第1の発明は、高周波電力を発生させる高周波電力発生部と、前記被加熱物を挟み込むように対向した位置に設置され、前記高周波電力を表面波で伝播して前記被加熱物を加熱する複数の表面波励振体と、前記高周波電力を前記表面波励振体に供給する高周波電力供給部と、前記被加熱物を設置する設置台と、を備え、対向するそれぞれの表面波励振体の励振周波数が異なるので、被加熱物を挟み込むように対向した位置に設置した、励振周波数が異なる複数の表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力で被加熱物を加熱処理するので、それぞれの表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力の電界強度を組み合わせる事ができ、簡単な構造で、ヒーターなどの消費電力の大きい他の熱源を用いなくても、被加熱物の両面をユーザーが所望する仕上がり状態に加熱処理することができる。
第2の発明は、特に第1の発明において、前記複数の表面波励振体のうち、一方の表面波励振体にのみ前記高周波電力発生部から前記高周波電力を供給するので、高周波電力供給部の数を減らすことができ、より簡素な構成で、被加熱物の両面を加熱処理できる。
第3の発明は、特に第1の発明において、前記複数の表面波励振体それぞれに、前記高周波電力発生部から前記高周波電力を供給するので、それぞれの表面波励振体に於ける加熱の状態をより詳細に制御することができ、被加熱物の加熱による仕上がり品質を、より向上することができる。
第4の発明は、特に第1ないし第3のいずれかの発明において、前記高周波電力発生部は、設定された周波数の高周波電力を発生する、周波数可変の高周波発振器であるので、
表面波励振体に供給する高周波電力の周波数を可変することができるので、表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力の伝播状態を変化させることにより、被加熱物に対する加熱の状態を、好みに応じて変化させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における、高周波加熱装置100の基本構成を示すブロック図である。
同図に示す高周波加熱装置100は、設置台101に設置された被加熱物102を加熱処理する高周波加熱装置であって、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bと、第1の高周波電力供給部110aおよび第2の高周波電力供給部110bと、高周波電力発生部120を備えている。また、第1の表面波励振体103aと第2の表面波励振体103bは、被加熱物102を挟み込むように、互いに対向した位置に設置されている。更に、第1の表面波励振体103aと第2の表面波励振体103bは、異なる励振周波数を有している。
なお、図1において、高周波加熱装置100は、2つの表面波励振体と、2つの高周波電力供給部と、1つの高周波電力発生部を有しているが、表面波励振体、高周波電力供給部および高周波電力発生部の数はこれに限定されるものではない。例えば、表面波励振体は4つで被加熱物を4方向から挟み込む構成であってもよいし、高周波電力発生部と高周波電力供給部は、少なくとも1つずつが一方の表面波励振体にあればよく、2つずつあってもよいし、それ以上あってもよい。
図1において、高周波電力発生部120で発生された高周波電力は、第1の高周波電力供給部110aを介して第1の表面波励振体103aへ、第2の高周波電力供給部110bを介して第2の表面波励振体103bへ、それぞれ供給される。そして、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bに供給された高周波電力は、それぞれの表面波励振体を表面波で伝播して被加熱物102を加熱する。なお、以下の記述では、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bと、第1の高周波電力供給部110aおよび第2の高周波電力供給部110bを特に区別せず、表面波励振体103および高周波電力供給部110と記載する場合がある。
高周波電力発生部120は、被加熱物102を加熱処理するのに適した周波数(例えば、マイクロ波)とパワーを有する高周波電力を出力する高周波発信器である。例えば、マグネトロンとインバータ電源回路で構成してもよいし、固体発振器と電力増幅器で構成してもよい。
マグネトロンは、電波の一種である強力なノンコヒーレントマイクロ波を発生する発振用真空管の一種で、レーダーや電子レンジなどの数百ワット〜数キロワットの高出力用途に多く使われている。マグネトロンの駆動には数キロボルトの高電圧が必要である為、マグネトロンの駆動電源には一般的にインバータ電源が用いられる。インバータ電源は整流機能を有するコンバーター回路と、昇圧(もしくは降圧)機能と出力周波数変換機能を有するインバータ回路で構成された電源回路であり、照明装置やモーター制御に広く用いられている技術である。
一方、固体発振器はトランジスタと、コンデンサ、インダクタ、抵抗器等の高周波電子部品で帰還回路を構成した半導体発振回路であり、通信機器等の小電力出力用途の発振器
に広く用いられている技術である。固体発振器から出力される高周波電力は、近年では50ワット程度の高出力のモノもあるが、一般的には数十ミリワット〜数百ミリワット程度であり、加熱処理用途に用いる為には数百ワットの出力パワーが必要であるので、一般的には、固体発振器から出力された高周波電力をトランジスタなどの電力増幅器で増幅する。
高周波電力供給部110は、高周波電力発生部120で発生された高周波電力を、表面波励振体103に給電する電力接続部に相当する。高周波電力供給部110の構成については後述する。
表面波励振体103は、金属板で周期的にインピーダンス素子を配列した金属周期構造体や、誘電体板で形成される。例えば、金属周期構造体では、金属平板上に複数の金属平板を一定間隔で被加熱物に向けて立てる方向に並べたスタブ型表面波励振体や、金属平板を交叉指状に打ち抜いたインターデジタル型表面波励振体を用いることができ、誘電体板では、アルミナ板やベークライト板を用いることができる。
また、表面波励振体は、使用する材料や物理的な構造寸法などにより、その励振周波数が決まる。例えば、前述した、スタブ型表面波励振体では、金属平板上に並べられた複数の金属平板の高さ寸法や、金属平板の間隔寸法などを変化させることで、表面波励振体の励振周波数を変化させることができ、所望の励振周波数を有する表面波励振体を形成することもできる。なお、原則的には、表面波励振体の励振周波数は、金属平板の高さ寸法を低くするほど高くなり、金属平板の間隔寸法を小さくするほど高くなるので、このように金属平板の調整をすることで所望の励振周波数を有する表面波励振体を形成することができる。
ここで、図1に示す本実施の形態の高周波加熱装置100に於いて、図示はしないが、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの少なくともどちらか一方は、励振周波数を可変できる、励振周波数可変の表面波励振体であってもよい。
例えば、表面波励振体を、金属平板上に複数の金属平板を一定間隔で並べたスタブ型表面波励振体で形成した場合には、金属平板上に一定間隔で並べられた金属平板の、金属平板と金属平板の間に機械的な制御で誘電体を挿入することにより、表面波励振体の励振周波数を変化させることができる。なお、機械的な制御で誘電体を挿入するのではなく、電気的な制御で誘電体の誘電率を変えることにより、表面波励振体の励振周波数を変化させてもよい。
これにより、表面波励振体の励振周波数を比較的大きく変化させることができるので、被加熱物の厚み方向にて所望される加熱状態に応じて、被加熱物の厚み方向の加熱状態を変化させ、所望の加熱状態に処理することができる。
表面波励振体103は、高周波電力供給部110を介して高周波電力発生部120より供給された高周波電力を表面波でその表面付近に高周波電力を集中させて伝播することができる。これにより、設置台101を表面波励振体103の近傍に設け、設置台101の上に被加熱物102を設置することにより、表面波励振体103によって表面付近に集中している高周波電力により、被加熱物102が加熱される。
ここで、本実施の形態に於ける第1の高周波電力供給部110aおよび第2の高周波電力供給部110bの構成について図を用いて説明する。
図2は、第1の高周波電力供給部110aの構成の一例を示すブロック図である。
同図では、高周波電力発生部120で発生された高周波電力を方形導波管130を用いて高周波電力供給部110aへ導いた場合の構成を示している。
方形導波管130は、最も一般的な導波管であり、断面形状が方形(一般的には長方形)である金属製の管で、主にマイクロ波の伝送に用いられる中空導波管である。電磁波は、管の中に、その形状や寸法、波長もしくは周波数に応じた電磁界を形成しながら管の中を伝播する。
方形導波管130により、高周波電力発生部120から伝播された高周波電力を第1の表面波励振体103aに供給するためには、方形導波管130と第1の表面波励振体103aをテーパー形状の方形導波管131で連結することで、接合部での反射が小さくなり、損失を小さくすることができる。高周波電力供給部110aは、図2の破線で示されるとおり、方形導波管130の一部と、テーパー形状の方形導波管131と、表面波励振体103の一部とで構成されている。
これにより、高周波電力発生部120で発生され、方形導波管130を介して高周波電力供給部110aへ導かれた高周波電力は、テーパー形状の方形導波管131を介して、第1の表面波励振体103aへ効率良く供給される。尚、高周波電力供給部110bも、高周波電力供給部110aと同様の構成であるので、説明は省略する。
以上のような構成により、本実施の形態に係る高周波加熱装置100は、高周波電力発生部120で発生された高周波電力を、第1の高周波電力供給部110aおよび第2の高周波電力供給部110bを介して、第1の表面波励振体103aおよび第1の表面波励振体103aとは異なる励振周波数を有する第2の表面波励振体103bに供給することにより、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bそれぞれを表面波で伝播する異なる高周波電力の状態を組み合わせる事ができ、ヒーターなどの他の熱源を用いなくても、設置台101の上に設置された被加熱物102の両面に加熱処理を施すことができ、ユーザーが所望する仕上がり状態で、極力不測の加熱ムラを低減した加熱処理ができ、更には被加熱物102の両面に焦げ目を付けることもできる。
特に、従来例のヒーターを使用する場合には、被加熱物102に焦げ目を付けようとすると、消費電力が800W〜1000Wほどかかるが、本発明における高周波電力発生部を使用する場合は、消費電力が100W〜200W程度しかかからないので、省エネ性能にも優れている。また、ヒーターでは被加熱物102の表面および内部が固めの食感となってしまうが、本発明の全体構成にて表面波励振体を使用すると、被加熱物102の表面は固めでも、内部は柔らかい仕上がりとなり、ヒーターを使用した場合とは異なる食感を生み出すことができる。
次に、上述の高周波加熱装置100の、被加熱物102を加熱処理する動作について説明する。
図3は、図1に示した表面波励振体103に、高周波電力発生部120で発生された高周波電力を、高周波電力供給部110を介して供給した時の、表面波励振体103を表面波で伝播する高周波電力により被加熱物102を加熱する動作と、それぞれの表面波励振体103の表面付近に於ける電界強度分布の様子を模式的に示したものである。
同図は、設置台101に被加熱物102を設置し、第1の表面波励振体103aに対して被加熱物102を挟み込むように第2の表面波励振体103bを配置し、高周波電力発生部120で発生された高周波電力を、第1の表面波励振体103aに第1の高周波電力
供給部110aを介して供給すると共に、第2の表面波励振体103bに第2の高周波電力供給部110bを介して供給した時の、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの表面付近に於ける電界強度分布141aおよび141bにより、被加熱物102が加熱される様子を示している。
ここで、電界強度分布141aおよび141bは、色の濃淡で電界の強弱を表しており、色が濃いほどに電界が強いことを示している。
図3に示すように、設置台101に被加熱物102を設置した状態で、第1の表面波励振体103aに対して被加熱物102を挟み込むように、第2の表面波励振体103bを配置し、高周波電力発生部120で発生された高周波電力を、第1の高周波電力供給部110aを介して第1の表面波励振体103aへ、第2の高周波電力供給部110bを介して第2の表面波励振体103bへ、それぞれ供給すると、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの表面近傍の電界強度分布141aおよび141bは、それぞれの第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの表面に近い領域の電界が強くなり、表面から遠ざかるにつれて電界は弱くなる分布となるので、被加熱物102の、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bそれぞれに近い部分、すなわち被加熱物102の上面および下面部分が集中的に強く加熱され、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bそれぞれに挟まれた空間の中間部分、すなわち被加熱物102の中間層部分は弱く加熱される状態となる。
これにより、設置台101に設置された被加熱物102の両面に、加熱処理を施すことができ、更には、被加熱物102の上面および下面部分に、主に焦げ目を付けることができる。
図4は、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体の励振周波数との関係による、表面波励振体の表面近傍に形成される電界の表面集中度の変化の様子を示す図である。同図は、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体の励振周波数との関係に於ける、表面波励振体の表面からの距離に対する電界強度の大きさをグラフで示すもので、横軸は表面波励振体の表面からの距離を、縦軸は電界強度の大きさを示していて、グラフの傾斜が大きいほど表面波励振体の表面に電界が集中していることを意味する。
また、図5は、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体の励振周波数との関係による、表面波励振体の表面近傍に形成される電界強度分布の変化の様子を示す図である。同図は、図3と同様に、電界強度分布は、色の濃淡で電界の強弱を表しており、色が濃いほどに電界が強いことを示している。
図4(a)および図5(a)は、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数(fp)が表面波励振体の励振周波数(fc)とほぼ等しい時の、表面波励振体の表面からの距離に対する電界強度の大きさを示すグラフ151、および表面波励振体の表面近傍に形成される電界強度分布161を、図4(b)および図5(b)は、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数(fp)が表面波励振体の励振周波数(fc)よりも低い時の、表面波励振体の表面からの距離に対する電界強度の大きさを示すグラフ152、および表面波励振体の表面近傍に形成される電界強度分布162を、図4(c)および図5(c)は、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数(fp)が表面波励振体の励振周波数(fc)よりも高い時の、表面波励振体の表面からの距離に対する電界強度の大きさを示すグラフ153、および表面波励振体の表面近傍に形成される電界強度分布163を、それぞれ示している。
図4および図5に示すように、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数(fp)と、表面波励振体の励振周波数(fc)とを、ほぼ等しい周波数にすることにより、表面波励振体の表面からの距離に対する電界強度の大きさを示すグラフ151の傾斜が最も大きくなり、表面波励振体の表面近傍の電界強度分布161も表面波励振体の表面に電界が集中する。即ち、表面波励振体の表面近傍の電界強度が非常に大きく、表面波励振体の表面から遠ざかるにつれて急激に電界強度が小さくなるので、被加熱物の表面を集中的に加熱して、焦げ目を付けるのに適している。
また、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数(fp)が、表面波励振体の励振周波数(fc)よりも低い周波数にすることにより、表面波励振体の表面からの距離に対する電界強度の大きさを示すグラフ152の傾斜が緩やかになり、表面波励振体の表面近傍の電界強度分布162は表面波励振体の表面に電界の集中度が下がって、表面波励振体の表面から高周波電力が届く距離が遠くなる。即ち、表面波励振体の表面近傍の電界強度は大きいものの、表面波励振体の表面から遠ざかっても急激な電界強度の低下は無く表面波励振体の表面から少し離れた所まで高周波電力が届くので、被加熱物が焦げない程度に強く加熱するのに適している。
また、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数(fp)が、表面波励振体の励振周波数(fc)よりも高い周波数にすることにより、表面波励振体の表面からの距離に対する電界強度の大きさを示すグラフ153の傾斜は殆ど見られなくなり、表面波励振体の表面近傍の電界強度分布163も表面波励振体の表面には電界が集中せずに全体に広がっている。即ち、表面波励振体に供給された高周波電力は、表面波励振体を表面波で伝播することなく、空間へ放射されている状態を意味するので、被加熱物全体を比較的万遍なく加熱するのに適している。
このように、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数(fp)と、表面波励振体の励振周波数(fc)との関係を変化させることにより、表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力の伝播状態を変化させることができる。
図6は、被加熱物102を挟み込むように対向する位置に設置した、それぞれ異なる励振周波数を有する第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bに、高周波電力発生部120で発生された高周波電力を供給した時の、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bそれぞれに供給される高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bのそれぞれの励振周波数との関係による、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの表面近傍に形成される電界強度分布の変化の様子を示す図である。同図は、図3および図4と同様に、電界強度分布は、色の濃淡で電界の強弱を表しており、色が濃いほどに電界が強いことを示している。
ここで、第1の表面波励振体103aと第2の表面波励振体103bとは、異なる励振周波数を有している(fc1、fc2)。
図6(a)は、高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体103aの励振周波数(fc1)にほぼ等しく、第2の表面波励振体103bの励振周波数(fc2)よりも高い時の、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの表面近傍に形成される電界強度分布171を、図6(b)は、高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体103aの励振周波数(fc1)よりも高く、第2の表面波励振体103bの励振周波数(fc2)にほぼ等しい時の、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの表面近傍に形成される電界強度分布172を、図6(c)は、高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体103aの励振周波数(fc1)に
ほぼ等しく、第2の表面波励振体103bの励振周波数(fc2)よりも低い時の、第1の表面波励振体103aおよび第1の表面波励振体103bの表面近傍に形成される電界強度分布173を、図6(d)は、高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体103aの励振周波数(fc1)よりも低く、第2の表面波励振体103bの励振周波数(fc2)にほぼ等しい時の、第1の表面波励振体103aおよび第1の表面波励振体103bの表面近傍に形成される電界強度分布174を、図6(e)は、高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体103aの励振周波数(fc1)および第2の表面波励振体103bの励振周波数(fc2)の何れよりも高い時の、表面波励振体103aおよび103bの表面近傍に形成される電界強度分布175を、それぞれ示している。
すなわち、第1の表面波励振体103aおよび第1の表面波励振体103bの表面近傍に形成される電界強度分布を「強」「中」「弱」であらわすと、以下のとおりとなる。
図6(a)⇒第1の表面波励振体103aの表面近傍「強」、第2の表面波励振体103bの表面近傍「弱」
図6(b)⇒第1の表面波励振体103aの表面近傍「弱」、第2の表面波励振体103bの表面近傍「強」
図6(c)⇒第1の表面波励振体103aの表面近傍「強」、第2の表面波励振体103bの表面近傍「中」
図6(d)⇒第1の表面波励振体103aの表面近傍「中」、第2の表面波励振体103bの表面近傍「強」
図6(e)⇒第1の表面波励振体103aの表面近傍「弱」、第2の表面波励振体103bの表面近傍「弱」
図6に示すように、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bを被加熱物102を挟み込むように対向する位置に設置した場合でも、それぞれの第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの励振周波数と、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bそれぞれに供給される高周波電力の周波数との関係により、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの表面近傍に形成される電界の強度分布は、前述の図4および図5で説明した、第1の表面波励振体103aだけでの場合と同様の電界の強度分布が形成される。これにより、供給する高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bのそれぞれの励振周波数の組み合わせを選択することにより、それぞれの表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力の電界強度を組み合わせる事ができ、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
また、例えば図6で図示していない「中」と「中」の組み合わせや、その他「強」「中」「弱」の全ての組み合わせを選択することにより、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
なお、第1の表面波励振体103aと第2の表面波励振体103bとは、異なる励振周波数を有している(fc1、fc2)ので、例えば図6(e)における、第1の表面波励振体103aの表面近傍「弱」、および第2の表面波励振体103bの表面近傍「弱」との間で、電界の強度分布はそれぞれ若干異なる場合がありうる。
なお既述の通り、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bのそれぞれの励振周波数は、あらかじめ表面波励振体の金属平板の調整をするなどして所望の励振周波数を有する表面波励振体を形成してもよいし、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bの少なくともどちらか一方が励振周波数を可変できる、励振周波数可変の表面波励振体であってもよい。
ここで、図1の高周波加熱装置100では、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bに対して、第1の高周波電力供給部110aおよび第2の高周波電力供給部110bを同一方向に設けて、高周波電力発生部120からの高周波電力を同一方向から供給するよう記載しているが、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bそれぞれへの高周波電力を供給する方向は、逆方向やその他の方向でも構わない。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2を、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態2の説明において、前述の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。また、前述の実施の形態1と同じ作用を有する内容についても、説明を省略する。
図7は、本発明の実施の形態2に係る、高周波加熱装置200の構成を示すブロック図である。
同図に示す高周波加熱装置200は、図1に示した実施の形態1に係る高周波加熱装置100と比較して、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bに代わり第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bを備え、第1の高周波電力供給部110aおよび第2の高周波電力供給部110bに代わり高周波電力供給部210を備え、高周波電力発生部120に代わり高周波電力発生部220を備える。また、前述の実施の形態1と同様に、第1の表面波励振体203aと第2の表面波励振体203bは、被加熱物102を挟み込むように、互いに対向した位置に設置されている。更に、第1の表面波励振体203aと第2の表面波励振体203bは、異なる励振周波数を有している。
なお、図7において、高周波加熱装置200は、2つの表面波励振体と、1つの高周波電力供給部と、1つの高周波電力発生部を有しているが、表面波励振体、高周波電力供給部および高周波電力発生部の数は、実施の形態1と同様に、これに限定されるものではない。
高周波電力発生部220で発生された高周波電力は、高周波電力供給部210を介して第1の表面波励振体203aへ供給される。そして、第1の表面波励振体203aに供給された高周波電力は、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播して被加熱物102を加熱すると共に、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力の一部が、空間放射により、第1の表面波励振体203aに対して対向した位置に配置された第2の表面波励振体203bにも高周波電力が供給され、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播して被加熱物102を加熱する。また、以下では、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bを特に区別せず、表面波励振体203と記載する場合がある。
なお、表面波励振体203と、高周波電力供給部210と、高周波電力発生部220のそれぞれの構成は、前述した実施の形態1で説明した、表面波励振体103と高周波電力供給部110と高周波電力発生部120の構成と同一であるので、説明は省略する。
以上のような構成により、本実施の形態に係る高周波加熱装置200は、高周波電力発生部220で発生された高周波電力を、高周波電力供給部210を介して、被加熱物102を挟み込むように配置した、第1の表面波励振体203aおよび第1の表面波励振体203aとは異なる励振周波数を有する第2の表面波励振体203bの内の、一方の表面波
励振体である、第1の表面波励振体203aのみに供給することにより、供給する高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bのそれぞれの励振周波数の組み合わせを選択することにより、それぞれの表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力の電界強度を組み合わせる事ができ、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
また、ヒーターなどの他の熱源を用いなくても、設置台101の上に設置された被加熱物102の両面に加熱処理を施すことができ、ユーザーが所望する仕上がり状態で、極力不測の加熱ムラを低減した加熱処理ができ、更には被加熱物102の両面に焦げ目を付けることもできる。
次に、上述の高周波加熱装置200の、被加熱物102を加熱処理する動作について説明する。
図8は、図7に示した第1の表面波励振体203aに、高周波電力発生部220で発生された高周波電力を、高周波電力供給部210を介して供給した時の、表面波励振体203を表面波で伝播する高周波電力により、被加熱物102を加熱する動作を模式的に示したものである。
同図は、設置台101に被加熱物102を設置し、第1の表面波励振体203aに対して被加熱物102を挟み込むように第2の表面波励振体203bを配置し、高周波電力発生部220で発生された高周波電力を、第1の表面波励振体203aに高周波電力供給部210を介して供給した時の、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力250aと、第1の表面波励振体203aから第2の表面波励振体203bへ空間放射される高周波電力250bと、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播する高周波電力250cの様子を示している。
図8に示すように、第1の表面波励振体203aへ高周波電力発生部220で発生された高周波電力を、高周波電力供給部210を介して供給すると、供給された高周波電力は、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力250aと、被加熱物102を挟み込むように、第1の表面波励振体203aに対向した位置に配置された第2の表面波励振体203bに空間放射される高周波電力250bに分配され、第1の表面波励振体203aより放射された高周波電力250bは、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播する高周波電力250cとなる。
そして、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bを、それぞれ表面波で伝播する高周波電力250aおよび250cにより、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bそれぞれの表面近傍に、電界分布が形成されることにより、被加熱物102が加熱処理される。
また、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力250aと、第2の表面波励振体203bに空間放射される高周波電力250bと、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播する高周波電力250cのそれぞれの大きさは、高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bがそれぞれに有する励振周波数との関係により、大きく変化する。
図9は、それぞれ異なる励振周波数を有する第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bを、被加熱物102を挟み込むように対向する位置に設置し、高周波電力発生部220で発生された高周波電力を、高周波電力供給部210を介して、第1の表面波励振体203aへ供給した時の、供給される高周波電力の周波数と、第1の表面
波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bそれぞれの表面波励振体が有する励振周波数との関係による、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力と、第2の表面波励振体203bに空間放射される高周波電力と、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播する高周波電力と、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bそれぞれの表面近傍に形成される電界の強度分布の様子を示す図である。同図に於ける電界強度分布の様子は、色の濃淡で電界の強弱を表しており、色が濃いほどに電界が強いことを示している。
次に、図9に於ける、供給される高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bのそれぞれの表面波励振体が有する励振周波数との関係の組合せの一例について、同図を用いて説明する。
尚、それぞれの表面波励振体に於ける、供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体が有する励振周波数との関係による、表面波励振体の表面近傍に形成される電界の表面集中度、および電界の強度分布の様態については、前述の実施の形態1に於ける、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体の励振周波数との関係による、表面波励振体の表面近傍に形成される電界の表面集中度の変化の様子(図4)および電界強度分布の変化の様子(図5)と同様であるので、説明は省略する。
図9(a)は、供給される高周波電力の周波数(fp)と、第1の表面波励振体203aの励振周波数(fc1)とがほぼ等しい周波数である時の様子を示しており、第1の表面波励振体203aの表面近傍には、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力251aにより、第1の表面波励振体203aの表面への集中度が高い電界強度分布271aが形成され、空間へ放射される高周波電力は殆ど発生しないので、第2の表面波励振体203bには高周波電力が供給されなくなる。従って、被加熱物102は、第1の表面波励振体203aに近い部分がより強く加熱される。
また、図9(b)は、供給される高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体203aの励振周波数(fc1)よりも高く、第2の表面波励振体203bの励振周波数(fc2)とほぼ等しい周波数である時の様子を示しており、第1の表面波励振体203aに於いては、供給された高周波電力は表面波で伝播することは無く、ほぼ全てが空間への放射電力252bとなる。空間へ放射された高周波電力252bにより、第2の表面波励振体203bの表面近傍には、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播する高周波電力252cにより、第2の表面波励振体203bの表面への集中度が高い電界強度分布272bが形成される。従って、被加熱物102は、第2の表面波励振体203bに近い部分がより強く加熱される。
また、図9(c)は、供給される高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bの何れの励振周波数(fc1,fc2)よりも低い周波数である時の様子を示しており、第1の表面波励振体203aの表面近傍には、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力253aにより、第1の表面波励振体203aの表面への集中度が中程度の電界強度分布273aが形成されると共に、空間へも高周波電力253bが放射される。空間へ放射された高周波電力253bにより、第2の表面波励振体203bの表面近傍には、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播する高周波電力253cにより、第2の表面波励振体203bの表面にも、集中度が低い電界強度分布273bが形成される。従って、被加熱物102は、第1の表面波励振体203aに近い部分が、比較的強めに加熱され、第2の表面波励振体203bに近い部分が、比較的弱めに加熱される。即ち、両面が加熱される。
また、図9(d)は、供給される高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体
203aの励振周波数(fc1)よりも低く、第2の表面波励振体203bの励振周波数(fc2)とほぼ等しい周波数である時の様子を示しており、第1の表面波励振体203aの表面近傍には、第1の表面波励振体203aを表面波で伝播する高周波電力254aにより、第1の表面波励振体203aの表面への集中度が低い電界強度分布274aが形成されると共に、空間へも高周波電力254bが放射される。空間へ放射された高周波電力254bにより、第2の表面波励振体203bの表面近傍には、第2の表面波励振体203bを表面波で伝播する高周波電力254cにより、第2の表面波励振体203bの表面にも集中度が中程度の電界強度分布274bが形成される。従って、被加熱物102は、第1の表面波励振体203aに近い部分が比較的弱めに加熱され、第2の表面波励振体203bに近い部分が比較的強めに加熱される。即ち、両面が加熱される。
また、図9(e)は、供給される高周波電力の周波数(fp)が、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bの何れの励振周波数(fc1,fc2)よりも高い周波数である時の様子を示しており、第1の表面波励振体203aに於いては、供給された高周波電力は表面波で伝播することは無く、ほぼ全てが空間への放射電力255bとなる。空間へ放射された高周波電力255bは、第2の表面波励振体203bに於いても表面波で伝播することは無く、何れの表面波励振体の表面近傍にも表面に集中する電界の分布は形成されず、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203b双方の間に、放射による電界分布275が形成される。従って、被加熱物102は、電子レンジでの加熱のように全体が加熱される。
ここで、高周波電力発生部220で発生された高周波電力を、高周波電力供給部210を介して、第1の表面波励振体203aに供給するときの高周波電力の周波数(fp)が図9(a)〜(e)それぞれ同じ場合の電界強度分布271a、272b、273a、273b、274a、274b、275の強弱関係をまとめると、被加熱物102が設置されている空間の大きさによって空間に放射される高周波電力の量にも左右されるが、おおよそ以下の通りとなり、電界強度分布275が最も電界強度が弱くなる。
電界強度分布271a≒電界強度分布272b>電界強度分布273a≒電界強度分布274b>電界強度分布274a≒電界強度分布273b>電界強度分布275
図9に示すように、それぞれ異なる励振周波数を有する第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bを、被加熱物102を挟み込むように、対向する位置に設置し、高周波電力発生部220で発生された高周波電力を、高周波電力供給部210を介して、第1の表面波励振体203aへ供給した時、供給される高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bのそれぞれの表面波励振体が有する励振周波数との関係により、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bそれぞれの表面近傍に、形成される電界の強度分布の状態を多様に変化することができる。これにより、供給する高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bのそれぞれの励振周波数の組み合わせを選択することにより、それぞれの表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力の電界強度を組み合わせる事ができ、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
また、図9(a)〜(e)で図示した、高周波電力の周波数(fp)と励振周波数(fc1,fc2)の大小関係の組み合わせ以外の全ての組み合わせも選択することにより、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
すなわち、ここで説明した、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bに供給する高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bのそれぞれの励振周波数との組み合わせは、一部であり、他の組み合わ
せにより、より多彩で、加熱の強度や仕上がり状態を調整することができる。
なお実施の形態1と同様に、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bのそれぞれの励振周波数は、あらかじめ表面波励振体の金属平板の調整をするなどして所望の励振周波数を有する表面波励振体を形成してもよいし、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bの少なくともどちらか一方が励振周波数を可変できる、励振周波数可変の表面波励振体であってもよい。
ここで、図7の高周波加熱装置200では、高周波電力発生部220からの高周波電力を高周波電力供給部210を介して、被加熱物102の下面方向に位置する第1の表面波励振体203aに供給するよう記載しているが、被加熱物102の上面方向に位置する第2の表面波励振体203bに供給するように構成しても構わない。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3を、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態3の説明において、前述の実施の形態1もしくは実施の形態2と同じ機能を有する構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。また、前述の実施の形態1もしくは実施の形態2と同じ作用を有する内容についても、説明を省略する。
図10は、本発明の実施の形態3に係る、高周波加熱装置300の構成を示すブロック図である。
同図に示す高周波加熱装置300は、図1に示した実施の形態1に係る高周波加熱装置100と比較して、第1の表面波励振体103aおよび第2の表面波励振体103bに代わり第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bを備え、第1の高周波電力供給部110aおよび第2の高周波電力供給部110bに代わり第1の高周波電力供給部310aおよび第2の高周波電力供給部310bを備え、高周波電力発生部120に代わり第1の高周波電力発生部320aおよび第2の高周波電力発生部320bを備える。更に、第1の表面波励振体303aと第2の表面波励振体303bは、異なる励振周波数を有している。
なお、図10において、高周波加熱装置300は、2つの表面波励振体と、2つの高周波電力供給部と、2つの高周波電力発生部を有しているが、表面波励振体、高周波電力供給部および高周波電力発生部の数は、実施の形態1と同様に、これに限定されるものではない。
第1の高周波電力発生部320aで発生された高周波電力は、第1の高周波電力供給部310aを介して第1の表面波励振体303aへ供給される。そして、第1の表面波励振体303aに供給された高周波電力は、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播して被加熱物102を加熱すると共に、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力の一部が、空間放射により、第1の表面波励振体303aに対して対向した位置に配置された第2の表面波励振体303bにも高周波電力が供給され、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播して被加熱物102を加熱する。
一方、第2の高周波電力発生部320bで発生された高周波電力は、第2の高周波電力供給部310bを介して第2の表面波励振体303bへ供給される。そして、第2の表面波励振体303bに供給された高周波電力は、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播して被加熱物102を加熱すると共に、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力の一部が、空間放射により、第2の表面波励振体303bに対して対向した
位置に配置された第1の表面波励振体303aにも高周波電力が供給され、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播して被加熱物102を加熱する。
また、以下では、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bと、第1の高周波電力供給部310aおよび第2の高周波電力供給部310bと、第1の高周波電力発生部320aおよび第2の高周波電力発生部320bを特に区別せず、表面波励振体303、高周波電力供給部310および高周波電力発生部320と記載する場合がある。
なお、表面波励振体303と、高周波電力供給部310と、高周波電力発生部320のそれぞれの構成は、前述した実施の形態1で説明した、表面波励振体103と高周波電力供給部110と高周波電力発生部120の構成と同一であるので、説明は省略する。
以上のような構成により、本実施の形態に係る高周波加熱装置300は、第1の表面波励振体303aと、第1の表面波励振体303aとは異なる励振周波数を有する第2の表面波励振体303bを、被加熱物102を挟み込むように、対向した位置に配置して、第1の高周波電力発生部320aで発生された高周波電力を、第1の高周波電力供給部310aを介して、第1の表面波励振体303aに供給し、第2の高周波電力発生部320bで発生された高周波電力を、第2の高周波電力供給部310bを介して、第1の高周波電力発生部320aおよび第2の高周波電力発生部320aより供給するそれぞれの高周波電力の周波数と、表面波励振体310aおよび310bのそれぞれの励振周波数の組み合わせを選択することにより、それぞれの表面波励振体303a、303bを表面波で伝播する高周波電力の電界強度を組み合わせる事ができ、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
また、ヒーターなどの他の熱源を用いなくても、設置台101の上に設置された被加熱物102の両面に加熱処理を施すことができ、ユーザーが所望する仕上がり状態で、極力不測の加熱ムラを低減した加熱処理ができ、更には被加熱物102の両面に焦げ目を付けることもできる。
次に、上述の高周波加熱装置300の、被加熱物102を加熱処理する動作について説明する。
図11は、図10に示したそれぞれの第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに、それぞれの高周波電力発生部320aおよび320bで発生された高周波電力を、それぞれの高周波電力供給部310aおよび310bを介して供給した時の、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力により、被加熱物102を加熱する動作を模式的に示したものである。
同図は、設置台101に被加熱物102を設置し、第1の表面波励振体303aに対して、被加熱物102を挟み込むように、第2の表面波励振体303bを配置し、第1の高周波電力発生部320aで発生された高周波電力を、第1の高周波電力供給部310aを介して第1の表面波励振体303aに供給し、第2の高周波電力発生部320bで発生された高周波電力を、第2の高周波電力供給部310bを介して第2の表面波励振体303bに供給した時の、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力350aと、第1の表面波励振体303aから第2の表面波励振体303bへ空間放射される高周波電力350bと、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力350cと、第2の表面波励振体303bから第1の表面波励振体303aへ空間放射される高周波電力350dの様子を示している。
図11に示すように、第1の高周波電力発生部320aで発生され、第1の高周波電力供給部310aを介して第1の表面波励振体303aへ供給された高周波電力は、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力350aと、対向した位置に配置された第2の表面波励振体303bに空間放射される高周波電力350bに分配され、第2の高周波電力発生部320bで発生され、第2の高周波電力供給部310bを介して第2の表面波励振体303bへ供給された高周波電力は、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力350cと、対向した位置に配置された第1の表面波励振体303aに空間放射される高周波電力350dに分配される。
そして、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bをそれぞれ表面波で伝播する高周波電力350aおよび350cにより、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bそれぞれの表面近傍に、電界強度分布が形成されることにより、被加熱物102が加熱処理される。
また、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力350aと、第2の表面波励振体303bに空間放射される高周波電力350bと、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力350cと、第1の表面波励振体303aに空間放射される高周波電力350dのそれぞれの大きさは、それぞれの表面波励振体303aおよび303bへ供給される高周波電力の周波数と、表面波励振体303aおよび303bがそれぞれに有する励振周波数との関係により、大きく変化する。
図12は、それぞれ異なる励振周波数を有する第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bを、被加熱物102を挟み込むように、対向する位置に設置し、第1の高周波電力発生部320aで発生された高周波電力を、第1の高周波電力供給部310aを介して、第1の表面波励振体303aに供給し、第2の高周波電力発生部320bで発生された高周波電力を、第2の高周波電力供給部310bを介して、第2の表面波励振体303bに供給した時の、それぞれの第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数、即ち、それぞれの第1の高周波電力発生部320aおよび第2の高周波電力発生部320bで発生される高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bそれぞれの表面波励振体が有する励振周波数との関係による、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力と、第2の表面波励振体303bに空間放射される高周波電力と、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力と、第1の表面波励振体303aに空間放射される高周波電力と、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bそれぞれの表面近傍に、形成される電界の強度分布の様子を示す図である。同図に於ける電界強度分布の様子は、色の濃淡で電界の強弱を表しており、色が濃いほどに電界が強いことを示している。
次に、図12に於ける、それぞれの第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bのそれぞれの表面波励振体が有する励振周波数との関係の組み合わせの一例について、同図を用いて説明する。
尚、それぞれの表面波励振体に於ける、供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体が有する励振周波数との関係による、表面波励振体の表面近傍に形成される電界の表面集中度、および電界の強度分布の様態については、前述の実施の形態1に於ける、表面波励振体に供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体の励振周波数との関係による、表面波励振体の表面近傍に形成される電界の表面集中度の変化の様子(図4)および電界強度分布の変化の様子(図5)と同様であるので、説明は省略する。
図12(a)は、第1の表面波励振体303aに供給される高周波電力の周波数(fp1)と、第1の表面波励振体303aの励振周波数(fc1)とがほぼ等しく、第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数(fp2)と、第2の表面波励振体303bの励振周波数(fc2)とがほぼ等しい周波数である時の様子を示しており、それぞれの第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bの表面近傍には、それぞれの表面波励振体303a、303bを表面波で伝播する高周波電力351aおよび351cにより、それぞれの表面波励振体303a、303bの表面近傍に集中度が比較的高い電界強度分布371aおよび371bが形成され、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bから、空間放射される高周波電力はかなり小さい。従って、被加熱物102は、それぞれ第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに近い部分、即ち、両面が中程度に加熱される。
また、図12(b)は、第1の表面波励振体303aに供給される高周波電力の周波数(fp1)と、第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数(fp2)とが等しい周波数で、かつ第1の表面波励振体303aの励振周波数(fc1)ともほぼ等しい周波数で、第2の表面波励振体303bの励振周波数(fc2)よりも高い周波数の時の様子を示しており、第1の表面波励振体303aに供給された高周波電力は、第2の表面波励振体303bへの空間放射はかなり小さく、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力352aとなり、第2の表面波励振体303bに供給された高周波電力は、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播することはほとんど無く、第1の表面波励振体303aへ空間放射される高周波電力352dとなり、空間放射された高周波電力352dは、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力352eとなることにより、第1の表面波励振体303aの表面近傍には、第1の表面波励振体303aに供給された高周波電力が表面波で伝播する高周波電力352aと、第2の表面波励振体303bから空間放射されて、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力352eにより、表面への集中度が非常に高い電界強度分布372aが形成される。従って、被加熱物102は、第1の表面波励振体303aに近い部分のみが非常に強く加熱される。
また、図12(c)は、第1の表面波励振体303aに供給される高周波電力の周波数(fp1)と、第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数(fp2)とが等しい周波数で、かつ第2の表面波励振体303bの励振周波数(fc2)ともほぼ等しい周波数で、第1の表面波励振体303aの励振周波数(fc1)よりも高い周波数の時の様子を示しており、第2の表面波励振体303bに供給された高周波電力は、第1の表面波励振体303aへの空間放射はかなり小さく、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力353cとなり、第1の表面波励振体303aに供給された高周波電力は、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播することはほとんど無く、第2の表面波励振体303bへ空間放射される高周波電力353bとなり、空間放射された高周波電力353bは、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力353eとなることにより、第2の表面波励振体303bの表面近傍には、第2の表面波励振体303bに供給された高周波電力が表面波で伝播する高周波電力353cと、第1の表面波励振体303aから空間放射されて第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力353eにより、表面への集中度が非常に高い電界強度分布373bが形成される。従って、被加熱物102は、第2の表面波励振体303bに近い部分のみが非常に強く加熱される。
また、図12(d)は、第1の表面波励振体303aに供給される高周波電力の周波数(fp1)と、第1の表面波励振体303aの励振周波数(fc1)とがほぼ等しい周波数で、第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数(fp2)が、第1の表面波励振体303aの励振周波数(fc1)および第2の表面波励振体303bの励
振周波数(fc2)よりも低い周波数の時の様子を示している。第1の表面波励振体303aに供給された高周波電力は、第2の表面波励振体303bへの空間放射が比較的小さく、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力354aとなり、第2の表面波励振体303bに供給された高周波電力は、第2の表面波励振体303bを表面波で伝播する高周波電力354cと、第1の表面波励振体303aへ空間放射される高周波電力354dになり、空間放射された高周波電力354dは、第1の表面波励振体303aを表面波で伝播する高周波電力354eとなることにより、第1の表面波励振体303aの表面近傍の電界強度分布は、第1の表面波励振体303aに供給された高周波電力が表面波で伝播する高周波電力354aと、第2の表面波励振体303bからの空間放射された高周波電力354dが表面波で伝播する高周波電力354eにより表面への集中度が高い電界強度分布374aが形成され、第2の表面波励振体303bの表面近傍の電界強度分布は、第2の表面波励振体303bへ供給された高周波電力が表面波で伝播する高周波電力354cにより表面への集中度が低い電界強度分布374bが形成される。従って、被加熱物102は、第1の表面波励振体303aに近い部分が強めに加熱され、第2の表面波励振体303bに近い部分が弱めに加熱される。即ち、両面が加熱される。
また、図12(e)は、第1の表面波励振体303aに供給される高周波電力の周波数(fp1)および第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数(fp2)が、第1の表面波励振体303aの励振周波数(fc1)および第2の表面波励振体303bの励振周波数(fc2)よりも高い周波数の時の様子を示しており、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振対303bそれぞれに供給された高周波電力は、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303b何れも表面波で伝播することは無く、空間放射される高周波電力355bおよび355dとなる。したがって、何れの表面波励振体の表面近傍にも表面に集中する電界の分布は形成されず、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303b双方の間に、放射による電界分布375が形成される。従って、被加熱物102は、電子レンジでの加熱のように全体が加熱される。
ここで、図12(a)〜(e)の電界強度分布371a、371b、372a、373b、374a、374b、375の強弱関係をまとめる。被加熱物102が設置されている空間の大きさによって空間に放射される高周波電力の量にも左右されるが、おおよそ以下のとおりとなり、電界強度分布375が最も電界強度が弱くなる。
電界強度分布372a≒電界強度分布373b>電界強度分布374a>電界強度分布371a≒電界強度分布371b>電界強度分布374b>電界強度分布375
図12に示すように、それぞれ異なる励振周波数を有する第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bを、被加熱物102を挟み込むように、対向する位置に設置し、第1の高周波電力発生部320aおよび第2の高周波電力発生部320bで発生された高周波電力を、高周波電力供給部310aおよび310bを介して、それぞれの表面波励振体303aおよび303bへ供給した時、それぞれ第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに供給される高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bそれぞれの表面波励振体が有する励振周波数との関係により、それぞれ第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bの表面近傍に、形成される電界の強度分布の状態をより多様に変化することができる。
これにより、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに供給するそれぞれの高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bのそれぞれの励振周波数の組み合わせを選択することにより、それぞれの表面波励振体303a、303bを、表面波で伝播する高周波電力の電界強度を組み合わせ
る事ができ、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
また、図12(a)〜(e)で図示した、高周波電力の周波数(fp)と励振周波数(fc1,fc2)の大小関係の組み合わせ以外の全ての組み合わせも選択することにより、目的に応じた多彩な加熱状態で、被加熱物102を加熱処理することができる。
すなわち、ここで説明した、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに供給する、それぞれの高周波電力の周波数と、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bのそれぞれの励振周波数との組み合わせは、一部であり、他の組み合わせにより、より多彩で、加熱の強度や仕上がり状態を調整することができる。
なお、実施の形態1と同様に、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bのそれぞれの励振周波数は、あらかじめ表面波励振体の金属平板の調整をするなどして所望の励振周波数を有する表面波励振体を形成してもよいし、第1の表面波励振体203aおよび第2の表面波励振体203bの少なくともどちらか一方が励振周波数を可変できる、励振周波数可変の表面波励振体であってもよい。
ここで、図10の高周波加熱装置300では、第1の表面波励振体303aおよび第2の表面波励振体303bに対して、第1の高周波電力供給部310aおよび第2の高周波電力供給部310bを同一方向に設けて、第1の高周波電力発生部320aおよび第2の高周波電力発生部320bからの高周波電力を同一方向から供給するよう記載しているが、それぞれの表面波励振体303aおよび303bへの高周波電力を供給する方向は、逆方向やその他の方向でも構わない。
また、図1に示す実施の形態1の高周波加熱装置100、図7に示す実施の形態2の高周波加熱装置200、図10に示す実施の形態3の高周波加熱装置300に於いて、図示はしないが、高周波電力発生部120、220、320aおよび320bは、設定された周波数の高周波電力を発生する、周波数可変の高周波発振器であってもよい。
周波数可変の高周波発振器は、前述した半導体発振回路を構成する共振回路の共振周波数を決める素子に電圧可変素子(例えば、バラクターダイオードなど)を用いることで実現でき、一般的にはVCO(Voltage Controlled Oscillator)と呼ばれる。VCOの技術に関しては公知であるので、詳細な説明は省略する。この場合には、制御部を設けるなどにより、VCOに周波数に対応する電圧情報を供給することにより、周波数を変更することができる。
また更に、基準信号発生器と位相比較器を備えたPLL(Phase Locked Loop)発振器を構成しても構わない。PLL発振器の技術に関しては公知であるので、詳細な説明は省略する。この場合には、制御部を設けるなどにより、位相比較器に周波数に対応する情報信号を供給することにより、周波数を変更することができる。
これにより、1つの高周波電力発生部で複数の周波数の高周波電力を発生することができるので、前述した、表面波励振体へ供給する高周波電力の周波数と、表面波励振体の励振周波数との関係を、簡単に自在に設定することができる。
即ち、それぞれの表面波励振体を表面波で伝播する高周波電力の状態の組み合わせによる加熱パターンを、自在に変化させる事ができ、簡単な構成で、ヒーターなどの他の熱源を用いなくても、設置台101の上に設置された被加熱物102の両面に加熱処理を施す
ことができ、ユーザーが所望する仕上がり状態で、極力不測の加熱ムラを低減した加熱処理ができ、更には被加熱物102の両面に焦げ目を付けることもできる。
以上、本発明に係る高周波加熱装置について、各実施形態に基づき説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を当該実施形態に施したものや、異なる実施形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。