JP2018005987A - 導電性フィラー及び導電性材料 - Google Patents

導電性フィラー及び導電性材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2018005987A
JP2018005987A JP2016126636A JP2016126636A JP2018005987A JP 2018005987 A JP2018005987 A JP 2018005987A JP 2016126636 A JP2016126636 A JP 2016126636A JP 2016126636 A JP2016126636 A JP 2016126636A JP 2018005987 A JP2018005987 A JP 2018005987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
filler
resin
conductive filler
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016126636A
Other languages
English (en)
Inventor
航太朗 岩谷
Kotaro IWATANI
航太朗 岩谷
睦美 加藤
Mutsumi Kato
睦美 加藤
渡辺 克哉
Katsuya Watanabe
克哉 渡辺
中嶋 孝宏
Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cosmo Oil Co Ltd filed Critical Cosmo Oil Co Ltd
Priority to JP2016126636A priority Critical patent/JP2018005987A/ja
Publication of JP2018005987A publication Critical patent/JP2018005987A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

【解決課題】安価であるとともに、ゴムまたは樹脂に対して高い割合で配合することができ、導電性および熱伝導性の制御が容易な導電性フィラーおよび係る導電性フィラーを含む導電性材料を提供する。【解決手段】石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物であることを特徴とする導電性フィラー、好ましくは体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以下であり、熱伝導率が0.7W/m・K以上である導電性フィラーであり、また、ゴムまたは樹脂と上記導電性フィラーとを含有し、ゴムまたは樹脂100質量部に対し上記導電性フィラーを50〜450質量部含有することを特徴とする導電性材料である。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性のフィラー及びそれを用いる導電性材料に関する。
従来より、絶縁体であるゴムや樹脂に、金属粉や黒鉛粉末等からなるフィラーを充填、分散し、導電性を付与した導電性組成物が知られており、係る導電性材料は、ゴムや樹脂自体の軽量・成型加工が容易といった特性により、コンピューター、家電製品、音響機器、OA機器等の電気・電子機器周辺や、車載部品をはじめとする産業上の幅広い分野で活用されている(例えば、特許文献1(特開2014-114420号公報)参照)。
特開2014-114420号公報
近年、上記導電性への要求に加え、上記各種機器の高性能化や小型化に伴い、構成部品の発熱に起因した熱の蓄積が、新たな技術課題として挙げられるようになっている。
金属フィラーは、導電性および熱伝導性を示すフィラーとされているものの、充填量の増加を図ろうとすると、ゴムや樹脂材料との比重差による分散不良を生じ易く、加えて、車載部品と使用される外装材または内装材は軽量であることが特に望まれることから、比重の大きな金属フィラーを適用することは困難であった。
また、金属フィラーは、フィラー混練工程における大気中の水分混入に起因した、錆の発生(経時劣化)も考慮する必要がある。
比重が小さく、かつ錆を生じない、黒鉛粉末からなるフィラーは、所定の導電性を達成できるものの、比表面積が大きく、ゴムまたは樹脂への高い割合で配合することは困難である。
一般にゴムまたは樹脂へ所望の強度を付与しつつ、所望の導電性や熱伝導性を付与するためには、フィラーの配合量範囲が広い(フィラーを高配合(高充填)し得る)ことが求められることから、高配合可能なフィラーが求められるようになっている。
また、黒鉛は、通常、石炭コークスを粉砕し、所望粒径を有するものを分別した後、計量し、ピッチコークスやコールタールピッチと混練し、次いで押出成形やCIP成形等により成形し、一次焼成およびピッチ含浸し、2700〜3000℃程度の高温度で黒鉛化処理し、さらに必要に応じて高純度処理等の後処理を施すことにより製造されており、工程が煩雑で、製造コストの高いものであることから、汎用品に対し大量に使用し難いという技術課題が存在していた。
従って、本発明は、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂に対して高い割合で配合することができ、導電性および熱伝導性の制御が容易な導電性フィラーおよび係る導電性フィラーを含む導電性材料を提供することを目的とするものである。
このような状況下、本発明者等が鋭意検討したところ、石油コークスを原料とする導電性フィラーを着想し、石油コークスを特定条件で処理して得られる導電性フィラーが上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物であることを特徴とする導電性フィラー(以下、適宜、本発明の導電性フィラー(A)と称する)、
(2)ゴムまたは樹脂と請求項1に記載の導電性フィラーとを含有し、前記ゴムまたは樹脂100質量部に対し上記(1)に記載の導電性フィラーを50〜450質量部含有することを特徴とする導電性材料、
(3)体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以下であり、熱伝導率が0.7W/m・K以上である上記(2)に記載の導電性材料、
を提供するものである。
本発明によれば、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂に対して高い割合で配合することができ、導電性および熱伝導性の制御が容易な導電性フィラーおよび係る導電性フィラーを含む導電性材料を提供することができる。
本発明の導電性フィラー(A)は、石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物であることを特徴とするものである。
本発明の導電性フィラー(A)は、石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物からなるものであり、本出願書類において、石油コークスの焼成物としては、石油コークスを1250℃〜2400℃で焼成し、次いで粉砕したものや、または石油コークスを粉砕し、次いで1250℃〜2400℃の温度で焼成して得られる石油コークスの粉砕及び焼成物であることが好ましい。
石油コークスの焼成物は、本発明の効果を発揮し得るものである限り、上記粉砕処理または焼成処理を複数回施してなるものであってもよい。
焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、石油精製プロセスにおいて生成する熱分解原料油が、熱分解装置で熱分解処理されることにより生成し、熱分解処理において生成する軽質分が採取された後に残るコークスである。
熱分解処理される熱分解原料油としては、原油を常圧蒸留した後の常圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留した後の減圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油や、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)との混合油が挙げられる。
熱分解原料油に係る常圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、原油を常圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油に係る減圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油であってもよく、熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油である場合、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合割合は、特に制限されず、適宜調節される。
常圧蒸留残渣油の蒸留原料となる原油としては、特に制限されず、原油種としては、例えば、アラビアンヘビー、アラビアンミディアム、アラビアンライト、アラビアンエクストラライト、クウェート、バスラ、オマーン、マーバン、ムバラスブレンド、ザクム、アッパーザクム、カタールランド、カタールマリン、ウムシャイフ、シリー、カフジ、エスポ等が挙げられ、いずれか1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
また、熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油、すなわち、常圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、または常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油であってもよい。熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油である場合、他の炭化水素油(1)は、本発明の効果を示す範囲の炭化水素油であればよく、例えば、流動接触分解処理のスラリーオイル、エチレンクラッカー残渣油等が挙げられる。
熱分解処理の条件であるが、熱分解温度は、好ましくは490〜510℃、より好ましくは495〜505℃であり、また、熱分解処理の際の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.01〜0.6MPaG、より好ましくは0.05〜0.4MPaGである。また、熱分解処理の雰囲気は、スチームである。また、熱分解処理中に過度の発泡が認められる場合は、消泡剤を投入する事もある。消泡剤としては、一般的にシリコン系の消泡剤などを用いることができる。
熱分解原料油の熱分解により生成する石油コークスは、熱分解処理後、ウォータージェット等を用いて砕かれて、熱分解装置から取り出される。そして、熱分解装置から取り出される石油コークスは、一般にショットコークスと呼ばれる形状が粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる形状が多孔質の大きな塊状のものであり、本発明の導電性フィラー(A)を製造するための焼成及び粉砕の原料としては、ショットコークスであっても、スポンジコークスであっても、それらの混合物であってもよい。また、熱分解装置から取り出された石油コークスは、必要に応じて、20〜500℃で乾燥される。
このようにして、焼成処理や粉砕処理の対象となる石油コークスを得ることができる。焼成処理や粉砕処理の対象となる石油コークスは、硫黄を含有しており、焼成処理や粉砕処理の原料となる石油コークスの硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、好ましくは0〜12質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、一層好ましくは1〜9質量%、より一層好ましくは2〜8質量%である。
硫黄含有量が上記範囲にあることにより、焼成時にコークス内の結晶構造の発達が促進され、導電性フィラーとして、ゴムや樹脂等へ配合した際の導電性および熱伝導性を容易に向上させることができる。熱分解原料油の熱分解処理により得られるコークスは、通常、水分を1〜12質量%程度含有しているため、含水した状態の石油コークスの質量を、硫黄含有量の算出の基準とすると、石油コークスの含水状態により、石油コークス中の硫黄含有量の計算値が変動してしまう。そこで、石油コークス中の硫黄含有量の算出に当たっては、含水状態の石油コークスを200℃±10℃で4時間乾燥(JIS M 8811に準拠)させ、得られる乾燥状態の石油コークスの質量を測定し、その乾燥状態の石油コークスの質量を基準に、石油コークス中の硫黄含有量を算出する。つまり、石油コークスの乾燥状態での硫黄含有量とは、乾燥状態の石油コークスの質量に対する石油コークス中の硫黄の質量である。
焼成処理や粉砕処理の対象となる石油コークスは、炭素原子含有量が好ましくは70〜90質量%の物質からなり、水素原子を好ましくは1〜10質量%有している。つまり、焼成処理粉砕処理の対象となる(原料となる)石油コークスは、炭化水素基を有している。焼成及び粉砕の原料となる石油コークスが炭化水素基を有していることは、赤外線吸収スペクトル分析(IR)により確認され、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスのIRチャートには、2800〜3000cm−1付近に、C−H、−CH−、CH−の伸縮振動に由来するピークが見られ、1600cm−1付近に、フェニル基C=Cに由来するピークが見られ、また、1300〜1500cm−1付近に、C−H、−CH−、CH−の変角振動に由来するピークが見られ、また、800〜900cm−1付近に、フェニル基C−Hに由来するピークが見られる。
また、焼成処理や粉砕処理の対象となる石油コークスの窒素含有量は、好ましくは0.1〜2.0質量%である。
また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの芳香族性炭素割合は、好ましくは75〜98質量%、より好ましくは85〜95質量%である。
また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの固定炭素分(固定炭素含有量)は、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。また、焼成処理や粉砕処理の対象となる石油コークスの炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.2〜0.8である。
なお、本発明において、炭素原子含有量、水素原子含有量及び窒素原子含有量(CHN分)は、JIS M 8813に準拠して測定された値である。
また、本発明において、石油コークスの芳香族性炭素含有割合は、13CNMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100〜200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0〜200ppm)で除すことにより算出される値を意味する。また、13C-NMRスペクトルは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha−400により測定されるものを意味する。
さらに、本発明において、石油コークスの固定炭素分は、JIS M 8812に準拠して測定した値を意味する。
加えて、本発明において、石油コークスの炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、JIS M 8813に準拠して測定される炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数から算出される値を意味する。
そして、本発明の導電性フィラー(A)は、例えば、熱分解装置から取り出された石油コークスを焼成し、次いで、粉砕したり、熱分解装置から取り出された石油コークスを、粉砕し、次いで、焼成することにより得ることができる。
石油コークス焼成時の焼成温度は、1250℃〜2400℃であり、1300℃〜2250℃が好ましく、1300℃〜2100℃がより好ましく、1300〜2000℃がさらに好ましい。
焼成温度が上記下限値未満であると、熱伝導性が低くなり、また、上記上限値を超えると、焼成コストが大幅に上昇してしまう。焼成時間は、適宜選択されるが、0.5〜10時間が好ましく、1〜8時間がより好ましい。
焼成雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気が好適である。また、焼成では、酸素源を遮断して石油コークスの焼成を行ってもよいし、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行ってもよい。
上記のように、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、炭化水素基を有しているので、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行うことにより、石油コークス中の炭化水素基を酸化し、石油コークスに含酸素官能基を導入することができる。含酸素官能基としては、特に制限されず、例えば、カルボキシル基、ヒドロシキル基、カルボニル基等が挙げられる。石油コークスに含酸素官能基が導入されていることは、X線光電子分光分析(XPS)により確認される。微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行う場合、焼成を行う方法としては、例えば、不活性ガス中に微量の酸素または水を含有させ、この酸素または水を微量に含有させた不活性ガスを焼成雰囲気に供給しながら、石油コークスの焼成を行う方法が挙げられる。このとき、不活性ガス中の酸素または水の含有量及びトータル供給量は、適宜選択される。
粉砕処理を行うための粉砕手段としては、特に制限されず、また、乾式であっても湿式であってもよい。粉砕手段としては、ジョークラッシャ、ジョイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマクラッシャ、自生粉砕機、ボールミル、ローラミル、高速回転ミル、ジェットミル等の粉砕装置が挙げられる。また、粉砕処理条件は、目的とする微粉砕物の平均粒子径、その他の粒度特性、粉砕手段、粉砕回数等により、適宜選択される。粉砕処理された粉砕処理物は、必要に応じて分級される。
本発明の導電性フィラー(A)の平均粒子径(D50)は、1〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。平均粒子径(D50)が上記範囲内にあることにより、分散性が高まりフィラーとしての使用が可能となり、また、ゴムまたは樹脂との界面抵抗による体積抵抗率の低下を押さえることが可能となる。
本発明の導電性フィラー(A)において、下記式(1):
スパン=(D90−D10)/D50 (1)
で表されるスパンは、0.3〜7.0が好ましく、0.3〜6.0がより好ましい。スパンが上記範囲にあることにより、フィラーとして、マトリックス材(例えば、ゴムや樹脂)への配合条件の設計が容易になる。
本発明の導電性フィラー(A)において、D90は200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。また、本発明の導電性フィラー(A)において、D10は0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、積算粒度50%、積算粒度90%の粒径を意味する。
石油コークスは、2200℃を超える高温度で焼成すると黒鉛構造への相転移が活性化されるが、1250℃〜2400℃、好ましくは1300℃〜2250℃、より好ましくは1300℃〜2100℃、さらに好ましくは1300℃〜2000℃での焼成では、黒鉛構造への相転移は一部にとどまる。
そして、本発明の導電性フィラー(A)は、石油コークスを1250℃〜2400℃、好ましくは1300℃〜2250℃、より好ましくは1300℃〜 2100℃、さらに好ましくは1300℃〜2000℃で焼成して得られる焼成物なので、本発明の導電性フィラー(A)は、一部が黒鉛構造様へ相転移したものに過ぎず、いわゆる黒鉛とは相違するものである。
石油コークスを焼成して導電性炭素系粒子を得ようとする場合、その組成に内在する脂肪族炭化水素を主体としたタール分の揮発による脱離が起こるとともに、芳香族炭化水素濃度が向上し、石油コークスが導電性を有するようになると考えられる。
上記焼成時における石油コークスの焼成温度が1250℃〜2400℃の領域では、熱エネルギーによって、構造中の芳香族炭化水素の濃度が向上する結果、常圧下での炭素結晶の安定形態である黒鉛構造様の結晶が発達し、導電性を発揮するとともに熱を伝えやすい構造となり、ゴムや樹脂に混合した際に、ゴムや樹脂が本来有する熱伝導性を上回る熱伝導性を示すと考えらえる。
一方、完全に黒鉛化が進行すると、ゴムや樹脂に対して高い割合で配合することは困難になり、導電性および熱伝導性を所望範囲に制御し難くなるのに対して、石油コークスを1250℃〜2400℃で焼成した本発明の導電性フィラーは、その一部のみが黒鉛化したものであり、導電性および熱伝導性に優れるとともに、ゴムや樹脂に対して高い割合で配合することができ、所望の機械的強度を発揮しつつも、導電性および熱伝導性を所望範囲に容易に制御することができる。
そして、本発明の導電性フィラーは、付加価値の低い石油コークスを原料としつつ、黒鉛の製造工程のように高温で焼成する必要がないことから、エネルギーコストを低減し得るとともに、焼成炉や断熱材など炉周辺部材の高寿命化を図り、かつ簡便な工程で製造し得ることから低コストに提供することができる。
本発明の導電性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、3.37〜3.45Åが好ましく、3.37〜3.43Åがより好ましい。
炭素材は黒鉛化が進むほど、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が小さくなる。ここで、黒鉛のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は3.354Å程度であり、また、焼成前の石油コークスのX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、通常、3.37〜3.45Åである。
これに対して、本発明の導電性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、好ましくは3.37〜3.45Å、より好ましくは3.37〜3.43Åであるものであるので、本発明の導電性フィラー(A)は黒鉛化していない炭素材である。つまり、本発明の導電性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が、好ましくは3.37〜3.45Å、より好ましくは3.37〜3.43Åであるとは、本発明の導電性フィラー(A)が黒鉛化していない炭素材であるということを意味する。
また、黒鉛化したものは、結晶化が進んでいるので、X線回折法による回折チャートにおいて、2θ=20〜30°付近には、(002)面に由来するシャープなピークが現れる。一方、本発明の導電性フィラーは、結晶化が進んでいないので、2θ=20〜30°に見られる(002)面に由来する回折ピークは、ブロードである。
また、本発明の導電性フィラー(A)は、黒鉛化が進んでいないため、本発明の導電性フィラーの炭素原子含有量は、好ましくは94.0〜99.9質量%であり、より好ましくは95〜99.9質量%である。
なお、本発明の導電性フィラーの炭素原子含有量は、JIS M 8813に準拠して測定される値を意味する。
本発明の導電性フィラー(A)の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以下である(0〜1.0×10Ω・cmである)ことが好ましく、1.0×10Ω・cm以下である(0〜1.0×10Ω・cmである)ことがより好ましく、1.0×10Ω・cm以下である(0〜1.0×10Ω・cmである)ことがさらに好ましい。
なお、本発明の導電性フィラー(A)の体積抵抗率は、エチレンープロピレンージエンゴム100質量部、硫黄1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド1.0質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール0.5質量部、酸化亜鉛5.0質量部およびステアリン酸1.0質量部に対して本発明の導電性フィラー(A)を50〜450質量部配合した状態で、23℃の温度下において、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450を用いて測定される値を意味する。
本発明の導電性フィラー(A)の熱伝導率は、0.7W/(m・K)以上が好ましく、0.8W/(m・K)以上がより好ましく、1.0W/(m・K)以上がさらに好ましい。
上記熱伝導率の上限は、特に制限されないが、通常は、10W/(m・K)以下であり、実用的には、5W/(m・K)以下であれば、一定程度の効果を発揮することができる。
なお、本発明の導電性フィラー(A)の熱伝導率は、エチレンープロピレンージエンゴム100質量部、硫黄1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド1.0質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール0.5質量部、酸化亜鉛5.0質量部およびステアリン酸1.0質量部に対して本発明の導電性フィラー(A)を50〜450質量部配合した状態で、22℃の温度下において、京都電子工業(株)QTM−500を用いて測定される値を意味する。
本発明の導電性フィラー(A)は、石油コークスを特定条件下で焼成処理した焼成物であることから、優れた導電性(体積抵抗率)および熱伝導性を発揮することができる。
本発明の導電性フィラー(A)の嵩密度は、0.1〜1.0g/cmが好ましく、0.2〜0.8g/cmより好ましい。
本発明の導電性フィラー(A)の硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、0.2〜12質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1.5〜10質量%がさらに好ましい。
本発明の導電性フィラー(A)は、水素原子を好ましくは0.1〜4質量%有している。また、本発明の導電性フィラー(A)の窒素含有量は、好ましくは0.1〜1質量%である。さらに、本発明の導電性フィラー(A)の芳香族性炭素割合は、好ましくは90〜99質量%、より好ましくは93〜99質量%である。加えて、本発明の導電性フィラー(A)の炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.01〜0.1である。
本発明の導電性フィラー(A)は、石油コークスを原料に用い、且つ、1250〜2200℃、好ましくは1300〜2150℃、より好ましくは1300〜2100℃、さらに好ましくは1300〜2000℃で焼成して得られるものなので、低コストに製造することができる。
すなわち、本発明に係る導電性フィラー(A)は、付加価値の低い廉価な石油コークスを原料としつつ、黒鉛の製造工程のように3000℃程度の高温で焼成する必要がないことから、エネルギーコストを大幅に低減し得るとともに焼成炉の高寿命化を図ることができ、かつ簡便な工程で製造し得るために、導電性フィラーないしは係る導電性フィラーを有する導電性材料のコストを低減することができる。
本発明の導電性材料は、ゴムまたは樹脂と本発明の導電性フィラー(A)とを含有し、
上記ゴムまたは樹脂100質量部に対し、本発明の導電性フィラー(A)を50〜450質量部含有することを特徴とするものである。
つまり、本発明の導電性材料は、マトリックス材として、ゴムまたは樹脂と、導電性のフィラーとして、マトリックス材中に分散及び充填されている本発明の導電性フィラー(A)と、を含有する。
本発明の導電性材料に係るゴムとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。ゴムは、これらのうちの1種単独であってもよいし、2種類以上が混合されている混合物であってもよい。合成ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン/ブタジエン共重合体、クロロプレン(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)、ウレタンゴム(AU)、イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)、エチレン/プロピレン共重合体(EPM)、エピクロルヒドリンゴム(CO)、及びフッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。なお、合成ゴムは、これらに限定されるものではなく、これら以外のものであってもよい。
本発明の導電性材料に係るゴムにおいては、加硫されていることが好ましい。加硫は、例えば、80〜200℃で行われることが好ましく、130〜180℃で行われることがより好ましい。また、加硫は大気圧条件下でも行われるが、例えば、1〜20MPa(10〜200bar)の加圧下で行われるのが好ましい。
本発明の導電性材料に係る樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる1種以上が挙げられ、特に制限されない。2種以上の混合樹脂の場合は、任意に選択される樹脂を物理的または化学的に所定の組成比でブレンドされたポリマーアロイやポリマーブレンドなどであってもよい。また、樹脂は、変性物であってもよく、2種以上のモノマーが所定の比で重合した共重合体であってもよい。上記共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体及びグラフト共重合体から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の導電性材料において、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース類、含フッ素重合体、含硫黄重合体およびスチレン系樹脂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の導電性材料において、ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等から選ばれる1種以上が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)などが挙げられ、好ましくはPA12、PA6、PA66である。
ポリイミド樹脂としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)などが挙げられ、好ましくはPI、PEIである。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロ・ヘキサン・ジメチレン・テレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、好ましくはPBT、PET、PAR、PEN、LCP、PCである。
ポリエーテル樹脂としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルニトリル(PENT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPEなどが挙げられ、好ましくは、POM、PENT、PEEK、PEK、変性PPEである。
含フッ素重合体としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ四フッ化エチレンエチレン(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化アルキルビニルエーテル(PFA)などが挙げられ、好ましくはPTFE、PFAである。
含硫黄重合体としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリサルホン(PSF)などが好ましく挙げられる。
なお、共重合体としては、前記共重合体の他、例えば、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル(AAS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、スチレンマレイミドなどが挙げられる。
本発明の導電性材料において、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアヌレート樹脂及びフェノール樹脂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラックなどのフェノール系グリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールなどのアルコール系グリシジルエーテルなどの主剤と、硬化剤との組み合せなどが挙げられる。なお、硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリアミド、脂環式ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、3級アミンなどのアミン化合物などが挙げられる。これらの硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、主剤と硬化剤の反応を促進させる反応促進剤を用いることもできる。反応促進剤としては、例えば、フェノール、p−t−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、クレゾール、トリフェニルフォスファイト、サリチル酸、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらの反応促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の導電性材料は、ゴムまたは樹脂100質量部に対し、本発明の導電性フィラー(A)を50〜450質量部、好ましくは100〜430質量部、より好ましくは150〜400質量部含有する。本発明の導電性フィラー(A)の含有量が上記範囲にあることより、体積抵抗率が高く導電性に優れるとともに、熱伝導率に優れる導電性材料となる。
また、本発明の導電性材料は、本発明の導電性フィラー(A)を含み、本発明の導電性フィラー(A)はゴムまたは樹脂に馴染み易く、黒鉛に比較してゴムまたは樹脂に対して高い割合で配合し得ることから、導電性および熱伝導性を所望の値に容易に制御することができる。
なお、本発明の導電性材料が、マトリックス材が熱硬化性樹脂であり、硬化剤または反応促進剤等を含有するものである場合には、硬化剤及び反応促進剤も熱硬化性樹脂の含有量に含めて、その含有量を算出するものとする。また、本発明の導電性材料が、マトリックス材がゴムであり、加硫剤を含有する場合には、加硫剤もゴムの含有量に含めて、その含有量を算出するものとする。
本発明の導電性材料は、必要に応じて、本発明の導電性フィラー以外の導電性フィラーを含有することができる。また、本発明の導電性材料は、導電性フィラー以外に、必要に応じて、さらにガラスファイバー、ウィスカー、金属酸化物、紫外線安定剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、撥水剤、増粘剤、低収縮剤、親水性付与1等を含有することができる。
本発明の導電性材料の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以下である(0〜1.0×10Ω・cmである)ことが好ましく、1.0×10Ω・cm以下である(0〜1.0×10Ω・cmである)ことがより好ましく、1.0×10Ω・cm以下である(0〜1.0×10Ω・cmである)ことがさらに好ましい。
なお、本発明の導電性材料の体積抵抗率は、23℃の温度下において、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450を用いて測定される値を意味する。
本発明の導電性材料の熱伝導率は、0.7W/(m・K)以上が好ましく、0.8W/(m・K)以上がより好ましく、1.0W/(m・K)以上がさらに好ましい。
熱伝導率の上限は、特に制限されないが、通常は、10W/(m・K)以下であり、実用的には、5W/(m・K)以下であれば、一定程度の効果を発揮することができる。
なお、本発明の導電性材料の熱伝導率は、22℃の温度下において、京都電子工業(株)QTM−500を用いて測定される値を意味する。
本発明の導電性材料は本発明の導電性フィラー(A)を含み、本発明の導電性フィラー(A)は石油コークスを特定条件下で焼成処理した焼成物であることから、本発明の導電性材料は、優れた導電性(体積抵抗率)ととともに、優れた熱伝導率を発揮することができる。
本発明の導電性材料は、導電性が求められ、かつ、熱の集積を嫌う精密電子機器周辺部材、帯電防止材などに好適に使用することができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
<石油コークス>
(ショットコークスA、ショットコークスB、ショットコークスCおよびショットコークスD)
熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスA、ショットコークスB、ショットコークスCおよびショットコークスDを分取して、各石油コークスを得た。ショットコークスA、ショットコークスB、ショットコークスCおよびショットコークスDの性状を表1に示す。
なお、下記水分量、CHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、揮発分、固定炭素分については、以下の方法で測定した値を意味する。
(水分量)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(CHN分、H/C)
JIS M 8813に準拠して測定した。
(硫黄含有量)
JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
(灰分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(揮発分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(固定炭素分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(実施例1〜実施例7)
表2に示すように、実施例1および実施例2においてはショットコークスAを原料とし、実施例3〜実施例7においてはショットコークスBを原料として、各々、以下に示す(1)粗粉砕処理、(2)焼成処理および(3)微粉砕処理を順次施すことにより、導電性フィラーを作製した。
なお、以下に記述するように、実施例2および実施例5においては、(3)微粉砕処理を施す代わりに、篩分けを施した。
(1)粗粉砕処理工程
表2に示すように、実施例1〜実施例2においては、ショットコークスAを、実施例3〜実施例7においては、ショットコークスBを、カッターミル((株)セイシン工業製VM−22型)に供給し、以下の条件下で粗粉砕処理した後、目開き2mmの篩を通過させることにより、粗粉砕物として、各々、粒子径が2mm以下である、ショットコークスA粗粉砕物およびショットコークスB粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。
(2)焼成処理工程
表2に示すように、実施例1においては、ショットコークスA粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1350℃で3時間焼成することにより、ショットコークスA粗粉砕焼成物1を得、実施例2においては、ショットコークスA粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1350℃で1時間焼成することにより、ショットコークスA粗粉砕焼成物2を得た。
また、表2に示すように、実施例3〜実施例6においては、ショットコークスB粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1400℃で2時間焼成することにより、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を得た。
さらに、表2に示すように、実施例7においては、ショットコークスB粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、2000℃で2時間焼成することにより、ショットコークスB粗粉砕焼成物2を得た。
(3)微粉砕処理工程
表2に示すように、実施例1においては、ショットコークスA粗粉砕焼成物1を、機械式粉砕機A(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−25)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーAを得た。
実施例2においては、ショットコークスA粗粉砕焼成物2を微粉砕処理することなく、149メッシュの篩(目開き100μm)で篩掛けして篩を通過した篩下分をフィラーBとした。
表2に示すように、実施例3においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を、ジェットミルA(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ−1500)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーCを得た。 表2に示すように、実施例4においては、ショットコークスC粗粉砕焼成物1を、機械式粉砕機B(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−15)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーDを得た。
実施例5においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を微粉砕処理することなく、149メッシュの篩(目開き100μm)で篩掛けして篩を通過した篩下分をフィラーEとした。
表2に示すように、実施例6においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を、機械式粉砕機A(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−25)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーFを得た。
表2に示すように、実施例7においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物2を、機械式粉砕機B(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−15)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことによりフィラーGを得た。
得られたフィラーA〜フィラーGの物性および組成を表3に示す。
なお、表3において、各フィラーのCHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、水分量、揮発分、固定炭素分については、上述した方法と同様の方法で測定した値を意味する。 また、表3において、各フィラーの粒度特性、X線回折分析結果は、以下の方法で測定した値を意味する。
(粒度特性)
JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA、NIKKISO社製)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算粒度10%の粒径D10、積算粒度50%の粒径D50(平均粒子径)、積算粒度90%の粒径D90を求めた。
(X線回折分析)
粉末X線回折装置(Rigaku社製、Ultima IV)を用い、線源:Cu Kα、管電圧:40kV、管電流:40mA、走査速度10.000deg/min.で分析した。
(比較例1)
上記ショットコークスCを、25℃で24時間乾燥し、カッターミル(セイシン工業製VM−22型)で粉砕し、アルゴンガス雰囲気下、900℃で2時間焼成することにより、ショットコークスC粗粉砕焼成物を得た。
得られたショットコークスC粗粉砕焼成物をジェットミルA(セイシン企業(株)製STJ−200)を用いて更に微粉砕し、比較フィラー1を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表4に示す。また、比較フィラー1の物性および組成を表5に示す。
(比較例2)
上記ショットコークスDを、25℃で24時間乾燥し、カッターミル(セイシン工業製VM−22型)で粉砕し、窒素ガス雰囲気下、1200℃で2時間焼成することにより、ショットコークスD粗粉砕焼成物を得た。
得られたショットコークスD粗粉砕焼成物を更にジェットミルB(日清エンジニアリング(株)製SJ−2500)を用いて微粉砕し、比較フィラー2を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表4に示す。また、比較フィラー2の物性および組成を表5に示す。
(参考例1)
参考例1として、市販黒鉛粉末1を使用した。市販黒鉛粉末1の物性および組成を、表5に示す。
(参考例2)
参考例2として、市販黒鉛粉末2を使用した。
なお、表5において、各フィラーの粒度特性、X線回折分析方法、CHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、水分、揮発分、固定炭素分は上述した方法と同様の方法で測定した値を意味する。
(実施例8)
表6に示すように、ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、導電性フィラーとして実施例1で作製したフィラーAを100質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100−500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの導電性材料を得た。
得られた導電性材料の体積抵抗率を、23℃の温度条件下、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、体積抵抗値が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450を用いて測定される値を意味する。
(実施例9〜実施例24)
表6〜表9に示すように、ゴム原料として上述したゴム原料1を使用し、導電性フィラーとして、上述したフィラーA、フィラーB、フィラーC、フィラーD、フィラーE、フィラーFおよびフィラーGから選ばれるいずれか一種を使用して、表6〜表9に示す配合割合になるように各成分を混合した以外は、実施例8と同様にして各導電性材料を得た。
得られた各導電性材料の体積抵抗率および熱伝導率を実施例8と同様に測定した。結果を表6〜表9に示す。
(実施例25〜実施例33)
表10〜表11に示すように、樹脂原料として、樹脂原料1(高密度ポリエチレン(HDPE)、(株)プライムポリマー製ハイゼックス6300M(一般配水管、上下水道用))または樹脂原料2(ポリアミド6(ユニチカ(株)製ナイロンA1015(低粘度非強化グレード))を用い、これ等いずれかの樹脂原料100質量部に対し、導電性フィラーとして上述したフィラーA、フィラーD、フィラーFおよびフィラーGのいずれかを使用し、表10〜表12に示す配合になるように各々混合し、二軸押出混練機で混練することにより、目的とする各樹脂配合物(導電性材料)を得た。
得られた各導電性材料の体積抵抗率および熱伝導率を実施例8と同様に測定した。結果を表10〜表11に示す。
(比較例3〜比較例5)
表12に示すように、ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、導電性フィラーとして比較例1で作製した比較フィラー1を100〜270質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100−500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの導電性材料を得た。
導電性材料の23℃の体積抵抗率について、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、体積抵抗率が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450で測定し、さらに熱伝導率を、22℃の温度条件下、京都電子工業(株)製QTM−500を用いて測定した。結果を表12に示す。
(参考例3)
ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、導電性フィラーとして参考例1で提示した市販黒鉛1を50質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100−500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの導電性材料を得た。
得られた導電性材料は、ゴム原料1自体の柔軟性に比較して柔軟性が著しく低下したことから、実用上、ゴム原料100質量部に対して50質量部以上含有させることができず、柔軟性や強度等の特性を満足させつつ体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することが困難なものであった。
(参考例4〜参考例5)
ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)100質量部に代えて、樹脂原料として樹脂原料1(ポリアミド6(ユニチカ(株)製ナイロンA1015(低粘度非強化グレード))100質量部を用い、この樹脂原料100質量部に対し、市販黒鉛1に代えて参考例2の市販黒鉛2を100質量部(参考例4)または145質量部(参考例5)使用した以外は、参考例3と同様の配合量になるように各成分を混合し、二軸押出混練機で混練することにより、目的とする各樹脂配合物(導電性材料)を得た。
得られた導電性材料は、市販黒鉛2の含有割合が上昇すると樹脂原料1自体の柔軟性に比較して柔軟性が著しく低下したことから、実用上、樹脂原料100質量部に対して145質量部以上含有させることができず、柔軟性や強度等の特性を満足させつつ体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することが困難なものであった。
表5〜表11より、実施例8〜実施例33で得られた本発明に係る導電性材料は、石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物である導電性フィラーを、ゴムまたは樹脂100質量部に対し50〜450質量部含むことにより、優れた導電性および熱伝導性を有し、導電性や熱伝導性を所望範囲に制御し得るものであることが分かる。
これに対し、導電性フィラーとして市販黒鉛1を含む参考例3の導電性材料は、ゴム原料1自体の柔軟性に比較して柔軟性が著しく低下したことから、実用上、ゴム原料100質量部に対して50質量部以上含有させることができず、柔軟性や強度等の特性を満足させつつ体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することが困難なものであった。
また、同様に、導電性フィラーとして市販黒鉛2を含む参考例4および参考例5の導電性材料は、市販黒鉛2の含有割合が上昇すると樹脂原料1自体の柔軟性に比較して柔軟性が著しく低下したことから、実用上、樹脂原料100質量部に対して145質量部以上含有させることができず、柔軟性や強度等の特性を満足させつつ体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することが困難なものであった。
表12より、比較例3〜比較例5で得られた導電性材料は、本発明の導電性フィラーを含まないために、体積抵抗率が高かったり、熱伝導率が低く、体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することができないために、実用に供し得ないことが分かる。
本発明によれば、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂に対して高い割合で配合することができ、導電性および熱伝導性の制御が容易な導電性フィラーおよび係る導電性フィラーを含む導電性材料を提供することができる。

Claims (3)

  1. 石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物であることを特徴とする導電性フィラー。
  2. ゴムまたは樹脂と請求項1に記載の導電性フィラーとを含有し、前記ゴムまたは樹脂100質量部に対し請求項1に記載の導電性フィラーを50〜450質量部含有することを特徴とする導電性材料。
  3. 体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以下であり、熱伝導率が0.7W/m・K以上である請求項2に記載の導電性材料。
JP2016126636A 2016-06-27 2016-06-27 導電性フィラー及び導電性材料 Pending JP2018005987A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016126636A JP2018005987A (ja) 2016-06-27 2016-06-27 導電性フィラー及び導電性材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016126636A JP2018005987A (ja) 2016-06-27 2016-06-27 導電性フィラー及び導電性材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018005987A true JP2018005987A (ja) 2018-01-11

Family

ID=60947981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016126636A Pending JP2018005987A (ja) 2016-06-27 2016-06-27 導電性フィラー及び導電性材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018005987A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0471236U (ja) * 1990-10-30 1992-06-24
JP2011016937A (ja) * 2009-07-09 2011-01-27 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP2012036343A (ja) * 2010-08-11 2012-02-23 Nippon Corrosion Engineering Co Ltd 導電性水性塗料およびその塗料を使用した鉄筋コンクリート構造物の電気防食方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0471236U (ja) * 1990-10-30 1992-06-24
JP2011016937A (ja) * 2009-07-09 2011-01-27 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP2012036343A (ja) * 2010-08-11 2012-02-23 Nippon Corrosion Engineering Co Ltd 導電性水性塗料およびその塗料を使用した鉄筋コンクリート構造物の電気防食方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7214430B2 (en) Composite material
KR101255399B1 (ko) 카본블랙, 그의 제조 방법 및 그의 용도
JP4963831B2 (ja) 半導電性構造体、導電性及び/又は熱伝導性構造体、該構造体の製造方法、およびその用途
WO2017006937A1 (ja) 熱伝導性フィラー、混合熱伝導性フィラー及び熱伝導性材料
WO2015129669A1 (ja) 石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物
JP2018005987A (ja) 導電性フィラー及び導電性材料
JP2017014089A (ja) 混合熱伝導性フィラー及び熱伝導性材料
JP6832247B2 (ja) 導電性材料および弱導電性インキ
JP2017132974A (ja) 熱伝導性フィラー及び熱伝導性材料
US11606889B2 (en) Carbon material filler for electromagnetic shield, electromagnetic shield material, and carbon-material-containing molded body for electromagnetic shield
JP2017014463A (ja) 混合熱伝導性フィラー及び熱伝導性材料
JP2016124917A (ja) 石油コークス微粉砕物
JP4854979B2 (ja) 燃料電池セパレータ用組成物、燃料電池セパレータの製造方法および燃料電池セパレータ
JP2017014462A (ja) 混合熱伝導性フィラー及び熱伝導性材料
JP2016141610A (ja) 石油コークス微粉砕焼成物
CN111587518B (zh) 碳刷和生产方法
JP7064296B2 (ja) 黒色微粒子状絶縁剤、黒色絶縁材料、黒色絶縁インキおよび黒色絶縁材
JP2003213137A (ja) 熱硬化性樹脂成形材料およびこれを成形してなる成形品
JP2016124921A (ja) ゴム配合物
US20040232392A1 (en) Graphite fine powder, and production method and use thereof
JP2016124918A (ja) 石油コークス微粉砕物
Stepashkin et al. Carbonised composite materials based on elastomers filled with carbon nanofillers
US20170081497A1 (en) Electrically dissipative elastomer composition comprising conductive carbon powder emanating from lignin, a method for the manufacturing thereof and use thereof
JP2006083297A (ja) ふっ素樹脂成形体及びその製造方法
JP2005285552A (ja) 燃料電池セパレータ用組成物および燃料電池セパレータの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190307

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200212

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200811