JP2018008308A - フォージングロール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロール軸の周方向に複数の金型を並べて配置することができ、且つ、材料保持搬送部とロール軸との干渉が生じ難いフォージングロール装置を提供する。
【解決手段】このフォージングロール装置は、互いの軸芯が平行に並び、各々に金型が取り付けられる一対のロール軸(10)と、被成形材料を一対のロール軸の間へ搬送する材料保持搬送部(60)とを備え、一対のロール軸の各々は、周方向に配置された複数の金型取付け面(11a〜11d)を有し、各ロール軸における複数の金型取付け面の何れか2つの間の外周面は軸芯を中心とする円筒面(L1)より平面に近い構成とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、フォージングロール装置に関する。
フォージングロール装置は、被成形材料に荷重をかけて被成形材料を成形する装置である。フォージングロール装置は、例えば、鍛造品の歩留まりを向上するために、鍛造プレスの上流で被成形材料の予備成形を行う。
一般に、フォージングロール装置は、対向した一対のロール軸と、一対のロール軸に取り付けられた複数の金型と、被成形材料を搬送するマニプレータとを備える。一対のロール軸が回転すると、一対の金型が対向および近接する。その際、マニプレータが被成形材料を一対のロール軸の間へ搬送する。これにより、被成形材料が一対の金型に噛み込まれて成形される。
特許文献1には、複数の金型がロール軸の周方向に並んで取り付けられたフォージングロール装置が開示されている。この構成によれば、一対のロール軸が回転することで、複数種類の一対の金型が順に対向および近接する。これにより、1台のフォージングロール装置で複数種類の金型を用いた成形を行うことができる。例えば、複数種類の金型としては、被成形材料の素材形状から予備成形品の完成形状に徐々に近づける型形状を有するものを適用できる。このような複数の金型を順に用いて複数回の成形を行うことで、精度の高い良質な成形品が得られる。
他方、複数の金型がロール軸の軸方向に並んで取り付けられる構成を採用しても、1台のフォージングロール装置で複数種類の金型を用いた成形を行うことができる。しかし、この構成では、ロール軸の軸長が長くなり、成形時のロール軸の撓みが大きくなる。前述した特許文献1のフォージングロール装置は、ロール軸の撓みを大きくすることなく、複数種類の金型を用いた成形を行うことができる。
特開2008−238218号公報
特許文献1のフォージングロール装置は、円柱形状のロール軸を有する。そして、ロール軸の円筒面状の外周面に複数の金型が取り付けられている。従って、周方向に並んだ複数の金型の間には、断面が円弧状のロール軸の外周面が存在する。このため、一対のロール軸の間の空間が狭くなり、マニプレータが被成形材料を一対のロール軸の間に搬送する際、マニプレータがロール軸に干渉する恐れがある。
本発明は、ロール軸の周方向に複数の金型を並べて配置することができ、且つ、材料保持搬送部(例えばマニプレータ)とロール軸との干渉が生じ難いフォージングロール装置を提供することを目的とする。
本発明に係るフォージングロール装置は、
互いの軸芯が平行に並び、各々に金型が取り付けられる一対のロール軸と、
保持した被成形材料を前記一対のロール軸の間へ搬送する材料保持搬送部と、
を備え、
前記一対のロール軸の各々は、周方向に配置された複数の金型取付け面を有し、
前記各ロール軸における前記複数の金型取付け面の何れか2つの間の外周面は軸芯を中心とする円筒面より平面に近い構成とした。
本発明によれば、ロール軸の周方向に複数の金型を並べて配置することができ、且つ、材料保持搬送部とロール軸との干渉が生じ難いフォージングロール装置を提供できる。
本発明の実施形態に係るフォージングロール装置を示す斜視図である。 ロール軸における金型取付け面の箇所を示す一部破断の側面図である。 金型の取付け構造とロール軸の支持構造とを示す一部破断の平面図である。 一対のロール軸の軸間距離を変更する調整機構を示す側面図である。 実施形態に係るフォージングロール装置の成形工程の第1ステップ(a)〜第4ステップ(d)を示す図である。 実施形態に係るフォージングロール装置の成形工程の第5ステップ(a)〜第8ステップ(d)を示す図である。 実施形態に係るフォージングロール装置の成形工程の第9ステップ(a)〜第12ステップ(d)を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るフォージングロール装置を示す斜視図である。図2は、ロール軸における金型取付け面の箇所を示す一部破断の側面図である。
本発明の実施形態に係るフォージングロール装置1は、金属の被成形材料Mに圧力を加えて、被成形材料Mを成形する装置である。フォージングロール装置1は、例えば、鍛造品の歩留まりを向上するために鍛造プレスの上流で使用され、被成形材料Mの予備成形を行う。フォージングロール装置1は、一対のロール軸10と、複数の金型20a、20bと、駆動装置30と、伝達機構40と、フレーム50と、調整機構55と、マニプレータ60と、制御部70とを備える。マニプレータ60は、本発明に係る材料保持搬送部の一例に相当する。
一対のロール軸10は、互いの軸芯が平行になるよう並べられ、調整機構55を介してフレーム50に支持されている。図2に示すように、各ロール軸10は、周方向に複数の金型取付け面11a〜11dを有する。複数の金型取付け面11a〜11dのうち、成形工程で同時に金型が取り付けられる面は、互いに反対方向に配置された2つの金型取付け面11a、11c(又は11b、11d)である。従って、1つのロール軸10に複数の金型20a、20bが取り付けられた場合、金型20a、20bの有る2つの金型取付け面11a、11cの間に、金型の無い金型取付け面11b、11dが配置される。以下、ロール軸10の周方向に沿って金型が取り付けられていない区間のことを「間隙区間T1」と記す。
金型取付け面11a〜11dは、平面を含んだ形状を有する。具体的には、各金型取付け面11a〜11dは、半分以上の領域が平面形状であり、より具体的には、1つの平面にキー溝Dが形成された形状を有する。キー溝Dは、ロール軸10の周方向に沿って各金型取付け面11a〜11dの中央に設けられている。キー溝Dには、キーKが締結されている。キーKは、金型取付け面11a、11cの平面部分よりロール軸10の半径方向に突出し、金型20a、20bが周方向に移動しないように、金型20a、20bと係合される。
ロール軸10は、金型のない間隙区間T1において、軸芯CLを中心とする円筒面(図2中に二点鎖線L1で示す)よりも平面に近い外周面を有する。ここで、円筒面とは図2中に二点鎖線L1で示すように、金型取付け面11a、11cの周方向の一方にある縁部と同一半径を有する円筒面を意味する。また、平面とは、2つの金型取付け面11a、11cのうち周方向に並列される4つの縁部のうち隣接する2つの縁部を結ぶ1つの平面を意味する。このような構成により、一対のロール軸10の間隙区間T1が対向した際、一対のロール軸10の間には比較的に広い空間が設けられる。
なお、本実施形態では、前述したように、ロール軸10の間隙区間T1の外周面は、金型が取り付けられていない金型取付け面11b、11dである。特に制限されないが、これらの金型取付け面11b、11dのキー溝Dには、ブロックBが締結されている。ブロックBは、キーKのように金型取付け面11b、11dから半径方向に突出しない。
金型20a、20bは、外周側に被成形物Mに圧力を加える型が形成され、内周側(裏面側)に金型取付け面11a〜11dに対応する平面部と、キーKが嵌入されるキー溝とを有する。キー溝は、平面部におけるロール軸10の周方向の中央に設けられている。
複数の金型20a、20bには、第1組の一対の金型20aと第2組の一対の金型20bとが含まれる。第1組の金型20aと第2組の金型20bとは、各ロール軸10に1つずつ取り付けられている。第1組の一対の金型20aは、一対のロール軸10が所定の回転角のときに近接および対向して、被成形材料Mの1パス目の成形を行う。第2組の一対の金型20bは、一対のロール軸10が所定の回転角のときに近接および対向して、被成形材料Mの2パス目の成形を行う。「1パス」と「2パス」とは、被成形材料Mが一対の金型の間を通過して成形される回数を意味する。
図3は、金型の取付け構造とロール軸の支持構造とを示す一部破断の平面図である。
金型20a、20bは、キーKの嵌合と、ロール軸10の軸方向からの挟持によって、ロール軸10に固定されている。詳細には、図3に示すように、金型20a、20bの一方の側面は、当て板13を介してロール軸10のフランジ12に接触している。また、金型20a、20bの他方の側面には、軸芯CLに近づくほど突出量が増す方向に傾斜する突起Fが設けられている。さらに、ロール軸10には、金型20a、20bの突起Fに接触するクサビ15が締結されている。このような構成により、クサビ15が突起Fを加圧して金型20a、20bをロール軸10の軸方向及び半径方向へ力を及ぼし、金型20a、20bが高い強度でロール軸10に固定されている。
駆動装置30(図1を参照)は、一対のサーボモータ(不図示)と、一対の減速機(不図示)とを有する。一対のサーボモータは、一対の減速機および伝達機構40を介して一対のロール軸10にそれぞれ連結されている。サーボモータは、回転角を検出しながら一対のロール軸10を駆動する。
伝達機構40は、減速機を介したサーボモータの回転運動をロール軸10に伝達する。伝達機構40は、ユニバーサルジョイントを有し、ロール軸10の軸間の変化に追従する。
フレーム50は、調整機構55を介してロール軸10を回転可能に支持する。
図4は、一対のロール軸の軸間距離を変更する調整機構を示す側面図である。
調整機構55は、一対のロール軸10の軸間距離を変える機構である。調整機構55は、4つの偏心ギア51と、4つの偏心ギア51を駆動する減速機52およびモータ53とを有する(図1を参照)。各偏心ギア51の内周側には、ロール軸10の一端部10a、或いは、他方部10bを回転可能に支持する軸受け51aが設けられている(図3を参照)。偏心ギア51の回転中心O1と軸受け51aの中心O2とは偏心している(図4を参照)。
4つの偏心ギア51は、フレーム50の4つの軸受け51aにそれぞれ回転可能に支持されている。軸方向の一方に配置された2つの偏心ギア51は互いに噛合って逆方向に回転する。軸方向の他方に配置された2つの偏心ギア51も同様である。減速機52はギア52aを介して軸方向の一方と他方の偏心ギア51と連結されている。
このような構成により、モータ53が駆動すると、4つの偏心ギア51は同一の回転角度だけ回転する。上方の偏心ギア51と下方の偏心ギア51とは互いに逆向きに回転する。4つの偏心ギア51が回転すると、上方の偏心ギア51の軸受け51aと、下方の偏心ギア51の軸受け51aとが、上下方向において、互いに逆向きに等量だけ変化する。これにより、一対のロール軸10の軸間距離は変化する。さらに、軸間距離が変化しても、一対のロール軸10の間を通る中央の直線(一対のロール軸10の中間の中央の点を通り、ロール軸10の周方向に延びる直線)は変位しない。よって、マニプレータ60が、一対のロール軸10の間の中央の直線上を進退する場合、一対のロール軸10の軸間が変化しても、マニプレータと一対のロール軸10との距離は一方に偏らない。
マニプレータ60は、被成形材料Mを把持する把持部61(図2を参照)と、把持部61を前進および後退させる図示略の進退機構とを有する。把持部61は、マニプレータ60の先端に配置される。進退機構は、把持部61を、一対のロール軸10の間の中央の直線SLに沿って、この直線上を移動させる。また、進退機構は、この直線を中心とする回転方向に把持部61を少なくとも90°捻ることができる。
制御部70は、駆動装置30のサーボモータ(不図示)およびマニプレータ60の動作を制御する。制御部70は、さらに、調整機構55のモータ53を制御してもよい。
<成形工程>
続いて、実施形態のフォージングロール装置1による成形工程について説明する。
図5〜図7は、実施形態のフォージングロール装置の成形工程を示す説明図である。図5(a)〜図5(d)はその第1ステップ〜第4ステップを示す。図6(a)〜図6(d)はその第5ステップ〜第8ステップを示す。図7(a)〜図7(d)はその第9ステップ〜第12ステップを示す。
図5(a)に示すように、成形工程のスタート時には、一対のロール軸10は間隙区間T1が対向する回転角度で停止する。さらに、マニプレータ60は間隙区間T1の間を通過して把持部61をスタンバイ位置に配置する。スタンバイ位置は、一対のロール軸10から十分に離れており、ロボットRは金型20a、20bに干渉することなく被成形材料Mを把持部61まで搬送することができる。成形工程のスタート時において、把持部61は、ロボットRから被成形材料Mを受け渡される。
把持部61が被成形材料Mを把持したら、図5(b)に示すように、マニプレータ60は後退して、把持部61を一対のロール軸10の中間の位置まで移動する。そして、図5(c)、図5(d)、図6(a)に示すように、駆動装置30の駆動により一対のロール軸10が回転し、第1組の一対の金型20aが一端から他端にかけて順次近接および対向する。これに連動して、マニプレータ60が、ロール軸10の回転に同期して後退する。
これらの動作によって、被成形材料Mの1パス目の成形が行われる。詳細には、先ず、把持部61に把持されている被成形材料Mの一端部が、一対の金型20aの一端部に噛み込まれる(図5(c))。続いて、一対の金型20aの対向する部位が金型20aの一端部から他端部へと順に移り、同時に、被成形材料Mが移動して、一対の金型20aに噛み込まれる箇所が一端部から他端部へと順に移る(図5(d))。その後、被成形材料Mが一対の金型20aから解放されて、金型20aと干渉しない位置まで後退する(図6(a))。この間、被成形材料Mは一対の金型20aに加圧されて成形される。
1パス目の成形が完了したら、ロール軸10は、同一方向に回転し、金型のない間隙区間T1が対向する回転角度で停止する(図6(b))。その後、マニプレータ60が前進して、被成形材料Mを2パス目の成形開始の位置へ移動する(図6(c))。ここで、マニプレータ60は、進行方向に対して捩りの方向に被成形材料Mを90°回転させてもよい。この回転により、被成形物に圧力を加える方向を、1パス目の成形と2パス目の成形とで90度、異ならせることができる。
続いて、図6(d)、図7(a)、図7(b)に示すように、駆動装置30の駆動により一対のロール軸10が回転し、第2組の一対の金型20bが一端から他端にかけて順次近接および対向する。これに連動して、マニプレータ60が、ロール軸10の回転に同期して後退する。これらの動作によって、被成形材料Mの2パス目の成形が行われる。詳細には、先ず、把持部61に把持されている被成形材料Mの一端部が、一対の金型20bの一端部に噛み込まれる(図6(d))。続いて、一対の金型20bの対向する部位が金型20bの一端部から他端部へと移り、同時に、被成形材料Mが移動して、一対の金型20bの噛み込まれる箇所が一端部から他端部へと移る(図7(a))。その後、被成形材料Mが一対の金型20bから解放されて、金型20bと干渉しない位置まで後退する(図7(b))。
続いて、ロール軸10は、同一方向に回転し、金型のない間隙区間T1が対向する回転角度で停止する(図7(c))。加えて、マニプレータ60が、被成形材料Mの受け渡し箇所まで後退する。さらに、ロボットRがマニプレータ60から被成形材料Mを受け取って、1つの被成形材料Mの成形工程が終了する(図7(d))。
上述した成形工程のロール軸10とマニプレータ60との連動した動作は、制御部70が駆動装置30のサーボモータとマニプレータ60とを制御することにより実現される。
<軸間調整>
次に、一対のロール軸10の軸間距離の調整機能について説明する。
軸間距離の調整は、被成形材料Mの成形によって所定の寸法精度が得られない場合に、寸法精度を上げる目的で行われる。例えば、利用者は、フォージングロール装置1を用いて、被成形材料Mの試しの成形処理を行う。そして、試しの成形処理後に、利用者は、被成形材料Mの寸法を測定し、所望の寸法精度が得られているか確認する。例えば、利用者は、被成形材料Mの厚みが極大となる部分、或いは、節となる部分など、必要な部分の寸法を測定し、目標の寸法と比較する。
ここで、被成形材料Mの寸法が目標の寸法より大きければ、利用者は、調整機構55を駆動して、一対のロール軸10の軸間を小さくする。これにより、一対の金型20a或いは金型20bが近接および対向する距離が小さくなる。従って、金型20a或いは金型20bにより被成形材料Mに加えられる圧力を大きくすることができる。そして、被成形材料Mの成形後の寸法を目標の寸法に近づけることができる。
一方、被成形材料Mの寸法が目標の寸法より小さければ、利用者は、調整機構55を駆動して、一対のロール軸10の軸間を大きくする。これにより、一対の金型20a或いは金型20bが近接および対向する距離が大きくなる。従って、金型20a或いは金型20bにより被成形材料Mに加えられる圧力を小さくすることができる。これにより、被成形材料Mの成形後の寸法を目標の寸法に近づけることができる。
なお、ロール軸10の軸間調整は、試しの成形処理における第1組の一対の金型20aの成形後に行ってもよいし、第2組の一対の金型20bの成形後に行ってもよい。また、第1組の一対の金型20aの成形に適した軸間長さと、第2組の一対の金型20bの成形に適した軸間長さとが異なる場合がある。この場合、一回の成形工程の途中に、一対のロール軸10の軸間を変える工程を追加してもよい。具体的には、制御部70は、図5(b)の1パス目の待機時に第1組の一対の金型20aに対応する軸間の変更を行い、図6(c)の2パス目の待機時に第2組の一対の金型20bに対応する軸間の変更を行えばよい。さらに、この場合、制御部70は、調整機構55のモータの駆動量を予め記憶し、1回の成形工程の途中で自動的に調整機構55を動作させるように構成することが好ましい。
以上のように、本実施形態のフォージングロール装置1によれば、各ロール軸10において、2つの金型20aが取り付けられる金型取付け面11a、11cの間に、金型が取り付けられない間隙区間T1がある。そして、各ロール軸10の間隙区間T1の外周面は、ロール軸10の軸芯CLを中心とする円筒面(図2の二点鎖線L1を参照)より平面に近い。従って、一対のロール軸10の間隙区間T1の外周面が対向したときに、この間に比較的に大きな空間が設けられる。よって、マニプレータ60が一対のロール軸10の間で移動する際に、ロール軸10とマニプレータ60との干渉が生じ難い。
また、本実施形態のフォージングロール装置1によれば、各ロール軸10の金型取付け面11a〜11dが、平面を含んだ形状である。具体的には、各金型取付け面11a〜11dは、半分以上の領域が平面形状である。より具体的には、各金型取付け面11a〜11dは、1つの平面にキー溝Dが設けられた形状である。このような構成によれば、金型20a、20bの裏面を平面状にすることができる。金型20a、20bは、一体的な金属に切削等の加工処理を施して製造される。従って、金型20a、20bの、片面が平面状であることで、加工精度が向上し、製造コストを大幅に低減できる。さらに、金型取付け面11a〜11dおよび金型20a、20bの裏面が平面状なので、ロール軸10の周方向において各金型取付け面11a〜11dの中央にキーKを配置できる。言い換えれば、金型20a、20bの裏面にキーKを配置できる。従って、従来の構成のように、ロール軸10の間隙区間T1に、キーKが配置されることがない。よって、マニプレータ60が一対のロール軸10の間を移動する際に、マニプレータ60がキーKに干渉することもない。
さらに、本実施形態のフォージングロール装置1によれば、各ロール軸10の間隙区間T1には、他の金型取付け面11b、11dが設けられている。金型20a、20bが取り付けられた金型取付け面11a、11cは、金型20a、20bからの高い圧力が加わるため、成形工程の運転回数が多くなるに従って劣化が進む。従って、金型取付け面11a〜11dを2組に分けて、一方の組みの金型取付け面11a、11cが劣化したら、他方の組みの金型取付け面11b、11dを使用するという方法を採用できる。或いは、第1組の金型取付け面11a、11cと第2組の金型取付け面11b、11dとを交互に使用するという方法を採用できる。これにより、一対のロール軸10の寿命を大幅に伸ばすことができる。
また、本実施形態のフォージングロール装置1によれば、調整機構55は、一対のロール軸10の両方を等量移動させて軸間を変位する。従って、軸間調整が行われても、マニプレータ60と一方のロール軸10との距離と、マニプレータ60と他方のロール軸10との距離とに偏りが生じない。よって、軸間調整が行われても、マニプレータ60が進退する経路を変更せずに、マニプレータ60とロール軸10との干渉を避けることができる。
一対のロール軸10の両方を変位する調整機構55を設けるには、一対のロール軸が並ぶ方向に2つの偏心ギア51を並列できるスペースが必要となる。偏心ギア51は、内周側に軸受け51aを有し、且つ、高い圧力に耐える必要があることから、半径方向に大きくなる。よって、2つの偏心ギア51を並べるには大きなスペースが必要となる。一方、本実施形態では、ロール軸10の金型取付け面11a〜11dに対応して、裏面を平面状にした金型20a、20bを採用できる。裏面が平面状である金型20a、20bは、容易に、ロール軸10の半径方向の厚みを大きくすることができる。その結果、一対のロール軸10の径を大きくせずに、容易に、これらの軸間距離を長く設計することができる。従って、本実施形態によれば、一対のロール軸10の軸間距離を長くして、半径方向に大きい2つの偏心ギア51を並べるスペースを容易に確保することができ、上述の調整機構55を容易に設けることができる。
また、本実施形態のフォージングロール装置1によれば、一対のロール軸10とマニプレータ60とが図5〜図7に示したように同期して制御される。これにより、一対のロール軸10が一回転する間に、1つの被成形材料Mの1パス目の成形と2パス目の成形とを連続的に行うことができる。
以上、本実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、各ロール軸10において金型が存在しない間隙区間T1の外周面が、別の金型取付け面11b、11dである構成を例にとって説明した。しかしながら、間隙区間T1の外周面は、金型取付け面でなくても良い。また、上記実施形態では、ロール軸10の間隙区間T1の外周面が平面状であると説明したが、平面状でなく、軸芯CLを中心とする円筒面より平面に近い形状であればよい。例えば、間隙区間T1の外周面は、平面より凹んだ曲面形状としてもよいし、平面に近い凸面形状としてもよい。また、間隙区間T1の外周面は凹凸を有する形状としてもよい。
また、上記実施形態では、金型取付け面11a〜11dが、平面にキー溝を有する形状とした。しかし、金型取付け面は、例えば、断面が多角形状となるように複数の平面を含んだ形状としてもよいし、平面の周囲に面取りの丸みを有する形状など、一部に曲面が含まれる形状であってもよい。金型取付け面は、半分以上の範囲が平面であると効果的である。
また、上記実施形態では、ロール軸10の周方向に回転角90°の範囲毎に、金型が取り付けられる金型取付け面11a、11cと、間隙区間T1とが並ぶ構成を示した。しかし、例えば、ロール軸10の周方向に、回転角120°の範囲毎に、金型取付け面と、間隙区間T1と、金型取付け面とが並ぶ構成としてもよい。また、ロール軸の周方向に、回転角60°の範囲毎に、金型取付け面と、間隙区間とが交互に並ぶ構成としてもよい。また、各金型取付け面が占める角度範囲と、各間隙区間T1が占める角度範囲は等しくなくてもよい。
また、上記実施形態では、マニプレータ60が後退するときに被成形材料Mが成形される構成を示したが、マニプレータ60が進行するときに被成形材料Mが成形される構成としてもよい。また、上記実施形態では、一対のロール軸10を上下に並べて配置する構成を例にとって、各部の方向および各部の動作方向について説明した。しかし、一対のロール軸10が並ぶ方向は水平方向など別の方向としてもよい。その場合、説明中に示した各部の方向および各部の動作方向は、一対のロール軸10が並ぶ方向に対応させて別の方向に読み替えればよい。
また、上記実施形態で示した調整機構55は省略してもよいし、伝達機構40を省略してロール軸10に駆動装置30が直接に接続される構成を採用してもよい。
また、上記実施形態では、フォージングロール装置を被成形物の予備成形に使用する構成を例にとって説明したが、フォージングロール装置は予備成形以外の成形(例えば本成形)に使用されてもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 フォージングロール装置
10 ロール軸
11a〜11d 金型取付け面
20a 第1組の一対の金型
20b 第2組の一対の金型
55 調整機構
60 マニプレータ(材料保持搬送部)
70 制御部
CL 軸芯

Claims (4)

  1. 互いの軸芯が平行に並び、各々に金型が取り付けられる一対のロール軸と、
    保持した被成形材料を前記一対のロール軸の間へ搬送する材料保持搬送部と、
    を備え、
    前記一対のロール軸の各々は、周方向に配置された複数の金型取付け面を有し、
    前記各ロール軸における前記複数の金型取付け面の何れか2つの間の外周面は軸芯を中心とする円筒面より平面に近い、
    フォージングロール装置。
  2. 前記金型取付け面は平面を含んだ形状である、
    請求項1記載のフォージングロール装置。
  3. 前記一対のロール軸の一方および他方を変位して前記一対のロール軸の軸間の距離を変更可能な調整機構をさらに備える、
    請求項1又は請求項2に記載のフォージングロール装置。
  4. 前記一対のロール軸を回転させるサーボモータと、
    前記材料保持搬送部及び前記サーボモータの動作を制御する制御部と、をさらに備え、
    前記一対のロール軸には少なくとも第1組の一対の金型と第2組の一対の金型とが取り付けられ、
    前記制御部は、
    前記一対のロール軸を回転させて、順に、前記第1組の一対の金型を対向させ、前記一対のロール軸それぞれの前記平面に近い外周面を対向させ、前記第2組の一対の金型を対向させるよう前記サーボモータを制御し、且つ、
    前記一対のロール軸の回転に連動して、前記一対のロール軸それぞれの前記平面に近い外周面に挟まれた空間に前進または前記空間から後退し、前記被成形材料を前記第1組の一対の金型の間に搬送した後、前記第2組の一対の金型の間に搬送するよう前記材料保持搬送部を制御する、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載のフォージングロール装置。
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