JP2018005987A - 導電性フィラー及び導電性材料 - Google Patents
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Abstract
Description
また、金属フィラーは、フィラー混練工程における大気中の水分混入に起因した、錆の発生(経時劣化)も考慮する必要がある。
一般にゴムまたは樹脂へ所望の強度を付与しつつ、所望の導電性や熱伝導性を付与するためには、フィラーの配合量範囲が広い(フィラーを高配合(高充填)し得る)ことが求められることから、高配合可能なフィラーが求められるようになっている。
また、黒鉛は、通常、石炭コークスを粉砕し、所望粒径を有するものを分別した後、計量し、ピッチコークスやコールタールピッチと混練し、次いで押出成形やCIP成形等により成形し、一次焼成およびピッチ含浸し、2700〜3000℃程度の高温度で黒鉛化処理し、さらに必要に応じて高純度処理等の後処理を施すことにより製造されており、工程が煩雑で、製造コストの高いものであることから、汎用品に対し大量に使用し難いという技術課題が存在していた。
(1)石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物であることを特徴とする導電性フィラー(以下、適宜、本発明の導電性フィラー(A)と称する)、
(2)ゴムまたは樹脂と請求項1に記載の導電性フィラーとを含有し、前記ゴムまたは樹脂100質量部に対し上記(1)に記載の導電性フィラーを50〜450質量部含有することを特徴とする導電性材料、
(3)体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以下であり、熱伝導率が0.7W/m・K以上である上記(2)に記載の導電性材料、
を提供するものである。
石油コークスの焼成物は、本発明の効果を発揮し得るものである限り、上記粉砕処理または焼成処理を複数回施してなるものであってもよい。
硫黄含有量が上記範囲にあることにより、焼成時にコークス内の結晶構造の発達が促進され、導電性フィラーとして、ゴムや樹脂等へ配合した際の導電性および熱伝導性を容易に向上させることができる。熱分解原料油の熱分解処理により得られるコークスは、通常、水分を1〜12質量%程度含有しているため、含水した状態の石油コークスの質量を、硫黄含有量の算出の基準とすると、石油コークスの含水状態により、石油コークス中の硫黄含有量の計算値が変動してしまう。そこで、石油コークス中の硫黄含有量の算出に当たっては、含水状態の石油コークスを200℃±10℃で4時間乾燥(JIS M 8811に準拠)させ、得られる乾燥状態の石油コークスの質量を測定し、その乾燥状態の石油コークスの質量を基準に、石油コークス中の硫黄含有量を算出する。つまり、石油コークスの乾燥状態での硫黄含有量とは、乾燥状態の石油コークスの質量に対する石油コークス中の硫黄の質量である。
また、焼成処理や粉砕処理の対象となる石油コークスの窒素含有量は、好ましくは0.1〜2.0質量%である。
また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの芳香族性炭素割合は、好ましくは75〜98質量%、より好ましくは85〜95質量%である。
また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの固定炭素分(固定炭素含有量)は、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。また、焼成処理や粉砕処理の対象となる石油コークスの炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.2〜0.8である。
なお、本発明において、炭素原子含有量、水素原子含有量及び窒素原子含有量(CHN分)は、JIS M 8813に準拠して測定された値である。
また、本発明において、石油コークスの芳香族性炭素含有割合は、13CNMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100〜200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0〜200ppm)で除すことにより算出される値を意味する。また、13C-NMRスペクトルは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha−400により測定されるものを意味する。
さらに、本発明において、石油コークスの固定炭素分は、JIS M 8812に準拠して測定した値を意味する。
加えて、本発明において、石油コークスの炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、JIS M 8813に準拠して測定される炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数から算出される値を意味する。
焼成温度が上記下限値未満であると、熱伝導性が低くなり、また、上記上限値を超えると、焼成コストが大幅に上昇してしまう。焼成時間は、適宜選択されるが、0.5〜10時間が好ましく、1〜8時間がより好ましい。
焼成雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気が好適である。また、焼成では、酸素源を遮断して石油コークスの焼成を行ってもよいし、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行ってもよい。
スパン=(D90−D10)/D50 (1)
で表されるスパンは、0.3〜7.0が好ましく、0.3〜6.0がより好ましい。スパンが上記範囲にあることにより、フィラーとして、マトリックス材(例えば、ゴムや樹脂)への配合条件の設計が容易になる。
そして、本発明の導電性フィラー(A)は、石油コークスを1250℃〜2400℃、好ましくは1300℃〜2250℃、より好ましくは1300℃〜 2100℃、さらに好ましくは1300℃〜2000℃で焼成して得られる焼成物なので、本発明の導電性フィラー(A)は、一部が黒鉛構造様へ相転移したものに過ぎず、いわゆる黒鉛とは相違するものである。
上記焼成時における石油コークスの焼成温度が1250℃〜2400℃の領域では、熱エネルギーによって、構造中の芳香族炭化水素の濃度が向上する結果、常圧下での炭素結晶の安定形態である黒鉛構造様の結晶が発達し、導電性を発揮するとともに熱を伝えやすい構造となり、ゴムや樹脂に混合した際に、ゴムや樹脂が本来有する熱伝導性を上回る熱伝導性を示すと考えらえる。
一方、完全に黒鉛化が進行すると、ゴムや樹脂に対して高い割合で配合することは困難になり、導電性および熱伝導性を所望範囲に制御し難くなるのに対して、石油コークスを1250℃〜2400℃で焼成した本発明の導電性フィラーは、その一部のみが黒鉛化したものであり、導電性および熱伝導性に優れるとともに、ゴムや樹脂に対して高い割合で配合することができ、所望の機械的強度を発揮しつつも、導電性および熱伝導性を所望範囲に容易に制御することができる。
そして、本発明の導電性フィラーは、付加価値の低い石油コークスを原料としつつ、黒鉛の製造工程のように高温で焼成する必要がないことから、エネルギーコストを低減し得るとともに、焼成炉や断熱材など炉周辺部材の高寿命化を図り、かつ簡便な工程で製造し得ることから低コストに提供することができる。
炭素材は黒鉛化が進むほど、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が小さくなる。ここで、黒鉛のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は3.354Å程度であり、また、焼成前の石油コークスのX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、通常、3.37〜3.45Åである。
これに対して、本発明の導電性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、好ましくは3.37〜3.45Å、より好ましくは3.37〜3.43Åであるものであるので、本発明の導電性フィラー(A)は黒鉛化していない炭素材である。つまり、本発明の導電性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が、好ましくは3.37〜3.45Å、より好ましくは3.37〜3.43Åであるとは、本発明の導電性フィラー(A)が黒鉛化していない炭素材であるということを意味する。
なお、本発明の導電性フィラーの炭素原子含有量は、JIS M 8813に準拠して測定される値を意味する。
なお、本発明の導電性フィラー(A)の体積抵抗率は、エチレンープロピレンージエンゴム100質量部、硫黄1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド1.0質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール0.5質量部、酸化亜鉛5.0質量部およびステアリン酸1.0質量部に対して本発明の導電性フィラー(A)を50〜450質量部配合した状態で、23℃の温度下において、体積抵抗値が105Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、105Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450を用いて測定される値を意味する。
上記熱伝導率の上限は、特に制限されないが、通常は、10W/(m・K)以下であり、実用的には、5W/(m・K)以下であれば、一定程度の効果を発揮することができる。
なお、本発明の導電性フィラー(A)の熱伝導率は、エチレンープロピレンージエンゴム100質量部、硫黄1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド1.0質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール0.5質量部、酸化亜鉛5.0質量部およびステアリン酸1.0質量部に対して本発明の導電性フィラー(A)を50〜450質量部配合した状態で、22℃の温度下において、京都電子工業(株)QTM−500を用いて測定される値を意味する。
すなわち、本発明に係る導電性フィラー(A)は、付加価値の低い廉価な石油コークスを原料としつつ、黒鉛の製造工程のように3000℃程度の高温で焼成する必要がないことから、エネルギーコストを大幅に低減し得るとともに焼成炉の高寿命化を図ることができ、かつ簡便な工程で製造し得るために、導電性フィラーないしは係る導電性フィラーを有する導電性材料のコストを低減することができる。
上記ゴムまたは樹脂100質量部に対し、本発明の導電性フィラー(A)を50〜450質量部含有することを特徴とするものである。
また、本発明の導電性材料は、本発明の導電性フィラー(A)を含み、本発明の導電性フィラー(A)はゴムまたは樹脂に馴染み易く、黒鉛に比較してゴムまたは樹脂に対して高い割合で配合し得ることから、導電性および熱伝導性を所望の値に容易に制御することができる。
なお、本発明の導電性材料の体積抵抗率は、23℃の温度下において、体積抵抗値が105Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、105Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450を用いて測定される値を意味する。
熱伝導率の上限は、特に制限されないが、通常は、10W/(m・K)以下であり、実用的には、5W/(m・K)以下であれば、一定程度の効果を発揮することができる。
なお、本発明の導電性材料の熱伝導率は、22℃の温度下において、京都電子工業(株)QTM−500を用いて測定される値を意味する。
<石油コークス>
(ショットコークスA、ショットコークスB、ショットコークスCおよびショットコークスD)
熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスA、ショットコークスB、ショットコークスCおよびショットコークスDを分取して、各石油コークスを得た。ショットコークスA、ショットコークスB、ショットコークスCおよびショットコークスDの性状を表1に示す。
(水分量)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(CHN分、H/C)
JIS M 8813に準拠して測定した。
(硫黄含有量)
JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
(灰分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(揮発分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(固定炭素分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
表2に示すように、実施例1および実施例2においてはショットコークスAを原料とし、実施例3〜実施例7においてはショットコークスBを原料として、各々、以下に示す(1)粗粉砕処理、(2)焼成処理および(3)微粉砕処理を順次施すことにより、導電性フィラーを作製した。
なお、以下に記述するように、実施例2および実施例5においては、(3)微粉砕処理を施す代わりに、篩分けを施した。
表2に示すように、実施例1〜実施例2においては、ショットコークスAを、実施例3〜実施例7においては、ショットコークスBを、カッターミル((株)セイシン工業製VM−22型)に供給し、以下の条件下で粗粉砕処理した後、目開き2mmの篩を通過させることにより、粗粉砕物として、各々、粒子径が2mm以下である、ショットコークスA粗粉砕物およびショットコークスB粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1においては、ショットコークスA粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1350℃で3時間焼成することにより、ショットコークスA粗粉砕焼成物1を得、実施例2においては、ショットコークスA粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1350℃で1時間焼成することにより、ショットコークスA粗粉砕焼成物2を得た。
また、表2に示すように、実施例3〜実施例6においては、ショットコークスB粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1400℃で2時間焼成することにより、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を得た。
さらに、表2に示すように、実施例7においては、ショットコークスB粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、2000℃で2時間焼成することにより、ショットコークスB粗粉砕焼成物2を得た。
表2に示すように、実施例1においては、ショットコークスA粗粉砕焼成物1を、機械式粉砕機A(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−25)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーAを得た。
実施例2においては、ショットコークスA粗粉砕焼成物2を微粉砕処理することなく、149メッシュの篩(目開き100μm)で篩掛けして篩を通過した篩下分をフィラーBとした。
表2に示すように、実施例3においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を、ジェットミルA(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ−1500)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーCを得た。 表2に示すように、実施例4においては、ショットコークスC粗粉砕焼成物1を、機械式粉砕機B(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−15)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーDを得た。
実施例5においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を微粉砕処理することなく、149メッシュの篩(目開き100μm)で篩掛けして篩を通過した篩下分をフィラーEとした。
表2に示すように、実施例6においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物1を、機械式粉砕機A(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−25)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーFを得た。
表2に示すように、実施例7においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物2を、機械式粉砕機B(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−15)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことによりフィラーGを得た。
なお、表3において、各フィラーのCHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、水分量、揮発分、固定炭素分については、上述した方法と同様の方法で測定した値を意味する。 また、表3において、各フィラーの粒度特性、X線回折分析結果は、以下の方法で測定した値を意味する。
(粒度特性)
JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA、NIKKISO社製)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算粒度10%の粒径D10、積算粒度50%の粒径D50(平均粒子径)、積算粒度90%の粒径D90を求めた。
(X線回折分析)
粉末X線回折装置(Rigaku社製、Ultima IV)を用い、線源:Cu Kα、管電圧:40kV、管電流:40mA、走査速度10.000deg/min.で分析した。
上記ショットコークスCを、25℃で24時間乾燥し、カッターミル(セイシン工業製VM−22型)で粉砕し、アルゴンガス雰囲気下、900℃で2時間焼成することにより、ショットコークスC粗粉砕焼成物を得た。
得られたショットコークスC粗粉砕焼成物をジェットミルA(セイシン企業(株)製STJ−200)を用いて更に微粉砕し、比較フィラー1を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表4に示す。また、比較フィラー1の物性および組成を表5に示す。
上記ショットコークスDを、25℃で24時間乾燥し、カッターミル(セイシン工業製VM−22型)で粉砕し、窒素ガス雰囲気下、1200℃で2時間焼成することにより、ショットコークスD粗粉砕焼成物を得た。
得られたショットコークスD粗粉砕焼成物を更にジェットミルB(日清エンジニアリング(株)製SJ−2500)を用いて微粉砕し、比較フィラー2を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表4に示す。また、比較フィラー2の物性および組成を表5に示す。
参考例1として、市販黒鉛粉末1を使用した。市販黒鉛粉末1の物性および組成を、表5に示す。
参考例2として、市販黒鉛粉末2を使用した。
表6に示すように、ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、導電性フィラーとして実施例1で作製したフィラーAを100質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100−500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの導電性材料を得た。
得られた導電性材料の体積抵抗率を、23℃の温度条件下、体積抵抗値が105Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、体積抵抗値が105Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450を用いて測定される値を意味する。
表6〜表9に示すように、ゴム原料として上述したゴム原料1を使用し、導電性フィラーとして、上述したフィラーA、フィラーB、フィラーC、フィラーD、フィラーE、フィラーFおよびフィラーGから選ばれるいずれか一種を使用して、表6〜表9に示す配合割合になるように各成分を混合した以外は、実施例8と同様にして各導電性材料を得た。
得られた各導電性材料の体積抵抗率および熱伝導率を実施例8と同様に測定した。結果を表6〜表9に示す。
表10〜表11に示すように、樹脂原料として、樹脂原料1(高密度ポリエチレン(HDPE)、(株)プライムポリマー製ハイゼックス6300M(一般配水管、上下水道用))または樹脂原料2(ポリアミド6(ユニチカ(株)製ナイロンA1015(低粘度非強化グレード))を用い、これ等いずれかの樹脂原料100質量部に対し、導電性フィラーとして上述したフィラーA、フィラーD、フィラーFおよびフィラーGのいずれかを使用し、表10〜表12に示す配合になるように各々混合し、二軸押出混練機で混練することにより、目的とする各樹脂配合物(導電性材料)を得た。
得られた各導電性材料の体積抵抗率および熱伝導率を実施例8と同様に測定した。結果を表10〜表11に示す。
表12に示すように、ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、導電性フィラーとして比較例1で作製した比較フィラー1を100〜270質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100−500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの導電性材料を得た。
導電性材料の23℃の体積抵抗率について、体積抵抗値が105Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP−T350を、体積抵抗率が105Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP−HT450で測定し、さらに熱伝導率を、22℃の温度条件下、京都電子工業(株)製QTM−500を用いて測定した。結果を表12に示す。
ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、導電性フィラーとして参考例1で提示した市販黒鉛1を50質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100−500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの導電性材料を得た。
得られた導電性材料は、ゴム原料1自体の柔軟性に比較して柔軟性が著しく低下したことから、実用上、ゴム原料100質量部に対して50質量部以上含有させることができず、柔軟性や強度等の特性を満足させつつ体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することが困難なものであった。
ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)100質量部に代えて、樹脂原料として樹脂原料1(ポリアミド6(ユニチカ(株)製ナイロンA1015(低粘度非強化グレード))100質量部を用い、この樹脂原料100質量部に対し、市販黒鉛1に代えて参考例2の市販黒鉛2を100質量部(参考例4)または145質量部(参考例5)使用した以外は、参考例3と同様の配合量になるように各成分を混合し、二軸押出混練機で混練することにより、目的とする各樹脂配合物(導電性材料)を得た。
得られた導電性材料は、市販黒鉛2の含有割合が上昇すると樹脂原料1自体の柔軟性に比較して柔軟性が著しく低下したことから、実用上、樹脂原料100質量部に対して145質量部以上含有させることができず、柔軟性や強度等の特性を満足させつつ体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することが困難なものであった。
また、同様に、導電性フィラーとして市販黒鉛2を含む参考例4および参考例5の導電性材料は、市販黒鉛2の含有割合が上昇すると樹脂原料1自体の柔軟性に比較して柔軟性が著しく低下したことから、実用上、樹脂原料100質量部に対して145質量部以上含有させることができず、柔軟性や強度等の特性を満足させつつ体積抵抗率および熱伝導率を所望範囲に制御することが困難なものであった。
Claims (3)
- 石油コークスの1250℃〜2400℃の温度での焼成物であることを特徴とする導電性フィラー。
- ゴムまたは樹脂と請求項1に記載の導電性フィラーとを含有し、前記ゴムまたは樹脂100質量部に対し請求項1に記載の導電性フィラーを50〜450質量部含有することを特徴とする導電性材料。
- 体積抵抗率が1.0×108Ω・cm以下であり、熱伝導率が0.7W/m・K以上である請求項2に記載の導電性材料。
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