発揮させることができる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、主として、障害物検知停止装置53を介する例を説明したが、これに限定することなく、巻取軸52と直接又は間接的に係合させる形態とするものであれば、本発明に係る作用・効果を発揮させることができる。
また、上述した実施形態の例では、主として、コード支持ユニット5bの種別ごとに、遅延ユニット5aを使い分ける例を説明しているが、例えば、図7に示すコード支持ユニット5bに対し実施例2の遅延ユニット5aを適用する代わりに、遅延量を生じさせない回転中継プレート59を用意して実施例1の遅延ユニット5aに適用し、実施例2の遅延ユニット5aを適用した場合と同様の遅延量を得るよう構成することもでき、この場合には、ケース部材55a,55bを共用化させることができる。
(環状の上端部を持つラダーコードを吊下するコード支持装置を備える横型ブライド)
次に、図23を参照して、本発明に係るコード支持装置5L,5M,5Rを備える横型ブラインドを説明する。
まず、図23に示す横型ブラインドでは、ヘッドボックス1内に、本発明に係るコード支持装置5L,5M,5Rがそれぞれヘッドボックス1の左端側、中央側、及び右端側に配設されている。
各コード支持装置5L,5M,5Rは、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対の紐状のラダーコード9を介して多数段のスラット4を吊下支持しており、それぞれのラダーコード9の下端にボトムレール8が吊下支持されている。ヘッドボックス1は、ブラケット7を介して天井側の取付面に固定される。
また、各コード支持装置5L,5M,5Rから、ヘッドボックス1の下面における前後方向略中央部にて、紐状の昇降コード10が垂下され、昇降コード10の下端が各スラット4の前後方向略中央部に設けられた挿通孔(図示せず)を経てボトムレール8に取着されている。尚、昇降コード10の垂下位置に関して、各スラット4の前後方向の端部に沿うようにしてもよい。
即ち、本例における各コード支持装置5L,5M,5Rは、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9を吊下するチルトドラム51と、昇降コード10を巻き取り、又は巻き戻し可能とする傾斜を持たせた長筒状の巻取軸52とを、四角棒状の駆動軸11上で並設して支持ケース50により支持するよう構成されている。また、巻取軸52の先端側に障害物検知停止装置53が設けられている。
特に、本例の各コード支持装置5L,5M,5Rでは、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9の上端部を環状にしてチルトドラム51に掛装することによりラダーコード9を吊下し、チルトドラム51の回転によってラダーコード9の横糸に支持されるスラット4を回動させるようになっている。また、最上段のスラット4には、ラダーコード9の横糸に支持されるスラット4を保持するためのスラット押さえ12が設けられる。スラット押さえ12は、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9の垂下を案内するとともに、最上段のスラット4を支持するラダーコード9の横糸をスラット4とともに保持するようスラット4に対しその下方から係着される。尚、スラット押さえ12には、昇降コード10の移動を妨げないよう切欠き又は挿通孔が設けられている(図示せず)。
このため、その詳細は後述するが、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9の各上端は環状の上端部を形成するよう連結され、チルトドラム51は、所定の摩擦力を持って当該環状の上端部を掛装するV字溝を有している。
ここで、図23に示す各コード支持装置5L,5M,5Rでは、上述した図2等に示す遅延ユニット5aを設けておらず、チルトドラム51及び巻取軸52は駆動軸11に対し相対回転不能に連結される。
ただし、各コード支持装置5L,5M,5Rは、上述した図2に示すコード支持装置5と同様に構成し、チルトドラム51を駆動軸11に対し相対回転不能に連結する一方で、巻取軸52を駆動軸11に対し非連結(非係合)とし、巻取軸52がチルトドラム51の回転に対し所定の遅延量で連動回転するよう作動させる遅延ユニット5aを設ける構成とすることもできる。
また、本例では、コード支持装置5L,5M,5Rとして3つのコード支持装置を横型ブラインドに設ける例を示しているが、2つのコード支持装置を設ける構成とすることや、4つ以上のコード支持装置を設ける構成とすることができる。そして、後述する本発明に係るコード支持装置は、図1に示すラダーコード支持部材6のような、単に、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9を掛装するV字溝を有するチルトドラム51aを支持する装置として構成することもできる。
ヘッドボックス1内の右端側には、操作ユニット2が設けられている。操作ユニット2は、図示する手動式であれば、無端紐状の操作コード3(或いは無端状のボールチェーンでもよい)を掛装可能なプーリー(図示せず)を有し、ヘッドボックス1から外方へ操作コード3が導出されて駆動軸11を回転操作可能となっている。
或いは、操作ユニット2を電動式とする場合には、外部からの操作信号に基づいて駆動軸11を回転操作可能とする電動モーターとすることができる。従って、操作ユニット2の形態は、操作者による操作に応じて駆動軸11の回転へと伝達可能な形態であれば任意の形態とすることができる。
従って、図23に示す横型ブラインドは、操作コード3を操作して駆動軸11を回転させ、この駆動軸11の回転に伴って各コード支持装置5L,5M,5Rにおけるチルトドラム51を回転させることにより、スラット4の角度を調節するチルト操作が可能となっている。そして、このチルト操作に要する回転以上に駆動軸11を回転させると、当該チルト操作によってスラット4が回動した状態を維持しながら、スラット4を上昇又は下降させる昇降操作が可能となっている。
以下、より具体的に、各コード支持装置5L,5M,5Rのうち代表してコード支持装置5Mの構造・動作について、主としてラダーコード9のコード配回しの視点から、従来技法と本発明に係る技法(実施例1乃至4)を順に説明する。
(従来技法に基づくラダーコードのコード配回し)
図24(a)は、従来技法に基づき1本の環状の上端部を持つラダーコード9を吊下するコード支持装置5M周辺の部分的な正面図を示しており、図24(b)は、その1本の環状の上端部を持つラダーコード9に関するコード支持装置5M周辺の側面図(昇降コード10の記載は略す)を示している。
まず、図24(a)に示すように、ヘッドボックス1内に載置されるコード支持装置5Mには、駆動軸11に対し相対回転不能に巻取軸52(非断面図で図示)とチルトドラム51(断面図で図示)が設けられ、それぞれ支持ケース50により支持される。巻取軸52は、昇降コード10の上端を取着して巻き取り、又は巻き戻し可能とする傾斜を持たせた長筒状の形状を有しており、昇降コード10の下端は、例えば各スラット4の前後方向略中央部に設けられた挿通孔(図示せず)を経てボトムレール8に取着される(図23参照)。
多数段のスラット4は、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9間で、所定間隔で設けられる1本或いは2本の横糸9aによりそれぞれ支持される。また、最上段のスラット4には、ラダーコード9の横糸9aに支持されるスラット4を保持するためのスラット押さえ12が設けられる。
そして、図24(b)に示すように、それぞれ室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9の各上端91F,91Rが、従来技法に基づき1本の環状の上端部を形成するよう係止部材(例えばカシメ金属部材)13により連結される。図24(b)に示す例では、係止部材13がスラット4の回動の妨げとならない範囲でスラット4より上方に位置するよう配置している。
チルトドラム51は、図24(a)に示すように、チルトドラム51の中心軸に向かうほど幅が狭くなるV字溝51Vを有しており、V字溝51Vの溝底51bは、ラダーコード9の断面径より狭い幅を持つ。尚、通常のラダーコード9は、完全な丸断面ではなく長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するが、溝底51bは、その短辺よりも狭い幅を持つ。
即ち、チルトドラム51は、V字溝51Vにより所定の摩擦力を持ってラダーコード9の当該環状の上端部を掛装するようになっている。
このように、V字溝51Vにより所定の摩擦力を持ってラダーコード9の当該1本の環状の上端部を掛装するよう構成したチルトドラム51を備えるコード支持装置5Mは、駆動軸11の回転に伴うチルトドラム51の回転によって、ラダーコード9の横糸9aに支持される多数段のスラット4を回動させることが可能となる。
特に、V字溝51Vによりラダーコード9を吊下するよう構成したチルトドラム51は、上述した図7に示すような吊下げ部材511によりラダーコード9を吊下するよう構成するものと比較して、操作コード3による駆動軸11の回転操作に係る負荷を大幅に軽減させることができる点で有利である。
即ち、図7に示すように、吊下げ部材511によりラダーコード9を吊下する構成において、吊下げ部材511は、捩りコイルスプリングで構成され、その捩りコイルスプリングの両端は屈曲してループ状のラダーコード取着部511aと係止端部511bが形成されている。前後一対のラダーコード9の上端はラダーコード取着部511aに取着されて吊下支持される。そして、吊下げ部材511は、チルトドラム51を締め付けて取着され、係止端部511bが支持ケース50に形成される壁部に当接するまでの間はチルトドラム51と一体回転し、係止端部511bが支持ケース50に形成される壁部に当接するとその締め付け力が弱まりチルトドラム51に対し空転する。これにより、チルトドラム51の回転に基づいて、ラダーコード9を介して各スラット4を同位相で角度調節可能としている。しかしながら、この時の操作コード3には、当該吊下げ部材511の締め付け力を弱める力に相当する負荷がかかるため、操作力の軽減の観点からは、図2に示すようなV字溝51Vによりラダーコード9を吊下するよう構成したチルトドラム51とすることが有利となる。
しかしながら、横型ブラインドの形態として、スラット4には様々な長さ及び幅があり、尚且つスラット4の段数も多種であることから、ラダーコード9に係る負荷も多種多様である。このため、横型ブラインドの一形態として、V字溝51Vにより生じさせるラダーコード9に対する摩擦抵抗が不足してしまい、操作コード3における操作力が軽減するものの、V字溝51V上で大きく滑りながらラダーコード9を移送させることになり、操作性が劣化する場合がある。これを改善するため、横型ブラインドの形態ごとにV字溝51Vの形状を変更することも可能であるが、より簡単に当該摩擦抵抗を変更又は調整可能とする技法が望まれる。
また、ラダーコード9に対し摩擦部材を別途設ける技法では、当該摩擦部材がチルトドラム51の回転により接触・非接触状態が変化するため、ラダーコード9の揺動等により当該摩擦部材とチルトドラム51との接触が不十分となって、スラット4の回動不良が生じうる。
そこで、本発明に係るコード支持装置5Mでは、チルトドラム51に形成した外周面(本例では、V字溝51V)にて、所定の摩擦力を持ってラダーコード9の複数本の環状の上端部を掛装し、チルトドラム51の回転によりラダーコード9が追従しスラット4を回動するよう構成しており、その実施例1乃至4のコード支持装置5Mについて、以下に説明する。
(実施例1のコード支持装置)
図25(a)は、本発明による実施例1のコード支持装置5M周辺の部分的な側面図を示しており、図25(b)は、そのコード配回し概略図である。尚、図25(a)は、図24(b)と対比可能に図示しており、巻取軸52や昇降コード10の図示を省略している。尚、巻取軸52を設けることなく、チルトドラム51のみを備える装置とすることもできる。
図25(a),(b)に示すように、ヘッドボックス1内に載置されるコード支持装置5Mには、駆動軸11に対し相対回転不能にチルトドラム51が設けられ、チルトドラム51は支持ケース50により支持される。
多数段のスラット4は、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9間で、所定間隔で設けられる1本或いは2本の横糸9aによりそれぞれ支持される。また、最上段のスラット4には、ラダーコード9の横糸9aに支持されるスラット4を保持するためのスラット押さえ12が設けられる。
図25(a),(b)に示すチルトドラム51は、図24(a)に示すものと同様に、チルトドラム51の中心軸に向かうほど幅が狭くなるV字溝51Vを有しており、V字溝51Vの溝底51bは、ラダーコード9の断面径より狭い幅を持つ。尚、通常のラダーコード9は、完全な丸断面ではなく長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するが、溝底51bは、その短辺よりも狭い幅を持つ。
そして、図25(b)に示すように、室内側に垂下するラダーコード9の上端91Fは、室内側からチルトドラム51のV字溝51Vに掛装された後、係止部材(例えばカシメ金属部材)13aにより室外側に垂下するラダーコード9に係止される。一方、室外側に垂下するラダーコード9の上端91Rは、室外側からチルトドラム51のV字溝51Vに掛装された後、係止部材(例えばカシメ金属部材)13bにより室内側に垂下するラダーコード9に係止される。図25(a),(b)に示す例では、係止部材13a,13bがスラット4の回動の妨げとならない範囲でスラット4より上方に位置するよう配置しているが、係止部材13a,13bがスラット4の回動の妨げとならない範囲でスラット4より下方に位置するよう形成してもよい。
これにより、2本の環状の上端部が形成されたラダーコード9がV字溝51Vに掛装され、チルトドラム51の回転によりラダーコード9が追従しスラット4を回動する際の摩擦抵抗を増大させることができる。
尚、2本の環状の上端部を形成する際に、室内側からのラダーコード9のコード配回しと、室外側からのラダーコード9のコード配回しについて、いずれを上側(又は下側)としてもよいが、スラット4の回動範囲でねじれることが無いよう係止部材13a,13bにより係止する。通常のラダーコード9は、長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するため、2本の環状の上端部を形成する際にねじれの無いようにラダーコード9の面を合わせて係止部材13a,13bにより係止すればよい。
(実施例2のコード支持装置)
図26(a)は、本発明による実施例2のコード支持装置5M周辺の部分的な側面図を示しており、図26(b)は、そのコード配回し概略図である。尚、図26(a)は、図24(b)と対比可能に図示しており、巻取軸52や昇降コード10の図示を省略している。尚、巻取軸52を設けることなく、チルトドラム51のみを備える装置とすることもできる。
図26(a),(b)に示すように、ヘッドボックス1内に載置されるコード支持装置5Mには、駆動軸11に対し相対回転不能にチルトドラム51が設けられ、チルトドラム51は支持ケース50により支持される。
多数段のスラット4は、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9間で、所定間隔で設けられる1本或いは2本の横糸9aによりそれぞれ支持される。また、最上段のスラット4には、ラダーコード9の横糸9aに支持されるスラット4を保持するためのスラット押さえ12が設けられる。
図26(a),(b)に示すチルトドラム51は、図24(a)に示すものと同様に、チルトドラム51の中心軸に向かうほど幅が狭くなるV字溝51Vを有しており、V字溝51Vの溝底51bは、ラダーコード9の断面径より狭い幅を持つ。尚、通常のラダーコード9は、完全な丸断面ではなく長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するが、溝底51bは、その短辺よりも狭い幅を持つ。
そして、図26(b)に示すように、室内側に垂下するラダーコード9の上端91Fは、室内側からチルトドラム51のV字溝51Vに掛装された後、係止部材(例えばカシメ金属部材)13により室外側に垂下するラダーコード9に係止される。一方、室外側に垂下するラダーコード9の上端91Rは、室外側からチルトドラム51のV字溝51Vに掛装された後、最上段の横糸9aに沿って配回し、上記の係止部材(例えばカシメ金属部材)13により、当該上端91Fとともに室外側に垂下するラダーコード9に係止される。図26(a),(b)に示す例では、係止部材13がスラット4の回動の妨げとならない範囲でスラット4より上方に位置するよう配置しているが、係止部材13がスラット4の回動の妨げとならない範囲でスラット4より下方に位置するよう形成してもよい。
これにより、2本の環状の上端部が形成されたラダーコード9がV字溝51Vに掛装され、チルトドラム51の回転によりラダーコード9が追従しスラット4を回動する際の摩擦抵抗を増大させることができる。
また、図26に示す実施例2では、図25に示す実施例1と比較して、係止部材13が室外側に位置するため、意匠性を損なうことなく、当該摩擦抵抗を増大させることができる。
本例においても、2本の環状の上端部を形成する際に、室内側からのラダーコード9のコード配回しと、室外側からのラダーコード9のコード配回しについて、いずれを上側(又は下側)としてもよいが、スラット4の回動範囲でねじれることが無いよう係止部材13により係止する。通常のラダーコード9は、長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するため、2本の環状の上端部を形成する際にねじれの無いようにラダーコード9の面を合わせて係止部材13により係止すればよい。
(実施例3のコード支持装置)
図27(a)は、本発明による実施例3のコード支持装置5M周辺の部分的な側面図を示しており、図27(b)は、そのコード配回し概略図である。尚、図27(a)は、図24(b)と対比可能に図示しており、巻取軸52や昇降コード10の図示を省略している。尚、巻取軸52を設けることなく、チルトドラム51のみを備える装置とすることもできる。
図27(a),(b)に示すように、ヘッドボックス1内に載置されるコード支持装置5Mには、駆動軸11に対し相対回転不能にチルトドラム51が設けられ、チルトドラム51は支持ケース50により支持される。
多数段のスラット4は、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9間で、所定間隔で設けられる1本或いは2本の横糸9aによりそれぞれ支持される。また、最上段のスラット4には、ラダーコード9の横糸9aに支持されるスラット4を保持するためのスラット押さえ12が設けられる。
図27(a),(b)に示すチルトドラム51は、図24(a)に示すものと同様に、チルトドラム51の中心軸に向かうほど幅が狭くなるV字溝51Vを有しており、V字溝51Vの溝底51bは、ラダーコード9の断面径より狭い幅を持つ。尚、通常のラダーコード9は、完全な丸断面ではなく長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するが、溝底51bは、その短辺よりも狭い幅を持つ。
そして、図27(b)に示すように、室内側に垂下するラダーコード9の上端91Fは、室内側からチルトドラム51のV字溝51Vに掛装された後、係止部材(例えばカシメ金属部材)13aにより室外側に垂下するラダーコード9に係止される。一方、室外側に垂下するラダーコード9の上端91Rは、室外側からチルトドラム51のV字溝51Vに掛装された後、最上段の横糸9aに沿って配回し、更に別の係止部材(例えばカシメ金属部材)13bにより、室外側に垂下するラダーコード9に係止される。図27(a),(b)に示す例では、2箇所の係止部材13a,13bがスラット4の回動の妨げとならない範囲でスラット4より上方及び下方にそれぞれ位置するよう配置しているが、2箇所の係止部材13a,13bをいずれもスラット4の回動の妨げとならない範囲でスラット4より下方(或いは上方)に位置するよう形成してもよい。
これにより、2本の環状の上端部が形成されたラダーコード9がV字溝51Vに掛装され、チルトドラム51の回転によりラダーコード9が追従しスラット4を回動する際の摩擦抵抗を増大させることができる。
また、図27に示す実施例3では、図25に示す実施例1と比較して、係止部材13a,13bがいずれも室外側に位置するため、図26に示す実施例2と同様に、意匠性を損なうことなく、当該摩擦抵抗を増大させることができる。
また、前述した図26に示す実施例2では係止部材13によって3本のラダーコード9を係止することになるため、その作業性の負担が大きくなりうるが、図27に示す実施例3では、個々の係止部材13a,13bによって係止するコード本数を2本とすることができるため、作業性の負担を軽減させることができる。
本例においても、2本の環状の上端部を形成する際に、室内側からのラダーコード9のコード配回しと、室外側からのラダーコード9のコード配回しについて、いずれを上側(又は下側)としてもよいが、スラット4の回動範囲でねじれることが無いよう2箇所の係止部材13a,13bにより係止する。通常のラダーコード9は、長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するため、2本の環状の上端部を形成する際にねじれの無いようにラダーコード9の面を合わせて2箇所の係止部材13a,13bにより係止すればよい。
(実施例4のコード支持装置)
図28(a)は、本発明による実施例4のコード支持装置5M周辺の部分的な側面図を示しており、図28(b)は、そのコード配回し概略図である。尚、図28(a)は、図24(b)と対比可能に図示しており、巻取軸52や昇降コード10の図示を省略している。尚、巻取軸52を設けることなく、チルトドラム51のみを備える装置とすることもできる。
図28(a),(b)に示すように、ヘッドボックス1内に載置されるコード支持装置5Mには、駆動軸11に対し相対回転不能にチルトドラム51が設けられ、チルトドラム51は支持ケース50により支持される。
多数段のスラット4は、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード9間で、所定間隔で設けられる1本或いは2本の横糸9aによりそれぞれ支持される。また、最上段のスラット4には、ラダーコード9の横糸9aに支持されるスラット4を保持するためのスラット押さえ12が設けられる。
図28(a),(b)に示すチルトドラム51は、図24(a)に示すものと同様に、チルトドラム51の中心軸に向かうほど幅が狭くなるV字溝51Vを有しており、V字溝51Vの溝底51bは、ラダーコード9の断面径より狭い幅を持つ。尚、通常のラダーコード9は、完全な丸断面ではなく長辺及び短辺を持つ略正方状の断面形状を有するが、溝底51bは、その短辺よりも狭い幅を持つ。
そして、図28(b)に示すように、室内側に垂下するラダーコード9の上端91Fは、室内側からチルトドラム51のV字溝51Vに1回目の掛装が行われた後、最上段の横糸9aに沿って配回し、再度、V字溝51Vに2回目の掛装が行われ、その後、係止部材(例えばカシメ金属部材)13bにより室外側に垂下するラダーコード9に係止される。一方、室外側に垂下するラダーコード9の上端91Rは、V字溝51Vに対する室内側に垂下するラダーコード9の1回目の掛装が行われた時のコード部位に対し更に別の係止部材(例えばカシメ金属部材)13aにより係止される。
これにより、2本の環状の上端部が形成されたラダーコード9がV字溝51Vに掛装され、チルトドラム51の回転によりラダーコード9が追従しスラット4を回動する際の摩擦抵抗を増大させることができる。
また、図28に示す実施例4では、図25に示す実施例1と比較して、係止部材13a,13bがいずれも室外側に位置するため、図26及び図27に示す実施例2,3と同様に、意匠性を損なうことなく、当該摩擦抵抗を増大させることができる。
また、前述した図26に示す実施例2では係止部材13によって3本のラダーコード9を係止することになるため、その作業性の負担が大きくなりうるが、図28に示す実施例4では、個々の係止部材13a,13bによって係止するコード本数を2本とすることができるため、作業性の負担を軽減させることができる。
本例においても、2本の環状の上端部を形成する際に、室内側からのラダーコード9のコード配回しについて、いずれを上側(又は下側)としてもよいが、スラット4の回動範囲でねじれることが無いよう2箇所の係止部材13a,13bにより係止する。
以上、図25乃至図28に関して特定の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施例では、主として、図23に示す横型ブラインドにおいて、左右方向の中央に位置するコード支持装置5Mについて、図25乃至図28に示すコード配回しを適用する例を説明しているが、コード支持装置5L,5R,5Mの全てについて図27に示すコード配回しを適用することができる。
ただし、コード支持装置5Mについてのみ図25乃至図28に示すコード配回しを適用し、その他のコード支持装置5L,5Rについては図24(b)に示すコード配回しを適用するとしてもよい。或いは、コード支持装置5L,5Rについてのみ図25乃至図28に示すコード配回しを適用し、コード支持装置5Mについては図24(b)に示すコード配回しを適用するとしてもよい。即ち、更に多数のコード支持装置が設けられる場合も含み、左右方向にバランスの良い態様で、図25乃至図28に示すコード配回しを適用する。これにより、多種多様の横型ブラインドに対し、当該掛装に係る摩擦抵抗を変更又は調整可能となる。
更に、図25乃至図28に関して実施例1乃至4のコード支持装置を適宜組み合わせることで、より一層、多種多様の横型ブラインドに対し、当該掛装に係る摩擦抵抗を変更又は調整可能となる。
また、上述した図25乃至図28に示す実施例1乃至4のコード支持装置の例では、室内側及び室外側の一対のラダーコード9に対し2本の環状の上端部を形成してV字溝51Vに掛装する例を説明したが、3本以上の環状の上端部を形成してV字溝51Vに掛装する形態としてもよい。
更に、上述した例では室内側及び室外側の一対のラダーコード9に対し複数本の環状の上端部を形成するべく係止部材13(或いは13a,13b)により係止する例を説明したが、接着、溶着、縫製等の任意の係止手段で係止する形態とすることができる。
更に、上述した例では、ラダーコード9の断面形状として略正方状の断面形状とし、チルトドラム51の外周面としてV字溝51Vとする特定の形状を例に説明したが、これに限定する必要はなく、所定の摩擦力を生じさせる形状であれば任意断面形状のラダーコード9及びこれを掛装する任意形状のチルトドラム51の外周面とすることができる。